表面処理用ノズル装置
【課題】 ワーク表面に均一な濃度で処理ガスを吹き付けることができる表面処理用ノズル装置を提供する。
【解決手段】
ノズル装置のガス通路は、処理ガスが供給されるガス供給口と、上記ガス供給口からの処理ガスを分け、一直線上に間隔をおいて水平に並んだ多数の分岐下流端12bへと送る通路分岐部と、これら分岐下流端12bの配列方向と平行をなして直線的に連続して延びる合流部80と、流れ方向変更部90と、吹出スリット61とを有している。流れ方向変更部90は、多数の分岐下流端12bから合流部80へ送られてきた処理ガスを、下向きに送る第1通路部分91と、上向きに送る第2通路部分92と、下向きに送る第3通路部分93とを有し、この第3通路部分93からの処理ガスが吹出スリット61からワークWに向かって下向きに吹き付けられる。
【解決手段】
ノズル装置のガス通路は、処理ガスが供給されるガス供給口と、上記ガス供給口からの処理ガスを分け、一直線上に間隔をおいて水平に並んだ多数の分岐下流端12bへと送る通路分岐部と、これら分岐下流端12bの配列方向と平行をなして直線的に連続して延びる合流部80と、流れ方向変更部90と、吹出スリット61とを有している。流れ方向変更部90は、多数の分岐下流端12bから合流部80へ送られてきた処理ガスを、下向きに送る第1通路部分91と、上向きに送る第2通路部分92と、下向きに送る第3通路部分93とを有し、この第3通路部分93からの処理ガスが吹出スリット61からワークWに向かって下向きに吹き付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに処理ガスを吹き付けて表面処理するためのノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ表面処理のためのノズル装置が開示されている。このノズル装置内のガス通路は、上から下に向かってすなわち上流から下流に向かって順に、ガス供給口と通路分岐部と合流部と吹出スリットを備えている。
ガス供給口に供給された処理ガスは、垂直平面上に形成された通路分岐部において複数段階にわたって分岐され、多数の分岐下流端から同じ垂直平面上に配置された合流部、吹出スリットへと送られて、ワークに吹き付けられる。
【0003】
上記通路分岐部の多数の分岐下流端は、ワークの搬送方向と直交する方向に延びる水平な直線上に等ピッチをなして配列されている。上記合流部および吹出スリットは、上記多数の分岐下流端の配列方向と平行をなして直線的に連続して延びている。
【0004】
上記多数の分岐下流端から上記合流部へ送られてきた処理ガス濃度は、各分岐下流端の近傍で高く、分岐下流端から離れた位置(分岐下流端間の中央位置)では低くなっている。すなわち、分岐下流端のピッチに対応した処理ガスの濃度分布ができている。この処理ガス濃度の差は上記合流部を流れていく過程で小さくなるものの、吹出スリットから吹き出される段階でも残ってしまう。
【0005】
特許文献1のノズル装置では、合流部の途中に障害部を配置して処理ガス濃度分布の均一化を図っている。詳述すると、処理ガスはこの障害部で流れを遮られ、この障害部に隣接する流通断面積が小さい絞り部を通過し、再び流通断面積が大きい通路部分において広がる。この過程で処理ガス濃度の差を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4540731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のノズル装置では、通路分岐部と合流部と吹出スリットが垂直平面上に配置され、処理ガスが上から下へと方向を変えることなく流れるため、処理ガス濃度の均一化が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、処理ガスを吹き付けることによりワークを表面処理するノズル装置において、装置本体の内部に形成されたガス通路が、上流から下流に向かって順に、
ア.処理ガスが供給されるガス供給口と、
イ.上記ガス供給口からの処理ガスを分け、第1座標軸に沿って一直線上に間隔をおいて並んだ多数の分岐下流端へと送る通路分岐部と、
ウ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、上記通路分岐部の多数の分岐下流端からの処理ガスを第1座標軸と直交する方向に流すとともに、この流れ方向を複数回反転させる流れ方向変更部と、
エ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、流れ方向変更部からの処理ガスを第1座標軸と直交する第2座標軸に沿って吹き出す吹出スリットと、
を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、流れ方向変更部で処理ガスの流れを複数回反転させることにより、多数の分岐下流端からの不均一な濃度の処理ガスを、効率よく良好に均一化することができ、その結果、吹出スリットから吹き出す均一濃度の処理ガスによってワークをむらなく表面処理することができる。
【0009】
好ましくは、上記通路分岐部が上記第1、第2座標軸に沿う平面上に形成され、上記分岐下流端から上記第2座標軸に沿って処理ガスが送り出され、
上記流れ方向変更部が、
上記分岐下流端からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記吹出スリットからのガス吹出方向と同方向に流す第1通路部分と、
上記第1通路部分からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記ガス吹出方向と反対方向に流す第2通路部分と、
上記第2通路部分からの処理ガスを上記第1通路部分と同方向に流して上記吹出スリットへ送る第3通路部分と、
を有する。
上記構成によれば、処理ガスが、通路分岐部が配置される平面と平行に、流れ方向変更部の第1〜第3通路部分を流れ、吹出スリットから吹き出されるので、装置本体を小型化することができる。
【0010】
好ましくは、上記第1座標軸が水平座標軸であり、上記第2座標軸が垂直座標軸であり、上記通路分岐部が配置される平面が垂直をなし、上記ガス供給口、通路分岐部、流れ方向変更部、吹出スリットが上から下に向かって順に設けられ、上記ガス吹出方向が下向きであり、上記流れ方向変更部の上記第1通路部分が処理ガスを下向きに送り、上記第2通路部分が処理ガスを上向きに送り、上記第3通路部分が処理ガスを下向きに送る。
上記構成によれば、第1、第2通路部分がU字トラップの作用をなし、第2通路部分から溢れ出た反応成分が第3通路部分に達して下方へ向かうため、特に処理ガス中の反応成分が空気より重く、流れが緩やかな場合において、濃度均一化の効果をより一層高めることができる。
【0011】
好ましくは、上記第3通路部分と上記吹出スリットとの間に、上記第1座標軸に沿って連続して延びるとともに、第3通路部分からの処理ガスを第1、第2座標軸と直交する第3座標軸に沿って流す連絡通路部分が形成されている。
上記構成によれば、流れ方向変更部において、さらに処理ガスの直角の流れ方向変更を2回付加することにより、処理ガスの均一化をより一層促進することができる。
【0012】
好ましくは、上記通路分岐部と上記流れ方向変更部との間に第1座標軸に沿って連続して延びる合流部を有し、この合流部の流通断面積が上記通路分岐部の多数の分岐下流端の合計流通断面積より大きく、上記流れ方向変更部の流通断面積が上記合流部の流通断面積より小さい。
上記構成によれば、合流部の追加により、処理ガスの流通断面積を増大させてから減少させることができるので、処理ガスの均一化をさらに促進することができる。
【0013】
上記装置本体は、互いに連結される第1、第2のボデイ半体を有し、これらボデイ半体は上記第1座標軸と直交する水平な第3座標軸方向に対向するとともに第1座標軸と直交する対向面をそれぞれ有し、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は互いに接合する領域を有し、この接合領域において第1ボデイ半体の対向面に溝を形成することにより、上記通路分岐部が構成され、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は、上記通路分岐部の下方において互いに離れた離間領域を有し、
上記離間領域において、第1座標軸に沿って連続して延びる第1、第2の障害部が上下に離れて配置され、上側の第1障害部には下方に向かって突出する第1リブが形成され、下側の第2障害部には上方に向かって突出する第2リブが形成され、
上記第1障害部の上面と上記第1、第2のボデイ半体の対向面により上記合流部が形成され、上記第1リブと上記第1、第2のボデイ半体のいずれか一方の対向面との間に上記第1通路部分が形成され、上記第1リブと第2リブとの間に上記第2通路部分が形成され、上記第2リブと上記第1、第2のボデイ半体のうちの他方の対向面との間に上記第3通路部分が形成される。
上記構成によれば、合流部と流れ方向変更部を容易に得ることができる。
【0014】
好ましくは、上記第1障害部は、上記一方のボデイ半体の対向面から他方のボデイ半体の対向面に向かって突出するとともに当該他方のボデイ半体の対向面と離間し、上記第2障害部は、上記他方のボデイ半体の対向面から上記一方のボデイ半体に向かって突出すると共に当該一方のボデイ半体の対向面と離間している。
上記構成によれば、各障害部とボデイ半体の対向面との間が離間して第1座標軸に沿う連続した流路を確保できるため、処理ガスの濃度均一化の支障にならない。
【0015】
好ましくは、上記第1ボデイ半体は、上記対向面を有する板と、この板の対向面に上下に離間して固定された上記第1座標軸方向に延びる2本の長尺部材とを有し、上側の長尺部材が上記第1障害部と上記第1リブを有し、下側の長尺部材が上記第2障害部と上記第2リブを有し、上記第1障害部は第2ボデイ半体の対向面に当たり、上記第1通路部分に連なる多数の穴またはスリットからなる垂直な連絡通路部分を有する。
これによれば、第1ボデイ半体側に第1、第2障害部と第1、第2リブを設けるため、組み付け作業が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理ガスを吹出スリットから均一に吹き出すことができるため、むらなく表面処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るノズル装置を含む表面処理システムを、ワーク搬送方向に沿って切断した縦断面図である。
【図2】同ノズル装置の構成要素(第2板を除く)を分解して図1のII方向から見た正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿うノズル装置の平断面図である。
【図4】同ノズル装置の要部を示す拡大縦断面図である。
【図5】同ノズル装置のガス通路の要部をさらに拡大して示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるノズル装置の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係わるノズル装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図5を参照しながら説明する。図1〜図3において、互いに直交する水平なX座標軸(第3座標軸)およびY座標軸(第1座標軸)と、垂直なZ座標軸(第2座標軸)を示す。以下、これら3つの座標軸を参照しながら説明する。
【0019】
図1にはワークWを表面処理するための表面処理システムが示されている。
上記ワークWは、例えば矩形をなすフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体ウェハ等であるが、これに限定されるものではない。表面処理としては、エッチング、成膜、洗浄、撥水化、親水化等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記表面処理システムは、搬送装置1と処理ガス源2とノズル装置3と図示しない吸引手段とを備えている。
上記搬送装置1はコンベア等からなり、ワークWを載せて水平に維持したままX座標軸に沿って、例えば図1中A方向に一定速度で搬送する。
【0021】
処理ガス源2の処理ガスは、上記表面処理に応じた反応ガス成分を有しており、例えば、シリコンのエッチングの場合、フッ素系反応成分及び酸化性反応成分を含む。フッ素系反応成分としてHF等が挙げられる。酸化性反応成分としてO3等が挙げられる。
HFは、Arガス(He,Ne、Krでもよい)にH2OとCF4等のフッ素系原料ガスを添加した混合ガスを、対をなす電極間のプラズマ放電に晒すことにより、生成される。上記原料ガスとしてCH4の代りにC2F6、C3F6、C3F8等の他のPFC(パーフルオロカーボン)を用いても良いし、CHF3、CH2F2、CH3F等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)を用いてもよいし、SF6、NF3、XeF2、F2等を用いてもよい。
O3は、O2と微量のN2を用いて、オゾナイザーにより生成される。
【0022】
本実施形態のエッチング用の処理ガスは、反応成分HF、O3の他にアルゴンガス、原料ガスと酸素ガスが含まれている。反応成分O3は空気より重い。また、反応成分HFは単体では空気より軽いが、通常二量体またはそれ以上の多量体となっているので、空気より重い。
【0023】
上記ノズル装置3は、搬送装置1の上方に配置されており、処理ガス源2からの処理ガスを搬送中のワークWに向けて吹き付けるようになっている。ノズル装置3の上側及び周囲は、図示しないフードによって覆われている。フードとノズル装置3との間の空間は、上記吸引手段に連なっている。
【0024】
次にノズル装置3の構成について詳述する。ノズル装置3は、内部にガス通路4が形成された装置本体5を有している。
上記装置本体5は、Y座標軸に沿って直線的に延びる複数の構成要素を組み付けることにより構成されている。これら構成要素は、垂直をなしてY座標軸に沿って延びるとともに互いにX座標軸方向に対向する第1、第2の板10,20と、Y座標軸に沿って延びる第1、第2、第3の長尺部材30,40,50と、さらにその下方に配置され水平をなしてY座標軸に沿って延びる端板60を含む。
【0025】
上記構成要素10〜60は、処理ガスに対する耐性を有するのが好ましく、処理ガスがフッ化水素等のフッ素系反応成分を含む場合、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂やアルミナ等のセラミックス等を用いるのが好ましい。
【0026】
図2に示すように、本実施形態では、互いに鏡面形状を有する2枚の第1板10が、その長手方向に2枚連ねられている。第1板10はノズル装置3の全長の半分の長さを有している。第2板20および第1、第2の長尺部材30,40、端板60は、1つずつ用いられ、第1板10の倍の長さを有している。第3長尺部材50は、第1、第2の長尺部材30,40より若干短い。
【0027】
図1、図2に示すように、第1板10の上面にはガス通路4の上流端となるガス供給口11が形成されており、このガス供給口11には、処理ガス源2に連なる供給ヘッダ(図示しない)がねじ付けられている。
【0028】
図1に示すように、第1、第2の板10、20は互いに対向する垂直な対向面10a,20aを有している。
図2に示すように、第1板10の対向面10aには、ツリー溝12が形成されるとともに、その下縁部に沿って連続して延びる収容溝13が形成されている。
【0029】
上記ツリー溝12の上流端12a(上端)は、厚み方向に水平に延びる短い連通路14を介して上記ガス供給口11に連なっている。
上記ツリー溝12は、下方に向かって複数段(本実施形態では4段)に分岐して、ツリー状をなしている。ツリー溝12の各段の対をなす分岐溝部は、逆方向に延びる水平部とこの水平部の先端から下方に延びる垂直部とを有している。その結果、ツリー溝12は多数(本実施形態では16個)の分岐下流端12bを有しており、これら分岐下流端12bは最終段の分岐溝部の垂直部に連なっている。
【0030】
上記ツリー溝12は、均一深さを有し、図1に示すように搬送方向A(座標軸X)と直交する垂直面P上に配置されている。
上記ツリー溝12の分岐下流端12bは、Y座標軸に沿う直線上に、等間隔で配置されている。
【0031】
図2に示すように、上記収容溝13は、その下側が開放されているが、その長手方向の端13aは第1板10の端にまで達せず塞がれている。
上記第1板10の上記対向面10aには、さらに吸引溝15が形成されている。この吸引溝15は、上記ツリー溝12の上側および両側を囲うようにして連続して形成されている。吸引溝15は、第1板10に形成された連通路15aを介して吸引手段に連なっている。
【0032】
上記第2板20の正面形状は、連ねられた2枚の第1板10とほぼ同じである。図1に示すように、第1、第2の板10,20は、大部分の領域(接合領域)で互いの対向面10a,20aが接しており多数のねじにより連結されている。これらねじは図示しないが、これらねじが螺合する多数のねじ穴16を、図2に示す。
【0033】
第2板20の対向面20aが上記ツリー溝12を覆うことにより、ガス通路4の一部となる通路分岐部が構成される。以下、通路分岐部についてはツリー溝と同じ符号「12」を用いる。第2板20の対向面20aは、第1板20の収容溝13、吸引溝15をも覆う。
上記収容溝13の形成領域(離間領域)では、収容溝13の底面(第1板10の対向面10a)と第2板20の対向面20aは互いに離間している。
【0034】
上記第1板10は上記第1長尺部材30を介して端板60に固定されている。具体的には、図2〜図4に示すように、長い垂直ねじ71が、第1板10に形成された垂直貫通穴18と第1長尺部材30に形成された垂直貫通穴38を貫通し、その下端部が端板60に形成されたねじ穴68にねじ込まれている。
【0035】
同様に、上記第2板20は第2長尺部材40を介して端板60に固定されている。具体的には、図3、図4に示すように、長い垂直ねじ72が、第2板20に形成された垂直貫通穴28と第2長尺部材40に形成された垂直貫通穴48を貫通し、その下端部が端板60に形成されたねじ穴69にねじ込まれている。
【0036】
図1、図3、図4に示すように、上記第1長尺部材30と第2長尺部材40は、互いに対向する対向面30a,40aを有している。これら対向面30a,40aは両端部(接合領域)が凹凸をなしており、これら凹凸が嵌まり合うようにして接合され、この接合状態で長尺部材30,40がねじ73により連結されている。対向面30a,40aの中間の大部分の領域(離間領域)は互いに離間している。
【0037】
図4に示すように、上記第3長尺部材50は、第2板20の下縁部においてねじ74で固定され、第1板10の収容溝13に収容されている。
【0038】
図1に示すように、上記第1板10と第1長尺部材30により、特許請求の範囲で定義された第1ボデイ半体6が構成されており、上記第2板20と第2、第3長尺部材40,50により、第2ボデイ半体7が構成されている。
【0039】
上記第1長尺部材30は、対向面30aの離間領域においてその中間高さから第2長尺部材40に向けて突出する障害部31(第2障害部)と、この障害部31の先端から上方に向けて突出する垂直なリブ32(第2リブ)とを有している。
【0040】
上記第3長尺部材50は、上記第1長尺部材30の障害部31およびリブ32と同一長さを有しており、その全長にわたって、第2板20の対向面20aから第1板10に向かって突出した障害部51(第1障害部)と、この障害部51の先端から下方に垂直に延びるリブ52(第1リブ)とを有している。
【0041】
上記リブ52は、第1長尺部材30の対向面30aとリブ32との間に入り込んでいる。また、リブ32は、第2長尺部材40の対向面40aとリブ52との間に入り込んでいる。
【0042】
さらに上記ガス通路4は、図1に示すように、上記通路分岐部12の下流側において、分岐下流端12bの配列方向と平行をなすガス通路4の合流部80と、流れ方向変更部90を有している。
【0043】
図4に最も良く示すように、上記合流部80は、第3長尺部材50の障害部51の上面と、収容溝13の上面と底面(第1板10の対向面10a)と第2板20の対向面20aにより画成される。この合流部80は、上記通路分岐部12と深さ(X座標軸方向の寸法)が等しいものの、Y座標軸に沿って連続して延びているため、この通路分岐部12の多数の分岐下流端12bの合計流通断面積より大きい。
【0044】
上記流れ方向変更部90は、Y座標軸に沿って直線的に連続して延びており、合流部80と同一長さを有している。但し、流れ方向変更部90のX座標軸方向の寸法は、合流部80より小さく、そのため流通断面積も小さい。
図3〜図5に示すように、流れ方向変更部90は、3つの垂直通路部分91〜93(第1〜第3通路部分)を有している。
【0045】
上記垂直通路部分91は、第1板10および第1長尺部材30の対向面10a,30aと、第3長尺部材50の障害部51の先端面およびリブ52の間に形成され、その上端(上流端)が上記合流部80に連なっている。
【0046】
上記垂直通路部分92は、第1長尺部材30のリブ32と第3長尺部材50のリブ52との間に形成され、その下端(上流端)が短い水平の連絡通路部分95を介して上記垂直通路部分91の下端(下流端)に連なっている。
【0047】
上記垂直通路部分93は、第1長尺部材30の障害部31の先端面およびリブ32と第2長尺部材40の対向面40aとの間に形成されており、その上端(上流端)が短い水平の連絡通路部分96を介して上記垂直通路部分92の上端(下流端)に連なっている。
【0048】
流れ方向変更部90はさらに、第1長尺部材30の障害部31の下面と端板60の上面との間に形成された水平の連絡通路部分97を有している。この連絡通路部分97は、垂直通路部分93の下端(下流端)に連なっている。
【0049】
ガス通路4はさらに、端板60に形成された吹出スリット61を有している。この吹出スリット61は垂直をなし、下方に垂直に処理ガスを吹き出すようになっている。
吹出スリット61は、上記流れ方向変更部90と同じ長さにわたってY座標軸に沿って直線的に連続して延びており、その長さは、ワークWのY座標軸に沿う寸法とほぼ同じか若干大きい。
上記吹出スリット61の上端部61a(上流端部)は、他の部位より流通断面積が小さく、上記流れ方向変更部90の連絡通路部分97の中途部に連なっている。
【0050】
図1に戻って説明すると、上記ガス通路4において、通路分岐部12が配置された垂直平面Pに対して流れ方向変更部の垂直通路部分91はX座標方向の左側(一方側)に配置され、垂直通路部分93は右側(他方側)に配置され、吹出スリット61は垂直通路部分91,93の間、例えば上記垂直平面P上に配置されている。
【0051】
上記構成をなす表面処理システムによってワークWを表面処理する方法を説明する。この表面処理は大気圧近傍の環境で行われる。具体的には、1.013×104〜50.663×104Paの範囲、好ましくは1.333×104〜10.664×104Paの範囲、より好ましくは9.331×104〜10.397×104Paの範囲である。
【0052】
処理ガス源2からの処理ガスがノズル装置3の供給ポート11に供給される。処理ガスは、通路分岐部12において分岐されてY座標軸に沿って広がり、多数の分岐下流端12bに至り、この分岐下流端12bから垂直に下方に向かって、すなわち合流部80に向かって送られる。
【0053】
上述のように分岐下流端12bから合流部80へと吐出された処理ガスは、分岐下流端12b近傍において最も濃度が高く、隣り合う分岐下流端12bの中間位置で最も濃度が低い。
【0054】
上記分岐下流端12bからの処理ガスは、流通断面積の大きな合流部80において広がり、第3長尺部材50の障害部51の抵抗を受けながら流れ方向変更部90に入る過程で、濃度差が小さくなる。
【0055】
さらに流れ方向変更部90における処理ガスの流れは、図5に示すように、垂直通路部分91での下向きが、反転して垂直通路部分92で上向きになり、さらに反転して垂直通路部分93で下向きになり、2回(複数回)にわたって方向を反転される。このように、処理ガスの流れは反転の度に大きな抵抗を受けるため、処理ガスの濃度が均一化する。
【0056】
本実施形態では、垂直通路部分93から下向きに送られた処理ガスが、さらに連絡通路部分97との交差部で直角に流れを変えて水平に流れ、さらに吹出スリット61で直角に流れを変えて下向きとなるので、より一層処理ガス濃度の均一化を促進できる。
特に本実施形態のように処理ガスの反応成分が空気より重く、吹き出し流速が例えば0.1〜0.2m/secと低い場合には、垂直通路部分91,92がU字トラップとして働き、このU字トラップから溢れた反応成分が垂直通路部分93から溢れ出て下向きに流れるため、より一層の濃度均一化を図ることができる。
【0057】
ワークWはX座標軸に沿って一定速度で搬送され、上記のようにY座標軸に沿って延びるスリット61から均一濃度の処理ガスが供給されるので、ワークWの処理予定部の全領域にわたって、むらなく均等な表面処理を行うことができる。
【0058】
なお、上記処理ガスの供給と同時期に、吸引手段を駆動する。これにより、ノズル装置3とワークWとの間の処理済みのガスや雰囲気ガスが、ノズル装置3とフードとの間を経て吸い込まれる。また、処理ガスが通路分岐部12を通過する過程で板10,20間を伝わって漏れた場合にも、吸引溝15で捕捉されて吸引される。吸引されたガスは、除害処理を施された後に排気される。
【0059】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の実施形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図6に示す第2実施形態では、第1板10と第2板20がねじ71,72により直接端板60に固定されている。
第1板10の収容溝13の底面(第1板10の離間領域のおける対向面10a)には、2つの長尺部材130,150がねじ78,79で固定されている。長尺部材130は、第1実施形態の長尺部材30と同様に第2板20に向かって突出する障害部131(第2障害部)と、この障害部132の先端から上方に垂直に突出するリブ132(第2リブ)とを有している。長尺部材150は、第2板20の対向面20aに当たるまで突出する障害部151(第1障害部)と、この障害部151の中途部から下方に垂直に突出するリブ152(第1リブ)とを有している。
【0061】
上記第2実施形態でも、第1実施形態と同様の通路変更部90が形成される。
上記長尺部材150には、合流部80と上記通路変更部90の垂直通路部分91を連ねる連絡通路155が形成されている。この連絡通路155は、通路分岐部12の分岐下流端12bより小さなピッチでY座標軸(紙面と直交する座標軸)に沿って配列された垂直穴か、同方向に連続する垂直スリットからなる。
【0062】
第2実施形態では、長尺部材130,150が共に第1板10に固定されてボデイ半体6を構成するため、組立作業が容易である。
【0063】
図7に示す第3実施形態では、ボデイ半体6’、7’がそれぞれ1つの板10’、20’からなる点を除いて、第1実施形態と同様である。障害部31、リブ32は第1板10’と一体をなして形成されている。障害部51、リブ52は第2板20’と一体をなして形成されている。このように構成要素を少なくすることにより、構成要素間の処理ガスの漏れを少なくすることができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の態様が可能である。例えば、ノズル装置3は、1枚の第1板10を用いてもよい。この場合、第1板10と第2板20とは同じ長さになる。
複数のノズル装置3をワーク搬送方向に間隔をおいて2つ配置してもよい。この場合、端板60は共通であってもよい。
吹出スリットは流れ方向変更部の第3通路部分の延長上にあってもよい。
端板60の代わりとして、異なる形状のノズルを設けてもよい。端板60の下端にさらに吹出スリットを有するノズルを設けてもよい。ノズルとしては、柱状部材が挙げられる。ワーク搬送方向に沿って切断した柱状部材の縦断面形状としては、直方体や先端の尖った三角形が好ましい。ノズルは、メンテナンスや処理の種類に応じて交換できるよう、ネジ止めや嵌合などの着脱機能を備えるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えばフラットパネルディスプレイや半導体ウェハの製造に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
3 ノズル装置
4 ガス通路
5 装置本体
6、6’ 第1ボデイ半体
7、7’ 第2ボデイ半体
11 ガス供給口
12 分岐通路部
12b 分岐下流端
31,131 障害部(第2障害部)
32,132 リブ(第2リブ)
51,151 障害部(第1障害部)
52,152 リブ(第1リブ)
61 吹出スリット
80 合流部
90 流れ方向変更部
91〜93 垂直通路部分(第1〜第3通路部分)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに処理ガスを吹き付けて表面処理するためのノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ表面処理のためのノズル装置が開示されている。このノズル装置内のガス通路は、上から下に向かってすなわち上流から下流に向かって順に、ガス供給口と通路分岐部と合流部と吹出スリットを備えている。
ガス供給口に供給された処理ガスは、垂直平面上に形成された通路分岐部において複数段階にわたって分岐され、多数の分岐下流端から同じ垂直平面上に配置された合流部、吹出スリットへと送られて、ワークに吹き付けられる。
【0003】
上記通路分岐部の多数の分岐下流端は、ワークの搬送方向と直交する方向に延びる水平な直線上に等ピッチをなして配列されている。上記合流部および吹出スリットは、上記多数の分岐下流端の配列方向と平行をなして直線的に連続して延びている。
【0004】
上記多数の分岐下流端から上記合流部へ送られてきた処理ガス濃度は、各分岐下流端の近傍で高く、分岐下流端から離れた位置(分岐下流端間の中央位置)では低くなっている。すなわち、分岐下流端のピッチに対応した処理ガスの濃度分布ができている。この処理ガス濃度の差は上記合流部を流れていく過程で小さくなるものの、吹出スリットから吹き出される段階でも残ってしまう。
【0005】
特許文献1のノズル装置では、合流部の途中に障害部を配置して処理ガス濃度分布の均一化を図っている。詳述すると、処理ガスはこの障害部で流れを遮られ、この障害部に隣接する流通断面積が小さい絞り部を通過し、再び流通断面積が大きい通路部分において広がる。この過程で処理ガス濃度の差を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4540731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のノズル装置では、通路分岐部と合流部と吹出スリットが垂直平面上に配置され、処理ガスが上から下へと方向を変えることなく流れるため、処理ガス濃度の均一化が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、処理ガスを吹き付けることによりワークを表面処理するノズル装置において、装置本体の内部に形成されたガス通路が、上流から下流に向かって順に、
ア.処理ガスが供給されるガス供給口と、
イ.上記ガス供給口からの処理ガスを分け、第1座標軸に沿って一直線上に間隔をおいて並んだ多数の分岐下流端へと送る通路分岐部と、
ウ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、上記通路分岐部の多数の分岐下流端からの処理ガスを第1座標軸と直交する方向に流すとともに、この流れ方向を複数回反転させる流れ方向変更部と、
エ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、流れ方向変更部からの処理ガスを第1座標軸と直交する第2座標軸に沿って吹き出す吹出スリットと、
を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、流れ方向変更部で処理ガスの流れを複数回反転させることにより、多数の分岐下流端からの不均一な濃度の処理ガスを、効率よく良好に均一化することができ、その結果、吹出スリットから吹き出す均一濃度の処理ガスによってワークをむらなく表面処理することができる。
【0009】
好ましくは、上記通路分岐部が上記第1、第2座標軸に沿う平面上に形成され、上記分岐下流端から上記第2座標軸に沿って処理ガスが送り出され、
上記流れ方向変更部が、
上記分岐下流端からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記吹出スリットからのガス吹出方向と同方向に流す第1通路部分と、
上記第1通路部分からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記ガス吹出方向と反対方向に流す第2通路部分と、
上記第2通路部分からの処理ガスを上記第1通路部分と同方向に流して上記吹出スリットへ送る第3通路部分と、
を有する。
上記構成によれば、処理ガスが、通路分岐部が配置される平面と平行に、流れ方向変更部の第1〜第3通路部分を流れ、吹出スリットから吹き出されるので、装置本体を小型化することができる。
【0010】
好ましくは、上記第1座標軸が水平座標軸であり、上記第2座標軸が垂直座標軸であり、上記通路分岐部が配置される平面が垂直をなし、上記ガス供給口、通路分岐部、流れ方向変更部、吹出スリットが上から下に向かって順に設けられ、上記ガス吹出方向が下向きであり、上記流れ方向変更部の上記第1通路部分が処理ガスを下向きに送り、上記第2通路部分が処理ガスを上向きに送り、上記第3通路部分が処理ガスを下向きに送る。
上記構成によれば、第1、第2通路部分がU字トラップの作用をなし、第2通路部分から溢れ出た反応成分が第3通路部分に達して下方へ向かうため、特に処理ガス中の反応成分が空気より重く、流れが緩やかな場合において、濃度均一化の効果をより一層高めることができる。
【0011】
好ましくは、上記第3通路部分と上記吹出スリットとの間に、上記第1座標軸に沿って連続して延びるとともに、第3通路部分からの処理ガスを第1、第2座標軸と直交する第3座標軸に沿って流す連絡通路部分が形成されている。
上記構成によれば、流れ方向変更部において、さらに処理ガスの直角の流れ方向変更を2回付加することにより、処理ガスの均一化をより一層促進することができる。
【0012】
好ましくは、上記通路分岐部と上記流れ方向変更部との間に第1座標軸に沿って連続して延びる合流部を有し、この合流部の流通断面積が上記通路分岐部の多数の分岐下流端の合計流通断面積より大きく、上記流れ方向変更部の流通断面積が上記合流部の流通断面積より小さい。
上記構成によれば、合流部の追加により、処理ガスの流通断面積を増大させてから減少させることができるので、処理ガスの均一化をさらに促進することができる。
【0013】
上記装置本体は、互いに連結される第1、第2のボデイ半体を有し、これらボデイ半体は上記第1座標軸と直交する水平な第3座標軸方向に対向するとともに第1座標軸と直交する対向面をそれぞれ有し、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は互いに接合する領域を有し、この接合領域において第1ボデイ半体の対向面に溝を形成することにより、上記通路分岐部が構成され、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は、上記通路分岐部の下方において互いに離れた離間領域を有し、
上記離間領域において、第1座標軸に沿って連続して延びる第1、第2の障害部が上下に離れて配置され、上側の第1障害部には下方に向かって突出する第1リブが形成され、下側の第2障害部には上方に向かって突出する第2リブが形成され、
上記第1障害部の上面と上記第1、第2のボデイ半体の対向面により上記合流部が形成され、上記第1リブと上記第1、第2のボデイ半体のいずれか一方の対向面との間に上記第1通路部分が形成され、上記第1リブと第2リブとの間に上記第2通路部分が形成され、上記第2リブと上記第1、第2のボデイ半体のうちの他方の対向面との間に上記第3通路部分が形成される。
上記構成によれば、合流部と流れ方向変更部を容易に得ることができる。
【0014】
好ましくは、上記第1障害部は、上記一方のボデイ半体の対向面から他方のボデイ半体の対向面に向かって突出するとともに当該他方のボデイ半体の対向面と離間し、上記第2障害部は、上記他方のボデイ半体の対向面から上記一方のボデイ半体に向かって突出すると共に当該一方のボデイ半体の対向面と離間している。
上記構成によれば、各障害部とボデイ半体の対向面との間が離間して第1座標軸に沿う連続した流路を確保できるため、処理ガスの濃度均一化の支障にならない。
【0015】
好ましくは、上記第1ボデイ半体は、上記対向面を有する板と、この板の対向面に上下に離間して固定された上記第1座標軸方向に延びる2本の長尺部材とを有し、上側の長尺部材が上記第1障害部と上記第1リブを有し、下側の長尺部材が上記第2障害部と上記第2リブを有し、上記第1障害部は第2ボデイ半体の対向面に当たり、上記第1通路部分に連なる多数の穴またはスリットからなる垂直な連絡通路部分を有する。
これによれば、第1ボデイ半体側に第1、第2障害部と第1、第2リブを設けるため、組み付け作業が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理ガスを吹出スリットから均一に吹き出すことができるため、むらなく表面処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るノズル装置を含む表面処理システムを、ワーク搬送方向に沿って切断した縦断面図である。
【図2】同ノズル装置の構成要素(第2板を除く)を分解して図1のII方向から見た正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿うノズル装置の平断面図である。
【図4】同ノズル装置の要部を示す拡大縦断面図である。
【図5】同ノズル装置のガス通路の要部をさらに拡大して示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるノズル装置の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係わるノズル装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態を、図1〜図5を参照しながら説明する。図1〜図3において、互いに直交する水平なX座標軸(第3座標軸)およびY座標軸(第1座標軸)と、垂直なZ座標軸(第2座標軸)を示す。以下、これら3つの座標軸を参照しながら説明する。
【0019】
図1にはワークWを表面処理するための表面処理システムが示されている。
上記ワークWは、例えば矩形をなすフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体ウェハ等であるが、これに限定されるものではない。表面処理としては、エッチング、成膜、洗浄、撥水化、親水化等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記表面処理システムは、搬送装置1と処理ガス源2とノズル装置3と図示しない吸引手段とを備えている。
上記搬送装置1はコンベア等からなり、ワークWを載せて水平に維持したままX座標軸に沿って、例えば図1中A方向に一定速度で搬送する。
【0021】
処理ガス源2の処理ガスは、上記表面処理に応じた反応ガス成分を有しており、例えば、シリコンのエッチングの場合、フッ素系反応成分及び酸化性反応成分を含む。フッ素系反応成分としてHF等が挙げられる。酸化性反応成分としてO3等が挙げられる。
HFは、Arガス(He,Ne、Krでもよい)にH2OとCF4等のフッ素系原料ガスを添加した混合ガスを、対をなす電極間のプラズマ放電に晒すことにより、生成される。上記原料ガスとしてCH4の代りにC2F6、C3F6、C3F8等の他のPFC(パーフルオロカーボン)を用いても良いし、CHF3、CH2F2、CH3F等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)を用いてもよいし、SF6、NF3、XeF2、F2等を用いてもよい。
O3は、O2と微量のN2を用いて、オゾナイザーにより生成される。
【0022】
本実施形態のエッチング用の処理ガスは、反応成分HF、O3の他にアルゴンガス、原料ガスと酸素ガスが含まれている。反応成分O3は空気より重い。また、反応成分HFは単体では空気より軽いが、通常二量体またはそれ以上の多量体となっているので、空気より重い。
【0023】
上記ノズル装置3は、搬送装置1の上方に配置されており、処理ガス源2からの処理ガスを搬送中のワークWに向けて吹き付けるようになっている。ノズル装置3の上側及び周囲は、図示しないフードによって覆われている。フードとノズル装置3との間の空間は、上記吸引手段に連なっている。
【0024】
次にノズル装置3の構成について詳述する。ノズル装置3は、内部にガス通路4が形成された装置本体5を有している。
上記装置本体5は、Y座標軸に沿って直線的に延びる複数の構成要素を組み付けることにより構成されている。これら構成要素は、垂直をなしてY座標軸に沿って延びるとともに互いにX座標軸方向に対向する第1、第2の板10,20と、Y座標軸に沿って延びる第1、第2、第3の長尺部材30,40,50と、さらにその下方に配置され水平をなしてY座標軸に沿って延びる端板60を含む。
【0025】
上記構成要素10〜60は、処理ガスに対する耐性を有するのが好ましく、処理ガスがフッ化水素等のフッ素系反応成分を含む場合、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂やアルミナ等のセラミックス等を用いるのが好ましい。
【0026】
図2に示すように、本実施形態では、互いに鏡面形状を有する2枚の第1板10が、その長手方向に2枚連ねられている。第1板10はノズル装置3の全長の半分の長さを有している。第2板20および第1、第2の長尺部材30,40、端板60は、1つずつ用いられ、第1板10の倍の長さを有している。第3長尺部材50は、第1、第2の長尺部材30,40より若干短い。
【0027】
図1、図2に示すように、第1板10の上面にはガス通路4の上流端となるガス供給口11が形成されており、このガス供給口11には、処理ガス源2に連なる供給ヘッダ(図示しない)がねじ付けられている。
【0028】
図1に示すように、第1、第2の板10、20は互いに対向する垂直な対向面10a,20aを有している。
図2に示すように、第1板10の対向面10aには、ツリー溝12が形成されるとともに、その下縁部に沿って連続して延びる収容溝13が形成されている。
【0029】
上記ツリー溝12の上流端12a(上端)は、厚み方向に水平に延びる短い連通路14を介して上記ガス供給口11に連なっている。
上記ツリー溝12は、下方に向かって複数段(本実施形態では4段)に分岐して、ツリー状をなしている。ツリー溝12の各段の対をなす分岐溝部は、逆方向に延びる水平部とこの水平部の先端から下方に延びる垂直部とを有している。その結果、ツリー溝12は多数(本実施形態では16個)の分岐下流端12bを有しており、これら分岐下流端12bは最終段の分岐溝部の垂直部に連なっている。
【0030】
上記ツリー溝12は、均一深さを有し、図1に示すように搬送方向A(座標軸X)と直交する垂直面P上に配置されている。
上記ツリー溝12の分岐下流端12bは、Y座標軸に沿う直線上に、等間隔で配置されている。
【0031】
図2に示すように、上記収容溝13は、その下側が開放されているが、その長手方向の端13aは第1板10の端にまで達せず塞がれている。
上記第1板10の上記対向面10aには、さらに吸引溝15が形成されている。この吸引溝15は、上記ツリー溝12の上側および両側を囲うようにして連続して形成されている。吸引溝15は、第1板10に形成された連通路15aを介して吸引手段に連なっている。
【0032】
上記第2板20の正面形状は、連ねられた2枚の第1板10とほぼ同じである。図1に示すように、第1、第2の板10,20は、大部分の領域(接合領域)で互いの対向面10a,20aが接しており多数のねじにより連結されている。これらねじは図示しないが、これらねじが螺合する多数のねじ穴16を、図2に示す。
【0033】
第2板20の対向面20aが上記ツリー溝12を覆うことにより、ガス通路4の一部となる通路分岐部が構成される。以下、通路分岐部についてはツリー溝と同じ符号「12」を用いる。第2板20の対向面20aは、第1板20の収容溝13、吸引溝15をも覆う。
上記収容溝13の形成領域(離間領域)では、収容溝13の底面(第1板10の対向面10a)と第2板20の対向面20aは互いに離間している。
【0034】
上記第1板10は上記第1長尺部材30を介して端板60に固定されている。具体的には、図2〜図4に示すように、長い垂直ねじ71が、第1板10に形成された垂直貫通穴18と第1長尺部材30に形成された垂直貫通穴38を貫通し、その下端部が端板60に形成されたねじ穴68にねじ込まれている。
【0035】
同様に、上記第2板20は第2長尺部材40を介して端板60に固定されている。具体的には、図3、図4に示すように、長い垂直ねじ72が、第2板20に形成された垂直貫通穴28と第2長尺部材40に形成された垂直貫通穴48を貫通し、その下端部が端板60に形成されたねじ穴69にねじ込まれている。
【0036】
図1、図3、図4に示すように、上記第1長尺部材30と第2長尺部材40は、互いに対向する対向面30a,40aを有している。これら対向面30a,40aは両端部(接合領域)が凹凸をなしており、これら凹凸が嵌まり合うようにして接合され、この接合状態で長尺部材30,40がねじ73により連結されている。対向面30a,40aの中間の大部分の領域(離間領域)は互いに離間している。
【0037】
図4に示すように、上記第3長尺部材50は、第2板20の下縁部においてねじ74で固定され、第1板10の収容溝13に収容されている。
【0038】
図1に示すように、上記第1板10と第1長尺部材30により、特許請求の範囲で定義された第1ボデイ半体6が構成されており、上記第2板20と第2、第3長尺部材40,50により、第2ボデイ半体7が構成されている。
【0039】
上記第1長尺部材30は、対向面30aの離間領域においてその中間高さから第2長尺部材40に向けて突出する障害部31(第2障害部)と、この障害部31の先端から上方に向けて突出する垂直なリブ32(第2リブ)とを有している。
【0040】
上記第3長尺部材50は、上記第1長尺部材30の障害部31およびリブ32と同一長さを有しており、その全長にわたって、第2板20の対向面20aから第1板10に向かって突出した障害部51(第1障害部)と、この障害部51の先端から下方に垂直に延びるリブ52(第1リブ)とを有している。
【0041】
上記リブ52は、第1長尺部材30の対向面30aとリブ32との間に入り込んでいる。また、リブ32は、第2長尺部材40の対向面40aとリブ52との間に入り込んでいる。
【0042】
さらに上記ガス通路4は、図1に示すように、上記通路分岐部12の下流側において、分岐下流端12bの配列方向と平行をなすガス通路4の合流部80と、流れ方向変更部90を有している。
【0043】
図4に最も良く示すように、上記合流部80は、第3長尺部材50の障害部51の上面と、収容溝13の上面と底面(第1板10の対向面10a)と第2板20の対向面20aにより画成される。この合流部80は、上記通路分岐部12と深さ(X座標軸方向の寸法)が等しいものの、Y座標軸に沿って連続して延びているため、この通路分岐部12の多数の分岐下流端12bの合計流通断面積より大きい。
【0044】
上記流れ方向変更部90は、Y座標軸に沿って直線的に連続して延びており、合流部80と同一長さを有している。但し、流れ方向変更部90のX座標軸方向の寸法は、合流部80より小さく、そのため流通断面積も小さい。
図3〜図5に示すように、流れ方向変更部90は、3つの垂直通路部分91〜93(第1〜第3通路部分)を有している。
【0045】
上記垂直通路部分91は、第1板10および第1長尺部材30の対向面10a,30aと、第3長尺部材50の障害部51の先端面およびリブ52の間に形成され、その上端(上流端)が上記合流部80に連なっている。
【0046】
上記垂直通路部分92は、第1長尺部材30のリブ32と第3長尺部材50のリブ52との間に形成され、その下端(上流端)が短い水平の連絡通路部分95を介して上記垂直通路部分91の下端(下流端)に連なっている。
【0047】
上記垂直通路部分93は、第1長尺部材30の障害部31の先端面およびリブ32と第2長尺部材40の対向面40aとの間に形成されており、その上端(上流端)が短い水平の連絡通路部分96を介して上記垂直通路部分92の上端(下流端)に連なっている。
【0048】
流れ方向変更部90はさらに、第1長尺部材30の障害部31の下面と端板60の上面との間に形成された水平の連絡通路部分97を有している。この連絡通路部分97は、垂直通路部分93の下端(下流端)に連なっている。
【0049】
ガス通路4はさらに、端板60に形成された吹出スリット61を有している。この吹出スリット61は垂直をなし、下方に垂直に処理ガスを吹き出すようになっている。
吹出スリット61は、上記流れ方向変更部90と同じ長さにわたってY座標軸に沿って直線的に連続して延びており、その長さは、ワークWのY座標軸に沿う寸法とほぼ同じか若干大きい。
上記吹出スリット61の上端部61a(上流端部)は、他の部位より流通断面積が小さく、上記流れ方向変更部90の連絡通路部分97の中途部に連なっている。
【0050】
図1に戻って説明すると、上記ガス通路4において、通路分岐部12が配置された垂直平面Pに対して流れ方向変更部の垂直通路部分91はX座標方向の左側(一方側)に配置され、垂直通路部分93は右側(他方側)に配置され、吹出スリット61は垂直通路部分91,93の間、例えば上記垂直平面P上に配置されている。
【0051】
上記構成をなす表面処理システムによってワークWを表面処理する方法を説明する。この表面処理は大気圧近傍の環境で行われる。具体的には、1.013×104〜50.663×104Paの範囲、好ましくは1.333×104〜10.664×104Paの範囲、より好ましくは9.331×104〜10.397×104Paの範囲である。
【0052】
処理ガス源2からの処理ガスがノズル装置3の供給ポート11に供給される。処理ガスは、通路分岐部12において分岐されてY座標軸に沿って広がり、多数の分岐下流端12bに至り、この分岐下流端12bから垂直に下方に向かって、すなわち合流部80に向かって送られる。
【0053】
上述のように分岐下流端12bから合流部80へと吐出された処理ガスは、分岐下流端12b近傍において最も濃度が高く、隣り合う分岐下流端12bの中間位置で最も濃度が低い。
【0054】
上記分岐下流端12bからの処理ガスは、流通断面積の大きな合流部80において広がり、第3長尺部材50の障害部51の抵抗を受けながら流れ方向変更部90に入る過程で、濃度差が小さくなる。
【0055】
さらに流れ方向変更部90における処理ガスの流れは、図5に示すように、垂直通路部分91での下向きが、反転して垂直通路部分92で上向きになり、さらに反転して垂直通路部分93で下向きになり、2回(複数回)にわたって方向を反転される。このように、処理ガスの流れは反転の度に大きな抵抗を受けるため、処理ガスの濃度が均一化する。
【0056】
本実施形態では、垂直通路部分93から下向きに送られた処理ガスが、さらに連絡通路部分97との交差部で直角に流れを変えて水平に流れ、さらに吹出スリット61で直角に流れを変えて下向きとなるので、より一層処理ガス濃度の均一化を促進できる。
特に本実施形態のように処理ガスの反応成分が空気より重く、吹き出し流速が例えば0.1〜0.2m/secと低い場合には、垂直通路部分91,92がU字トラップとして働き、このU字トラップから溢れた反応成分が垂直通路部分93から溢れ出て下向きに流れるため、より一層の濃度均一化を図ることができる。
【0057】
ワークWはX座標軸に沿って一定速度で搬送され、上記のようにY座標軸に沿って延びるスリット61から均一濃度の処理ガスが供給されるので、ワークWの処理予定部の全領域にわたって、むらなく均等な表面処理を行うことができる。
【0058】
なお、上記処理ガスの供給と同時期に、吸引手段を駆動する。これにより、ノズル装置3とワークWとの間の処理済みのガスや雰囲気ガスが、ノズル装置3とフードとの間を経て吸い込まれる。また、処理ガスが通路分岐部12を通過する過程で板10,20間を伝わって漏れた場合にも、吸引溝15で捕捉されて吸引される。吸引されたガスは、除害処理を施された後に排気される。
【0059】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において、既述の実施形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図6に示す第2実施形態では、第1板10と第2板20がねじ71,72により直接端板60に固定されている。
第1板10の収容溝13の底面(第1板10の離間領域のおける対向面10a)には、2つの長尺部材130,150がねじ78,79で固定されている。長尺部材130は、第1実施形態の長尺部材30と同様に第2板20に向かって突出する障害部131(第2障害部)と、この障害部132の先端から上方に垂直に突出するリブ132(第2リブ)とを有している。長尺部材150は、第2板20の対向面20aに当たるまで突出する障害部151(第1障害部)と、この障害部151の中途部から下方に垂直に突出するリブ152(第1リブ)とを有している。
【0061】
上記第2実施形態でも、第1実施形態と同様の通路変更部90が形成される。
上記長尺部材150には、合流部80と上記通路変更部90の垂直通路部分91を連ねる連絡通路155が形成されている。この連絡通路155は、通路分岐部12の分岐下流端12bより小さなピッチでY座標軸(紙面と直交する座標軸)に沿って配列された垂直穴か、同方向に連続する垂直スリットからなる。
【0062】
第2実施形態では、長尺部材130,150が共に第1板10に固定されてボデイ半体6を構成するため、組立作業が容易である。
【0063】
図7に示す第3実施形態では、ボデイ半体6’、7’がそれぞれ1つの板10’、20’からなる点を除いて、第1実施形態と同様である。障害部31、リブ32は第1板10’と一体をなして形成されている。障害部51、リブ52は第2板20’と一体をなして形成されている。このように構成要素を少なくすることにより、構成要素間の処理ガスの漏れを少なくすることができる。
【0064】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の態様が可能である。例えば、ノズル装置3は、1枚の第1板10を用いてもよい。この場合、第1板10と第2板20とは同じ長さになる。
複数のノズル装置3をワーク搬送方向に間隔をおいて2つ配置してもよい。この場合、端板60は共通であってもよい。
吹出スリットは流れ方向変更部の第3通路部分の延長上にあってもよい。
端板60の代わりとして、異なる形状のノズルを設けてもよい。端板60の下端にさらに吹出スリットを有するノズルを設けてもよい。ノズルとしては、柱状部材が挙げられる。ワーク搬送方向に沿って切断した柱状部材の縦断面形状としては、直方体や先端の尖った三角形が好ましい。ノズルは、メンテナンスや処理の種類に応じて交換できるよう、ネジ止めや嵌合などの着脱機能を備えるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えばフラットパネルディスプレイや半導体ウェハの製造に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
3 ノズル装置
4 ガス通路
5 装置本体
6、6’ 第1ボデイ半体
7、7’ 第2ボデイ半体
11 ガス供給口
12 分岐通路部
12b 分岐下流端
31,131 障害部(第2障害部)
32,132 リブ(第2リブ)
51,151 障害部(第1障害部)
52,152 リブ(第1リブ)
61 吹出スリット
80 合流部
90 流れ方向変更部
91〜93 垂直通路部分(第1〜第3通路部分)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスを吹き付けることによりワークを表面処理するノズル装置において、装置本体の内部に形成されたガス通路が、上流から下流に向かって順に、
ア.処理ガスが供給されるガス供給口と、
イ.上記ガス供給口からの処理ガスを分け、第1座標軸に沿って一直線上に間隔をおいて並んだ多数の分岐下流端へと送る通路分岐部と、
ウ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、上記通路分岐部の多数の分岐下流端からの処理ガスを第1座標軸と直交する方向に流すとともに、この流れ方向を複数回反転させる流れ方向変更部と、
エ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、流れ方向変更部からの処理ガスを第1座標軸と直交する第2座標軸に沿って吹き出す吹出スリットと、
を備えたことを特徴とする表面処理用ノズル装置。
【請求項2】
上記通路分岐部が上記第1、第2座標軸に沿う平面上に形成され、上記分岐下流端から上記第2座標軸に沿って処理ガスが送り出され、
上記流れ方向変更部が、
上記分岐下流端からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記吹出スリットからのガス吹出方向と同方向に流す第1通路部分と、
上記第1通路部分からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記ガス吹出方向と反対方向に流す第2通路部分と、
上記第2通路部分からの処理ガスを上記第1通路部分と同方向に流して上記吹出スリットへ送る第3通路部分と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項3】
上記第1座標軸が水平座標軸であり、上記第2座標軸が垂直座標軸であり、上記通路分岐部が配置される平面が垂直をなし、上記ガス供給口、通路分岐部、流れ方向変更部、吹出スリットが上から下に向かって順に設けられ、上記ガス吹出方向が下向きであり、上記流れ方向変更部の上記第1通路部分が処理ガスを下向きに送り、上記第2通路部分が処理ガスを上向きに送り、上記第3通路部分が処理ガスを下向きに送ることを特徴とする請求項2に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項4】
上記第3通路部分と上記吹出スリットとの間に、上記第1座標軸に沿って連続して延びるとともに、第3通路部分からの処理ガスを第1、第2座標軸と直交する第3座標軸に沿って流す連絡通路部分が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項5】
上記通路分岐部と上記流れ方向変更部との間に第1座標軸に沿って連続して延びる合流部を有し、この合流部の流通断面積が上記通路分岐部の多数の分岐下流端の合計流通断面積より大きく、上記流れ方向変更部の流通断面積が上記合流部の流通断面積より小さいことを特徴とする請求項3に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項6】
上記装置本体は、互いに連結される第1、第2のボデイ半体を有し、これらボデイ半体は上記第1座標軸と直交する水平な第3座標軸方向に対向するとともに第1座標軸と直交する対向面をそれぞれ有し、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は互いに接合する領域を有し、この接合領域において第1ボデイ半体の対向面に溝を形成することにより、上記通路分岐部が構成され、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は、上記通路分岐部の下方において互いに離れた離間領域を有し、
上記離間領域において、第1座標軸に沿って連続して延びる第1、第2の障害部が上下に離れて配置され、上側の第1障害部には下方に向かって突出する第1リブが形成され、下側の第2障害部には上方に向かって突出する第2リブが形成され、
上記第1障害部の上面と上記第1、第2のボデイ半体の対向面により上記合流部が形成され、上記第1リブと上記第1、第2のボデイ半体のいずれか一方の対向面との間に上記第1通路部分が形成され、上記第1リブと第2リブとの間に上記第2通路部分が形成され、上記第2リブと上記第1、第2のボデイ半体のうちの他方の対向面との間に上記第3通路部分が形成されることを特徴とする請求項5に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項7】
上記第1障害部は、上記一方のボデイ半体の対向面から他方のボデイ半体の対向面に向かって突出するとともに当該他方のボデイ半体の対向面と離間し、
上記第2障害部は、上記他方のボデイ半体の対向面から上記一方のボデイ半体に向かって突出すると共に当該一方のボデイ半体の対向面と離間していることを特徴とする請求項6に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項8】
上記第1ボデイ半体は、上記対向面を有する板と、この板の対向面に上下に離間して固定された上記第1座標軸方向に延びる2本の長尺部材とを有し、
上側の長尺部材が上記第1障害部と上記第1リブを有し、下側の長尺部材が上記第2障害部と上記第2リブを有し、
上記第1障害部は第2ボデイ半体の対向面に当たり、上記第1通路部分に連なる多数の穴またはスリットからなる垂直な連絡通路部分を有することを特徴とする表面処理用ノズル装置。
【請求項1】
処理ガスを吹き付けることによりワークを表面処理するノズル装置において、装置本体の内部に形成されたガス通路が、上流から下流に向かって順に、
ア.処理ガスが供給されるガス供給口と、
イ.上記ガス供給口からの処理ガスを分け、第1座標軸に沿って一直線上に間隔をおいて並んだ多数の分岐下流端へと送る通路分岐部と、
ウ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、上記通路分岐部の多数の分岐下流端からの処理ガスを第1座標軸と直交する方向に流すとともに、この流れ方向を複数回反転させる流れ方向変更部と、
エ.上記第1座標軸に沿って直線的に連続して延び、流れ方向変更部からの処理ガスを第1座標軸と直交する第2座標軸に沿って吹き出す吹出スリットと、
を備えたことを特徴とする表面処理用ノズル装置。
【請求項2】
上記通路分岐部が上記第1、第2座標軸に沿う平面上に形成され、上記分岐下流端から上記第2座標軸に沿って処理ガスが送り出され、
上記流れ方向変更部が、
上記分岐下流端からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記吹出スリットからのガス吹出方向と同方向に流す第1通路部分と、
上記第1通路部分からの処理ガスを上記第2座標軸に沿って上記ガス吹出方向と反対方向に流す第2通路部分と、
上記第2通路部分からの処理ガスを上記第1通路部分と同方向に流して上記吹出スリットへ送る第3通路部分と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項3】
上記第1座標軸が水平座標軸であり、上記第2座標軸が垂直座標軸であり、上記通路分岐部が配置される平面が垂直をなし、上記ガス供給口、通路分岐部、流れ方向変更部、吹出スリットが上から下に向かって順に設けられ、上記ガス吹出方向が下向きであり、上記流れ方向変更部の上記第1通路部分が処理ガスを下向きに送り、上記第2通路部分が処理ガスを上向きに送り、上記第3通路部分が処理ガスを下向きに送ることを特徴とする請求項2に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項4】
上記第3通路部分と上記吹出スリットとの間に、上記第1座標軸に沿って連続して延びるとともに、第3通路部分からの処理ガスを第1、第2座標軸と直交する第3座標軸に沿って流す連絡通路部分が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項5】
上記通路分岐部と上記流れ方向変更部との間に第1座標軸に沿って連続して延びる合流部を有し、この合流部の流通断面積が上記通路分岐部の多数の分岐下流端の合計流通断面積より大きく、上記流れ方向変更部の流通断面積が上記合流部の流通断面積より小さいことを特徴とする請求項3に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項6】
上記装置本体は、互いに連結される第1、第2のボデイ半体を有し、これらボデイ半体は上記第1座標軸と直交する水平な第3座標軸方向に対向するとともに第1座標軸と直交する対向面をそれぞれ有し、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は互いに接合する領域を有し、この接合領域において第1ボデイ半体の対向面に溝を形成することにより、上記通路分岐部が構成され、
上記第1、第2のボデイ半体の対向面は、上記通路分岐部の下方において互いに離れた離間領域を有し、
上記離間領域において、第1座標軸に沿って連続して延びる第1、第2の障害部が上下に離れて配置され、上側の第1障害部には下方に向かって突出する第1リブが形成され、下側の第2障害部には上方に向かって突出する第2リブが形成され、
上記第1障害部の上面と上記第1、第2のボデイ半体の対向面により上記合流部が形成され、上記第1リブと上記第1、第2のボデイ半体のいずれか一方の対向面との間に上記第1通路部分が形成され、上記第1リブと第2リブとの間に上記第2通路部分が形成され、上記第2リブと上記第1、第2のボデイ半体のうちの他方の対向面との間に上記第3通路部分が形成されることを特徴とする請求項5に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項7】
上記第1障害部は、上記一方のボデイ半体の対向面から他方のボデイ半体の対向面に向かって突出するとともに当該他方のボデイ半体の対向面と離間し、
上記第2障害部は、上記他方のボデイ半体の対向面から上記一方のボデイ半体に向かって突出すると共に当該一方のボデイ半体の対向面と離間していることを特徴とする請求項6に記載の表面処理用ノズル装置。
【請求項8】
上記第1ボデイ半体は、上記対向面を有する板と、この板の対向面に上下に離間して固定された上記第1座標軸方向に延びる2本の長尺部材とを有し、
上側の長尺部材が上記第1障害部と上記第1リブを有し、下側の長尺部材が上記第2障害部と上記第2リブを有し、
上記第1障害部は第2ボデイ半体の対向面に当たり、上記第1通路部分に連なる多数の穴またはスリットからなる垂直な連絡通路部分を有することを特徴とする表面処理用ノズル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−199487(P2012−199487A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63943(P2011−63943)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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