説明

組電池およびその製造方法

【課題】 扁平型電池の電極タブ同士を容易に超音波接合できるようにする。
【解決手段】 電極タブの極性を交互に複数の扁平型電池が積層されてなる組電池100であって、すべての扁平型電池を積層したときに組となる扁平型電池同士を直列に接続するための接合部110A、110B、110C、110Dが組電池の複数の位置に分かれており、それぞれの接合部を接合することによってすべての扁平型電池が電気的に直列に接続される構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平型電池の電極タブ同士を容易に超音波接合することができる組電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりを受けて、自動車の動力源を、化石燃料を利用するエンジンから電気エネルギーを利用するモータに移行しようとする動きがある。このため、モータの電力源となる電池の技術も急速に発展しつつある。
【0003】
自動車には、小型軽量で、大きな電力を頻繁に充放電可能な、耐震動性、放熱性に優れた電池の搭載が望まれる。これらの要望を受けて、近年では下記特許文献1に示すような、扁平型電池を多数直列に接続してなる組電池が開発されている。
【特許文献1】特開2004−31136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大きな電力を高効率で充放電するためには組電池の高電圧化が望まれる。組電池を高電圧化するためには、組電池を構成する扁平型電池を複数直列に接続する必要がある。複数の扁平型電池を直列に接続するためには、扁平型電池の電極タブの向きを正負互い違いにして積層し、積層した扁平型電池の正負の電極タブを組にして、積層方向下側または上側から順番に、組となる正負の電極タブ同士を超音波溶接機またはワッシャなどの機械的手段を用いて接合する。
【0005】
ところが、これらの接合方法には次のような問題がある。
【0006】
まず、超音波溶接機を用いて接合する場合、超音波溶接機のヘッドで接合しようとする電極タブ(組となる正負の電極タブ)のみを挟まなければならないため、すべての扁平型電池を積層したままでは行えず、ヘッドの挿入スペースを確保するために、接合対象以外の扁平型電池を一旦退かす(積層方向上下に開く)必要があり、その作業が面倒であるばかりでなく、その作業の自動化も困難であり、接合済みの電極タブに余分な応力をかけることになるなどの問題がある。
【0007】
次に、機械的に接合する場合、ボルトナット、ワッシャなどの機械的手段を用いることになるため、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりする恐れがあり、耐久信頼性、メインテナンス性の面で問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解消するために成されたものであり、扁平型電池の電極タブ同士を容易に超音波接合でき、耐久信頼性、メインテナンス性が優れた組電池およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る組電池は、電極タブの極性を交互にして複数の電池が積層されてなる組電池であって、すべての電池を積層したときに組となる電池同士を直列に接続するための前記電極タブの接合部が前記組電池の複数の位置に分かれており、それぞれの前記接合部を接合することによってすべての電池が電気的に直列に接続される構造を有していることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る組電池の製造方法は、組となる電池の相互間に絶縁体を介在させ、電池の電極タブ同士を接合してユニットを複数作成する段階と、前記ユニット、電池単体および絶縁体を交えて電池と絶縁体とが交互に積層されるように、かつすべての電池を積層したときに組となる電池同士を直列に接続するための前記電極タブの接合部が異なる位置に分かれるように前記電池と前記絶縁体とを積層する段階と、異なる位置に分かれている接合部を順番に接合する段階と、を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに上記目的を達成するための本発明に係る他の組電池の製造方法は、組となる電池の電極タブ同士を接合して第1ユニットを複数作成する段階と、前記第1ユニット同士を、前記第1ユニットの接合されていない電極タブ同士を前記第1ユニットを作成したときとは異なる位置を接合することによって第2ユニットを作成する段階と、前記第2ユニット同士を、前記第2ユニットの接合されていない電極タブ同士を前記第1ユニットおよび第2ユニットを作成したときとは異なる位置を接合することによって組電池を作成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明に係る組電池の製造方法は、一方の電極タブが他方の電極タブに対し当該他方の電極タブを基点とする直径からオフセットされるように所定の中心角を持って配置されている、積層方向から見た形状が円形または多角形の複数の電池を、それぞれの電池の+側の電極タブとその上に積層される電池の−側の電極タブとが重なるように積層する段階と、積層された結果、電池の外周部の異なる位置から分かれて突出している組となる電極タブを順番に接合する段階と、を含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記目的を達成するための本発明に係る組電池の製造方法は、電極タブを有さない辺同士が隣接する電池に次々と連なって接続されており、それぞれの電池の異なる位置から電極タブが引き出されている一連の電池を、ジグザグ状に折りたたむことによって、または、ロール状に巻き付けることによって積層する段階と、積層された結果、異なる位置に分かれて突出している組となる電極タブを順番に接合する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成を有する本発明に係る組電池およびその製造方法によれば、それぞれの電池およびユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、すべての電池を積層したまま接合作業を行うことができ、接合作業が容易になる。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本実施の形態にかかる組電池およびその製造方法について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、電極タブの形状が異なる6種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態1」、電極タブの形状が異なる4種類12枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態2」、電極タブの形状が異なる3種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態3」、電極タブの形状が異なる4種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態4」、電極タブの長さが異なる6種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態5」、電極タブの長さが異なる3種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態6」、電極タブの長さと形状が異なる7種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態7」、電極タブの取り出し位置が異なる6種類8枚の扁平型電池で組電池を構成する「実施の形態8」、所定の中心角で配置された電極タブを持つ円形状の扁平型電池から組電池を構成する「実施の形態9」および複数の扁平型電池が連なったシート状電池を折り畳むことによって組電池を構成する「実施の形態10」に分けて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る組電池の実施の形態1における外観図である。本実施の形態に係る組電池100は、電極タブの極性を交互にして8枚の扁平型電池がその厚み方向に積層されてなるものである。本実施の形態に係る組電池100は、すべての扁平型電池を積層したときに組となる扁平型電池同士を直列に接続するための電極タブの接合部が組電池の複数の位置に分かれており、それぞれの接合部を接合することによってすべての扁平型電池が電気的に直列に接続される構造を有している。具体的には、扁平型電池はその上面から見て矩形となっており、電極タブの接合部は積層位置ごとに扁平型電池の長手方向と短手方向に位置がずれるよう配置されている。このため、扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、8枚の扁平型電池を積層したときにそれぞれの組となる電極タブが4方向に分かれるように、その積層位置ごとに固有の形状を有している。
【0016】
また、扁平型電池相互間には、個々の扁平型電池の電圧が検出できるようにする機能と絶縁すべき電極タブ間を絶縁する機能とを有する、図示されていない絶縁シートが挿入されている。絶縁シートの形状は、上記の両機能を果たすため電極タブの形状と同様、その積層位置ごとに固有の形状を有している。
【0017】
組電池100は、積層した扁平型電池の電極タブを図2に示す超音波接合機200により接合することによって電気的に直列に接続される。組電池の電極タブは、図1に示すようにその突出した部分が4方向に分かれているため、電極タブ群110Aを超音波接合することによって一番上とその下に位置する扁平型電池同士を直列に接続することができ、電極タブ群110Bを超音波接合することによって上から3番目と4番目の扁平型電池同士を直列に接続することができ、電極タブ群110Cを超音波接合することによって下から3番目と4番目の扁平型電池同士を直列に接続することができ、電極タブ群110Dを超音波接合することによって一番下とその上に位置する扁平型電池同士を直列に接続することができる。以上4方向に分かれている4箇所の電極タブを超音波接合すると、8枚すべての扁平型電池は直列に接続される。
【0018】
また、扁平型電池相互間に位置される絶縁体として機能する絶縁シートには、その片面側に扁平型電池の電圧が検出できるようにする機能を果たす図示しない電圧検出端子が設けられている。電圧検出端子にはリード線が取り付けられているため、組電池100の一方側から4本のリード線群120Aが、他方側から3本のリード線群120Bが引き出される。各リード線は図示しない電圧検出器に接続され、その電圧を監視することによって個々の扁平型電池の動作状態がチェックされる。
【0019】
本実施の形態に係る組電池では、積層したすべての扁平型電池の電気的接合を、積層方向に重複しない4箇所に分けて行うことができるので、すべての扁平型電池を積層したままで接合することができ、作業性が良好である上に、接合作業の自動化が容易である。さらに、接合済みの電極タブに余分な応力をかけることもなく、ボルトナット、ワッシャなどによる機械的接合部分がないために耐久信頼性、メインテナンス性に優れている。
【0020】
本実施の形態に係る組電池を車両に搭載する場合には、組電池と組電池との間にヒートシンクを介挿させて3段積層し、3段積層したものを4列横に並べ、すべての組電池を積層方向の両側から挟むようにしてヒートシンクで固定する。積層方向両側に位置するヒートシンクは所定の力で相互に引き合うように固定される。したがって、すべての扁平型単電池には所定の押圧力が均一に付与される。
【0021】
以上のようにして3段×4列=12個の組電池は、積層方向に位置されるものは電極タブ同士を直接接続することによって、最上段および最下段で隣接するものは電極タブ同士をバスバーで接続することによって、すべてが直列に接続される。この電気的接続状態を図3に示す。図示するように、1列目の3段を構成する組電池100A、100B、100Cは、図示するように積層方向にすべて直列に接続される。なお、各組電池100A、100B、100Cを構成する扁平型電池の電極タブ同士(図示×印の部分)は上記のように超音波接合によって接合され、組電池同士の電極タブ(図示○印の部分)は溶接によって接続される。2〜4列目の組電池同士の電極タブの接続も1列目と同様にして行われる。また、最下段に位置される組電池同士の電極タブはバスバー130A、130Bに溶接することによって接続され、最上段に位置される組電池同士の電極タブはバスバー130Cに溶接することによって接続される。
【0022】
すべての組電池が直列に接続されると、8枚×3段×4列=96枚の扁平型電池すべてが直列に接続されることになり、積層方向片側に位置するヒートシンクの電極端子140A、140B間で3.85V/枚×96枚=370Vの高電圧が得られることになる。
【0023】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0024】
本実施の形態に係る組電池100は、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、図4に示す扁平型電池10Aを除いて、その+側または−側の少なくとも一方の電極タブがL字形を呈しており、電極タブの接合部は扁平型電池の積層方向に対して垂直な方向で複数の位置に分かれるように、各扁平型電池の電極タブの形状を積層位置に応じて相違させている。図4は、本実施の形態に係る組電池100を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ形状が相違する)を示している。組電池100は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、電極タブの接合位置を4方向に分けるためには、図に示すような6種類の形状の電極タブを持つ扁平型電池が必要となる。
【0025】
まず、最下段に位置させる扁平型電池10Aは両側の電極タブが同一形状の長方形のものである。下から2番目に位置されることになる扁平型電池10Bは一方の電極タブ11Bが扁平型電池10Aの電極タブと同様の長方形であり、また他方の電極タブ12Bが逆さL字形状になっている。下から3番目に位置されることになる扁平型電池10Cは一方の電極タブ11Cが逆L字形状であり、また他方の電極タブ12Cが長方形になっている。下から4番目に位置されることになる扁平型電池10Dは一方の電極タブ11Dが長方形であり、また他方の電極タブ12DがL字形状になっている。下から5番目に位置されることになる扁平型電池10Eは逆逆さL字形状であり、また他方の電極タブ12Eが扁平型電池10Dと同様のL字形状になっている。最後に下から6番目に位置されることになる扁平型電池10Fの電極タブ11Fは扁平型電池10Eと同様の逆逆さL字形状であり、また他方の電極タブ12Fが長方形となっている。なお、最上段に位置される扁平型電池は扁平電池10Cと同一のものを、また上から2番目に位置されることになる扁平型電池は扁平電池10Bと同一のものを積層する。
【0026】
以上は、扁平型電池の表裏を逆にして積層することができないと仮定して準備すべき扁平型電池の種類を述べたが、表裏を逆にして積層することが可能であれば、扁平型電池10Dは扁平型電池10Bを裏返すことによって、また、扁平型電池10Fは扁平型電池10Cを裏返すことによって共用可能であるので、この場合には4種類の扁平型電池を用意すればよい。
【0027】
また、本実施の形態に係る組電池100では、扁平型電池相互間の絶縁および扁平型電池の電圧検出のために7枚の絶縁シートを用いている。絶縁シートは、絶縁すべき電極タブ間の絶縁を図るため、扁平型電池と同様にその形状を積層位置に応じて相違させている。図5は、本実施の形態に係る組電池100を構成するために必要な絶縁シートの種類を示している。絶縁すべき電極タブ間の絶縁を図るためには図に示すような5種類の絶縁シートが必要となる。
【0028】
まず、絶縁シート20Aは、電極タブに突出部のない、たとえば扁平型電池10Aの電極タブ12Aに対応する位置に電極タブ絶縁部22Aが形成されているものであり、電極タブ絶縁部22Aには電圧検出端子24Aが設けてある。電圧検出端子24Aは電極タブ絶縁部22Aの一方の面に貼り付けてある。したがって、電圧検出端子24Aは、積層されたときにこれと接触することになる電極タブを介して扁平型電池の電圧を提供する。図示してはいないが、電圧検出端子24Aにはリード線が接続され、外部に設けられる電圧検出器などに接続される。
【0029】
絶縁シート20Bは、絶縁シート20Aとは電極タブ絶縁部22Bを設けている位置が180度異なっている。電極タブ絶縁部22Bには電圧検出端子24Bが貼り付けられている。
【0030】
絶縁シート20Cは、電極タブに突出部のある、たとえば扁平型電池10Bの逆さL字形状の電極タブ12Bに対応する位置に電極タブ絶縁部22Cが形成されているものであり、電極タブ絶縁部22Cの突出部ではない位置に電圧検出端子24Cが貼り付けてある。
【0031】
絶縁シート20Dは、絶縁シート20Cとは電極タブ絶縁部22Cの形状がL字形状となっている点で異なっている。電極タブ絶縁部22Dの突出部ではない位置に電圧検出端子24Dが設けてある。
【0032】
絶縁シート20Eは、絶縁シート20Cとは電極タブ絶縁部22Eを設けている位置が180度異なっている。電極タブ絶縁部22Eには電圧検出端子24Eが貼り付けられている。
【0033】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池と絶縁シートを図6に示すように並べて図7に示すように積層させる。具体的には、最下段から最上段に向けて、図4に示した扁平型電池10A、図5に示した絶縁シート20A、扁平型電池10B、絶縁シート20B、扁平型電池10C、絶縁シート20C、扁平型電池10D、絶縁シート20B、扁平型電池10E、絶縁シート20D、扁平型電池10F、絶縁シート20E、扁平型電池10B、絶縁シート20A、扁平型電池10Cの順に積層される。
【0034】
積層させる前に、図6において×印で示されている電極タブ同士を超音波接合してユニットを作っておく。事前に作っておくユニットの数は図6に示すように3ユニットである。
【0035】
まず、組となる扁平型電池の相互間に絶縁体を介在させ、扁平型電池の電極タブ同士を接合してユニットを複数作成する。すなわち、扁平型電池10Aの上に絶縁シート20Aを載せさらにその上に扁平型電池10Bを載せる。絶縁シート20Aは電圧検出端子24Aが扁平型電池10Bの+側の電極タブ12Bに接触するように配置する。超音波接合は扁平型電池10Aの+側の電極タブ12Aと扁平型電池10Bの−側の電極タブ11Bに対して行う。超音波接合が終わると、絶縁シート20Aを挟んだ状態の扁平型電池10A、10Bからなるユニットが形成される。ユニットの形成は、絶縁シート20Cを挟んだ状態の扁平型電池10D、10Eからなるユニット、絶縁シート20Eを挟んだ状態の扁平型電池10B、10Cからなるユニットについても同様に行われる。
【0036】
次に、前記ユニット、扁平型電池単体および絶縁体を交えて扁平型電池と絶縁体とが交互に積層されるように、かつすべての扁平型電池を積層したときに組となる扁平型電池同士を直列に接続するための電極タブの接合部が異なる位置に分かれるように扁平型電池と絶縁体とを積層する。すなわち、上記のように形成したユニットを交えて図7に示すように扁平型電池および絶縁シートを積層すると、外観上、図1に示したような組電池100が形成される。まだすべての電極タブが接合されていない状態の組電池100を超音波接合機200に持って行き、図2に示すようにして、まず電極タブ群110Aを超音波接合すると、最上段に位置する扁平型電池10Cの−側の電極タブ11Cとその下に位置する扁平型電池10Bの+側の電極タブ12Bとが接合される。超音波接合が行われる部分は、電極タブ11Cと電極タブ12Bの図示△印で示した突出部分である。扁平型電池10Bとその下に位置する扁平型電池10Fはユニットであるため既にそれらの電極タブ11B、12Fは接合されており、また、絶縁シート20Aの電極タブ絶縁部22Aは扁平型電池10Cの電極タブ12Cと扁平型電池10Bの電極タブ11Bとを絶縁し、絶縁シート20Eの電極タブ絶縁部22Eは扁平型電池10Bの電極タブ12Bと扁平型電池10Fの電極タブ11Fとを絶縁しているので、電極タブ群110Aの接合によって3枚の扁平型電池10C、10B、10Fは電気的に直列に接続される。また、絶縁シート20Aの電圧検出端子24Aは扁平型電池10Cの電極タブ12Cと接触し、絶縁シート20Eの電圧検出端子24Eは扁平型電池10Bの電極タブ12Bと接触しているので、電圧検出端子24A、24E間の電圧を測定することによって扁平型電池10Cの電圧がわかる。
【0037】
次に、電極タブ群110B(図2参照)を超音波接合すると、扁平型電池10Fの−側の電極タブ11Fとその下に位置する扁平型電池10Eの+側の電極タブ12Eとが接合される。超音波接合が行われる部分は、電極タブ11Fと電極タブ12Eの図示△印で示した突出部分である。絶縁シート20Dの電極タブ絶縁部22Dは扁平型電池10Fの電極タブ12Fと扁平型電池10Eの電極タブ11Eとを絶縁しているので、電極タブ群110Bの接合によって4枚の扁平型電池10C、10B、10F、10Eは電気的に直列に接続される。また、絶縁シート20Eの電圧検出端子24Eは扁平型電池10Bの電極タブ12Bと接触し、絶縁シート20Dの電圧検出端子24Dは扁平型電池10Fの電極タブ12Fと接触しているので、電圧検出端子24E、24D間の電圧を測定することによって扁平型電池10Bの電圧がわかる。
【0038】
そして、電極タブ群110C(図2参照)を超音波接合すると、扁平型電池10Eの−側の電極タブ11Eとその下に位置する扁平型電池10Dの+側の電極タブ12Dとが接合される。超音波接合が行われる部分は、電極タブ11Eと電極タブ12Dの図示△印で示した突出部分である。扁平型電池10Dとその下に位置する扁平型電池10Cはユニットであるため既にそれらの電極タブ11D、12Cは接合されており、また、絶縁シート20Bの電極タブ絶縁部22Bは扁平型電池10Eの電極タブ12Eと扁平型電池10Dの電極タブ11Dとを絶縁し、絶縁シート20Cの電極タブ絶縁部22Cは扁平型電池10Dの電極タブ12Dと扁平型電池10Cの電極タブ11Cとを絶縁しているので、電極タブ群110Cの接合によって6枚の扁平型電池10C、10B、10F、10E、10D、10Cは電気的に直列に接続される。また、絶縁シート20Dの電圧検出端子24Dは扁平型電池10Fの電極タブ12Fと接触し、絶縁シート20Bの電圧検出端子24Bは扁平型電池10Eの電極タブ12Eと接触し、さらに絶縁シート20Cの電圧検出端子24Cは扁平型電池10Dの電極タブ12Dと接触しているので、電圧検出端子24D、24B間の電圧を測定することによって扁平型電池10Fの電圧がわかり、電圧検出端子24B、24C間の電圧を測定することによって扁平型電池10Eの電圧がわかる。
【0039】
最後に、異なる位置に分かれている接合部を順番に接合する。電極タブ群110D(図2参照)を超音波接合すると、扁平型電池10Cの−側の電極タブ11Cとその下に位置する扁平型電池10Bの+側の電極タブ12Bとが接合される。超音波接合が行われる部分は、電極タブ11Cと電極タブ12Bの図示△印で示した突出部分である。扁平型電池10Bとその下に位置する扁平型電池10Aはユニットであるため既にそれらの電極タブ11B、12Aは接合されており、また、絶縁シート20Bの電極タブ絶縁部22Bは扁平型電池10Cの電極タブ12Cと扁平型電池10Bの電極タブ11Bとを絶縁し、絶縁シート20Aの電極タブ絶縁部22Aは扁平型電池10Bの電極タブ12Bと扁平型電池10Aの電極タブ11Aとを絶縁しているので、電極タブ群110Dの接合によって組電池100を構成するすべての8枚の扁平型電池10C、10B、10F、10E、10D、10C、10B、10Aは電気的に直列に接続される。また、絶縁シート20Cの電圧検出端子24Cは扁平型電池10Dの電極タブ12Dと接触し、絶縁シート20Bの電圧検出端子24Bは扁平型電池10Cの電極タブ12Cと接触し、さらに、絶縁シート20Aの電圧検出端子24Aは扁平型電池10Bの電極タブ12Bと接触しているので、電圧検出端子24C、24B間の電圧を測定することによって扁平型電池10Dの電圧がわかり、電圧検出端子24B、24A間の電圧を測定することによって扁平型電池10Cの電圧がわかる。
【0040】
なお、以上の構成では最下段とその上に位置する扁平型電池10A、10Bの電圧を測定することはできないが、最下段の扁平型電池10Aの下に絶縁シート20Bを積層させることによって、扁平型電池10A、10Bの電圧を測定することが可能になる。
【0041】
以上のように、本実施の形態に係る組電池の製造方法によれば、8枚の扁平型電池と7枚の絶縁シートを用いて、扁平型電池と絶縁シートとを交互に積層し、4箇所に分かれている電極タブ群110Aから110Dを超音波接合することによって、組電池100を製造することができる。超音波接合する部分は、4方向に分散しているので、すべての扁平型電池を積層したままの状態で接合作業ができる。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
【0042】
また、扁平型電池間には絶縁シートを介在させる必要があるものの、絶縁シートを積層しさえすれば電極タブ間の絶縁は確実に取ることができ、また、電圧検出端子を貼り付けてあるので、電圧検出端子だけを電極タブに接続する作業は不要であり、作業性が向上する。さらに、絶縁シートに適度な弾力と適度な表面摩擦を持たせれば、積層した扁平型電池に適度な加圧力を与えたり扁平型電池のずれを防止したりすることができる。
(実施の形態2)
図8は本発明に係る組電池の実施の形態2における外観図である。本実施の形態に係る組電池300は、12枚の扁平型電池がその厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、12枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとに固有の形状を有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池300の電極タブは、図8に示すように、組み上がった状態でその突出した部分310A、310B、310C、310Dが4方向に分かれるようになっている。組電池300は、組み上がった状態では12枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0043】
本実施の形態に係る組電池を車両に搭載する場合には、組電池と組電池との間にヒートシンクを介挿させて2段積層し、2段積層したものを4列横に並べ、すべての組電池を積層方向の両側から挟むようにしてヒートシンクで固定する。積層方向両側に位置するヒートシンクは所定の力で相互に引き合うように固定される。したがって、すべての扁平型単電池には所定の押圧力が均一に付与される。
【0044】
以上のようにして2段×4列=8個の組電池は、積層方向に位置されるものは電極タブ同士を直接接続することによって、最上段および最下段で隣接するものは電極タブ同士をバスバーで接続することによって、実施の形態1と同様にしてすべてが直列に接続される。
【0045】
すべての組電池が直列に接続されると、12枚×2段×4列=96枚の扁平型電池すべてが直列に接続されることになり、積層方向片側に位置するヒートシンクの電極端子140A、140B間(図3参照)で3.85V/枚×96枚=370Vの高電圧が得られることになる。
【0046】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0047】
本実施の形態に係る組電池300は、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、各扁平型電池の電極タブの形状を積層位置に応じて相違させている。図9は、本実施の形態に係る組電池300を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ形状が相違する)を示している。組電池300は12枚の扁平型電池を積層して構成するが、電極タブの接合位置を4方向に分けるためには、図に示すような4種類の形状の電極タブを持つ扁平型電池が必要となる。
【0048】
Aタイプの扁平型電池30Aは、−側の電極タブ31Aの向かって左側を切り欠き、+側の電極タブ32Aの向かって右側を切り欠いたものである。Bタイプの扁平型電池30Bは、両側の電極タブ31B、32Bのそれぞれ向かって右側が切り欠かれており、向かって左側に突出部33B、34Bを有しているものである。Cタイプの扁平型電池30Cは、−側の電極タブ31Cの向かって右側を切り欠き、+側の電極タブ32Cの向かって左側を切り欠いたものである。Dタイプの扁平型電池30Dは、両側の電極タブ31D、32Dのそれぞれ向かって左側が切り欠かれており、向かって右側に突出部33D、34Dを有しているものである。
【0049】
以上は、扁平型電池の表裏を逆にして積層することができないと仮定して準備すべき扁平型電池の種類を述べたが、表裏を逆にして積層することが可能であれば、扁平型電池30Cは扁平型電池30Aを裏返すことによって、また、扁平型電池30Dは扁平型電池30Bを裏返すことによって共用可能であるので、この場合には2種類の扁平型電池を用意すればよい。
【0050】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図10および図11に示すように並べて図12に示すように積層させる。具体的には、最下段から最上段に向けて、図8に示した扁平型電池30A、30C、30D、30D、30A、30B、30C、30D、30A、30C、30D、30Dの順に積層される。
【0051】
積層させる前に、図10、図11で示してある3枚ずつの扁平型電池を組み合わせて電極タブ同士を超音波接合してユニット(第1ユニット)を作っておく。つまり、図10に示すような、扁平型電池30D、30D、30Cの組み合わせから成るユニットa、扁平型電池30A、30D、30Cの組み合わせから成るユニットb、図11に示すような、扁平型電池30B、30A、30Dの組み合わせから成るユニットc、扁平型電池30D、30C、30Aの組み合わせから成るユニットdの合計4ユニットを事前に作っておく。
【0052】
各ユニットを作る場合は図10および図11に示した点線で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。たとえば、図10において、扁平型電池30D、30D、30Cの組み合わせから成るユニットaを作る場合、まず、最下段に位置する扁平型電池30Cの+側の電極タブ32Cの突出部34Cとその上に位置する扁平型電池30Dの−側の電極タブ31Dの突出部33Dとを接合し、次に、最上段に位置する扁平型電池30Dの−側の電極タブ31Dの突出部33Dとその下に位置する扁平型電池30Dの+側の電極タブ32Dの突出部34Dとを接合する。以上の順番で接合を行うと、全く異なる位置で接合することができるので、接合作業が容易である。
【0053】
最上段に位置する扁平型電池30Dの+側の電極タブ32Dとその下側に位置する扁平型電池30Dの−側の電極タブ31Dが電気的に接続されないように、図12に示すように、電極タブ32Dと電極タブ31Dとの間には絶縁手段である絶縁物40を介在させる。絶縁物40はシート状のものでも良いし、電極タブ32Dの下面(図示方向)に絶縁テープを貼り付けても良い。同様に、最下段に位置する扁平型電池30Cの−側の電極タブ31Cとその上に位置する扁平型電池30Dの+側の電極タブ32Dが電気的に接続されないように、電極タブ32Dと電極タブ31Cとの間には絶縁物40を介在させる。図10および図11に示した残りの3ユニットについても上記と同様に作成する。なお、図12において、絶縁物40と同一形状の図形は、すべて電極タブ間の絶縁を図るための絶縁物である。
【0054】
次に、図12に示すように、ユニットaとユニットbとを接合してユニットα(第2ユニット)を作る。図10に示すように、ユニットaとユニットbとの接合は、ユニットaの最下段に位置する扁平型電池30Cの電極タブ31Cの突出部33Cとユニットbの最上段に位置する扁平型電池30Aの電極タブ31Aの突出部34Aとを接合することによって行う。さらに、ユニットcとユニットdを接合してユニットβを作る。図11に示すように、ユニットcとユニットdの接合は、ユニットcの最下段に位置する扁平型電池30Dの電極タブ31Dの突出部33Dとユニットdの最上段に位置する扁平型電池30Dの電極タブ32Dの突出部34Dとを接合することによって行う。以上のようにしてユニット同士の接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0055】
最後に、ユニットαとユニットβとを接合して本実施の形態に係る組電池を作る。ユニットαとユニットβの接合は、図12に示すように、ユニットαの最下段に位置する扁平型電池30Cの電極タブ31Cの突出部33Cとユニットβの最上段に位置する扁平型電池30Bの電極タブ32Bの突出部34Bとを接合することによって行う。以上のようにしてユニットα、ユニットβの接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0056】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、c、dを作成し、次にユニットa、bを接合してユニットαを、そしてユニットc、dを接合してユニットβをつくり、最後にユニットα、βを接合して組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
【0057】
図13から図16は、本発明に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の他の形態を示している。実施の形態1では、一般的な扁平型電池の電極タブに突出部を新たに付け加えるようにして電極タブの形状をL字形状とし、2方向に伸びる形状としている。また、実施の形態2では、一般的な扁平型電池の電極タブの一部を切り欠くことによって突出部を形成し電極タブの形状をL字形状とし、2方向に伸びる形状としている。図13から図15は電極タブの形状を種々変形させることによって2方向に伸びる形状を、また、図16は3方向に伸びる形状をそれぞれ実現させている。これらの図に示されている形状のいずれかを組み合わせることによって、組み上がった組電池に対して異なる位置で電極タブの接合ができるようにしたり、組電池をくみ上げていく段階で異なる位置で電極タブの接合ができるようにしたりすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る組電池は、図17に示すような3種類の電極タブ形状を持つ扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとに固有の形状を有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組み上がった状態で実施の形態2で示した図8と同様に、その突出した部分が4方向に分かれるようになっている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0058】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0059】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0060】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、各扁平型電池の電極タブの形状を積層位置に応じて相違させている。図17は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ形状が相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を4方向に分けるために、図に示すような3種類の形状の電極タブを持つ扁平型電池を用いている。
【0061】
Aタイプの扁平型電池50Aは、−側の電極タブ51Aと+側の電極タブ52A両側の電極タブのそれぞれ向かって左側が切り欠かれており、向かって右側に突出部53A、54Aを有しているものである。Bタイプの扁平型電池50Bは、−側の電極タブ51Bの向かって右側を切り欠き、+側の電極タブ52Bの向かって左側を切り欠き、向かって左側に突出部53Bを右側に突出部53Dを有しているものである。Cタイプの扁平型電池50Cは、−側の電極タブ51Cの向かって左側を切り欠き、+側の電極タブ52Cの向かって右側を切り欠き、向かって右側に突出部53Cを左側に突出部54Cを有しているものである。
【0062】
図18に示すように、扁平型電池50A〜50Cは長方形状の電極タブを備えている(タブ切断前)。この電極タブの一部分を切断して図17に示すような3種類の扁平型電池50A〜50Cを作成している。タブの切断の仕方には色々なものが考えられるが、図18に示すように、単に電極タブの一部を切り欠くのではなく(タブ切断例1)、接合に寄与しない部分を含め全体的に短く切り取るようにすれば(タブ切断例2)、組電池の長さ方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0063】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図19に示すように並べて図20に示すように積層させる。具体的には、最上段から最下段に向けて、図17に示した扁平型電池50A、50B、50C、50A、50B、50C、50A、50Bの順に積層される。
【0064】
積層させる前に、図19の点線で示す扁平型電池同士を組み合わせ、所定の電極タブ同士を超音波接合してユニット(第1ユニット)を作っておく。つまり図19に示すような、扁平型電池50Aと50Bの組み合わせからなるユニットa、扁平型電池50C、50Aおよび50Bの組み合わせからなるユニットb、ユニットcの合計3ユニットを事前に作っておく。
【0065】
各ユニットを作る場合は図19および図20(左側)に示した点線で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。たとえば、図19において、扁平型電池50A、50Bの組み合わせから成るユニットaを作る場合、まず、下側に位置する扁平型電池50Bの+側の電極タブ52Bの突出部54Bとその上に位置する扁平型電池50Aの−側の電極タブ51Aの突出部53Aとを接合する。また、扁平型電池50C、50Aおよび50Bの組み合わせからなるユニットb、ユニットcを作る場合、まず、最下側に位置する扁平型電池50Bの+側の電極タブ52Bの突出部54Bとその上に位置する扁平型電池50Aの−側の電極タブ51Aの突出部53Aとを接合し、次に、扁平型電池50Aの上側に位置する扁平型電池50Cの−側の電極タブ51Cの突出部53Cと扁平型電池50Aの+側の電極タブ52A突出部54Aとを接合する。以上の順番で接合を行うと、全く異なる位置で接合することができるので、接合作業が容易である。
【0066】
これら各ユニットを作成する際には、上側に位置する扁平型電池50Aの+側の電極タブ52Aとその下側に位置する扁平型電池50Bの−側の電極タブ51Bが電気的に接続されないように、電極タブ52Aと電極タブ51Bとの間には所定の形状の絶縁手段である絶縁物40を介在させる。絶縁物40はシート状のものでも良いし、電極タブ52Aの下面(図示方向)に絶縁テープを貼り付けても良い。ユニットbおよびユニットcを構成する扁平型電池50Aと50Cの電極タブ51Aと52Cとの間、扁平型電池50Aと50Bの電極タブ52Aと51Bとの間にも所定の形状の絶縁物40を介在させる。
【0067】
次に、図20に示すように、ユニットaとユニットbとを接合してユニットα(第2ユニット)を作る。図に示すように、ユニットaとユニットbとの接合は、ユニットaの最下段に位置する扁平型電池50Bの電極タブ51Bの突出部53Bとユニットbの最上段に位置する扁平型電池50Cの電極タブ52Cの突出部54Cとを接合することによって行う。もちろんユニットaとbとの接合を行う際には、接合が行われない側の電極タブ(52B、51C)間の電気的な接続を避けるために電極タブ間には絶縁物40を介在させる。以上のようにしてユニット同士の接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0068】
最後に、ユニットαとユニットcとを接合して本実施の形態に係る組電池を作る。ユニットαとユニットCの接合は、図20に示すように、ユニットαの最下段に位置する扁平型電池50Bの電極タブ51Bの突出部53Bとユニットcの最上段に位置する扁平型電池50Cの電極タブ52Cの突出部54Cとを接合することによって行う。以上のようにしてユニットα、ユニットcの接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0069】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、cを作成し、次にユニットa、bを接合してユニットαを、そしてユニットαとユニットcを接合して組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
【0070】
また、上記のような手順で組電池を製造するために、図21に示すような電極タブ形状の扁平型電池を積層しても良い。図21に示す扁平型電池は、図20とはそれぞれ電極タブの突出部の位置が逆になっている。つまり、扁平型電池50aは図17に示す扁平型電池50Aとは突出部の位置が正反対であり、同様に、扁平型電池50b、50cも扁平型電池50B、50Cとは突出部の位置が正反対になっている。これらの扁平型電池50a〜50cを用いても図20に示した接合手順と同様の手順でユニットを順に形成しながら接合することによって組電池を容易に作成することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る組電池は、図22に示すような4種類の電極タブ形状を持つ扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとに固有の形状を有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組み上がった状態で実施の形態2で示した図8と同様に、その突出した部分が4方向に分かれるようになっている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0071】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0072】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0073】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、各扁平型電池の電極タブの形状を積層位置に応じて相違させている。図22は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ形状が相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を4方向に分けるために、図に示すような4種類の形状の電極タブを持つ扁平型電池を用いている。
【0074】
Aタイプの扁平型電池60Aは、−側の電極タブ61Aと+側の電極タブ62A両側の電極タブのそれぞれ向かって右側が切り欠かれており、向かって左側に突出部63A、64Aを有しているものである。Bタイプの扁平型電池60Bは、−側の電極タブ61Bの向かって右側を切り欠き、+側の電極タブ62Bの向かって左側を切り欠き、向かって左側に突出部63Bを右側に突出部63Bを有しているものである。Cタイプの扁平型電池60Cは、−側の電極タブ61Cの向かって左側を切り欠き、+側の電極タブ62Cの向かって右側を切り欠き、向かって右側に突出部63Cを左側に突出部64Cを有しているものである。Dタイプの扁平型電池60Dは、−側の電極タブ61Dの向かって左側を切り欠き、+側の電極タブ62Dの向かって左側を切り欠き、向かって右側に突出部63D、64Dを有しているものである。
【0075】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図23に示すように並べて積層させる。具体的には、最上段から最下段に向けて、図22に示した扁平型電池60A、60A、60B、60C、60A、60B、60D、60Cの順に積層される。
【0076】
積層させる前に、図23のレ点で示す扁平型電池同士を組み合わせ、所定の電極タブ同士を超音波接合してユニット(第1ユニット)を作っておく。つまり図23に示すような、扁平型電池60Aと60Bの組み合わせからなるユニットa、扁平型電池60C、60Aおよび60Bの組み合わせからなるユニットb、扁平型電池60Dと60Cの組み合わせからなるユニットcの合計3ユニットを事前に作っておく。もちろん、これらのユニットを作る際には絶縁が必要となる電極タブの間に絶縁物を介在させておくのは実施の形態1〜3と同一である。
【0077】
各ユニットを作る場合は図23に示したレ点で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。この接合の具体的な方法は、上記の実施の形態1〜3と同一のであるのでその詳細な説明は省略する。各ユニットを作る際には全く異なる位置で接合することができるので、接合作業が容易である。
【0078】
次に、図23に示すように、ユニットaとその上に位置される扁平型電池60Aとの実線で結ばれている電極タブ同士を接合し、次に、ユニットaの最下段に位置される扁平型電池60Bとユニットbの最上段に位置される扁平型電池60Cとの実線で結ばれている電極タブ同士を接合し、最後に、ユニットbの最下段に位置される扁平型電池60Bとユニットcの最上段に位置される扁平型電池60Dとの実線で結ばれている電極タブ同士を接合する。これらの接合を行う際には絶縁が必要となる電極タブの間に絶縁物を介在させておくのは実施の形態1〜3と同一である。以上のようにしてユニット同士の接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、cを作成し、次に扁平型電池60Aとユニットaを接合し、そしてユニットaとユニットbを接合し、さらにユニットbとユニットcとを接合して組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態に係る組電池は、図24に示すような長さの異なる電極タブの組み合わせを持つ6種類の扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの長さは、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとに固有の長さを有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組電池を組み上げる過程において、短いものから長いものへと順番に接合できるように3種類の長さに分かれている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0080】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0081】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0082】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置を長さ方向の3箇所に分けるために、各扁平型電池の電極タブの長さの組み合わせを積層位置に応じて相違させている。図24は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ長さが相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を長さ方向の3箇所に分けるために、図に示すような長さの組み合わせの異なる6種類の扁平型電池を用いている。
【0083】
Aタイプの扁平型電池70Aは、−側の電極タブ71Aと+側の電極タブ72Aの長さを他のタイプの扁平型電池に比較して最も短くしてある。Bタイプの扁平型電池70Bは、Aタイプの−側の電極タブ71Aと同じ長さ−側の電極タブ71Bを有し、またAタイプの+側の電極タブ72Aの長さよりも長い+側の電極タブ72Bを有している。Cタイプの扁平型電池70Cは、Bタイプの+側の電極タブ72Bと同一の長さを有する−側の電極タブ71Cを有し、またBタイプの−側の電極タブ71Bと同一の長さを有する+側の電極タブ72Cを有している。Dタイプの−側の電極タブ71Dと+側の電極タブ72Dの長さはBタイプの+側の電極タブ72Bと同一の長さを有している。Eタイプの−側の電極タブ71EはBタイプの+側の電極タブ72Bと同一の長さを有し、+側の電極タブ72Eは他のタイプの扁平型電池の電極タブの長さに比べて最も長くなっている。Fタイプの扁平型電池70Fは、Eタイプの+側の電極タブ72Eと同一の長さを有する−側の電極タブ71Fを有し、Bタイプの+側の電極タブ72Bと同一の長さを有する+側の電極タブ72Fを有している。
【0084】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図25に示すように並べて図26に示すように積層させる。具体的には、最上段から最下段に向けて、図24に示した扁平型電池70A、70C、70D、70F、70E、70C、70B、70Aの順に積層される。
【0085】
積層させる前に、図25の点線で示す扁平型電池同士を組み合わせ、所定の電極タブ同士を超音波接合してユニット(第1ユニット)を作っておく。つまり図25に示すような、最も短い電極タブを有する扁平型電池70Aと70Cの組み合わせからなるユニットa、扁平型電池70B、70Aの組み合わせからなるユニットbの合計2ユニットを事前に作っておく。
【0086】
各ユニットを作る場合は図25および図26(左側)に示した点線で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。たとえば、図25において、扁平型電池70A、70Cの組み合わせから成るユニットaを作る場合、扁平型電池70Aの−側の電極タブ71Aと扁平型電池70Cの+側の電極タブ72Cとを接合する。また、扁平型電池70B、70Aの組み合わせから成るユニットbを作る場合、扁平型電池70Bの−側の電極タブ71Bと扁平型電池70Aの+側の電極タブ72Aとを接合する。以上の順番で接合を行うと接合作業が容易に行える。
【0087】
これら各ユニットを作成する際には、上側に位置する扁平型電池70Aの+側の電極タブ72Aとその下側に位置する扁平型電池70Cの−側の電極タブ71Cが電気的に接続されないように、電極タブ72Aと電極タブ71Cとの間には所定の形状の絶縁手段である絶縁物40を介在させる。絶縁物40はシート状のものでも良いし、電極タブ72Aの下面(図示方向)に絶縁テープを貼り付けても良い。ユニットbを構成する扁平型電池70Bと70Aの電極タブ72Bと71Aとの間にも所定の形状の絶縁物40を介在させる。
【0088】
次に、図25および図26に示すように、ユニットaに扁平型電池70Dを、ユニットbに扁平型電池70Cを接合してユニットαとユニットβ(第2ユニット)を作る。図に示すように、ユニットαを作成するための、ユニットaと扁平型電池70Dとの接合は、ユニットaの最下段に位置する扁平型電池70Cの電極タブ71Cと扁平型電池70Dの電極タブ72Dとを接合することによって行う。もちろんユニットaと扁平型電池70Dとの接合を行う際には、接合が行われない側の電極タブ(72C、71D)間の電気的な接続を避けるために電極タブ間には絶縁物40を介在させる。以上のようにしてユニットaと扁平型電池70Dとの接合を行うと、扁平型電池70Aの+側の電極タブ72Aの長さが扁平型電池70Cの−側の電極タブ71Cの長さよりも短いため、電極タブ72Aに触れることなく、電極タブ71Cと電極タブ72Dとの接合を行うことができる。なお、同様の理由により、ユニットbを構成する扁平型電池70Bの電極タブ72Bと扁平型電池70Cの電極タブ71Cとの接合も他の電極タブ(71A)に全く邪魔されずに行うことができる。
【0089】
次に、ユニットαに扁平型電池70Fを、ユニットβに扁平型電池70Eを接合してユニットXとユニットY(第3ユニット)を作る。図に示すように、ユニットXを作成するための、ユニットαと扁平型電池70Fとの接合は、ユニットαの最下段に位置する扁平型電池70Dの電極タブ71Dと扁平型電池70Fの電極タブ71Fとを接合することによって行う。もちろんユニットαと扁平型電池70Fとの接合を行う際には、接合が行われない側の電極タブ(72D、71F)間の電気的な接続を避けるために電極タブ間には絶縁物40を介在させる。以上のようにしてユニットαと扁平型電池70Fとの接合を行うと、電極タブ71Dと電極タブ72Fとの長さが電極タブ71A、72Cの長さよりも長いため、ユニットαを構成する扁平型電池70A、70Cの電極タブ71A、72Cに触れることなく、電極タブ71Dと電極タブ72Fとの接合を行うことができる。なお、同様の理由により、ユニットβを構成する扁平型電池70Cの電極タブ72Cと扁平型電池70Eの電極タブ71Eとの接合も他の電極タブ(71B、72A)に全く邪魔されずに行うことができる。
【0090】
最後に、ユニットXとユニットYとを接合して本実施の形態に係る組電池を作る。ユニットXとユニットYの接合は、図26に示すように、ユニットXの最下段に位置する扁平型電池70Fの電極タブ71FとユニットYの最上段に位置する扁平型電池70Eの電極タブ72Eとを接合することによって行う。電極タブ70Fと電極タブ70Eは、他のどの電極タブの長さよりも長くしてあるため、その接合は他の電極タブに邪魔されることなく行うことができ、接合作業が容易である。
【0091】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、bを作成し、次にユニットα、βを作成し、次にユニットX、Yを作成し、最後にユニットXとYとを接合することによって組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
(実施の形態6)
本実施の形態に係る組電池は、図27に示すような長さの異なる電極タブの組み合わせを持つ3種類の扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとに固有の形状を有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組電池を組み上げる過程において、短いものから長いものへと順番に接合できるように2種類の長さに分かれている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0092】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0093】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0094】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置を長さ方向の2箇所に分けるために、各扁平型電池の電極タブの長さの組み合わせを積層位置に応じて相違させている。図27は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ長さが相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を長さ方向の2箇所に分けるために、図に示すような長さの組み合わせの異なる3種類の扁平型電池を用いている。
【0095】
Aタイプの扁平型電池80Aは、−側の電極タブ81Aと+側の電極タブ82Aの長さを他のタイプの扁平型電池に比較して最も短くしてある。Bタイプの扁平型電池80Bは、Aタイプの+側の電極タブ82Aと同じ長さ−側の電極タブ81Bを有し、またAタイプの+および−側の電極タブ81A、82Aの長さよりも長い+側の電極タブ82Bを有している。Cタイプの扁平型電池80Cは、Bタイプの+側の電極タブ82Bと同一の長さを有する−側の電極タブ81Cを有し、またBタイプの−側の電極タブ81Bと同一の長さを有する+側の電極タブ82Cを有している。
【0096】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図28に示すように並べて積層させる。具体的には、最上段から最下段に向けて、図27に示した扁平型電池80A、80B、80C、80A、80A、80B、80C、80A、の順に積層される。
【0097】
積層させる前に、図28の実線で示す扁平型電池同士を組み合わせ、所定の電極タブ同士を超音波接合してユニット(第1ユニット)を作っておく。つまり図28のStep1に示すように、扁平型電池80Aと80Bの組み合わせからなるユニットa、扁平型電池80Cと80Aの組み合わせからなるユニットb、扁平型電池80Aと80Bの組み合わせからなるユニットc、扁平型電池80Cと80Aの組み合わせからなるユニットd、の合計4ユニットを事前に作っておく。
【0098】
各ユニットを作る場合は図28(左側)に示した実線で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。たとえば、図28において、扁平型電池80Aと80Bの組み合わせからなるユニットaとcを作る場合、扁平型電池80Aの+側の電極タブ82Aと扁平型電池80Bの−側の電極タブ81Bとを接合する。また、扁平型電池80Cと80Aの組み合わせからなるユニットbとdを作る場合、扁平型電池80Cの+側の電極タブ82Cと扁平型電池80Aの−側の電極タブ81Aとを接合する。図示していないが、各ユニットを作る場合、接合が行われない側の電極タブには絶縁物を介在させておく。
【0099】
次に、図28のStep2に示すように、ユニットaとユニットb、ユニットcとユニットdをそれぞれ接続してユニットeとユニットfを作る。図に示すように、ユニットaとユニットbおよびユニットcとユニットdの各接合は、ユニットa、cの下段に位置する扁平型電池80Bの電極タブ82Bとユニットb、dの上段に位置する扁平型電池80Cの電極タブ81Cとを接合することによって行う。これらのユニット同士の接合においても、接合が行われない側の電極タブ間の電気的な接続を避けるために電極タブ間には図示していない絶縁物を介在させる。以上のようにして、ユニットaとbまたはユニットcとdの接合を行うと、扁平型電池80Bの+側の電極タブ82Bと扁平型電池80Cの−側の電極タブ81Cの長さが扁平型電池80Aの−側の電極タブ81Aの長さよりも長いため、電極タブ81Aに触れることなく、電極タブ82Bと電極タブ81Cとの接合を行うことができる。
【0100】
最後に、ユニットeとユニットfとを接合して本実施の形態に係る組電池を作る。
【0101】
ユニットeとユニットfの接合は、図28に示すように、ユニットeの最下段に位置する扁平型電池80Aの電極タブ82Aとユニットfの最上段に位置する扁平型電池80Aの電極タブ81Aとを接合することによって行う。
【0102】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、c、dを作成し、次にユニットe、fを作成し、最後にユニットeとfとを接合することによって組電池を形成しており、ユニットe、fまでの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。
(実施の形態7)
本実施の形態に係る組電池は、図29に示すような7種類の電極タブ形状を持つ扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの形状は、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその積層位置ごとにその長さと形状を変えた固有の形状を有している。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組み上がった状態では、その突出した部分が2方向に分かれるようになっている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0103】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0104】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0105】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置が重ならないように、その位置を2方向に分け、また、電極タブの接合位置を電池の長さ方向に異ならせているために、各扁平型電池の電極タブの形状とその長さを積層位置に応じて相違させている。図29は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ形状が相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を4箇所に分散させるために、図に示すような7種類の形状の電極タブを持つ扁平型電池を用いている。
【0106】
Aタイプの扁平型電池90Aは、−側の電極タブ91Aと+側の電極タブ92Aの長さを他のタイプの扁平型電池に比較して最も短くしてある。Bタイプの扁平型電池90Bは、Aタイプの−側の電極タブ91Aと同じ長さの−側の電極タブ91Bを有し、またAタイプの+側の電極タブ92Aの長さよりも長い+側の電極タブ92Bを有している。Cタイプの扁平型電池90Cは、Bタイプの+側の電極タブ92Bと同一の長さの−側およびプラス側の電極タブ91C、92Cを有しているが、+側の電極タブ92Cの一部は切り欠かれており突出部94Cが形成されている。Dタイプの扁平型電池90Dは、Bタイプの+側の電極タブ92Bと同一の長さの−側電極タブ91DとBタイプの−側の電極タブ91Bと同一の長さの+側の電極タブ92Dを有しているが、−側の電極タブ91Dの一部は切り欠かれており突出部93Dが形成されている。Eタイプの扁平型電池90Eは、Bタイプの+側の電極タブ92Bと同一の長さの+側電極タブ92EとBタイプの−側の電極タブ91Bと同一の長さの−側の電極タブ91Eを有しているが、+側の電極タブ92Eの一部は切り欠かれており突出部94Eが形成されている。Fタイプの扁平型電池90Fは、Bタイプの+側の電極タブ92Bと同一の長さの−側およびプラス側の電極タブ91F、92Fを有しているが、−側の電極タブ91Fの一部は切り欠かれており突出部93Fが形成されている。Gタイプの扁平型電池90Gは、Aタイプの−側の電極タブ91Aと同じ長さの+側の電極タブ91Gを有し、またBタイプの+側の電極タブ92Bと同じ長さの−側の電極タブ91Gを有している。
【0107】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、扁平型電池を図30に示すように並べて図31に示すように積層させる。具体的には、最上段から最下段に向けて、図17に示した扁平型電池90A、90G、90F、90E、90D、90C、90B、90Aの順に積層される。
【0108】
積層させる前に、図30の点線で示す扁平型電池同士を組み合わせ、所定の電極タブ同士を超音波接合してユニットを作っておく。つまり図30に示すような、扁平型電池90A、90Gおよび90Fの組み合わせからなるユニットa、扁平型電池90Eおよび90Dの組み合わせからなるユニットb、扁平型電池90C、90Bおよび90Aの組み合わせからなるユニットcの合計3ユニットを事前に作っておく。
【0109】
各ユニットを作る場合は図30および図31(左側)に示した点線で結ばれている電極タブ同士を、図2に示した超音波溶接機200で接合する。たとえば、図30において、扁平型電池90A、90Gおよび90Fの組み合わせからなるユニットaを作る場合、まず、最下側に位置する扁平型電池90Fの+側の電極タブ92Fとその上に位置する扁平型電池90Gの−側の電極タブ91Gとを接合する。次に、扁平型電池90Gの+側の電極タブ92Gとその上に位置する扁平型電池90Aの−側の電極タブ91Aとを接合する。また、ユニットBを作る場合、扁平型電池90Dの+側の電極タブ92Dとその上に位置する扁平型電池90Eの−側の電極タブ91Eとを接合する。さらにユニットCを作る場合、最下側に位置する扁平型電池90Aの+側の電極タブ92Aとその上に位置する扁平型電池90Bの−側の電極タブ91Bとを接合する。次に、扁平型電池90Bの+側の電極タブ92Bとその上に位置する扁平型電池90Cの−側の電極タブ91Cとを接合する。以上の順番で接合を行うと、接合する同士の電極タブを他の電極タブから全く邪魔されることなく接合することができるので、接合作業が容易になる。各ユニットを作る場合、接合が行われない側の電極タブ間には図示されているように絶縁物40を介在させておく。絶縁物40はシート状のものでも良いし、電極タブの下面(図示方向)に絶縁テープを貼り付けても良い。
【0110】
次に、図31に示すように、ユニットa、b、cを接合して本実施の形態に係る組電池を作る。ユニットaとユニットbとの接合は、ユニットaの最下段に位置する扁平型電池90Fの−側の電極タブ91Fの突出部93Fとユニットbの上側に位置する扁平型電池90Eの+側の電極タブ92Eの突出部94Eとを接合することによって、また、ユニットbとユニットcの接合は、ユニットbの下側に位置する扁平型電池90Dの−側の電極タブ91Dの突出部93Dとユニットcの最上段に位置する扁平型電池90Cの+側の電極タブ92Cの突出部94Cとを接合することによって行う。もちろんこれらのユニットの接合を行う場合には、接合が行われない側の電極タブ間には図示されているように絶縁物40を介在させておく。以上のようにしてユニットa、b、cの接合を行うと、相互に接合される電極タブ91Fの突出部93Fと電極タブ92Eの突出部94Eが電極タブ91A、92Gよりも突出しており、また、相互に接合される電極タブ91Dの突出部93Dと電極タブ92Cの突出部94Cが電極タブ91B、92Aよりも突出しており、さらに、突出部93Fと突出部94Eの接合位置と突出部93Dと突出部94Cとの接合位置が異なるので、接合する同士の電極タブを他の電極タブから全く邪魔されることなく接合することができる。
【0111】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、cを作成し、次にこれらのユニットを接合して組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
(実施の形態8)
本実施の形態に係る組電池は、図32に示すような、電極タブの取り出し位置が異なる6種類の扁平型電池を所定の組み合わせで8枚その厚み方向に積層されてなるものである。扁平型電池から引き出されている電極タブは、8枚の扁平型電池を順番に接合していくときに接合位置が異なる位置となるようにその取り出し位置が異なっている。扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、組み上がった状態でその突出した部分が4方向に分かれるようになっている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0112】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0113】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0114】
本実施の形態に係る組電池は、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、各扁平型電池の電極タブの取り出し位置を積層位置に応じて相違させている。図32は、本実施の形態に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の種類(電極タブ取り出し位置が相違する)を示している。組電池は8枚の扁平型電池を積層して構成するが、本実施の形態では電極タブの接合位置を4方向に分けるために、図に示すような6種類の取り出し位置の電極タブを持つ扁平型電池を用いている。
【0115】
扁平型電池95Aと95Hは、−側の電極タブ97A、97Hと+側の電極タブ96A、96Hが扁平型電池95A、95Hの両端から取り出されている。扁平型電池95B、95C、95Fと95Gは−側の電極タブ97B、97C、97F、97Gと+側の電極タブ96B、96C、96F、96Gが隣合わせにして取り出されている。扁平型電池95Dと95Eは、−側の電極タブ97D、97Eと+側の電極タブ96D、96Eが一定の間隔を置いて取り出されている。
【0116】
本実施の形態に係る組電池を製造する場合、まず、扁平型電池95Aの+側の電極タブ96Aと扁平型電池95Bの−側の電極タブ97Bとを接合してユニットaを作り、扁平型電池95Cの+側の電極タブ96Cと扁平型電池95Dの−側の電極タブ97Dとを接合してユニットbを作り、扁平型電池95Eの+側の電極タブ96Eと扁平型電池95Fの−側の電極タブ97Fとを接合してユニットcを作り、扁平型電池95Gの+側の電極タブ96Gと扁平型電池95Hの−側の電極タブ97Hとを接合してユニットdを作る。各ユニットを作る際には全く異なる位置で接合することができるので、接合作業が容易である。
【0117】
そして、ユニットaとbを積層し、扁平型電池95Bの+側の電極タブ96Bと扁平型電池95Cの−側の電極タブ97Cとを接合する。この時には、扁平型電池95Bの−側の電極タブ97Bと扁平型電池95Cの+側の電極タブ96Cとの間に絶縁物を介在させる。同様に、ユニットcとdを積層し、扁平型電池95Fの+側の電極タブ96Fと扁平型電池95Gの−側の電極タブ97Gとを接合する。この時には、扁平型電池95Fの−側の電極タブ97Fと扁平型電池95Gの+側の電極タブ96Gとの間に絶縁物を介在させる。
【0118】
そして、最後に扁平型電池95Dの+側の電極タブ96Dと扁平型電池95Eの−側の電極タブ97Eとを接合して、ユニットa〜dを積層する。この時には、扁平型電池95Cの−側の電極タブ97Cと扁平型電池95Fの+側の電極タブ96Fとの間に絶縁物を介在させる。なお、これらの接合を行う際には絶縁が必要となる電極タブの間に絶縁物を介在させておくのは実施の形態1〜3と同一である。以上のようにしてユニット同士の接合を行うと、接合の対象となる電極タブの突出部が他の部分に全く邪魔されない位置にあるために、接合作業が容易である。
【0119】
以上のように、本実施の形態に係る組電池は、ユニットa、b、c、dを作成し、次にユニットaとユニットbを接合し、さらにユニットcとユニットdを接合し、最後にすべてのユニットを接合して組電池を形成しており、それぞれのユニットの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易である。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
(実施の形態9)
本実施の形態に係る組電池は、図33に示すような、所定の中心角で配置された電極タブを持つ円形状の扁平型電池を、+側の電極タブと−側の電極タブとが接続されるようにして、その厚み方向に16枚積層してなるものである。
【0120】
図に示してあるように、本実施の形態に係る扁平型電池400は積層方向から見た形状が円形形状であり、+側の電極タブ410Aは−側の電極タブ410Bに対して、電極タブ410Bを基点とする直径からオフセットされるように157.5°中心角を持って配置されている。このように互いにオフセットされた位置関係にある電極タブを持つ扁平型電池400は、その+側の電極タブと−側の電極タブとを積層方向に重ねて積層される。図34は3枚の扁平型電池400が積層されたときの電極タブの配置状態を示している。一番下に位置されている扁平型電池400の+側の電極タブ410Aにはその上に積層される扁平型電池400の−側の電極タブ410Dが重ねられ、積層された扁平型電池400の+側の電極タブ410Cにはその上に積層される扁平型電池400の−側の電極タブ410Fが重ねられる。このようにして16枚の扁平型電池400を積層すると、電極タブは扁平型電池400の外周部の16箇所から均等に分かれて突出されることになる。この状態で電圧を引き出す2箇所の電極タブを除く14箇所の電極タブを図2に示した超音波接合機200で接合する。接合をする場合には、電池を回して接合治具と電池外周方向の電極タブとの位置決めを行いながら、かつ接合治具の上下方向の位置決めを行なって、組となる電極タブ同士の接合を行う。これによってすべての扁平型電池400が直列に接続される。
【0121】
本実施の形態では、このようにして形成された組電池をさらに複数(たとえば6段)積層して組電池ユニット450とし、これを図35及び図36に示すような2つ割りされているケース420A、420Bで両側から挟んで固定する。組電池ユニット450の外周部からは接合された電極タブ410が突き出ているが、ケース420A、420Bには、この電極タブと対応する位置に対応する数のコネクタ430が取り付けられており、組電池ユニット450にケース420A、420Bを取り付けるときに、すべての電極タブ410がこのコネクタに嵌り込むようになっている。なお、コネクタは各扁平型電池400の電圧検出のために設けられているものであって、すべてのコネクタには信号線435が接続され、外部から各扁平型電池の電圧検出が可能になっている。このように、ケース420A、420Bにコネクタ430を取り付けておくと、電圧検出を行うための信号線の配線作業が不要になり、組立作業効率を大幅に向上させることができる。
【0122】
さらに、図37、図38に示すように、ケース420A、420Bの上部にはすべての扁平型電池400に積層方向の面圧をかけるための加圧蓋460を装着させるねじ465が切られている。図36のように組電池ユニット450をケース420A、420Bに収容し、図38に示すように、ねじ465に加圧蓋460のねじを螺合させて加圧蓋460を取り付ける。加圧蓋460を回転させて締め込んでいくと、図に示すように扁平型電池400には積層方向の面圧が加えられる。このように面圧を加えておくと、組電池ユニット450の寿命を延ばすことができる。これは、扁平型電池400の使用時には経時変化として内部にガスが発生するが、面圧が加えられていれば、この発生したガスを扁平型電池400の外周部に追いやることができるからである。面圧としては、0.15Kgf/cm程度の圧力が好ましい。したがって、加圧蓋460によってかける面圧は本実施の形態の場合120Kgf程度となる。
【0123】
次に、組電池ユニット450に冷却風を流通させるため、図39及び図40に示すような冷却ケース480を取り付ける。以上では説明していないが、組電池ユニット450を形成する際、組電池と組電池とを積層するときに、その間に冷却用のスペーサー470を介在させる。スペーサー470にはその内部に一方向に空気を流通させることができる貫通口が多数形成されている。また、図に示すように、冷却ケース480には空気取入口485と空気排出口490が形成されている。図40(A)は冷却ケース480と扁平型電池400との位置関係を示す図39のA−A断面図であり、図40(B)は冷却ケース480とスペーサー470との位置関係を示す図39のB−B断面図である。空気取入口485と空気排出口490は図40(B)に示す位置にそれぞれ形成されている。したがって、図39に示すように、冷却ケース480に組電池ユニット450を挿入し、空気取入口485に空気を送ると、送られた空気は各スペーサー470の貫通口を介して空気排出口490に至る。スペーサー470の両面は扁平型電池400に直接密着しているので、冷却ケース480に供給される空気によって扁平型電池が冷却される。
【0124】
図41は本実施の形態に係る電池の断面図である。
【0125】
図に示すように、冷却ケース480の内部にはケース420に納められた組電池ユニット450が収納されている。組電池ユニット450は6個の組電池を5個のスペーサーを介在させながら積層して形成されている。ケース420に取り付けられているコネクタと組電池の外周部から突き出ている電極タブはケースの取り付け時に自動的に勘合される。ケース420には加圧蓋460が取り付けられており、組電池を構成する扁平型電池は積層方向に適切な圧力で加圧されている。冷却ケース480には空気取入口485と空気排出口490が形成されており、空気取入口485から供給される空気は図に示すようにすべてのスペーサー470を介して空気排出口490から排出される。
【0126】
このような構造の電池は、たとえば車両に搭載されるが、この電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0127】
なお、本実施形態では扁平型電池の形状が円形のものを例示したが、5角形や6角形などの多角形の扁平型電池でも適用可能であるのはもちろんである。多角形の場合でも、向き合う辺に電極タブを設けるのではなく、本実施の形態のように片方の電極タブをオフセットしておくのは言うまでもない。
(実施の形態10)
図42は本発明に係る組電池の実施の形態10における外観図である。
【0128】
本実施の形態に係る組電池500は、電極タブの極性を交互にして8枚の扁平型電池がその厚み方向に積層されてなるものであり、複数の扁平型電池がシート状に連なった一連の電池を折り畳むことによって形成されるものである。本実施の形態に係る組電池500は、すべての扁平型電池を積層したときに扁平型電池同士を直列に接続するための電極タブが組電池の複数の位置に分かれており、それぞれの電極タブを接合することによってすべての扁平型電池が電気的に直列に接続される構造を有している。具体的には、図43に示すように、扁平型電池はその上面から見て矩形となっており、電極タブの接合部はシート状の一連の電池(電極タブを有さない辺同士が隣接する電池に連なって接続されている8枚の扁平型電池から構成される)を折りたたみ終わったときに扁平型電池の短手方向に位置がずれるよう配置されている。このため、シート状電池を形成するそれぞれの扁平型電池の両側から引き出されている電極タブの引き出し位置は、8枚の扁平型電池を積層したときにそれぞれの組となる電極タブが4方向に分かれるように、その積層位置ごとに異なっている。本実施の形態では、電極タブの接合位置を4方向に分けるために、異なる位置から電極タブが引き出されている8種類の扁平型電池を用いている。
【0129】
扁平型電池の電極タブは図2に示した超音波接合機200で接合することにより電気的に接続される。組電池の電極タブは、積層し終わった状態では、図42に示すように、その突出した部分が4方向に分かれるようになっている。組電池は、組み上がった状態では8枚の扁平型電池のすべてが直列に接続される。
【0130】
本実施の形態に係る組電池では、積層したすべての扁平型電池の電気的接合を、積層方向に重複しない4箇所に分けて行うことができるので、すべての扁平型電池を積層したままで接合することができ、作業性が良好である上に、接合作業の自動化が容易である。さらに、接合済みの電極タブに余分な応力をかけることもなく、ボルトナット、ワッシャなどによる機械的接合部分がないために耐久信頼性、メインテナンス性に優れている。
【0131】
なお、本実施の形態においても、出来上がった組電池の車両への搭載の仕方、組電池同士の接続の仕方は実施の形態2と同様であるのでその説明は省略する。
【0132】
次に、本実施の形態に係る組電池の製造方法について説明する。
【0133】
以上で概略の説明をしたように、本実施の形態に係るシート状の扁平型電池は、図43に示すように、電極タブを有さない辺同士が隣接する電池に次々と連なって接続されており、それぞれの電池からは異なる位置から電極タブが引き出されている。図に示すように、図面上、扁平型電池510Aの左上端からは+の電極タブ512Aが、その右下端からは−の電極タブ514Aがそれぞれ引き出されている。扁平型電池510Bの左下端からは+の電極タブ521Bが、その左上側には電極タブの幅+α分だけ内側にずらした位置から−の電極タブ514Bがそれぞれ引き出されている。扁平型電池510Cおよび510Gの上側と下側からはそれぞれ電極タブの幅+α分だけ内側にずらした位置から+の電極タブ512C、512Gと−の電極タブ514C、514Gが引き出されている。扁平型電池510Dの上側にはその中心から−の電極タブ514Dが、下側には電極タブの幅+α分だけ内側にずらした位置から+の電極タブ512Dが引き出されている。扁平型電池510Eの上側と下側の中心からは+の電極タブ512Eと−の電極タブ514Eが引き出されている。扁平型電池510Fの下側にはその中心から+の電極タブ512Fが、上側には電極タブの幅+α分だけ内側にずらした位置から−の電極タブ514Fが引き出されている。扁平型電池510Hの左上端からは−の電極タブ514Hが、その右下側には電極タブの幅+α分だけ内側にずらした位置から+の電極タブ514Hがそれぞれ引き出されている。
【0134】
以上のような位置から電極タブが引き出されている電池を図44(a)のようにジグザグ状に折りたたむと、それぞれの扁平型電池の+の電極タブと−の電極タブとが、図42に示したように異なる位置で重なる。具体的には、電極タブ514Aと512Bとが組となって重なり、電極タブ514Cと512Dとが組となって重なり、電極タブ514Eと512Fとが組となって重なり、電極タブ512Gと512Hとが組となって重なり、電極タブ514Bと512Cとが組となって重なり、電極タブ514Dと512Eとが組となって重なり、電極タブ514Fと512Gとが組となって重なる。
【0135】
この状態ではまだ組となる+と−の電極タブが接合されていないので、図42にように重ねられた状態の電池を超音波接合機200に持って行き、組となる電極タブを順番に接合する。
【0136】
以上のようにして組電池を形成すると、それぞれの電極タブの接合は他の電極タブに邪魔されない位置で行うことができるので、接合作業が容易になる。このため、超音波接合機のヘッド形状の自由度が増し、接合作業の自動化が容易になる。また、接合は超音波を使用して行っており、機械的接合部分は存在しないので、接触抵抗のばらつきが生じたり、振動による緩みが生じたりすることがなく、耐久信頼性、メインテナンス性の面で十分な信頼性を保つことができる。
【0137】
また、以上では、図44(a)に示すように、ジグザグ状に折りたたんで組電池を形成する場合を説明したが、同図(b)に示すように、ロール状に巻き付けることによって積層するようにしても、同様に組電池の形成が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明に係る組電池およびその製造方法では、効率的に扁平型電池同士の接合ができるので、組電池の分野で非常に役立つものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明に係る組電池の実施の形態1における外観図である。
【図2】積層した扁平型電池の電極タブを超音波接合機で接合している状況を示す図である。
【図3】組電池の電気的接続状態を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る組電池を構成するために必要な絶縁シートを示す図である。
【図6】実施の形態1に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図7】実施の形態1に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図8】本発明に係る組電池の実施の形態2における外観図である。
【図9】実施の形態2に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図11】実施の形態2に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図12】実施の形態2に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図13】実施の形態2に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の他の形態を示す図である。
【図14】実施の形態2に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の他の形態を示す図である。
【図15】実施の形態2に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の他の形態を示す図である。
【図16】実施の形態2に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池の他の形態を示す図である。
【図17】実施の形態3に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図18】実施の形態3に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図19】実施の形態3に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図20】実施の形態3に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図21】実施の形態3に係る組電池の他の製造過程の説明に供する図である。
【図22】実施の形態4に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図23】実施の形態4に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図24】実施の形態5に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図25】実施の形態5に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図26】実施の形態5に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図27】実施の形態6に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図28】実施の形態6に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図29】実施の形態7に係る組電池を構成するために必要な扁平型電池を示す図である。
【図30】実施の形態7に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図31】実施の形態7に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図32】実施の形態8に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図33】実施の形態9に係る扁平型電池の形状を示す図である。
【図34】実施の形態9に係る組電池の製造過程の説明に供する図である。
【図35】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図36】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図37】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図38】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図39】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図40】実施の形態9に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図41】本実施の形態に係る電池の断面図である。
【図42】本発明に係る組電池の実施の形態10における外観図である。
【図43】実施の形態10に係る電池の製造過程の説明に供する図である。
【図44】実施の形態10に係る電池の製造過程の説明に供する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極タブの極性を交互にして複数の電池が積層されてなる組電池であって、
すべての電池を積層したときに組となる電池同士を直列に接続するための前記電極タブの接合部が前記組電池の複数の位置に分かれており、それぞれの前記接合部を接合することによってすべての電池が電気的に直列に接続される構造を有していることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記電池のいずれかは、その+側または−側の少なくとも一方の電極タブの長さが他方の電極タブの長さとは異なっており、前記電極タブの接合部は前記電池の長さ方向で複数の位置に分かれていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記電池のいずれかまたはすべては、その+側または−側の少なくとも一方の電極タブがL字形を呈しており、前記電極タブの接合部は前記電池の積層方向に対して垂直な方向で複数の位置に分かれていることを特徴とする請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
前記電池は積層方向から見た形状が円形または多角形であり、一方の電極タブは他方の電極タブに対し当該他方の電極タブを基点とする直径からオフセットされるように所定の中心角を持って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項5】
前記すべての電池の内の少なくとも一部の電池は、前記電極タブを有さない辺同士が隣接する電池に連なって接続されていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項6】
前記電池の相互間には、組となる電池の電極タブを他の電極タブから絶縁するための絶縁手段が介在されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組電池。
【請求項7】
前記絶縁手段の片側には前記電池の電圧を検出するための電圧検出端子が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
組となる電池の相互間に絶縁体を介在させ、電池の電極タブ同士を接合してユニットを複数作成する段階と、
前記ユニット、電池単体および絶縁体を交えて電池と絶縁体とが交互に積層されるように、かつすべての電池を積層したときに組となる電池同士を直列に接続するための前記電極タブの接合部が異なる位置に分かれるように前記電池と前記絶縁体とを積層する段階と、
異なる位置に分かれている接合部を順番に接合する段階と、
を含むことを特徴とする組電池の製造方法。
【請求項9】
組となる電池の電極タブ同士を接合して第1ユニットを複数作成する段階と、
前記第1ユニット同士を、前記第1ユニットの接合されていない電極タブ同士を前記第1ユニットを作成したときとは異なる位置を接合することによって第2ユニットを作成する段階と、
前記第2ユニット同士を、前記第2ユニットの接合されていない電極タブ同士を前記第1ユニットおよび第2ユニットを作成したときとは異なる位置を接合することによって組電池を作成する段階と、
を含むことを特徴とする組電池の製造方法。
【請求項10】
前記電池のいずれかは、その+側または−側の少なくとも一方の電極タブの長さが他方の電極タブの長さとは異なることを特徴とする請求項8または9に記載の組電池の製造方法。
【請求項11】
前記電池のいずれかまたはすべては、その+側または−側の少なくとも一方の電極タブがL字形を呈していることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の組電池の製造方法。
【請求項12】
一方の電極タブが他方の電極タブに対し当該他方の電極タブを基点とする直径からオフセットされるように所定の中心角を持って配置されている、積層方向から見た形状が円形または多角形の複数の電池を、それぞれの電池の+側の電極タブとその上に積層される電池の−側の電極タブとが重なるように積層する段階と、
積層された結果、電池の外周部の異なる位置から分かれて突出している組となる電極タブを順番に接合する段階と、
を含むことを特徴とする組電池の製造方法。
【請求項13】
電極タブを有さない辺同士が隣接する電池に次々と連なって接続されており、それぞれの電池の異なる位置から電極タブが引き出されている一連の電池を、ジグザグ状に折りたたむことによって、または、ロール状に巻き付けることによって積層する段階と、
積層された結果、異なる位置に分かれて突出している組となる電極タブを順番に接合する段階と、
を含むことを特徴とする組電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2009−277673(P2009−277673A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196674(P2009−196674)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【分割の表示】特願2005−68230(P2005−68230)の分割
【原出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】