説明

窒化物半導体レーザ素子および外部共振器型半導体レーザ装置

【課題】出力が高く、受光面における戻り光の反射率の低い窒化物半導体レーザ素子を歩留まり良く作製することができる窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】光出射部が窒化物半導体からなる窒化物半導体レーザ素子であって、光出射部に酸窒化シリコンからなるコート膜が形成されており、光出射部から出射されるレーザ光の戻り光に対するコート膜の反射率が0.5%以下である窒化物半導体レーザ素子とおよびそれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体レーザ素子および外部共振器型半導体レーザ装置に関し、特に、出力が高く、受光面における戻り光の反射率の低い窒化物半導体レーザ素子を歩留まり良く作製することができる窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超大容量かつ超高速のデータストレージ技術であるホログラフィックメモリ技術は、次世代の光メモリとして期待されており、実用化に向けて研究開発が盛んに行なわれてきている。ホログラフィックメモリのデータ読出しおよび書き込みには、可干渉性のあるレーザ光が用いられる。なかでも、半導体レーザ素子を用いると装置の大幅な小型化が可能となるため、半導体レーザ素子の利用に向けた研究開発が進行中である。
【0003】
また、近年、波長405nm付近の青紫色のレーザ光を出射する窒化物半導体レーザ素子が従来のDVDよりも記憶容量の大きい光ディスク(HD−DVD、Blu−ray)用の光源として広く用いられるようになっている。
【0004】
また、窒化物半導体レーザ素子をホログラフィックメモリの光源として用いる試みも行なわれている。しかしながら、HD−DVD、Blu−rayといった光ディスクと異なり、干渉を利用してデータの読出しおよび書き込みを行なうホログラフィックメモリの光源には単一縦モード発振が必須である。さらに、記録媒体が環境温度や光源の出射強度によって膨張あるいは収縮した際に再現性良く記録および再生を行なうためには、光源から出射される光の波長を可変にする必要がある(たとえば、特開2006−267554号公報参照)。
【0005】
通常の半導体レーザ素子ではこのような単一縦モードと波長可変化を実現することはできないため、DFB(Distributed Feedback)半導体レーザ素子や外部共振器型半導体レーザ装置を用いる必要がある。外部共振器型半導体レーザ装置はDFB半導体レーザ素子よりは比較的容易に作製することができるため、ホログラフィックメモリの光源として用いられることが多い。
【0006】
ここで、外部共振器型半導体レーザ装置に求められる特性としては、出力が大きく、単一縦モード特性が良好であることが求められる。出力を大きくするためには、外部共振器型半導体レーザ装置の光源となる半導体レーザ素子の特性としても出力が大きいことが要求される。たとえば、特開2005−167008号公報には、外部共振器型半導体レーザ装置として30mW以上の出力が必要であり、そのためには半導体レーザ素子の出力が45mW以上であることが必要であることが記載されている(特開2005−167008号公報の段落[0041]等参照)。
【0007】
また、外部共振器型半導体レーザ装置において、単一縦モード特性を良好にするためには、一般的には戻り光を多くすることが有効で、そのための1つの手法としては、外部共振器型半導体レーザ装置の光源となる半導体レーザ素子の受光面の低反射率化が挙げられる。なお、特開2005−167008号公報には、半導体レーザ素子の受光面における戻り光の反射率を0%〜10%とすることによってレーザ光の単一縦モード化を実現することができ、なかでもその反射率を3%以下とすることが望ましいことが記載されている(特開2005−167008号公報の段落[0050]等参照)。
【特許文献1】特開2006−267554号公報
【特許文献2】特開2005−167008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、外部共振器型半導体レーザ装置の光源となる窒化物半導体レーザ素子においては、なるべく出力が高く、かつ受光面における戻り光の反射率がなるべく低いものを用いることが望ましい。
【0009】
しかしながら、特開2005−167008号公報に記載の外部共振器型半導体レーザ装置の光源となる窒化物半導体レーザ素子の受光面における戻り光の反射率を低下させすぎるとその受光面を構成するコート膜の歩留まりが低下する危険性がある(特開2005−167008号公報の段落[0050]等参照)。
【0010】
また、窒化物半導体レーザ素子の出力を向上させるためのコート膜と受光面における戻り光の反射率を低減するためのコート膜とはその構成の点で必ずしも一致しない。
【0011】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、出力が高く、受光面における戻り光の反射率の低い窒化物半導体レーザ素子を歩留まり良く作製することができる窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、光出射部が窒化物半導体からなる窒化物半導体レーザ素子であって、光出射部に酸窒化シリコンからなるコート膜が形成されており、光出射部から出射されるレーザ光の戻り光に対するコート膜の反射率が0.5%以下である窒化物半導体レーザ素子である。
【0013】
ここで、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、コート膜に含有される窒素含有量が3原子%以上20原子%以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射部とコート膜との間に酸窒化アルミニウムからなる中間膜が形成されていてもよい。
【0015】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、中間膜に含有される酸素含有量が5原子%以上35原子%以下であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、上記の反射率が0.1%以下であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、コート膜に含有される窒素含有量が10原子%以上15原子%以下であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子においては、戻り光の波長が400nm以上420nm以下であることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明は、上記のいずれかの窒化物半導体レーザ素子と、窒化物半導体レーザ素子から出射したレーザ光の少なくとも一部を窒化物半導体レーザ素子に戻すための回折格子とを備えた外部共振器型半導体レーザ装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、出力が高く、受光面における戻り光の反射率の低い窒化物半導体レーザ素子を歩留まり良く作製することができる窒化物半導体レーザ素子およびそれを用いた外部共振器型半導体レーザ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0022】
図1に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の一例の模式的な斜視断面図を示す。ここで、図1に示す窒化物半導体レーザ素子100は、導電性基板11上に、n型窒化物半導体バッファ層12、n型窒化物半導体クラッド層13、n型窒化物半導体ガイド層14、窒化物半導体活性層15、p型窒化物半導体ガイド層16、p型窒化物半導体クラッド層17およびp型窒化物半導体コンタクト層18が導電性基板11側からこの順序で順次積層された積層構造体を有している。
【0023】
また、窒化物半導体レーザ素子100から出射されるレーザ光の水平方向における光閉じ込めのためにp型窒化物半導体クラッド層17およびp型窒化物半導体コンタクト層18の一部をストライプ状に除去することによって、p型窒化物半導体クラッド層17の一部を上方に突出させた構造のリッジストライプ部19を有するリッジストライプ構造が設けられている。そして、電流をリッジストライプ部19のみに注入するために、リッジストライプ部19の両側に絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20としては、たとえば酸化シリコンや酸化ジルコニウム等を用いることができる。
【0024】
さらに、窒化物半導体レーザ素子100に電流を注入するための電極として、導電性基板11の裏面上にn電極22が形成されており、p型窒化物半導体コンタクト層18の表面上にp電極21が形成されている。
【0025】
また、図1においては、導電性基板11上に上記の各層が形成された後に劈開することにより形成された光出射側の共振器端面25が存在している。本発明において、光出射部は窒化物半導体レーザ素子からレーザ光が出射する部分のことを意味するが、この例においては、光出射側の共振器端面25が光出射部に相当する。なお、光出射側の共振器端面25は、リッジストライプ部19の下方に位置する窒化物半導体活性層15の共振器端面となる。
【0026】
なお、上記の各層を構成する窒化物半導体の種類、混晶比、厚さ、積層数および積層順序等の構成は上記の構成に限定されず、適宜設定することができる。また、本発明において、窒化物半導体としては、たとえば、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)およびIn(インジウム)からなる群から選択された少なくとも1種のIII族元素とV族元素であるN(窒素)との化合物を用いることができる。
【0027】
また、本発明において、p型窒化物半導体としては、たとえば、ボロン等のp型ドーパントがドープされた上記の窒化物半導体を用いることができる。また、本発明において、n型窒化物半導体としては、たとえば、リン等のn型ドーパントがドープされた上記の窒化物半導体を用いることができる。
【0028】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子100から出射されるレーザ光の戻り光(窒化物半導体レーザ素子100から一旦出射した後にたとえば回折格子で回折すること等によって窒化物半導体レーザ素子100に戻ってくるレーザ光)の波長は400nm以上420nm以下の範囲内となる。
【0029】
図2に、図1に示す窒化物半導体レーザ素子100の模式的な斜視図を示す。ここで、図2に示すように、窒化物半導体レーザ素子100は、レーザ光の主な出射面となる光出射側の共振器端面25とレーザ光の主な反射面となる光反射側の共振器端面23とを有している。
【0030】
また、光出射側の共振器端面25の表面上には酸窒化シリコンからなるコート膜26が形成されている。一方、光反射側の共振器端面23の表面上には窒化物半導体レーザ素子100の光反射側においてレーザ光の反射率を高くするための高反射膜24が形成されている。
【0031】
ここで、本発明においては、光出射部から出射されるレーザ光の戻り光のコート膜26の表面における反射率が0.5%以下であることを特徴の1つとしている。このような構成とすることによって、窒化物半導体レーザ素子100を外部共振器型半導体レーザ装置の光源として用いた場合に、窒化物半導体レーザ素子100の受光面となるコート膜26のレーザ光の戻り光に対する反射率を0.5%以下と低反射率化することができるため、レーザ光の戻り光を多くすることができることから、窒化物半導体レーザ素子100の単一縦モード特性を極めて良好なものとすることができる。
【0032】
また、本発明においては、レーザ光の戻り光の反射率を0.5%以下とするために酸窒化シリコンからなるコート膜26を用いている点を特徴の1つとしている。このような構成とすることにより、コート膜26を構成する酸窒化シリコンの窒素含有量を調節することによって容易にコート膜26の反射率を制御することができることから、窒化物半導体レーザ素子100の歩留まりの低下を有効に抑制することができる。
【0033】
図3に、酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nと反射率(%)との関係を示す。図3において、横軸は酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nを示しており、縦軸はコート膜26の反射率(%)を示している。また、図3においては、コート膜26の厚さを405/4/nに設定したときの波長405nmのレーザ光に対する反射率がプロットされている。また、図3においては、酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nと反射率(%)との関係を計算および実測の双方から求めている。
【0034】
なお、図3における計算のグラフは、屈折率nsの透明体上に屈折率nのコート膜26を形成する際に、コート膜26の膜厚dをλ/(4n)としたときに、最小反射率(n2−ns2/(n2+ns2の式から求めた。ここで、ns=2.53とした。
【0035】
また、図3における実測のデータは、上記にしたがい、実際に反射率を最小にすべく、酸窒化シリコンの酸素量によってコート膜26の屈折率nを変えて、コート膜26の膜厚dをλ/(4n)として窒化物半導体レーザ素子の共振器端面にコート膜26を形成した際の反射率を上記の計算のグラフ上にプロットした。
【0036】
図3に示すように、波長405nmのレーザ光に対する反射率を0.5%以下とするためには酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nを1.48以上1.71以下の範囲内に設定する必要があることがわかる。
【0037】
屈折率が1.48以上1.71以下の範囲内にある材料としては、屈折率が1.48程度の酸化シリコン(SiO2)や1.68程度の酸化アルミニウム(Al23)がある。しかしながら、酸窒化シリコンの代わりに、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを用いた場合には反射率を0.5%以下とすることはできるが、その屈折率の制御が容易ではないため、窒化物半導体レーザ素子の歩留まりが悪くなるという問題がある。
【0038】
すなわち、酸化シリコンおよび酸化アルミニウムの屈折率の値を上記で記載したが、これらの屈折率は成膜条件によって変動し得る。また、酸化シリコンおよび酸化アルミニウムの屈折率はそれぞれ1.48以上1.71以下の範囲の境界値に比較的近い。したがって、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを用いてコート膜を形成した場合には、成膜条件等の何らかの要因でコート膜の屈折率が変動したときには、上記の屈折率の範囲から外れてしまうことが多くなるため、窒化物半導体レーザ素子の歩留まりが悪くなる。
【0039】
図4に、酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nと窒素含有量(原子%)との関係を示す。図4において、横軸は酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量(原子%)を示しており、縦軸はそのコート膜26の屈折率nを示している。なお、本発明において、窒素含有量(原子%)は、酸窒化シリコンからなるコート膜26中のシリコン原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する窒素原子の原子%の割合(原子%)である。
【0040】
図4に示すように、酸窒化シリコンからなるコート膜26の屈折率nは、窒素含有量(原子%)を調節することによって容易に制御することができる。したがって、本発明においては、レーザ光の戻り光の反射率が0.5%以下であるコート膜26を容易にかつ安定に得ることができる。
【0041】
また、本発明においては、図3に示すように、コート膜26の屈折率を1.54以上1.64以下とすることにより、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムを用いて作製されたコート膜では実現することができない0.1%以下の反射率(波長405nmのレーザ光(戻り光)に対する反射率)を実現することもできる。
【0042】
図5に、酸窒化シリコンからなるコート膜中の窒素含有量(原子%)と反射率(%)との関係を示す。横軸は酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量(原子%)を示しており、縦軸はそのコート膜26の反射率(%)を示している。なお、図5に示される反射率は、コート膜26の厚さを405/4/nに設定したときの波長405nmのレーザ光に対する反射率となっている。また、図5に示される関係は、図3および図4の関係から導き出したものである。
【0043】
図5に示すように、酸窒化シリコンからなるコート膜26中の窒素含有量(原子%)が3原子%以上20原子%以下である場合に、このコート膜26の波長405nmのレーザ光に対する反射率は0.5%以下となることがわかる。また、酸窒化シリコンからなるコート膜26中の窒素含有量(原子%)が10原子%以上15原子%以下である場合に、このコート膜26の波長405nmのレーザ光に対する反射率は0.1%以下となることがわかる。
【0044】
このように、本発明においては、窒化物半導体レーザ素子100の光出射側の共振器端面25に形成されるコート膜26の材質に酸窒化シリコンを用い、コート膜26中の窒素含有量(原子%)を3原子%以上20原子%以下とすることによって波長405nmのレーザ光に対する反射率を容易かつ安定に0.5%以下とすることができる。また、コート膜26中の窒素含有量(原子%)を10原子%以上15原子%以下とすることによって波長405nmのレーザ光に対する反射率を容易かつ安定に0.1%以下とすることができる。
【0045】
したがって、本発明においては、レーザ光の戻り光に対する反射率が0.5%以下、好ましくは0.1%以下の低い反射率のコート膜26を容易かつ安定に形成することができるため、外部共振器型半導体レーザ装置の光源に好適な窒化物半導体レーザ素子を歩留まり良く製造することができる。
【0046】
なお、上記においては、戻り光として波長405nmのレーザ光を想定した場合について述べたが、波長400nm以上420nm以下の範囲内のレーザ光が戻り光である場合にも同様の議論が成立する。すなわち、酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量を3原子%以上20原子%以下とすることによって波長400nm以上420nm以下の戻り光に対する反射率を0.5%以下とすることができ、酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量を10原子%以上15原子%以下とすることによって波長400nm以上420nm以下の戻り光に対する反射率を0.1%以下とすることができる。
【0047】
図6に、本発明の窒化物半導体レーザ素子100のコート膜26の反射率を測定するための反射率測定装置の一例の模式的な構成を示す。ここで、反射率測定装置は、白色光源61と、光強度検出器64と、白色光源61からの入射光を所定の方向に反射するためのハーフミラー63と、白色光源61からの入射光を集光するための対物レンズ65と、対物レンズ65に対向するステージ67とを有している。
【0048】
このような構成の反射率測定装置を用いて窒化物半導体レーザ素子100のコート膜26の反射率はたとえば以下のようにして測定される。まず、反射率測定装置のステージ67上に窒化物半導体レーザ素子100を光出射側のコート膜26が対物レンズ65側を向くようにして設置する。
【0049】
次に、白色光源61から入射光を出射し、白色光源61から出射された入射光はハーフミラー63に反射した後に対物レンズ65を通過して、窒化物半導体レーザ素子100のコート膜26の表面に対して垂直に入射する。
【0050】
そして、窒化物半導体レーザ素子100のコート膜26の表面に入射した入射光は、コート膜26の表面で反射して反射光となり、反射光は対物レンズ65およびハーフミラー63を順次通過して光強度検出器64に入射する。光強度検出器64に入射した反射光は、光強度検出器64においてその強度が測定される。
【0051】
そして、上述のようにして測定された反射光の強度から、下記の式(1)によってコート膜26の反射率(%)が算出される。
【0052】
コート膜26の反射率(%)=(コート膜26の反射光の強度)×(リファレンスの反射率(%))/(リファレンスの反射光の強度) …(1)
なお、リファレンスとしては、反射率および反射光の強度が既知であるものを特に限定なく用いることができ、たとえばアルミニウム(Al)ミラー等を用いることができる。
【0053】
また、白色光源61としては、たとえば、重水素ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等をそれぞれ単体であるいは複数種組み合わせて用いることができる。
【0054】
また、対物レンズ65として、たとえば反射型対物レンズを用いることで窒化物半導体レーザ素子100の光反射側の端面からの反射光の影響を防ぐことができる。なお、光出射側のコート膜26の反射率の測定時には、光反射側の高反射膜24の反射率を低下させておくことが、光反射側の端面からの反射光の影響を防ぐ観点から好ましい。
【0055】
なお、図2に示す光反射側の共振器端面23の表面上に形成される高反射膜24としては、たとえば、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、窒化シリコン(SiN)または酸化アルミニウム(Al23)からなる層を単層で、または複数層積層して形成した膜等を用いることができる。
【0056】
図7に、本発明の窒化物半導体レーザ素子の他の一例の模式的な斜視図を示す。ここで、図7に示す構成の窒化物半導体レーザ素子100においては、レーザ光の主な出射面となる光出射側の共振器端面25の表面上に酸窒化アルミニウムからなる中間膜27が形成されており、その中間膜27の表面上に酸窒化シリコンからなるコート膜26が形成されている点に特徴がある。
【0057】
図7に示す構成の窒化物半導体レーザ素子100においても、酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量を3原子%以上20原子%以下とすることによって波長400nm以上420nm以下のレーザ光(戻り光)に対する反射率を0.5%以下とすることができ、酸窒化シリコンからなるコート膜26の窒素含有量を10原子%以上15原子%以下とすることによって波長400nm以上420nm以下のレーザ光(戻り光)に対する反射率を0.1%以下とすることができる。
【0058】
図7に示す構成の窒化物半導体レーザ素子100において、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27中の酸素含有量(原子%)は5原子%以上35原子%以下とすることが好ましく、5原子%以上30原子%以下とすることがより好ましい。酸窒化アルミニウムからなる中間膜27中の酸素含有量(原子%)が5原子%以上35原子%以下である場合、特に5原子%以上30原子%以下である場合には、窒化物半導体レーザ素子100の最大出力が高くなる傾向にある。なお、本発明において、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27中の酸素含有量(原子%)は、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27中のアルミニウム原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する酸素原子の原子%の割合(原子%)のことである。
【0059】
図2または図7に示される構成の窒化物半導体レーザ素子100の製造方法の一例を以下に説明する。
【0060】
まず、円板状の導電性基板11の表面上に、n型窒化物半導体バッファ層12、n型窒化物半導体クラッド層13、n型窒化物半導体ガイド層14、窒化物半導体活性層15、p型窒化物半導体ガイド層16、p型窒化物半導体クラッド層17およびp型窒化物半導体コンタクト層18を導電性基板11側からこの順序でたとえばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等によりエピタキシャル成長してウエハを形成する。
【0061】
次に、p型窒化物半導体クラッド層17およびp型窒化物半導体コンタクト層18の一部をストライプ状にエッチング等することによってリッジストライプ部19を形成する。そして、リッジストライプ部19の両側に絶縁膜20を形成するとともに、p型窒化物半導体コンタクト層18の表面上にp電極21を形成し、導電性基板11の裏面上にn電極22を形成する。
【0062】
続いて、上記のn電極22の形成後のウエハをリッジストライプ部19の伸長方向と直交する方向に劈開することによって、棒状のレーザバーを作製する。このときレーザバーの両側の劈開面がそれぞれ光出射側の共振器端面25および光反射側の共振器端面23となる。
【0063】
そして、レーザバーの光反射側の共振器端面23の表面上に高反射膜24を形成するとともに、光出射側の共振器端面25の表面上に酸窒化シリコンからなるコート膜26を形成(図7に示す構成の窒化物半導体レーザ素子100を製造する場合には中間膜27を形成した後にコート膜26を形成)する。ここで、高反射膜24、コート膜26および中間膜27はそれぞれ、たとえばECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法等により形成することができる。
【0064】
その後、コート膜26の形成後のレーザバーをリッジストライプ部19の伸長方向と平行な方向に切断して分割することにより、図2または図7に示す構成の窒化物半導体レーザ素子100が得られる。
【0065】
以上のようにして得られた窒化物半導体レーザ素子100については、たとえばサブマウントおよびステムにそれぞれ半田付けして接着した後にワイヤボンディングして、キャップシールで封止してもよい。
【0066】
図8に、本発明の窒化物半導体レーザ素子100を用いた外部共振器型半導体レーザ装置の一例の模式的な構成を示す。ここで、外部共振器型半導体レーザ装置は、窒化物半導体レーザ素子100と、コリメートレンズ32および回折格子33を有している。
【0067】
ここで、光源である窒化物半導体レーザ素子100から出射したレーザ光はコリメートレンズ32を通って回折格子33に入射する。回折格子33は回転機構を有しているため回折格子33に入射したレーザ光の角度θに応じて特定の波長のレーザ光が1次回折光34として出力される。
【0068】
1次回折光34はコリメートレンズ32を通って窒化物半導体レーザ素子100に戻り光として入射する。この窒化物半導体レーザ素子100に入射する戻り光によって窒化物半導体レーザ素子100は単一縦モードのレーザ光を出射するようになる。そして、その単一縦モードのレーザ光の波長は戻り光として入射された1次回折光34の波長に等しくなる。したがって、回折格子33を回転させることによって、1次回折光34の波長を変えて、窒化物半導体レーザ素子100から出射される単一縦モードのレーザ光の波長を変えることもできる。最終的に0次回折光35が外部共振器型半導体レーザ装置の出力光となり、その波長は単一である。
【0069】
外部共振器型半導体レーザ装置に求められる特性としては、高出力、かつ単一縦モード特性に優れた出力光が出射されることである。本発明においては、外部共振器型半導体レーザ装置の光源として、波長400nm以上420nm以下のレーザ光(戻り光)に対する反射率が0.5%以下、好ましくは0.1%以下の酸窒化シリコンからなる低反射率のコート膜26が光出射側の共振器端面25に形成された窒化物半導体レーザ素子100を用いているため、高出力、かつ単一縦モード特性に優れた出力光を実現することができる。
【実施例】
【0070】
<実施例1>
本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100は、図1に示す構成と同様の積層構成となっており、n型GaNからなる導電性基板11上に、Siドープn型GaNからなる厚さ200nmのn型窒化物半導体バッファ層12と、Siドープn型Al0.06Ga0.94Nからなる厚さ2.5μmのn型窒化物半導体クラッド層13と、Siドープn型GaNからなる厚さ100nmのn型窒化物半導体ガイド層14とが順次積層されている。
【0071】
また、n型窒化物半導体ガイド層14上には窒化物半導体活性層15が積層されている。ここで、窒化物半導体活性層15は、ノンドープのIn0.02Ga0.98Nからなる厚さ25nmの最初の障壁層、ノンドープのIn0.06Ga0.94Nからなる厚さ4nmの井戸層とノンドープのIn0.02Ga0.98Nからなる厚さ8nmの障壁層との2層の積層体を1周期として3周期積層した3重量子井戸、ノンドープのIn0.02Ga0.98Nからなる厚さ25nmの最後の障壁層、厚さ50nmのノンドープのGaN層および厚さ50nmのMgドープp型Al0.3Ga0.7N層がn型窒化物半導体ガイド層14側からこの順序で積層されて構成されている。
【0072】
そして、窒化物半導体活性層15上には、Mgドープp型GaNからなる厚さ100nmのp型窒化物半導体ガイド層16、Mgドープp型Al0.06Ga0.94Nからなる厚さ550nmのp型窒化物半導体クラッド層17、Mgドープp型GaNからなるp型窒化物半導体コンタクト層18が窒化物半導体活性層15側からこの順序で積層されて構成されている。
【0073】
また、リッジストライプ部19は、p型窒化物半導体クラッド層17およびp型窒化物半導体コンタクト層18の一部がストライプ状にエッチングされることによって形成されており、その幅は1.4μmである。
【0074】
リッジストライプ部19の両側にはリッジストライプ部19以外に電流が注入されないように絶縁膜20が形成されている。絶縁膜20は厚さ150nmの酸化シリコン(SiO2)膜と厚さ50nmの酸化チタン(TiO2)膜とから構成されている。
【0075】
また、リッジストライプ部19に電流注入を行なうためのp電極21は、Pd膜、Mo膜およびAu膜がリッジストライプ部19側からこの順に積層された構成となっている。n型GaNからなる導電性基板11の裏面にはHf膜、Al膜、Mo膜、Pt膜およびAu膜がリッジストライプ部19側からこの順に積層された構成のn電極22が形成されている。
【0076】
上記の積層構成を有する本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100の共振器端面にはそれぞれ図2に示す膜と同様の構成の膜が形成されている。ここで、光出射側の共振器端面25には酸窒化シリコンからなるコート膜26が形成されており、コート膜26中の窒素含有量は10原子%であり、厚さは67nmであり、屈折率は1.59であった。
【0077】
コート膜26は、ECRスパッタリング法により形成されており、成膜条件は、ターゲットがシリコン、アルゴンガスのガス流量が20sccm、窒素ガスのガス流量が4.5sccm、酸素ガスのガス流量が2sccm、RFパワーが500Wおよびマイクロ波パワーが500Wであった。また、コート膜26中の窒素含有量はAES(Auger Electron Spectroscopy)によって測定した。ここで、窒素含有量は、シリコン原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する窒素原子の原子%の割合(原子%)として算出した。
【0078】
また、光反射側の共振器端面23には酸化シリコン(SiO2)膜と酸化チタン(TiO2)膜との多層膜である高反射膜24が形成されており、本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100の光出射部から出射する波長405nmのレーザ光に対する反射率が95%になるように設定されている。
【0079】
また、コート膜26の反射率の測定には、FE−3000型反射分光形(大塚電子株式会社製)を用いて白色光をコート膜26の上側から入射し、その反射光の強度を測定して上記の式(1)から算出した。ここで、リファレンスとしてはアルミニウムミラーを用いた。その結果、波長405nmのレーザ光に対するコート膜26の反射率は0.1%であった。
【0080】
なお、本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100の共振器長は800μmであり、その幅(共振器長に直交する方向の長さ)は200μmであった。
【0081】
以上の構成の本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100について、室温で特性を測定したところ、閾値電流値が48mAで、出力が200mWまで破壊することなくレーザ光が出射することが確認された。さらに、80℃の雰囲気で、出力が60mWの条件で連続駆動試験を行なったところ、1000時間まで故障することなく駆動し続けることが確認された。
【0082】
上記の構成の本発明の実施例1の窒化物半導体レーザ素子100を図8に示す構成の外部共振器型半導体レーザ装置の光源に用いたところ、出力が40mWまで単一縦モードの光が出射されることが確認できた。
【0083】
一方、比較例として、コート膜26に代えて、光出射側の共振器端面に反射率が1.2%のAl23からなるコート膜を形成したこと以外は本発明の実施例1と同一の構成とした窒化物半導体レーザ素子を光源に用いた図8に示す構成の外部共振器型半導体レーザ装置を作製した。そして、この比較例の外部共振器型半導体レーザ装置の特性について評価したところ、出力が20mWまで単一縦モードの光が出射されることが確認されたが、それ以上になると複数の縦モードの光になってしまった。これは、比較例の外部共振器型半導体レーザ装置の光源である窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたコート膜の反射率1.2%が十分に低くないためであると考えられる。
【0084】
したがって、光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の反射率を0.1%以下にまで低下させることができる本発明の窒化物半導体レーザ素子はより高出力で単一縦モードのレーザ光が得られるため外部共振器型半導体レーザ装置の光源に有用である。
【0085】
<実施例2>
本発明の実施例2の窒化物半導体レーザ素子は、図7に示すように、光出射側の共振器端面25とコート膜26との間に酸窒化アルミニウムからなる中間膜27が形成されていること以外は実施例1の窒化物半導体レーザ素子100と同一の構成となっている。
【0086】
ここで、コート膜26中の窒素含有量は10原子%であり、厚さは54nmであり、屈折率は1.59であった。また、中間膜27の酸素含有量は15%であり、厚さは20nmであり、屈折率は1.90であった。
【0087】
コート膜26は、ECRスパッタリング法により形成されており、成膜条件は実施例1と同様である。また、コート膜26中の窒素含有量も実施例1と同様にAESによって測定されており、窒素含有量は、シリコン原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する窒素原子の原子%の割合(原子%)として算出した。
【0088】
また、中間膜27も、ECRスパッタリング法により形成されており、成膜条件は、ターゲットがアルミニウム、アルゴンガスのガス流量が20sccm、窒素ガスのガス流量が5.5sccm、酸素ガスのガス流量が0.4sccm、RFパワーが500Wおよびマイクロ波パワーが500Wであった。また、中間膜27中の酸素含有量もAESによって測定した。ここで、酸素含有量は、アルミニウム原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する酸素原子の原子%の割合(原子%)として算出した。
【0089】
また、実施例1と同様にして、本発明の実施例2の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の中間膜27とコート膜26との積層膜の反射率を測定したところ、本発明の実施例2の窒化物半導体レーザ素子100の光出射部から出射する波長405nmのレーザ光に対する反射率は0.5%であった。
【0090】
以上の構成の本発明の実施例2の窒化物半導体レーザ素子100について、室温で特性を測定したところ、閾値電流値が50mAで、出力が400mWまで破壊することなくレーザ光が出射することが確認された。さらに、80℃の雰囲気で、出力が60mWの条件で連続駆動試験を行なったところ、1000時間まで故障することなく駆動し続けることが確認された。
【0091】
また、実施例1と同様にして、本発明の実施例2の窒化物半導体レーザ素子100を図8に示す構成の外部共振器型半導体レーザ装置の光源に用いたところ、出力が30mWまで単一縦モードの光が出射されることが確認できた。
【0092】
実施例2のように、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27を用いることによって窒化物半導体レーザ素子の最大出力を大きくすることができる。ただし、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27を用いた場合には、中間膜27を用いない場合と比べて、実現可能な反射率は大きくなる。しかしながら、本実施例で示したとおり、光出射側の反射率を0.5%以下とした場合には高出力で単一縦モードのレーザ光を出射する外部共振器型半導体レーザ装置を得ることができる。
【0093】
また、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27の厚さを本実施例の20nmから薄くする、あるいは酸素含有量を本実施例の15%から多くすることによって実現可能な反射率を小さくすることができる。しかしながら、中間膜27の厚さが薄くなる、あるいは酸素含有量が多くなると、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27の機能である窒化物半導体レーザ素子100の最大出力を高める効果が低くなるため、最大出力に問題がない範囲で中間膜27の厚さおよび酸素含有量を調節することが好ましい。
【0094】
上記の事情を鑑みると、酸窒化アルミニウムからなる中間膜27の酸素含有量は35原子%以下であることが好ましく、30原子%以下であることがより好ましい。ここで、酸素含有量は、上記と同様に、アルミニウム原子の原子%と、酸素原子の原子%と、窒素原子の原子%との合計(100原子%)に対する酸素原子の原子%の割合(原子%)を意味する。
【0095】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の窒化物半導体レーザ素子および外部共振器型半導体レーザ装置は、ホログラフィックメモリ等の光ディスク用途、光通信システム、電子情報機器、照明システム等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の窒化物半導体レーザ素子の一例の模式的な斜視断面図である。
【図2】本発明の窒化物半導体レーザ素子の一例の模式的な斜視図である。
【図3】酸窒化シリコンからなるコート膜の屈折率nと反射率(%)との関係を示す図である。
【図4】酸窒化シリコンからなるコート膜の屈折率nと窒素含有量(原子%)との関係を示す図である。
【図5】酸窒化シリコンからなるコート膜中の窒素含有量(原子%)と反射率(%)との関係を示す図である。
【図6】本発明の窒化物半導体レーザ素子のコート膜の反射率を測定するための反射率測定装置の一例の模式的な構成図である。
【図7】本発明の窒化物半導体レーザ素子の他の一例の模式的な斜視図である。
【図8】本発明の窒化物半導体レーザ素子を用いた外部共振器型半導体レーザ装置の一例の模式的な構成図である。
【符号の説明】
【0098】
11 導電性基板、12 n型窒化物半導体バッファ層、13 n型窒化物半導体クラッド層、14 n型窒化物半導体ガイド層、15 窒化物半導体活性層、16 p型窒化物半導体ガイド層、17 p型窒化物半導体クラッド層、18 p型窒化物半導体コンタクト層、19 リッジストライプ部、20 絶縁膜、21 p電極、22 n電極、23,25 共振器端面、24 高反射膜、26 コート膜、27 中間膜、32 コリメートレンズ、33 回折格子、34 1次回折光、35 0次回折光、61 白色光源、63 ハーフミラー、64 光強度検出器、65 対物レンズ、67 ステージ、100 窒化物半導体レーザ素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射部が窒化物半導体からなる窒化物半導体レーザ素子であって、
前記光出射部に酸窒化シリコンからなるコート膜が形成されており、
前記光出射部から出射されるレーザ光の戻り光に対する前記コート膜の反射率が0.5%以下であることを特徴とする、窒化物半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記コート膜に含有される窒素含有量が3原子%以上20原子%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記光出射部と前記コート膜との間に酸窒化アルミニウムからなる中間膜が形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記中間膜に含有される酸素含有量が5原子%以上35原子%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記反射率が0.1%以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記コート膜に含有される窒素含有量が10原子%以上15原子%以下であることを特徴とする、請求項5に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項7】
前記戻り光の波長が400nm以上420nm以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子と、前記窒化物半導体レーザ素子から出射したレーザ光の少なくとも一部を前記窒化物半導体レーザ素子に戻すための回折格子とを備えた、外部共振器型半導体レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−231367(P2009−231367A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72029(P2008−72029)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】