説明

粘弾性洗浄材料を使用して基板上の粒子を除去するための装置および方法

【解決手段】 実施形態は、基板表面から、なかでも特にパターン化基板(またはウエハ)の表面から粒子を除去するための装置と方法とを提供する。洗浄の装置および方法は、微細な特徴を伴うパターン化基板を基板表面上のそれらの特徴を実質的に損傷させることなく洗浄することにおいて有利である。洗浄の装置および方法は、10,000g/モルを上回るなどの高分子量のポリマ化合物を含む粘弾性洗浄材料を使用することを伴う。粘弾性洗浄材料は、基板表面上の粒子の少なくとも一部を取り込む。十分短い期間にわたって粘弾性洗浄材料に対して力が付与されると、材料は、取り込まれた粒子を伴った粘弾性洗浄材料の除去を促進する固体様の性質を示すようになる。粘弾性洗浄材料の固体様特性にアクセスするためには、短い期間にわたって幾種かの力を付与することが可能である。あるいは、粘弾性洗浄材料は、温度を下げられたときにも固体様の性質を示す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路やメモリセルなどの半導体デバイスの作成では、半導体ウエハ(「ウエハ」)上に特徴を定めるために、一連の製造工程が実施される。ウエハ(または基板)は、シリコン基板上に定められた多層構造の形態の集積回路デバイスを含む。基板レベルでは、拡散領域を伴うトランジスタデバイスが形成される。続くレベルでは、所望の集積回路デバイスを定めるために、金属化相互接続配線がパターン化され、トランジスタデバイスに電気的に接続される。また、パターン化導電層は、誘電体材料によってその他の導電層から絶縁される。
【0002】
一連の製造工程では、ウエハ表面は、様々なタイプの汚染物質に曝される。基本的に、製造工程に存在するあらゆる材料が、潜在的汚染源である。例えば、汚染源は、なかでも特に、プロセスガス、ケミカル、堆積材料、および液体を含みえる。これらの様々な汚染物質は、微粒子の形でウエハ表面上に堆積しえる。もしこのような微粒子汚染が除去されないと、汚染付近のデバイスは、動作不能になるであろう。したがって、ウエハ上に定められた特徴を損傷させることなく十分に完全なやり方でウエハ表面から汚染物質を取り除く必要がある。しかしながら、微粒子汚染のサイズは、多くの場合、ウエハ上に作成される特徴の微小寸法のサイズと同程度である。ウエハ上の特徴に悪影響を及ぼすことなくこのような小さな微粒子汚染を除去することは、極めて困難な可能性がある。
【0003】
従来のウエハ洗浄方法は、ウエハ表面から微粒子汚染を除去するために、機械的力に依存することが大きかった。特徴のサイズが縮小を続け、より壊れやすくなると、ウエハ表面に機械的力を付与したことで特徴が損傷される可能性が高まる。例えば、高アスペクト比を有する特徴は、十分な機械的力の衝撃を受けたときに、引き倒しまたは破壊を起こしやすい。洗浄の問題をさらに複雑にするのは、特徴サイズの縮小に向かう動きが、微粒子汚染のサイズの縮小にもつながることである。微粒子汚染と基板表面との間の付着に打ち勝つのに必要とされる力は、粒子が小さくなればなるほど、その表面積対体積率の増大ゆえに増加する。したがって、現代の半導体製造において効率的にかつ損傷を及ぼさないやり方で汚染物質を除去することは、ウエハ洗浄技術の継続的進歩によって満足させるべき絶え間ない挑戦である。フラットパネルディスプレイの製造工程も、当然ながら、上述された集積回路製造と同じ欠点に見舞われる。
【0004】
以上から、汚染物質の除去において効果的で尚かつパターン化ウエハ上の特徴を損傷させないようなパターン化ウエハの洗浄装置と洗浄方法とが必要とされていることがわかる。
【発明の概要】
【0005】
概して、本発明の実施形態は、基板表面から、なかでも特にパターン化基板(またはウエハ)の表面から、粒子を除去するための装置と方法とを提供する。洗浄の装置および方法は、微細な特徴を伴うパターン化基板を基板表面上のそれらの特徴を実質的に損傷させることなく洗浄することにおいて有利である。洗浄の装置および方法は、10,000g/モルを上回るなどの高分子量のポリマ化合物を含む粘弾性洗浄材料を使用することを伴う。粘弾性洗浄材料は、基板表面上の粒子の少なくとも一部を取り込む。十分短い期間にわたって粘弾性洗浄材料に対して力が付与されると、材料は、取り込まれた粒子を伴った粘弾性洗浄材料の除去を促進する固体様の性質を示すようになる。粘弾性洗浄材料の固体様特性にアクセスするためには、短い期間にわたって幾種かの力を付与することが可能である。あるいは、粘弾性洗浄材料は、温度を下げられたときにも固体様の性質を示す。
【0006】
本出願では、基板表面上の特徴を損傷させることなく基板表面上の粒子をどのようにして除去することができるかを示すために、装置および方法の様々な実施形態が説明される。本発明は、システム、方法、およびチャンバを含む数々のやり方で実装することができる。以下で、本発明の幾つかの実施形態が説明される。
【0007】
一実施形態では、基板の表面から粒子を除去する方法が提供される。方法は、基板の表面に洗浄材料の層を吐出することを含む。基板は、基板サポートによって回転され、洗浄材料は、ポリマ化合物を含む粘弾性溶液である。ポリマ化合物は、洗浄溶液に溶解して洗浄材料を形成する。洗浄材料は、基板の表面から粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む。また、方法は、洗浄材料の層を除去するために、基板の表面上の洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することを含む。洗浄材料の層にすすぎ液を吐出する最中または前に、洗浄材料に対してエネルギが付与される。付与されたエネルギは、洗浄材料の固体様応答を増大させ(すなわち高め)て、基板表面からの洗浄材料の除去を促進する。洗浄材料によって取り込まれた粒子の少なくとも一部は、洗浄材料とともに除去される。
【0008】
別の実施形態では、基板の表面から粒子を除去する方法が提供される。方法は、基板の表面に粘弾性洗浄材料の層を吐出することを含む。基板は、基板サポートによって回転される。粘弾性洗浄材料は、基板の表面から粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む。方法は、洗浄材料の層を除去するために、基板の表面上の洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することも含む。洗浄材料の層にすすぎ液を吐出する最中または前に、洗浄材料に対してエネルギが付与される。付与されたエネルギは、洗浄材料の固体様応答を増大させ(すなわち高め)て、基板表面からの洗浄材料の除去を促進する。洗浄材料によって取り込まれた粒子の少なくとも一部は、洗浄材料とともに除去される。
【0009】
さらに別の実施形態では、幾つかの処理スロットを有する装置において基板の表面から粒子を除去する方法が提供される。方法は、基板サポートによって基板を装置の第1の処理スロットへ移動させることを含む。装置の第1の処理スロットは、基板サポートによって、第1の処理スロットよりも下方の処理スロットから分けられる。方法は、基板の表面に粘弾性洗浄材料の層を吐出することも含む。基板は、基板サポートによって回転される。粘弾性洗浄材料は、基板の表面から粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む。
【0010】
方法は、さらに、基板サポートによって基板を装置の第2の処理スロットへ移動させることを含む。装置の第2の処理スロットは、基板サポートによって、第2の処理スロットよりも下方の処理スロットから分けられる。また、方法は、粘弾性洗浄材料の層を除去するために、基板の表面上の洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することを含む。洗浄材料の層にすすぎ液を吐出する最中または前に、洗浄材料に対してエネルギが付与される。付与されたエネルギは、洗浄材料の固体様応答を高めて、基板表面からの洗浄材料の除去を促進する。洗浄材料によって取り込まれた粒子の少なくとも一部は、洗浄材料とともに除去される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付の図面に関連させた以下の詳細な説明によって、容易に理解される。類似の参照符号は、類似の構成要素を示すものとする。
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面上の汚染物質を洗浄するために基板表面に吐出される高分子量のポリマ化合物のポリマを含む粘弾性洗浄材料を示した図である。
【0013】
【図2A】本発明の一実施形態にしたがって、粘弾性洗浄材料を吐出するための装置を示した図である。
【0014】
【図2B】本発明の一実施形態にしたがって、図2Aに示された装置の上面を示した図である。
【0015】
【図2C】本発明の一実施形態にしたがって、基板が1対のローラによって安定して保持されている様子を示した図である。
【0016】
【図3A】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面にすすぎ液を吐出するための装置を示した図である。
【0017】
【図3B】本発明の一実施形態にしたがって、洗浄材料の膜にすすぎ液流が吐出されている様子を示した図である。
【0018】
【図3C】本発明の一実施形態にしたがって、図3Bの領域Aを拡大して示した図である。
【0019】
【図3D】本発明の一実施形態にしたがって、図3Cの領域Bにある洗浄材料の一部がすすぎ液によって除去された後の基板の一部分を示した図である。
【0020】
【図3E】本発明の一実施形態にしたがって、基板から粒子を除去するプロセスフローを示した図である。
【0021】
【図4】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するための統合処理装置を示した図である。
【0022】
【図5A】本発明の一実施形態にしたがって、図3Bの装置と同様な装置であって背面冷却を伴う装置を示した図である。
【0023】
【図5B】本発明の一実施形態にしたがって、基板の表面から粒子を除去するプロセスフローを示した図である。
【0024】
【図6A】本発明の一実施形態にしたがって、吸い込み管をハンドルに取り付けられた装置を示した図である。
【0025】
【図6B】本発明の一実施形態にしたがって、ハンドルに結合された吸い込みヘッドを示した図である。
【0026】
【図6C】本発明の一実施形態にしたがって、吸い込み穴を伴う図6Bの吸い込みヘッドの底面を示した図である。
【0027】
【図6D】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフローを示した図である。
【0028】
【図7A】本発明の一実施形態にしたがって、基板の上方に配された音響共振器ブロックを示した図である。
【0029】
【図7B】本発明の一実施形態にしたがって、基板の上方および下方に配された音響共振器ブロックを示した図である。
【0030】
【図7C】本発明の一実施形態にしたがって、洗浄材料すすぎシステムを示した図である。
【0031】
【図7D】本発明の一実施形態にしたがって、すすぎヘッドの側面を示した図である。
【0032】
【図7E】本発明の一実施形態にしたがって、基板の上方のすすぎヘッドの上面を示した図である。
【0033】
【図7F】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフローを示した図である。
【0034】
【図8】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフローを示した図である。
【0035】
【図9A】本発明の一実施形態にしたがって、すすぎ液を導入するための噴射ジェットヘッドを示した図である。
【0036】
【図9B】本発明の一実施形態にしたがって、すすぎ液の噴射ジェットを施すための装置を示した図である。
【0037】
【図9C】本発明の一実施形態にしたがって、基板を洗浄するプロセスフローを示した図である。
【0038】
【図10】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフローを示した図である。
【0039】
【図11A】本発明の一実施形態にしたがって、A度の振動下にある基板の上面を示した図である。
【0040】
【図11B】本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
表面特徴を損傷させることなくウエハ表面を洗浄するための材料、方法、および装置の実施形態が説明される。本明細書において論じられる洗浄の材料、装置、および方法は、微細な特徴を伴うパターン化基板をそれらの特徴を損傷させることなく洗浄することにおいて有利である。洗浄材料は、流体であって、液相または液/気相のいずれかであり、デバイス特徴の周囲で変形し、したがって、デバイス特徴を損傷させない。10,000g/モルを超えるなどの高分子量のポリマ化合物を含む洗浄材料は、基板上の汚染物質を捕捉する。また、洗浄材料は、汚染物質を取り込み、それらの汚染物質を基板表面に戻らせない。ポリマ鎖の高分子量は、従来の洗浄材料と比べて、微粒子汚染物質の捕捉および取り込みを向上させる。
【0042】
しかしながら、当業者ならば、本発明がこれらの具体的詳細の一部または全部を伴わずとも実施されえることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程の詳細な説明は省略される。
【0043】
本明細書において説明される実施形態は、汚染物質の除去において効果的で尚かつ高アスペクト比の特徴を一部含みえるパターン化ウエハ上の特徴を損傷させないような洗浄装置と洗浄方法とを提供する。これらの実施形態は、半導体洗浄応用に関連した具体例を挙げているが、これらの洗浄応用は、基板からの汚染物質の除去を必要とするあらゆる技術に拡張可能である。
【0044】
65nm、45nm、32nm、22nm、16nm、およびそれ以下の技術ノードなどの先端技術において、最小の特徴は、それぞれのノードのサイズと同程度の幅を有する。デバイス構造の幅は、より多くのデバイスをチップ上の限られた表面積内に収めるために、技術ノードごとにどんどん縮小していく。デバイス構造の高さなどのデバイス構造の高さは、一般に、抵抗率の懸念ゆえに、デバイス特徴の幅に比例して縮小することはない。ポリシリコン配線および金属相互接続などの導電性構造の場合、構造の幅および高さの狭まりは、抵抗率を高くしすぎて大幅なRC遅延を引き起こし、導電性構造に対して過度な熱を発生させることがある。したがって、構造などのデバイス構造は、高アスペクト比を有することになり、これは、構造を、それに付与される力によって損傷されやすくする。一実施形態では、デバイス構造のアスペクト比は、約2またはそれ以上の範囲であってよい。構造に付与される力は、基板表面からの粒子(または汚染物質)の除去を支援するために使用される力を含み、これは、洗浄材料と基板表面との間の任意の相対運動の結果であってよい、または基板表面に洗浄材料もしくはすすぎ液を吐出することに由来してよい。
【0045】
デバイス構造の幅の縮小、およびデバイス構造の比較的高いアスペクト比は、デバイス構造を、力の付与を受けてまたは力の付与によるエネルギの蓄積を受けて崩壊しやすくする。損傷されたデバイス構造は、損傷ゆえに動作不能になって、全体の歩留まりを低下させる可能性がある。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態にしたがって、液状洗浄溶液105と、該洗浄液105に溶解された高分子量のポリマ110とを含む、粘弾性洗浄材料100を示している。一実施形態では、洗浄材料100は、液体状態である。別の実施形態では、洗浄材料100は、ゲルまたはソルである。洗浄材料100は、基板表面111上に粒子を有する基板101に施されたときに、基板101の基板表面111から粒子120I,120IIなどの粒子をそれらの粒子との少なくとも部分的な結合または相互作用によって捕捉して除去する。また、洗浄材料100は、粒子120I,120IIなどの基板表面111から除去された粒子、特徴102上の粒子120Vなどの特徴の表面上の粒子、または粒子120III,120IVなどの洗浄材料100内に存在する粒子を、それらが基板表面111上に落下または堆積しないようにやはりそれらの粒子との少なくとも部分的な結合または相互作用によって取り込む。特徴102上の粒子120Vなどの特徴の表面上の粒子は、特徴の側壁(不図示)上にもありえる。高分子量のポリマを含む洗浄材料の詳細は、2008年6月2日に出願され「Materials for Particle Removal by Single-Phase and Two-Phase Media(単相媒体および二相媒体による粒子除去のための材料)」と題された同一出願人による米国特許出願第12/131,654号で説明されている。該出願は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる。
【0047】
基板表面111上の粒子120I,120IIなどの粒子の取り込みを可能にし、それらの粒子を基板表面111から除去するためには、ポリマ110は、基板表面111上の粒子120I,120IIなどの粒子にごく接近する必要がある。ポリマ110と粒子120I,120IIとの間の引力の合計が、それらの粒子と基板表面111との間の力よりも強い場合は、洗浄材料100内のポリマ110は、粒子120I,120IIを基板表面111から排除する。
【0048】
一実施形態では、(1つまたは2つ以上の)ポリマを伴う溶液である洗浄材料100は、粘弾性の特質を示す。基板表面111に洗浄材料100が施されて粒子と接触した後は、洗浄材料100および粒子を基板表面111から除去する必要がある。基板表面111から洗浄材料100を除去するには、幾つかのやり方がある。例えば、基板表面111から洗浄材料100を除去するために、洗浄材料100に対して力を付与することができる。付与された力と、その付与された力の時間スケールとに応じて、粘弾性洗浄材料は、液体様応答または固体様応答のいずれかを有する。もし付与された力の時間スケールが、粘弾性洗浄材料の特徴的時間のスケール(characteristic time scale)よりも短い場合は、粘弾性洗浄材料は、固体様応答を示す。粘弾性洗浄材料は、固体のように振る舞い、液体のように流れることはない。「固体様」粘弾性洗浄材料は、無定形の結晶質物質のように剛性でかつ非変形性であってよい、またはゴム(弾性様)もしくは金属のように変形性であってよい。
【0049】
粘弾性洗浄材料の特徴的時間(characteristic time)は、材料に対して付与される、力、応力、または高温もしくは低温への暴露(加熱もしくは冷却)などの外部エネルギに対して粘弾性洗浄材料が応答するための応答時間(すなわち特徴的応答時間)である。付与される外部エネルギは、外部エネルギに曝されている(1つまたは2つ以上の)場所に一時的に保存され、付与された外部エネルギに対して粘弾性洗浄材料が応答するには、または粘弾性洗浄材料が外部エネルギを拡散させるには、ある長さの時間(すなわち特徴的応答時間)がかかる。付与された外力または外部エネルギの時間スケールが、特徴的応答時間よりも短いときは、粘弾性洗浄材料は、付与されている外力または外部エネルギに対して応答するのに十分な時間を有さない。粘弾性洗浄材料は、したがって、固体のように振る舞うであろう。
【0050】
反対に、もし付与された力の時間スケールが、粘弾性洗浄材料の特徴的時間のスケールよりも長い場合は、粘弾性洗浄材料は、液体様応答を示す。粘弾性洗浄材料は、したがって、液体のように振る舞うであろう。比較的短い時間スケールでの力の付与の非限定的な例として、基板に接触している粘弾性材料に対して接線方向にせん断流を付与すること、粘弾性材料に対して垂直に吸い込み流を付与すること、粘弾性材料に対して垂直に噴射ジェットなどの衝突流を付与すること、または粘弾性材料に直接的に、もしくは気体、液体、もしくは基板自体などの固体などの媒体を通じて間接的に音響力を付与すること、または機械的に誘発される振動流を付与することが挙げられる。
【0051】
固体様応答の大きさは、通常、さらに短い時間スケールで力を付与することによって増す。粘弾性洗浄材料の特徴的時間スケールは、ポリマ化合物の濃度または化学的もしくは構造的特定、およびポリマ化合物を溶解させる洗浄溶液の濃度または化学的もしくは構造的特性を変化させるなどの、様々なやり方で調整することができる。さらに、粘弾性洗浄材料の特徴的時間は、粘弾性洗浄材料の温度を下げることによって短くする、または粘弾性洗浄材料の温度を上げることによって長くすることができる。粘弾性洗浄材料は、材料の固体様特性に対するアクセスをより容易にするために、力の付与とあわせて冷却することができる。さらに、粘弾性洗浄材料の特徴的時間および固体様応答の大きさは、ポリマ成分の濃度を調整することによって変えることができる。力の付与とあわせた、粘弾性洗浄材料内のポリマ成分の高濃度化は、材料の固体様特性に対するアクセスをより容易にする。
【0052】
図1に示されるように、基板101の表面から粒子を除去するために基板に洗浄材料100を施すには、多くのやり方がある。一実施形態では、洗浄材料は、基板がその中心を軸にして回転されている間に、基板に吐出される。基板に洗浄材料が吐出された後、洗浄材料は、基板表面上の粒子を、それらの粒子との少なくとも部分的な結合または相互作用によって捕捉して取り込む。図2Aは、上述された洗浄材料100と同様な粘弾性洗浄材料230を基板表面に吐出するための装置200の一実施形態を示している。基板201は、基板サポート210の上に配される。一実施形態では、基板サポート210は、真空によって基板201を固定する真空チャックである。基板サポート210は、基板サポート210の中心近くのアクスル215に結合されている。アクスル215は、機械的手段(不図示)によって回転される。余剰の(すなわち溢れ出た)洗浄材料を受けるために、容器260が基板サポート210および基板201を取り巻いている。基板201および基板サポート210の上方には、基板表面205に洗浄材料230を吐出する洗浄材料吐出器220がある。洗浄材料230は、基板表面205上に薄膜240を形成する。一実施形態では、洗浄材料吐出器220のノズル225は、基板201の表面205の中心を指している。一実施形態では、基板は、約0rpmから約1000rpm(回転数毎分)の間の速度で回転している。別の実施形態では、回転速度は、約0rpmから約500rpmの間である。さらに別の実施形態では、回転速度は、約50rpmから約300rpmの間である。
【0053】
一実施形態では、洗浄材料吐出器220のアーム226は、基板201の表面205を掃く(sweep across)。図2Bは、本発明の一実施形態にしたがって、装置200の上面を示している。図2Bに示された実施形態では、アーム226は、弧229に沿って基板201の表面を掃く。アーム226が基板201を掃くときに、基板201は、その中心を軸にして回転する。基板210の回転およびアーム226の掃く動作により、洗浄材料は、基板表面全体に吐出される。一実施形態では、アーム226の掃く動作(または搖動)の速度は、約0rpmから約1000rpmの間である。別の実施形態では、掃く動作の速度は、約0rpmから約300rpmの間である。さらに別の実施形態では、掃く動作の速度は、約10rpmから約100rpmの間である。
【0054】
一実施形態では、基板に洗浄材料の膜を吐出するのにかかる時間は、約10秒から約120秒の間である。別の実施形態では、洗浄材料の膜を吐出するのにかかる時間は、約10秒から約60秒の間である。さらに別の実施形態では、基板表面に洗浄材料の膜を吐出するのにかかる時間は、約20秒から約40秒の間である。
【0055】
一実施形態では、吐出ノズル225からの洗浄材料の流量は、約0ml/分から約1000ml/分の間である。別の実施形態では、洗浄材料の流量は、約25ml/分から約500ml/分の間である。さらに別の実施形態では、洗浄材料の流量は、約50ml/分から約300ml/分の間である。
【0056】
もしアーム226が、基板201の中心でのみ洗浄材料を吐出するように静止したままである場合は、洗浄材料は、基板の回転および洗浄材料の流動性によって、基板201の表面205全体に広がることができる。
【0057】
洗浄材料は、基板の(1つまたは複数の)表面上の粒子を除去するために、基板の前側(デバイス側)、基板の裏側、または基板の両側に吐出することができる。
【0058】
スピンしている基板に流動性洗浄材料を吐出するために、基板を図2Aの基板サポート210のような基板サポートの上に配する必要はなく、基板は、ローラ、グリッパ、ピン、またはその他のタイプの基板固定手段によって保持することができる。図2Cは、基板201’が1対のローラ250,251および250’,251’によって安定して保持されている様子の一実施形態を示している。基板201’は、ローラの回転運動によって回転される。ローラ250およびローラ251は、これら2つのローラの間で基板201’の縁を(紙面から出る)方向256に押すために、ローラ250が円方向252(反時計回り)に回転するとともにローラ251が円方向253(時計回り)に回転する。ローラ250’およびローラ251’は、これら2つのローラの間で基板の縁を(紙面に入る)方向257に押すために、ローラ250’が円方向254(時計回り)に回転するとともにローラ251’が円方向255(反時計回り)に回転する。ローラ250,251,250’,251’は、基板201’を時計周りに回転移動させる。
【0059】
現発明において説明される方法および装置の実施形態は、洗浄材料の粘弾性を利用することを伴う。上で言及されたように、十分高速で外力が付与されたときに、粘弾性洗浄材料は、取り込まれた微粒子汚染物質を伴った粘弾性洗浄材料の基板表面からの除去を促進する固体様応答を示す。力の付与とあわせた粘弾性洗浄材料の冷却は、固体様応答に対するアクセスをより容易にする。
【0060】
図3Aは、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面にすすぎ液330を吐出するための装置300を示している。基板301は、基板サポート310の上に配される。一実施形態では、基板サポート310は、真空によって基板301を固定する真空チャックである。基板サポート310は、基板サポート310の中心近くのアクスル315に結合されている。アクスル315は、機械的手段(不図示)によって回転される。基板301および基板サポート310の上方には、洗浄材料の薄膜340を有する基板301の表面305にすすぎ液330を吐出するすすぎ液吐出器320がある。すすぎ液は、脱イオン水(DIW)、またはN2、CO2、もしくは空気などの(1つもしくは複数の)ガスを伴うガス化水(もしくはDIW)、または脱酸素化DIW、または表面活性剤、腐食防止剤、もしくはキレート剤などの添加剤を伴うDIWであってよい。あるいは、すすぎ液は、APM(アンモニア−過酸化水素混合、SC1とも呼ばれる)、SC−2(Standard Clean-2、主要ケミカルはHCl)、HF、H2SO4、NH4OH、SPM(硫酸−過酸化水素混合物)、H22、およびDSP(希硫酸−過酸化水素混合物)なども含むことができる。
【0061】
一実施形態では、洗浄材料吐出器320のノズル325は、基板306の中心を指している。余剰の(すなわち溢れ出た)すすぎ液と、除去された粒子を伴って除去された洗浄材料とを受けるために、容器360が基板サポート310および基板301を取り巻いている。一実施形態では、基板サポート310は、図2Aの基板サポート210であり、これは、基板201が、洗浄材料吐出工程後、同じ装置においてすすぎ液を施されるために基板サポート210の上にとどまることを意味する。このような一実施形態では、装置200は、すすぎ液を施すための別のアームを有する。
【0062】
すすぎ工程中、基板は、約0rpmから約1000rpm(回転数毎分)の間の速度で回転している。別の実施形態では、回転速度は、約0rpmから約500rpmの間である。さらに別の実施形態では、回転速度は、約50rpmから約300rpmの間である。一実施形態では、洗浄材料吐出器320のアーム326は、図2Aのアーム226と同様なやり方で、洗浄材料301の表面305を掃く。一実施形態では、吐出ノズル325からの洗浄材料の流量は、約0ml/分から約1000ml/分の間である。別の実施形態では、洗浄材料の流量は、約0ml/分から約500ml/分の間である。さらに別の実施形態では、洗浄材料の流量は、約50ml/分から約300ml/分の間である。
【0063】
図3Bは、本発明の一実施形態にしたがって、洗浄材料340の膜に脱イオン水(DIW)などのすすぎ液350流が吐出されている様子を示している。すすぎ液350流は、基板が回転されている間に、基板表面に導入される。すすぎ液450は、洗浄材料の表面上における点306を取り巻く領域に力FJを付与する。図3Cは、本発明の一実施形態にしたがって、図3Bの領域Aの拡大図を示している。すすぎ液350は、洗浄材料の表面にぶつかった後、洗浄材料340の表面341に沿って流れ、点306の右側にFS1を、点306の左側にFS2を導入する。FJ、FS1、およびFS2によって導入された力は、点351を取り巻く領域Bの洗浄材料340を、「固体様」(またはほぼ固体様)にする。
【0064】
領域C1,C2などのその他の領域の洗浄材料340は、直接には固体様の性質を示さない。FJ、FS1、およびFS2によって導入された力は、液体様応答を誘発し、材料を、それがあたかも領域Bによって排除されるかのように流れさせる。領域Bの洗浄材料は、固体様である。領域Bと基板401との間の(固体対固体)境界353からの固体様洗浄材料の除去は、基板表面からの粒子除去の効率を向上させる。
【0065】
領域Bの洗浄材料340は、基板301の表面411から容易に持ち上げられる。すすぎ液の力は、固体様応答を活性化し、洗浄材料および取り込まれた微粒子汚染物質を基板310の表面341から持ち上げるのに必要なエネルギを伝える。洗浄材料の一部が基板表面から持ち上がった後、すすぎ液350は、洗浄材料を基板表面から除去するために洗浄材料に対して引き続き力を作用させる。図3Dは、図3Cの領域Bにある洗浄材料の一部がすすぎ液350によって除去された後の基板301の一部分の一実施形態を示している。領域Bは、右側の領域B1および左側の領域B2を残すのみである。すすぎ液350は、洗浄材料340に対して力FJ、FS1、およびFS2を作用させ続けるので、これらの力は、引き続き右の「固体様」領域B1を拡大させて領域C1を領域C1’に縮小させる。左側では、「固体様」エリアが拡大する間にC2がC2’に縮小する。すすぎ液が洗浄材料340に対して力を付与し続けるにつれ、領域B1,B2を含む「固体様」洗浄材料は、基板表面から除去されるであろう。このようにして、洗浄材料は、基板表面から除去される。洗浄材料が基板表面から除去されるときに、基板表面上の粒子は、洗浄材料とともに基板表面から除去される。上で言及されたように、粒子は、洗浄材料に捕捉され取り込まれる。
【0066】
すすぎ液350が基板表面から洗浄材料340を除去した後、一実施形態では、全てのすすぎ液を基板表面から振り払うための、回転による追加の乾燥工程がある。基板は、図3Aに示されるものと同じメカニズムによって回転させられるように、基板サポート310の上にとどまることができる。別の実施形態では、回転による乾燥工程を実施するために、基板を別の回転システムまたは回転チャンバに移動させることができる。回転による乾燥工程において、一実施形態では、回転速度は、約100rpmから約5000rpmの間である。別の実施形態では、回転速度は、約500rpmから約3000rpmの間である。さらに別の実施形態では、回転速度は、約1000rpmから約2500rpmの間である。一実施形態では、乾燥工程の持続時間は、約10秒間から約90秒間の間である。別の実施形態では、回転の持続時間は、約20秒間から約60秒間の間である。さらに別の実施形態では、回転の持続時間は、約30秒間から約60秒間の間である。あるいは、乾燥工程は、液体イソプロピルアルコール(IPA)もしくはIPAと水との混合などの乾燥支援液、または気相IPAもしくは乾燥支援蒸気と1つもしくは複数の不活性ガスとの混合などの乾燥支援蒸気を施すことによって支援されてよい。例えば、1つもしくは複数の不活性ガスは、N2、O2、Ar、空気、またはHeであってよい。
【0067】
洗浄材料の粘弾性を用いてパターン化ウエハまたはブランクウエハでありえる基板上の粒子を除去するための方法および装置の例が、以下で説明される。
【0068】
方法1:
上で言及されたように、粘弾性洗浄材料は、基板がその中心を軸にして回転されている間に、基板に吐出される。基板に洗浄材料が吐出された後、洗浄材料は、基板表面上の粒子をそれらの粒子との少なくとも部分的な結合または相互作用によって捕捉して取り込む。洗浄材料の吐出は、基板301の表面305上に洗浄材料の均一な膜を形成させる。基板の回転速度および洗浄材料の流量の制御は、基板表面上に洗浄材料を均一にかつ薄くコーティングすることを可能にする。例えば、膜の厚さは、約500オングストロームもの薄さであってよい。洗浄材料の薄膜は、洗浄溶液の蒸発に起因して粘弾性成分(ポリマ)の濃度が上昇することを可能にする。洗浄溶液内の揮発性成分の蒸発速度は、粘弾性成分の濃度に影響を及ぼすように調整することができる。洗浄材料の粘弾性成分の濃度の上昇は、洗浄材料の固体様特性を増大させ、これは、取り込まれた粒子を伴った洗浄材料の基板表面からの除去を促進する。蒸発によって洗浄材料の粘弾性成分を増加させるべく基板表面上に洗浄材料の極薄の膜を堆積させることによって、より単純な設計の洗浄材料吐出システムが可能になる。高濃度のポリマ成分を伴う洗浄材料吐出システムの設計は、洗浄材料の高粘性ゆえに、より複雑である。
【0069】
洗浄材料は、基板がその中心を軸にして回転されている間に基板表面に吐出されえるすすぎ液によって、基板表面から除去することができる。すすぎ液は、洗浄材料に施される間に、膜の粘性をさらに増大させるために洗浄材料に対して外力を行使することができる。
【0070】
図3Eは、本発明の一実施形態にしたがって、基板から粒子を除去するプロセスフロー370を示している。工程371では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程372では、回転中の基板にすすぎ液が施される。上述されたように、この工程では、すすぎ液によって付与された力が洗浄材料を「固体様」にし、これは、取り込まれた粒子を伴った洗浄材料の基板表面からの除去を促進する。その後、工程374では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程374に先立って、随意の工程373において、液体イソプロピルアルコール(IPA)もしくはIPAと水との混合などの乾燥支援液、または気相IPAもしくは気相IPAとN2ガスとの混合などの乾燥支援蒸気が基板に施される。
【0071】
上述された方法の実施形態は、洗浄材料を施すこと、すすぎ液を施すこと、乾燥を行うこと、および随意として乾燥支援液を施すことを伴い、これらは全て、スピン装置において実施される。図2Aの装置のような、洗浄材料を施すためのスピン装置と、図3Aの装置のような、基板表面から洗浄材料を除去するためにすすぎ液を施すための装置とは、別々の装置である。上述された工程373,374のためのスピン乾燥装置もやはり、図2Aおよび図3Aの装置と同様である。上述されたプロセスフロー370の実施形態では、基板は、(洗浄材料を吐出するための)装置200から(すすぎ液を吐出するための)装置300へ、そして(装置200,300と同様な)別の乾燥装置へ移動させることができる、または洗浄材料の吐出、すすぎ液の吐出、および乾燥を、1つの装置において実施することができる。プロセスフロー370の各プロセス工程のそれぞれ異なる装置における実施は、廃棄物がより容易に再生利用されることを可能にする。しかしながら、装置から装置への基板の移動は、時間がかかるうえに場所をとる。他方、プロセスフロー370の各種プロセス工程の1つの装置における実施は、廃棄物の再生利用をより複雑にする。
【0072】
図4は、基板表面から粒子を除去するための統合処理装置480の一実施形態を示している。一実施形態では、プロセスフロー470全体を、統合処理装置480において実施することができる。装置480は、チャンバサポート481の上に載せられたプロセスチャンバ490を有する。プロセスチャンバ490は、スロット484,485,486などの幾つかの処理スロットを有する。アクスル482は、基板サポート483(またはチャック)に結合されている。アクスル482は、基板サポート483を回転させるように、および基板サポート483を上下に移動させて基板495を異なる処理スロット内に配置するように構成される。異なる処理スロットは、傾斜リング491,492,493などの傾斜リングによって分けられる。傾斜リング491,492,493は、異なる処理スロット内の洗浄材料、すすぎ液、および乾燥支援液などの余剰な流体が基板495および基板サポート483の露出面から流れ去ることを可能にするように傾斜されている。各処理スロットの最下位置には、排出口496,497,498などの排出口がある。排出口496,497,498は、再生利用システム(不図示)を満たすために、それぞれ排出管487,488,489に結合されている。
【0073】
基板洗浄において、基板は、1つの工程のための1つの処理スロットから別の工程のための別の処理スロットへ移動される。例えば、基板495は、洗浄材料供給ライン476を通じて施される洗浄材料を受けるために、アクスル482によってスロット484へ移動される。一実施形態では、基板サポート483の上面475は、点線479の高さへ移動され、基板サポート483の縁は、処理スロット484をその下方の処理スロット485と分けるために、傾斜リング491の縁に実質的に接触する。基板サポート483の縁と、傾斜リング491の縁との間の密接な接触は、洗浄材料が下方の処理スロット485,486に漏れ出るのを阻止する。一実施形態では、傾斜リング491は、傾斜リング491を開閉させるために方向461に移動することができ、これは、基板サポート483が自由に移動することを可能にし、また、傾斜リング491が基板サポート483に密接に接触することも可能にする。その他の傾斜リング492,493も、やはり、傾斜リング491と同様な方式で移動することができる。基板サポート483は、基板495を、処理スロット485,486内において処理されるように同様な方式で移動させることもできる。
【0074】
一実施形態では、基板495は、洗浄材料を施された後、基板表面上の洗浄材料および粒子を除去するために、供給ライン477を通じて供給されえるすすぎ液を受けるために処理スロット485へ移動される。その後、基板495は、乾燥のために、処理スロット486へ移動させることができる。乾燥支援液は、供給ライン478を通じて施すことが可能である。上で言及されたように、基板495は、基板サポート483およびスピンアクスル482の支援によって、各種の処理工程においてスピン(または回転)する。
【0075】
方法2:
上で言及されたように、粘弾性材料(または粘弾性溶液)は、その温度が下がると固体様特性が増す。温度の低下は、粘弾性材料の特徴的時間を長くする。固体様応答の増大にともなって、すすぎ液によって付与される力を低減することができ、これは、基板表面上のデバイス特徴を損傷させるリスクを小さくする。固体様の性質を増大させるために洗浄材料を冷却する度合は、粘弾性洗浄材料の特定の性質に依存する。一実施形態では、洗浄材料の温度は、約0℃から約50℃の間の温度である。別の実施形態では、洗浄材料の温度は、約0℃から約30℃の間である。さらに別の実施形態では、洗浄材料の温度は、約10〜20℃である。
【0076】
ここで説明される方法2による基板洗浄のための装置および方法は、すすぎ工程中に洗浄材料の温度を下げることを除き、方法1によるものと同様である。一実施形態では、洗浄材料の温度は、図3Aの基板サポート310と同様な基板サポートを冷却することによって下げられる。基板サポートが冷却されると、基板301および基板上の洗浄材料340もまた、冷却される。一実施形態では、基板サポート310と同様な基板サポートは、冷却液を流す冷却管を埋め込まれている。あるいは、基板サポート310と同様な基板サポートの裏側、または図2Bの基板201’と同様な基板の裏側が、基板の温度および洗浄材料の温度を下げるために、冷却液を吹き付けられる。冷却液の例として、低温水や低蒸発温度アルコールなどが挙げられる。
【0077】
図5Aは、本発明の一実施形態にしたがって、図2Bの装置と同様な装置であって背面冷却を伴う装置を示している。基板501の前側には、すすぎ液吐出器520を使用して基板表面に施された洗浄材料の層540がある。基板501の裏側には、基板501および洗浄材料の層540を冷却するために基板の裏側に冷却液の噴流535を吐出する冷却液吐出器530がある。一実施形態では、冷却液は、基板501が回転中である間に吐出される。一実施形態では、冷却液吐出器530は、図3Aの洗浄材料吐出アーム320の掃く動作と同様なやり方で基板の底面を掃く。あるいは、基板の裏側は、空気、N2、O2、Ar、およびHeなどの冷却されたガスによって冷却することができる。
【0078】
冷却液は、洗浄材料の吐出の最中にまたは洗浄材料が基板に吐出された後に、基板の裏側に施すことができる。洗浄材料が基板に吐出された後における基板の裏側への冷却液の吐出は、洗浄材料の吐出に影響を及ぼさない、すなわち洗浄材料の吐出を減速させないという利点を有する。上述されたように、洗浄材料は、冷却されるとその粘性が増し、これは、洗浄材料を基板表面全体に広がりにくくする。
【0079】
別の実施形態では、基板は、すすぎ工程の最中に冷却される。基板は、上述された方法および装置によって冷却することができる。例えば、冷却液を、基板の裏側に施すことができる。一実施形態では、基板は、基板表面にすすぎ液が施される前に冷却される。別の実施形態では、基板は、すすぎ工程の前および最中に冷却される。別の実施形態では、基板は、洗浄材料が施される最中およびすすぎ液が施される最中に冷却されるなどのように、プロセス工程の組み合わせによって冷却される。さらに別の実施形態では、すすぎ液は、冷却されたすすぎ液を基板表面に施すことによって冷却される。上述されたように、洗浄材料は、冷却されるとその固体様特性が増し、これは、基板表面を均一にコーティングすることおよび高粘性の洗浄材料を吐出することをいっそう複雑にする。粘弾性洗浄料液が冷却されたときの、その「固体様」特性または弾性は、基板表面上の微細な特徴を損傷させることなく粒子を除去することを可能にする。
【0080】
図5Bは、本発明の一実施形態にしたがって、基板の表面から粒子を除去するプロセスフロー510を示している。工程511では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程512では、洗浄材料の固体様特性を増大させるために、基板の裏側が冷却される。一実施形態では、基板の冷却は、洗浄材料をより「固体様」にまたはより弾性に、したがって洗浄液によってより除去しやすくする。一実施形態では、基板の冷却は、基板の裏側に冷却液を施すことによって達成することができる。その他の実施形態も、可能である。その後、工程513では、冷却された洗浄材料を除去するために、冷却された基板にすすぎ液が施される。一実施形態では、すすぎ液は、固体様である洗浄材料を壊して基板表面から除去するために、その洗浄材料に対して力を付与する。一実施形態では、基板は、すすぎ工程の最中に冷却される。別の実施形態では、基板の冷却は、洗浄材料を固体様にするのに十分でない。すすぎ液によって導入された力は、すすぎ液が施される地点の近くの洗浄材料を固体様にし、すすぎ液は、その固体様の洗浄材料を基板表面から除去する。その後、工程515では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程515に先立って、随意の工程514において、IPAまたはN2を伴うIPAなどの乾燥支援液が基板に施される。
【0081】
上述されたプロセスフロー510の実施形態は、図4Fの装置480と同様な装置にも適用することができる。基板サポート483は、基板495および基板495の表面上の洗浄材料の温度を低く維持するために冷却することができる。
【0082】
方法3:
上で言及されたように、粘弾性洗浄材料に対する力の付与は、洗浄材料の固体様特性を増大させ、これは、取り込まれた粒子を伴った洗浄材料の基板表面からの除去を促進する。洗浄材料に対する吸い込み力の付与は、洗浄材料の固体様特性を大幅に増大させる。図6Aは、本発明の一実施形態にしたがって、ハンドル660に吸い込み管620を取り付けられた装置600を示している。吸い込み管620の延長部分を内側に有するハンドル660は、真空ポンプ650に結合されている。吸い込み管620の端には、洗浄材料の層640の近くに位置決めされた吸い込み口625がある。洗浄材料の層640は、基板サポート610の上に配された基板601の表面上にある。基板サポート610は、アクスル615に結合され、該アクスル615は、アクスル615および基板サポート610を回転させるための回転メカニズムに結合されている。工程中、基板610は、回転し、吸い込み管620は、ハンドル660の手によって基板表面を掃く。吸い込み口625において吸い込み管620によって付与される吸い込み力626は、吸い込み口の下にある洗浄材料の固体様特性を増大させ、これは、洗浄材料を基板表面から引き離されやすくする。吸い込み管620が基板表面を横切るにつれ、洗浄材料の層640は、取り込まれた基板表面上の粒子とともに基板表面から除去される。洗浄材料が基板表面から除去された後は、基板表面上のあらゆる残渣をすすぎ落とすために、本発明の一実施形態にしたがって、DIWなどのすすぎ液が施される。
【0083】
一実施形態では、吸い込み流量は、約0slm(標準リットル毎分)気流から約1000slm気流の間である。別の実施形態では、吸い込み流量は、50slm気流から約500slm気流の間である。さらに別の実施形態では、吸い込み流量は、約100slm気流から約500slm気流の間である。図6Aに示された実施形態は、1つの吸い込み口625を伴う1本の吸い込み管620のみを用いている。あるいは、基板表面から洗浄材料を除去するために同時に機能する幾本かの吸い込み管があってもよい。さらに、吸い込み装置は、洗浄材料を除去するために使用される幾つかの吸い込み口を伴う吸い込みヘッドであってよい。図6Bは、ハンドル660に結合された吸い込みヘッド623の一実施形態を示している。図6Cは、本発明の一実施形態にしたがって、吸い込み穴を伴う吸い込みヘッド623の底面を示している。吸い込みヘッド623は、一列に並んだ吸い込み穴625I,625II,625III,625IV,625Vなどの幾つかの吸い込み穴を有する。本明細書において説明された洗浄材料と同様な粘弾性洗浄材料を除去するために吸い込み力を使用する、プロキシミティヘッドなどのその他のタイプの装置の説明は、2009年3月10日に出願され「Method of Particle Contaminant Removal(粒子汚染物質除去の方法)」と題された米国特許出願第12/401590号で見ることができる。この出願の開示内容は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0084】
図6Dは、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフロー670を示している。工程671では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程672では、基板表面から洗浄材料を除去するために、洗浄材料に対して吸い込み力が付与される。付与された吸い込み力は、洗浄材料の「固体様」特性を増大させ、これは、洗浄材料を除去しやすくする。その後、工程673では、あらゆる残留残渣を除去するために、回転中の基板にすすぎ液が施される。その後、工程675では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程675に先立って、随意の工程674において、乾燥支援液が基板に施される。
【0085】
あるいは、乾燥工程は、液体イソプロピルアルコール(IPA)もしくはIPAと水との混合などの乾燥支援液、または気相IPAもしくは気相IPAとN2ガスとの混合などの乾燥支援蒸気を施すことによって支援することができる。
【0086】
上述されたプロセスフロー670の実施形態は、図4Fの装置480と同様な装置にも適用することができる。洗浄材料に対する吸い込み力の付与は、図4Fの装置480と同様な装置の処理スロットの1つにおいて実施することができる。
【0087】
方法4:
上で言及されたように、粘弾性洗浄材料に対する力またはエネルギの付与は、洗浄材料の固体様応答を増大させる。粘弾性洗浄材料に対する比較的低周波数の音響力の付与は、洗浄材料の固体様応答を増大させる。一実施形態では、低周波音響力の付与は、洗浄材料を固体様に尚かつ除去しやすくする。一実施形態では、音響周波数範囲は、粘弾性洗浄材料の特徴的時間の逆数を超える。特徴的時間(すなわち緩和時間)は、付与された力などの変化に対して洗浄材料が応答するのにかかる時間である。例えば、もし粘弾性洗浄材料が1秒の特徴的時間を有する場合は、音響力の周波数は、1Hzを超えなければならない。
【0088】
一実施形態では、洗浄材料に対して付与される音響エネルギの周波数は、約1Hzから約1000Hzの間である。別の実施形態では、洗浄材料に対して付与される音響エネルギの周波数は、約10Hzから約500Hzの間である。さらに別の実施形態では、洗浄材料に対して付与される音響エネルギの周波数は、約10Hzから約100Hzの間である。音響エネルギは、低周波数で導入されるときに、侵入深さが大きいという利点を有する。したがって、侵入深さを最大限にするには、特徴的時間の逆数を超えてはいるが大きすぎではないような(1つまたは複数の)周波数を選ぶことが重要である。
【0089】
基板に対して音響エネルギを付与することができる任意の手段が使用可能である。例えば、手段(すなわち装置)は、音響スピーカであってよい。別の実施形態では、音響エネルギを付与するための装置は、固有周波数を有するまたは粘弾性洗浄材料の特徴的時間のスペクトルに一致するように選ばれたテーラード周波数を伴う広域スペクトルを有する板状のまたは棒状の音響共振器である。一実施形態では、音響共振器板が、基板の表面全体を覆っている。図7Aは、洗浄材料の層740を有する基板710の上方に配された音響共振器ブロック720の一実施形態を示している。基板710は、アクスル715によって回転される基板サポート710の上に配される。音響共振器ブロック720は、洗浄材料の層740に対して音波726を放つ。音響共振器ブロック720は、アーム760によって保持されている。アーム760は、基板710が回転している間に、音響共振器ブロック720を移動させて基板表面を掃かせる。掃く音響共振器ブロックの動きと、回転する基板の動きとの組み合わせは、音響共振器ブロック720が基板701の表面全体に対して音響エネルギを伝える(または放つ)ことを可能にする。音響エネルギは、洗浄材料を除去するためにすすぎ液が基板に施される前および/または最中に、洗浄材料に対して付与することができる。すすぎ液は、音響エネルギに暴露されたかつ/または暴露されている洗浄材料に施され、このとき、音響エネルギは、洗浄材料の除去を容易にするために、洗浄材料の固体様特性を増大させている。洗浄材料に対する音響エネルギの効果は、一時的に過ぎず、したがって、すすぎ液は、音響エネルギによる処理を経た洗浄材料に、そのすぐ後に施される必要がある。そうでない場合は、音響エネルギは、すすぎ工程の最中に施されることが望ましい。
【0090】
一実施形態では、洗浄材料に対して音響エネルギを付与する持続時間は、約5秒間から約90秒間の間である。別の実施形態では、洗浄材料に対して音響エネルギを付与する持続時間は、約10秒間から約60秒間の間である。さらに別の実施形態では、洗浄材料に対して音響エネルギを付与する持続時間は、約15秒間から約45秒間の間である。
【0091】
音響共振棒(またはブロックまたは板)は、基板に洗浄材料が吐出される最中または後に、基板の上方および/または下方に配することができる。もし音響共振棒が基板の下方に置かれた場合は、音響共振棒によって放たれた音響エネルギは、基板を貫通して基板の前側の洗浄材料に到達することができる。図7Aの図は、基板710の前側の上方に配された音響共振棒720を示している。あるいは、基板701’の裏側の下方に、図7Bの音響共振棒720”のような音響共振棒を配することができる。別の実施形態では、洗浄材料に弾性エネルギを導入して膜特性を変化させるために、基板701’の上方に1本の音響共振棒720’を、基板701’の下方に別の音響共振棒720”を同時に配することができる。
【0092】
音響エネルギは、洗浄材料のすすぎの前および/または最中に導入することができる。図7Cは、本発明の一実施形態にしたがって、洗浄材料すすぎシステム730を示している。表面上に洗浄材料の層を有する基板701が、基板サポート710によって支えられる。支えられた基板は、アクスル715によって回転されている。システム730は、すすぎアーム704を有するすすぎ液吐出システム703を有する。すすぎアーム704は、基板表面にすすぎ液を吐出する。基板表面を掃くことができるすすぎアーム704は、すすぎアーム704に対して制御、機械的力、およびすすぎ液を提供するシステム705に結合されている。一実施形態では、システム705は、流量などのすすぎ液の吐出とすすぎアーム704の位置とを制御する別個のコントローラ706によって制御される。システム730には、音響共振棒(ARB)720がある。ARBの位置(および動き)は、コントローラ709によって制御される。ARB720の周波数は、コンピュータ707に結合された周波数コントローラ708によって制御される。コンピュータ707は、洗浄材料の弾性を増大させるのに最適な(1つまたは複数の)周波数を決定するために、洗浄材料の(1つまたは複数の)特徴的時間などの洗浄材料の性質の入力を受ける。上で言及されたように、ARBによって放たれる(1つまたは複数の)周波数は、粘弾性洗浄材料内における特徴的時間のスペクトルに一致するように選ばれたテーラード周波数を伴う広域スペクトルであってよい。一実施形態では、コントローラ708,709は、ARB720のための制御システム711に結合されている。
【0093】
上で言及されたように、音響エネルギによる処理を経た洗浄材料は、処理の効果が時間の経過とともに散逸することがないように、音響エネルギ処理のすぐ後にすすがれることが望ましい。図7Dは、本発明の一実施形態にしたがって、すすぎ液吐出器722と、該すすぎ液吐出器722を取り巻く環状の音響共振ブロック723とを有するすすぎヘッド721の側面図である。すすぎ液は、音響エネルギによって処理されている領域に吹き付けられる。図7Eは、基板701の上方にあるすすぎヘッド721の上面の一実施形態を示している。すすぎヘッド721は、システム725に結合されたアーム724によって保持され、システム725は、すすぎ液を供給するとともに、すすぎ液の流量や音響共振ブロック723の周波数を含むアーム724およびすすぎヘッド721に対する制御を提供する。アーム724は、基板701が基板701の軸を中心にしてスピン(または回転)している間に、基板701を掃く。
【0094】
図7Fは、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフロー770を示している。工程771では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程772では、洗浄材料の弾性を増大させるために、洗浄材料に対して音響エネルギが付与される。工程773では、音響エネルギによる処理を経た洗浄材料を除去するために、回転中の基板にすすぎ液が施される。一実施形態では、工程772の音響エネルギは、すすぎ工程の最中も引き続き洗浄材料に付与される。別の実施形態では、工程772がなく、その代わり、音響エネルギは、工程773でのみ付与される。その後、工程775では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程775に先立って、随意の工程774において、乾燥支援液が基板に施される。
【0095】
方法5:
回転(またはスピン)している基板に洗浄材料が吐出されるときに、洗浄材料は、基板表面上の堆積されるべき基板表面を湿らせる。もし基板方面が、基板表面を湿らせる液体によって先ず処理されれば、洗浄材料の吐出は、より容易にかつより一様になるであろう。粘弾性洗浄材料の吐出に先立つ液体による基板の前処理は、基板の表面への粘弾性洗浄材料の吐出を助ける。液体は、表面の親水性を制御するもしくは水素イオン指数(pH)によってゼータ電位を調整するなどのように表面を化学的に調整する、または洗浄材料−空気界面を洗浄材料−液体界面で置き換えることによって洗浄材料の半径方向吐出時における初期粘弾性界面を制御する、いずれかの働きをすることができる。界面の制御は、粘弾性洗浄材料による被覆を向上させるとともに、エッジ効果に関連した一部の流体力学的不安定性を回避することができる。また、界面の制御は、基板表面上における半径方向の抵抗を低減させて、洗浄材料が基板表面全体に容易に広がることも可能にする。さらに、表面前処理は、汚染物質または粒子を覆う残渣を除去して粒子除去を可能にすることもできるであろう。表面処理に使用される液体の非限定的な例として、DIW、APM(アンモニア−過酸化水素混合物、SC1とも呼ばれる)、DSP(希硫酸−過酸化水素混合物)、SPM(硫酸−過酸化水素混合物)、DI−O3(オゾンと混合された脱イオン水)、HF(フッ化水素)、およびBOE(緩衝酸化物エッチング)溶液が挙げられる。
【0096】
粘弾性洗浄材料は、前処理液と大規模に混合することはないと考えられる。粘弾性洗浄材料は、主に、前処理液に置き換わり、前処理液は、基板表面から押しやられる。
【0097】
粒子除去のプロセスフローは、基板表面に洗浄材料を施すことに先立つ液体による表面処理工程が追加されることを除き、方法1のプロセスフローと同様である。図8は、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフロー870を示している。工程871では、次の工程で粘弾性洗浄材料を施すことに備えて基板表面を調整するために、基板の表面に表面前処理液が施される。工程872では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程773では、洗浄材料を除去するために、回転中の基板にすすぎ液が施される。その後、工程875では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程875に先立って、随意の工程874において、乾燥支援液が基板に施される。
【0098】
処理液を吐出するために使用される装置は、図3A〜3Cにおいて説明されたような、洗浄材料を吐出するための装置と同様である。表面前処理液を施すためのその他のタイプの装置も、使用することができる。また、プロセスフロー全体に、図4Fにおいて説明された装置と同様な装置を用いることもできる。処理液の吐出は、処理スロットの1つにおいて実施することができる。
【0099】
方法6:
すすぎ工程の前および/または最中における更なる物理的力を通じて、粒子除去をさらに向上させることが可能である。例えば、すすぎ液は、洗浄材料および基板表面に大きな力を導入する噴射ジェットによって導入することができる。噴射ジェットは、エアロゾル化された液滴状のすすぎ液を、窒素ガス(N2)などのキャリアガスによる支援とともに使用する。キャリアガスの非限定的な例として、N2、空気、O2、Ar、He、その他のタイプの不活性ガス、および上で言及されたガスの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、キャリアガスは、洗浄材料に対して不活性である。液滴の速度は、N2を高い割合ですすぎ液に混ぜることによって、100m/秒のように非常に高速であることが可能である。
【0100】
すすぎ液ジェットは、洗浄材料および基板表面に高い慣性を導入し、その結果、幾つかの効果が可能になる。例えば、噴射ジェットは、洗浄材料の固体様応答を増大させ、噴射ジェットの慣性が大きいゆえの高効率の粒子除去を可能にする。噴射ジェットは、さらに、噴射ジェットからの慣性自体が粒子を除去可能であるゆえに、粘弾性洗浄材料の除去後も引き続き粒子除去を提供することができる。噴射ジェットは、具体的な用途に応じて2つの異なるモードで使用することができる。第1のモードでは、粘弾性洗浄材料の固体様応答および噴射ジェットの高慣性の両方から高効率の粒子除去を可能にするために、噴射ジェットの慣性が最大にされる。第2のモードでは、粒子除去が主に粘弾性洗浄材料の固体様応答により、基板上の特徴が損傷されるリスクが最小限に抑えられるように、噴射ジェットの慣性が小さくされる。噴射ジェットは、基板の膜の損失を最小限に抑えるためにDIWなどの化学的に不活性な液体を使用することができる、またはゼータ電位の調整によって粒子除去効率を高めるためにAPMなどの化学的に反応性の液体を使用することができる。液体の吐出に噴射ジェットを使用することについての詳細な説明は、______に出願され「Method of Particle Contaminant Removal(粒子汚染物質除去の方法)」と題された米国特許出願第______号(代理人整理番号第LAM2P655号)で見ることができる。
【0101】
図9Aは、本発明の一実施形態にしたがって、すすぎ液を導入するための噴射ジェットヘッド900を示している。噴射ジェットヘッド900は、キャリアガスを導入するためのチャネル901と、すすぎ液を導入するためのチャネル902とを有する。合わされた流れは、チャネル903を通ってすすぎ液の噴射ジェットになり、洗浄材料を伴う基板表面に導入される。一実施形態では、すすぎ液(またはすすぎケミカル)は、約100ml/分から約1000ml/分の間の流量を有する。別の実施形態では、すすぎ液は、約50ml/分から約500ml/分の間の流量を有する。さらに別の実施形態では、すすぎ液は、約50ml/分から約300ml/分の間の流量を有する。上で言及されたように、高流量のキャリアガスは、洗浄材料に慣性を導入し、洗浄材料の弾性を増大させてそれを除去しやすくする。一実施形態では、キャリアガスは、約1slm(すなわち標準リットル毎分)から約100slmの間の流量を有する。別の実施形態では、キャリアガスは、約5slmから約50slmの間の流量を有する。さらに別の実施形態では、キャリアガスは、約5slmから約15slmの間の流量を有する。液滴は、高い慣性を導入する。一実施形態では、液滴は、約1m/秒から約100m/秒の間の速度を有する。別の実施形態では、液滴は、約2m/秒から約50m/秒の間の速度を有する。さらに別の実施形態では、液滴は、約2m/秒から約20m/秒の間の速度を有する。すすぎ液の噴射ジェットを施す持続時間は、洗浄材料を基板表面上の粒子とともに基板表面から除去するのに十分な長さである。一実施形態では、持続時間は、約10秒間から約90秒間の間である。別の実施形態では、持続時間は、約10秒間から約60秒間の間である。さらに別の実施形態では、持続時間は、約15秒間から約45秒間の間である。
【0102】
図9Bは、本発明の一実施形態にしたがって、すすぎ液の噴射ジェットを施すための装置930を示している。基板901は、表面上に洗浄材料の層940を有し、基板の固定および基板の回転に使用される幾つかのローラ902によって保持されている。基板901の上方には、噴射ジェットヘッド900と噴射ジェットアーム915とを含む液体噴射ジェット装置920がある。噴射ジェットヘッド800の一実施形態は、図9Aにおいて上で紹介されている。噴射ジェットヘッド900は、噴射ジェットアーム915に結合されている。噴射ジェットアーム915のなかには、キャリアガス(911)およびすすぎ液(912)をそれぞれ供給するための2本の供給ライン911および912がある。キャリアガス供給ライン911は、キャリアガスをキャリアガスのチャネル901に送り、すすぎ液供給ライン912は、すすぎ液をすすぎ液のチャネル901に送る。一実施形態では、噴射ジェットアーム915は、すすぎ工程中、基板901の上方に静止した状態で保持される。別の実施形態では、噴射ジェットアーム815は、基板901の表面を掃く。すすぎ工程中、基板901は、回転する。
【0103】
図9Cは、本発明の一実施形態にしたがって、基板を洗浄するためのプロセスフロー970を示している。工程971では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程972では、回転中の基板にすすぎ液の噴射ジェットが施される。上述されたように、この工程中、すすぎ液によって付与された力は、洗浄材料を「固体様」にし、これは、洗浄材料を基板表面から除去しやすくする。その後、工程974では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程974に先立って、随意の工程973において、IPAまたはN2を伴うIPAなどの乾燥支援液が基板に施される。
【0104】
方法7:
上で言及されたように、粘弾性洗浄材料に対する力またはエネルギの付与は、洗浄材料の固体様特性を増大させると考えられる。上記の方法4は、粘弾性洗浄材料の固体様特性を増大させるために洗浄材料に低周波音響エネルギを付与することについて説明している。あるいは、低音響エネルギは、メガソニックまたは超音波の音響エネルギで置き換えることが可能である。メガソニックまたは超音波音響エネルギもやはり、低音響エネルギと同様なやり方で、基板の前側、裏側、または前側および裏側の両方に導入することができる。メガソニックまたは超音波音響エネルギは、洗浄材料が基板に吐出される最中または後に、音響共振棒(もしくはブロックもしくは板)によってまたは圧電変換器棒によって導入することができる。あるいは、メガソニックまたは超音波音響エネルギは、2本以上の棒によって導入することができる。低音響エネルギについて方法4において説明された装置の例は、現方法7にも当てはまる。メガソニックまたは超音波音響エネルギの付与は、粒子除去に必要とされるエネルギを引き下げることによって、粒子除去の全体的な効率を高めるとともに基板上の微細な構造の損傷閾値を低減させる。上述された方法4における低周波音響エネルギの付与と、ここで説明されるメガソニックまたは超音波音響エネルギの付与との間の相違は、メガソニックまたは超音波音響エネルギが、キャビテーションゆえに粒子除去の支援に使用されえるということにある。これに対して、低周波音響エネルギは、主に、洗浄材料の固体様特性を増大させるために使用される。あるいは、メガソニックまたは超音波音響エネルギは、基板上の特徴の損傷を最小限に抑えるために、主に粘弾性洗浄材料の固体様応答に依存しキャビテーションにはあまり依存しないように最適化することができる。
【0105】
メガソニックおよび超音波周波数の非限定的な例として、28kHz、44kHz、112kHz、800kHz、1.4MHz、および2MHzが挙げられる。一実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギのパワーは、約1ワットから1000ワットの間である。別の実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギのパワーは、約1ワットから300ワットの間である。さらに別の実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギのパワーは、約10ワットから300ワットの間である。一実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギを付与する持続時間は、約10秒間から約90秒間の間である。別の実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギを付与する持続時間は、約10秒間から約60秒間の間である。さらに別の実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギを付与するための持続時間は、約15秒間から約45秒間の間である。
【0106】
図10は、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフロー1070を示している。工程1071では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程1072では、洗浄材料の固体様特性を増大させるために、洗浄材料に対してメガソニックまたは超音波エネルギが付与される。一実施形態では、音響エネルギは、メガソニック音響エネルギである。別の実施形態では、音響エネルギは、超音波音響エネルギである。さらに別の実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギは、キャビテーションによる粒子除去も支援する。工程1073では、音響エネルギによる処理を経た洗浄材料を除去するために、回転中の基板にすすぎ液が施される。一実施形態では、メガソニックまたは超音波音響エネルギは、すすぎ工程の最中に付与される。その後、工程1075では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程1075に先立って、随意の工程1074において、IPAまたはN2を伴うIPAなどの乾燥支援液が基板に施される。
【0107】
方法8:
上述されたように、洗浄材料の弾性の増大は、基板表面から粒子を除去するために基板表面に洗浄材料が吐出された後にその洗浄材料を除去しやすくする。一実施形態では、基板を振動させることによって、すなわち基板を前後に回転させることによって、洗浄材料の弾性を増大させるためのせん断力が基板上の洗浄材料に導入される。基板の振動は、洗浄材料にせん断力を導入する。一実施形態では、振動は、洗浄材料の吐出中に実施される。別の実施形態では、振動は、洗浄材料の吐出後に、しかしながらすすぎ工程の前に導入される。さらに別の実施形態では、振動は、すすぎ工程中に導入される。
【0108】
振動の周波数は、粘弾性洗浄材料の最長特徴的時間の逆数よりも高い必要がある。例えば、もし洗浄材料の最長特徴的時間が1秒間である場合は、振動の周波数は、1Hzよりも高い。一実施形態では、振動の周波数は、約1Hzから約1000Hzの間である。別の実施形態では、振動の周波数は、約10Hzから約500Hzの間である。さらに別の実施形態では、振動の周波数は、約20Hzから約200Hzの間である。
【0109】
図3A〜3Cおよび図4Fにおいて説明された、基板の固定および回転のための装置は、基板を振動させるために使用することができる。1は、A度の振動下にある基板1001の上面の一実施形態を示している。基板1101は、0度の位置からスタートし、A/2度の位置へ振動され、0度の位置へ戻り、次いで、−A/2度の位置へ振動される。全体として、基板1101は、A度にわたって振動される。一実施形態では、振動の振幅(振動の角度)は、約0.1度から約180度の間である。別の実施形態では、振動の振幅は、約0.5度から約90度の間である。さらに別の実施形態では、振動の振幅は、約1度から約30度の間である。
【0110】
図11Bは、本発明の一実施形態にしたがって、基板表面から粒子を除去するためのプロセスフロー1170を示している。工程1171では、回転している基板に粘弾性洗浄材料が施される。上で言及されたように、吐出アームは、基板表面を掃いていてよい。基板に洗浄材料が吐出された後、工程1172では、洗浄材料の固体様特性を増大させるために、洗浄材料に対して振動運動が付与される。工程1173では、洗浄材料を除去するために、回転中の基板にすすぎ液が施される。その後、工程1175では、基板は、回転によって乾燥される。一実施形態では、工程1175に先立って、随意の工程1174において、乾燥支援液が基板に施される。
【0111】
最良の粒子除去結果を達成するために、上述された方法の持つ異なる要素を混合することができる。例えば、洗浄材料を施された基板を冷却し、吸い込み力によって基板表面から洗浄材料を引き離すことができる。あるいは、洗浄材料を施された基板を冷却し、洗浄材料を除去するためにすすぎ液ジェットを吹き付けることができる。洗浄材料の固体様特性に対するアクセスは、粘弾性洗浄材料が取り込まれた粒子とともに基板表面からより容易に除去されることを可能にする。
【0112】
上述された粘弾性洗浄材料、装置、および方法は、微細な特徴を伴うパターン化基板をそれらの特徴を損傷させることなく洗浄することにおいて有利である。洗浄材料は、流体であって、液相または液/気相(発泡体)のいずれかであり、デバイス特徴の周囲で変形し、したがって、デバイス特徴を損傷させない。液相の粘弾性洗浄材料は、液体、ソル、またはゲルの形態であってよい。高分子量の1つまたは複数のポリマ化合物を含む粘弾性洗浄材料は、基板上の汚染物質を捕捉する。また、粘弾性洗浄材料は、汚染物質を取り込み、それらの汚染物質を基板表面に戻らせない。一実施形態では、高分子量の1つまたは複数のポリマ化合物は、長いポリマ鎖を形成する。一実施形態では、高分子量の1つまたは複数のポリマ化合物は、架橋されてポリマ網目を形成する。1つまたは複数のポリマ化合物を伴う粘弾性洗浄材料は、汚染物質の捕捉および取り込みにおいて、従来の洗浄材料よりも優れた能力を示す。
【0113】
上述された粘弾性洗浄材料は、基板表面から汚染物質または粒子を除去するために基板表面に施される前は、非変形可能粒子(すなわち研磨粒子)を実質的に有さない。非変形可能粒子は、スラリまたは砂のなかの粒子のような硬質粒子であり、パターン化基板上の微細なデバイス特徴を損傷させる恐れがある。基板洗浄プロセス中に、洗浄材料は、基板表面からの汚染物質または粒子を集めると考えられる。しかしながら、基板洗浄のために基板表面に施される前の洗浄材料に、非変形可能粒子が意図的に混入されることはない。
【0114】
上記の議論は、パターン化ウエハからの汚染物質の除去を中心としているが、洗浄装置および洗浄方法は、非パターン化ウエハすなわち平坦なウエハからの汚染物質の除去にも使用することができる。また、上述されたパターン化ウエハ上の典型的なパターンは、ポリシリコン配線または金属配線などの隆起した線である。しかしながら、本発明の概念は、凹んだ特徴を伴う基板にも適用することができる。例えば、CMP後の凹んだビアが、ウエハ上にパターンを形成することができ、最良な汚染物質除去効率を達成するために、最も適切な設計のチャネルを使用することが可能である。
【0115】
本明細書において使用される一例としての基板は、製造工程または取り扱い工程の最中に汚染されえる半導体ウエハ、ハードディスクドライブ、光ディスク、ガラス基板、ラットパネルディスプレイ表面、液晶ディスプレイ表面などを意味するが、これらに限定はされない。表面は、実際の基板に応じて様々に汚染されえて、その汚染の許容レベルは、基板が取り扱われている特定の産業において定められている。
【0116】
本明細書では、本発明の幾つかの実施形態が詳細に説明されてきたが、当業者には、本発明が発明の趣旨または範囲から逸脱することなくその他の多くの特定の形態で実施されえることが理解されるべきである。したがって、これらの実施例および実施形態は、例示的であって非限定的であると見なされ、本発明は、本明細書において提供された詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更および実施されえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面から粒子を除去する方法であって、
前記基板の表面に洗浄材料の層を吐出することであって、前記基板は、基板サポートによって回転され、前記洗浄材料は、ポリマ化合物を含む粘弾性溶液であり、前記ポリマ化合物は、洗浄溶液に溶解して前記洗浄材料を形成し、前記洗浄材料は、前記基板の表面から前記粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む、洗浄材料の層の吐出と、
前記洗浄材料の層を除去するために、前記基板の表面上の前記洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することであって、前記洗浄材料の層に前記すすぎ液を吐出する最中または前に、前記洗浄材料に対してエネルギが付与され、前記付与されたエネルギは、前記洗浄材料の固体様応答を増大させて、前記基板表面からの前記洗浄材料の除去を促進し、前記洗浄材料によって取り込まれた前記粒子の少なくとも一部は、前記洗浄材料とともに除去される、すすぎ液の吐出と、を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記エネルギは、前記すすぎ液の吐出の最中に前記洗浄材料の層に対して付与される力によって導入され、吐出されたすすぎ液は、前記洗浄材料の層を除去する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板および前記洗浄材料は、前記すすぎ液の吐出の前および最中に約0℃から約30℃の間の温度に冷却され、前記洗浄材料の冷却は、前記洗浄材料の固体様応答を増大させて、前記洗浄材料および前記取り込まれた粒子を前記吐出されたすすぎ液によって除去されやすくする、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記導入されるエネルギは、前記洗浄材料の層に対する吸い込み力によって付与され、前記吸い込み力は、前記洗浄材料の層を前記基板の表面から引き離して、前記洗浄材料および前記取り込まれた粒子を除去する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記洗浄材料の層が前記基板の表面に吐出される前に、前記基板の表面に表面前処理液が施される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記エネルギは、前記洗浄材料の特徴的時間の逆数より大きい周波数の低周波音響エネルギとして導入され、前記周波数は、約10Hzから約500Hzの間である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記すすぎ液は、噴射ジェットによって前記洗浄材料の層に施され、前記噴射ジェットは、前記洗浄材料に対して付与される前記エネルギを前記噴射ジェットの力によって導入する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記エネルギは、洗浄材料の特徴的時間の逆数より大きい周波数のメガソニックまたは超音波の音響エネルギとして導入される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記エネルギは、前記洗浄材料の層が前記基板の表面に吐出される最中または後に前記基板の軸を中心にして前記基板を振動させることによって、導入される、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記ポリマ化合物は、
ポリアクリルアミド(PAM)、Carbopol 940TMおよびCarbopol 941TMなどのポリアクリル酸(PAA)、PAMとPAAとのコポリマ、ポリ−(N,N−ジメチル−アクリルアミド)(PDMAAm)、ポリ−(N−イソプロピル−アクリルアミド)(PIPAAm)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリメタクリルアミド(PMAAm)などの、アクリルポリマと、
ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などの、ポリイミンおよび酸化物と、
ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンスルホン酸(PESA)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニル−ピロリドン(PVP)、ポリ−4−ビニルピリジン(P4VP)などの、ビニルポリマと、
メチルセルロース(MC)、エチル−セルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの、セルロース誘導体と、
アカシア、寒天およびアガロース、ヘパリン、グアーゴム、キサンタンゴムなどの、多糖類と、
卵白、コラーゲン、グルテンなどの、タンパク質と
からなる群より選択される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記すすぎ液は、脱イオン水である、方法。
【請求項12】
請求項3に記載の方法であって、
前記基板および前記洗浄材料は、前記基板または基板サポートの裏側に冷水を吹き付けることによって冷却される、方法。
【請求項13】
請求項5に記載の方法であって、
前記前処理液は、脱イオン水(DIW)、APM(アンモニア−過酸化水素混合物)、DSP(希硫酸−過酸化水素混合物)、SPM(硫酸−過酸化水素混合物)、DI−O3(オゾンと混合された脱イオン水)、HF(フッ化水素)、およびBOE(緩衝酸化物エッチング)溶液、からなる群より選択される、方法。
【請求項14】
請求項7に記載の方法であって、
前記すすぎ液は、キャリアガスと混合されて前記噴射ジェットとされ、前記キャリアガスは、N2、空気、O2、Ar、He、その他のタイプの不活性ガス、および上で言及されたガスの組み合わせ、からなる群より選択される、方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、
前記メガソニックまたは超音波の音響エネルギの周波数は、約28kHz、約44kHz、約112kHz、約800kHz、約1.4MHz、および約2MHzからなる群より選択される、方法。
【請求項16】
請求項8に記載の方法であって、
前記振動の周波数は、前記洗浄材料の特徴的時間の逆数より大きい、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記洗浄材料の層が除去された後に、前記基板の表面に乾燥支援液を施すことと、
前記乾燥支援液が施された後に、前記基板を回転させることによって前記基板の表面を乾燥させることと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記乾燥支援液は、イソプロピルアルコール(IPA)、IPAと水との混合物、気相IPA、または気相IPAと不活性ガスとの混合物である、方法。
【請求項19】
基板の表面から粒子を除去する方法であって、
前記基板の表面に粘弾性洗浄材料の層を吐出することであって、前記基板は、基板サポートによって回転され、前記粘弾性洗浄材料は、前記基板の表面から前記粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む、粘弾性洗浄材料の層の吐出と、
前記洗浄材料の層を除去するために、前記基板の表面上の前記洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することであって、前記洗浄材料の層に前記すすぎ液を吐出する最中または前に、前記洗浄材料に対してエネルギが付与され、前記付与されたエネルギは、前記洗浄材料の固体様応答を増大させて、前記基板表面からの前記洗浄材料の除去を促進し、前記洗浄材料によって取り込まれた前記粒子の少なくとも一部は、前記洗浄材料にとともに除去される、すすぎ液の吐出と、を備える方法。
【請求項20】
幾つかの処理スロットを有する装置において基板の表面から粒子を除去する方法であって、
基板サポートによって前記基板を前記装置の第1の処理スロットへ移動させることであって、前記装置の前記第1の処理スロットは、前記基板サポートによって、前記第1の処理スロットよりも下方の処理スロットから分離されている、前記基板の移動と、
前記基板の表面に粘弾性洗浄材料の層を吐出することであって、前記基板は、基板サポートによって回転され、前記粘弾性洗浄材料は、前記基板の表面から前記粒子の少なくとも一部を捕捉して取り込む、粘弾性洗浄材料の層の吐出と、
前記基板サポートによって前記基板を前記装置の第2の処理スロットへ移動させることであって、前記装置の前記第2の処理スロットは、前記基板サポートによって、前記第2の処理スロットよりも下方の処理スロットから分離されている、前記基板の移動と、
前記粘弾性洗浄材料の層を除去するために、前記基板の表面上の前記洗浄材料の層にすすぎ液を吐出することであって、前記洗浄材料の層に前記すすぎ液を吐出する最中または前に、前記洗浄材料に対してエネルギが付与され、前記付与されたエネルギは、前記洗浄材料の固体様応答を増大させて、前記基板表面からの前記洗浄材料の除去を促進し、前記洗浄材料によって取り込まれた前記粒子の少なくとも一部は、前記洗浄材料とともに除去される、すすぎ液の吐出と、
を備える方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、さらに、
前記基板サポートによって前記基板を前記装置の第3の処理スロットへ移動させることであって、前記装置の前記第3の処理スロットは、前記基板サポートによって、前記第2の処理スロットよりも下方の処理スロットから分離されている、または前記基板サポートの裏側は、前記装置の外である、前記基板の移動と、
前記粘弾性洗浄材料の層を除去された前記基板の表面に乾燥支援液を施すことであって、前記基板は、前記乾燥支援液が施される間に前記乾燥支援液が回転される場合に、スピンされる、乾燥支援液の適用と、
前記乾燥支援液が施された後に、前記基板をスピンさせることによって前記基板を乾燥させることと、を備える方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、
前記基板サポートの裏側は、前記粘弾性洗浄材料の層に前記すすぎ液が施される前および最中に前記基板および前記洗浄材料の層の温度を下げるために、冷たい液体を吹き付けられ、前記粘弾性洗浄材料の層の温度の低下は、前記洗浄材料の弾性を増大させる、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、
前記エネルギは、前記基板が前記第1の処理スロットまたは前記第2の処理スロットにあるときに、前記すすぎ液が吐出される前に、前記粘弾性洗浄材料の層への真空吸引によって付与される、方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法であって、
前記すすぎ液は、噴射ジェットによって吐出され、前記エネルギは、前記粘弾性洗浄材料の層に対して前記噴射ジェットによって付与される、方法。
【請求項26】
請求項20に記載の方法であって、
前記エネルギは、前記粘弾性洗浄材料の特徴的時間の逆数より大きい周波数の音響エネルギである、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2012−524408(P2012−524408A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506086(P2012−506086)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/030630
【国際公開番号】WO2010/120654
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】