説明

蛍光X線を用いたディッシングおよびティルティングの検出

【課題】 高分解能のマイクロ蛍光X線測定を実行するための、改善された方法およびシステムを提供する。
【解決手段】 試料の表面に適用された材料を試験する方法は、既知のビーム幅および強度断面を有する励起ビームを試料の領域に方向付けることを包含する。励起ビームに応答して領域から放射された蛍光X線の強度が測定される。測定された蛍光X線強度および励起ビームの強度断面に応答して、ビーム幅よりも微細な空間分解能で、領域内の材料の分布が概算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、非破壊試験に関し、特に半導体デバイスを作成する際に形成される薄膜層の試験の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスは、改善された技術および積極的なコスト目標を支えるために、継続的に向上している。集積回路(IC)は、ますます複雑になり、より多数の構成要素および機能を集積化している。半導体技術が向上するにしたがって、特徴的な構成要素のサイズおよび層の厚さは減少し、より多くの機能性をより小さなダイに収めることが可能になっている。同時に、競争の激しい消費者市場により、半導体メーカーに、ますます積極的なコスト目標を満たすことを強いられている。
【0003】
生産ライン内で半導体ウエハを試験する速度および質は、製造スループット、達成可能な収率、および完成製品の信頼性に、重要な影響をもつ。これらの要因はすべて、最終製品のコストに影響する。
【0004】
半導体ウエハの試験に使用される方法の1つは、蛍光X線(XRF)測定であり、具体的には、マイクロ蛍光X線(すなわち、狭く、集束した励起ビームを用いる蛍光X線)である。蛍光X線は、試料の元素組成を決定するための周知の技術である。XRFアナライザは、一般に、試料を照射するX線源と、照射に応答して試料から放射された蛍光X線を検出するためのX線検出器を包含する。試料中の各元素は、その元素に固有のエネルギーバンド内の蛍光X線を放射する。検出された蛍光X線は、解析されて、検出された光子のエネルギー、または対応するような波長が見出され、この解析に基づいて、試料の定性的および/または定量的組成が決定される。
【0005】
例えば、米国特許第6,108,398号は、XRFアナライザおよび試料を解析する方法を記載しており、その開示を参考として本明細書に組み込む。このアナライザは、試料のあるスポットに入射するX線ビームを発生させ、複数の蛍光X線光子を生成するX線ビーム発生器を包含する。半導体検出器のアレイが、蛍光X線光子を捕捉するように、スポットの周りに配置される。アナライザは、試料の解析に好適な電気的パルスを作り出す。
【0006】
半導体ウエハの試験にマイクロ蛍光X線を使用することは、米国特許第6,351,516号に記載されており、その開示を参考として本明細書に組み込む。この特許は、試料の表面上の凹部内における材料の蒸着および/または除去を試験する、非破壊方法について記載している。励起ビームは、試料の凹部近傍の領域に向けられ、その領域から放射された蛍光X線の強度が測定される。凹部内に蒸着された材料の量は、測定された強度に応答して決定される。
【0007】
マイクロ蛍光X線の別の応用例は、ランコズらの論文「パターン薄膜の定量的蛍光X線微量分析の研究」(Advances in X−ray Analysis、第43巻、1999年、497〜503ページ)に記載されており、これを参考として本明細書に組み込む。著者らは、平行マイクロビームを用いた蛍光X線微量分析の方法を記載している。この方法は、イオンスパッタリング技術によって作成された、薄膜の厚さおよび均一性を試験するのに適用される。
【特許文献1】米国特許第6,108,398号
【特許文献2】米国特許第6,192,103号
【非特許文献1】ランコズら(Lankosz et al.)著 論文「パターン薄膜の定量的蛍光X線微量分析の研究」第43巻、1999年、497〜503ページ(“Research in Quantitative X−ray Fluorescence Microanalysis of Patterned Thin Films,” Advances in X−ray Analysis、 volume 43, 1999, pages 497−503)
【非特許文献2】シンガー(Singer)著 「ディッシングに照準を合わせた銅CMP」(2004年10月)(“Copper CMP: Taking Aim at Dishing,”Semiconductor International(www.reed−electronics.com/semiconductor/)、October 2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在利用可能なマイクロ蛍光アナライザは、その能力が、数十ミクロンよりも小さな特徴的なサイズを有するフィーチャ(feature)を識別することに制限されている。後述するように、マイクロ蛍光アナライザでウエハの領域を走査する場合、得られるXRFプロファイル(すなわち、走査に沿った位置の関数としての蛍光X線強度)は、走査された領域の層厚さプロファイルを励起ビームの強度断面で畳み込んだものと見なしてもよい。したがって、XRFプロファイルの空間分解能は、X線励起ビームの有限のビーム幅によって制限される。標準的には、X線ビームは、約20ミクロンよりも小さなビーム幅には容易に集束させることができない。この制限は、標準的には、集束光学系の性能と、ビームの波長によって規定される臨界角によるものである。
【0009】
多くの実際の応用例では、標準的には数ミクロン単位のより良好な分解能で、XRF走査を実行することが望ましい。そのような1つの応用例は、半導体ウエハ製造プロセスにおけるプロセス不良の検出である。半導体ウエハは、50〜100ミクロン単位の特徴的なサイズを有する、導体パッドおよびヴィア(via)などの、金属フィーチャを含んでいる。ウエハの加工形成中に時々生じるいくつかの既知の不良は、導体パッドまたはヴィアの表面からの、金属の望ましくない除去によって特徴付けられる。「ディッシング」および「ティルティング」と称されるこれらの侵食効果は、数ミクロンの特徴的なサイズを有する顕著な幾何学パターンを備えたウエハの金属面を形作る。以下に説明されるように、従来のXRFアナライザは、標準的には、これらの侵食パターンを識別し測定するのに十分な空間分解能を有さない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、高分解能のマイクロ蛍光X線測定を実行するための、改善された方法およびシステムを提供する。これらの実施形態は、ビームの既知の強度断面関数を考慮に入れることにより、使用されるX線励起ビームのビーム幅よりもはるかに良好な空間分解能を提供する。
【0011】
一実施形態では、半導体ウエハの表面上の導体パッド(contact pad)は、従来のマイクロ蛍光アナライザを使用して走査され、パッドの測定XRFプロファイルが作成される。模擬パッドプロファイルおよび励起ビームモデルが畳み込まれ、模擬XRFプロファイルが作成される。模擬パッドプロファイルおよびビームモデルのパラメータは、得られる模擬XRFプロファイルが測定XRFプロファイルに適合するまで、反復最適化プロセスを用いて共に最適化される。最適化に続いて、プロセッサは、最適化された模擬パッドプロファイルから、走査されたパッドにおけるディッシングおよびティルティング効果の定量的概算値を抽出する。
【0012】
マイクロ蛍光アナライザは、このようにして、半導体ウエハ中のディッシングおよびティルティング効果を検出し、識別し、かつ定量化する開示の方法によって提供される、優れた空間分解能を使用する。開示される方法およびシステムは、半導体メーカーに、製造プロセス中で起こり得る不良に関する重要な情報を提供している。
【0013】
したがって、本発明の一実施形態によれば、試料の表面に適用された材料を試験する方法であって、
既知のビーム幅および強度断面を有する励起ビームを、試料の領域上に方向付け、
励起ビームに応答して領域から放射される蛍光X線の強度を測定し、
蛍光X線の測定強度、ならびに励起ビームの強度断面に応答して、ビーム幅よりも微細な空間分解能で領域内における材料の分布を概算することを包含する方法が提供される。
【0014】
開示される一実施形態では、試料は半導体ウエハを包含し、領域はウエハ上の金属で充填されたフィーチャを包含し、かつ分布を概算することは、フィーチャ内の欠陥を識別することを含む。加えてまたは別の方法として、欠陥は、ディッシング効果およびティルティング効果の少なくとも1つを包含する。
【0015】
別の実施形態では、励起ビームを方向付けることが、表面上のフィーチャ全体にわたってビームを走査することを包含し、強度を測定することは、走査されたフィーチャの測定XRFプロファイルを作成することを包含する。加えてまたは別の方法として、強度を測定することは、測定XRFプロファイルからバックグラウンドノイズを減算することを包含する。
【0016】
さらに別の実施形態では、分布を概算することが、模擬XRFプロファイルを作成するために、フィーチャの模擬プロファイルと、励起ビームの強度断面を表すビームモデルとの間の畳み込みを計算することを包含する。加えてまたは別の方法として、ビームモデルは少なくとも1つのガウス関数を包含する。
【0017】
さらに別の開示される実施形態では、分布を概算することが、模擬XRFプロファイルを測定XRFプロファイルに適合させることを包含する。加えてまたは別の方法として、模擬プロファイルを適合させることは、フィーチャの模擬XRFプロファイルに対して反復最適化プロセスを適用することを包含する。さらに加えてまたは別の方法として、反復プロセスを適用することが、測定XRFプロファイルと模擬XRFプロファイルとの差を定量化するために、性能指数(FOM)関数を計算することを包含する。別の実施形態では、反復プロセスを適用することが、遺伝的アルゴリズム(GA)を適用することを包含する。
【0018】
開示される実施形態では、概算された分布の空間分解能がビーム幅の半分よりも微細である。
【0019】
また、本発明の一実施形態によれば、試料の表面に適用された材料を試験する装置であって、
既知のビーム幅および強度断面を有する励起ビームを、試料の領域上に方向付けるように結合された放射源と、
励起ビームに応答して領域から放射される蛍光X線の強度を測定するように結合された検出器のアレイと、
蛍光X線の測定強度、ならびに励起ビームの強度断面に応答して、ビーム幅よりも微細な空間分解能で領域内における材料の分布を概算するように構成されたプロセッサとを包含する装置が提供される。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、試料の表面に適用された材料を試験するためのコンピュータソフトウェア製品であって、製品はプログラム命令が格納されたコンピュータ可読媒体を包含し、命令が、コンピュータで読み出されたときに、励起ビームの強度断面をコンピュータに受け取らせ、励起ビームが、試料の領域を励起し、励起ビームに応答して領域から放射された蛍光X線の強度の測定値を受け取り、また、蛍光X線の強度の測定値ならびに励起ビームの強度断面に応答して、ビーム幅よりも微細な空間分解能で領域内における材料の分布を概算するのに使用される、コンピュータソフトウェア製品が提供される。
【0021】
本発明は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことで、より完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態に従った、マイクロ蛍光X線アナライザ20の概略図である。アナライザ20の態様は、上記に引用した米国特許第6,108,398号に詳細に記載されている。アナライザ20は、後述する方法を用いてウエハ加工形成プロセスにおける不良を識別するために、試料22、標準的には半導体ウエハを検査するように構成される。
【0023】
アナライザ20は、標準的には、当該技術分野では既知のように、高圧電源26によって駆動されるX線管24を備える。X線管は、X線光学系28内に、好適なエネルギー範囲および電力束を有するX線を放射する。光学系は、標準的にはポリキャピラリアレイを含む。光学系28は、標準的には直径20ミクロン単位のスポットである、試料22表面の小さな領域30上に、X線ビームを集束させる。照射された領域は蛍光X線を放射し、そのX線は、領域30の周りに配置され、そこに向かって斜めにされた検出器32のアレイで捕捉される。検出器32は、捕捉された光子に応答して電気的信号を発生させ、それがプロセッサ34に伝えられる。
【0024】
あるいは、いずれかの好適な励起源、電源、集束光学系、および検出システムを備える、当該技術分野で既知の他のタイプの蛍光アナライザを、本明細書に記載の方法を実施するために使用してもよい。
【0025】
当該技術分野では既知のように、プロセッサ34は、標準的には、検出器で捕捉されたX線光子の強度スペクトルを決定する、エネルギー分散方式パルス処理システムを備える。あるいは、波長分散方式検出および処理システムが使用されてもよい。管24からのX線で励起された照射領域内にある化学元素はそれぞれ、固有スペクトル線でX線を放射する。所定の元素の固有スペクトル線の強度は、領域30内にあるその元素の質量に比例する。したがって、プロセッサ34は、割り出された強度スペクトルを用いて、領域30の範囲内に特定の材料がどれだけ存在するかを決定する。
【0026】
後述する解析機能の目的のため、プロセッサ40は、標準的には、好適なソフトウェアの制御下でそれらの機能を実行する、汎用コンピュータプロセッサを含む。このソフトウェアは、電子的形態で、例えばネットワーク上でプロセッサにダウンロードされてもよく、あるいは別の方法として、光学メモリ、磁気メモリ、または不揮発性電子メモリなどの、実体のある媒体で提供されてもよい。さらに別の方法として、後述する機能は、専用ハードウェアロジックで、またはハードウェア要素とソフトウェア要素の組み合わせを使用して、実施されてもよい。
【0027】
図1に示されるように、アナライザ20は、試料22上の領域30を検査するのに使用される。一実施形態では、試料をX線ビームに対して移動することが可能になるように、試料は、X−Yステージ35などの可動プラットホームに載置される。あるいは、試料は好適な固定の取付具の上に載置され、一方で、X線ビームが試料を走査できるように、管24、光学系28、検出器32が移動される。走査は、標準的には、直線の走査線をたどって所定の座標範囲全体にわたって実行される。走査の結果は、走査線に沿った位置の関数として特定の材料の定量分布(換言すれば、厚さ)を示す、測定XRFプロファイルである。
【0028】
ディッシングおよびティルティング効果
図2は、一般的なディッシング効果を示す、試料22、本実施例では半導体ウエハの一部を概略的に示す図である。標準的なウエハ加工形成プロセスでは、ウエハは、シリコン基板42上に形成された、標準的には二酸化シリコンを含む誘電体層40を含む。導電体のためのヴィア、トレンチ、および導体パッドのための凹部などのフィーチャは、フォトリソグラフィプロセスによって層40に形成される。これらのフィーチャは、導電材料、標準的には銅で充填される。フィーチャに銅を充填する前処理として、銅が誘電体層に入り込むのを防ぐために、層40の上にまずバリア層44が蒸着される。バリア層は、標準的にはタンタルを含む。次いで、フィーチャの残りの容積に、銅充填物46が充填される。このプロセスは、本発明のいくつかの実施形態の操作を理解する助けとして、一例としてここに記載される。しかしながら、本発明の原理は、他のタイプの材料およびプロセスで生じるディッシング効果を検出するのに同様に適用されてもよい。
【0029】
異なる層の蒸着に続いて、試料22に、標準的にはCMP(化学機械研磨)プロセスを含む、平坦化プロセスが施される。このプロセスでは、試料は、ウエハから余分な銅を除去する研磨パッドを用いて研磨される。研磨プロセスでは、標準的には、研磨粒子を含む研磨スラリーを使用する。CMPプロセス中に除去される材料の量は、研磨パッドによってかけられる圧力、スラリーの研磨特性、ならびにウエハ表面上の銅の異なるパターンに依存する。
【0030】
研磨パッドまたはスラリーが、ヴィアまたは導体パッド内から銅充填物の一部を除去する場合、研磨プロセス中に、ディッシング効果が生じることがある。この過剰な銅の除去により、特徴的な皿状のくぼみが作られ、よって「ディッシング」という名がある。当然ながら、ディッシングは、より大きな銅表面を有するフィーチャにおいて、より顕著である。導電ラインなどのより狭いフィーチャは、ディッシングの影響を受けにくい。CMPプロセスのいくつかの態様、ならびにディッシングおよび他の侵食効果の説明は、シンガーによる文献「ディッシングに照準を合わせた銅CMP」(Semiconductor International(www.reed−electronics.com/semiconductor/)、2004年10月)にも記載されており、これを参考として本明細書に組み込む。
【0031】
図2を参照すると、ウエハは、適切に研磨された導体パッド50を含む。バリア層およびパッド50の銅充填物は、誘電体層40の表面と同一平面にある。一方で、導体パッド52は顕著なディッシング効果を示している。銅充填物の大部分、ならびにバリア層材料の一部は、研磨プロセスによって望ましくなく除去されている。導体パッドの群54は、さらにより重度の効果を示している。個々のパッドのディッシングに加えて、群54では、誘電体層40も顕著な侵食を受けている。
【0032】
図3Aは、本発明の一実施形態にしたがって測定されるディッシング効果の特性を概略的に示す図である。パッド52の銅充填物の皿形状を図に見ることができ、ここで、Tはパッド縁部における銅の厚さを表し、Tはパッド中心における銅の厚さを表す。パッドのディッシングは、D=(T−T)/Tとして定量的に定義される。銅の厚さプロファイルは、標準的には、xをパッド中心からの水平距離とする放物線関数T(x)=T・(1+Dx)としてモデル化される。
【0033】
平坦化プロセスのさらなる望ましくない効果は「ティルティング」と呼ばれ、標準的には、研磨パッドによって導体パッドまたはヴィアにかけられる不均一な圧力に起因する。そのようなヴィアまたは導体パッドの表面は、平坦であるが、誘電体層40の表面に対して対角線上に傾斜している。
【0034】
図3Bは、本発明の一実施形態にしたがって測定される導体パッドのティルティング効果を概略的に示す図である。銅充填物の傾斜形状を図に見ることができ、ここで、T、T、およびTはそれぞれ、パッドの左側縁部、中心、および右側縁部の銅の厚さを表す。パッドのティルティングは、Tilt=(T−T)/Tとして定量的に定義される。
【0035】
場合によっては、導体パッドがディッシングおよびティルティングの両方を受けることがある。そのような場合、例えば図4Bによって以下に示されるように、パッドプロファイルは、標準的には、T(x)=T・[1+(Tilt/2)・x+Dx]で与えられる放物線形状としてモデル化される。この場合、銅は、パッドの左側縁部および右側縁部で異なる厚さを有する。
【0036】
上述の図3Aおよび3Bの幾何学的な説明、ならびに本願全体にわたる他の幾何学的な説明は、概念を明瞭にするため、1つの軸のみに沿ったディッシングおよびティルティング効果を例証する。実際には、これらの効果は、標準的には2次元表面全体にわたってパッドおよびヴィアを侵食する。
【0037】
ディッシング/ティルティングの検出方法
上述したように、現在利用可能なマイクロ蛍光測定方法の主な制限は、その制限された空間分解能である。制限された分解能は、標準的には、励起ビームの、したがって試料22表面上における照射領域30の範囲の、達成可能な最小幅に起因する。そのような照射領域の標準的な直径は、約20ミクロン単位であり、これは、導体パッドまたはヴィアの特徴的なサイズと同位である。標準的には、従来のマイクロ蛍光アナライザは、領域30内の銅の総質量を概算し、この領域に対して予測された質量との偏差があるかどうかを示すことしかできない。領域30内に含まれる銅の全質量が蛍光X線を放射するので、従来のアナライザは、導体パッド中の銅の分布のより微細な幾何学的パターンを識別するなど、領域30よりも小さな特徴的サイズを有する細部を分解することができない。
【0038】
銅の著しく低い質量が、ディッシング、ティルティング、または他の侵食メカニズムによって生じることがある。銅充填物46内部の充填されていない空洞によって、偏差が生じることもある。しかしながら、従来のXRFアナライザは、照射領域内における銅パターンのより微細な細部を分解することができないので、この問題を識別し、または特徴付けることができない。
【0039】
本発明の実施形態は、マイクロ蛍光アナライザの空間分解能を改善することにより、異なる侵食メカニズムを検出し、識別し、定量化するための、改善された方法を提供する。開示される方法は、励起ビーム(換言すれば、ビーム中心からの距離の関数としての、ビームによって生成されたX線フラックスの強度分布)の強度断面関数についての知識に基づいている。この情報を使用して、本発明の実施形態は、後述するように、測定XRFプロファイルの分解能を10ミクロンよりも大幅に下回るところまで改善する。
【0040】
図4Aは、本発明の一実施形態にしたがった、X線励起ビームの標準的な強度断面を概略的に示すプロットである。曲線60は、ビームを横切るX線フラックスの相対強度を示す。ビームの総エネルギーは、曲線60の下の面積を統合することによって、概算することができる。図に見られるように、ビームのエネルギーのほとんどは、約20ミクロンの幅に制限される。
【0041】
図4Bは、本発明の一実施形態にしたがって測定された、パッド中の銅の厚さ分布を概略的に示すプロットである。曲線64は、パッド中心からの水平距離の関数として、銅充填物46の相対厚さを示す。図4Bで表されるパッドは、約100ミクロンの直径を有する。プロファイルの放物線形状およびパッド縁部における不均一な銅の厚さによって示されるように、パッドは、ディッシングおよびティルティングの両方を受けている。
【0042】
図4Cは、本発明の一実施形態にしたがった、測定XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。曲線68は、図4Aに示した励起ビームで、図4Bで上述したパッドを横切って走査することによって測定された、蛍光X線放射の相対強度を示す。曲線68は、X軸に沿ってパッド全体を走査する間に、パッド中心からのX線励起ビームの中心の距離の関数として、検出器32で受け取られた蛍光強度を示す。ある程度のパッドの変形を曲線68で観察することができるが、大まかな形状しか見ることができない。曲線68の分解能が制限されている原因は、励起ビームの横断面の幅が、パッドのサイズの同位であるという事実にある。曲線68は、曲線60(ビーム横断面)および曲線64(パッドプロファイル)の畳み込みとして見てもよい。後述する方法は、この分解能を数ミクロンまで改善する。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態にしたがった、ディッシングおよびティルティングを測定するための、プロセッサ34によって実施される方法を概略的に示すフローチャートである。方法は、プロファイル受取りステップ70において、測定XRFプロファイルをプロセッサが受け取ることから始まる。測定XRFプロファイルは、標準的にはウエハの表面上の試験済みパッドをカバーする所定の走査線上の、システム20内のウエハの範囲を走査した結果である。
【0044】
プロセッサ34はまた、ビームモデリングステップ72において、測定XRFプロファイルを得るのに使用されるX線励起ビーム(「ビームモデル」と称される)の強度断面の初期のモデルを受け取る。標準的には、ビームをモデリングするために、ガウスモデルが使用される。一実施形態では、プロセッサ34は、ビームを定義するパラメータの初期値の組を使用する。あるいは、ユーザは、ガウスビームをモデリングするために、パラメータのいくつかまたはすべてを指定してもよい。パラメータの標準的な組は次のものを含む。
○ビームのFWHM(半値全幅)幅。
○最大ビーム強度。
○バックグラウンドオフセットおよび勾配などのバックグラウンド減算パラメータ(線形のバックグラウンドモデルが使用される場合。バックグラウンド減算は、下記のステップ76の説明に詳細に記載される。)
○走査線の軸に垂直な、走査されたフィーチャの中心からの走査線の距離を表すY方向オフセット。
【0045】
1つの代替実施形態では、ビームモデルは、ユーザによって提供された、あるいは好適な高分解能測定ジグおよび検出器を用いてシステム20で得た実験データに基づいて、プロセッサで計算されてもよい。例えば、ユーザは、強度断面を表す1組の測定データポイントを提供してもよい。次いで、プロセッサは、測定データポイントに最良に適合する、ガウス曲線などのビームプロファイルを計算する。別の実施形態では、ビームモデルは、2つのガウス関数の和を含む。例えば、ビームプロファイルの後部の理想的な(ガウス)形状からの偏差を補償するために、第1の比較的狭いガウス曲線が、はるかに幅の広いFWHMを有する第2のガウス曲線と合計されてもよい。
【0046】
プロセッサは、パッドモデリングステップ74において、パッドの模擬の幾何学的プロファイルを構築する。一実施形態では、プロセッサは、模擬パッドプロファイルのためのパラメータの初期値の組を使用する。あるいは、ユーザは、パッドプロファイルのパラメータのうちの、いくつかまたはすべてを指定することができる。パラメータの標準的な組は次のものを含む。
○パッド長さ − 走査線に平行なパッドの寸法。
○パッド幅 − 走査線に垂直なパッドの寸法。
○模擬パッドプロファイルで使用されるポイントの数。
○ディッシング − 名目上の仮想ディッシング値。
○ティルト − 名目上の仮想ティルティング値。(ティルトは正または負であることができ、これはティルト方向を示す。)
○X方向オフセット − 走査線に平行な寸法での、パッドの名目上および実際の中心の差。
【0047】
上記ステップ74で指定されたパッドプロファイル、およびステップ72で指定されたビームモデルは、「初期の推測」と見なされ、後述するように、最適化プロセスに対する初期条件として後で使用される。ステップ70、72、および74は、互いに独立しており、任意の便利な順序でプロセッサ34によって実行されてもよい。
【0048】
方法は、引き続き、モデル計算ステップ76において、初期の模擬XRFプロファイルをプロセッサ34で計算する。上述のように、XRFプロファイル(模擬の、または測定したもののいずれか)は、パッドプロファイルおよびビーム強度断面を畳み込むことによって決定される。プロセッサは、(ステップ74で得られた)模擬パッドプロファイルと(ステップ72で得られた)ビームモデルとの間で畳み込みを実行して、模擬XRFプロファイルを作成する。
【0049】
ステップ76は、引き続き、プロセッサ34で、測定XRFプロファイルを模擬XRFプロファイルに対して正規化する。一実施形態では、プロセッサは、正規化パラメータの初期値の組を使用する。あるいは、ユーザは、パラメータのいくつかまたはすべてを指定してもよい。正規化パラメータの標準的な組は次のものを含む。
○測定XRFプロファイルの最大強度を正規化するための乗法的正規化因数。
○測定XRFプロファイルおよび模擬XRFプロファイルが揃うように、走査線に平行な寸法で測定XRFプロファイルをシフトさせるための、シフトパラメータ。
○バックグラウンド減算の方法を指定する任意のバックグラウンドパラメータ。一実施形態では、プロセッサは、プロファイル中のすべてのデータポイントから測定XRFプロファイルの最小値を減算する。あるいは、測定XRFプロファイルの左側縁部と右側縁部とを接続するラインが計算される。走査線に沿った各x座標において、このラインの値は、測定XRFプロファイルの対応するデータポイントから減算される。さらに別の方法として、プロセッサは、測定XRFプロファイルの左側縁部および右側縁部における所定の数のデータポイントを検討する。プロセッサは、最小平方誤差基準にしたがって、これらのポイントに最良に適合するラインを計算する。走査線に沿った各x座標において、このラインの値は、対応するデータポイントから減算される。さらに別の方法として、バックグラウンド減算パラメータは、ビーム強度断面の定義の一部として、ユーザによって指定されてもよい(上記のステップ72を参照)。
【0050】
ステップ76の最後において、プロセッサ34は、ビームモデルおよび模擬パッドプロファイルに基づいて、模擬XRFプロファイルを作成する。模擬パッドプロファイルが実際のパッドのプロファイルと正確に一致すれば、またビームモデルが励起ビームの実際の断面と正確に一致すれば、模擬XRFプロファイルは、上記のステップ70で受け取った測定XRFプロファイルと一致する。模擬XRFプロファイルと測定XRFプロファイルとのいかなる不一致も、模擬パッドプロファイルと実際のパッドプロファイル、およびビームモデルと実際のビーム断面との差に起因する。この仮定は、後に続く最適化プロセスの基準になる。
【0051】
実際のパッドのパラメータを概算するために、プロセッサは、最適化ステップ78において、反復最適化プロセスを適用することによって、模擬パッドプロファイルおよびビームモデルのパラメータを最適化する。いかなる好適な最適化方法も、最適化ステップ78を実施するのに使用されてよい。最適化プロセスの各反復において、プロセッサは次のステップを実行する。
【0052】
○指定された性能指数(FOM)関数にしたがって、模擬XRFプロファイルと測定XRFプロファイルとの差を概算する。(いくつかの代表的なFOM基準が下記に記載される。)
○概算された差に基づいて、模擬パッドプロファイルおよびビームモデルのパラメータを修正して、更新された模擬パッドプロファイルおよびビームモデルを作成する。
○更新された模擬パッドプロファイルと更新されたビームモデルとの間の畳み込みを計算して、更新された模擬XRFプロファイルを作成する。
使用されるFOM関数にしたがって、模擬XRFプロファイルと測定XRFプロファイルとの差が所定のしきい値よりも小さくなるまで、反復最適化プロセスを継続する。
発明者らは、標準的には、いくつかの代替FOM関数を使用して、測定XRFプロファイルと模擬XRFプロファイルとの差を概算する。例えば、
○「統計値」または重み付けされたFOM関数は、次式で与えられる。
【0053】
【数1】

【0054】
ここで、Iexpは、データポイントiでの測定(実験)強度を表し、Isimは、ポイントiでの模擬強度を表し、また、Nは、2つのXRFプロファイルそれぞれにおけるポイントの数を表す。
「SQ」または平方誤差FOM関数は、次式で与えられる。
【0055】
【数2】

【0056】
「正規化されたSQ」または正規化された平方誤差FOM関数は、次式で与えられる。
【0057】
【数3】

【0058】
ここで、maxIは、測定XRFプロファイル中のすべてのポイント全体での最大強度を表す。
【0059】
一実施形態では、当該技術分野では既知のように、上述の反復最適化プロセスは遺伝的アルゴリズム(GA、進化アルゴリズムとも称される)を含む。遺伝的アルゴリズムは、模擬モデルを実験データに適合させるのに用いられることが多い。例えば、米国特許第6,192,103号は、X線散乱の実験データを模擬モデルに適合させるための広範囲の解を見つけるために進化アルゴリズムを使用することを記載しており、その開示を参考として本明細書に組み込む。
【0060】
方法の説明に戻ると、ユーザは、標準的には、GAの最適化を実行するために次のパラメータを指定する。
○最適化するパラメータ(ディッシング値、ティルティング値、パッド長さ、x方向シフト、ビーム強度、およびビーム幅など)の一覧。例えば、ユーザは、パッドプロファイルパラメータのみを最適化し、適切なパラメータ群を選択することによって固定したビームモデルを保持してもよい。
○最適化された各パラメータの名目上の初期値。これらの値も、ステップ72および74でそれぞれ定義された、初期のビームモデルおよびパッドプロファイルの中で指定することができる。
○最適化された各パラメータに対する最小および最大許容値。
○FOM関数の計算範囲を定義する開始値および終了値。
○GA最適化の反復(世代)の最大値。
○所望のFOM基準。
【0061】
反復最適化プロセスが終了したとき、模擬XRFプロファイルは、測定XRFプロファイルに対する達成可能な最良の適合を含む。更新された模擬パッドプロファイルは、実際のパッドのパラメータを最良に概算する1組のパラメータを含む。
【0062】
プロセッサは、パッド概算ステップ80において、更新された模擬パッドプロファイルから概算パッドパラメータを抽出する。具体的には、更新された模擬パッドプロファイル中の「ディッシング」パラメータは、実際のパッドのディッシング値の概算値である。同様に、「ティルティング」パラメータは、実際のパッドのティルティング値の概算値である。方法は、プロセッサ34で概算パッドパラメータを出力することで終了する。
【0063】
概算パッドパラメータは、半導体メーカーがウエハ加工形成プロセスを改善する助けとなるように、ディッシングおよびティルティング効果の存在および重大度を識別するのに使用されてもよい。標準的には、XRFアナライザは、プロセス不良に関する有用な情報を提供するために、ウエハの異なる範囲内の多数のパッドおよび他のフィーチャを走査する。
【0064】
上述の方法は導体パッドの測定を扱っているが、同じ方法を、侵食効果の影響を受けやすいウエハ表面上の他のあらゆるフィーチャに適用することができる。加えてまたは別の方法として、開示される方法は、試料中のフィーチャ、特に金属フィーチャにおける幾何学的分布または厚さ分布の変化によって特徴付けられる他のプロセス不良を検出し、定量化するのに使用されてもよい。そのような応用例は当業者には明白であろう。
【0065】
システム20は、図1ではスタンドアロン構成で示されているものの、このシステムの要素は、別の方法として、XRF測定値がその性能をモニタするように意図されている、半導体加工形成設備に一体化されてもよい。そのような一体化からは、プロセス不良のオンライン検出、またはほぼオンラインの検出という利点が得られる。例えば、XRF測定ステーションは、クラスタツールに一体化されてもよい。
【0066】
ディッシング/ティルティング検出の実施例
上述したディッシング/ティルティングの検出方法をさらによく説明するために、次の実施例は、銅が充填されたパッド内のディッシングおよびティルティング効果を測定するために、開示される方法が使用される、標準的なシナリオを例証する。本実施例は、20ミクロンのFWHMビーム幅を有するガウスビームを使用する。選択される初期のパッドプロファイルは、ディッシングまたはティルティングを有さない、単純な80×80ミクロンのパッドの形をとる。50個のデータポイントが、模擬パッドプロファイルで使用される。簡便さのため、乗法的正規化およびバックグラウンド減算の適用は控える。使用される唯一の正規化関数は、測定XRFプロファイルと模擬XRFプロファイルとの間のx方向シフトの補正である。
【0067】
図6Aは、本発明の一実施形態にしたがった、測定XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。1組のデータポイント90は、図5の方法のステップ70で受け取られるような、測定XRFプロファイルを示す。データポイント90を検討すると、本実施例の走査されたパッドが、ディッシングまたはティルティング効果を受けているか否かを判断することは、困難である。データポイント90は、従来のXRFアナライザで達成可能な空間分解能の標準的な例を提供する。
【0068】
図6Bは、本発明の一実施形態にしたがった、初期の模擬XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。曲線94は、図5の方法のステップ74で指定されるような、模擬パッドプロファイルを示す。曲線92は、ステップ76で計算されるような、模擬XRFプロファイルを示す。上述したように、初期の模擬パッドプロファイルは、曲線94の矩形形状で示されるように、ディッシングまたはティルティングをもたない。
【0069】
図6Cは、本発明の一実施形態にしたがった、正規化されたXRFプロファイルを概略的に示すプロットである。データポイント90、ならびに曲線92および94は、それぞれ、図5の方法のステップ76にしたがって正規化した後の、測定XRFプロファイル、模擬XRFプロファイル、および模擬パッドプロファイルを示す。データポイント90と曲線92との間に、測定XRFプロファイルと模擬XRFプロファイルとの差を示す、わずかな偏差を見ることができる。
【0070】
正規化に続いて、図5の方法のステップ78にしたがって、模擬プロファイルに対してGAの反復最適化プロセスが適用される。次の表は、最適化されるパラメータ、初期条件、各パラメータに対する許容範囲を列記する。
【0071】
【表1】

【0072】
最高で50世代が許容される。上述したSQ FOM関数が、開始値−140ミクロンおよび終了値140ミクロンで使用される。次の表は、GAアルゴリズムが一つにまとめられた最良適合値の組を列記する。
【0073】
【表2】

【0074】
図6Dは、本発明の一実施形態にしたがった、模擬XRFプロファイルの測定XRFプロファイルへのフィッティングを概略的に示すプロットである。データポイント90は、元の測定XRFプロファイルを示す。曲線96は、図5の方法のステップ78にしたがってGAを最適化した後の、更新された模擬XRFプロファイルを示す。曲線100は、対応する更新されたパッドプロファイルを示す。データポイント90および曲線96は実質的に一致しており、GAの最適化が、模擬XRFプロファイルを測定プロファイルに一致させるのに確かに成功したことを示していることが分かる。
【0075】
曲線100は、パッドの概算された形状を表す。曲線100に見られるように、パッドはディッシングおよびティルティングの両方を受けている。これらの2つの効果は、データポイント90で示される測定XRFプロファイルでは、顕著ではなかった。データポイント90と曲線100との空間分解能の差は、開示される方法の有効性を証明している。
【0076】
上述の実施形態は、特に半導体ウエハ処理に関連しているものの、本発明の原理は、蛍光X線を使用して、他のタイプの試料の表面上における材料分布の微細な細部を検出するために、同様に適用されてもよい。この文脈では、用語「分布」は、材料の適用におけるあらゆるかつすべての局所的なばらつきを指す。さらに、本発明の原理は、X線および他の形態の電離放射線を用いる材料解析の他の技術に適用されてもよい。
【0077】
したがって、上述の実施形態は例示目的で挙げられたものであり、また本発明は、上記に特に示し、記載してきたものに限定されないことが理解されるであろう。より正確には、本発明の範囲は、上述の多様な特徴の組み合わせおよび下位の組み合わせの両方、ならびに、上述の記載を読むことによって当業者が想到するであろうと考えられ、かつ従来技術には開示されていない、組み合わせの変形および修正を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態にしたがった、マイクロ蛍光X線測定のためのシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態にしたがって検出されるディッシング効果を示す試料の概略図である。
【図3A】本発明の一実施形態にしたがって検出されるディッシング効果を概略的に示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態にしたがって検出されるティルティング効果を概略的に示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態にしたがった、X線励起ビームの強度断面を概略的に示すプロットである。
【図4B】本発明の一実施形態にしたがってXRFで測定される、パッド中の銅の分布を概略的に示すプロットである。
【図4C】本発明の一実施形態にしたがった、パッドの測定XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。
【図5】本発明の一実施形態にしたがった、ディッシングおよびティルティングを測定する方法を概略的に示すフローチャートである。
【図6A】本発明の一実施形態にしたがった、測定XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。
【図6B】本発明の一実施形態にしたがった、模擬XRFプロファイルを概略的に示すプロットである。
【図6C】本発明の一実施形態にしたがった、正規化したXRFプロファイルを概略的に示すプロットである。
【図6D】本発明の一実施形態にしたがった、模擬XRFプロファイルの測定XRFプロファイルへのフィッティングを概略的に示すプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面に適用された材料を試験する方法であって、
既知のビーム幅および強度断面を有する励起ビームを、前記試料の領域上に方向付け、
前記励起ビームに応答して前記領域から放射される蛍光X線の強度を測定し、
前記蛍光X線の前記測定強度、ならびに前記励起ビームの前記強度断面に応答して、前記ビーム幅よりも微細な空間分解能で前記領域内における前記材料の分布を概算することを含む方法。
【請求項2】
前記試料が半導体ウエハを含み、前記領域が前記ウエハ上の金属で充填されたフィーチャを含み、かつ前記分布を概算することが、前記フィーチャ内の欠陥を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記欠陥が、ディッシング効果およびティルティング効果の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記励起ビームを方向付けることが、前記表面上のフィーチャ全体にわたって前記ビームを走査することを含み、前記強度を測定することが、前記走査されたフィーチャの測定XRFプロファイルを作成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記強度を測定することが、前記測定XRFプロファイルからバックグラウンドノイズを減算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分布を概算することが、模擬XRFプロファイルを作成するために、前記フィーチャの模擬プロファイルと、前記励起ビームの前記強度断面を表すビームモデルとの間の畳み込みを計算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ビームモデルが少なくとも1つのガウス関数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分布を概算することが、模擬XRFプロファイルを測定XRFプロファイルに適合させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記模擬プロファイルを適合させることが、前記フィーチャの前記模擬XRFプロファイルに対して反復最適化プロセスを適用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反復プロセスを適用することが、前記測定XRFプロファイルと前記模擬XRFプロファイルとの差を定量化するために、性能指数(FOM)関数を計算することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反復プロセスを適用することが、遺伝的アルゴリズム(GA)を適用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記概算された分布の前記空間分解能が前記ビーム幅の半分よりも微細である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
試料の表面に適用された材料を試験する装置であって、
既知のビーム幅および強度断面を有する励起ビームを、前記試料の領域上に方向付けるように結合された放射源と、
前記励起ビームに応答して前記領域から放射される蛍光X線の強度を測定するように結合された検出器のアレイと、
前記蛍光X線の前記測定強度、ならびに前記励起ビームの前記強度断面に応答して、前記ビーム幅よりも微細な空間分解能で前記領域内における前記材料の分布を概算するように構成されたプロセッサとを備える装置。
【請求項14】
前記試料が半導体ウエハを含み、前記領域が前記ウエハ上の金属で充填されたフィーチャを含み、かつ前記プロセッサが、前記フィーチャ内の欠陥を識別するように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記欠陥が、ディッシング効果およびティルティング効果の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記放射源が、前記表面上のフィーチャ全体にわたって前記ビームを走査するように構成され、前記検出器のアレイが、前記走査されたフィーチャの測定XRFプロファイルを作成するように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記プロセッサが、前記測定XRFプロファイルからバックグラウンドノイズを減算するように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記フィーチャの模擬XRFプロファイルを作成するために、前記フィーチャの模擬プロファイルと、前記励起ビームの前記強度断面を表すビームモデルとの間の畳み込みを計算するように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ビームモデルが少なくとも1つのガウス関数を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記材料の前記分布を概算するために、模擬XRFプロファイルを測定XRFプロファイルに適合させるように構成された、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサが、前記模擬XRFプロファイルを前記測定XRFプロファイルに適合させるために、前記フィーチャの前記模擬XRFプロファイルに対して反復最適化プロセスを適用するように構成された、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサが、前記測定XRFプロファイルと前記模擬XRFプロファイルとの差を定量化するために、性能指数(FOM)関数を計算するように構成された、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記反復最適化プロセスが遺伝的アルゴリズム(GA)を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記概算された分布の前記空間分解能が前記ビーム幅の半分よりも微細である、請求項13に記載の装置。
【請求項25】
試料の表面に適用された材料を試験するためのコンピュータソフトウェア製品であって、前記製品がプログラム命令が格納されたコンピュータ可読媒体を含み、前記命令が、前記コンピュータで読み出されたときに、励起ビームの強度断面を前記コンピュータに受け取らせ、前記励起ビームが、前記試料の領域を励起し、前記励起ビームに応答して前記領域から放射された蛍光X線の強度の測定値を受け取り、また、前記蛍光X線の前記強度の前記測定値ならびに前記励起ビームの前記強度断面に応答して、前記ビーム幅よりも微細な空間分解能で前記領域内における前記材料の分布を概算するのに使用される、コンピュータソフトウェア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2006−292756(P2006−292756A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−108640(P2006−108640)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(505427193)ジョルダン バレー セミコンダクターズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】