説明

紫外線照射装置

【課題】長尺の紫外線ランプであっても、不点灯や消灯直後における高温状態であっても安全にかつ確実なランプ交換の実現を図る。
【解決手段】ランプハウス10内に、紫外線を放射する紫外線ランプ13を主に構成するランプユニット部11とランプユニット部11から放射される紫外線が照射される照射部12が構成される。ランプユニット部11に出し入れされるキャリア26に、紫外線ランプ13を載置可能とし、ランプ交換時にキャリア26を使用して、ランプユニット部11内に交換用ランプを搬送し、ランプハウス10の側面に形成された作業口を介して紫外線ランプ13を所定の位置に交換するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線を含む光を放射する管状のランプを内蔵し、光出射口から紫外線を照射させ、印刷関連でのインク乾燥、半導体関連での微細露光、液晶関連での接着剤硬化等の用途に用いられる紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外線照射装置は、紫外線を含む光を放射させる管状のランプを内蔵し、光出射口から紫外線を被照射体に照射させている。交換のためのランプは、光照射器本体からランプの長手方向に沿って引き出して取り外しできるように構成されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−35436公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、液晶関連の接着硬化の用途に用いた場合の紫外線を放射させるランプとしての全長がせいぜい1400mm程度のエキシマランプや超高圧水銀ランプ等が用いられている。
【0005】
近年、一度に作製可能な液晶パネル数を増やす目的から大型化が進められている。これに伴い、ランプ全長が1500〜3000mm程度と長尺化の傾向にある。このため、ランプの交換のため単純にランプの長手方向に沿って引き出して取り出すことでは、ランプ取り出し作業時における接触による破損や長いがゆえに交換の作業性が悪くなる、という問題があった。また、ランプの不点灯直後や消灯直後のランプは高温であり、高い温度でのランプの交換は作業性が悪くなる、という問題があった。
【0006】
この発明の目的は、長尺のランプであっても、不点灯や消灯直後における高温状態でのランプ交換を、安全にかつ確実に作業できるようにした紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、この発明の紫外線照射装置は、紫外線を放射する紫外線ランプが配置されたランプユニット部と該ランプユニット部から放射される紫外線が照射される照射部が箱状のランプハウスの内部に構成された紫外線照射装置において、前記ランプユニット部に出し入れされるキャリアに紫外線ランプを載置可能とし、前記紫外線ランプの交換時に前記キャリアを使用して、前記ランプユニット部内に交換用紫外線ランプを搬送し、前記ランプハウスの側面に形成された作業口を介して前記紫外線ランプを使用時の位置に交換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、長尺ランプであった場合でもランプの交換作業性の向上を図るとともに、不点灯や消灯直後の高温のままでのランプ交換の作業性向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の紫外線照射装置に関する一実施形態について説明するための側断面図である。
【図2】図1のI−I’線断面図である。
【図3】図1要部を拡大して示した一部切欠斜視図である。
【図4】図1要部を抜き出し拡大して示した正面図である。
【図5】図1要部を拡大して示した一部切欠側面図である。
【図6】図5の左側面図である。
【図7】ランプが取り付けられた状態について説明するための図1に相当する側断面図である。
【図8】ランプ交換の説明について用いる一部切欠側面図である。
【図9】ランプ交換の説明について用いる一部切欠側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1〜図6は、この発明の紫外線照射装置に関する一実施形態について説明するための、図1は側断面図、図2は図1のI−I’線断面図、図3は図1要部を拡大して示した一部切欠斜視図、図4は図1要部を抜き出し拡大して示した正面図、図5は図1要部を拡大して示した一部切欠側面図、図6は図5の左側面図である。
【0012】
まず、図1、図2において、10は、システム全体が収容される箱状のランプハウスであり、このランプハウス10は、ランプを保持するランプユニット部11と被照射物に紫外線を照射させるための照射部12から構成される。
【0013】
ランプユニット部11は、エキシマランプや超高圧水銀ランプ等の紫外線を発光させる紫外線ランプ13の両端の封止部に取着された例えばセラミック製の口金131,132を支持するためのフック141,142が天板15あるいはフレーム16に固定される。口金131,132がフック141,142に係合された後に口金131,132がフック141,142から外れることを防止するために、抜け防止材144を配置している。
【0014】
口金131,132内では、紫外線ランプ両端のそれぞれ電極が図示しない電力供給用の外部リード線の一端と電気的に接続され、リード線の他端は口金131,132が外側に取り出し、電源に接続される。
【0015】
抜け防止材144は、支軸143を中心として図中矢印方向に回動自在で、口金131,132がフック141,142に係合された後に、抜け防止材144を時計方向に回動させた後、ネジ145で固定している。これにより、口金131,132はフック141,142から外れることを防止することができる。
【0016】
171,172は、天板15あるいはフレーム16に固定されたフレーム18に支持され、紫外線ランプ13から発光される紫外線を反射させる反射板である。紫外線ランプ13から発光された紫外線と反射板171,172で反射された紫外線は、ランプユニット部11と照射部12との間に形成される照射口19を介して照射部12に照射される。
【0017】
照射口19は、赤外線カットフィルタ20、紫外線カットフィルタ21、石英ガラス22を積層した格好で塞がれており、照射部12内に特定波長の紫外線のみが照射されるようにしてある。
【0018】
23は、ランプハウス10の天板15に開けた開口部に取り付けられ、ランプユニット部11内に外部の空気を取り入れる吸気口である。24,25は、紫外線ランプ13の長手方向の両端と対向するランプハウス10の側面に設けた荒れた開口部に取り付けられ、ランプユニット部11内の空気を外部に取り出す排気口である。外気を送風機等を用いて吸気口23からランプユニット部11内に取り込み、ランプユニット部11内の温度を下げるとともに、温まった空気を排気口24,25から外部に排気するようにしている。図示しないが、吸気口23はダクトを用いて送風機等の外気を取り込む手段と接続され、同様に排気口24,25はダクトなどを用いて所定の位置まで排気を行うようにしている。
【0019】
26は、ランプユニット部11内外を出入り可能なランプ交換のキャリアである。図3〜図6にも示すように、キャリア26は、紫外線ランプ13の長さとほぼ同様の長さを有する長方形状のフレーム261に、長手方向に直交する例えば2本のリブ262を一体的に形成している。キャリア26のフレーム261、リブ262を残した他の部分は、紫外線を通過させる開口263で形成される。キャリア26は、ランプユニット部11内外を出入りさせるためにランプハウス10の側面に図示しない開閉扉が設置される。この開閉扉は、ランプ交換時等に開かれ、通常はネジ等の固定手段で固定されている。
【0020】
フレーム261の長手方向の側面には、キャリア26をスムースに走行させるためのスライダー264,265が形成される。また、フレーム261とリブ262の上面には、紫外線ランプ13を一時的に保持するため、上部にランプ受け部が形成された保持部266が直線上に複数箇所に取り付けてある。
【0021】
キャリア26のスライダー264,265は、ランプユニット部11内の側面側に形成された例えばフレーム16の一部をスライダー264,265の受けるレール271,272とし、その上部にガイド281,282が形成される。スライダー264はレール271とガイド281の間を、スライダー265はレール272とガイド282の間をそれぞれ自在に摺動させることで、紫外線ランプ13が搭載された状態のキャリア26を、ランプユニット部11の内外を出し入れさせることができる。
【0022】
スライダー264,265には、滑車を取り付けてレール271,272上を転がすようにすることで、よりスムースなキャリア26の出し入れが可能となる。また、レール271,272側の断面を逆Vの山構造とし、スライダー264,265側を逆Vの谷構造として摩擦を軽減させることでも、キャリア26をスムースな走行を実現させることが可能である。
【0023】
図7は、キャリア26がランプユニット部11に収容されるとともに、紫外線ランプ13が交換された状態の側断面図である。キャリア26は、ランプ交換後もランプユニット部11内に残った状態となる。キャリア26はリブ262を残して開口263で中抜けの状態となっている。このため、紫外線ランプ13から放射された紫外線は、開口263、赤外線カットフィルタ20、紫外線カットフィルタ21、石英ガラス22をそれぞれ介して所望の波長の紫外線を照射部12に照射させることができる。
【0024】
次に図8、図9も参照して紫外線ランプ13の交換について説明する。図8、図9はそれぞれ図1の右側面側の要部を拡大し切欠した状態の一部切欠側面図である。
【0025】
図8、図9において、ランプハウス10の両側面に取り付けられた排気口24,25は、ヒンジ81で開閉できる扉82に取着されている。扉82は、使用時においてはネジ83で留められている。図9に示す91は、排気口24,25の位置に排気口24,25よりもやや大きめに開けられたランプ交換用の作業口である。
【0026】
ここで、紫外線ランプ13の取り外しについて、図1も参照しながら説明する。まず、図8の扉82を留めてあるネジ83を外し、ヒンジ81の作用で扉82を開ける。図9の抜け防止材144を留めてあるネジ145を外して抜け防止材144を矢印方向に回動させる。これで、口金131,132はフック141,142から外すことができる。口金131,132とともに紫外線ランプ13をキャリア26の保持部266に載せる。図示しない開閉扉を開け、この開閉扉を介してキャリア26をランプハウス10の外側に引き出すことにより、紫外線ランプ13を取り出せる。
【0027】
次に、上記した取り出し作業後に引き続きランプを交換する場合について説明する。まず、不良品の紫外線ランプ13が取り除かれたキャリア26の保持部266に、口金131,132が封止部に取り付けられた交換用の紫外線ランプ13を載せ、キャリア26をランプユニット部11内に移動させる。次に、開かれた扉82の作業口91から口金131,132を取り上げ、抜け防止材144を反時計方向に回動させた状態で、口金131,132をフック141,142に係合させる。そして抜け防止材144をネジ145で留め、口金131,132がフック141,142から外れないようにする。最後に、扉82を閉め、ネジ83でネジ留めする。
【0028】
この実施形態では、キャリアにランプを載せてランプハウス内に出し入れすることでランプの交換が可能なことから、紫外線ランプ全長が1500〜3000mm程度と長尺なものであった場合でも、交換作業時における接触による破損や長いがゆえに交換の作業性が悪くなることを解消することができる。
【0029】
また、紫外線ランプの不点灯直後や消灯直後の紫外線ランプが高温な状態であったとしても、口金を抱えて紫外線ランプの下方に既に配置されたキャリア上に単に載せるだけの作業で事済むことから、高温時におけるランプ交換の作業性向上を図ることができる。
【0030】
さらに、ランプ使用時のキャリアは、ランプハウス内に配置され、紫外線はキャリアを介して紫外線照射部側に照射可能としたことにより、不使用時のキャリアの取り扱いについても好都合である。
【0031】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、ランプ交換のために扉に設けられた排気口の先に取り付けられたダクトは、ダクトを取り付けたまま扉を開閉させるために、フレキシブルなダクトを用いると都合がよい。
【符号の説明】
【0032】
10 ランプハウス
11 ランプユニット部
12 照射部
13 紫外線ランプ
131,132 口金
141,142 フック
144 抜け防止材
145,83 ネジ
16,18,261 フレーム
171,172 反射板
19 照射口
23 吸気口
24,25 排気口
26 キャリア
262 リブ
263 開口
264,265 スライダー
271,272 レール
281,282 ガイド
81 ヒンジ
82 扉
91 作業口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を放射する紫外線ランプが配置されたランプユニット部と該ランプユニット部から放射される紫外線が照射される照射部が箱状のランプハウスの内部に構成された紫外線照射装置において、
前記ランプユニット部に出し入れされるキャリアに紫外線ランプを載置可能とし、前記紫外線ランプの交換時に前記キャリアを使用して、前記ランプユニット部内に交換用紫外線ランプを搬送し、前記ランプハウスの側面に形成された作業口を介して前記紫外線ランプを使用時の位置に交換することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記キャリアは、前記ランプユニット部内の前記ランプと前記照射部との間に配置させ、紫外線照射時には、前記キャリアに形成された開口を介して紫外線を前記照射部に照射させたことを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記作業口を塞ぐ開閉扉には、前記ランプユニット部で発生した熱を排気する排気口が取り付けられたことを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−177625(P2011−177625A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42924(P2010−42924)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】