説明

表示装置の製造方法及び接続装置

【課題】工程数の減少とともに工程間の仕掛かり在庫が減少する表示装置の製造方法及び接続装置を提供する。
【解決手段】パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続工程を含む表示装置の製造方法であって、上記接続工程は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う表示装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法及び接続装置に関する。より詳しくは、表示パネル、テープキャリアパッケージ、プリント回路基板間の接続工程を含む表示装置の製造方法、及び、その接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示装置は、表示の駆動制御を行うために様々な電子部材が組み込まれており、これらが一体となって一つのモジュールを構成する。そのような電子部材としては、例えば、テープキャリアパッケージ(TCP;Tape Carrier Package)やプリント回路基板(PCB;Print Circuit Board)等が挙げられ、これらは通常、パネルとなる基板の周辺に設けられる。このような電子部材を含むモジュールの代表的な構成としては、以下のような形態が知られている。
【0003】
図4は、COF(Chip On Film)方式における液晶表示モジュールの平面模式図である。図4に示すように、パネルとなるガラス基板101の一辺には5枚のソースTCP102が接続されており、その5枚のソースTCP102には、更に1枚のソースPCB103が接続されている。また、ガラス基板101の他の一辺には、2枚のゲートTCP104が接続されており、その2枚のソースTCP102には、更に1枚のゲートPCB105が接続されている。また、それぞれの部材の間には、異方性導電膜(ACF;Anisotropic Conductive Film)が貼り付けられており、これに沿ってガラス基板101と、ソースTCP102、ソースPCB103、ゲートTCP104及びゲートPCB105のそれぞれとは、物理的かつ電気的に接続されることになる(例えば、特許文献1参照。)。ここで、このような電子部品をパネル基板に実装するための一般的な工程を以下に示す。
【0004】
まず、パネルとなるガラス基板101のソース側及びゲート側のそれぞれの一辺に対して基板面上にACFを貼り付ける。続いて、複数のTCP102、104を、ガラス基板101上のACFと重なるように配置し、続いて仮圧着工程、更に本圧着工程へと進む。そして、本圧着が完了した時点で、一旦、作製されたモジュールに仮配線を行い、検査信号を入力して表示検査を行い、ガラス基板101とTCP102、104との電気的な接続確認を行う。このような工程を経て、まずガラス基板101に対し、TCP102、104が接続されることになる。続いて、PCBとの接続工程に進む。PCBとの接続工程においてもTCPとの接続工程と同様、PCBとTCPとは通常、ACFを介して接続されることになる。なお、PCBの場合は、複数のTCP102、104に対して1枚のPCB103、105が接続され、端子ピッチや端子幅が比較的広く、位置合わせにそれほどの高精度は求められないことから、仮圧着を行わず、複数のTCP102、104を一括して本圧着する方法が行われている。PCB103、105の本圧着完了後は、同様に、作製されたモジュールに検査信号を入力して表示検査を行い、PCB103、105との電気的な接続確認を行う。このようにして、COF方式のモジュールは完成する。
【0005】
なお、このような接続を高精度に行う方法としては、まず画像認識手段によりガラス基板と各部材とを相対的に位置合わせした後に、各部材の接続工程へと進む方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、ガラス基板、TCP及びPCBに対してACFを貼り付ける方法としては、まず対象部材に貼り付けを行い、その後セパレータの剥離を行う方法が一般的であるが、セパレータとともにACFを切断して貼り付けを行い、後工程でセパレータ剥離を行う方法も提案されており、設備構成、仕様によって最適な方法が採用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
このように、ガラス基板、TCP及びPCBの接続方法については様々な方法が提案されているが、各工程間において多数の仕掛かり在庫が発生し、かつ、その保管場所も含め設備設置スペースが広くとられてしまっており、生産性が低下しているという現状もあるため、より効率的にモジュールを組み立てることができる方法が求められていた。
【特許文献1】特開平8−304845号公報
【特許文献2】特開平11−186701号公報
【特許文献3】特開平6−215848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、工程数の減少とともに工程間の仕掛かり在庫が減少する表示装置の製造方法及び接続装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、パネル基板に対してTCPやPCBを実装するモジュール製造工程について種々検討したところ、製造工程内でのパネル基板、TCP及びPCBの配置に着目した。そして、平面上に並んで配置されたパネル基板及びPCBの対向するそれぞれの一辺と重畳するように、基板面上にTCPを配置し、一括してTCP圧着工程とPCB圧着工程とを行うことで、TCPの接続・検査工程と、PCBの接続・検査工程とをまとめてしまうことが可能となることを見いだした。また、本発明者は、更に鋭意検討を行った結果、そのような工程を達成することができる装置を見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続工程を含む表示装置の製造方法であって、上記接続工程は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う表示装置の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続装置であって、上記接続装置は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う圧着部を有する接続装置でもある。
【0011】
以下に本発明の内容を説明していくが、まず、本発明の表示装置の製造方法について詳述する。
【0012】
本発明の表示装置の製造方法は、パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続工程を含む。本発明の表示装置の製造方法により製造される表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。パネル基板は、表示装置の表示パネルとしての役割を果たすものであり、また、基板上には、装置の駆動制御のための走査線、信号線、スイッチング素子等を有する。パネル基板の材質としては、例えば、ガラス、プラスチック等が挙げられる。プリント回路基板(PCB)は、テープキャリアパッケージの入力端子に接続される電極を有する基板であり、走査信号等を供給する役割を果たす。テープキャリアパッケージ(TCP)は、配線パターンが形成されたプリント板に集積回路(IC)を実装したものであり、ドライバICとしての役割を果たす。
【0013】
上記接続工程は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う。従来では、TCP接続工程、表示検査(TCP接続後)、PCB接続工程、及び、表示検査(PCB接続後)の流れでモジュールを作製していたが、平面上にパネル基板及びプリント回路基板を並んで配置することによって、パネル基板上にTCPを圧着する工程と、TCPにPCBを圧着する工程とを一度に行うことができ、製造工程が約半分に削減される。また、この方法によれば、パネル基板とTCPとの接続検査工程、及び、TCPとPCBとの接続検査工程をまとめることができる。更に、パネル基板、TCP及びPCBのそれぞれが各圧着作業場所に移載される工程が約半分に削減されることになるので、各部材に異物が混入する可能性を減少させることができ、異物混入による接続不良の発生を抑制することができる。圧着は、一定時間の加熱及び/又は加圧によって行うことができ、一回で圧着する方法を用いてもよいし、一旦仮圧着した後、本圧着を行うといった複数回による圧着法を用いてもよい。この場合、仮圧着は、通常、本圧着よりも低温、低圧及び短時間で行われる。なお、圧着が仮圧着と本圧着との2段階で行われる場合は、その圧着工程は、仮圧着工程及び本圧着工程のいずれかのみを、パネル基板及びPCBにTCPを一括して圧着する工程としてもよいし、いずれの工程においても、一括して圧着する工程としてもよい。ここで、「一括して」とは、同時に行う場合と、同一工程内の一連の動作で行う場合とのいずれも含むものとし、例えば、本圧着を行う場合において、同一作業スペースでTCPの取り付けをパネル基板側とPCB側とで順々に連続して行う場合が含まれる。なお、以下本明細書において、一回のみの圧着は、「本圧着」と呼ぶことにする。
【0014】
続いて、本発明の表示装置の製造方法における好ましい形態について詳述する。
【0015】
上記接続工程は、仮圧着と本圧着とを行うものであり、仮圧着と本圧着のいずれにおいても、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着が一括して行われることが好ましい。すなわち、上記圧着が仮圧着工程と本圧着工程との2段階である場合は、いずれの工程においてもパネル基板及びプリント回路基板にテープキャリアパッケージを一括して圧着することが好ましく、そうすることで、より接続工程が削減され、かつ製造物の接続不良の発生が抑制されることになる。
【0016】
上記接続工程は、パネル基板及びプリント回路基板上に異方性導電膜を一括して貼り付ける工程を含むことが好ましい。異方性導電膜(ACF)は、熱硬化性又は熱可塑性の樹脂フィルムの中に導電性の粒子を混ぜたものであり、導電性を有するとともに接着剤としての役割も果たすことができる。なお、パネル基板の複数の辺に対してTCPを接続する場合には、パネル基板面上の複数の辺に対してACFを貼り付けることが好ましい。パネル基板及びプリント回路基板を平面上に並んで配置することで、両基板にACFを一括して貼り付けることができる。この方法によれば、ACFの貼り付け工程を従来の半分に削減することができ、かつ、パネル基板、TCP及びPCBの貼り付け作業場所への移載工程も半分に削減されることになるので、上述の圧着の場合と同様に、異物混入による接続不良の発生を抑制することができる。
【0017】
上記接続工程は、パネル基板及びプリント回路基板が一定間隔で吸着保持された状態で行われることが好ましい。パネル基板及びプリント回路基板を一定間隔で吸着保持して各工程に進むことで、精度よく各部品を接続することが可能となる。
【0018】
上記表示装置の製造方法は、パネル基板及びプリント回路基板を画像認識装置により位置決めした後に接続工程を行うことが好ましい。画像認識装置を用いることで、パネル基板及びプリント回路基板の配置を高精度に調整することが可能となり、作製されるモジュールも品質が良好なものとなる。なお、画像認識手段としては、各基板にアラインメントマークを設けてそれを認識させる方法が好適である。そのような認識手段としては、例えば、パネル基板及びプリント基板が配置される平面上と、パネル基板及びプリント回路基板の位置合わせを行う部分とにそれぞれアラインメントマークを設け、位置合わせを行い、両アラインメントマークにずれがある場合にそれぞれの位置を調整する方法等が挙げられる。また、そのような画像認識装置としては、例えば、X(水平方向)、Y(直交方向)、θ(回転方向)に微細に位置調整が可能な位置決めテーブル、基板のずれ量を認識するCCDカメラ、及び、座標位置の検出・制御回路等を備えるものが挙げられる。
【0019】
次に、本発明の接続装置について詳述する。本発明の接続装置は、上述までの表示装置の製造方法を達成することができる装置である。
【0020】
本発明の接続装置は、パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続装置であって、上記接続装置は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う圧着部を有する。圧着部の構成としては、例えば、TCPの搬送機構と、加熱機構及び/又は加圧機構とを有するものが挙げられる。本発明の接続装置によれば、モジュール製造工程の削減及び作製したモジュールの接続不良の発生の抑制を図ることができる。また、製造工程の削減が可能な分、接続装置を小型化することができ、設備設置スペースが縮小化される。
【0021】
続いて、本発明の接続装置における好ましい形態について以下に詳しく説明する。
【0022】
上記圧着部は、パネル基板及びプリント回路基板に対しテープキャリアパッケージを一括して仮圧着する仮圧着部と、テープキャリアパッケージが仮圧着されたパネル基板及びプリント回路基板に対し一括して本圧着する本圧着部とで構成されることが好ましい。圧着工程を仮圧着工程と本圧着工程との2段階とすることで、より良好な圧着効果を得ることができる。なお、仮圧着を行う条件と本圧着を行う条件とは通常、異なっているので、別々の圧着部を設けることが好ましい。
【0023】
上記接続装置は、パネル基板及びプリント回路基板上に一括して異方性導電膜を貼り付ける、異方性導電膜貼り付け部を有することが好ましい。ACFを貼り付ける条件と、仮圧着や本圧着等の条件とは異なっているので、異なる貼り付け部を設けることが好ましい。
【0024】
上記接続装置は、パネル基板及びプリント回路基板を一定間隔で吸着保持する載置台を有することが好ましい。パネル基板及びプリント回路基板を一定間隔で吸着保持して各工程に進むことで、精度よく各部品を接続することが可能となる。
【0025】
上記接続装置は、パネル基板とプリント回路基板との間隔の調整を行う画像認識装置を有することが好ましい。画像認識装置を用いることで、パネル基板及びプリント回路基板の配置を高精度に調整することが可能となり、作製されるモジュールも品質が良好なものとなる。なお、装置内には、各基板に設けられたアラインメントマークを認識させる機構を備え付けておくことが好適であり、例えば、上述の画像認識手段及び画像認識装置を好適に用いることができる。また、本接続装置は、このようなパネル基板とプリント回路基板との間隔の調整を上述の両基板の吸着保持の前に行う構造とすることがより好ましい。
【0026】
上記圧着部は、テープキャリアパッケージを吸着保持する機構と、テープキャリアパッケージを昇降させる機構とを有することが好ましい。本発明の接続装置は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板に対してTCPを接続させるものであるので、TCPを吸着保持したまま昇降させる機構を有することで、TCPの配置を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の表示装置の製造方法及び接続装置によれば、従来では別々に行われてきたパネル基板とTCPとの接続工程、及び、TCPとPCBとの接続工程を一括して行うことができるため、工程数の減少とともに工程間の仕掛かり在庫が減少し、かつ大幅なコストダウンを実現することができる。また、パネル基板、TCP及びPCBの移載工程が削減されることで、各部材に異物が混入する可能性を減少させることができ、異物混入による接続不良の発生を抑制することにもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に実施例を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
図1は、実施例1で用いる接続装置の構成を示す平面模式図である。以下、本発明の接続装置を用いた場合の本発明の表示装置の製造方法、及び、本発明の接続装置の構造を、接続工程の流れとあわせて説明を行う。本実施例では、ガラス基板の一辺に沿ってソースTCP5枚及びソースPCB1枚を、ガラス基板の他の一辺に沿ってゲートTCP3枚及びゲートPCB1枚を接続可能な機種を用いる。
【0030】
まず作業者1が、ガラス基板供給トレイ3から取り出したガラス基板13aを、ガラス基板画像認識テーブル6に載せる。ガラス基板画像認識テーブル6には、ガイドピンが設けてあり概略位置決めができる構造である。ガラス基板画像認識テーブル6の下方に設置されたCCDカメラ及び画像認識装置によって、ガラス基板13aの端面両端のアライメントマークを読み取り、あらかじめ設定された基準位置からの差を補正しながらガラス基板13aを治具テーブル(載置台)7に移載して、吸着固定する。
【0031】
次に作業者1は、PCB供給トレイ2から取り出したPCB15を、PCB画像認識テーブル5に載せる。PCB画像認識テーブル5には、ガイドピンが設けてあり概略位置決めができる構造である。PCB画像認識テーブル5の上方に設置されたCCDカメラ及び画像認識装置によって、各PCB15の端面両端のアライメントマークを読み取り、あらかじめ設定された基準位置からの差を補正しながらPCB15を治具テーブル7にそれぞれ移載して、吸着固定する。治具テーブル7では、ガラス基板13aとPCB15が接続位置に位置決めされた状態で吸着固定されている状態となる。
【0032】
ここで、治具テーブル7の構造と動作について説明を行う。治具テーブル7下に設けられた円形のインデックスユニット8は、サーボモーターの駆動等の手段により時計方向に回転し、かつ90°毎に正確に停止しその位置を保持する構造を有する。また、インデックスユニット8には治具テーブル7が4組取り付けられており、各治具テーブル7は更に90°毎に回転可能な構造になっている。したがって、治具テーブル7は、インデックスユニット8の外周に設けられたACF貼り付け部9、TCP仮圧着部10及び本圧着部12の各作業ステーションに移動した際には、ソース側又はゲート側の加工方向を各作業ステーションの方向に方向付けることが可能である。
【0033】
ガラス基板13aが治具テーブル7に移載されると、ガラス基板13aとPCB15が吸着固定された治具テーブル7を載せたインデックスユニット8は90°回転し、治具テーブル7をACF貼り付け部9の前に配置する。そして、ガラス基板13aとPCB15のソース側所定の位置にACF貼り付けを行い、セパレータの剥離を行う。ソース側作業が完了すると、治具テーブル7は90°回転し、同様にゲート側所定の位置にもACF貼り付けを行い、セパレータの剥離を行い、ゲート側作業が完了する。
【0034】
ACF貼り付けが完了すると、インデックスユニット8は90°回転し、ガラス基板13aとPCB15が吸着固定された治具テーブル7をTCP仮圧着部10の前に配置する。そして、TCPリール11a、11bから外形打抜き金型によって個片に切断されたソースTCPを画像認識によって精度よく位置決めし、ソース側の所定の位置に仮圧着を行う。ソース側5枚のTCP仮圧着動作を繰り返してソース側作業を完了すると、治具テーブル7は90°回転してゲート側も同様に、TCPリール11a、11bから外形打抜き金型によって個片に切断されたゲートTCPを画像認識によって精度よく位置決めを行い、ゲート側所定の位置に仮圧着を行う。仮圧着工程は、例えば、50〜80℃、0.5〜2秒、0.5〜1MPaと、比較的低温、短時間、低圧力の条件で行われる。ゲート側3枚のTCP仮圧着動作を繰り返してゲート側作業を完了させる。
【0035】
仮圧着が完了すると、インデックスユニット8は90°回転し、ガラス基板13aとPCB15が吸着固定され、TCPが仮圧着された治具テーブル7を本圧着部12の前に配置する。そして、ソース側所定の位置にツールを下ろして本圧着を行う。ソース側作業が完了すると治具テーブル7は90°回転して、ゲート側所定の位置にツールを下ろして本圧着を行う。本圧着工程は、例えば、150〜200℃、10〜20秒、2〜3MPaと、比較的高温、長時間、高圧力の条件で行われる。
【0036】
本圧着が完了すると、インデックスユニット8は90°回転し、PCB15が接続されたガラス基板13bが吸着固定された治具テーブル7を作業者1の前に配置し、吸着固定は解除される。そして、作業者1は治具テーブル7からガラス基板13bを取り出し、ガラス基板収納トレイ4に載せる。このようにして、接続工程は完了する。
【0037】
なお、本実施例で用いる接続装置は、4つの作業ステーションで構成されているため、4つの治具テーブルがインデックスユニット上に備え付けられているが、作業ステーションの数に応じて治具テーブルの数やインデックスユニットの回転量を調整することが好ましい。また、本実施例では、装置内へのガラス基板の供給を手動で行うセミオート方式を採用しているが、こうすることで、装置の小型化が可能となる。
【0038】
以下、仮圧着工程について特に詳述する。図2は、実施例1で用いる接続装置の仮圧着部10の側面を示す断面模式図である。仮圧着部10には画像認識装置が備え付けられており、治具テーブル7に吸着固定されたガラス基板13aとPCB15との接続状態の位置関係に応じて治具テーブル7の位置を高精度に補正することができ、そのように補正されたガラス基板13a及びPCB15は、裏面下側に設けられたバックアップ構造20a、20bで支えられる。また、仮圧着部10には仮圧着ユニット16が設けられており、これによって仮圧着工程が行われる。仮圧着ユニット16には、あらかじめ設定された温度条件を維持するためのヒーター17と熱電対18とが取り付けられている。また、仮圧着ユニット16にはコレット19が取り付けられており、コレット19にはTCPリール11a、11bから外形打抜き金型で個片に切断されて搬送されてきたTCP14を吸着保持できる外部の真空発生器が接続されている。そして、コレット19によって、TCP14は、吸着保持したまま所定の圧力で下降し、ガラス基板及びPCBに対して一括して接続される。以上の工程を経て、仮圧着が完了する。
【0039】
以下、本圧着工程について特に詳述する。図3は、実施例1で用いる接続装置の本圧着部12の側面を示す断面模式図である。本圧着部12においても画像認識装置が備え付けられており、治具テーブル7に吸着固定されたガラス基板13aとPCB15との接続状態の位置関係に応じて治具テーブル7の位置を高精度に補正することができ、そのように補正されたガラス基板13a及びPCB15は、裏面下側に設けられたバックアップ構造20a、20bで支えられる。また、本圧着部12には本圧着ユニット21a、21bが設けられており、これによって本圧着工程が行われる。本圧着ユニット21a、21bにはそれぞれヒーター22a、22bが取り付けられている。また、本圧着ユニット21a、21bには圧着ツール23a、23bが取り付けられており、圧着ツール23a、23bの先端近くには、圧着温度を精度よく設定し、かつ制御を行うための熱電対24a、24bがそれぞれ取り付けられている。更に、圧着ツール23a、23bと接続部のガラス基板13、TCP14及びPCB15との間には緩衝材25が設けてある。緩衝材25によって本圧着部12を均一に加圧することが可能となる。緩衝材25の材質は、シリコンゴムシートやガラス繊維にシリコン樹脂を含有させたシート状の耐熱温度が高い材料が好適に使用される。圧着ツール23a、23bは、同時又は連続動作で所定の位置に下降し、あらかじめ設定されたタイマーによって上昇され、それによって接続条件にあった加圧力、時間及び温度を調節することが可能となる。以上の工程を経て、本圧着が完了する。
【0040】
以上、本実施例による接続装置を用いた表示装置の製造方法によれば、従来の接続装置の約半分の設備設置スペースで済む。また、作業者の人数も従来の約半分で済み、かつ作業工数は従来と比べ30%程度の削減が可能となる。
【0041】
なお、本実施例の接続装置は、インデックスユニットの外周に各作業ステーションを設けた形態となっているが、このような形態に特に限定されず、例えば、直線状にインデックスユニットを展開してウォーキングビーム方式で各部材を搬送する形式とし、両サイドに各作業ステーションを設け、部材の搬送ラインを横並びに2ラインとする形態が挙げられる。これにより、省スペースを実現しつつ処理能力を上げることができる。また、このような場合、必要に応じて、搬送ラインの最後に基板収納装置を配置する形態としてもよいし、リターンコンベアーのようなものを設け、完成品が作業者の手元に戻ってくるような形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1で用いる接続装置の装置構成を示す平面模式図である。
【図2】実施例1で用いる接続装置の仮圧着部の側面を示す断面模式図である。
【図3】実施例1で用いる接続装置の本圧着部の側面を示す断面模式図である。
【図4】従来から用いられているCOF方式における液晶表示モジュールの平面模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1:作業者
2:PCB供給トレイ
3:ガラス基板供給トレイ
4:ガラス基板収納トレイ
5:PCB画像認識テーブル
6:ガラス基板画像認識テーブル
7:治具テーブル(載置台)
8:インデックスユニット
9:ACF貼り付け部
10:仮圧着部
11a、11b:TCPリール
12:本圧着部
13a、13b:ガラス基板
14:TCP
15:PCB
16:仮圧着ユニット
17:ヒーター
18:熱電対
19:コレット
20a、20b:バックアップ構造
21a、21b:本圧着ユニット
22a、22b:ヒーター
23a、23b:圧着ツール
24a、24b:熱電対
25:緩衝材
101:ガラス基板
102:ソースTCP
103:ソースPCB
104:ゲートTCP
105:ゲートPCB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続工程を含む表示装置の製造方法であって、
該接続工程は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記接続工程は、仮圧着と本圧着とを行うものであり、仮圧着と本圧着のいずれにおいても、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着が一括して行われることを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記接続工程は、パネル基板及びプリント回路基板上に異方性導電膜を一括して貼り付ける工程を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記接続工程は、パネル基板及びプリント回路基板が一定間隔で吸着保持された状態で行われることを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記表示装置の製造方法は、パネル基板及びプリント回路基板を画像認識装置により位置決めした後に接続工程を行うことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
パネル基板及びプリント回路基板に対し、テープキャリアパッケージを圧着させる接続装置であって、
該接続装置は、平面上に並んで配置されたパネル基板及びプリント回路基板の対向するそれぞれの一辺を覆うように基板面上にテープキャリアパッケージを配置し、パネル基板とテープキャリアパッケージとの圧着、及び、テープキャリアパッケージとプリント回路基板との圧着を一括して行う圧着部を有する
ことを特徴とする接続装置。
【請求項7】
前記圧着部は、パネル基板及びプリント回路基板に対しテープキャリアパッケージを一括して仮圧着する仮圧着部と、テープキャリアパッケージが仮圧着されたパネル基板及びプリント回路基板に対し一括して本圧着する本圧着部とで構成されることを特徴とする請求項6記載の接続装置。
【請求項8】
前記接続装置は、パネル基板及びプリント回路基板上に一括して異方性導電膜を貼り付ける、異方性導電膜貼り付け部を有することを特徴とする請求項6記載の接続装置。
【請求項9】
前記接続装置は、パネル基板及びプリント回路基板を一定間隔で吸着保持する載置台を有することを特徴とする請求項6記載の接続装置。
【請求項10】
前記接続装置は、パネル基板とプリント回路基板との間隔の調整を行う画像認識装置を有することを特徴とする請求項6記載の接続装置。
【請求項11】
前記圧着部は、テープキャリアパッケージを吸着保持する機構と、テープキャリアパッケージを昇降させる機構とを有することを特徴とする請求項6記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−135660(P2008−135660A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322190(P2006−322190)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】