説明

蒸気タービン用蒸気弁

【課題】高温高圧の蒸気条件で熱応力を抑制するとともに蒸気の漏洩を低減し、低コストに加えて安全性を向上する蒸気タービン用蒸気弁を提供する。
【解決手段】主流蒸気入口部及び主流蒸気出口部を有し、弁体を内包する第1の蒸気室と、該第1の蒸気室を内包する第2の蒸気室を備え、蒸気室を内、外、2重に構成し、且つ前記第1の蒸気室と第2蒸気室の間に空隙を設け、該空隙に冷却蒸気を流通せしめる手段を設けた蒸気タービンに供給される駆動用蒸気を制御する蒸気タービン用蒸気弁において、前記弁体を摺動自在に駆動する弁軸と、該弁軸の摺動範囲を支持するブッシュを備え、該ブッシュが前記空隙をもって分割されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンへの蒸気の流入を制御する蒸気タービン用蒸気弁に関し、特に、高温高圧の蒸気条件で熱応力を抑制するとともに蒸気の漏洩を低減し、低コストに加えて安全性を向上する蒸気タービン用蒸気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンに流入する蒸気を遮断する蒸気弁は、蒸気タービンと同様に重要な部分であって、弁を構成する耐熱材料と温度や圧力などの蒸気条件とは密接な関係がある。
従来、蒸気タービン発電プラントの高温部にはその大半に製造性や経済性に優れたフェライト系耐熱鋼が使用されている。しかし近年は、環境保全を背景とした火力発電設備の高効率化が積極的に進められ、600℃級程度の高温蒸気を利用した蒸気タービンが運転されており、このような蒸気タービンにおいてはフェライト系耐熱鋼の諸特性では要求を満足できない部品が少なからずあるため、より高温特性に優れた耐熱合金や耐熱合金鋼が使用されている場合もある。
【0003】
図4に一般的な蒸気タービンプラントの概略系統図を示す。図4において、高圧タービン50、中圧タービン52、低圧タービン54および発電機56の各軸は同一軸線上で連結され、軸系の振動に対する安定性を確保するようにしている。このような蒸気タービンプラントにおいて、ボイラ58で発生した主蒸気は主蒸気管76を通して高圧タービン50に送られて膨張仕事を行ったのち低温再熱管66を経て再熱器60に送られて再熱され、高温再熱管68を経て中圧タービン52に送られる。この中圧タービン52で仕事を行った蒸気はクロスオーバー管70を通って低圧タービン54に送られる。そしてこの低圧タービン54で仕事を行った蒸気は復水器72で復水されたのち、ボイラ給水ポンプ74によってボイラ58に還流するように構成されている。
【0004】
このように構成された蒸気タービン発電プラントにおいては、再熱蒸気条件が600℃以上の高温下での運転を想定した場合は、中圧タービンロータおよび中圧タービンケーシングにも、オーステナイト系耐熱合金や耐熱合金鋼製の部品素材の使用部位が拡大することは必至である。特に、ボイラ58にて発生した蒸気が直接作用する蒸気弁62,64は、600℃以上、700℃以上あるいはそれを超える高温且つ高圧の蒸気が流入されるため、非常に厳しい環境下での使用となる。
よって、蒸気タービン発電プラントを起動させると、前記蒸気弁には起動前の温度が低下した状態と比較してかなりの高温且つ高圧の蒸気が供給されることになり、蒸気弁の蒸気室(弁室)が急激に加熱され、蒸気室を形成するケーシングの内面と外面の大きな温度差により熱応力が発生してしまい、ケーシングのひび割れなどの損傷が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、上記したような熱応力の発生を出来るだけ抑えるために、特許文献1(特開第2005−048639号公報)や特許文献2(特開2007−192168号公報)のような蒸気弁の蒸気室を2重構造とし、この間に空間を形成する発明が開示されている。詳しくは、内側ケーシングと外側ケーシングの間に空隙を設け、圧力や温度が異なる蒸気を流すものである。この空隙に流通される蒸気により、前記内側ケーシングの内面と外面の温度勾配を減少させ、熱応力を抑えるものが知られている。
【0006】
また、内側ケーシングと外側ケーシングの間の空隙に流通させる蒸気として系外からの蒸気を用いた、特許文献3(特公平7−054089号公報)が示されている。特許文献3に開示される発明は、前記空隙間を暖気する蒸気を系外からもってくることにより起動前に予め暖気させ、起動時の熱応力を抑えるものである。
【0007】
【特許文献1】特開2005−048639号公報
【特許文献2】特開2007−192168号公報
【特許文献3】特公平7−054089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来技術では、弁軸を支持するブッシュが、2重構造の蒸気室を形成する、内、外のケーシングの各蓋体間も含む弁軸の摺動管であるので、内側蒸気室から高圧蒸気がリークしたとき大気に排出されてしまうおそれがある。
また、外側ケーシングの蓋体をボルト締めして取り付けるときに、前記蓋体とブッシュとの間に隙間ができ、ケーシングと弁軸の設計における偏りが生じてしまう。この隙間を塞ぐために例えば特許文献1ではパッキンを用いているがパッキンは消耗してしまうのでより信頼性のあるシール構造が望ましい。一方、内外のケーシングを形成する材質を蒸気条件によって選択して肉厚を薄くするとともに、熱応力を低減することも求められている。
【0009】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、高温高圧の蒸気条件で熱応力を抑制するとともに蒸気の漏洩を低減し、低コストに加えて安全性を向上する蒸気タービン用蒸気弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる目的を達成するもので、主流蒸気入口部及び蒸気出口部を有し、主流蒸気通路間に弁体を内包する第1のケーシングと、該第1のケーシングを内包する第2のケーシングを備え、前記第1のケーシングと第2のケーシングの間に空隙を設けて蒸気流路を形成し、該空隙に冷却蒸気を流通せしめる手段を設けた蒸気タービンに供給される駆動用蒸気を制御する蒸気タービン用蒸気弁において、
前記第1のケーシングと第2のケーシングとが異なる耐熱合金で形成されるとともに、前記弁体を摺動自在に駆動させる弁軸を支持するブッシュが前記第1、第2のケーシングの蓋体に設けられ、前記ブッシュが第1の蓋体と第2の蓋体の間の空隙をもって分割されていることを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、弁軸の摺動範囲を支持するブッシュが前記第1の蓋体と第2の蓋体の間の空隙で分割されて設けられているので、内側に位置する第1の蒸気室から高温高圧の主流蒸気(主蒸気や再熱蒸気)がリークしたとき、そのリーク蒸気は第2の蒸気室に流れる冷却蒸気へ排出され、大気中へは排出されず安全である。
【0012】
また、前記異なる耐熱合金として、例えば700℃級の主流蒸気が流入する第1のケーシングは、従来より用いられているCr−Mo−V鋼のようなフェライト系合金などの耐熱合金の使用が困難であるのでNi基合金を使用し、500℃〜600℃の冷却蒸気が流入する第2のケーシングは、従来の耐熱合金を使用する。なお、冷却蒸気は主流蒸気とは別系統より供給される。
このように、蒸気条件によって耐熱合金を選択した蒸気弁を形成することによりコストを低減することができるとともに、本発明における蒸気弁はケーシングにかかる熱応力を抑制してタービン停止過程の強制急冷、若しくは起動前のウォーミング時に第1のケーシングの内面を急激な温度変化から保護することが可能となる。
【0013】
また、前記第1、第2のケーシングの蓋体が夫々のケーシングと別体に形成されるとともに、前記蓋体を形成する耐熱合金が前記ケーシングと同一若しくは異なる種類の耐熱合金であることを特徴とする。
このように、前記第1、第2のケーシングの蓋体が夫々のケーシングと別体に形成することにより、ケーシングと弁軸の設計における偏りを防止することができる。また、蒸気条件によってケーシングとボンネットを形成する耐熱合金の選定の自由度が増し、直接高温高圧の蒸気に曝される部分にのみ限定して耐熱合金を使用することができる。
【0014】
また、前記第1のケーシング及びその蓋体がNi基合金で形成され、該第1のケーシングの外側に位置する前記第2のケーシング及びその蓋体がCrを含む耐熱合金で形成されることを特徴とする。
これにより、高価なインコネルのようなNi基合金の使用を極力減らし、冷却蒸気が流れる第2のケーシングについては従来のCr鋼のような耐熱材の使用を可能とすることができるため、低コスト化を実現することができる。
【0015】
また、前記第1、第2のケーシングと、該ケーシングに設けられる各蓋体との間に、蒸気の圧力により密閉性を確保するセルフシール機能を備えた自封式ガスケットを介在させたことを特徴とする。
従来より用いられている黒鉛渦巻きガスケットは、高温高圧の蒸気条件において使用困難であるが、かかる発明における前記自封ガスケットを用いることにより、700℃級の蒸気条件下でもシールの温度劣化を低減することができる。
【0016】
また、前記第1と第2のケーシングの間の少なくとも3箇所に、半径方向に摺動可能な位置決め機構が配置されることを特徴とする。
これにより、蒸気の温度差や圧力差により、前記第1のケーシングと第2のケーシングに変形が生じても、前記第1と第2のケーシングの同心を保つことができるので、前記第1の蓋体と第2の蓋体に分割されて配置されたブッシュの同心を保つことができる。
【発明の効果】
【0017】
かかる発明によれば、弁軸の摺動範囲を支持するブッシュが前記第1の蓋体と第2の蓋体の間の空隙で分割されて設けられているので、内側に位置する第1の蒸気室から高温高圧の主流蒸気(主蒸気や再熱蒸気)がリークしたとき、そのリーク蒸気は第2の蒸気室に流れる冷却蒸気へ排出され、大気中へは排出されず安全である。
また、前記第1、第2のケーシングの蓋体が夫々のケーシングと別体に形成することにより、ケーシングと弁軸の設計における偏りを防止することができる。また、蒸気条件によってケーシングとボンネットを形成する耐熱合金の選定の自由度が増し、直接高温高圧の蒸気に曝される部分にのみ限定して耐熱合金を使用することができ、高温高圧の蒸気条件で熱応力を抑制するとともに安価な蒸気弁を提供することができる。
さらに、前記自封ガスケットを用いることにより、700℃級の蒸気条件下でもシールの温度劣化を低減することができる。
また、前記第1と第2のケーシングの間に半径方向に摺動可能な位置決め機構が配置することにより、前記第1の蓋体と第2の蓋体に分割されて配置されたブッシュの同心を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る蒸気タービン用蒸気弁の断面図である。図1において、符号10で示される蒸気弁は、蒸気タービンに供給される駆動用蒸気を制御するための蒸気弁であり、弁体18を内包する内側ケーシング(第1ケーシング)8と、該内側ケーシングにより形成される内側蒸気室20と、内側ケーシング8を内包する外側ケーシング(第2ケーシング)6と、該外側ケーシング6と内側ケーシング8との間に区画形成される外側蒸気室30と、弁体18を摺動自在に駆動させる弁軸24と、該弁軸24を支持するブッシュ等によって構成される。
【0020】
さらに、内側蒸気室20に矢印Aで示される主流蒸気を導入する主流蒸気入口管12と、弁体18を通過した蒸気を矢印Bで示されるように排出する蒸気出口管14と、外側蒸気室30に矢印Cで示される冷却蒸気を主流蒸気とは別系統から流入させる冷却蒸気入口管16とが接続されている。
また、外側ケーシング6と接合される主流蒸気入口管12及び蒸気出口管14、内側ケーシング8と接合される弁体18には、シール機構がそれぞれ設けられており、36a,36bはグランドパッキン、38a,38bはシールリングを示す。
【0021】
また、弁座22の上流に形成される弁座前リーク管35は、本実施形態では、主流蒸気入口管12の近傍に設置され、冷却蒸気の漏れを回収できるようになっている。弁座後リーク管37も同様に、蒸気出口管14部分に設置され、冷却蒸気の漏れを回収できるようになっている。
【0022】
図1において、例えば図4に示される蒸気タービンプラントのボイラ5より主流蒸気入口管12を介して流入した蒸気は、内側蒸気室20内に入り、弁体18を弁座22に対して進退させることにより制御され、弁座22より上流に設置された蒸気中の異物を取り除くストレーナ34を通り、弁体18が弁座22と当接する弁体のシート面18sと弁座22との間を流れ、蒸気出口管14へと向かい蒸気タービンへ流れる。
本実施形態では、内側蒸気室20と外側蒸気室30とで蒸気室を2重構造とし、外側蒸気室にある程度の圧力及び温度を持った冷却蒸気(暖気用蒸気)を流すことにより、内側ケーシング8の肉厚を薄くすることが可能になり、低コスト化が図れる。また、前記冷却蒸気は起動前に予め流すことが可能であるので、起動時の内側ケーシング8の内面と外面の温度差を極力減少させることができ、起動時の熱応力を低減することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、ケーシングの蓋体である外側ボンネット2と内側ボンネット4は、それぞれのケーシングである外側ケーシング6と内側ケーシング8と別体に形成される構成とした。ボンネットをケーシングと別体にすることにより、ケーシングと弁軸の設計における偏りを低減することができる。なお、ケーシングは後からボルト締めしており、32は後述する位置決め機構である。
さらに、上記構成により冷却蒸気の蒸気条件をもとにケーシングとボンネットを設計することができる。即ち、蒸気条件によってケーシングとボンネットを形成する耐熱合金の選定することができ、例えば、内側は主流蒸気の700℃に対応できるインコネルとし、外側は500℃〜600℃に対応できるCr鋼とすることができる。
【0024】
また、弁軸24を円滑に摺動させる支持片であるブッシュを、外側ケーシング6と内側ケーシング8との間の空隙を介して分割し、図1の符号26,28で示されるように形成する構成とした。
ブッシュを分割することにより、内側蒸気室20から蒸気がリークしても矢印Dのようにリーク蒸気は前記空隙から外側蒸気室30へ排出され大気に排出されない。また、ブッシュ26,28は内側ケーシング8、外側ケーシング6にそれぞれ設けられているので、シール機構が不要になる。
なお、ブッシュ26,28はボンネットと同様に、蒸気条件によって耐熱合金の選定をすることができ、特に外側に位置するブッシュ28に関してはNi基合金ではなくCr鋼を用いることができるので、コストを低減することができる。
【0025】
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態で用いられるガスケットについて説明する。図2は本実施形態に係る自封式ガスケットの配置例を示す図であり、図1と同様の構成であるので図2中の部材に関してはその詳細な説明は省略する。
符号10で示される蒸気弁は、ケーシングとケーシングに設けられる蓋体との間に自封式のガスケット40a,40dを介在させている。そのうち、破線Xで囲まれるガスケット40aの拡大図を図3に示した。
【0026】
図3に示されるように、ガスケット40aは一体のリング状であり、内側ケーシング8と内側ボンネット4の間をシールする。図2で用いられるガスケット40a,40dは、蒸気の圧力により密閉性を確保するセルフシール機能を備えた自封式ガスケットであり、円が欠けた形状をなす。この欠けた穴を通って内圧がかかりシールされる。内圧は締めたときの圧力とかかってくるガスの圧力との両方で決まる。
このような自封式ガスケットは、ガスケットを取付けるための強度計算において、ガスケット係数及び最小設計締付圧力がゼロであり、シールするためにボルトなどの強度をあまり必要としないものである。
【0027】
次に、図5を用いて、本実施形態で用いられる位置決め機構について説明する。
図5は図1のY−Y断面を示す図であり、本実施形態に係る位置決め機構の構成例を示している。また、図1で示されているものと同一の構成については、同一符号を付している。
図5に示されるように、外側ケーシング6の内側に内側ケーシング8が配置され、内側ケーシング8は位置決め機構32によって位置決められている。また、位置決め機構32は内側ケーシング8の外周側に取り付けられた突起部32aと外側ケーシング6の内周側に取り付けられた保持部32b,32cからなり、突起部32aが保持部32b,32cによって挟まれ、円周方向の移動を制限しつつ、半径方向には摺動可能になっている。
位置決め機構32は、外側ケーシング6と内側ケーシング8の間の円周方向に少なくとも3箇所配置されている。これにより、外側ケーシング6や内側ケーシング8に蒸気の温度差や圧力差による変形が生じても、外側ケーシング6や内側ケーシング8の同心を保つことができるとともに、図1で示したブッシュ28とブッシュ26の同心を保つことができる。
なお、前述した位置決め機構32において、突起部32aが外側ケーシング6の内周側に取り付けられ、保持部32b,32cが内側ケーシング8の外周側に取り付けられていてもよく、特に限定されるものではない。
【0028】
なお、本実施形態では、ケーシングやボンネット、ブッシュだけでなく、蒸気弁10内に設置されるストレーナ34、弁体18、弁座22および弁軸24についても、従来より使用されている耐熱合金若しくは例えば9Cr−1MoNbV鋼のようなフェライト系耐熱鋼、高温特性に優れたオーステナイト系耐熱鋼、あるいはインコネル系のNi基合金を用いて構成されている。このような材質は物理的使用条件と経済的設備条件とから選択的に使用することができ、よって安価な蒸気弁を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、蒸気タービンへの蒸気の流入を制御する蒸気タービン用蒸気弁において、高温高圧の蒸気条件で熱応力を抑制するとともに蒸気の漏洩を低減し、低コストに加えて安全性を向上する蒸気タービン用蒸気弁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る蒸気タービン用蒸気弁の断面図である。
【図2】前記実施形態に係る自封式ガスケットの配置例を示す図である。
【図3】図2における部分詳細断面図である。
【図4】従来の蒸気タービンプラントの概略系統図である。
【図5】図1におけるY−Y断面を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
2 外側ボンネット(第2ボンネット)
4 内側ボンネット(第1ボンネット)
6 外側ケーシング(第2ケーシング)
8 内側ケーシング(第1ケーシング)
10 蒸気弁
12 主流蒸気入口管
14 蒸気出口管
16 冷却蒸気入口管
18 弁体
20 内側蒸気室
24 弁軸
26、28 ブッシュ
30 外側蒸気室
32 位置決め機構
32a 突起部
32b、c 保持部
40a、40d ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流蒸気入口部及び蒸気出口部を有し、主流蒸気通路間に弁体を内包する第1のケーシングと、該第1のケーシングを内包する第2のケーシングを備え、前記第1のケーシングと第2のケーシングの間に空隙を設けて蒸気流路を形成し、該空隙に冷却蒸気を流通せしめる手段を設けた蒸気タービンに供給される駆動用蒸気を制御する蒸気タービン用蒸気弁において、
前記第1のケーシングと第2のケーシングとが異なる耐熱合金で形成されるとともに、前記弁体を摺動自在に駆動させる弁軸を支持するブッシュが前記第1、第2のケーシングの蓋体に設けられ、前記ブッシュが第1の蓋体と第2の蓋体の間の空隙をもって分割されていることを特徴とする蒸気タービン用蒸気弁。
【請求項2】
前記第1、第2のケーシングの蓋体が夫々のケーシングと別体に形成されるとともに、前記蓋体を形成する耐熱合金が前記ケーシングと同一若しくは異なる種類の耐熱合金であることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用蒸気弁。
【請求項3】
前記第1のケーシング及びその蓋体がNi基合金で形成され、該第1のケーシングの外側に位置する前記第2のケーシング及びその蓋体がCrを含む耐熱合金で形成されることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用蒸気弁。
【請求項4】
前記第1、第2のケーシングと、該ケーシングに設けられる各蓋体との間に、蒸気の圧力により密閉性を確保するセルフシール機能を備えた自封式ガスケットを介在させたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用蒸気弁。
【請求項5】
前記第1と第2のケーシングの間の少なくとも3箇所に、半径方向に摺動可能な位置決め機構が配置されることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用蒸気弁。
【請求項6】
前記冷却蒸気は、主流蒸気とは別系統から供給されることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン用蒸気弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−43590(P2010−43590A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207440(P2008−207440)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】