説明

複合材料を製造するための方法

本発明の態様に係る方法は、プラスチックマトリクス物質を強化繊維構造と接触させて、中間材料を形成させる工程を含む。さらに、その方法は、中間材料のマトリクス物質を硬化させて、複合材料を形成させる工程を含む。プラスチックマトリクス物質は強化繊維構造と接触する前に、希釈剤と混合して、混合物を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して複合材料の製造、より具体的には炭素繊維などの強化繊維で強化されたエポキシなどの硬化プラスチックのマトリクスを含む複合材料の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、船、ボート、スポーツカー、風車、およびゴルフクラブなどの多くの構造物において、高い強度および剛性を有する軽量の構造物を達成することが非常に望まれる。多くの場合、このような構造物のための材料の選択は、繊維強化プラスチック(FRP)などのある種の複合材料である。FRP材料は、多くの場合、比較的高い強度重量比を有し、疲労および腐食に対して比較的耐性がある。
【0003】
多くの種類のプラスチックおよび多くの種類の繊維が混合されて、マトリクスおよび強化材料それぞれの選択および組み合わせに応じて、FRPおよび材料特性(例えば強度および弾性)を形成し得る。
【0004】
FRP材料は、プラスチックであるマトリクス材料、および繊維である強化材料を含有する。一般に使用される種類の強化繊維はガラス繊維、アラミド繊維および炭素繊維である。
【0005】
ガラス繊維は比較的安価な繊維であり、レジャー用ボートの船体などのFRP製品に通常見出され、高い強度重量比より低価格の方が、重要度が高い。
【0006】
炭素繊維は例えばガラス繊維より高価格であるが、FRP材料に使用される場合、より高い強度重量比を与える。
【0007】
マトリクスおよび強化材料の選択だけでなく、組み合わせも複合材料の材料特性に影響を与える。当該技術分野における経験により、例えば異なる層における異なる強化構造の組み合わせを含む複合材料を製造する方法も示されており、特別なモールド、真空システムおよび/またはオートクレーブの使用が、複合材料の材料特性に影響を与え得る。
【0008】
複合材料を製造する場合、良好な材料特性を達成することが望まれるだけでなく、多くの場合、良好な製造経済効率を達成することも望まれる。
【0009】
製造経済効率に影響を与え得る1つの要因は、スループットの観点における製造能力である。高スループットにより、多数のユニットにおいて固定製造コストを与えることが可能となる。製造経済効率に影響を与える別の要因は、高価な特別な機械(例えば大きなオーブンまたはオートクレーブ)などの固定コストの額である。また、直接および間接的な材料コストおよび材料浪費も製造コストの合計に影響を与える。
【0010】
特許文献1は複合材料を製造する方法を開示している。記載されている方法は、材料内の空隙を除去することによって大きくかつ高価なオートクレーブを使用せずに複合材料を得ようとする試みであり、その方法は、モールドにおいて適切な強化材料からプレフォームをアセンブルする工程と、モールドにおいて粘着付与剤を用いてプレフォームの粘着力を高める工程と、粘着付与剤プレフォームを真空減量する工程と、内部バッグおよび外部バッグを用いて減量したプレフォームを二重バギングして、バッグの弛緩を制御し、真空完全性を向上させる工程と、真空補助樹脂トランスファー成形プロセスを用いて減量したプレフォームに樹脂を注入する工程と、を含む。
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、実施することが複雑であり、比較的低い強度重量比を与えるなどの不都合な点を有する。
【0012】
背景技術として、1979年に出願された独逸特許出願から優先権を主張している、かなり古い特許文献2も同様に述べている。特許文献2の発明者らは、特に大きな表面を有する構造成分、例えばヘリコプターの回転翼などの含浸に関して、または複雑な形状を有する構造成分に関して、樹脂注入の間の樹脂の流れを適切に制御することは困難であると認識している。特許文献2の発明者らによる、この流れの制御問題は、任意の特定の位置における樹脂の温度が、樹脂の粘度およびそれにより、その流動性を決定するという事実に起因する。流れの制御問題を解決する1つの方法は、高価かつ非常に複雑な加熱されたモールドを使用することである。流れの制御問題を解決する別の方法は、炭素繊維ウェブの1つまたは数個の層を含み得る炭素繊維ウェビング内に樹脂が注入される、特許文献2に開示されているものなどの方法を使用することである。樹脂の必要とされる流動性およびその硬化は、炭素繊維に電流を流すことによって加熱される炭素繊維ウェビングを介して直接、熱を適用することにより達成される。したがって、炭素繊維ウェビングは、構造成分において電気内部加熱マットとして直接作用する。
【0013】
特許文献2の別の目的は、高価な加熱モールドを必要とせずに、加熱モールドを用いるものに比べて低いエネルギー消費で任意のサイズおよび/または形状の繊維化合物成分または構造を製造するための方法を提供することである。
【0014】
開示されている方法によれば、樹脂の硬化温度を生じさせるために電流が炭素繊維ウェビングに供給される。特許文献2はまた、電流の強度を制御することを示唆しており、それはウェビングの異なる領域において困難であり、それにより、加熱強度がウェビングの特定の領域または構造に適用され得る。加熱されていない導電性モールドは、FRP成分の形状を規定するのに使用され、ガラス繊維ウェビングは、炭素繊維ウェビングを導電性モールドから隔離するために使用される。
【0015】
特許文献2の方法の不都合な点は、その方法が、反復ストレスおよび長期間のストレスに対する低い耐久性、および比較的低い強度重量比を有する材料を与える点である。
【0016】
さらに背景技術は特許文献3および特許文献4を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第01/41993A2号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,385,957号明細書
【特許文献3】欧州特許第1724306A1号明細書
【特許文献4】米国特許第4,486,494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明者らは、航空機および自動車工業などの多くの工業が、高い強度重量比を有する良好な材料ならびに反復ストレスおよび長期間のストレスに対する良好な耐久性から利益を受けると考えている。例えば、そのような材料は、軽量な乗り物の大量生産を可能にし、その乗り物により引き起こされるエネルギー消費を効果的に少なくし、環境に与える影響を効果的に少なくする。
【0019】
また、本発明らは、自動車工業などにおいて、材料コストが材料の選択を大きく制限する使用領域にも利用可能な複合材料を製造するために、このような材料を製造するコスト効率の良い方法が必要とされると考えている。
【0020】
乗り物の構造物に使用される材料の強度重量比および耐久性のあらゆる改良は、乗り物の全体重量を低減することが理解されるべきである。例えば自動車において、これにより、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、バッテリーなどの自動車の種々の構成要素の寸法を低減することが可能となり、次いで、複合材料構造物の寸法をさらに低減することが可能となり、材料節約、コスト節約および環境保護のさらなる循環を導く。
【0021】
したがって、本発明の目的は、上述した種類の従来技術の方法よりも改良された繊維強化プラスチック複合材料を製造する新規方法を提供することである。
【0022】
本発明の特定の目的は、高い強度重量比ならびに長期間のストレスおよび反復ストレスに対する高い耐久性を有する改良された繊維強化プラスチック複合材料を製造するコスト効率の良い方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらおよび他の目的は、以下の詳細な説明から明らかになり、ここで、請求項1に記載される本発明による方法によって達成される。その方法の好ましい態様は、関連する従属請求項に記載される。これらおよび他の目的はまた、請求項28に記載されるシステムによって達成され、好ましい態様は関連する従属請求項に記載される。
【0024】
本発明の態様に係る方法は、プラスチックマトリクス物質を強化繊維構造と接触させて、中間材料を形成させる工程を含む。さらに、その方法は、中間材料のマトリクス物質を硬化して、複合材料を形成させる工程を含む。
【0025】
中間材料は、完全に硬化する前の複合材料であると解釈されるべきである。
【0026】
プラスチックマトリクス物質は強化繊維構造と接触する前に、希釈剤と共に混合されて、混合物を形成する。マトリクス物質の硬化の間、希釈剤はマトリクス物質から分離される。このような方法は、高繊維体積分率および高強度重量比を有する繊維複合材料の製造を可能にすることなどの、従来技術の方法よりもいくつかの利点を有する。さらなる利点は、マトリクス物質が内部空隙を実質的に有さず、次いで材料破壊の危険性を低減することである。別の利点は、マトリクス物質が、強化繊維構造を完全に湿潤させ、強化繊維に非常によく接着し、材料全体の高強度、(積層がある場合)層間(inter−laminar)の高強度ならびに長期間のストレスおよび反復ストレスに対する高い耐久性を効果的に導くことである。
【0027】
一実施形態によれば、マトリクス物質からの希釈剤の分離は、中間材料内部から希釈剤にエネルギーを付与することによって実施される。そうすることにより、分離プロセスを短縮することが可能となるので、短時間の製造サイクル、より高い製造スループットおよび全体的により良い製造の経済効率が可能となる。また、このように、分離プロセスが十分に制御され得るので、マトリクス物質がゲル化または完全に硬化する前に、希釈ガスがマトリクス物質から排出され、硬化したマトリクス物質内のブローホールの危険性が効果的に低減する。さらに、硬化プロセスが加速されてもよく、それにより、製造スループットが増加でき、硬化後のオーブンの必要性が減少するか、または全くなくなる。時間の節約により、より短期間で市場に出すことができるようになり、製造遅延が非常に費用がかかり得る、自動車、航空機、スポーツ用品または海洋産業などのスピードが重視される(タイムクリティカルな)プロジェクトに非常に有益なものとなり得る。また、加熱がマトリクス材料内から達成されるので、加熱モールドの必要性がなく、全体として、より低いモールドコスト、より短い製造サイクルおよびより低いエネルギー消費(必要とされる重いモールドの加熱/冷却なし)を導く。
【0028】
さらなる実施形態によれば、強化繊維構造は導電性繊維を含み、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、前記導電繊維に電流を伝導することによって実施される。この利点は、マトリクス物質内においてエネルギーが導入される場合、制御することが容易であることであり、製造される材料の種々の厚さに応じてエネルギー付与を変化させることが可能になり、それにより、材料全体の希釈剤蒸発をより良く制御する。別の利点は、エネルギーを強化繊維に供給するために使用される機器が比較的低価格であり、エネルギーが付与される場所を持続的制御しながら複雑な形状が製造できることである。また、高電力をマトリクス物質に容易に印加できるので、分離プロセスの加速も可能となる。また、エネルギー付与により、非常に高いエネルギー効率が提供されるので、複合材料の製造に必要なエネルギーの総量が低減できる。
【0029】
一実施形態において、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、中間材料にマイクロ波を与えることによって実施される。そうすることにより、導電繊維を含まずに、または導電繊維に近接させずに、マトリクス物質内に容易にエネルギーを付与することが可能となる。さらに、これにより、局所的に集中したエネルギー付与が簡単な方法で実施できるので、厚さが大きく変化するパーツの製造が容易に可能となるという利点がもたらされる。また、エネルギーを付与するこの方法は、上述の導電繊維の抵抗加熱を用いることなどの他の種類のエネルギー付与と容易に組み合わされ得る。マイクロ波を用いる別の利点は、マイクロ波を用いて導入されるエネルギーが、多い割合の希釈剤を有する中間材料の部分により、より高い程度で吸収されることであり(逆も同様)、付与されるエネルギーは、硬化を促進するよりむしろ、マトリクス物質からの希釈剤の分離を促進する役割を果たす中間材料の部分に集中される。
【0030】
別の実施形態において、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、中間材料に音波を与えることによって実施される。そうすることにより、比較的低価格の機器を用いて比較的容易な方法でエネルギーの付与を達成することが可能となる。
【0031】
さらに、一実施形態によれば、中間材料は、希釈剤およびマトリクス物質を分離するためのモールドに配置する前に製造される。これにより、高価なモールドにおいて貴重な時間を取らずにマトリクス物質が強化繊維構造と接触できるという利点がもたらされる。
【0032】
別の実施形態によれば、マトリクス物質が強化繊維構造と接触する前に、強化繊維構造はモールドに配置される。このような方法の利点は、成形の時間まで、強化繊維がマトリクス物質からの分離を維持できるということであり、注入材料の劣化に起因する材料廃棄の危険性が低減し、注入材料の保存が、高価かつエネルギーを消費する冷却器またフリーザーなどの特別な環境を必要としなくなる。
【0033】
マトリクス物質が強化繊維構造と接触する前に、強化繊維構造がモールドに配置される上記の実施形態は、一部の態様において、エネルギーを希釈剤に付与する上記の態様のうちの1つ以上と合わされてもよい。したがって、加熱されていないモールドを使用し、また、混合物を添加する間、ならびに希釈剤およびマトリクス物質を分離する間、同じモールド内に中間材料を維持することによって製造プロセスを簡略化することが可能となる。
【0034】
一実施形態による方法において、プラスチックマトリクス物質が強化繊維構造と接触する場合、エネルギーは、中間材料の混合物中の希釈剤の沸点以下にマトリクス物質の部分を加熱するために中間材料内から付与される。この方法の利点は、強化繊維構造内への希釈したマトリクス物質の添加の間、強化繊維構造内へ導入される流体の粘度が低下し、それにより、マトリクス物質が容易に浸透し、繊維構造を湿潤させることである。さらに、希釈剤の十分な蒸発は、強化繊維構造内へのマトリクス物質の導入の間、促進されず、それにより、ほとんどの希釈剤は、マトリクス物質を導入している間、マトリクス物質内に残ったままになるので、混合物の粘度をより低くするように機能する。このように、製造プロセスはさらに加速されてもよく、強化構造の湿潤がさらに促進され得る。
【0035】
一実施形態において、少なくともマトリクス物質が強化繊維構造と接触する時間の間、モールドに圧力がかけられる。これにより、マトリクス物質は強化繊維構造に容易に浸透し、強化繊維構造を湿潤させ、製造時間を節約し、ブローホールおよび空隙の低い危険性に起因する改良された材料特性を導くという利点がもたらされる。
【0036】
また、真空様(vacuum−like)雰囲気が、少なくとも前記混合物が強化繊維構造と接触する時間の間、モールド内に提供されてもよい。この利点は、マトリクス物質が強化繊維構造にさらに容易に浸透し、強化繊維構造を湿潤させ、さらに時間を節約し、ブローホールおよび空隙の低い危険性に起因するさらに改良された材料特性を導くことである。
【0037】
さらなる実施形態によれば、混合物は、前記強化繊維構造内へのマトリクス物質の過圧注入を実施することによって強化繊維構造と接触できる。そうすることにより、製造プロセスがさらに加速し、繊維とマトリクス物質との間のより良い接着を促進し、可能な場合、繊維のより完全な浸透および十分な湿潤を促進する。なぜなら、加圧されたマトリクス物質はより低い圧力領域までガスを押し出すからである。
【0038】
好ましくは、マトリクス物質から希釈剤の前記分離の間、モールドに圧力がかけられる。そうすることにより、蒸発した希釈ガスの排気を促進するので、複合材料内に空隙および/またはブローホールを有する危険性を低減させる。
【0039】
モールドの1つ以上のモールドキャビティ表面は実質的に断熱材料から製造されているので、中間材料内部からのマトリクス物質へのエネルギーの前記付与を制御することにより、モールド内容物の温度を制御することが容易となる。なぜなら、熱伝導モールドが使用されている場合と比較して、熱がモールドにほとんど移動されないからである。また、マトリクス物質の加熱時間を短縮し、より高い製造スループットを導くことが可能であり得る。
【0040】
さらに、モールドの1つ以上のモールドキャビティ表面は、実質的に電気的に絶縁された材料から製造され得るので、任意の導電性モールドキャビティ表面から導電繊維を絶縁するためのガラス繊維ウェブなどの別の絶縁構造を必要とせずに導電性強化繊維の抵抗加熱を使用することが可能となる。この利点は、ガラス繊維ウェブなどの別の絶縁構造が中間材料とモールドキャビティ表面との間に使用される場合と比べて、モールド複合材料の平滑で、より見た目にきれいな表面仕上げが達成されることである。
【0041】
好ましい実施形態において、モールドは、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリエチレンテレフタレートなどのうちの1つ以上の実質的にプラスチックから製造される。そのようなモールドを用いることにより、金属モールドを製造することと比べて、モールドの製造に必要とされる時間が低減され得るという利点がもたらされる。また、モールドの工具コストを低く維持でき、モールドの材料コストも低く維持できる。さらに、モールドのためにプラスチック材料を用いることにより、従来の金属モールドを用いることと比べて、モールド形状の変更が容易に可能となる。指定したプラスチックは全て、低摩擦、十分な被削性(機械加工性)、十分な高温耐性、微細表面仕上げおよび/または低価格などの種々の有益な特徴を与える。金属モールドの代わりにプラスチックモールドを使用する別の利点は、モールドからの複合材料の除去を容易に促進するためにモールド表面に使用されなければならない離型剤がいらないことである。
【0042】
好ましい実施形態において、希釈剤は、マトリクス物質に対して実質的に反応しない希釈剤である。これにより、希釈剤のほとんどは、マトリクス物質と反応しないので、蒸発を介して、または任意の他の除去手段によってマトリクス物質から除去され得るという利点がもたらされる。
【0043】
さらに別の実施形態において、希釈剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびヘプタノールの群から選択されるアルコールであり、ここで、マトリクス物質はエポキシである。マトリクス物質と希釈剤とのこのような組み合わせにより、十分な希釈性(dilutability)が提供される。さらに、マトリクス物質の硬化が中間材料に蒸発したガスを残すほど急速でない温度範囲において希釈剤蒸発の十分な制御が提供される。また、希釈剤はエポキシに対して実質的に反応しない。一旦硬化すると、エポキシは強化繊維の間に高強度の結合を与える。
【0044】
一実施形態において、混合物は体積で1〜70%の希釈剤を含む。このような量の希釈剤を有することにより、低粘度の混合物の生成が提供され、マトリクス物質を繊維に加えることが容易となり、また、蒸発の間、適切な量の収縮を有する混合物が提供されるので、最終的に強化構造の部分は実質的にマトリクス物質を有さず、マトリクス物質/混合物の収縮によって引き起こされるゲル化の間/後にマトリクス物質において実質的に亀裂が現れない。
【0045】
一実施形態によれば、強化繊維構造は、強化繊維構造の少なくとも30重量%の炭素繊維含量を有する。少なくともこのような炭素繊維含量を有することにより、全体の加熱が、強化材料の炭素繊維の抵抗加熱により複合材料全体にわたって達成され得る。
【0046】
上記の方法は、それぞれの強化繊維構造の選択に関して理論的に可能であるものと比べて、非常に高い繊維体積分率を有する高品質の繊維強化プラスチック複合材料を製造するために使用され得る。本発明による方法を用いて達成される結果は、少なくともこのような低価格でフレキシブルかつ時間効率の良い方法ではない、従来技術を用いて今まで達成されていなかった結果を与える。
【0047】
一態様によれば、上記の態様のいずれか一つによって得られる繊維強化プラスチック複合材料が提供される。
【0048】
別の態様によれば、繊維強化プラスチック複合材料が提供される。その材料は強化繊維構造およびマトリクス物質を含む。その強化繊維構造は複数の強化繊維を含み、マトリクス物質は、強化繊維構造の繊維の間の結合剤として強化繊維構造内に分配される。さらに、繊維強化プラスチック複合材料は、65%より高い繊維体積分率(FVF)を有する。
【0049】
さらに別の態様によれば、繊維強化プラスチック複合材料は80%超のFVF/Tmaxを有する。そのような物質は、得られる複合材料が非常に十分な導電性であり、ステレス技術用途の使用に適した材料になるという利点を有する。そのような材料のさらなる利点は、十分な熱伝導性であるので、材料の局所的加熱に対する感受性を低下させる(そうでなければマトリクス材料を損傷させ得る)。
【0050】
また、本発明の態様による方法を実施するシステムが提供される。そのシステムは、閉じることができるモールド、エネルギー供給装置、マトリクス物質コンテナ、希釈剤コンテナ、硬化剤コンテナおよび前記コンテナから混合メーターに流体を供給するように構成された1つ以上のポンプを備える。さらに、前記システムはモールドプレスおよび真空システムを備える。モールドプレスは油圧プレスであり得る。
【0051】
そのようなシステムは、上記のものなどの高性能複合材料の効果的な製造を可能にする。
【0052】
本発明の実施形態は添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は本発明の一実施形態による方法を実施するシステムの例を示す。
【図2】図2は一方向繊維の強化繊維構造の一部の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明による方法は主に、高性能炭素繊維複合材料を製造する場合の使用を意図するが、他の使用も実現可能である。そのような材料は、高強度および剛性を有する軽量構造を達成することが非常に望まれる、宇宙船、衛星、航空機、船、ボート、スポーツカー、風車、およびゴルフクラブなどの厳しい用途において特に有用である。本明細書以下で、本発明の実施形態に係るこのような方法を記載する。
【0055】
(一般的方法)
要約すれば、本発明の態様に係る方法は、
マトリクス物質と希釈剤を混合して、混合物を形成させる工程と、
混合物を強化繊維構造と接触させる工程と、
マトリクス物質の硬化の間にマトリクス物質から希釈剤を分離して、繊維強化複合材料を形成させる工程と、
を含む。
【0056】
本発明の一実施形態に係る方法において、エポキシまたはポリエステル樹脂などのプラスチックマトリクス物質をエタノールなどの適切な希釈剤と混合して、混合物を形成させる。次いで混合物を炭素繊維ウェビングなどの強化繊維構造と接触させて、中間材料を形成させる。その後、マトリクス物質が硬化している間、例えば希釈剤を蒸発することによって、希釈剤をマトリクス物質から分離して、繊維強化プラスチック複合材料を形成させる。
【0057】
マトリクス物質という用語は、相(物質がその相の状態である)と関係なくマトリクス物質を意味すると理解されるべきである。例えば、マトリクス物質がエポキシであると言われている場合、マトリクス物質は、明確に示されない限り、文脈に応じて、未硬化の樹脂、半硬化および硬化した樹脂を説明するために使用され得ることを意味する。
【0058】
また、「中間材料」の用語は、「プリプレグ」と混同されないものと理解されるべきである。本開示の文脈内で、「中間材料」の用語は、樹脂が完全に硬化する前の樹脂、希釈剤、および強化繊維の複合物を意味するために使用される。樹脂が完全に硬化した後、樹脂および強化繊維複合物は、「繊維強化プラスチック複合材料」または単に「繊維強化プラスチック製品」と称される。
【0059】
非常に多くの希釈剤が使用される場合、マトリクス物質を欠く強化繊維構造の部分を得る高い危険性がある。希釈剤をほとんど使用しない場合、混合物になり得ず、マトリクス物質を完全に有さないままの強化繊維構造の部分を有する高い危険性がある。
【0060】
本発明の方法において、繊維構造内のマトリクス物質の分配は、混合物を形成させるために希釈剤でマトリクス物質を希釈し、次いで強化繊維構造内に混合物を分配することによって促進される。混合物は、マトリクス物質そのままより強化繊維構造内で分配しやすくなる。したがって、マトリクス物質は、強化繊維構造内の実質的に全ての繊維表面、およびさらに繊維間に形成される小空間に容易に加えられ得る。
【0061】
強化繊維構造の繊維の間の強力かつ耐久性のある結合を達成するのに必要とされるマトリクス物質の量は、強化繊維構造の繊維が互いに近接するようになり得る方法に依存し、そしてそのマトリクス物質の量は、繊維の間の空隙を埋め、繊維の表面に十分に接着するのに必要とされるマトリクス物質の量と規定される。繊維の直径および強化繊維構造内の繊維の配置は、最終的に、強化繊維が互いにどれくらい近接し得るか、強化繊維がどれくらい曲がるか、それにより、強化繊維構造がどれくらいコンパクトになり得るかを規定する。例えば、平行繊維の強化繊維構造は互いに非常に近接し得るが、ランダムに配置された繊維マットの繊維は互いに近接しなくなり得る(図2を参照のこと)。
【0062】
特に、数層の密に織られた強化繊維織物が強化繊維構造に使用される場合、強化繊維構造に樹脂を適用する従来技術の方法は有用ではない。なぜなら、少なくとも適度な時間で、従来技術を用いて、樹脂を繊維構造に完全に浸透させることは不可能に近いからである。
【0063】
(マトリクス物質の調製)
マトリクス物質の硬化をもたらすために、硬化剤が必要とされる場合、混合物が強化構造内にもたらされる前に、硬化剤は好ましくはマトリクス物質と混合されることが理解されるべきである。このための1つの理由は、マトリクス物質が強化繊維構造と接触する前に、マトリクス内に硬化剤を均一に分配し、混合しやすくするという事実に起因する。加えられる硬化剤の量は、マトリクス物質の製造業社により典型的に与えられる仕様により決定される。
【0064】
マトリクス物質と硬化剤とを完全かつ均一に混合することにより、マトリクス物質の全ての部分の首尾良い硬化が促進される。なぜなら、マトリクス物質の全ての部分は、完全な硬化のための正確な量の硬化剤を含み、硬化剤を非常に多く、または非常に少なく含んでいる部分がないからである。硬化剤がマトリクス物質内に非常に多く存在している場合、過剰な硬化剤は反応し得ず、それ故、マトリクス物質内に液体として残り得、複合材料の強度および/または耐久性を低下させる可能性がある。同様に、マトリクス物質の一部が非常に少量の硬化剤を有する場合、マトリクス物質のこの部分は適切に硬化せず、それ故、複合材料の強度および/または耐久性を低下させる可能性がある。
【0065】
完全かつ均一な混合はまた、マトリクス物質の均一な硬化を促進する。これは次いで、マトリクス物質を強化繊維と接触するプロセスを制御しやすくする。なぜなら、混合物中のマトリクス物質の粘度は混合物全体にわたって実質的に均一であるからである。
【0066】
強化繊維構造内の混合物の分配は好ましくは、マトリクス物質のゲル化が開始する前に完了される。ゲル化プロセスがより長く進行すると、マトリクス物質がより厚くなり、マトリクス物質内の亀裂の危険性がより高くなる。好ましくは、混合物が強化繊維構造全体にわたって分配された後にのみ、ゲル化が生じる。
【0067】
マトリクス物質の硬化速度は多いに変更され、一部のマトリクス物質は、特定の温度下に維持される場合、非常にゆっくりと硬化するか、または全くしないということが言及されるべきである。
【0068】
多くの場合、混合物は2〜15%の体積で希釈剤を含むが、少なくとも70%までの量が可能であり、混合物の粘度を低下させる役割をする。多量の希釈剤が混合物に与えられる場合、希釈剤の蒸発の間に多くのガスが生成されるので、適切に寸法決めされた通気システムが蒸発したガスを処理するために提供されなければならない。混合物の粘度が、繊維構造の十分な湿潤を可能にするのに十分低い限り、例えば希釈剤の廃棄を回避し、不必要な通気の必要性を回避するために、希釈剤の量は低く維持されなければならない。
【0069】
(混合物の調製)
希釈剤を選択する場合、マトリクス物質の混合物が、最初にマトリクス物質が有する粘度より低い粘度であるように、マトリクス物質より低い粘度を有するものを選択する。また、多くの場合、完全に硬化する前に、可能な限り多くの希釈剤がマトリクス物質から分離できるように、マトリクス物質と実質的に反応しない希釈剤を選択することが賢明である。しかしながら、比較的ゆっくり反応する限り、反応性希釈剤が使用されて、相当な量の希釈剤がマトリクス物質または任意の他の添加剤(例えば硬化剤、充填剤、染料、色素など)と反応する前に、マトリクス物質から分離されてもよいことが理解されるべきである。
【0070】
希釈剤およびマトリクス物質の混合物は、希釈剤なしのマトリクス物質と比べて比較的低い表面張力を有する。したがって、混合物と各々の強化繊維との間の接触角は、希釈剤なしのマトリクス物質と比べて小さい。これにより、混合物が繊維構造の複雑な形状に比較的容易に適合し、それに従うので、強化繊維構造内に混合物を分配する間、繊維がマトリクス物質により完全に湿潤するという利点がもたらされる。
【0071】
(強化繊維構造への混合物の添加)
混合物を強化繊維構造と接触させる多くの方法が存在し、それらのうちのいくつかは、例えば、強化構造内の混合物のより完全な分配を達成するために組み合わされてもよい。完全な分配とは、強化構造の実質的に全ての部分が混合物で湿潤し、また、繊維の間の到達しにくい小空間が混合物、それにより、マトリクス物質で満たされることを意味する(強化繊維構造内の混合物の分配の間、マトリクス物質が混合物内に均一に分配すると仮定する)。
【0072】
一実施形態によれば、混合物は手動で(例えばブラシの使用により、または強化繊維構造上に混合物を単に注ぐことにより)強化繊維構造に加えられる。手動で適用するそのような方法は、ほとんどの時間モールドなどを使用せずに実施される。適用の間、強化繊維構造を保持するためにモールドなどが使用される場合、そのようなモールドは好ましくは開口モールドであるので、手動での適用は、モールド内に配置された強化繊維構造により実施され得る。
【0073】
別の実施形態によれば、繊維の毛管現象を用いて混合物を強化繊維構造と接触させる。繊維構造は、多くの場合、数千、または数百万の個々の繊維フィラメントを有し、それらは、毛管現象により一緒に作用して、繊維と接触する低粘性液体の移動を促進する。混合物が強化繊維構造に供給される場合、毛管現象は混合物をさらに吸引し、さらに強化繊維構造が全体にわたり、強化繊維構造の全体への浸透が達成され得る。毛管現象の影響は、マトリクス物質単独でよりも本発明による混合物においてより強い。
【0074】
さらなる実施形態によれば、強化繊維構造は閉じることができるモールドに配置され、混合物は過圧を用いてモールド内に注入される。
【0075】
ここで、閉じることができるモールドは、モールドキャビティ(複数も含む)内の圧力が制御され得るように閉じることができるモールドである。閉じることができるモールドは、入口および出口を有してもよく、さらに閉じることができるとみなされ得ることは理解されるべきである。入口は、例えば、樹脂注入口であってもよく、それを介して、樹脂または他のマトリクス物質がモールド内に注入され得る。出口は、例えば、モールド内に加圧または真空を生じさせるための真空ポンプまたは真空システムに接続されるポートであってもよい。
【0076】
別の実施形態において、加圧を生じさせることができる真空ポンプ、または任意の他のポンプは、閉じることができるモールドの出口に接続されるので、加圧はモールド内部の強化繊維周囲に提供され得る。したがって、ガスが強化繊維構造周囲から取り除かれるので、混合物は構造物を容易に湿潤させることができる。加圧がモールドに提供される場合、供給される混合物と強化繊維構造内にさらに分配される混合物との間の圧力差は増加し、混合物は強化繊維構造内に容易に分配し、繊維を十分に湿潤する。
【0077】
一実施形態において、湿潤をさらに向上させ、繊維を完全に湿潤させるのに必要な時間を短くするために、混合物の過圧注入がモールド内に圧力を生じさせることと共に使用される。
【0078】
(希釈剤およびマトリクス物質の分離)
繊維構造に完全に浸透させるために、十分な混合物が強化繊維構造に分配されると、希釈剤およびマトリクス物質の分離が、例えば、中間材料内部から希釈剤にエネルギーを付与することによってアクティブに促進され得る。
【0079】
希釈剤は好ましくは希釈剤の蒸発によりマトリクス物質から分離されるが、希釈剤と別の物質またはガスとを反応させることなどの、希釈剤の任意の他の除去手段が使用され、次いで得られた物質またはガスを除去できることは理解されるべきである。
【0080】
希釈剤およびマトリクス物質の分離の1つの利点は、希釈剤が分離され、中間材料から除去される場合、混合物が収縮するので、強化繊維構造がコンパクトになるということである。これは、高い繊維体積分率を有するコンパクトな複合材料を達成する非常に効果的な方法である。
【0081】
希釈剤が蒸発すると、それは、液体マトリクス物質を介して、または中間材料の複合体内部構造内の大きな空隙もしくはブローホールを介して、出て行くことが見られる。
【0082】
液体マトリクス物質と比べて多量の高粘性ゲル化マトリクス物質が存在する場合、蒸発した希釈剤は、中間材料を出て行くのにゲル化マトリクス物質を通過しなければならない場合があり、ゲル化マトリクス物質内に亀裂が生じる危険性が高くなる。そのような亀裂は仕上げられた複合材料内に残っているままであり得るので、周囲のマトリクス物質がゲル化または硬化する前に可能な限り多くの希釈剤を蒸発させることによって、それらを回避することが望ましい。
【0083】
希釈剤、または希釈剤の少なくとも一部を蒸発させるために、その部分は好ましくは、その部分の現在の周囲圧力下で蒸発が開始し得る温度に到達するように最初に十分なエネルギーが与えられる。周囲圧力が低いと蒸発に必要な温度が低く、その逆も同様である。その後、希釈剤のその部分を蒸発させるために追加のエネルギーが加えられなければならない。
【0084】
全ての希釈剤が混合物全体にわたって一度に蒸発されるとは限らず、蒸発プロセスは段階的プロセスであることは理解されるべきである。
【0085】
したがって、希釈剤の少なくとも一部の温度が、現在の周囲圧力下で蒸発を開始し得る温度に到達すると、希釈剤は、周囲ガス、液体または固体物質(例えば周囲ガス、強化繊維またはマトリクス物質)からのエネルギーを用いることによって、蒸発するようになり得る。
【0086】
また、希釈剤の部分とその周囲流体または固体との間にエネルギーバランスが存在し、希釈剤の蒸発の間の希釈剤およびその周囲物質の急速な温度上昇を効果的に防ぐことも理解されるべきである。ここで、強化繊維構造が、炭素繊維などの十分な熱導体である繊維を含む場合、それらの繊維は、中間材料全体にわたって熱を分配する役割を果たすので、液相と気相との間の状態の変化の間、希釈剤がもたらすエネルギーバランス効果をさらに広げる。エネルギーバランス効果は、もはや希釈剤により囲まれていないマトリクス物質の部分の温度が増加し得た後、希釈剤の蒸発の間、混合物中で温度を均一に維持する役割を果たし、それ故、容易かつ迅速にゲル化および硬化して、複合材料を形成できる。
【0087】
希釈剤の蒸発を加速させるために、エネルギーは、希釈剤の部分に直接または周囲の繊維もしくはマトリクス物質を介してなどのように周囲物質を介して間接的に加えられてもよい。
【0088】
従来の加熱されたモールドは、エネルギーを希釈剤に加えるのに不適当な手段であることが理解されるべきである。なぜなら、モールドキャビティ表面に近接した希釈剤は最初に蒸発し、モールドキャビティ表面から離れ、液体または気体形態の混合物に入るガス体積を形成するからであり、何度も泡の生成、およびブローホールを生じ、後で硬化プラスチック内に残ったままになる。また、高温モールドキャビティ表面からの熱は、モールドキャビティ表面に近接するマトリクス物質の硬化プロセスを最初に加速させ、ゲル形態、または固体、マトリクス表面の外層、または「シェル」が中間材料の周囲に形成するので、希釈剤は、複合材料の内側に捕捉され、さらにエネルギーが加えられる場合、複合材料の内側にさらなるブローホールを形成する可能性がある。最悪のシナリオの場合、複合材料が加熱されると、そのような捕捉された希釈剤は内部ストレスを生じ、亀裂および材料破壊を導く。そのような問題は本発明による方法を使用すると回避される。
【0089】
一実施形態によれば、希釈剤およびマトリクス物質の分離は、中間材料内からエネルギーを付与することによって促進される。これにより、外側マトリクス物質が高粘度ゲルを形成する前、およびマトリクス物質が硬化して固体物質を形成する前に中間材料内の希釈剤が蒸発するという利点がもたらされる。この実施形態によれば、蒸発した希釈剤のガスは、空隙または周囲液体もしくはガス形態物質を介して出ていくことが比較的容易に見出される。
【0090】
希釈剤が蒸発する場合、ほとんどの場合、希釈剤は最終的に中間材料の外周面に到達する。モールドが使用されない場合、蒸発した希釈剤のガスは周囲空気内に排出される。しかしながら、閉じることができるモールドが使用される場合、蒸発した希釈剤は好ましくは、可能な場合、モールドのキャビティ表面におけるガス輸送チャネルにより支援されて、真空システムなどの加圧システムを介して除去される。
【0091】
(圧力差)
混合物は強化構造内を自由に移動できないので、圧力差が、混合物内、また、液体もしくはゲル化マトリクス物質内で生じ得る。例えば、混合物の過圧注入がモールド内の加圧と共に使用される場合、マトリクス物質の圧力は、モールド内の強化構造内にさらに移動している混合物内に存在するよりも、マトリクス物質の圧力はモールドの入口に非常に近接する。
【0092】
混合物が高い割合の希釈剤を含有する場合、圧力差は強化繊維構造中の混合物内でより容易に一定になる。また、希釈剤が混合物から蒸発する場合、混合物はより高粘度になり、したがって、強化繊維構造に以前ほど容易に浸透できない。
【0093】
初期の液相と最終的な硬化固体相との間の硬化プロセスの中間相として、マトリクス物質は、高粘度ゲルを形成するゲル化相がある。ゲル化マトリクス物質が固体に向かうと、ゲル化の間に材料内に残ったままのいくらかの圧力差は、複合材料の耐久性を低下させるので明らかに望まれない、蓄積ストレスの形態でマトリクス物質内に保存される。
【0094】
蓄積ストレスを回避するために、マトリクス物質がゲルを形成する前に、希釈剤の主要部分、好ましくは実質的に全ての希釈剤をマトリクス物質から分離し、それにより、マトリクス物質がゲルを形成した後、中間材料内に実質的にガスが生成されず、それにより、マトリクス物質が高粘度ゲルを形成する前に、混合物の収縮が実質的に完了することが望まれる。そうすることにより、得られるマトリクス物質内の亀裂の危険性が減少する。
【0095】
(希釈剤にエネルギーを付与する方法)
エネルギーを付与するいくつかの方法が存在し、それらのうちの全てはそれら独自の利点をもたらし、それらの一部のものは一緒に使用するのに好適である。
【0096】
一実施形態によれば、強化繊維構造は導電性繊維を含み、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、前記導電性繊維に電流を伝導することによって実施される。
【0097】
一実施形態において、電流が移動する点の間を制御するために、電極は強化繊維構造上の選択された位置に接続される。電極の位置は、製造される複合構造/材料の形状に依存する。複合構造の厚さは変化させてもよいので、強化構造の種々の部分に導入されるエネルギーの量を適合させる必要性があり得、それにより、構造の部分は非常に多くのエネルギーを得るか、または全く得られない。導入されるエネルギーの量は、電極を取り付けるか、もしくは取り外すことによって、および/または電極と他のものとの間の電位を調節することによって変化され得る。電極を繊維構造に接触させる場所を提供するために、最終的に形成される複合材料構造の部分となるものより大きな繊維構造が提供されてもよい。次いで、それらがこれ以上必要とされない場合、余分な部分または繊維構造が除去されてもよい。
【0098】
エネルギーが繊維を介して付与される場合、付与されるエネルギーは繊維周囲の混合物を加熱し、それによって、希釈剤を、繊維に近接し始めるマトリクス物質から分離し、最終的に、繊維に近接するマトリクス物質の硬化の促進を導く。したがって、蒸発した希釈剤のガスは、硬化していない樹脂を介して外側に導かれ、中間材料内で捕捉されずに蒸発し得る。
【0099】
一実施形態において、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、中間材料上にマイクロ波を与えることによって実施される。そのような方法は導電繊維を必要とせずに機能する。例えば、そのような方法は、主にガラス繊維を含む強化繊維構造の部分について、または希釈剤の迅速な蒸発および/もしくは迅速な硬化を達成するために追加のエネルギーが必要とされる厚い部分について有益である。
【0100】
一実施形態によれば、エネルギーの付与は、少なくとも部分的に、強化繊維構造に加熱を導入することによって実施される。これを実施するために、強化繊維構造は導電性繊維を含まなければならない。この利点は、より厚い部分などの強化繊維構造の部分の局所的加熱が、加熱モールドを必要とせず、および強化繊維との直接的な電気接触を必要とせずに実施され得ることである。
【0101】
(強化繊維構造)
強化繊維構造は、ウェブ、マット、バンドもしくは他の繊維構造、またはそのような構造の組み合わせであってもよい。強化繊維としての使用に好適な典型的な繊維は、炭素、ガラス、アラミドおよびケブラー(Kevlar)繊維であるが、強度、温度耐性、伝導性などのそれらの物理特性に依存して、他の繊維が好適であってもよい。
【0102】
(マトリクス物質の硬化)
上述のように、硬化剤が使用される場合、マトリクス物質の硬化は、好ましくは、マトリクス物質が強化繊維構造と接触する前に開始される。そのような場合、硬化プロセスは、エポキシまたはポリエステルなどのマトリクス物質と、硬化剤との間の化学プロセスである。そのような硬化プロセスは、時々、適度な量の加熱によりわずかに加速され得る。また、硬化プロセスは典型的に発熱反応であり、熱は硬化プロセス自体の化学反応により生成され、可能な場合には、均一で急速な硬化プロセスを導き、温度が非常に高い場合、材料損傷の危険性があることが言及されるべきである。
【0103】
したがって、中間材料の硬化は待つだけで実施され得るが、またさらに熱を付与することによりわずかに加速され得る。
【0104】
(希釈剤およびマトリクス物質の選択)
希釈剤の選択は、ほとんどはマトリクス物質の選択に依存し、次にマトリクス物質の所望の特性(例えば高強度、低価格、強化繊維材料に対する十分な接着、十分な耐食性、低い毒性など)に依存する。
【0105】
希釈剤はマトリクス物質を希釈する能力を有するべきである。また、希釈剤は、好ましくは、混合物が強化繊維構造と接触した後まで蒸発を開始しないように十分高く、かつ希釈剤の十分な蒸発を迅速にできるほど低い通常の沸点を有するべきであり、それにより、外側周囲マトリクス物質は上記のようにゲルを形成する時間を有さない。
【0106】
異なるマトリクス材料は異なる推奨される硬化温度を有する。一部のマトリクス材料は、室温で硬化するのに好適であるが、一方、完全に硬化するために他のものはより高い温度を必要とする。硬化剤の推奨される量はマトリクス物質の製造業社により特定される。
【0107】
典型的なマトリクス物質は、一般に強化繊維構造に使用されるエポキシ樹脂または一般に繊維構造を強化するために使用されるポリエステル樹脂などの樹脂である。
【0108】
一実施形態によれば、希釈剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびヘプタノールからなる群より選択されるアルコールであり、マトリクス物質はエポキシ樹脂である。
【0109】
(モールド)
モールドは、製造される複合材料の形状を規定し、および/または混合物を強化繊維構造と接触させるプロセスを行うために使用され得る。ここで、複合材料の形状を規定する目的のために例えモールドが使用されなくても、中間材料を形成するために混合物を強化繊維構造と接触させるプロセスを行う閉じることができる容量としてモールドが使用されてもよく、中間材料がモールドから除去され得た後、次いでさらに処理および/または硬化されることは理解されるべきである。したがって、モールドは、製造される複合材料の形状を規定するためにのみ使用されてもよく、その場合、中間材料はモールドの外側で製造され、次いでモールドに入れられてもよい。
【0110】
モールドの形状および設計は、製造される複合材料部分の設計に大部分依存する。上記のように、モールドは開口または閉鎖モールドのいずれであってもよい。閉鎖モールドは、例えば、1つ以上の出口をから離間した1つ以上の入口を有する両面モールドであってもよい。出口は真空システムに接続されてもよい。また、モールドは、モールドキャビティ内に1つ以上のチャネルを備えてもよく、その中に蒸発した希釈剤が出ていき、出口が開口している場合、そのチャネルを介して、蒸発した希釈剤がモールドの1つ以上の出口の方へ導かれる。したがって、希釈剤およびマトリクス物質の分離の間、例え出口が開口していなくとも、蒸発した希釈剤は、液体または固体物質で満たされていないモールドのそのようなキャビティに出ていくことができる。
【0111】
好ましくは、本発明の一実施形態に従う方法と共に使用されるモールドは、ポリプロピレンから作製されたモールドなどのプラスチックモールドである。金属モールドの代わりにプラスチックモールドを使用することにより、導電性繊維を電流が流れる点の間を制御することが容易になり、金属モールドなどの導電性モールドと比べて、電気が不用意に強化繊維構造からそれないことを確保する。さらに、金属モールドの代わりにプラスチックを使用することにより、モールドの製造のための材料および工具コストが低減される。モールドは加熱される必要はなく、加熱したモールドを用いるものと比べて、製造サイクル時間は減少され、エネルギー消費は低下され得る。金属モールドの代わりにプラスチックモールドを用いる別の利点は、モールドから複合材料の除去を促進しやすくするためにモールド表面に離型剤を使用しなくてもよいことである。
【0112】
(製造システム)
ここで、本発明の一実施形態に係る方法を実施するためのシステムSを図1を参照して記載する。システムSは3つの流体コンテナを備える。第1の流体コンテナ1はマトリクス物質Aを保存するように構成され、第2の流体コンテナ2は希釈剤Bを保存するように構成され、第3の流体コンテナ3は硬化剤Cを保存するように構成される。
【0113】
各コンテナは、各コンテナからそれぞれ液体を混合メーター7およびモールド8に供給するように構成されたポンプ3、4、5と流体接続している。混合メーター7は、マトリクス物質、希釈剤および硬化剤を注入するように構成され、それらを混合して、混合物を形成させ、次いで混合物を前記ポンプ3、4、5によりモールド8に供給する。混合メーター7は、その混合メーターをモールド8の入口9に接続する使い捨ての混合ユニットを備える。使い捨ての混合ユニットにおいてマトリクス物質を硬化した場合/時、ユニットは新しいものに容易に交換され得るので、システムの流路は用意された製造ランをきれいに保つのが容易になる。モールド8は典型的に、入口9および出口10を有する流体接続においてモールドキャビティを規定するように共にもたらされ得る複数のモールド部分を有する。さらに、モールド8は、強い圧力下でモールド8を任意に置くように構成される油圧プレス11に取り付けられる。また、モールド8は、モールドキャビティが入口および出口のいずれかを除いて閉じられることを確保するように構成されるガスケット12、13、14を備えるので、流体のみが入口と出口とを接続し、それにより、モールドキャビティ内の圧力が、モールド8の入口および出口を介して流体を送り込むまたは吸い出すことにより制御され得る。真空ポンプを備える真空システム15はモールド8の出口9に接続される。さらに、エネルギー供給装置16は、任意に電力を、ワイヤ16a、16bおよび強化繊維構造Fの導電性繊維に電気接続されるモールドに配置される接続ブロック/ストリップ16c、16dを介してモールド8に配置される強化繊維構造Fに提供するように提供される。さらに、コアCは、強化繊維構造Fを支持するためにモールドキャビティ内に配置され得る。
【0114】
油圧プレスは、モールドに直接または間接的に作用する複数のねじなどのモールド部分を共にプレスする任意の他の手段により置換されてもよいことは理解されるべきである。
【0115】
(システムを使用する方法)
最初に、3つのコンテナ1、2、3をエポキシ基剤A、エタノールBおよびエポキシ硬化剤Cでそれぞれ満たす。次いで、モールドを開口し、複数の層または炭素繊維ウェブを含む強化繊維構造Fを安定なサイズに切断し、コアD周囲のモールドキャビティに配置し、その後、モールド8を閉じ、油圧プレス11により圧力下に置く。真空システム15および混合メーター7をモールドに接続し、真空システム15をアクティブにして、モールドキャビティおよび全ての穴ならびにモールドキャビティと流体連絡する他の空間の内側に真空様雰囲気を与える。一旦、真空様雰囲気を達成すると、ポンプ4、5、6および混合メーター7をアクティブにして、高圧下でモールドキャビティ内に混合物を供給し、それにより、強化繊維構造Fは、中間材料を形成するために混合物により完全に浸透される。一旦、モールドキャビティが混合物で満たされると、エネルギー供給装置16をアクティブにして、強化繊維構造F内の電気接続した炭素繊維を抵抗加熱し、それにより、エタノールBを、中間材料内の混合したエポキシA+Cから分離する。蒸発したエタノールBは、真空システム15を使用してモールド8の出口10を介してモールドキャビティから出ていく。一旦、実質的に全てのエタノールBが混合したエポキシA+Cから分離し、排出されると、過熱せずに混合したエポキシA+Cの迅速な硬化を促進するために抵抗加熱が適切なレベルで適用される。
【0116】
【表1】

max=強化繊維構造の理論最大繊維体積
**FVF=繊維体積分率
***maxに対する実際のFVF=FVF/Tmax
【0117】
表1は、従来技術の方法により製造された最適な公知の繊維強化プラスチック複合材料の材料特性と比べた、本発明に係る方法により典型的に得られる材料の材料特性を示す。
【0118】
上述のように、任意の特定の強化繊維構造について、構造内の繊維の配向および繊維の相対位置に従ってどれくらいの繊維が、構造の境界(Y)内に適合(フィット)できるかについての理論最大値が存在することが理解されるべきである。任意の所与の強化繊維構造についての理論最大繊維体積分率(Tmax)は、数学計算により近似されてもよい。例えば、図2に示すように、一方向繊維についてのTmaxは、繊維17の断面積を算出し、その面積を強化繊維構造の総断面積で割ることにより近似されてもよい。多くの繊維を有する一方向繊維構造について、面積は、図2のボックスXにより示されるそれぞれの面積についてのTmaxを算出することにより近似されてもよい。
【0119】
表1に示すように、一方向繊維についてのTmaxを算出すると約91%であり、綾織物(twill−woven)強化繊維構造についてのTmaxは約73%である。
【0120】
本発明による方法によって得たプラスチック強化綾織物繊維を含む材料の一片における繊維体積分率(FVF)についての実際の測定値は約65%以上のようである。
【0121】
理論最大繊維体積分率と比較した実際の繊維体積分率はFVF/Tmaxとして算出できる。
【0122】
上記の表1に示すものよりさらに高い繊維体積分率は、本発明の方法を用いて達成され、例えば、綾織物繊維について約71%、および一方向繊維について約82%であり、それぞれ約97%および90%のFVF/Tmax値に変換する。
【0123】
表1に示すように、従来技術の方法を用いてプラスチック強化一方向繊維を含む複合材料で得た最も高いFVFは約65%であり、一方、綾織物繊維についての対応する値は55%である。
【0124】
最適な公知の方法に関して、それは、一方向繊維について72%および綾織物繊維について75%のFVF/Tmax値を与える。
【0125】
高FVFは、所望の材料特性を与えるので、達成することが望まれることが従来技術において知られている。
【0126】
明らかに、一方向繊維は、ランダムに配向された繊維を有する綾織物の織り方、またはマットなどのあまり十分に規則正しくない繊維構造よりコンパクトな形態で構造化しやすい。したがって、綾織物繊維から作製されるものより一方向繊維から作製される複合材料に関して高FVFを達成することは容易である。もちろん、達成されるFVFは、常に、任意の所与の強化繊維構造についてTmax以下である。
【0127】
本発明は本明細書に記載される実施形態に限定されず、いくつかの変更が添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で実現可能であることは留意されるべきである。例えば、マイクロ波または音波が、中間材料内の混合物中の希釈剤の沸点以下にマトリクス物質の部分を加熱するために中間材料内からエネルギーを付与するために使用されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[a]マトリクス物質を強化繊維構造と接触させて、中間材料を形成させる工程と、
[b]前記中間材料の前記マトリクス物質を硬化させて、複合材料を形成させる工程と、
[c]工程[a]の前に前記マトリクス物質と希釈剤を混合して、混合物を形成させる工程と、
[d]工程[b]の間に、マトリクス物質から希釈剤を分離する工程と、
を含む、繊維強化プラスチック複合材料を製造する方法。
【請求項2】
工程[d]が、前記中間材料内部から希釈剤にエネルギーを付与することによって実施される、請求項1に記載の繊維強化プラスチック複合材料を製造する方法。
【請求項3】
前記強化繊維構造が、導電性繊維を含み、工程[d]が、少なくとも部分的に、前記導電性繊維を介して電流を伝導することによって実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程[d]が、少なくとも部分的に、前記中間材料にマイクロ波を与えることによって実施される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程[d]が、少なくとも部分的に、前記中間材料に音波を与えることによって実施される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記中間材料が、工程[d]を実施するためにモールドに配置される前に製造される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記強化繊維構造が、工程[a]を実施している少なくとも一部の間、モールドに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記強化繊維構造が、工程[a]を実施している少なくとも一部の間、モールドに配置される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程[a]を実施している間、エネルギーが、前記中間材料内部から付与され、前記マトリクス物質の部分を、前記中間材料中の混合物中の希釈剤の沸点以下に加熱する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも工程[a]を実施する間、前記モールドに圧力がかけられる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも工程[a]を実施する間、真空様雰囲気が、前記モールドに提供される、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程[a]が、前記強化繊維構造内へのマトリクス物質の過圧注入により実施される、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程[d]を実施する間、前記モールドに圧力がかけられる、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のモールドキャビティ表面が断熱される、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上のモールドキャビティ表面が電気絶縁される、請求項7〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記モールドが、実質的にプラスチックから作製される、請求項7〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プラスチックが、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記希釈剤が、実質的に前記マトリクス物質に対して反応しない希釈剤である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記希釈剤が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびヘプタノールからなる群より選択されるアルコールであり、前記マトリクス物質が、ポリエステルまたはエポキシからなる群より選択される樹脂である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物が、体積で1〜70%の希釈剤を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記強化繊維構造が、前記強化繊維構造の少なくとも30重量%の炭素繊維含有量を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法により得られる繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項23】
マトリクス物質および強化繊維構造を含む繊維強化プラスチック複合材料であって、前記強化繊維構造は複数の強化繊維を含み、前記マトリクス物質は、前記強化繊維構造の繊維の間の結合剤として作用するように前記強化繊維構造内に分配され、前記複合材料は、65%より多い繊維体積分率(FVF)を有する、繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項24】
マトリクス物質および強化繊維構造を含む繊維強化プラスチック複合材料であって、前記強化繊維構造は複数の強化繊維を含み、前記マトリクス物質は、前記強化繊維構造の繊維の間の結合剤として作用するように前記強化繊維構造内に分配され、前記複合材料は、前記強化繊維構造の理論最大繊維体積分率(Tmax)の80%より多い繊維体積分率(FVF)を有する、繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック複合材料であって、前記強化繊維構造は、88%以上のFVF/Tmaxを有する、繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック複合材料であって、前記強化繊維構造は実質的に綾織物繊維のみを含む、繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項27】
請求項22〜25のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック複合材料であって、前記強化繊維構造は実質的に一方向に配向した繊維のみを含む、繊維強化プラスチック複合材料。
【請求項28】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法を実施するためのシステムであって、閉じることができるモールド(8)、モールドプレス(11)、モールドキャビティと流体接続する真空システム、エネルギー供給装置(16)、マトリクス物質コンテナ(1)、希釈剤コンテナ(2)、硬化剤コンテナ(3)、および混合メーター(7)を介して前記モールド(8)内に前記コンテナから流体を供給するように構成される1つ以上のポンプ(4、5、6)を備え、前記混合メーターは、マトリクス物質、希釈剤および硬化剤を注入し、それらを混合して、混合物を形成させ、次いで前記混合物を前記1つ以上のポンプ(3、4、5)を用いて前記モールド(8)に供給するように構成される、システム。
【請求項29】
前記モールドプレス(11)が、油圧プレスである、請求項28に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508191(P2013−508191A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534713(P2012−534713)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065988
【国際公開番号】WO2011/048216
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512106322)アール−イデア アーベー (1)
【Fターム(参考)】