説明

自律走行作業車の制御装置

【課題】走行予定領域の境界と走行予定領域における作業車の位置を簡易な構成で検出するようにした自律走行作業車の制御装置を提供する。
【解決手段】原動機(電動モータ)と、原動機に接続される駆動輪と、作業機(ブレード)とを備え、走行予定領域を原動機を駆動して自律走行しつつ作業する自律走行可能な作業車の制御装置において、方位(地磁気)センサの出力に基づいて絶対方位を検出すると共に、磁気ネイル(磁石)に対する位置を検出し、磁気ネイルの埋設位置を座標で示す地図情報と検出された位置に基づいて走行予定領域における作業車の位置を検出し(S12,S20,S32)、検出される絶対方位と作業車の位置とYawセンサなどの出力に基づいて算出される進行方位と走行距離に基づき、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aでの作業を制御する(S10からS46)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自律走行作業車の制御装置に関し、より具体的には走行予定領域を自律走行して芝刈りなどの作業を行う自律走行作業車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行予定領域を自律走行して芝刈りなどの作業を行う自律走行作業車においては、走行予定領域の境界を検出する必要があることから、下記の特許文献1において境界上に磁石を埋設すると共に、それに感応するセンサを作業車に搭載して検出する技術が提案されている。
【0003】
特許文献2においては、境界に電線を埋設し、よって生じる磁界を作業車に搭載されたセンサで検出することで境界を検出する技術が提案されている。特許文献3においては、それら磁気誘導技術に加え、GPS信号を用いて作業車の位置を検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−239812号公報
【特許文献2】特開平8−286738号公報
【特許文献3】特許第3467136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2記載の技術によって走行予定領域の境界を検出することはできるが、作業性を向上させるためには走行予定領域における作業車の位置を検出するのが望ましい。そのため、特許文献3記載の技術にあってはGPS信号を用いているが、構成が複雑になると共に、コストアップを招くおそれもある。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、走行予定領域の境界と走行予定領域における作業車の位置を簡易な構成で検出するようにした自律走行作業車の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1にあっては、原動機と、前記原動機に接続される駆動輪と、作業機とを備え、走行予定領域を前記原動機を駆動して自律走行しつつ前記作業機を介して作業する自律走行作業車の制御装置において、前記作業車に搭載されると共に、前記走行予定領域に埋設された磁石に感応自在なx,y,z3軸の出力を有する地磁気センサと、前記作業車の重心位置のz軸回りに生じる角速度を検出する角速度センサと、前記作業車の駆動輪の車輪速を示す出力を生じる車輪速センサと、前記走行予定領域を規定すると共に、前記磁石の埋設位置を座標で示す地図情報を格納する地図情報格納手段と、前記地磁気センサの出力に基づいて絶対方位を検出すると共に、前記地磁気センサの出力に基づいて前記磁石に対する前記作業車の位置を検出し、前記検出された位置と前記地図情報に基づいて前記走行予定領域における前記作業車の位置を検出する絶対方位・位置検出手段と、前記角速度センサの出力に基づいて進行方位を算出すると共に、前記車輪速センサの出力に基づいて走行距離を算出する方位・距離算出手段と、前記検出される絶対方位と前記検出される走行予定領域における前記作業車の位置と前記算出される進行方位と前記算出される走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って前記走行予定領域における前記作業機を介しての作業を制御する作業制御手段とを備える如く構成した。
【0008】
請求項2に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記絶対方位・位置検出手段は、前記地磁気センサのz軸の出力をしきい値と比較し、比較結果に応じて前記絶対方位と前記磁石に対する前記作業車の位置のいずれかを検出する如く構成した。
【0009】
請求項3に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記絶対方位・位置検出手段は、前記地磁気センサのz軸の出力が前記しきい値を超えるとき、前記地磁気センサのx,y,z3軸の出力に基づいて前記磁石に対する前記作業車の位置を検出する如く構成した。
【0010】
請求項4に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記方位・距離算出手段は、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位に基づいて前記算出される進行方位を補正する如く構成した。
【0011】
請求項5に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記作業制御手段は、前記作業のとき、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位の方向に直進走行するように前記原動機の駆動を制御する如く構成した。
【0012】
請求項6に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記絶対方位・位置検出手段は、前記走行予定領域の磁場の変動を検出する磁場変動検出手段を備え、前記検出された磁場の変動に基づいて前記直進走行するときの指示値を補正する如く構成した。
【0013】
請求項7に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記作業制御手段は、前記直進走行のときに前記磁石を探索できないとき、旋回するように前記原動機の駆動を制御する如く構成した。
【0014】
請求項8に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、前記原動機が電動モータからなり、前記走行予定領域に前記電動モータに電力を充電可能な充電ステーションを備えると共に、前記充電ステーションが前記地図情報において基準位置に設定される如く構成した。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、走行予定領域を規定すると共に、磁石の埋設位置を座標で示す地図情報と、作業車に搭載されると共に、走行予定領域に埋設された磁石に感応自在なx,y,z3軸の出力を有する地磁気センサの出力に基づいて絶対方位と磁石に対する作業車の位置を検出し、検出された位置と磁石の埋設位置を座標で示す地図情報に基づいて走行予定領域における作業車の位置を検出し、角速度センサの出力に基づいて進行方位を算出すると共に、車輪速センサの出力に基づいて走行距離を算出し、よって得られる絶対方位と走行予定領域における作業車の位置と進行方位と走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域における作業機を介しての作業を制御するように構成したので、簡易な構成で走行予定領域の境界と走行予定領域における作業車の位置を検出でき、よって予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域における作業機を介しての作業を行うとき、作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができ、作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、絶対方位・位置検出手段は、地磁気センサのz軸の出力をしきい値と比較し、比較結果に応じて絶対方位と磁石に対する作業車の位置のいずれかを検出する如く構成したので、上記した効果に加え、絶対方位と磁石に対する作業車の位置を精度良く検出することができる。
【0017】
請求項3に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、絶対方位・位置検出手段は、地磁気センサのz軸の出力がしきい値を超えるとき、地磁気センサのx,y,z3軸の出力に基づいて磁石に対する作業車の位置を検出する如く構成したので、上記した効果に加え、磁石に対する作業車の位置を一層精度良く検出することができる。
【0018】
請求項4に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、方位・距離算出手段は、絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位に基づいて算出される進行方位を補正する如く構成したので、上記した効果に加え、走行予定領域の路面の凹凸や傾斜あるいは滑り、さらにはセンサ出力のサンプリング時間の制約などに起因して算出される進行方位に誤差が生じるときも、検出された方位で補正することで作業車の走行を一層適正に制御することができ、よって作業性を一層向上させることができる。
【0019】
請求項5に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、作業制御手段は、作業のとき、絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位の方向に直進走行するように原動機の駆動を制御する如く構成したので、上記した効果に加え、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域における作業機を介しての作業を行うとき、絶対方位の方向に直進走行、即ち、南北に直進走行させることで、一層作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができ、作業性を一層向上させることができる。
【0020】
請求項6に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、絶対方位・位置検出手段は、走行予定領域の磁場の変動を検出する磁場変動検出手段を備え、検出された磁場の変動に基づいて直進走行するときの指示値を補正する如く構成したので、上記した効果に加え、誤まった指示値を与えるのを回避することができ、一層作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができて作業性を一層向上させることができる。
【0021】
請求項7に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、作業制御手段は、直進走行のときに磁石を探索できないとき、旋回するように原動機の駆動を制御する如く構成したので、上記した効果に加え、磁石に対する作業車の位置を確実に検出することができる。
【0022】
請求項8に係る自律走行作業車の制御装置にあっては、原動機が電動モータからなり、走行予定領域に電動モータに電力を充電可能な充電ステーションを備えると共に、充電ステーションが地図情報において基準位置に設定される如く構成したので、上記した効果に加え、走行予定領域における作業車の位置を一層精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の第1実施例に係る自律走行作業車の制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1の作業車に搭載されるセンサ、電子制御ユニット、電動モータ(原動機)などの入出力関係を示すブロック図である。
【図3】図1の作業車が走行する走行予定領域を示す平面図である。
【図4】図1の作業車に配置される方位センサ(地磁気センサ)の3軸出力を示す波形図である。
【図5】図1に示す充電ST(ステーション)での充電を示す説明図である。
【図6】図5に示す充電STの構成を示すブロック図である。
【図7】図1の作業車に対するユーザの操作機器の構成を示すブロック図である。
【図8】図2に示す制御装置(電子制御ユニット)の動作を機能的に示すブロック図である。
【図9】図8に示す地図情報の説明図である。
【図10】図1の作業車の制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図11】図10フロー・チャートの磁気ネイル(磁石)の探索処理のサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
【図12】図1の作業車の制御装置によって検出される磁気ネイル(磁石)に対する作業車の位置関係を示す説明図である。
【図13】図11フロー・チャートの磁気ネイル(磁石)の検出処理のサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
【図14】この発明の第2実施例に係る自律走行作業車の制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図15】この発明の第3実施例に係る自律走行作業車の制御装置の走行予定領域を示す平面図である。
【図16】図15の走行予定領域における機器による方位センサの磁場歪を示す、図4と同様の波形図である。
【図17】第3実施例に係る作業車の制御装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図18】この発明の第4実施例に係る自律走行作業車の制御装置の走行予定領域の平面図である
【図19】この発明の第5実施例に係る自律走行作業車の制御装置を全体的に示す概略図である。
【図20】図19の作業車に搭載されるセンサなどの入出力関係を示すブロック図である。
【図21】図19の作業車の制御装置の走行予定領域の平面図である。
【図22】図19の作業車の充電ステーションの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に即してこの発明に係る自律走行作業車の制御装置を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1はこの発明の第1実施例に係る自律走行作業車の制御装置を全体的に示す概略図、図2はそれに搭載されるセンサ、電子制御ユニット、電動モータ(原動機)などの入出力関係を示すブロック図、図3は図1の作業車が走行する走行予定領域の平面図、図4は図1に示す方位センサ(地磁気センサ)の3軸出力を示す波形図、図5は図1に示す充電ステーションでの充電を示す説明図、図6は図5に示す充電ステーションの構成を示すブロック図、図7は図1の作業車に対するユーザの操作機器の構成を示すブロック図、図8は図2に示す電子制御ユニット(制御装置)の動作を機能的に示すブロック図、図9は図8に示す地図情報の説明図である。
【0026】
図1において、符号10は自律走行作業車(以下「作業車」という)を示す。図1と図2に示す如く、作業車10には走行用の電動モータ(原動機)12L,12Rが2基搭載される。
【0027】
電動モータ12L,12Rは作業車10のシャシ10aの後端側に取り付けられた左右の駆動輪14L,14R(左側のみ図示)に接続され、駆動輪14L,14Rを独立に正転(前進方向への回転)あるいは逆転(後進方向への回転)させる。
【0028】
作業車10のシャシ10aの前端側には左右の従動輪16L,16R(左側のみ図示)がステー10bを介して取り付けられる。シャシ10aの中央位置付近には、芝刈り作業用のブレード(ロータリブレード。作業機)20が取り付けられる。
【0029】
ブレード20は1基の作業用の電動モータ22に接続され、電動モータ22によって回転駆動される。ブレード20にはユーザの手動操作自在なブレード高さ調整機構24が接続される。
【0030】
ブレード高さ調整機構24はネジ(図示せず)を備え、そのネジをユーザが手で廻すことでブレード20の接地面GRからの高さが調整可能に構成される。シャシ10aには車体フレーム10cが取り付けられ、電動モータ12,22、ブレード20などは車体フレーム10cで被覆される。
【0031】
作業車10の後部には充電ユニット(AC/DC変換器を含む)26とバッテリ30が格納されると共に、フレーム10cには充電端子32が2個(後で図5に示す)後方に突出するように取り付けられる。
【0032】
充電端子32は充電ユニット26に、充電ユニット26はバッテリ30に配線(図示せず)を介して接続される。バッテリ30は配線(図示せず)を介して電動モータ12,22に接続される。
【0033】
このように、作業車10は4輪の電動式の無人の芝刈り作業車として構成され、例えば全長500mm、全幅300mm、高さ300mm程度の大きさを備え、図3に示す(作業エリアを含む)走行予定領域Aを走行するように構成される。
【0034】
図1の説明に戻ると、作業車10の前後端には障害物を検出するための超音波センサ34F,34Rが配置されると共に、車体フレーム10cには接触センサ36が取り付けられる。接触センサ36は、障害物や異物との接触によって車体フレーム10cがシャシ10aから外れるとき、オン信号を出力する。
【0035】
作業車10の中央位置付近には電子制御ユニット(Electronic Control Unit。制御装置。以下「ECU」という)40が配置される。より具体的には、ECU40はECU収納ボックス40aに収納された基板上に配置され、CPU,ROM,RAMなどを備えるマイクロコンピュータからなる。
【0036】
ECU収納ボックス40a内の基板上には、ECU40に近接して絶対方位(北)を示す出力を生じる(検出する)方位センサ42が配置される。図4に示す如く、方位センサ42はx,y,zの3軸の出力mx,my,mzを有する3軸構造の地磁気センサからなる。尚、図3において、x:作業車10の進行方向、y:それに直交する左右方向、z:それに直交する重力軸方向(紙面を貫く方向)である。
【0037】
またECU収納ボックス40a内の基板上には、方位センサ42に近接して作業車10の重心位置のz軸回りに生じる角速度(ヨーレート)を示す出力を生じる(検出する)Yawセンサ(角速度センサ)44と、作業車10に作用する前後方向(進行方向)加速度Gを示す出力を生じる(検出する)Gセンサ(加速度センサ)46が配置される。
【0038】
駆動輪14の付近には駆動輪14の車輪速を示す出力を生じる(検出する)車輪速センサ50が配置されると共に、作業車10には操作スイッチ(非常停止スイッチ)52がユーザの操作自在に設けられる。作業車10はユーザによって操作スイッチ52がオンされるとき、走行を停止する。
【0039】
上記した超音波センサ34、接触センサ36、方位センサ42、Yawセンサ44、Gセンサ46、車輪速センサ50、操作スイッチ52の出力は、ECU40に送られる。
【0040】
作業車10の車体フレーム10cは上面で大きく切り欠かれ、そこにディスプレイ54が設けられる。ディスプレイ54はECU40に接続され、ECU40の指令に応じて作業モードなどを表示する。
【0041】
前記したECU収納ボックス40aには受信アンテナ40bが取り付けられると共に、ECU収納ボックス40a内の基板上には、受信アンテナ40bに接続される無線機40cが配置される。ECU40には、盗難防止用の認証装置などが接続可能に構成される。
【0042】
ここで、図3に示す走行予定領域Aを説明すると、走行予定領域Aは図示のように略矩形状を呈し、そこには家屋60、充電ST(ステーション)62、作業エリア64などが配置される。走行予定領域Aの境界と家屋60の周囲には磁気ネイル(磁石)66が埋設される。
【0043】
磁気ネイル66は例えばフェライトなどの永久磁石からなり、図示のように#1から#10までの10個が走行予定領域Aと家屋60の境界に埋設される。方位センサ42は地磁気センサからなることから、磁気ネイル66に感応する。
【0044】
前記したように走行予定領域Aには充電ST62が配置され、図5に示す如く、作業車10は充電ST62と充電端子32を通じて接続され、充電ST62から充電されるように構成される。充電ST62は、図6に示す如く、商用電源70にコンセント72を介して接続される充電装置74を備える。
【0045】
充電装置74は、AC/AC変換器74aとAC/AC変換器74aの動作を制御するECU(電子制御ユニット)74bを備え、充電端子76を介して作業車10の充電端子32と接続可能に構成される。
【0046】
即ち、充電ST62において商用電源70からコンセント72を通じて送られる交流は充電装置74のAC/AC変換器74aで適宜な電圧に降圧され、作業車10が充電端子32,76を介して充電ST62に接続されたとき、作業車10に送られて充電ユニット26を介してバッテリ30に貯留されるように構成される。
【0047】
作業車10に対するユーザの操作機器として、図7に示す如く、パーソナルコンピュータ(PC)80と、それに接続される無線機82と、リモートコントローラ(リモコン)84が用意される。無線機82とリモートコントローラ84は送信アンテナ82a,84aを備え、作業車10に配置された受信アンテナ40bと無線機40cを介してECU40に操作指令を送信可能に構成される。
【0048】
図8に示す如く、ECU40は、走行予定領域Aを規定すると共に、磁気ネイル(磁石)66の埋設位置などを座標位置(x、y)で示す地図情報を格納する地図情報格納部40dと、方位センサ42の出力に基づいて絶対方位を検出すると共に、方位センサ42の出力に基づいて磁気ネイル66に対する作業車10の位置を検出し、検出された位置と地図情報に基づいて走行予定領域Aにおける作業車10の位置を検出する絶対方位・位置検出部40eと、Yawセンサ44(さらにはGセンサ46)の出力に基づいて作業車10の進行方位を算出すると共に、車輪速センサ50の出力に基づいて作業車10の走行距離を算出する方位・距離算出部40fと、検出される絶対方位と検出される走行予定領域Aにおける作業車10の位置と算出される進行方位と算出される走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aにおけるブレード(作業機)20を介しての作業を制御する走行(芝刈り作業)制御部40gと、超音波センサ34や接触センサ36の出力に基づいて異常を検知する異常検知部40hを備える。図9は地図情報格納部40dに格納される地図情報の説明図である。
【0049】
方位・距離算出部40fは具体的には、Yawセンサ44によって検出される角速度に基づいて進行方位を算出、必要に応じてGセンサ46の出力で算出された進行方位を修正する。
【0050】
走行制御部40gは、走行モータドライバ12aと作業モータドライバ22aを介して走行用の電動モータ12と作業用の電動モータ22の動作を制御して作業車10の走行を制御する。尚、走行制御部40gは、異常検知部40hによって異常が検知されたとき、あるいは操作スイッチ52がオンされたときは作業車10の走行を停止させる。
【0051】
図10はECU40の上記した動作を示すフロー・チャートである。
【0052】
以下説明すると、S10において充電ST62から予め定められた作業プログラムに従って走行(芝刈り作業)を開始する。図9に示す如く、地図情報では充電ST62の座標位置が原点(0,0)、即ち、基準位置に設定される。
【0053】
この作業プログラムは、図3に示す如く、走行予定領域Aの作業エリア64に設定される走行指示経路に従い、作業車10が検出される絶対方位の方向に直進走行、換言すれば南北に直進走行するように予め定められる。
【0054】
尚、図10に示す処理を行なう前に、走行予定領域Aの作業エリア64の芝の生育状況に応じ、ユーザによってブレード20の高さがブレード高さ調整機構24を介して手動で調整される。
【0055】
次いでS12に進み、磁気ネイル66を探索する。
【0056】
図11はその作業を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
【0057】
以下説明すると、S100において地図情報上で作業指示経路の末端に位置する2番目の磁気ネイル66、即ち、磁気ネイル#2の座標位置(方位)を検索する。
【0058】
次いでS102に進み、方位センサ42のz軸出力mzがしきい値mzlmtを超えるか否か判断する。尚、この実施例で使用される方位センサ42のz軸出力mzは、磁気ネイル66に接近するとマイナス方向の値を示すように特性が設定される。
【0059】
図11の説明を続ける前に、図4と図12を参照してこの実施例の特徴を説明すると、この実施例においては、ECU40は方位センサ42の出力に基づいて絶対方位(北)を検出すると共に、方位センサ42の出力に基づいて磁気ネイル66に対する作業車10の位置を検出し、検出された位置と地図情報に基づいて走行予定領域Aにおける作業車10の位置(絶対位置)を検出する。この「絶対位置」は走行予定領域Aにおいて座標位置のみで示される作業車10の位置を意味する。
【0060】
即ち、図4に示す如く、方位センサ42のx,y軸出力mx,myは作業車10の向き(旋回)によって大きく変化するが、z軸出力mzは走行予定領域Aの傾斜があるとき、その影響を多少受けるものの、作業車10の向き(旋回)によっては変化しない。従って、磁気ネイル66として比較的強い磁力を生じるタイプを用いることで、磁気ネイル66の埋設位置を検出することができる。
【0061】
さらに、発明者達は知見を重ねた結果、図4と図12に示す如く、z軸出力mzのL−pk(センサ出力のマイナス側ピーク(peak))が出現するとき、x,y軸出力mx,myの挙動に基づいて作業車10の磁気ネイル66への接近方向(磁気ネイル66に対する位置)も検出できることを見出した。
【0062】
即ち、発明者達は、mzのL−pk出現時、mx,my出力のピークあるいは出力の増減を探索することで、作業車10の磁気ネイル66への接近方向を検出できることを見出した。図12にその知見結果を示す。
【0063】
同図(a)は作業車10の磁気ネイル66への接近方向(位置)に応じた東西南北についてのセンサx,y,z軸出力、同図(b)は作業車10の磁気ネイル66への接近方向(位置)を示す説明図である。同図(b)においてL−pk:センサ出力のマイナス側ピーク、U−pk:センサ出力のプラス側ピーク、Up:センサ出力の上昇、Down:センサ出力の下降を示す。L−pkあるいはU−pk(peak。ピーク)発生時が、磁気ネイル66に最も接近した時点を示す。
【0064】
図4に示す如く、しきい値mzlmtは方位センサ42のmz出力のL−pkの発生を判別できる程度の値に設定される。
【0065】
図11フロー・チャートの説明に戻ると、S102で否定されるときはS104に進み、方位センサ42の出力(とGセンサ46の出力)に基づき、公知の手法に従って絶対方位、即ち、この実施例においては北を検出する。
【0066】
次いでS102に戻り、否定される限り上記の処理を繰り返す一方、肯定されるときはS106に進み、磁気ネイル66を検出する。
【0067】
図13はその作業を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
【0068】
以下説明すると、S200において方位センサ42のz軸出力mzがL−pk(図4に示す)と等しいか(あるいは略等しいか)否か判断する。
【0069】
S200で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS202に進み、方位センサ42のx,y,z軸出力mx,my,mzを図12(b)に示す6つのパターンと照合する。
【0070】
次いでS204に進み、方位センサ42の出力が6つのパターンのいずれかに該当するか否か判断する。
【0071】
S204で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS206に進み、磁気ネイル#n(この場合#2)を検出、換言すれば磁気ネイル#nへの接近方向の検出を通じて走行予定領域Aにおける作業車10の位置を検出したと判定する。
【0072】
図11フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS108に進み、検出された磁気ネイル#n(この場合#2)の上に作業車10を移動(走行)させる。即ち、該当の磁気ネイル66の上に位置させることで、走行予定領域Aにおける作業車10の位置を較正する。尚、作業車10が既に検出された磁気ネイル#nの上に位置しているときはS108の処理は省略する。
【0073】
図10フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS14に進み、検出された磁気ネイル#2上の位置からその右横に向けて僅かに移動し、右横に到達したと判断されるとS16に進み、その付近をN側作業端と設定し、作業車10を南に向けて旋回させて直進走行させる。
【0074】
ここで、作業車10の電動モータ22の制御について説明すると、左右の駆動輪14L,14Rは左右の電動モータ22L,22Rで独立して正逆両方向に駆動可能に構成されることから、左右の電動モータ22L,22Rを同一回転数で正転させると、作業車10は直進する一方、異なる回転数で正転させると、回転数が少ない方向に旋回する。
【0075】
尚、左右の電動モータ22L,22Rの一方を正転、他方を逆転させると、左右の駆動輪14L,14Rもその方向に回転することから、作業車10はその場旋回(いわゆる超信地旋回)することも可能である。
【0076】
次いでS18に進み、算出された走行距離に基づいて作業プログラムで予定される走行距離を走行したか否か判断し、肯定されるときはS20に進み、図11と図13の処理に従い、図3で#3と示す磁気ネイルを探索する。
【0077】
次いでS22に進み、磁気ネイル#3の右横に到達したことが確認されると、S24に進み、その付近をS側作業端と設定し、作業車10を北に向けて旋回させ、N側作業端に向けて直進走行させる。
【0078】
次いでS26に進み、作業プログラムで予定される走行距離を走行したか否か判断し、肯定されるときはS28に進み、南(S側作業端)に向けて旋回させる。図3に示す走行指示経路に従い、上記した処理を繰り返す。
【0079】
次いでS30で予定される走行距離を走行したか否か判断し、肯定されるときは図3において#4と示す磁気ネイル66の付近を通過し、#5と示す磁気ネイルの付近まで到達したと判断し、S32に進み、図11と図13の処理によって#5と示す磁気ネイルを探索する。
【0080】
次いでS34に進み、磁気ネイル#5の右横に到達したことが確認されると、S36に進み、その付近を新S側作業端と設定し、作業車10を北(N側作業端)に向けて旋回させる。
【0081】
次いでS38,S40,S42と同様の処理を繰り返し、算出される走行距離を積算して得た値などからS44で作業エリア64の終点に到達したと判断されると、S46で充電ST62に戻り、走行(作業)を終了する。
【0082】
以上述べた如く、第1実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、作業車10に搭載された、走行予定領域に埋設された磁石に感応自在なx,y,z3軸の出力を有する地磁気センサの出力に基づいて絶対方位と磁気ネイル66に対する作業車10の位置を検出し、検出された位置と磁気ネイル66の埋設位置を座標で示す地図情報に基づいて走行予定領域Aにおける作業車10の位置を検出し、Yawセンサ44の出力に基づいて進行方位を算出すると共に、車輪速センサ50の出力に基づいて走行距離を算出し、よって得られる絶対方位と走行予定領域Aにおける作業車10の位置と進行方位と走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aにおけるブレード20を介しての作業を制御するように構成したので、簡易な構成で走行予定領域の境界と走行予定領域における作業車の位置を検出でき、よって予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aにおけるブレード20を介しての作業を行うとき、作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができ、作業性を向上させることができる。
【実施例2】
【0083】
図14はこの発明の第2実施例に係る自律走行作業車10の制御装置の動作、より具体的には走行制御部40gの動作を示すフロー・チャートである。
【0084】
第2実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、ECU40は作業車10の走行制御において、Yawセンサ44の出力に基づいて算出される進行方位を、図11フロー・チャートのS104の処理によって検出される絶対方位に基づいて補正するようにした。
【0085】
即ち、走行予定領域Aは平坦とは限らず、路面の凹凸や傾斜あるいは滑りがあり得ると共に、Yawセンサ出力のサンプリング時間も制約があることから、それらに起因して算出される進行方位に誤差が生じることがある。第2実施例はそれに対策するようにした。
【0086】
以下説明すると、S300においてドライバ12aを介して電動モータ12に旋回指令を与え、S302に進んで作業車10を所望の角度分(1)(例えば30度)だけ旋回させる。
【0087】
次いでS304に進んで図11フロー・チャートのS104で説明した処理によって旋回した後の方位角(2)、即ち、絶対方位に対する作業車10の角度を算出する。
【0088】
次いでS306に進み、所望の角度分(1)と方位角(2)の差が誤差許容値α未満か否か判断し、肯定されるときは以降の処理をスキップする一方、否定されるときはS308に進み、不足分を算出し、S300に戻り、旋回指令値を補正する。
【0089】
以上述べた如く、第2実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、Yawセンサ44に基づいて算出される進行方位を、図11フロー・チャートのS104の処理によって検出される絶対方位で補正するように構成したので、走行予定領域Aの路面の凹凸や傾斜あるいは滑り、さらにはセンサ出力のサンプリング時間の制約などに起因してYawセンサ44の出力から算出される進行方位に誤差が生じるときも較正することができ、作業車10の走行を一層適正に制御することができ、作業性を一層向上させることができる。残余の構成と効果は第1実施例と異ならない。
【実施例3】
【0090】
図15はこの発明の第3実施例に係る自律走行作業車10の制御装置の走行予定領域を示す平面図、図16は機器による方位センサの磁場歪を示す図4と同様の波形図、図17は第3実施例に係る自律走行作業車10のECU40の動作を示すフロー・チャートである。
【0091】
図15に示す如く、走行予定領域Aにエアコンディショナの室外機などの磁場歪みを生じ得る機器90が存在する場合、方位センサ42の出力はその影響を受けて歪んでしまう。そこで、第3実施例においてはそれに対策するようにした。
【0092】
図17フロー・チャートを参照して説明すると、S400において走行(作業)を継続しながら、S402に進み、方位センサ42で検出される地磁気データに変化があるか否か判断する。
【0093】
S402で肯定されるときはS404に進み、旋回指示がなされていないか否か判断し、肯定されるときはS406に進み、磁場変動データがあるか否か、具体的には走行予定領域Aに磁場歪みを生じ得る機器90が存在するか否か判断する。
【0094】
S406で肯定されるときはS408に進み、地磁気データの変化分をキャンセル(削除)し、S410に進み、直進走行するときの電動モータ12への指示値を必要に応じて補正する。尚、S404あるいはS406で否定されるときはS412に進み、地磁気データを無視して方位センサ42の出力をそのまま使用する。
【0095】
以上述べた如く、第3実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、走行予定領域Aの磁場の変動を検出し、検出された磁場の変動に基づいて直進走行するときの指示値を補正する如く構成したので、上記した効果に加え、誤まった指示値を与えるのを回避することができ、一層作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができて作業性を一層向上させることができる。残余の構成と効果は第1実施例と異ならない。
【実施例4】
【0096】
図18はこの発明の第4実施例に係る自律走行作業車10の走行を示す走行予定領域Aの平面図である。
【0097】
第4実施例においては、目標とする磁気ネイル66までの予定距離を走行したものの、到達を検出できない場合、地図情報に基づき、作業エリア64を逸脱しない範囲で走行を変更するように構成した。
【0098】
例えば、図18に示す如く、電動モータ12への指示を直進走行から同心円を描くような旋回走行に変更し、目標とする磁気ネイル66を探索するようにした。探索後、作業車10の位置を検出して作業を継続する。
【0099】
尚、このような走行の変更が繰り返されたときは、作業を中断して充電ST62に帰還し、作業車10の絶対位置に差が生じているときは絶対位置を補正(較正)し、その後、作業に復帰する。また、必要に応じて地図情報の補正(較正)も行なう。
【0100】
以上述べた如く、第4実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、直進走行のときに磁気ネイル66を探索できないとき、旋回するように電動モータ12の駆動を制御する如く構成したので、上記した効果に加え、磁石に対する作業車10の位置を確実に検出することができる。残余の構成と効果は第1実施例と異ならない。
【実施例5】
【0101】
図19はこの発明の第5実施例に係る自律走行作業車10を全体的に示す概略図、図20はそれに搭載されるセンサなどの入出力関係を示すブロック図、図21は図19の作業車10が走行する走行予定領域Aの平面図、図22は充電ST62の構成を示すブロック図である。
【0102】
第5実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、図19から図21に示される如く、走行予定領域Aの境界にエリアワイヤ(電線)100を敷設すると共に、作業車10の前後に作業エリアセンサ(磁気センサ)102F,102Rを搭載し、特許文献2に開示されるような公知の手法に従って作業エリアセンサ102でエリアワイヤ100に生じる磁界を検出して走行予定領域Aの境界と認識するように構成した。
【0103】
図22に示す如く、充電ST62にあっては、充電装置74はエリア信号発生器74cを備える。エリア信号発生器74cは、エリアワイヤ100に交流を通電する(エリア信号を発生させる)。
【0104】
以上述べた如く、第5実施例に係る自律走行作業車10の制御装置にあっては、エリアワイヤ100と作業エリアセンサ102などを備えるように構成したので、走行予定領域Aの境界を一層確実に検知することができる。残余の構成と効果は第1実施例と異ならない。
【0105】
第1から第5実施例にあっては上記の如く、電動モータ(原動機)12と、前記電動モータ(原動機)12に接続される駆動輪14と、ブレード(作業機)20とを備え、走行予定領域Aを前記原動機を駆動して自律走行しつつ前記作業機を介して作業する自律走行作業車10の制御装置(ECU(電子制御ユニット)40)において、前記作業車10に搭載されると共に、前記走行予定領域Aに埋設された磁気ネイル(磁石)66に感応自在なx,y,z3軸の出力を有する方位センサ(地磁気センサ)42と、前記作業車10の重心位置のz軸回りに生じる角速度を検出するYawセンサ(角速度センサ)44と、前記作業車10の駆動輪14の車輪速を示す出力を生じる車輪速センサ50と、前記走行予定領域Aを規定すると共に、前記磁気ネイル66の埋設位置を座標で示す地図情報を格納する地図情報格納部(地図情報格納手段)40dと、前記方位センサ42の出力に基づいて絶対方位を検出すると共に、前記方位センサ42の出力に基づいて前記磁気ネイル66に対する前記作業車10の位置を検出し、前記検出された位置と前記地図情報に基づいて前記走行予定領域Aにおける前記作業車10の位置を検出する絶対方位・位置検出部(絶対方位・位置検出手段40e,S12,S20,S32,S100からS108,S200からS206)と、前記Yawセンサ44の出力に基づいて進行方位を算出すると共に、前記車輪速センサ50の出力に基づいて走行距離を算出する方位・距離算出部(方位・距離算出手段)40fと、前記検出される絶対方位と前記検出される走行予定領域Aにおける前記作業車10の位置と前記算出される進行方位と前記算出される走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って前記走行予定領域Aにおける前記ブレード20を介しての作業を制御する走行(芝刈り作業)制御部(走行(芝刈り作業)制御手段60g,S10からS46)とを備える如く構成したので、簡易な構成で走行予定領域の境界と走行予定領域における作業車の位置を検出でき、よって予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aにおける作業機を介しての作業を行うとき、作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができ、作業性を向上させることができる。
【0106】
また、前記絶対方位・位置検出部(絶対方位・位置検出手段)40eは、前記方位センサ42のz軸の出力をしきい値と比較し、比較結果に応じて前記絶対方位と前記磁気ネイル66に対する前記作業車10の位置のいずれかを検出する如く構成したので、上記した効果に加え、絶対方位と磁気ネイル66に対する作業車10の位置を精度良く検出することができる。
【0107】
また、前記絶対方位・位置検出部(絶対方位・位置検出手段)40eは、前記方位センサ42のz軸の出力mzが前記しきい値mzlmtを超えるとき、前記方位センサ42のx,y,z3軸の出力に基づいて前記磁石に対する前記作業車の位置を検出する如く構成したので、上記した効果に加え、磁気ネイル66に対する作業車10の位置を一層精度良く検出することができる。
【0108】
また、前記方位・距離算出部(方位・距離算出手段)40fは、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位に基づいて前記算出される進行方位を補正する如く構成したので、上記した効果に加え、走行予定領域Aの路面の凹凸や傾斜あるいは滑り、さらにはセンサ出力のサンプリング時間の制約などに起因してYawセンサ44の出力から算出される進行方位に誤差が生じるときも、検出された方位で補正することで作業車10の走行を一層適正に制御することができ、よって作業性を一層向上させることができる。
【0109】
また、前記走行(芝刈り作業)制御部(作業制御手段)40gは、前記作業のとき、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位の方向に直進走行するように前記電動モータ12の駆動を制御する如く構成したので、上記した効果に加え、予め定められた作業プログラムに従って走行予定領域Aにおけるブレード20を介しての作業を行うとき、絶対方位の方向に直進走行、即ち、南北に直進走行させることで、一層作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができ、作業性を一層向上させることができる。
【0110】
また、前記絶対方位・位置検出部(絶対方位・位置検出手段)40eは、前記走行予定領域Aの磁場の変動を検出する磁場変動検出手段(S406)を備え、前記検出された磁場の変動に基づいて前記直進走行するときの指示値を補正する如く構成したので、上記した効果に加え、誤まった指示値を与えるのを回避することができ、一層作業時間の短縮化や整然とした作業跡を実現することができて作業性を一層向上させることができる。
【0111】
また、前記走行(芝刈り作業)制御部(作業制御手段)40gは、前記直進走行のときに前記磁気ネイル66を探索できないとき、旋回するように前記電動モータ12の駆動を制御する如く構成したので、上記した効果に加え、磁気ネイル66に対する作業車10の位置を確実に検出することができる。
【0112】
また、前記原動機が電動モータ12からなり、前記走行予定領域Aに前記電動モータに電力を充電可能な充電ステーション62を備えると共に、前記充電ステーションが前記地図情報において基準位置(原点)に設定される如く構成したので、上記した効果に加え、走行予定領域Aにおける作業車10の位置を一層精度良く検出することができる。
【0113】
尚、上記において原動機として電動モータ12を用いたが、それに限られるものではなく、内燃機関など他の原動機であっても良い。また作業機として芝刈り作業用のブレード20を示したが、それに限られるものではない。さらに磁石として磁気ネイルを示したが、それ以外の磁石であっても良い。
【符号の説明】
【0114】
10 自律走行作業車(作業車)、12 電動モータ(原動機)、14 駆動輪、16 従動輪、20 ブレード(作業機)、22 電動モータ、24 ブレード高さ調整機構、26 充電ユニット、30 バッテリ、32 充電端子、34 超音波センサ、36 接触センサ、40 ECU(電子制御ユニット)、40a ECU収納ボックス、40b 受信アンテナ、40c 無線機、40d 地図情報格納部、40e 絶対方位・位置検出部、40f 方位・距離算出部、40g 走行(芝刈り作業)制御部、40h 異常検知部、 42 方位センサ(地磁気センサ)、44 Yawセンサ(角速度センサ)、46 Gセンサ(加速度センサ)、50 車輪速センサ、52 操作スイッチ(SW)、54 ディスプレイ、62 充電ST(ステーション)、66 磁気ネイル(磁石)、70 商用電源、72 コンセント、74 充電装置、76 充電端子、80 パーソナルコンピュータ、82 無線機、84 リモートコントローラ(リモコン)、90 機器、100 エリアワイヤ(電線)、102 作業エリアセンサ,A 走行予定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、前記原動機に接続される駆動輪と、作業機とを備え、走行予定領域を前記原動機を駆動して自律走行しつつ前記作業機を介して作業する自律走行作業車の制御装置において、前記作業車に搭載されると共に、前記走行予定領域に埋設された磁石に感応自在なx,y,z3軸の出力を有する地磁気センサと、前記作業車の重心位置のz軸回りに生じる角速度を検出する角速度センサと、前記作業車の駆動輪の車輪速を示す出力を生じる車輪速センサと、前記走行予定領域を規定すると共に、前記磁石の埋設位置を座標で示す地図情報を格納する地図情報格納手段と、前記地磁気センサの出力に基づいて絶対方位を検出すると共に、前記地磁気センサの出力に基づいて前記磁石に対する前記作業車の位置を検出し、前記検出された位置と前記地図情報に基づいて前記走行予定領域における前記作業車の位置を検出する絶対方位・位置検出手段と、前記角速度センサの出力に基づいて進行方位を算出すると共に、前記車輪速センサの出力に基づいて走行距離を算出する方位・距離算出手段と、前記検出される絶対方位と前記検出される走行予定領域における前記作業車の位置と前記算出される進行方位と前記算出される走行距離とに基づき、予め定められた作業プログラムに従って前記走行予定領域における前記作業機を介しての作業を制御する作業制御手段とを備えたことを特徴とする自律走行作業車の制御装置。
【請求項2】
前記絶対方位・位置検出手段は、前記地磁気センサのz軸の出力をしきい値と比較し、比較結果に応じて前記絶対方位と前記磁石に対する前記作業車の位置のいずれかを検出することを特徴とする請求項1記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項3】
前記絶対方位・位置検出手段は、前記地磁気センサのz軸の出力が前記しきい値を超えるとき、前記地磁気センサのx,y,z3軸の出力に基づいて前記磁石に対する前記作業車の位置を検出することを特徴とする請求項2記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項4】
前記方位・距離算出手段は、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位に基づいて前記算出される進行方位を補正することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項5】
前記作業制御手段は、前記作業のとき、前記絶対方位・位置検出手段によって検出される絶対方位の方向に直進走行するように前記原動機の駆動を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項6】
前記絶対方位・位置検出手段は、前記走行予定領域の磁場の変動を検出する磁場変動検出手段を備え、前記検出された磁場の変動に基づいて前記直進走行するときの指示値を補正することを特徴とする請求項5記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項7】
前記作業制御手段は、前記直進走行のときに前記磁石を探索できないとき、旋回するように前記原動機の駆動を制御することを特徴とする請求項5または6記載の自律走行作業車の制御装置。
【請求項8】
前記原動機が電動モータからなり、前記走行予定領域に前記電動モータに電力を充電可能な充電ステーションを備えると共に、前記充電ステーションが前記地図情報において基準位置に設定されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の自律走行作業車の制御装置。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図19】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2012−94123(P2012−94123A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204501(P2011−204501)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】