説明

自動ドリル先端加工機

【課題】ドリルと砥石との相対位置検出時にドリルと砥石との衝突による損傷を防止する。
【解決手段】既定方向に移動自在に設けられかつ被加工材となるドリルWが把持されるチャックを有する主軸1と、既定方向に移動自在に設けられて主軸に把持されたドリルの先端にホーニングを形成するための加工を施す砥石4と、これら主軸と砥石とを既定方向に移動させるための駆動機構と、を具備する。主軸と一体に設けられてチャック内にあるドリル取り付け軸線と平行な位置関係に配置された計測用プローブ3と、主軸の移動範囲内に配置されてチャックに把持されたドリル及び計測用プローブを撮影する撮影カメラ20,21と、撮影カメラからのドリル及び計測用プローブの撮像情報並びに駆動機構からの駆動情報を取得し、それらの情報を基に、砥石によるドリルの先端にホーニングを形成する情報を駆動機構に発する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルの先端を自動的に研削加工してホーニングを形成する自動ドリル先端加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
このドリルの先端にホーニングを形成する技術として、下記特許文献1には、二段階で行われる切削刃の面取り操作を含んだ技術が開示されている。この技術では、第一段階において、回転する砥石が切削刃の様々な位置に向けて動かされ、接触検出器によって接触点が検出され、その電子モジュールが砥石を制御して停止させ、初期の位置に戻す。また、第二段階においては、砥石が、第一段階の間に記録された接触点を連結して得られる曲線をたどるように制御される。
また、下記特許文献2には、ドリルをホーニングするに際して、切刃を露出させた状態でマージン部を被覆材によって覆った上で、切刃にブラシによってホーニングを施すことにより、すくい面とマージン部とを角度をもって交差させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−502528号公報
【特許文献2】特開2003−300109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示される技術では、砥石が切刃に接触することで加工位置を検出しており、砥石がドリルの先端に相当な速度で突き当たるため、接触する砥石によって切刃が損傷する恐れがあった。また、特許文献2に示される技術では、ブラシと切刃との位置関係を検出するための検出手段が示されておらず、正確位置または形状でホーニングを形成することができない、という問題があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ドリルの先端と該ドリルの先端にホーニングを形成するための加工を行う砥石の位置関係を、撮影カメラ及び計測用プローブを介して検出することで、ドリルの先端と砥石との相対位置検出時に、ドリルの先端と砥石との衝突による損傷を防止することができる自動ドリル先端加工機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本願の請求項1に係る自動ドリル先端加工機では、既定方向に移動自在に設けられかつ被加工材となるドリルが把持されるチャックを有する主軸と、既定方向に移動自在に設けられて前記主軸に把持されたドリルの先端にホーニングを形成するための加工を施す砥石と、これら主軸と砥石とを既定方向に移動させるための駆動機構と、を具備する自動ドリル先端加工機において、前記主軸と一体に移動するように配置された計測用プローブと、前記主軸及び計測用プローブの移動範囲内に配置されて前記チャックに把持されたドリル及び計測用プローブを撮影する撮影カメラと、該撮影カメラからのドリルの先端及び計測用プローブの撮像情報並びに前記駆動機構からの駆動情報を取得し、それらの情報を基に、前記砥石によるドリルの先端にホーニングを形成する情報を前記駆動機構に発する制御手段と、を有し、該制御手段は、前記撮影カメラからの撮像情報に基づいて取得されたドリルの先端の位置を示すドリルの先端の位置情報と、前記撮影カメラで撮影した前記計測用プローブを移動させて前記砥石に接触させることにより取得される前記砥石の位置情報から、前記ドリルの先端と前記砥石との相対位置を示す作業位置情報を計算し、該作業位置情報と前記撮影カメラで取得したドリルの先端の形状情報に基づき、前記砥石によるドリルの先端にホーニングを形成するための情報を前記駆動機構に発することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、駆動機構で主軸を移動させることにより、まず、該主軸にチャックされたドリルを撮影カメラまで移動させて撮影カメラによってドリルの先端を撮像する。このときの、ドリルの先端の位置情報並びにドリルの先端の形状情報を制御手段にて取得する。続いて、駆動機構で主軸を移動させることにより、該主軸に一体に設置された計測用プローブを撮影カメラまで移動させて撮影カメラによって計測用プローブの先端を撮像する。このときの計測用プローブの位置情報を制御手段にて取得する。続いて、計測用プローブを砥石まで移動させて、計測用プローブを介して砥石の位置情報を制御手段にて取得する。
そして、制御手段では、取得したドリルの先端の位置情報及び砥石の位置情報から、ドリルの先端と砥石との相対位置を示す作業位置情報を計算により取得する。次いで、この作業位置情報と撮影カメラで取得したドリルの先端の形状情報に基づき、駆動機構に駆動信号を発して、砥石によってドリルの先端にホーニングを形成するための加工を行う。
【0008】
すなわち、本発明の自動ドリル先端加工機では、ドリルの先端の位置情報及びドリルにホーニングを形成するための砥石の位置情報を、撮影カメラ並びに計測用プローブを介して間接的に検出することができ、その検出時に、従来で発生していたドリルと砥石との衝突による損傷を防止することができる。
また、制御手段において、撮影カメラによりドリルの先端の位置情報と、撮影カメラ及び計測用プローブにより砥石の位置情報を取得しているので、それら双方の正確な位置情報を得ることができ、ドリルに対して高精度でホーニングを加工することができる。
【0009】
また、本願の請求項2に係る自動ドリル先端加工機では、前記撮影カメラは、前記ドリルの先端及び前記計測用プローブを正面から撮像する正面撮影カメラと、前記ドリルの先端を側面から撮像する側面撮影カメラとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ドリルの先端及び計測用プローブを正面から撮像する正面撮影カメラと、ドリルの先端を側面から撮像する側面撮影カメラとを備えるので、ドリルの先端の正確な位置情報並びにドリルの先端の形状情報を正確に取得することができる。
【0010】
また、本願の請求項3に係る自動ドリル先端加工機では、撮影カメラの周辺に、ドリルの先端位置及び計測用プローブの先端位置を検出するタッチセンサを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ドリルの先端及び計測用プローブの位置情報を取得するのに、タッチセンサでそれらの位置を取得する。
【0011】
また、本願の請求項4に係る自動ドリル先端加工機では、前記主軸は、前記ドリル取り付け軸線に平行なx軸方向並びに水平面内で前記x軸方向に直交するy軸方向に移動し、前記砥石は前記x軸方向、y軸方向にそれぞれ直交するz軸方向に沿って移動することを特徴とする。
本発明によれば、主軸がx−y平面内を移動し、砥石がz軸に沿って移動するように設定したので、これら設定方向に基づき、主軸上のドリルと、該ドリルを加工する砥石との位置関係を定めることができ、簡単な操作によってドリルの先端にホーニングを形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動ドリル先端加工機では、ドリル及び該ドリルにホーニングを形成するための砥石の位置関係を、撮影カメラ及び計測用プローブを介して間接的に検出することができ、その検出時に、従来で発生していたドリルと砥石との衝突による損傷を防止することができる。
【0013】
また、制御手段において、撮影カメラによりドリルの先端の位置情報と、撮影カメラ及び計測用プローブにより砥石の位置情報を得ているので、それら双方の正確な位置情報を得ることができ、ドリルに対し高精度でホーニングを加工することができる。また、計測用プローブにより砥石の位置情報を得ているので、砥石の磨耗状況も逐一把握できるため、この点においても、ドリルに対し高精度でホーニングを加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用される自動ドリル先端加工機の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の自動ドリル先端加工機を示すブロック図である。
【図3】カメラキャリブレーションを行うためのフローチャートである。
【図4】砥石位置測定を行うためのフローチャートである。
【図5】図3のフローチャートで実行される動作1を示す図である。
【図6】図3のフローチャートで実行される動作2を示す図である。
【図7】図3のフローチャートで実行される動作3を示す図である。
【図8】図3のフローチャートで実行される動作4を示す図である。
【図9】図4のフローチャートで実行される動作1を示す図である。
【図10】図4のフローチャートで実行される動作2を示す図である。
【図11】図4のフローチャートで実行される動作3を示す図である。
【図12】図3及び図4のフローチャートを実行した場合のデータの流れを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図1〜図12を参照して説明する。
図1は、本発明の制御システムが適用される自動ドリル先端加工機の概略構成図(平面図)であって、同図において符号1は主軸を示している。
この主軸1は、既定方向(本例ではx−y軸方向:ドリル取り付け軸線1Aに平行なx軸方向、水平面内でx軸方向に直交するy軸方向)に移動自在に設けられかつ被加工材となるドリルW(本例ではテストバー)が把持されるチャック2を有している。また、この主軸1の基部には、前記チャック2内にあるドリル取り付け軸線1Aと平行に延在するように配置される計測用プローブ3が一体に設けられている。
【0016】
また、前記主軸1の移動範囲内には、既定方向(本例ではx軸方向−y軸方向と直交するz軸方向(図面では図示略))に移動自在に設けられて、主軸1に把持されたドリルWにホーニングを形成するための加工を行う砥石4が設けられている。なお、これら主軸1と砥石4とを既定方向への移動は、図2に示す駆動機構10より行われる。
駆動機構10は、図2に示すように主軸1をX軸方向に移動させるためのX軸モータ11及びモータドライバ11A、主軸1をY軸方向に移動させるためのY軸モータ12及びモータドライバ12A、砥石4をX−Y軸と直交するZ軸方向に移動するためのZ軸モータ13及びモータドライバ13A、軸線1Aを中心として主軸1を回転させる主軸モータ14及びモータドライバ14Aによって構成される(後述する)。
【0017】
前記主軸1の移動範囲内には、前記チャック2に把持されたドリルW及び計測用プローブ3を撮影する2台の撮影カメラ20・21及びタッチセンサ22が設けられている。
撮影カメラ20は、チャック2に把持されたドリルWの先端及び計測用プローブ3を正面から撮影する正面撮影カメラであり、撮影カメラ21は、チャック2に把持されたドリルWの先端を側面から撮影する側面撮影カメラである。
タッチセンサ22は、前記撮影カメラ20・21付近に配置されて前記チャック2に把持されたドリルW及び前記計測用プローブ3に接触されることでON信号を出力する機能を果たす。
【0018】
次に、図2を参照して、撮影カメラ20、21からの撮像情報に基づいて取得されたドリルWの先端の位置を示すドリルの先端の位置情報と、撮影カメラ20,21で撮影した計測用プローブを移動させて砥石4に接触させることにより取得される砥石4の位置情報からドリルWの先端と砥石4との位置関係を取得するとともに、撮影カメラ20、21から取得される撮像情報に基づきドリルWの形状情報を取得する制御手段PCについて説明する。
制御手段PCは、図2に示すように、予め設定されたプログラムに従ってX〜Z軸モータ11〜13及び主軸モータ14を駆動するモーションコントローラPC1と、撮影カメラ20・21から撮像情報を取り込む撮像データ処理手段PC2とから構成されている。また、この制御手段PCでは、前述したモータ11〜14とともに、撮影カメラ20・21での撮像時に照射される照明装置アクチュエータ16・17及び磁石回転モータを含む外部装置18を駆動するためのインターフェイスも含まれている。
【0019】
次に、図3及び図4を参照して、カメラキャリブレーションを行うためのフローチャート及び砥石4の位置測定を行うためのフローチャートについて、これに関連する図5〜図11の動作図を参照しながら説明する。
なお、これらフローチャートを実行するためのプログラムは、図2の制御手段PCに記憶されている。
【0020】
〔カメラキャリブレーションのためのフローチャート(図3参照)〕
[ステップ1]
まず、図5に示すようにドリルWの代わりとなるテストバーを主軸1のチャック2に把持させる。これは人手により行っても、あるいは予め記憶されたプログラミングに基づいて自動的に行ってもよい。なお、最初はテストバーであるが、2回目以降は実際のドリルを把持させる。ここでは、以下テストバーを含めて以下ドリルと呼ぶ。
【0021】
[ステップ2]
駆動機構10のX軸モータ11及びY軸モータ12を駆動して、主軸1を移動させることにより、まず、図6に示すように、該主軸1にチャックされたドリルWをタッチセンサ22に接触させ、このときの位置情報を制御手段PCにて取得する。その後、この位置情報に基づき、前記駆動機構10を介して図7に示すように主軸1にチャックされたドリルWを、側面撮影カメラ21の正面まで移動させる。
【0022】
[ステップ3〜4]
照明装置アクチュエータ16を調整して照明位置と明るさを調整した後(ステップ3)、図7に示すように主軸1にチャックされたドリルWの側面を、側面撮影カメラ21で撮影する(ステップ4)。
【0023】
[ステップ5〜6]
ステップ4の撮影が成功したか否かを判断し(ステップ5)、YESの場合に次のステップ6に進み、NOの場合には本フローを終了して再度、やり直す。そして、ステップ6では、ステップ4で撮影したドリル側面撮像データ(G1)を、制御手段PCにて取り込む。
【0024】
[ステップ7]
X軸モータ11及びY軸モータ12を駆動して、主軸1を移動させることにより、まず、図8に示すように主軸1にチャックされたドリルWを、正面撮影カメラ20の正面まで移動させる。
【0025】
[ステップ8〜9]
照明装置アクチュエータ15を調整して照明位置と明るさを調整した後(ステップ8)、図8に示すように主軸1にチャックされたドリルWの正面を、正面撮影カメラ20で撮影する(ステップ9)。
【0026】
[ステップ10〜11]
ステップ8の撮影が成功したか否かを判断し(ステップ10)、YESの場合に次のステップ11に進み、NOの場合に本フローを終了して再度、やり直す。そして、ステップ11では、ステップ8で撮影したドリル正面撮像データ(G2)を、制御手段PCにて取り込み、本フローチャートを終了する。図3のフローチャートが終了した場合には次の図4のフローチャートに進む。
以上の手順において、具体的には、ドリルWの位置を強制的にずらせて3点で撮影し、その画像の3点の位置と実際の移動位置及び実際の方向を対応付けることで、ワールド座標とピクセル座標をマッピングする。これにより、ドリルWの先端の座標マッピングデータが得られる。
【0027】
〔砥石位置測定のためのフローチャート(図4参照)〕
[ステップ20]
駆動機構10のX軸モータ11及びY軸モータ12を駆動して、主軸1を移動させることにより、図9に示すように該主軸1に一体に設置された計測用プローブ3をタッチセンサ22に接触させ、このときの位置情報を制御手段PCにて取得する。そして、制御手段PCでは、タッチセンサ22のON信号に基づき取得された計測用プローブ3の位置情報を基に、図10に示すように主軸1に支持された計測用プローブ3を、正面撮影カメラ20の正面まで移動させる。
【0028】
[ステップ21〜22]
照明装置アクチュエータ15を調整して照明位置と明るさを調整した後(ステップ21)、図10に示すように主軸1に支持された計測用プローブ3を、正面撮影カメラ20で撮影する(ステップ22)。
【0029】
[ステップ23〜24]
ステップ22の撮影が成功したか否かを判断し(ステップ23)、YESの場合に次のステップ24に進み、NOの場合に本フローを終了して再度、やり直す。そして、ステップ24では、ステップ22で撮影した計測用プローブ撮像データ(G3)を、制御手段PCにて取り込む。
【0030】
[ステップ25〜28]
駆動機構10のX軸モータ11及びY軸モータ12を駆動して、主軸1を移動させることにより(ステップ25)、図11に示すように該主軸1に一体に設置された計測用プローブ3を砥石4に接触させ、該砥石4の底面位置(ステップ26)及びエッジの位置(ステップ27)を測定し、これらの測定結果と前記ステップ24で取得した計測用プローブ撮像データ(G3)から検出される計測用プローブ3の位置データから、砥石4の底面位置及びエッジ位置を含む、砥石4の原点位置となる砥石位置データを演算して取得する(ステップ28)。
つまり、計測用プローブのカメラキャリブレーションで取得したカメラ原点と、砥石原点との対応付けを行う。
[ステップ29〜30]
ステップ28での演算が成功したか否かを判断し(ステップ29)、YESの場合に次のステップ30に進み、NOの場合に本フローを終了して再度、やり直す。
【0031】
そして、図3のカメラキャリブレーションのためのフローチャートで取得した、主軸1内におけるチャック2に把持されたドリルWの先端の位置情報(座標マッピングデータ)Aと、図4の砥石位置測定のためのフローチャートで取得した、砥石4の基本的な位置データにプローブキャリブレーションでの補正をくわえた砥石4の位置情報(砥石位置補正データ)Bとに基づき、チャック2に把持されたドリルWの先端と砥石4の相対位置情報である作業位置データ(情報)Cを計算し、この相対位置情報と前記撮影カメラ20,21で取得したドリルWの先端の形状情報に基づいて駆動機構10に所定の指令信号を発し、これにより、砥石4によってドリルWの先端にホーニングを形成するための加工を行わせる。
このように、共通の撮影カメラ20・21により、主軸1のチャック2に把持されたドリルW及び計測用プローブ4を撮影したので、該撮像データ(G1〜G3)に基づき、ドリルWの先端に対する砥石4の相対位置を正確に算出することができ、加えて、共通の前記撮影カメラ20、21によってドリルWの先端の形状を把握するので、前記砥石4によるドリルWへのホーニング加工を高い精度で行うことが可能となる。
【0032】
以上の説明を総括したブロック図を図12に示す。そして、このような自動ドリル先端加工機では、駆動機構10で主軸1を移動させることにより、まず、該主軸1にチャックされたドリルWをタッチセンサ22に接触させ、このときの位置情報を基に、ドリルWを撮影カメラ20に対向する位置まで移動させる。このような動きは、計測用プローブ3についても同様である。
【0033】
また、本発明の自動ドリル先端加工機では、ドリルW及び該ドリルWにホーニングを形成するための砥石4の相対的な位置関係を、撮影カメラ20,21及び計測用プローブ3を介して間接的に検出することができるから、これらドリルWと砥石4との相対位置検出時に、従来で発生していたドリルWと砥石4との衝突による損傷を防止することができる。
【0034】
また、本発明の自動ドリル先端加工機では、撮影カメラとして、ドリルの先端及び計測用プローブを正面から撮像する正面撮影カメラ20と、ドリルの先端を側面から撮像する側面撮影カメラ21とを備えているので、ドリルの先端の正確な位置情報並びにドリルの先端の形状情報を正確かつ簡便に取得することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、駆動機構10によって、主軸1をx−y軸平面内で移動可能とし、砥石4をx−y平面と直交するz軸に沿って移動可能としたが、このような移動方向は適宜設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、砥石によって被加工物を研削加工するための自動ドリル先端加工機に関する。本発明の自動ドリル先端加工機によれば、ドリル及び該ドリルにホーニングを形成するための砥石の位置関係を、撮影カメラ及び計測用プローブを介して間接的に検出することができ、その検出時に、従来で発生していたドリルと砥石との衝突による損傷を防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 主軸
1A 軸線
2 チャック
3 計測用プローブ
4 砥石
10 駆動機構
20 撮影カメラ
21 撮影カメラ
22 タッチセンサ
A ドリルの先端の位置情報
B 砥石位置データ(情報)
C 作業位置データ(情報)
W ドリル
PC 制御手段




【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定方向に移動自在に設けられかつ被加工材となるドリルが把持されるチャックを有する主軸と、既定方向に移動自在に設けられて前記主軸に把持されたドリルの先端にホーニングを形成するための加工を施す砥石と、これら主軸と砥石とを既定方向に移動させるための駆動機構と、を具備する自動ドリル先端加工機において、
前記主軸と一体に移動するように配置された計測用プローブと、
前記主軸及び計測用プローブの移動範囲内に配置されて前記チャックに把持されたドリル及び計測用プローブを撮影する撮影カメラと、
該撮影カメラからのドリルの先端及び計測用プローブの撮像情報並びに前記駆動機構からの駆動情報を取得し、それらの情報を基に、前記砥石によるドリルの先端にホーニングを形成する情報を前記駆動機構に発する制御手段と、を有し、
該制御手段は、撮影カメラからの撮像情報に基づいて取得されたドリルの先端の位置を示すドリルの先端の位置情報と、前記撮影カメラで撮影した前記計測用プローブを移動させて前記砥石に接触させることにより取得される前記砥石の位置情報から、前記ドリルの先端と前記砥石との相対位置を示す作業位置情報を計算し、該作業位置情報と前記撮影カメラで取得したドリルの先端の形状情報に基づき、前記砥石によるドリルの先端にホーニングを形成するための情報を前記駆動機構に発することを特徴とする自動ドリル先端加工機。
【請求項2】
前記撮影カメラは、前記ドリルの先端及び前記計測用プローブを正面から撮像する正面撮影カメラと、前記ドリルの先端を側面から撮像する側面撮影カメラとを備えることを特徴とする請求項1に記載の自動ドリル先端加工機。
【請求項3】
前記撮影カメラの周辺には、前記ドリルの先端位置及び前記計測用プローブの先端位置を検出するタッチセンサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動ドリル先端加工機。
【請求項4】
前記主軸は、前記ドリル取り付け軸線に平行なx軸方向並びに水平面内で前記x軸方向に直交するy軸方向に移動し、前記砥石は前記x軸方向、y軸方向にそれぞれ直交するz軸方向に沿って移動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動ドリル先端加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−213814(P2012−213814A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78995(P2011−78995)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(304063989)株式会社カナエ技研 (3)
【Fターム(参考)】