説明

経路探索装置、経路探索方法および経路探索用プログラム

【課題】散歩コース、ジョギングコース、マラソンコース、ドライブ、観光コースなど目的地点の設定を必要としない経路探索を簡単な操作でおこなうこと。
【解決手段】出発地点Sと距離Dとを取得した場合、出発地点Sを中心とする円Cを経路探索範囲Aに設定する。円Cの半径rは、取得した距離D以下の長さ、たとえば取得した距離Dの半分の値(D/2)に設定することができる。そして、折り返し地点となる経由地点Pを設定する。経由地点Pは、経路探索範囲A内において、円Cの境界近傍の交差点を示すノードや施設の代表点に設定することができる。往路と復路を同一経路にする場合、出発地点(=目的地点)Sと経由地点Pとが設定されると、ダイクストラ法などを用いて出発地点Sから経由地点Pまでの経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を探索する経路探索装置、経路探索方法および経路探索用プログラムに関する。ただし、本発明の利用は、上述した経路探索装置、経路探索方法および経路探索用プログラムに限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などに搭載されるナビゲーション装置では、目的地点を入力すると、各地点の情報(たとえば、道路の距離・幅員、渋滞情報など)を用いて、現在地点もしくは指定された地点から目的地点に至る種々の経路を探索することができる(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−315075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術による経路探索は、入力された目的地点に到達するための経路を探索するので、目的地点を定めなければ経路の探索をおこなうことができない。このため、たとえば、自宅周辺の散歩やジョギング、宿泊施設周辺の散策などのように、移動する距離や時間を基準として探索したい場合においても、目的地点を入力しなければならず不便であるという問題が一例として挙げられる。
【0005】
また、前述のように距離や時間を基準として経路を探索したい場合に、目的地点を入力して経路を探索しても、所望の条件に適合する経路が探索されるとは限らず、このような場合、ユーザは目的地点を変更して再度経路の探索をおこなわなくてはならないという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる経路探索装置は、移動体の移動経路の探索を指示する指示手段と、前記移動経路の探索が指示されたときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を取得する取得手段と、取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する探索手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の発明にかかる経路探索方法は、移動体の移動経路の探索が指示されたときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を取得する取得工程と、取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する探索工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項10の発明にかかる経路探索用プログラムは、情報を取得する取得手段を備え、移動体の移動経路を探索する経路探索装置における経路探索用プログラムであって、前記移動経路を探索するか否かを判断する判断ステップと、前記移動経路を探索すると判断したときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を前記取得手段に取得させる取得ステップと、取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する経路探索ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項11の発明にかかる記録媒体は、請求項10に記載の経路探索用プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる経路探索装置、経路探索方法および経路探索用プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(経路探索装置のハードウェア構成)
まず、経路探索装置のハードウェア構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかる経路探索装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1において、経路探索装置100は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、HDD(ハードディスクドライブ)104と、HD(ハードディスク)105と、CD/DVDドライブ106と、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD/DVD107と、入力I/F(インターフェース)108と、入力キー109と、リモコン110と、映像I/F(インターフェース)111と、ディスプレイ(またはタッチパネル)112と、音声I/F(インターフェース)113と、スピーカ114と、マイク115と、通信I/F(インターフェース)116と、GPSレシーバ117と、移動速度センサ118と、角速度センサ119と、走行距離センサ120と、傾斜センサ121と、から構成されている。また、各構成部101〜121は、バス130によってそれぞれ接続されている。
【0012】
ここで、CPU101は、経路探索装置100の全体の制御を司る。ROM102は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HDD104は、CPU101の制御にしたがってHD105に対するデータのリード/ライトを制御する。HD105は、HDD104の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0013】
CD/DVDドライブ106は、CPU101の制御にしたがってCD/DVD107に対するデータのリード/ライトを制御する。CD/DVD107は、CD/DVDドライブ106の制御にしたがって記録されたデータの読み出される着脱可能な記録媒体である。また、CD/DVD107として、書込可能な記録媒体を利用することもできる。この着脱可能な記録媒体として、CD/DVD107のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0014】
また、入力I/F108は、文字、数値、各種指示などの入力をする入力キー109や、入力キー109の一部または全部を備えたリモコン110から送信されてくるデータを入力する。また、不図示であるが必要に応じて出力I/Fを設け、この出力I/Fを介して文字や画像を光学的に読み取るスキャナや、文字や画像を印刷するプリンタを接続することができる。さらに、後述する各センサ118〜121からのデータを入力する。
【0015】
また、映像I/F111は、映像表示用のディスプレイ(またはタッチパネル)112と接続される。映像I/F111は、具体的には、たとえば、ディスプレイ(またはタッチパネル)112全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ(またはタッチパネル)112を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0016】
ディスプレイ(またはタッチパネル)112には、アイコン、カーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ112は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。また、タッチパネル112の押下/非押下を検出して入力I/F108にデータを入力する。
【0017】
また、音声I/F113は、音声出力用のスピーカ114に接続される。音声I/F113は、具体的には、たとえば、音声デジタルデータのD/A変換をおこなうD/Aコンバータと、D/Aコンバータから出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器と、音声アナログデータのA/D変換をおこなうA/Dコンバータと、から構成されている。また、スピーカ114は音声を出力する。マイク115は外部からの音声を入力する。
【0018】
また、通信I/F116は、基地局(図示せず)を介して通信サーバ(図示せず)と無線通信をおこなう通信モジュールである。通信I/F116は、たとえば、汎用の携帯電話機と同様の構成であり、PDC(Personal Digital Cellular Telecommunication System)方式、PHS(Personal Handyphone System)方式のTDMA、TDDあるいはCDMA構成などを採用することができる。
【0019】
また、通信I/F116は、汎用の携帯電話機および入力I/F108にワイヤード接続(インターフェース接続)した構成や、汎用の携帯電話機および入力I/F108に微弱無線送受信部を設けた無線接続方式の構成を採用することとしてもよい。また、GPSレシーバ117は、GPS衛星(図示せず)からの電波を受信して経路探索装置100本体の現在位置を求めるものである。
【0020】
移動速度センサ118は、経路探索装置100の移動速度を検出する。経路探索装置100が車両に設置されている場合、トランスミッションの出力側シャフトから検出する。また、角速度センサ119は、自車の回転時の各速度を検出し、各速度データと相対方位データとを出力する。走行距離センサ120は、車輪の回転に伴って出力される所定周期のパルス信号のパルス数をカウントすることによって車輪一回転あたりのパルス数を算出し、その一回転あたりのパルス数に基づく走行距離データを出力する。傾斜センサ121は、路面の傾斜角度を検出し、傾斜角データを出力する。
【0021】
(経路探索装置の機能的構成)
つぎに、図1に示した経路探索装置100の機能的構成について説明する。図2は、経路探索装置の機能的構成を示すブロック図である。図2において、経路探索装置100は、地図情報記憶部201と、表示部202と、指示部211と、取得部212と、入力部213と、算出部214と、地点抽出部215と、ジャンル入力部216と、方向入力部217と、探索部218と、経路抽出部219と、を備えている。
【0022】
地図情報記憶部201には、地図情報が記憶されている。地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを有しており、後述する表示部202などによって2次元または3次元的に描画される。
【0023】
背景データは、背景の形状をあらわす背景形状データと、背景の種類をあらわす背景種別データとを有する。背景形状データは、たとえば、地物の代表点、ポリライン、ポリゴン、地物の座標などを含んでいる。また、背景種別データは、たとえば、地物の名称や住所、電話番号をあらわすテキストデータ、建物、河川などの地物の種別データを含んでいる。
【0024】
また、地物のうち、「駅」や「劇場」など、一定の目的のために設けられている施設は、その種類によってジャンル分けされている。そして、地物の代表点および座標のデータと、ジャンルデータとが紐つけられている。特に、観光スポットとしてジャンル分けされている施設に関しては、各施設についての平均的な観光所要時間データ(以下、平均滞在時間データという)を含んでいる。
【0025】
また、道路形状データは、複数のノードと、ノード間を連結するリンクと、を有する道路ネットワークである。ノードは、T字路などの三叉路、十字路、五叉路などの複数の道路が交差する交差点を示している。リンクは、道路を示している。リンクには形状補間点を有するものもあり、この形状補間点によって曲線道路を表現することができる。
【0026】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、車幅、進行方向、通行禁止、道路種別(高速道路、有料道路か否か)などの情報が含まれている。また、地図情報は、緯度および経度の情報を用いて方向を特定することができる。
【0027】
なお、地図情報記憶部201は、経路探索装置100の外部に設けられていてもよい。その場合、経路探索装置100は、たとえば、図1に示した通信I/F116を通じて、ネットワークを介して地図情報を取得する。地図情報記憶部201は、具体的には、たとえば、図1に示したRAM103またはHD105によってその機能を実現する。
【0028】
表示部202は、地図情報記憶部201に記憶されている地図情報や、後述する探索部218によって探索された経路、経路抽出部219によって抽出された経路などを表示する。具体的には、表示部202は、図1に示した映像I/F111の制御によって、地図情報や探索された経路を図1に示したディスプレイ112に表示する。ここで、表示部202に表示される地図情報の一例について説明する。図3は、表示部に表示される地図情報の一例を示す説明図である。
【0029】
図3において、ディスプレイ112の表示画面には、地図情報MPが表示されている。後述する取得部212によって取得された現在地点Sが、三角マークであらわされている。また、カーソル301は、表示画面上に任意の地点を入力する際に用いられる。ユーザは、たとえば、表示されている地図情報MPの任意の地点にカーソル301を合わせ、図1に示した入力キー109を押下することによって地点302の入力をおこなうことができる。このように現在地点Sや入力された地点302は、出発地点や経由地点として用いることができる。また、方位情報303は、地図情報MP上の方向を示している。
【0030】
指示部211は、移動体の移動経路の探索を指示する。ここで、移動体とは経路を移動する主体であり、車両のみならずユーザ自身を含むものとする。また、指示部211による探索の指示は、たとえば、ユーザによる経路探索ボタンなどの操作、および後述する入力部213への距離や時間の入力などによっておこなう。指示部211は、具体的には、たとえば、図1に示した入力I/F108によって、その機能を実現する。
【0031】
取得部212は、移動経路の探索が指示されたときに、移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を取得する。移動体の現在地点を示す地点情報(以下、現在位置情報という)の取得は、具体的には、たとえば、図1に示したGPSレシーバ117によって得られるGPS測位データおよび自車の進行方向の絶対方位データを、図1に示した移動速度センサ118、角速度センサ119、走行距離センサ120および傾斜センサ121から得られる各データで補正することによって、現在地点情報を取得する。
【0032】
また、走行距離を示す距離情報の取得は、具体的には、たとえば、後述する入力部213に入力された距離を取得することによっておこなう。取得部212は、具体的には、たとえば、図1に示したGPSレシーバ117および入力I/F108によって、その機能を実現する。
【0033】
入力部213は、距離または時間の入力を受け付ける。ここで、距離または時間は、ユーザが移動したい距離または時間を示す数値情報である。距離または時間の入力は、たとえば、図1に示した入力キー109、リモコン110、タッチパネル112を操作することでおこなわれる。入力部213は、具体的には、たとえば、図1に示した入力I/F108によってその機能を実現する。この入力部213により、ユーザは、目的地点を定めなくても、移動したい距離または時間の数値情報さえ入力すれば、その数値情報が移動距離そのもの、または移動距離の目安となる経路を探索することができる。
【0034】
算出部214は、取得された地点情報および距離情報に基づいて、当該地点情報が示す移動体の現在地点から往復可能な範囲を算出する。算出部214は、たとえば、取得された地点情報が示す移動体の現在地点を中心とし、取得された距離情報が示す走行距離の2分の1を半径とした円の範囲を往復可能な範囲として算出する。算出部214は、具体的には、たとえば、図1に示したROM102、RAM103、HD105、CD/DVD107などに記録されたプログラムを、CPU101が実行することによってその機能を実現する。
【0035】
地点抽出部215は、算出部214によって算出された範囲から経由地点を抽出する。経由地点とは、出発地点から目的地点に至る経路中において、通過や立ち寄りなどをおこなう地点である。また、後述するジャンル入力部216によってジャンルが入力された場合には、算出された範囲から入力されたジャンルに属する施設を経由地点として抽出する。経由地点の抽出は、たとえば、地図情報記憶部201に記憶されている地図情報からおこなう。地点抽出部215は、具体的には、たとえば、図1に示したROM102、RAM103、HD105、CD/DVD107などに記録されたプログラムを、CPU101が実行することによってその機能を実現する。
【0036】
ジャンル入力部216は、施設に関するジャンルの入力を受け付ける。施設に関するジャンルとは、各施設をその種類によって分類したものであり、たとえば「観光地」や「宿泊施設」、「グルメスポット」などが挙げられる。ジャンル内の各施設は、当該施設の代表点のデータと関連付けられている。このため、ジャンル入力部216によってジャンルを指定し、各ジャンルに属する施設を検索することができる。このジャンル入力部216によって指定されたジャンルに属する施設は、探索部218が探索する経路の経由地点にすることができる。ジャンル入力部216は、具体的には、たとえば、図1に示した入力I/F108によって、その機能を実現する。
【0037】
方向入力部217は、移動体が移動する方向の入力を受け付ける。ここで、入力される方向とは、たとえば、ユーザが移動したい方位を示す情報である。ここで、移動する方向を指定する場合について説明する。図4は、移動する方向が指定された地図情報の一例を示す説明図である。図4において、たとえば、ユーザが出発地点から南方向へ移動する経路を探索したい場合、方向情報として「南」を入力すると、表示画面中、出発地点Sを基準として南方向の領域400(図4中、ハッチングで表示)を経路探索範囲に限定することができる。この方向入力部217は、具体的には、たとえば、図1に示した入力I/F108によって、その機能を実現する。
【0038】
探索部218は、取得された地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する。この探索部218によって、ユーザが目的地点を設定しなくても経路を探索することができる。なお、探索部218が探索する往復経路の走行距離は、道のり距離であっても良い。経路の探索は、たとえば、地図情報記憶部201に記憶されている地図情報を用いておこなう。ここで、具体的な経路探索処理について説明する。図5は、経路探索によって探索された推奨経路(例1)を示す説明図である。なお、図5において、取得された距離をDとする。
【0039】
図5において、出発地点Sは、取得部212によって取得された移動体の現在地点である。目的地点Gは、探索部218により、出発地点Sと同一地点に設定される。これにより、往復の経路を探索することができる。算出部214では、出発地点Sと距離Dとを取得した場合、出発地点Sを中心とする円Cを経路探索範囲Aに設定する。円Cの半径rは、取得した距離D以下の長さ、たとえば取得した距離Dの半分の値(D/2)に設定することができる。
【0040】
そして、地点抽出部215は、折り返し地点となる経由地点Pを設定する。経由地点Pは、経路探索範囲A内において、円Cの境界近傍の交差点を示すノードや施設の代表点に設定することができる。往路と復路を同一経路にする場合、出発地点(=目的地点)Sと折り返し地点となる経由地点Pとが設定されると、探索部218は、ダイクストラ法などを用いて出発地点Sから経由地点Pまでの経路を探索する。
【0041】
ダイクストラ法では、探索経路候補の中から最短経路を推奨経路として探索するが、この探索部218では、出発地点Sから経由地点Pまでの経路候補の中から距離D/2に合致する経路を推奨経路Rとする。これにより、出発地点Sから経由地点Pを経由して再度出発地点S(目的地点G)に至るリンク長が、距離Dまたは距離Dに近い値となる経路(推奨経路R)を探索することができる。なお、推奨経路Rのリンク長が距離D/2に合致しない場合、距離D/2から所定範囲内のリンク長の経路を推奨経路Rとすることとしてもよい。距離D/2に合致せず、かつ、距離D/2から所定範囲内の推奨経路Rがない場合、経由地点Pを異なる地点に再設定して再度探索することとしてもよい。
【0042】
つぎに、往路と復路が異なる経路探索にする場合について説明する。図6は、経路探索によって探索された推奨経路(例2)を示す説明図である。往路と復路とを異なるルートにして推奨経路Rを探索する場合、出発地点Sと経由地点Pとを通る直径lspを境界として、経路探索範囲AをA1、A2に分割する。そして、地点抽出部215は、この分割範囲A1、A2にそれぞれあらたな経由地点P1、P2を設定する。
【0043】
あらたな経由地点P1、P2は、折り返し地点となる経由地点Pと同様、交差点を示すノードや施設の代表点に設定することができる。そして、探索部218は、出発地点Sから経由地点P1までの経路R1、経由地点P1から経由地点Pまでの経路R2、経由地点Pから経由地点P2までの経路R3、経由地点P2から出発地点Sまでの経路R4の総リンク長が、距離Dと合致した場合、経路R1〜R4を推奨経路Rに決定することができる。
【0044】
また、経路R1〜R4の総リンク長が距離Dに合致しない場合であっても、所定範囲内であれば推奨経路Rに決定することができる。なお、探索部218は、経路R1〜R4の総リンク長が距離Dに合致せず、かつ、距離Dから所定範囲内でもない場合、経由地点P、P1、P2を再設定することで推奨経路Rを再度探索することとしてもよい。
【0045】
また、探索部218は、ジャンル入力部216によって指定されたジャンルに属する施設を経由する経路を探索することもできる。図7は、経路探索によって探索された推奨経路(例3)を示す説明図である。ジャンル入力部216によってジャンルが指定されると、地点抽出部215は、指定されたジャンルに属する施設を抽出する。ここでは、地点抽出部215によって抽出された施設をQ1〜Q3とする。
【0046】
探索部218は、施設Q1〜Q3をそれぞれ往復するように経路を探索する。探索部218は、出発地点Sから施設Q1〜Q3それぞれ往復する経路を探索する。具体的には、探索部218は、出発地点Sから施設Q1までを往復する経路R5、出発地点Sから施設Q2までを往復する経路R6、出発地点Sから施設Q3までを往復する経路R7を探索する。
【0047】
また、旅行などによって観光地を訪れた場合、ユーザがその地に滞在する時間が限られているため、ジャンル:観光スポットに属する施設を検索することにより、当該観光地に滞在できる時間を入力するだけで、立ち寄りたい施設を往復する推奨経路Rを得ることができる。なお、推奨経路Rのリンク長が距離Dに合致しない場合、距離Dから所定範囲内のリンク長の経路を推奨経路Rとすることとしてもよい。
【0048】
なお、探索部218は、具体的には、たとえば、図1に示したROM102、RAM103、HD105、CD/DVD107などに記録されたプログラムを、CPU101が実行することによってその機能を実現する。
【0049】
経路抽出部219は、探索部218によって複数の往復経路が探索された場合に、当該複数の往復経路の中から1の経路を抽出する。経路抽出部219は、具体的には、探索部218によって、総リンク長が距離Dに合致する、もしくは、距離Dから所定範囲内にある推奨経路Rが複数探索された場合に、複数探索された推奨経路Rの中から任意の経路を抽出する。
【0050】
より具体的には、経路抽出部219は、複数の推奨経路Rの中から、ランダムに経路を抽出する。また、探索経路について条件指定があった場合、その条件(以下、経路抽出条件という)にしたがって経路を抽出する。たとえば、「有料道路を使わない」という経路抽出条件である場合、有料道路を通過しない経路を抽出することができる。また、「車線数1の道路のみ」という経路抽出条件の場合、全経路にわたって車線数が1となる経路のみを抽出することができる。
【0051】
なお、経路抽出部219は、具体的には、たとえば、図1に示したROM102、RAM103、HD105、CD/DVD107などに記録されたプログラムを、CPU101が実行することによってその機能を実現する。
【実施例】
【0052】
(経路探索処理手順)
つぎに、上述した実施の形態の一実施例について説明する。図8および図9は、上述した実施の形態の一実施例にかかる経路探索処理手順を示すフローチャートである。図8において、まず、指示部211によって移動経路の探索が指示されたかを判断する(ステップS801)。指示された場合(ステップS801:Yes)、取得部212によって現在地点を示す現在地点情報を取得する(ステップS802)。一方、指示されない場合は(ステップS801:No)、ステップS801に戻り、待機を継続する。
【0053】
つぎに、入力部213によって距離が入力されたかを判断する(ステップS803)。距離が入力された場合(ステップS803:Yes)、ステップS807に移行する。距離が入力されなかった場合(ステップS803:No)、入力部213によって時間が入力されたかを判断する(ステップS804)。
【0054】
時間が入力された場合(ステップS804:Yes)、取得部212は、移動体の移動速度情報を取得する(ステップS805)。具体的には、ユーザからの入力、移動速度センサ118などによる検出、HD105、CD/DVD107などの記録媒体に記録された移動速度の読み出しなどによって移動速度情報を取得する。そして、ステップS804において入力された時間と、ステップS805において取得された移動速度情報とに基づいて、距離を算出する(ステップS806)。
【0055】
つぎに、ステップS802において取得された現在位置情報、およびステップS803で入力された距離またはステップS806において算出された距離に基づいて、算出部214によって往復可能な範囲を算出する(ステップS807)。
【0056】
つぎに、ジャンル入力部216によって施設に関するジャンルが入力されたかを判断する(ステップS808)。ジャンルが入力された場合(ステップS808:Yes)、地点抽出部215は、施設の検索をおこない(ステップS809)、検索された施設を経由地点として設定する(ステップS810)。また、ジャンルが入力されない場合(ステップS808:No)、地点抽出部215は、経由地点の抽出をおこなう(ステップS811)。
【0057】
そして、探索部218は、ステップS810において設定された経由地点、またはステップS811において抽出された経由地点を経由する往復経路を探索し(ステップS812)、図9のステップS901に移行する。図9の説明に移り、往復経路の探索(ステップS812)において、複数の経路が探索された場合(ステップS901:Yes)、経路の抽出指示があったときに(ステップS902:Yes)、経路抽出部219により、複数の経路の中から任意の経路を抽出する(ステップS903)。そして、抽出した経路を表示部202に表示する(ステップS904)。
【0058】
また、複数の経路が探索されなかった場合(ステップS901:No)、または、経路の抽出指示がない場合(ステップS902:No)、探索された経路をすべて表示部202に表示する(ステップS905)。これにより、一連の処理を終了する。
【0059】
このように、本実施例によれば、ユーザによって目的地点を設定せずに、移動したい距離を入力するだけで、経路の探索をおこなうことができる。特に、出発地点と目的地点が同じ地点となる往復経路や周回経路の探索を簡単におこなうことができる。
【0060】
また、移動したい距離のかわりに移動したい時間を入力するだけで、経路探索をおこなうこともできる。これにより、ユーザが直感的に距離感覚を認識できない場合であっても、移動時間を入力することにより、経路を探索することができる。
【0061】
また、経由地点を設定することにより、ユーザが知っている地点や立ち寄りたい地点を経由するように経路を探索することができる。また、ジャンル指定によって、経由したい施設を経由するように経路を探索することもできる。これにより、出発地点周辺の土地勘がなくても経路を探索することができる。特に移動先で観光施設がわからない場合には、観光スポットでジャンル指定をおこなうことにより、観光スポットに関する施設を経由するように経路を探索することができる。
【0062】
また、任意の経路抽出条件によって探索された経路を抽出できるので、検出された経路から、ユーザの希望する条件に合った経路を抽出することができる。特に、経路抽出条件として、既に抽出された経路以外の経路を抽出すれば、毎回異なった経路を探索することができる。また、散歩やジョギングなど、定期的におこなう移動であっても、ユーザはあらたな経路を探索することができる。
【0063】
つぎに、他の実施例にかかる経路探索処理手順について説明する。図10は、他の実施例にかかる経路探索処理手順を示すフローチャートである。この実施例では、経由する施設に滞在する滞在時間を考慮した経路探索をおこなうことができる。図10において、まず、入力部213により、移動したい時間を入力する(ステップS1001)。つぎに、ジャンル入力部216により、ジャンルを指定する(ステップS1002)。
【0064】
つぎに、地点抽出部215は、指定されたジャンルに属する施設を検索する(ステップS1003)。具体的には、図5〜図7に示した円C内から、ステップS1002で指定されたジャンルに属する施設を検索する。つづいて、検索された施設における滞在時間を取得する(ステップS1004)。つぎに、ステップS1001で入力された時間から滞在時間を減算する(ステップS1005)。つづいて、移動体の移動速度を取得する(ステップS1006)。
【0065】
そして、減算結果と移動速度に基づいて距離を算出する(ステップS1007)。具体的には、ステップS1005の減算結果と、ステップS1006で取得した移動速度とを掛け合わせることによって、距離を算出する。最後に、ステップS1007で算出された距離に基づいて、検索された施設を経由するように経路を探索する(ステップS1008)。そして、図9に示すステップS901に移行する。
【0066】
このように、この実施例によれば、経由地点に滞在する時間を考慮して経路を探索することができる。たとえば、観光地において、限られた時間内で出発地点周辺の観光スポット(観光施設)に立ち寄りたい場合、観光施設の滞在時間を除いた移動時間から、観光施設を経由するように経路を簡単な操作によって探索することができる。
【0067】
また、滞在時間を地図情報に含まれる平均滞在時間とすれば、ジャンルの指定によって検索された観光施設の滞在時間を取得することができる。このため、ユーザは経由する観光施設の滞在時間がわからなくても、その観光施設を見て回るのに十分な滞在時間を確保することができ、好適な観光プランを作成することができる。
【0068】
以上説明したように、経路探索装置、経路探索方法および経路探索用プログラムによれば、散歩コース、ジョギングコース、マラソンコース、ドライブ、観光コースなど目的地点の設定を必要としない経路探索を簡単な操作でおこなうことができる。
【0069】
なお、本実施の形態で説明した経路探索方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施の形態にかかる経路探索装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる経路探索装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】表示部に表示される地図情報の一例を示す説明図である。
【図4】移動する方向が指定された地図情報の一例を示す説明図である。
【図5】経路探索によって探索された推奨経路(例1)を示す説明図である。
【図6】経路探索によって探索された推奨経路(例2)を示す説明図である。
【図7】経路探索によって探索された推奨経路(例3)を示す説明図である。
【図8】実施の形態の一実施例にかかる経路探索処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図9】実施の形態の一実施例にかかる経路探索処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【図10】他の実施例にかかる経路探索処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
100 経路探索装置
201 地図情報記憶部
202 表示部
211 指示部
212 取得部
213 入力部
214 算出部
215 地点抽出部
216 ジャンル入力部
217 方向入力部
218 探索部
219 経路抽出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路の探索を指示する指示手段と、
前記移動経路の探索が指示されたときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を取得する取得手段と、
取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する探索手段と、
を備えることを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
距離又は時間の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記取得手段は、入力された距離又は時間に基づいて前記距離情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
取得された前記地点情報及び前記距離情報に基づいて、当該地点情報が示す移動体の現在地点から往復可能な範囲を算出する算出手段と、
算出された前記範囲から経由地点を抽出する地点抽出手段と、
をさらに備え、
前記探索手段は、取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、抽出された前記経由地点を経由し、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索することを特徴とする請求項1または2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記算出手段は、取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を中心とし、取得された前記距離情報が示す走行距離の2分の1を半径とした円の範囲を前記往復可能な範囲として算出することを特徴とする請求項3に記載の経路探索装置。
【請求項5】
施設に関するジャンルの入力を受け付けるジャンル入力手段をさらに備え、
前記地点抽出手段は、算出された前記範囲から入力された前記ジャンルに属する施設を前記経由地点として抽出することを特徴とする請求項3または4に記載の経路探索装置。
【請求項6】
前記探索手段によって複数の往復経路が探索された場合に、当該複数の往復経路の中から1の経路を抽出する経路抽出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の経路探索装置。
【請求項7】
前記移動体が移動する方向の入力を受け付ける方向入力手段をさらに備え、
前記探索手段は、入力された方向に基づいて前記往復経路を探索することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の経路探索装置。
【請求項8】
前記探索手段は、往路と復路が異なる前記往復経路を探索することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の経路探索装置。
【請求項9】
移動体の移動経路の探索が指示されたときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を取得する取得工程と、
取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する探索工程と、
を含むことを特徴とする経路探索方法。
【請求項10】
情報を取得する取得手段を備え、移動体の移動経路を探索する経路探索装置における経路探索用プログラムであって、
前記移動経路を探索するか否かを判断する判断ステップと、
前記移動経路を探索すると判断したときに、前記移動体の現在地点を示す地点情報及び走行距離を示す距離情報を前記取得手段に取得させる取得ステップと、
取得された前記地点情報が示す移動体の現在地点を出発地点及び目的地点とし、取得された前記距離情報が示す走行距離を道なり距離とした往復経路を探索する経路探索ステップと、
を含むことを特徴とする経路探索用プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の経路探索用プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−145408(P2006−145408A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336777(P2004−336777)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】