表示パネルの製造方法
【課題】表示パネルにおいて、電流リークによる不良品を低減する。
【解決手段】表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程S(k,1)と、前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(k,3)とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程S(n,1)と、前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(n,3)とを含む。
【解決手段】表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程S(k,1)と、前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(k,3)とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程S(n,1)と、前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(n,3)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法に関するものである。ここでいう「表示パネル」とはたとえば液晶表示パネルである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどの表示パネルにおいては、基板上に複数の層が積層され、たいていの層は平面的パターンが異なっているので、いくつかの層を積層した上面には結果的に凹凸が生じる場合がある。さらに後続の処理を行なうためには凹凸があることは好ましくない。
【0003】
表示パネルに関係する技術の一例が特開平6−82832号公報(特許文献1)に示されている。特許文献1では、液晶表示パネルのTFT(Thin Film Transistor)基板における多層配線技術について記載されている。特許文献1では、特にゲートラインと信号ラインとの交差部において段差が生じることを防ぎ、基板表面の平坦化を図ることを目指している。
【0004】
液晶表示パネルにおいては、上下の基板が液晶層を挟み込んで一定距離で対向する構造がとられる。特開平10−161130号公報(特許文献2)では、液晶層に直接面する薄膜が平坦でない場合、上下基板間で短絡が発生しうると指摘し、このような短絡を防ぐために、一方の薄膜をパッシベーション膜で形成し、平坦化することが記載されている。特許文献2では、パッシベーション膜の平坦化のためには、ラビング装置を利用する方法と、フォトレジストを塗布して反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチバックする方法とが記載されている。
【0005】
特開2003−107446号公報(特許文献3)では、液晶表示パネルにおける液晶分子のプレチルト角は配向膜の表面粗さに影響を受け、配向膜の表面粗さはその下側に形成されたカラーフィルタ層の凹凸に影響を受けるということが指摘されている。特許文献3では、配向膜の表面粗さを小さくするために、カラーフィルタ層形成後にカラーフィルタ層の表面を研磨しておくことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−82832号公報
【特許文献2】特開平10−161130号公報
【特許文献3】特開2003−107446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示パネルにおいて、多層構造の内部に導電性の異物が混入している場合、上下に離隔した複数の導電層の間でこの異物を通じて電流リークを生じる場合がある。たとえば液晶表示パネルの製造現場においては、電流リークを生じた不良品に対しては、いわゆる「パネル修正」の作業を行なうこととなっていた。大量生産品のうちの一部の数量の製品に対してこのようなパネル修正の作業を行なわなければならないということは、液晶表示パネルの製造コストの増大を招いていた。
【0008】
そこで、本発明は、電流リークによる不良品を低減することができるような表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に基づく表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、上記複数の層のうち最終製品に残存する各層を上記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程と、上記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、上記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程と、上記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各層を成膜する度に、次の層を成膜するより前に当該層の上面を研磨して平坦化する工程を含んでいるので、次の層を正確に形成することができる。成膜直後に当該層の上側にたとえ異物が載っていたとしても、次の層を形成する前に確実に行なわれる研磨の過程で異物が除去されるので、電流リークによる不良品の割合を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第1の工程の説明図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第2の工程の説明図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第3の工程の説明図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第4の工程の説明図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第5の工程の説明図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第6の工程の説明図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第7の工程の説明図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第8の工程の説明図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第9の工程の説明図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第10の工程の説明図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第11の工程の説明図である。
【図13】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第12の工程の説明図である。
【図14】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第13の工程の説明図である。
【図15】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第14の工程の説明図である。
【図16】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第15の工程の説明図である。
【図17】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第16の工程の説明図である。
【図18】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第17の工程の説明図である。
【図19】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第18の工程の説明図である。
【図20】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第19の工程の説明図である。
【図21】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第20の工程の説明図である。
【図22】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第21の工程の説明図である。
【図23】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第22の工程の説明図である。
【図24】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第23の工程の説明図である。
【図25】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第24の工程の説明図である。
【図26】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第25の工程の説明図である。
【図27】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第26の工程の説明図である。
【図28】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第27の工程の説明図である。
【図29】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の好ましい例のフローチャートである。
【図30】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法のさらに好ましい例のフローチャートである。
【図31】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の他の好ましい例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
液晶表示パネルを製造する際には、基板上に多層構造を形成するために下側の層から順に形成される。従来、多層構造に含まれる一部の層に関しては形成直後に平坦化のための研磨工程が行なわれていたが、製造コストを抑えるために、研磨工程が行なわれるのはごく一部の層に限られており、多くの層は、形成した後に何ら平坦化処理が行なわれておらず、そのまま次の層の形成工程が行なわれていた。このことに発明者は着目し、本発明をなすに至った。
【0013】
(実施の形態1)
(構成)
図1〜図28を参照して、本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法について説明する。本実施の形態における表示パネルの製造方法のフローチャートを図1に示す。この表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程S(k,1)と、前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(k,3)とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程S(n,1)と、前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(n,3)とを含む。
【0014】
ここでいう「最終製品に残存する各層」とは、表示パネルとして完成した段階においても何らかの形で残っている層を意味する。「最終製品に残存する各層」には、たとえばレジスト層などのように、製造工程の途中で一時的に形成され、その後完全に除去される類の層は含まれない。第i構造層(1≦i≦n)に該当する各層はパターニング後に小さな領域にしか残存しないものであってもよい。最終製品にたとえ一部分でも残存させる予定のものは、第i構造層に該当する。
【0015】
本実施の形態における表示パネルの製造方法の具体例を以下に示す。本発明を適用する上では、表示パネルの種類は液晶表示パネルに限られないが、ここで示す具体例は、液晶表示パネルに関するものである。
【0016】
図2に示すように、ガラス基板1を用意する。ガラス基板1は第1構造層に該当する。図3に示すように、ガラス基板1の上面にフォトレジスト膜2を形成し、フォトリソグラフィによって、フォトレジスト膜2をパターニングする。その結果、ゲート配線が形成される予定の領域61以外は、フォトレジスト膜2によってマスクされた状態となる。フォトレジスト膜2はのちに除去される予定のものであるので、第2構造層には該当しない。プラズマエッチングにより、ガラス基板1の表面を改質化し、エッチングする。フッ酸により、フォトレジスト膜2を剥離し、ガラス基板1を本エッチングする。その結果、図4に示すように、ガラス基板1のうち改質された領域の表層部が除去され、ゲート配線が配置されるべき凹部62が形成される。メッキ法またはスパッタ法により、ゲート配線の材料であるCuおよびバリアメタルを成膜する。バリアメタルとはCuOである。その結果、図5に示す構造となる。図5では、ガラス基板1の上面において凹部62を含めた全域に金属層3が形成されている。金属層3は、CuとCuOとの2層構造である。金属層3は第2構造層に該当する。金属層3の上面を研磨して余分な金属層3を除去する。その結果、凹部62内のみに金属層が残る状態となる。これにより、図6に示すように、凹部62内にゲート配線3aが形成される。この研磨によりゲート配線3aおよびガラス基板1の上面は平坦化される。ゲート配線3aおよびガラス基板1の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0017】
図7に示すように、ゲート絶縁膜4を成膜する。ゲート絶縁膜4は、「GI層」とも呼ばれる。ゲート絶縁膜4は第3構造層に該当する。図8に示すように、ゲート絶縁膜4の上面を研磨し、平坦化する。
【0018】
なお、図7においては、研磨前であることを明確にするためにゲート絶縁膜4の上面の凹凸を誇張して表示した。以下の各図においても、のちに研磨される予定の層の研磨前の状態を示す際には、上面の凹凸を誇張して表示する場合がある。
【0019】
図9に示すように、半導体層5を成膜する。半導体層5は、「i層」とも呼ばれる。半導体層5は第4構造層に該当する。図10に示すように、半導体膜5の上面を研磨し、平坦化する。
【0020】
図11に示すように、半導体層6を成膜する。半導体層6は、「N+層」とも呼ばれる。半導体層6は第5構造層に該当する。図12に示すように、半導体膜6の上面を研磨し、平坦化する。
【0021】
次に、半導体層5,6をまとめてパターニングする。すなわち、図13に示すように、半導体膜6の一部の領域を覆うようにマスク7を形成する。このマスク7を利用してゲート絶縁膜4が露出する深さまで半導体層5,6をエッチングする。洗浄し、マスク7を除去する。こうして、図14に示す構造を得る。
【0022】
図14に示した構造の上面に、メッキ法またはスパッタ法により、ソース/ドレイン配線の材料であるCuおよびバリアメタルの2層構造を成膜する。その結果、図15に示す構造となる。図15では、全域に金属層8が形成されている。金属層8は、Cuとバリアメタルとの2層構造である。金属層8は第6構造層に該当する。図16に示すように、金属層8の上面を研磨し、平坦化する。金属層8の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0023】
次に金属層8をパターニングする。すなわち、半導体膜5と層間絶縁膜とが接する予定の領域以外をマスクし、半導体膜5が露出するまでエッチングする。洗浄してマスク(図示せず)を除去する。その結果、図17に示すように、半導体膜6を貫通して凹部63が形成される。
【0024】
図17に示した構造の上面に第1の層間絶縁膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図18に示すように層間絶縁膜9が形成される。ここでいう層間絶縁膜9は、「PAS膜」とも呼ばれる。層間絶縁膜9は第7構造層に該当する。図19に示すように、層間絶縁膜9の上面を研磨し、平坦化する。層間絶縁膜9の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0025】
層間絶縁膜9に凹部を形成する予定の領域以外を覆うようにマスク(図示せず)を形成する。このマスクを利用してエッチングすることにより層間絶縁膜9を除去し、図20に示すように凹部64を形成することにより層間絶縁膜9の厚みを均一化する。洗浄してマスクを除去する。
【0026】
第2の層間絶縁膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図21に示すように層間絶縁膜10が形成される。ここでいう層間絶縁膜10は、「JAS膜」とも呼ばれる。層間絶縁膜10は第8構造層に該当する。図22に示すように、層間絶縁膜10の上面を研磨し、平坦化する。層間絶縁膜10の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0027】
図23に示すように、スパッタ法により層間絶縁膜10の上面の全域にITO膜11を形成する。ITO膜11は第9構造層に該当する。次にITO膜11をパターニングする。そのためにはまず図24に示すように、ITO膜11を残すべき領域を覆うようにマスク12を形成する。マスク12を利用して、ITO膜11をエッチングする。洗浄し、マスク12を除去することによって、図25に示す構造を得る。このようにしてITO膜11のパターニングが完了する。
【0028】
次に図26に示すように、ITO膜11の上面を研磨し、平坦化する。ITO膜11の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0029】
配向膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図27に示すように配向膜13が形成される。配向膜13の材料はポリイミドであってよい。配向膜13は「PI膜」とも呼ばれる。配向膜13は第10構造層に該当する。図28に示すように、配向膜13の上面を研磨し、平坦化する。配向膜13の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0030】
さらに必要な工程を経ることによって、最終製品としての表示装置が得られる。
(作用・効果)
本実施の形態では、最終製品に残存する層として第1構造層から第10構造層までを形成したが、いずれも成膜する工程の後に研磨により平坦化する工程を行なった。
【0031】
本実施の形態では、最終製品に残存する各層に関して、各層を成膜する度に、次の層を成膜するより前に当該層の上面を研磨して平坦化する工程を含んでいるので、各層が平坦になった状態で次の層が形成される。したがって、次の層は正確に形成することができる。また、成膜直後の各層の上側にたとえ異物が載っていたとしても、次の層を形成する前に確実に研磨が行なわれ、この研磨の過程で異物が除去されるので、異物を混入させたまま次の層が成膜される確率をきわめて低くすることができる。したがって、電流リークによる不良品の割合を著しく低減することができる。
【0032】
なお、図29にフローチャートで示すように、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して、第a構造層の上面を平坦化する工程S(a,3)の後で第a+1構造層を成膜する工程S(a+1,1)より前に、前記第a構造層をパターニングする工程S(a,4)を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、第a構造層を平坦化した後にパターニングが行なわれるので、パターニングのためのマスクは既に平坦化された第a構造層の上に形成することができる。したがって、少なくとも第a構造層に関しては正確なパターニングを行なうことができる。上記具体例においては、第5構造層としての半導体層6、第6構造層としての金属層8に関して、当該膜を成膜した後にまず研磨し、その後にパターニングを行ない、その後で次の構造層の成膜を行なっているので、少なくともa=5,6においてこの好ましい条件が満たされているといえる。この条件は、1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して成り立っていればよいのであって、全ての構造層について成り立っている必要はない。
【0033】
さらに、図30にフローチャートで示すように、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、前記第a構造層をパターニングする工程S(a,4)の後で前記第a+1構造層を成膜する工程S(a+1,1)より前に、前記第a構造層の上面を再び研磨することによって平坦化する工程S(a,5)を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、第a構造層を成膜し、研磨により平坦化した後に、この第a構造層をパターニングし、さらにその後で第a構造層を再び研磨により平坦化してから、ようやく次の第a+1構造層の成膜を行なうこととなる。こうすれば、パターニングは既に平坦化された状態で行なわれ、パターニングの後に再び研磨により平坦化されるので、たとえパターニングによって平坦度が劣化しても次の層を成膜する前には正しく平坦な状態に調整することができる。1つの構造層に対して研磨の工程が2回行なわれるので、工程数は増えるが、より確実に平坦度を高めることができ、異物混入がきわめて少ない表示装置を製造することができる。
【0034】
また違う観点からいえば、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、図31にフローチャートで示すように、1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して、第b構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程の前に、前記第b構造層をパターニングする工程を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、研磨はパターニングの後に行なわれるので、たとえパターニングによって平坦度が劣化しても次の層を成膜する前には正しく平坦な状態に調整することができ、たとえ異物があったとしても研磨によって異物を除去することができる。よって、次の層の成膜は、平坦度が高められた状態で行なうことができる。次の層の成膜の前には研磨によって異物が除去されているので、少なくとも第b構造層に関しては異物混入がきわめて少ない表示装置を製造することができる。上記具体例においては、第9構造層としてのITO膜11に関して、当該膜を成膜した後にまずパターニングを行ない、その後に研磨し、その後で次の構造層の成膜を行なっているので、少なくともa=9においてこの好ましい条件が満たされているといえる。この条件は、1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して成り立っていればよいのであって、全ての構造層について成り立っている必要はない。
【0035】
なお、上記各実施の形態では、表示装置が液晶表示パネルである例を詳しく説明したが、表示装置が他の種類の表示装置であっても本発明は同様に適用することができる。上記具体例では、基板はガラス基板であったが、基板は他の種類の基板であってもよい。
【0036】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ガラス基板、2 フォトレジスト膜、3 金属層、3a ゲート配線、4 ゲート絶縁膜、5 半導体層(i層)、6 半導体層(N+層)、7 マスク、8 金属層、9 層間絶縁膜(PAS膜)、10 層間絶縁膜(JAS膜)、11 ITO膜、12 マスク、13 配向膜(PI膜)、61 (ゲート配線が形成される予定の)領域、62 (ゲート配線を配置するための)凹部、63 (半導体膜とPAS膜とが接するための)凹部、64 (PAS膜に設けられた)凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法に関するものである。ここでいう「表示パネル」とはたとえば液晶表示パネルである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどの表示パネルにおいては、基板上に複数の層が積層され、たいていの層は平面的パターンが異なっているので、いくつかの層を積層した上面には結果的に凹凸が生じる場合がある。さらに後続の処理を行なうためには凹凸があることは好ましくない。
【0003】
表示パネルに関係する技術の一例が特開平6−82832号公報(特許文献1)に示されている。特許文献1では、液晶表示パネルのTFT(Thin Film Transistor)基板における多層配線技術について記載されている。特許文献1では、特にゲートラインと信号ラインとの交差部において段差が生じることを防ぎ、基板表面の平坦化を図ることを目指している。
【0004】
液晶表示パネルにおいては、上下の基板が液晶層を挟み込んで一定距離で対向する構造がとられる。特開平10−161130号公報(特許文献2)では、液晶層に直接面する薄膜が平坦でない場合、上下基板間で短絡が発生しうると指摘し、このような短絡を防ぐために、一方の薄膜をパッシベーション膜で形成し、平坦化することが記載されている。特許文献2では、パッシベーション膜の平坦化のためには、ラビング装置を利用する方法と、フォトレジストを塗布して反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチバックする方法とが記載されている。
【0005】
特開2003−107446号公報(特許文献3)では、液晶表示パネルにおける液晶分子のプレチルト角は配向膜の表面粗さに影響を受け、配向膜の表面粗さはその下側に形成されたカラーフィルタ層の凹凸に影響を受けるということが指摘されている。特許文献3では、配向膜の表面粗さを小さくするために、カラーフィルタ層形成後にカラーフィルタ層の表面を研磨しておくことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−82832号公報
【特許文献2】特開平10−161130号公報
【特許文献3】特開2003−107446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示パネルにおいて、多層構造の内部に導電性の異物が混入している場合、上下に離隔した複数の導電層の間でこの異物を通じて電流リークを生じる場合がある。たとえば液晶表示パネルの製造現場においては、電流リークを生じた不良品に対しては、いわゆる「パネル修正」の作業を行なうこととなっていた。大量生産品のうちの一部の数量の製品に対してこのようなパネル修正の作業を行なわなければならないということは、液晶表示パネルの製造コストの増大を招いていた。
【0008】
そこで、本発明は、電流リークによる不良品を低減することができるような表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に基づく表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、上記複数の層のうち最終製品に残存する各層を上記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程と、上記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、上記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程と、上記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各層を成膜する度に、次の層を成膜するより前に当該層の上面を研磨して平坦化する工程を含んでいるので、次の層を正確に形成することができる。成膜直後に当該層の上側にたとえ異物が載っていたとしても、次の層を形成する前に確実に行なわれる研磨の過程で異物が除去されるので、電流リークによる不良品の割合を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第1の工程の説明図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第2の工程の説明図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第3の工程の説明図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第4の工程の説明図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第5の工程の説明図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第6の工程の説明図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第7の工程の説明図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第8の工程の説明図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第9の工程の説明図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第10の工程の説明図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第11の工程の説明図である。
【図13】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第12の工程の説明図である。
【図14】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第13の工程の説明図である。
【図15】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第14の工程の説明図である。
【図16】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第15の工程の説明図である。
【図17】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第16の工程の説明図である。
【図18】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第17の工程の説明図である。
【図19】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第18の工程の説明図である。
【図20】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第19の工程の説明図である。
【図21】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第20の工程の説明図である。
【図22】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第21の工程の説明図である。
【図23】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第22の工程の説明図である。
【図24】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第23の工程の説明図である。
【図25】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第24の工程の説明図である。
【図26】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第25の工程の説明図である。
【図27】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第26の工程の説明図である。
【図28】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の第27の工程の説明図である。
【図29】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の好ましい例のフローチャートである。
【図30】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法のさらに好ましい例のフローチャートである。
【図31】本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法の他の好ましい例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
液晶表示パネルを製造する際には、基板上に多層構造を形成するために下側の層から順に形成される。従来、多層構造に含まれる一部の層に関しては形成直後に平坦化のための研磨工程が行なわれていたが、製造コストを抑えるために、研磨工程が行なわれるのはごく一部の層に限られており、多くの層は、形成した後に何ら平坦化処理が行なわれておらず、そのまま次の層の形成工程が行なわれていた。このことに発明者は着目し、本発明をなすに至った。
【0013】
(実施の形態1)
(構成)
図1〜図28を参照して、本発明に基づく実施の形態1における表示パネルの製造方法について説明する。本実施の形態における表示パネルの製造方法のフローチャートを図1に示す。この表示パネルの製造方法は、基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、第k構造層を成膜する工程S(k,1)と、前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(k,3)とを、それぞれ含み、さらに、第n構造層を成膜する工程S(n,1)と、前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程S(n,3)とを含む。
【0014】
ここでいう「最終製品に残存する各層」とは、表示パネルとして完成した段階においても何らかの形で残っている層を意味する。「最終製品に残存する各層」には、たとえばレジスト層などのように、製造工程の途中で一時的に形成され、その後完全に除去される類の層は含まれない。第i構造層(1≦i≦n)に該当する各層はパターニング後に小さな領域にしか残存しないものであってもよい。最終製品にたとえ一部分でも残存させる予定のものは、第i構造層に該当する。
【0015】
本実施の形態における表示パネルの製造方法の具体例を以下に示す。本発明を適用する上では、表示パネルの種類は液晶表示パネルに限られないが、ここで示す具体例は、液晶表示パネルに関するものである。
【0016】
図2に示すように、ガラス基板1を用意する。ガラス基板1は第1構造層に該当する。図3に示すように、ガラス基板1の上面にフォトレジスト膜2を形成し、フォトリソグラフィによって、フォトレジスト膜2をパターニングする。その結果、ゲート配線が形成される予定の領域61以外は、フォトレジスト膜2によってマスクされた状態となる。フォトレジスト膜2はのちに除去される予定のものであるので、第2構造層には該当しない。プラズマエッチングにより、ガラス基板1の表面を改質化し、エッチングする。フッ酸により、フォトレジスト膜2を剥離し、ガラス基板1を本エッチングする。その結果、図4に示すように、ガラス基板1のうち改質された領域の表層部が除去され、ゲート配線が配置されるべき凹部62が形成される。メッキ法またはスパッタ法により、ゲート配線の材料であるCuおよびバリアメタルを成膜する。バリアメタルとはCuOである。その結果、図5に示す構造となる。図5では、ガラス基板1の上面において凹部62を含めた全域に金属層3が形成されている。金属層3は、CuとCuOとの2層構造である。金属層3は第2構造層に該当する。金属層3の上面を研磨して余分な金属層3を除去する。その結果、凹部62内のみに金属層が残る状態となる。これにより、図6に示すように、凹部62内にゲート配線3aが形成される。この研磨によりゲート配線3aおよびガラス基板1の上面は平坦化される。ゲート配線3aおよびガラス基板1の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0017】
図7に示すように、ゲート絶縁膜4を成膜する。ゲート絶縁膜4は、「GI層」とも呼ばれる。ゲート絶縁膜4は第3構造層に該当する。図8に示すように、ゲート絶縁膜4の上面を研磨し、平坦化する。
【0018】
なお、図7においては、研磨前であることを明確にするためにゲート絶縁膜4の上面の凹凸を誇張して表示した。以下の各図においても、のちに研磨される予定の層の研磨前の状態を示す際には、上面の凹凸を誇張して表示する場合がある。
【0019】
図9に示すように、半導体層5を成膜する。半導体層5は、「i層」とも呼ばれる。半導体層5は第4構造層に該当する。図10に示すように、半導体膜5の上面を研磨し、平坦化する。
【0020】
図11に示すように、半導体層6を成膜する。半導体層6は、「N+層」とも呼ばれる。半導体層6は第5構造層に該当する。図12に示すように、半導体膜6の上面を研磨し、平坦化する。
【0021】
次に、半導体層5,6をまとめてパターニングする。すなわち、図13に示すように、半導体膜6の一部の領域を覆うようにマスク7を形成する。このマスク7を利用してゲート絶縁膜4が露出する深さまで半導体層5,6をエッチングする。洗浄し、マスク7を除去する。こうして、図14に示す構造を得る。
【0022】
図14に示した構造の上面に、メッキ法またはスパッタ法により、ソース/ドレイン配線の材料であるCuおよびバリアメタルの2層構造を成膜する。その結果、図15に示す構造となる。図15では、全域に金属層8が形成されている。金属層8は、Cuとバリアメタルとの2層構造である。金属層8は第6構造層に該当する。図16に示すように、金属層8の上面を研磨し、平坦化する。金属層8の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0023】
次に金属層8をパターニングする。すなわち、半導体膜5と層間絶縁膜とが接する予定の領域以外をマスクし、半導体膜5が露出するまでエッチングする。洗浄してマスク(図示せず)を除去する。その結果、図17に示すように、半導体膜6を貫通して凹部63が形成される。
【0024】
図17に示した構造の上面に第1の層間絶縁膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図18に示すように層間絶縁膜9が形成される。ここでいう層間絶縁膜9は、「PAS膜」とも呼ばれる。層間絶縁膜9は第7構造層に該当する。図19に示すように、層間絶縁膜9の上面を研磨し、平坦化する。層間絶縁膜9の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0025】
層間絶縁膜9に凹部を形成する予定の領域以外を覆うようにマスク(図示せず)を形成する。このマスクを利用してエッチングすることにより層間絶縁膜9を除去し、図20に示すように凹部64を形成することにより層間絶縁膜9の厚みを均一化する。洗浄してマスクを除去する。
【0026】
第2の層間絶縁膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図21に示すように層間絶縁膜10が形成される。ここでいう層間絶縁膜10は、「JAS膜」とも呼ばれる。層間絶縁膜10は第8構造層に該当する。図22に示すように、層間絶縁膜10の上面を研磨し、平坦化する。層間絶縁膜10の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0027】
図23に示すように、スパッタ法により層間絶縁膜10の上面の全域にITO膜11を形成する。ITO膜11は第9構造層に該当する。次にITO膜11をパターニングする。そのためにはまず図24に示すように、ITO膜11を残すべき領域を覆うようにマスク12を形成する。マスク12を利用して、ITO膜11をエッチングする。洗浄し、マスク12を除去することによって、図25に示す構造を得る。このようにしてITO膜11のパターニングが完了する。
【0028】
次に図26に示すように、ITO膜11の上面を研磨し、平坦化する。ITO膜11の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0029】
配向膜の材料を塗布し、硬化させる。こうして、図27に示すように配向膜13が形成される。配向膜13の材料はポリイミドであってよい。配向膜13は「PI膜」とも呼ばれる。配向膜13は第10構造層に該当する。図28に示すように、配向膜13の上面を研磨し、平坦化する。配向膜13の上側にたとえ異物があったとしても、この研磨により除去される。
【0030】
さらに必要な工程を経ることによって、最終製品としての表示装置が得られる。
(作用・効果)
本実施の形態では、最終製品に残存する層として第1構造層から第10構造層までを形成したが、いずれも成膜する工程の後に研磨により平坦化する工程を行なった。
【0031】
本実施の形態では、最終製品に残存する各層に関して、各層を成膜する度に、次の層を成膜するより前に当該層の上面を研磨して平坦化する工程を含んでいるので、各層が平坦になった状態で次の層が形成される。したがって、次の層は正確に形成することができる。また、成膜直後の各層の上側にたとえ異物が載っていたとしても、次の層を形成する前に確実に研磨が行なわれ、この研磨の過程で異物が除去されるので、異物を混入させたまま次の層が成膜される確率をきわめて低くすることができる。したがって、電流リークによる不良品の割合を著しく低減することができる。
【0032】
なお、図29にフローチャートで示すように、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して、第a構造層の上面を平坦化する工程S(a,3)の後で第a+1構造層を成膜する工程S(a+1,1)より前に、前記第a構造層をパターニングする工程S(a,4)を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、第a構造層を平坦化した後にパターニングが行なわれるので、パターニングのためのマスクは既に平坦化された第a構造層の上に形成することができる。したがって、少なくとも第a構造層に関しては正確なパターニングを行なうことができる。上記具体例においては、第5構造層としての半導体層6、第6構造層としての金属層8に関して、当該膜を成膜した後にまず研磨し、その後にパターニングを行ない、その後で次の構造層の成膜を行なっているので、少なくともa=5,6においてこの好ましい条件が満たされているといえる。この条件は、1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して成り立っていればよいのであって、全ての構造層について成り立っている必要はない。
【0033】
さらに、図30にフローチャートで示すように、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、前記第a構造層をパターニングする工程S(a,4)の後で前記第a+1構造層を成膜する工程S(a+1,1)より前に、前記第a構造層の上面を再び研磨することによって平坦化する工程S(a,5)を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、第a構造層を成膜し、研磨により平坦化した後に、この第a構造層をパターニングし、さらにその後で第a構造層を再び研磨により平坦化してから、ようやく次の第a+1構造層の成膜を行なうこととなる。こうすれば、パターニングは既に平坦化された状態で行なわれ、パターニングの後に再び研磨により平坦化されるので、たとえパターニングによって平坦度が劣化しても次の層を成膜する前には正しく平坦な状態に調整することができる。1つの構造層に対して研磨の工程が2回行なわれるので、工程数は増えるが、より確実に平坦度を高めることができ、異物混入がきわめて少ない表示装置を製造することができる。
【0034】
また違う観点からいえば、本実施の形態における表示パネルの製造方法は、図31にフローチャートで示すように、1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して、第b構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程の前に、前記第b構造層をパターニングする工程を含むことが好ましい。このような製造方法であれば、研磨はパターニングの後に行なわれるので、たとえパターニングによって平坦度が劣化しても次の層を成膜する前には正しく平坦な状態に調整することができ、たとえ異物があったとしても研磨によって異物を除去することができる。よって、次の層の成膜は、平坦度が高められた状態で行なうことができる。次の層の成膜の前には研磨によって異物が除去されているので、少なくとも第b構造層に関しては異物混入がきわめて少ない表示装置を製造することができる。上記具体例においては、第9構造層としてのITO膜11に関して、当該膜を成膜した後にまずパターニングを行ない、その後に研磨し、その後で次の構造層の成膜を行なっているので、少なくともa=9においてこの好ましい条件が満たされているといえる。この条件は、1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して成り立っていればよいのであって、全ての構造層について成り立っている必要はない。
【0035】
なお、上記各実施の形態では、表示装置が液晶表示パネルである例を詳しく説明したが、表示装置が他の種類の表示装置であっても本発明は同様に適用することができる。上記具体例では、基板はガラス基板であったが、基板は他の種類の基板であってもよい。
【0036】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ガラス基板、2 フォトレジスト膜、3 金属層、3a ゲート配線、4 ゲート絶縁膜、5 半導体層(i層)、6 半導体層(N+層)、7 マスク、8 金属層、9 層間絶縁膜(PAS膜)、10 層間絶縁膜(JAS膜)、11 ITO膜、12 マスク、13 配向膜(PI膜)、61 (ゲート配線が形成される予定の)領域、62 (ゲート配線を配置するための)凹部、63 (半導体膜とPAS膜とが接するための)凹部、64 (PAS膜に設けられた)凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、
前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、
第k構造層を成膜する工程と、
前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを、それぞれ含み、さらに、
第n構造層を成膜する工程と、
前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを含む、表示パネルの製造方法。
【請求項2】
1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して、
第a構造層の上面を平坦化する工程の後で第a+1構造層を成膜する工程より前に、前記第a構造層をパターニングする工程を含む、請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第a構造層をパターニングする工程の後で前記第a+1構造層を成膜する工程より前に、前記第a構造層の上面を再び研磨することによって平坦化する工程を含む、請求項2に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して、
第b構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程の前に、前記第b構造層をパターニングする工程を含む、請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項1】
基板の主表面上に複数の層を形成したものを用いて表示パネルを製造する方法であって、
前記複数の層のうち最終製品に残存する各層を前記主表面に近いものから順に第1構造層、第2構造層、第3構造層、…、第n構造層と呼ぶこととしたときに、1≦k≦n−1を満たす全てのkに関して、
第k構造層を成膜する工程と、
前記第k構造層を成膜する工程より後で第k+1構造層を成膜する工程より前に、前記第k構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを、それぞれ含み、さらに、
第n構造層を成膜する工程と、
前記第n構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程とを含む、表示パネルの製造方法。
【請求項2】
1≦a≦n−1を満たすいずれかのaに関して、
第a構造層の上面を平坦化する工程の後で第a+1構造層を成膜する工程より前に、前記第a構造層をパターニングする工程を含む、請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第a構造層をパターニングする工程の後で前記第a+1構造層を成膜する工程より前に、前記第a構造層の上面を再び研磨することによって平坦化する工程を含む、請求項2に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
1≦b≦n−1を満たすいずれかのbに関して、
第b構造層の上面を研磨することによって平坦化する工程の前に、前記第b構造層をパターニングする工程を含む、請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−47699(P2013−47699A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290890(P2009−290890)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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