説明

組織を撮像するための装置及び方法

体組織を撮像するためのデバイス及び方法である。デバイスは、カテーテル端部を有する、体腔にアクセスするためのカテーテルを備える。カテーテル端部は、その内部に、電離放射線を放出するための電離放射線源と、電離放射線を検出するための少なくとも1つの電離放射線検出器とを有する。好ましくは、信号が電離放射線源によって放出され、該信号は光子又は電子を含み、該光子又は電子は、体組織から反射されるか又は体組織を刺激して光子又は電子を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の体腔へのアクセス、その撮像、及びその操作を行うためのカテーテルを使用して組織の撮像を改善するための装置及び方法、並びに電磁放射線又は音響エネルギーを放出及び受信する撮像ユニットを有するカテーテルであって、このような電磁放射線又は音響エネルギーが、生体組織の撮像、部位特定、及び操作に利用されるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の論述
1806年に、ボジーニ(Bozzini)は、身体の腔の電磁放射線を援用した視覚化の最初の器具を導入した。彼は最初の膀胱鏡を考案した。およそ200年の間、一方の端部にある光源と、画像をオペレーターに転送する一組のレンズとを有するカテーテルという原理は同じままである。ほぼ100年後の1800年代後半に、レントゲン(Roentgen)及びテスラ(Tesla)によるX線の発見によって、放射線医学と呼ばれる医学の新しい分野が開拓された。X線の発見によって、身体から離れて操作可能なさまざまな撮像デバイスが開発された。これらのデバイスには、X線、X線透視、CT等が含まれる。1800年代後半のマリー・キュリー(Marie Curie)の放射線放出元素の発見と共に約60年後のアンガー(Anger)のガンマカメラの発明によって、核医学が開拓された。核医学は、治療のほかに撮像にも使用される。撮像は、放射能の放出及び散乱の形跡を検出することによって行われる。核医学は、主に器官の解剖学的構造よりもむしろ機能を求めるのに使用されていた。
【0003】
20世紀後半の期間、可視光源及びカメラを使用した撮像カテーテルの使用によって、ほとんどどの体腔又は器官も侵襲されていた。これらの体腔又は器官には、腸、婦人科系、呼吸器、CNS(central nervous system)等が含まれていた。可視光及びカメラのカテーテルの厚さはおよそ10mmであるために、血管は、該カテーテルの対象ではなかった。血管は、血管造影法と呼ばれるプロセスを使用して撮像されていた。血管造影法では、カテーテルが血管に導入され、関連のあるエリアに達するまで進められる。このポイントで、造影剤(高Z元素(high-Z element)を有する物質)が血管腔内に注入されるのと同時に、X線撮像が行われ、血管の外側輪郭が撮像される。この技法のいくつかの欠点として、腎毒性元素が使用されること、撮像品質が低いこと、観察者の視点から見た3次元撮像に限界があることが含まれる。したがって、高Z造影剤の必要性を低減し、撮像分解能の感度を増加させる血管内撮像ツール及び技法がこの技術分野で必要とされている。また、血管外科医がより高い精度で血管壁を撮像することを可能にする血管内撮像も必要とされている。
【0004】
可視光源を使用する他の腔内スコープ(intra-cavity scope)も、いくつかの不利な点を有する。これらのスコープには、ターゲットへの汚れのない器官腔(organ cavity)及びクリアな視界が必要とされる。近年開発された自律式腔内撮像カメラの使用は、これらの問題に答えていなかった。これらの問題のうちのいくつかは、音波技術を使用して身体内及び血管内の空間を見ることによって答えられていた。しかしながら、音を伝播させるには流体媒体が必要であるので、超音波(US)の使用も制限される。したがって、超音波撮像は、呼吸器系及び消化管の一部等の空気を含む身体内腔では利用することができない。加えて、光と同様に、音は、デブリ(debris)及び炎症組織によって偏向される。これによって、さまざまな炎症組織の画質及び深度が低減されるおそれがある。
【0005】
今日、身体の撮像は、数々の器具を使用して、多くの異なる位置からさまざまな形式で実現することができる。しかしながら、いくつかの部位及び状況は、依然として課題を構成する。これらの部位及び状況には、炎症を起こしたデブリで満たされた空間が含まれる。例えば、汚れのある結腸又は炎症を起こした結腸、慢性炎症顔面洞(chronically inflamed facial sinuses)、炎症を起こした中耳等である。撮像が困難となる小さく暗い空間、かつ多くの場合デブリで満たされた空間での組織操作を行う外科医からは、最小侵襲手術に関する様々な要求がある。外部の撮像は、外科医が手術中に作業する三次元環境を示すことができないことが頻繁にある。可視光源及びカメラのほかに超音波技術を使用した従来の撮像が効果的でない部位では、医師が組織操作を行うことを助ける撮像デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、体器官、体腔、又は体組織の内部のより良好で高度な撮像を可能にする装置及び方法がこの技術分野で必要とされている。この撮像装置によって、オペレーターは、可視光撮像が不完全、不十分、又は不可能である部位の解剖学的構造及び組織学的構造を視覚化することが可能になる。また、この技術分野では、可視光撮像の範囲を超えた組織の撮像を可能にする器官内撮像システム又は体腔撮像システムも必要とされている。この技術分野では、画質が炎症組織要素又は異物片(foreign debris)による影響を受けない体器官又は体腔の内部を撮像することも必要とされている。このような方法によって、オペレーターは、利用可能な可視光撮像デバイス及び今日使用されている方法で視認できる以上の重要な情報を得ることが可能になる。
【0007】
カテーテルを使用した組織の撮像を改善するための新規な装置及び方法を提供し、これによって、従来技術の不利な点を克服することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、体組織を撮像するためのデバイスの提供であって、該デバイスは、体腔にアクセスするためのカテーテルを備え、該カテーテルは、その内部に、電離放射線を放出するための電離放射線源と、電離放射線を検出するための1つ又は複数の電離放射線検出器とを有し、電離放射線源は、1つ又は複数の電離放射線検出器に近接して配置され、好ましくは、信号が電離放射線源によって放出され、該信号は光子又は電子を含み、該光子又は電子は、体組織から後方散乱されるか又は該体組織を刺激して光子又は電子を発生させ、該体組織からの後方散乱により発生した光子又は電子は、電離放射線検出器によって検出される。
【0009】
本発明のいくつかの実施の形態では、デバイスは、電離放射線の放出を制限するための、電離放射線源を部分的に取り囲んで配置された1つ又は複数のコリメーターをさらに備える。
【0010】
本発明のいくつかの実施の形態では、コリメーターは、その内部に、光子又は電子の分散を可能にする1つ以上の成形されたトンネルを有する。
【0011】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、デバイスは、反射された光子若しくは電子又は体組織が発生した光子若しくは電子を増幅するための増幅器をさらに備える。
【0012】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、デバイスは、ステントをさらに備える。
【0013】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、デバイスは、ステントホルダーをさらに備える。
【0014】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、電離放射線検出器は、次の材料、すなわちカドミウムテルル化物、テルル化カドミウム亜鉛、ケイ素、炭化ケイ素等の材料のうちの任意の1つから作製される。
【0015】
本発明のいくつかの実施の形態では、電離放射線検出器は、1つ又は複数のシンチレーション光ファイバーを備える。
【0016】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、デバイスは、電離放射線検出器によって検出された、反射された光子又は上記体組織が発生した光子を増幅するための光電子増倍管又はフォトダイオードをさらに備える。
【0017】
本発明のいくつかの実施の形態では、デバイスは、シェル、モーター、及びケーブルをさらに備え、該ケーブルはシェルに接続され、該ケーブルはモーターによって回転され、該回転はシェルへ伝達される。
【0018】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、デバイスは、電離放射線源は中心傍に配置され、コリメーターは周辺に向けて配向され、それによって、シェルの回転の結果、走査エリアが拡張される。
【0019】
本発明は、体組織を撮像するためのデバイスの提供であって、該デバイスは、体腔にアクセスするためのカテーテルを備え、該カテーテルは、その内部に、音波エネルギーを放出するための超音波トランスデューサーと、超音波エネルギーを検出するための超音波検出器とを有し、超音波トランスデューサーは、超音波検出器に近接して配置され、好ましくは、信号が上記超音波トランスデューサーによって放出され、該信号は超音波を含み、該超音波は上記体組織から反射され、該体組織からの反射された超音波は、超音波検出器によって検出される。
【0020】
本発明によれば、体組織を撮像する方法が更に提供され、該方法はカテーテル内に配置される電離放射線源から電離放射線を放出するステップと、カテーテル内の電離放射線源からの電離放射線の放出に起因した体組織からの後方散乱放射線を検出するステップとを有する。
【0021】
本発明のいくつかの実施の形態では、本方法は、開口部の部位を識別するステップをさらに含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施の形態では、本方法は、開口部を通じてカテーテル端部をガイドするステップをさらに含む。
【0023】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、本方法は、ステントホルダーを使用して、開口部を部分的に通ってステントを押し進めるステップをさらに含む。
【0024】
本発明の他のいくつかの実施の形態では、本方法は、カテーテル及びステントホルダーを取り除くステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、図面と共に取り入れられた以下の詳細な説明からより完全に理解及び認識される。
【0026】
【図1】図1Aは、本発明の好ましい実施形態による装置の第1の実施形態の概略図を示す。図1Bは、本発明の好ましい実施形態による装置の第1の実施形態の概略図を示す。図1Cは、本発明の好ましい実施形態による図1A、図1Bに提示された実施形態の撮像原理の概略グラフ表現を示す。
【図2A】図2Aは、本発明の好ましい実施形態による装置の動作の2つのモンテカルロシミュレーションのスペクトル結果の概略グラフ図を提示する。
【図2B】図2Bは、本発明の好ましい実施形態による装置の動作の2つのモンテカルロシミュレーションのスペクトル結果の概略グラフ図を提示する。
【図3】図3Aは、本発明の好ましい実施形態による装置の使用可能な部位を実証するのに使用される、いくつかの細部を有する人間の頭部の概略的ではあるが一部詳細な側面図を示す。図3Bは、本発明の好ましい実施形態による装置の別の実施形態を概略的に示す。図3Cは、本発明の好ましい実施形態による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【図4】本発明の好ましい実施形態による撮像ユニット走査動作を示す概略3次元図を示す。
【図5】図5Aは、本発明の好ましい実施形態によるシンチレーション光ファイバーを利用した装置のさらに別の実施形態の概略図である。図5Bは、本発明の好ましい実施形態によるシンチレーション光ファイバーを利用した装置のさらに別の実施形態の概略図である。図5Cは、本発明の好ましい実施形態によるシンチレーション光ファイバーを利用した装置のさらに別の実施形態の概略図である。
【図6】図6Aは、本発明の好ましい実施形態による装置を使用して骨開口部を通ってステント挿入するための方法の概略図である。図6Bは、本発明の好ましい実施形態による装置を使用して骨開口部を通ってステント挿入するための方法の概略図である。図6Cは、本発明の好ましい実施形態による装置を使用して骨開口部を通ってステント挿入するための方法の概略図である。図6Dは、本発明の好ましい実施形態による装置を使用して骨開口部を通ってステント挿入するための方法の概略図である。
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、身体の器官内のほかに腔内及び組織内の撮像(以下では、これらすべてを器官内という)に関するものである。「器官内」という用語の使用は、腔の内部であろうと、器官の内部であろうと、仮想空間の内部であろうと、組織内部であろうと、制限されることなく、身体内から得られたあらゆる撮像を指す。電磁放射線等の非可視光源又は音波を使用して、本発明は、従来技術の発明に見られる不利な点を克服する。本発明は、これらの信号を画像に変換するために、組織に対して用いられる電離放射線の印加及び検出を使用する。この画像は、オペレーターが周囲の組織の診察、組織層を検査、及び上記組織内又は組織周辺での器具類の操作等を行うのに使用される。本発明は、逆コンプトン散乱原理、電子後方散乱原理、蛍光X線のほかに超音波反射等の一定の物理科学原理を用いる。本発明は、従来技術のデバイスが不利である組織及び空間の撮像において有効である。本発明は、放射線放出源又は音源、検出システム、及び情報記憶又は送信システムをそのファブリック内に有する新規な器官内カテーテル又は器官内プローブを使用する。洞、血管、耳道、腸管腔等の器官内空間にカテーテルを挿入した後、上記ソースは、放射線又は音を自身の周囲の組織に向けて放出する。上記放射線又は音波の一部は周囲の組織を通過するか又は吸収され、さらに一部は、後方散乱されるか、反射されて戻ってくる。後方散乱された放射線又は反射された音波は、上記カテーテルのファブリック内に配置された専用検出器によって吸収される。検出された放射線及び音波は、次に、記憶、転送、解読され、さらに操作されて、上記カテーテルの取り囲む環境の画像が構成される。可視光が不利である場所での撮像に電離放射線又は超音波を使用することの利点は当業者に明らかである。
【0028】
次に図1A〜図1Cを参照する。図1A〜図1Cは、本発明の装置の第1の実施形態の概略表現のほかに、本発明の装置の動作から解明されるデータのグラフ提示である。
【0029】
次に図1Aを参照する。図1Aでは、100で包括的に参照される本発明の装置の第1の実施形態、発明、及び血管アテローム及びプラークを識別する際のその使用の説明が記載されている。アテロームは、脂質を含むプラークが動脈の壁の最内層に堆積したもの又は変性して蓄積したものである。ここで、プラークは、カルシウムが豊富な脂肪質が動脈壁の内部内層に堆積したものであり、アテローム性動脈硬化に特有のものである。包括的に100で参照される血管内カテーテルは、血管壁102及び103の内部において概略的な断面において見られる。血管壁102及び103も、断面図で概略的に描かれている。血管壁102及び103は、この例では、好ましくは血管壁内102内にアテローム106を有する。血管内カテーテル100は、血管壁102及び103の境界内に配置されていることが分かる。この境界内において、カテーテル本体104の一部は、アテローム106に近接して配置されている。カテーテル100の本体104内において、好ましくはカテーテル端部の近くに、エネルギー放出源108がある。このようなソースには、β粒子、X線粒子、又はガンマ粒子を放出する任意のエネルギー放射源が含まれ得る。エネルギー放出源108は、、例えば、MDS Nordionが提供するヨウ素125とすることができる。他の形態の放射源も使用することができる。これらの他の形態の放射源には、バリウム133、ヨウ素131、リン32、パラジウム103等が含まれる。エネルギー放出源108の周囲には、2つのコリメーター112、112’が断面で示されている。コリメーター112、112’は、実際には円錐状放射線の方向及び広がりを制限する三次元形状のチューブ又は円錐である。コリメーター112、112’は、通常、タングステン等の高Z材で作製されて取り付けられ、コリメーター112、112’の周囲には検出器116、118、及び120がある。検出器116、118、120は、放射線粒子の専用検出器である。このような検出器は、カドミウムテルル化物、テルル化カドミウム亜鉛、ケイ素、炭化ケイ素等の材料で作製されている。本発明で使用される通常の検出器は、Acrorad Japanが提供しているカドミウムテルル検出器である。上記検出器116、118、120は、カテーテル100の本体104の内部に円形に位置している。図1AのラインBの位置の断面図に示されるカテーテル100を観察すると、図1Bに示されるように3つの検出器116、118、120が連続した円形で配列され、その端部において互いに隣り合っていることに容易に気付くことができる。このような配列は、撮像の分解能を向上させる働きをする。検出分解能を最適化する検出器116、118、120の単一の構成、複数の構成、縦の構成、円形の構成、シリアルの構成、及び他の任意の構成が可能である。検出器116、118、120は、逆コンプトン散乱原理に従って、照射を受けた周囲の組織から戻ってくる放射線粒子を検出する。検出器116、118、120によって得られた上記データは、この技術分野で既知の送信技法(図示せず)を介してユーザへ送信される。次に図1Cを参照する。図1Cには、検出器116、118、120から受信されたデータの概略グラフ表現が示されている。
【0030】
図1Cのグラフにおいて、横座標124は、カテーテル100が沿って進んでいく血管壁102及び103の長さを表す。縦座標122は、逆コンプトン散乱原理又は電子後方散乱原理に従って上記検出器に従って上記検出器により検出される粒子カウントを使用して計算された血管壁102及び103の密度を表す。3つのグラフ128、132、136は、それぞれ検出器116、118、120によって検出された粒子カウントレートに従って計算された血管壁102及び103の密度を表す。上記グラフ128、132、136は、上記カテーテル100の進行経路に沿って各検出器により測定された血管壁102、103の密度を表す。アテローム106の部位では、血管壁102の密度が、上記壁102に沿った他の部位と比較して低くなっている。これは、アテローム106の高い脂肪分及びその結果として血管壁102全体としての高い脂肪分によるものである。電離放射線が壁のこの部分に向けられたとき、検出器116、118、120に後方散乱される放射線は少なくなる。検出器116によって検出された主として血管壁103からの粒子カウントから計算されたグラフ128は、壁103の長さに沿ってほぼ同じである。グラフ128の血管壁密度の変動性は、血管腔の小体(図示せず)、壁103に沿った血管壁103の組織要素(図示せず)の軽微な変動等の複数の要因に依存する。グラフ128は、比較的一定であり、血管壁103に沿ってほぼ同様の密度を示している。グラフ132及び136も、グラフ128と同様に壁102、103からのそれぞれ検出器118、120によって受信されて検出された後方散乱放射線粒子のカウントレートを示している。波形136に沿ってグラフ中のカウントレートの下落部分138が示されている。このカウントレートの下落部分138は、血管壁103に沿った部分の中で、検出器120によって検出された戻り粒子が同様の壁102の他の部分と比較して少ない箇所を示す。この低い検出率は、血管壁102の低密度のエリアを表し、アテローム106の部位に対応する。グラフ132は、双方の壁102、103から検出された粒子を表す。グラフカウントレートの低い下落部分140は、アテローム106の部位において壁102から戻ってくる粒子が少ない場合、異常が見られない壁103における反対の部位からの戻り粒子によって補われていることを表す。したがって、カウントレートの下落部分140は、下落部分138よりも小さい。逆コンプトン散乱原理又は電子後方散乱原理に従って壁102、103から戻ってくる放射線粒子の検出に複数の検出器を使用することは、壁102,103に沿った密度を識別するために有効である。これは、血管壁アテローム106のほかに、プラーク、動脈瘤等の他の血管壁の異常にも対応する。図1Cのグラフに示された各グラフは、あらゆる測定時点において各検出器により検出された粒子の累積を表すことにも留意すべきである。上記密度データは、カテーテル100が挿入されるあらゆる動脈の血管壁、静脈の血管壁、腔、空間、又は組織のマッピングに使用することができることも当業者には明らかであるはずである。本発明の典型的な操作では、カテーテル100は、血管腔内に経皮的に挿入される。カテーテル100が血管に沿って進められると同時に、血管壁及び周囲の組織の密度の撮像が行われる。上記検出器によって得られたデータは、格納又は送信することができる。上記及び本明細書から分かるように、データは、グラフに描くことができる。データは、上記血管等の三次元図等の他のグラフィカル表現に変換することもできる。
【0031】
次に図2A及び図2Bを参照する。図2A及び図2Bは、本発明の動作の2つのモンテカルロシミュレーションのスペクトル結果の概略グラフ図である。双方のシミュレーションは、本発明の図1Aの撮像装置100による2つの異なる組織サンプルの照射に続く後方散乱ベータ電子の検出確率を表す。図2A、図2Bの縦座標は、本発明による後方散乱された入射粒子を検出する確率を表す。図2A、図2Bの横座標は、シミュレーション中に検出された全粒子エネルギーを表す。図2Aに表された組織モデルは、血管壁中の脂質の高い部分を示し、一方、図2Bに表された組織モデルは、実質的に上記脂質が高い部分のない血管壁を示す。実質的に脂質が高い部分のない血管壁の密度は1g/cmに近いが、脂質の高い部分の血管壁の密度はそれよりも低く、およそ0.8g/cmである。2つのシミュレーションの結果を比較すると、後方散乱粒子を検出する確率は、図2Bよりも図2Aが高いことが明らかに実証されている。脂質の高い部分のある血管壁をシミュレーションしたときに検出された戻り後方散乱粒子の確率は、脂質の乏しい血管壁又は脂質の高い部分が実質的にない血管壁と比較して、およそ20%増加する。図2A、図2Bには、一定のエネルギーの後方散乱粒子又は後方散乱電子を検出する確率が計算されている。脂質の高い部分が実質的にない血管を表す図2Aでは、計算された確率は毎秒4623カウントである。脂質の高い部分のある血管を表す図2Bでは、計算された確率は毎秒4210カウントである。計算された確率は、血管壁密度の間接的な尺度であり、血管の構造の間接的な尺度となる。このモンテカルロシミュレーションは、本発明が、異なる血管壁の構成を識別及び分類するための概念的な証明を提供し、本発明の本装置及び本方法の適切な動作を確かめる際に機能する。
【0032】
図3A、図3B、図3Cは、本発明の装置の別の実施形態の概略表現である。本実施形態は、副鼻腔、外耳、鼻腔、咽頭のほかに、カテーテルを挿入することができる身体内の他の実空間及び仮想空間等の器官内撮像において機能することができる。図3A、図3B、図3Cに示す本発明の実施形態は、人間の顔の洞の器官内撮像におけるこの実施形態の適用、及び2つのつながった洞の間の開口部へのステント留置における適用が例示されている(図6も参照)。図3Aでは、人間の頭部360の縦軸方向断面の概略図が示されている。この図には、副鼻腔364、前頭洞368、前頭骨副鼻腔開口部(front-nasal sinuses aperture)376、及び鼻孔372の部分的詳細図が示されている。鼻孔372を通り鼻腔に沿って挿入された本発明のカテーテル300が示されており、鼻腔において、カテーテル端部304は、開口部376に近接して示されている。器官内カテーテルの取り扱いに熟練したオペレーターは、上記カテーテルを洞内に容易に挿入して操作することができる。図3Bには、カテーテル300がより詳細に示されている。ここで、カテーテル端部304はカテーテル300の一部であり、ここでは、カテーテル300の末端部を指すのに使用される。この本体には、撮像ユニット301がその内部に存在する。カテーテル300は、増幅器330、洞ステント334、及びステントホルダー338のほかに、ケーブル342、スリップリング346、及びモーター350をさらに備える。図3Cには、図3Bのカテーテル端部304のエリアが分解されている。図3Cには、カテーテル端部304の内部に存在する撮像ユニット301が確認できる。図3Cに見られる撮像ユニット301は分解図で示され、該撮像ユニットの内部のより明瞭な図が提供されている。該撮像ユニット301は、コリメーター312によって取り囲まれたエネルギー放出源308を備える。上記コリメーター312は、ソース308からの電離放射線が、ソース308から好ましくは撮像ユニット301の外側へ通じる開口部のような円錐形チューブ313を介して出て行くことができるように不完全にソース308をカプセル化する。コリメーター312によって取り囲まれた円錐形チューブ313は、ソース308により近い近位部分の直径が、ソース308から離れた遠位部分よりも小さくなるように設計されている。この構成によって、ソース308からチューブ313を通って放出する電離放射線の円錐形の分配が可能になる。コリメーター312は、通常、タングステン、セラミック、高密度プラスチック等の高Z材から作製され、図3Cでは、ソース308及びコリメーターチューブ313が、撮像ユニットの中央位置に示されている。本発明の他の例示の実施形態によれば、ソース308及びコリメーターチューブ313の他の任意の空間位置を使用して、本発明の所望の効果を得ることができ、このようなことも本説明の範囲内に考慮されている。これには、ソース308のロケーションが中心から外れたものほかにチューブ313が空間的に傾いたもの、又は他の任意の変形も含まれ得る。本実施形態の好ましいソース及び円錐形チューブの位置決めには、ソース308の中心から外れたロケーション、1度から60度までの空間的な円錐形チューブ313が含まれる。ソース308のロケーション、サイズ、材料のほかにコリメーターチューブ313の長さ、直径、傾斜、及び姿勢の他の任意の構成が、本発明のコンテキストにおいて可能である。ソース308は、図1Aのソース108と同様であり、ソース308には、バリウム133、ヨウ素131、リン32、パラジウム103等が含まれ得る。図1のソース108と同様のソース308は、電離放射線粒子(図示せず)を放出する。コリメーター312の上部には、チューブ313がその内部を通る検出器316が示されている。この検出器316は、ここでは、2つの半円形として示されている。図3Cでは、撮像ユニット301の内部及びそれらの関係のより良い理解を提供するために、撮像ユニット301は、半分割されて表示されている。実際には、検出器316は、チューブ313の一方の端部を構成する開口部をその内部に有する円形ユニットである。検出器316は、撮像の分解能を向上させるために、カテーテル300に沿った任意のロケーション、カテーテル300の周囲の任意のロケーション、及びカテーテル300内の任意のロケーションに配置することができる。撮像の分解能を高めるために同じカテーテル300内に複数の検出器を実現することもできる。検出器316は、図1の検出器116、118、120について説明したように、組織から戻ってくる後方散乱電離放射線を検出するために有効である。検出器316も、Advanced Photonics社が提供するケイ素炭化物等の蛍光X線光子(XRF)検出器とすることができる。検出器316がXRF検出器であるとき、検出器316は、ソース308によって最初に分配された電離放射線により励起された元素から戻ってくる光子を検出するように機能する。このような元素には、骨のカルシウム原子が含まれ得る。ソース308、コリメーター312、及び検出器316はチューブ313に沿って、シェルケーシング309内に構成される。シェルケーシング309は、タングステン等、特定の高密度を有する高Z材から作製される。次に図3Bを再び参照する。図3Bには、本発明の他の部分及び動作が明らかにされている。中心軸線352がその内部を通過しているカテーテル300が描かれている。シェル309にケーシングされたカテーテル撮像ユニット301は、好ましくは、カテーテル本体304内に配置される。撮像ユニット301は、ケーブル342に接続されている。ケーブル342は、心臓カテーテル等でガイドワイヤに使用されるようなプラスチックワイヤ又は金属ワイヤの柔軟性のある材料で作られ、モーター350に接続されているスリップリング346に接続されている。本発明の別の実施形態では、カテーテルは、金属又はプラスチックチューブ類等の剛体材料から作製され、処置は、外部のオペレーターから対象エリアへストレートラインで行われる。モーター350は、好ましくはブラシレスで角度位置を記録するエンコーダーを有する電気モーター又は角度位置の追跡を可能にするステップモーターである。モーター350は、ケーブル342を通じて撮像ユニット301に回転エネルギーを提供するように機能する。撮像ユニット301の回転によって、さらなる画像分解能が提供される。ソース308若しくはチューブ313の近軸配置又はチューブ313の傾斜と、撮像ユニット301の回転運動とを組み合わせることによって、電離放射線の非中心円錐形放出が提供される。撮像ユニット301が回転している時、ソース308は、電離放射線粒子を周囲の組織に放出する。後方散乱放射線が時間と共に検出器316上で検出される。時間と共にデータが検出器316から登録される。このデータは、粒子束、検出の入射角、撮像ユニット301の回転速度及びロケーションのほかに、他のパラメータも含むことができる。該データは、図1Cの説明と同様の形式で、周囲の組織の画像を計算し、例示するために使用される。1つの可能な撮像構成では、オペレーターには明度の画像が角度の関数として示される。オペレーターの目的は、この場合、少ない後方散乱又は蛍光X線撮像の場合にはXRFがないことを表す暗いスポットターゲットを見つけることである。オペレーターがターゲットを識別すると、オペレーターは、その暗いスポットターゲットが撮像スクリーンの中心になるようにカテーテルをガイドする。この画像シーンは、実際には、カテーテルがターゲットの前面に近接して配置されるに従い平行移動される。地理的画像、二次元画像又は三次元画像等の他の撮像構成も本発明の範囲内にある。検出器316によって検出されたデータは、ケーブル342及びスリップリング346を介してリモートロケーションへ転送される。リモートロケーションでは、データは、解析されて表示される(図示せず)。本発明の別の実施形態では、カテーテルの出力は、検出される光子又は電子のレートに比例した音波エネルギーとすることができる。オペレーター(図示せず)は、走査中に、骨の穴の検出を意味する最小のカウントレートが存在するエリアを見つける。本発明の他の可能性には、モーター350を有しない上記カテーテル300が含まれることが当業者には明らかなはずである。この場合、カテーテル300は、手動で操作される。カテーテル300の手動操作は、オペレーターが行うことができ、これまでの説明と同じ方法で使用することができる。以下は、浮腫状の炎症を起こした前頭洞378を開くためのXRF検出を使用したカテーテル300の手術の一例である。オペレーター(図示せず)は、鼻孔372を通ってカテーテル300を副鼻腔364に挿入する。オペレーターは、カテーテル本体304を開口部376に向ける。カテーテル300を介してターゲットエリアの走査が開始される。電離放射線が、ソース308からチューブ313を介して円形に放出される。電離粒子は、鼻腔の骨構造のカルシウム原子とぶつかることで、XRF光子の放出を引き起こす。該光子は検出器316によって検出される。検出器316によって検出されたデータは、次に、ケーブル342及びスリップリング346を介してリモートロケーションへ転送される。リモートロケーションでは、計算が行われ、カテーテル300の本体304部分の周囲の骨構造の視覚画像がオペレーターに提供される。次に、前頭洞368と副鼻腔364との間の開口部376の視覚化が、該開口部を取り囲む炎症を起こした浮腫状の組織が存在しても、容易に実現される。次に、オペレーターは、カテーテル300の本体304を開口部376に向け、カテーテル300の本体304の一部を開口部376に通す。ステントホルダー338は、ステント334を保持し動かすカテーテル300の周囲に巻かれたチューブ状体であり、カテーテル本体304の周囲にも巻かれている。ステント334は、図6で詳細に説明され、開口部によって接続された洞368及び副鼻腔364の排出のために機能する。
【0033】
この時点で、オペレーターは、ステント334が、前頭洞368と副鼻腔364との間に開口部376を通ってしっかりと位置決めされるよう開口部376を一部通過するまで、ステントホルダー338及びステント334を本体304の端部に向けてスライドさせる。この時点で、オペレーターは、前頭洞368の排出を行うステント334を残して、カテーテル300及びステントホルダー338を人間360から引出す。
【0034】
図4は、XRF信号を使用して骨構造の開口部を検出する際の中心傍の円錐状放射線又は傾斜された円錐状放射線の利用の三次元図である。表面450は、カルシウムイオンをそのファブリック内に有する骨構造の概略図である。表面450は、開口部476によって途切れている連続した表面である。開口部476は、表面450のファブリックの開口又は欠陥を表す。カテーテル400の本体404は、開口部476に極めて近接して位置している。開口部476において、撮像ユニット401は、開口部476にほぼ向けられる。矢印453は、撮像ユニット401の回転方向を示す。撮像ユニット401の反対方向の回転のほかに他の傾斜動作も本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。撮像ユニット401から発し放射され表面450及び開口部476に達するいくつかの円錐状放射線440が共に示されている。実際の三次元での実動作をシミュレーションする図解には限界があるため、矢印453は、撮像ヘッド401に対する回転運動を推測して描いていることを理解されたい。同様に、いくつかの円錐440は、上記回転中のいくつかの時間間隔における或る円錐状放射線440を表す。動作中、電離円錐状放射線440は、撮像ユニット401から放射され、表面450に向けて円錐状に拡散する電離放射線粒子を概略的に具現化したものである。撮像ユニット401の回転により、円錐状放射線は、ライン443によって例示されるように、時間内に大きな表面積を走査することができる。カテーテル400が、図3の洞368と副鼻腔364とを分割する図3の開口部376を撮像して部位を特定するのに使用される一例示の状況では、通常5mmごとである。この技術に熟練したオペレーターは、カテーテル400を上記部位に容易にガイドすることができる。上記回転の結果、上記円錐440により表面走査を重複して撮像することにもなる。この円錐による重複を使用することによって、表面450の走査が容易になり、異なる部位及び角度からの戻りXRF粒子が提供され、したがって、撮像の速度及び精密度が増加する。これまでに説明したこの動作モデルは、浮腫状の柔らかい組織の下に位置する骨構造又はデブリ及び炎症等によって覆い隠された骨構造の部位を特定するのに使用される。オペレーター(図示せず)は、したがって、覆い隠す柔らかい組織層の下に隠された開口部等の骨構造の特定の部位を容易に特定することができる。オペレーターは、上記カテーテル400を柔らかい組織中で操作し、骨構造上の特定の部位に手動でアクセスすることもできる。カテーテル400は、鼻腔、洞壁、中耳骨等の構造等、他の骨構造を撮像するのに利用することもできる。柔らかい組織構造も認識することができるガンマ粒子等の他の放射線源も実現することができる。このようなモデルでは、必要に応じてその使用を交換することができるように、可視光及びカメラをカテーテル400と組み合わせることもできる。この可視及び非可視の組み合わせによって、特定の撮像作業に必要とされる放射線の量を低減することができる。図1で説明したような後方散乱撮像と、これまでに図3で説明した蛍光X線撮像とを組み合わせたものは、1つのデバイスに組み合わせることもできる。このようなデバイス(図示せず)では、通常は4キロ電子ボルト(Kev)の範囲にあるXRFの光子が一方の検出器で検出され、通常は25〜30Kevの範囲にある後方散乱された粒子が第2の検出器で検出されるような多くの異なる位置に2つの異なる検出器を組み合わせることができる。この組み合わせによって、逆コンプトン散乱によって実現される長距離検出及びXRFによって実現される短距離検出の持つ撮像能力が増大する。XRF撮像及び逆コンプトン散乱撮像を、可視光及びカメラの撮像システムとさらに組み合わせたものも、1つのデバイスで複数の撮像能力を提供するという本発明の範囲内に含まれる。撮像ヘッドの姿勢の他の組み合わせも本発明の範囲で実現される。これらは、カテーテル400の側面から異なる角度及び方向に向けられた走査円錐を有する撮像ユニット416を含むことができる。この構成によって、カテーテル本体404の周囲全体の組織の走査及び撮像が可能になる。本願の発明の範囲には、超音波及び本発明のデュアルシステムを、同じカテーテル又は2つの異なるカテーテルに設置して操作することができるように、本発明と同時に機能する超音波システムを組み合わせたものが本発明含まれる。
【0035】
次に図5A、図5B、図5Cを参照する。これらの図では、光ファイバー及びシンチレーション塗料を使用する撮像システムが、逆コンプトン散乱を検出するのに使用される。図5Aは、このシステムの概略表現であり、図5Bは、図5Aのエリア505の分解図であり、図5Cは、図5BのラインCにおける断面図である。本発明の代替的な実施形態では、カテーテル500がカテーテル本体504から成り、カテーテル本体504は、カテーテル500の端部内又は端部の近くに放射線源508を有し、放射線源508は、コリメーター(図示せず)によって部分的に覆われ、1つ又は複数の光ファイバー510によって取り囲まれている。該光ファイバーは、その検知端部が、シンチレーション塗料513又は同様の材料によって覆われている。図5では、シンチレーション塗料513及び光ファイバー510の端部が共に示されている。実際には、カテーテル500の端部がシンチレーション塗料513によって覆われ、光ファイバー510が肉眼で見えないように、光ファイバー510の端部はシンチレーション塗料513で覆われている。シンチレーション塗料513によって覆われた光ファイバー510はこの技術分野では既知である。このような光ファイバーは、サンゴバン(Saint-Gobain)クリスタル等が提供しているBCF−12シンチレーション光ファイバーとすることができる。放射線源508は、図1の放射線源108及び図3のソース308と同様である。上記の考察と同様に、電離放射線がカテーテル500の外側の特定の所定のエリアに向けられるように、ソース508は、コリメーター(図示せず)によって部分的に覆われている。これによって、図4の円錐状放射線440と同様の円錐状放射線(図示せず)が作り出される。図5Bでは、ソース508から放射される放射線がカテーテル500の中心を通って放射されていると理解されるように、光ファイバー510はソース508の周囲に円形に配列されている。図5の描写は、単なる例示にすぎないと理解されたく、実際には、円錐状放射線は、上記ソースのまわりのすべての方向に発するように配列することができる。動作中、カテーテル500は、例えば図3Aで見たように、体腔、体器官、又は体組織に挿入される。ソース508は、図3のソース308及び図1のソース108と同様にベータ粒子を放出する。後方散乱粒子は、シンチレーション光ファイバーによって吸収される。このデータは、光電子増倍管550又はフォトダイオードに搬送される。光電子増倍管550は、光ファイバー510によって検出された光子の増大において機能し、下流側のロケーションで上記ファイバーに接続されている。光電子増倍管550は、Hamamatsu社などが提供している光電子増倍管R9779とすることができる。光電子増倍管550によって増大された信号は、リモートロケーションへ搬送又は送信される。本発明のコンテキストにおいて、カテーテル500は、シンチレーション検出光ファイバーと共に可視光検出光ファイバーを混合したものから構成されるものとして実現することもでき、双方の放射線粒子及び光子を検出することができ、したがって、本発明の可能性が高められる。複数の光ファイバーを束の形で使用することによって、本発明の撮像分解能が向上し、この使用もこの実施形態で実現される。
【0036】
図6A、図6B、図6C、図6Dは、本発明の別の実施形態を示し、骨間ステントを挿入するための方法が概略的に示されている。図6Aにおいて、カテーテル600は、骨プレート650に空間的に極めて近接して位置している一方、カテーテル端部604は、開口部676に向けられている。カテーテル600は、カテーテル本体642及びカテーテル端部604を備える。カテーテル本体642内には、カテーテル端部604に近くに、撮像ユニット601がある。撮像ユニット601は、図1の撮像ユニット101又は図3の撮像ユニット301と同じものとすることができる。本明細書でさらに説明される本発明の代替的な撮像ユニット601は、Siemensが提供しているAcuson Antares EC9-4 Endocavity Probe等の超音波トランスデューサー(図示せず)を備える超音波撮像ユニットである。3〜200MHzの範囲で動作する他の小型圧電トランスデューサーも適用することができる。撮像ユニット601は、小型圧電トランスデューサー等の超音波検出器(図示せず)及びTexas Instrumentsが提供しているCC1110 RF送信機チップ等の情報伝送手段(図示せず)をさらに備える。カテーテル600には、ステント634及びステントホルダー638が取り付けられている。ステント634は、好ましくは、高分子材料から構成される。材料に「プログラミング」された一定の形状の記憶を有するニチノール金属等の他の材料も実現することができる。ステント634は、通常は図6Aの開口部676によって接続された空間668と空間664との間に安定した開存性接続(patent connection)を提供するように設計されている。該開口部676は、図3Aの開口部676について例示されたように閉塞する場合がある。このような場合に、図3Aの洞368と副鼻腔364との間の開口部376の閉塞について説明したのと同じように、空間668から空間664への開口部676を通った物質の移動が妨害又は停止される。設計において、ステント668は、内側の開存性空洞(patent hollow)691及び好ましくは2つ以上の外側の円周状突出部693及び694を有するチューブ型構造である。双方の突出部693及び694は、力を加えることで容易に曲がったりねじれたりするよう柔軟であるように設計されている。ステントホルダー638は、好ましくはカテーテル600よりも大きな直径を有するがカテーテル600とステントホルダー638との間に或る小さな摩擦を可能にするほど十分小さな直径を有するチューブ形状の装置である。ステントホルダー638は、オペレーターが、離れたロケーションからカテーテル端部604へカテーテル600に沿ってステント634を操作することを可能にするほど十分に長い。動作中、オペレーター(図示せず)は、図6Aに見られるように、開口部676の部位に極めて近接してカテーテル600を操作する。超音波撮像ユニット601が、オペレーターを開口部676に向けてガイドするのに使用される。上記で説明した他の撮像ユニット101及び301を使用して、上記開口部の部位を特定することもできる。開口部676の部位が特定されると、図6Bに見られるように、オペレーターは、カテーテル端部604を進めて開口部676に通す。次に、図6Cに見られるように、オペレーターはステントホルダー638を使用して、ステント634を押し進め、一部を開口部676に通す。その後、カテーテル600及びステントホルダー638は取り除かれる。図6Dに見られるように、ステント634は、好ましくは、自然の開口部676をなくして、プレート650の間を橋渡しした状態で残される。ステント空洞691は、この時、空間668と空間664との間を橋渡ししており、一方の空間から他方の空間への物質の通過が可能になる。したがって、動作中、該カテーテルシステムは、隠れた骨開口部及び障害物に遮られた骨開口部の部位を特定し、それらの骨開口部に入り、かつそれらの骨開口部を橋渡しするのに使用することができる。
【0037】
本発明は、特に図示したもの及び上記に説明したものに限定されるものではないことが当業者によって認識される。それどころか、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲のみによって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体組織(102、103、106)を撮像するためのデバイスであって、
該デバイスは、
体腔にアクセスするためのカテーテル(100)を備え、該カテーテルは、その内部に、
電離放射線を放出するための電離放射線源(108)と、
電離放射線を検出するための少なくとも1つの電離放射線検出器(116、118、120)と、
を有し、
前記電離放射線源(108)は、前記少なくとも1つの電離放射線検出器(116、118、120)に近接して配置され、
好ましくは、信号が前記電離放射線源(108)によって放出され、該信号は光子又は電子を含み、該光子又は電子は、前記体組織(102、103、106)から後方散乱されるか又は該体組織(102、103、106)を刺激して光子又は電子を発生させ、
前記体組織(102、103、106)からの前記後方散乱により発生した光子又は電子は、前記少なくとも1つの電離放射線検出器(116、118、120)によって検出されるデバイス。
【請求項2】
前記電離放射線の放出を制限するための、前記少なくとも1つの電離放射線源を部分的に取り囲んで配置された少なくとも1つのコリメーターをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコリメーターは、その内部に、光子又は電子の分散を可能にする少なくとも1つの成形されたトンネルを有する請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記反射された光子若しくは電子又は前記体組織が発生した光子若しくは電子を増幅するための増幅器をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
ステントをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
ステントホルダーをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電離放射線検出器は、カドミウムテルル化物、テルル化カドミウム亜鉛、ケイ素、炭化ケイ素ら成る群から選択された材料である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電離放射線検出器は、少なくとも1つのシンチレーション光ファイバーを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電離放射線検出器によって検出された、前記反射された光子又は前記体組織が発生した光子を増幅するための光電子増倍管又はフォトダイオードをさらに備える、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、シェル、モーター、及びケーブルをさらに備え、該ケーブルは前記シェルに接続され、該ケーブルは前記モーターによって回転され、該回転は前記シェルへ伝達される、請求項1又は3に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電離放射線源は中心傍に配置され、前記少なくとも1つのコリメーターは周辺に向けて配向され、それによって、前記シェルの前記回転の結果、走査エリアが拡張される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
体組織を撮像するためのデバイスであって、該デバイスは、
カテーテル端部を有する、体腔にアクセスするためのカテーテルを備え、該カテーテル端部は、その内部に、
音波エネルギーを放出するための超音波トランスデューサーと、
超音波エネルギーを検出するための少なくとも1つの超音波検出器と、
を有し、
前記超音波トランスデューサーは、前記少なくとも1つの超音波検出器に近接して配置され、
好ましくは、信号が前記超音波トランスデューサーによって放出され、該信号は超音波を含み、該超音波は前記体組織から反射され、
前記体組織からの前記反射された超音波は、前記少なくとも1つの超音波検出器によって検出される、
デバイス。
【請求項13】
体組織を撮像する方法であって、
体腔内にカテーテルを挿入するステップと、
前記カテーテル内に配置される電離放射線源から電離放射線を放出するステップと、
前記カテーテル内の前記電離放射線源からの電離放射線の前記放出に起因した前記体組織からの後方散乱放射線を検出するステップと、
を含む体組織を撮像する方法。
【請求項14】
開口部の部位を識別するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
開口部を通じて前記カテーテル端部をガイドするステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ステントホルダーを使用して、前記開口部を部分的に通ってステントを押し進めるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記カテーテル及び前記ステントホルダーを取り除くステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−523577(P2011−523577A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512266(P2011−512266)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000765
【国際公開番号】WO2008/149362
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(511121263)チェック−キャップ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】