移動環境認識装置及び方法
【課題】高速、且つ高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる移動環境認識装置を提供する。
【解決手段】測定対象7に対して円錐走査を行う円錐走査手段1を備えている。円錐走査手段は、移動環境検出器3と、この移動環境検出器で計測した情報を加工する外界認識装置9を備えている。この外界認識装置は、円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段とを備えている。
【解決手段】測定対象7に対して円錐走査を行う円錐走査手段1を備えている。円錐走査手段は、移動環境検出器3と、この移動環境検出器で計測した情報を加工する外界認識装置9を備えている。この外界認識装置は、円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動環境認識装置及び方法に関し、例えば脚型ロボットや脚車輪型ロボットのような脚動作型移動体が移動する際に、必要とする移動環境の有無を認識する場合に適用して好適な、移動ロボット用ビジョンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚型ロボットや、脚着地部材として車輪を有する脚車輪型ロボットのような脚動作型移動体は、段差がある移動環境を脚により歩行動作をする際には、例えば階段の踏み板のように、一歩移動するごとに脚によって自立できる場所(これを踏み場と呼ぶ)を踏みしめている必要があり、当該踏み場が存在することを歩行動作を開始する前に認識しておく必要がある。
従来、この種の認識手法として、特許文献1〜4の手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−61117号公報
【特許文献2】特開2002−144278公報
【特許文献3】特開2008−224380公報
【特許文献4】特開2009−212086公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の手法は、円錐状の広がりをもつリング光を対象物に対して斜め方向から照射し、対象物に対して垂直軸上にあるカメラで画像を取得し、画像座標検出手段により対象物までの距離を算出する三次元座標計算手段と、予め画像メモリに記録した画像の一部又は全部との比較によって、距離を測定する三次元位置検出手法である。この手法は、いわゆる三角測量を基本原理としたリング照明を用いたステレオカメラの機能をもっている。
しかしながら、この特許文献1の手法では、平面の傾きを検出することができず、また傾きの変化を検出することもできない問題がある。
【0005】
また、特許文献2の手法は、腰部に取り付けられた外部センサが、床面までの距離や床面形状の計測を行うために、スリット光を照射する発光手段と、光切断線を撮像する視準値の異なる2つの撮像手段と、光切断方向から撮像された画像を基に計測対象までの距離を算出する手段と、周囲を監視する手段と、を設け、当該2つの撮像手段により同一物体の対応付け及び視差を利用して距離の算出を行う二眼立体視構成を有する。
この特許文献2の手法は、腰部に取り付けられることにより検出感度が向上することや、ロボットの動作中も安定に床面の計測を行うことができるところに特徴があり、基本となる技術は従来技術そのままを用いている点において環境の認識が未だ不十分である。
【0006】
また、特許文献3の手法は、三次元レーザレーダによって得られた垂直走査面内の距離データのデータ配列から認識対象の垂直方向及び水平方向の特徴を抽出するようにしたことにより、脚動作型移動体が認識対象を歩行できるような移動環境情報を得るようになされているが、レーザの走査による切断面の特徴量から三次元形状を再構築するために、処理すべき情報量が多く、また手順も複雑であるため、これらを軽減することが望ましい。
さらに、特許文献4の手法は、円錐形状をした三次元距離測定器を用いて測定範囲の形状を認識し、位置姿勢を算出する手法であるが、測定する物体の形状を認識することが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高速、且つ高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる移動環境認識装置及び方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の移動環境認識装置は、測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査手段と、この円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動環境認識装置において、前記円錐走査手段は、多数の測定セグメントを同時に検出する距離画像センサを備えており、当該距離画像センサが検出した各測定セグメントに対して円錐走査を行なうようにした。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の移動環境認識装置において、形状認識手段は、前記面形状判断手段で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する。
【0009】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の移動環境認識装置において、前記円錐走査手段の傾斜角を測定可能な姿勢センサと、前記円錐走査手段の測定データに、前記姿勢センサが測定した前記傾斜角に基づいた座標変換を行なうことで、前記移動環境検出手段が算出した前記測定セグメントの測定データを水平面基準に補正する測定データ補正手段とを備えている。
【0010】
一方、請求項5記載の移動環境認識方法は、測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査工程と、この円錐走査工程で測定した測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出工程と、この移動環境検出工程が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断工程と、この面形状判断工程で水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識工程とを備えている。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の移動環境認識方法において、前記円錐走査工程は、多数の測定セグメントを同時に検出し、これら各測定セグメントに対して円錐走査を行なう。
さらに、請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の移動環境認識方法において、形状認識工程は、前記面形状判断工程で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行う工程と、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る移動環境認識装置及び方法によれば、測定対象に対して円錐走査を行うことで、測定距離及び円錐走査回転角度に対応するデータ、傾斜方向、センサ原点から測定対象中心までの距離、傾斜角を蓄積し、水平面形状判定を行なうことで得られた水平面の測定対象の形状を算出することができるので、高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】移動体の構成を示す概略図である。
【図2】外界認識装置を示すブロック図である。
【図3】移動環境検出器の構成を示す図である。
【図4】距離測定器を用いた円錐走査法を示す略線図である。
【図5】円錐走査法を示す別の略線図である。
【図6】円錐走査法を示す略線図である。
【図7】距離画像センサを用いる場合の多数の測定対象(セグメント)を示す図である。
【図8】円錐走査法を示す略線図である。
【図9】階段の凸部を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図10】階段の凹部を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図11】階段の踏み面を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図12】階段の垂直面を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図13】測定対象である階段の認識情報部位を示す図である。
【図14】測定対象の認識処理を示すフローチャートである。
【図15】ロボット中心地面の投影座標系を示す図である。
【図16】センサ座標系変換図である。
【図17】移動環境検出器に姿勢センサを装着した状態を示す図である。
【図18】移動体本体に姿勢センサを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(1)脚動作型移動体の構成と動作
図1において、符号1は全体として移動体を示し、直方体形状の移動体本体2の前面上端中央部に前方に突出するように移動環境検出器3が設けられている。
移動体本体2の前面下部の左右両端位置には左前脚4L及び右前脚4Rが装着されていると共に、移動体本体2の後面下部の左右両端位置には左後脚5L及び右後脚5Rが装着されている。
左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rは、それぞれ支軸周りの関節J0、股関節J1及び膝関節J2を介して脚車輪J3を歩行動作ができるように保持している。
【0015】
そして、左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rが平らな床面6上に自立しているときには、脚車輪J3を回転駆動することにより、移動体本体2を車輪の回転動作を利用して移動できるようになされていると共に、移動体本体2が測定対象としての階段7を上り下りする際には、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rのいずれか1つ、または2つ以上を階段7の段差を上り下りするように脚車輪J3を回転駆動させずに、もしくは階段7の上の段の存在する側へ進むよう回転駆動しながら歩行動作させ、これにより脚車輪J3を階段7の踏み面8を踏む手段として用いて階段7を1歩ずつ上ったり下ったりできるようになされている。
このような移動体1の移動動作は、移動体本体2内に設けられている外界認識装置9が移動環境検出器3の検出結果を用いて移動環境を認識して左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを駆動制御することによって行われる。
【0016】
外界認識装置9は、図2に示すように、移動環境検出器3として円錐走査式距離測定部31あるいは距離画像測定部36を装備し、情報処理を行うパーソナルコンピュータによって構成され、データ入出力手段11からユーザが入力した指令データをバス12を介してシステム制御用中央処理ユニット(CPU)13が受け取ったとき、これに応じてCPU13がプログラムROM・動作メモリRAM14を用いて移動環境検出器3の検出結果に応じた環境認識演算処理を実行し、データ入出力手段11を通じて本体駆動部15に当該環境認識結果を通知することにより、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを移動動作させる。
【0017】
(2)円錐走査による測定
円錐走査式距離測定部31は、図3に示すように、水平走査機構21を有し、この水平走査機構21が移動体本体2の前面から前方に突出する突出支持部22(図1参照)に支持されており、これにより水平走査機構21が垂直方向の中心軸zを中心として水平ターンテーブル23を矢印aで示すように水平面内において回動動作させる。
水平ターンテーブル23の下面には、取付部材24を介して垂直走査機構25が取り付けられており、これにより垂直走査機構25が垂直ターンテーブル26を、矢印bで示すように、一方の水平軸yを中心として垂直面内において回動動作させる。
【0018】
垂直ターンテーブル26には距離測定器27が取り付けられ、これにより距離測定器27の距離測定方向が他方の水平軸xを基準にして垂直面内(従って仰角が変更する方向)において変更制御される。
この実施形態の場合、距離測定器27は、赤外線パルスビームを所定の測定方向に放出すると共に、当該赤外線パルスビームが測定対象において反射して得られる戻り光を受光し、当該赤外線パルスビームの発射時刻と戻り光の到達時刻との時間差に基づいて、距離測定器27から測定対象までの距離Lを測定する。
【0019】
また、距離測定器27は、赤外線ビームを所定の測定方向に放出すると共に、当該赤外線ビームが測定対象において反射して得られる戻り光を受光し、当該赤外線ビームと戻り光との三角形状を利用して三角測量の原理に基づいて、距離測定器27から測定対象までの距離Lを測定するようにしてもよい。
この実施形態の場合、水平ターンテーブル23に取り付けられた取付部材24、垂直走査機構25、垂直ターンテーブル26及び距離測定器27は保護カバー28によって覆われている。
【0020】
当該距離測定器27に対する水平走査機構21及び垂直走査機構25の走査は、外界認識装置9(図2参照)のデータ入出力手段11から入力されるユーザの動作命令によって、距離測定器27から放出される円錐走査検出光DET(図4参照)の放出方向(これを視準方向と呼ぶ)を、外界認識装置9(図2参照)のCPU13が制御することにより行われる。
【0021】
そして、移動環境検出器3は、水平面内のxy座標を順次指定して行くことにより距離測定器27を水平面内のすべての角度方向に走査できると共に、当該水平面内のすべての角度位置について、垂直面内の角度位置を走査することができ、これにより移動体1が移動すべき環境に存在する認識対象と距離測定器27との間の距離を、図4に示す円錐走査式距離測定法によって、測定することができる。
【0022】
図4において、距離測定器27が配設されている位置Oを原点として(これをセンサ原点と呼ぶ)、距離測定器27の視準方向をZ軸で表わすと共に、当該視準方向軸Zと直交する平面の座標を直交座標軸X及びYによって表わす。
図4の場合、視準方向軸Zのセンサ原点Oから基準距離dSTの位置に、視準方向軸Z(以下これを視準方向と呼ぶ)を中心として描いた半径rSTの円形平面を水平垂直走査面S1として定義し、センサ原点Oからの赤外線パルス検出ビームを水平垂直走査面S1の円形軌道に沿うように走査させることにより、センサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐走査立体を想定する。
【0023】
このセンサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐体については、図5(A)に示すように、XZ平面についてセンサ原点Oから水平垂直走査面S1の中心位置CST(水平垂直走査面S1とZ軸との交点位置)から半径rSTだけX軸と平行に移動した点と、センサ原点Oとを結ぶ線は、センサ原点Oから発射された検出パルス光Lp(すなわち赤外線パルスビーム)が通る円錐面を表している。
従って、当該円錐面の円錐底面の半径rSTは、円錐半頂角βと、センサ原点Oから水平垂直走査面S1までの基準距離dSTとから、次式
【0024】
【数1】
によって表すことができる。
【0025】
水平垂直走査面S1の各走査位置について、水平垂直走査面S1の直交座標軸XYについて、X軸と平行なx軸との交点を起点として、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)によって円錐底面の外周面に沿った走査点P1を順次走査すると考えると、この走査点P1を通る検出パルス光は水平垂直走査面S1より前方位置にある測定対象面S2の測定点P2に到達するから、測定対象面S2上に水平垂直走査面S1の走査点P1の走査に対応して移動する測定点P2が考えられる。
【0026】
ここで走査対象面S2は、測定対象の外観形状が任意であれば、視準方向軸Zに対して直交する面をもつとは限らず、傾きをもっているものもあるが、直交するものと考えると、測定対象面S2は水平垂直走査面S1と相似の円を描くことになる。
かくして水平垂直走査面S1上の走査点P1のxy平面のx座標点P1xは、図5(B)に示すように、水平走査角θによって、次式
【0027】
【数2】
によって表すことができると共に、yz平面のy座標点P1yは、図5(B)に示すように、垂直走査角φによって
【0028】
【数3】
によって表すことができる。
水平垂直走査面S1上の走査点P1のx軸上の座標xは、図5(C)に示すように、円錐走査回転角度αが時間の経過と共にωtで変化すると考えれば、次式、
【0029】
【数4】
のように表すことができると共に、y軸上の座標yは次式、
【0030】
【数5】
のように表すことができる。
【0031】
以上の動作原理に基づいて、外界認識装置9(図2参照)のCPU13は、円錐走査式距離測定部31を起動することにより、円錐走査式距離測定部31の円錐走査制御部32によって水平垂直走査面S1上の走査点座標x及びyを、(4)式及び(5)式に基づいて、円錐走査回転角度αを角速度ωで変更制御することにより、センサ原点Oにある距離測定器27から放出されるパルスビームを円錐底面の円軌道に沿って走査するために必要な水平走査角θ及び垂直走査角φを表す駆動角度データを生成する。
【0032】
この水平走査角θ及び垂直走査角φの駆動角度データは水平垂直走査部33に与えられ、当該水平垂直走査部33が移動環境検出器3に対して、水平走査機構21及び垂直走査機構25の駆動出力を送出する。
これにより測定対象面S2上にパルスビームがα=0〔°〕からα=360〔°〕まで走査するように投射される。
【0033】
ここで、測定対象面S2が、図6に示すように、視準方向Zの軸に対して直交する平面を有するとすれば、距離測定器27から放出された検出パルス光Lpは走査点P1を通って測定点P2に当たって反射される。
この結果、測定点P2は、測定対象面S2上に、水平垂直走査面S1と相似の円形の交円軌跡TR(以下これを交円と呼ぶ)を描き、これに対して測定対象面S2が視準方向Zの軸に対して直交せずに傾いているときは楕円形の交円TRを描く。
【0034】
かくして、測定対象面S2の交円TRから反射された検出パルス光Lpが移動環境検出器3の距離測定器27に戻ってきたとき、その検出データがバス12を介して円錐走査式距離測定部31の距離検出部34に取り込まれてセンサ原点Oから測定点P2までの距離を検出できることになり、当該測定距離Lが、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応するデータ(α、L)として、円錐走査距離データメモリ35Aに蓄積される。
このデータ(α、L)は、円錐走査回転角度αと測定距離Lの関係が得られるα−L線図と呼ばれ、測定距離の最大値Lmax及び最大値Lmaxのときの円錐走査回転角度αから傾斜方向α(Lmax)を決定することができる。
【0035】
一方、距離画像測定部36は、多点の距離を同時に高速に測定することが可能な距離画像センサを使用しており、距離画像センサの測定領域内において、複数の円形セグメント上の距離情報に対応する画素位置のデータとして距離画像データメモリ36Bに蓄積される。
すなわち、図7に示すように、円形セグメントの個数をm(x方向),n(y方向),間隔をΔx,Δy,センサの横方向ピクセル数wc,センサの縦方向ピクセル数hcとして任意のi番,j番目の円の中心点は、
【0036】
【数6】
で表され、この点を中心に、円錐走査角αに応じた各抽出点を算出する。そして、距離画像センサからは各画素における測定距離Lが得られるので、円錐走査回転角度αが0〜360°回転する場合に相当する距離画像上の座標を算出し、その座標に対応する画素位置の測定距離Lを取得することで、データ(α、L)が得られる。なお、画素の中間位置については、バイリニア法による測定データ平滑補間処理を行う。
【0037】
なお、円錐走査距離データメモリ35Aの複数領域の走査データ結果を距離画像データメモリ36Bに蓄積することで、以降の処理を同様の手順で行なうことができる。
このデータ(α、L)もα−L線図と呼ばれ、測定距離の最大値Lmax及び最大値Lmaxのときの円錐走査回転角度αから傾斜方向α(Lmax)を決定することができる。
【0038】
そして、距離画像データメモリ36Bに蓄積されたα−L線図は、傾斜方向α(Lmax)の幾何学的な位置関係と関係式から、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γを算出する。
すなわち、図8のzは、センサ原点Oから視準方向Zへとった距離を表し、主軸mは、zに対して直交する方向の距離を表す。
【0039】
また、βは円錐走査回転角度αによって形成される円錐走査検出光DETの半頂角で、センサ原点Oから極小点MNまでの距離dminは、次式、
【0040】
【数7】
によって求められると共に、センサ原点Oから極大点MXまでの距離dmaxは、次式、
【0041】
【数8】
によって求めることができ、その差分hは、次式、
【0042】
【数9】
になる。
ここで、極大点MXと極小点MNとを結ぶ線は、平面上の成分を表しており、差分hは当該平面の傾斜の高さを表している。
【0043】
一方、極小点MN及び極大点MXからそれぞれz軸に下ろした脚の長さrmin及びrmaxは、
【0044】
【数10】
【0045】
【数11】
のように、半頂角βによって表すことができるから、両者の和kは、
【0046】
【数12】
になる。
この結果、(9)式の差分hとの間には、
【0047】
【数13】
の関係がある。
【0048】
(13)式のγは、極大点MXと極小点MNとを結ぶ傾斜面(すなわち測定対象である平面)の、円錐走査検出光DETの円錐底面からの傾斜角を表しており、当該傾斜角γを(13)式から求めることができる。
かくして求めた傾斜角γによって、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dzは、次式、
【0049】
【数14】
【0050】
【数15】
によって求めることができる。
したがって、距離画像データメモリ36Bには、多数の円形セグメントのα−L線図、傾斜方向α(Lmax)、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γが蓄積される。
【0051】
(3)測定対象(階段)の水平面形状判定機能
また、CPU13は、距離画像データメモリ36Bに蓄積されたデータに基づいて測定対象の水平面形状判定を行なう。
図9から図12の(a)は、移動環境検出器3を斜め下向きに配置し、測定対象である図1の階段7の凹凸部、平面部を示したものである。これらの図の(b)で示すα−L線図の実線は計測値である。また、測定対象が1つの平面であれば、α−L線図が一次の三角関数で表現できることに着目し、一次のフーリエ級数計算を行い、以下の(16)式の通りフィッティング値を算出することとした。なお、α−L線図の破線がフィッティング値であり、傾斜方向α(Lmax)は、フィッティング値から求めている。
【0052】
【数16】
【0053】
【数17】
【0054】
図9の階段7の凸部を示すα−L線図は、水平面(踏み面F)及び垂直面(蹴込面K)の両者が存在するので1次曲線にはならずフィッティング値と測定値との残差が大きい。また、図10の階段7の凹部を示すα−L線図も、水平面(床面6)及び垂直面(蹴込面K)が存在するので1次曲線にはならずフィッティング値と測定値との残差が大きい。
これに対して、図11の水平面(踏み面F)を示すα−L線図と、図12の垂直面(蹴込面K)を示すα−L線図の両者は、範囲内に1つの面のみが存在し、1次曲線近くなり、フィッティング値と測定値との残差が小さい。そして、フィッティング値と測定値との残差が小さく、平面の傾斜方向α(Lmax)の値が大きい図11のα−L線図を、水平面(踏み面F)と判定(水平面判定)することができる。
【0055】
なお、残差の評価値としては、以下の(18)式を用いる。
【0056】
【数18】
【0057】
(4)測定対象(階段)の認識処理手順
測定対象である階段の認識情報は、図13に示すように階段の位置(Sx,Sy),方向γ,階段幅Swである。なお、階段幅Swは測定レンジ内の有効幅とし、階段の位置は有効幅の中心点とする。
CPU13は、図14のフローチャートで示す手順で階段の認識処理を行なう。
図14の階段の認識処理は、先ず、ステップST1において、上述した水平面形状判定機能で示したように距離画像データメモリ36Bのデータから水平面判定を受けた円形セグメントを読込み、そのセグメント(円形セグメント)の中心座標(xC,yC)をプロットした画像を作成する。
【0058】
次いでステップST2に移行し、作成した画像に対して連結成分抽出処理(ラベリング)を実行し、単なる点の集合であった画像から、複数のエリアが抽出される。
次いでステップST3に移行し、以下の(19)式〜(22)式を用いてセグメントの中心座標(xC,yC)からロボット座標系のX座標、Y座標、Z座標を算出する(図15のロボット中心地面投影座標系及び図16のセンサ座標系変換図を参照)。
【0059】
【数19】
【0060】
次いでステップST4に移行し、抽出エリア毎に高さZ座標の平均値Zaveと、高さZ座標のばらつき(最大値Zmaxと最小値Zminの差で評価)を算出する。
次いでステップST5に移行し、所定の抽出エリアの高さZ座標の平均値Zaveが階段の一段目高さであり(第1の条件)、且つ、高さZ座標のばらつき(Zmax − Zmin )が十分に小さい場合には(第2の条件)、ステップST6に移行し、上記の第1及び第2の条件の少なくとも一方を満たしていない場合には、ステップST7に移行し、次の抽出エリアを読み込む。ステップST7からステップST5に移行し、上述した判定処理を行なう。
ステップST6では、高さZ座標の平均値Zaveが階段の一段目高さであり、且つ、高さZ座標のばらつき(Zmax − Zmin )が十分に小さい抽出エリアに対して最小自乗法による直線フィッティングを行う。
【0061】
次いでステップST8に移行し、近似直線上の左右端点(xleft,yleft),(xright,yright)を抽出する。
次いでステップST9に移行し、ロボット座標系の左右端点(Xleft,Yleft,Zleft),(Xright,Yright,Zright)に変換する。
次いでステップST10に移行し、変換されたロボット座標系の左右端点(Xleft,Yleft,Zleft),(Xright,Yright,Zright)から、以下の(27)式〜(30)式を用いて階段の位置(Sx,Sy),方向γ,階段幅Swを算出する。
【0062】
【数20】
【0063】
なお、ステップST6において階段の2段目以降に該当する高さを条件に設定し同様に処理し、複数の段についての段の方向、位置、幅の情報を取得することにより、階段の段数についての認識や、階段が続いていく方向の認識も可能となる。
上記構成の外界認識装置9によると、移動環境検出器3が測定対象に対して円錐走査を行うことで、測定距離L及び円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応するデータ(α、L)(α−L線図)、傾斜方向α(Lmax)、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γを蓄積し、測定対象(階段)水平面形状判定機能を行なうことで、フィッティング値と測定値との残差が小さく平面の傾斜方向α(Lmax)の値が大きいデータを水平面と判定し、測定対象(階段)の認識処理を行なうことで、水平面と判断した測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記測定対象の形状を算出することができるので、高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【0064】
また、多点の距離を同時に高速に測定することが可能な距離画像センサを使用し、この距離画像センサの測定領域内において、複数の円形セグメント上の距離情報に対応する画素位置のデータとして、測定距離L及び円錐走査回転角度αに対応するデータ(α、L)を蓄積すると、高速、且つ高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
なお、図17及び図18に示すように、移動体本体2に装着された移動環境検出器3の傾斜角を測定することが可能な姿勢センサ50を、移動環境検出器3、或いは移動体本体2に備え、図2に示す外界認識装置9に備えた測定データ補正部51が、移動環境検出器3が測定した測定データに対して姿勢センサ50が測定した傾斜角に基づいて座標変換を行なうようにすると、さらに高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…移動体、2…移動体本体、3…移動環境検出器、4L…左前脚、4R…右前脚、5L…左後脚、5R…右後脚、6…床面、7…階段、8,F…踏み面、9…外界認識装置、11…データ入出力手段、12…バス、15…本体駆動部、21…水平走査機構、22…突出支持部、23…水平ターンテーブル、24…取付部材、25…垂直走査機構、26…垂直ターンテーブル、27…距離測定器、28…保護カバー、31…円錐走査式距離測定部、32…円錐走査制御部、33…水平垂直走査部、34…距離検出部、35A…円錐走査距離データメモリ、36…距離画像測定部、36B…距離画像データメモリ、50…姿勢センサ、51…測定データ補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は移動環境認識装置及び方法に関し、例えば脚型ロボットや脚車輪型ロボットのような脚動作型移動体が移動する際に、必要とする移動環境の有無を認識する場合に適用して好適な、移動ロボット用ビジョンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚型ロボットや、脚着地部材として車輪を有する脚車輪型ロボットのような脚動作型移動体は、段差がある移動環境を脚により歩行動作をする際には、例えば階段の踏み板のように、一歩移動するごとに脚によって自立できる場所(これを踏み場と呼ぶ)を踏みしめている必要があり、当該踏み場が存在することを歩行動作を開始する前に認識しておく必要がある。
従来、この種の認識手法として、特許文献1〜4の手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−61117号公報
【特許文献2】特開2002−144278公報
【特許文献3】特開2008−224380公報
【特許文献4】特開2009−212086公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の手法は、円錐状の広がりをもつリング光を対象物に対して斜め方向から照射し、対象物に対して垂直軸上にあるカメラで画像を取得し、画像座標検出手段により対象物までの距離を算出する三次元座標計算手段と、予め画像メモリに記録した画像の一部又は全部との比較によって、距離を測定する三次元位置検出手法である。この手法は、いわゆる三角測量を基本原理としたリング照明を用いたステレオカメラの機能をもっている。
しかしながら、この特許文献1の手法では、平面の傾きを検出することができず、また傾きの変化を検出することもできない問題がある。
【0005】
また、特許文献2の手法は、腰部に取り付けられた外部センサが、床面までの距離や床面形状の計測を行うために、スリット光を照射する発光手段と、光切断線を撮像する視準値の異なる2つの撮像手段と、光切断方向から撮像された画像を基に計測対象までの距離を算出する手段と、周囲を監視する手段と、を設け、当該2つの撮像手段により同一物体の対応付け及び視差を利用して距離の算出を行う二眼立体視構成を有する。
この特許文献2の手法は、腰部に取り付けられることにより検出感度が向上することや、ロボットの動作中も安定に床面の計測を行うことができるところに特徴があり、基本となる技術は従来技術そのままを用いている点において環境の認識が未だ不十分である。
【0006】
また、特許文献3の手法は、三次元レーザレーダによって得られた垂直走査面内の距離データのデータ配列から認識対象の垂直方向及び水平方向の特徴を抽出するようにしたことにより、脚動作型移動体が認識対象を歩行できるような移動環境情報を得るようになされているが、レーザの走査による切断面の特徴量から三次元形状を再構築するために、処理すべき情報量が多く、また手順も複雑であるため、これらを軽減することが望ましい。
さらに、特許文献4の手法は、円錐形状をした三次元距離測定器を用いて測定範囲の形状を認識し、位置姿勢を算出する手法であるが、測定する物体の形状を認識することが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高速、且つ高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる移動環境認識装置及び方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の移動環境認識装置は、測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査手段と、この円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動環境認識装置において、前記円錐走査手段は、多数の測定セグメントを同時に検出する距離画像センサを備えており、当該距離画像センサが検出した各測定セグメントに対して円錐走査を行なうようにした。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の移動環境認識装置において、形状認識手段は、前記面形状判断手段で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する。
【0009】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の移動環境認識装置において、前記円錐走査手段の傾斜角を測定可能な姿勢センサと、前記円錐走査手段の測定データに、前記姿勢センサが測定した前記傾斜角に基づいた座標変換を行なうことで、前記移動環境検出手段が算出した前記測定セグメントの測定データを水平面基準に補正する測定データ補正手段とを備えている。
【0010】
一方、請求項5記載の移動環境認識方法は、測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査工程と、この円錐走査工程で測定した測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出工程と、この移動環境検出工程が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断工程と、この面形状判断工程で水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識工程とを備えている。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の移動環境認識方法において、前記円錐走査工程は、多数の測定セグメントを同時に検出し、これら各測定セグメントに対して円錐走査を行なう。
さらに、請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の移動環境認識方法において、形状認識工程は、前記面形状判断工程で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行う工程と、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る移動環境認識装置及び方法によれば、測定対象に対して円錐走査を行うことで、測定距離及び円錐走査回転角度に対応するデータ、傾斜方向、センサ原点から測定対象中心までの距離、傾斜角を蓄積し、水平面形状判定を行なうことで得られた水平面の測定対象の形状を算出することができるので、高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】移動体の構成を示す概略図である。
【図2】外界認識装置を示すブロック図である。
【図3】移動環境検出器の構成を示す図である。
【図4】距離測定器を用いた円錐走査法を示す略線図である。
【図5】円錐走査法を示す別の略線図である。
【図6】円錐走査法を示す略線図である。
【図7】距離画像センサを用いる場合の多数の測定対象(セグメント)を示す図である。
【図8】円錐走査法を示す略線図である。
【図9】階段の凸部を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図10】階段の凹部を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図11】階段の踏み面を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図12】階段の垂直面を測定した場合のα−L線図を示すものである。
【図13】測定対象である階段の認識情報部位を示す図である。
【図14】測定対象の認識処理を示すフローチャートである。
【図15】ロボット中心地面の投影座標系を示す図である。
【図16】センサ座標系変換図である。
【図17】移動環境検出器に姿勢センサを装着した状態を示す図である。
【図18】移動体本体に姿勢センサを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(1)脚動作型移動体の構成と動作
図1において、符号1は全体として移動体を示し、直方体形状の移動体本体2の前面上端中央部に前方に突出するように移動環境検出器3が設けられている。
移動体本体2の前面下部の左右両端位置には左前脚4L及び右前脚4Rが装着されていると共に、移動体本体2の後面下部の左右両端位置には左後脚5L及び右後脚5Rが装着されている。
左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rは、それぞれ支軸周りの関節J0、股関節J1及び膝関節J2を介して脚車輪J3を歩行動作ができるように保持している。
【0015】
そして、左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rが平らな床面6上に自立しているときには、脚車輪J3を回転駆動することにより、移動体本体2を車輪の回転動作を利用して移動できるようになされていると共に、移動体本体2が測定対象としての階段7を上り下りする際には、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rのいずれか1つ、または2つ以上を階段7の段差を上り下りするように脚車輪J3を回転駆動させずに、もしくは階段7の上の段の存在する側へ進むよう回転駆動しながら歩行動作させ、これにより脚車輪J3を階段7の踏み面8を踏む手段として用いて階段7を1歩ずつ上ったり下ったりできるようになされている。
このような移動体1の移動動作は、移動体本体2内に設けられている外界認識装置9が移動環境検出器3の検出結果を用いて移動環境を認識して左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを駆動制御することによって行われる。
【0016】
外界認識装置9は、図2に示すように、移動環境検出器3として円錐走査式距離測定部31あるいは距離画像測定部36を装備し、情報処理を行うパーソナルコンピュータによって構成され、データ入出力手段11からユーザが入力した指令データをバス12を介してシステム制御用中央処理ユニット(CPU)13が受け取ったとき、これに応じてCPU13がプログラムROM・動作メモリRAM14を用いて移動環境検出器3の検出結果に応じた環境認識演算処理を実行し、データ入出力手段11を通じて本体駆動部15に当該環境認識結果を通知することにより、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを移動動作させる。
【0017】
(2)円錐走査による測定
円錐走査式距離測定部31は、図3に示すように、水平走査機構21を有し、この水平走査機構21が移動体本体2の前面から前方に突出する突出支持部22(図1参照)に支持されており、これにより水平走査機構21が垂直方向の中心軸zを中心として水平ターンテーブル23を矢印aで示すように水平面内において回動動作させる。
水平ターンテーブル23の下面には、取付部材24を介して垂直走査機構25が取り付けられており、これにより垂直走査機構25が垂直ターンテーブル26を、矢印bで示すように、一方の水平軸yを中心として垂直面内において回動動作させる。
【0018】
垂直ターンテーブル26には距離測定器27が取り付けられ、これにより距離測定器27の距離測定方向が他方の水平軸xを基準にして垂直面内(従って仰角が変更する方向)において変更制御される。
この実施形態の場合、距離測定器27は、赤外線パルスビームを所定の測定方向に放出すると共に、当該赤外線パルスビームが測定対象において反射して得られる戻り光を受光し、当該赤外線パルスビームの発射時刻と戻り光の到達時刻との時間差に基づいて、距離測定器27から測定対象までの距離Lを測定する。
【0019】
また、距離測定器27は、赤外線ビームを所定の測定方向に放出すると共に、当該赤外線ビームが測定対象において反射して得られる戻り光を受光し、当該赤外線ビームと戻り光との三角形状を利用して三角測量の原理に基づいて、距離測定器27から測定対象までの距離Lを測定するようにしてもよい。
この実施形態の場合、水平ターンテーブル23に取り付けられた取付部材24、垂直走査機構25、垂直ターンテーブル26及び距離測定器27は保護カバー28によって覆われている。
【0020】
当該距離測定器27に対する水平走査機構21及び垂直走査機構25の走査は、外界認識装置9(図2参照)のデータ入出力手段11から入力されるユーザの動作命令によって、距離測定器27から放出される円錐走査検出光DET(図4参照)の放出方向(これを視準方向と呼ぶ)を、外界認識装置9(図2参照)のCPU13が制御することにより行われる。
【0021】
そして、移動環境検出器3は、水平面内のxy座標を順次指定して行くことにより距離測定器27を水平面内のすべての角度方向に走査できると共に、当該水平面内のすべての角度位置について、垂直面内の角度位置を走査することができ、これにより移動体1が移動すべき環境に存在する認識対象と距離測定器27との間の距離を、図4に示す円錐走査式距離測定法によって、測定することができる。
【0022】
図4において、距離測定器27が配設されている位置Oを原点として(これをセンサ原点と呼ぶ)、距離測定器27の視準方向をZ軸で表わすと共に、当該視準方向軸Zと直交する平面の座標を直交座標軸X及びYによって表わす。
図4の場合、視準方向軸Zのセンサ原点Oから基準距離dSTの位置に、視準方向軸Z(以下これを視準方向と呼ぶ)を中心として描いた半径rSTの円形平面を水平垂直走査面S1として定義し、センサ原点Oからの赤外線パルス検出ビームを水平垂直走査面S1の円形軌道に沿うように走査させることにより、センサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐走査立体を想定する。
【0023】
このセンサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐体については、図5(A)に示すように、XZ平面についてセンサ原点Oから水平垂直走査面S1の中心位置CST(水平垂直走査面S1とZ軸との交点位置)から半径rSTだけX軸と平行に移動した点と、センサ原点Oとを結ぶ線は、センサ原点Oから発射された検出パルス光Lp(すなわち赤外線パルスビーム)が通る円錐面を表している。
従って、当該円錐面の円錐底面の半径rSTは、円錐半頂角βと、センサ原点Oから水平垂直走査面S1までの基準距離dSTとから、次式
【0024】
【数1】
によって表すことができる。
【0025】
水平垂直走査面S1の各走査位置について、水平垂直走査面S1の直交座標軸XYについて、X軸と平行なx軸との交点を起点として、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)によって円錐底面の外周面に沿った走査点P1を順次走査すると考えると、この走査点P1を通る検出パルス光は水平垂直走査面S1より前方位置にある測定対象面S2の測定点P2に到達するから、測定対象面S2上に水平垂直走査面S1の走査点P1の走査に対応して移動する測定点P2が考えられる。
【0026】
ここで走査対象面S2は、測定対象の外観形状が任意であれば、視準方向軸Zに対して直交する面をもつとは限らず、傾きをもっているものもあるが、直交するものと考えると、測定対象面S2は水平垂直走査面S1と相似の円を描くことになる。
かくして水平垂直走査面S1上の走査点P1のxy平面のx座標点P1xは、図5(B)に示すように、水平走査角θによって、次式
【0027】
【数2】
によって表すことができると共に、yz平面のy座標点P1yは、図5(B)に示すように、垂直走査角φによって
【0028】
【数3】
によって表すことができる。
水平垂直走査面S1上の走査点P1のx軸上の座標xは、図5(C)に示すように、円錐走査回転角度αが時間の経過と共にωtで変化すると考えれば、次式、
【0029】
【数4】
のように表すことができると共に、y軸上の座標yは次式、
【0030】
【数5】
のように表すことができる。
【0031】
以上の動作原理に基づいて、外界認識装置9(図2参照)のCPU13は、円錐走査式距離測定部31を起動することにより、円錐走査式距離測定部31の円錐走査制御部32によって水平垂直走査面S1上の走査点座標x及びyを、(4)式及び(5)式に基づいて、円錐走査回転角度αを角速度ωで変更制御することにより、センサ原点Oにある距離測定器27から放出されるパルスビームを円錐底面の円軌道に沿って走査するために必要な水平走査角θ及び垂直走査角φを表す駆動角度データを生成する。
【0032】
この水平走査角θ及び垂直走査角φの駆動角度データは水平垂直走査部33に与えられ、当該水平垂直走査部33が移動環境検出器3に対して、水平走査機構21及び垂直走査機構25の駆動出力を送出する。
これにより測定対象面S2上にパルスビームがα=0〔°〕からα=360〔°〕まで走査するように投射される。
【0033】
ここで、測定対象面S2が、図6に示すように、視準方向Zの軸に対して直交する平面を有するとすれば、距離測定器27から放出された検出パルス光Lpは走査点P1を通って測定点P2に当たって反射される。
この結果、測定点P2は、測定対象面S2上に、水平垂直走査面S1と相似の円形の交円軌跡TR(以下これを交円と呼ぶ)を描き、これに対して測定対象面S2が視準方向Zの軸に対して直交せずに傾いているときは楕円形の交円TRを描く。
【0034】
かくして、測定対象面S2の交円TRから反射された検出パルス光Lpが移動環境検出器3の距離測定器27に戻ってきたとき、その検出データがバス12を介して円錐走査式距離測定部31の距離検出部34に取り込まれてセンサ原点Oから測定点P2までの距離を検出できることになり、当該測定距離Lが、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応するデータ(α、L)として、円錐走査距離データメモリ35Aに蓄積される。
このデータ(α、L)は、円錐走査回転角度αと測定距離Lの関係が得られるα−L線図と呼ばれ、測定距離の最大値Lmax及び最大値Lmaxのときの円錐走査回転角度αから傾斜方向α(Lmax)を決定することができる。
【0035】
一方、距離画像測定部36は、多点の距離を同時に高速に測定することが可能な距離画像センサを使用しており、距離画像センサの測定領域内において、複数の円形セグメント上の距離情報に対応する画素位置のデータとして距離画像データメモリ36Bに蓄積される。
すなわち、図7に示すように、円形セグメントの個数をm(x方向),n(y方向),間隔をΔx,Δy,センサの横方向ピクセル数wc,センサの縦方向ピクセル数hcとして任意のi番,j番目の円の中心点は、
【0036】
【数6】
で表され、この点を中心に、円錐走査角αに応じた各抽出点を算出する。そして、距離画像センサからは各画素における測定距離Lが得られるので、円錐走査回転角度αが0〜360°回転する場合に相当する距離画像上の座標を算出し、その座標に対応する画素位置の測定距離Lを取得することで、データ(α、L)が得られる。なお、画素の中間位置については、バイリニア法による測定データ平滑補間処理を行う。
【0037】
なお、円錐走査距離データメモリ35Aの複数領域の走査データ結果を距離画像データメモリ36Bに蓄積することで、以降の処理を同様の手順で行なうことができる。
このデータ(α、L)もα−L線図と呼ばれ、測定距離の最大値Lmax及び最大値Lmaxのときの円錐走査回転角度αから傾斜方向α(Lmax)を決定することができる。
【0038】
そして、距離画像データメモリ36Bに蓄積されたα−L線図は、傾斜方向α(Lmax)の幾何学的な位置関係と関係式から、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γを算出する。
すなわち、図8のzは、センサ原点Oから視準方向Zへとった距離を表し、主軸mは、zに対して直交する方向の距離を表す。
【0039】
また、βは円錐走査回転角度αによって形成される円錐走査検出光DETの半頂角で、センサ原点Oから極小点MNまでの距離dminは、次式、
【0040】
【数7】
によって求められると共に、センサ原点Oから極大点MXまでの距離dmaxは、次式、
【0041】
【数8】
によって求めることができ、その差分hは、次式、
【0042】
【数9】
になる。
ここで、極大点MXと極小点MNとを結ぶ線は、平面上の成分を表しており、差分hは当該平面の傾斜の高さを表している。
【0043】
一方、極小点MN及び極大点MXからそれぞれz軸に下ろした脚の長さrmin及びrmaxは、
【0044】
【数10】
【0045】
【数11】
のように、半頂角βによって表すことができるから、両者の和kは、
【0046】
【数12】
になる。
この結果、(9)式の差分hとの間には、
【0047】
【数13】
の関係がある。
【0048】
(13)式のγは、極大点MXと極小点MNとを結ぶ傾斜面(すなわち測定対象である平面)の、円錐走査検出光DETの円錐底面からの傾斜角を表しており、当該傾斜角γを(13)式から求めることができる。
かくして求めた傾斜角γによって、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dzは、次式、
【0049】
【数14】
【0050】
【数15】
によって求めることができる。
したがって、距離画像データメモリ36Bには、多数の円形セグメントのα−L線図、傾斜方向α(Lmax)、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γが蓄積される。
【0051】
(3)測定対象(階段)の水平面形状判定機能
また、CPU13は、距離画像データメモリ36Bに蓄積されたデータに基づいて測定対象の水平面形状判定を行なう。
図9から図12の(a)は、移動環境検出器3を斜め下向きに配置し、測定対象である図1の階段7の凹凸部、平面部を示したものである。これらの図の(b)で示すα−L線図の実線は計測値である。また、測定対象が1つの平面であれば、α−L線図が一次の三角関数で表現できることに着目し、一次のフーリエ級数計算を行い、以下の(16)式の通りフィッティング値を算出することとした。なお、α−L線図の破線がフィッティング値であり、傾斜方向α(Lmax)は、フィッティング値から求めている。
【0052】
【数16】
【0053】
【数17】
【0054】
図9の階段7の凸部を示すα−L線図は、水平面(踏み面F)及び垂直面(蹴込面K)の両者が存在するので1次曲線にはならずフィッティング値と測定値との残差が大きい。また、図10の階段7の凹部を示すα−L線図も、水平面(床面6)及び垂直面(蹴込面K)が存在するので1次曲線にはならずフィッティング値と測定値との残差が大きい。
これに対して、図11の水平面(踏み面F)を示すα−L線図と、図12の垂直面(蹴込面K)を示すα−L線図の両者は、範囲内に1つの面のみが存在し、1次曲線近くなり、フィッティング値と測定値との残差が小さい。そして、フィッティング値と測定値との残差が小さく、平面の傾斜方向α(Lmax)の値が大きい図11のα−L線図を、水平面(踏み面F)と判定(水平面判定)することができる。
【0055】
なお、残差の評価値としては、以下の(18)式を用いる。
【0056】
【数18】
【0057】
(4)測定対象(階段)の認識処理手順
測定対象である階段の認識情報は、図13に示すように階段の位置(Sx,Sy),方向γ,階段幅Swである。なお、階段幅Swは測定レンジ内の有効幅とし、階段の位置は有効幅の中心点とする。
CPU13は、図14のフローチャートで示す手順で階段の認識処理を行なう。
図14の階段の認識処理は、先ず、ステップST1において、上述した水平面形状判定機能で示したように距離画像データメモリ36Bのデータから水平面判定を受けた円形セグメントを読込み、そのセグメント(円形セグメント)の中心座標(xC,yC)をプロットした画像を作成する。
【0058】
次いでステップST2に移行し、作成した画像に対して連結成分抽出処理(ラベリング)を実行し、単なる点の集合であった画像から、複数のエリアが抽出される。
次いでステップST3に移行し、以下の(19)式〜(22)式を用いてセグメントの中心座標(xC,yC)からロボット座標系のX座標、Y座標、Z座標を算出する(図15のロボット中心地面投影座標系及び図16のセンサ座標系変換図を参照)。
【0059】
【数19】
【0060】
次いでステップST4に移行し、抽出エリア毎に高さZ座標の平均値Zaveと、高さZ座標のばらつき(最大値Zmaxと最小値Zminの差で評価)を算出する。
次いでステップST5に移行し、所定の抽出エリアの高さZ座標の平均値Zaveが階段の一段目高さであり(第1の条件)、且つ、高さZ座標のばらつき(Zmax − Zmin )が十分に小さい場合には(第2の条件)、ステップST6に移行し、上記の第1及び第2の条件の少なくとも一方を満たしていない場合には、ステップST7に移行し、次の抽出エリアを読み込む。ステップST7からステップST5に移行し、上述した判定処理を行なう。
ステップST6では、高さZ座標の平均値Zaveが階段の一段目高さであり、且つ、高さZ座標のばらつき(Zmax − Zmin )が十分に小さい抽出エリアに対して最小自乗法による直線フィッティングを行う。
【0061】
次いでステップST8に移行し、近似直線上の左右端点(xleft,yleft),(xright,yright)を抽出する。
次いでステップST9に移行し、ロボット座標系の左右端点(Xleft,Yleft,Zleft),(Xright,Yright,Zright)に変換する。
次いでステップST10に移行し、変換されたロボット座標系の左右端点(Xleft,Yleft,Zleft),(Xright,Yright,Zright)から、以下の(27)式〜(30)式を用いて階段の位置(Sx,Sy),方向γ,階段幅Swを算出する。
【0062】
【数20】
【0063】
なお、ステップST6において階段の2段目以降に該当する高さを条件に設定し同様に処理し、複数の段についての段の方向、位置、幅の情報を取得することにより、階段の段数についての認識や、階段が続いていく方向の認識も可能となる。
上記構成の外界認識装置9によると、移動環境検出器3が測定対象に対して円錐走査を行うことで、測定距離L及び円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応するデータ(α、L)(α−L線図)、傾斜方向α(Lmax)、センサ原点から円形セグメント中心までの距離dz、傾斜角γを蓄積し、測定対象(階段)水平面形状判定機能を行なうことで、フィッティング値と測定値との残差が小さく平面の傾斜方向α(Lmax)の値が大きいデータを水平面と判定し、測定対象(階段)の認識処理を行なうことで、水平面と判断した測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記測定対象の形状を算出することができるので、高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【0064】
また、多点の距離を同時に高速に測定することが可能な距離画像センサを使用し、この距離画像センサの測定領域内において、複数の円形セグメント上の距離情報に対応する画素位置のデータとして、測定距離L及び円錐走査回転角度αに対応するデータ(α、L)を蓄積すると、高速、且つ高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
なお、図17及び図18に示すように、移動体本体2に装着された移動環境検出器3の傾斜角を測定することが可能な姿勢センサ50を、移動環境検出器3、或いは移動体本体2に備え、図2に示す外界認識装置9に備えた測定データ補正部51が、移動環境検出器3が測定した測定データに対して姿勢センサ50が測定した傾斜角に基づいて座標変換を行なうようにすると、さらに高精度に測定対象の形状認識情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…移動体、2…移動体本体、3…移動環境検出器、4L…左前脚、4R…右前脚、5L…左後脚、5R…右後脚、6…床面、7…階段、8,F…踏み面、9…外界認識装置、11…データ入出力手段、12…バス、15…本体駆動部、21…水平走査機構、22…突出支持部、23…水平ターンテーブル、24…取付部材、25…垂直走査機構、26…垂直ターンテーブル、27…距離測定器、28…保護カバー、31…円錐走査式距離測定部、32…円錐走査制御部、33…水平垂直走査部、34…距離検出部、35A…円錐走査距離データメモリ、36…距離画像測定部、36B…距離画像データメモリ、50…姿勢センサ、51…測定データ補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査手段と、
この円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、
この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、
この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段と、
を備えていることを特徴とする移動環境認識装置。
【請求項2】
前記円錐走査手段は、多数の測定セグメントを同時に検出する距離画像センサを備えており、当該距離画像センサが検出した各測定セグメントに対して円錐走査を行なうことを特徴とする請求項1記載の移動環境認識装置。
【請求項3】
形状認識手段は、前記面形状判断手段で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の移動環境認識装置。
【請求項4】
前記円錐走査手段の傾斜角を測定可能な姿勢センサと、
前記円錐走査手段の測定データに、前記姿勢センサが測定した前記傾斜角に基づいた座標変換を行なうことで、前記移動環境検出手段が算出した前記測定セグメントの測定データを水平面基準に補正する測定データ補正手段と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の移動環境認識装置。
【請求項5】
測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査工程と、
この円錐走査工程で測定した測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出工程と、
この移動環境検出工程が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断工程と、
この面形状判断工程で水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識工程と、
を備えていることを特徴とする移動環境認識方法。
【請求項6】
前記円錐走査工程は、多数の測定セグメントを同時に検出し、これら各測定セグメントに対して円錐走査を行なうことを特徴とする請求項5記載の移動環境認識方法。
【請求項7】
形状認識工程は、前記面形状判断工程で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行う工程と、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する工程とを備えていること特徴とする請求項5又は6記載の移動環境認識方法。
【請求項1】
測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査手段と、
この円錐走査手段の測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出手段と、
この移動環境検出手段が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断手段と、
この面形状判断手段が水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識手段と、
を備えていることを特徴とする移動環境認識装置。
【請求項2】
前記円錐走査手段は、多数の測定セグメントを同時に検出する距離画像センサを備えており、当該距離画像センサが検出した各測定セグメントに対して円錐走査を行なうことを特徴とする請求項1記載の移動環境認識装置。
【請求項3】
形状認識手段は、前記面形状判断手段で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行い、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の移動環境認識装置。
【請求項4】
前記円錐走査手段の傾斜角を測定可能な姿勢センサと、
前記円錐走査手段の測定データに、前記姿勢センサが測定した前記傾斜角に基づいた座標変換を行なうことで、前記移動環境検出手段が算出した前記測定セグメントの測定データを水平面基準に補正する測定データ補正手段と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の移動環境認識装置。
【請求項5】
測定対象に対して円錐走査を行う円錐走査工程と、
この円錐走査工程で測定した測定データに基づいて前記測定対象の傾斜角、傾斜方向及び測定対象中心までの距離を算出する移動環境検出工程と、
この移動環境検出工程が算出した前記測定対象の算出データに基づき、各測定対象の面形状を判断する面形状判断工程と、
この面形状判断工程で水平面と判断した所定の測定対象の形状を認識する形状認識工程と、
を備えていることを特徴とする移動環境認識方法。
【請求項6】
前記円錐走査工程は、多数の測定セグメントを同時に検出し、これら各測定セグメントに対して円錐走査を行なうことを特徴とする請求項5記載の移動環境認識方法。
【請求項7】
形状認識工程は、前記面形状判断工程で水平面と判断した前記所定の測定対象の連結成分抽出処理を行う工程と、抽出領域ごとに高さ情報が特定の条件を満たしているか否かを判断し、特定の抽出領域の高さ情報が特定の条件を満たしているときに、前記所定の測定対象の形状を算出する工程とを備えていること特徴とする請求項5又は6記載の移動環境認識方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−242368(P2012−242368A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116269(P2011−116269)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【Fターム(参考)】
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