説明

粉末状エチレンビニルアルコール混合ポリマーの製造方法

本発明は、粉末状のエチレンビニルアルコール混合ポリマーの製造方法に関し、この場合、この方法は、エチレンおよび1個またはそれ以上のビニルエステル、ならびに場合によってはこれらと共重合可能な他のモノマーをラジカル重合し、引き続いて得られたエチレンビニルエステル混合ポリマーをけん化することによってエチレンビニルアルコール混合ポリマーにすることを特徴とする。本発明は、エチレンビニルアルコール混合ポリマーを、けん化後にアルコール性溶液から温度勾配による冷却、および場合によっては水の添加によって沈殿させることを特徴とする。エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw2000〜100000g/モルを有する低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−10℃/分であり、かつ、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw>100000g/モルを有する高分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−1℃/分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンおよび1個またはそれ以上のビニルエステル、ならびに場合によっては他のこれらと共重合可能なモノマーとをラジカル重合させ、その後に得られたエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーをけん化することによってエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーにし、かつ、けん化生成物を沈殿させることによる、粉末状エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマー(EVOH)の製造方法に関する。
【0002】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、その有利な性状プロフィールに基づく種々の適用が見出されている。エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、耐薬剤性、種々の支持体上での良好な接着性、透明性、静電防止特性、酸素不透過性膜特性、たとえば押出成形による良好な熱可塑的加工性を示す。これらの有利な性質に基づいて、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、食品包装の際の薄片またはフィルムとして、耐薬剤性容器およびタンクを製造するため、ならびに管およびパイプラインの保護のために使用される。
【0003】
技術水準において、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを製造するための方法は公知であり、この場合、これらは、たとえば、JP−A60199004、JP−A11−80263、EP−A997250およびEP−A1085028に記載されている。これらの方法において、エチレンおよび酢酸ビニルは、アルコール性溶液中で、ラジカル重合する。その後に、酢酸ビニル−単位を塩基性アルコール溶液、たとえばNaOHメタノール溶液と一緒にけん化することによってビニルアルコールにする。エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの単離は、凝固浴、通常は水または水/メタノール混合物中で混合ポリマーを押出成形することによっておこなう。これによって得られたロープ状物をその後にペレットに切断する。ペレットを乾燥させた後に、これらを押出成形によって望ましい成形体に加工する。
【0004】
これらの方法を用いて、相当する高い溶融粘度を有する一般的に高分子量のエチレン−ビニルアルコール混合物が得られ、押出成形により問題なく加工することができる。しかしながら、これらの欠点は、けん化の際に不十分な収率のみで得られること、ならびに、ペレットが乾燥による除去を必要とする高い溶剤含量を有することである。粉末状の生成物を得るためには、ペレットを付加的なコストのかかる工程において粉砕する必要がある。
【0005】
US−A4100335、US−A4104453およびUS−A4820803から、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーが、乳化剤または塩の存在下で、水中に溶融された状態で分散され、引き続いてけん化されることは公知であり、その後に軟化温度を下廻ってけん化生成物を冷却し、かつ粉末として濾過により単離することができる。これに関する欠点は、助剤の使用であり、この場合、これらは粉末状の最終生成物を著しく汚染するものであるためである。US−A4719259では、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーと水とのドウの形で得る方法が記載されている。
【0006】
したがって本発明の目的は、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、簡単な方法で、かつ高い純度で、粉末状で得ることができる方法を提供するものである。
【0007】
本発明の対象は、エチレンおよび1個またはそれ以上のビニルエステル、および場合によってはさらにこれらと共重合可能なモノマーとをラジカル重合し、その後に、得られたエチレン−ビニルエステル−重合ポリマーをけん化し、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーにすることによって、粉末状のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを製造するための方法であり、この場合、この方法は、けん化後にエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、アルコール溶液から温度勾配を用いて冷却し、かつ場合によって水を添加することによって沈殿させることを特徴とし、その際、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw2000〜100000g/モルを有する低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、温度勾配は−0.1℃/分−10℃/分であり、かつ、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw>100000g/モルを有する高分子量エチレン−ビニルエステル混合ポリマーから導かれる場合には、温度勾配は−0.1℃/分〜−1℃/分である。
【0008】
エチレン−ビニルエステル−ポリマーは、公知方法で、ラジカル重合によって製造することができ、好ましくは塊状重合、乳濁重合、懸濁重合または溶剤として有機溶剤中、好ましくは炭素原子1〜4個を有する一価の脂肪族アルコールを有するアルコール溶液中またはこれらの混合物中での重合によって製造することができる。適した溶剤は、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールならびにエタノール−イソプロパノール混合物である。重合は還流下で、35〜100℃の温度で実施する。エチレンは10〜90バール(絶対圧)で加圧する。ラジカル重合の開始は、適切な開始剤を添加することによって実施する。適切な開始剤に関する例としては、ペルカーボネート、たとえばシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ペルエステル、たとえばt−ブチルペルネオデカノエートまたはt−ブチルペルピバレート、ペルオキシド開始剤、たとえばtert.−ブチルヒドロペルキシド、ジアシルペルオキシド、たとえばジラウロイルペルオキシドおよびアゾ開始剤、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)である。
【0009】
好ましくは、相対的に低い分子量の生成物が得られ、この場合、これらは、質量平均分子量Mw2000〜100000g/モル、好ましくは5000〜60000g/モルを有し、相対的に高い開始剤量、エチレン部分を除くコモノマーの全質量に対して好ましくは0.2〜1.0質量%、特に好ましくは0.4〜0.8質量%を使用するものである。相対的に高い分子量を有する生成物の場合には、質量平均分子量Mw>100000g/モルを有する生成物を達成し、好ましくは開始剤の量は、エチレン部分を除くコモノマーの全質量に対して0.01〜0.1質量%の量で重合させる。
【0010】
モノマーは、予め全部を装入してもよいか、合わせて計量供給するか、あるいは、一部分を予め装入しておき、その残余を重合開始後に計量供給してもよい。好ましい実施態様において、特に低分子量の混合ポリマーを得る場合には、ビニルエステル−部分の5〜50質量%、特に好ましくは15〜30質量%を装入し、かつ残余をそれぞれ計量供給する。開始剤は、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは15〜30質量%を予め装入し、かつ残余についてはそれぞれ計量供給する。
【0011】
さらに分子量の調節は、当業者に公知の方法で、分子量調節剤の存在下で重合することによって実施する。適した調節剤は、たとえばアルコール、たとえばエタノールまたはイソプロパノール、アルデヒド、たとえばアセトアルデヒドまたはプロピオンアルデヒド、メルカプタン、たとえばメルカプトプロピオン酸およびドデシルメルカプタン、シラン含有調節剤、たとえばメルカプトシラン、たとえば3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。好ましくはメタノールまたは高い導電率を有する溶剤中で、たとえばエタノールまたはイソプロパノールまたはこれらの混合物中で重合する。分子量調節は、さらに温度、開始剤および開始剤濃度によって、ならびに溶剤含量によっておこなわれる。
【0012】
適したビニルエステルは、非分枝または分枝の炭素原子1〜18個を有するカルボン酸のビニルエステルである。好ましいビニルエステルは、酢酸ビニル、1−メチルビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、ビニルピバレートおよび炭素原子5〜13個を有するα−分枝モノカルボン酸のビニルエステル、たとえばVeVa9またはVeoVa10(Shell社による商品名)である。特に好ましくは、酢酸ビニルである。
【0013】
混合ポリマー中のエチレン量は、一般には5〜75モル%、好ましくは20〜60モル%、特に好ましくは25〜50モル%である。さらに好ましくは、前記エチレン量を有するエチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーである。
【0014】
ビニルエステルの他に、場合によっては、炭素原子1〜15個を有するアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、炭素原子3〜12個を有するα−オレフィン、ジエン、ビニル芳香族およびビニルハロゲン化物を含む群からの、さらに1個またはそれ以上のモノマーを共重合することができる。アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの群からの適したモノマーは、炭素原子1〜15個を有する非分枝または分枝のアルコールのエステルである。好ましいメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルアクリレート、n−、イソ−およびt−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノルボルニル−アクリレートである。適したα−オレフィンは、たとえばプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンである。適したジエンは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。ビニル芳香族としては、スチレンおよびビニルトルエンを単重合することができる。ビニルハロゲン化物の群からは、ビニルクロリドおよびビニリデンクロリドが好ましい。これらのコモノマーの量は、エチレン−ビニルエステル−ポリマー中のエチレンエステル量とビニルエステル量との合計>50モル%に達することが測定された。
【0015】
場合によっては、さらに官能性コポリマーを、好ましくは0.1〜25モル%の量で含有していてもよい。これに関しては、たとえば、エチレン性不飽和モノ−およびジ−カルボン酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびマレイン酸;エチレン性不飽和カルボン酸アミドおよび−ニトリル、好ましくはN−ビニルホルムアミド、アクリルアミドおよびアクリルニトリル、フマル酸およびマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、たとえばジエチル−およびジイソプロピルエスエル、ならびにマレイン酸無水物、エチレン性不飽和スルホン酸ならびにこれらの塩、好ましくはビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、アルキルビニルエーテル、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、ビニル−およびメタクリルシラン、たとえばビニルトリメトキシシランおよびメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトシランである。他の例としては、予め架橋されたコモノマー、たとえば複数個のエチレン性不飽和モノマー、たとえばジビニルアジペート、ジアリルマレエート、アリルメタクリレート、ブタンジオールジアクリレートまたはトリアリルシアヌレート、または後架橋されたコモノマー、たとえばアクリルアミドグリコール酸(AGA)、メチルアクリルアミドグリコール酸メチルエステル(MAGME)、N−メチロールアクリルアミド(NMA)、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアリルカルバメート、アルキルエーテル、たとえばイソブトキシエーテルおよびN−メチロールアクリルアミドのエステル、N−メチロールメタクリルアミドおよびN−メチロールアリルカルバメートである。
【0016】
エチレン−ビニルエステル−混合ポリマーのけん化(エステル交換、加水分解)は、当業者に公知の方法で、たとえば混練によってか、あるいは撹拌容器中で、アルカリ性または酸性で、酸または塩基を添加することによっておこなう。好ましくは、エチレン−ビニルエステル−混合ポリマーは、溶剤としてのアルコール溶液中で、炭素原子1〜4個を有する一価の脂肪族アルコールまたはこれらの混合物中に存在する。特に好ましくはメタノールおよびエタノール/イソプロパノール混合物である。エチレン−ビニルエステル−混合ポリマーの含量は、溶液中で20〜85質量%、好ましくは30〜80質量%である。
【0017】
これに関して加水分解を開始させるために、通常は、酸性またはアルカリ性の触媒を使用する。酸性触媒としては、たとえば強鉱酸、たとえば塩酸または硫酸であるか、あるいは強有機酸、たとえば脂肪族または芳香族スルホン酸である。好ましくはアルカリ性触媒を使用する。これらは、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラートおよびカルボネートである。好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物であり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。アルカリ性触媒は、固体の形(100%濃度)であるかあるいは水性またはアルコール性溶液の形で使用され、好ましくはアルコール溶液の形で使用し、かつ特に好ましくは同様のアルコール中に溶解され、エチレン−ビニルエステル−混合ポリマー溶液として使用する。最も好ましい実施態様はNaOHのメタノール溶液である。アルカリ性触媒の使用量は、一般には0.2〜20.0質量%であり、この場合、これらの値は、エチレン−ビニルエステル−混合ポリマーに基づく。
【0018】
加水分解は、一般には40℃〜90℃の温度、好ましくは50℃〜85℃の温度で実施する。連続的操作において、反応に応じてアルコール性ポリビニルエステル溶液を、一般には撹拌容器またはニーダー中に装入する。触媒溶液を添加することによって、けん化が開始される。望ましい加水分解度は、一般には、85〜100モル%のビニルエステル部分、好ましくは95〜100モル%のビニルエステル部分で達成された場合であって、加水分解反応を停止させる。好ましくは、けん化反応中で、エステル交換によって形成されたエステルを留去する。
【0019】
酸性触媒の場合には、加水分解を、アルカリ性試薬を添加することによって停止させる。これらは、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルコラートまたはカルボネートである。好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物であり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。好ましいアルカリ性触媒による加水分解は、酸性試薬、たとえばカルボン酸または鉱酸の添加によってか、あるいは中性試薬、たとえばカルボン酸エステルの添加によって停止させる。好ましくはカルボン酸エスエル、たとえば酢酸メチルまたは酢酸エチルであり、ならびに相対的に強いカルボン酸および鉱酸、好ましくは4.5を下廻るpKs−値を有するもの、特に好ましくは2.5を下廻るpKs−値を有するものである。適した鉱酸は、たとえば塩酸、硫酸および硝酸であり、適したカルボン酸は、たとえば酢酸、蓚酸、蟻酸、アジピン酸および芳香族スルホン酸およびハロゲンカルボン酸、たとえばモノ−、ジ−またはトリ−クロロ酢酸である。
【0020】
けん化反応の停止後に、形成されたエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、液相から沈殿させることによって除去する。
【0021】
質量平均分子量Mw2000〜100000g/モル、好ましくは5000〜60000g/モルを有する低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの場合には、−0.1℃/分〜−10℃/分、好ましくは−1℃/分〜−10℃/分の温度勾配である。
【0022】
質量平均分子量Mw>100000g/モルの高分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの場合には、−0.1℃/分〜−1℃/分、好ましくは−0.1℃/分〜−0.5℃/分の温度勾配である。
【0023】
一般には、溶剤含有エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーのTgを上廻るが、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの融点を下廻る温度で冷却する。好ましくは10℃〜35℃の温度に冷却する。
【0024】
好ましい実施態様において、高分子量のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、相対的に高い冷却容量で、先ず−1℃/分〜−10℃/分の温度勾配を有し、好ましくは40℃〜70℃の温度に冷却し、引き続いて低い温度勾配−0.1℃/分〜−1℃/分で冷却し、10℃〜35℃の温度にする。
【0025】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの沈殿は、好ましくは水の添加によって促進される。さらに好ましくは、好ましい最終温度への冷却後に水を導入する。含水量は、一般には使用されたエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーの全質量の0.3〜5.0倍、好ましくは0.8〜2.5倍に達する。水の温度は、一般には室温であるか、あるいは、冷却されたけん化沈殿物の温度に適合させる。さらに、沈殿後にアルコール含分を除去し、かつ漸次、相当する量の水で置換する。
【0026】
沈殿したエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは濾過によって除去され、かつ一般には、≦50%の残留湿分で存在する。この生成物は通常は、たとえば熱風により乾燥され、かつ乾燥後に粉末として存在する。平均体積径Dvとして測定された粒径は20〜2000μm、好ましくは100〜1000μmである。これに関して方法で調整されるい望ましい粒径は、冷却および沈殿の際の温度勾配によって、水の添加およびその量によって、ならびに結晶化の際の撹拌速度によって調製される。生成物の複素溶融粘度は、好ましくは0.5〜100000Pas、特に1〜1000Pasに達する(180℃で、プレート/プレート測定系での1Hzの振動測定装置;Bohlin CVO 120 HR)。
【0027】
好ましい実施態様において、得られた粉末を水中に再度懸濁し、場合によっては蒸留によってか、あるいは、溶剤残留物をストリッピングによって除去し、かつ濾過によって粉末状の生成物を単離する。アルカリ塩の除去および好ましい灰含分の調整のために、粉末を場合によってはさらに水を用いて洗浄することができる。
【0028】
溶融物の着色を減少させるために、すなわちは熱安定性を増加させるために、溶融物中でのゲル状体またはフィッシュアイを減少させるために、かつ接着性を改善させるために、粉末を場合によってはさらにドープすることができる。適切なドーピング剤は当業者に公知であり、たとえばカルボン酸、たとえば酢酸、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシラクトン、塩、たとえば、アルカリ金属、アルカリ土類金属ならびに第3主族の元素と無機または有機アニオンとの塩、たとえば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムおよび酢酸マグネシウムであり、硼素化合物、たとえば硼酸、硼酸エステル(ボラート)および硼酸塩であり、さらにリン含有化合物、たとえばリン−(1〜3価)またはリン酸(1〜2価)の塩、たとえばNaHPO、NaHPOである。ドーピング剤は、好ましくは、前記材料の水性溶液を添加することによって、引き続き再懸濁することによって実施する。望ましい性状プロフィールによって添加量を調整する。
【0029】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、場合によってはさらに添加剤、たとえば充填剤、UV吸収剤、軟化剤、抗酸化剤、耐燃剤、増量剤、熱安定化剤、熱可塑性樹脂、結合剤と混合することもできる。
【0030】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、薄片、フィルムおよび積層物を製造するため、成形体を製造するために使用することができる。他の適用範囲としては、被覆剤、粉末塗料のための添加剤、接着剤および建築材料中の結合剤である。
【0031】
これらの方法の利点については、以下のように簡単に述べることができる:
低分子量生成物を得ることが可能であり、その際、分子量のバンド幅は極めて大きくてもよい。低分子量エチレン−ビニルエスエル−混合ポリマー(Mw≦100000g/モル)、特にMw≦50000g/モルの極めて低い分子量は、粉末状のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを良好に後加工するための方法で使用することができる。得られた生成物は均一に形成される。低い溶融粘度は、さらに重合の際に、95%までの固体含分を有する溶剤を撹拌することができるといった利点を有する。
【0032】
トロムスドルフ効果は生じない。したがって、酢酸ビニルの変換率はほぼ100%に達し、すなわち、著しく高い収率を有し、それというのも酢酸ビニルは迅速かつ完全に重合するためである。これらは極めて簡単に脱モノマー化(Entmonomerisierung)することを意味し、そうでなくとも極めて良好に重合し、そのためにわずかな量でのみ存在する酢酸ビニルは、少ない溶融粘度に基づいて極めて簡単に除去することができる。酢酸ビニルの残モノマーの含量は20ppmの値であってもよく、かつより少なく調整することもできる。これによって、けん化の際には、汚染によってアルカリが使い果たされることなく、特に、酢酸ビニルからアセトアルデヒドが形成されることはない(アセトアルデヒドは、アルカリ環境下でアルドール縮合反応によって、最終生成物EVOHの黄色の着色を生じる)。
【0033】
低分子量樹脂の溶液は、それぞれの分子量に応じて、約70〜80%の極めて高い固体含量を有するが、なおもポンピング可能であり、かつけん化の極めて高い%を導くことができる。したがって、総合的に極めて多くの溶剤の節約となる。低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーを用いて、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、極めて良好かつ有利な溶融流れで得ることができる。
【0034】
実施例
エチレン−ビニルアセテート−固体樹脂の製造:
例A(高分子量の固体樹脂):
19lの加圧オートクレーブ中に、メタノール789.45g、酢酸ビニル9.52kg、PPV1.88g(第3級ブチルペルピバレート、脂肪族エステル中75質量%濃度、VAcに対して0.0148質量%)を装入した。釜を70℃に加熱し、60バールのエチレンで加圧し、反応完了時まで維持した。その後に70℃で、7時間に亘って沈殿させ、59.8%の固体含量にした。
【0035】
これらの固体含量に沈殿物を濃縮した場合には、すなわち、混合およびそれに伴う反応熱の放出については、もはや可能ではない。しかしながらこの時点で、重合はすでに完了しており、それというのも開始剤を使い果たしたためである。応力除去釜中には4kgのメタノールのみが存在しており、かつ4kgのメタノールが計量供給され、同時に沈殿物が遊離する。応力除去後に釜を蒸留のための加熱し、その際、全部で30分に亘って新鮮なメタノールを釜中に提供し、この場合、これらの留去された量に相当する(脱モノマー化)。
【0036】
分析:
固体含量FG:30.55%(メタノール中)
粘度(Hoeppler粘度 酢酸エチル中10%濃度):14.34mPas;酸価SZ(メタノール):5.61mgKOH/g;
残留酢酸ビニル:55ppm;けん化価:519.05mg KOH/g;H−NMRからのエチレン含量:20.69質量%(44.54モル%);SEC M=114632、M=35223、多分散性=3.52(注:溶離剤は通常THFであり、この値は、ポリスチレン−標準に対する);
乾燥させた樹脂のTg:0.9℃。注;エチレン含有固体樹脂のTgについては、以下の式によって簡単に求めることができる(Fox−方程式):1/Tg=質量%(Et)/180K+質量%(Vac)/316K。ここで理論値としては0.13℃の値が算定される。
【0037】
例B(低分子量の固体樹脂):
19lの加圧オートクレーブに、エタノール2250g、イソプロパノール411.29g、酢酸ビニル2.38kgおよびPPV14.3g(第3ブチルペルピバレート、脂肪族エステル中75質量%濃度)を装入した。釜を70℃に加熱し、かつ60バールのエチレンで加圧し、この場合、これらは、モノマー供給物の計量供給時まで維持される。70℃に達した際に、最初の計量供給を開始し、この場合、これらは、エタノール417.22gおよびPPV55.63g(第3級ブチルペルピバレート、脂肪族エステル中75質量%濃度)からなる。これらの計量供給は430分に亘って、66g/hの供給速度でおこなう。最初の計量供給開始10分後に、酢酸エステル7.15kgからなるモノマーの計量供給を開始した。これらの供給は360分に亘っておこなった。
【0038】
最初計量供給の供給後に、温度を70℃からさらに90分にする。その後に放圧する。放圧後に釜を蒸留のために加熱し、その際、全部で30分に亘って新鮮なメタノールを釜中に供給し、この場合、これは、留去された量に相当する(脱モノマー化および溶剤交換)。
【0039】
分析:
FG:45.55%(メタノール中);粘度(Hoeppler粘度、酢酸エチル中の10質量%濃度):2.23mPas;SZ(メタノール):5.05mg KOH/g;残留酢酸ビニル量:16ppm;けん化価:425.37mgKOH/g;H−NMRからのエチレン含量:30.48質量%(57.44モル%);SEC M=23666、M=8900、多分散性=2.66;乾燥樹脂のTg:−17.0℃
注:ここで理論値は、−16.3℃と算定された。
【0040】
エチレン−ビニルアルコール−粉末の製造:
例1(高分子量EVOH、2個の温度勾配):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジ(Destillationbruecke)および液滴漏斗を備えたもの)に、例1と同様の方法で製造された、36.25モル%エチレンおよび63.75モル%酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量Mw 175581g/モルを有する、エチレン−酢酸ビニル−混合ポリマーの35.8質量%メタノール性溶液 838gを装入した。これらの溶液は、162gのメタノールを添加することによって希釈され、30質量%濃度の溶液とした。その後に、溶液を撹拌下で(200Upm、翼型撹拌器)、80℃のジャケット温度に加熱する。この温度に達した後に、けん化反応を、9質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液333g(30gNaOH 固体に相当する=10質量%固体樹脂含量)を滴加することによって開始させる。計量供給は、それぞれ15分の、30分間隔での2回に亘ってのアルカリの添加によっておこなわれる。供給の間および引き続いて1時間40分に亘って、全部で800mlの酢酸メチル/メタノール溶剤混合物を真空下で留去し、かつメタノールで置換した。その後にけん化溶液を、十分な冷却容量で(−2℃/分)先ず60℃に冷却する。その後に−0.17℃/分の温度勾配で、ゆっくりと30℃に冷却し、その結果、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを結晶化することができる。
【0041】
冷却後に、500gの蒸留水を添加し、簡単に撹拌した。その後にエチレン含有ポリビニルアルコールが粉末として沈殿した。その後に固−液分離、ヌッチェを介しておこなった。沈殿した粉末状固体材料は懸濁液から良好に分離することができた。フィルターケークを、さらに反応容器中に装入し、かつ1lの蒸留水で再度懸濁した。蒸留によってジャケット温度50℃および真空下で、残留する溶剤を除去した(ストリッピング)。その後さらに室温に冷却し、固体材料を再度、懸濁液からヌッチェを介して除去し、かつフィルターケークを2lの蒸留水を用いて後洗浄した。
【0042】
けん化価0.78mg/KOH/gを有する微粉化されたEVOHが得られた。
【0043】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン26.56質量(36.25モル%);VAc0.12質量%;VOH73.32質量%;
DSC−測定:Tg:56.92℃;溶融点のピーク温度Tm(ピーク):179.35℃;溶融エンタルピーHm:86.45J/g、生成物の粒径(カウンター測定);表面積774.2cm/g、平均体積径Dv(平均)821.3μm;数平均粒度Dn(平均)0.0891μm。
【0044】
例2(高分子量EVOH、低い温度勾配を用いての一工程による冷却):
120lの二重壁の加熱可能な反応釜(蒸留ブリッジおよび供給管を備えたもの)に、例Aと同様の方法によって得られた、44.0モル%のエチレンおよび56.0モル%の酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量M 117934g/モルを有する、エチレン−酢酸ビニル−混合ポリマー 49.9質量%の固体樹脂溶液 34.6kgを装入し、かつ、メタノール20.95kgを添加することによって、31%の固体含量に希釈した。その後に、溶液を撹拌(95Upm、アンカ−ステーラー)しながら、ジャケット温度70℃に加熱した。この温度に達した後に、けん化反応を、8.5質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液(1.73kgのNaOH固体に相当する=10質量%の固体樹脂含量)20.31kgを計量供給することによって開始させた。計量供給は1時間20分に亘っておこなった。供給中に、その後にさらに2時間15分に亘って、全部で31.5kgの酢酸メチル/メタノール溶融混合物を真空下で留去し、かつ、10kgのメタノールで置換し、すなわち、溶液を簡単に濃縮した。その後にけん化した溶液を、−0.5℃/分の温度勾配で23℃で冷却した。冷却の間、溶液を60℃で、100%濃度の酢酸300mlで、pH−値9.4からpH−値7.3に調整した。その後に冷却した溶液を18時間20分に亘って、23℃で、かつ45Upmの撹拌速度で撹拌した。これらの「結晶化時間」の後に、40kgの蒸留水を添加し、かつ撹拌混合した。その後に溶剤を除去するために、懸濁液を50℃のジャケット温度に加熱し、かつ真空下で蒸留した(ストリッピング)。全部で38kgもの溶剤混合物を留去し、次第に少しずつ10kgまでの蒸留水を添加した(全部で60kg)。
【0045】
室温に冷却した後に、固−液分離をリネン布を備えたヌッチェを介しておこなった。粉末状の固体材料が懸濁液から良好に分離され(極めて良好な流れ)、したがって、フィルターケークを問題なく、さらに20kgの蒸留水を用いて再度洗浄することができた。
【0046】
けん化価28.7mgKOH/gを有する微粉化されたEVOHが得られた。
【0047】
分析:H−NMRからの組成:エチレン32.61質量%(44.00モル%);VAc4.41質量%;VOH62.98質量%;
DSC−測定:Tg:51.2℃;溶融点のピーク温度Tm(ピーク):164.3℃;溶融エンタルピーHm:91.3J/g
生成物の粒径(カウンター測定):表面積223.7cm/g;平均体積径Dv(平均)588.5μm;数平均粒径Dn(平均)1.55μm。
【0048】
例3(低分子量EVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Bと同様の方法で得られた、57.44モル%のエチレンおよび42.56モル%の酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量Mw23666g/モルを有する、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの73.8%濃度のメタノール性固体樹脂溶液 1084gを装入した。その後に溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、80℃のジャケット温度に加熱した。この温度に達した後に、けん化反応を、10質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液(80gNaOH固体に相当する=10%固体樹脂含量)800gを滴加することによって開始させた。この計量供給を1時間に亘っておこなった。供給中および引き続いて1時間15分に亘って、全部で763gのメチルアクリレート/メタノール溶液混合物を真空下で留去し、かつメタノール343gで置換した。
【0049】
その後にけん化された溶液を、−1℃/分の温度勾配で23℃に冷却した。その際、EVOHは(部分的に)晶出した。冷却の間に、60℃で、溶液を20mlの酢酸(100%濃度)を用いて、pH値10.5からpH値7.5に調整した。冷却した後に、蒸留水800gを添加し、簡単に撹拌混合し、それによって(部分)結晶化EVOHの沈殿が粉末の形で生じた。その後に、粉末形状の固体材料を極めて良好に懸濁液から分離させた。フィルターケークをさらに反応容器中に装入し、かつ1lの蒸留水に再懸濁した。45℃のジャケット温度および真空下で、蒸留することによって残留する溶剤を除去した(ストリッピング)。その後にさらに室温に冷却し、固体材料を再度懸濁液から、ヌッチェを介して分離除去し、かつフィルターケークを2lの蒸留水を用いて後洗浄した(極めて良好な流れ)。
【0050】
けん化価12.6mg/KOH/gを有する、白色の微粉化されたEVOHが得られた。
【0051】
分析:
H−MNRからの組成:エチレン45.77質量%(57.44モル%);VaC1.94質量%;VOH52.29質量%
DSC−測定:Tg:17.3℃;融点のピーク温度Tm(ピーク):125.5℃;溶融エンタルピーHm:64.0J/g、粉末状の生成物の粒径(カウンター測定):表面積2316cm/g;平均体積径Dv(平均)217.6μm;数平均粒径Dn(平均)1.90μm。
【0052】
比較例4(高分子量EVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Aと同様の方法で得られた、36.25モル%のエチレンおよび63.75モル%の酢酸ビニルを有し、かつ質量平均分子量Mw 175581g/モルを有するエチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの35.8%濃度固体樹脂溶液838gを装入した。これらの溶液は、メタノール162gを添加することによって希釈し、30%濃度の溶液とした。その後に、溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、ジャケット温度80℃に加熱した。この温度に達した後に、けん化反応を9質量%メタノール性苛性ソーダ溶液333g(30gのNaOH固体に相当する=10%の固体樹脂含量)を滴加することによって開始させた。この計量供給を、2回に亘ってのアルカリの添加によって、それぞれ15分に亘って、30分間隔で実施した。計量供給中およびその後に1時間10分に亘って、全部で600mlの酢酸メチル/メタノール溶剤混合物を、メタノールによって置換した。その後にけん化溶液を、25分に亘って30℃で、温度範囲の十分な冷却容量(−2℃/分)で冷却した。約38℃のジャケット温度で、可塑化させ、溶液中の生成物はゴム状の粒子になり、全部合わせるとコケ状の構造物とみられた。
【0053】
これに関して500gの蒸留水を添加し、簡単に冷却し、その後に固−液分離を、ヌッチェを介しておこなった。わずかな流れにより分離は極めて困難であった。
【0054】
1.7mg/KOH/gのけん化価を有する可塑化されたEVOHが得られた。極めて大きい粒子は分枝構造を有し、かつ全部合わせてコケ状の構造物が観察された。
【0055】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン26.54質量%(36.25モル%);VAc0.26質量%;VOH73.20質量%
DSC−測定:Tg:54.55℃;融点のピーク温度Tm(ピーク):175.73℃;溶融エンタルピーHm:68.29J/g、生成物の粒径(カウンター測定)は測定されず、それというのも粉末形状の生成物が形成されないためである。
【0056】
例5(高純度の低分子量EVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Bと同様の方法によって得られた、56.5モル%のエチレンおよび43.5モル%の酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量Mw 53463g/モルを有する、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの69.0%濃度のメタノール性固体樹脂溶液 724.6gを装入した。その後に、溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、ジャケット温度60℃に加熱した。この温度に達した後に、けん化反応を6.2質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液(25gNaOH固体に相当する=5.0%固体樹脂含量)403gを滴加することによって開始させた。計量供給を、2回に亘ってアルカリを添加することによって、それぞれ15分に亘って、30分間隔で実施した。5時間に亘るけん化時間の後に、沈殿物を60℃から40℃に−3℃/分の勾配によって冷却した。その際、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの(部分)結晶化が生じた。撹拌しながら、その後に酢酸エチル250gを中和のために添加し、かつ簡単に50Upmで撹拌混合した。10分に亘っての酢酸エチルの反応時間の後に(撹拌なしで)、水500g(温度は23℃)を添加することによって、結晶化したエチレンビニルアルコール−混合ポリマーの沈殿を完了させた。微粒子粉末を有する懸濁液が得られた。
【0057】
その後に懸濁液をさらに60℃に加熱し、その際、100Upmで撹拌し、真空下で留去した。その際、550mlの溶剤を除去し、かつ蒸留に引き続いて950mlの水を添加した。その後に懸濁液を−3℃/分の温度勾配で23℃に冷却した。引き続いて固−液分離をヌッチェを介しておこなった。
【0058】
ヌッチェ上の残分を、リネンの袋に入れ、かつ1時間に亘って流水で洗浄した。リネンの袋中で洗浄されたエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、さらに反応容器中に入れ、かつ1lの蒸留水で再懸濁した。ジャケット温度60℃および撹拌回転数100Upmで、残留する溶剤を真空下で除去した(ストリッピング)。その後にさらに室温(23℃)に冷却し、この固体含量を再度、懸濁液からヌッチェを介して分離し、かつフィルターケークを2lの蒸留水で後洗浄した(極めて良好な流れ)。最終的に、生成物を真空乾燥器中で乾燥させた。高純度の微粉化された白色のEVOHが、22.1mg/KOHのけん化価で得られた。
【0059】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン44.5質量%(56.5モル%);酢酸ビニル3.4質量%;ビニルアルコール52.1質量%
DSC−測定:Tg:31.1℃、Tm(ピーク)=118.6℃、溶融エンタルピーHm=59.7J/g;
粉末状生成物の粒径(カウンター測定):
表面1775cm/g;平均体積径Dv(平均)405μm;数平均粒径Dn(平均)0.103μm。
【0060】
比較例6(低分子量EVOH、温度勾配を伴う冷却なし)
例5とは、60℃のジャケット温度でのけん化の後に、酢酸エチル250gを用いて中和し、その後に水500gを添加した。それというのも、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーは、この時点でいまだ結晶化されておらず、かつ、この時点ではいまだ可塑化された状態で存在するものであって、水の添加により直接的な凝集作用を導き、その結果として「ドウ」が得られた。粉末状の生成物は得ることができず、それというのは、何よりも、定められた温度勾配を介しての制御可能な冷却速度によることが必要不可欠なためである。
【0061】
例7(極めて低分子量のEVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Bと同様の方法で得られた、70.9モル%のエチレンおよび29.1モル%の酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量Mw 6872g/モルを有する、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの76.5%濃度のメタノール性固体樹脂溶液 653.6gを装入した。その後に、この溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、60℃のジャケット温度で加熱した。この温度に達した後に、けん化反応を、6.1質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液820gを滴加することによって(50gのNaOH固体に相当する=10.0%固体樹脂量)開始させた。この計量供給を、2回に亘ってアルカリを添加することによって、それぞれ15分に亘って、30分間隔で実施した。
【0062】
3.5時間のけん化時間の後に、沈殿物を60℃から23℃に−5℃/分の温度勾配で冷却した。その際、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの結晶化が生じた。1000gの水を添加することによって、好ましい粒径を有する粉末形状の粒子の沈殿を達成した。その後に、固−液分離を、ヌッチェを介しておこなった。
【0063】
粉末形状の固体材料は、懸濁液から極めて良好に除去することができた。ヌッチェ上のフィルターケークは2lの水で洗浄し、その後に反応容器中に装入し、かつ1lの蒸留水で再懸濁した。50℃のジャケット温度および100Upmの回転数で、得られた溶液を真空下で除去した(ストリッピング)。その後に、さらに室温(23℃)で冷却し、固体材料を再度、懸濁液からヌッチェを介して分離し、かつフィルターケークを2lの蒸留水で後洗浄した(極めて良好な流れ)。その後に生成物を、真空乾燥容器中で乾燥させた。
【0064】
けん化価11.7mg KOH/gを有する、微粒子の白色のEVOHが得られた。
【0065】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン60.3質量%(70.9モル%);酢酸ビニル1.8質量%;ビニルアルコール37.9質量%
DSC−測定:Tg:8.6℃、Tm(ピーク)=100.4℃、溶融エンタルピーHm=65.2J/g;
粉末状生成物の粒径(カウンター測定):表面積4035cm/g;平均体積径Dv(平均)231.7μm;数平均粒径Dn(平均)0.105μm。
【0066】
例8(極めて低分子量のEVOH)
1000gの水を添加することによって、好ましい粒径を有する粉末状粒子の沈殿を達成し、ヌッチェを介して固−液分離をおこなうといった後処理工程をのぞき、例7と同様の方法で抽出した。粉末状固体材料を懸濁液から極めて良好に分離した。ヌッチェ上でフィルターケークを、2lの水を用いて洗浄し、その後に真空乾燥器中で乾燥させた。再度の再懸濁および真空蒸留(ストリッピング)による残留溶剤の除去はおこなわなかった。
【0067】
けん化価26.7mgKOH/gを有する、微粉化された白色のEVOHが得られた。
分析:
H−NMRからの組成:エチレン59.6質量%(70.9モル%);酢酸ビニル4.1質量%;ビニルアルコール36.3質量
DSC−測定:Tg:1.3℃、Tm(ピーク)=97.8℃、溶融エンタルピーHm=59.9J/g;
粉末形状の生成物の粒径(カウンター測定):表面積4104cm/g;平均体積径Dv(平均)288.2μm;数平均粒径Dn(平均)0.106μm。
【0068】
例9(極めて低い分子量のEVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、67.6モル%のエチレンおよび32.4モル%の酢酸ビニルを有し、かつ平均分子量Mw 5520g/モルを有する、例Bと同様の方法で得られたエチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの73.3%濃度のメタノール性固体樹脂溶液1091.4gを装入した。その後に、溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、80℃のジャケット温度に加熱した。この温度に達した後に、けん化工程を、8.7質量%のメタノール性苛性ソーダ溶液920g(80gのNaOH固体に該当する=10.0%の固体樹脂含量)を滴加することによって開始させた。アルカリの計量供給を、1時間に亘って実施した。2.5時間のけん化時間中に、真空下で、メチルアセテート/メタノールの溶剤混合物821gを除去し、かつメタノール342gを添加した。これらの時間後に、けん化を氷酢酸25mlを添加することによって開始させ、たとえば、pH7.2で中和させた。
【0069】
その後に−1℃/分の温度勾配を用いて23℃に冷却し、これによってEVOH−ポリマーが晶出した。沈殿を水800gを添加することによって完了させた。その後に、ヌッチェを介して固−液分離をおこなった。粉末形状の固体材料を、懸濁液から極めて良好に分離した。ヌッチェ上のフィルターケークを、2lの水を用いて洗浄し、その後にさらに反応容器中に装入し、かつ1lの蒸留水中に再懸濁した。45℃のジャケット温度および100Upmの回転数で、残留する溶剤を真空下で除去した(ストリッピング)。その後に、さらに室温で(23℃)冷却し、固体材料を再度、懸濁液からヌッチェを介して除去し、かつフィルターケークを、2lの蒸留水を用いて後洗浄した(極めて良好な流れ)。その後に生成物を真空乾燥器中で乾燥させた。
【0070】
けん化価8.4mgKOH/gを有する、微粉化された白色のEVOHが得られた。
【0071】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン56.65質量%(67.6モル%);ビニルアセテート1.29質量%;ビニルアルコール42.06質量%。
DSC−測定:Tg:7.9℃、Tm(ピーク)=99.8℃、溶融エンタルピーHm=63.3J/g;
粉末形状の生成物の粒径(カウンター測定):
表面積1235cm/g;平均体積径Dv(平均)814.4μm;数平均粒径Dn(平均)0.105μm。
【0072】
例10(高分子量のEVOH):
3lの二重壁の加熱可能なガラス反応容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Aと同様の方法で得られた、43.72モル%のエチレンおよび56.28モル%の酢酸ビニルを有し、かつ質量平均分子量Mw192875g/モルを有する、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの44.5質量%濃度のメタノール性溶液 674.2gを装入した。これらの溶液は、メタノール326gを添加することによって希釈し、30質量%溶液とした。その後に、溶液を撹拌しながら(200Upm、翼型撹拌器)、ジャケット温度80℃で加熱した。この温度に達した後に、けん化工程を、9.1質量%濃度のメタノール性苛性ソーダ溶液 330g(30gのNaoHに相当する=10質量%の固体樹脂含量)を滴加することによって開始させた。計量供給は、2回に亘ってのアルカリの添加によって、それぞれ15分に亘って、30分間隔で実施した。供給中および引き続いての1時間30分に亘って、全部で800lのメチルアクリレート/メタノール溶液混合物が留去され、かつ800mlのメタノールを添加した。
【0073】
その後に、けん化溶液を−0.3℃/分の冷却速度で23℃で冷却した。その後に、けん化溶液を23℃で4時間に亘って撹拌し、その結果、エチレン−ビニルアルコール混合ポリマーを結晶化させた。その際、沈殿物をさらに40℃で加熱し、かつ粉末の沈殿は、1000mlの水を添加することによって達成した。室温への冷却後に、ヌッチェを介して固−液分離をおこなった。得られた粉末形状の固体は、懸濁液から極めて良好に分離した。
【0074】
ヌッチェ上のフィルターケークを2lの水を用いて洗浄し、その後さらに反応容器中に装入し、かつ2lの蒸留水を用いて再懸濁した。蒸留によってジャケット温度50℃および真空下で蒸留することによって、得られた溶剤を除去した(ストリッピング)。その後にさらに室温に冷却し、固体材料を再度懸濁液からヌッチェを介して分離し、かつフィルターケークを2lの蒸留水を用いて後洗浄した。引き続いてこの生成物を真空乾燥溶液中で乾燥させた。
【0075】
けん化価0.0mgKOH/g(100%完全にけん化された生成物を示す)を有する、微粉化された白色のEVOHが得られた。
【0076】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン33.08質量%(43.72モル%)、ビニルアルコール66.92質量%;
DSC−測定:Tg:52.74℃、Tm(ピーク)=165.3℃、溶融エンタルピーHm=87.9J/g
生成物粒径(カウンター測定):表面積127.1cm/g;平均体積径Dv(平均)769.5μm;数平均粒径(平均)3.57μm。
【0077】
例11(高分子量EVOH、冷却しながらの水の添加):
3lの二重壁の加熱可能なガラス容器(蒸留ブリッジおよび液滴漏斗を備えたもの)に、例Aと同様の方法で得られた、29.82モル%のエチレンおよび70.78モル%の酢酸ビニルを有し、かつ質量平均分子量Mw155247g/モルを有する、エチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの49.0質量%濃度のメタノール性溶液 1020gを装入した。その後に、溶液を撹拌しなら(200Upm、翼型撹拌器)、70℃のジャケット温度で加熱した。この温度に達した後に、けん化工程を9.0質量%のメタノール性苛性ソーダ溶液(50g NaOH固体に相当する=10質量%の固体樹脂量)556gを滴加することによって、開始させた。計量供給は、2回に亘ってのアルカリの添加によって、それぞれ15分に亘って、30分の間隔で実施した。アルカリを計量供給しながら、全部で260mlのメチルアセテート/メタノール溶液混合物を留去し、かつ、300mlのメタノールを添加した。
【0078】
その後にけん化溶液を−0.2℃/分の冷却速度で、40℃に冷却した。中和のために、200mlの酢酸エチルを撹拌しながら添加し、その際、50Upmで簡単に撹拌混合し、この沈殿物を10分に亘って撹拌することなく放置した。その後に1500mlの水を添加し、かつ50Upmで簡単に撹拌混合した。これにより、粉末状の沈殿物が生じた。得られた懸濁液を、さらに0.2℃/分の温度勾配で23℃に冷却し、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの結晶化を完了させた。その後に、ヌッチェを介しての固−液分離をおこなった。得られた粉末状の固体材料を、懸濁液から極めて良好に分離した。
【0079】
ヌッチェ上のフィルターケークを2lの水で洗浄し、その後にさらに反応容器中に装入し、かつ1lの蒸留水で再懸濁した。ジャケット温度45℃および真空下での蒸留によって得られた溶剤を分離した(ストリッピング)。その後にさらに室温で冷却し、固体材料を再度、懸濁液からヌッチェを介して分離し、かつフィルターケークを3lの蒸留水で後洗浄した。その後に、この生成物を真空乾燥容器中で乾燥させた。
【0080】
けん化価9.6mg KOH/gを有する、微粉化された白色のEVOHが得られた。
【0081】
分析:
H−NMRからの組成:エチレン21.13質量%(29.82モル%);酢酸ビニル1.48質量%;ビニルアルコール77.39質量%;
DSC−測定:Tg:58.1℃、Tm(ピーク)=177.4℃、溶融エンタルピーHm=67.7J/g
生成物の粒径(カウンター測定):表面積973.4cm/g;平均体積径Dv(平均)574.4μm;数平均粒径Dn(平均)0.109μm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンおよび1個またはそれ以上のビニルエステル、ならびに場合によってはこれらと共重合可能な他のモノマーをラジカル重合し、引き続いて、得られたエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーをけん化することによってエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーにする、粉末状のエチレン−ビニルアルコール混合ポリマーの製造方法において、けん化後にエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、アルコール性溶液から温度勾配を伴う冷却によって、かつ場合によっては水の添加によって沈殿させ、その際、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw2000〜100000g/モルを有する低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−10℃/分であり、かつ、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw>100000g/モルを有する高分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−1℃/分である、ことを特徴とする、粉末状エチレン−ビニルアルコール混合ポリマーの製造方法。
【請求項2】
溶剤含有エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーのTgを上廻るが、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの融点を下廻る温度に冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高分子量エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの場合には、先ず−1℃/分〜−10℃/分の温度勾配で40℃〜70℃の温度に冷却し、引き続いて−0.1℃/分〜−1℃/分の低い温度勾配で10℃〜35℃の温度に冷却する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの沈殿を、水を添加することによって促進させる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水の量が、使用されたエチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの質量の0.3〜5倍である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
得られた粉末を水中に再懸濁し、場合によっては残留する溶剤を蒸留またはストリッピングによって除去し、かつ粉末状の生成物を濾過によって単離する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
混合ポリマー中のエチレンの量が5〜75モル%である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法によって得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマー。
【請求項8】
平均体積径Dvとして測定された粒径が、20〜2000μmである、請求項7に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマー。
【請求項9】
0.5〜100000Pasの複素溶融粘度(180℃;プレート/プレート測定系を用いる1Hzの振動測定法)を有する、請求項7または8に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマー。
【請求項10】
薄片、フィルムおよび積層物を製造するための、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項11】
成形体を製造するための、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項12】
被覆剤としての、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項13】
粉末塗料のための添加剤としての、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項14】
接着剤としての、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項15】
建築材料中の結合剤としての、請求項7から9までのいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンおよび1個またはそれ以上のビニルエステル、ならびに場合によってはこれらと共重合可能な他のモノマーをラジカル重合し、引き続いて、得られたエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーをけん化することによってエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーにする、粉末状のエチレン−ビニルアルコール混合ポリマーの製造方法において、けん化後にエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーを、アルコール性溶液から温度勾配を伴う冷却によって、かつ場合によっては水の添加によって沈殿させ、その際、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw2000〜100000g/モルを有する低分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−10℃/分であり、かつ、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーが、質量平均分子量Mw>100000g/モルを有する高分子量のエチレン−ビニルエステル−混合ポリマーから導かれる場合には、その温度勾配は−0.1℃/分〜−1℃/分である、ことを特徴とする、粉末状エチレン−ビニルアルコール混合ポリマーの製造方法。
【請求項2】
溶剤含有エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーのTgを上廻るが、エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの融点を下廻る温度に冷却する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高分子量エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの場合には、先ず−1℃/分〜−10℃/分の温度勾配で40℃〜70℃の温度に冷却し、引き続いて−0.1℃/分〜−1℃/分の低い温度勾配で10℃〜35℃の温度に冷却する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
エチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの沈殿を、水を添加することによって促進させる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水の量が、使用されたエチレン−ビニルアセテート−混合ポリマーの質量の0.3〜5.0倍である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
得られた粉末を水中に再懸濁し、場合によっては残留する溶剤を蒸留またはストリッピングによって除去し、かつ粉末状の生成物を濾過によって単離する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
薄片、フィルムおよび積層物を製造するための、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項8】
成形体を製造するための、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項9】
被覆剤としての、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項10】
粉末塗料のための添加剤としての、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項11】
接着剤としての、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。
【請求項12】
建築材料中の結合剤としての、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により得られるエチレン−ビニルアルコール−混合ポリマーの使用。

【公表番号】特表2006−526050(P2006−526050A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508157(P2006−508157)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004564
【国際公開番号】WO2004/101655
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(300006412)ワッカー ポリマー システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (29)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johannes−Hess−Strasse 24, D−84489 Burghausen, Germany
【Fターム(参考)】