説明

複数のデータチャネル転送システム及び方法

本発明は、ネットワーク上でストリーミングセッションを介してサーバと端末間の複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法である。該システム及び方法は、端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めに再生開始をすることにより、第1データチャネルと第2データチャネルの切り替えを促進する。第1データチャネル及び/又は第2データチャネルは、ストリーミングセッションを介してネットワーク上で端末からサーバに配信及び/又は転送される。サーバは、1つ以上のビットレートでエンコードされた及び/又は1つ以上のコンフィギュレーションで設定された1つ以上のトラックを介して、第2データチャネルの第2データを端末に転送する。端末は、端末とサーバ間の第1データチャネルのストリーミングセッションを終了せずに、第1トラック及び/又は第2トラックの変更を要求する。この結果、このシステム及び/又は方法は、第2データチャネルへの切り替えの要求と第2データチャネルの表示にかかる遅延時間を最小限にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法に関する。より詳細には、本発明は、ネットワークを介して、複数のデータチャネルをサーバから端末へ転送するシステム及び方法に関する。第1データチャネルの第1データは、端末及びサーバ間で確立されるストリーミングセッションを介し、ネットワーク上でサーバから端末へ転送、送信及び/又は伝送される。端末は、第2データチャネルの第2データを要求、受信及び/又は表示することにより、第2データチャネルに変更、切り替え及び/又は第2データチャネルを表示する。端末は、第1データチャネルから第2データチャネルへの変更及び/又は切り替えを行う時、第1データチャネルの為に確立したストリーミングセッションを終了させない。サーバ及び/又は端末は、サーバ及び/又は端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始を利用することにより、第2データチャネルに変更、切り替え及び/又は第2データチャネルを表示する。第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替え時の遅延時間、及び第2データチャネルの第2データ表示時の遅延時間は、端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始により、最小限に抑えられる。
尚、本発明は2005年9月22日出願の米国仮出願第60/719,381号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば一般的に知られるように、ユーザは端末を介して、第1コンテンツソースをダウンロード、表示、視聴及び/又は熟視する。第1コンテンツソースは第1データチャネルの第1データを含む。第1データはインターネットプロトコル(以後IPと称する)ネットワーク上で、サーバから伝送及び/又はサーバから端末へ配信されるものである。第1データチャネルの第1データはIPネットワーク上で、サーバから端末へストリーミングセッションを介しストリーミング、転送及び/又は伝送される。ストリーミングセッションとは、例えばユニキャストストリーミングセッション及び/又はマルチキャストストリーミングセッションである。
【0003】
端末は、第1データチャネルの第1データをサーバから受信するために、第1データチャネルの第1ストリーミングセッションに参加及び/又は第1ストリーミングセッションを確立しなければならない。まず、第1ストリーミングセッションの記述が端末へネットワークを介して転送及び/又は伝送されるためには、端末はサーバへの要求を送信及び/又は伝送する必要がある。そして、第1データチャネルがサーバ及び端末間に確立されるためには、端末はサーバへの要求を送信及び/又は伝送する必要がある。次に、端末は第1ストリーミングセッションを介して、サーバから端末へ第1データチャネルの第1データの伝送が起動及び/又は開始されるために、サーバに対し要求を送信及び/又は伝送する必要がある。最後に、端末は出力装置を介してユーザへ第1データをレンダリングする前に、端末のプリロールバッファを充填しなければならない。結果として、第1のストリーミングセッション及び/又は出力装置を介し、第1データチャネルの第1データの第1ストリーミングセッションは、端末へ伝送される及び/又は端末によりユーザに対して表示される。
【0004】
ユーザは、端末、サーバ及び/又はネットワークを介して、第1コンテンツソースに関連する第1データチャネルを、第2コンテンツソースに関連する第2データチャネルに切り替えて、視聴、ダウンロード、表示及び/又は熟視する。しかしながら、第2コンテンツソースの第2データチャネルを視聴するためには、端末は第1データチャネルの第1データの第1ストリーミングセッションを終了させなければならない。次に、端末は第1データチャネルのサーバ及び端末間の第1ストリーミングセッションを中断及び/又は終了させなければならない。そして端末は、上記の第2データチャネルの第2ストリーミングセッションに参加及び第2ストリーミングセッションを確立し、第2データチャネルの第2データを受信する必要がある。最終的に、第2データチャネルの第2データの第2ストリーミングは、第2ストリーミングセッションを介し、端末により伝送、転送、送信及び/又は表示される。結果としてユーザは、端末を介して第2データチャネル及び/又は第2コンテンツソースを視聴、ダウンロード、表示及び/又は熟視する。しかし例えば、第2ストリーミングセッションを介すると、第2コンテンツソースの切り替え及び/又は第2ソースを選択する時間、また第2データチャネルの第2データを視聴する時間によって、遅延時間として15秒が経過する。第1コンテンツソースから第2コンテンツソースへの切り替えを行う際に生じる遅延時間は、ユーザにとって不便であり及び/又は煩わしいものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記より、複数のデータチャネルの転送システム及び方法が必要となる。さらに、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替えを、第1データチャネルの第1ストリーミングセッションを終了させずに行う、複数のデータチャネルの転送システム及び方法が必要となる。またさらに、端末が第2データチャネルの第2ストリーミングセッションに参加及び/又は第2ストリーミングセッションを確立することを要求せずに、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替えを行う、複数のデータチャネルの転送システム及び方法が必要となる。加えて、端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始を利用し、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替えを行う複数のデータチャネルの転送システム及び方法が必要となる。さらに、端末を介し、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替え時、及び第2のデータチャネルの表示時の遅延時間を最小限に抑える、複数のデータチャネルの転送システム及び方法が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ネットワーク上のストリーミングセッションを介して、サーバと端末間の複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法に関する。詳細には、本発明は複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法に関し、これらは端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始をもたらす。これにより第1データチャネルと第2データチャネルの切り替えを促進することができる。第1データチャネル及び/又は第2データチャネルは、サーバから端末にストリーミングセッションを介してネットワーク上で配信及び/又は転送される。このストリーミングセッションは、例えばユニキャストストリーミングセッション、マルチキャストストリーミングセッション及び/又は類似のものなどが挙げられる。このシステム及び方法では、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを、それぞれ第1トラック及び/又は第2トラックと識別する。この端末は、端末とサーバ間のストリーミングセッションを終了せずに、第1トラック及び/又は第2トラック間の変更を要求する。この結果、このシステム及び/又は方法は、第1トラック又は第2トラックの切り替えを要求するための遅延時間、及び第1データチャネル又は第2データチャネルを表示するための遅延時間、それぞれの遅延時間を最小限にすることができる。
【0007】
本発明の一実施形態は、複数のデータチャネルを転送するシステムを提供する。このシステムは、第1データと第2データを蓄積するサーバを備え、第1データが第1ビットレートでエンコードされるとともに第2データが第2ビットレートでエンコードされ、第2ビットレートは第1ビットレートよりも大きなビットレートである。さらに、システムは通信ネットワークを介してサーバに電気的に接続される端末を備え、通信ネットワークを介して端末とサーバが通信し、端末は第2データの第1部分を受信するバッファを有する。さらに、サーバは通信ネットワークを介して端末とのストリーミングセッションを確立し、サーバが第1ビットレートで第1データを端末に送信し、端末が第1データを表示する。さらに、サーバがストリーミングセッションを終了せずに、第3ビットレートで第2データの第1部分を端末のバッファに送信し、第3ビットレートが第2ビットレートよりも大きなビットレートであり、端末が第2ビットレートでバッファからの第2データの第1部分を表示する。
【0008】
一実施形態では、システムは端末に接続される出力装置を備え、第1データと第2データが出力装置を介して表示される。
【0009】
一実施形態では、ストリーミングセッションがユニキャストストリーミングセッション又はマルチキャストストリーミングセッションである。
【0010】
一実施形態では、通信ネットワークが無線通信ネットワークである。
【0011】
一実施形態では、本システムは第2データの第2部分を有し、該第2部分が第2ビットレートでサーバから端末に送信される。
【0012】
一実施形態では、本システムはストリーミングセッションを介してサーバから端末に送信されるビットストリームを備え、第2データの第1部分が、ビットストリームを介して端末のバッファを充填する。
【0013】
一実施形態では、第1データと第2データが映像フレームと音声信号である。
【0014】
本発明のその他の実施形態は、複数のデータチャネルを転送する方法を提供する。この方法は、第1データと第2データをサーバに蓄積する段階を備え、第1データが第1ビットレートでエンコードされるとともに、第1ビットレートよりも大きなビットレートである第2ビットレートで第2データがエンコードされ、第2データの一部分が第3ビットレートでエンコードされ、第2データの一部分がサーバに蓄積され、第3ビットレートが第2ビットレートよりも大きなビットレートである。さらに、この方法は、通信ネットワークを介して端末をサーバに接続する段階を備え、端末とサーバが通信ネットワークを介して通信し、端末が第2データの一部分を受信するバッファを有する。さらに、この方法は、サーバから端末に第1ビットレートで第1ビットストリームを送信する段階を備え、端末が第1ビットストリームを介して第1データを受信し、端末が第1データを表示する。さらに、この方法は、端末とサーバ間の通信を終了せずに、第1データから第2データへ切り替える段階を備え、サーバが第3ビットレートで第2データの一部分を端末に送信し、第2データの一部分が端末のバッファを充填する。さらに、この方法は、サーバから端末に第2ビットレートで第2ビットストリームを送信する段階を備え、端末が第2ビットストリームを介して第2データを受信し、第2データの一部分が端末により表示された後、サーバが第2ビットレートで第2ビットストリームを送信する。
【0015】
一実施形態では、本方法はサーバと端末間でストリーミングセッションを確立する段階を備え、端末が第1ビットストリームと第2ビットストリームを受信する。
【0016】
一実施形態では、本方法は端末からサーバへの要求を送信する段階をさらに備え、この要求が第1ビットストリームから第2ビットストリームへの切り替えをサーバに指示する。
【0017】
一実施形態では、通信ネットワークが無線通信ネットワークである。
【0018】
一実施形態では、本方法はサーバと端末間のデータチャネルを起動する段階を備え、端末がサーバから第1ビットストリーム又は第2ビットストリームを受信する。
【0019】
一実施形態では、本方法はバッファが第2データの一部分で充填される前に、第2データの一部分の再生を起動する段階を備える。
【0020】
一実施形態では、端末のバッファがプリロールバッファ又はジッタバッファである。
【0021】
本発明のその他の実施形態は、複数のデータチャネルを転送する方法を提供する。この方法は、サーバと端末間のストリーミングセッションを通信ネットワーク上で確立する段階を備え、サーバが第1データと第2データを蓄積し、サーバがストリーミングセッションを介して第1データと第2データをサーバに通信し、端末が第2データの一部分を受信するバッファを有する。さらに、この方法はサーバから端末に第1ビットレートで第1ビットストリームを送信する段階を備え、端末がサーバからの第1データを受信し、端末が第1データを表示する。さらに、この方法はサーバからの第2ビットストリームを要求する段階を備え、端末がサーバからの第2データを受信し、第2データがサーバにより第2ビットレートでエンコードされ、第2ビットレートが第1ビットレートよりも大きなビットレートである。さらに、この方法はサーバから端末に第2データの一部分を送信する段階を備え、サーバと端末間のストリーミングセッションを終了せずに、第2データの一部分が第3ビットレートで端末に送信される。第3ビットレートが第1ビットレートと第2ビットレートよりも大きなビットレートであり、端末のバッファがサーバから第2データの一部分を受信し、端末がバッファからの第2データの一部分を表示する。
【0022】
一実施形態では、本方法はサーバから端末に第2ビットレートで第2ビットストリームを送信する段階を備え、端末が第2ビットストリームからの第2データを表示する。
【0023】
一実施形態では、本方法はサーバから第3ビットレートで受信した第2データの一部分で端末のバッファを充填する段階を備え、第2データが端末により表示される。
【0024】
一実施形態では、本方法はサーバと端末間のデータチャネルを確立する段階を備え、端末が第1ビットストリームと第2ビットストリームを受信する。
【0025】
一実施形態では、本方法はサーバと端末間のストリーミングセッションを終了せずに、第1ビットストリームから第2ビットストリームに切り替える段階を備える。
【0026】
一実施形態では、通信ネットワークが無線通信ネットワークである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の有利な点は、端末とサーバ間のストリーミングセッションを介したネットワーク上で、サーバから端末への複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することである。
【0028】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、ユニキャストストリーミングセッション及び/又はマルチキャストストリーミングセッションを介して、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルをサーバから端末に転送、伝送及び/又は配信する。
【0029】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、サーバと端末間の第1データチャネルのストリーミングセッションを終了せずに、第1データチャネルと第2データチャネルを切り替える。
【0030】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、第1データチャネルのストリーミングセッションを終了せずに、及び/又は第2データチャネルのストリーミングセッションに参加することなく、第1データチャネルから第2データチャネルへ切り替える。
【0031】
本発明のさらなる有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替えを要求するために生じる遅延時間、及び第2データチャネルを端末及び/又はストリーミングセッションを介して表示するための遅延時間、これらの遅延時間を最小限にする。
【0032】
さらに、本発明の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、第1データチャネルと第2データチャネルの切り替えに要する、端末のビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始を提供する。
【0033】
さらに、本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、インターネットプロトコルネットワークを介し、サーバから端末へテレビのようなサービスを提供する。
【0034】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、端末とサーバ間の高速なチャネルの切り替えを促進する。
【0035】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを、それぞれ第1ビットレート及び/又は第1コンフィギュレーションでエンコードされた第1トラック及び/又は、第2ビットレート及び/又は第2コンフィギュレーションでエンコードされた第2トラックと認識する。
【0036】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、第1データチャネルから第2データチャネルへの切り替えの要求を、それぞれ第1トラックから第2トラックへの切り替えの要求と認識し、及び/又はそれぞれ第1ビットストリームから第2ビットストリームへの切り替えの要求と認識する。
【0037】
さらなる本発明の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、サーバと端末間において、第1データチャネルと第2データチャネルの切り替えを要する複数の往復通信による遅延を防ぐ。
【0038】
さらに、本発明の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、ビットストリームのエンコードされたビットレートより速い伝送速度でデータを送ることにより、ビットストリームを介してサーバから端末に実時間速度よりも速い速度でデータを配信する。
【0039】
さらに、本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、データを平均化するサーバ及び/又はビットストリームのエンコードされたビットレートと類似の伝送sでビットストリームを介してデータを送るためのサーバを提供する。
【0040】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、端末でバッファを充填することによりビットストリームからの映像フレーム及び/又は音声信号を表示する、及び/又はビットストリームのビットレートを切り替えることによりビットストリームの映像フレーム及び/又は音声信号を表示する。
【0041】
さらに、本発明の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、ビットストリームのデータ到達速度を基礎とした実時間速度よりも遅い再生速度を提供する。
【0042】
本発明のその他の有利な点は、複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法を提供することであって、該システム及び方法は、データの数秒分を端末に送信する及び/又はデータを実時間速度で送信する。
【0043】
本発明のさらなる特徴及び有利な点は、以下、発明を実施するための最良の形態及び図面の記載により、明らかに示されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明は、ネットワーク上におけるサーバと端末間の複数のデータチャネルを転送するシステム及び方法に関する。複数のデータチャネルは、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを備え、この複数のデータチャネルはそれぞれ、第1コンテンツソースから第1データを提供する及び/又は第2コンテンツソースから第2データを提供する。サーバと端末との間で確立されるストリーミングセッションを介して、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルは、サーバから端末へと伝送、転送及び/又は送信される。端末及び/又はサーバは、ストリームセッションを終了することなく、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを切り替える。端末はビットストリーム切り替え、高速でのバッファ充填、及び/又は早めの再生開始を行なうことにより、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルの切り替えを促進する。サーバ及び/又は端末が第1データチャネル及び/又は第2データチャネルの切り替えることによって、ストリーミングセッションは終了されない。その結果、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルへの切り替えを要求するために要する遅延時間、及び第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを表示するために要する遅延時間はそれぞれ、サーバ及び/又は端末により最小化される。
【0045】
部品に対して符号が付された図面を参照する。図1は、システム(10)を示し、該システム(10)はサーバ(11)を有し、サーバ(11)は、第1データチャネルの第1データ及び/又は第2データチャネルの第2データを、端末(12)へ通信ネットワーク(14)(以後、ネットワーク(14)と記載する)を介して転送する。第1データ及び/又は第2データは、例えば、音声信号、映像フレーム、データストリーム及び/又は類似のものが挙げられる。第1データチャネル及び/又は第2データチャネルは第1コンテンツソース及び/又は第2コンテンツソースに、及び/又は、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルはメディアサービスに関連付けられている。メディアサービスは、例えば、テレビサービス、ラジオサービス、ケーブルテレビサービス、衛星サービス及び/又は類似のものが挙げられる。端末(12)はネットワーク(14)を介してサーバ(11)と接続及び/又は通信を行なう。本発明は、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルに関連付けられている特定のメディアサービスの実施例のみに限定されない。
【0046】
例えば、端末(12)は、コンピュータ端末、モバイルデバイス、及び/又は電子デバイスが挙げられる。これら端末は、第1データ及び/又は第2データを伝送、受信、処理、受取及び/又は表示をする。さらに、例えば、モバイルデバイスは、3Gモバイルデバイス、インターネットプロトコル(以後、「IP」と称する)、ビデオ携帯電話、PDA、ノート型パソコン及び/又は類似のものが挙げられる。端末(12)は、当業者に知られているあらゆる端末であってもよく、該端末は、第1データ及び/又は第2データを伝送、受信、処理、受取及び/又は表示をすることが可能である。
【0047】
ネットワーク(14)は、例えば、IPネットワーク、無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク及び/又は類似のものを示す。端末(12)はネットワーク(14)を介して、サーバ(11)に離れて位置する及び/又は、遠隔的に接続されている。本発明はネットワーク(14)の特定の実施例のみに限定されない。ネットワーク(14)は、当業者に知られているあらゆるネットワークであってもよく、該ネットワークは、端末(12)とサーバ(11)間の通信を接続及び/又は提供することが可能である。
【0048】
第1データチャネルの第1データ及び/又は第2データチャネルの第2データは、サーバ(11)によってパケット化される。第1データ及び/又は第2データはネットワーク(14)上のサーバ(11)から端末(12)へと配信、伝送、転送、及び/又は送信される。第1データ及び/又は第2データはネットワーク(14)を介してサーバ(11)から端末(12)へとストリーミングされる。このストリーミングは、サーバ(11)と端末(12)間で確立されるストリーミングセッションを通じて行なわれる。ストリーミングセッションは、例えば、ユニキャストストリーミングセッション、及び/又はマルチキャストのストリーミングセッションなどが挙げられる。本発明はストリーミングセッションの特定の実施形態に限定されない。
【0049】
端末(12)は、ネットワーク(14)を介して、端末(12)とサーバ(11)間の第1データチャネルのストリーミングセッションに参加、ストリーミングセッションを開始、及び/又は起動する。その結果、端末(12)は、第1データチャネルの第1データにアクセス、受信、要求、及び/又は表示する。ストリーミングセッションの詳細情報を端末(12)に送るために、端末(12)は、ネットワーク(14)を介してサーバ(11)に対して、要求を伝送、転送、及び/又は送信する。端末(12)はネットワーク(14)を介してサーバ(11)からストリーミングセッションの詳細情報を受信する。端末(12)とサーバ(11)との間の第1データチャネル及び/又はストリーミングセッションを確立、開始、及び/又は起動するために、端末(12)はネットワーク(14)を介して、サーバ(11)へ要求を伝送、転送、及び/又は送信する。その結果、サーバ(11)は、端末(12)とサーバ(11)との間の第1データチャネル及び/又はストリーミングセッションを、ネットワーク(14)を介して確立、開始、及び/又は起動する。
【0050】
端末(12)は、サーバ(11)へネットワーク(14)を介して要求を伝送及び/又は送信し、サーバ(11)から端末(12)へネットワーク(14)を介して第1データチャネルのデータを伝送、転送、及び/又は通信する。サーバ(11)は、端末(12)に、ネットワーク(14)を介して第1データをストリーミング、転送及び/又は伝送する。サーバ(11)から受信した第1データは、端末(12)にてプリロールバッファを充填する。端末(12)におけるプリロールバッファは、第1データに関連付けられた映像フレーム、及び/又は第1データに関連付けられた音声信号を、端末(12)に関連付けられた出力装置(16)を介して、取り込み及び/又は再生をおこなう。出力装置(16)は、例えば、モニタ、プロジェクタ、発光ダイオード、液晶ディスプレイ及び/又はスピーカが挙げられる。端末(12)は外部出力(16)を介してユーザ(18)に第1データチャネルの第1データをレンダリング、表示、及び/又は再生する。本発明は出力装置(16)の特定の実施形態に限定されない。
【0051】
ユーザ(18)は、第2コンテンツソースの第2データを、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、見たり、聞いたり、ダウンロードしたり及び/又は受信したりすることを望む。ユーザ(18)は、第1コンテンツソースに関連付けられた第1チャネルから、第2コンテンツソースに関連付けられた第2チャネルへと、ストリーミングセッションを切り替える。サーバ(11)は、第2データチャネルの第2データを、端末(12)にネットワーク(14)上でストリーミングセッションを介して、転送、伝送及び/又は送信する。サーバ(11)及び/又は端末(12)は、ビットストリーム切り替え、高速でのバッファ充填、及び/又は早めの再生開始を行なうことにより、第1データチャネルの第1データと第2データチャネルの第2データとの間の切り替えを促進する。その結果、第2データチャネルへと切り替えを要求するために要する遅延時間、そして第2データチャネルの第2データを出力装置(16)により表示及び/又はレンダリングために要する遅延時間はそれぞれ、端末により最小化される。これにより、ユーザは、端末(12)の出力装置(16)を介して、第2データチャネルの第2データを見たり、表示したり及び/又は聞いたりすることができる。
【0052】
端末(12)のビットストリーム切り替えは、第1データ及び/又は第2データを伝送する間に、第1ビットストリームから第2ビットストリームへと切り替えることである。これにより、端末(12)のビットストリームは第1データチャネル及び/又は第2データチャネルにおけるチャネル環境の変更に適合する。チャネル環境は、例えば、チャネルの回線容量環境、チャネルのノイズ環境及び/又は類似のものが挙げられる。ビットストリーム切り替えは、例えば、第1ビットレートでエンコードされた第1ビットストリームから第2ビットレートでエンコードされた第2ビットストリームへと切り替え及び/又は変更することが挙げられる。第1ビットストリームの第1ビットレートは、第2ビットストリームの第2ビットレートよりも大きい。第1ビットストリームから第2ビットストリームへと切り替えることにより、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルにおいて、チャネル回線容量の減少に適合する及び/又は高いノイズレベルを補正する。
【0053】
ビットストリーム切り替えは、複数のビットレートのビットストリームを作成及び/又は生成することである。これらビットストリームは、同時に作成及び/又は生成され、及び/又は同期化される。ビットストリーム切り替えは、エンコーダを利用し、異なるビットレートの複数のビットストリームを同時に作成する。ビットストリームの作成は、第1データチャネルの第1データ及び/又は第2データチャネルの第2データを用いることで行なわれる。又は、ビットストリーム切り替えは、複数のエンコーダを利用して行なわれる。複数のエンコーダはそれぞれ、異なるビットレートでエンコードされるビットストリームを作成する。端末(12)及び/又はサーバ(11)は、ビットストリームを切り替え、第1ビットレートでエンコードされた第1ビットストリームから、第2ビットレートでエンコードされた第2ビットストリームへとビットストリームを切り替える。第2ビットレートは、チャネル環境に応じた実時間速度と類似する。チャネル環境とは、例えば、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルのチャネル回線容量が変化することが挙げられる。
【0054】
ビデオオンデマンド(以後、VODと称する)ストリーミングにおいて、VODストリーミングのビットストリームは、複数のビットレートでプリエンコードされ、ファイル内の別々のトラックとして、もしくは複数のファイル内のトラックとして保存される。異なるビットレート間における端末(12)のビットストリーム切り替えは、第1ビットレートでエンコードされた第1トラックから、第2ビットレートでエンコードされた第2トラックへと1つのファイル内で切り替えることである。もしくは、このビットストリーム切り替えは、複数のファイルにおける2つのファイル間で切り替えることである。その結果、ユーザ(18)は、第1データチャネルの第1データ、又は第2データチャネルの第2データを、第1データチャネルあるいは第2データチャネルのチャネル回線容量環境に適合するために、それぞれ1つ以上のビットレートで見ることになる。これにより、ビットストリーム切り替えは、第1ビットレートの第1ビットストリームから第2ビットレートの第2ビットストリームへの変更を促進する。第1ビットストリームから第2ビットストリームへの切り替えは、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルのチャネル回線容量環境を測定する適合アルゴリズムに基づいて行われている。この適合アルゴリズムは、第1チャネル及び/又は第2チャネルの回線容量環境の測定結果に基づき、第1ビットストリームから第2ビットストリームへの切り替えを管理及び/又はコントロールする。
【0055】
端末(12)における高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始は、第1データ及び/又は第2データを第1再生速度で見る及び/又は表示することを可能とする及び/又は促進する。この第1再生速度は、標準再生速度よりも速い。高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始は、端末(12)のプリロールバッファ及び/又はジッタバッファを、第1データ及び/又は第2データで充填することで行われる。なお、充填は、標準再生速度よりも速いバッファ充填速度で行なわれる。標準再生速度は端末(12)及び/又は出力装置による、第1データ及び/又は第2データの消費量に基づいている。この端末(12)及び/又は、出力装置はユーザ(18)に対して第1データ及び/又は第2データを表示、再生、レンダリング及び/又は伝送を行なう。この結果、端末(12)及び/又は出力装置(16)は、プリロールバッファ及び/又はジッタバッファを最大まで充填することなく、出力装置(16)を介しユーザ(18)に対して、第1データ及び/又は第2データを起動、伝送、表示及び/又はレンダリングする。
【0056】
サーバ(11)は、ネットワーク(14)を介して、端末(12)へ第1データチャネルの第1データ及び/又は第2データチャネルの第2データを転送、伝送、及び/又は送信する。第1データチャネルの第1データは、端末(12)とサーバ(11)間のストリーミングセッション上で、ネットワークを介して端末(12)へ配信する。サーバ(11)及び/又は端末(12)は、端末(12)において第1データチャネルから第2データチャネルへと高速でチャネルを切り替えることを促進する。
【0057】
サーバ(11)及び/又は端末(12)は、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを第1トラック及び/又は第2トラックとして識別及び/又は認識する。第1データチャネルは、第1ビットストリーム及び/又は第2ビットストリームの第1データを有する。第2データチャネルは、第3ビットストリーム及び/又は第4ビットストリームの第2データを有する。第1ビットストリーム、第2ビットストリーム、第3ビットストリーム及び/又は第4ビットストリームはサーバ(11)及び/又は端末(12)により、第1トラック、第2トラック、第3トラック及び/又は第4トラックとしてそれぞれ識別されている。第1トラック、第2トラック、第3トラック及び/又は第4トラックは、第1ビットレート、第2ビットレート、第3ビットレート及び/又は第4ビットレートでそれぞれエンコードされる。さらに、第1トラック、第2トラック、第3トラック及び/又は第4トラックは、第1コンフィグレーション、第2コンフィグレーション、第3コンフィグレーション及び/又は第4コンフィグレーションでそれぞれ設定される。第1トラック、第2トラック、第3トラック及び/又は第4トラックにより、端末(12)及び/又はサーバ(11)は第1データチャネルと第2データチャネルを切り替える。
【0058】
端末(12)は、サーバ(11)に対して、チャネルを変更するように要求を送信及び/又は伝送する。チャネル変更の要求は、サーバ(11)に対して行なわれ、サーバ(11)は第1トラックもしくは第2トラックから、第3トラックもしくは第4トラックへと変更及び/又は切り替えを行なう。また、チャネルを変更する要求がサーバ(11)に対して行なわれ、サーバ(11)は、第1ビットストリームもしくは第2ビットストリームから、第3ビットストリームもしくは第4ビットストリームへと変更する。サーバ(11)は、ストリーミングセッション上でネットワーク(14)を介して、第3チャネル、第4チャネル、第3ビットストリーム及び/又は第4ビットストリームを端末(12)へと伝送、転送及び/又は送信する。端末(12)は、第3トラック、第4トラック、第3ビットストリーム及び/又は第4ビットストリームの第2データを、ユーザ(18)に、出力装置(16)を介して、受信、表示及び/又はレンダリングする。
【0059】
チャネル変更を要求することで、端末(12)及び/又はサーバ(11)がストリーミングセッションを終了及び/又は遮断することを防止する。さらに、チャネル変更を要求することで、端末(12)及び/又はサーバ(11)が第2データチャネルのストリーミングセッションを確立及び/又は起動することを防止する。またさらに、チャネル変更を要求することで、複数の往復通信に遅延が生じることを防止する。その結果、チャネル変更要求により、チャネル変更の要求をサーバに対して伝送する際の遅延時間、及びユーザ(18)に対して第2データを表示する際の遅延時間が最小化される。
【0060】
サーバ(11)は、第3ビットストリーム及び/又は第4ビットストリームの第2データのk秒分を蓄積する。端末(12)におけるジッタバッファの最大量は、kの値によって示される及び/又はkの値に関係する。kの値は時間量を意味する及び/又は時間量に関係する。この時間が経過した後に、ストリーミングセッションからの第1データ及び/又は第2データの視聴時間が開始される。
【0061】
ユーザ(18)は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して視聴するために、第1データチャネルの第1トラック又は第2トラックから、第2データチャネルの第3トラック及び/又は第4トラックへと切り替え及び/又は変更することを選択できる。サーバ(11)は第2データのk秒分でN回、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートに伝送、転送及び/又は送信する。その結果、第2データチャネルの第2データは、実時間速度よりも速い配信速度で端末(12)に対して転送及び/又は配信され、これは第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートの伝送速度よりも速い第1伝送速度で送信及び/又は転送されることによってなされる。配信速度及び/又は伝送速度は、第3トラックの第3ビットレート及び第4トラックの第4ビットレートにおける、利用可能なチャネル帯域幅の比率に基づいている。Nの数値は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートに対する、利用可能なチャネル帯域幅の比率である。Nの数値として、例えば、第2データを伝送する速度であるとともに、実時間速度よりも速い第1伝送速度の速度因子が挙げられる。利用可能なチャネル帯域幅は、第3ビットレートあるいは第4ビットレートよりも速い。その結果、比率はN>である及び/又は、端末(12)は第3トラックあるいは第4トラックの第2データを受信及び/又は表示する。
【0062】
利用可能なチャネル帯域幅は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートと類似する及び/又は等しい。その結果、比率はN≒1である。サーバ(11)は、因子L及び数値Lにより、第3トラック及び/又は第4トラックの第2データを平均化する。この因子L及び数値Lは1以上である。数値Lは、第2データを実時間速度で伝送する第2データの平均化を行なう速度因子である。サーバ(11)は第2データを第2伝送速度で送信及び/又は伝送する。第2伝送速度は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートと類似する及び/又は等しい。サーバ(11)は、実時間速度で、第3ビットレートあるいは第4ビットレートの第2データを送信及び/又は転送の、切り替え、起動及び/又は再開を行なう。
【0063】
サーバ(11)は、第2データのk秒分を端末(12)に送信及び/転送する。その結果、第2データの平均化を経て、第2データは実時間速度よりも速い配信速度で送信及び/又は転送される。サーバ(11)は、ストリーミングセッションを介して、第2伝送速度で第2データを端末(12)へ送信又は伝送する。この第2伝送速度は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートと類似及び/又は等しい。端末(12)の高速バッファ充填を行なうことで、平均化速度にて、第2データを再生及び/又は表示する。これにより、プリロールバッファ及び/又はジッタバッファに第2データを蓄積させる及び/又は充填させる。サーバ(11)は、端末(12)に対して、第3ビットレートあるいは第4ビットレートで第2データを転送、送信及び/又は伝送するために切り替え及び/又は変更する。第2データのk秒分は端末(12)及び/又は出力装置(16)により、最後まで再生、消費及び/又は表示される。
【0064】
端末(12)は第3トラック及び/又は第4トラックの第2データをユーザ(18)に対して、実時間速度よりも遅い再生速度で、表示及び/又はレンダリングする。その結果、第2データの再生速度は、ストリーミングセッションを介するサーバ(11)から端末(12)への第2データの到達速度に基づき、低減及び/又は減少される。第3トラック又は第4トラックの第2データは、ストリーミングセッションを介して、第2伝送速度で端末(12)に配信される。この第2伝送速度は、第3トラックの第3ビットレートあるいは第4トラックの第4ビットレートと類似あるいは等しい。しかしながら、端末(12)は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、ユーザ(18)に対し第2データを表示及び/又はレンダリングする。この時の再生速度は、1/Pの因子により、実時間速度以下となる。Pの値は、1より大きい。Pの値は、実時間速度で第2データを伝送するための再生速度の因子である。
【0065】
端末(12)は、ストリーミングセッション上でネットワーク(14)を介して、第2サーバ(11)から、データのk秒分を受信する。端末(12)は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、ユーザ(18)に対して、第2データに関連付けられたビデオフレーム及び/又は音声信号を表示及び/又はレンダリングする。第2データのM秒分をサーバ(11)から受信する。端末(12)の早めの再生開始は、ビデオフレーム及び/又は音声信号を表示及び/又はレンダリングする。Mの値はKの値よりも小さい。Mの値は端末(12)及び/又は出力装置(16)における、第2データの再生前の秒数をさす。早めの再生開始は、端末(12)での高速バッファ充填を用いる及び/又は高速バッファ充填に連動する。この時、Nは1より大きく、Lは1より大きく、及び/又はPは1以上である。サーバ(11)が第2データのk秒分を送信した後、サーバ(11)は実時間速度で第2データチャネルの第2データの送信を開始、起動及び/又は再開する。
【0066】
ある実施例において、k、N及びMの値は、それぞれ、6、2そして1である。サーバ(11)は、第2データの6秒分を第3トラック又は第4トラックを介して蓄積する。サーバ(11)は、端末(12)へ第2データを転送及び/又は伝送する。このときの転送及び/又は伝送速度は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートの2倍の速度である。その結果、第2データは端末(12)にて3秒以内でプリロールバッファを充填する。端末(12)は、第2データに関連付けられたビデオフレーム及び/又は音声信号を再生、表示及び/又はレンダリングする。プリロールバッファ充填にかかる3秒のうち1秒は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、経過する及び/又は過ぎる。プリロールバッファを充填する2秒は、サーバ(11)からのデータを受け取り続ける。端末(12)は、プリロールバッファ内の第2データの6秒分を再生、表示及び/又はレンダリングした後に、実時間速度で第2データの再生、表示及び/又はレンダリングを起動、開始及び/又は再開する。
【0067】
他の実施例では、k、L及びMの値がそれぞれ、6、2、そして1である。サーバ(11)は、ストリーミングセッション上でネットワークを介して、第2データの6秒分を蓄積及び/又は2つの因子で第2データを平均化する。サーバ(11)は平均化された第2データを、端末(12)に送信、伝送及び/又は転送を行なう。サーバ(11)は、第3トラックの第3ビットレートあるいは第4トラックの第4ビットレートと等しい伝送速度で、平均化される第2データを端末(12)へ転送する。その結果、第2データは3秒以内に端末(12)にてプリロールバッファを充填する。端末(12)は、第2データを、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、再生、表示及び/又はレンダリングする。端末(12)は端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、第2データを表示及び/又はレンダリングする。プリロールバッファ充填にかかる3秒のうち1秒は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して、経過する及び/又は過ぎる。プリロールバッファを充填する第2データの2秒分は、ストリーミングセッションにより、サーバ(11)から受け取り続ける。端末(12)は、プリロールバッファ内の第2データの6秒分を表示及び/又はレンダリングした後に、実時間速度でユーザ(18)に対して第2データの表示及び/又はレンダリングを起動及び/又は再開する。
【0068】
その他の実施例として、k、P、Mの値は、それぞれ3、2、1に等しい。サーバ(11)は、端末(12)に第2データの3秒分を蓄積する及び/又は端末に第2データを送信、転送及び/又は伝送し、これはストリーミングセッション上ネットワーク(14)を介して第3トラック又は第4トラックで行われた。サーバ(11)は、第3トラックの第3ビットレート及び/又は第4トラックの第4ビットレートと等しい伝送速度で、端末(12)に第2データを転送及び/又は送信する。この結果、第2データは3秒以内に端末(12)のプリロールバッファを充填する。端末(12)は、端末(12)及び/又は出力装置(16)を介して第2データをユーザー(18)に対して再生、表示及び/又はレンダリングする。プリロールバッファを充填する3秒中1秒経過した後、端末(12)は、第2データを表示及び/又はレンダリングする。端末(12)は、もともとの表示時間の半分の速度である再生速度で、第2データを表示及び/又はレンダリングする。プリロールバッファを充填するための2秒はサーバ(11)から受け取り続けている。端末(12)が、プリロールバッファの第2データの3秒分を再生、表示及び/又はレンダリングした後、サーバ(11)は、実時間速度で第2データの表示及び/又はレンダリングを、起動する及び/又は再開する。本発明はk、N、L及び/又はMの値による特定の実施形態に制限されるものではない。
【0069】
システム(10)は、サーバ(11)から端末(10)にネットワーク(14)上で複数のデータチャネルを、転送、伝送及び/又は送信する。複数のデータチャネルは、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを有し、これらは、第1コンテンツソースからの第1データ及び/又は第2コンテンツソースからの第2データをそれぞれ提供する。第1データチャネル及び/又は第2データチャネルは、サーバ(11)と端末(12)間で確立されたストリーミングセッションを介して、サーバ(11)から端末(12)に伝送、転送及び/又は送信される。端末(12)及び/又はサーバ(11)は、ストリーミングセッションを終了せずに第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを切り替える。端末(12)及び/又はサーバ(11)は、ビットストリーム切り替え、高速バッファ充填及び/又は早めの再生開始により、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルの切り替えを促進することができる。
【0070】
第1データチャネルの第1データは、第1ビットレートでエンコードされた及び/又は第1コンフィギュレーションで設定された第1トラック、及び/又は第2ビットレートでエンコードされた及び/又は第2コンフィギュレーションで設定された第2トラックを介して、端末(12)に転送される。第2データチャネルの第2データは、第3ビットレートでエンコードされた及び/又は第3コンフィギュレーションで設定された第3トラック、及び/又は第4ビットレートでエンコードされた及び/又は第4コンフィギュレーションで設定された第4トラックを介して、端末(12)に転送される。ストリーミングセッションは、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを切り替えるために、サーバ(11)及び/又は端末(12)によって終了されることはない。この結果、第1データチャネル及び/又は第2データチャネルの切り替えを要求するために要する遅延時間、及び第1データチャネル及び/又は第2データチャネルを表示するために要する遅延時間、それぞれの遅延時間をサーバ(11)及び/又は端末(12)により最小限にすることができる。
【0071】
ここに示された発明を実施するための最良の形態において、様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。そのような変更及び修正は本発明の根底と本発明の範囲を逸脱しないとともに付随する効果を減少させずに行うことが可能である。したがって、このような変更及び修正は、ここに添付の本発明の請求の範囲によって網羅されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態のシステムを箱図表により図示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータチャネルを転送するシステムであって、
該システムは、第1データと第2データを蓄積するサーバを備え、
前記第1データが第1ビットレートでエンコードされるとともに、前記第2データが第2ビットレートでエンコードされ、
前記第2ビットレートが前記第1ビットレートよりも大きなビットレートであって、
前記システムはさらに、
通信ネットワークを介して前記サーバに電気的に接続される端末を備え、
前記通信ネットワークを介して前記端末と前記サーバが通信し、
前記端末が前記第2データの第1部分を受信するバッファを有し、
前記サーバが前記通信ネットワークを介して前記端末とのストリーミングセッションを確立し、
前記サーバが前記第1ビットレートで前記第1データを前記端末に送信し、
前記端末が前記第1データを表示し、
前記サーバが前記ストリーミングセッションを終了せずに、第3ビットレートで前記第2データの第1部分を前記端末の前記バッファに送信し、
前記第3ビットレートが前記第2ビットレートよりも大きなビットレートであり、
前記端末が前記第2ビットレートで前記バッファからの第2データの第1部分を表示することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記端末に接続される出力装置をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシステムであって、
前記第1データと前記第2データが前記出力装置を介して表示されることを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記ストリーミングセッションがユニキャストストリーミングセッションまたはマルチキャストストリーミングセッションであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記通信ネットワークが無線通信ネットワークであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第2データの第2部分が第2ビットレートでサーバから前記端末に送信されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記ストリーミングセッションを介して前記サーバから前記端末に送信されるビットストリームをさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシステムであって、
前記第2データの第1部分が、前記ビットストリームを介して前記端末のバッファを充填することを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記第1データと前記第2データが映像フレームと音声信号であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
複数のデータチャネルを転送する方法であって、
該方法は、第1データと第2データをサーバに蓄積する段階を備え、
前記第1データが第1ビットレートでエンコードされるとともに、前記第1ビットレートよりも大きなビットレートである第2ビットレートで前記第2データがエンコードされ、
前記第2データの一部分が第3ビットレートでエンコードされ、
前記第2データの一部分が前記サーバに蓄積され、
前記第3ビットレートが前記第2ビットレートよりも大きなビットレートであって、
前記方法はさらに、
通信ネットワークを介して端末を前記サーバに接続する段階を備え、
前記端末と前記サーバが前記通信ネットワークを介して通信し、
前記端末が前記第2データの一部分を受信するバッファを有し、
前記方法はさらに、
前記サーバから前記端末に前記第1ビットレートで第1ビットストリームを送信する段階を備え、
前記端末が前記第1ビットストリームを介して前記第1データを受信し、
前記端末が前記第1データを表示し、
前記方法はさらに、
前記端末と前記サーバ間の通信を終了せずに、前記第1データから前記第2データへ切り替える段階を備え、
前記サーバが第3ビットレートで前記第2データの一部分を端末に送信し、
前記第2データの一部分が前記端末の前記バッファを充填し、
前記方法はさらに、
前記サーバから前記端末に前記第2ビットレートで第2ビットストリームを送信する段階を備え、
前記端末が前記第2ビットストリームを介して前記第2データを受信し、
前記第2データの一部分が前記端末により表示された後、前記サーバが前記第2ビットレートで前記第2ビットストリームを送信することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記サーバと前記端末間でストリーミングセッションを確立する段階をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の方法であって、
前記端末が前記第1ビットストリームと前記第2ビットストリームを受信することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記端末から前記サーバへの要求を送信する段階をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の方法であって、
前記要求が前記第1ビットストリームから前記第2ビットストリームへの切り替えを前記サーバに指示することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記通信ネットワークが無線通信ネットワークであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記サーバと前記端末間のデータチャネルを起動する段階をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の方法であって、
前記端末が前記サーバから前記第1ビットストリームまたは前記第2ビットストリームを受信することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記バッファが前記第2データの一部分で充填される前に、前記第2データの一部分の再生を起動する段階をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記端末の前記バッファがプリロールバッファまたはジッタバッファであることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項15】
複数のデータチャネルを転送する方法であって、該方法は、
サーバと端末間のストリーミングセッションを通信ネットワーク上で確立する段階を備え、
前記サーバが第1データと第2データを蓄積し、
前記サーバが前記ストリーミングセッションを介して前記第1データと第2データを前記サーバに通信し、
前記端末が前記第2データの一部分を受信するバッファを有し、
前記方法はさらに、
前記サーバから前記端末に第1ビットレートで第1ビットストリームを送信する段階を備え、
前記端末が前記サーバからの前記第1データを受信し、
前記端末が前記第1データを表示し、
前記方法はさらに、
前記サーバからの第2ビットストリームを要求する段階を備え、
前記端末が前記サーバからの前記第2データを受信し、
前記第2データが前記サーバにより第2ビットレートでエンコードされ、
前記第2ビットレートが前記第1ビットレートよりも大きなビットレートであって、
前記方法はさらに、
前記サーバから前記端末に前記第2データの一部分を送信する段階を備え、
前記サーバと前記端末間の前記ストリーミングセッションを終了せずに、前記第2データの一部分が前記第3ビットレートで前記端末に送信され、
前記第3ビットレートが前記第1ビットレートと前記第2ビットレートよりも大きなビットレートであり、
前記端末の前記バッファが前記サーバから前記第2データの一部分を受信し、
前記端末が前記バッファからの前記第2データの一部分を表示することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記サーバから前記端末に前記第2ビットレートで前記第2ビットストリームを送信する段階をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の方法であって、
前記端末が前記第2ビットストリームからの前記第2データを表示することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記サーバから前記第3ビットレートで受信した前記第2データの一部分で前記端末の前記バッファを充填する段階をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の方法であって、
前記第2データが前記端末により表示されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記サーバと前記端末間のデータチャネルを確立する段階をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の方法であって、
前記端末が第1ビットストリームと第2ビットストリームを受信することを特徴とする方法。
【請求項19】
前記サーバと前記端末間の前記ストリーミングセッションを終了せずに、前記第1ビットストリームから前記第2ビットストリームに切り替える段階をさらに備えることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記通信ネットワークが無線通信ネットワークであることを特徴とする請求項15記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−509461(P2009−509461A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532249(P2008−532249)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034536
【国際公開番号】WO2007/037923
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508006399)パケットビデオ コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】