説明

被分析物センサーにおいて使用するためのポリビオロゲンボロン酸消光体

【課題】被分析物センサーにおいて使用するためのポリビオロゲンボロン酸消光体を提供する。
【解決手段】本発明は、生体内におけるグルコースレベルのリアルタイムな測定を達成するために蛍光色素体と組み合わせて使用できグルコース応答性であるポリビオロゲンボロン酸消光体の種類に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2007年7月11日付け出願の米国仮出願第60/949,145号の優先権の利益を主張し、米国を指定する国際出願であり、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、ポリヒドロキシル−置換有機分子の検出、特に、蛍光色素の消光体としてボロン酸で機能化されたポリビオロゲンに関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光色素および被分析物に結合すると蛍光を変調する被分析物結合部分構造は既知であり、被分析物を検出するための指示体システムにおいて使用されてきた。例えば、米国特許第6,653,141(特許文献1)、6,627,177(特許文献2)、5,512,246(特許文献3)、5,137,833(特許文献4)、6,800,451(特許文献5)、6,794,195(特許文献6)、6,804,544(特許文献7)、6,002,954(特許文献8)、6,319,540(特許文献9)、6,766,183(特許文献10)、5,503,770(特許文献11)および5,763,238号明細書(特許文献12)、および同時係属中の米国特許出願公開第10/456,895(特許文献13)、11/296,898(特許文献14)、11/671,880(特許文献15)、60/833,081(特許文献16)、60/888,477(特許文献17)および60/888,475号公報(特許文献18)を参照;それぞれが、それを参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,653,141号明細書
【特許文献2】米国特許第6,627,177号明細書
【特許文献3】米国特許第5,512,246号明細書
【特許文献4】米国特許第5,137,833号明細書
【特許文献5】米国特許第6,800,451号明細書
【特許文献6】米国特許第6,794,195号明細書
【特許文献7】米国特許第6,804,544号明細書
【特許文献8】米国特許第6,002,954号明細書
【特許文献9】米国特許第6,319,540号明細書
【特許文献10】米国特許第6,766,183号明細書
【特許文献11】米国特許第5,503,770号明細書
【特許文献12】米国特許第5,763,238号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第10/456,895号公報
【特許文献14】米国特許出願公開第11/296,898号公報
【特許文献15】米国特許出願公開第11/671,880号公報
【特許文献16】米国特許出願公開第60/833,081号公報
【特許文献17】米国特許出願公開第60/888,477号公報
【特許文献18】米国特許出願公開第60/888,475号公報
【特許文献19】米国特許第5,512,246号明細書
【特許文献20】米国特許第5,503,770号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Gamsey,S.ら 2006年 Langmuir 22巻:9067〜9074頁
【非特許文献2】Thoniyot,P.ら 2006年 Diabetes Technol Ther 8巻:279〜287頁
【非特許文献3】Cordes,D.B.ら 2005年 Langmuir 21巻:6540〜6547頁
【非特許文献4】Cordes,D.B.ら 2005年 Org Biomol Chem 3巻:1708〜1713頁
【非特許文献5】Cappuccio,E.E.ら 2004年 J Fluoresc 14巻:521〜533頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より特には、体液中におけるポリヒドロキシル化合物(例えば、グルコース)の濃度を測定するために蛍光技術を研究者らは使用してきた。例えば、グルコースに結合しグルコース濃度に依存する信号を生成するボロン酸で機能化された色素の使用をRussellは開示した(米国特許第5,512,246号明細書(特許文献19))。Jamesらは同じ原理を使用したが、単一の複合部分構造において、蛍光色素、アミンの消光性機能およびボロン酸を組み合わせ、それからの蛍光発光は結合しているグルコースの結合の程度により変化する(米国特許第5,503,770号明細書(特許文献20))。蛍光色素およびボロン酸が付加された単一のビオロゲン部分構造を含む消光体を含むグルコースセンサーが合成され検討されてきた(例えば、Gamsey,S.ら 2006年 Langmuir 22巻:9067〜9074頁(非特許文献1);Thoniyot,P.ら 2006年 Diabetes Technol Ther 8巻:279〜287頁(非特許文献2);Cordes,D.B.ら 2005年 Langmuir 21巻:6540〜6547頁(非特許文献3);Cordes,D.B.ら 2005年 Org Biomol Chem 3巻:1708〜1713頁(非特許文献4);およびCappuccio,E.E.ら 2004年 J Fluoresc 14巻:521〜533頁(非特許文献5))。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態に従い、2個以上のビオロゲン部分構造を含むポリビオロゲン化合物であって、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を含み、ポリビオロゲン化合物はカップリング基を含むポリビオロゲン化合物が開示される。
【0008】
好ましい実施形態は、2個以上のビオロゲン部分構造を含む3,3’ジピリジル中間体より誘導されるポリビオロゲン化合物を含み、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を含み、3,3’ジピリジル中間体の少なくとも1個の環はカップリング基で置換されている。実施形態によっては、カップリング基はカルボキシル基である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態に従い、下に示される一般構造を有するビス−ビオロゲン消光体Bが開示される。
【0010】
【化1】

式中、
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0011】
【化2】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
Yは、
【0012】
【化3】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【0013】
【化4】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
およびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態に従い、下に示される変異体B−1、B−2、B−3およびB−4を有する消光体「B」が開示される。
【0015】
【化5】

本発明のもう一つの実施形態に従い、B−1、B−2、B−3およびB−4を合成する下の工程を含む方法が開示される。
【0016】
【化6】

式中、化合物2は3,3’ジピリジル中間体である。
【0017】
もう一つの実施形態において、B−4を合成する代替法は下の工程を含む。
【0018】
【化7】

本発明に従い、下に示す一般構造を有する拡張共役ビスビオロゲンB−Cが開示される。
【0019】
【化8】

式中、
は対イオンであり;
Lは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択される2価の結合であり、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよく;
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0020】
【化9】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
中心のベンゼン環からの結合は、隣接するピリジニウム環上のオルト、メタまたはパラ位に対してであり;および
−B(OH)は、オルト、メタまたはパラ位でよい。
【0021】
本発明のもう一つの好ましい実施形態に従い、下の構造を有する消光体「B−C」が開示される。
【0022】
【化10】

本発明のもう一つの実施形態に従い、ポリビオロゲン消光体B−Cを合成する下の工程を含む方法が開示される。
【0023】
【化11】

本発明の好ましい実施形態に従い、下に示される一般構造を有するポリビオロゲン消光体Qが開示される。
【0024】
【化12】

式中、
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0025】
【化13】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
Yは、
【0026】
【化14】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【0027】
【化15】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
、X、XおよびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態に従い、下の構造を有するもう一つのポリビオロゲン消光体「Q−4」が開示される。
【0029】
【化16】

本発明のもう一つの実施形態に従いQ−4を合成する方法が開示され、その方法は下の工程を含む。
【0030】
【化17】

本発明のある好ましい実施形態に従い、被分析物センサーが開示される。センサーは、一般消光体B、B−1、B−2、B−3、B−4、B−C、一般消光体QおよびQ−4から成る群より選択される任意の1種類以上の化合物と;ビオロゲンによる消光に対して感受性を有する蛍光色素体とを含む。
【0031】
被分析物センサーのある変形において、任意の1種類以上の化合物はペンダント基またはポリマー中の鎖単位でよい。
【0032】
実施形態によっては、被分析物センサーはグルコースセンサーである。ある変形において、グルコースセンサーはグルコース透過性の固定化部材、例えば、ポリマーマトリクスまたは半透膜を更に含んでよい。
【0033】
本発明のもう一つの好ましい実施形態に従い、組成物が開示される。例えば、上記の新規な消光体である。組成物は、ポリビオロゲンによる消光に対して感受性を有する蛍光色素体と、2個以上のビオロゲン部分構造を含む消光体と、ただし、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を消光体として含み、グルコース透過性ポリマーマトリクスとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ヒドロゲルで光ファイバーのチップに固定化され、消光体B−1、B−2、B−3およびB−4の1つおよび色素HPTS−トリCys−MAを含むセンサーのグルコース応答を図解する。検出化学物質は470nmで励起され、増加する濃度のグルコース存在下において、520〜700nmの間で蛍光を測定した。
【図2】ヒドロゲルで光ファイバーのチップに固定化され、消光体B−4、B−CおよびQ−4の1つおよび色素HPTS−トリCys−MAを含む上記センサーのグルコース応答を図解する。検出化学物質は470nmで励起され、増加する濃度のグルコース存在下において、520〜700nmの間で蛍光を測定した。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<定義>
本明細書で使用する場合、「ボロン酸」は構造−B(OH)を指す。本発明の消光体を合成する各種の段階において、ボロン酸はボロン酸エステルとして存在してもよいことが当業者によって認識される。ボロン酸は、そのようなエステルを含むことが意図されている。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ビスビオロゲン」は2個のビオロゲンが共にカップルされている化合物を指す。
【0037】
「蛍光色素体」は、特定の波長で光によって照らされると、より長い波長で光を発する、即ち、蛍光を発する物質を指す。蛍光色素体としては、有機色素、有機金属化合物、金属キレート、蛍光共役ポリマー、量子ドットまたはナノ粒子および上のものの組み合わせが挙げられる。蛍光色素体は、ポリマーに接続され離散した部分構造または置換基でもよい。「蛍光色素」または「色素」は、第2の離散した化合物または重合性化合物に転化可能な離散した化合物または反応性中間体より選択される。
【0038】
「消光体」は、それが存在すると蛍光色素体の発光が減衰する化合物を指す。
【0039】
「ビオロゲン」は、一般に、2,2’−、3,3’−または4,4’−N,N’ビス−(ベンジル)ビピリジウムジハロゲン化物(即ち、ジ塩化物、臭化塩化物)などの窒素含有共役N−置換ヘテロ環芳香族ビス−オニウム塩の基本構造を有する化合物を指す。また、ビオロゲンは置換フェナントロリン化合物も含む。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「ポリビオロゲン」は、一般に、共にカップルされた2個以上のビオロゲン単位を含む化合物を指し、ビス−ビオロゲンが挙げられ、ただし、ビオロゲン環は、還元電位で測定されるカップルされた化合物の電子親和力が単一のビオロゲンのそれよりも増加するように十分近くにある。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「ポリビオロゲンボロン酸」は、少なくとも2個のボロン酸基で置換されたポリビオロゲンを指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「L」とも言われる「結合基」は、検知部分構造をポリマーまたはマトリクスに共有的に連結する2価の部分構造を指す。Lの例としては、直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンよりそれぞれ独立に選択されるものが挙げられ、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)などより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。
【0043】
本明細書で使用する場合、「カップリング基」は、2個のビオロゲンの間に共有結合を形成できる反応性基を指す。
【0044】
<ポリビオロゲンボロン酸消光体>
ある態様において、生理学的なpHまたはその近傍の水性媒体においてグルコースなどのポリヒドロキシル化合物の存在に応答性を有する種類の蛍光消光化合物を本発明は含む。換言すれば、消光効率は媒体中のこれらの化合物の濃度によって制御される。消光体は2個以上のビオロゲン部分構造を含んで成り、ただし、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸基で置換されている。実施形態によっては、付加体はポリマー中に固定化されているか、または共有結合されている。また、ポリビオロゲン消光体、蛍光色素体およびポリマーは互いに共有結合されていてもよい。
【0045】
本明細書で記載されるポリビオロゲンボロン酸消光体の具体例は、一般式B、B−1、B−2、B−3、B−4、B−C、一般式QおよびQ−4と表され、以下に図解される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態に従い、下に示される一般構造を有するビス−ビオロゲン消光体Bが開示される。
【0047】
【化18】

式中、
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0048】
【化19】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
Yは、
【0049】
【化20】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【0050】
【化21】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
およびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。
【0051】
化合物Bの幾つかの実施形態は以下の通りである。
【0052】
【化22】

本発明に従い、下に示す一般構造を有する拡張共役ビスビオロゲンB−Cが開示される。
【0053】
【化23】

式中、
は対イオンであり;
Lは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択される2価の結合であり、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよく;
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0054】
【化24】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
中心のベンゼン環からの結合は、隣接するピリジニウム環上のオルト、メタまたはパラ位に対してであり;および
−B(OH)は、オルト、メタまたはパラ位でよい。
【0055】
B−Cのある実施形態は以下の通りである。
【0056】
【化25】

本発明の好ましい実施形態に従い、下に示される一般構造を有するポリビオロゲン消光体Qが開示される。
【0057】
【化26】

式中、
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−またはスチリル−より選択されるが限定されない、反応性でエチレン的に不飽和の基であるか、または、Zは、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基でもよい。そのような基としては、限定することなく、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHが挙げられる。ある実施形態においては、Zは、
【0058】
【化27】

(式中、RはHまたはCHである。)
であり;
Yは、
【0059】
【化28】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【0060】
【化29】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
、X、XおよびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合または1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンより選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せより選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。
【0061】
Q−4と言われる一つの実施形態は以下の通りである。
【0062】
【化30】

<被分析物センサー>
本発明の好ましい実施形態に従って使用される化学的指示体システムは被分析物結合部分構造に動作可能にカップルされた蛍光色素体を含み、被分析物が結合することで蛍光色素体濃度における明瞭な光学的変化(例えば、発光強度)が生じる。本明細書で開示されるポリビオロゲンにより消光される任意の蛍光色素体を使用できる。好ましい蛍光色素体は少なくとも1つの負電荷を帯びている。例えば、ある実施形態において、蛍光色素体は異なる酸および塩基の形態を有してよく、レシオメトリックなpHの検知が可能となるようにスペクトル特性において検出可能な差異を示す;例えば、同時係属の米国特許出願公開第11/671,880号公報を参照。もう一つの実施形態において、HPTS−トリCysMAなどの蛍光色素に動作可能にカップルされている、例えば、本明細書で開示されるポリビオロゲンボロン酸消光体(B−1、B−2、B−3、B−4、B−CおよびQ−4)より選択されるグルコース結合部分構造は蛍光色素の発光強度を消光するはずで、グルコースが結合すると消光の程度が減少し、グルコース濃度に関連して発光強度が増加する。好ましい実施形態において、指示体システムは、少なくとも2個のアニオン性基を有する色素および少なくとも4個のボロン酸を有する消光体を含む。また、更に好ましい実施形態において、指示体システムは、検知部分構造が互いに相互作用(消光)するために物理的に十分近くにとどまるように検知部分構造(例えば、色素−消光体)を固定化するための部材も含む。生体内検知が望まれる場合、そのような固定化部材は、好ましくは、水性環境(例えば、生体内、血管内)において不溶性であり、標的の被分析物を透過でき、検知部分構造を透過できない。典型的には、固定化部材は非水溶性の有機ポリマーマトリクスを含む。例えば、色素および消光体をDMAA(N,N−ジメチルアクリルアミド)ヒドロゲルマトリクス中に効率よく固定化でき、生体内でグルコースを検知できる。
【0063】
幾つかの例示的な蛍光色素体および固定化部材を下により詳細に述べる。実施形態によっては、有用な色素として、ピラニン誘導体(例えば、ヒドロキシピレントリスルホンアミド誘導体など)が挙げられ、以下の式を有する。
【0064】
【化31】

式中、R、R、Rは、それぞれ、−NHRであり、Rは−CHCH(−OCHCH−)であり;式中、Xは、−OH、−OCHCOOH、−CONH、−SOH、−NHまたはOMeであり;nは約70および10,000の間である。ある実施形態において、スルホンアミド官能基を介して色素はポリマーに結合されていてもよい。
【0065】
ある好ましい実施形態において、蛍光色素はHPTS−トリCys−MAでよい。
【0066】
【化32】

当然、実施形態によっては、HPTS核上のCys−MA以外の置換も、その置換が負に帯電しており重合性基を有している限り、本発明の態様と合致する。システインのLまたはD立体異性体のいずれかを使用できる。実施形態によっては、1個のみまたは2個のスルホン酸が置換されていてもよい。同様に、上で示されるHPTS−CysMAに対する変異体において、NBuに加え他の対イオンも使用でき、正に帯電した金属イオンが挙げられ、例えば、Naである。他の変異体において、スルホン酸基は、例えば、リン酸、カルボン酸などの官能基で置き換えられていてもよい。
【0067】
実施形態によっては、移動流に関与せず生体外において使用するために、検知構成要素を個別の(別々の)部品として使用する。色素および消光体を液体溶液中で共に混合し、被分析物を加え、蛍光強度の変化を測定し、部品を破棄する。検知構成要素を捕捉し浸出を防ぐために使用できる重合体マトリクスは存在する必要はない。場合によっては、検知構成要素を固定化し、移動流中で被分析物を測定するために検知構成要素を使用できる。
【0068】
生体内での用途のために、1種類以上のポリヒドロキシル有機化合物を含有する生理学的流体の移動流中でセンサーを使用するか、または、前記化合物を含有する筋肉などの組織中に埋め込む。従って、センサー組立品より検知部分構造が抜けないことが好ましい。よって、生体内で使用するためには、検知構成要素が、好ましくは、有機ポリマー検知組立品の一部である。被分析物を通過させるが検知部分構造の通過は阻害する半透膜により、可溶性色素および消光体を閉じ込めることができる。これは、被分析物分子より実質的に大きい(被分析物の分子量の少なくとも2倍の分子量または1000より大きく、好ましくは5000より大きい)可溶性分子を検知部分構造として使用し;および、検知部分構造が定量的に保持されるように2つの間で特定の分子量分画を有する透析または限外濾過膜などの選択的半透膜を利用することで実現できる。
【0069】
好ましくは、検知部分構造を、グルコースを自由に透過する不溶性ポリマーマトリクス中に固定する。ポリマーマトリクスは、有機、無機またはそれらのポリマーの組み合わせを含んで成る。マトリクスは、生体適合性材料から成っていてもよい。あるいは、マトリクスは、興味ある被分析物を透過する第2の生体適合性ポリマーで被覆されている。
【0070】
ポリマーマトリクスの機能は、同時に被分析物との接触を可能とし被分析物をボロン酸に結合しながら、蛍光色素体および消光体部分構造を共に保持し固定化することである。この効果を達成するためには、マトリクスは媒体中で不溶でなければならず、マトリクスおよび被分析物溶液間の高度な表面領域界面を確立することにより、それと密に会合している。例えば、超薄膜または微細孔支持マトリクスを使用する。あるいは、マトリクスは被分析物溶液中において膨潤でき、例えば、ヒドロゲルマトリクスを水性系用に使用する。幾つかの例において、検知ポリマーは光伝達体の表面などの表面に結合されているか、または、微細孔膜中に含浸されている。全ての場合において、2相間で平衡を成立できるように結合部位への被分析物の輸送をマトリクスが妨げてはならない。超薄膜、微細孔ポリマー、微細孔ゾルゲルおよびヒドロゲルを調製する技術は当該技術で確立されている。全ての有用な材料は被分析物透過性として定義される。
【0071】
実施形態によっては、ヒドロゲルポリマーを使用する。本明細書で使用する場合、ヒドロゲルとの用語は水中で実質的に膨潤するが溶解しないポリマーを指す。そのようなヒドロゲルは、直線状、分岐状または網状ポリマーでよく、または、高分子電解質複合体が可溶性または浸出性の画分を含まないとの条件で高分子電解質複合体でもよい。典型的には、ヒドロゲルのネットワークを、水溶性ポリマーが水性媒体中で膨潤するが溶解しないように水溶性ポリマー上で行う架橋工程によって調製する。あるいは、ヒドロゲルポリマーを親水性および架橋性モノマーの混合物を共重合することで調製し、水膨潤性の網状ポリマーを得る。そのようなポリマーを、付加または縮合重合、または組み合わせの工程のいずれかで形成する。これらの場合、ネットワークを形成するモノマーと組み合わせてモノマー性の誘導体を使用する共重合により、検知部分構造をポリマー中に組み込む。あるいは、後の重合反応を利用して、反応性部分構造を既に調製されたマトリクスにカップルする。前記検知部分構造はポリマー鎖中の単位または鎖に結合しているペンダント基である。
【0072】
また、本発明において有用なヒドロゲルは、色素および消光体の両者が共有結合された単一のネットワークなどの単一体ポリマー、または複数の構成要素のヒドロゲルである。複数の構成要素のヒドロゲルとしては、相互貫入ネットワーク、高分子電解質複合体および水膨潤複合材料を得るための2種類以上のポリマーの各種の他の混合物が挙げられ、ヒドロゲルマトリクス中の第2のポリマーの分散体および交互ミクロ層集合体が挙げられる。
【0073】
単一体ヒドロゲルは、典型的には、親水性モノマーの混合物をフリーラジカル共重合することで形成し、限定することなく、HEMA、PEGMA、メタクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミドなど;メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、スルホプロピルメタクリル酸ナトリウムなどが挙げられるイオン性モノマー;エチレンジメタクリレート、PEGDMA、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる架橋体が挙げられる。当該技術においてよく確立されている原理を使用し、透過性、膨潤指数およびゲル強度が含まれるネットワーク特性を最適化するために、モノマーの比率を選択する。発光強度を最適化するために、色素の濃度を選択する。所望の測定可能な信号を生成し十分な消光を与えるために、色素に対する消光体の比を調節する。
【0074】
ある実施形態において、本発明のグルコースセンサーは、ポリビオロゲンによる消光に対して感受性を有する蛍光色素体と、2個以上のビオロゲン部分構造を含む消光体と、ただし、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を含み、グルコース透過性ポリマーマトリクスとを含む。
【実施例】
【0075】
<例1>
B−1、B−2、B−3およびB−4の合成(スキーム1)
【0076】
【化33】

化合物2の合成であるスキーム1(B−1、B−2、B−3およびB−4の合成)を参照し、サイドアームおよびコンデンサーを有しオーブンで乾燥された500mLの丸底フラスコに、5−ブロモニコチン酸エチル(38.0g、0.17mol)、3−ピリジンボロン酸(22.5g、0.18mol)および水を含まない1,4−ジオキサン(220mL)をアルゴン雰囲気下において加えた。KPO水溶液(2M、182mL)を加え、続いてPd(OAc)(1.86g、8.3mmol)およびPPh(8.7g、33.0mmol)を加えた。アルゴンの定常流を穏やかに溶液に通して泡立てながら、反応物を2時間還流した。室温まで冷却後、形成されたPOPhの結晶を二相性の反応混合物より濾過した。水層をEtOAc(200mLで3回)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄(200mLで1回)し、MgSO上で乾燥し、残りが約50mLとなるまで減圧下で蒸発させた。この1の粗混合物にメタノール(25mL)および水(20mL)を加えた。0℃まで冷却後、LiOH(8.0g、0.33mmol)を加え、反応物を室温で30分間撹拌した。減圧下において有機物を蒸発させた。残った塩基性の水層を水(50mL)で希釈し、EtOAcの洗液が無色を保つまでEtOAcで数回洗浄した。pHが約4となるまで、塩基性の水をKHSO(1M)で酸性化した。形成された白色沈殿(化合物2)を濾過により回収し、水およびアセトンで洗浄し、空気乾燥した。減圧下で更に乾燥し、20.3g(61%)の白色粉体を生じた。H NMR(CDOD、500MHz)δ7.61(ddd、J=8.0、5.0、0.77Hz、1H)、8.23(ddd、J=8.0、2.3、1.6Hz、1H)、8.64(dd、J=5.0、1.5Hz、1H)、8.65(t、J=2.0Hz、1H)、8.92(dd、J=2.3、0.66Hz、1H)、9.04(d、J=2.3Hz、1H)、9.17(d、J=2.0Hz、1H)。
【0077】
化合物3および7の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(75mL)中のN,N−ジ−boc−ジアミノプロピオン酸(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩(1g、2.1mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.47g、2.5mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.33g、2.5mmol)およびトリエチルアミン(0.35mL、2.5mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.44g、2.5mmol)およびトリエチルアミン(0.35mL、2.5mmol)を加えた。反応物を8時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(25mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物3を与えた。TLC:R=0.68(10%MeOH/DCM)。適切な画分を集め、約5mLに濃縮し(重合するのを避けるため乾固しないようにする)、次いで、1.25Mのメタノール性HCl(20mL)を加え、反応物を18時間撹拌し、真空中で濃縮し、白色の発泡体として7を与えた(0.5g、81%)。H NMR(DO、500MHz)δ1.79(p、J=6.8Hz、2H)、1.92(s、3H)、3.29(m、5H)、3.42(dd、J=14、6.6Hz、1H)、3.51(dd、J=14、5.5Hz、1H)、4.18(t、J=6.1Hz、1H)、5.44(s、1H)、5.68(s、1H)。
【0078】
化合物4および8の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(75mL)中のN,N−ジ−boc−ジアミノ酪酸(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩(1g、2.0mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.47g、2.47mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.33g、2.47mmol)およびトリエチルアミン(0.33mL、2.4mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.43g、2.4mmol)およびトリエチルアミン(0.33mL、2.4mmol)を加えた。反応物を18時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(25mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物4を与え(0.85g、96%)、次いで、1.25Mのメタノール性HCl(20mL)中に溶解し、18時間撹拌した。真空中で濃縮し、白色の発泡体として8を与えた(0.5g)。H NMR(D2O、500MHz)δ1.79(p、J=6.9Hz、2H)、1.92(s、3H)、2.26(m、2H)、3.11(m、2H)、3.29(m、4H)、4.07(t、J=6.7Hz、1H)、5.44(s、1H)、5.68(s、1H)。
【0079】
化合物5および9の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(70mL)中のN,N−ジ−boc−オルニチン(1g、3.0mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.7g、3.6mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.49g、3.6mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.64g、3.6mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を加えた。反応物を16時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(25mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物5を与えた。TLC:R=0.70(10%MeOH/DCM)。適切な画分を集め、約5mLに濃縮し(重合するのを避けるため乾固しないようにする)、次いで、1.25Mのメタノール性HCl(20mL)を加え、反応物を18時間撹拌し、真空中で濃縮し、白色の発泡体として9を与えた(0.9g、92%)。H NMR(DO、500MHz)δ1.76(m、4H)、1.92(s、3H)、1.95(m、2H)、3.04(t、J=7.6Hz、2H)、3.29(m、4H)、3.99(t、J=6.7Hz、1H)、5.44(s、1H)、5.68(s、1H)。
【0080】
化合物6および10の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(200mL)中のN,N−ジ−boc−リシン(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩(4.2g、8.0mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.8g、9.6mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(1.3g、9.6mmol)およびトリエチルアミン(1.3mL、9.6mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(1.7g、9.6mmol)およびトリエチルアミン(1.3mL、9.6mmol)を加えた。反応物を8時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(75mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物6を与えた。TLC:R=0.71(10%MeOH/DCM)。適切な画分を集め、約5mLに濃縮し(重合するのを避けるため乾固しないようにする)、次いで、1.25Mのメタノール性HCl(30mL)を加え、反応物を48時間撹拌し、真空中で濃縮し、白色の発泡体として10を与えた(2.1g、78%)。H NMR(D2O、500MHz)δ1.44(p、J=8.3Hz、2H)、1.71(p、J=7.8Hz、2H)、1.78(p、J=6.9Hz、2H)、1.90(m、2H)、1.92(s、3H)、3.00(t、J=7.7Hz、2H)、3.29(m、4H)、3.95(t、J=6.7Hz、1H)、5.44(s、1H)、5.67(s、1H)。
【0081】
化合物10.5の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(150mL)中のN,N−ジ−boc−リシン(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩(2.1g、4.0mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.92g、4.8mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.65g、4.8mmol)およびトリエチルアミン(1.3mL、9.6mmol)を加えた。0℃で40分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.86g、4.8mmol)を加えた。反応物を3時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(25mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物6を与えた。TLC:R=0.71(10%MeOH/DCM)。適切な画分を集め、約10mLに濃縮し(重合するのを避けるため乾固しないようにする)、次いで、トリフルオロ酢酸(10mL)を0℃で加え、反応物を45分間撹拌し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中30%メタノール)で精製した。
【0082】
化合物11の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(100mL)中の化合物2(1g、5mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.2g、6mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.81g、6mmol)およびトリエチルアミン(0.8mL、5.7mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後(反応物は殆ど透明となった)、化合物7(0.5g、1.7mmol)およびトリエチルアミン(0.6mL、4.3mmol)を加えた。反応物を18時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(75mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物11を与えた(50mg、5%)。TLC:R=0.3(20%MeOH/DCM)。H NMR(CDCl、500MHz)δ1.70(p、J=6.1Hz、2H)、1.88(s、3H)、3.22(m、1H)、3.33(m、1H)、3.40(m、2H)、3.96(dt、J=14.2、5.5Hz、1H)、4.20(ddd、J=14.3、6.3、3.1Hz、1H)、4.83(m、1H)、5.29(m、1H)、5.63(m、1H)、6.11(t、J=6.5Hz、1H)、7.34(t、1H)、7.44(m、2H)、7.94(m、1H)、7.99(m、1H)、8.06(t、1H)、8.45(t、J=2.2Hz、1H)、8.52(t、J=2.2Hz、1H)、8.70(m、2H)、8.85(d、1H)、8.88(d、J=1.7Hz、1H)、8.95(d、J=1.7Hz、1H)、8.99(d、J=2.2Hz、1H)、9.01(d、J=2.2Hz、1H)、9.13(d、J=2.1Hz、1H)、9.23(d、J=2.1Hz、1H)。
【0083】
化合物12の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(50mL)中の化合物2(0.5g、2.4mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.56g、2.9mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.4g、2.9mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後(反応物は殆ど透明となった)、化合物8(0.25g、0.8mmol)およびトリエチルアミン(1.0mL、7.2mmol)を加えた。反応物を24時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(50mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜30%メタノール)で精製し、化合物12を与えた(0.14g、29%)。H NMR(CDCl、500MHz)δ1.69(p、J=5.8Hz、2H)、1.89(s、3H)、2.24(p、J=7.4Hz、2H)、3.26(m、1H)、3.35(m、4H)、4.04(m、1H)、4.84(q、J=6.8Hz、1H)、5.30(s、1H)、5.67(s、1H)、6.32(t、J=6.4Hz、1H)、7.44(m、2H)、7.72(t、J=6.4Hz、1H)、7.89(m、2H)、7.96(m、2H)、8.45(t、J=2.1Hz、1H)、8.47(t、J=2.2Hz、1H)、8.69(m、2H)、8.91(d、J=1.8Hz、1H)、8.92(d、J=1.7Hz、1H)、8.96(d、J=2.2Hz、1H)、8.99(d、J=2.2Hz、1H)、9.14(d、J=2.1Hz、1H)、9.17(d、J=2.1Hz、1H)。
【0084】
化合物13の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(100mL)中の化合物2(0.6g、3.0mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.69g、3.6mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.49g、3.6mmol)およびトリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後(反応物は殆ど透明となった)、化合物9(0.4g、1.2mmol)およびトリエチルアミン(1.0mL、7.2mmol)を加えた。反応物を16時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(50mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜25%メタノール)で精製し、化合物13を与えた(90mg、12%)。H NMR(CDCl、500MHz)δ1.70(m、2H)、1.75(m、2H)、1.87(m、2H)、1.89(s、3H)、1.98(m、1H)、2.14(m、1H)、3.28(m、1H)、3.35(m、1H)、3.40(m、2H)、3.64(m、1H)、3.70(m、1H)、4.85(q、J=4.9Hz、1H)、5.30(s、1H)、5.67(s、1H)、6.40(t、J=5.0Hz、1H)、7.36(t、J=5.0Hz、1H)、7.42(dd、J=3.9、2.2Hz、1H)、7.43(dd、J=3.9、2.2Hz、1H)、7.65(t、J=4.45Hz、1H)、7.72(d、J=6.1Hz、1H)、7.93(d、J=1.5Hz、1H)、7.95(d、J=1.5Hz、1H)、8.42(m、2H)、8.67(dd、J=4.1、1.0Hz、1H)、8.68(dd、J=4.0、1.2Hz、1H)、8.889(s、1H)、8.891(s、1H)、8.93(d、J=1.7Hz、1H)、8.96(d、J=1.8Hz、1H)、9.10(d、J=1.6Hz、1H)、9.13(d、J=1.7Hz、1H)。
【0085】
化合物14の合成であるスキーム1を参照し、ジクロロメタン(150mL)中の化合物2(1g、5.0mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.2g、6.0mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.81g、6.0mmol)およびトリエチルアミン(0.83mL、6.0mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後(反応物は殆ど透明な黄色となった)、DMF(3mL)中の化合物10.5(1g、2.0mmol)の溶液およびトリエチルアミン(0.56mL、4.0mmol)を加えた。反応物を室温で5時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(75mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物14を与えた(0.3g、24%)。H NMR(CDCl、500MHz)δ1.59(m、2H)、1.70(m、2H)、1.79(m、2H)、1.91(s、3H)、1.96(m、1H)、2.05(m、1H)、3.35(m、4H)、3.52(m、1H)、3.61(m、1H)、4.70(q、J=7.6Hz、1H)、5.31(s、1H)、5.69(s、1H)、6.41(t、J=6.1Hz、1H)、7.23(m、2H)、7.41(m、2H)、7.52(d、J=2.2Hz、1H)、7.90(m、2H)、8.35(t、J=2.2Hz、1H)、8.38(t、J=2.2Hz、1H)、8.66(t、J=1.5Hz、1H)、8.67(t、J=1.5Hz、1H)、8.85(t、J=1.8Hz、2H)、8.88(d、J=2.2Hz、1H)、8.89(d、J=2.2Hz、1H)、9.03(d、J=2.0Hz、1H)、9.11(d、J=2.1Hz、1H)。
【0086】
B−1の合成であるスキーム1を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.11g、0.5mmol)をDMF(2mL)中の化合物11(50mg、84μmol)の溶液およびエチレングリコール(28μL、0.5mmol)に加えた。反応物を55℃で72時間撹拌した。ジエチルエーテル(20mL)を加え、生成物をオイルとして分離した。溶媒を静かに別に移し、淡黄色の粉体となるまで残ったオイルをアセトン中で超音波処理した。遠心により固体を回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(95mg、79%)。H NMR(DO、500MHz)δ1.69(p、J=6.6Hz、2H)、1.76(s、3H)、3.14(m、2H)、3.23(m、3H)、3.96(m、2H)、5.29(s、1H)、5.50(s、1H)、6.06(s、4H)。6.11(s、2H)、6.12(s、2H)、7.55(m、12H)、7.75(m。4H)、8.21(d、J=6.3Hz、1H)、8.23(d、J=6.3Hz、1H)、8.86(m、2H)、9.04(m、2H)、9.20(m、3H)、9.27(s、1H)、9.32(s、1H)、9.35(s、1H)、9.37(s、1H)、9.41(s、1H)、9.44(s、1H)。
【0087】
B−2の合成であるスキーム1を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.30g、1.4mmol)をDMF(2mL)中の化合物12(0.14g、0.23mmol)の溶液およびエチレングリコール(80μL、1.4mmol)に加えた。反応物を55℃で72時間撹拌した。ジエチルエーテル(20mL)を加え、生成物をオイルとして分離した。溶媒を静かに別に移し、淡黄色の粉体となるまで残ったオイルをアセトン中で超音波処理した。遠心により固体を回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(0.16g、47%)。
【0088】
B−3の合成であるスキーム1を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.20g、0.87mmol)をDMF(2mL)中の化合物13(90mg、0.14mmol)の溶液およびエチレングリコール(50μL、0.87mmol)に加えた。反応物を55℃で72時間撹拌した。ジエチルエーテル(20mL)を加え、生成物をオイルとして分離した。溶媒を静かに別に移し、淡黄色の粉体となるまで残ったオイルをアセトン中で超音波処理した。遠心により固体を回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(0.13g、65%)。
【0089】
B−4の合成であるスキーム1を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.60g、2.8mmol)をDMF(2mL)中の化合物14(0.3g、0.47mmol)の溶液およびエチレングリコール(0.23mL、4.0mmol)に加えた。反応物を60℃で72時間撹拌した。ジエチルエーテル(20mL)を加え、生成物をオイルとして分離した。溶媒を静かに別に移し、淡黄色の粉体となるまで残ったオイルをアセトン中で超音波処理した。遠心により固体を回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(0.38g、54%)。
【0090】
<例2>
B−4の代替合成(スキーム2)
【0091】
【化34】

化合物15の合成であるスキーム2(B−4の代替合成)を参照し、ジクロロメタン(20mL)中の化合物2(0.40g、2.0mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.46g、2.4mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.32g、2.4mmol)およびトリエチルアミン(0.67mL、4.8mmol)を加えた。0℃で10分間撹拌後(反応物は殆ど透明となった)、DCM(6mL)中のNα−boc−リシンメチルエステル酢酸塩(0.62g、2.4mmol)を加えた。16時間室温まで温めながら反応物を撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(10mLで2回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物15を与えた(0.22g、25%)。
【0092】
化合物16の合成であるスキーム2を参照し、メタノール(15mL)および水(5mL)中の化合物15(0.37g、0.84mmol)の冷却された(0℃)溶液に、LiOH(0.6g、2.5mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。メタノールを真空中で蒸発させ、残った水のpHを3MのHClでpHを約5に調節した。水溶液をDCMで抽出(10mLで5回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、蒸発させて発泡体とした(0.28g、78%)。
【0093】
化合物17の合成であるスキーム2を参照し、ジクロロメタン(75mL)中の化合物16(0.28g、0.65mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.15g、0.78mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.11g、0.78mmol)およびトリエチルアミン(0.22mL、1.57mmol)を加えた。0℃で15分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.14g、0.78mmol)を加えた。反応物を24時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(50mLで2回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物17を与えた。
【0094】
化合物18の合成であるスキーム2を参照し、酢酸エチル中の化合物17(0.45g、0.81mmol)の懸濁液に濃HCl(3mL)を加えた。20分間撹拌後、真空中で揮発性物質を除去した。残った酸性の溶液を3MのNaOHで中和し、16時間凍結乾燥した。結果として生じた白色固体をDCM中で2時間超音波処理した。不溶物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、透明な発泡体とした(0.28g、76%)。
【0095】
化合物14の合成であるスキーム2を参照し、ジクロロメタン(10mL)中の化合物2(0.10g、0.52mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.12g、0.62mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.08g、0.62mmol)およびトリエチルアミン(0.17mL、1.24mmol)を加えた。0℃で10分間撹拌後、DCM(10mL)中の化合物18(0.28g、0.62mmol)の溶液を加えた。反応物を24時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(50mLで2回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物14を与えた(70mg、23%)。
【0096】
<例3>
B−Cの合成(スキーム3)
【0097】
【化35】

化合物19の合成であるスキーム3(B−Cの合成)を参照し、水を含まない1,4−ジオキサン(40mL)中の3,5−ジブロモピリジン(2.1g、9.0mmol)および3−ピリジンボロン酸(1.1g、9.0mmol)の懸濁液に、KPO水溶液(2M、9mL)、続いてPPh(0.5g、2.0mmol)およびPd(OAc)(0.11g、0.5mmol)を加えた。アルゴンの定常流を穏やかに溶液に通して泡立てながら、反応物を2時間還流した。室温まで冷却後、水層をEtOAc(100mLで1回)で抽出した。有機層を希NaHCO(50mLで3回)および塩水(50mLで1回)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空中で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物19を与えた(1.3g、61%)。TLC:R=0.63(10%MeOH/DCM)。
【0098】
化合物20の合成であるスキーム3を参照し、温度計を備える三口丸底フラスコに、化合物19(1.2g、5.1mmol)、トルエン(8mL)、THF(3mL)およびホウ酸トリイソプロピル(1.4mL、6.0mmol)を充填した。−40℃(ドライアイス/アセトン)まで冷却後、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、3.75mL)をゆっくりと30分にわたり加えた。次いで、反応物を放置して−20℃まで温め、HCl(2M、5mL)を加えた。反応物が室温に到達した時点で水層を除去し、NaOH(3M、2mL)でpH7.6に調節し、NaClを飽和させ、THFで抽出(6mLで3回)した。THF層を合わせて、MgSOで乾燥し、蒸発させてオイルとし、CHCN(40mL)で希釈し、70℃で30分間加熱した。溶液を4℃で72時間結晶化させた。黄色の固体を濾過し、氷冷CHCNで洗浄し、空気乾燥した(0.38g、37%)。
【0099】
化合物21の合成であるスキーム3を参照し、水を含まない1,4−ジオキサン(20mL)中の3,5−ジブロモ 安息香酸メチル(0.55g、1.88mmol)および化合物20(0.94g、4.7mmol)の懸濁液に、KPO水溶液(2M、3mL)、続いてPPh(0.21g、0.8mmol)およびPd(OAc)(0.05g、0.2mmol)を加えた。アルゴンの定常流を穏やかに溶液に通して泡立てながら、反応物を20時間還流した。室温まで冷却後、EtOAc(30mL)を加え、二相性の反応物を濾過した。有機層を分離し、水(20mL)および塩水(20mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空中で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物21を与えた(0.28g、35%)。TLC:R=0.43(10%MeOH/CHCl)。
【0100】
化合物22の合成であるスキーム3を参照し、メタノール(6mL)、THF(6mL)および水(3mL)中の化合物21(0.29g、0.65mmol)の懸濁液にLiOH(0.05g、2mmol)を加え、反応物を室温で30分間撹拌し、次いで10分間で50℃まで昇温した(反応物は透明になった)。室温で更に2時間撹拌後、揮発性の溶媒を真空中で蒸発させた。更に水(20mL)を加え、KHSO(1M)でpHを5に調節し、結果として沈殿が形成された。沈殿を濾過して回収し、水洗し、真空下で乾燥して22を生じた(0.26g、93%)。
【0101】
化合物23の合成であるスキーム3を参照し、ジクロロメタン(30mL)中の化合物22(0.26g、0.6mmol)の冷却(0℃)された懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.14g、0.72mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(0.1g、0.72mmol)およびトリエチルアミン(0.1mL、0.72mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(0.13g、0.72mmol)およびトリエチルアミン(0.2mL、1.44mmol)を加えた。反応物を24時間撹拌した。飽和NaHCO(20mL)を添加後、両方の層に著しい量の固体が残った。固体を濾過し、保存した。水層をDCMで抽出(30mLで3回)した。先の工程で濾過した固体をDCM抽出物と合わせ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中5%〜20%メタノール)で精製し、白色固体として化合物23を与えた(0.23g、70%)。TLC:R=0.21(10%MeOH/DCM)。
【0102】
B−Cの合成であるスキーム3を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.53g、0.5mmol)をDMF(3mL)中の化合物23(0.23g、0.41mmol)の溶液およびエチレングリコール(0.14mL、2.5mmol)に加えた。反応物を55℃で72時間撹拌した。ジエチルエーテル(30mL)を加え、生成物をオイルとして分離した。溶媒を静かに別に移し、淡黄色の粉体となるまで残ったオイルをアセトン中で超音波処理した。遠心により固体を回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(0.47g、81%)。
【0103】
<例4>
Q−4の合成(スキーム4)
【0104】
【化36】

化合物25の合成であるスキーム4(Q−4の合成)を参照し、ジクロロメタン(200mL)中のN,N−ジ−boc−リシン(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩(4.4g、8.3mmol)の冷却された(0℃)溶液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.7g、8.8mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(1.2g、8.8mmol)およびトリエチルアミン(1.2mL、8.8mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、化合物10(1.29g、3.76mmol)およびトリエチルアミン(1.0mL、7.6mmol)を加えた。反応物を24時間撹拌し、次いで、飽和NaHCOで洗浄(100mLで3回)した。DCM層をMgSOで乾燥し、真空中で体積を減少させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl中2%〜20%メタノール)で精製し、化合物24を与えた。TLC:R=0.56(10%MeOH/DCM)。適切な画分を集め、約5mLに濃縮し、次いで、メタノール性HCl(0.5M、100mL)およびエーテル性HCl(2M、10mL)で希釈し、16時間撹拌した。反応物を真空中で濃縮してオイルとし、アセトンで洗浄し、真空下で乾燥し、白色の発泡体として25を与えた(2.25g、89%)。
【0105】
化合物26の合成であるスキーム4を参照し、ジクロロメタン(250mL)中の化合物2(3.0g、15mmol)の冷却された(0℃)懸濁液に、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.45g、18mmol)、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール水和物(2.43g、18mmol)およびトリエチルアミン(2.5mL、18mmol)を加えた。0℃で30分間撹拌後、化合物25(2.25g、3.3mmol)およびトリエチルアミン(1.8mL、13mmol)を加えた。反応物を18時間撹拌した。白色の沈殿が形成された。飽和NaHCO(100mL)を添加後、両方の層に著しい量の固体が残った。固体を濾過し、アセトンで洗浄し、次いで水中(150mL)で超音波処理した。水中で不溶のままで滑りのある固体を回収し、メタノール(50mL)中に溶解し、濾過して塩を除去し、真空中で蒸発させ、淡黄色の固体として26を与えた(1.25g、30%)。
【0106】
Q−4の合成であるスキーム4を参照し、2−ブロモメチルフェニルボロン酸(0.6g、2.8mmol)をDMF(4mL)中の化合物26(0.3g、0.24mmol)の溶液およびエチレングリコール(0.2mL、3.5mmol)に加えた。反応物を60℃で72時間撹拌した。アセトン(20mL)を加え、黄色の固体として生成物を沈殿させ、遠心により回収し、アセトンで数回洗浄し、アルゴン雰囲気下で乾燥した(0.65g、91%)。
【0107】
<例5>
<光ファイバーセンサーの末端にヒドロゲルで固定化されたHPTS−トリCys−MA色素および消光体B−1、B−2、B−3およびB−4>
適切な量の消光体を、N,N’−ジメチルアクリルアミド(500mg)およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミド(10mg)を含有する保存液の414μL中に溶解し、消光体保存液(9.66mM)を与えた。次いで、この消光体溶液(20.7μL)を、HPTS−トリCys−MA(50μLの2mM水溶液)、HCl(20μLの100mM溶液)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(10μLの40mg/mL溶液)およびDI水(99.3μL)を含有する溶液に加えた。次いで、37℃で24時間加熱してヒドロゲルを形成することで、光ファイバーセンサーのチップ上でこの溶液の幾つかを重合した。
【0108】
図1は、ヒドロゲルで光ファイバーのチップに固定化され、消光体B−1、B−2、B−3およびB−4の1つおよび色素HPTS−トリCys−MAを含む上記センサーのグルコース応答を図解する。検出化学物質は470nmで励起され、増加する濃度のグルコース存在下において、520〜700nmの間で蛍光を測定した。
【0109】
<例6>
<光ファイバーセンサーの末端にヒドロゲルで固定化されたHPTS−トリCys−MA色素および消光体B−4、B−CおよびQ−4>
適切な量の消光体を、N,N’−ジメチルアクリルアミド(100mg)およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミド(2mg)を含有する保存液の200μL中に溶解し、消光体保存液(B−4およびB−Cは19.32mM、Q−4は9.66mM)を与えた。次いで、この消光体溶液(20.7μL)を、HPTS−トリCys−MA(50μLの2mM水溶液)、HCl(20μLの100mM溶液)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(40μLの50mg/mL溶液)およびDI水(69.3μL)を含有する溶液に加えた。次いで、37℃で16時間加熱してヒドロゲルを形成することで、光ファイバーセンサーのチップ上でこの溶液の幾つかを重合した。
【0110】
図2は、ヒドロゲルで光ファイバーのチップに固定化され、消光体B−4、B−CおよびQ−4の1つおよび色素HPTS−トリCys−MAを含む上記センサーのグルコース応答を図解する。検出化学物質は470nmで励起され、増加する濃度のグルコース存在下において、520〜700nmの間で蛍光を測定した。
【0111】
明瞭性および理解の目的のために、ある程度詳しく本発明を記載したが、本発明の真の範囲より逸脱することなく、形態および詳細を種々に変えることができると当業者には分かるであろう。上で参照される全ての図、表および付属書ならびに特許、出願および公開が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上のビオロゲン部分構造を含むポリビオロゲン化合物であって、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を含み、該ポリビオロゲン化合物はカップリング基を含むポリビオロゲン化合物。
【請求項2】
該ポリビオロゲンは3,3’ジピリジル中間体より誘導される請求項1に記載のポリビオロゲン化合物。
【請求項3】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物。
【化1】

(式中、
Zは反応性でエチレン的に不飽和の基、または、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基のいずれかであり;
Yは、
【化2】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【化3】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
およびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合および1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンから成る群より選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−およびアミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せから成る群より選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。)
【請求項4】
Zが、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−およびスチリル−から成る群より選択され、反応性でエチレン的に不飽和の基である請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Zが、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHから成る群より選択され、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基である請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Zが、
【化4】

(式中、RはHまたはCHである。)
である請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
下記化合物。
【化5】

(式中、nは、1、2、3または4に等しい。)
【請求項8】
下の工程を含む請求項7に記載の化合物を合成する方法。
【化6】

(式中、nは、1、2、3または4に等しい。)
【請求項9】
下の工程を含む請求項7に記載の化合物を合成する方法。
【化7】

(式中、nは4に等しい。)
【請求項10】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物。
【化8】

(式中、
は対イオンであり;
Lは直接結合および1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンから成る群より選択される2価の結合であり、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−およびアミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せから成る群より選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよく;
Zは反応性でエチレン的に不飽和の基、または、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基のいずれかであり;
中心のベンゼン環からの結合は、隣接するピリジニウム環上のオルト、メタまたはパラ位に対してであり;および
−B(OH)は、オルト、メタまたはパラ位でよい。)
【請求項11】
Zが、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−およびスチリル−から成る群より選択され、反応性でエチレン的に不飽和の基である請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Zが、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHから成る群より選択され、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基である請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Zが、
【化9】

(式中、RはHまたはCHである。)
である請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造を有する請求項10に記載の化合物。
【化10】

【請求項15】
下の工程を含む請求項14に記載の化合物を合成する方法。
【化11】

【請求項16】
以下の構造を有する請求項1に記載の化合物。
【化12】

(式中、
Zは反応性でエチレン的に不飽和の基、または、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基のいずれかであり;
Yは、
【化13】

(式中、RはHまたは低級アルキルである。)
および
【化14】

より選択される3価の連結基であり;
は対イオンであり;
、X、XおよびXは−O−または−NH−であり;および
、LおよびLは直接結合および1〜8個の炭素原子を有する低級アルキレンから成る群より選択され、スルホンアミド(−SONH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO−)、フェニレン−C−、ウレタン−NH(C=O)−O−、ウレア−NH(C=O)NH−、チオウレア−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−およびアミン−NR−(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)またはそれらの組合せから成る群より選択される1個以上の2価の連結基で末端化されていてもよく、または、それが途中に入っていてもよい。)
【請求項17】
Zが、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−およびスチリル−から成る群より選択され、反応性でエチレン的に不飽和の基である請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Zが、−Br、−OH、−SH、−COHおよび−NHから成る群より選択され、ポリマーまたはマトリクスと共有結合を形成できる反応性官能基である請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
Zが、
【化15】

(式中、RはHまたはCHである。)
である請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
以下の構造を有する請求項16に記載の化合物。
【化16】

【請求項21】
下の工程を含む請求項20に記載の化合物を合成する方法。
【化17】

【請求項22】
請求項1〜7、10〜14および16〜20のいずれか一項に記載の任意の1種類以上の化合物および蛍光色素を含む被分析物センサー。
【請求項23】
前記任意の1種類以上の化合物はポリマーの形態である請求項22に記載の被分析物センサー。
【請求項24】
該被分析物はグルコースである請求項22に記載の被分析物センサー。
【請求項25】
グルコース透過性の固定化部材を更に含む請求項24に記載の被分析物センサー。
【請求項26】
前記グルコース透過性の固定化部材はポリマーマトリクスまたは半透膜である請求項24に記載の被分析物センサー。
【請求項27】
ビオロゲンによる消光に対して感受性を有する蛍光色素体と、2個以上のビオロゲン部分構造を含む3,3’ジピリジル中間体より誘導されるポリビオロゲンと、ただし、それぞれのビオロゲン部分構造は少なくとも2個のボロン酸官能基を含み、および、グルコース透過性ポリマーマトリクスとを含む組成物。
【請求項28】
該蛍光色素体は少なくとも1つの負電荷を有する請求項27に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511755(P2011−511755A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516282(P2010−516282)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/069855
【国際公開番号】WO2009/009756
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(509301633)グルメトリクス、 インク. (7)
【Fターム(参考)】