説明

被写体監視方法、被写体監視装置、および被写体監視プログラム

【課題】被写体を撮影して得た基準画像と比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を監視する被写体監視方法等に関し、撮影時の照明条件といった撮影条件が異なっても基準画像と比較画像との間の変化を正確に捉える。
【解決手段】比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正ステップと、基準画像と、画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定する変化判定ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を時間的に前後して撮影して得た2画像を比較することにより、該時間間における被写体の変化の有無を監視する被写体監視方法、被写体監視装置、および、コンピュータ等の情報処理装置内で実行され、その情報処理装置を被写体監視装置として動作させる被写体監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、計算機の処理能力の向上に伴い、それまでそのデータ量の多さ、複雑さから実用化になかなか達しなかった画像を使った計測・監視等のシステムが期待されるようになってきている。特に、監視システムについてはそれまで監視カメラからの映像を人の目で確認することが多いため、その確認作業の自動化が期待されている。
【0003】
そのような自動化が期待されている分野の一つに、製鉄所のコークス炉からガスが漏れだしているシーンがある。このガス漏れは炉蓋から発生することが多く、その原因は高温による炉蓋の反りや、接触面の腐食、石炭、コークス、タールといった異物の噛み込みなどに起因するものと考えられている。近年、ガス漏れしにくい構造の炉蓋も開発されてきているが、長期間にわたってガス漏れを全く起こさない炉蓋は現在のところ存在しておらず、操業継続により発生するガス漏れは作業者によって閉止処理がなされている。ガス漏れ箇所は随時補修されるが、該当箇所の検出は現在、作業者によってのみ行われており、24時間連続操業を常とするコークス炉にあっては炉蓋のガス漏れを自動で検出できる装置が期待されている。このガス漏れの画像を人間が見れば一目でガスが漏れているとわかる。画像情報から知るためには、一番簡単なのはその日の天気、カメラの位置がまったく同じ状況下で撮影した画像をガス漏れ画像から差し引けばよく、得られる画像はガス漏れ部分のみとなる。
【0004】
しかし、その日の天気、つまりは照明条件がまったく同じ状況を作り出すことは非常に困難である。そして、違う状況で撮影した画像同士を差し引いても、照明条件が違うことでガス漏れ以外の部分も残ってしまうことになる。
【0005】
このように、人問が見れば一目でわかる変化でも画像情報から機械的、定量的に取り出そうとすると、照明条件といった撮影条件の違いが大きな妨げとなり、これを回避するための画像の補正等の処理が必要となってくる。さらに画像情報は位置x,yの濃度値R,G,Bと多次元になっていることも多く、この情報からうまく画像の特徴をつかむ必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、撮影時の照明条件といった撮影条件が異なっても画像の情報をうまくつかみ、2画像(以下、その 一を基準画像、他を比較画像と言う。)間の変化を正確に捉えることができる被写体監視方法、被写体監視装置、および被写体監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の被写体監視方法は、被写体を撮影して得た基準画像と、被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を監視する被写体監視方法において、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正ステップと、
基準画像と、画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定する変化判定ステップとを有することを特徴とする。
なお、2画像はそのどちらを基準画像としてもよいし、画素値補正においては基準画像、比較画像の両画像の画素値を、それらとは独立に与える第三の平均と分散に一致させるものでもよい。
【0008】
本発明の被写体監視方法は、上記の画素値補正ステップを有し、局所領域ごとに平均と分散を一致させるように画素値を補正するものであるため、照明条件が高精度に補正され、基準画像と比較画像との間の変化の有無を高精度に判定することができる。
【0009】
ここで、本発明の被写体監視方法において、さらに、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算ステップを備え、
上記変化判定ステップは、上記差分演算ステップにより求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するステップであってもよい。
【0010】
差分画像を求めることにより、基準画像と補正後の比較画像との間の変化を容易に捉えることができる。
【0011】
また、本発明の被写体監視方法において、上記画素値補正ステップは、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを上記第1の小領域として上記演算を実行するステップであることが好ましい。
【0012】
各1画素を上記第1の小領域として上記演算を実行することにより、一層高精度な補正を行なうことができる。ただし、複数の画素の集合を第1の小領域としてもよく、その場合、高速な演算が可能となる。
【0013】
また、本発明の被写体監視方法において、上記画素値補正ステップは、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0014】
【数1】

【0015】
に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するステップであってもよい。
【0016】
具体的には、例えば上記(1)式に従って画素値を補正することができる。
【0017】
また、本発明の被写体監視方法において、上記画素値補正ステップは、上記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、上記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、上記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【0018】
【数2】

【0019】
とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0020】
【数3】

【0021】
に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するステップであってもよい。
【0022】
基準画像を得たときの被写体の照明方向と比較画像を得たときの被写体の照明方向の違いによっては、エッジを境にした2つの領域の明るさが反転する場合もある。このような場合であっても、上記(2)式に従って画素値を補正することにより高精度な補正が可能となる。
【0023】
ここで、上記第2の小領域にエッジが含まれているか否かの判定方法は、限定されるものではないが、例えば、上記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、その第2の小領域にエッジが含まれていると判定することができる。
【0024】
また、本発明の被写体監視方法において、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正ステップは、少なくとも1つの色について上記演算を行なうステップであり、上記変化判定ステップは、少なくとも1つの色について、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定するステップであってもよい。
【0025】
カラー画像であっても、変化の有無が特定の色に表われることが分かっているときは、その色についてのみ、演算を行なって変化の有無を判定すればよい。
【0026】
あるいは、本発明の被写体監視方法において、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正ステップは、それら複数色それぞれについて上記演算を行なうステップであり、上記変化判定ステップは、基準画像と、上記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画素との間の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、その距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するステップであってもよい。
【0027】
このように、カラー画像の場合、複数色を総合して変化の有無を判定してもよい。
【0028】
さらに、本発明の被写体監視方法について、上記画素値補正ステップの実行に先立って実行される、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正ステップを有することが好ましい。
【0029】
被写体の照明条件のみでなく、カメラの位置ずれ等が発生するおそれがあるときは、上記のずれ校正ステップを置くことにより、高精度な変化の判定を行なうことができる。
【0030】
また、上記目的を達成する本発明の被写体監視装置は、被写体を撮影して得た基準画像と、被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を監視する被写体監視装置において、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正部と、
基準画像と、画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定する変化判定部とを有することを特徴とする。
【0031】
ここで、本発明の被写体監視装置において、さらに、基準画像と、上記画素値補正部を経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算部を備え、
上記変化判定部は、上記差分演算部により求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであってもよい。
【0032】
また、本発明の被写体監視装置において、上記画素値補正部は、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを上記第1の小領域として上記演算を実行するものであることが好ましい。
【0033】
また、本発明の被写体監視装置において、上記画素値補正部は、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0034】
【数4】

【0035】
に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するものであってもよい。
【0036】
あるいは、本発明の被写体監視装置において、上記画素値補正部は、上記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、上記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、上記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【0037】
【数5】

【0038】
とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0039】
【数6】

【0040】
に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることも好ましい態様である。
【0041】
この場合に、上記画素値補正部は、上記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、その第2の小領域にエッジが含まれていると判定するものであってもよい。
【0042】
また、本発明の被写体監視装置において、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正部は、少なくとも1つの色について上記演算を行なうものであり、上記変化判定部は、少なくとも1つの色について、基準画素と、上記画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定するものであってもよい。
【0043】
あるいは、本発明の被写体監視装置において、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正部は、それら複数色それぞれについて上記演算を行なうものであり、上記変化判定部は、基準画像と、上記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画素との間の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、その距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであることも好ましい形態である。
【0044】
また、本発明の被写体監視装置において、上記画素値補正部の前段に、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正部を有することが好ましい。
【0045】
また、上記目的を達成する本発明の被写体監視プログラムは、プログラムが実行される情報処理装置内で実行され、その情報処理装置を、被写体を撮影して得た基準画像と被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより被写体の変化の有無を監視する被写体監視装置として動作させる被写体監視プログラムであって、
上記情報処理装置を、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときのその小領域それぞれを第1の小領域として実行する画素値補正部と、
基準画像と、画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定する変化判定部とを有する被写体監視装置として動作させることを特徴とする。
【0046】
ここで、本発明の被写体監視プログラムが、さらに、上記情報処理装置を、基準画像と、上記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算部をさらに有するとともに、
上記変化判定部が、上記差分演算部により求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するものである被写体監視装置として動作させることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の被写体監視プログラムにおいて、上記画素値補正部は、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを上記第1の小領域として上記演算を実行するものであることが好ましい。
【0048】
また、本発明の被写体監視プログラムにおいて、上記画素値補正部は、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0049】
【数7】

【0050】
に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するものであってもよい。
【0051】
あるいは、本発明の被写体監視プログラムにおいて、上記画素値補正部は、その記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、上記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を上記第1の小領域としたときのその第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【0052】
【数8】

【0053】
とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【0054】
【数9】

【0055】
に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることも好ましい態様である。この場合に、上記画素値補正部は、上記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、その第2の小領域にエッジが含まれていると判定するものであってもよい。
【0056】
また、本発明の被写体監視プログラムにおいて、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正部は、少なくとも1つの色について上記演算を行なうものであり、上記変化判定部は少なくとも1つの色について、基準画像と、上記画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、被写体の変化の有無を判定するものであってもよい。
【0057】
あるいは、本発明の被写体監視プログラムにおいて、上記基準画像および上記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像である場合に、上記画素値補正部は、上記複数色それぞれについて上記演算を行なうものであり、上記変化判定部は、基準画像と、上記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との間の、上記複数色についての複数の差分画像の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、その距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであることも好ましい態様である。
【0058】
さらに、本発明の被写体監視プログラムは、上記情報処理装置を上記画素値補正部の前段に、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正部をさらに有する被写体監視装置として動作させるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0059】
以上のように、本発明によれば、被写体の変化の有無を高精度に捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0061】
以下において説明する実施形態は、本発明の一実施形態としての被写体監視方法を実現するための被写体監視プログラムがコンピュータ内で実行されることにより、そのコンピュータと被写体監視プログラムとによりそのコンピュータ内に被写体監視装置を実現する実施形態である。
【0062】
そこで、以下では、コンピュータのハードウェアについて説明し、次いでそのコンピュータ内で実行されるプログラムについて説明する。
【0063】
図1は、ノート型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」と略記する)と、そのノートパソコンに接続されたカメラの外観図である。
【0064】
このノートパソコン10は、本体部20と、その本体部20に対し開閉自在な表示部30とで構成されている。本体部20には、その上面に、ユーザによりキー操作されるキーボード21や、表示画面上の任意の点を指定するためのトラックパッド22が備えられており、側面には、この図1に示されているものとして、MOが装填されるMO装填口231やCD−RやCD−RWが装填されるCD−R/RW装填口241が備えられている。また、この本体部20にはマウス25が接続されており、トラックパッド22よりも操作性が向上されている。さらにこの本体部22には、カメラ40が接続されている。このカメラ40は監視対象の被写体を撮影範囲内に捉えており、例えば1分おき等、定期的に撮影を行なって、その撮影により得られた画像データをノートパソコン本体20に送るものである。尚、本実施形能では、カメラ40は、撮影によりR(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの色に対応するカラー画像データを生成してノートパソコン本体20に送るものとする。
【0065】
またノートパソコン10の表示部30には、その中央の広い領域に表示画面31が広がっている。この表示部30は、図1に示すように開かれて使用され、また使用後は、表示画面31を内側にして、本体部20の、キーボード21等が配置された上面に重なるように折り畳まれる。
【0066】
図2は、図1に外観を示すノートパソコンのハードウェア構成図である。
【0067】
図2のハードウェア構成図には、CPU111、RAM112、ハードディスクコントローラ113、MOドライブ114、CD−R/RWドライブ115、USBインタフェース116、キーボードコントローラ117、ディスプレイコントローラ118、トラックパッドコントローラ119、カメラコントローラ120、および画像受信部121が示されており、それらはバス110で相互に接続されている。
【0068】
MOドライブ114およびCD−R/RWドライブ115は、それぞれ、図1を参照して説明したMO装填口231およびCD−R/RW装填口241から装填されたMO232、CD−R(又はCD−RW)242をアクセスするものである。
【0069】
また、この図2には、ハードディスクコントローラ113によりアクセスされるハードディスク122が示されており、さらに、この図2には、図1にも示す、マウス25、キーボード21、表示画面31およびトラックパッド22も示されている。ハードディスクコントローラ113、USBインターフェース116、キーボードコントローラ117、ディスプレイコントローラ118およびトラックパッドコントローラ119は、それぞれ、ハードディスク122、接続されているUSB規格に準拠した機器(ここではマウス25)、キーボード21、表示画面31およびトラックパッド22をコントロールするためのものである。
【0070】
さらに、カメラコントローラ120は、図1に示すカメラ40に接続されており、そのカメラ40に定期的(例えば1分間ごと)に撮影指示を与えるものである。
【0071】
さらに、画像受信部121も、図1に示すカメラ40に接続されており、そのカメラ40での撮影で得られてそのカメラ40から送信されてきた画像データを受信するものである。
【0072】
図3は、図1、図2に示すノートパソコン内で実行される被写体監視プログラムのフローチャートである。
【0073】
この被写体監視プログラムは、カメラのブレ補正のステップ(ステップa)と、照明の変化の補正のステップ(ステップb)と、被写体の変化の検出のステップ(ステップc)とから構成されている。
【0074】
ここでは、カメラ40であらかじめ撮影しておいた基準画像と、そのカメラ40での今回の撮影により得られた比較画像との比較を行ない、基準画像の撮影時点を基準としての比較画像の撮影時点で被写体の変化の有無が検出される。
【0075】
図4は、図3に示す被写体監視プログラムのうちの、カメラのブレ補正のステップ(ステップa)の詳細フローチャートである。
【0076】
このカメラのブレ補正ステップは、カメラ40(図1参照)の撮影画面が、基準画像を得たときと比較画像を得るときとでずれている可能性があるときに必要となるステップである。
【0077】
ここでは、線成分抽出(ステップa1)、細線化(ステップa2)、ハフ変換による直線検出(ステップa3)、および回転・平行移動(ステップa4)の各処理が行なわれる。以下、これらの各処理について順次説明する。
(線成分抽出処理(ステップa1))
ここでは、基準画像および比較画像の線成分を、プリヴィット(Prewitt)フィルタにより水平成分、垂直成分別々に検出する。
【0078】
プリヴィットフィルタは、境界線の形状のテンプレートと対象画像との相関値を求める特徴抽出フィルタである。その構成は次のΔX、ΔYという2つのフィルタからなる。
【0079】
【数10】

【0080】
このフィルタにおいてΔXにより垂直エッジ成分のみ、ΔYにより水平のエッジ成分のみが抽出される。式(10)は3×3のプリヴィットフィルタであるが、特に長い水平エッジまたは垂直エッジを正確に抽出する方法としては、3×5などの短形フィルタが使われている。
【0081】
基準画像および比較画像のそれぞれに対しこのプリヴィットフィルタを作用させることにより各画像内の線成分が抽出された2値画像が得られる。
【0082】
図5は、プリヴィットフィルタを施す前の原画像(基準画像又は比較画像)を示す図、図6は、図5に示す原画像にカメラプリヴィットフィルタを施した結果得られた2値画像を示す図である。
【0083】
尚、ここではプリヴィットフィルタを採用したが、このプリヴィットフィルタに代わり、ラプラシアンフィルタ等、他の線成分抽出フィルタを採用してもよい。
(細線化処理(ステップa2))
ラプラシアンフィルタやプリヴィットフィルタで得られた2値画像は普通数ピクセルの太さをもっている。理想的には物体の輪郭線は1ピクセルであることが望ましい。線画像から線幅1ピクセルの画像を求める処理を細線化(thinning)という。
【0084】
細線化を行う2値画像の画素記号を、図7に示すように、中心画素をp、その近傍画素をpで表すことにする。中心画素が消去可能かどうかは、近傍画素との連結性を考えると、画像の左下から右上へ探査する場合では、近傍画素が図8の3パターンのどれかに当てはまるかどうかで判断できる。つまり、左下から右上へ探査する場合、黒画素を1、白画素を0とした場合に、
【0085】
【数11】

【0086】
の内どれかを満たすときその画素は消去可能となる。左下から右上への探査が終わったら消去可能と判断した画素を消去し、探査開始点を右上、探査方向を左下として、近傍画素のパターンを図8と反転させたものに変え、再度探査をし、画素を消去する。探査開始点が左上、右下の場合も同様な手順で画素を消去する、という手順を消去可能と判断できる画素がなくなるまで繰り返すことにより、線画像の線幅は1ピクセルとなり、得られる線画像は太さをもっていたときの中心線となる。
【0087】
図9に、図6を細線化した結果を示す。
【0088】
(ハフ変換による直線検出処理(ステップa3))
画像のフィルタリングによって得られた線画像から線成分の有無や位置を求めることは輪郭をとらえる上で重要なことであり、この直線を抽出する代表的な方式がハフ(Hough)変換である。
【0089】
ハフ変換は、直線のみならず、円、楕円などのパラメトリックな図形のためのパターン抽出法として有力な手法である。
【0090】
直線検出のためのハフ変換は、(傾きm)―(切片c)座標系を用いるのが基本手法であるが、検出精度を上げるためm−c座標系に代わるθ―ρ正規表現の座標系がある。また、各種の曲線パターンや任意形状の図形の検出への拡張が試みられている。
【0091】
m−cパラメータ平面上によるハフ変換は下記式(12)で与えられる。“点―線変換”を行う操作である。対象画像が2値画像の場合は、2値画像内の黒画素(n個)だけに対して、式(12)で示す変換を施す。
:c=−X・m+Y(i=1,2,・・・,n) ……(12)
すなわち、図10(a)に示す図形上の黒画素の各点p(X,Y)に対して、式(12)で表される、m−cパラメータ平面上の軌跡を描くと、図10(b)に示すように、それぞれ1つの直線sになる。
【0092】
図11に、図9より直線を検出した結果を示す。
【0093】
そこで、X−Y平面の各黒画素に対して、m―cパラメータ平面上の軌跡を描きながら、パラメータ平面上の各点の累積度数を求める。すなわち、X―Y平面上の各黒画素に対応する直線に相当するパラメータ平面上の各点の累積度数に1を加えていくと、図10(b)に示すa点やb点のようにX―Y平面上で直線に対応する点の累積度数が大きい値を持つようになる。すなわち、累積度数の比較的大きな値を与える(m,c)の値によって、2値画像に存在する直線の傾きと切片の値を知ることができる
(回転・平行移動処理(ステップa4))
画像を回転・平行移動する方法は、画像中の各画素の位置ベクトルの回転・平行移動によってなされる。図12のように、画像を点(x,y) を中心にθ回転し、x方向へΔx,y方向へΔy平行移動したとき、画像中の位置(x,y) の画素は式(13)により位置(x,y)へ移動する。
【0094】
【数12】

【0095】
しかし、画素の位置は離散的であるので、丸め誤差により移動後の画像は穴が開いたものとなる。すなわち、移動後に位置(x,y)に入るべき原画像中の位置(x,y)を求め、原画像のデータ補間により濃度値を得ればよい。式(13)を(x,y)について解くと、
【0096】
【数13】

【0097】
となる。式(14)を用いて図5を左下を中心に10°回転し、右に10ピクセル、下に20ピクセル平行移動した画像を図13に示す。
【0098】
以上の処理により、抽出した直線が最も良く一致するように、基準画像に対し比較画像を平行・回転移動させることにより、2つの画像を高精度に位置合わせすることができる。
【0099】
図14は、図3に示す被写体監視プログラムのうちの、照明の変化の補正ステップ(ステップb)の詳細フローチャートである。
【0100】
ここでは、小領域内の平均・分散取得処理(ステップb1)および濃度値の線形変換処理(ステップb2)が、画像全体にわたって行なわれる(ステップb3)。
(小領域内の平均・分散取得処理(ステップb1))
ここでは、まず、基準画像、比較画像の同じ位置からn×nの小領域が取り出され、その小領域内での濃度値の平均・分散が求められる。
【0101】
図15は、画像(基準画像および比較画像)の一部からなる小領域Rを示す図である。この少領域Rは、本発明にいう第2の少領域の一例に相当する。ここでは、この小領域Rは、一例として、画素Pを中心とした7×7画素から構成されている。ここでは、基準画像と比較画像のそれぞれについて、その小領域R内の平均と分散が求められる。
【0102】
ここでは、基準画像について求めた平均、分散を、それぞれE,Sとし、比較画像について求めた平均、分散を、それぞれE1,とする。また、比較画像における、その小領域Rの中心画素Pの座標を(x,y)とし、その画素Pの濃度値をf(x,y)とする。
(濃度値の線形変換処理(ステップb2))
上記のようにして、基準画像を比較画像のそれぞれについて平均、分散を求めた後、ここでは、式(1)に従って、比較画像上の小領域Rの中央の画素Pの濃度値f(x,y)が補正後の濃度値g(x,y)に線形変換される。
【0103】
【数14】

【0104】
ここでは、画像上の各画素Pを中心とした小領域Rを順次移動しながら、以上の2つのステップb1,b2の処理が繰り返され、各画素の濃度値が線形変換された比較画像が求められる。
【0105】
次に、照明の変化によってエッジ前後の濃度値の大小関係が反転している場合の濃度値の補正処理について照明する。この場合、上記の濃度値の平均・分散だけで補正するとエッジ前後の濃度値の大小関係は補正されず、よい結果は得られない。これを補正するために比較画像側の小領域R内にエッジが含まれていると判断できるときに、図16のように各画素の濃度値が小領域R内の平均より大きいか小さいかの情報を1、−1で取得しておき、式(2)で示すように比較画像側での位置x,yの濃度f(x,y)を濃度g(x,y)に補正すれば基準値に合うようになる(図17)。
【0106】
すなわち、ここでは、基準画像上の小領域内の各画素(座標(x,y):x,yは変数)の濃度値をf(x,y)としたとき、
【0107】
【数15】

【0108】
とし、
【0109】
【数16】

【0110】
により、補正後の濃度値g(x,y)が求められる。
【0111】
図18は、濃度値の線形補正の変形例の説明図である。
【0112】
ここでは、小領域R内の平均、分散に基づいて、その小領域Rの中央部分のもう1つの小領域D内の各画素P〜Pの濃度値が補正される。このときは、領域D内の画素の座標(x,y)を変数と考えることにより、上記の式(1)あるいは式(2)をそのまま適用することができる。
【0113】
小領域Rの平均・分散に基づいて中央の1つの画素Pの濃度値のみを補正すると、高精度の補正が可能となり、小領域Rの平均・分散に基づいて、中央の複数の画素からなる小領域D内の各画素の濃度値を補正すると、高速演算が可能となる。
【0114】
図19は、図3に示す被写体監視プログラムのうちの、変化の検出ステップ(ステップc)の詳細フローチャートである。
【0115】
ここでは、先ず、基準画像と、上記のようにして濃度値が補正された比較画像との差分画像を得ることにより、それらの画像の変化が抽出された画像を得る(ステップc1)。
【0116】
次に、この差分画像の各画素に対して周辺nピクセルのRGB空間内での平均距離を算出し差分画像全体の平均距離分布を作成する(ステップC2)。
得られた平均距離分布の平均値E、標準偏差σから式(15)によって閾値Tを決定する。
【0117】
T=E+3σ ……(15)
この閾値Tよりも平均距離が大きい部分が変化した部分として検出される(ステップC3)。尚、ここでは閾値Tとして上記式(15)を採用しているが、σの幅(式(15)では3σの3)は適切に調整される。
【0118】
図20に、基準画像と比較画像との間での変化が大きい部分(差分画像上で強調されている部分)の特徴を示す。平均距離が大きいほど変化が大きい(強調されている)ことを表わしている。
【0119】
また図21に平均距離の画像全体の分布を示す。平均距離が閾値よりも大きい部分が検出されたことをもって、比較画像が基準画像から変化した(すなわち被写体に変化が生じた)ことが検出される。
【0120】
被写体に変化が生じたことは、図1に示すノートパソコン10の表示画面31に表示される。また、ブザーやランプ等で注意喚起するようにしてもよい。
【0121】
尚、上記の実施形態は、図3に示すステップa〜cのうちのステップa,bで、R,G,Bの各画像データそれぞれについて処理が行なわれ、ステップcでは、差分画像を求める点についてはR,G,Bの各画像データそれぞれについて行なわれるが、その後はR,G,Bの各データを総合して上記の平均距離が求められ、その平均距離に基づいて被写体の変化の有無が判定されたが、例えば、被写体の変化がGの色について強くあらわれることが分かっている場合には図3のステップa〜cはいずれもGの画像データについてのみ処理を行なえばよい。この場合には、差分画像上のGの濃度値のみについて被写体の変化の有無が判定される。
【0122】
また、ここでは差分画像を求めてその差分画像に基づいて被写体の変化の有無が判定されたが、ここでは、基準画像と補正後の比較画像との「相違」を表わす演算が行なわれればよく、狭義の「差分」に限定されるものではない。
【0123】
さらに、図3のステップaは、カメラがしっかりと固定されており、被写体との位置関係が不動のときは省略してもよい。
【0124】
尚、ここでは、図1に示す、ノートパソコンとそのノートパソコンに接続されたカメラとからなる形態の装置を採用したが、本発明はこの形態の装置に限られるものではなく、デスクトップ型のパーソナルコンピュータを採用した形態や、カメラと一体的に構成された装置等を採用してもよい。
【0125】
また、図2に示す装置の内部構成も、この図2の構成に限られるものではなく、例えばMOを使用しないなど、他の構成のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】ノートパソコンと、そのノートパソコンに接続されたカメラの外観図である。
【図2】図1に外観を示すノートパソコンのハードウェア構成図である。
【図3】図1、図2に示すノートパソコン内で実行される被写体監視プログラムのフローチャートである。
【図4】図3に示す被写体監視プログラムのうちの、カメラのブレ補正のステップ(ステップa)の詳細フローチャートである。
【図5】プリヴィットフィルタを施す前の原画像(基準画像又は比較画像)を示す図である。
【図6】図5に示す原画像にカメラプリヴィットフィルタを施した結果得られた2値画像を示す図である。
【図7】2値画像の画素記号を示す図である。
【図8】細線化処理の説明図である。
【図9】図6を細線化した結果を示す図である。
【図10】ハフ変換処理の説明図である。
【図11】図9より直線を検出した結果を示す図である。
【図12】回転・平行移動処理の説明図である。
【図13】図5を回転・平行移動した結果を示す図である。
【図14】図3に示す被写体監視プログラムのうちの、照明の変化の補正ステップ(ステップb)の詳細フローチャートである。
【図15】画像(基準画像および比較画像)の一部の小領域Rを示す図である。
【図16】小領域R内の各画素に、1又は−1の値を割り当てた領域を示す図である。
【図17】エッジを含む小領域の濃度値の補正処理の説明図である。
【図18】濃度値の線形補正の変形例の説明図である。
【図19】図3に示す被写体監視プログラムのうちの、照明・変化の検出ステップ(ステップc)の詳細フローチャートである。
【図20】基準画像と比較画像との間での変化が大きい部分(差分画像上で強調されている部分)の特徴を示す図である。
【図21】平均距離の画像全体の分布を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10 ノートパソコン
20 本体部
21 キーボード
22 トラックパッド
25 マウス
30 表示部
31 表示画面
40 カメラ
110 バス
111 CPU
112 RAM
113 ハードディスクコントローラ
114 MOドライブ
115 CD−R/RWドライブ
116 USBインタフェース
117 キーボードコントローラ
118 ディスプレイコントローラ
119 トラックパッドコントローラ
120 カメラコントローラ
121 ビデオ受信部
122 ハードディスク
231 MO装填口
232 MO
241 CD−R/RW装填口
242 CD−R(又はCD−RW)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して得た基準画像と、該被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を監視する被写体監視方法において、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素の像情報値(以下画素値と言う。)の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の前記第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正ステップと、
基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定する変化判定ステップとを有することを特徴とする被写体監視方法。
【請求項2】
基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算ステップを備え、
前記変化判定ステップは、前記差分演算ステップにより求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項3】
前記画素値補正ステップは、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを前記第1の小領域として前記演算を実行するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項4】
前記画素値補正ステップは、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【数1】

に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項5】
前記画素値補正ステップは、前記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、前記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【数2】

とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【数3】

に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項6】
前記画素値補正ステップは、前記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、該第2の小領域にエッジが含まれていると判定することを特徴とする請求項5記載の被写体監視方法。
【請求項7】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正ステップは、少なくとも1つの色について前記演算を行なうステップであり、前記変化判定ステップは、少なくとも1つの色について、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項8】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正ステップは、前記複数色それぞれについて前記演算を行なうステップであり、前記変化判定ステップは、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画素との間の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、該距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するステップであることを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項9】
前記画素値補正ステップの実行に先立って実行される、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正ステップを有することを特徴とする請求項1記載の被写体監視方法。
【請求項10】
被写体を撮影して得た基準画像と、該被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を監視する被写体監視装置において、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の前記第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正部と、
基準画素と、前記画素値補正部により補正された後の比較画素とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定する変化判定部とを有することを特徴とする被写体監視装置。
【請求項11】
基準画像と、前記画素値補正部を経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算部を備え、
前記変化判定部は、前期差分演算部により求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項12】
前記画素値補正部は、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを前記第1の小領域として前記演算を実行するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項13】
前記画素値補正部は、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【数4】

に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項14】
前記画素値補正部は、前記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、前記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【数5】

とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【数6】

に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項15】
前記画素値補正部は、前記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、該第2の小領域にエッジが含まれていると判定するものであることを特徴とする請求項14記載の被写体監視装置。
【請求項16】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正部は、少なくとも1つの色について前記演算を行なうものであり、前記変化判定部は、少なくとも1つの色について、基準画素と、前記画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項17】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正部は、前記複数色それぞれについて前記演算を行なうものであり、前記変化判定部は、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画素との間の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、該距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項18】
前記画素値補正部の前段に、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正部を有することを特徴とする請求項10記載の被写体監視装置。
【請求項19】
プログラムが実行される情報処理装置内で実行され、該情報処理装置を、被写体を撮影して得た基準画像と該被写体を撮影して得た比較画像とを比較することにより該被写体の変化の有無を監視する被写体監視装置として動作させる被写体監視プログラムであって、
前記情報処理装置を、
複数の画素に分解された比較画像上の、1画素のみからなることを含む第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、同じく複数の画素に分解された基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散に一致させることにより、比較画像上の前記第1の小領域内の各画素の画素値を補正する演算を、比較画像をそれぞれが1画素のみからなることを含む複数の小領域に分割したときの該小領域それぞれを前記第1の小領域として実行する画素値補正部と、
基準画像と、前記画素補正部により補正された後の比較画素とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定する変化判定部とを有する被写体監視装置として動作させることを特徴とする被写体監視プログラム。
【請求項20】
前記情報処理装置を、
基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との、互いに対応する画素どうしの画素値の差分からなる差分画像を求める差分演算部をさらに有するとともに、
前記変化判定部が、前記差分演算部により求められた差分画像に基づいて被写体の変化の有無を判定するものである被写体監視装置として動作させることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項21】
前記画素値補正部は、比較画像を構成する各1画素をそれぞれを前記第1の小領域として前記演算を実行するものであることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項22】
前記画素値補正部は、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとしたとき、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f(x,y)を式
【数7】

に従って補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項23】
前記画素値補正部は、前記第2の小領域内にエッジが含まれているか否かを判定し、前記第2の小領域内にエッジが含まれている場合には、比較画像上の位置(x,y)にある1画素、あるいは該x,yを変数としたときの位置(x,y)にある複数画素の集合を前記第1の小領域としたときの該第1の小領域を包含する第2の小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、基準画像上の、前記第2の小領域に対応する小領域内の画素値の平均および分散を、それぞれEおよびSとし、
【数8】

とした時、比較画像上の位置(x,y)にある画素の画素値f1(x,y)を式
【数9】

に従って、補正後の画素値g(x,y)に補正するものであることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項24】
前記画素値補正部は、前記第2の小領域内の画素値の分散が所定の閾値を超える場合に、該第2の小領域にエッジが含まれていると判定することを特徴とする請求項23記載の被写体監視プログラム。
【請求項25】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正部は、少なくとも1つの色について前記演算を行なうものであり、前記変化判定部は少なくとも1つの色について、基準画像と、前記画素値補正部により補正された後の比較画像とを比較することにより、該被写体の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項26】
前記基準画像および前記比較画像が、各画素に複数色の画素値が対応づけられたカラー画像であって、前記画素値補正部は、前記複数色それぞれについて前記演算を行なうものであり、前記変化判定部は、基準画像と、前記画素値補正ステップを経ることにより得られた補正後の比較画像との間の、前記複数色についての複数の差分画像の、互いに対応する画素どうしあるいは領域どうしの色空間上の距離を求めて、該距離に基づいて被写体の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。
【請求項27】
前記情報処理装置を前記画素値補正部の前段に、基準画像と比較画像の位置ずれ、及び/又は、回転ずれを校正するずれ校正部をさらに有する被写体監視装置として動作させることを特徴とする請求項19記載の被写体監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−148576(P2007−148576A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339271(P2005−339271)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(505436139)
【出願人】(000156961)関西熱化学株式会社 (117)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】