説明

第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに取り合い突起の傾斜配向(INCLINEDORIENTATION:傾斜姿勢)を用いて接合する方法、及び上記2つのコンポーネントの組立体

第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに接合する方法であって、この方法は、第1のコンポーネントをこのコンポーネントの結合面に細長い突起の配列を形成することにより作製するステップを含み、各突起は、中心線、先端、及び基部を有する。各突起の先端における中心線は、その基部における結合面に対する法線に対して傾いた向きにし、先端中心線の角度配向は、突起野配列にわたって変わる。次に、第1のコンポーネント及び柔軟層を、柔軟層の硬化前に突起を柔軟層に埋め込むように合わせて、第2のコンポーネントを形成する。また、こうして形成した継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポーネントを別のコンポーネントに接合する方法、及びこうして形成した継手に関する。
【背景技術】
【0002】
金属又は熱可塑性の複合コンポーネント間の接合は、現在多くの方法で取り組まれているが、それぞれの方法に限界がある。
【0003】
ファスナの使用が一般的であるが、ファスナ孔周りで層間剥離が生じる傾向がある。ファスナ孔は、複合材に穿孔し難いことが多く、ファスナ孔周りの大幅な補強が必要となることで重量の増加につながり得る。締結継手は、引き抜き方向(すなわち、ファスナを通る軸方向荷重の方向)に特に弱い傾向がある。したがって、締結継手は、多くの航空宇宙用途に適していない。
【0004】
接着結合は、金属コンポーネントを複合積層体に接合する手段として一般的になりつつあるが、これは剥離、引張り、及び劈開の際の性能が悪く、ほとんど又は全く前触れなく故障する傾向がある。これは剥離及び引張りに弱いため、従来の航空宇宙用構造内での接合継手の用途を同様に制限する。剥離又は引張りの際の性能の悪さを軽減しようとすると、結合面積が大きくなり、重量の面で不利益を伴う傾向がある。
【0005】
特許文献1は、金属コンポーネント上の表面材料を「めくり上げて」突出特徴部を彫刻するために、電子ビーム等の「パワービーム」を用いることにより表面特徴部を生成する方法を記載しており、突出特徴部は、結合表面積を拡大するとともに、共硬化積層体のマトリックスへの組み込み時の結合強度を向上させることを意図したものである。
【0006】
特許文献2は、コンポーネントの結合面に積層造形プロセスで表面特徴部を一連の層状に「成長させる」方法を記載している。表面特徴部のプロファイル及び形状は、特に引張り及び剥離の際の継手の性能を最適化するよう容易に制御することができる。各表面特徴部は、結合面に連続して被せた一連の積層プライに表面特徴部を容易に埋め込むことができるように尖端を有し得る。表面特徴部は、特定の荷重方向における継手の特性を改善するよう非対称形とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/028731号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/110835号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記方法には、表面特徴部の少なくともいくつかが継手の形成時に積層プライを引き裂くことで、完成した継手の強度の低下を招き得るという問題がある。この問題は、コンポーネントがコーナブラケット等であり、積層プライをコーナに被せる必要があるような場合に特に深刻である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに接合する方法であって、第1のコンポーネントをこのコンポーネントの結合面に細長い突起の配列を形成することにより作製するステップであり、各突起は、中心線、先端、及び基部を有し、各突起の先端における中心線は、基部における結合面に対する法線に対して傾いた向きにし、先端中心線の角度配向は、突起の配列にわたって変わる、ステップと、突起を柔軟層に埋め込むように第1のコンポーネントを柔軟層と合わせるステップと、突起の配列を柔軟層に埋め込んだ後に、柔軟層を硬化させて第2のコンポーネントを形成するステップと、を含む方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様の方法により形成した継手を提供する。
【0011】
突起は、結合面上に一連の層状に成長させることができ、各層は、エネルギー及び/又は材料を結合面に指向させることにより成長させる。適当な積層造形技法は、「粉体堆積(パウダーベッド)」プロセス(一連の粉体層を結合領域に堆積して、各層の選択部分をパワービームにより溶融させる)又は「粉体供給(パウダーフィード)」プロセス(粉体を結合領域の選択部分に堆積してから、パワービーム、例えばレーザ又は電子ビームにより溶融させる)であり得る。代替的に、突起は、1組の突起を結合面に摩擦溶接することにより形成することができる。さらにまた、突起は、溶融堆積(溶融材料をノズルから押し出す)により形成することができる。代替的に、突起は、特許文献1に記載の方法により形成することができ、この方法では、材料を結合面から連続してめくり上げることにより突起を形成する。突起を形成するための上記技法は例示にすぎず、事実上いかなる方法を用いてもよい。
【0012】
各先端中心線の向きは、結合面のプロファイル、接合直前の第1のコンポーネント及び柔軟層の所定の開始向き、及び接合時の第1のコンポーネントと柔軟層との間の所定の初期接触点の1つ又は複数に基づいて決定することが好ましい。
【0013】
好ましくは、突起の向きは、柔軟層及び第1のコンポーネントを合わせると、局所的な突起中心線が層の局所的な表面法線に対して小さな角度又は0°をも維持したまま各突起が層への貫入を達成するようにする。このようにして、突起を層に埋め込む際の柔軟層に対する引き裂き作用を低減する。
【0014】
結合面は、平面状、凸状、又は場合によっては凹状とすることさえできる。突起は、対称形(例えば、円筒形又は円錐形であり、コンポーネントに対して直角に延びる)であってもよく、又は突起の少なくとも1つが非対称形であってもよい(例えば、突起(単数又は複数)が片側に傾いていてもよく、且つ/又は非円形断面を有していてもよい)。突起の中心線は、直線状であっても曲線状であってもよい。突起は、細長く、2以上のアスペクト比を有することが好ましい。
【0015】
第1のコンポーネント及び柔軟層は、柔軟層をコンポーネントに被せることにより合わせることが好ましい。この被覆は、手作業で行ってもよく、又はコンピュータ制御のテープ敷設機を用いてもよい。軟質ローラが、突起を層に十分に埋め込むのに必要であり得る。第1のコンポーネントを金型に設置して、それに柔軟層を被せることができる。代替的に、突起を柔軟層に埋め込むように、突起を有する第1のコンポーネントを層の上で転がすか又は他の方法で移動させてもよい。
【0016】
1つ又は複数のさらなる柔軟層を、第1のコンポーネント及びさらなる柔軟層それぞれを合わせることにより、柔軟層の上の第1のコンポーネントに同様に接合することができる。突起は、接合時にさらなる柔軟層の少なくともいくつかに埋め込むことができる。
【0017】
柔軟層は、1つ又は複数の繊維強化プライとすることができる。層をドライ繊維プライとして敷き、突起を層に埋め込んだ後にそこに樹脂を注入することができる。代替的に、層は、樹脂を予備含浸した繊維層、いわゆる「プレプレグ(pre-preg)」であってもよく、これに突起を埋め込む。突起を層に埋め込み、減圧バッグを行い、続いて樹脂を注入した後に、必要であれば、繊維強化複合層を硬化させる必要があり得る。複合層は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、又はケブラー等のアラミドであり得る。代替的に、柔軟層は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の熱可塑性樹脂であり得る。熱可塑性樹脂は、突起の埋め込み前に、加熱により軟化させて十分な可撓性を与える必要があり得る。熱可塑性樹脂は、突起の埋め込み後に冷却させることにより硬化することができる。
【0018】
好ましくは、第2のコンポーネントを柔軟層から形成するために、突起を柔軟層に埋め込んだ後に柔軟層を第1のコンポーネントと共硬化させる。複数の柔軟層を第1のコンポーネントに接合する場合、それぞれを第1のコンポーネント上で別個に硬化させてもよく、又は1バッチ分又は全部の層を第1のコンポーネントに敷いた後に硬化を行ってもよい。
【0019】
突起は、第1のコンポーネントと同じ材料から形成してもよく、又は異なる材料から形成してもよい。
【0020】
例えば航空宇宙用途で、継手を用いて構造コンポーネント同士を接合することができる。例えば、継手を用いて、強化板、フローティングリブフット(floating rib foot)、若しくはストリンガを、翼若しくは胴体カバー等の板に、又はブラケットフィッティングを補助翼に接合することができる。代替的に、継手を用いて、積層構造における隣接層同士を接合することができる。
【0021】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】様々な向きの突起の配列を有するブラケットコンポーネントを示す。
【図2】突起の配列を示す。
【図3a】金型の凹部に取り付けた図1のブラケットコンポーネントを示す。
【図3b】連続したプライをブラケット及び金型に被せるレイアッププロセスを示す。
【図3c】硬化前の完成レイアップ材を示す。
【図3d】硬化及び脱型後の完成ハイブリッド部品を示す。
【図4】粉体堆積造形システムの概略図を示す。
【図5】粉体供給造形システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示す金属コーナブラケットコンポーネント1は、外側結合面2を備える。表面特徴部又は突起3の配列が、結合面2から延びている。図1で分かるように、配列の1列の突起3は、突起3のない頂点における最大曲率の領域にのみ小さな空間を残して、結合面にわたって実質的に均一に分配する。突起3はそれぞれ、先端、基部、及び中心線を有する。
【0024】
図2に示すように、突起3は、結合面2上にx−y平面の2次元配列で配置する。図2は、x方向に縁部長さLx及びy方向に縁部長さLyを有する結合面2の一部のみを示す。結合面2における突起3の占有域の輪郭のみを図2に示す。突起の基部は、コンポーネントの縁部からx方向に距離EDx及びy方向に距離EDyだけ離間している。突起の基部は、x方向にピッチpx及びy方向にピッチpyだけ互いに離間している。
【0025】
次に、ブラケットコンポーネント1を積層複合コンポーネント30に接合してハイブリッド部品40を形成することについて、図3a〜図3dを参照して説明する。図3aに示すように、ブラケットコンポーネント1を、ブラケットコンポーネントを収容する凹部を備える金型面を有する金型20に組み込む。
【0026】
ブラケットコンポーネント1を金型に組み込んだ後、複合レイアップ材をブラケットコンポーネント1及び金型20上に敷く。複合レイアップ材は、未硬化エポキシ樹脂を予備含浸した一連の一方向性炭素繊維プライ31〜35を備える。各プライは、「プレプレグ」として従来既知である。図3bに示すように、最初のプレプレグ31には、プレプレグ31を結合面2に被せる際に突起3を貫通させる。突起3の向きは、より詳細に後述する。さらなるプライ32〜35を結合面2に連続して被せ、複合レイアップ材を完成させる。軟質ローラをプレプレグ31〜35の上で転がして、突起3が完全に埋め込まれるようにすることができる。軟質ローラは、各プライを敷いた後、一群のプライを敷いた後、又は最後のプライを敷いた後に施すことができる。
【0027】
図3cは、いわゆる「減圧バッグ」プロセスによるプレプレグの固結及び硬化の準備が整った、ブラケット1及び金型20上の第2のコンポーネント30の完成プライレイアップ材を示す。すなわち、レイアップ材を真空膜(及び随意に、通気層又はピールプライ等の様々な他の層)で覆い、真空膜から排気して固結圧力を加えるとともに水分及び揮発物を抽出し、レイアップ材を(随意にオートクレーブで)加熱してエポキシ樹脂マトリックスを硬化させる。エポキシ樹脂マトリックスは、硬化前に溶融すると流れて突起3と密着する。突起3は、マトリックスと機械的に係合する一方で、結合部の表面積も拡大する。
【0028】
硬化プロセスの結果として、金属ブラケット1(第1のコンポーネント)及び積層複合コンポーネント30(第2のコンポーネント)を接合して、ハイブリッド部品40を形成し、続いてこれを金型20から取り出す。ハイブリッド部品40は、図3dに示し、様々な他のコンポーネントと組み立てることができる。
【0029】
各突起3の中心線は、複合プライをこれに被せてプライの局所的な表面法線と突起の中心線との間に小さな角度、理想的には0°を維持したままプライへの貫入を達成することを可能にするよう画定する。これにより、突起3が被覆時にプライを横方向に引き裂く傾向が減る。理想的には、プライにできた孔は、突起3を収容するのに十分なだけのサイズである。
【0030】
この理想的な目的を達成するための突起中心線を画定するために、プライがコンポーネント1と最初に接触する点でのコンポーネント及びプライの向きを知る必要がある。これを、「初期被覆点」として定義する。図1に示す例では、初期被覆点は、ブラケット1の頂点付近の点4であり、ここで仮想プライ10が頂点の両側の突起3と最初に係合する。このモデリングを用いて、結合面2における突起3の配列の適切な幾何学的形状を計算する。
【0031】
「接触点」は、プライ10がコンポーネント1に接触し停止するとともに局所的な結合面2の勾配に対して接線方向を保つ点として定義する。「接触点」は、「初期被覆点」と最初は一致するが、プライを被せるにつれて表面2にわたって移動する。プライ10が位置AからDへ移動する際の初期被覆点からの接触点の移動が、図1で分かる。
【0032】
突起3の中心線は、「接触点」からの表面接線と突起中心線との間の交点に局所的な法線条件があるよう設計することが理想的である。これにより得られる特徴部は、その基部において局所的な表面に対して垂直であり、表面から延びる際に結合面2のプロファイルに関連して様々な局所曲率で湾曲したものとなる。突起中心線11は、図1に示す特定の例では初期被覆点4を中心として同心円を形成する。
【0033】
2つ以上の初期被覆点が理論的に可能である場合、初期被覆点は、突起を結合面に対して最小角度で(with minimum angularity)形成することを可能にするものとして通常は選択する。
【0034】
理想的な突起中心線は、突起3の形成によりコンポーネント1の結合面2を作製するのに用いる方法によっては、形成し易くないことが多い。そのために、上述した局所的な法線条件を厳密に満足しない場合でも、本発明の多くの利益を依然として見ることができる。
【0035】
例えば、図1に示す突起3の中心線11は曲率を有するが、突起の形状は、結合面に対して様々な傾斜角度に設定した直線状突起の配列に近い。代替的に、中心線が突起の基部における結合面に対して厳密に垂直でないような、局所的な法線条件を正確に満足しない湾曲した中心線を有する突起を用いてもよい。このようにして、各突起の先端を理想的な向きにしたまま、突起の曲率半径を製造し易い小さなもので済ますことが可能であり得る。
【0036】
重要なのは、各突起の先端における中心線を、その基部における結合面に対する法線に対して傾いた向きにし、先端中心線の角度配向が突起の配列にわたって変わることである。なお、結合面が平面状である状況では、結合面に対して垂直な突起を有するコンポーネントが形成されることとなり、突起を柔軟層に埋め込むために平面状の結合面を柔軟層と平行にするだけで法線条件を満足することができるため、このような状況は問題でなく、本発明の範囲外であるとみなす。
【0037】
各突起3は、積層造形プロセス、つまり図4に示すような粉体堆積プロセス又は図5に示すような粉体供給プロセスにより、一連の層に成長させる。
【0038】
図4に示す粉体堆積プロセスでは、レーザヘッドを粉体層にわたって横方向に走査してレーザを粉体層の選択部分に指向させることにより、突起の配列を形成する。より詳細には、システムは、粉末チタン等の粉末金属材料を収容した一対の供給容器30、31を備える。ローラ32が、供給容器の一方から粉体を引き出し(図4の例では、ローラ32が右側の供給容器から粉体を引き出している)、連続粉体層を支持部材33の上に延ばす。続いて、レーザヘッド34が粉体層を走査し、ヘッドからのレーザビームのオンオフを切り替えて粉体を所望のパターンに溶融させる。続いて、支持部材33は、短距離だけ(通常は0.1mm程度)進んで次の層の成長に備える。溶融した粉体の固化のための休止後に、ローラ32は、焼結に備えて別の粉体層を支持部材33の上に延ばし始める。したがって、プロセスの進行に伴い、焼結部分35が構成され、未固結粉体部分36により支持される。焼結部分の完成後、これを支持部材33から取り外し、未固結粉体36を回収した後に供給容器30、31に戻す。
【0039】
図4の粉体堆積システムを用いて、突起3を含むブラケットコンポーネント1全体を構成することができる。レーザヘッド34の移動及びレーザビームの変調は、部品の所望のプロファイル及びレイアウトのコンピュータ支援設計(CAD)モデルにより決定する。
【0040】
図5に示す粉体供給造形システムを用いて、予め製造したコンポーネント1上に突起3を蓄積させることができる。すなわち、突起のないブラケットコンポーネント1を予め製造した後に、粉体供給造形機構に取り付ける。
【0041】
突起3は、図5ではブラケットコンポーネント1の一方のアームの結合面2に蓄積した状態で示す。粉体供給造形システムは、レーザ41及びレーザ41の周りの環状チャネル42を有する可動ヘッド40を備える。未焼結粉体は、チャネル42を通ってレーザビーム43の焦点に流れ込む。粉体は、堆積するにつれて溶融してビーズ44を形成し、これが既存の材料と共に固結する。
【0042】
粉体供給システムを用いて、突起を直列又は並列に成長させることができる。より詳細には、突起は、以下の順序:
P(1)L(1)、P(2)L(1)、...P(n)L(1)、P(1)L(2)、P(2)L(2)、...P(n)L(2)...等
で並列に、又は以下の順序:
P(1)L(1)、P(1)L(2)、...P(1)L(m)、P(2)L(1)、P(2)L(2)、...P(2)L(m)...等
で直列に成長させることができ、ここで、P(X)L(Y)は、突起Yの層Xの成長を表す。
【0043】
これは、突起を並列に成長させることしかできない粉体堆積システムとは対照的であり得る。
【0044】
図4の粉体堆積システムとは対照的に、図5の粉体供給システムは、粉体を結合領域の選択部分にのみ指向させ、粉体を送出しつつ溶融させる。したがって、粉体供給機構では、粉体により支持されない構造ができるため、特に突起が大きな張出部分を有する場合、支持体(図示せず)をその部分に一体的に組み込んでその後加工除去する必要があり得る。
【0045】
ヘッド40がプロセスにおける唯一の移動機能部であってもよく、又は部品を造形中に回転させてもよい。換言すれば、ヘッド40は、部品をヘッド40に対して第1の向きにして粉体を結合領域の選択部分に指向させ、部品がヘッド40に対して第2の向きをとるように部品を回転させ、続いてヘッドは、部品を第2の向きにして材料を結合領域の選択部分に指向させる。これにより、除去可能な支持体を必要とせずに複雑な形状の製造が容易になる。例えば、蓄積中の要素が法線から30°未満となることを常に確実にするために、層間で部品を回転させることにより、張出特徴部を形成することができる。蓄積領域は、材料の融点よりも大幅に低い温度であるため、これを自立するほど十分に固化させるために、レーザエネルギーの除去後の短期間にわたり支持可能な角度を維持するだけでよい。突起を並列順序で蓄積する場合、各層間で部品の向きを変えて非支持張出特徴部の蓄積を可能にすることが可能である。
【0046】
粉体堆積システム又は粉体供給システムのレーザ源は、電子ビームを指向させるための電子ビーム源等の別のパワービーム源に置き換えることができる。
【0047】
突起は、多くの異なる形状をとることができる。突起は、円錐スパイクとすることができる。突起は、張出部を有することができる。突起は、その中心線に関して回転対称形であってもよく、又は非対称形であってもよい。中心線は、その長さの全部又は一部に沿って湾曲させてもよく、又は直線状であってもよい。突起は、横方向突起又はリッジを含むことができる。突起は、形成すべき継手のタイプに応じて、上記特徴の1つ又は複数を含むことができる。
【0048】
突起のアスペクト比は、比較的大きく、強固な機械的係合及び大きな表面積を与えるものであり得る。アスペクト比をH/Wと定義し、Hをコンポーネントの結合面に対して垂直方向の高さとし、Wを結合面と平行な方向の平均幅とした場合、アスペクト比は約2〜6で変わる。突起のアスペクト比は、所望の特性を得るように増減させることができるが、少なくとも2であることが好ましい。
【0049】
柔軟層は、ガラス又は炭素繊維で強化してもよく、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の強化材を含まない熱可塑性樹脂層であってもよい。突起は、金属材料(例えば、チタン又はステンレス鋼)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の熱可塑性材料から形成することができる。突起は、第1のコンポーネント若しくは柔軟層と同じ材料、又は異なる材料から形成することができる。
【0050】
第1のコンポーネントは、事実上任意の形状をとることができ、平面状、凹状、又は凸状の結合面を有することができる。第1のコンポーネントは、固定孔等の取付特徴部を含むことができるため、第1のコンポーネントを他のコンポーネントに取り付けて最終組立体にすることができる。
【0051】
本発明を1つ又は複数の好適な実施形態を参照して上述したが、添付の特許請求の範囲に定める本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変形が可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに接合する方法であって、
前記第1のコンポーネントを該コンポーネントの結合面に細長い突起の配列を形成することにより作製するステップであり、各突起は中心線、先端、及び基部を有し、各突起の前記先端における中心線は、前記基部における前記結合面に対する法線に対して傾いた向きにし、前記先端中心線の角度配向は、前記突起の配列にわたって変わる、ステップと、
前記突起を柔軟層に埋め込むように前記第1のコンポーネントを前記柔軟層と合わせるステップと、
前記突起の配列を前記柔軟層に埋め込んだ後に、該柔軟層を硬化させて前記第2のコンポーネントを形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記突起は、前記結合面上に一連の層状に成長させ、各層は、エネルギー及び/又は材料を前記結合面に指向させることにより成長させる、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、各層は、積層造形プロセスにより成長させる、方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法において、各先端中心線の向きは、前記結合面のプロファイルに基づき決定する、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、各先端中心線の向きは、接合直前の前記コンポーネント及び前記柔軟層の開始向きに基づき決定する、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、各先端中心線の向きは、接合時の前記コンポーネントと前記柔軟層との間の所定の初期接触点に基づき決定する、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のコンポーネント及び前記柔軟層は、該柔軟層を前記コンポーネントに被せることにより合わせる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記コンポーネントを金型に設置して、それに前記柔軟層を被せる、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法において、前記第1のコンポーネント及び1つ又は複数のさらなる柔軟層を前記柔軟層の上で合わせる、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記突起は、前記さらなる柔軟層の少なくともいくつかに埋め込む、方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法において、前記突起の埋め込み後に前記さらなる柔軟層(単数又は複数)を硬化させることをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法により形成した継手。
【請求項13】
請求項12に記載の継手において、突起が細長い、継手。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の継手において、前記突起の少なくともいくつかの中心線は、その長さの全部又は一部に沿って湾曲させる、継手。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の継手において、第1のコンポーネントは金属である、継手。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載の継手において、第2のコンポーネントは繊維強化複合コンポーネントである、継手。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−521315(P2012−521315A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501387(P2012−501387)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050476
【国際公開番号】WO2010/109220
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510286488)エアバス オペレーションズ リミテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
【Fターム(参考)】