説明

膜形成用組成物、膜及び電子デバイス

【課題】高耐熱、高機械強度、低誘電率、及び、良好な保存経時安定性を有する膜を形成することができる膜形成用組成物、前記膜形成用組成物を用いて得られる膜、並びに、前記膜を有する電子デバイスを提供すること。
【解決手段】式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含むことを特徴とする膜形成用組成物、前記膜形成用組成物を用いて形成された膜、並びに、前記膜を有する電子デバイス。なお、式(1)中、Aは2〜4価の有機基を表し、Aはアルケニル基又はアルキニル基を表し、Arは(2+a1)価のアリール基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、a1は1〜4の整数を表し、a2は2〜4の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成用組成物、前記膜形成用組成物を用いて得られる膜、及び、前記膜を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
【0003】
一般に低誘電率を示す化合物として飽和炭化水素で構成されるポリマーが挙げられる。これらのポリマーは含ヘテロ原子ユニットや芳香族炭化水素ユニットで構成されるポリマーと比べてモル分極が小さくなるため、より低い誘電率を示す。しかし例えばポリエチレン等のフレキシビリティーの高い炭化水素は耐熱性が不十分であり、電子デバイス用途に利用することはできない。
【0004】
それに対してリジッドなカゴ構造の飽和炭化水素であるアダマンタンやジアマンタンを分子内に導入したポリマーが開示されており、低い誘電率を有することが開示されている(特許文献1)。これらの材料のたいていは、低い誘電率を目指すために膜中に空孔を導入するように設計されている。そのため、耐熱性や機械強度の減少あるいはその空孔に水が吸着してしまうなどの問題があるものが知られており、これらの問題が解決すべき課題となっていた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−292878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高耐熱、高機械強度、低誘電率、及び、良好な保存経時安定性を有する膜を形成することができる膜形成用組成物、前記膜形成用組成物を用いて得られる膜、並びに、前記膜を有する電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記課題が下記の<1>、<9>及び<11>の構成により解決されることを見出した。好ましい実施態様である<2>〜<8>及び<10>とともに以下に示す。
<1> 下記式(1)で示される化合物、及び/又は、下記式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含むことを特徴とする膜形成用組成物、
【0008】
【化1】

(式(1)中、Aは2〜4価の有機基を表し、Aはアルケニル基又はアルキニル基を表し、Arは(2+a1)価のアリール基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、a1は1〜4の整数を表し、a2は2〜4の整数を表す。)
<2> 絶縁膜形成用である上記<1>に記載の膜形成用組成物、
<3> カゴ型構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体を含む上記<1>又は<2>に記載の膜形成用組成物、
<4> カゴ型構造を有する重合体を含む上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の膜形成用組成物、
<5> 前記カゴ型構造を有する重合体が、カゴ型構造を有するモノマーをラジカル開始剤存在下又は遷移金属触媒存在下で重合して得られたものである上記<4>に記載の膜形成用組成物、
<6> 前記カゴ型構造を有するモノマーが、重合可能な炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を有する上記<5>に記載の膜形成用組成物、
<7> 前記カゴ型構造が、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン及びテトラマンタンよりなる群から選択される構造である上記<3>〜<6>のいずれか1つに記載の膜形成用組成物、
<8> 前記カゴ型構造を有するモノマーが、下記式(2)〜(7)で表されるモノマーよりなる群から選択されるモノマーである上記<5>又は<6>に記載の膜形成用組成物、
【0009】
【化2】

(式(2)〜(7)中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はシリル基を表し、m、mは1〜16の整数を表し、n、nは0〜15の整数を表し、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、n、n、n、nは0〜14の整数を表し、m、mは1〜20の整数を表し、n、nは0〜19の整数を表す。)
<9> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて得られる膜、
<10> 絶縁膜である上記<9>に記載の膜、
<11> 上記<9>又は<10>に記載の膜を有する電子デバイス。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高耐熱、高機械強度、低誘電率、及び、良好な保存経時安定性を有する膜を形成することができる膜形成用組成物、前記膜形成用組成物を用いて得られる膜、並びに、前記膜を有する電子デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の膜形成用組成物は、下記式(1)で示される化合物、及び/又は、下記式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含むことを特徴とする。
本発明の膜形成用組成物は、絶縁膜形成用組成物として好適に用いることができる。
【0012】
【化3】

(式(1)中、Aは2〜4価の有機基を表し、Aはアルケニル基又はアルキニル基を表し、Arは(2+a1)価のアリール基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、a1は1〜4の整数を表し、a2は2〜4の整数を表す。)
【0013】
(式(1)で示される化合物)
本発明の膜形成用組成物は、式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含む。
式(1)で示される化合物は、熱により分子内のアミド結合とCOORとが反応してイミド環を形成して高耐熱性となるので、膜を形成した後、加熱することでさらに膜の耐熱性を向上させることができる。
また、本発明においては「式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体」を総称して、「化合物(1)」ともいう。
【0014】
前記式(1)におけるAは、2〜4価の有機基である。
式(1)におけるAは、本発明のより優れた効果を得るため、芳香環及び/又は脂肪族環を有する基であることが好ましく、芳香環若しくは脂肪族環から任意の位置の水素原子を2〜4個除いた基、又は、芳香環、脂肪族環、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基及びエーテル結合よりなる群から選ばれた2以上の構造を連結した構造から任意の位置の水素原子を2〜4個除いた基であることがより好ましい。なお、前記芳香環及び前記脂肪族環には、縮合芳香環、縮合脂肪族環、及び、芳香環と脂肪族環との縮合環も含まれる。また、前記芳香環又は前記脂肪族環は、6員環であることが好ましい。上記環構造を有することにより、高耐熱性であるという観点で好ましい。
また、Aを構成する元素は、炭素及び水素であるか、又は、炭素と、水素と、酸素、窒素、硫黄及びフッ素よりなる群から選ばれた1以上の元素であることが好ましく、炭素及び水素であるか、又は、炭素、水素及び酸素であることがより好ましい。Aが炭素及び水素、又は、炭素、水素及び酸素より構成された基であると、他の元素と比較して初期k値の上昇を伴いにくいという観点で好ましい。
【0015】
下記にAの具体例を示す。下記具体例において、式(1)におけるアミド結合部分の置換位置については、任意の位置であればよく、Aは、下記具体例から任意の位置の水素原子を2〜4個除いた基であることが好ましい。
【0016】
【化4】

【0017】
これらの中でも、Aとしては、下記具体例から任意の位置の水素原子を2〜4個除いた基であることがより好ましい。
【0018】
【化5】

【0019】
前記式(1)におけるAは、アルケニル基又はアルキニル基を表し、ビニル基又はエチニル基であることが好ましい。
前記式(1)におけるa1及び/又はa2が2以上の整数である場合、複数個存在するAは、それぞれ独立に、アルケニル基又はアルキニル基を選択することができる。
また、式(1)で示される化合物におけるA由来の炭素−炭素不飽和結合は、その全てが、炭素−炭素二重結合、又は、炭素−炭素三重結合のどちらかであることが好ましく、その全てが、ビニル基、又は、エチニル基のどちらかであることがより好ましい。
【0020】
前記式(1)におけるArは、(2+a1)価のアリール基を表す。
また、前記式(1)において、a2が2以上の整数である場合、複数個存在するArは、同一分子中の他のArと異なる基であっても、同一の基であってもよい。
Arは、芳香環から(2+a1)個の水素原子を除いた基であることが好ましく、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン及びアントラセンよりなる群から選ばれた芳香環から(2+a1)個の水素原子を除いた基であることがより好ましく、ベンゼン、ビフェニル及びナフタレンよりなる群から選ばれた芳香環から(2+a1)個の水素原子を除いた基であることがさらに好ましく、ベンゼンから(2+a1)個の水素原子を除いた基であることが特に好ましい。
【0021】
前記式(1)におけるRは、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数5〜30のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数8〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8〜20のアルキル基であることがさらに好ましい。また、Rにおけるアルキル基は、直鎖であっても、分岐を有していてもよい。
また、前記式(1)において、a2が2以上の整数である場合、複数個存在するRは、同一分子中の他のRと異なる基であっても、同一の基であってもよい。
【0022】
前記式(1)におけるa1は、1〜4の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
前記式(1)におけるa2は、2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましい。
【0023】
式(1)で示される化合物の分子量は、300以上であることが好ましい。300以上であると、揮発性が低いため膜中の濃度が低下せず、狙いの機能が十分発現する。
また、式(1)で示される化合物の分子量は、2,000以下であることが好ましい。
【0024】
以下に、本発明に用いることができる式(1)で示される化合物の好ましい具体例(C−1〜C−162)を記載するが、本発明はこれらに限定はされない。
また、下記具体例においては、Rが水素原子である例のみを記載しているが、Rが炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキル基としたものも好ましく例示できる。
【0025】
【化6】

【0026】
【化7】

【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
【化11】

【0031】
本発明の膜形成用組成物における式(1)で示される化合物の添加量は、膜形成用組成物の固形分に対して、0.1〜80重量%であることが好ましく、1〜70重量%であることがより好ましく、5〜50重量%であることが特に好ましい。ここで固形分とは、この組成物を用いて得られる膜を構成する全成分に相当する。
また、本発明の膜形成用組成物における式(1)で示される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0032】
(式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体)
本発明の膜形成用組成物は、式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含む。
式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体は、熱により分子内のアミド結合とCOORとが反応してイミド環を形成して高耐熱性となるので、膜を形成した後、加熱することでさらに膜の耐熱性を向上させることができる。
式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体は、式(1)で示される化合物のみを重合した重合体であることが好ましい。
前記重合体に用いる式(1)で示される化合物における好ましい化合物については、前述した式(1)で示される化合物における好ましい化合物と同様である。
前記重合体に用いる式(1)で示される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体の製造方法としては、特に制限はないが、重合開始剤存在下で式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合する工程を含む方法であることが好ましく、ラジカル開始剤存在下又は遷移金属触媒存在下で式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合する工程を含む方法であることがより好ましい。
【0034】
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物又は有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類、パーブチルH−69等のハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルD等のジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類、パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート等が好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては、和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70等のアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111等のアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061等の環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057等のアゾアミジン化合物類等が好ましく用いられる。
【0035】
重合開始剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、式(1)で示される化合物及び他の重合性化合物の合計モル数1モルに対して、0.001〜2モルであることが好ましく、0.01〜1モルであることがより好ましく、0.05〜0.5モルであることが特に好ましい。
【0036】
モノマーの重合反応は、遷移金属触媒の存在下で行うことも好ましい。
遷移金属触媒としては、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))等のPd系触媒、Ziegler−Natta触媒、ニッケルアセチルアセトネート等のNi系触媒、WCl等のW系触媒、MoCl等のMo系触媒、TaCl等のTa系触媒、NbCl等のNb系触媒、Rh系触媒、Pt系触媒等が好ましく挙げられる。
【0037】
遷移金属触媒は1種のみ、又は、2種以上を混合して用いてもよい。
遷移金属触媒の使用量は、式(1)で示される化合物及び他の重合性化合物の合計モル数1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0038】
(カゴ型構造を有する化合物、カゴ型構造を有する重合体)
本発明の膜形成用組成物は、カゴ型構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体を含有することが好ましい。
本発明における「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造を指す。
例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
【0039】
前記カゴ型構造は、飽和、不飽和結合のいずれを含んでいてもよく、また、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含んでもよいが、炭化水素からなるカゴ型構造であることが好ましく、低誘電率の見地から飽和炭化水素からなるカゴ型構造であることがより好ましい。
【0040】
本発明におけるカゴ型構造は、アダマンタン(adamantane)構造、ビアダマンタン(biadamantane)構造、ジアマンタン(diamantane)構造、ビ(ジアマンタン)(bi(diamantane))構造、トリアマンタン(triamantane)構造、テトラマンタン(tetramantane)構造又はドデカヘドラン(dodecahedrane)構造であることが好ましく、アダマンタン構造、ビアダマンタン構造、ジアマンタン構造、トリアマンタン構造又はテトラマンタン構造であることがより好ましく、アダマンタン構造、ビアダマンタン構造又はジアマンタン構造であることがさらに好ましく、低誘電率である点で、ビアダマンタン構造又はジアマンタン構造であることが特に好ましい。
【0041】
以下に前記構造を示す。なお、ドデカヘドラン構造は、正十二面体の20個の頂点がそれぞれ炭素原子となっている正十二面体炭化水素構造である。また、ビアダマンタン構造における2つのアダマンタン構造の連結部分は、任意の位置であればよいが、橋頭位同士で連結していることが好ましい。ビ(ジアマンタン)構造も同様に、2つのジアマンタン構造の連結部分は、任意の位置であればよいが、橋頭位同士で連結していることが好ましい。
【0042】
【化12】

【0043】
前記カゴ型構造は、1つ以上の置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル等)、炭素数1〜10のカルバモイル基(N,N−ジエチルカルバモイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が例示できる。
【0044】
前記カゴ型構造は、2〜4価の基であることが好ましい。このとき、カゴ型構造に結合する基は、1価以上の置換基でも2価以上の連結基でもよい。カゴ型構造は、より好ましくは2又は3価の基であり、特に好ましくは2価の基である。
【0045】
本発明の膜形成用組成物は、カゴ型構造を有する重合体を含有することがより好ましく、カゴ型構造を有するモノマーの重合体であることがさらに好ましい。
ここでモノマーとは、互いに重合して2量体以上の重合体になるものを指す。この重合体は、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
【0046】
モノマーの重合反応は、モノマーに置換した重合性基によって起こる。ここで重合性基とは、モノマーを重合せしめる反応性の置換基を指す。該重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、又は、遷移金属触媒重合等が挙げられる。
【0047】
モノマーの重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤存在下で重合することができる。
【0048】
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物又は有機アゾ系化合物が好ましく用いられるが、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物及び有機アゾ系化合物としては、前述したものを好ましく用いることができる。
【0049】
重合開始剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、モノマー1モルに対して、0.001〜2モルであることが好ましく、0.01〜1モルであることがより好ましく、0.05〜0.5モルであることが特に好ましい。
【0050】
モノマーの重合反応は、遷移金属触媒の存在下で行うことも好ましい。例えば、重合可能な炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有するモノマーを、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh)、酢酸パラジウム(Pd(OAc))等のPd系触媒、Ziegler−Natta触媒、ニッケルアセチルアセトネート等のNi系触媒、WCl等のW系触媒、MoCl等のMo系触媒、TaCl等のTa系触媒、NbCl等のNb系触媒、Rh系触媒、Pt系触媒等を用いて重合することが好ましい。
【0051】
遷移金属触媒は1種のみ、又は、2種以上を混合して用いてもよい。
遷移金属触媒の使用量は、モノマー1モルに対して、好ましくは0.001〜2モル、より好ましくは0.01〜1モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルである。
【0052】
前記カゴ型構造を有する重合体の製造方法としては、特に制限はないが、重合開始剤存在下でカゴ型構造を有するモノマーを用いて重合する工程を含む方法であることが好ましく、ラジカル開始剤存在下又は遷移金属触媒存在下でカゴ型構造を有するモノマーを用いて重合する工程を含む方法であることがより好ましい。
【0053】
本発明におけるカゴ型構造は、ポリマー中にペンダント基として置換していてよく、ポリマー主鎖の一部となっていてもよいが、ポリマー主鎖の一部となっている形態がより好ましい。
ここで、ポリマー主鎖の一部になっている形態とは、本ポリマーからかご化合物を除去するとポリマー鎖が切断されることを意味する。この形態においては、カゴ型構造は直接単結合するかまたは適当な2価の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。これらの連結基は置換基で置換されていてもよく、例えば、前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−又はこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、低誘電率である見地から−C(R11)(R12)−、−CH=CH−である。
【0054】
カゴ型構造を有する重合体の重量平均分子量は、1,000〜500,000が好ましく、5,000〜200,000がより好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。
また、カゴ型構造を有する重合体は、分子量分布を有する樹脂組成物として、本発明の膜形成用組成物に含まれていてもよい。
カゴ型構造を有する化合物の分子量は、150〜3,000が好ましく、200〜2,000がより好ましく、220〜1,000が特に好ましい。
【0055】
本発明に用いることができるカゴ型構造を有する重合体は、重合可能な炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有するモノマーの重合体であることが好ましく、下記式(2)〜(7)で表される化合物の重合体であることがより好ましい。
【0056】
【化13】

(式(2)〜(7)中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基等を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はシリル基を表し、m、mは1〜16の整数を表し、n、nは0〜15の整数を表し、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、n、n、n、nは0〜14の整数を表し、m、mは1〜20の整数を表し、n、nは0〜19の整数を表す。)
【0057】
式(2)〜(7)中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル、炭素数1〜20のカルバモイル基等を表す。このうち、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは水素原子である。
式(2)〜(7)中、Y〜Yはそれぞれ独立に、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、特に好ましくはアルキル基(メチル基等)である。
〜X、Y〜Yは、さらに別の置換基で置換されていてもよい。
【0058】
式(2)又は式(5)中、m、mはそれぞれ独立に1〜16の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(2)又は式(5)中、n、nはそれぞれ独立に0〜15の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(3)又は式(6)中、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(3)又は式(6)中、n、n、n、nはそれぞれ独立に0〜14の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
式(4)又は式(7)中、m、mはそれぞれ独立に1〜20の整数を表し、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、特に好ましくは2である。
式(4)又は式(7)中、n、nはそれぞれ独立に0〜19の整数を表し、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
【0059】
本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマーは、前記式(2)、式(3)、式(5)又は式(6)で表される化合物であることが好ましく、前記式(2)又は式(3)で表される化合物であることがより好ましく、前記式(3)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0060】
本発明に用いることができるカゴ型構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体は、2つ以上を併用してもよく、また、本発明に用いることができるカゴ型構造を有するモノマーを2種以上共重合してもよい。
【0061】
カゴ構造を有する化合物、及び、カゴ型構造を有する重合体は、有機溶剤へ十分な溶解性を有することが好ましい。カゴ構造を有する化合物の溶解度は、25℃でシクロヘキサノン又はアニソールに対して、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが特に好ましい。
【0062】
本発明に用いることができるカゴ型構造を有する化合物、及び、カゴ型構造を有する重合体としては、例えば、特開平11−322929号公報、特開2003−12802号公報、特開2004−18593号公報記載のポリベンゾオキサゾール、特開2001−2899号公報に記載のキノリン樹脂、特表2003−530464号公報、特表2004−535497号公報、特表2004−504424号公報、特表2004−504455号公報、特表2005−501131号公報、特表2005−516382号公報、特表2005−514479号公報、特表2005−522528号公報、特開2000−100808号公報、米国特許第6509415号明細書に記載のポリアリール樹脂、特開平11−214382号公報、特開2001−332542号公報、特開2003−252982号公報、特開2003−292878号公報、特開2004−2787号公報、特開2004−67877号公報、特開2004−59444号公報に記載のポリアダマンタン、特開2003−252992号公報、特開2004−26850号公報に記載のポリイミド等が挙げられる。
【0063】
以下に、本発明で用いることができるカゴ型構造を有するモノマーの具体例(M−1〜M−55)を記載するが、本発明はこれらに限定はされない。なお、下記具体例中のEtはエチル基を表す。
【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
【化16】

【0067】
【化17】

【0068】
また、本発明で用いることができるカゴ型構造を有するモノマーとして、前記具体例における−C≡C−を、−CH=CH−に変更したものも例示できる。
【0069】
重合反応で使用する溶媒は、原料モノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成する膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用しても良い。例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、アルコールアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエート等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤などが利用できる。
これらの中でより好ましい溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アニソール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、より好ましくはテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、特に好ましくはγ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応液中のモノマーの濃度は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。
【0070】
本発明における重合反応の最適な条件は、重合開始剤、モノマー、溶媒の種類、濃度等によって異なるが、好ましくは内温0℃〜200℃、より好ましくは50℃〜170℃、特に好ましくは100℃〜150℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に好ましくは3〜10時間の範囲である。
また、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合して得られるポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲は1,000〜500,000、より好ましくは5,000〜300,000、特に好ましくは10,000〜200,000である。
【0071】
また、カゴ構造を有する化合物は、例えば市販のジアマンタンを原料として、臭化アルミニウム触媒存在下又は非存在下で臭素と反応させて臭素原子を所望の位置に導入、続けて臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等のルイス酸の存在下で臭化ビニルとフリーデルクラフツ反応を行い、2,2−ジブロモエチル基を導入、続けて強塩基で脱HBr化してエチニル基に変換することで合成することができる。具体的には、Macromolecules., 1991年 24巻 5266〜5268頁、1995年 28巻 5554〜5560頁、Journal of Organic Chemistry., 39, 2995-3003 (1974)等に記載された方法に準じて合成することができる。
また、末端アセチレン基の水素原子をブチルリチウム等でアニオン化して、これにハロゲン化アルキルやハロゲン化シリルを反応させることによって、アルキル基やシリル基を導入することができる。
【0072】
カゴ構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。また、カゴ構造を有する化合物及びカゴ型構造を有する重合体を併用してもよい。
また、本発明の膜形成用組成物は、式(1)で示される化合物、及び、カゴ型構造を有する重合体を含むことが好ましい。
本発明の膜形成用組成物がカゴ構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体を含む場合、本発明の膜形成用組成物中における式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体の総含有量は、式(1)で示される化合物、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体、カゴ構造を有する化合物、及び、カゴ型構造を有する重合体の総重量に対して、5〜80重量%であることが好ましく、5〜60重量%であることがより好ましく、10〜60重量%であることがさらに好ましい。
【0073】
本発明の膜形成用組成物は、上記の成分以外にも、必要に応じて、後述するような公知の添加剤を含有していてもよい。
【0074】
本発明の膜形成用組成物には、不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成用組成物の金属濃度は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は、好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。
また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。
本発明の膜形成用組成物の金属濃度は、本発明の膜形成用組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。
X線源としてW(タングステン)線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010atom・cm−2以下が好ましく、50×1010atom・cm−2以下がより好ましく、10×1010atom・cm−2以下が特に好ましい。
また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10,000×1010atom・cm−2以下が好ましく、1,000×1010atom・cm−2以下がより好ましく、400×1010atom・cm−2以下が特に好ましい。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010atom・cm−2以下が好ましく、50×1010atom・cm−2以下がより好ましく、10×1010atom・cm−2以下が特に好ましい。
【0075】
本発明の膜形成用組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒としては特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール,1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶媒、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい有機溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましい有機溶媒は1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
【0076】
本発明の膜形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは2〜15重量%であり、特に好ましくは3〜10重量%である。
ここで固形分とは、この組成物を用いて得られる膜を構成する全成分に相当する。
本発明で得られるカゴ型構造を有する重合体は有機溶媒へ十分な溶解性を有することが好ましい。カゴ型構造を有する重合体の溶解度は、25℃でシクロヘキサノン又はアニソールに対し、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上の溶解度である。
【0077】
さらに、本発明の膜形成用組成物には、得られる絶縁膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
【0078】
本発明に用いることができるコロイド状シリカとしては、いかなるコロイド状シリカを使用してもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒若しくは水に分散した分散液であり、好ましくは平均粒径5〜30nm、より好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40重量%のものである。
【0079】
本発明に用いることができる界面活性剤としては、いかなる界面活性剤を使用してもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明に用いることができる界面活性剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、シリコーン系界面活性剤が特に好ましい。
【0080】
本発明に用いることができる界面活性剤の添加量は、膜形成塗布液の全量に対して、0.01重量%以上1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0081】
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に用いることができるシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシド及びジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることがさらに好ましい。
【0082】
【化18】

【0083】
上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、m、nはそれぞれ独立に2〜100の整数である。また、Rが複数存在する場合、それぞれ同じあっても異なっていてもよい。
【0084】
本発明に用いることができるシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−306、BYK−307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)等を挙げることができる。
【0085】
本発明に用いることができるノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等を挙げることができる。
【0086】
本発明に用いることができる含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0087】
本発明に用いることができるアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、アクリル酸系共重合体やメタクリル酸系共重合体等が挙げられる。
【0088】
本発明に用いることができるシランカップリング剤としては、いかなるシランカップリング剤を使用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明に用いることができるシランカップリング剤は、一種類単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0089】
本発明に用いることができる密着促進剤としては、いかなる密着促進剤を使用してもよい。
密着促進剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物等を挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。
密着促進剤の使用量は、全固形分100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、特に0.05〜5重量部であることがより好ましい。
【0090】
本発明の膜形成用組成物には、膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して、膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。
空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては、特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、本発明重合体との相溶性を同時に満たすことが必要である。
また、この空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。
分子量としては、好ましくは200〜50,000、より好ましくは300〜10,000、特に好ましくは400〜5,000である。
添加量は、膜を形成する重合体に対して、好ましくは0.5〜75重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%である。
また、空孔形成因子として、重合体の中に分解性基を含んでいてもよく、その分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分解性基の含有率は、膜を形成する重合体に対して、好ましくは0.5〜75モル%、より好ましくは0.5〜30モル%、特に好ましくは1〜20モル%である。
【0091】
(膜)
本発明の膜は、本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜であり、絶縁膜として好適に用いることができる。
また、本発明の膜の製造方法は、特に制限はないが、本発明の膜形成用組成物を調製する工程、本発明の膜形成用組成物を膜状に塗布する工程、及び、塗布した膜を加熱する工程を含むことが好ましい。
【0092】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン(株)製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製造(株)製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業(株)製)等が好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1,300rpm程度の回転速度が好ましい。
また、組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン(株)製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製造(株)製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業(株)製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン(株)製)等が好ましく使用できる。
【0093】
本発明の膜形成用組成物を使用して膜を形成する際、塗布溶剤を使用することが好ましい。
本発明に用いることができる塗布溶剤は、特に限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール、1−メトキシー2−プロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
より好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、プロパノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンであり、特に好ましい塗布溶剤は、1−メトキシー2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、t−ブチルベンゼン、アニソールである。
【0094】
本発明の膜形成用組成物は、基板上に塗布した後に加熱処理することによって硬化させることが特に好ましい。例えば、膜形成用組成物により形成した膜に残存する炭素三重結合の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明の膜を形成する際においては、塗布した後に加熱処理することにより、式(1)で示される化合物、及び/又は、式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体は、熱により分子内のアミド結合とCOORとが反応してイミド環を形成して高耐熱性となる。本発明の膜におけるイミド環の形成量(割合)は、式(1)で示される化合物由来の構造のうち、50〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましく、80〜100%であることがさらに好ましい。
【0095】
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することで重合体中に残存する炭素三重結合の重合反応を起こして硬化させてもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは、0〜50keVが好ましく、0〜30keVがより好ましく、0〜20keVが特に好ましい。電子線の総ドーズ量は、好ましくは0〜5μC/cm2、より好ましくは0〜2μC/cm2、特に好ましくは0〜1μC/cm2である。電子線を照射する際の基板温度は、0〜450℃が好ましく、0〜400℃がより好ましく、0〜350℃が特に好ましい。圧力は、好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2,000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、250〜400℃がより好ましく、250〜350℃が特に好ましい。重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気は、Ar、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
【0096】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、絶縁膜として好適に使用することができ、半導体用層間絶縁膜としてより好適に使用することができる。すなわち、本発明の膜形成用組成物を使用して得られる絶縁膜は、電子デバイスに好適に使用できる。
例えば、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があってもよく、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMP(化学的機械的研磨)での剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層等があってもよく、更には層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けてもよい。
【0097】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウエットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、あるいは窒素、水素、ヘリウム等のガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジスト等を除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
【0098】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMPをすることができる。CMPスラリー(薬液)としては、市販のスラリー(例えば、(株)フジミインコーポレーテッド製、ロデールニッタ(株)製、JSR(株)製、日立化成工業(株)製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製、(株)荏原製作所製等)を適宜使用することができる。さらにCMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
【0099】
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することができる。例えばLSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することができる。
さらに、別の用途として本発明の膜に電子ドナー又はアクセプターをドープすることによって導電性を付与し、導電性膜として使用することもできる。
【0100】
また、本発明の絶縁膜におけるヤング率の測定方法としては、MTS社ナノインデンターSA2を使用して測定することが好ましい。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
【0102】
<合成例1:化合物(a)の合成>
【0103】
【化19】

【0104】
窒素気流下、1,4−ジアミノベンゼン0.3重量部、N−メチルピロリドン(NMP)22重量部を反応容器に入れ、均一になるまで撹拌した。その容器に4−エチニルフタル酸無水物1.0重量部をNMP8.0重量部に溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。反応後、反応液を蒸留水に滴下した。析出成分をろ取することにより、化合物(a)を1.1重量部(収率:87%)得た。
1H-NMR(DMSO) δ = 13.2(br, 2H), 10.35(s, 2H), 7.56-7.89(m, 10H), 4.12-4.88(m, 2H).
【0105】
<合成例2:化合物(b)の合成>
【0106】
【化20】

【0107】
窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル5.2重量部、N−メチルピロリドン(NMP)67重量部を反応容器に入れ、均一になるまで撹拌した。その容器に4−エチニルフタル酸無水物10.0重量部をNMP50.0重量部に溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した。反応後、反応液を蒸留水に滴下した。析出成分をろ取することにより、化合物(b)を10.2重量部(収率:87%)得た。
1H-NMR(DMSO) δ = 13.2(br, 2H), 10.39(s, 2H), 7.57-7.90(m, 10H), 6.99(d, 4H), 4.04-4.83(m, 2H).
【0108】
<合成例3:化合物(c)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを1,3−ジアミノベンゼンに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(c)を合成した。
【0109】
【化21】

【0110】
<合成例4:化合物(d)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを1,5−ジアミノナフタレンに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(d)を合成した。
【0111】
【化22】

【0112】
<合成例5:化合物(e)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを3,4’−ジアミノジフェニルエーテルに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(e)を合成した。
【0113】
【化23】

【0114】
<合成例6:化合物(f)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(f)を合成した。
【0115】
【化24】

【0116】
<合成例7:化合物(g)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(g)を合成した。
【0117】
【化25】

【0118】
<合成例8:化合物(h)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(h)を合成した。
【0119】
【化26】

【0120】
<合成例9:化合物(i)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルに代えた以外は、前記合成例2と同様な手法で、下記化合物(i)を合成した。
【0121】
【化27】

【0122】
前記の合成法により生成する化合物は、単一化合物ではなくエチニル基の置換位置が異なる三種類の異性体の混合物である。収量についても三種類の異性体をすべて含んだ値を示している。以下に、化合物(a)の場合の異性体を示す。
【0123】
【化28】

【0124】
<合成例10:化合物(j)の合成>
【0125】
【化29】

【0126】
化合物(a)0.2重量部とN−メチルピロリドン(NMP)3重量部を反応容器に入れ、均一になるまで撹拌した。その容器に、トリエチルアミン0.18重量部添加し、50℃で30分撹拌した。その後、1−ヨードデカン0.95重量部添加し、50℃で3時間撹拌した。反応後、反応液を蒸留水に滴下した。析出成分をろ取し、n−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(j)を0.1重量部(収率:31%)得た。
1H-NMR(DMSO) δ = 10.42-10.66(m, 2H), 7.61-7.99(m, 10H), 4.43-4.53(m, 2H), 4.12 (m, 4H), 0.83-1.50(m, 38H).
【0127】
<合成例11:化合物(k)の合成>
【0128】
【化30】

【0129】
化合物(d)0.2重量部とN−メチルピロリドン(NMP)3重量部を反応容器に入れ、均一になるまで撹拌した。その容器に、トリエチルアミン0.16重量部添加し、50℃で30分撹拌した。その後、1−ヨードデカン0.86重量部添加し、50℃で3時間撹拌した。反応後、反応液を蒸留水に滴下した。析出成分をろ取し、n−ヘキサンで洗浄することにより、化合物(k)を0.13重量部(収率:42%)得た。
1H-NMR(DMSO) δ = 10.51(s, 2H), 7.56-8.10(m, 12H), 4.44-4.55(m, 2H), 4.19 (m, 4H), 0.82-1.58(m, 38H).
【0130】
<合成例12:重合体(L)の合成>
【0131】
【化31】

【0132】
化合物(b)10重量部と90重量部のt−ブチルベンゼンとを反応容器内に入れ、窒素気流下で撹拌しながら内温120℃に加熱した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂(株)製)2.2重量部をジフェニルエーテル1.9重量部に溶解した溶液を、反応液の内温を120℃〜130℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下し、そのまま一時間加熱撹拌した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール314重量部に添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をテトラヒドロフラン(THF)35.6重量部に溶解して、メタノール316重量部へ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約5.0×10の重合体(L)を3.1重量部得た。
【0133】
なお、上記で示した重合体(L)の構造は、一例に過ぎず、重合体のすべてがこの構造でるわけではない。
【0134】
(実施例1)
J. Polym. Sci. PART A Polym. Chem., vol.30, 1747頁(1992)に記載の合成法に従って、1,3,5−トリエチニルアダマンタンを合成した。
次に、1,3,5−トリエチニルアダマンタン10重量部と56重量部のt−ブチルベンゼンとを反応容器内に入れ、窒素気流下で撹拌しながら内温120℃に加熱し、1,3,5−トリエチニルアダマンタンを完全に溶解した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂(株)製)2.2重量部をジフェニルエーテル1.9重量部に溶解した溶液を、反応液の内温を120℃〜130℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール314重量部に添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をテトラヒドロフラン(THF)35.6重量部に溶解して、メタノール316重量部へ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約6.0×10の重合体(1)を4.2重量部得た。
【0135】
重合体(1)と合成例1〜11で得た化合物(a)〜(k)又は合成例12で得た重合体(L)を足して1.0重量部になるようにそれぞれ調製し、それをシクロヘキサノン9.0重量部に完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を孔径0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で、250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分間焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(k値)(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出した。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。また、ヤング率については、MTS社ナノインデンターSA2を使用して測定した。
【0136】
(実施例2)
次に、1,3,5−トリビニルアダマンタン10重量部と56重量部のt−ブチルベンゼンを反応容器内に入れ、窒素気流下で撹拌しながら内温120℃に加熱し、1,3,5−トリビニルアダマンタンを完全に溶解した。次に、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、日本油脂(株)製)2.2重量部をジフェニルエーテル1.9重量部に溶解した溶液を、反応液の内温を120℃〜130℃に保ちながら、1時間かけて反応液へ滴下した。
反応後、反応液を50℃まで冷却後、2−プロパノール314重量部に添加し、析出した固体を濾過して、2−プロパノールで洗浄した。得られた重合体をTHF35.6重量部に溶解して、メタノール316重量部へ添加し、再沈精製した。真空乾燥後、重量平均分子量約6.0×10の重合体(2)を4.0重量部得た。
【0137】
重合体(2)と合成例1〜11で得た化合物(a)〜(k)又は合成例12で得た重合体(L)を足して1.0重量部になるようにそれぞれ調製し、それをシクロヘキサノン9.0重量部に完全に溶解させて塗布液を調製した。この溶液を孔径0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で、250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分間焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出した。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。また、ヤング率につていは、MTS社ナノインデンターSA2を使用して測定した。
【0138】
(比較例1)
実施例1の重合体(1)のみ1.0重量部で塗布液を調製した。この塗布液を孔径0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で、250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分間焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.65であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.0GPaであった。
【0139】
(比較例2)
実施例1の重合体(2)のみ1.0重量部で塗布液を調製した。この塗布液を孔径0.1μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で、250℃で60秒間加熱した後、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分間焼成した結果、膜厚0.5μmのブツのない均一な膜が得られた。
膜の比誘電率(測定温度:25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.63であった。得られた絶縁膜の外観をピーク社製ポケットマイクロルーペ(50倍)で観察したが、塗膜表面にクラックは認められなかった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.0GPaであった。
【0140】
<誘電率の経時上昇及び機械強度、耐熱性の比較>
誘電率の経時上昇は、大気中25℃で一週間経過した後にk値を測定した。また、初期k値と一週間経過した後に測定したk値との差(Δk)を求めた。
なお、k値は、フォーディメンジョンズ社製水銀プローバ及び横河ヒューレットパッカード社製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出した。
機械強度(ヤング率)は、MTS社ナノインデンターSA2を使用して測定した。
耐熱性の評価は、空気中400℃30秒加熱し、重量変化を測定することにより行った。
【0141】
実施例1及び2、並びに、比較例1及び2において得られた膜の評価結果を以下に示す。
【0142】
【表1】

【0143】
【表2】

【0144】
本発明の膜形成用組成物を用いて形成された膜(絶縁膜)は、耐熱性及び機械強度に優れ、低い誘電率であり、また、誘電率に関し優れた経時安定性を示していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化合物、及び/又は、下記式(1)で示される化合物を少なくとも用いて重合した重合体を含むことを特徴とする
膜形成用組成物。
【化1】

(式(1)中、Aは2〜4価の有機基を表し、Aはアルケニル基又はアルキニル基を表し、Arは(2+a1)価のアリール基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表し、a1は1〜4の整数を表し、a2は2〜4の整数を表す。)
【請求項2】
絶縁膜形成用である請求項1に記載の膜形成用組成物。
【請求項3】
カゴ型構造を有する化合物、及び/又は、カゴ型構造を有する重合体を含む請求項1又は2に記載の膜形成用組成物。
【請求項4】
カゴ型構造を有する重合体を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の膜形成用組成物。
【請求項5】
前記カゴ型構造を有する重合体が、カゴ型構造を有するモノマーをラジカル開始剤存在下又は遷移金属触媒存在下で重合して得られたものである請求項4に記載の膜形成用組成物。
【請求項6】
前記カゴ型構造を有するモノマーが、重合可能な炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を有する請求項5に記載の膜形成用組成物。
【請求項7】
前記カゴ型構造が、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン及びテトラマンタンよりなる群から選択される構造である請求項3〜6のいずれか1つに記載の膜形成用組成物。
【請求項8】
前記カゴ型構造を有するモノマーが、下記式(2)〜(7)で表されるモノマーよりなる群から選択されるモノマーである請求項5又は6に記載の膜形成用組成物。
【化2】

(式(2)〜(7)中、X〜Xはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はシリル基を表し、m、mは1〜16の整数を表し、n、nは0〜15の整数を表し、m、m、m、mはそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、n、n、n、nは0〜14の整数を表し、m、mは1〜20の整数を表し、n、nは0〜19の整数を表す。)
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の膜形成用組成物を用いて得られる膜。
【請求項10】
絶縁膜である請求項9に記載の膜。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の膜を有する電子デバイス。

【公開番号】特開2009−46540(P2009−46540A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211834(P2007−211834)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】