説明

紙葉類検査装置および紙葉類検査方法

【課題】偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供する。
【解決手段】紙葉類検査装置1は、紙葉類10に対して光を投光し、前記紙葉類10を透過した透過光を複数方向に分割し、それぞれ異なる偏光面を有する複数の光に偏光する。この偏光した光をそれぞれ受光して電気信号に変換し複数の画像を取得する。取得した複数の画像を対応する画素毎に輝度の差を検出し、差が検出された画素の数に基づいて紙葉類10上の偏光特性を有する領域の面積を算出する。算出した面積と予め記憶されている基準値とを比較し、紙葉類10の良否判定を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙葉類に貼付されている粘着テープ等を検出する紙葉類検査装置および紙葉類検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有価証券、または紙幣などの紙葉類を計数及び鑑査し、この鑑査結果に応じて施封処理や裁断処理を行なう機器本体と、この機器本体とUSBもしくはLANなどのケーブルにより接続され、上記機器本体の計数情報を管理する管理端末とからなる紙葉類検査装置(紙葉類処理装置)が実用化されている。
【0003】
このような紙葉類処理装置では、破損箇所に粘着テープなどが貼付されている紙葉類を処理する場合がある。この場合、紙葉類処理装置は、テープが貼付された紙葉類が再び流通しないようにする為に、紙葉類を抜き出して裁断する。この為に、紙葉類処理装置は、紙葉類にテープが貼付されているか否かを判定する必要がある。
【0004】
そこで、紙葉類の表面に種々の角度で偏光した光を照射し、その反射光を偏光して受光することにより紙葉類表面に貼付された粘着テープなどを検出する粘着テープ検出装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−243518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の粘着テープ検出装置は、テープが偏光特性を有することを利用し、受光した光がテープにより偏光されているか否かに基づいてテープを検出する。しかし、照射した光のうち、テープ表面で反射する光が存在する。このような反射光はテープにより偏光されていない為、テープを正確に検出することができない場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為、本発明の一形態に係る紙葉類検査装置は、紙葉類に対して光を投光する投光手段と、前記紙葉類を透過した透過光を複数方向に分割しそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光する光学系と、前記異なる偏光面を有する複数の光をそれぞれ受光して電気信号に変換して複数の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得した複数の画像から対応する画素毎に輝度の差を検出する差分検出手段と、前記差分検出手段により差が検出された画素に対応する領域の面積を前記紙葉類上の偏光特性を有する領域の面積として算出する演算手段と、前記演算手段により算出した領域の面積と予め保持している基準値とに基づいて前記紙葉類の良否判定を行なう判定手段とを具備する。
【0008】
また、本発明の一形態に係る紙葉類検査方法は、紙葉類に対して光を投光し、前記紙葉類を透過した透過光を複数方向に分割しそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光し、前記異なる偏光面を有する複数の光をそれぞれ受光して電気信号に変換して複数の画像を取得し、前記取得した複数の画像から対応する画素毎に輝度の差を検出し、差が検出された画素に対応する領域の面積を前記紙葉類上の偏光特性を有する領域の面積として算出し、前記算出した領域の面積と予め保持している基準値とに基づいて前記紙葉類の良否判定を行なう。
【発明の効果】
【0009】
この発明の形態によれば、偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類検査装置および紙葉類検査方法について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る紙葉類検査装置1を概略的に示す図である。
図1に示すように、紙葉類検査装置1は、投光部11、画像取得部12a、12b、偏光ビームスプリッタ14、差分検出部15、演算部16、判定部17、及び搬送機構20を具備している。また、紙葉類検査装置1は、装置全体の動作を総合的に制御する制御部21を具備している。
【0011】
制御部21は、記憶手段として機能するメモリを備えている。メモリは、例えば、ROM、RAM、および不揮発性メモリなどにより構成され、ROMは、制御用のプログラム、および制御データなどを予め記憶している。また、RAMは、ワーキングメモリとして機能し、制御部21が処理中のデータなどを一時保管する。不揮発性メモリは、制御部21による判定の基となる真の紙葉類に対する処理結果である基準値を記憶している。
【0012】
搬送機構20は、同一種の紙葉類10を連続して矢印aの方向に搬送する。ここで搬送されている紙葉類10は、例えば銀行券や証券などの紙葉類である。図2に示すように、紙葉類10の表面には印刷図柄P1、及びP2が印刷されている。また、ある紙葉類10には、破損箇所を補修するためにテープTが貼付されている。テープTは、図1に示す画像取得部12側の紙葉類10の表面に貼付されているものとする。テープTなどの粘着テープは、その製法により分子構造に一定の配向性を有し透過した光を偏光する偏光特性を有している。
【0013】
投光部11は、搬送機構20により搬送される紙葉類10に対して光を投光する投光手段として機能する。投光部11は、例えば、0.7μm乃至2.5mm程度の近赤外波長を有する光を紙葉類10に対して照射する。画像取得部12a、12bは、それぞれラインイメージセンサ(ラインCCD)などにより構成され、紙葉類10を透過した透過光を連続的に受光する。画像取得部12a、12bを構成する各ラインイメージセンサは、受光した光を電気信号に変換する一次元的に複数配列された画素を具備している。画像取得手段として機能する画像取得部12a、12bは、読み取り位置Dで紙葉類10を透過した光を受光し、一次元的に順次撮像して紙葉類10全体の画像を取得する。なお、画像取得部12a、12bは、可視光に加え、近赤外波長の光を受光し、電気信号に変換することができる。
【0014】
偏光ビームスプリッタ14は、投光部11と画像取得部12aとの間に設けられている光学系であり、紙葉類10を透過した透過光を透過方向と反射方向とで偏光面が90度異なる2つの光に分割する光学系である。この偏光ビームスプリッタ14により2方向に分割された光からそれぞれ画像を取得するために、画像取得部12aが透過方向に設けられ、画像取得部12bが反射方向に設けられている。
【0015】
即ち、投光部11により投光された光は、紙葉類10を透過し、偏光ビームスプリッタ14に入射する。偏光ビームスプリッタ14に入射した光は、透過方向と反射方向とで偏光面が90度異なる2つの光に偏光される。偏光ビームスプリッタ14により分割され偏光された2方向の光のうちの透過光は、画像取得部12aにより受光され、反射光は、画像取得部12bにより受光され、電気信号である画像にそれぞれ変換される。
【0016】
差分検出部15は、画像取得部12a、12bにより取得した2つの画像から、対応する画素毎に輝度の差を検出する差分検出手段として機能する。紙葉類にテープが貼付されている場合、テープTにより偏光された光が偏光ビームスプリッタ14によりテープTと異なる偏光面の角度で偏光されることにより分割された一方の光から撮像された画像のうち、テープTに対応する領域は暗点となる。そのため、2つの画像において対応する画素に輝度の差が生じる。よって、紙葉類検査装置1は、差が検出された画素に対応する紙葉類10上の領域にテープTが貼付されていると判断することができる。
【0017】
演算部16は、紙葉類10上のテープTが貼付されている面積を求める。即ち、演算手段として機能する演算部16は、差分検出部15により差が検出された画素に対応する紙葉類10上の領域は偏光特性を有する領域であると認識し、この領域の面積を算出する。
【0018】
判定手段として機能する判定部17は、不揮発性メモリに記憶されている真の紙葉類における偏光特性を有する領域の面積(基準値)と、演算部16により算出した面積とを比較し、紙葉類10が再流通可能な紙葉類であるか否かの良否判定を行なう。ここで、例えば、紙葉類10を良と判定した場合、紙葉類検査装置1は、紙葉類10を再流通させるために、図示しない収納庫に収納する。また、例えば、紙葉類10を否と判定した場合、紙葉類検査装置1は、紙葉類10を再流通させないために、図示しない裁断機により紙葉類10を裁断する。
【0019】
図3及び図4は、図1に示す画像取得部12a、12bによりそれぞれ取得した紙葉類10の画像を示す図である。
【0020】
図3及び図4に示す画像は、画像全体と比べて比較的に明るく写っている明部と画像全体と比べて比較的に暗く写っている暗部とを含んでいる。例えば、紙葉類10の印刷図柄P1は、近赤外波長の光が透過するため、対応する画素が明部となっている。また、紙葉類10の印刷図柄P2は、近赤外波長の光を吸収するため、対応する画素が暗部となっている。
【0021】
また、図4に示す画像では、紙葉類10上のテープTが貼付されている領域に対応する画素が暗部となっている。これは、紙葉類10を透過する光は、テープTによりある偏光面の光のみが透過するように偏光され、さらに偏光ビームスプリッタ14によりテープTを透過した光とは偏光面の異なる光のみを透過若しくは反射するように偏光される。そのため、図4に示すように、テープTを透過したある偏光面の光は、画像取得部12a若しくは12bに到達せず対応する画像は暗となる。
【0022】
また、図3に示す画像では、紙葉類10上のテープTが貼付されている領域に対応する画素が明部となっている。これは、紙葉類10を透過する光は、テープTによりある偏光面の光のみが透過するように偏光され、さらに偏光ビームスプリッタ14によりテープTを透過した光と偏光面の同じ光のみを透過若しくは反射するように偏光される。そのため、図3に示すように、テープTを透過したある偏光面の光は、画像取得部12a若しくは12bに到達し対応する画像は明となる。
【0023】
図5は、図3に示す画像と図4に示す画像との差を検出して示した画像である。図5に示す画像では、テープTが検出された箇所が特定されて表示されている。即ち、紙葉類検査装置1の差分検出部15は、図3に示す画像と図4に示す画像とで対応する画素毎に差を検出し、この差が所定の値、例えば最大の輝度の30%乃至50%程度の値を超えた場合にテープTが貼付されていると判断する。
【0024】
また、図3及び図4の画像について、それぞれ画像全体の明暗から閾値を設定し、設定した閾値に基づいてそれぞれの画像を2値化し、2値化した図3及び図4の画像の対応する画素ごとに排他的論理和を演算することにより差分を検出してもよい。この場合、紙葉類検査装置1の演算部16は、排他的論理和の演算結果が「0」となった画素をテープTの貼付されていない領域であると認識し、排他的論理和の演算結果が「1」となった画素をテープTの貼付されている領域であると認識し、排他的論理和の演算結果が「1」となった画素数に基づいてテープTの貼付されている領域の面積を算出する。
【0025】
紙葉類検査装置1の判定部17は、ここで算出されたテープTの貼付されている領域の面積と不揮発性メモリに記憶されている基準値とを比較し、紙葉類10の良否判定を行なう。
【0026】
なお、第1の実施形態は、搬送機構20により搬送されている紙葉類10をラインイメージセンサにより順次読み取ることにより画像を取得する構成としたが、所定位置に停止した紙葉類10の所定領域を2次元的に撮像するエリアイメージセンサにより画像を取得する構成としてもよい。また、紙葉類10に貼付されたテープTを検出する構成としたが、検出する対象はテープに限らず、分子構造に一定の配向性を有し、照射される光を偏光する偏光特性を有するものであれば如何なるものでも検出することができる。
【0027】
上記したように、第1の実施形態に関わる紙葉類検査装置1は、紙葉類10に光を投光し、紙葉類10を透過した光を偏光ビームスプリッタ14により透過方向と反射方向とで偏光面が90度異なる光に偏光し、偏光した光を画像取得部12により電気信号に変換し、2つの画像を取得する。紙葉類検査装置1は、取得した2つの画像を比較し、画素毎に輝度の差を検出し、差の検出された画素に対応する紙葉類10の表面にテープTが貼付されているとしてその面積を求める。紙葉類検査装置1は、求めた面積と基準値とを比較することにより、紙葉類10の良否判定を行なう。
【0028】
上記構成によると、テープTが有する偏光特性を利用して、紙葉類10表面に貼付されたテープTを検出することができる。この結果、偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法が得られる。
【0029】
次に、第2の実施形態に係わる紙葉類検査装置について説明する。
上記した第1の実施形態の紙葉類検査装置1は、テープTの偏光面の角度が偏光ビームスプリッタ14により偏光する異なる2つの偏光面の角度のいずれとも一致しない場合、画像取得部12により取得した2つの画像に大きな差を検出することができず、紙葉類10に貼付されたテープを検出することができない可能性がある。そこで、紙葉類10を透過した光を異なる3つの角度の偏光面に偏光することにより多様な貼付方向のテープを検出することができる。
【0030】
図6は、第2の実施形態に係る紙葉類検査装置2を概略的に示す図である。なお、図1に示す紙葉類検査装置1と同じ構成は、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6に示すように、紙葉類検査装置2は、投光部11、画像取得部12a、12b、12c、差分検出部15、演算部16、判定部17、ハーフミラー18a、18b、偏光板19a、19b、19c、及び搬送機構20を具備している。また、紙葉類検査装置1は、装置全体の動作を総合的に制御する制御部21を具備している。
【0031】
ハーフミラー18a、18bは、例えば、厚さ及び材質が均一な平行平板ガラスの一方の面に金属膜が蒸着されたものであり、透過率及び反射率が所定の比率に制御されている。即ち、ハーフミラー18a、18bは、それぞれ入射光を反射方向と透過方向とに分割する。本実施形態において、ハーフミラー18a、18bは、それぞれ紙葉類10を透過した光の光軸に対して45度傾いて配置されている。紙葉類10を透過した光は、ハーフミラー18aにより反射光と透過光とに分割され、この透過光がさらにハーフミラー18bにより反射光と透過光とに分割される。即ち、紙葉類10を透過した光は、ハーフミラー18a、18bにより3方向の光に分割される。
【0032】
偏光板19a、19b、19cは、3方向に分割された光の光軸とそれぞれ直交するように配設されている。偏光板19a、19b、19cは、例えば、その分子構造に一定の配向性を有したものであり、受光した光の内、所定の角度の偏光面を有する光のみを透過し、他の角度の偏光面を有する光を吸収する偏光特性を有している。本実施形態では、ハーフミラー18a、18bにより3方向に分割された光をそれぞれ偏光するために、偏光板19a、19b、19cが配置されている。
【0033】
即ち、投光部11により投光された光は、紙葉類10を透過し、2つのハーフミラーのうち前段のハーフミラー18aに入射する。前段のハーフミラー18aに入射した光は、透過方向と反射方向とに分割される。前段のハーフミラー18aにより透過方向に分割された光は、後段のハーフミラー18bに入射する。後段のハーフミラー18bに入射した光は、透過方向と反射方向とに分割される。ハーフミラー18a、18bにより3方向に分割された光は、偏光板19a、19b、19cによりそれぞれ異なる角度の偏光面を有する光に偏光される。偏光板19a、19b、19cにより偏光された光は、画像取得部12a、12b、12cによりそれぞれ受光され、電気信号である画像に変換される。
【0034】
差分検出手段として機能する差分検出部15は、画像取得部12a、12b、12cにより取得した3つの画像から、対応する画素毎に輝度の差を検出する。ここでは、差分検出部15は、他の画像の対応する画素の値と比べて、例えば30%乃至50%程度の差が検出された場合、対応する紙葉類10上の領域にテープTが貼付されていると判断することができる。なお、30%乃至50%程度の輝度の差が検出された場合、テープTが貼付されていると判断するとしたが、他の画像の画素と比較して差がはっきりと検出できる値であれば如何なる値に基づいて判定してもよい。
【0035】
上記したように、第2の実施形態に関わる紙葉類検査装置2は、紙葉類10に光を投光し、紙葉類を透過した光をハーフミラー18a、18bにより3方向に分割し、分割した光を3つの偏光板19a、19b、19cによりそれぞれ異なる角度の偏光面を有する光に偏光し、偏光した光を画像取得部12a、12b、12cにより電気信号に変換し、3つの画像を取得する。紙葉類検査装置1は、取得した3つの画像を比較し、画素毎に差を検出し、差の検出された画素に対応する紙葉類10の表面にテープTが貼付されているとしてその面積を求める。紙葉類検査装置1は、求めた面積と基準値とを比較することにより、紙葉類10の良否判定を行なう。
【0036】
上記構成によると、紙葉類に貼付されたテープTが有する偏光特性を利用して、多様な方向で紙葉類10表面に貼付されたテープTを検出することができる。この結果として、多様な方向で貼付されている偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供することができる。
【0037】
次に、紙葉類検査装置の第3の実施形態について説明する。
図7は、第3の実施形態に係る紙葉類検査装置3を概略的に示す図である。なお、図1に示す紙葉類検査装置1と同じ構成は、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7に示すように、紙葉類検査装置3は、投光部11、画像取得部13、差分検出部15、演算部16、判定部17、及び偏光板19を具備している。また、紙葉類検査装置1は、装置全体の動作を総合的に制御する制御部21を具備している。
【0038】
画像取得部13は、所定の領域を二次元的に撮像するエリアイメージセンサなどにより構成されている。画像取得部13は、所定の領域に設置されている紙葉類10を透過した透過光を受光する。画像取得部13のラインイメージセンサは、受光した光を電気信号に変換する二次元的に複数配列された画素を具備している。画像取得部13は、この複数の画素により紙葉類10を透過した光を瞬時に受光し、受光した光を電気信号に変換し、紙葉類10全体の画像を取得する画像取得手段として機能する。なお、画像取得部13は、可視光に加え、近赤外波長の光を受光し、電気信号に変換することができる。
【0039】
偏光板19は、紙葉類10を透過した透過光の光軸に直交した向きに設けられ、且つ、光軸を中心として回転自在に支持されている。偏光板19は、回転することにより、偏光板19を透過する光の偏光面の角度を単位時間ごとに変化させる。
【0040】
即ち、投光部11により投光された光は、紙葉類10を透過し、所定の速度で回転する偏光板19に入射する。偏光板19に入射した光は、偏光板19により単位時間ごとに異なる角度の偏光面を有する光に偏光される。画像取得部13は、単位時間毎に偏光板19により変更された光を受光し、電気信号である画像に変換する。
【0041】
このような構成によると、例えば、偏光板19を単位時間毎に90度回転させる設定にしておくことで、紙葉類10を透過した透過光は偏光面の角度が90度異なる2種の光に偏光される。画像取得部13は、偏光された光を単位時間毎に受光して電気信号に変換することにより、1枚の紙葉類10に関して2つの画像を取得することができる。
【0042】
偏光板19を単位時間毎に90度回転させるとしたが、回転させる角度及び回数は任意で設定しうるものであり、偏光板19を透過する光は、偏光板19を回転させる回数に対応した種類の光に偏光される。即ち、画像取得部13は、1枚の紙葉類10に関して偏光板19を回転させた回数に応じた数の画像を取得することができる。
【0043】
上記したように、第3の実施形態に関わる紙葉類検査装置3は、紙葉類10に光を投光し、紙葉類10を透過した光を単位時間ごとに異なる角度の偏光面を有する光に偏光し、偏光した光を画像取得部12により単位時間毎に受光し電気信号に変換し、複数の画像を取得する。紙葉類検査装置1は、取得した複数の画像を比較し、画素毎に差を検出し、差の検出された画素に対応する紙葉類10の表面にテープTが貼付されているとしてその面積を求める。紙葉類検査装置1は、求めた面積と基準値とを比較することにより、紙葉類10の良否判定を行なう。
【0044】
上記構成によると、テープTが有する偏光特性を利用して、さらに多様な方向で紙葉類10表面に貼付されたテープTを検出することができる。この結果として、さらに多様な方向で貼付されている偏光特性を持つ物質をより高精度に検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供することができる。
【0045】
次に、紙葉類検査装置の第4の実施形態について説明する。
図8は、第4の実施形態に係る紙葉類検査装置4を概略的に示す図である。なお、図1に示す紙葉類検査装置1と同じ構成は、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8に示すように、紙葉類検査装置4は、投光部11、画像取得部12、偏光ビームスプリッタ14、差分検出部15、演算部16、判定部17、及び制御部21を有する検査部を2ステージ具備している。これらの検査部は、紙葉類10の搬送路を挟んで対向して設けられている。また、紙葉類検査装置1は、搬送機構20を具備している。
【0046】
上記したように、第4の実施形態に関わる紙葉類検査装置4は、紙葉類10の両面に光を投光し、紙葉類10の両側に設けられている偏光ビームスプリッタ14及び画像取得部12により紙葉類10を透過した透過光をそれぞれ受光し、偏光し、画像を取得する。
【0047】
上記構成によると、テープTが紙葉類10の表面及び裏面のどちら側に貼られている場合でも、テープTを検出することができる。この結果として、紙葉類の表裏によらず偏光特性を持つ物質を検出することができる紙葉類検査装置および紙葉類検査方法を提供することができる。
【0048】
なお、紙葉類検査装置4は、差分検出部15、演算部16、判定部17、及び制御部21も紙葉類10の両側に設けられているとしたが、それぞれ1つずつ有していればよい。この場合、紙葉類10の両側に設けられている画像取得部12の後段に1つの差分検出部15が接続される。差分検出部15は、紙葉類10の表側の画像取得部12により取得した画像に対する処理と、紙葉類10の裏側の画像取得部12により取得した画像に対する処理とを個別に行なう。
【0049】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、第1の実施形態に関わる紙葉類検査装置の構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類検査装置により検査される紙葉類の例を説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1に示す紙葉類検査装置により取得した紙葉類の画像を説明するための説明図である。
【図4】図4は、図1に示す紙葉類検査装置により取得した紙葉類の画像を説明するための説明図である。
【図5】図5は、図1に示す紙葉類検査装置により検出した紙葉類のテープが貼付されている領域を特定して表示した画像を説明するための説明図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に関わる紙葉類検査装置の構成例を概略的に示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に関わる紙葉類検査装置の構成例を概略的に示す図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に関わる紙葉類検査装置の構成例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、4…紙葉類検査装置、10…紙葉類、11…投光部、12…画像取得部、13…画像取得部、14…偏光ビームスプリッタ、15…差分検出部、16…演算部、17…判定部、18…ハーフミラー、19…偏光板、20…搬送機構、21…制御部、P1…印刷図柄、P2…印刷図柄、T…テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類に対して光を投光する投光手段と、
前記紙葉類を透過した透過光を複数方向に分割しそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光する光学系と、
前記異なる偏光面を有する複数の光をそれぞれ受光して電気信号に変換して複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得した複数の画像から対応する画素毎に輝度の差を検出する差分検出手段と、
前記差分検出手段により差が検出された画素に対応する領域の面積を前記紙葉類上の偏光特性を有する領域の面積として算出する演算手段と、
前記演算手段により算出した領域の面積と予め保持している基準値とに基づいて前記紙葉類の良否判定を行なう判定手段と、
を具備することを特徴とする紙葉類検査装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記紙葉類を透過した透過光を透過方向と反射方向とで偏光面が90度異なる光に分割する偏光ビームスプリッタを具備することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項3】
前記光学系は、
前記紙葉類を透過した透過光を複数方向に分割する1つまたは複数のハーフミラーと、
前記複数のハーフミラーにより複数方向に分割された光をそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光する複数の偏光板と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記紙葉類を透過した透過光を単位時間ごとに偏光面の異なる光に偏光する偏光板を具備し、
前記画像取得手段は、前記偏光板により偏光された光を前記単位時間ごとに受光してそれぞれ電気信号に変換して複数の画像を取得する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記紙葉類を透過した透過光を3方向に分割しそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光する手段を具備し、
前記画像取得手段は、前記異なる偏光面を有する3方向の光をそれぞれ受光して電気信号に変換して3つの画像を取得する手段を具備し、
前記差分検出手段は、前記画像取得手段により取得した3つの画像から対応する画素毎に輝度の差を検出する手段を具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項6】
前記光学系は、
前記紙葉類を透過した透過光を2方向に分割する第1のハーフミラーと、
前記第1のハーフミラーにより分割された2方向の光のいずれかをさらに2方向に分割する第2のハーフミラーと、
前記第1及び第2のハーフミラーにより3方向に分割された光をそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光する3つの偏光板と、
を具備することを特徴とする請求項3に記載の紙葉類検査装置。
【請求項7】
前記光学系は、前記紙葉類を透過した透過光を単位時間ごとに偏光面の角度が異なる3種の光に偏光する偏光板を具備し、
前記画像取得手段は、前記偏光板により偏光された光を前記単位時間ごとに受光してそれぞれ電気信号に変換して3つの画像を取得する手段を具備することを特徴とする請求項4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項8】
前記投光手段は、近赤外波長域の光を投光する手段を具備し、
前記画像取得手段は、近赤外波長域の光を受光する手段を具備する、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項9】
紙葉類に対して光を投光し、
前記紙葉類を透過した透過光を複数方向に分割しそれぞれ異なる偏光面を有する光に偏光し、
前記異なる偏光面を有する複数の光をそれぞれ受光して電気信号に変換して複数の画像を取得し、
前記取得した複数の画像から対応する画素毎に輝度の差を検出し、
差が検出された画素に対応する領域の面積を前記紙葉類上の偏光特性を有する領域の面積として算出し、
前記算出した領域の面積と予め保持している基準値とに基づいて前記紙葉類の良否判定を行なう、
ことを特徴とする紙葉類検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−58374(P2009−58374A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225888(P2007−225888)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】