説明

複合材料から形成された製品

【課題】コア構成部品の少なくとも一個が、互いに平行に配置され、樹脂マトリックス中に埋め込まれた補強ロッドのパックを含んでなり、各ロッドが、樹脂で結合された補強繊維の束を含んでなる、複合材料から形成された製品を提供する。
【解決手段】ターボファンエンジンのファンブレードは、構成部品4、6から製造されたコア2を含んでなり、該構成部品の少なくとも一部が、樹脂マトリックス材料中に埋め込まれたロッドのパックを含んでなる。ロッドは、ブレードのスパン方向で延在し、作動中にブレードに作用する遠心力に耐える。コア2は、布地補強材を含んでなるプリフォーム16、18から形成された外被中に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料から形成された製品に関し、特に、そのような、翼部品、例えばターボファンエンジン、ターボプロップ、ダクテッドファン、および他のそのようなターボ機械のファンブレード、の形態にある製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンブレード、特にターボファンエンジン、ターボプロップ、ダクテッドファン、および他のそのようなターボ機械のファンブレードは、作動中に非常に大きな力にさらされる。そのようなブレードは、遠心力および空気の移動により発生する力のみならず、異物、例えば鳥、による衝撃から発生する力にも耐えられる必要がある。さらに、異物の衝撃により小さな損傷が発生した場合、連続的な運転の際に、その損傷がブレードを通して伝搬し、その構造的および機能的一体性を低下させることがないことが重要である。
【0003】
複合材料ファンブレードは、現在、高い靱性を付与した熱硬化性エポキシ樹脂で含浸した材料を使用し、これを予め決められた積重順序に重ね合わせ、プライ末端(ply terminations)を確実に注意深く配分し、必要な損傷耐性を達成することにより、製造されている。プライ末端(即ち切断した繊維末端)は、ブレード中の潜在的に弱い箇所を代表するので、単一の区域または面に集中しないことが重要である。
【0004】
そのような製造方法は、材料コストが高く、堆積速度が遅く、品質保証条件が厳格であるために、経費がかかる。
【発明の概要】
【0005】
本発明により、隣接したコア構成部品を含んでなる、複合材料から形成された製品であって、該コア構成部品の少なくとも一個が、互いに平行に配置され、樹脂マトリックス中に埋め込まれた補強ロッドのパックを含んでなり、各ロッドが、樹脂で結合された補強繊維の束を含んでなる、製品を提供する。
【0006】
ロッドは、円形断面を有することができるが、他の形状、例えば正方形、も使用することができる。ロッドは、1.5 mm以上で、3.5 mm以下の横方向寸法(直径、等)を有することができる。補強繊維は、ロッド長さに対して平行に走る炭素繊維でよい。
【0007】
樹脂マトリックスは、硬化したシンタクチック材料、靱性の接着性組成物または複合材料バルク成形コンパウンドでよい。
【0008】
該パックは、製品を形成する複数のパックの一つでよい。該または各パックは、100本以上の補強ロッドを含んでなることができる。パックは、ブレーディング(braiding)または補強布地で過剰包装(overwrapped)することができる。個々の補強ロッドを、樹脂マトリックス中で補強繊維で過剰巻き付けする(overwinding)ことができる。
【0009】
各ロッドは、スペーサ突起を備えた本体を含んでなることができ、パック中で、隣接するロッドの突起間の、またはあるロッド上の突起と隣接するロッドの本体との間の接触により、それぞれのロッドの本体同士が互いに離間される。これらの突起は、ロッドの縦軸の周りにらせん形を有することができ、例えばワイヤを別に巻き付けたものであるか、または本体上に一体的に形成されたものでよい。
【0010】
本発明の一実施態様では、ロッドは、製品の長さ方向に対して実質的に平行に延在する。
【0011】
製品は、該または各補強ロッドのパックを包む外被を有することができる。この外被は、樹脂マトリックス中の補強繊維を含んでなることができる。外被の補強繊維は、布地層、例えば多軸縦糸編み布地(無ひだ布地)、中に配置し、各布地層が、異なった向きに延在する繊維を含んでなることができる。例えば、それぞれのロッドの長さ方向に対して90°で延在する繊維もあれば、ロッドの長さ方向に対して30°〜60°の角度で延在する繊維もあってよい。一実施態様では、多軸縦糸編み布地は、ロッドに対して +45°/90°/-45°で延在する繊維を有する。
【0012】
90°繊維の布地における面積重量は、ロッドの長さ方向で変動してもよい。
【0013】
外被は、布地の積重層で形成された別のプリフォームを含んでなり、該層が互いに結合してプリフォームを形成することができる。
【0014】
本製品は、ガスタービンエンジンの構成部品でよく、特に翼部品、例えばターボファンエンジンのファンブレード、でよい。
【0015】
本発明の別の態様では、複合材料の製品を製造する方法であって、
複数の補強ロッドを、該ロッド同士が互いに平行であり、各ロッドが補強繊維の樹脂結合された束を含んでなるパックに組み立てること、
該パックを第一の固化可能または硬化可能な組成物で含浸し、該組成物を固化または硬化させて該ロッドが埋め込まれた樹脂マトリックスを形成すること、
該パックを繊維で包み、コア構成部品を形成すること、
該製品の、隣接するコア構成部品を包含するコアを組み立てること、
該コアを覆うように繊維補強材を組み立てること、
該組み立てた繊維補強材を伴った該コアを、該製品の所望の形状に対応する型の中に配置すること、および
第二の固化可能または硬化可能な組成物を該型の中に入れ、該第二組成物を固化または硬化させること
を含んでなる、方法を提供する。
【0016】
上記方法の一実施態様では、繊維補強材が複数のプリフォームを含んでなり、各プリフォームが補強布地層から製造される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明をより深く理解するために、および本発明をどのように実行するかをより明確に示すために、例として添付の図面を参照する。
【図1】ファンブレードのコアを形成するための、ロッドパックの形成およびロッドパックの組立を図式的に示す。
【図2】ロッドパックのロッドの断面図である。
【図3】ファンブレードの外被を形成するための補強布地を図式的に示す。
【図4】図3の布地から形成された外被プリフォームを、図1に示すコアと共に示す。
【図5】完成したファンブレードを示す。
【図6】別のコア構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、ターボファンエンジン用ファンブレードのコア2は、コア構成部品4、6から組み立てる。各コア構成部品は、ファンブレードのスパン方向で(spanwise)延在しており、好ましくは回転するローターに取り付けた時、ブレードに作用する遠心力の作用線に対して平行である。
【0019】
図1に示すように、構成部品4、6には2種類ある。第一の種類の構成部品は、樹脂マトリックス10中に埋め込まれた複数の補強ロッド8から製造されている。これらのパックは、直径が小さい、直径1.5〜3.5 mmの円形断面を有する複合材料ロッドから製造され、各パック4の中に100本以上のロッド8が存在し得る。これらのロッドは、高強度または中間モジュラスの炭素繊維を含んでなることができる。これらのロッドを所定の長さ(実質的に完成したファンブレードの長さ)に切断し、樹脂マトリックス中に埋め込む。マトリックスは、硬化し得るシンタクチックペーストまたは靱性接着剤を含んでなることができ、その中にロッドを真空キャスティングにより埋め込むことができる。あるいは、ロッドは、圧縮成形または射出成形方法における複合材料成形コンパウンドの中に埋め込むことができる。図1から、パックの断面形状は、全体的に四辺形を有し、2個の対向面は、ファンブレードの圧力および吸引表面に一致する形状になっている。他の2個の面は、以下に説明するように、ファンブレードの圧力および吸引表面間にウェブを与えるように向けられている。
【0020】
樹脂マトリックス中のロッドアセンブリーを形成した後、これらのアセンブリーを、二軸または三軸の、過剰編組(overbraiding)材料で過剰編組するか、または補強布地12中に包み込む。
【0021】
次いで、過剰編組または過剰包装した(overwrapped)ロッドパックを一つに組み立て、他の構成部品6と共に、コア2を形成する。他の構成部品6は、ロッドパック4のマトリックスに使用する樹脂、例えば硬化したシンタクチックペースト、から形成された、補強していない成形品でよい。あるいは、これらの構成部品は、異なった材料から製造するか、または別のロッドパック4で置き換えることもできる。従って、一実施態様では、コア2の全ての構成部品がロッドパック4でよい。
【0022】
ロッド8自体は、図2に示すように、好適な補強材料により個別に過剰包装することができる。例えば、これらのロッドは、張力下で、予備含浸した補強繊維14で過剰巻き付けし、続いて硬化させることができる。過剰巻き付けする目的は、衝撃、軸方向負荷または亀裂成長の結果として起こる横方向張力下で、ロッドの個々の繊維が分離するのを抑制することである。ロッド8自体は、引抜き成形方法で炭素繊維から製造することができ、上からの巻き付けは、半連続またはバッチ製法で、引抜き成形の後に行うことができる。
【0023】
さらに、ロッド8の上には、ワイヤまたは糸(図には示していない)を、らせん様式にさらに過剰巻き付けするか、または成形し、隣接するロッドの対応する突起または本体と接触して間隔を開けるための突起を取り付け、ロッドの本体同士の間に間隔を維持し、パック4を製造する際に樹脂マトリックス材料を浸透させることができる。
【0024】
一実施態様では、図1に示すコアに外被を施し、完成した製品を形成する。外被は、コアを好適な補強材料で直接包み込むことにより形成できるが、一実施態様では、外被は、図4に示すような2個のプリフォーム16、18から製造する。プリフォーム16、18は、補強布地の層を重ね合わせ、次いで予備圧縮し、取扱可能なプリフォーム16、18を形成することにより、製造する。プリフォーム16、18の一体性を維持するために、好適な熱または圧力で活性化される熱可塑性ウェブまたは粉末結合剤を、隣接する層の各対間に配置し、圧力または熱を作用させて層を一つに結合することができる。
【0025】
プリフォーム16、18は、図3に図式的に示すように、多軸縦糸編み布地/無ひだ布地から製造することができる。図3に示す実施態様では、この布地は、様々な方向に向いた炭素繊維でよい3プライの繊維を含んでなる。別の実施態様では、布地は、4プライ以上の繊維を含んでなることができる。繊維のプライは、図3には示していないが、縫い合わせて相互接続し、取扱可能な布地を製造する。図3に示す布地では、縦糸方向(矢印Xで示す)に対してそれぞれ+45°および-45°で延在する2個の外側プライ20、22がある。さらに、縦糸方向に対して90°で配置された別の繊維プライ24がある。
【0026】
図3に図式的に示すように、90°繊維の面積密度は、縦糸方向で変化する。図3で、段階的な面積密度変化を区域A、B、CおよびDで表し、面積密度は、区域Aで最も高く、区域Dで最も低い。あるいは、面積密度は徐々に変化することもできる。区域A〜Dは、縦糸方向Xで反復することが分かる。実際には、布地はロールで供給され、図3に示す長さは、ロール供給されるウェブ全体の小部分に過ぎない。
【0027】
図3には、布地の、区域A〜Dの単一組を包含する単一長さにわたって延在する切り取り部分26、28を示す。切り取り部分26、28は、プリフォーム16、18の重ね合わせに使用する断片を表し、それらの長さ方向(縦糸方向Xにおける)は、完成したファンブレードのスパン方向と一致する。従って、90°繊維24は、完成したブレードの翼弦方向に延在する。これらの形状を、CNC制御下で、例えばレーザー切断または超音波切断により、切断し、順次、プリフォーム工具上に、張り合わせの一方向で堆積させ、手動式取扱を最少に抑える。この構築方法では、プライドロップ-オフ(drop-off)(切断繊維末端)は一布地厚さを有することになろう。完成した製品では、亀裂による製品の損傷は、90°繊維の層で最も起こり易い。図3に示す布地では、90°繊維は、+45°と-45°の繊維20、22の間に位置し、従って、スパンに沿った繊維末端は、主として±45°にあり、90°繊維末端は織物補強材の中に配置されている。また、90°繊維の面積密度は、区域Aから区域Dの方向で減少するので、少なくとも区域CおよびDに存在する90°プライドロップ-オフは比較的少ない。
【0028】
プリフォーム16、18から形成された外被は、+45°および-45°繊維配向だけを含むので、完成したブレードのスパン方向で許容される引張および圧縮ひずみは、比較的高い、例えば約0.6%、と予想することができる。
【0029】
プリフォーム16の重ね合わせにおける応力差を回避するために、「向き」の異なった布地を断片26、28の切り取り工程に供給することが望ましい。従って、各プリフォーム16、18の中央面の片側には左向きの布地を重ね合わせ、中央面の反対側には右向きの布地を重ね合わせる。用語左向きおよび右向きは、2種類の異なった布地を区別し易くするために使用する。下側プライが縦糸方向Xに対して+45°にあり、上側プライが縦糸方向Xに対して-45°にある布地を構築すると、この布地を逆に返しても、この関係は維持されることが分かる。つまり、下側プライが縦糸方向に対して-45°になるように布地を重ねることは不可能である。従って、上記のように左向きおよび右向きに適合した布地対を使用することにより、プリフォーム16、18の中に釣り合いのとれた対称的な重ね合わせが得られる。
【0030】
プリフォームを製造した後、図4に示すように、プリフォームをコア2の両側に配置し、得られたアセンブリーを樹脂トランスファー成形(RTM)金型中に配置する。次いで、樹脂を金型中に注入し、プリフォーム16、18および個別構成部品4、6の過剰編組材料または過剰包装した材料12を含浸させる。金型は、最終的なファンブレードの所望の形状に対応する形状を有する内部キャビティを有する。樹脂を金型キャビティ中に注入し、プリフォーム16、18およびコア2の構成部品4、6の過剰編組材料または過剰包装した材料12を含浸させる。樹脂を硬化させた後、完成した成形品を金型から取り出し、いずれかの二次的な機械加工、例えばバリの除去、ブレードのルート区域形成、または図5の30および32で示すような、他の構成部品、例えば先端または後尾縁部の衝撃および浸食表面、を取り付けるためのブレード調製を行う。
【0031】
所望により、RTM成形の後、外被をコア2に固定し、損傷耐性を強化するための縫い合わせまたはタフト加工を行うことができる。この工程では、単一の針および炭素繊維、ガラス繊維またはアラミド/パラ-アラミドの補強糸を外被を通してコア2の中に押し込む。針を引き抜いた時、糸と外被の間の摩擦により、糸が所定の位置に保持され、外被とコア2を連結するループまたはタフトが形成される。
【0032】
図5に示す完成したファンブレードでは、ブレードに作用する遠心力を支持するロッド8は、ブレードの内部に配置され、従って、プリフォーム16、18により形成された外被により衝撃損傷から保護される。また、パック4は、補強布地の薄層状配置ではなく、密に充填されたロッド8から製造するされており、隣接するロッド8同士の間に直接的な「走り」が無いので、コア2中に延在する損傷は、コア2を通して容易には伝搬しない。これは、布地補強材を使用する、亀裂が布地の隣接層間で伝搬する伝統的な重ね合わせブレードと対照的である。
【0033】
さらに、ロッド8が中に埋め込まれている靱性のマトリックス10は、隣接するロッド間で負荷を効果的に伝達し、損傷無く、比較的高いひずみに耐えられる。
【0034】
マトリックス10を形成する樹脂は、構造中で所望の減衰特性を与えるように選択または処方することができる。この材料は、シンタクチックの隙間充填性ポリウレタンまたはエポキシペースト、あるいはシンタクチックフィルム、例えばコア材料を安定化または接合する目的でハニカム構造のサンドイッチパネル複合材料の製造に使用できる材料でよい。この材料は、熱可塑性組成物から製造することもできる。
【0035】
そのような材料を使用する代わりに、パック4は、細かく切った繊維を含むバルク成形コンパウンド中でロッド8を圧縮成形し、ロッド8を取り囲む疑似均質複合材料マトリックスを形成することもできる。細かく切った繊維は、ガラス、炭素または2種類のハイブリッドでよい。マトリックス樹脂は、ロッド8自体と相容性があるのが好ましい。好適な材料は、Stamford, Connecticut, USAのHexcel CorporationからHexMC(登録商標)の名称で市販されている。
【0036】
図5に示すブレードでは、構成部品4、6は、断面が全体的に台形であり、ブレードのスパン方向で全体的に平行に走っているので、主要軸方向遠心力負荷と一列に向いている。隣接構成部品4、6の接合部では、RTM工程の際に導入された硬化樹脂で含浸された過剰巻き付けした材料12の隣接区域が、ファンブレードの圧力および吸引表面間のせん断接続を与えるウェブ34を形成する。パック4、6の過剰巻き付けした材料12は、実質的に±45°布地ラップ、結び合わせたソック(sock)またはパック上に直接形成した過剰編組材料から製造することができる。別の実施態様では、過剰巻き付けした材料が3方向、例えば±45°、0°の繊維を有し、ロッド(0°における)およびプリフォーム16、18から形成された±45°、90°外被間で剛性を混合するのが好ましい。上記の製法では、過剰巻き付けした材料は乾燥形態で使用し、RTM工程の際に含浸させるが、予備含浸された材料から形成することもできる。
【0037】
プリフォーム16、18から形成された、±45°、90°繊維補強した外被は、構成部品にフラッタ抵抗および捩り剛性を与える。上記の製法は、乾燥形態(布地層間の熱および圧力感応性結合材料は別にして)で使用するプリフォーム16、18に関するが、これらの外被を、他の製法、例えばプレプレッグ重ね合わせまたは上からの結び合わせ、により形成することもできる。
【0038】
図4に示すように外被をプリフォーム16、18から形成する場合、コア2に取り付ける前に、プリフォームを、実質的にそれらの最終的な厚さに、または少なくとも完成したファンブレードの最終成形厚さの10%以内の厚さに、圧縮するのが好ましい。
【0039】
図6に示す別の実施態様では、コア材料の全ての構成部品がロッドパック4を含んでなる。パック4は、図1に関して説明したように過剰巻き付けせず、代わりに一つに圧縮成形し、細かく切ったプレプレッグシート成形コンパウンド、または類似の材料、と共にコア2を形成する。従って、ロッドパック4は、そのようなシート成形コンパウンド36と共に組み立て、該コンパウンドは、隣接するパック4の周りに交互に反れる。従って、シート成形コンパウンド36は、コアを横切って延在するせん断ウェブを形成し、完成したブレードの圧力側と吸引側の間でせん断接続を与える。
【0040】
図4および5に示す実施態様におけるように、図6に示すコアは、図4に示すようなプリフォーム16、18から、または他のいずれかの様式で形成された外被を備えることができる。例えば、プリフォーム16、18は、細かく切ったプレプレッグ成形コンパウンドから製造することができよう。プリフォーム16、18をコア2と共に組み立てた後、そのアセンブリーを、最終的な圧縮成形工程にかけ、外被を、隣接するロッドパック4同士の間でバルク成形コンパウンドにより形成されたウェブ38と一体化させる。
【0041】
図6に示すように、ロッドパック4と共にコア2を形成するシート成形コンパウンドの外側を向いた表面は、高さが限定された小さな突起40を備えることができる。これらの突起は、圧縮成形工程の際に、コアを金型の中央に合わせ、コア2の上に付けられる成形コンパウンドの、ファンブレードの外被を形成するのに必要な厚さを確保するのに役立つ。この処置により、圧縮成形工程の際に、各外被の厚さが最小値より小さくなることが防止される。
【0042】
細かく切ったプレプレッグ圧縮成形コンパウンドの、切欠き部が無い面内特性は、図3および4に関して上に説明した従来の連続繊維疑似等方性ラミネートの切欠き部が無い面内特性より劣っている場合もあるが、切欠き部を入れた引張および圧縮特性は同等である。
【0043】
無論、図6に示すコア2は、図3および4に関して上に説明した多軸縦糸編み布地の圧縮したプリフォームを使用することにより、外被をそこに取り付けることができるが、この場合も、突起40により、ファンブレードの外被と、成形コンパウンド36により構成されるウェブ構造との間の厚さを調整される。
【0044】
図3に示す布地は、炭素繊維から形成されたものとして説明されているが、無論、他の好適な繊維補強材料も使用できる。例えば、Toledo, Ohio, USAのOwens-Corningから市販のS-ガラス繊維または他の高強度繊維も使用できる。より一般的な、広く等方性の重ね合わせ構造を使用して十分なレベルの損傷耐性を達成することもできる。
【0045】
本発明を、ターボファンエンジン用ファンブレードの製造に関して説明したが、無論、同じ様式で他の製品も製造できる。例えば、オープン-ローターおよびプロペラ構造(例えばターボプロップ、ダクテッドファンおよび他のそのようなターボ機械)も、図1〜6に関して説明した製法により製造することができる。そのような製品および類似の、比較的細い、深い断面を有する製品は、樹脂マトリックス中に補強ロッド8を含んでなる、または包含するコアの上に、二軸/三軸より合わせ補強を使用して形成される外被を有することができる。
【0046】
この製造方法は、静止翼構造および非翼構成部品、例えばガスタービンエンジン用のブレード封じ込め構造、または事実、構成部品の軸方向または半径方向強度を与える素子の一体性を分離し、特定の損傷脅威から保護することが望ましい、全ての構成部品にも好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接したコア構成部品を含んでなる、複合材料から形成された製品であって、前記コア構成部品の少なくとも一個が、互いに平行に配置され、樹脂マトリックス中に埋め込まれた補強ロッドのパックを含んでなり、各ロッドが、樹脂で結合された補強繊維の束を含んでなる、製品。
【請求項2】
前記ロッドのそれぞれが、円形断面を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
各ロッドの断面が、1.5 mm以上で、かつ3.5 mm以下の横方向寸法を有する、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
前記補強繊維が炭素繊維を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記樹脂マトリックスが、硬化したシンタクチック材料を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記樹脂マトリックスが、接着性組成物を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記樹脂マトリックスが、複合材料成形コンパウンドを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記パックが、製品を形成する複数のパックの一つである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
前記または各パックが、100本以上の補強ロッドを含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記または各パックが、ブレーディングまたは補強布地で過剰包装される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
各補強ロッドが、樹脂マトリックス中で補強繊維で過剰巻き付けされてなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
各補強ロッドが、隣接するロッドの本体同士を互いに離間するためのスペーサ突起を備えた本体を含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
前記突起が、前記それぞれのロッドの縦軸の周りにらせん形で配置される、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記補強ロッドが、前記製品の長さ方向に対して実質的に平行に延在する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
前記ロッドパックが、前記製品のコアを構成し、前記製品が、前記コアを取り囲む外側層を備えている、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
前記外側層が、樹脂マトリックス中の補強繊維を含んでなる、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
前記繊維が、布地層の中に配置されている、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
各布地層が、多軸縦糸編み布地を含んでなる、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
前記多軸縦糸編み布地が、前記ロッドの長さに対して +45°/90°/-45°で配向する繊維を含んでなる、請求項18に記載の製品。
【請求項20】
90°で配向している前記繊維の面積重量が、前記ロッドの長さ方向で変動する、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
前記外側層が、前記コアに取り付けた別のプリフォームを含んでなる、請求項16〜20のいずれか一項に記載の製品。
【請求項22】
ガスタービンエンジンの構成部品である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製品。
【請求項23】
前記製品が翼構成部品である、請求項22に記載の製品。
【請求項24】
ターボファンエンジンのファンブレードである、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
複合材料の製品を製造する方法であって、
複数の補強ロッドを、前記ロッド同士が互いに平行であり、各ロッドが補強繊維の樹脂結合された束を含んでなるパックに組み立てること、
前記パックを第一の固化可能または硬化可能な組成物で含浸し、前記組成物を固化または硬化させて前記ロッドが埋め込まれた樹脂マトリックスを形成すること、
前記パックを繊維で包んでコア構成部品を形成すること、
前記製品の、隣接するコア構成部品を包含するコアを組み立てること、
前記コアを覆うように繊維補強材を組み立てること、
前記組み立てた繊維補強材を伴った前記コアを、前記製品の所望の形状に対応する型の中に配置すること、および
第二の固化可能または硬化可能な組成物を前記型の中に入れ、前記第二組成物を固化または硬化させること
を含んでなる、方法。
【請求項26】
工程(v)で、前記繊維補強材がプリフォームを含んでなり、各プリフォームが補強布地層から製造される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
添付図面の図1〜5または図6を参照しながら実質的に説明したターボエンジン用のファンブレード。
【請求項28】
添付図面を参照しながら、前記図に示すように実質的に説明した方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−264374(P2009−264374A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−82497(P2009−82497)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(590005438)ロールス‐ロイス、パブリック、リミテッド、カンパニー (21)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】