説明

給水装置

【課題】間欠的の給水を行っている給水装置での流量計の異常をより正確に判定する。
【解決手段】 給水配管4に給水ポンプ5を設けておき、間欠的に給水を行っている給水装置であって、給水配管4には一定量の給水が行われるごとにパルス信号を出力するパルス発振式の流量計3と、給水を行っている場合に経過時間のカウントを行うタイマを持った制御装置6を設けておき、流量計3からのパルス信号に基づいて流量の検出を行うとともに、給水は行っているのにパルス信号が出力されない時間が所定の異常判定時間よりも長かった場合には、異常発生と判定するようにしている給水装置において、経過時間のカウント途中で給水の停止を行い、その後に給水を再開した場合には、給水停止中は経過時間のカウントを停止するとともに、給水再開後の場合には、前記異常判定時間をあらかじめ設定しておいた給水開始時異常判定遅延時間分延長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水装置に関するものであり、より詳しくは給水装置における給水流量計の異常判定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開昭59−148819号公報に記載されている発明にあるように、ボイラなど給水対象への給水量を計測する流量計を設けるということは、広く行われている。ボイラでは、給水ライン中にパルス発振を行う流量計を設置しておき、給水量に基づいた制御を行うようにしている。流量計に異常が発生し、正しい給水量を検出することができなくなると、運転の制御が行えなくなるため、流量計に異常が発生した場合には流量計の異常を判定できるようにしておく必要がある。特開昭59−148819号公報には、流量計の異常を検出する装置の発明が記載されている。ここで記載されている流量計異常検知装置は、設定時間内のパルス信号をカウントし、その前後における設定時間でのカウント数との変化値を、標準変化値と比較し標準変化値以上の変化値であれば流量計異常とするものである。
【特許文献1】特開昭59−148819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、間欠的の給水を行っている給水装置での流量計の異常をより正確に判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、給水配管に給水ポンプを設けておき、必要に応じて給水ポンプを稼働することで間欠的に給水を行っている給水装置であって、給水配管には一定量の給水が行われるごとにパルス信号を出力するパルス発振式の流量計と、給水を行っている場合に経過時間のカウントを行うタイマを持った制御装置を設けておき、流量計からのパルス信号に基づいて流量の検出を行うとともに、給水は行っているのにパルス信号が出力されない時間が所定の異常判定時間よりも長かった場合には、異常発生と判定するようにしている給水装置において、経過時間のカウント途中で給水の停止を行い、その後に給水を再開した場合には、給水停止中は経過時間のカウントを停止するとともに、給水再開後の場合には、前記異常判定時間をあらかじめ設定しておいた給水開始時異常判定遅延時間分延長させることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記の給水装置において、異常の判定は、所定の異常判定時間内に2以上の所定回数分のパルス信号が出力されなかった場合に異常発生と判定するようにしていることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、前記の給水装置において、経過時間のカウントを検出するタイマは複数個設置しておき、経過時間の起点をずらしてカウントすることで、最新所定回数分のパルス信号出力に要する時間を計測するようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
給水を開始する場合、給水指令の出力を行ってもすぐに給水能力の100%分の給水が行われるものではなく、給水開始直後の給水量は給水を継続している場合に比べて少なくなる。給水開始時を含まない場合には所定の異常判定時間で異常の判定を行い、給水開始時を含む場合には異常判定時間を給水開始時異常判定遅延時間分延長させた時間で異常の判定を行うことで、流量計での異常の有無をより正確に判定することができる。
【0007】
また、異常の判定は、所定の異常判定時間内に2以上の所定回数分のパルス信号が出力されなかった場合に異常発生と判定するようにしておくと、短時間で解消する一時的な異常の場合にまで異常との判定が行われることを防止することができる。この場合、経過時間のカウントを検出するタイマは複数個設置しておき、タイマの起点をずらしておくことで、最新所定回数分のパルス信号に要する時間を計測することができ、異常発生から異常報知までの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明を実施してるボイラのフロー図、図2は本発明での異常判定状況例を示したタイムチャート、図3は本発明でのフローチャート例である。
【0009】
ボイラ1の本体部には、下部に給水配管4を接続している。給水配管4途中には、給水ポンプ5、給水電動弁7、給水流量計3を設けており、給水ポンプ5を作動し、給水電動弁7を開くことで、ボイラ内へ水を供給するようにしている。ボイラ内の水位検出は、ボイラ本体部分と連通している水位検出筒2で検出する。水位検出筒2には、下端位置を異ならせた複数の電極棒を設置しておき、各電極棒が水に接しているか否かを電流の有無によって判定することで水位の検出を行う。
【0010】
水位検出筒2で検出した水位の情報は制御装置6へ送り、制御装置6によって給水の制御を行う。水位検出筒2で検出している水位が給水開始水位より低い場合、制御装置6は給水ポンプ5に対して作動指令を出力し、給水電動弁7に対して開指令を出力する。給水を行うことによってボイラ内の水位が給水停止水位よりも高くなったこと検出すると、制御装置6は給水ポンプ5に対する作動指令を停止し、給水電動弁7に対しては閉指令を出力することで、ボイラへの給水を停止する。給水配管4の途中に設けている給水流量計3は、所定量例えば1Lの給水が行われるごとに1パルスを発信するパルス式の流量計であり、給水流量計3で計測した給水量の情報も制御装置6へ送る。
【0011】
制御装置6では、所定量の給水ごとに発信するようにしたパルス信号が、給水ポンプオン時での設定時間内に設定回数入力されなかった場合に、給水流量計異常との判定を行う。設定時間及び設定回数の適正値は、ボイラへの給水速度によって異なるため、設定時間及び設定回数はボイラの給水速度(ボイラの容量)に応じた値に定めておく。また、給水流量計異常と判定する前記設定時間は、給水継続中における異常判定時間と、給水開始時を含む場合における異常判定時間では別の値とし、給水開始時を含むには給水開始時異常判定遅延時間分長い時間に設定するようにしておく。
【0012】
制御装置6による給水流量計異常判定を、図2のタイムチャートと図3のフローチャートに基づいて説明する。フローチャートでは、ステップ1でまず給水実施状況の確認を行い、給水中であった場合にはステップ2へ移り、タイマA・タイマB・タイマCのカウントを行う。タイマA・タイマB・タイマCは、図2にあるように起点を異ならせることで、それぞれ別の期間における経過時間をカウントするようにしておく。給水停止中であった場合には、各タイマでのカウントは行わず、それまでのカウント値をそのまま保持しておき、フローチャートではステップ11へ飛ぶようにしている。
【0013】
各タイマのカウントを行った場合、次にステップ3で給水開始時であるか否かの確認を行う。給水開始時であった場合には、ステップ4でタイマA・タイマB・タイマCのそれぞれで給水回数のカウントを行う。タイマA・B・C用給水回数のカウントは、前回のクリアで回数を0にした以降に行われた給水開始回数であり、給水を開始するごとに各給水回数の値を1増やす。給水開始時でなければ、ステップ5に飛び、給水回数の値はそれまでの値を保持しておく。給水開始回数は、後に出てくる給水流量計の異常を判定する時間の設定に関係する。
【0014】
次のステップ5では、給水パルスの入力有無によって分岐する。給水パルスの入力があった場合には、ステップ6からステップ10でいずれかタイマをクリアし、給水パルスの入力がなかった場合にはステップ11へ飛ぶ。ステップ6では、次にクリアするタイマがタイマAかそれ以外のタイマであるかによって分岐させている。タイマは給水パルスの入力があるごとに1つずつ順番にクリアするようにしており、クリアするタイマがタイマAであった場合には、ステップ7でタイマAでの経過時間のカウントを0にクリアするとともに、タイマA用給水回数も0にクリアする。タイマAのクリアを行うと、次回にクリアするタイマはタイマBに設定する。クリアするタイマがタイマAでなかった場合には、ステップ6からステップ8に移行する。ステップ8では、クリアするタイマがタイマBか、それ以外つまりタイマCのいずれであるかによって分岐させている。クリアするタイマがタイマBであった場合には、ステップ9でタイマBでの経過時間のカウントを0にクリアするとともに、タイマB用給水回数も0にクリアし、次回にクリアするタイマはタイマCに設定する。クリアするタイマがタイマCであった場合には、ステップ10でタイマCでの経過時間のカウントを0にクリアするとともに、タイマC用給水回数も0にクリアし、次回にクリアするタイマはタイマAに設定する。
【0015】
次のステップ11で、タイマA・B・C<設定値1+(設定値2×タイマA・B・C用給水回数)が成り立たない場合、ステップ12で給水流量計異常の出力を行う。式の設定値1は給水を継続している場合の異常判定時間であり、設定値2は給水開始時の異常判定遅延時間である。遅延時間は、例えば電動弁7が開くのに要する時間から設定する。タイマA・タイマB・タイマCは、それぞれ起点を異ならせているために、カウント値はそれぞれ別の値となる。そのため、ステップ11の式には、タイマごとに値を入力して経過時間と異常判定時間を比較する。
【0016】
タイマ用給水回数が0であれば、設定値2×0=0になるため、タイマのカウント値は設定値1と比較する。カウント値が設定値1よりも小さい場合、ステップ11の式は成り立つため、その場合には流量計を異常と判定することはせずにプログラムの最初に戻る。カウント値が設定値1よりも小さい場合、つまり前回のカウントクリアからの給水時間が異常判定時間に達しても、カウントをクリアするパルス信号が出力されていない場合には、ステップ11の式は成り立たない。その場合にはステップ12で流量計異常との判定を行う。タイマ用給水回数が1であれば、設定値2×1=設定値2になるため、タイマのカウント値は設定値1+設定値2と比較する。カウント値が設定値1+設定値2よりも小さい場合、ステップ11の式は成り立つため、その場合には流量計を異常と判定することはせずにプログラムの最初に戻る。カウント値が設定値1+設定値2よりも小さい場合、ステップ11の式は成り立たないため、その場合にはステップ12で流量計異常との判定を行う。
【0017】
制御装置6による給水流量計の異常判定状況を図2のタイムチャートに基づいて説明する。図2のタイムチャートは、給水を行っている状態から開始している。制御装置6では、水位検出筒2によって検出しているボイラ内水位が給水開始水位まで低下すると給水信号を発信し、水位が給水停止水位まで上昇すると、給水信号を停止するものであるため、給水信号は間欠的に発信している。
【0018】
ボイラ1への給水を行っている場合、給水流量計3では設定量分の水が通過するごとにパルス信号を出力する。図では、説明のためにパルス信号に1から14まで番号を付けている。給水流量計3の異常を判定するためのタイマとして、タイマA・タイマB・タイマCを設けている。各タイマでは給水を行っている間の時間をカウントしており、給水信号の出力が停止するとカウントを中断し、給水信号の出力が再開されるとカウントも再開する。
【0019】
制御装置6では、パルス信号1を受けてタイマAをクリア、パルス信号2を受けてタイマBをクリア、パルス信号3を受けてタイマCをクリア、パルス信号4を受けた場合には再びタイマAをクリアとしており、以降もパルス信号を受けるたびにタイマAからタイマCを順番にクリアしていく。制御装置6では、カウント値が異常判定時間より短い状態でクリアされ、異常判定時間まで達しない場合には異常との判定は行わない。カウント値が異常判定時間に達しても、値のクリアが行われていなかった場合には異常発生との判定を行う。
【0020】
パルス信号4の出力からパルス信号5を出力するまでの間には、給水信号が停止している期間があり、給水信号が停止している間は各タイマでのカウントは中断している。パルス信号4の出力から給水信号の出力が停止するまでと、給水信号の出力開始からパルス信号5の出力が行われるまでを合計した時間は、その1つ前のパルス信号3の出力からパルス信号4の出力までの時間に比べて大きくなっている。これは、給水信号の出力が行われても、その瞬間から100%の給水が行われるというものではなく、給水開始直後には給水量の少ない期間があることによる。パルス信号は一定量の給水が行われるごとに出力されるため、給水量が少ない場合にはパルス信号の発信間隔は長くなる。そのため流量計は正常であっても、給水開始時を含む場合にはカウント値は大きくなる。
【0021】
具体的には、タイマBでカウントするパルス信号2からパルス信号5までのカウント値、タイマCでカウントするパルス信号3からパルス信号6までのカウント値、タイマAでカウントするパルス信号4からパルス信号7までのカウント値は、ほかの期間におけるカウント値よりも大きくなるが、これは正常な動きである。給水開始時を含む場合には、異常判定遅延時間分長くした異常判定時間によって異常の判定を行うようにしているため、給水の発停によりカウント時間が長くなった場合に、給水流量計が正常であるのに異常との誤判定することを防止することができる。
【0022】
また図では、パルス信号14までは出力している。給水はパルス信号14を出力した以降も続いているが、パルス信号14以降にはパルス信号は出力されていない。タイマCはパルス信号12を受けてクリアしており、次のカウント期間はパルス信号12からパルス信号15までの期間となる。パルス信号12から新しく開始したカウントは、パルス信号15の入力がないままで異常判定時間分経過すると、流量計異常との判定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施してるボイラのフロー図
【図2】本発明での異常判定状況例を示したタイムチャート
【図3】本発明でのフローチャート例
【符号の説明】
【0024】
1 ボイラ
2 水位検出筒
3 給水流量計
4 給水配管
5 給水ポンプ
6 制御装置
7 給水電動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管に給水ポンプを設けておき、必要に応じて給水ポンプを稼働することで間欠的に給水を行っている給水装置であって、給水配管には一定量の給水が行われるごとにパルス信号を出力するパルス発振式の流量計と、給水を行っている場合に経過時間のカウントを行うタイマを持った制御装置を設けておき、流量計からのパルス信号に基づいて流量の検出を行うとともに、給水は行っているのにパルス信号が出力されない時間が所定の異常判定時間よりも長かった場合には、異常発生と判定するようにしている給水装置において、経過時間のカウント途中で給水の停止を行い、その後に給水を再開した場合には、給水停止中は経過時間のカウントを停止するとともに、給水再開後の場合には、前記異常判定時間をあらかじめ設定しておいた給水開始時異常判定遅延時間分延長させることを特徴とする給水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水装置において、
異常の判定は、所定の異常判定時間内に2以上の所定回数分のパルス信号が出力されなかった場合に異常発生と判定するようにしていることを特徴とする給水装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給水装置において、
経過時間のカウントを検出するタイマは複数個設置しておき、経過時間の起点をずらしてカウントすることで、最新所定回数分のパルス信号出力に要する時間を計測するようにしていることを特徴とする給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−47119(P2009−47119A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215616(P2007−215616)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000130651)株式会社サムソン (164)
【Fターム(参考)】