説明

自動車の車台制御方法、ならびに該方法を実施する装置

本発明は、車体を担持する少なくとも一つの車輪縣架機構を有し、該車輪縣架機構少なくとも一つの減衰器を備え、該減衰器は硬さが調整可能な引張りステージと、硬さが調整可能な圧縮ステージを有する自動車の車台制御方法および車台制御装置に関するものであって、所定の車体運動によって形成された減衰器の圧縮負荷のために圧縮ステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、所定の車体運動によって形成された後続の引張り負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められ、または所定の車体運動によって形成された減衰器の引張り負荷のために、引張りステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、引き続き所定の車体運動によって形成された圧縮負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造を担持し、減衰器を備える少なくとも一つの車輪縣架機構を有する自動車の車台制御方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、とりわけ前記方法を実施するための自動車の車台制御装置に関するものであり、自動車の少なくとも一つの車輪縣架機構が調整可能な減衰器を有する。
【背景技術】
【0003】
自動車の車台制御方法は、従来技術から公知である。たとえば特許文献1から、減衰特性が調整可能な、自動車の減衰器の制御方法が公知である。減衰器はこの目的のために、減衰特性を調整するために調整可能な弁を有し、自動車の特性を最適化するために実行すべき減衰特性の切り換えは、減衰器が圧縮負荷されているか、または引張り負荷されているかに依存する。減衰器の硬さ、すなわち減衰度は、車体の運動が減衰されるように調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE4112004C2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、車体を担持する少なくとも一つの車輪縣架機構に減衰器が設けられており、この減衰器は硬さが調整可能な引張りステージと、硬さが調整可能な圧縮ステージを有しており、所定の車体運動によって形成された圧縮負荷のために圧縮ステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、所定の車体運動によって形成された後続の引張り負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められ、または所定の車体運動によって形成された引張り負荷のために引張りステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、所定の車体運動によって形成された後続の圧縮負荷のために圧縮ステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められる。したがって、減衰器は二段階に構成されており、圧縮ステージと引張りステージは互いに独立してその硬さまたは減衰度が調整される。圧縮ステージと引張りステージは、所定の車体運動に依存してその硬さが調整される。ここではまず一方のステージだけが車体運動の第1のフェーズで調整され、続いて他方のステージが、これに続く車体運動の第2のフェーズでその硬さが調整される。これにより、それぞれの車体運動フェーズ(圧縮負荷または引張り負荷)で減衰器が最適に動作することができる。とりわけ車体運動に続く車体戻り運動を、独立して減衰することができる。所定の車体運動とは、制動過程および/または曲線走行に起因する車体運動とすることができる。
【0006】
好ましくは減衰器は、圧縮ステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第1の弁と、引張りステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第2の弁を有し、所定の車体運動によって形成される減衰器の圧縮負荷の前に、圧縮ステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第1の弁が切り換えられ、後続の圧縮負荷の間、引張りステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第2の弁が付加的に切り換えられ、または所定の車体運動によって形成される減衰器の引張り負荷の前に、引張りステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第2の弁が切り換えられ、後続の引張り負荷の間、圧縮ステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第1の弁が切り換えられる。
【0007】
この種の減衰器では、減衰器の硬さまたは減衰度の調整が、常にそれぞれ力の掛からないアイドル行程で行われる。したがって調整命令、または対応するステージに割り当てられた弁の切り換えは、弁が無負荷状態で切り換えられたときにだけ作用する。ここで第1の弁は、圧縮ステージの硬さを調整するために、第2の弁は減衰器の引張りステージの硬さを調整するために用いられる。
【0008】
所定の車体運動によって形成されると予想される減衰器の圧縮負荷の前に、本発明によれば第1の弁が圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられ、車体運動によって実際に圧縮負荷が生じると、第2の弁が引張りステージの硬さを高めるために切り換えられる。減衰器の圧縮負荷と引張り負荷の交番は、車体運動後に車体戻り運動が予想される場合には規則的に行われる。第1の弁を後続の減衰器の圧縮負荷の前に減衰度を高めるために切り換え、第2の弁を後続の減衰器の圧縮負荷の間に減衰度を高めるために切り換えることにより、減衰器は圧縮負荷中も引張り負荷中も最適に動作することができる。
【0009】
とりわけ車体戻り運動を、車体運動とは独立して減衰することができる。対応して本発明によれば、予想される車体運動により形成される減衰器の引張り負荷の前に第2の弁が引張りステージの硬さを高めるために切り換えられ、後続の引張り負荷の間に第1の弁が圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられる。減衰器が車体運動中に圧縮負荷されるか、または引張り負荷されるかは、基本的に励振形式、減衰器の配置構成、または減衰器を有する自動車の車輪縣架機構の配置構成に依存する。
【0010】
好ましくは、第1および/または第2の弁を減衰器の硬さ調整のために切り換える際に、車体の全体運動および/または減衰器の局所運動が考慮される。減衰器の局所運動とは実質的に、走行路非平坦性により引き起こされる運動である。この種の運動は通例、高い偏移周波数を伴って発生する。これに対して減衰器の局所運動はとりわけ自動車の運転者の操縦に起因するものであり、したがって車体運動と関連している。車体の全体運動は実質的に、減衰器の局所運動と比較して低い偏移周波数を特徴とする。しかしもちろんここにも交互作用が存在する。したがって走行路非平坦性も車体の全体運動を引き起こし、運転者の操縦も減衰器の局所運動を引き起こす。したがって有利な方法では、減衰器の局所運動および/または自動車の車体の全体運動が求められ、これに基づいて減衰器の硬さが調節あるいは制御および/または調整される。有利にはそのために減衰器は、適切なマイクロコントローラおよび共通のデータバスへの接続部を備える電子回路を有する。これにより別個の中央制御装置を省略することができ、その代わりに、車台領域に既存の制御装置(たとえばESP制御装置または車台ドメインの中央制御装置)を使用することができ、外部の付加的センサ系、たとえば垂直加速度センサまたはバネ運動センサを省略することができる。
【0011】
減衰器の局所運動は、有利には減衰器に割り当てられた評価ユニットによって評価される。評価は、減衰器で直接、または減衰器に割り当てられた評価ユニットで行われる。このようにして非常に迅速に減衰器の局所運動の変化に応答することができ、減衰器の制御および/または調整の品質が高まる。評価ユニットは減衰器に割り当てるか、または減衰器に組み込むこともできる。
【0012】
車体の全体運動は有利には自動車の既存の制御装置で推定される。たとえば制動または操舵のような運転者操作に起因する車体の全体運動を推定しなければならない。そうでないと減衰器の制御および/または調整が、車体の測定された運動データに基づいて常に実際の要求に追従することとなるからである。車体運動センサによる識別と、信号伝達および信号処理によるデッドタイムは、そのためには緩慢すぎる。車体の全体運動を推定する場合には、車体のロール角、ロール速度および/またはロール加速度、ピッチ角、ピッチ速度、および/またはピッチ加速度のようなパラメータを求めることができる。推定は先見的に行われる。したがって所定の予想される車体運動が決定される。
【0013】
有利には予想される車体の全体運動は、操舵角、ブレーキペダル位置、アクセルペダル位置、目標加速度、目標トルクおよび/または自動車の少なくとも一つの実際状態量に依存して推定される。前記パラメータは運転者に直接起因するものであり、容易に検出可能なパラメータである。とりわけ操舵角、メインブレーキシリンダ内の圧力、運転者支援システム(たとえば適応形クルーズコントロール:ACC)による制動操作の要求、要求された機関トルク(目標トルク)およびギヤシフトの実行が評価される。信号は通例、走行安定システム、たとえば上記のESPにすでに存在している。目標加速度は、車両の縦方向加速度でも横方向加速度でも良く、同様に運転者支援システムによって検出および/または決定することができる。ヨー速度を求めることも有利であり、たとえば操舵角から行うことができる。
【0014】
本発明の改善形態によれば、車体の全体運動を引き起こす制動過程または加速過程が、ブレーキペダル位置および/またはアクセルペダル位置に依存して決定または推定される。ブレーキペダル位置から自動車の負の目標加速度が、アクセルペダル位置から正の加速度が得られ、ここで負の目標加速度(=減速度)はブレーキ圧を介して決定することができる。制動過程により、横軸を中心にする車体のピッチ運動が形成される。上記の方法により、車体運動を制動過程に対応して減衰することができる。制動開始とともに、ブレーキペダル位置によって制動意思が直ちに識別され、前車軸にある減衰器の第1の弁(圧縮ステージ)と、後車軸にある減衰器の第2の弁(引張りステージ)が、硬さまたは減衰度を高めるために切り換えられる。これにより、前方への車体のピッチ運動が制動過程が行われた際に減衰される。制動過程が車両の静止状態まで実施されると、車両が静止状態に達した後、続いて車体は後方に揺れる。
【0015】
したがって好ましくは、制動過程の時に自動車が静止する直前に、自動車の後車軸にある減衰器の第1の弁(圧縮ステージ)と、前車軸にある減衰器の第2の弁(引張りステージ)を、硬さを高めるために切り換え、一方、それぞれ第2の弁により、後車軸にある減衰器の引張りステージと、それぞれ第1の弁により、前車軸にある減衰器の圧縮ステージをそれぞれの通常状態に切り換える。この場合、車両が静止した場合に予想される車体運動は、車体の後方へのピッチである。
【0016】
上に述べたように、第1の弁と第2の弁は、後車軸にある減衰器の圧縮ステージの減衰度と、前車軸にある減衰器の引張りステージの減衰度が高められるように切り換えられる。
【0017】
上に述べた有利な車台制御方法に対応して、静止状態に至った場合には、すなわち車体の後方へのピッチ運動の間、自動車の後車軸にある減衰器の第2の弁と、前車軸にある減衰器の第1の弁が、硬さを高めるために付加的に切り換えられる。言い替えると、後車軸にある減衰器の引張りステージの減衰度と、前車軸にある減衰器の圧縮ステージの減衰度とが、後方へのピッチに続く車体戻り運動のために付加的に高められるのである。したがって、すでに減衰された後方へのピッチの後に車体が前方に戻るようにピッチする場合、この戻りピッチも減衰される。
【0018】
したがい全体として好ましくは、
a)制動開始とともに、前車軸にある圧縮ステージの硬さと、後車軸にある引張りステージの硬さが高められ、
b)車両が静止する直前に、前車軸にある引張りステージの硬さと、後車軸にある圧縮ステージの硬さが高められ、
c)車体が静止後に後方へピッチする間、残りの圧縮ステージと引張りステージの高さが高められ、
d)ピッチ運動が消失した後、減衰器のすべての圧縮ステージと引張りステージが通常位置(通常の減衰度)に切り換える。
【0019】
ここでd)のときには、前車軸にある圧縮ステージと後車軸にある引張りステージをそれらの通常状態に切り換えるのが目的にかなう。これによって制動後、静止状態への車体の初期のピッチ運動が対抗作用され、これによって形成されたピッチ振動が減衰される。このためにとりわけ制動圧と自動車の縦方向速度が考慮されるが、そのためにはESPセンサ系を使用すればよいだけである。個々の減衰器ステージ(引張りステージまたは圧縮ステージ)を調節することによって、対抗トルクが形成される。対抗トルクは、減衰器の構造的形態のためアクティブ形に形成することができないから、対抗トルクは応答トルクとしてのみ作用する。それぞれのステージ(引張りステージまたは圧縮ステージ)の調節は、車輪と車体との相対運動の前に行わなければならない。運動中に弁を切り換えることはできないからである。上に述べたようにここでは、反対の車軸にある圧縮ステージと引張りステージが予測的により硬く調節される。
【0020】
本発明の改善形態では、車体の全体運動を引き起こす曲線走行が、操舵角に応じて推定または決定される。運転者がステアリングホイールでの操舵角の調節によって制御介入することにより側方への進路変更を行うと直ちに、車体は全体的励振を受ける。この励振は、慣性があるため、車両長手軸を中心にする車体の回転運動(横揺れ)を引き起こす。
【0021】
有利には、操舵角の変化によって曲線走行を開始する際に、曲線の外側にある少なくとも一つの減衰器の第1の弁と、曲線の内側にある少なくとも一つの減衰器の第2の弁とが硬さを高めるために切り換えられる。したがいこのために、減衰器は車両の側に応じて制御される。これに対して制動過程では車軸に応じた制御が実施される。後続の曲線走行では、すなわち車体がロール運動する場合、曲線の外側にある少なくとも一つの減衰器の第2の弁と、曲線の内側にある少なくとも一つの減衰器の第1の弁とが硬さを高めるために切り換えられる。
【0022】
言い替えると、曲線走行を開始する際に、曲線で外側にある減衰器の圧縮負荷が予想され、したがって第1の弁が圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられ、一方、曲線で内側(ここでは減衰器引張り負荷を受ける)にある減衰器の引張りステージの硬さが、硬さを高めるために切り換えられる。車体が戻り振動する前に、または車体戻り運動が行われる前に、減衰器の残りのステージも同じように硬さを高めるために切り換えられる。これによって曲線走行中の車体のロール運動が最小となり、走行快適性が向上する。
【0023】
本発明の有利な改善形態によれば、第1および/または第2の弁は、減衰器の負荷を基準にした所定の閾値を上回って初めて硬さを高めるために切り換えられる。これによって、減衰器の引張りステージおよび/または圧縮ステージが、小さな操舵でもその減衰度が調節されてしまうことが阻止される。
【0024】
とりわけこれにより、車体全体に対してもむしろ無視しても良い減衰器の小さな局所的偏向ないしは運動が常に硬さの調節につながるという事態が阻止される。
【0025】
有利には第1および/または第2の弁が、所定の時間にわたって閾値に達しなければ硬さを減少するために切り換えられる。これによって減衰器は再びデフォルトの調整位置にリセットされる。
【0026】
本発明の改善形態では、減衰器の局所運動が少なくとも一つの減衰器圧力に基づいて決定される。したがって減衰器には、少なくとも一つの減衰器圧力を決定するための手段が設けられている。減衰器圧力はたとえば、減衰器に割り当てられた評価ユニットで評価され、減衰器の局所運動が決定される。ここでは減衰器圧力の(相対的)変化が評価される。
【0027】
本発明の改善形態では、減衰器の局所運動は、減衰器の固定点における垂直運動である。減衰器の固定点とは、減衰器が自動車、とりわけ自動車の車体に固定されている個所を意味する。ここでは垂直運動だけが考慮される。他の速度成分は省略されるか、または垂直速度に含めて計算される。
【0028】
本発明の改善形態では減衰器の局所運動が、減衰力および/または圧力差から、とりわけ減衰器の特性曲線を考慮して計算される。したがってまず減衰力および/または圧力差が決定される。これはたとえば減衰器の複数の圧力を決定することによって行うことができ、減衰器の圧縮ステージの圧力と引張りステージの圧力を決定すると有利である。減衰器の局所運動は減衰器速度によって表される。すなわち減衰器ピストンと減衰器チューブとの相対速度によって表され、減衰器の局所運動は減衰力または圧力差からなる減衰器特性曲線の反転によって決定される。ここでは実際の弁位置に所属する特性曲線が使用される。前記の計算アプローチを組み合わせることも可能である。
【0029】
本発明の改善形態では、減衰力、および/または減衰器の上室の圧力と減衰器の下室の圧力との圧力差が決定される。したがって引張りステージと圧縮ステージの両方における減衰器圧力を決定するための手段が設けられている。ここで上室の圧力は引張りステージの圧力に、下室の圧力は圧縮ステージの圧力に相当する。
【0030】
本発明の改善形態では、減衰器がシングルシリンダー減衰器であり、とりわけ減衰器行程が推定される。シングルシリンダー減衰器では、減衰力および減衰器速度に関係なく減衰器行程が推定される。このために、ピストンロッドが減衰器に進入することにより、増大するバネ行程とともに上昇する平均圧力を評価する。ここでは容積調整が、シングルシリンダー減衰器において進入するピストンロッドの体積分だけ減少するガス体積により行われる。
【0031】
本発明の改善形態では、減衰器の局所運動が高周波成分について、および/または車体の全体運動が低周波成分について評価される。高周波成分は、たとえば車輪固有周波数の領域の周波数であり、約10〜15Hzである。一方、低周波成分は、自動車の車体の固有周波数の領域にある周波数である。後者の周波数は1〜2Hzの範囲である。この目的のために少なくとも一つのフィルタを設けることができ、このフィルタは減衰器の局所運動のために高周波成分だけを、および/または車体の全体運動のために低周波成分だけを通過させる。
【0032】
本発明の改善形態では、減衰器の局所運動と車体の全体運動からそれぞれ圧縮ステージと引張りステージに対する減衰器の硬さが決定される。減衰器の硬さは車体の全体運動と減衰器の局所運動に対して別個に決定される。この目的のために異なる評価経路が設けられている。一方の評価経路は減衰器の局所運動のために、他方の評価経路は車体の全体運動のために使用される。両方の評価経路からそれぞれ、圧縮ステージと引張りステージに対する減衰器の硬さが得られる。
【0033】
本発明の改善形態では、減衰器の局所運動からの減衰器の硬さと、車体の全体運動からの減衰器の硬さとが一つの全体減衰器の硬さに統合される。減衰器の局所運動に対する減衰器の硬さと、車体の全体運動に対する減衰器の硬さが決定された後、これらが全体減衰器の硬さに統合される。ここでは、減衰器の硬さおよび/または全体減衰器の硬さを、引張りステージと圧縮ステージに対して別個に取り扱うと有利である。減衰器の硬さは通例、0から1の範囲にあり、ここで0は非常にソフトであり、1は非常にハードである。
【0034】
本発明の改善形態では、減衰器が全体減衰器の硬さに対応して調節される。減衰器は、決定された全体減衰器の硬さに対応して動作するように制御および/または調整される。したがって減衰器は、減衰器の局所運動に対する減衰器の硬さまたは車体の全体運動に対する減衰器の硬さにだけしたがって調節されるのではなく、二つの値の組合わせに対応して調節される。
【0035】
本発明の装置は、車体を担持する少なくとも一つの車輪縣架機構に減衰器が設けられており、この減衰器は硬さが調整可能な引張りステージと、硬さが調整可能な圧縮ステージを有することを特徴とし、ここで所定の車体運動によって形成された減衰器の圧縮負荷のために圧縮ステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、所定の車体運動によって形成された後続の引張り負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められ、または所定の車体運動によって形成された減衰器の引張り負荷のために引張りステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、所定の車体運動によって形成された後続の圧縮負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められる。
【0036】
好ましくは減衰器は、圧縮ステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第1の弁と、引張りステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第2の弁を有し、所定の車体運動によって形成される減衰器の圧縮負荷の前に、圧縮ステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第1の弁が切り換えられ、後続の圧縮負荷の間、引張りステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第2の弁が付加的に切り換えられ、または所定の車体運動により形成される減衰器の引張り負荷の前に第2の弁が変化のために、とりわけ引張りステージの硬さを高めるために切り換えられ、後続の引張り負荷の間に第1の弁が変化のために、とりわけ圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられる。
【0037】
本発明の改善形態では、減衰器が評価ユニットおよび/または少なくとも一つの圧力測定装置を有し、および/または評価ユニットにより減衰器の少なくとも一つの弁の出力段が調節される。評価ユニット、圧力測定装置、すなわち圧力を測定するための手段、および弁ならびに出力段は、減衰器に配設されているか、または減衰器に組み込まれている。
【0038】
本発明の改善形態では、評価ユニットが、車体の全体運動を推定する自動車の既存の制御装置とデータバスを介して接続されている。制御装置は、自動車の既存の制御装置であり、たとえばESP制御装置または車台ドメインの中央制御装置である。この制御装置によって車体の全体運動が推定される。すなわち車台制御のために別個の中央制御装置は設けられない。減衰器の評価ユニットは、この制御装置とデータバスを介して接続されており、これらの間でデータ交換することができる。これらのデータはたとえば、減衰器の硬さおよび全体減衰器の硬さ、および/または減衰器の局所運動および/または自動車の全体運動に対する値である。
【0039】
本発明を以下、図面に示された実施例に基づき詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】自動車の車台制御装置および方法の概略図である。
【図2】本発明の装置および方法の機能構造を示すブロック図である。
【図3】シングルシリンダー減衰器が、本発明の方法および/または装置とともにどのように使用することができるか示す図である。
【図4】図2から公知の機能構造のブロックについてのフローチャートである。
【図5】機能構造の別のブロックについてのフローチャートである。
【図6】ピッチ運動する際の有利な方法の概略的実施例を示す図である。
【図7】状態オートメーションのブロック回路図である。
【図8】ピッチ過程の際に本方法を実施するためのブロック回路図である。
【図9】ロール運動の際に本方法を実施するためのブロック回路図である。
【図10】ロール過程の際に本方法を実施するためのブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明の方法および/または本発明の装置を使用することのできるシステム構造1を示す。4つの減衰器2、3、4、5が設けられており、各減衰器は自動車(図示せず)の車輪に割り当てられている。減衰器2、3、4、5は自動車の車輪と車体との間に設けられており、したがって車輪懸架部(同様に図示せず)の構成部分である。各調節減衰器は圧力センサ6、マイクロプロセッサ7、二つの出力段8を有し、これらによりそれぞれの弁駆動部9およびこれを介して弁10を操作することができる。各圧力センサ6、出力段8、弁駆動部9および弁10は、減衰器2の引張りステージおよび圧縮ステージに配設されている。したがって圧力センサ6の一方は、圧縮ステージの圧力を検出するために用いられ、圧力センサ6の他方は引張りステージの圧力を検出するために用いられる。出力段8、弁駆動部9および弁10によって、減衰器2の圧縮ステージおよび/または引張りステージの硬さを調節することができる。
【0042】
ここで出力段8はマイクロプロセッサ7によって制御される。マイクロプロセッサ7は、圧力センサ6の信号を評価し、データバス11を介して自動車の既存の制御装置12と接続されており、これとデータ交換する。制御装置12はたとえばESP制御装置である。制御装置12は付加的に、操舵センサ、ヨー速度および/または横加速度を検出するためのセンサ、およびブレーキシリンダ(図示せず)内の圧力を検出するための圧力センサ15からデータを受信する。
【0043】
制御装置はさらに、機関制御部16およびトランスミッション制御部17からデータを受け取る。機関制御部16はたとえば、自動車の駆動ユニットに要求される機関トルクおよび/または回転数を送出する。トランスミッション制御部17は制御装置12に、たとえばどのギヤがシフトされているか、およびギヤチェンジが行われるかを通知する。
【0044】
制御装置12によって車体の全体運動または車体運動が求められ、車体の全体運動から減衰器の硬さが決定される。減衰器2、3、4、5のマイクロプロセッサ7は、とりわけ圧力センサ6のデータから減衰器の局所運動を決定し、これから同様に減衰器の硬さを計算する。車体の全体運動からの減衰器の硬さは、制御装置12からデータバス11を介してマイクロプロセッサ7に伝達される。マイクロプロセッサ7は、減衰器の局所運動に対する減衰器の硬さと、車体の全体運動に対する減衰器の硬さから全体減衰器の硬さを決定する。続いてこの全体減衰器の硬さが、出力段8、弁駆動部9および弁10によって減衰器2、3、4または5で調節される。ここで減衰器の硬さまたは全体減衰器の硬さは、それぞれ減衰器2、3、4、5の引張りステージと圧縮ステージについて決定される。各減衰器2、3、4、5の圧力センサ6、マイクロプロセッサ7、出力段8、弁駆動部9および弁10は、それぞれの減衰器2、3、4、5に割り当てられており、したがって減衰器にローカルな装置である。これに対して制御装置12は、自動車の全体運動を評価するために設けられており、したがって中央の構成部分である。したがって車体の全体運動は中央運動としても計算される。減衰器2は自動車の前方左に、減衰器3は前方右に、減衰器4は後方左に、減衰器5は後方右に設けられている。
【0045】
図2は、本発明の方法および本発明の装置を設けることのできる機能構造18を示す。自動車またはその車輪と車体は、ブロック18によって象徴されている。自動車には種々の影響要因、たとえばブロック20によって象徴される運転者、ブロック21によって象徴される走行路が作用する。それぞれの影響は矢印22と22’によって示されている。自動車の車輪と車体は、ブロック23によって示された減衰器2、3、4、5と交互作用する。この交互作用は矢印24によって象徴されている。したがってブロック20は自動車の運転者によって引き起こされる影響を象徴し、ブロック21は走行路の影響を記述する。第1の機能ブロック25で、運転者の影響(ブロック20)が、車体の全体運動または車体運動を推定するために用いられる。これは、操舵角センサ13、センサ14、圧力センサ15、機関制御部16および/またはトランスミッション制御部17から制御装置12で使用されるデータに基づいて行われる。
【0046】
将来を見通す推定が必要であるのは、車体の全体運動の効率的な減衰は運動自体の中でのみ行うことができるからである。車体に配属された運動センサによる識別は、信号伝送および信号処理によるデッドタイムのため緩慢すぎる。第1の機能ブロック25は、たとえば車体のロール角、ロール速度、ロール加速度、および/またはピッチ角、ピッチ速度、および/またはピッチ加速度および/またはヨー角度、ヨー速度、ヨー加速度を車体の全体運動のパラメータに使用する。第1の機能ブロック25で推定されたパラメータは、第2の機能ブロック26にさらに伝送される。第2の機能ブロックでは、推定されたパラメータから、4つの減衰器2、3、4、5の圧縮ステージと引張りステージについての減衰器の調節への要求が決定される。たとえば右方向へのロール運動が予測された場合には、自動車の右側の減衰器3と5の圧縮ステージと、自動車の左側の減衰器2と4の引張りステージが硬くされる。ロール運動の戻り振動(戻り運動)が予測される場合には、追加で他の減衰器調節が硬くされる。前方へのピッチ運動が予測される場合には、自動車前側の減衰器2と3の圧縮ステージと、自動車後側の減衰器4と5の引張りステージが硬くされる。第1の機能ブロック25と第2の機能ブロック26は、車両安定システム(たとえばESP)の既存の制御装置12、または走行値ドメインの既存の中央制御装置に組み込まれる。したがって車体の全体運動からの減衰器の硬さは、減衰器2、3、4、5の圧縮ステージと引張りステージのそれぞれに対して存在する。
【0047】
第3の機能ブロック27では、減衰器2、3、4、5の運動と、減衰器2、3、4、5に作用する力が決定される。これは、圧力センサ6によって検出された圧力から行われる。ここで圧縮ステージには圧力pobenが、引張りステージには圧力puntenが割り当てられる。減衰器運動は、たとえば減衰器速度および/または減衰器行程(ばね経路)のパラメータにより記述される。圧力センサ6によって検出された圧力を処理する前に、圧力はまず前処理される、すなわち場合によりオフセットが補正され、および/または測定ノイズを抑圧するためにフィルタリングされる。さらにエラーを伴って検出された圧力を、以降の評価から排除するために圧力監視を行うことができる。減衰力FDampferを、次式に基づいて
Dampfer=Aoben・poben−Aunten・punten
決定することができ、ここでAobenとAuntenは減衰器2の減衰器ピストンの上側(oben)および下側(unten)の断面積である。
【0048】
減衰器速度v、すなわち減衰器ピストンと減衰器2、3、4、5の減衰器シリンダーとの相対速度は、二つの異なるアプローチにより決定することができる。まず減衰力Fを、目下の弁位置に所属する減衰器特性曲線F=f(vは弁10の位置)の逆数によって求めることができる。続いて減衰器速度vが式
=f-1(F、弁10の位置)
によって計算される。
【0049】
同様に減衰器速度vは、差圧Δp=poben−puntenから、弁10の目下の位置に所属する特性曲線を用いて計算することができる。このことは次式に基づいて行われる。
=f(Δp、弁10の位置)
【0050】
この二つの計算アプローチは個別にまた組み合わせて使用することができる。組み合わせる場合、値または平均値が使用される仲裁ロジックが決定する。減衰器2、3、4、5がシングルシリンダー減衰器であれば、減衰力および減衰器速度に関係なく減衰器行程ZDampferが推定される。このために、ピストンロッドが減衰器に進入することにより、増大するバネ行程とともに上昇する平均圧力(punten+poben)/2を評価する。ここでは容積調整が、シングルシリンダー減衰器において進入するピストンロッドの体積分だけ減少するガス体積により行われる。これについては後で、図3に基づいて説明する。減衰器速度から適切な推定アルゴリズムを用いて、減衰器2、3、4、5の車体側固定点における垂直速度vDampferが推定される。推定方法としてここでは例としてカルマン・フィルタを挙げておく。第3の機能ブロック27の機能に関する概要は、後で図4に基づいて説明する。
【0051】
圧力信号から推定された減衰器運動パラメータおよび/または減衰力は、第4のフィルタ28および第5のフィルタでさらに処理される。第4の機能ブロック28では、減衰器運動パラメータおよび/または減衰力に基づき、減衰器の硬さが走行路に依存して決定される。すなわち減衰器の硬さが、減衰器の局所運動から決定される。減衰器外部パラメータは、この決定の際には使用されない。制御目標は、約10〜15Hzの範囲にある車輪固有振動の周波数領域での快適性改善と車輪負荷変動の低減である。ここでアルゴリズムとして、たとえば周波数選択性の制御が考えられる。これについては後で、図5に基づいて説明する。
【0052】
第5の機能ブロック29では、第3の機能ブロック27が準備した減衰器局所情報から、車体の運動モードに関する情報、すなわちストローク運動、ロール運動およびピッチ運動についての情報が決定される。車体運動に対する適切な記述パラメータは、たとえば車体の重心におけるストローク速度v、ロール速度dtphiおよびピッチ速度dtthetaである。たとえば次式にしたがい合成が行われる。
【0053】
=(vFL+vFR+vRL+vRR)/4
dtphi=(−vFL+vFR+vRL+vRR)/(2・b)
dttheta=(−vFL−vFR+vRL+vRR)/(2・L)
ここでvDampferは、それぞれの減衰器2、3、4、5の車体側固定点における垂直速度、bはトレッド幅、Lはホイールベースである。FLは前方左、FRは前方右、RLは後方左、そしてRRは後方右の減衰器に対するものである。
【0054】
車体運動のこれらの推定量は第6の機能ブロック30で、車体運動の制御を行うために使用される。第6のブロック30には、入力量として車体運動の目標値33および第5の機能ブロック29から発する車体運動の推定量、たとえばv、dtphiおよびdtthetaが入力される。これらの入力量から第6の機能ブロック30は、それぞれ引張りステージと圧縮ステージとで別個に減衰器の硬さを決定する。すなわち第2の機能ブロック26と同じように、第6の機能ブロック30は、自動車の全体運動を減衰するのに必要な減衰器の硬さを決定する。
【0055】
最後に第7の機能ブロック31は、第2の機能ブロック26と第6の機能ブロック30で決定された減衰器の硬さを統合するのに用いられる。この統合は、減衰器2、3、4、5の引張りステージと圧縮ステージに対してそれぞれ別個に行われる。このような統合を行うための仲裁アプローチの例は以下のとおりである。
【0056】
Zug=max{Zuglokal、Zugglobal
Druck=max{Drucklokal、Druckglobal
Zug=Zuglokal+Zugglobal−Zuglokal・Zugglobal
Druck=Drucklokal+Druckglobal−Drucklokal・Druckglobal
ここで「Zug(引張り)」と「Druck(圧縮)」はそれぞれ、減衰器の硬さまたは減衰度への調整要求である。これは、0から1の値範囲で指示される。したがって第7の機能ブロック31には、車体の全体運動の減衰に用いることのできる減衰器の硬さが存在する。第7の機能ブロック31からの減衰器の硬さも第4の機能ブロック28からの減衰器の硬さと同じように、第8の機能ブロック32に導かれる。したがってこの第8の機能ブロック32には入力量として、減衰器の局所運動から決定された減衰器の硬さと、車体の全体運動から決定された減衰器の硬さが入力される。第8の機能ブロック32では、これらが一つの全体減衰器の硬さに統合される。これは第7の機能ブロック31と同じように、たとえば同じ仲裁アプローチによって行われる。第8の機能ブロック32で決定された全体減衰器の硬さにより、矢印34によって象徴されるように減衰器2、3、4、5が調節される。
【0057】
第5の機能ブロック29、第6の機能ブロック30および第7の機能ブロック31は、たとえばいずれにしろ備わっている走行安定システム(たとえばESP)に所属する制御装置12で実施される。場合により、前記の機能ブロック20、30、31は、車台ドメインの既存の中央制御装置に組み込むこともできる。この中央制御装置が、ストローク加速度a、ロール速度dtphiおよびピッチ速度dtthetaを測定する拡張された慣性航法センサ系を有していれば、車体運動量の計算を実施する第5の機能ブロック29を省略することができる。
【0058】
第3の機能ブロック27、第4の機能ブロック28および第8の機能ブロック32は、減衰器2、3、4、5のマイクロプロセッサ7で実施することができる。
【0059】
図3は、減衰器2、3、4、5として使用することのできるシングルシリンダー減衰器35を示す。シングルシリンダー減衰器35には、圧力pobenと圧力puntenを検出するための手段が設けられている(図示せず)。圧力pobenはピストンロッド37の上方のチャンバ36内に存在し、圧力puntenはチャンバ38内に存在する。図3に示すように、シングルシリンダー減衰器35内にはガス体積39が存在する。
【0060】
図4は、第3の機能ブロック27の構造を示す。この機能ブロックが二つの計算経路40と41を有することが示されており、計算経路40は圧力pobenを、計算経路41は圧力puntenを入力量として有する。二つの計算経路40と41で、まずオフセット補正が実施される(ブロック42)。続いてローパスフィルタリングが適用され(ブロック43)、最後に妥当性検査が実施される(ブロック44)。ブロック44に続いて、計算経路40の結果は第1のチャネル45に、計算経路41の結果は第2のチャネル46に出力される。したがって第1のチャネル45と第2のチャネル46には、圧力pobenと圧力puntenに対する処理済み信号が存在する。二つの圧力信号pobenとpuntenはそれぞれ、機能ブロック47、48、49に対する入力量として使用される。機能ブロック47では、この圧力信号によって減衰力が推定され、この推定された減衰力も、圧力信号pobenおよびpuntenと同じように機能ブロック48に入力量として供給される。機能ブロック48では、これら三つのパラメータから減衰器速度の推定が実施される。
【0061】
機能ブロック49は減衰器行程の推定に用いられる。しかしこれは、シングルシリンダー減衰器35が減衰器2、3、4、5として設けられている場合だけ実施することができる。機能ブロック48に続いて別の機能ブロック50が設けられており、この機能ブロックでは減衰器速度から、減衰器2、3、4、5の固定点における垂直運動の推定が実施される。したがって出力端51には減衰力が、出力端52には減衰器速度が、出力端53には減衰器2、3、4、5の固定点における垂直運動が、出力端54には減衰器行程が出力される。出力端51、52、53、54に印加されるパラメータは、引き続き、第4の機能ブロック28および第5の機能ブロック29の入力量として使用することができる。
【0062】
図5は例として、第4の機能ブロック28の構造を示す。この機能ブロックは、減衰器2、3、4または5の減衰器の局所運動から減衰器の硬さを決定する。入力量として、前の実施形態と同じように第3の機能ブロック27の出力量が用いられる。この出力量が入力端55に印加される。第4の機能ブロック28では、周波数選択的な制御がアルゴリズムとして使用される。このためにまず、減衰器運動量が一つまたは複数のフィルタ(ブロック56)を介して評価される。フィルタはたとえばバンドパスフィルタとすることができる。続いて振幅計算が実施される(ブロック57)。関連する周波数領域内の所定の振幅が、すなわちフィルタ(ブロック56)の出力端の所定の振幅が所定の限界値を越えると、減衰器2、3、4または5の硬さを高めることが要求される。振幅計算の出力量は重み付けされ(ブロック58)、この重み付けの結果から減衰器2、3、4、5の引張りステージ(ブロック59)または圧縮ステージ(ブロック60)に対する特性曲線が決定される。
【0063】
図6Aと6Bは、実施形態に減衰器2、3、4、5を備える自動車61を示す。各減衰器2、3、4、5はそれぞれ、圧縮ステージの硬さを調整するための第1の弁と、引張りステージの硬さを調整するための第2の弁を有する。自動車61の車体62の予想される車体運動によって形成された減衰器2〜5の圧力負荷の前に、それぞれ第1の弁が圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられ、圧力負荷の間に追加で第2の弁が引張りステージの硬さを高めるために切り換えられる。対応して、予想される車体運動によって形成される減衰器2〜5の引張り負荷の前に、それぞれ第2の弁が引張りステージの硬さを高めるために切り換えられ、後続の引張り負荷の間に第1の弁が圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられる。図6Aと6Bに図示した場合では、制動過程が行われ、自動車が上に述べたようにピッチ運動をする。このとき自動車61は横軸Yに揺れる。したがって制動過程の間、減衰器2と3が圧縮負荷され、減衰器4と5が引張り負荷される。車両61が静止状態にまで制動されるべきことが識別されると、静止状態の直前に減衰器4と5の第1の弁、ならびに減衰器2と3の第2の弁が切り換えられ、これにより車体62が後方に揺れるときには減衰器4と5の圧縮ステージの減衰器度、ならびに減衰器2と3の引張りステージの減衰度が高められている。車体62が後方に揺れる間、それぞれ減衰器2と3の第1の弁、ならびにそれぞれ減衰器4と5の第2の弁が追加で切り換えられ、これにより車体が再び前方に振動または揺れるときには残りの減衰器ステージが硬くされている。
【0064】
ここで一般的ストラテジーが、図7に示された状態オートメーション69によって表される。図7に示されたブロック回路図は、車台制御のための有利な方法の実施を概略的に示す。第1のステップ63で、減衰器2〜5は通常状態にある。ここでブロック64によって示されているように、車両状態は、減衰器の圧縮負荷および/または引張り負荷につながるような車体運動が予想されるか否かについて常に検査されている。たとえばブレーキペダル角度の検出によって図6Aに示すように制動が識別されると、後続のステップC1で後車軸の減衰器4と5の第1の弁と、前車軸の減衰器2と3の第2の弁が硬さを高めるように切り換えられる。これにより、車両が静止状態に達し、軸Yを中心に後方に揺れるときには(ステップ66)、減衰器4と5の圧縮ステージと減衰器2と3の引張りステージの減衰度が高められている。戻り振動が予想される場合、または車両が静止状態に達すると、別のステップC2で減衰器4と5の第2の弁と、減衰器2と3の第1の弁が、硬さを高めるように追加で切り換えられ、これにより車両が戻るように揺れるときには、ステップ67で減衰器2と3の圧縮ステージと減衰器4と5の引張りステージの硬さが高くなっている。所定の時間間隔内で、別の閾値または所定の閾値を上回る車体62の運動が行われなければ(ステップC3)、減衰器2〜5の第1および第2の弁は、減衰器2〜5が再びその通常状態(ステップ63)にリセットされるように切り換えられる。
【0065】
状態オートメーション69の移行条件は以下のように定義することができる。
【数1】

【0066】
これにより、所定の速度閾値Pを車両縦速度Vが下回り、かつ所定の車両制動圧pBrakeが閾値PBrakeより上にあるときに、静止状態への制動が識別される。静止状態は、第2の速度閾値Pによって定義され、ここでP<Pである。初期減衰器状態への移行は、モデルから計算されたピッチ速度の振幅が閾値を下回ること、および/または所定時間が上に記載したように経過することによってトリガされる。ここで図8には、pBrakeとしてpが、PBrakeとしてPが図示されている。上記の方法は、静止状態への制動後にピッチ運動を最小にすることにより走行快適性を向上させる。
【0067】
したがってピッチ減衰のための減衰度制御は、3つの状態に分けられる:
a)減衰器2〜5が通常状態(63)にある。
b)ピッチ運動が圧縮ステージの方向に生じる前に、反対方向に車軸の減衰器の圧縮ステージと引張りステージを硬く調整する。そして
c)ピッチ運動が残りのステージ(圧縮ステージと引張りステージ)の方向に変化する前に(67)、それらのステージを硬く調整する。
【0068】
図8は、車体のピッチ運動を検出および減衰するための機能回路図を示し、ここでブロック70は車体運動の推定を、別のブロック71は弁または減衰器2〜5の制御に該当する。a)からb)への移行は、制動圧pBrake、アクセスペダル位置xEnginePedal=xEPの勾配またはトランスミッションのシフト過程によってトリガされ、ここでは3つすべての過程に対する程度が規定される(f)。b)からc)への移行は、予測されたピッチ速度が第1の半波の最大値に達した後に行われる。すべての減衰器ステージの硬め調節は、ロール振動が消失するまで維持される。そのための基準は、定常的縦加速度から求められる予測ピッチ速度a~である。定常的縦加速度a~を計算する際には、制動の場合a~xBrake=a~xBと加速の場合a~xAcceleration=a~xAが区別される。制動の場合には、メインシリンダ内の制動圧と縦加速度とが近似的に線形である。この事実関係は、線形特性曲線fの形のピッチ関数で利用される。さらにクラッチの状態Kならびにシフトされているギヤ段iが考慮される。
【0069】
加速の場合は、縦加速度が定常的運動量保存則によって求められる。
【数2】

【0070】
駆動力Fは、単純な仮定の下で機関トルクから空気抵抗および走行路抵抗を減算して計算される。
【数3】

ここでrdynはタイヤ半径、MEngine=Mは機関駆動トルク、iGear=iはトランスミション変速比、iDiffはディファレンシャルギヤの変速比、froll・m・gは転がり抵抗、ρair/2・c・A・Vは空気抵抗、そしてμ・Fは摩擦抵抗を表す。すべてのパラメータに対して定数が仮定される。転がり抵抗を計算するための重力配分は次のように求められる。
【数4】

ここでhCoGは車両重心の高さ、Lはホイールベース、そしてLRA、LFAは後車軸(RA)ないしは前車軸(FA)の車両重心までの間隔である。このために必要な縦加速度は、最後の計算サイクルから取り出すことができる(リアルタイムOS)。予測されたピッチ速度(θ')は状態モデルと縦加速度から入力として次のように計算される。
【数5】

ここで力学マトリクスと入力マトリクスは、車両横軸Yに関するハーフ車両モデルNをシミュレートする。制御は、上に記載した状態オートメーションの形で実現される。状態オートメーションは、制動圧の変化、アクセルペダルの変化またはシフトされているギヤ段の変化、ならびに予測されたピッチ速度の変化に応答する。調節命令は、各減衰器2〜5およびそれぞれの減衰器2〜5の各ステージに対して別個に、ピッチ励振に対する尺度から計算される。このピッチ励振に対する尺度は次のように計算される:
【数6】

【0071】
擬似パラメータ「励振」Eは、−1から+1に制限されており、このパラメータ自体はピッチ励振の百分率として定義される。車両制動圧の勾配ρ'Brakeならびにアクセルペダル行程の勾配x'GasPedalは正規化され、したがって絶対値はそれぞれ最大励振1に相当する。付加的に、シフト過程に関する情報が離散的関数によって考慮される。ここで状態オートメーションの調節命令は、減衰器の硬さの上昇比を表し、0は減衰器特性の最大ソフト調節を、1は最大ハード調節を意味する。調節命令の計算は、次の基本規則ベースから導かれたファジー特性曲線によって行われる。
【0072】
ピッチ励振がゼロであれば、すべての圧縮ステージおよびすべての引張りステージはパッシブに留まる。
【0073】
ピッチ励振が正であれば、圧縮ステージ前方がハード、引張りステージ後方がハードである。
【0074】
ピッチ励振が負であれば、圧縮ステージ後方がハード、引張りステージ前方がハードである。
【0075】
a)とb)の移行は、次の条件が発生した場合に行われる。
【数7】

【0076】
したがってa)からb)への移行をトリガするためには、ピッチ励振に対する尺度「励振」またはEが所定の閾値PExcitationを上回り、所定の縦速度PVxに達しなければならない。c)への移行は、予測されるピッチ速度が下降を開始する(ピッチ速度の緩和)場合に行われる。これは次式にしたがい求められる:
【数8】

【0077】
開始状態a)への移行は、ピッチ速度が消失すると行われる。そのために、予測されるピッチ速度の絶対値が所定の閾値と比較される。ピッチ速度がこの閾値より下に所定の時間留まれば、すべての減衰器ステージは開始状態a)に戻る。
【0078】
同様に本発明の方法は、ロール減衰のための車台制御にも適用することができ、これについては図9に基づき詳細に説明する。図9は、自動車61ならびに自動車61の縦軸Xを示す。上に説明したように、ロール減衰のために減衰器制御は3つの状態に分けられる:
d)減衰器2〜5が通常状態にある(減衰器制御は行われない)。
e)車両反対側の圧縮ステージと引張りステージを硬く調整する。
f)ロール運動がその方向を変化する前に残りのステージを硬く調整する。
【0079】
第2の状態e)への移行は、操舵角勾配が所定の閾値を上回ると直ちにトリガされる。e)からf)への移行は、予測されたロール速度φ'が第1の半波の最小値に達した後に行われる。すべてのステージの硬め調節は、ロール振動が消失するまで維持される。そのための基準は、定常的横加速度a~からハーフ車両モデルを用いて求められる予測ロール速度である。定常的横加速度は、前車軸における操舵角δFAと定常的車両ワントラックモデルからの特徴的速度Vchから次のように求められる。
【数9】

【0080】
予測されたロール速度は、状態モデルと横加速度から入力として次のように計算される。
【数10】

【0081】
ここで力学マトリクスと入力マトリクス(Aとb)は、長手軸Xに関するハーフ車両モデルWをシミュレートする。ロール関数全体の構造が図10に示されており、ここで関数は二つの別個のサブ関数に分離されている。ブロック72により予測が示されており、ブロック73により制御が示されている。ロール運動の予測により、減衰器2〜5の弁が、減衰器がロール運動により形成された力によって負荷される前に作動される。
【0082】
図7に示された状態オートメーションが、車体のロール運動に対して使用されている場合、操舵角δならびに予測されたロール速度に応答する。調節命令は、各減衰器2〜5および各ステージに対して別個に計算される。ここで調節命令は、減衰器の硬さの上昇比を表し、0は減衰器特性の最大ソフト調節を、1は最大ハード調節を意味する。調節命令の計算は、次の基本規則ベースから導くことのできるファジー特性曲線によって行われる。
【0083】
操舵角勾配がゼロであれば、すべての圧縮ステージおよびすべての引張りステージはパッシブに留まる(すなわちすべての減衰器ステージは標準特性を有する)。
【0084】
操舵角勾配が正であれば、圧縮ステージ左がハード、引張りステージ右がハードである。
【0085】
操舵角勾配が負であれば、圧縮ステージ右がハード、引張りステージ左がハードである。
【0086】
ロール関数用の状態オートメーションは、すでに述べたように、シーケンシャルに経過する3つの状態d)、e)、f)からなる。第1の状態d)は、制御の初期化である。第2の状態e)への移行は、ロール励振が識別されると行われる。これは以下の条件が満たされる場合である:
【数11】

【0087】
すなわち操舵角速度が所定の閾値を上回り、所定の車両縦速度に達しなければならない。第2の状態e)にあれば、ロール運動に対抗する車両側で圧縮ステージが硬くされる。同時に車両の他方の側で引張りステージが硬くされる。e)からf)への移行は、ロール速度の符合変化が識別されると行われる。これは次の条件によって識別される:
【数12】

【0088】
したがってロール速度の低下が、予測されたロール速度とその勾配の符合比較によって識別される。両方の符合は、所定の時間の間、異なっていなければならない(信号ノイズによるエラー識別を回避する)。
【0089】
第3の状態f)は、制動過程の場合と同じように、すべての減衰器ステージを完全に硬くすることを意味する。これにより、いずれのロール速度も最大に減衰されることが保証される。減衰器2〜5の標準調節d)への復帰は、推定されたロール速度が消失した後に行われる。この事実関係を識別するために、予測されるロール速度に対する幅が定義され、消失するロール速度はこの幅の中になければならない。さらに縦速度が小さい場合にはロール減衰も形成されない。なぜなら減衰器速度が小さいため、標準調節と硬め調節との相違は無視することができるからである。したがって所定の速度閾値を下回ると、すべての減衰器ステージが標準調節に復帰する。このための条件は、次のように規定される:
【数13】

【0090】
上記の関数は、運転者に走行快適性および軽快さの点で多数の利点を提供する。一つには、ロール運動の低減によってステアリング感覚と側方操作が改善される。なぜなら車両の固有操舵特性が改善され、ホイール垂直力の振動が最小になるからである。さらに、ピッチ振動の低減と、垂直加速度に対する感覚が減少することにより走行快適性が格段に改善される。さらにホイール負荷速度が低減されることにより、駆動特性と制動特性が改善される。車体の運動を測定するための付加的なセンサ、たとえば加速度センサまたはバネ行程センサは必要なく、その代わりに既存の信号が使用される。有利にはピッチ運動とロール運動からの両方の調節要求は、個々の減衰器に対して適切に、たとえば最大値演算子によって結合される。各経路は、それぞれの運動の予測と、減衰器アクチュエータへの調節要求の計算に分けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を担持する少なくとも一つの車輪縣架機構を有し、該車輪縣架機構は少なくとも一つの減衰器を備え、該減衰器は硬さが調整可能な引張りステージと、硬さが調整可能な圧縮ステージを有する自動車の車台制御方法であって、
所定の車体運動によって形成された減衰器の圧縮負荷のために、圧縮ステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、引き続き所定の車体運動によって形成された減衰器の引張り負荷のために、引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められ、または
所定の車体運動によって形成された減衰器の引張り負荷のために、引張りステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、引き続き所定の車体運動によって形成された圧縮負荷のために引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められる方法。
【請求項2】
減衰器は、圧縮ステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第1の弁と、引張りステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第2の弁を有し、
所定の車体運動によって形成される減衰器の圧縮負荷の前に、圧縮ステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第1の弁が切り換えられ、後続の圧縮負荷の間、引張りステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第2の弁が付加的に切り換えられ、または
所定の車体運動によって形成される減衰器の引張り負荷の前に、引張りステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第2の弁が切り換えられ、後続の引張り負荷の間、圧縮ステージの硬さを変化するために、とりわけ高めるために第1の弁が切り換えられる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および/または第2の弁を減衰器の硬さ調整のために切り換える際に、車体の全体運動および/または減衰器の局所運動が考慮される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
予想される車体の全体運動は、操舵角、ブレーキペダル位置、アクセルペダル位置、目標加速度、目標トルクおよび/または自動車の少なくとも一つの実際状態量に依存して推定される、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
車体の全体運動を引き起こす制動過程または加速過程が、ブレーキペダル位置および/またはアクセルペダル位置に依存して決定される、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
自動車が静止状態になる前の制動過程時に、自動車の後車軸の減衰器のそれぞれ第1の弁と前車軸の減衰器のそれぞれ第2の弁が、硬さを高めるために切り換えられ、
静止状態に達すると、自動車の後車軸の減衰器の第2の弁と前車軸の減衰器の第1の弁が、硬さを高めるために付加的に切り換えられる、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
車体の全体運動をトリガする曲線走行が、操舵角に依存して推定される、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
曲線走行を開始する際に、曲線の外側にある少なくとも一つの減衰器の第1の弁と、曲線の内側にある少なくとも一つの減衰器の第2の弁とが硬さを高めるために切り換えられ、
後続の曲線走行では、曲線の外側にある少なくとも一つの減衰器の第2の弁と、曲線の内側にある少なくとも一つの減衰器の第1の弁とが硬さを高めるために切り換えられる、ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1および/または第2の弁は、所定の閾値を上回って初めて硬さを高めるために切り換えられる、ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1および/または第2の弁が、所定の時間にわたって閾値に達しなければ硬さを減少するために切り換えられる、ことを特徴とする請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
減衰器の局所運動が、少なくとも一つの減衰器圧力に依存して決定される、ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
減衰器の局所運動は、減衰器の固定点における垂直運動である、ことを特徴とする請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
減衰器の局所運動が、減衰器力および/または圧力差から、とりわけ減衰器の特性曲線を考慮して計算される、ことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
減衰器力、および/または減衰器の上室の圧力と減衰器の下室の圧力との圧力差が決定される、ことを特徴とする請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
減衰器はシングルシリンダー減衰器であり、とりわけその減衰器行程が推定される、ことを特徴とする請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
減衰器の局所運動が高周波成分について、および/または車体の全体運動が低周波成分について評価される、ことを特徴とする請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
減衰器の局所運動と車体の全体運動から、それぞれ圧縮ステージと引張りステージに対する減衰器の硬さが決定される、ことを特徴とする請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
減衰器の局所運動からの減衰器の硬さと、車体の全体運動からの減衰器の硬さとが一つの全体減衰器の硬さに統合される、ことを特徴とする請求項1から17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか一項に記載の方法を実施するための、自動車(61)の車台制御装置であって、
当該装置は、車体(62)を担持する少なくとも一つの車輪縣架機構を有し、該車輪縣架機構には、硬さが調整可能な引張りステージと、硬さが調整可能な圧縮ステージを有する減衰器(2、3、4、5)が設けられており、
所定の車体運動によって形成された減衰器(2、3、4、5)の圧縮負荷のために、圧縮ステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、そして引き続き所定の車体運動によって形成された減衰器(2、3、4、5)の引張り負荷のために、引張りステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められ、または
所定の車体運動によって形成された減衰器(2、3、4、5)の引張り負荷のために、引張りステージの硬さが変化され、とりわけ高められ、そして引き続き所定の車体運動によって形成された減衰器(2、3、4、5)の圧縮負荷のために、圧縮ステージの硬さが付加的に変化され、とりわけ高められる装置。
【請求項20】
減衰器(2、3、4、5)は、圧縮ステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第1の弁と、引張りステージの硬さを調整するための少なくとも一つの第2の弁を有し、
所定の車体運動により形成される減衰器(2、3、4、5)の引張り負荷の前に第1の弁が変化のために、とりわけ圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられ、後続の圧縮負荷の間に第2の弁が変化のために、とりわけ引張りステージの硬さを高めるために切り換えられ、または
所定の車体運動により形成される減衰器(2、3、4、5)の引張り負荷の前に第2の弁が変化のために、とりわけ引張りステージの硬さを高めるために切り換えられ、後続の引張り負荷の間に第1の弁が変化のために、とりわけ圧縮ステージの硬さを高めるために切り換えられる、ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
減衰器(2、3、4、5)が評価ユニット(7)および/または少なくとも一つの圧力測定装置(6)を有し、および/または評価ユニット(7)により減衰器(2、3、4、5)の少なくとも一つの弁(10)の出力段(8)が調節される、ことを特徴とする請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
評価ユニット(7)が、車体の全体運動を推定する自動車の制御装置(12)とデータバス(11)を介して接続されている、ことを特徴とする請求項19から21までのいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−516803(P2012−516803A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548562(P2011−548562)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067965
【国際公開番号】WO2010/089007
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】