説明

表示装置及びその製造方法並びにディスプレイ

【課題】各画素と駆動制御回路間の配線は配線取出しを不要にして、作業性及び歩留まりを改善する表示装置を得る。
【解決手段】駆動制御回路10は、隣り合う複数の画素8の間に配置され、前面基板7と裏面基板6が、画素8,駆動制御回路10,駆動制御回路10と各画素8を接続する配線11,及び駆動制御回路10の電極端子12を挟んで貼り合わされて構成され、裏面基板6には電極端子12に対応する位置に電極端子12が露出するように開口5が設けられ、開口5で露出した電極端子12から配線が取出され映像信号出力回路4に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセント(EL)ディスプレイパネルなどを多数配列して構成する大型ディスプレイ(タイリングディスプレイ)に用いる表示装置及びその製造方法並びにディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大型ディスプレイは発光ダイオード(LED)を多数配列して大型化する方式が主流になっている。このようなLED方式の大型ディスプレイでは、高解像度化に伴ってLEDの配列密度が高くなり、コストが高くなる。一方、低価格でタイリングディスプレイを実現するためには、表示装置(又は、表示ユニット)としての平面ディスプレイ(例えば、LCDパネル、PDP、ELディスプレイパネルなど)をマトリクス状に複数枚配列する方式が有効である。
【0003】
このような大型ディスプレイを構成する従来の表示装置は、ガラス板などからなる前面基板と裏面基板とを有する(特許文献1)。前面基板と裏面基板は、所定の間隔をあけて対向させ、その間に、複数の画素と、それらを制御する複数の電極とを配置し、さらに発光層あるいは液晶層を形成して、周囲を封止部で封止している。複数の電極には、駆動制御回路から走査信号とデータ信号を含む制御信号が印加されるが、これらの電極に制御信号を印加するための配線取出し方式には、表示装置の周囲、すなわち隣接する表示装置の継ぎ目部に段差部を設け、この段差部の電極端子に配線を接続する端面配線取出し方式(特許文献1の図3)と、裏面基板を分割して中央部に溝部を設け、その溝部に設けられた電極端子に配線を設ける中央配線取出し方式がある(特許文献1の図1)。これらの接続方式によって、電極端子へ配線を接続する方法として、異方性導電膜、もしくはAg,Cuやカーボンなどを用いた導電ペースト、又は半田を用いており、電極端子から外部の駆動制御回路までを電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−191502号公報(図1,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配線取出しは、駆動制御回路が外部に設けられており、パネル内の縦方向及び横方向にマトリクス状に配列されRGBを有する各画素に対して、少なくとも一行の画素数及び一列の画素数に対応した電極端子を設け、走査信号あるいはデータ信号などの制御信号を印加するための電極端子に対応した配線を設ける必要があった。しかし、この方式では縦横の画素数に応じて配線取出しをする必要があり、配線取出し数が多くなることで製造方法が複雑になるため、作業性が悪く歩留まりを低下させる原因になる。また画素ピッチが狭くなった場合に配線取出し数の密度が増加し、配線ピッチが狭くなることで、配線取出しが著しく困難になる問題があった。
【0006】
この発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、隣り合う複数の画素の間に駆動制御回路を配置することにより、各画素と駆動制御回路間の配線は配線取出しが不要になり、作業性及び歩留まりが改善でき、そのため、画素ピッチが小さい場合でも駆動制御回路と映像信号出力回路間の配線取出しが容易になる表示装置及びその製造方法並びにディスプレイを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる表示装置は、前面基板と、この前面基板に対向する裏面基板と、前記前面基板と前記裏面基板との間にマトリクス状に配置され、表示又は非表示の状態が選択される複数の画素と、前記画素の駆動を制御する複数の駆動制御回路と、前記駆動制御回路と前記各画素を接続する複数の配線と、映像信号が入力される前記駆動制御回路の複数の電極端子とを有し、前記駆動制御回路は、隣り合う複数の前記画素の間に配置され、前記前面基板と前記裏面基板が、前記画素,前記駆動制御回路,前記駆動制御回路と前記各画素を接続する前記配線,及び前記駆動制御回路の前記電極端子を挟んで貼り合わされて構成され、前記裏面基板には前記電極端子に対応する位置に前記電極端子が露出するように開口が設けられ、開口で露出した前記電極端子から配線が取出され映像信号出力回路に接続されるようにしたものである。
【0008】
また、この発明に係わる表示装置は、前面基板と、この前面基板上に形成される保護膜と、前記前面基板と前記保護膜との間にマトリクス状に配置され、表示又は非表示の状態が選択される複数の画素と、前記画素の駆動を制御する複数の駆動制御回路と、前記駆動制御回路と前記各画素を接続する複数の配線と、映像信号が入力される前記駆動制御回路の複数の電極端子とを有し、前記駆動制御回路は、隣り合う複数の前記画素の間に配置され、前記前面基板と前記保護膜が、前記画素,前記駆動制御回路,前記駆動制御回路と前記各画素を接続する前記配線,及び前記駆動制御回路の前記電極端子を挟んで構成され、前記保護膜には前記電極端子に対応する位置に前記電極端子が露出するように開口が設けられ、開口で露出した前記電極端子から配線が取出され映像信号出力回路に接続されるようにしたものである。
また、この発明に係わるディスプレイは、前記表示装置をマトリクス状に複数配列して大型化したものである。
また、この発明に係わる表示装置の製造方法は、前記駆動制御回路が駆動制御集積回路であり、前記駆動制御集積回路を異方性導電フィルムにより加熱圧着法によって、前記画素に接続する前記配線と接続させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の表示装置によれば、隣り合う複数の画素の間に駆動制御回路を配置することにより、各画素と駆動制御回路間の配線は配線取出しが不要になり、作業性及び歩留まりを改善でき、そのため、画素ピッチが小さい場合でも駆動制御回路の電極端子と映像信号出力回路間の配線取出しが容易になる。
また、裏面基板として保護膜を用いることによって、映像信号が入力される駆動制御回路の電極端子に対応する保護膜の開口を、比較的容易に、段差を小さく形成することができ、開口で露出した電極端子から配線を取出す際の作製工数の削減による作製コストの低減と、配線取出し部の品質の向上を実現させることができる。
さらに、全体としての配線取出し数が低減できるために、目地となる非表示領域を小さくでき、表示装置間の目地幅を小さくできることで、表示装置を配列してタイリングディスプレイ化する場合に、画質を悪くする原因となる表示装置間の画素ピッチの不連続性が改善され、表示品位を向上させたタイリングディスプレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における表示装置を示す平面図である。
【図2】実施の形態1における表示装置を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1における他の表示装置を示す斜視図である。
【図4】実施の形態1における画素の配列及び駆動制御回路の形成位置を示す平面図である。
【図5】実施の形態1における画素と集合画素の関係を示す拡大平面図である。
【図6】実施の形態1の表示装置における種々の開口を示す断面図である。
【図7】実施の形態2における表示装置を示す斜視図である。
【図8】実施の形態2における開口部をA方向に見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における表示装置を示す平面図である。図2は実施の形態1における表示装置を示す斜視図である。図3は実施の形態1における他の表示装置を示す斜視図である。図4は実施の形態1における画素の配列及び駆動制御回路の形成位置を示す平面図である。図5は実施の形態1における他の1例である画素と集合画素の関係を示す拡大平面図である。なお、図面中の各図において、同一符号は同一又は相当部分を示し、説明を省略する。表示装置はマトリクス状に多数配列されて、大型化した画面の平面ディスプレイが構成される。表示装置は、例えば、LCDパネル、PDP、ELディスプレイパネルなどである。なお、図1,図2,図3は表示装置を背面側(裏面基板6側)から見たところを示しており、光は前面基板7側から出る。
【0012】
実施の形態1では、タイリングディスプレイに用いる表示装置として、ボトムエミッション型有機ELディスプレイパネルの作製方法を例に用いて、以下に説明する。有機ELディスプレイパネル1は、前面基板7と、前面基板7に対向する裏面基板6とを有している。前面基板7と裏面基板6との間には、RGBのピクセルが一組となった画素8がマトリクス状に配列されている。ディスプレイパネル1は、行又は列の方向に隣接する二つ又はそれ以上の画素8が集合した複数の集合画素13と、各画素8に対応し画素8の表示状態を制御する能動素子9と、集合画素13間又は画素8間に配置され能動素子9の駆動を制御する複数の駆動制御回路10(10a,10b)と、駆動制御回路10と各画素8の能動素子9を接続する複数の配線11aと、各画素8の能動素子9間を接続する複数の配線11bと、駆動制御回路10に外部からの映像信号を入力する複数の電極端子12を有している。
【0013】
前面基板7と裏面基板6が、画素8,能動素子9,駆動制御回路10,各配線11(11a,11bを含む)及び電極端子12を挟んで貼り合わされて構成されている。なお、2はフレキシブル基板、3はコネクタ、4は映像信号出力回路、5は開口である。
【0014】
各画素8に形成する能動素子9(具体的には、RGBのピクセル毎に設けられる能動素子)については、一般にアクティブ型LCDパネルやアクティブ型有機ELディスプレイパネルなどに用いられているTFTなどを用いることができるが、画素8の表示状態を制御できるものであれば良く、特に製造方法や配置する位置などを限定するものではない。駆動制御回路10についても同様に、これまでに各画素8に形成する能動素子9の作製プロセスと同時に形成する製造方法が広く知られており、各画素8の駆動を制御できる機能を有しているものであれば特に製造方法などを限定するものではない。また、電極端子12は、特に形成方法や材料について限定するものではなく、例えば、画素8の一部と同じ材料で同時に形成されたものであっても良い。
【0015】
次に、実施の形態1における画素8の配列及び駆動制御回路12の形成位置について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4及び図5は表示素子を前面基板7側である表面(発光面)から見たところを示している。画素8の配列は、集合画素13と集合画素13の間隔T1が、画素8と画素8の間隔T2より広くなっている、いわゆる不等ピッチで配列されている。これによって、集合画素13と集合画素13の間には駆動制御回路10を配置するための面積が確保でき、駆動制御回路10が集合画素13間の非発光エリアに形成されていることで、LCDなどで開口率に相当する発光面積の減少による輝度低下を伴わないように構成されている。なお、画素8間に駆動制御回路10を形成してもよい。
図4で示されるように、駆動制御回路10aが列方向の集合画素13間に配置され、その駆動制御回路10aに電極端子12(図4では8個)が設けられている。駆動制御回路10bが行方向の集合画素13間に配置され、その駆動制御回路10bに電極端子12(図4では4個)が設けられている。なお、駆動制御回路10は駆動制御回路10a,10bを含む表現である。
【0016】
実施の形態1におけるボトムエミッション型有機EL素子の作製方法について説明する。ボトムエミッション型有機EL素子は、一般的に、透明な前面基板に、ITOなどの透明電極と、透明電極の配線抵抗を低下させるための補助電極と、画素を分離して補助電極を覆うようにして形成した絶縁膜と、正孔輸送材層,発光層及び電子輸送層などからなる有機層と、反射電極(例えばAlなど)が順次積層されて画素を構成して、形成されている。発光層から光が透明電極を透過して、前面基板側から出射される。なお、画素電極(透明電極)及び反射電極については特に形成方法や材料について限定するものではない。また、補助電極についても同様に形成方法や材料について限定するものではなく、抵抗を下げるためにAl,Cr,Agなどの低抵抗金属を積層して形成しても良い。
【0017】
次に、実施の形態1におけるボトムエミッション型有機ELディスプレイパネル(表示装置)の作製方法について説明する。有機ELディスプレイパネルは、前面基板7と裏面基板6とにガラスを用いており、裏面基板6には、前面基板7の有機EL素子形成面との対向側に、エッチングやサンドブラストなどで凹部を形成し、裏面基板6の凹部の形成面と前面基板7の有機EL素子形成面とを対向するように貼り合わせている。
【0018】
両基板は、封止空間に水分を侵入し難くするために封止部で接着剤などにより貼り合わされており、裏面基板6に設けた凹部による両基板間の封止空間には、水分などの有機EL素子の劣化因子から保護するために乾燥剤を設置している。
【0019】
裏面基板6には、図2,図4に示すように、集合画素13の間に設けた駆動制御回路10a,10bの電極端子12に対応する位置に、電極端子12が露出するように開口5が設けられており、電極端子12と外部の映像信号出力回路4とを金属配線14などによってコネクタ3を介して電気的に接続している。開口5は、例えばエッチングやサンドブラスト、ダイシングなどの方法によって形成している。図3では、駆動制御回路10a,10bの電極端子12に対応する開口5は溝状である。
【0020】
図6は実施の形態1の表示装置における種々の開口を示す断面図である。図6(a)に示すように、裏面基板6の開口5の上部が下部と同じ幅で形成されているが、電極端子12からの接続プロセスを容易にするために、図6(b)に示すように、上部が下部より幅広の断面形状がV字状に形成されていても良く、図6(c)に示すように、階段状であっても良く、特に形状を限定するものではない。なお、図1及び図2に対応する開口5の断面図は、例えば図6(a)であり、図3に対応する開口5の断面図は、例えば図6(b)あるいは図6(c)である。
【0021】
これらの開口5の周辺は、封止部において接着剤などによって封止されている。そして、開口5で露出された電極端子12と接続された金属配線14が、コネクタ3を介して映像信号出力回路4と接続されている。実施の形態1では、電極端子12と映像信号出力回路4との間の金属配線14、及び電極端子12が露出する部分は、防湿性のコート剤によって覆われていても良い。これによって、露出した金属部分での電気的な腐食やイオンマイグレーションなどの不良発生を抑制することができる。防湿性コート剤は一般に市販されているものを使用でき、絶縁性及び防湿性の機能を有する材料であれば良く、その材料や種類を限定するものではない。また、形成する厚みや形成方法を特に限定するものではなく、紫外線や熱、湿気あるいは自然乾燥によって硬化するものが使用できる。
【0022】
次に、実施の形態1における開口5の電極端子12と映像信号出力回路4のコネクタ3とを接続する金属配線について、導電ペースト及びフレキシブル基板を用いた形成方法を説明する。フレキシブル基板2は、映像信号出力回路4の出力数に応じて予め配線が形成されており、導電ペースト17(図6)と、コネクタ3で接続される部分(フレキシブル基板の端部)において金属配線14が露出し、露出部はAuメッキなどの腐食を防ぐ処理がなされている。このフレキシブル基板2は、熱硬化性を有するフィルム状の接着剤を用いて裏面基板6に固定する。
【0023】
フレキシブル基板2は、一般にLCDパネルやPDP、ELディスプレイパネルに使用されているものであれば良く、特に構成する材料や厚みなどを限定するものではない。また、フレキシブル基板2は、両側のポリイミドフィルム間に金属配線14を挟んだ基板で、接着性を有する材料で裏面基板6に固定されていれば良く、接着方法として熱硬化性を有するフィルムを用いる方法及び材料に限定するものではない。その後、有機ELディスプレイパネルの開口5を介して、電極端子12と露出したフレキシブル基板2の端部の金属配線14との間を接続するように、導電ペースト17をディスペンサによる塗布法を用いて形成し、熱処理によって導電ペースト17を硬化させる。
【0024】
導電ペースト17は、特に形成方法や接続材料を限定するものではなく、開口5を介して電極端子12とフレキシブル基板2の金属配線14間を電気的に接続する機能を有していれば良く、例えば、Ag,Cuやカーボンなどをペースト状にした材料を用いることができる。また、導電ペースト17を用いる方法以外にも、例えばワイヤボンディング,半田,異方性導電フィルムなどによる接続方法によっても同様の機能は得られるが、導電ペースト17は開口5を介して電極端子12に比較的容易に電気的に接続させることができるため、好ましい方法といえる。
【0025】
導電ペースト17の形成方法としては、ディスペンサ塗布を例に説明したが、例えば、圧膜印刷を用いる方法やインクジェットを用いる方法によっても形成することは可能である。そして、導電ペースト17と接触していないフレキシブル基板2の他方の端部の金属配線14は、コネクタ3を介して外部の映像信号出力回路4に接続されている。なお、フレキシブル基板2と映像信号出力回路4との接続については、電気的に接続されていれば良く、特にその方法を限定するものではない。
【0026】
以上のように、実施の形態1の表示装置によれば、隣り合う複数の画素の間に駆動制御回路を配置することにより、各画素と駆動制御回路間の配線は配線取出しが不要になり、作業性及び歩留まりを大幅に改善できる。各画素と駆動制御回路間の配線取出しが不要になったため、画素ピッチが小さい場合でも駆動制御回路の電極端子と映像信号出力回路間の配線取出しが容易になる。また、駆動制御回路の電極端子に対して、比較的形成が容易な金属配線を使った配線の取り出しが可能になり、作業性及び歩留まりを大幅に改善できることに加えて、画素ピッチの狭い高精細な表示装置も実現することができ、表示品位が良好な表示装置を提供できる。
【0027】
さらに、全体としての配線取出し数が低減できるために、目地となる非表示領域を小さくでき、表示装置間の目地幅を小さくできることで、表示装置を配列してタイリングディスプレイ化する場合に、画質を悪くする原因となる表示装置間の画素ピッチの不連続性が改善され、表示品位を向上させたタイリングディスプレイを提供できる。なお、実施の形態1の有機ELディスプレイパネルは、各画素と駆動制御回路間の配線長が短くなるため消費電力を低減できる特徴も有している。
【0028】
実施の形態2.
図7は実施の形態2における表示装置を示す斜視図である。ガラス製の裏面基板に代わって、無機膜で形成された保護膜16によって有機EL素子を封止している。無機膜で形成された保護膜16上又は外部に駆動制御回路を配置し、駆動制御回路と各画素を配線で接続することも考えられるが、実施の形態2では、実施の形態1のガラス製の裏面基板6に代わって、無機膜で形成された保護膜16によって有機EL素子を封止している。従って、駆動制御回路10は隣り合う複数の前記画素8の間に配置されている。保護膜16は、一般的にはSiNやSiONなど無機膜などを用いるが、裏面基板6と同様に水分の侵入を防止する機能を有していれば良く、例えば樹脂膜,樹脂フィルム,無機膜などを形成した樹脂フィルム、非常に薄いガラス基板なども用いることができ、その形成方法や材料を特に限定するものではない。また、保護膜16に設ける電極端子12に対応した開口5は、例えば、SiNに開口5を設ける場合には、エッチング法や、SiN形成時にマスキングする方法などにより開口させるが、保護膜16の種類に最も適した開口方法を用いれば良い。
【0029】
配線取出し方法については、実施の形態1と同様に、保護膜16に接着したフレキシブル基板と導電ペーストを用いる方法がある。または、図8は図7の開口5部をA方向に見たときの断面図である。金属配線14を有するフレキシブル基板2と異方性導電フィルム18を用いる方法に加えて、金属配線14を有するフレキシブル基板2とワイヤボンディング、金属配線14を有するフレキシブル基板2と半田などによる方法を用いることができる。なお、ガラス製の裏面基板より保護膜16の方が薄く、開口5の段差が小さくできるので、配線取出し方法や配線取出し位置などの制限が小さくなるため、フレキシブル基板と異方性導電フィルム,ワイヤボンディング,半田によっても比較的容易に電気的な接続が得られる。
また、金属配線14を有するフレキシブル基板2と異方性導電フィルム18を用いる方法では、目地となる非表示領域を小さくでき、表示装置間の目地幅を小さくできることで、表示装置を配列してタイリングディスプレイ化する場合に、画質を悪くする原因となる表示装置間の画素ピッチの不連続性が改善され、表示品位を向上させたタイリングディスプレイを得ることができる。
【0030】
このように構成することで、ガラス製の裏面基板をなくし、配線取出し部の段差を大幅に小さくでき、段差を補うための特殊な工具が不要で、作製工数が減ることで製造コストを安くできると共に、配線取出しの品質を向上させることができる。また、配線取出し部の形成場所について形成方法による制限が無くなるため、任意の場所及び任意の方法により比較的容易に配線取出しができ、かつ、開口を狭ピッチで作製可能であることから、高精細なタイリングディスプレイにも適している。
【0031】
実施の形態3.
実施の形態3における有機ELディスプレイパネルを用いた表示装置では、実施の形態1又は2において、画素の表示状態を制御する能動素子を集合画素間に配置する駆動制御回路内に設けるものである。このように構成することで、有機ELディスプレイパネルの画素の位置に能動素子が不要になるため、実施の形態1及び2の効果に加えて、発光面積を大きくすることができ、視認性が良くなる。
【0032】
実施の形態4.
実施の形態4における有機ELディスプレイパネルを用いた表示装置では、実施の形態1,2又は3において、集合画素間に配置する駆動制御回路をTFTなどの薄膜形成プロセスで形成した能動素子を用いるのではなく、別途製造した駆動制御集積回路(IC)を集合画素間に配置し、異方性導電フィルムにより加熱圧着法によって、各画素に接続する配線と接続させて構成している。このように構成することで、有機ELディスプレイパネルの製造方法を簡略化でき、実施の形態1,2又は3の効果に加えて、歩留まりを向上で
きると共に、安価に高精細の有機ELディスプレイパネルを得ることができる。
以上では有機ELディスプレイパネルを用いた表示装置について、実施の形態を説明したが、LCDパネル、PDPにも同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 有機ELディスプレイパネル 2 フレキシブル基板
3 コネクタ 4 映像信号出力回路
5 開口 6 裏面基板
7 前面基板 8 画素
9 能動素子 10 駆動制御回路
11 配線 12 電極端子
13 集合画素 14 金属配線
16 保護膜 17 導電ペースト
18 異方性導電フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面基板と、この前面基板に対向する裏面基板と、
前記前面基板と前記裏面基板との間にマトリクス状に配置され、表示又は非表示の状態が選択される複数の画素と、
前記画素の駆動を制御する複数の駆動制御回路と、
前記駆動制御回路と前記各画素を接続する複数の配線と、
映像信号が入力される前記駆動制御回路の複数の電極端子とを有し、
前記駆動制御回路は、隣り合う複数の前記画素の間に配置され、
前記前面基板と前記裏面基板が、前記画素,前記駆動制御回路,前記駆動制御回路と前記各画素を接続する前記配線,及び前記駆動制御回路の前記電極端子を挟んで貼り合わされて構成され、
前記裏面基板には前記電極端子に対応する位置に前記電極端子が露出するように開口が設けられ、開口で露出した前記電極端子から配線が取出され映像信号出力回路に接続されるようにした表示装置。
【請求項2】
前面基板と、この前面基板上に形成される保護膜と、
前記前面基板と前記保護膜との間にマトリクス状に配置され、表示又は非表示の状態が選択される複数の画素と、
前記画素の駆動を制御する複数の駆動制御回路と、
前記駆動制御回路と前記各画素を接続する複数の配線と、
映像信号が入力される前記駆動制御回路の複数の電極端子とを有し、
前記駆動制御回路は、隣り合う複数の前記画素の間に配置され、
前記前面基板と前記保護膜が、前記画素,前記駆動制御回路,前記駆動制御回路と前記各画素を接続する前記配線,及び前記駆動制御回路の前記電極端子を挟んで構成され、
前記保護膜には前記電極端子に対応する位置に前記電極端子が露出するように開口が設けられ、開口で露出した前記電極端子から配線が取出され映像信号出力回路に接続されるようにした表示装置。
【請求項3】
前記各画素には、前記各画素の表示状態を制御する能動素子が設けられ、前記各画素の前記能動素子と前記駆動制御回路とが、接続されるようにした請求項1又は請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記各画素の表示状態を制御し前記各画素に対応する能動素子が前記駆動制御回路内に設けられている請求項1又は請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記画素で形成される集合画素と、その集合画素と隣接する集合画素の間に、前記駆動制御回路が配置された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に示す表示装置をマトリクス状に複数配列して大型化したディスプレイ。
【請求項7】
前面基板と、この前面基板上に形成される保護膜と、
前記前面基板と前記保護膜との間にマトリクス状に配置され、表示又は非表示の状態が選択される複数の画素と、
前記画素の駆動を制御する複数の駆動制御回路と、
前記駆動制御回路と前記各画素を接続する複数の配線と、
映像信号が入力される前記駆動制御回路の複数の電極端子とを有し、
前記駆動制御回路は、隣り合う複数の前記画素の間に配置され、
前記前面基板と前記保護膜が、前記画素,前記駆動制御回路,前記駆動制御回路と前記各
画素を接続する前記配線,及び前記駆動制御回路の前記電極端子を挟んで構成され、
前記保護膜には前記電極端子に対応する位置に前記電極端子が露出するように開口が設けられ、開口で露出した前記電極端子から配線が取出され映像信号出力回路に接続されるものであって、
前記駆動制御回路は駆動制御集積回路であり、前記駆動制御集積回路を異方性導電フィルムにより加熱圧着法によって、前記画素に接続する前記配線と接続させるようにした表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−113216(P2012−113216A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263505(P2010−263505)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】