説明

艤装品の取付構造

【課題】カウルルーバ本体に蓋体を取り付けた場合であってもカウルルーバとエンジンルームとの気密性を確保し、しかも蓋体の取付け取外し作業を簡単に行うこと。
【解決手段】自動車のカウルルーバ1において、蓋体20を横断して配置された細長状のシール部材30の該蓋体20から外れた長さが短い方の端部と、該端部が配置されるカウルルーバ本体10との間に、一つの操作により両者を相対的に着脱可能とする嵌合手段が設けられており、該嵌合手段による着脱に伴って該蓋体20も取付け取外し可能な構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のアウターパネルに関して、リサイクル性や廃棄物処理などのいわゆる環境問題対策の観点から木や植物などの木質系材料を素材とするアウターパネルの提案が様々なされている。これに関連する技術として、例えば、特許文献1には木材を用いたパーティクルボードが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−235747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、木質系材料を素材として形成されたアウターパネルを用いた場合、自動車が雨や雪などに長い時間曝されると、アウターパネルが水を吸収し、アウターパネルがその厚さ方向に膨むことがある。アウターパネルが水を吸収しないようにする手段としては、アウターパネルに防水用の塗装を施すことが考えられる。しかし、塗装で対応する場合には、コスト高になる、作業上手間がかかる、という問題がある。また、アウターパネルの外面に力が加わって塗装面に損傷が生じると、損傷箇所からアウターパネル内に水が浸入する場合がある。したがって、塗装で対応する場合には、アウターパネルの膨張を完全には抑えることはできない。
【0005】
一方、艤装品をアウターパネルに取付ける際の一般的な取付構造が図8に示されている。図8は、この一般的な取付構造の断面の一部を破断させた側面を示す側面図である。図8では、アウターパネル10は、木質系材料を素材として形成されているものである。図8に示すように、艤装品20は、アウターパネル10及びインナーパネル30を挟んだ状態で両者に取付けられている。そして、アウターパネル10の図8で見て右側の端部は、インナーパネル30によって支持されており、インナーパネル30側への変位が規制された状態となっている。この図8に示した構造において、アウターパネル10がその厚さ方向(図8及び図9では、アウターパネル10の左端の矢印で示している)に膨らんだ状態を示したのが図9である。図9に示すように、アウターパネル10は、インナーパネル側への変位は規制されているため、インナーパネル側へは膨らまない。このため、アウターパネル10は外側方向(図8及び図9で見て下側方向)に膨らもうとする。しかし、アウターパネル10のうち、艤装品20との当接面16は艤装品20によって外側方向の変位が規制されている。このため、アウターパネル10が外側方向へ膨らもうとする力によって当接面16の近傍にはへこみが生じてしまう。したがって、木質系材料を素材として形成されたアウターパネルを用いたとき、このへこみ部分からアウターパネル10にしわやクラックが発生しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、アウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造において、木質系材料を素材として形成されたアウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネルにしわやクラックを発生しにくくする艤装品の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の発明は、自動車のアウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造であって、前記アウターパネルは、木質系材料を素材として形成されており、前記艤装品は、前記アウターパネルの外面と当接する艤装品本体と、前記アウターパネルの内面と当接する取付部とを備えており、前記艤装品本体と前記取付部との間に、前記アウターパネルが挟まれた構成となっており、前記艤装品本体の、前記アウターパネルと当接する外側当接面と、前記取付部の、該アウターパネルと当接する内側当接面のうち、いずれか一方の当接面は他方の当接面から離間する方向へ変位可能な構成となっていることを特徴とする艤装品の取付構造である。
ここで、本発明における「艤装品」とは、ターンランプやクリップなどの自動車のアウターパネルに取付ける部品全般のことを指している。
この第1の発明によれば、通常の状態では、艤装品は、艤装品本体と取付部によってアウターパネルを挟むことでアウターパネルに取付けられる。そして、通常の状態からアウターパネルがその厚さ方向に膨らだ状態になると、外側当接面または内側当接面のいずれか一方が、他方の当接面から離間する方向に変位する。このため、アウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であってもアウターパネルの膨らみを許容することができる。したがって、外側当接面または内側当接面の近傍にはへこみが生じにくくなる。これにより、アウターパネルにしわやクラックを発生しにくくすることができる。
【0008】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記艤装品は、前記アウターパネルのインナーパネル側への変位を規制するための規制部材を備えていることを特徴とする艤装品の取付構造である。
この第2の発明によれば、規制部材によってアウターパネルがしっかりと支持されるので、アウターパネルの外面に力が加わってもアウターパネルに生じるへこみが低減され得る。
【0009】
第3の発明は、自動車のアウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造であって、前記アウターパネルは、木質系材料を素材として形成されており、該アウターパネルの一部は、硬質構造で形成されるインナーパネルと重ね合わせた状態で設けられており、前記艤装品は、前記アウターパネルの一部の外面と当接するアウターパネル当接部と、前記インナーパネルの内面と当接するインナーパネル当接部とを備えており、前記アウターパネル当接部と前記インナーパネル当接部との間に、前記アウターパネル及び前記インナーパネルが挟まれた構成となっており、前記アウターパネル当接部の、前記アウターパネルの外面と当接する外側当接面は、前記インナーパネル当接部の、前記インナーパネルの内面と当接する内側当接面から離間する方向へ変位可能な構成となっていることを特徴とする艤装品の取付構造である。
この第3の発明によれば、通常の状態では、艤装品は、アウターパネル当接部とインナーパネル当接部によってアウターパネル及びインナーパネルを挟むことでアウターパネルに取付けられる。そして、通常の状態からアウターパネルがその厚さ方向に膨らむ事象が生じると、アウターパネルはその外側方向に膨らむ。これは、インナーパネルが硬質構造で形成されているため、アウターパネルの内側方向への膨らみは許容されないからである。アウターパネルがその外側方向に膨らんだ状態になると、外側当接面は内側当接面から離間する方向に変位する。このため、アウターパネルが外側方向に膨らんだ場合であってもアウターパネルの膨らみを許容することができる。したがって、外側当接面の近傍にはへこみが生じにくくなる。これにより、アウターパネルの外面にしわやクラックを発生させないようにすることができる。
【0010】
第4の発明は、前記第3の発明において、前記インナーパネルの内面と前記インナーパネル当接部との間には弾性部材が備えられており、該弾性部材は、該インナーパネルの内面から離間する方向に付勢することを特徴とする艤装品の取付構造である。
この第4の発明によれば、インナーパネルの内面とインナーパネル当接部との間にある弾性部材の弾性力によって、外側当接面は内側当接面から離間する方向に変位する。このため、アウターパネルはその外側方向への膨らみが許容される。これにより、外側当接面の近傍におけるへこみの発生が低減される。
【0011】
第5の発明は、前記第3の発明において、前記アウターパネルの外面と前記アウターパネル当接部との間には弾性部材が備えられており、該弾性部材は、該アウターパネルの外面から離間する方向に付勢することを特徴とする艤装品の取付構造である。
この第5の発明によれば、アウターパネルの外面とアウターパネル当接部との間にある弾性部材の弾性力によって、外側当接面は内側当接面から離間する方向に変位する。このため、アウターパネルはその外側方向への膨らみが許容される。これにより、外側当接面の近傍におけるへこみの発生が低減される。
【発明の効果】
【0012】
アウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造において、アウターパネルが木質系材料を素材として形成され、このアウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネルにへこみが生じにくくなる。したがって、アウターパネルにしわやクラックを発生させないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明における第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる艤装品の取付構造1が適用される自動車Cの外観を示す斜視図である。図2は、図1のA−A線断面において、その一部を破断した側面を示す側面図である。図1に示すように、第1の実施の形態にかかる艤装品の取付構造1では、前輪Tの上方にあるフェンダー用のアウターパネル10に艤装品20が取付けられる際に用いられるものである。この艤装品の取付構造1は、フェンダー用だけでなく、ドアパネル用、ボンネット用など自動車の様々な部分で使用されるアウターパネル10に適用可能なものである。なお、アウターパネル10の自動車内側方向(図2で見て上方向)には、鉄製のインナーパネル30が設けられている。
【0014】
まず、アウターパネル10の構造について説明する。アウターパネル10は、ケナフを素材として形成されている。ケナフは一年草の植物であり短期間で大量に栽培可能であることから、地球環境への負荷を低減できる効果がある。ケナフ以外の木質系材料としては、例えば、ヤシ、パーム、サイザル麻、マニラ麻、コウゾ、ヘンプ、ワラ、バガスなどを用いることができる。
また、アウターパネル10は、例えば、以下のような方法で作成することができる。まず、ケナフの茎から靭皮を採取し、この靭皮を解繊処理して得られるケナフ靭皮繊維とバインダ樹脂とを混合して成形用マットを作成する。次に、成形用マットに熱プレスを行うことで、ケナフを素材とするアウターパネル10を作成する。なお、バインダ樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0015】
次に、艤装品20の構造について説明する。図2に示すように、艤装品20は、アウターパネル外面10aと当接する艤装品本体22と、アウターパネル内面10bと当接する取付部24とを備えている。また、艤装品20は、アウターパネル10のインナーパネル側への変位を規制するための規制部材40を備えている。
【0016】
艤装品本体22は、ターンランプ機能を有する本体部22aと、アウターパネル外面10aと直接当接している基部22bとを備えている。本体部22aの内部には、電球、LEDランプなどが内装され、自動車の方向を指示する役割を果たす。そして、基部22bがアウターパネル外面10aと当接している面は、艤装品本体22の外側当接面52となっている。
【0017】
取付部24は、張り出して形成された取付片24aと、取付部24の中央部位から艤装品本体22に向かって筒形状に形成された取付胴部24bとを備えている。取付胴部24bは、アウターパネル10と規制部材40に形成された取付孔を貫通した状態で配置されている。取付胴部24bの周りには、アウターパネル10の厚さ方向に(図2で見て上下方向)に伸縮可能なスプリング27が備えられている(取付部24は、スプリング27を備えた構成となっている)。したがって、艤装品20は、スプリング27の伸縮分だけアウターパネル10の厚さ方向に変位可能な構成となっている。スプリング27の図2で見て上端は取付片24aと当接し、スプリング27の図2で見て下端は規制部材40と当接している。そして、スプリング27は、アウターパネル10の厚さ方向に付勢する構成となっている。
また、取付部24は、規制部材40を介してアウターパネル内面10bと当接している。すなわち、取付部24は、アウターパネル内面10bと間接的に当接しており、スプリング27と規制部材40との当接面が取付部24の内側当接面54となっている。
このように、アウターパネル10は、艤装品本体22と取付部24との間に挟まれる構成となっている。なお、第1の実施の形態では、艤装品本体22と取付部24は別々の部品とされ、艤装品本体22は、取付胴部24bと嵌合することができる構成となっている。これにより、艤装品20をアウターパネル10へ簡単に取付けることが可能となる。
【0018】
図2に示すように、規制部材40は、アウターパネル10とインナーパネル30との間に設けられている。規制部材40の中央部位には凹溝40aが形成されており、凹溝40aの底の部位はアウターパネル内面10bと直接当接する底部40bとなっている。そして、規制部材40は、底部40bの両端位置から立ち上がって形成された立設部40cと、立設部40cの図2で見て上端側から張り出して形成されたフランジ部40dを備えている。このフランジ部40dは、インナーパネル外面30aと当接する構成となっている。このような構成において、アウターパネル外面10aに外力が加わった場合には、底部40bで外力を受けることが可能となる。これにより、アウターパネル10はインナーパネル側への変位が規制されて、アウターパネルの外面にはへこみが生じにくくなる。
【0019】
次に、第1の実施の形態における艤装品の取付構造1の作用について説明する。
図3は、図2の状態からアウターパネル10がその厚さ方向(図2及び図3では、アウターパネル10の左端の矢印で示している)に膨らんだ状態を示す側面図である。すなわち、図2は通常の状態を示すものであり、図3はアウターパネル10がその厚さ方向に膨らんだ状態を示すものである。通常の状態において、アウターパネル10がその厚さ方向に膨らむ場合を考える。すると、アウターパネル10はインナーパネル側への変位が規制されているので、インナーパネル側への膨らみは規制される。したがって、アウターパネル10にはその外側方向に膨もうとする力が働く。この力は外側当接面52に作用し、スプリング27が縮むことで艤装品20はアウターパネル10の外側方向に変位する。すなわち、図3に示すように、アウターパネル外面10aと当接する外側当接面52は、アウターパネル内面10bと当接する内側当接面54から離間する方向へ変位する。これにより、アウターパネル10の外側方向への膨らみが許容される。したがって、アウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネル外面10aにはへこみが生じにくくなる。これにより、アウターパネルの外面には、しわやクラックを発生させないようにすることが可能となる。
【0020】
〔第2の実施の形態〕
以下、本発明における第2の実施の形態について詳細に説明する。
図4は、図2と同様に艤装品の取付構造1が適用される自動車の断面において、その一部を破断した側面を示す側面図である。図4に示すように、第2の実施の形態にかかる艤装品の取付構造1は、アウターパネル10とインナーパネル30が重ね合わせて形成されており、艤装品20がアウターパネル10とインナーパネル30とを挟んだ状態で取付けられるものである。このインナーパネル30は、通常の冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板などの鋼板で形成されている。
【0021】
図4に示すように、アウターパネル10は、インナーパネル30と空隙部Hを介して並列して設けられたアウターパネル本体11と、アウターパネル本体11の端部から立設して形成される立設部12と、図4で見て立設部12の上端から張り出し形成されたアウターパネル端部13とを備えている。また、アウターパネル本体11とインナーパネル30との間には空隙部Hが設けられているため、アウターパネル本体11に外力が加わると空隙部Hで吸収する構成となっている。これにより、アウターパネル外面10aに加わる衝撃を吸収しやすくなる。なお、アウターパネル10の構造については、第1の実施の形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0022】
次に、艤装品20の構造について説明する。図4に示すように、艤装品20は、アウターパネル外面10aと当接するアウターパネル当接部26と、インナーパネル内面30bと当接するインナーパネル当接部28とを備えている。すなわち、アウターパネル10とインナーパネル30はアウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28との間に挟まれる構成となっている。
【0023】
インナーパネル当接部28は、図4で見て上端側に位置する頭部28aと、頭部28aの中央部位からアウターパネル当接部26に向かって筒形状に形成された胴部28bと、頭部28aの両端からインナーパネル内面30bに向かって形成された弾性部28cとを備えている。胴部28bは、アウターパネル10とインナーパネル30に形成された取付孔を貫通した状態で配置されている。弾性部28cは、インナーパネル内面30bから離間する方向に付勢可能となっている。したがって、艤装品20は、弾性部28cが付勢する分だけアウターパネル10の厚さ方向(図4で見て下方向)に変位可能な構成となっている。また、弾性部28cの一端とインナーパネル内面30bとの当接面は、インナーパネル当接部28の内側当接面54となっている。なお、前記弾性部28cが、本発明における「弾性部材」に対応している。
【0024】
アウターパネル当接部26とアウターパネル外面10aとの当接面は、アウターパネル当接部26がアウターパネル外面10aと直接当接する外側当接面52となっている。
なお、第2の実施の形態では、アウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28は別々の部品とされ、アウターパネル当接部26は、インナーパネル当接部28の胴部28bと嵌合することができる構成となっている。これにより、艤装品20をアウターパネル10及びインナーパネル30へ簡単に取付けることが可能となる。
【0025】
次に、第2の実施の形態における艤装品の取付構造1の作用について説明する。
図5は、図4の状態からアウターパネル10がその厚さ方向(図4及び図5では、アウターパネル10の左端の矢印で示している)に膨らんだ状態を示す側面図である。すなわち、図4は通常の状態を示すものであり、図5はアウターパネル10がその厚さ方向に膨らんだ状態を示すものである。通常の状態において、アウターパネル10がその厚さ方向に膨らむ場合を考える。すると、アウターパネル端部13は、硬質構造のインナーパネル30によって支持されているのでインナーパネル側への膨らみは規制される。したがって、アウターパネル端部13(アウターパネル10)にはその外側方向に膨もうとする力が働く。この力は、アウターパネル外面10aと直接当接するアウターパネル当接部26に作用する。このとき、弾性部28cは、インナーパネル内面30aから離間する方向に付勢する。つまり、弾性部28cは、図5に示すように頭部28aから拡がるように変形すると共に、艤装品20は図5で見て下方向に変位する。そして、アウターパネル外面10aと当接する外側当接面52は、インナーパネル内面30bと当接する内側当接面54から離間する方向へ変位する。この外側当接面52の変位によりアウターパネル10の外側方向への膨らみが許容される。これにより、アウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネル外面10aにはへこみが生じにくくなる。したがって、アウターパネルの外面にしわやクラックを発生させないようにすることが可能となる。
【0026】
〔第3の実施の形態〕
以下、本発明における第3の実施の形態について詳細に説明する。
図6は、図2と同様に艤装品の取付構造1が適用される自動車の断面において、その一部を破断させた側面を示す側面図である。図6に示すように、第3の実施の形態にかかる艤装品の取付構造1は、アウターパネル10とインナーパネル30が重ね合わせて形成されており、艤装品20がアウターパネル10とインナーパネル30とを挟んだ状態で取付けられるものである。このインナーパネル30は、通常の冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板などの鋼板で形成されている。なお、アウターパネル10の構成と構造については、第2の実施の形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0027】
次に、艤装品20の構造について説明する。図6に示すように、艤装品20は、アウターパネル外面10aと当接するアウターパネル当接部26と、インナーパネル内面30bと当接するインナーパネル当接部28とを備えている。すなわち、アウターパネル10とインナーパネル30は、アウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28との間に挟まれる構成となっている。
【0028】
アウターパネル当接部26は、図6で見て下端側に位置する頭部26aと、頭部26aからインナーパネル当接部28に向かって筒状に形成された胴部26bと、頭部26aの両端からアウターパネル外面10aに向かって形成された弾性部26cとを備えている。胴部26bは、アウターパネル10とインナーパネル30に形成された取付孔を貫通した状態で配置されている。弾性部26cは、アウターパネル外面10aから離間する方向に付勢可能となっている。したがって、艤装品20は、弾性部26cが付勢する分だけアウターパネル10の厚さ方向(図6で見て下方向)に変位可能な構成となっている。また、弾性部26cの一端とアウターパネル外面10aとの当接面は、アウターパネル当接部26の内側当接面52となっている。
【0029】
インナーパネル当接部28とインナーパネル内面30bとの当接面は、インナーパネル当接部28がインナーパネル内面30bと直接当接する内側当接面54となっている。
なお、第3の実施の形態では、アウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28は別々の部品とされ、インナーパネル当接部28はアウターパネル当接部26の胴部26bに嵌合することができる構成となっている。これにより、艤装品20をアウターパネル10及びインナーパネル30へ簡単に取付けることが可能となる。
【0030】
次に、第3の実施の形態における艤装品の取付構造1の作用について説明する。
図6に示した状態において、アウターパネル10がその厚さ方向に膨らむ場合を考える。すると、アウターパネル10は、通常の冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板などの鋼板で形成されているインナーパネル30によって支持されているのでインナーパネル側への膨らみは規制される。したがって、アウターパネル10にはその外側方向に膨もうとする力が働く。この力は、アウターパネル外面10aと直接当接するアウターパネル当接部26の弾性部cに作用する。このとき、弾性部26cは、アウターパネル外面10aから離間する方向に付勢する。そして、アウターパネル外面10aと当接する外側当接面52は、アウターパネル内面10bと当接する内側当接面54から離間する方向へ変位する。この外側当接面52の変位によりアウターパネル10の外側方向への膨らみが許容される。したがって、アウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネル外面10aにはへこみが生じにくくなる。これにより、アウターパネルの外面にしわやクラックを発生させないようにすることができる。
【0031】
〔第4の実施の形態〕
以下、本発明における第4の実施の形態について詳細に説明する。
図7は、図2と同様に艤装品の取付構造1が適用される自動車の断面において、その一部を破断させた側面を示す側面図である。図7に示すように、第3の実施の形態にかかる艤装品の取付構造1は、アウターパネル10とインナーパネル30が重ね合わせて形成されており、艤装品20がアウターパネル10とインナーパネル30とを挟んだ状態で取付けられるものである。このインナーパネル30は、硬質構造をもつ鉄で形成されている。なお、アウターパネル10の構成と構造については、第2の実施の形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0032】
次に、艤装品20の構造について説明する。図7に示すように、艤装品20は、アウターパネル外面10aと当接するアウターパネル当接部26と、インナーパネル内面30bと当接するインナーパネル当接部28とを備えている。すなわち、アウターパネル10とインナーパネル30は、アウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28との間に挟まれる構成となっている。
【0033】
アウターパネル当接部26は、張り出して形成された頭部26aと、頭部26aの中央部位からインナーパネル当接部28に向かって筒状に形成された胴部26bとを備えている。胴部26bは、アウターパネル10とインナーパネル30に形成された取付孔を貫通した状態で配置されている。また、胴部26bの周りには、アウターパネル10の厚さ方向に(図7で見て上下方向)に伸縮可能なスプリング27が備えられている。スプリング27の図7で見て上端はアウターパネル外面10aと当接し、スプリング27の図7で見て下端は頭部26aと当接している。そして、スプリング27は、アウターパネル10の厚さ方向に付勢する構成となっている。なお、前記スプリング27が、本発明における「弾性部材」に対応している。
【0034】
また、アウターパネル当接部26は、スプリング27を介してアウターパネル外面10aと当接している。すなわち、スプリング27とアウターパネル外面10aとが当接している面は、アウターパネル当接部26がアウターパネル外面10aと間接的に当接する外側当接面52となっている。
なお、第4の実施の形態では、アウターパネル当接部26とインナーパネル当接部28は別々の部品とされ、インナーパネル当接部28は、アウターパネル当接部26の胴部26bと嵌合することができる構成となっている。これにより、艤装品20をアウターパネル10及びインナーパネル30へ簡単に取付けることが可能となる。
【0035】
次に、第4の実施の形態における艤装品の取付構造1の作用について説明する。
図7に示した状態において、アウターパネル10がその厚さ方向に膨らむ場合を考える。すると、アウターパネル10は、通常の冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板などの鋼板で形成されているインナーパネル30によって支持されているのでインナーパネル側への膨らみは規制される。したがって、アウターパネル10にはその外側方向に膨もうとする力が働く。この力は、アウターパネル外面10aと直接当接するスプリング27に作用する。この作用によって、スプリング27は、図7で見て下側方向に付勢する。このとき、外側当接面52は、スプリング27の弾性力によってインナーパネル内面30bと当接する内側当接面54から離間する方向へ変位する。すなわち、外側当接面52の変位によりアウターパネル10の外側方向への膨らみが許容される。したがって、アウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ場合であっても、アウターパネル外面10aにはへこみが生じにくくなる。これにより、アウターパネルの外面にしわやクラックを発生させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明が適用される自動車の外観を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における艤装品の取付構造を示す側面図である。
【図3】図2の状態からアウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ状態を示す側面図である。
【図4】第2の実施の形態における艤装品の取付構造を示す側面図である。
【図5】図4の状態からアウターパネルがその厚さ方向に膨らんだ状態を示す側面図である。
【図6】第3の実施の形態における艤装品の取付構造を示す側面図である。
【図7】第4の実施の形態における艤装品の取付構造を示す側面図である。
【図8】アウターパネルの一般的な取付構造を示す側面図である。
【図9】アウターパネルがその厚み方向に膨らんだ場合の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 艤装品の取付構造
10 アウターパネル
10a アウターパネル外面
10b アウターパネル内面
20 艤装品
22 艤装品本体
24 取付部
26 アウターパネル当接部
27 スプリング
28 インナーパネル当接部
30 インナーパネル
30a インナーパネル外面
30b インナーパネル内面
40 規制部材
52 外側当接面
54 内側当接面
C 自動車
H 空隙部
T 前輪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のアウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造であって、
前記アウターパネルは、木質系材料を素材として形成されており、
前記艤装品は、前記アウターパネルの外面と当接する艤装品本体と、前記アウターパネルの内面と当接する取付部とを備えており、
前記艤装品本体と前記取付部との間に、前記アウターパネルが挟まれた構成となっており、
前記艤装品本体の、前記アウターパネルと当接する外側当接面と、前記取付部の、該アウターパネルと当接する内側当接面のうち、いずれか一方の当接面は他方の当接面から離間する方向へ変位可能な構成となっていることを特徴とする艤装品の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の艤装品の取付構造であって、
前記艤装品は、前記アウターパネルのインナーパネル側への変位を規制するための規制部材を備えていることを特徴とする艤装品の取付構造。
【請求項3】
自動車のアウターパネルに取付けられる艤装品の取付構造であって、
前記アウターパネルは、木質系材料を素材として形成されており、該アウターパネルの一部は、硬質構造で形成されるインナーパネルと重ね合わせた状態で設けられており、
前記艤装品は、前記アウターパネルの一部の外面と当接するアウターパネル当接部と、前記インナーパネルの内面と当接するインナーパネル当接部とを備えており、
前記アウターパネル当接部と前記インナーパネル当接部との間に、前記アウターパネル及び前記インナーパネルが挟まれた構成となっており、
前記アウターパネル当接部の、前記アウターパネルの外面と当接する外側当接面は、前記インナーパネル当接部の、前記インナーパネルの内面と当接する内側当接面から離間する方向へ変位可能な構成となっていることを特徴とする艤装品の取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の艤装品の取付構造であって、
前記インナーパネルの内面と前記インナーパネル当接部との間には弾性部材が備えられており、該弾性部材は、該インナーパネルの内面から離間する方向に付勢することを特徴とする艤装品の取付構造。
【請求項5】
請求項3に記載の艤装品の取付構造であって、
前記アウターパネルの外面と前記アウターパネル当接部との間には弾性部材が備えられており、該弾性部材は、該アウターパネルの外面から離間する方向に付勢することを特徴とする艤装品の取付構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−83831(P2007−83831A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273959(P2005−273959)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】