説明

表示装置およびカメラ

【課題】高コントラストで明るい表示装置を得ること。
【解決手段】表示装置109は、入射光を画素207a単位で変調して情報を表示する液晶表示素子207と、液晶表示素子207へ入射する光を所定領域ごとに制御する入射光制御手段206とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の液晶パネルを積層してコントラストを高める技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−229896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネルを積層すると、光損失が大きくなって表示画像が暗くなるという問題があった。とくに、画素サイズが小さいマイクロディスプレイの場合に影響が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による表示装置は、入射光を画素単位で変調して情報を表示する液晶表示素子と、液晶表示素子へ入射する光を所定領域ごとに制御する入射光制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明によるカメラは、入射光を画素単位で変調して情報を表示する液晶表示素子、および液晶表示素子へ入射する光を所定領域ごとに制御する入射光制御手段を有し、撮像素子で取得された被写体像を表示する表示装置と、撮影光学系により焦点調節された合焦領域と当該合焦領域以外の他の領域との間で、液晶表示素子へ入射する光量が異なるように表示装置を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高コントラストで明るい表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一の実施形態による表示装置を使用する電子カメラを例示する図である。
【図2】電子カメラの構成例を説明するブロック図である。
【図3】EVFの詳細を説明する図である。
【図4】画素欠陥補正時に表示制御部に行わせる処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】画素欠陥補正と広ダイナミック画像表示との関係を例示する図である。
【図6】EVFが表示するライブビュー画像を例示する図である。
【図7】第二の実施形態によるEVFの詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態による表示装置を電子ビューファインダー(以下、EVFという)として使用する電子カメラを例示する図である。図1において、カメラ本体201に対して着脱可能に構成される撮影レンズ鏡筒202が装着されている。
【0009】
被写体からの光は、撮影レンズ鏡筒202の撮影光学系210および絞り211を介してカメラ本体201へ入射される。カメラ本体201に入射した被写体光は、メカニカルシャッター203を介して撮像素子212へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。撮像素子212は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子212は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。なお、撮像素子212の撮像面側に光学ローパスフィルター213が設けられている。
【0010】
光学系駆動機構214は、撮影光学系210を構成するフォーカス調節レンズを光軸方向に進退移動させる。フォーカス調節レンズの移動方向および移動量は、カメラ本体201側から制御される。なお、図を簡単にするため、撮影光学系210を単レンズとして表している。また、光学系駆動機構214は、絞り211の口径を変化させる。
【0011】
撮影者は、接眼光学系209を介してEVF109が表示する被写体像を観察する。CPU101は、撮像素子212で得られた撮像信号(光電変換信号)に基づく再生画像をEVF109に表示させる。EVF109の詳細については後述する。
【0012】
図2は、上述した電子カメラの構成例を説明するブロック図である。電子カメラは、CPU101によってカメラ動作が制御される。操作部材114は、レリーズボタン、ズームスイッチ、およびモード切替スイッチなどを含み、各操作スイッチからの操作信号をCPU101へ出力する。
【0013】
撮像素子AF回路116は、撮像素子212の所定画素からの出力信号(画素データ)を用いてコントラスト検出を行う公知のコントラスト検出方式の焦点検出処理を行う。具体的には、上記フォーカス調節レンズ(210)を進退移動させながら、画像のコントラストが最大になるレンズ位置を探し、該レンズ位置へフォーカス調節レンズを移動させることによってフォーカス調節を行う。
【0014】
撮像処理回路115は、撮像素子212からの出力信号をデジタル画像データに変換し、該画像データに対して所定の画像処理を行う。画像処理は、γ変換処理やホワイトバランス調整処理などを含む。測光装置102は、撮影光学系210を通過した被写体光を受光して測光演算を行う。
【0015】
ドライバ回路103は、CPU101からの指令に応じてメカニカルシャッター205を駆動する。ドライバ回路104は、CPU101からの指令に応じてレンズ鏡筒202側の光学系駆動機構214を駆動する。光学系駆動機構214に含まれるレンズ駆動部材がフォーカス調節レンズを進退駆動し、光学系駆動機構214に含まれる絞り駆動レバーが絞り211の口径を変化させる。
【0016】
カラー液晶モニター108は、画像や操作メニューなどを表示する。表示制御部106は、CPU101からの指令により、画像や操作メニューを表示するための画像信号に基づいて、カラー液晶モニター108に対する駆動信号を生成する。
【0017】
EVF109は、ライブビュー画像と呼ばれるモニタ用画像などを表示する。モニタ用画像は、撮像素子212が所定のフレームレート(たとえば、30フレーム/秒)で撮像して出力するモニタ表示用の撮像信号に基づく再生画像を逐次更新表示するものである。表示制御部107は、CPU101からの指令により、モニタ表示用の撮像信号に基づいてEVF109に対する駆動信号を生成する。
【0018】
メモリカード300は、カードコネクター110を介して電子カメラに着脱されるデータ記録媒体である。メモリカード300には画像データや音声データが記録される。メモリカード300に記録されている画像データによる再生画像は、カラー液晶モニター108に表示したり、EVF109に表示することが可能に構成される。
【0019】
画像記憶メモリ111は、画像処理、圧縮処理および伸長処理の際に一時的に画像データを格納する。圧縮/伸長回路112は、たとえば、JPEGなど所定の方式で画像データを圧縮処理したり、圧縮された画像データを伸長処理したりする。メモリ113は、CPU101の作業領域として利用される。
【0020】
本実施形態は、上記電子カメラが備えるEVF109に特徴を有するので、以降の説明はEVF109を中心に行う。図3は、EVF109の詳細を説明する図である。図3において、EVF109は表示面を右に向けている。撮影者は、EVF109が再生表示する像を右側から観察する。EVF109は、観察方向から順番に、たとえば、カラーフィルタ208、透過型液晶素子207、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)シャッタ206、導光板204が積層される。導光板204に光源205からの光が入射される。
【0021】
EVF109は、光変調素子としてMEMSシャッター206および透過型液晶素子207を有する。積層したMEMSシャッター206および透過型液晶素子207は、バックライト部材によってMEMSシャッター206側から照明される。バックライト部材は高輝度の白色LED205および導光板204によって構成される。導光板204は、白色LED205から入射された光を輝度が均一な面照明光に変換し、この面照明光でMEMSシャッター206を後ろ側(図3において左側)から照明する。
【0022】
<MEMSシャッター>
MEMSシャッター206は、たとえば、特開2002−214543号公報に開示される光変調器によって構成する。MEMSシャッター206は、積層された透過型液晶素子207の画素位置に対向して設けられた開口206aと、各開口をそれぞれ開閉するシャッター206bとを有する。シャッター206bによる開口206aの開閉量は、各開口ごとに個別制御が可能に構成される。本実施形態では、透過型液晶素子207の1画素につきMEMSシャッター206の1開口を対応させるが、透過型液晶素子207の複数画素をMEMSシャッター206の1開口に対応させるように構成してもよい。
【0023】
MEMSシャッター206は、シャッター206bを開放した開口206aに入射された照明光を通過させ、シャッター206bによって開口率を制限した開口206aに入射された照明光の通過を制限する。このため、透過型液晶素子207を照明する光量は、シャッター206bによる開口率が高いほど多くなり、シャッター206bによる開口率が低いほど少なくなる。
【0024】
表示制御部107(図2)は、たとえば、EVF109で明るく表示すべき透過型液晶素子207の画素位置を明るく照明し、EVF109で暗く表示すべき透過型液晶素子207の画素位置を照明する光を抑えるように、MEMSシャッター206に対する駆動信号を生成する。MEMSシャッター206は、表示制御部107から入力される駆動信号に応じて、マトリクス状に構成された開口206aの開口率を個別に制御する。これにより、透過型液晶素子207を照明する照明光量が、画素単位(透過型液晶素子207の1画素をMEMSシャッター206の1開口に対応させる場合)またはエリア単位(透過型液晶素子207の複数画素をMEMSシャッター206の1開口に対応させる場合)で調節される。表示制御部107は、MEMSシャッター206の通過光量を、たとえば4ビット(16階調)で制御する。
【0025】
<液晶表示素子>
透過型液晶素子207は、液晶パネルにカラーフィルタ208が積層されることにより、公知のカラー液晶表示素子が構成される。カラーフィルタ208は、上記液晶パネルの画素207aの位置に対応させて、R,G,Bの色フィルタが交互に配列されている。
【0026】
透過型液晶素子207は、不図示の透明電極から電圧が印加されない状態では、液晶層内の液晶分子の配向によって液晶層の中に入射された光の偏光方向を90度回転させる。これにより、MEMSシャッター206を介して液晶層内に入射された偏光光は、液晶層内で90度回転された後にカラーフィルタ208を通過して右方へ射出される。なお、カラーフィルタ208の右側には不図示の偏光板が積層されており、偏光方向が回転された光のみを射出するように構成される。
【0027】
一方、不図示の透明電極から電圧が印加された状態の透過型液晶素子207は、液晶層内の液晶分子の配向を変え、入射光の偏光方向を回転させない。これにより、MEMSシャッター206を介して液晶層内に入射された偏光光は、カラーフィルタ208を通過後に上記偏光板(不図示)を通過できないため、透過型液晶素子207を透過して射出される光量が小さくなる。画素ごとの透過光量は、画素の印加電圧に応じて変化する。
【0028】
表示制御部107は、EVF109で赤成分を表示すべき透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加せず、EVF109で赤成分を必要としない透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加するように、透過型液晶素子207に対する駆動信号を生成する。
【0029】
同様に、表示制御部107は、EVF109で緑成分を表示すべき透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加せず、EVF109で緑成分を必要としない透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加するように、透過型液晶素子207に対する駆動信号を生成する。
【0030】
表示制御部107はさらに、EVF109で青成分を表示すべき透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加せず、EVF109で青成分を必要としない透過型液晶素子207の画素207aの位置に対応する透明電極へ電圧を印加するように、透過型液晶素子207に対する駆動信号を生成する。
【0031】
透過型液晶素子207は、表示制御部107から入力される駆動信号に応じて、カラーフィルタ208の色配列に応じた画素207aの位置に対応する透明電極に対して印加する電圧を個別に制御する。これにより、透過型液晶素子207から射出されるRGB色の透過光の強弱が、画素単位で調節される。表示制御部107は、透過型液晶素子207の透過光量を、たとえば8ビット(256階調)で制御する。
【0032】
観察者は、透過型液晶素子207から射出されるRGB色の透過光によって合成されるフルカラーのライブビュー画像を観察する。
【0033】
<画素欠陥補正>
表示制御部107は、透過型液晶素子207に欠陥画素が含まれている場合に、MEMSシャッター206によって画像の明るさを局所的に変化させて欠陥画素の影響を抑えるように補正処理を行う。また、表示制御部107は、MEMSシャッター206に欠陥画素(開口)が含まれている場合に、透過型液晶素子207によって画像の明るさを局所的に変化させて欠陥画素(開口)の影響を抑えるように補正処理を行う。
【0034】
本実施形態では、透過型液晶素子207の透明電極に電圧を印加しても、液晶分子の配向が変化しない画素を有する場合、この画素を欠陥と呼ぶ。このような欠陥画素は、常に光を透過するので、ノーマリホワイトと呼ばれる。透過型液晶素子207の欠陥画素位置は、通常、透過型液晶素子207の検査データに記されていたり、電子カメラの組み立て前に行われる部品検査によって既知である。
【0035】
そこで、透過型液晶素子207に欠陥画素が存在する場合には、当該画素の位置情報(たとえば、XY座標)をCPU101の不揮発性メモリ101a内にあらかじめ記録しておく。表示制御部107は、MEMSシャッター206に対する駆動信号を生成する際、不揮発性メモリ101a内の欠陥画素位置情報を参照し、開口206aの位置が透過型液晶素子207の欠陥画素位置に対応する場合には当該開口206aの開口率を画素欠陥補正のために制御する。これにより、透過型液晶素子207の画素が正常な場合には該透過型液晶素子207により256階調で表示画像の濃淡を表すところ、透過型液晶素子207の画素に欠陥がある場合には、欠陥位置に対応するMEMSシャッター206によって16階調で表示画像の濃淡を表す。
【0036】
一方、本実施形態では、MEMSシャッター206においてシャッター206bで閉鎖できない開口206aを有する場合、この開口(画素)を欠陥と呼ぶ。MEMSシャッター206の欠陥位置は、通常、MEMSシャッター206の検査データに記されていたり、電子カメラの組み立て前に行われる部品検査によって既知である。
【0037】
そこで、MEMSシャッター206に欠陥が存在する場合には、当該欠陥の位置情報(たとえば、XY座標)をCPU101の不揮発性メモリ101a内にあらかじめ記録しておく。表示制御部107は、透過型液晶素子207に対する駆動信号を生成する際、不揮発性メモリ101a内の欠陥位置情報を参照し、画素207aの位置がMEMSシャッター206の欠陥位置に対応する場合には当該画素207aの透過光量を欠陥補正のために制御する。これにより、MEMSシャッター206の開口206a(シャッター206b)が正常な場合には当該MEMSシャッター206により16階調で表示画像の濃淡を表すところ、MEMSシャッター206の開口206a(シャッター206b)に欠陥がある場合には、欠陥位置に対応する透過型液晶素子207によって256階調で表示画像の濃淡を表す。
【0038】
図4は、上述した画素欠陥補正時にCPU101が表示制御部107に行わせる処理の流れを説明するフローチャートである。ステップS1において、CPU101は、透過型液晶素子207の位置(X,Y)の画素が欠陥か否かを判定する。CPU101は、不揮発性メモリ101a内に記録されている欠陥画素位置情報を参照し、欠陥と判定した場合はステップS1を肯定判定してステップS2へ進む。CPU101は、欠陥と判定しなかった場合はステップS1を否定判定してステップS3へ進む。
【0039】
ステップS2へ進む場合は、MEMSシャッター206を用いた欠陥画素補正を行う。CPU101は、欠陥画素位置(X,Y)に対応するMEMSシャッター206の開口206aにおける開口率を制御して階調制御し、図4による処理を終了する。開口206aにおける開口率は、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて決定する。なお、透過型液晶素子207において正常な画素の位置(X,Y)に対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率は、たとえば、50%(半開)とする。
【0040】
ステップS3において、CPU101は、MEMSシャッター206の位置(X,Y)の開口が欠陥か否かを判定する。CPU101は、不揮発性メモリ101a内に記録されている欠陥位置情報を参照し、欠陥と判定した場合はステップS3を肯定判定してステップS4へ進む。CPU101は、欠陥と判定しなかった場合はステップS3を否定判定してステップS5へ進む。
【0041】
ステップS4へ進む場合は、透過型液晶素子207を用いて欠陥補正を行う。CPU101は、開口の位置(X,Y)に対応する透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を制御して階調制御し、図4による処理を終了する。画素207aにおける透過率は、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて決定する。なお、MEMSシャッター206において正常な開口の位置(X,Y)に対応する透過型液晶素子207の画素207aの透過率も、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて決定する。
【0042】
ステップS5において、CPU101は、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を制御して階調制御する(256階調で表示画像の濃淡を表す)。CPU101はさらに、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて、MEMSシャッター206の開口206aの開口率を制御して図4による処理を終了する(16階調で表示画像の濃淡を表す)。
【0043】
<画像再生モードの切替え>
EVF109は、表示画像を12ビットで階調表現する広ダイナミック画像再生モードと、表示画像を8ビットで階調表現する通常画像再生モードとが切替え可能に構成される。両画像再生モードの切替えは、たとえば、操作部材114の操作によって行われる。
【0044】
CPU101は、広ダイナミック画像再生モードの場合、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御するとともに、MEMSシャッター206の開口206aの開口率を16階調で制御する。
【0045】
一方、CPU101は通常画像再生モードの場合、EVF109で表示すべき画像信号に基づいて、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御するとともに、MEMSシャッター206の開口206aの開口率を所定値(たとえば50%)とする。
【0046】
図5は、画素欠陥補正と広ダイナミック画像表示との関係を例示する図である。通常画像再生モードのとき、正常な画素位置に対しては、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御するとともに、MEMSシャッター206の開口206aの開口率を所定値(たとえば50%)とする。そして、透過型液晶素子207の欠陥画素位置(X,Y)については、対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率を16階調で制御する(図4のステップS2と同様)。さらに、MEMSシャッター206の欠陥開口位置(X,Y)については、対応する透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御する(図4のステップS4と同様)。
【0047】
広ダイナミック画像再生モードのとき、正常な画素位置に対しては、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御するとともに、MEMSシャッター206の開口206aの開口率を16階調で制御する(図4のステップS5に相当)。そして、透過型液晶素子207の欠陥画素位置(X,Y)については、対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率を16階調で制御する(図4のステップS2に相当)。さらに、MEMSシャッター206の欠陥開口位置(X,Y)については、対応する透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧を256階調で制御する(図4のステップS4に相当)。
【0048】
<強調表示>
表示制御部107は、EVF109が表示する画像のうち所定領域の明るさを変化させて際立たせるように制御を行う。強調表示するか否かの切替えは、たとえば、操作部材114の操作によって行われ、上述した通常画像再生モードに切替えられているの場合に設定可能に構成される。
【0049】
図6は、EVF109が表示するライブビュー画像を例示する図である。図6において、画像に重ねて12のフォーカスエリアを示す12のマークが重畳表示されている。フォーカスエリアは、撮影画面の中でピント合わせの対象とする領域(すなわち、撮像素子AF回路116がコントラスト検出を行う領域)である。
【0050】
図6の例では、画面上部の4つのフォーカスエリアで検出したコントラストに基づいてフォーカス調節を行ったので、該4つのマークが他の8つのマークより太く表示されている。CPU101は、表示制御部107へ指示を送り、フォーカス調節に採用したフォーカスエリア(図6の場合は、画面上部の4つのマーク)を含む領域を合焦領域として他の領域に比べて明るく表示する。
【0051】
表示制御部107は、フォーカス調節を行う前は、MEMSシャッター206の全面で開口206aの開口率を、たとえば50%とする。そして、フォーカス調節を行った後は、上記合焦領域に対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率を100%とする。透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧は、フォーカス調節の前後で共通に256階調の制御を行う。これにより、合焦領域が他の領域に比べて明るく表示されたライブビュー画像が得られる。
【0052】
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)EVF109として用いた表示装置は、入射光を画素単位で変調して画像情報を表示する透過型液晶素子207と、透過型液晶素子207へ入射する光を所定領域ごとに制御するMEMSシャッター206とを備えるようにしたので、カメラのビューファインダーのような小型の表示装置に対してローカルディミング(局所的調光)を行える。これにより、画像情報を高コントラストで明るく表示できる。具体的には、透過型液晶素子を2つ重ねて構成する場合に比べて表示装置を薄く構成でき、透過型液晶素子を2つ重ねて構成する場合に比べて光損失が小さいから明るく表示できる。
【0053】
(2)上記表示装置において、MEMSシャッター206は、透過型液晶素子207の欠陥画素へ入射する光量を所定領域単位で変調し、透過型液晶素子207の正常画素に入射する光を所定光量とするように制御するので、透過型液晶素子207に階調制御できない欠陥画素が存在する場合には、透過型液晶素子207の当該欠陥画素を含む領域へ入射する光をMEMSシャッター206によって変調し得る。たとえば、透過型液晶素子207の正常画素による表示の明るさと同等にするようにMEMSシャッター206を階調制御することで、表示画面上で欠陥画素が明るく目立つのを抑えることができる。
【0054】
(3)上記表示装置において、MEMSシャッター206は、透過型液晶素子207上で明るい画像情報を表示する領域と暗い画像情報を表示する領域との間で、透過型液晶素子207へ入射する光量が異なるように制御するので、制御可能な階調数をみかけ上増やすことができるから、高コントラストの表示を実現できる。
ことを特徴とする表示装置。
【0055】
(4)上記表示装置において、MEMSシャッター206はその開口率を変化させて透過型液晶素子207へ入射する光量を制御するので、画素ピッチが小さいマイクロ液晶素子と組み合わせるのに好適である。
【0056】
(5)カメラに、上記表示装置、および撮影光学系により焦点調節された合焦領域と当該合焦領域以外の他の領域との間で透過型液晶素子207へ入射する光量が異なるように該表示装置を制御するCPU101、表示制御部107を備えたので、表示画像においてピントが合っている領域を他の領域に比べて目立たせることができる。
【0057】
(変形例1)
上述した<強調表示>では、フォーカス調節を行った後に合焦領域を他の領域に比べて明るく表示するライブビュー画像を得るようにした。この代わりに、フォーカス調節を行った後に合焦領域でない領域を合焦領域に比べて暗く表示するライブビュー画像を得るようにしてもよい。この場合の表示制御部107は、フォーカス調節を行う前は、MEMSシャッター206の全面で開口206aの開口率を100%とする。そして、フォーカス調節を行った後は、上記合焦領域に対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率は100%を維持して、非合焦領域に対応するMEMSシャッター206の開口206aの開口率を、たとえば50%に下げる。なお、透過型液晶素子207の画素207aに対する印加電圧は、フォーカス調節の前後で共通に256階調の制御を行う。
【0058】
(変形例2)
図3の導光板204および光源205に代えて、有機EL照明素子を用いて構成してもよい。有機EL照明素子は、たとえば、白色発光素子を配列した公知の有機EL表示素子からカラーフィルタを省略したものであり、画素ごとの発光量を個別に制御可能な照明素子をいう。表示制御部107は、上記MEMSシャッター206の開口206aの開口率を100%にする代わりに、有機EL照明素子の画素からの発光量を最大にし、上記MEMSシャッター206の開口206aの開口率を50%にする代わりに、有機EL照明素子の画素からの発光量を50%に減光する。変形例2の構成でも、第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0059】
(第二の実施形態)
第二の実施形態では、透過型液晶素子207の代わりに反射型液晶(LCOS)パネルを用いて液晶素子207Bを構成する。図7は、第二の実施形態によるEVF109Bの詳細を説明する図である。図7において、EVF109Bは表示面を右に向けている。撮影者は、EVF109Bが再生表示する像を右側から観察する。
【0060】
光源205Bは、PBS(偏光ビームスプリッタ)220へS偏光成分を入射する。S偏光成分を入射させるため、PBS220の上面(光源205B側の面)にプリ偏光板を設けてもよい。PBS220は、S偏光成分である入射光束を偏光分離部220aで反射し、反射型液晶素子207B側へ射出する。
【0061】
照明光は、カラーフィルタ208およびMEMSシャッター206を介して反射型液晶素子207Bへ入射される。反射型液晶素子207Bの液晶層を透過する光は、該反射型液晶素子207Bへ入射されると当該液晶層を図7の左向きに進行し、反射面207dで反射された後、液晶層を右向きに進行して反射型液晶素子207Bから射出され、MEMSシャッター206およびカラーフィルタ208を介してPBS220へ再度入射される。電圧が印加された液晶層は位相板として機能するので、PBS220へ再度入射される光は、P偏光(電圧が印加された画素からの光)と、S偏光(電圧が印加されない画素からの光)が混合している。
【0062】
PBS220は、再入射された光束のうちP偏光成分である変調光のみを偏光分離部220aで透過し、図7の右方へ向けて射出する。これにより、観察者は、表示モジュール20Bから射出されるRGB色の透過光によって合成されるフルカラーのライブビュー画像を観察する。なお、PBS220へ再入射されたS偏光成分の光は、偏光分離部220aによって光源205B側へ反射されて廃棄される。
【0063】
以上説明した第二の実施形態のように、反射型液晶素子207Bを用いる場合にも第一の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、反射型液晶素子207Bの方が開口を広くとれるので、明るい表示像が得られる。
【0064】
上記実施形態では、本発明による表示装置をEVFとして電子カメラに使用する例を説明したが、携帯電話機やフォトフレーム、ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置として使用してもよい。
【0065】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
101…CPU
101a…不揮発性メモリ
107…表示制御部
109…EVF
116…撮像素子AF回路
201…カメラ本体
202…撮影レンズ鏡筒
204…導光板
205…光源
206…MEMSシャッター
207…透過型液晶素子
208…カラーフィルタ
209…接眼光学系
212…撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を画素単位で変調して情報を表示する液晶表示素子と、
前記液晶表示素子へ入射する光を所定領域ごとに制御する入射光制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記入射光制御手段は、前記液晶表示素子の欠陥画素へ入射する光量を前記所定領域単位で変調し、前記液晶表示素子の正常画素に入射する光を所定光量とするように制御することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記入射光制御手段は、前記液晶表示素子が第1情報を表示する領域と前記液晶表示素子が前記第1情報と異なる第2情報を表示する領域との間で、前記液晶表示素子へ入射する光量が異なるように制御することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置において、
前記入射光制御手段はMEMSシャッターを含み、当該シャッターの開口率を変化させて前記液晶表示素子へ入射する光量を制御することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置において、
前記入射光制御手段は有機EL発光素子を含み、当該発光素子の発光量を変化させて前記液晶表示素子へ入射する光量を制御することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
入射光を画素単位で変調して情報を表示する液晶表示素子、および前記液晶表示素子へ入射する光を所定領域ごとに制御する入射光制御手段を有し、撮像素子で取得された被写体像を表示する表示装置と、
撮影光学系により焦点調節された合焦領域と当該合焦領域以外の他の領域との間で、前記液晶表示素子へ入射する光量が異なるように前記表示装置を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−32622(P2012−32622A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172271(P2010−172271)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】