説明

系統周波数安定化装置及び方法

【課題】自動周波数制御信号が入力されたときに系統周波数を所定の定格周波数範囲内に速やかに維持することである。
【解決手段】プラント統括制御装置15の周波数調整用負荷指令演算部20は、自動周波数制御信号AFCに基づいて周波数調整用負荷指令信号AFCrを演算し、補正演算部21は周波数調整用負荷指令信号AFCrによる発電機出力の変動に対応した補正信号を演算する。補正信号を周波数調整用負荷指令信号AFCrに加算して補正周波数調整用負荷指令信号AFCaを求め、さらに、負荷指令信号DPCに加算して、発電機14の出力指令値MWrとして出力する。ボイラ制御装置16は出力指令値MWrに見合った蒸気を発生するようにボイラを制御し、タービン制御装置17は、発電機出力MWが出力指令値MWrになるようにタービンを制御し系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電指令装置からの負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電所の発電機の出力指令値を演算し、発電機出力がその出力指令値になるように制御して、系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御する系統周波数安定化装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力系統は所定の定格周波数(50Hzまたは60Hz)を維持するように運用されている。電力系統の負荷需要が増加すると系統周波数は低下し、負荷需要が減少すると系統周波数は上昇するので、電力需要の状況(例えば日負荷曲線)に応じて給電指令装置から負荷指令信号(DPC信号)が出力され、発電所の発電機出力を負荷指令信号を保つように運転し、系統周波数を所定の定格周波数に維持するようにしている。
【0003】
また、一時的に負荷が急増した場合や負荷遮断が発生した場合には、発電機出力を負荷指令信号に維持するだけの運転では、系統周波数を所定の定格周波数に維持することができないので、給電指令装置から自動周波数制御信号(AFC信号)が出力され、これら負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電機出力を制御し、系統周波数を所定の定格周波数に維持するようにしている。
【0004】
例えば、火力発電所では、給電指令装置から負荷指令信号が変化した場合や新たに自動周波数制御信号が入力されると、プラント統括制御装置は負荷指令信号や自動周波数制御信号に基づいて火力発電所の発電機の出力指令値を演算し、その出力指令値に見合った蒸気を発生するようにバーナへの燃料流量や給水流量等を制御するとともに、発電機の出力指令値をタービン制御装置に出力する。タービン制御装置は発電機出力がその出力指令値になるように蒸気加減弁(CV)を制御する。
【0005】
ここで、タービン制御装置から送られるCV開度指令信号が出力される途中において、実機運転特性(主蒸気圧力、温度)とタービン制御系の固有値(加減弁流量特性、傾斜調定率)とを補正する制御系補正回路を追加して設け、理想的なCV開度特性及びCV通過流量を得て、傾斜調定率を安定させ負荷追従性を向上させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−82105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、タービン制御装置以降の蒸気加減弁CVの制御追従性は改善されるが、タービン制御装置自体が持つ追従性不足には対応できない。特に、タービン制御装置が機械式調速機MHCである場合には、ガバナ機構部のフリクション大による追従遅れが生じるので、タービン制御装置以降の蒸気加減弁CVの制御追従性が良くても、発電機出力を発電機の出力指令値に応答性良く追従させることができない。この機械式調速機MHCの追従遅れは各火力発電所の間でバラツキがある。
【0007】
従って、自動周波数制御信号(AFC信号)による実際の発電機出力の立ち上がり(立ち下がり)が遅くなり、系統周波数を所定の定格周波数範囲内に速やかに維持することができない場合がある。ガバナ機構部のメンテナンスを行うことで機械式調速機MHCの追従遅れを改善することができるがコストがかかる。
【0008】
また、ボイラの追従性が悪いと出力指令値に見合った蒸気を発生するのに時間がかかり、実際の発電機出力が出力指令値になるまでに時間がかかる。この場合にも、系統周波数を所定の定格周波数範囲内に速やかに維持することができなくなる。
【0009】
本発明の目的は、自動周波数制御信号が入力されたときに系統周波数を所定の定格周波数範囲内に速やかに維持することができる系統周波数安定化装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係わる系統周波数安定化装置は、給電指令装置からの負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電所の発電機の出力指令値を演算しその出力指令値に見合った蒸気を蒸気発生器が発生するように前記蒸気発生器を制御するプラント統括制御装置と、前記発電所の発電機出力が前記プラント統括制御装置からの出力指令値になるように蒸気加減弁を制御し系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御するタービン制御装置とを備えた系統周波数安定化装置において、前記プラント統括制御装置は、前記自動周波数制御信号に基づいて周波数調整用負荷指令信号を演算する周波数調整用負荷指令演算部と、前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号を演算する補正演算部と、前記補正演算部で得られた補正信号を前記周波数調整用負荷指令信号に加算して補正周波数調整用負荷指令信号を得る加算器と、前記加算器で得られた補正周波数調整用負荷指令信号を前記負荷指令信号に加算して発電機の出力指令値として出力する加算器とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明に係わる系統周波数安定化装置は、請求項1の発明において、前記補正演算部は、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量を微分する微分回路と、前記周波数調整用負荷指令信号に所定のゲインを乗算する比例回路と、微分回路及び比例回路の加算出力が所定の制限値を逸脱しないように制限を加えるリミッターとを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明に係わる系統周波数安定化方法は、給電指令装置からの負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電所の発電機の出力指令値を演算し、前記発電所の発電機出力が演算した出力指令値になるように蒸気加減弁を制御し、系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御する系統周波数安定化方法において、前記給電指令装置からの自動周波数制御信号に基づいて周波数調整用負荷指令信号を演算し、前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号を演算し、この補正信号を前記周波数調整用負荷指令信号に加算して補正周波数調整用負荷指令信号を演算し、演算した補正周波数調整用負荷指令信号を前記負荷指令信号に加算して発電機の出力指令値として出力することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明に係わる系統周波数安定化方法は、請求項3の発明において、前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号は、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量を微分し、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量に所定のゲインを乗算して比例値を求め、微分値及び比例値が所定の制限値を逸脱しないように制限を加えて求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、給電指令装置からの自動周波数制御信号があったときは、自動周波数制御信号に基づいて周波数調整用負荷指令信号を演算し、その周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号を演算し、周波数調整用負荷指令信号に加算して、絶対値を大きくした補正周波数調整用負荷指令信号を演算する。そして、その補正周波数調整用負荷指令信号をさらに負荷指令信号に加算し発電機の出力指令値とするので、発電機の出力指令値が周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた大きな指令値となり、実際の発電機出力の出力指令値への追従性が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態に係わる系統周波数安定化装置の構成図である。図1では、コンベンショナルな火力発電所に系統周波数安定化装置を適用した場合を示している。ボイラ11で発生した蒸気は、図示省略の主蒸気止め弁を介して蒸気加減弁(CV)12で蒸気流量が調節されて蒸気タービン13に供給される。そして、蒸気タービン13で発電機14を駆動し、発電機14から所定の発電機出力を得るようにしている。
【0016】
発電機14の発電機出力MWは、図示省略の給電指令装置からの負荷指令信号DPCになるように制御される。また、給電指令装置からは自動周波数制御信号AFCが出力され、系統周波数が所定の定格周波数(50Hzまたは60Hz)の範囲内(定格周波数±0.2Hz)を維持するように制御される。また、1日の周波数偏差の積分値(時差)が±15秒以内になるように制御される。
【0017】
給電指令装置からの負荷指令信号DPCや自動周波数制御信号AFCは、プラント統括制御装置15に入力される。プラント統括制御装置15は負荷指令信号DPCや自動周波数制御信号AFCに基づいて火力発電所の発電機の出力指令値MWrを演算し、ボイラ制御装置16に信号MWbを出力するとともに、タービン制御装置17に信号MWtを出力する。
【0018】
ボイラ制御装置16の主蒸気圧力制御系18は、信号MWbに基づいて発電機の出力指令値MWrに見合った蒸気を発生するようにバーナへの燃料流量や給水流量等を制御する。一方、タービン制御装置17の主蒸気流量制御系19は、信号MWtに基づいて、発電機出力MWがその出力指令値MWrになるように蒸気加減弁12を制御する。これにより、系統周波数が定格周波数の所定範囲内を維持するように制御する。
【0019】
給電指令装置からの負荷指令信号DPCはプラント統括制御装置15の加算器22に入力されるとともに減算器25に入力され発電機出力MWと比較され、出力偏差ΔP1が求められる。この出力偏差ΔP1は周波数調整用負荷指令信号AFCrによる発電機出力に相当するものである。
【0020】
一方、給電指令装置からの自動周波数制御信号AFCは、プラント統括制御装置15の周波数調整用負荷指令演算部20に入力される。周波数調整用負荷指令演算部20は、自動周波数制御信号AFCに基づいて周波数調整用負荷指令信号AFCrを演算し、減算器26に出力するとともに加算器27に出力する。周波数調整用負荷指令信号AFCrは系統周波数の変動を補償するための出力指令値である。
【0021】
減算器26は、周波数調整用負荷指令信号AFCrと出力偏差ΔP1との差分ΔP2を演算し、その差分ΔP2を補正演算部21に出力する。この差分ΔP2は、出力偏差ΔP1が周波数調整用負荷指令信号AFCrによる発電機出力に相当するものであることから、周波数調整用負荷指令信号AFCrによる発電機出力の変動量に相当するものである。
【0022】
補正演算部21は、減算器26からの周波数調整用負荷指令信号AFCrと出力偏差ΔP1との差分ΔP2に基づいて、周波数調整用負荷指令信号AFCrによる発電機出力の変動量に応じた補正信号aを演算する。補正演算部21で演算された補正信号aは加算器27に入力され、周波数調整用負荷指令信号AFCrと加算されて、周波数調整用負荷指令信号AFCrより大きくした補正周波数調整用負荷指令信号AFCaを得る。加算器27で得られた補正周波数調整用負荷指令信号AFCaは、加算器22に出力される。
【0023】
ここで、周波数調整用負荷指令信号AFCrより大きくした補正周波数調整用負荷指令信号AFCaを求めるのは、ボイラ制御装置16やタービン制御装置17自体が持つ追従性不足に対応できるようにするためである。
【0024】
加算器27で得られた補正周波数調整用負荷指令信号AFCaは、さらに加算器22で、給電指令装置からの負荷指令信号DPCに加算され、発電機の出力指令値MWrとしてボイラマスタ23及びタービンマスタ24に出力される。ボイラマスタ23は、ボイラ11が発電機の出力指令値MWrに見合った蒸気を発生するように、ボイラ制御装置16に信号MWbを出力する。ボイラ制御装置16の主蒸気圧力制御系18は、信号MWbを入力すると、発電機の出力指令値MWrに見合った蒸気を発生するようにバーナへの燃料流量や給水流量等を制御する。
【0025】
タービンマスタ24は、タービン13に発電機出力MWがその出力指令値MWrになるようにタービン制御装置17に信号MWtを出力する。タービン制御装置の主蒸気流量制御系19は、信号MWtを入力すると、発電機出力MWがその出力指令値MWrになるように蒸気加減弁12を制御する。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係わる系統周波数安定化装置の各部の信号波形図である。図2では発電機出力MWを増加させる自動周波数制御信号AFCが入力された場合を示している。この場合は、上げ側のAFC信号で説明しているが、下げ側も信号は逆方向であるが同様となる。
【0027】
いま、給電指令装置からの負荷指令信号DPCが発電機出力MW0であるとする。この状態で系統周波数が低下し、その系統周波数の低下を補償するための自動周波数制御信号AFCの上げ信号が時点t1において入力されたとする。時点t1以前においては、発電機の発電機出力MWは負荷指令信号DPCで示される発電機出力MW0である。
【0028】
時点t1で自動周波数制御信号AFCが入力されると、プラント統括制御装置15の周波数調整用負荷指令演算部20は、例えば、自動周波数制御信号AFCに対し比例及び積分演算を施し、周波数調整用負荷指令信号AFCrを求める。周波数調整用負荷指令信号AFCrは系統周波数の変動を補償するための出力指令値であり、図2では、発電機出力をΔMW分だけ増加させるための出力指令値となる。
【0029】
次に、補正演算部21は、周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号aを演算する。例えば、減算器26で得られた周波数調整用負荷指令信号AFCrの変動量(ΔP2)に対して微分回路で微分を施し、比例回路でゲインを乗算して比例信号を求め、これらを加算して周波数調整用負荷指令信号AFCrの変動量に応じた補正信号aを得る。
【0030】
この場合、補正信号aが大きすぎると補正周波数調整用負荷指令信号AFCaが大きくなりすぎる場合があるので、リミッターを設け、微分回路の出力及び比例回路の出力が所定の制限値を逸脱しないように制限を加える。
【0031】
そして、負荷指令信号DPCに補正周波数調整用負荷指令信号AFCaを加算して発電機の出力指令値MWrを演算する。この出力指令値MWrに基づき、プラント統括制御装置15のボイラ制御装置16は、タービン13に供給される蒸気の圧力を制御し、タービン制御装置17は、タービン13に供給される蒸気の流量を制御し、発電機出力MWが出力指令値MWrになるように制御する。
【0032】
この場合、ボイラ11やタービン制御装置17自体が持つ追従性の遅れから、図2の発電機出力MWに示すように、発電機出力MWは出力指令値MWrに対して遅れて追従し、時点t2で最終目標値(MW0+ΔMW)となる。なお、曲線MW’は周波数調整用負荷指令信号AFCrに補正を加えない場合の発電機出力であり、この場合には時点t3で最終目標値(MW0+ΔMW)となり、かなり遅れることになる。
【0033】
ここで、発電機出力MWの本来の出力指令値は、負荷指令信号DPCと周波数調整用負荷指令信号AFCrとを加算した値(DPC+AFCr)であり、発電機出力MWがこの本来の出力指令値(DPC+AFCr)に沿って変化することが望ましい。出力指令値MWrをこの本来の出力指令値(DPC+AFCr)とした場合には、発電機出力は曲線MW’となる。
【0034】
一方、本発明の実施の形態のように、周波数調整用負荷指令信号AFCrに補正を加えて補正周波数調整用負荷指令信号AFCaとし、出力指令値MWrを(DPC+AFCa)とする。そして、発電機出力MWを本来の出力指令値(DPC+AFCr)に沿って変化させるようにする。従って、補正周波数調整用負荷指令信号AFCaは、実際の発電機出力MWが本来の出力指令値(DPC+AFCr)に沿って変化するように、周波数調整用負荷指令信号AFCrの絶対値を大きくするように補正する。
【0035】
この場合、発電機出力MWが本来の出力指令値(DPC+AFCr)を超えないようにする。また、微分回路及び比例回路を用いて周波数調整用負荷指令信号AFCrに補正を加える場合には、発電機出力MWが本来の出力指令値(DPC+AFCr)を超えないように、リミッターの設定値を設定することになる。これにより、発電機出力MWは従来の曲線MW’に対し、斜線部分だけ発電機出力を早期に出力できる。つまり、追従遅れを少なくして自動周波数制御信号AFC通りに発電機出力MWを制御できる。以上の説明では、火力発電所に適用した場合について説明したが、ガバナ機構を持つタービン発電設備に対して適用することも可能である。
【0036】
本発明の実施の形態によれば、発電機の出力指令値を大きな指令値に補正するので、実際の発電機出力の出力指令値への追従性が良くなる。また、発電機出力の追従性が向上することから周波数変動が少なくなり、その結果として、自動周波数制御信号による周波数の修正量が小さくなる。従って、発電機による発電機出力の変動も小さくなり、発電所にとって外乱である自動周波数制御信号AFCによる修正動作が小さく安定する。これにより、発電所の燃費が向上し、COを低減できるとともにNOx及びばい煙排出量の変動も軽減でき、各操作端の動作も安定するので長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係わる系統周波数安定化装置の構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係わる系統周波数安定化装置の各部の信号波形図。
【符号の説明】
【0038】
11…ボイラ、12…蒸気加減弁、13…蒸気タービン、14…発電機、15…プラント統括制御装置、16…ボイラ制御装置、17…タービン制御装置、18…主蒸気圧力制御系、19…主蒸気流量制御系、20…周波数調整用負荷指令演算部、21…補正演算部、22…加算器、23…ボイラマスタ、24…タービンマスタ、25…減算器、26…減算器、27…加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電指令装置からの負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電所の発電機の出力指令値を演算しその出力指令値に見合った蒸気を蒸気発生器が発生するように前記蒸気発生器を制御するプラント統括制御装置と、前記発電所の発電機出力が前記プラント統括制御装置からの出力指令値になるように蒸気加減弁を制御し系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御するタービン制御装置とを備えた系統周波数安定化装置において、前記プラント統括制御装置は、前記自動周波数制御信号に基づいて周波数調整用負荷指令信号を演算する周波数調整用負荷指令演算部と、前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号を演算する補正演算部と、前記補正演算部で得られた補正信号を前記周波数調整用負荷指令信号に加算して補正周波数調整用負荷指令信号を得る加算器と、前記加算器で得られた補正周波数調整用負荷指令信号を前記負荷指令信号に加算して発電機の出力指令値として出力する加算器とを備えたことを特徴とする系統周波数安定化装置。
【請求項2】
前記補正演算部は、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量を微分する微分回路と、前記周波数調整用負荷指令信号に所定のゲインを乗算する比例回路と、微分回路及び比例回路の加算出力が所定の制限値を逸脱しないように制限を加えるリミッターとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の系統周波数安定化装置。
【請求項3】
給電指令装置からの負荷指令信号及び自動周波数制御信号に基づいて発電所の発電機の出力指令値を演算し、前記発電所の発電機出力が演算した出力指令値になるように蒸気加減弁を制御し、系統周波数を定格周波数の所定範囲内に制御する系統周波数安定化方法において、前記給電指令装置からの自動周波数制御信号に基づいて周波数調整用負荷指令信号を演算し、前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号を演算し、この補正信号を前記周波数調整用負荷指令信号に加算して補正周波数調整用負荷指令信号を演算し、演算した補正周波数調整用負荷指令信号を前記負荷指令信号に加算して発電機の出力指令値として出力することを特徴とする系統周波数安定化方法。
【請求項4】
前記周波数調整用負荷指令信号による発電機出力の変動量に応じた補正信号は、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量を微分し、前記周波数調整用負荷指令信号の変動量に所定のゲインを乗算して比例値を求め、微分値及び比例値が所定の制限値を逸脱しないように制限を加えて求めることを特徴とする請求項3に記載の系統周波数安定化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−75529(P2008−75529A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255201(P2006−255201)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】