説明

複合製品

【課題】改良された複合製品及び複合製品の成形方法を提供する。
【解決手段】複合製品の成形方法に関する。この方法の一例は、シート状成形材料からなる層(34)の形成と基層(36)の形成から構成される。シート状成形材料の層は、基層(36)の表面上に据えられ、金型(30)の中で基層にプレスされる。いくつかの例では、基層(36)は連続気泡構造の発泡体であり、ガス及び/又は蒸気はプレスされている領域から排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばラミネート製品のような複合製品に関する。本発明の好ましい形態は、発泡体の基層とその基層の表面に積層されたスキンからなるラミネート製品に関する。また、本発明の好ましい形態は、建築物や家具に用いられたり、建築成形物等の建築部材として用いられるラミネートパネル製品に関する。本発明はこれらの用途に限定されるものではなく、複合製品の広範な用途に用いられる。発明の形態については、特に建築物において使用されるドア、窓、そのほかのパネルについて述べる。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア、窓、パネルは木製のものに、ガラスがはめられたり、はめられていなかったりしていた。しかし、特別な処理をしているものを除き、温度、湿度の変化にさらされた場合、木はたわむ。このことは、美的観点からも不利であり、また、ドア、窓、仕切りの開閉に対して障害となり得る。後者の問題は、ドア、窓、パネルがたわんでいることにより起こる火災時の問題についての現代の建築安全基準を考慮すると、顕著な問題である。さらには、木は比較的高価であり、また、ある種の木の使用に関しては、重要な環境問題もある。
【0003】
それゆえに、ここ数十年にわたり、人工材料のドア、パネル、窓が主流となっている。人工材料のドアの一つに成形されたドアがある。成形されたドアは様々な方法により製造される。
発泡体の樹脂層とスキンから構成される、樹脂性のラミネートパネルは、建築物、装飾品、家具の生産において、達成できる有用な特性が広範に及ぶため、ますます広範囲で採用されている。
【0004】
知られている発泡体のパネルの構成は、一対のスキンとその間の発泡体コアからなる。このスキンや発泡体コアは別個に成形され、接着剤を用いたり、熱を加えることにより相互に接着する。しかし、環境によっては、接着が十分でなくラミネート製品に亀裂が生じる場合があり、また、例えば、接着剤の成分は有毒のものもあり健康を害する危険性もあるため、塗布が難しく使用環境に注意が必要である。また、場合によっては、接着剤の成分が、例えば層に化学的な攻撃を与えたり、局所的に溶解させたりといった、接着する層の一方または両方への悪影響を与えてしまう。また、熱による接着は、少なくとも層の一つが熱軟化性の材料である場合で、かつ有効な熱を加えるために必要な温度が層に悪影響を与えないようにする場合にのみ適切であるため、制限される。さらに、ある材料の熱による接着の強度は十分ではなく、また経年劣化する傾向がある。
【0005】
その上、このような方法は、表面に深い輪郭が施された、パネルタイプのドアや再生壁パネルなどのパネルの製造には経済的ではない。なぜならば、適切に輪郭が施されたコアとスキンは別々に成形され、高価な金型がそれぞれ必要となるからである。
知られているシステムにおいて、スキンはシート成形コンパウンド(SMC)の圧縮成形によって成形される。SMCはポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂をガラスファイバ等の補強用のファイバとともに含んでいる。
【0006】
スキンを成形するのに、SMCは必要量の塊を成形するために折られ、予熱された成形用の容器の中におかれる。金型は閉じられ、圧力がかけられ、成形コンパウンドが押され金型の全域に広がる。熱と圧力は、成形された材料が硬化するまでかけられる。そして、金型が開けられ、成形されたスキンが取り出される。
それから、成形されたスキンをフレームの両側に置いて、その後にスキンの間に位置する空洞に発泡体を注入する。発泡体は、充填材として機能し、ドアとしてより高い剛性と絶縁性を与えるのに役立つ。そしてドアは必要に応じて仕上げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この方法は効果的な方法であるものの、常に信頼性があるとは限らない。これは、発泡体の硬化や、空洞の充填を正確にコントロールするのは困難だからである。さらに、得られた形成物を強化するために、しばしばスキンの間に入れるワイヤーメッシュの補強材が、硬化した発泡体の流動学的特性に不利な影響を与える可能性がある。
【0008】
このような方法で用いられるSMCのスキンの成形に関係するさらなる不具合がある。たとえば、SMCは金型の容器内でブロックを成形するために折る必要がある。これは、金型の容器に入り込んだ空気や、硬化反応の間に作られたガスを成形工程の間に放出する必要があるからである。
また、成形を効果的にするためには高圧力も必要とされる。1000〜1200トンの圧力も珍しくない。
【0009】
これは、金型自身に用いられる材料を制約する。このような装置においては、ステンレススチールの金型が用いられるが、これらは高価で、また温まりにくいために金型の温度が必要な温度になるまでのセットアップ時間が長くなる。例えば、圧縮成形するためにステンレススチールの金型を140度に温めるのに数時間かかる。さらに、ステンレススチールの金型は重く、また、スキンの別の輪郭を作るために金型を変えるのに、冷却、金型の交換、加熱のサイクルに半日を要する。それゆえに、このような圧縮成形工程は、従来は、金型を作るコストや金型を交換する稼働休止時間に見合う、大量生産に用いられるのが一般的であった。
【0010】
また、この方法の他の不利な点は、スキンをコアに接着剤を用いて接着させたり、発泡体のラミネート構造を成形するのに発泡体を充填する際に、スキンとコアの間の接合に構造的な欠陥が問題になりうるという点である。
この発明の目的は、改良された複合製品及び複合製品の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の一態様によれば、シート状成形材料を構成する層を形成すること、基層を形成すること、シート状材料の層を基層表面へ積層すること、基層にシート状材料を圧縮加工することからなる、複合製品の成形方法が提供される。基層の配置は、圧縮加工領域からガスおよび/または蒸気を排出することができるようにされる。
好ましくは、圧力をかける領域は、基層の表面とシート状材料とが共に圧縮加工される領域であり、さらに好ましくは、基層と、シート状材料が接触する領域である。
【0012】
その領域において、なおも残っている、または作り出されたガスや蒸気を排除することによって、複合製品の成形に必要な圧力が著しく減少することは数例確認されている。
好ましくは基層の表面の性質は、圧縮加工領域からガスや蒸気を逃がすように構成されている。例えば、シート状材料の表面の少なくとも一部の領域は、好ましくは小穴があいており、関連エリアからガスや蒸気が逃げることができるようにしている。
【0013】
好ましくは、圧力をかける領域において、シート状材料が基層に押しつけられる圧縮加工方向に概ね横断する方向成分を少なくとも含む方向に、ガスや蒸気が逃げることができるように構成しておく。
他の形態(二者択一かまたは追加の形態)は、ガスを逃がすのを助けるためのものである。例えば、溝や導管が基層に形成されうる。
【0014】
ガスを逃がすようにするための基層の形状は、基層自体の組成の性質から生じるもの及び/または、基層に対して機械的にまたは化学的な処理等の次に施す処理に応じた固有のものになる。
好ましくは、基層の形状は、圧力をかける領域の圧力を抜くことができるような形状とする。
【0015】
好ましくは、基層は多孔構造をもつ材料を含む。基層の多孔構造は、配列におけるガスの必要な排出を可能とする。好例として、基層は実質的に連続気泡構造を含む材料により構成する。この場合、圧力をかける領域から離れた領域でガスの良好な動きが確認される。基層は発泡体の材料からなる。
さらなる発明の形態においては、シート状成形材料からなる層を形成することと、実質的に連続気泡構造を含む発泡体の材料からなる基層を形成することと、基層表面にシート状成形材料の層を積層させることと、基層に対して、シート状材料に貼り付けるように圧力を加えることとからなる、複合製品の成形方法が提供される。
【0016】
好ましくは、この製品はラミネート製品である。本発明によるラミネート製品は、例えば、コアとその一つの表面に接合したスキンからなるか、あるいは2枚のスキンの間にコアが挟まれた構造である。その他の構成でも可能である。
そして、基層は最終形成物の一部を形成してもよいし、スキンを成形した後に、基層を例えば機械的に除去してもよい。好ましくは、基層は複合製品である最終形成物の一部である。
【0017】
本発明の具体例においては、シート状材料は直接基層に接合される。または他の例では、2つの要素の粘着性、接着性を高める用途等の1又は複数の層が、基層とシート状材料の間に挿入されていてもよい。例えば、接着剤が挿入される。
好ましくは、この方法はシート状材料の層を金型に嵌める行程を含む。さらには、基層を金型に当て嵌められたシート状材料にプレスするステップを含む。
【0018】
シートの形状にマトリクス材を供給することで、液状の樹脂の使用を回避することができる。このことは、製品の生産において、かなりの時間短縮につながる。また、マトリクス材の扱いが容易であり、金型にマトリクス材やプレポリマーを使用するのに必要なマンパワー、装置を削減可能という利益もある。
【0019】
この方法は、金型の表面に直接、積層する工程を含む。
他の例として、1又は2以上の層がシート状材料と工具の表面の間に設けられていてもよい。例えば、成形を助けたり、金型から製品を取り外すために工具の表面に部材を設けてもよい。成形の後に製品にコーティングを施すために、コーティング用の化合物を積層してもよい。この化合物は色彩が施されてもよい。この化合物を粉状のものとして、静電的な方法を使うことも可能である。
【0020】
好ましくは、さらに、シート状材料と金型の表面の間にベールを施す工程を含んでもよい。
好ましくは、そのベールは、成形前に、シート状材料と金型の表面の間に施されたシート状の部材から構成される。ベールを施すことにより、ベールなしで調整した場合と比較して、成形した製品の表面仕上げが改善され、又は変化する。
【0021】
たとえば、シート状の成形コンパウンドが補強用の部材から構成される場合、好ましくは、そのベールは結果物である成形した製品の表面において補強用の部材の量を抑制または削減するように機能する。例えば、成形コンパウンドが短いガラスファイバを含むSMCで構成されている場合、状況によっては、成形すると同時にガラスファイバが、成形された製品の表面から突きだし、表面の仕上げを悪くする。ベールを用いることで、成形された部材の一定の要素の保護壁を形成し、例えば表面仕上げが改良される場合がある。
【0022】
例として、ベールを使って、金型の面にマトリクス材料の動きを抑制するという効果が考えられる。金型の表面の面内の動きを抑制することは本発明の好ましい特徴である。いくつかの構成の中で、このことは成形された製品の仕上げをよりよいものにすると考えられる。
好ましくは、ベールは実質上、成形の間、成形材料の成分が通り抜けるものである。
【0023】
このように、成形材料の樹脂成分等の成分は、成形の間、ベールを通り抜ける。そうすることで、成形製品の表面が樹脂で仕上がった状態となる。
それゆえに、成形コンパウンドのある成分(特に樹脂)は十分に透過できるように、そして一方で、ガラスファイバや他の補強材などの他の成分には防護壁として機能するように、ベールの材料は適宜選択される。
【0024】
いくつかの配置では、ベールを金型の表面にそのまま隣接して配置することができ、樹脂成分が十分に浸透し、満足のいく表面仕上げを形成することができる。しかし、表面の仕上がりをさらによくするために、ベールと金型の表面の間にさらに層を挿入することが検討される。例えば、樹脂材の層が金型の表面に設けられうる。これは、適切な方法により行われる。
【0025】
択一的に、あるいは追加して、ベール層が、表面の仕上がりを改善するための樹脂材といった追加成分を含有してもよい。
ベールは不織布材で構成されてもよい。特に、ベールが金型に直接張り付けられる箇所においては、成形された製品の表面において表面構造が認識されるような特別な織り方や仕上げとならないようにすることがベール材に要求される。しかし、他の配置では、表面におけるそのような表面構造やパターンは有利な特徴となりうる。
【0026】
そのような構造が要求されない箇所には、好ましくは、ベールは不織布材で構成される。例えば、好ましくはベールは編物、織物等の表面としては構成されないが、特に、表面の処理により、ベールの材料の表面構造を目立たなくさせる場合等、そのような材料が使用できる場合もある。いくつかの配置ではベールはフリースやブラッシングした表面として構成してもよい。しかし、多くの場合、ベール材の少なくとも一方の表面は実質上表面構造、パターンがないことが望ましい。
【0027】
ベールはフェルト布で構成してもよい。例えば、ベールはポリエステル材で構成してもよい。例えば、ウール、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等の他の材料を用いることもできる。ベールは、フリース材で構成してもよいし、気泡材で構成してもよい。前述の通り、好ましくは、適合材料は使用される樹脂に浸透し、適切な表面構造を有している。
【0028】
ベールの一例はポリエステル材からなり、重さは約120〜150g/mである。
本発明の広範な態様は、樹脂やフィラー成分からなるシート成形材料を使う成形方法に関するものであり、その方法はシート成形材料と成形物の表面の間にベールを挿入することを含む。上述したように、好ましくはベールは、吸収等により樹脂剤が透過している間、フィラー成分への障害壁としての機能を有する。
【0029】
シート状材料を、連続気泡構造からなる基層に使用することにより、本発明のこの形態のようにいくつか有利なことが達成される。
特に、連続気泡の発泡体の基層を用いることで、金型内の空気や成形プロセスの間に作り出されるガスが発泡体の連続気泡構造の中を出入りすることができる。そのことにより、空気やガスがスキンのひびやその他の変形箇所に流れるというリスクを減らすことができる。
【0030】
さらに、成形工程において、シート状材料を基層に接着させることにより、ラミネート製品の製造効率が上がる。というのも例えば、スキンをコア層にくっつけるさらなる工程を避けることができるからである。
例として、シート状材料の成形が、基層の表面に成形材料の所望の流れがあるように調整される。例として、このことは、他の応用例に相当する構成と比較して、構成物内に超過分のプレポリマーが含まれることにより達成される。
【0031】
そして、成形されたスキンの厚さは、成形の作用によりシート状材料を予め決められた厚さに圧縮することにより自己制御されてもよい。そして、超過分の樹脂は基層に流れ込む。また、シート状材料の定式化の精度はあまり要求されない。なぜならば、複合物内の超過分の樹脂は成形工程で基層の中へ除かれるからである。
【0032】
より好ましい例として、シート状材料は成形工程で、基層材料の気泡や他の部分に入り、基層と成形されたスキンの間の機械的接着が行われる。このことは基層コアからスキンが剥げるというリスクを低減でき、加熱/冷却サイクルにおいても安定した製品を提供でき、また、接着剤や部品の組み立てを必要としないモノリシックな複合構造を提供することができる。
【0033】
より好ましい例として、シート状材料は基層の上にスキンを成形している。これは、スキンと基層の間の接着をよくする為に基層に機械的に合わせたものである。ある場合では、スキンと基層の界面での接着が実際には基層自身の材料よりも強いことがわかっている。この方法によって作られたラミネート製品は基層内での欠陥はあり得るが、界面での欠陥はない。
【0034】
好ましくは、この方法は基層とシート状材料に熱や圧力を加える工程も含まれる。好ましくは、シート状材料は、基層の上で直接硬化させる。この重要な特徴は独立して行われてもよい。本発明の広範な態様によれば、硬化可能なシート状の材料を直接、基層の表面上で硬化させて、界面領域からガスや蒸気を排除するように基層を構成し、好ましくは、基層を連続気泡の発泡体とする。
【0035】
好ましくは、シート状材料は熱硬化性の材料で構成され、製造方法には、その材料を硬化させる工程が含まれる。
好ましくは、その方法は圧縮成形の方法で構成される。
好ましくは、圧力、温度、サイクル時間は、シート状材料が金型に収まるように選択する。
好ましくは、金型はスキンの所望の形になるように造形される。
【0036】
輪郭の描かれた複合製品の表面が得られる。例えば、加圧工程の間、部材が金型に対して押さえつけられるため、製品の表面はくぼみが成形される。このようにして成形された複合製品が成形される。
本発明にかかる方法は、フラットパネルのような表面に成形を行わない製品の成形にも使用できると考えられる。この場合、基層は任意の適切な材料から構成される。好ましくは基層は、堅い材料で構成される。そうすることにより、圧縮行程がもっともうまく実施でき、また、基層が製品の機械的な要求特性を充足させることができる。
【0037】
輪郭をもつ表面が要求される場合の例として、所望の輪郭や成形物は基層の表面に成形されうる。例えば、所望の形は基層上で、ポリウレタンフォームからなる基層ブロック等を機械的に成形する。
金型の形は基層の輪郭に合わせる。そうすることで、部材が金型の表面に押しつけられたとき、結果物であるパネルは、成形された基層に所望の輪郭が接着されたスキンを有することとなる。
【0038】
しかし、好ましくは基層は押し潰し可能な材料からなる。そうすることで、圧縮工程において、基層の表面が成形されるからである。
基層は、もろい材料で構成されていてもよい。結果として得られる製品の通常の使い方においては、そのような材料は堅く、押し潰し不可能であってもよい。しかし圧縮工程の間は基層の材料は、基層を成形するために押し潰すことができる。金型の表面が使用される場合、基層の材料は押し潰され、金型に面する基層の表面は金型の表面の輪郭に合った形となる。
【0039】
この特徴は、特に有利であり、独立して適用しうる。結果として、本発明は、シート状成形材料からなる層を設ける工程と、押し潰し可能な材料を含む基層を設ける工程と、基層の表面にシート状材料の層を積層させる工程と、シート状材料を基層に押しつける工程からなり、基層の少なくとも一部が圧縮行程で押し潰されるという、複合製品の成形方法に係る。
好ましくは、基層の少なくとも一部は圧縮工程の間に成形される。
【0040】
好ましくは、この方法は、金型の表面を用意し、金型に対し、まずポリマーのシートを積層し、それから押し潰し可能な基層を積層し(追加的に、他の層や成分を用意する)、基層に金型の表面の形状と同じ型に基層を成形する手順を含む。
好ましくは、基層は非弾力的に押し潰し可能な材料を含む。好ましくは圧縮時の基層材料の変形により実質的に成形し、実質的に不変で回復不可能である。このように一旦、基層が押し潰されると押し潰された形が残ることとなる。
【0041】
この方法は特にある例において有利である。特にスキンを設ける前に基層の表面に所望の輪郭を機械的に形成する要件が不要となる。
成形する製品を作成する方法において、基層の単純なブロックを使用することができる。
成形により製品の表面の輪郭が形成されてもよい。及び/又はその製品そのものの形が形成されてもよい。この方法により、成形製品が成形されることがわかる。
【0042】
例示すると、基層はプラスチック材から構成されるが、他の任意の適切な材料を使うことができる。
本発明は、基層が、圧力をかけた状態でさらに堅くなる材料からなる場合に適用できることがわかるが、好ましくは、基層は圧力をかけたときに制御的に押し潰すことが可能な材料からなる。そうすることで、基層の表面は、金型の一部の輪郭の形となる。
【0043】
このように、成形されたラミネート製品は、シート成形材料と基層材料のブロックから、単一の工程で効率的に製造することができる。
好ましい例として、2つの相対する金型の表面の形に従って基層を成形するといった一つの圧縮工程で基層に2つのスキンを施してもよい。2つの金型の表面は異なる形状でもよいし、同一の形状でもよい。
例として、コアの一部又は全部が実質的に厚さ0となるように押し潰されてもよい。
【0044】
本発明の例として、基層材料は好ましくは堅い発泡体からなる。発泡体の材料は例えば、レゾール型フェノール、酸硬化材、及び細かく分けられた固体粒子の混合物を、気泡が形成された状態において硬化させることで得られる発泡体材料であり、該状態は、レゾールの中に存在する小分子の主にあるいは単に揮発によって引き起こされる、または硬化反応の副産物として成形されるものである。一例として、そのような発泡体の成形は、欧州特許第0010353号明細書に詳細が記載されており、このような気泡からなる発泡体はUKのAcell Holding LimitedからACELLフォームとして入手可能である。
【0045】
好ましくは、基層材料の密度は、100〜500kg/mの範囲内であり、さらに好ましくは、120〜400kg/m、最も好ましくは120〜250mの範囲内である。発泡体の材料の性質、密度に応じたレベルの適切な圧力を加えることにより、とても細かく複雑な金型の表面の詳細を複製することができるが、この圧力レベルは単純な実験により容易に決定することができることがわかっている。
【0046】
このような基層は実質的に連続気泡構造を有している。このため、シート状材料は材料の気泡や気孔に押されて入るため、その中のガスや蒸気は直ちに排出される。
任意の適切な材料が使用されている限り、発泡体等の実質的に堅い構造を持つ材料とともに用いる場合に特に、本発明の態様は適切である。例えば望ましくは発泡体は、重量をかけたときのゆがみを防止し、適度の圧力をかけたとき崩壊しないようにセルフサポートする発泡体が望ましい。このような発泡体の物理的性質については、特に圧縮する力や重量をかけたときのゆがみは、(他の要素はもとより)気泡の壁の厚さに関係すると考えられている。ある例によると、適切な基層の材料に対する気泡の大きさは、0.5mm〜5mmの範囲内、より好ましくは0.5又は1mmから2、3mmの範囲内であることがわかっている。
【0047】
基層は細かく分けられたフィラー材料等のフィラー材料を含んでいることが望ましい。細かく分けられたフィラーで補強された気泡のあるフェノール樹脂が、いくつかの構成で、特に好ましい。それから成形されたラミネート製品は、物理的な特性と耐火性の組み合わせが優れているからである。
【0048】
好ましくは、発泡体の基層の中の少なくともいくつかの気泡や孔は、シート状材料の層が積層されている面の表面に通じている。そして好ましくは、該気泡や孔は、表面の下に、開口部よりも広く開き、それによって基層への層の材料の嵌合を強めることのできる刻み目が形成される。
【0049】
例として、基層の上に設けられるシート状材料の層の厚さは、少なくとも1mmであるが、1mm以下の厚さも可能である。要求があれば、材料層の厚さはセッティングの前後に減らしてもよい。
例として、シート状成形材料のさらなる層は、基層の反対側の表面に設けられる。この場合、2つのシート状材料の2つの層の間に基層が圧力で挟まれている。
【0050】
このように、2つの側面にスキンを有するラミネート製品が、成形されうる。例えば、製品がドアからなる場合、1ステップでドアの両サイドが成形される。
好ましくは、シート状材料は熱硬化性樹脂を含む。その材料がシート状で扱われるようにするための成分など、その材料はさらなる成分を含んでいてもよい。
【0051】
本発明の形態に係るシート状材料は、適切なマトリクス組成物を含んでいてもよい。例えば、そのマトリクスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドやポリイミドや、その他適切な樹脂など、1又はそれ以上の熱硬化性ポリマーを含んでもよい。この材料は難燃剤として有用なメラミンを含んでもよい。マトリクス材料はさらに硬化材、反応促進剤、フィラー、顔料、及び/又は他の成分を必要に応じて含んでもよい。マトリクスは熱可塑性の材料を含んでもよい。
【0052】
シート状材料は補強ファイバなどの補強材を含んでもよい。シート状材料はガラスファイバを含んでもよい。
好ましくは、シート状成形材料はSMC(シート成形コンパウンド)からなる。
SMCは、マトリクスと補強材という2つの主な構成要素からなりうる。
マトリクスは好ましくは、ポリエステルを含む樹脂からなるが、ビニルエステル、エポキシ、フェノール、あるいはポリイミドを含んでもよい。好ましくは、マトリクスは熱硬化樹脂から構成されてもよい。
【0053】
マトリクスは、さらに、鉱物、不活性充填剤、顔料、スタビライザ、阻害剤、離型剤、触媒、増粘剤、水和添加物、及び/又は他の適切な材料等の添加物で構成されていてもよい。
補強材は、好ましくはガラスファイバで構成される。ファイバは、5cmかそれ以下の長さでカットされていてもよいし、連続していてもよい。他の補強材としても、カーボンファイバなども使用することができる。
【0054】
SMCを使用する利点がある。例えば、SMCは低密度ながら、熱可塑性樹脂などの他の材料と比較して、有利な機械的特性を有し、また、良好な熱的性質を示す。ビルへの適用等、いくつかの適用例において特に重要なことである耐火性が優れている。SMCはまた、建築材料として使用する場合の重要な要素としてノイズ低減性があり、また、良好な耐薬品性も有している。
【0055】
ファイバは短いファイバでもよいし、長いファイバでもよい。ファイバは束ねられていなくてもよく、例えば、1又は複数の方向に配列されていてもよい。ファイバはネットワークの一部を構成してもよく、例えば、適切な規則で互いに織られたか編まれた構成であってもよい。ファイバの調整はランダムでも規則的でもよく、ファブリック、マット、フェルト、織物、その他の構成でもよい。材料は、短いファイバを含んでいてもよい。ファイバは連続のフィラメントワインディングとしてもよい。1つまたは複数のファイバの層で構成してもよい。
【0056】
ファイバは1また複数の材料を含む。例えばファイバは1または複数のカーボンファイバ、ガラスファイバ、アラミドファイバ、ポリエチレンファイバを含んでもよい。ケブラー(RTM)ファイバを使用してもよい。このようなファイバを含んだ製品は、保護装置や建築物に用いることができる。例えば、本発明のいくつかの製品は、装甲や防弾の製品としての適用も考えられる。例えば、保護パネルは、ケブラー(RTM)ファイバの補強材を含んで成形されてもよい。
【0057】
シート状材料は含浸した繊維複合材料で構成されてもよい。
驚くことに、長いファイバを含むシート状材料が本発明に係る方法を使用でき、また、織物状のファイバを含むシート状材料も使用できることがわかった。理論によって拘束されることなく、相対的に長いファイバの補強材を含み、及び/またはファイバマットやその他のネットワークや構造を有する材料が使用できると考えられる。それは、金型の中で、金型の表面に沿って一方向に材料が移動することは相対的に少ないからである。
【0058】
シート状材料と一体としての要素として設けられる補強材の代わりに、又は追加して補強材は、例えば、シート状材料と基層の間等に、別個の層として設けられてもよい。
補強材が別個の層として設けられた場合、それは基層の全体にわたって配置されてもよいし、例えば一部に設けられてもよい。例えば、もし、ダメージや攻撃の影響をより受けやすい製品の特有の部分がある場合には、その領域に追加的に補強材を設けることもできる。例えば、製品がドアに使用される場合、追加の補強材は、装飾的な成形や他の特徴のために他より薄いドアの領域や、よりダメージの影響を受けやすいドアの領域に設けられる。
【0059】
このように、ファブリック状やマット状に配置された、例えば短いファイバや長いファイバのような一体としての補強材を有するシート状材料を含んで構成してもよい。それに加えて、あるいはそれに代わって、補強材は、シート状材料とは別個の1又は2以上の層として設けられてもよい。追加した補強材の層は、上記の材料のような短い及び/又は長いファイバを含んでもよい。
圧縮又は成形している間、好ましくは、樹脂等のマトリクス材料は、ファブリック状あるいは他の配置の構造の中に流れ込み、接着される。
【0060】
好ましくは、シート状材料の層は硬化性組成物から構成される。本発明のいくつかの例においては、シート状材料は、硬化以外でも固定可能なことがある。
好ましくは、シート状材料が成形されたり、金型の中に収まったりできるように、圧力や熱は適宜選択される。
好ましくは、シート状材料の粘度は、圧縮工程において減少する。
【0061】
好ましくは、シート状材料は、熱や圧力をかけることにより、粘性が減少するか、少なくとも部分的に液化したものである。このように金型内での材料の流れが確認できる。これは、厚さの均一化、及び/又は成形の欠陥の減少といった、材料の成形の改良につながりうる。好ましくは、圧縮ステップにおいて、材料は少なくとも部分的に基層の材料の気泡の中へ流れ込む。好ましくは、材料や基層は、成形工程において、材料が基層の中へ部分的にのみ流れ込むように構成する。そうすることにより、ラミネート製品の機械的、その他の要求仕様に対する適切なスキンの厚さを保持したまま、スキンと基層の間が良好に接着される。
【0062】
好ましくは、シート状材料は単一の厚さで設けられる。
好ましくは、材料、例えばSMCは折られていない形態で積層される。これは、製造の簡易化につながり、また、成形工程の圧力の要求値も減少させることができる。ここで単一の厚さの層が複数配置されている場合についてさらに言及すれば、好ましくは各層は端で重なり合わせて、スキンにおいて間隙が形成されるリスクを減少させる。
【0063】
好ましくは、シート状材料は実質的に成形表面全体に設けられる。
金型の表面の全領域に渡って実質的にSMCを延在させることにより、多くの利益がある。例えば、ある配置において、金型の中の材料の側方流動の要求値を減らすことにより、成形工程を完遂させるために要求される圧力を減らす事ができる。また、金型の表面に渡る材料の流動量を減らすことにより、金型の表面の擦過傷及び/または摩耗を低減させることができる。このように、金型として用いられる材料は、以下に詳細に述べる材料のより広範囲の候補から選択することができる。
【0064】
シート状材料は材料の単一の部分として金型に配置されてもよい。
好ましくは、シート状材料の複数のシートが、金型の表面に配置される。
いくつかの構成において、例えば、金型の表面が大きいため、あるいは、シート状材料の取り扱いがより簡易的になるように、数ピースのシート状材料が金型、及び/又は基層に配置されてもよい。好ましくは、あるシートの縁は、隣接シートの縁と重なり合っている。このようにして、基層の上のスキン内で間隙のリスクを低減できる。重なり合っている領域に追加する材料は、完成品の品質を下げないということがわかっている。というのも、その領域における余分な材料は、いくつかの例では、基層の中、及び/又は金型の側方向に流れるからである。
【0065】
このようにして、いくつかの例において、複雑な形状に成形された場合に特に、数ピースからなるシート状材料が用いられる。
この特徴は、シート状材料を潜在的に無駄にする量を減らすことができるため、さらなる利点がある。大きなピースから切り抜いたりして得た小さな材料(例えば、パネルが光沢のある部分を含む場合)のピースは処分する必要もなく、使用することができる。
【0066】
好ましくは、付与する圧力は、200トン未満、より好ましくは100トン未満であることが望ましい。
上述のように、従来のSMCの製造工程はSMC製品の成形時に閉じこめられた空気を抜くために巨大な圧力が必要であった。圧力をかける前に、SMCのスキンの後方の、発泡体の基層を置くことにより、工具の表面の摩耗を大幅に減らしつつ、空気を発泡体の気泡構造を通って逃がすことができる。また、必要とされる圧力もかなり低くなる。好ましくは、圧力は、500トン以下、より好ましくは200トン以下、さらに好ましくは100トン以下である。
【0067】
好ましくは、シート状材料は、アルミニウムやアルミニウム合金からなる金型の表面に用いる。
低い圧力下においては、アルミニウムの工具が使われる。これにより、ステンレススチールの金型と比較して、アルミニウムの金型が軽く、アルミニウムの金型の加熱、冷却時間が短い事に照らして考えるに、工具使用の低コスト化、柔軟な製造、工具交換のための稼働休止時間削減が可能となる。例えば、アルミニウムの工具の体積は、相当する鋼の工具の体積よりも著しく小さい。また、アルミニウムの低密度につながるこの事実は、アルミニウムの金型を使うとき、重さの点でかなり有利となる。
【0068】
ここで、アルミニウムにより作られた、あるいは、構成された構成要素について言及する場合、好ましくは、関連する構成要素には、アルミニウムや適当なアルミニウム合金や、他のアルミニウムを含有する材料が含まれる。
好ましくは、シート状材料は表面にパターンを持った金型の表面に用いられる。
【0069】
上述のように、金型の表面は、好ましくは、ラミネート製品のスキンに輪郭が描かれた表面が作られるように成形される。それに代わって、あるいは加えて、ラミネート製品のスキンの表面上の表面のパターンや質感を与えられるように、金型に表面のパターンが設けられてもよい。
【0070】
例えば、ラミネート製品のスキンの表面のパターンを木目調に似たパターンにするために、金型の表面には、木目調のパターンに関連するパターンが設けられる。スキンが別の仕上がりとなるように、他のパターンが設けられてもよい。
【0071】
本発明のさらに重要なことは、複合製品を成形する方法にある。この方法は、シート状成形材料からなる層を形成すること、基層を形成すること、シート状成形材料の層を基層表面上へ積層すること、圧力をかけることによってシート状材料を基層へ接着すること、からなる。ここで、基層は、基層表面の少なくとも一部に表面の凹凸構造を有し、基層へ材料を接着するために、シート状材料はその凹凸構造に嵌合させる。
【0072】
基層の表面は、複数のへこみ(hollows)を有してもよい。
基層への材料の当て嵌め、ひいては、基層への材料の接着性を高めるために、基層の凹凸表面がへこみからなる凹凸を有してもよい。
へこみ等の凹凸は、基層への材料の接着性を高められる任意の形状でよい。例えば、穴(ピット)、空洞、細孔を表面に有していてもよく、また、導管や溝を有していてもよい。凹凸のパターンは、規則的であっても、ランダムであっても任意の形状でよい。また、凹凸は基層の表面の全体に渡って延在してもよく、表面の1、又は数カ所にのみ施されていてもよい。
【0073】
好ましくは、凹凸は少なくとも何カ所かは表面の下に、表面における開口部よりも広く開いている。このように、嵌合を強化することができるアンダーカットが施される。
凹凸は基層自体の性質から作られてもよい。例えば、基層が発泡体から構成されている場合、凹凸は気泡によって作られてもよい。それに代えて、又は加えて、凹凸は、例えば機械的に又は化学的に基層の表面に成形されてもよい。例えば、穴(ピット)は、嵌合を改善するために基層の表面に機械的に成形することができる。
【0074】
好ましくは、シート状材料は、プリポリマー樹脂等のマトリクス材が、圧縮により基層の表面に広がるように構成される。このことは、スキンと基層の間の接着性を改善することができる。好ましくは、マトリクス材が表面の中へ広がった範囲は、基層の上のスキンの厚さの10%、20%、30%、あるいは50%程度である。例えば、シート状材料の樹脂の5%以上、あるいは10%以上、あるいは20%以上が基層の中へ流れ込んでもよい。
【0075】
シート状材料の成形は、ポリマー樹脂が基層の表面に流れ込むのに必要な量が用意されるようにするため、組成物の中に十分なマトリクス材が含まれるようになされる。これにより、シート状材料が、従来のシート状材料と比較して追加の樹脂を含むことが必要とされる。
本発明の広範な態様によれば、シート状硬化材料を形成すること、基層を形成すること、シート状材料を基層へ押しつけることといった工程の構成複合製品の成形方法が提供される。
【0076】
好ましくは、シート状材料は熱硬化性樹脂材を含む。
好ましくは、圧縮工程において、構成物からガスが排出されるように構成する。
好ましくは、基層の表面は、複数の穴や他の表面造形を含み、これにより、例えば穴や造形の結果として、シート状材料が基層に対し、機械的に嵌合するように流れることができる。このように、得られる製品のスキンと基層の間に強固な界面を作ることができる。
【0077】
例として、基層は実質的に連続気泡構造を有している。基層は連続気泡の発泡体材料からなっていてもよい。
好ましくは、単一の圧縮工程は、複合製品の成形で使用される。好ましくは完全に仕上がった製品は、わずか1つの圧縮又は成形工程が使用される方法により成形される。
【0078】
好ましくは、基層は硬質で破砕可能な材料からなる。これによりラミネート製品の凹んだ領域は、成形された成形用の工具を使って作られる。好ましくは、シート状材料は工具の表面に置かれ、基層がシート状の層の上に置かれ、基層は工具の表面へと加重がかけられる。
【0079】
本発明の一態様として、複合製品の成形方法がある。その方法は、連続気泡構造のもろい基層にシート成形コンパウンドを積層する工程と、基層にシート成形コンパウンドを押しつけることで、ワンステップで基層にSMCを付着させ、基層を成形するという工程から構成される。
【0080】
この方法は、さらにシート状硬化材の第2層を設ける工程が含まれる。この方法は、2つの層の間に基層を設け、2つの層を基層に押しつける工程が含まれる。
本発明は、さらに、ラミネート製品の成形方法を提供する。この方法は、シート状硬化材の2つの層を設ける工程と、2つの層の間に基層を設ける工程と、シート状硬化材の2層を基層に押しつける工程とからなり、前記基層は実質的に連続気泡構造を有していてもよい。
このようにして、2つのスキンの間に1層の発泡体が設けられた、サンドイッチ状の発泡体のパネルが1つの圧縮工程で生産される。
【0081】
この方法は、2層のシート状硬化材料の間にさらに構成要素を設ける工程を含んでもよい。
他の構成要素が、成形工程でスキンの間に挟まれてもよい。例えば、製品がドアだった場合、ドアのフレーム部分や光沢パネルや、その他の構成要素が成形物の中に配置されていてもよい。これにより、これらの構成要素は、1ステップの成形工程で製品の中に成形することができる。本発明を利用することにより、ドアのように実質的に完成した製品は1ステップの成形操作で生産することができることがわかる。
【0082】
本発明の広範な態様においては、パネルやドア等のラミネート製品の成形方法を提供する。この方法は、シート状成形材料の第1、第2層を設ける工程と、第1、第2層の間に基層を設ける工程と、オプションとして第1、第2層の間に追加の構成要素をさらに設ける工程と、これらの積層されたものに圧力をかけて基層にこれらの層を接着させて製品を成形する工程からなる。
【0083】
最終製品(ドア、窓、パネル)剛性を改良するためには、一般的に、スキンは、コアのそばだけでなく、フレームや、かまちやレール、縦仕切りのようなフレーム類のそばにも置かれる。フレーム部材は木製、金属製(アルミニウム等)、プラスチック製(uPVC等)、又は金属強化プラスチック等のようなこれらの組み合わせの材質であってもよい。プラスチック材は、硬度及び/又は剛性を改良するために必要に応じてフィラーを含んでもよい。
【0084】
好ましい実施形態において、コアは全体の体積またはフレームの中の体積を実質的に占めている。すなわち、スキンやフレームの構成要素によって決まるパネルの中の全体の空間を実質的に占める。また、たとえ、スキンが1又は複数の凹んだゾーンを含んでいたとしても、スキンに接触する基層の実質的に全体の領域にわたって、それぞれのスキンに基層が接着されているのが望ましい。なぜなら、このことがパネルの全体的な強度や、曲げに対する耐性を高めるからである。
【0085】
ある好ましい実施形態において、基層はフレームに保持された、1又は複数の、矩形ブロックのようなブロックの形状である。少なくともスキンの1つは、1又はそれ以上の凹んだゾーンを有する。前記ゾーンの後方のエリア内の基層を選択的にコントロールして押し潰した結果、前記ゾーンそれぞれの後方のブロック部分は、前記ゾーンの輪郭に適合している。
【0086】
本発明は、本明細書に記載されている方法により成形された製品及び本明細書に記載されている方法を使用するための装置もまた提供する。
また、本発明は、基層と、基層の表面に接着されたシート状材料のスキンとからなる製品も提供する。ここでシート状材料は基層の表面に機械的に合わせられている。基層はその表面上に成形物を有していてもよい。シート状材料は、この成形物に合わせてある。基層は、連続気泡構造の基層の気泡の中に広がった材料が実質的に連続気泡構造を形成していてもよい。
【0087】
本発明は、また、実質的に連続気泡構造の基層と、基層の表面に接着されたシート状材料のスキンとからなる製品を提供する。さらに、本明細書に記載された方法により用いられる基層を提供する。
また、本発明は、基層にシート状成形材料を押しつけるために用いられる成形装置も提供する。ここで、好ましくは、成形装置の表面はアルミニウムかアルミニウム合金からなる。
【0088】
ここで基層に接着されているスキンや層について言及をすると、少なくともスキンや層の一部がそのように接着されている事が好ましいことがわかっている。いくつかの例では、スキンや層などが、基層との界面全体に渡ってくっついている。
本発明は、添付図面を参照して本明細書に記載されているように、実質的に方法及び/又は装置に拡張される。
【0089】
本発明の一態様におけるどの特徴も、適切な組み合わせにおいて本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、方法の態様は装置の態様に適用され、逆も然りである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】公知の方法に従ったSMCの圧縮成形のための装置を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る複合製品の成形方法の工程を示す図である。
【図8】複合ドアの成形を描いた図である。
【図9】複合製品の成形の他の例を描いた図である。
【図10】複合製品の成形の他の例を描いた図である。
【図11】複合製品の成形の他の例を描いた図である。
【図12】aからcは他の例に係る複合製品の成形方法を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
これよりこの発明の好ましい特徴について、添付図面を参照しつつ、単なる例として述べる。
【0092】
図1は、SMCからスキンを成形する方法を示している。金型1はオス2とメス3の金型部分からなる。金型部分2、3は約140℃の温度に加熱されている。シート成形コンパウンドは、金型に置かれた、一塊のチャージ4の形に折り畳まれている。金型部分2、3は互いに押され、SMCは金型の空洞に広がる。金型部分は、コンパウンドが硬化されるのに十分な時間の間、互いに保持されて完成される。そして、金型部分は成形されたスキンから離される。
例えば、パネルを成形するために、2つのスキンは、フレームの両サイドに固定され得る。そして、発泡体はスキンの間の空洞の中に注入される。
【0093】
図2から7は複合製品の成形方法における主な工程を描いている。
図2は、アルミニウムの金型20を示している。この金型は、ドアパネルの成形に合った表面の輪郭からなる。金型はおよそ140℃の温度に加熱される。
1枚のシート成形コンパウンド22を金型20の表面の上部に置く(図3)。シート22は、金型の表面全体に渡って広がるような大きさとしている。
【0094】
木製のフレーム24がシート22の上に置かれる(図4)。そして、一塊の発泡体の基層26がフレーム24の中に差し込まれる(図5)。
基層26は、以下に詳細を述べるように、発泡体から構成されてもよい。
使用される発泡体は、以下の点で有利である。
構造的で顕著な耐荷重性をもつ。
もろく、圧力をかけることで成形でき、形状が記憶されず、それゆえに実質的に押された形に保持できる。
連続気泡構造であり、このためドアの製造の間に気泡の中に樹脂が移動することができ、真にモノリシックな複合構造を作ることができる。
【0095】
使用される発泡体の例として、気泡のサイズが0.5〜3mmの範囲で、密度が80〜800kg/mである発砲体がある。
約100トンの下向きの圧力が構成要素にかけられる(図6においてかけられるが、圧力をかけている様子は描かれていない)。金型は基層の上に押しつけられ、発泡体をつぶし、基層の表面を金型の表面の形に成形する。SMCシート22もまた金型の表面と基層の間で圧力がかけられる。加熱された金型の表面20の上にSMCが液化し始め、基層26の表面における気泡の中に流れ込む。SMCと基層の間で閉じこめられた空気や他のガスは発泡体の連続気泡構造を通り抜ける。成形された基層26に固定され、金型の表面に対応した外側の表面を持つスキンを成形するようにSMCが硬化するのに十分な時間の間、構成要素は圧力がかけられ、金型に保持される。
【0096】
複合製品28は、金型から取り外される(図7)。この例において、製品の成形の時間サイクルは約4分である。
この例において、上の金型部分が必要ないことがわかる。この例において、構成要素は1つの加熱されたプラテンに対して圧力をかけられている。
ここで、図8において、成形されたドアが1つの圧縮工程で成形される方法が描かれている。
【0097】
下の金型30が用意され、金型の温度が約140℃になるように、加熱されたプラテンの上に置かれる。下の金型30の下の成形表面32は、パネル型ドアの表面の形に従って輪郭が形作られている。
硬化材料の下のシート34は、下の成形表面32にあてがわれる。下のシート34の大きさは下の成形表面の大きさとほぼ同じである。
【0098】
ACELL発泡体からなる下の発泡体ブロック36は、下のシート34の表面上にあてがわれる。木製のフレーム38は、下の発泡体ブロックの周辺に置かれる。あるいは、フレーム38は、最初に用意され、ブロック36がフレームに挿入される。メタルグリッドからなる補強シート40は下の発泡体ブロック36の上のフレーム38の中に置かれる。補強シート40の上で、フレーム38の中には、同じくACELL発泡体からなる上の発泡体ブロック42が置かれる。接着力を補強するために、接着層を2つのブロック36、40の間に設けてもよい。上の発泡体ブロックの上には、硬化材料の上のシート44が置かれる。
【0099】
上の金型46は、パネル型ドアの表面の形に従って輪郭が形作られている上の成形表面48を有している。上の金型46は約140℃の温度に加熱されている。
上の金型46は、他の構成要素の方に下降させ、上の金型46を下の金型30に向かって押すように、約100トンの圧力がかけられる。
上のブロック42と下のブロック36はもろい発泡体からなり、隣接する成形表面32、48に向かい合うブロックの表面は、押し潰され、パネル型のドアの表面の形に成形される。
【0100】
上下のシート44、34の硬化可能な材料は、隣接する発泡体ブロック42、36の中に流れ込み、機械的な接着が成形される。硬化材料の硬化が加熱された金型の中で起こり、上下のシート44と34が上下のブロックに接着するスキンを成形する。
2、3分後に硬化が完成されると、成形されたドアは金型から離される。
このように、1つの圧縮操作でドアが形成される方法がわかる。
【0101】
別の例として、下のブロック36、補強材38、上のブロック40が1ユニットとして用意される。
例として、金型の表面は、スキンの外側の表面に表面パターンを成形するように表面パターンを有していてもよい。例えば、金型がアルミニウム材からなる場合、木調の表面パターンを有するアルミニウムの金型は、本物の木からなるマスターの上でアルミニウム材を直接成形することによって成形してもよい。このように、表面のパターンは、似せたパターンよりむしろ本物の木調パターンで構成してもよい。
【0102】
図9は、硬化材料のシート50、52が、金型の表面54上でオーバーラップした場合の配置について示している。この例において、連続気泡構造の基層56は、オーバーラップした領域58における製品の品質の欠陥なしに、オーバーラップした領域58上で直接押される。圧縮工程の間、オーバーラップした領域58における余分な材料は基層56の中へ流れる。
【0103】
図10は、基層材料が、硬化可能な組成のシート60、62の間に複数のブロック状に設けられる方法を示している。ブロック64、66,68、70は、直線的に互いに隣接してもよいし、あるいは、圧縮工程の間、うまく保持されるように「コーナー」72を成形してもよい。多くの例において、たとえ、複数のブロックからなる基層が使用される場合であっても、圧縮時の材料の基層への流れにより、得られた形成物の機械的強度を十分に良好なものとするのに十分であることがわかっている。
【0104】
図11は、コーナーに渡って広がっているスキンを有するコーナーを含む複合製品の成形についてさらに示したものである。1、又はそれ以上の枚数の硬化材80が、形を合わせて成形された金型82の中に挿入され、コーナーを成形するために、基層84の成形されたブロックが金型の中へ押しつけられる。
図12a〜図12cは複合製品の成形方法のさらなる例を示したものである。ここでは、パネルを成形している。
【0105】
成形表面が、成形されるパネルの要求される表面のプロファイルを成形するために要求される輪郭を有する、下の金型130が用意される。
下の金型は、組立作業台におかれ、成形されるパネルの構成要素が金型130の上に用意される。
まず、金型の表面は任意の適切な清掃材料を用いて清掃されてよい。そして、成形される構成要素が金型130上に載せられる。
【0106】
金型130の成形表面のすぐ上にベール131が置かれる。この例において、ベール131はほとんどオーバーラップなく成形表面に合わせた大きさとしているが、ベールの大きさは少し大きいサイズでもよく、この場合、成形後トリミングが必要となる。
【0107】
ベール131の上にはSMC134が一枚置かれている。同様に、この例において、SMC134のシートの大きさは、成形表面の大きさとほぼ同じになるようにしているが、SMCシートの大きさは少し大きいサイズでもよく、この場合、成形後なんらかの仕上げが必要となる。
【0108】
その後フレーム138がSMC134の上に置かれ、発泡体ブロック136がフレーム138の中に挿入される。
図12bに組立られた構成要素の透視図を示す。図12bにおいて、わかりやすくするためにそれぞれの構成要素の厚さは原寸に比例しては示していない。
【0109】
その後、構成要素を支える金型130は、プレスにおいて、加熱された下の定盤上におかれる。この例において、下の定盤の温度は、成形している間の金型の温度が約140℃となるように設定する。
プレスにおいて、上の定盤は下の定盤の方へ向かって下げられる。そして、成形操作を行い、成形された複合製品140を成形するために圧力がかけられる。
【0110】
図12cは、成形された複合製品140の断面図を概略的に示したものである。わかりやすくするために、それぞれの構成要素の相対的な厚さは原寸に比例しては示していない。図12cから、複合スキン139が製品の表面上に成形されているのがわかる。複合スキン139は硬化したSMC層とベール131の材料からなる。検査により、なめらかで光沢のある外表面を得るために、SMCの樹脂がベール材を通って十分に浸透している事がわかる。そのときSMCの中のフィラー材(例えばガラスファイバ)はベールの下にとらえられている。
【0111】
境界層141が、複合スキン139と圧縮された発泡体のコア136’の間にある。この層141において、発泡体のコア136の連続気泡構造の中へ入るなどして、SMCの樹脂が発泡層に浸透している。このことにより、複合スキン139とコア136’の間に良好な接合をもたらすことがわかる。
【0112】
図12a〜図12cに示したように成形された複合製品は、例えば、パネルやドアの前身となりうる。2枚のスキンが張られたパネルやドアを得るために、2つの似た前身を互いに合わせてパネルやドアの完成品を成形してもよい。一方、パネルやドアが、図8を参照して上述したように、1回の成形工程で作られてもよいこともわかる。
【0113】
例えば、積層された製品が、下の金型の表面上に設けられた第1のベール、SMC層、発泡体のコア(任意の、枠またはその他の必要な構成要素を伴う)、第2のSMC層、第2のベールからなる成形物として提供されることも可能である。上の金型の表面は、第2のベールの上で押され、1片の十分なパネルやドアを成形するために圧力がかけられる。
【0114】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、ベールはフィラー材と製品の表面の間の仕切として設けることができる。これにより、任意の配置の複合製品の表面仕上げを改善することができる。また、ベールが設けられていることで、金型の平面上にマトリクス材が流れるのを減らすことができ、また、配置によっては成形製品の外観や他の性質を改善することができることが考えられる。
この例においては、SMCはガラスファイバを含んでいる。
【0115】
好例においては、SMCや必要ならベールといった、成形用の構成要素を使用する前に、金型の表面の処理を施す必要がない。特に、金型への染料や液状の樹脂を使用したり、その他の表面処理を施す必要がない。多くの例において、必要とされるいかなる構成要素もSMC材料の中に含まれている。
【0116】
他の構成において、金型をパウダーコーティングでコートして、製品のコーティングを行ってもよい。このことは、本発明のいかなる形態においてもなし得る。例として、パウダーコーティングは金型の表面に静電的に施すこともできる。金型の表面が加熱されているときは、パウダーコーティングは表面に置かれるとすぐに溶けたり柔らかくなる。例えば、このパウダーはポリエステルを含んでもよい。SMCや他のマトリクス材(必須の補強材の有無にかかわらず)は、溶けたり、柔らかくなったパウダーコーティングの上に設けられる。溶けたり柔らかくなったパウダーコーティングは、金型の表面上で「ねばねば」しており、成形工程の間、マトリクス材の動きが減ると考えられる。これにより、場合によっては表面の仕上がりが改善する。この例において、製品の表面にコーティングが残り、これにより表面がひっかきおよび/または衝撃に対する耐性をもつ。パウダーコーティングは、色を付いたものとすることができ、製品のカラーコーティングもできる。パウダーコーティングは、透明や半透明であってもよく、製品の表面をニスの外観にすることもできる。
【0117】
非常に広範囲の様々な複合製品は、ここで記載した方法を用いて成形することができると考えられる。本発明の適用は、ドアなどの成形に制限されるものではない。
(SMCの調製例)
SMCは硬化材と補強材からなる。
SMCを調製するために、例えばポリエステル樹脂を、炭酸カルシウムや二酸化チタン、適切な顔料などの、ミネラルや添加物と混ぜることによってマトリクスを調製する。
【0118】
樹脂ペーストの成形物の中のマトリクスは、下のフィルムキャリアに積層される。補強材としてのガラスファイバはフィルムキャリア上の樹脂ペーストの上の表面に設けられる。樹脂ペーストのさらなる層は、マトリクス層の間にファイバを挟んで設けられる。最上のフィルムは、マトリクスの上の層に設けられる。結果として得られる積層構成物は、その後、1連のローラーを使って圧縮される。これにより、フィルムキャリアの間に一枚のシート成形コンパウンドが成形される。材料はローラーで巻かれ、少なくとも3日、例えば23〜27℃に温度が保たれた状態で保存される。得られたSMCは、熱とともに圧縮成形される。SMCの使用までの貯蔵寿命は通常数週間である。
【0119】
(発泡体)
本発明の数例において、基層は、もろい気泡の壁を有する発泡体からなる。好ましくは、この用語は、圧力下で発泡体が、気泡の壁のクリーン破壊等の脆性破壊により崩れるような場合の発泡体を含む。このような発泡体は、圧力がかけられる対象物の破壊領域において、きれいで実質的に正確な寸法の形押しが保持できる。一般的に、発泡体の降伏強度(ここでは、気泡の壁が崩れ、また発泡体が崩れるのに必要な最小限の力を意味する)は、約100〜140KPa(15〜20lbs/sq.in)が好ましく、さらに好ましくは、最低200KPa(30lbs/sq.in)である。これは、有効な耐衝撃性を得ることができるからである。一般に、発泡体の組成に関しては、密度が高くなるほど、降伏強度が高くなる。
【0120】
脆い気泡の壁を有する実質的に硬いプラスチックの発泡体を使用することにより、凹んだゾーンのディテールを有する成形は、容易に成形することができる。これは、発泡体のコアに対して1層に、スキンの凹んだゾーンの後ろの領域における発泡体の気泡の壁が崩れるのに十分な圧力をかけることによる。このことによって、位置調整した破砕により、そのゾーンにおいて発泡体をスキンの輪郭に適合させる事ができる。このように、スキンと基層の間の空隙を排除することができ、複雑な形の基層を予め成形する必要はない。このことは、従来技術の製品においてはこの様な空隙があるために温度による変化を避けることができなくなる一因となる場合があるため、特に有利である。
【0121】
このような方法において、ポリスチレンのような従来の発泡体のコアの中に押し込むことは、発泡体の弾力により、圧力が解放されたときスキンに歪みが生じ得るため、十分になし得ない場合がある。よって、脆い壁を有する連続気泡構造の発泡体を使うことは有利である。
【0122】
本発明の例として、プラスチックの発泡体は実質的に連続気泡構造であり硬いことが望ましい。しかし、発泡体は、従来使われていた発泡構造のポリスチレンに対して高密度であり、例えば、75kg/mかそれ以上の密度のものが有利に選択される。なぜなら、これによりパネルがよい感じとなり、従来の木製のパネルにより似た音、肌触りとなるからである。しかし、低密度の発泡体が選択されてもよい。高密度が望まれる場合は、発泡体がフィラーを含んでもよく、さらに好ましくは、細かく分割された、不活性で、好ましくは無機の固形物を含んでもよい。フィラーは、パネルが温度変化に抵抗できるように選択される。特に好ましい実施形態においては、フィラーは結晶水等の湿気を吸収できる。
【0123】
例の中で、連続気泡構造の脆い発泡体について特に言及する限り、いかなる適当な発泡体を使用してもよい。本発明の例において、ポリウレタンフォームのような、実質的に連続気泡構造の発泡体が望ましいが、連続気泡構造でない発泡体の例もある。そのような例においては、好ましくは基層の構造は、ガスが金型から抜けることができるようにする。発泡体が連続気泡構造である場合には、生産において、連続気泡構造の構成を有する発泡体は特に適切である。脆い気泡の壁をも有する発泡体は、成形されるパネルや他の製品が凹んだエリアを有する場合に、例えば成形の効果を提供するために特に好ましい。しかし、ここで述べたように、基層の成形は機械加工など他の用法によってもなされる。
【0124】
いかなる発泡体も本発明の形態に使用されうる。多くの例において、硬い発泡体材料が好ましい。例えば硬い発泡体は、ここで記載されているような表面のパターンを含むか否かに関わらず、実質的に平らな(成形されていない)表面をもつパネルの成形にも使用される。
これに代えてあるいはこれに加えて、発泡体の表面は輪郭が描かれてもよい。輪郭は例えば、機械加工やその他適当な方法で、発泡体ブロックの表面に成形されうる。このような場合、発泡体は脆かったり圧縮可能な発泡体である必要がある。
【0125】
脆い気泡の壁を有する発泡体が使用される場合、金型の凹んだエリアを利用して発泡体に圧力をかけたとき気泡の壁は崩れる。この圧力の局所的な増加は、気泡の内側の圧力を増加させる。そして、ガスが発泡体を通って移動され、スキンの凹んだエリアに対応して気泡が崩壊する。
【0126】
1つの適切な発泡体は硬い充填されたフェノールの発泡体である。特に適切な発泡体は、以下の硬化反応の効果によって作られる。
(a)(以下に定義する)反応数が少なくとも1である液体のレゾール型フェノールと
(b)レゾール用の強力な酸硬化材を
以下の条件下で反応させる。
(c)液体のレゾールの重量比が少なくとも5%であり、レゾールと硬化材を含む混合物を介して実質的に一様に分散している不活性で不溶性の微粒子の固形物を細かく分割し、レゾールと硬化材を含む混合物の温度が85℃を超えないように加熱する。この酸硬化材の温度と濃度は、硬化反応の副産物として生成される化合物が、混合物が固まる前に混合物の中で揮発する温度と濃度である。これにより、発泡体のフェノール樹脂製品は生産される。
【0127】
レゾール型フェノールは、通常、水酸化ナトリウムのような、少なくとも1つのアルデヒドを含む少なくとも1つのフェノール化合物のアルカリ系触媒の存在中で、よく知られた方法で縮合することにより得られた、酸硬化性のプレポリマー化合物の適切な溶媒を含む溶液を意味する。採用されるフェノールの例は、フェノール自身や通常はアルキル置換された置換物であり、フェノールのベンゼン環の、フェノール水酸基に対するo−およびp−の3つの位置が置換されていない場合の誘導体である。そのようなフェノールの混合物も使用される。1又はそれ以上のフェノールと、オルトあるいはパラのポジションの1つが置換されたフェノールとの混合物が、レゾールの流動特性の改善が要求されるが、硬化製品があまり架橋結合されていない場合に採用される。しかし、経済的な理由から、一般的にフェノールは、主に又は完全にフェノール自身からなる。
【0128】
アルデヒドは一般にホルムアルデヒドであるが、高分子量アルデヒドの使用は除外されない。
レゾールのフェノール又はアルデヒドの縮合生成物の構成要素は、フェノールを、フェノール1モルにつき少なくとも1モルのホルムアルデヒドと反応させることにより適切に成形される。ここで、ホルムアルデヒドは一般にホルマリンのような水溶液として提供される。ホルムアルデヒドとフェノールに対するモル比は、少なくとも1.25:1以上で使用されるのが望ましいが、好ましくは、2.5:1を超えるのは避ける。最も好ましい範囲は1.4〜2.0:1である。
【0129】
混合物は2つの活性水素原子をもつ化合物(2価化合物)を含んでもよい。これは、架橋結合の密度を下げるための硬化工程の間、レゾールのフェノール/アルデヒド反応生成物と反応を起こす。好ましくは、2価化合物はジオールであり、特にアルキレンジオールや、OH基間の原子鎖がメチレン及び/又はアルキル置換されたメチレン基のみならず1又はそれ以上のヘテロ原子(特に酸素原子)をも含んだジオールが好ましい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン1,3−ジオール、ブタン1,4−ジオール、ネオペンチルグリコールである。特に好ましいジオールは、ポリ−、特にジ−(アルキレンエーテル)ジオールで、例えばジエチレングリコールや、特にジプロピレングリコールである。好ましくは、2価化合物はフェノール/アルデヒドの縮合生成物の重さを基準として、0〜35重量%、好ましくは0〜25重量%の量である。最も好ましくは、使用時の2価化合物は、フェノール/アルデヒドの縮合生成物の重さを基準として、5〜15重量%の量である。このような2価化合物を含むレゾールが現在の工程で採用されたとき、特に良好な物理特性の組み合わせ、特に強度をもった製品を得ることができる。
【0130】
適切に、2価化合物が成形されたレゾールに加えられ、その2価化合物は、好ましくはOH基間に2−6個の原子を持つ。
レゾールはフェノール/アルデヒドの反応生成物の水又は他の適切な溶媒又は(水を含むか否かにかかわらず)溶媒の混合に溶解させた溶液からなる。水が単一の溶媒として用いられた場合、レゾールの、15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%の量が望ましい。もちろん、水の含有量は、アルコールや上記の2価化合物のような共溶媒との結合で使用された場合、実質的に少なくなる。
【0131】
上述したように、液体のレゾール(すなわち、随意に2価化合物を含むフェノール/アルデヒドの生成物の溶液)は、少なくとも1の反応数を有しなければならない。レゾールを10重量%使用するp−トルエンスルホン酸の66−67%水溶液の、レゾールを60℃において硬化させるのに必要な時間(分)をxとしたとき、反応数は、10/xである。テストには、テストチューブの中で、約5mlのレゾールと別記の量のp−トルエン・スルホン酸の溶液との混合が含まれる。ここで、60℃に加熱された水の容器の中にテストチューブが浸漬され、混合物にさわるのに困難になるのにかかる時間を測定する。レゾールは、有用な発泡製品が生産されるために少なくとも1の反応数を有するべきである。また、好ましくは、レゾールは少なくとも5の反応数、最も好ましくは少なくとも10の反応数を有する。
【0132】
レゾールのpHは、一般的にアルカリ性であり、好ましくは約7に調整される。必要であれば、工程において、乳酸のよう有機の弱酸を適当に追加して使用される。
強酸硬化材の例は、塩酸、スルホン酸、リン酸のような無機の酸や、トルエンスルホン酸の等の芳香族スルホン酸やトリクロロ酸のような有機の強酸である。酢酸やプロピオン酸のような弱酸は一般的に適当でない。本発明の工程において好ましい硬化材は、芳香族スルホン酸、特にトルエンスルホン酸である。
【0133】
酸は、水のような適切な溶媒の中の溶液として用いられる。
レゾール、硬化材と固形物の混合を、スラッシュ成形の利用において、金型などに注いだとき、レゾールや硬化材に加える不活性の固形物の量は、固形物のないレゾールと硬化材の混合物の粘度によって決まる。これらの適用においては、硬化材が溶液などの形で提供されるのが好ましい。これにより、混合物が使用される温度において、必要な量のレゾールと混合して約50ポアズを超えない見掛け粘度を持つ液体が生じる。好ましい範囲は5〜20ポアズである。5ポアズ以下では、溶媒の量が硬化反応の間に問題となる傾向がある。
【0134】
硬化反応は発熱し、それゆえにレゾールや酸硬化材を含む混合物の温度があがる。混合物の温度は、加えられる熱によっても上昇するが、そのとき混合物が上昇する温度は、(潜熱の硬化を含め)85℃を超えないようにしなければならない。
混合物の温度が、硬化材の追加の前に85℃を超えるのであれば、初期の硬化が原因で、混合物を通じて硬化材が適切に分散するのがその後困難、又は不可能になる。他方、硬化材を加えた後、混合物を85℃以上に一様に加熱することが不可能でないとしても困難である。
【0135】
温度が85℃まで上昇することにより、発泡体のテクスチャーの粗さ、不均一さに繋がる傾向があるが、これは、硬化材の濃度を下げることにより、適度な温度で少なくともある程度は埋め合わせが可能である。しかし、温度が75℃を大きく上回ると、たとえ、硬化材が組成物を硬化させるのに必要な最小量であっても、一般に、量が多すぎてこの不都合を避けることができない。このように、75℃以上の温度は避けるのが好ましく、ほとんどのアプリケーションにおいて好ましい温度は、周囲温度から約75℃の間である。好ましい温度の範囲は、固形物(c)の性質の範囲に依存するようである。ほとんどの固形物については、25〜65℃であるが、木粉、穀粉のような固形物においては、好ましい温度範囲は25〜75℃である。最も好ましい温度範囲は30〜50℃である。周囲よりも低い温度(例えば10℃以下)も必要があれば使用できる。しかし、それによる有利な点はない。一般に75℃以上の温度においては、温度が上昇することにより、発泡体の密度などが減少し、また逆も言える。
【0136】
含有される硬化材の量は、硬化速度と同様に製品の性質にも影響を与える。このように、硬化材の量を増やすことは組成物を硬化させるのに必要な時間の低減に影響を与えるだけでなく、温度やレゾールの性質にあるレベル以上依存することとなり、均一性の低い気泡構造を作る傾向もある。また、硬化速度の増大により、発泡体の密度が上昇する傾向もある。実際、用いられる硬化材の濃度が高すぎた場合、硬化速度が早すぎて全く発泡が起こらず、反応の環境によっては、樹脂の硬化されたシェルの中にガスが発生するため爆発が生じうる。硬化材の適量は、発熱する硬化反応の開始前のレゾールと硬化材の混合物の温度と、レゾールの反応数に主に依存し、逆に、温度と反応数を選択することで変わる。硬化材の濃度の好ましい範囲は、レゾールが実質的に中性反応、すなわちpHが約7であると仮定した場合、レゾール内のフェノール/アルデヒドの反応生成物の100重量部に対して、p−トルエンスルホン酸の2〜20重量部と同等である。p−トルエンスルホン酸と同様に、我々は前述したp−トルエンスルホン酸の量と実質的に同等の硬化時間を確保するために必要な選択した硬化材の量を示す。与えられた温度と、レゾールと細かく分割された固形物の組み合わせに対して、最適な量は、簡単な実験により直ちに決まる。好ましい温度範囲が25〜75℃であり、レゾールの反応数が少なくとも10であった場合、フェノール/アルデヒドの反応製品の100重量部に対してp−トルエンスルホン酸の3−10重量部と同等量の硬化材を使うと通常最良の結果が得られる。25℃以下の温度で、または反応数10以下のレゾールを使用した場合、より多くの硬化材を使用する必要がある。
【0137】
金型の性質、特に形や大きさに従って、硬化材の組成の調整をする必要があり、これは実験により定めることができる。
温度や硬化材の濃度の適切な制御により、硬化材をレゾールに加えてから、組成が硬化する間での経過時間(ここでは硬化時間と呼ぶ)は、実質的に濃度や生成物の気泡構造に影響を与えることなく、数秒から1時間、またはそれ以上、自在に変えることができる。
【0138】
必要とされる硬化材の量をコントロールする他の要素は、不活性固形物の性質である。正確に中性なものが非常に少なく、固形物がアルカリ反応を有していた場合、それがほんのわずかであるとしても、フィラーがそれを中性化する傾向を有するため、より多くの硬化材が必要とされる。それゆえに、上記の硬化材の濃度の推奨値は、このような固形物の影響を考慮していない。固形物の性質が、使用される固形物の量に依存するため、調整が必要であり、それは、簡単な実験で決めることができる。
【0139】
レゾールと酸硬化材の発熱する硬化反応により、部分的に揮発される副産物、特にアルデヒドと水が形成される。
硬化反応は、細かく分割された不活性、不溶性微粒子状固形物が含まれる場合効果的である。これは、実質的にレゾールと硬化材の混合物の全体に渡って均一に分散している。不活性固形物により、使用する量において硬化反応を妨げない
【0140】
細かく分割された微粒子状の固形物が、レゾールの中に存在し硬化反応により生成される、主にCHO及び/又はHOといった小分子の揮発により形成される気泡の核を提供すると考えられる。そして、泡の形成が進められる箇所が決まり、それにより細孔径が均一となる。細かく分割された固形物が含まれることで、ここの泡の安定化にも繋がり、泡が塊になり結果的に硬化される前に泡が崩壊してしまう事象を減らすことにも繋がる。この現象は、冶金において、低品位鉱の濃度で使われるフロスふせんの現象に似ている。何れにせよ、固形物の存在が製品の成形にとって本質的である。要求される効果を得るため、固形物は、レゾールの重量に基づいて5重量%を下回らない量である必要がある。
【0141】
反応混合物の中で不溶性で、細かく分割された微粒子状のいかなる固形物も、不活性であるならば適用できる。フィラーは有機でも無機(金属を含む)でもよく、結晶でもアモルファスでもよい。繊維性の固形物でも効果があることはわかっているが、好ましくはない。例として、粘土、粘土鉱物、タルク、バーミキュライト、金属酸化物、耐火物、固形又は中空の微小ガラス、フライアッシュ、コールダスト、木粉、穀粉、ナットシェル粉、シリカ、短く切られたガラスファイバのような鉱物繊維、細かく分割されたアスベスト、短繊維、細かく切られた天然又は合成のファイバ、グランドプラスチック、樹脂があり、粉状であっても繊維状であってもよく、例えば、埋立廃棄物のプラスチック、樹脂や粉状の塗料、カーボンブラック、でん粉のような顔料でもよい。
【0142】
ケイ酸塩、炭酸塩、アルカリ金属等の、弱アルカリ性以上の反応を有する固形物は、酸硬化材と反応する傾向にあるため、避けるのが好ましい。しかし、とてもマイルドなアルカリ反応を有するタルクのような固形物は、マグネサイトのようなより強いアルカリ性の材料で汚染される場合があるため、許容される。
いくつかの材料、特に、木粉のような繊維質の材料は吸収性があり、それゆえに、様々な発泡製品を得るためには、繊維質でない材料よりも一般に多くの量のこれらの材料が使用される必要がある。
【0143】
好ましくは、固形物の粒子サイズは、0.5〜800ミクロンの範囲が好ましい。もし、粒子サイズが大きすぎた場合には、発泡体の気泡構造が望ましくない粗さを有する傾向がある。一方、とても小さい粒子サイズである場合は、発泡体はむしろ密となる傾向がある。好ましい範囲は1〜100ミクロン、最も好ましい範囲は、2〜40ミクロンである。気泡の構造が均一的であることは粒子のサイズが均一であることから導かれるようである。固形物の混合は必要に応じて使用される。
【0144】
必要があれば、細かく分割された金属パウダーのような固形物が含まれ、工程の中で生成されるガスや蒸気の体積に寄与する。しかし、単独で使用される場合には、分解や化学反応によってガスのあとに残る残基が、本発明の工程で要求される、不活性で不溶性の細かく分割された微粒子状の固形物という要求を満たすこととなる。
【0145】
好ましくは、細かく分割された固形物は、レゾールの密度とそれほど違わない密度を持つ。これにより、混合された後、細かく分割された固形物が混合物の底に蓄積される可能性を減らす。
【0146】
好ましい固形物の種類の1つは、石膏、漆喰のような水硬セメントであるが、ポートランドセメントは、そのアルカリ性から除かれる。硬化した樹脂製品で硬化した骨格構造を作り出すために、これらの固形物は、反応混合物の中に存在する水と反応する傾向がある。さらに、水との反応により、発熱も起こり、発泡や硬化反応を助ける。この材料を使って得られる発泡製品は、特に価値のある物理特性を有する。さらに、長期間フレームに露出する場合であっても、負荷を支持する強くて有為な煉瓦のような堅さのある炭にする傾向がある。また、これらの製品は、優れた断熱特性やエネルギー吸収特性も有する。不活性の微粒子状の固形物の好ましい量は、レゾールの100重量部に対して、20〜200重量部である。
【0147】
その使用が、水硬セメントを使って得られるものと特性が同等である製品を生産することから、好ましい固形物の他の種類は、タルクやフライアッシュである。
これらの固形物の好ましい量は、レゾール100重量部に対して、20〜200重量部である。
上記の種類の固形物について、最も好ましい範囲は、レゾール100重量部に対して50〜150重量部である。
【0148】
もし、エアロジル(細かく分割されたシリカ)の様なとても細かく分割された固形物が含まれていたら、チキソ性で発泡形成する混合物を得ることができる。
もし、細かく分割された金属パウダーが含まれていたら、電気伝導特性を得ることができる。金属パウダーは好ましくは、レゾール100重量部に対して50〜250重量部の量で使われる。
【0149】
一般に採用されうる固形物の最大量は、それを混合物に組み込み、混合物を取り扱うという物理的な問題のみによって制御される。一般に、混合物は注流可能であることが要求されるが、極めて高い固体濃度で、混合物がパン生地状であったり、ペースト状であり、注流可能でない場合も、貴重な特性をもつ発泡体の製品を得ることができる。
【0150】
一般に、その他の発泡テクスチャーが乏しい傾向があるため、繊維状の固形物は、繊維状でない固形物とともにのみ使用されるのが望ましい。
他の添加物も発泡形成する混合物に含まれてもよい。例えば、長連鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩等の陰イオン性の物質や、ポリ(エチレンオキシド)やその共重合体を主成分とするもののような非イオン性の物質や、長連鎖第4級アンモニウム化合物やポリアクリルアミドを主成分とするもののような陽イオン性の物質といった界面活性剤、アルキルセルロース、特にメチルセルロースのような粘度調整剤、染料、顔料のような着色剤である。フェノール樹脂の可塑剤も含まれてよく、これにより硬化、発泡反応が抑制されない。また、上述したように硬化時に起こる架橋反応に寄与する二価化合物以外の多官能化合物が含まれる。これは、例えば、ジ/ポリアミン、ジ/ポリイソシアネート、ジ/ポリカルボン酸、アミノアルコールである。
【0151】
重合可能な不飽和化合物も、硬化時に活性になるフリーラジカル重合開始剤と一緒に含んでもよい。これは、例えば、アクリルモノマー、いわゆるアクリル酸ウレタン、スチレン、マレイン酸、これらの誘導剤、これらの混合物である。
発泡、硬化反応の間に硬化するプレポリマーとして、又は粉末、乳剤として、又は分散剤として他の樹脂を含んでもよい。例えば、ポリビニルアセタール等のポリアセタール、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、ポリエステル、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリウレタン、これらのプレポリマー、ポリエステルプレポリマー、ならびにメラミン樹脂、フェノールノボラックなどがある。
【0152】
従来の発泡剤も発泡反応を強めるために含んでもよい。例えば、低沸点有機化合物や、ガスを生成するために分解又は反応する化合物である。
発泡成形組成物は必要に応じて脱水剤を含んでもよい。
【0153】
発泡成形組成物を作る好ましい方法は、最初にレゾールと、レゾール内でフィラーが実質的に均一に分散されるように不活性フィラーを混合し、その後硬化材を加える方法である。組成物全体にフィラーと硬化材の両方を均一に分布することは、均一なきめの発泡製品の製造において本質的である。それ故に徹底した混合が要求される。
【0154】
もし、組成物が発熱反応の前に上昇した温度下に置かれることが必要とされるならば、レゾールを加熱するか、レゾールと固形物を最初に混合してから混合物を加熱すればよい。好ましくは、硬化材を加える直前に固形物をレゾールに加える。あるいは、レゾール、固形物、硬化材の混合物を用意し、混合物全体を加熱する。例えば、短波照射し、好ましくはその後金型に注がれる。必要であれば、放射熱オーブンも使用できるが、この方法では混合物を均一に加熱することが困難である。
【0155】
好ましくは、発泡体は75〜500kg/mの範囲の密度であり、より好ましくは100〜400kg/m、もっとも好ましくは100〜250kg/mである。与えられた密度に対する気泡の寸法を限界まで大きくするに従い壁が厚くなり、発泡体の物理的強度も増すため、発泡体の気泡のサイズも重要である。しかし、気泡のサイズが大きすぎると、強度は保てなくなる。好ましくは、気泡のサイズは1〜3mmの範囲である。
【0156】
本発明は例示した方法により単純に記載したが、詳細の変更は発明の範囲内でなされる。
特に、上記の例はパネルの製造、特にドアの製造に関連して記載した。しかし、本発明は、他の製品を含む非常に広範に適用できることを認めるべきである。確かに本発明の方法に従って非常に広範囲の製品が製造できることが予想される。多くの成形製品は、例え、現在それらの製品が一般に別の材料を使用して製造されるものであったとしても(例えば、木、金属、磁器)本発明の方法を使用して作ることができる。建築製品に加えて、例えば、本発明は、車両部品や、電化製品の付属品、包装品や、家具、絵画のフレーム、イス、テーブル、ランプ台、花瓶、ボウルなど、がほんの一例としてあげられる多くの家財道具等の用途が予想される。
【0157】
上述の方法は例えばスポーツやその他の余暇活動のための製品を製造するのに使用してもよい。例えば、上述の方法は、ラケット、バット、その他、スキーのような製品の成型に使用してもよい。この方法により製造される製品は、例えば、航空宇宙、航空機、その他の乗物の分野に用途を見いだすこともできる。例えば、上述の方法は、航空機の外壁に使用されるパネル及び/又は航空機の内部パネルを成型するのに使用することができる。それらの製品は、風力タービンなど、ブレードとしての用途が考えられる。
発明の詳細な説明、(適切な)特許請求の範囲、図面の中で開示したそれぞれの特徴は、独立して提供されてもよいし適切に組み合わせて提供されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状成形材料からなる層を形成する工程と、
基層を形成する工程と、
前記基層の表面上に前記シート状成形材料の層を据える工程と、
前記基層に対して前記シート状成形材料をプレスする工程とからなる複合製品の成形方法であって、
前記基層は、ガス及び/又は蒸気が、プレスされた領域から排出される構造となっていることを特徴とする複合製品成形方法。
【請求項2】
前記基層は、気泡構造を有する材料を含む請求項1に記載の複合製品成形方法。
【請求項3】
前記基層は、実質的に連続気泡構造を含む材料からなる請求項1又は2に記載の複合製品成形方法。
【請求項4】
前記基層は、発泡材料からなる請求項1乃至3のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項5】
前記シート状成形材料を基層に接着させるために圧力をかける工程を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項6】
前記基層は、複合製品から形成される最終製品の一部を形成する請求項1乃至5のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項7】
前記シート状成形材料を加熱する工程を含む請求項1乃至6のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項8】
前記シート状成形材料は、100℃以上、好ましくは120℃以上の温度に加熱される請求項7に記載の複合製品成形方法。
【請求項9】
前記シート状成形材料が熱硬化材料からなり、材料の硬化を導く工程を含む請求項1乃至8のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項10】
前記シート状成形材料の一部分が、圧力をかける工程の間に基層の表面の中に流れ込む請求項1乃至9のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項11】
前記シート状成形材料の層を金型に当て嵌める工程を含み、金型上で基層をシート状成形材料にプレスする工程をさらに含む請求項1乃至10のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項12】
前記シート状成形材料と金型の表面の間にベールを設ける工程をさらに含む請求項11に記載の複合製品成形方法。
【請求項13】
前記ベールは成形の間、成形材料の成分に対して実質的に透過性を有する請求項12に記載の複合製品成形方法。
【請求項14】
前記ベールは不織布の材料からなる請求項12又は13に記載の複合製品成形方法。
【請求項15】
前記基層は、押し潰し可能な材料からなり、前記プレスする工程の間に基層の表面が成形される請求項1乃至14のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項16】
シート状成形材料からなる層を形成する工程と、押し潰し可能な材料を含む基層を形成する工程と、前記基層の表面上にシート状成形材料の層を据える工程と、前記基層に対して前記シート状成形材料をプレスする工程からなり、前記プレスする工程の間に基層の少なくとも一部が崩される事を特徴とする複合製品成形方法。
【請求項17】
さらなるシート状成形材料の層が基層の反対側の表面に備えられ、前記シート状成形材料の2つの層の間の基層を挟むように圧力をかける請求項1乃至16のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項18】
前記シート状成形材料は、補強用のファイバを含む請求項1乃至17のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項19】
前記シート状成形材料は、マット、ファイバ又はファブリックを含む請求項1乃至18のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項20】
前記シート状成形材料は、カーボンファイバ、ガラスファイバ、及びアラミドファイバの1以上を含む請求項1乃至19のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項21】
前記シート状成形材料はメッシュ又はネットワーク状のファイバを含む請求項1乃至20のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項22】
前記シート状成形材料の層はSMC(シート成形コンパウンド)からなる請求項1乃至21のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項23】
前記シート状成形材料の層が含浸ファイバ複合材料を含む請求項1乃至22のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項24】
前記シート状成形材料の層が硬化性組成物からなる請求項1乃至23のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項25】
前記プレスする工程の間、前記シート状成形材料の粘度が減少する請求項1乃至24のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項26】
前記シート状成形材料は実質的に単一の厚さで据えられる請求項1乃至25のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項27】
前記シート状成形材料は実質的に金型の全表面に据えられる請求項1乃至26のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項28】
複数枚の前記シート状成形材料が金型の表面に据えられる請求項1乃至27のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項29】
前記基層と前記シート状成形材料の間に補強ファイバの層を据える工程をさらに含む請求項1乃至28のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項30】
前記ファイバの層は、前記シート状成形材料の表面の全面より小さい領域に据えられる請求項29に記載の複合製品成形方法。
【請求項31】
プレスされる圧力は200トン未満、好ましくは100トン未満である請求項1乃至30のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項32】
前記シート状成形材料はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金型表面に据えられる請求項1乃至31のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項33】
前記シート状成形材料は表面パターンをもつ金型表面に据えられる請求項1乃至32のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項34】
前記基層は、前記基層の表面の少なくとも一部に表面の構造を含み、前記基層に前記材料を接着させるために、前記シート状成形材料が前記構造に嵌合する請求項1乃至33のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項35】
シート状成形材料からなる層を形成する工程と、
基層を形成する工程と、
前記基層の表面上に前記シート状成形材料の層を据える工程と、
前記シート状成形材料を基層に接着させるために圧力をかける工程とからなる複合製品成形方法であって、
前記基層は、その基層表面の少なくとも一部に表面凹凸構造を含み、前記シート状成形材料が前記構造に係合して前記基層に前記材料を接着させる複合製品成形方法。
【請求項36】
基層の表面に複数のへこみを含む請求項1乃至35のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項37】
シート状硬化性材料を形成する工程と、
基層を形成する工程と、
前記シート状硬化性材料を基層にプレスする工程とからなる複合製品成形方法。
【請求項38】
前記基層は実質的に連続気泡構造である請求項37に記載の複合製品成形方法。
【請求項39】
複合製品の成形に単一の圧縮工程が用いられる請求項37又は38に記載の複合製品成形方法。
【請求項40】
シート状硬化性材料の第2の層を形成し、2つの層の間に基層を形成し、前記2つの層を基層に向かってプレスする工程を含む請求項1乃至39のいずれかに記載の複合製品成形方法。
【請求項41】
シート状硬化性材料の2つの層の間にさらなる成分を形成する工程を含む請求項40に記載の複合製品成形方法。
【請求項42】
請求項1乃至41のいずれかに記載の方法により成形された製品。
【請求項43】
基層と基層表面に接着されたシート状材料のスキンからなり、シート状材料が機械的に基層の表面に嵌合している製品。
【請求項44】
実質的に連続気泡構造の基層と、基層表面に接着されたシート状材料のスキンからなる製品。
【請求項45】
基層が実質的に連続気泡構造で、前記材料が連続気泡構造の基層の気泡の中へ入り込んでいる請求項43又は44に記載の製品。
【請求項46】
請求項1乃至41のいずれかに記載の方法を使用するための基層。
【請求項47】
請求項1乃至41のいずれかに記載の方法を使用するための装置。
【請求項48】
シート状成形材料を基層にプレスするのに使用する成形装置であって、好ましくは前記成形装置の表面がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【公表番号】特表2010−540293(P2010−540293A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527534(P2010−527534)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003371
【国際公開番号】WO2009/044169
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510093107)エイセル グループ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】