説明

繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物

【課題】靭性の高い硬化物となりうる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、前記硬化剤(C)の残りとを含有し、硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂にする繊維強化複合材料は、その優れた力学物性などから、航空機、自動車、産業用途に幅広く使用されている。特に、航空機用構造材料や内装材においては、軽量化の観点から、ハニカムパネルの面板として繊維強化複合材料を用いるケースが増加している。
近年では、ハニカムパネルをより一層軽量化することおよび成形コストを低減することを目指してハニカムコアとプリプレグとを直接接着させる、いわゆる自己接着技術が求められている。
プリプレグに自己接着性を発現させるためには、加熱硬化の際にハニカムコアとプリプレグとの接合面をプリプレグの樹脂で濡らし、いわゆるフィレットと呼ばれる樹脂溜まりを形成させる。
特許文献1には、高靭性、高伸性、低内部応力性にすぐれ、高強度、高弾性率、また低吸水性、高耐熱性や良好な作業性およびそれら諸物性の高い安定性を合わせ持つ熱硬化性樹脂組成物、硬化物さらにはそれらをマトリックス樹脂とするプリプレグおよび繊維強化プラスチックの提供を目的として、「次の構成要素[A]、[B]、[C]を必須とし、構成要素[C]が構成要素[A]または[B]と相溶性の連鎖と非相溶性の連鎖からなるブロック共重合体またはグラフト共重合体である樹脂組成物。[A]:熱硬化性樹脂、[B]:硬化剤、[C]:熱可塑性樹脂」が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平2−305860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者は、特許文献1に記載されているような組成物をプリプレグのマトリックス樹脂として用いて、ハニカムとプリプレグとを直接接着させる場合、形成されるフィレットの強度が低く、硬化物の靭性が低いことを見出した。
フィレットは、プリプレグからハニカムコアの厚み方向に、ハニカムの壁に沿って樹脂が垂れまたはせり上がった状態で形成され、その形状は樹脂の粘度との関係が深く、フィレットの強度はプリプレグを構成するマトリックス樹脂の靭性に左右される。
そこで、本発明は、靭性の高い硬化物となりうる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させることによって得られる硬化物が、特定のモルフォロジーを有し、靭性が高いことを見出して、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(19)を提供する。
(1) 重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(2) 前記エポキシ樹脂(A)が、さらに、3官能以上のエポキシ樹脂(a4)を含み、
前記エポキシ樹脂(a4)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の30〜90質量部である上記(1)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(3) 前記予備反応において用いられる、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の2〜20質量部であり、
前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、2〜20質量部であり、
前記硬化剤(C)の一部の量が、前記予備反応において用いられる、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部とが有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量である上記(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(4) 前記エポキシ樹脂(a2)の分子骨格が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(5) 前記エポキシ樹脂(a1)の残りの量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の1〜68質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(6) 前記エポキシ樹脂(a2)から前記予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0〜18質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(7) 前記エポキシ樹脂(a3)から前記予備反応において用いた、前記硬化剤(C)の一部を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(8) 前記熱可塑性樹脂(B)が、分子末端に反応性官能基を有する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(9) 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルスルホン樹脂の粒子および/またはポリエーテルイミド樹脂の粒子であり、前記粒子の平均粒子径が200μm以下である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(10) 前記熱可塑性樹脂(B)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤(C)が、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(12) 前記硬化剤(C)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(13) 昇温速度2℃/分における動的粘弾性測定による最低粘度が、10〜150Pa・sである上記(1)〜(12)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(14) 硬化後のASTM D5045−99に準拠して測定される破壊靭性値が、2.0MPa・m1/2以上となる上記(1)〜(13)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(15) 上記(1)〜(14)のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させた繊維強化プリプレグ。
(16) 前記マトリックス樹脂の含有量が、繊維強化プリプレグ中の30〜50質量%である上記(15)に記載の繊維強化プリプレグ。
(17) 前記強化繊維が、炭素繊維である上記(15)または(16)に記載の繊維強化プリプレグ。
(18) 上記(15)〜(17)のいずれかに記載の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるハニカムサンドイッチパネル。
(19) 前記ハニカムコアが、アラミドハニカム、アルミハニカム、ペーパーハニカムおよびガラスハニカムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(18)に記載のハニカムサンドイッチパネル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、靭性の高い硬化物となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
まず、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、
重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する組成物である。
以下、これを「本発明の組成物」ということがある。
【0009】
本発明の組成物は、
重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有する。
【0010】
本発明の組成物は、重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と硬化剤(C)とを、エポキシ樹脂(a3)の予備反応の原料および組成物の成分として使用し、重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)を予備反応の原料および組成物の成分、または予備反応の原料として使用する。
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)は、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とに分けて用いられる。
また、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)は、その一部または全部を予備反応に用いることができ、エポキシ樹脂(a2)の一部が予備反応に用いられる場合、本発明の組成物はエポキシ樹脂(a2)の残りの分を組成物の成分として含有することができる。
また、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)は、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とに分けて用いられる。
なお、本願明細書において、「本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)」は、本発明の組成物において、予備反応で用いられる分と組成物の成分として用いられる分とをあわせたエポキシ樹脂(a1)を意味する。
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)についても本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)と同様である。
【0011】
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)の量は、タック性、ドレイプ性を保持するという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
「エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)」は、エポキシ樹脂(A)からエポキシ樹脂(a2)とエポキシ樹脂(a3)とを除いたものをいう。
本発明の組成物において使用される硬化剤(C)の量は、得られる硬化物が面板として要求される強度、耐熱性に優れ、靭性がより高くなるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物が含有するエポキシ樹脂(a3)について、エポキシ樹脂(a3)から予備反応において用いた、硬化剤(C)の一部を除いた量は、得られる硬化物が面板として要求される強度、耐熱性に優れ、靭性がより高くなるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物が含有する熱可塑性樹脂(B)の量は、その粘度を適正化してフィレットを良好な形状として形成させることができ、タック性、ドレイプ性に優れ、靭性がより高い硬化物となりうるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
【0012】
エポキシ樹脂(A)について以下に説明する。
本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)とを含む。
なお、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)の量が、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の一部である場合、エポキシ樹脂(A)は、さらに、エポキシ樹脂(a2)を含むことができる。
【0013】
エポキシ樹脂(a1)について以下に説明する。
エポキシ樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂(a1)は、重量平均分子量1,000以下の、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
【0014】
エポキシ樹脂(a1)としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型(例えば、下記式(1)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂)、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物のような2官能タイプのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、3官能型、テトラフェニロールエタン型のような多官能タイプのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有するエポキシ化合物;脂環型エポキシ樹脂;東レチオコール社製のフレップ10に代表されるエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴム又はアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有するゴム変性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0015】
【化1】

【0016】
なかでも、エポキシ樹脂(a1)は、作業性と硬化物の耐熱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0017】
エポキシ樹脂(a1)は、組成物を均一に溶解させやすいという観点から、その重量平均分子量が、300〜1,000であるのが好ましく、300〜500であるのがより好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量はGPC分析によって測定された値である。
【0018】
また、エポキシ樹脂(a1)は、組成物を均一に溶解させやすく、組成物の粘度を適正な範囲とすることができるという観点から、液状であるのが好ましい。
エポキシ樹脂(a1)の25℃における粘度は、5〜150ポイズであるのが好ましく、5〜100ポイズであるのがより好ましい。
なお、本発明において、粘度の測定方法はJIS K 6862に準じるものとする。
【0019】
エポキシ樹脂(a1)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)全量のうち、エポキシ樹脂(a1)の一部は、予備反応に用いられる。
そして、本発明の組成物において組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a1)の残り(つまり、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)から、予備反応において用いられたエポキシ樹脂(a1)を除いた量。)は、相分離界面の親和性を高めるという観点から、エポキシ樹脂(a2)(つまり、予備反応に用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、エポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部中の1〜68質量部であるのが好ましく、20〜50質量部であるのがより好ましい。
【0021】
エポキシ樹脂(a3)について以下に説明する。
エポキシ樹脂(A)に含まれるエポキシ樹脂(a3)は、エポキシ樹脂(a1)の一部とエポキシ樹脂(a2)の一部または全部と硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂である。
【0022】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、上記と同義である。
なかでも、作業性と硬化物の耐熱性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(a1)と同じでも異なっていてもよく、相分離界面の親和性を高めるという観点から、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、本発明の組成物に含有されるエポキシ樹脂(a1)と同じ種類であるのが好ましい。
【0023】
また、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)は、エポキシ樹脂(a2)に対して均一に溶解させやすいという観点から、その重量平均分子量が、300〜1,000であるのが好ましく、300〜500であるのがより好ましい。
【0024】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a1)の量は、タック性、ドレイプ性を保持するという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、エポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部中、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂(a2)について以下に説明する。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、重量平均分子量10,000〜100,000の、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
【0026】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)が有する分子骨格としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、これらの共重合体が挙げられる。
そして、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)が有する分子骨格は、エポキシ樹脂(a1)と混ざりやすいという観点から、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0027】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、靭性がより高い硬化物になりうるという観点から、その重量平均分子量が、20,000〜80,000であるのが好ましく、30,000〜70,000であるのがより好ましい。
【0028】
また、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、靭性がより高い硬化物となりうるという観点から、室温で固体であるのが好ましい。
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、その軟化点が、靭性をより高くするという観点から130℃以上であるのが好ましい。
【0029】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の一部または全部を用いて予備反応は行われる。
予備反応で、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の一部を用いる場合、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)の量は、靭性改良を阻害しないようにするという観点から、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)全量の65〜95質量%であるのが好ましく、70〜90質量%であるのがより好ましい。
【0031】
予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)の量は、タック性、ドレイプ性を保持するという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0032】
予備反応において使用されるエポキシ樹脂(a2)の量は、硬化物の靭性がより高くなりうるという観点から、予備反応において使用されるエポキシ樹脂(a1)100質量部に対して、50〜150質量部であるのが好ましく、70〜130質量部であるのがより好ましい。
【0033】
硬化剤(C)について以下に説明する。
予備反応において用いられる硬化剤(C)は、エポキシ樹脂と反応しうるものであれば特に制限されない。
例えば、ポリアミン、イミダゾール化合物、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、ポリアミド、ポリオール、ポリメルカプタン、ポリカルボン酸、酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、潜在性硬化剤が挙げられる。
ポリアミン、潜在性硬化剤が好ましい態様として挙げられる。
【0034】
予備反応において用いられる硬化剤(C)としてのポリアミンは、2個以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する化合物であれば特に制限されない。例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン系硬化剤、ジシアンジアミドが挙げられる。なかでも、耐熱性、機械的強度、貯蔵安定性の観点から、芳香族ポリアミン系硬化剤が好ましい。
【0035】
芳香族ポリアミン系硬化剤は、芳香環に2個以上のアミノ基及び/又はイミノ基が結合しているものであれば特に制限されない。例えば、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン(3,3′−DDS)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(4,4′−DDS)のようなジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミンが挙げられる。
なかでも、加熱により硬化することが可能で、硬化物の耐熱性向上という観点から、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン(3,3′−DDS)が好ましい。
【0036】
予備反応において用いられる硬化剤(C)は、靭性がより高くなり、フィレットの強度を高くして、繊維強化プリプレグの自己接着強度を強くするという観点から、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤であるのが好ましい。
【0037】
潜在性硬化剤は、熱等によって硬化剤を生成し、生成した硬化剤がエポキシ樹脂(A)の硬化剤として機能するものであれば特に制限されない。例えば、有機酸ジヒドラジド、ジシアンジアミド、アミンイミド、第三級アミン塩、イミダゾール塩、ルイス酸、ブレンステッド酸、オキサゾリジン化合物、ケチミン化合物が挙げられる。
【0038】
オキサゾリジン化合物は、酸素と窒素を含む飽和5員環の複素環を有する化合物で、湿気(水)の存在下で開環するオキサゾリジン環を有する化合物である。具体的には、例えば、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンおよびそのポリイソシアネート付加物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネートオキサゾリジン、エステルオキサゾリジン等が挙げられる。
【0039】
ケチミン化合物は、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるケチミン結合を有する化合物である。なお、本明細書においてケチミン化合物には、−HC=N結合を有するアルジミンも含まれる。
ケチミン化合物は特に制限されない。例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)とプロピレンジアミンとから得られるもの;メチルイソプロピルケトン(MIPK)および/またはメチル−t−ブチルケトン(MTBK)とジェファーミンEDR148とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKと1,3BACとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとノルボルナンジアミン(NBDA)とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとm−キシリレンジアミン(MXDA)とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとポリアミドアミンとから得られるもの;ジエチルケトンとMXDAとから得られるものが挙げられる。
【0040】
予備反応において用いられる硬化剤(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
予備反応において用いられる硬化剤(C)の量は、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)の一部である。
予備反応において用いられる硬化剤(C)の量は、予備反応において用いられる、エポキシ樹脂(a1)およびエポキシ樹脂(a2)が有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量であるのが好ましく、0.25〜0.35当量にあたる量であるのがより好ましい。
【0042】
予備反応について以下に説明する。
本発明の組成物において、予備反応は、エポキシ樹脂(a1)の一部と、エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と、硬化剤(C)の一部とを反応させることによって行われ、エポキシ樹脂(a3)が生成する。
予備反応は、エポキシ樹脂(a1)の一部とエポキシ樹脂(a2)の一部または全部とを加熱してエポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを相溶および/または分散させる加熱工程と、相溶および/または分散したエポキシ樹脂(a1)およびエポキシ樹脂(a2)の混合物に硬化剤(C)の一部を加えて加熱して反応させ、エポキシ樹脂(a3)を生成させる生成工程とを具備するものが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0043】
まず、加熱工程において、エポキシ樹脂(a1)の一部とエポキシ樹脂(a2)の一部または全部とを加熱して、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを相溶および/または分散させ、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)との混合物とする。
加熱工程の温度は、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)とを十分に相溶および/または分散させることができるという観点から、80〜120℃であるのが好ましい。
加熱は撹拌しながら行うのが好ましい。
【0044】
次に、生成工程において、相溶および/または分散したエポキシ樹脂(a1)およびエポキシ樹脂(a2)の混合物に硬化剤(C)の一部を加えて加熱して反応させ、エポキシ樹脂(a3)を生成させる。
生成工程の温度は、エポキシ樹脂(a1)および/またはエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)との反応性の観点から、130〜170℃であるのが好ましい。
加熱は撹拌しながら行うのが好ましい。
反応時間は、特に制限されず、3〜6時間であるのが好ましい。
【0045】
エポキシ樹脂(a3)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
エポキシ樹脂(a3)の量は、靭性の向上と、タック性、ドレイプ性とを両立させるという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部に対して、4〜40質量部であるのが好ましく、15〜25質量部であるのがより好ましい。
【0047】
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)の一部が予備反応において用いられる場合、エポキシ樹脂(A)は、さらに、エポキシ樹脂(a2)を含有することができる。
【0048】
エポキシ樹脂(a2)は、上記と同義である。
なかでも、エポキシ樹脂(a2)が有する分子骨格は、エポキシ樹脂(a1)にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が使われることが多いという観点から、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0049】
エポキシ樹脂(a2)は、組成物を均一に溶解させやすいという観点から、その重量平均分子量が、20,000〜80,000であるのが好ましく、30,000〜70,000であるのがより好ましい。
【0050】
また、エポキシ樹脂(a2)は、靭性がより高い硬化物となりうるという観点から、室温で固体であるのが好ましい。
エポキシ樹脂(a2)は、その軟化点が、靭性をより高くするという観点から130℃以上であるのが好ましい。
【0051】
エポキシ樹脂(a2)のエポキシ当量は、組成物を加熱硬化させる前にエポキシ樹脂(A)に完全に相溶することがなく、硬化後にエポキシ樹脂(A)に相のなかで分離した島相(分散相)を形成することができ、組成物の加熱硬化時にエポキシ樹脂(A)に容易に溶解することができるという観点から、1,000〜8,000g/eqであるのが好ましく、2,000〜6,000g/eqであるのがより好ましい。エポキシ当量が1,000g/eq以上である場合、組成物を加熱硬化させる前にエポキシ樹脂(A)に完全に相溶することがなく、硬化後にエポキシ樹脂(A)に相のなかで分離した島相(分散相)を形成することができ、エポキシ当量が8,000g/eq以下である場合、組成物の加熱硬化時にエポキシ樹脂(A)に容易に溶解することができる。
【0052】
エポキシ樹脂(a2)は、その平均粒子径が、加熱硬化時にエポキシ樹脂(A)に相溶しやすくなり、組成物の粘度を適正に調節することができ、靭性がより高くなるという観点から、100μm以下であるのが好ましく、5〜100μmであるのがより好ましい。
【0053】
エポキシ樹脂(a2)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明の組成物が含有することができるエポキシ樹脂(a2)は、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)と同じでも、異なるものであってもよく、組成物中における相溶性および/または分散性に優れるという観点から、同じ種類であるのが好ましい。
【0054】
本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a2)から、予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)を除いた量(つまり、本発明の組成物において組成物の成分として含有することができるエポキシ樹脂(a2)の量。)は、靭性により優れ、タック性、ドレイプ性を向上させるという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部に対して、0〜18質量部であるのが好ましく、0〜10質量部であるのがより好ましい。
【0055】
本発明の組成物において、エポキシ樹脂(A)は、耐熱性に優れるという観点から、さらに、3官能以上のエポキシ樹脂(a4)を含むのが好ましい。
エポキシ樹脂(a4)について以下に説明する。
エポキシ樹脂(A)が含有することができるエポキシ樹脂(a4)は、3官能以上のものであれば特に制限されない。
【0056】
例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノクレゾール、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような多官能タイプのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0057】
なかでも、繊維強化プリプレグの製造時に強化繊維に組成物を容易に含浸させることができるという観点から、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノクレゾールが好ましい。
【0058】
エポキシ樹脂(a4)は、組成物を均一に溶解させやすいという観点から、その重量平均分子量が、250〜1,000であるのが好ましく、250〜500であるのがより好ましい。
【0059】
また、エポキシ樹脂(a4)は、組成物を均一に溶解させやすく、組成物の粘度を適正な範囲とすることができるという観点から、液状であるのが好ましい。
エポキシ樹脂(a4)の25℃における粘度は、5〜50ポイズであるのが好ましく、5〜20ポイズであるのがより好ましい。
【0060】
エポキシ樹脂(a4)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
エポキシ樹脂(a4)の量は、フィレット形成性を保持するという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部中の、30〜90質量部であるのが好ましく、50〜70質量部であるのがより好ましい。
【0062】
熱可塑性樹脂(B)について以下に説明する。
本発明の組成物に含有される熱可塑性樹脂(B)は、特に制限されない。例えば、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリールエーテル樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が挙げられる。
【0063】
なかでも、硬化物の靭性がより高くなりうるという観点から、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂が好ましい。
また、エポキシ樹脂(A)との相溶性に優れ、エポキシ樹脂(A)との相溶性に優れ、連続相を形成しやすく、硬化物の靭性がより高くなりうるという観点から、ポリエーテルスルホン樹脂が好ましい。
【0064】
熱可塑性樹脂(B)は、組成物の調製の際にエポキシ樹脂にすばやく均一に溶解させることができ、大きな粒子が溶け残ることを回避できるという観点から、例えば、粉末状、粒子状の微細粒子であるのが好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の平均粒子径は、エポキシ樹脂(A)への溶解が均一となり、共連続相を形成しやすく、靭性がより高くなるという観点から、200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、5〜80μmであるのがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(B)を微細粒子とする方法は特に制限されず、例えば、従来公知のものが挙げられる。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂(B)の平均粒子径は、粒度分布測定装置によって測定されたものである。
【0065】
熱可塑性樹脂(B)は、ポリエーテルスルホン樹脂の粒子および/またはポリエーテルイミド樹脂の粒子であり、前記粒子の平均粒子径が200μm以下であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0066】
また、熱可塑性樹脂(B)は、硬化物の靭性がより高くなりうるという観点から、分子末端に反応性官能基を有するのが好ましい。
反応性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、酸無水物基、メルカプト基、イソシアネート基が挙げられる。
なかでも、エポキシ樹脂(A)との反応性の観点から、ヒドロキシ基が好ましい。
熱可塑性樹脂(B)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
熱可塑性樹脂(B)の量は、その粘度を適正化してフィレットを良好な形状として形成させことができ、タック性、ドレイプ性に優れ、靭性がより高い硬化物となりうるという観点から、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)(エポキシ樹脂(a2)は予備反応において用いられる分と組成物の成分として用いられる分との合計として。)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の量が、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)を除くエポキシ樹脂(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)を含む。)100質量部に対して、20質量部以上である場合、得られる硬化物のモルフォロジーが、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相となりやすくなる。
熱可塑性樹脂(B)の量が、エポキシ樹脂(a3)およびエポキシ樹脂(a2)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以下である場合、タック性、ドレイプ性に優れ、繊維強化プリプレグの作業性に優れる。
また、熱可塑性樹脂(B)の量が60質量部以下の場合、組成物の粘度を低くすることができ、作業性に優れる。
【0068】
本発明の組成物は、硬化剤(C)を含有する。
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、予備反応において用いられる硬化剤(C)と同義である。
なかでも、本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、靭性がより高くなり、フィレットの強度を高くして、繊維強化プリプレグの自己接着強度を強くするという観点から、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤であるのが好ましい。
潜在性硬化剤は、上記と同義である。
硬化剤(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)は、予備反応で用いられる硬化剤(C)と同じでも異なっていてもよく、相溶性を良くするという観点から、本発明の組成物が含有する硬化剤(C)と予備反応で用いられる硬化剤(C)とは、同じ種類であるのが好ましい。
【0069】
本発明の組成物が含有する硬化剤(C)の残り(つまり、本発明の組成物において使用される硬化剤(C)から予備反応において用いられる硬化剤(C)を除いた量。)は、得られる硬化物が面板として要求される強度、耐熱性に優れ、靭性がより高くなるという観点から、エポキシ樹脂(a2)およびエポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)(A)(ここで、エポキシ樹脂(A)は、少なくとも、本発明の組成物において使用されるエポキシ樹脂(a1)と、必要に応じて含むことができるエポキシ樹脂(a4)とを含む。)100質量部に対して、20〜60質量部であるのが好ましく、30〜50質量部であるのがより好ましい。
【0070】
本発明の組成物は、エポキシ樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)と、硬化剤(C)とのほかに、本発明の組成物の効果を損なわない範囲で、添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、三フッ化ホウ素/アミン塩触媒のような硬化触媒、固形ゴム、充填剤、老化防止剤、溶剤、難燃剤、顔料が挙げられる。
【0071】
三フッ化ホウ素/アミン塩触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素/モノエチルアミン、三フッ化ホウ素/ピペラジン塩、三フッ化ホウ素/アニリン塩が挙げられる。
【0072】
固形ゴムは、エポキシ樹脂(A)と相溶しうるものであれば特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴムおよびその水素添加物、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴムが挙げられる。
【0073】
充填剤としては、例えば、カーボンブラッック、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウムが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系が挙げられる。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられる。
【0074】
本発明の組成物は、その製造について特に制限されない。例えば、まず、エポキシ樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを加熱し溶解させて混合物とする混合工程1と、混合物に、硬化剤(C)を加えて混合することによって組成物を得る混合工程2とを具備する製造方法が挙げられる。
【0075】
はじめに、混合工程1において、エポキシ樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを加熱し溶解させて混合物とする。
エポキシ樹脂(A)は、例えば、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)と、必要に応じて含むことができる、エポキシ樹脂(a2)と、エポキシ樹脂(a4)とを予め混合して混合物としておくことができる。また、例えば、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a3)と、必要に応じて含むことができる、エポキシ樹脂(a2)と、エポキシ樹脂(a4)とを、個別に、熱可塑性樹脂(B)に加えて混合することができる。
【0076】
エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶解させる際の温度は、95〜180℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
また、例えば、プラネタリーミキサーのような撹拌装置を用いて、混合物が均一となるまで0.5〜3時間、撹拌しながら混合するのが好ましい。
組成物の反応性の観点から、熱可塑性樹脂(B)がエポキシ樹脂(A)に全て溶解しているのが好ましい。
【0077】
混合工程1の後、混合工程2において、混合物に、硬化剤(C)を加えて混合することによって組成物を得る。
本発明の組成物が添加剤を含有する場合は、添加剤を混合工程2において混合物に加えるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0078】
混合工程2では、はじめに、混合物を、好ましくは60〜100℃に、より好ましくは70〜90℃に冷ましておくのが、組成物の粘度の上昇を抑制しうるという観点から好ましい。
次に、混合物に、硬化剤(C)と、必要に応じて使用することができる添加剤とを加えて混合する。各成分を加える順序は特に制限されない。
混合の際、70〜90℃に加熱して、成分を溶解させて均一なエポキシ樹脂組成物とするのが好ましい態様として挙げられる。
また、例えば、プラネタリーミキサーのような撹拌装置を用いて、混合物が均一となるまで0.5〜3時間、撹拌しながら混合するのが好ましい。
このような製造方法によって、熱可塑性樹脂(B)を確実に溶解させ、かつエポキシ樹脂(a3)をムラなく均一に溶解および/または分散させ、硬化後に特定の形態を形成し靭性を高くし、繊維強化プリプレグの自己接着強度を高くすることができる。
【0079】
本発明の組成物は、繊維強化プリプレグの生産性および自己接着性に優れるという観点から、昇温速度2℃/分における動的粘弾性測定による最低粘度が、10〜150Pa・sであるのが好ましく、20〜150Pa・sであるのがより好ましい。10Pa・s以上である場合、良好なフィレットを形成することができ、自己接着性が向上し、150Pa・s以下である場合、フィレットの形成性を保ちつつ、繊維強化プリプレグの製造時に強化繊維に組成物を容易に含浸させることができる。
なお、本発明において、動的粘弾性測定による最低粘度は、本発明の組成物を試料として、温度25〜200℃までの間で、昇温速度2℃/分、周波数10rad/秒、ひずみ1%の動的粘弾性測定における複素粘性率の最低値をいうものとする。
【0080】
本発明の組成物は、その使用について特に制限されない。
例えば、本発明の組成物を硬化させる際、温度は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、70〜200℃であるのが好ましく、120〜180℃であるのがより好ましい。
また、圧力は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、1.5〜4.0kg/cm2であるのが好ましく、2.5〜3.5kg/cm2であるのがより好ましい。
時間は、1〜8時間であるのが好ましい。
【0081】
本発明の組成物を硬化させる際、本発明の組成物を半硬化させた後、さらに硬化させて硬化物とすることができる。
本発明の組成物を半硬化させる際、温度は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、50〜200℃であるのが好ましく、70〜180℃であるのがより好ましい。
また、圧力は、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、1.5〜4.0kg/cm2であるのが好ましく、2.5〜3.5kg/cm2であるのがより好ましい。
時間は、1〜8時間であるのが好ましい。
半硬化させた後、さらに硬化させる際の条件としては、例えば、上記と同義のものが挙げられる。
【0082】
本発明の組成物は、硬化後、その形態が、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する硬化物となる。
得られる硬化物の形態がエポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相を有する場合、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方がともに連続相を形成している。
また、得られる硬化物において熱可塑性樹脂(B)が連続相となる場合、エポキシ樹脂(A)が島相となる。つまり、このような場合、硬化物のモルフォロジーは逆海島構造となる。
得られる硬化物がエポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相および熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する場合、硬化物中において、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相と、熱可塑性樹脂(B)の連続相とがそれぞれ存在することを意味する。
【0083】
また、硬化後の形態において、エポキシ樹脂(a3)は、エポキシ樹脂(A)中に、相溶および/または分散することができる。
エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に分散している場合、エポキシ樹脂(a3)は、エポキシ樹脂(A)をマトリックス樹脂とする島相となる。
【0084】
エポキシ樹脂(a3)が島相を形成する場合、硬化物の靭性がより高くなるという観点から、島相の平均粒子径は、0.1〜2μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがより好ましい。
【0085】
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、硬化後に、その形態がエポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する。そして、エポキシ樹脂(a3)の粒子がエポキシ樹脂(A)中に分散することができる。なお、エポキシ樹脂(a3)はエポキシ樹脂(A)中に相溶してもよい。
エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に分散および/または相溶していることによって、硬化物の靭性を高くすることができる。この靭性の向上によって、フィレットの強度が高くなり、繊維強化プリプレグの自己接着強度を高くすることができる。
【0086】
本発明の組成物を硬化させた後のASTM D5045−99に準拠して測定される破壊靭性値は、硬化物の靭性がより高く、面板(繊維強化プリプレグ)と他の部材(例えば、ハニカムコア)との自己接着強後のはく離試験においてはく離強度を高くすることができるという観点から、2.0MPa・m1/2以上となるのが好ましく、2.0〜2.5MPa・m1/2となるのがより好ましい。
【0087】
本発明の組成物の用途としては、例えば、繊維強化プリプレグ用マトリックス樹脂が挙げられる。
【0088】
次に、本発明の繊維強化プリプレグについて以下に説明する。
本発明の繊維強化プリプレグは、
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させたものである。
【0089】
本発明の繊維強化プリプレグに使用されるマトリックス用組成物は、本発明の組成物であれば特に制限されない。
【0090】
本発明の繊維強化プリプレグに使用される強化繊維は、特に制限されず、例えば、従来公知のものが挙げられる。なかでも、強度の観点から、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、炭素繊維であるのがより好ましい。
【0091】
アラミド繊維としては、例えば、ケブラーが挙げられる。
繊維は、その形態について特に制限されず、例えば、繊維織布、一方向繊維が挙げられる。
繊維の目付量は、140〜200g/m2であるのが好ましい。
【0092】
市販されている繊維としては、例えば、東レ社製のカーボン繊維T−300、東邦レーヨン社製のカーボン繊維HTAグレードが挙げられる。
【0093】
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を強化繊維と複合させる方法は、特に制限されない。例えば、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を強化繊維に、含浸、塗布させる方法が挙げられる。
【0094】
本発明の繊維強化プリプレグは、その製造について特に制限されない。例えば、強化繊維に繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を含浸させる方法、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を含浸させた強化繊維を複数積層する方法が挙げられる。
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を繊維に含浸させる際、例えば、溶剤を使用するウェット法、無溶剤法であるホットメルト法のいずれかを採用することができる。
ウェット法でプリプレグの製造を行う場合は、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解させ、ワニスを調製してから含浸させる。
ワニス調製時に使用する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールのようなアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン類が挙げられる。
溶剤の使用量は、乾燥時間を短縮しうるという観点から、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の固形分100質量部に対して、100〜200質量部であるのが好ましい。
【0095】
本発明の繊維強化プリプレグにおいて、マトリックス樹脂の含有量が、繊維強化プリプレグの自己接着性、作業性、外観品質、機械的特性に優れるというの観点から、繊維強化プリプレグ中の30〜50質量%であるのが好ましく、35〜45質量%であるのがより好ましい。
【0096】
本発明の繊維強化プリプレグは、その使用方法について特に制限されず、例えば、本発明の繊維強化プリプレグをそのまま硬化させる方法、本発明の繊維強化プリプレグを半硬化させさらに硬化させる方法が挙げられる。
硬化の際の条件は上記と同様である。
【0097】
本発明の繊維強化プリプレグは、その用途について特に制限されない。本発明の繊維強化プリプレグを硬化させることによって、例えば、従来公知の繊維強化複合材料を得ることができる。具体的には、例えば、オートバイフレーム、カウル、フェンダー等の二輪車部品;ドア、ボンネット、テールゲート、サイドフェンダー、側面パネル、フェンダー、エネルギー吸収部材、トランクリッド、ハードップ、サイドミラーカバー、スポイラー、ディフューザー、スキーキャリアー、エンジンシリンダーカバー、エンジンフード、シャシー、エアースポイラー、プロペラシャフト等の自動車部品;先頭車両ノーズ、ルーフ、サイドパネル、ドア、台車カバー、側スカートなどの車輌用外板;荷物棚、座席等の鉄道車輌部品;インテリア、ウイングトラックにおけるウイングのインナーパネル、アウターパネル、ルーフ、フロアー等、自動車や単車に装着するやサイドスカートなどのエアロパーツ;窓枠、荷物棚、座席、フロアパネル、翼、プロペラ、胴体等の航空機部品;ノートパソコン、携帯電話等の筐体用途;X線カセッテ、天板等のメディカル用途;フラットスピーカーパネル、スピーカーコーン等の音響製品用途;ゴルフヘッド、フェースプレート、スノーボード、サーフィンボード、プロテクター等のスポーツ用品用途;板バネ、風車ブレード、エレベーター(籠パネル、ドア)のような一般産業用途が挙げられる。
【0098】
また、本発明の繊維強化プリプレグと他の部材(例えば、ハニカムコア)とを積層させて繊維強化複合材料を作製することができる。本発明の繊維強化プリプレグと他の部材とを積層させて作製することができる繊維強化複合材料としては、例えば、ハニカムサンドイッチパネルが挙げられる。
本発明の繊維強化プリプレグは、本発明の組成物を使用することによって、高い自己接着強度を有し、靭性が高く、強度に優れるフィレットを形成することができ、タック性、ドレイプ性、生産性、作業性に優れる。
また、本発明の繊維強化プリプレグから得られる繊維強化複合材料は、他の部材と接着剤を使用せず接着することができ、繊維強化プリプレグの平滑性に優れ、ポロシティ(表面の凹凸)が少ない優れた外観と表面性を有する。
【0099】
次に、本発明のハニカムサンドイッチパネルについて以下に説明する。
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、
本発明の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるものである。
【0100】
本発明のハニカムサンドイッチパネルに使用される繊維強化プリプレグは、本発明の繊維強化プリプレグであれば特に制限されない。本発明のハニカムサンドイッチパネルに使用される繊維強化プリプレグは、優れた接着性を有するので、接着剤を使用せずにハニカムコアと接着することができ、高い強度を有するフィレットを形成することができる。
【0101】
また、本発明のハニカムサンドイッチパネルに使用されるハニカムコアは、特に制限されない。例えば、アラミドハニカム、アルミハニカム、ペーパーハニカムおよびガラスハニカムからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0102】
ハニカムコアの蜂の巣状の構造体の六角柱の大きさは、特に制限されず、強度、軽量化の観点から、ハニカムコアのセルサイズの長さが1/8〜3/8インチのものが好ましい。
【0103】
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、その製造について特に制限されない。
本発明のハニカムサンドイッチパネルの製造方法の一例について、添付の図面を用いて以下に説明する。
図3は、本発明のハニカムサンドイッチパネルの一例を模式的に示す斜視図である。
図4は、ハニカムサンドイッチパネルをハニカムコアの角柱の側面と平行に切断した断面の一例を模式的に示す断面図である。図4のa部は、従来のプリプレグシート用樹脂組成物で形成した繊維強化プリプレグを接着させたハニカムサンドイッチパネルである。図4のb部は、本発明のハニカムサンドイッチパネルの一例である。
【0104】
図3において、ハニカムサンドイッチパネル1は、繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11とを接着させて得られる。より詳しくは、ハニカムサンドイッチパネル1は、蜂の巣状の構造を有するハニカムコア11の端部12の一方または両方に本発明の組成物で形成した繊維強化プリプレグ10を接合し、両端から圧着しながらオートクレーブ、等で加熱硬化させることによって作製することができる。
【0105】
図4において、従来の組成物を繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物として使用した繊維強化プリプレグを用いる場合、図4のa部に示すとおり、加熱硬化の際に、繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11とを均等に圧着しても、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が全て下面部13’に落ちて上面部13にフィレットが形成されなかったり、部分的に繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11との接着面に隙間が生じる場合がある。
これに対して、本発明の組成物を用いる場合、図4のb部に示すとおり、繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11との接着が完全に行われ、しかも繊維強化プリプレグから繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が流出し過ぎて樹脂成分が繊維強化プリプレグ中から組成物がなくなることなく、繊維強化プリプレグに適量の組成物が存在することができる。
したがって、上部フィレット14は適切な形状を維持しながら硬化を完了することができる。また、下面においても粘度が一度低下したときに表面張力によって下部フィレット14’が形成され繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が適度に保持されて硬化を完了することができる。
【0106】
繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11とを接着させる際の加熱温度は、硬化物の耐熱性の観点から、50〜200℃であるのが好ましく、70〜190℃であるのがより好ましい。
【0107】
繊維強化プリプレグ10とハニカムコア11とを接着させる際の硬化条件は、2〜5℃/分、加圧2.5〜4.0kg/cm2で、150〜185℃まで昇温させた後、150〜185℃で1〜2時間維持し、その後2〜5℃/分で室温まで降下させる方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
このような方法により本発明のハニカムサンドイッチパネルを製造することができる。
【0108】
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、フィレット形成性、フィレットの強度、機械的強度、作業性に優れる。
本発明のハニカムサンドイッチパネルは、例えば、航空機、自動車の構造材料として使用することができる。
【0109】
従来の繊維強化プリプレグは、ハニカムコアと繊維強化プリプレグとを直接接着させる場合、ハニカムコアと繊維強化プリプレグとの接合面に形成されるフィレット(隅肉)の強度が低く、靭性に劣るという問題があった。
これに対して、本発明のハニカムサンドイッチパネルは、原料である繊維強化プリプレグが本発明の組成物をマトリックス樹脂用組成物として使用していることによって、組成物の硬化物は高い靭性を有することができる。この高靭性がフィレットの強度を高くすることに寄与するのである。
これは、本発明の組成物において、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを予備反応させることによって、得られるエポキシ樹脂(a3)はその分子内にエポキシ樹脂(a1)の分子骨格を備えるためエポキシ樹脂(a1)に対して優れた親和性を有することができ、その結果、得られる硬化物の靭性が高くなっているためと推察される。
【実施例】
【0110】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0111】
1.予備反応によるエポキシ樹脂(a3)の調製
下記第1表の予備反応の欄に示す成分を第1表の予備反応の欄に示す量比で使用し、これらの混合物を、撹拌しながら150℃に加熱して4時間反応させ予備反応させることによってエポキシ樹脂(a3)を調製した。予備反応で得られたエポキシ樹脂(a3)を次の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の調製に用いた。
【0112】
2.繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の調製
上記で得られたエポキシ樹脂(a3)と、第1表に示す量(単位は質量部)の、第1表に示す成分(硬化剤(C)および予備反応で使用された成分を除く。)とを混合装置に投入し、130℃に加熱しながら混合して混合物とした。次に、得られた混合物を70℃に冷ました後これに硬化剤(C)を第1表に示す量(単位は質量部)で投入し、70℃に加熱しながら混合して、繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0113】
3.繊維強化プリプレグの作製
得られた各組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、得られた樹脂フィルムを2枚使用し、樹脂フィルム2枚と、シート状に一方向に配列させた炭素繊維[トレカ(登録商標)T−700、東レ(株)製、引張弾性率230GPa、以下同様。]とを、炭素繊維の両面を樹脂フィルム2枚で挟み込むように重ね合わせた。その後、加熱加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付量が196±5g/cm2、マトリックス樹脂の質量分率が40%の一方向プリプレグを得た。
【0114】
4.ハニカムサンドイッチパネルの作製
得られた組成物を用いて、上記と同様にしてプリプレグを2枚作製し、得られたプリプレグの間に、アラミド基材ハニカムコア(SAH−1/8インチ−8.0、厚み12.7mm、昭和飛行機社製)を配置して3.2kgf/cm2の加圧下、70℃から昇温速度2℃/分で180℃まで昇温し、180℃で2時間硬化させて、ハニカムサンドイッチパネルを得た。
【0115】
5.評価
得られた繊維強化プリプレグについて、タック性、ドレイプ性を評価した。結果を第1表に示す。
また、得られた組成物を以下に示す条件で硬化させて硬化物とし、硬化物の破壊靭性値を測定し、硬化後のモルフォロジーを観察した。結果を第1表に示す。
また、得られたハニカムサンドイッチパネルのCDPはく離強度を測定した。結果を第1表に示す。
【0116】
(1)タック性
得られたプリプレグを2枚積層して、約0.5mmの板状とした後、タック(粘着力)の有無を25℃の環境下で指触にて評価した。
タック性の評価基準は、比較例1、2のプリプレグのタックを5とし、良好なものほど数値が高いとした。
【0117】
(2)ドレイプ性
得られた各プリプレグを手で曲げて、ドレイプの有無(プリプレグのしなやかさ)を25℃環境下で指触にて評価した。
ドレイプ性の評価基準は、比較例1、2のプリプレグのドレイプを5とし、良好なものほど数値が高いとした。
【0118】
(3)破壊靭性値(K1C
得られた各組成物で離型紙上に厚み7mmの樹脂板を形成し、これをオートクレーブに入れて70℃から昇温速度2℃/分で180℃まで昇温し、圧力0.32MPa、180℃で2時間硬化させて、厚さ7mmの硬化物を作製した。
得られた硬化物からASTM D−5045−99に準じて、試験サンプルを作製し、室温(25℃)の条件下で破壊靭性値(応力拡大係数、単位:MPa・m1/2)を測定した。
【0119】
(4)硬化後のモルフォロジー
上記の破壊靭性値の測定後の破壊された試験サンプルの断面を、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:M−800形、日立製作所社製。以下同様。)を用いて観察した。
観察の結果、硬化物のモルフォロジーについて、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方が連続相を形成している場合を「共連続」とした。
また、硬化物のモルフォロジーが、熱可塑性樹脂(B)の連続相にエポキシ樹脂(A)の島相(分散相)が分散している逆海島構造を有する場合を「逆海島」とした。
硬化物のモルフォロジーが、エポキシ樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との両方が連続相を形成している部分と、熱可塑性樹脂(B)の連続相にエポキシ樹脂(A)の島相(分散相)が分散している逆海島構造とを有する場合を「逆海島および共連続」とした。
【0120】
また、透過型電子顕微鏡で5,000倍に拡大して撮影した、比較例1の試験サンプルの断面の写真を図1に示す。
透過型電子顕微鏡で5,000倍に拡大して撮影した、実施例1の試験サンプルの断面の写真を図2に示す。
【0121】
(5)CDPはく離強度
得られた各ハニカムサンドイッチパネルを用いて、ASTM D1781に準じ、はく離試験(Climbing Drum Peel 試験)を行った。
【0122】
【表1】

【0123】
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
・エポキシ樹脂(a4):トリグリシジル−p−アミノフェノール、商品名MY−0510、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
・予備反応で用いられるエポキシ樹脂(a1)および組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a1):下記式(1)で表されるビスフェノールFジグリシジルエーテル、商品名jER806、ジャパンエポキシレジン社製
【0124】
【化2】

【0125】
・熱可塑性樹脂(B):ポリエーテルスルホン樹脂(平均粒子径50μm)、商品名スミカエクセルPES5003P、住友化学社製
・予備反応で用いられるエポキシ樹脂(a2)および組成物の成分として含有されるエポキシ樹脂(a2):固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量20,000、平均粒子径15μm、商品名YDF−020N、東都化成社製
・予備反応で用いられる硬化剤(C)および組成物の成分として含有される硬化剤(C):3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、商品名3,3′−DDS、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製
【0126】
第1表に示す結果から明らかなように、組成物がエポキシ樹脂(a3)を含有しない比較例1は、破壊靭性値、CDPはく離強度が低かった。
これに対して、実施例1〜2は、破壊靭性値が比較例1より高く、硬化物の靭性に優れた。
また、実施例1〜2は、CDPはく離強度が比較例1より高く、フィレットの強度が高かった。
これは、実施例1〜2の組成物から得られる硬化物において、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)に対して親和性が高く、エポキシ樹脂(A)中でエポキシ樹脂(a3)が溶解および/または分散しやすくなり、エポキシ樹脂(a3)の粒子径が小さくなっているためと考えられる。
本発明の組成物から得られる硬化物において、エポキシ樹脂(a3)の粒子径が小さく、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)中に溶解および/または分散しやすくなっていることは、添付の図2に示されている。
図2において、暗色部である(B)は熱可塑性樹脂(B)を、灰色部である(A)はエポキシ樹脂(A)を、エポキシ樹脂(A)中にある白い島相である(a3)はエポキシ樹脂(a3)を示す。実施例1の硬化物のモルフォロジーは、エポキシ樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の共連続相と熱可塑性樹脂(B)の逆海島構造とを有し、エポキシ樹脂(A)の連続相のなかにエポキシ樹脂(a3)が分散している。
一方、図1において、暗色部である(B)は熱可塑性樹脂(B)を、灰色部である(A)はエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)中にある白い島相である(a3)はエポキシ樹脂(a3)を示す。比較例1の硬化物のモルフォロジーは、熱可塑性樹脂(B)の連続相とエポキシ樹脂(A)の島相との逆海島構造を有し、エポキシ樹脂(A)中にエポキシ樹脂(a3)の島相が分散している。
図1および図2においてエポキシ樹脂(a3)の大きさを比較すると、図2のエポキシ樹脂(a3)のほうが図1より小さく、より分散していることがわかる。
このように、本発明の組成物は、エポキシ樹脂(a3)がエポキシ樹脂(A)に対して、親和性が高く、エポキシ樹脂(A)中でエポキシ樹脂(a3)が十分に分散および/または相溶していることによって、高い靭性を有する硬化物となり、外部からの応力を効果的に緩和するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、透過型電子顕微鏡で5,000倍に拡大して撮影した、比較例1の試験サンプルの断面の写真である。
【図2】図2は、透過型電子顕微鏡で5,000倍に拡大して撮影した、実施例1の試験サンプルの断面の写真である。
【図3】図3は、本発明のハニカムサンドイッチパネルの一例を模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、ハニカムサンドイッチパネルをハニカムコアの角柱の側面と平行に切断した断面の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0128】
(A) エポキシ樹脂(A)
(B) 熱可塑性樹脂(B)
(a2) エポキシ樹脂(a3)
1 ハニカムサンドイッチパネル
10 繊維強化プリプレグ
11 ハニカムコア
12 端部
13 上面部
13’ 下面部
14 上部フィレット
14’ 下部フィレット
a 従来のハニカムサンドイッチパネル
b 本発明のハニカムサンドイッチパネル
c セルサイズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量1,000以下のエポキシ樹脂(a1)と重量平均分子量10,000〜100,000のエポキシ樹脂(a2)と硬化剤(C)とを使用して、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部と前記硬化剤(C)の一部とを予備反応をさせることによって得られるエポキシ樹脂(a3)と、前記エポキシ樹脂(a1)の残りとを含むエポキシ樹脂(A)と、
熱可塑性樹脂(B)と、
前記硬化剤(C)の残りとを含有し、
硬化後の形態が、前記エポキシ樹脂(A)と前記熱可塑性樹脂(B)との共連続相および/または前記熱可塑性樹脂(B)の連続相を有する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂(A)が、さらに、3官能以上のエポキシ樹脂(a4)を含み、
前記エポキシ樹脂(a4)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の30〜90質量部である請求項1に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記予備反応において用いられる、
前記エポキシ樹脂(a1)の一部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の2〜20質量部であり、
前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、2〜20質量部であり、
前記硬化剤(C)の一部の量が、前記予備反応において用いられる、前記エポキシ樹脂(a1)の一部と前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部とが有するエポキシ基の0.2〜0.4当量にあたる量である請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂(a2)の分子骨格が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型およびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂(a1)の残りの量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部中の1〜68質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂(a2)から前記予備反応において用いられるエポキシ樹脂(a2)を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0〜18質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂(a3)から前記予備反応において用いた、前記硬化剤(C)の一部を除いた量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、4〜40質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂(B)が、分子末端に反応性官能基を有する請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルスルホン樹脂の粒子および/またはポリエーテルイミド樹脂の粒子であり、前記粒子の平均粒子径が200μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂(B)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤(C)が、ジアミノジフェニルスルホンおよび/または潜在性硬化剤である請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
前記硬化剤(C)の量が、前記エポキシ樹脂(a2)および前記エポキシ樹脂(a3)を除くエポキシ樹脂(A)100質量部に対して、20〜60質量部である請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
昇温速度2℃/分における動的粘弾性測定による最低粘度が、10〜150Pa・sである請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
硬化後のASTM D5045−99に準拠して測定される破壊靭性値が、2.0MPa・m1/2以上となる請求項1〜13のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として強化繊維と複合させた繊維強化プリプレグ。
【請求項16】
前記マトリックス樹脂の含有量が、繊維強化プリプレグ中の30〜50質量%である請求項15に記載の繊維強化プリプレグ。
【請求項17】
前記強化繊維が、炭素繊維である請求項15または16に記載の繊維強化プリプレグ。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれかに記載の繊維強化プリプレグとハニカムコアとを積層させ硬化させることによって得られるハニカムサンドイッチパネル。
【請求項19】
前記ハニカムコアが、アラミドハニカム、アルミハニカム、ペーパーハニカムおよびガラスハニカムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項18に記載のハニカムサンドイッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−156486(P2008−156486A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347374(P2006−347374)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】