複数のフィンピッチを有する冷却装置
【課題】放熱フィンの設置枚数や冷却風の風量を増やさずに、風下側の冷却能力が向上した冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【解決手段】発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子を強制空冷で冷却する冷却装置に関し、より具体的には、鉄道車両、航空機、船舶等の移動体に搭載された電力変換装置等の電気部品を、強制空冷で冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置として、図14に示す筐体内の電気部品冷却装置(以下、従来例という)がある。この従来例は、平板状の受熱ブロック42と、受熱ブロック42の表面に複数立設された側面視U字形状のヒートパイプ43と、ヒートパイプ43へ受熱ブロック42と平行な方向に取り付けられた複数のフィン44aを有する放熱フィン群44とからなり、各フィン44a間のフィンピッチが、いずれの部分も均一となるように形成されたものである(特許文献1)。
【0003】
前記従来例の冷却装置41では、フィン44aの寸法が冷却風の流れ方向に長い場合、フィン44a間を流れる冷却風は、風下側へと進むにつれて流速が著しく低下してしまう。従って、従来例の冷却装置41は、風下側と風上側とで冷却能力が大きく相違する。例えば、受熱ブロック42に複数(図14では、3個)の発熱素子450−1、450−2、450−3を熱的に接続し、冷却風を図11の紙面の左から右の方向であって受熱ブロック42表面に対して平行状に流した場合、最も風下側に配置された発熱素子450−3は、最も風上側に配置された発熱素子450−1と比較して、冷却されにくく温度の低下が抑えられてしまうという問題がある。
【0004】
風下側の冷却能力を高めるためには、フィン44aの設置枚数を増加させたり、冷却風の風量を増やしたりする必要がある。しかし、フィン44aの枚数を増やすと冷却装置の寸法が大きくなり、重量も増してしまうという問題、さらには製造コストがかかってしまうという問題がある。また、冷却風の風量を増やすには、強力なファンを設ければよいが、このようなファンは大型なので設置場所の確保が難しく、さらにファンを駆動させるための消費電力も大きいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−119785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、放熱フィンの設置枚数や冷却風の風量を増やさずに、風下側の冷却能力が向上した冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。本発明の第2の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設された複数のヒートパイプと、前記ヒートパイプへ前記受熱ブロックと平行な方向に取り付けられたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0009】
上記した各態様では、複数の放熱フィン群が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に並べられ、さらに前記放熱フィン群を構成する各フィンの表面も冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている。これにより、フィン間を冷却風が円滑に流れる構成となっている。同じ放熱フィン群を構成する各フィンのフィンピッチは同じまたはほぼ同じであるが、放熱フィン群ごとについてはフィンピッチが相違、つまり、放熱フィン群が異なれば隣接するフィン間のフィンピッチも異なる構成となっている。そして、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチは、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きくなっている。
【0010】
このように、風上側の放熱フィン群のフィンピッチを風下側の放熱フィン群のフィンピッチより大きくすることで、同一のファンを用いた場合には風上側放熱フィン群中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を防止でき、また冷却風の温度上昇も抑制できる。また、風上側での冷却風の温度上昇を抑えることができるので、より温度の低い冷却風を風下側放熱フィン群に供給できる。明細書中、「放熱フィン群」とは、各フィンを冷却風の流れ方向に対して垂直方向に複数並べたフィンの一群を意味する。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチの整数倍であることを特徴とする冷却装置である。隣接する放熱フィン群のフィンピッチを整数倍に設定することで、放熱フィン群間のフィンピッチの位相を揃えることが可能となり、放熱フィン群に沿って流れる冷却風のフィンによる圧力損失が抑えられる。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンの長さが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンの長さよりも短いことを特徴とする冷却装置である。
【0013】
本発明の第6の態様は、前記ヒートパイプが、側面視U字状またはL字状であることを特徴とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1、第2、第3の態様によれば、風上側放熱フィン群による冷却風の圧力損失が抑えられて、風下側の放熱フィン群を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑制できるので、風下側の冷却能力が向上し、風上側から風下側に至るまで冷却能力の均一化を図ることができる。このように、冷却能力の均一化を図ることができるので、フィンの長さが長い大型の冷却装置であっても風上側から風下側に至るまで確実に冷却能力を発揮できる。また、風上側放熱フィン群のフィン枚数が減ることで風上側における冷却風の温度上昇を抑えることができ、より温度の低い冷却風を風下側放熱フィン群に供給できる点からも、風下側の冷却能力を向上させることができる。風上側放熱フィン群はフィンピッチが大きい、すなわち、フィンの設置枚数を従来例より減らすことができるので、冷却装置の小型化、軽量化ができ、製造コストも低減できる。さらに、風下側の冷却能力向上のために、強力なファンを設置しなくてもよいので、設置場所を省スペース化でき、またファンを駆動させるための消費電力を低減させて環境負荷を抑えることができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、ヒートパイプを設けるので、上記各効果に加えて、風上側放熱フィン群から風下側放熱フィン群までを通じて冷却能力がさらに向上する。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、フィンによる冷却風の圧力損失を抑え、さらにそれぞれの放熱フィン群について、フィン間を流れる冷却風を均一化できるので、それぞれの放熱フィン群に冷却風を効率よく流すことができる。また、放熱フィン群に冷却風を効率よく流せるので、風下側放熱フィン群の冷却能力をより向上させることができ、車両の筐体内といった限られた空間でも確実に発熱素子を冷却できる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、風上側放熱フィン群のフィンの長さが、風下側放熱フィン群のフィンの長さよりも短いので、冷却能力の高い風上側放熱フィン群を小型化、軽量化しつつ、風下側放熱フィン群の冷却能力を向上できる。また、風上側放熱フィン群及び風下側放熱フィン群のフィンの長さを適宜調整することで、冷却装置全体の冷却能力をより均一に近づけることができる。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、ヒートパイプの形状が側面視U字状またはL字状なので、フィンの取り付けが容易であり、またフィンの設置枚数及びフィンピッチを、冷却装置の運転条件に応じて適宜調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の冷却風の流れを示す説明図である。
【図3】冷却装置の冷却風の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の発熱素子上昇温度と従来例の冷却装置の発熱素子上昇温度との対比を示すグラフである。
【図5】放熱フィン群を2つ配置した場合の放熱フィン群間空隙の位置決め法を説明するグラフである。
【図6】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図8】(a)図は図7の第1放熱フィン群部についての断面の説明図、(b)図は図7の第2放熱フィン群部についての断面の説明図、(c)図は図7の第3放熱フィン群部についての断面の説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の発熱素子上昇温度と従来例の冷却装置の発熱素子上昇温度との対比を示すグラフである。
【図10】放熱フィン群を3つ配置した場合の放熱フィン群間空隙の位置決め法を説明するグラフである。
【図11】(a)図は伝熱ブロックを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の正面図、(b)図は伝熱ブロックを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図12】(a)図は他の実施形態例に係るヒートパイプを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の正面図、(b)図は他の実施形態例に係るヒートパイプを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図13】本発明の他の実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図14】従来例の冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について図面を用いながら説明する。図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、ヒートパイプ式冷却装置であって、平板状の受熱ブロック2と、受熱ブロック2の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字状ヒートパイプ3と、ヒートパイプ3に取り付けられた第1放熱フィン群4及び第2放熱フィン群5とを備えている。第1放熱フィン群4は、複数枚(図1では17枚)の第1フィン4aからなり、この第1フィン4aは矩形の薄板である。第2放熱フィン群5は、複数枚(図1では33枚)の第2フィン5aからなり、この第2フィン5aは矩形の薄板である。
【0021】
また、ヒートパイプ3が取り付けられていない側である受熱ブロック2裏面には、図1の左から右に、被冷却体である発熱素子50−1、50−2、50−3が熱的に接続されている。
【0022】
図1に示すように、第1放熱フィン群4は、17枚の第1フィン4aがそれぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの第1フィン4aも受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されている。従って、第1放熱フィン群4では、第1フィン4a間に、一定幅の16個の空隙4bが受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。そして、第1放熱フィン群4中の空隙4bは、いずれも同一の幅となっている。
【0023】
また、第2放熱フィン群5は、33枚の第2フィン5aがそれぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの第2フィン5aも受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されている。従って、第2放熱フィン群5では、第2フィン5a間に、空隙4bよりも狭い一定幅の32個の空隙5bが受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。そして、第2放熱フィン群5中の空隙5bは、いずれも同一の幅となっている。
【0024】
そして、受熱ブロック2に対して最も遠い位置に設けられた第1フィン4aと受熱ブロック2に対して最も遠い位置に設けられた第2フィン5aは、相互に同一平面上に配置されている。同様に、受熱ブロック2に対して最も近い位置に設けられた第1フィン4aと受熱ブロック2に対して最も近い位置に設けられた第2フィン5aは、相互に同一平面上に配置されている。第1放熱フィン群4の構成要素である各第1フィン4aの形状・寸法は相互に同一であり、第1放熱フィン群4の側面部は、第1フィン4aの縁部が揃った状態となっている。また、第2放熱フィン群5の構成要素である第2フィン5aの形状・寸法は相互に同一であり、第2放熱フィン群5の側面部は、第2フィン5aの縁部が揃った状態となっている。
【0025】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、冷却風が図1の左から右の方向に供給される。さらに、冷却風が、受熱ブロック2表面に対して平行または略平行に流れるように、すなわち、各第1フィン4a及び各第2フィン5aの表面に対して平行または略平行に流れるように、冷却装置1は設置される。これにより、冷却風は、まず第1放熱フィン群4中を各第1フィン4aに沿って通り抜け、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風は、次に、第2放熱フィン群5中に入り、第2放熱フィン群5中を各第2フィン5aに沿って通り抜けるので、第1放熱フィン群4及び第2放熱フィン群5が冷却風の障壁となるのを防止できる。また、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5との間には、放熱フィン群間空隙8が形成されている。この放熱フィン群間空隙8により、フィンは従来例のような一枚板のフィン44aではなく、第1フィン4aと第2フィン5aに分割された状態となって、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5とが形成されている。
【0026】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1フィン4aの寸法は、幅480mm、長さ300mm、厚さ0.5mmであり、第1フィン4aの空隙4bは6.5mmである。一方で、第2フィン5aの幅は第1フィン4aと同じ480mm、厚さも第1フィン4aと同じ0.5mmであるが、後述する理由から第2フィン5aの長さは、第1フィン4aよりも長い495mmである。第2フィンの空隙5bは3mmである。また、受熱ブロック2の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、側面視U字状ヒートパイプ3の寸法は、パイプ径15.88mm、高さ200mm、横幅115.88mmである。側面視U字状ヒートパイプ3のパイプの断面形状は円形である。放熱フィン群間空隙8の幅は、冷却能力に影響を生じさせない点から、できるだけ狭いものが好ましく、第1フィン4a端面と該第1フィン4a端面に対向する第2フィン5a端面とが当接してもよい。第1実施形態例に係る冷却装置1では、放熱フィン群間空隙8の幅は5mmである。
【0027】
上記第1フィン4a及び受熱ブロック2は、いずれも熱伝導性のよい金属材料の平板であり、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。ヒートパイプ3も、第1フィン4a及び受熱ブロック2と同様の金属材料で製造され、作動液には、コンテナ材料との適合性に合せた作動液が減圧状態で封入される。例えば、コンテナが銅である場合には、作動液は純水を用いている。
【0028】
第1フィン4a及び第2フィン5aの固定方法は特に限定されないが、冷却装置1では、第1フィン4a及び第2フィン5aのそれぞれの所定位置に孔部(図示せず)が設けられており、この孔部にヒートパイプ3が嵌め差し込まれるように挿入されることで、第1フィン4a及び第2フィン5aがヒートパイプ3を介して冷却装置1に固定されている。
【0029】
次に、図2、図3を用いながら、第1実施形態例に係る冷却装置1について、第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係を説明する。
【0030】
第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係は、第1フィン4a間の空隙4bが第2フィン5a間の空隙5bよりも大きい態様であれば、特に限定されない。前記態様であれば、第1放熱フィン群4による圧力損失を低減できるので第2放熱フィン群5を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができ、また、第1放熱フィン群4の第1フィン4aの枚数を減らせることで第1放熱フィン群4を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。
【0031】
図2に示すように、第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチが整数倍の関係(図2では、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチは2:1)に配置されている。さらに、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン4aの同一平面上には第2放熱フィン群5の第2フィン5aが配置されており、さらに第1フィン4a間の空隙4b幅の中間に相当する部位に、さらに1枚の第2フィン5aが配置されている。このようなフィン配置とすることで、第2フィン5aが、第1放熱フィン群4中を図面左から右に通り抜けた冷却風7の障壁となるのを防止し、冷却風7の風量及び風速が第2フィン5aの圧力を受けて損失するのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風7は、風下側に設けられた第2放熱フィン群5中に円滑に流れる構成となっている。
【0032】
また、例えば、図3に示すように、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチを整数倍ではない関係(図3では第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチは3:2)にしても、第2放熱フィン群5を抜ける冷却風7の風量及び風速の低下を抑えることができる。この態様は、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチの位相は揃っていない。つまり、第1フィン4aの同一平面上に第2フィン5aが配置されている構成と第1フィン4aの同一平面上に第2フィン5aが配置されていない構成が、交互に並んでいる。従って、図3のフィン配置の場合、第2放熱フィン群中に、冷却風7が円滑に流れる箇所と、第2フィンが障害となって冷却風7が流れにくい箇所とが生じる。
【0033】
上記した第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係のうち、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風7が第2フィン5aによる圧力を受けて、第2放熱フィン群5中において風量及び風速が損失するのを防止する点で、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチが整数倍の関係でフィンピッチの位相が揃っている図2の配置が好ましい。
【0034】
次に、図4を用いて、第1実施形態例に係る冷却装置1の受熱ブロック温度と従来例の冷却装置41の受熱ブロック温度について説明する。なお、受熱ブロック温度は数値解析で求めたものである。数値解析に用いる第1実施形態例に係る冷却装置1の構成は、上記した構成と同じである。一方、従来例の冷却装置41の構成は、フィン44aの長さは第1フィン4aの長さと第2フィン5aの長さと放熱フィン群間空隙8の幅を足したものとし、放熱フィン群44のフィンピッチは第2放熱フィン群5のフィンピッチと同一とした以外は、数値解析に用いる冷却装置1と同じ構成である。各発熱素子50−1、50−2、50−3、450−1、450−2、450−3からは均等に発熱して合計11000Wの熱量が受熱ブロック2、42にそれぞれ入熱し、また、第1放熱フィン群4及び放熱フィン群44の前面に当る冷却風はいずれも20℃、風速5.8m/sとした条件にて数値解析をおこなった。
【0035】
図4に示すように、冷却装置1の受熱ブロック風上部の温度については従来例の冷却装置41よりも若干上昇するものの、受熱ブロック中央部の温度は従来例と同等であり、受熱ブロック風下部の温度は従来例よりも低下している。このため、第1実施形態例の冷却装置1は、総重量を低減させつつ、風下側の冷却能力が向上して冷却能力の均一化を図ることができる。
【0036】
次に、図5を用いて、第1実施形態例に係る冷却装置1の放熱フィン群間空隙8の位置決め法について説明する。なお、図5の線グラフは、従来例の冷却装置41の放熱フィン群44から適宜選択したフィン44a表面の温度分布であり、図5中、「フィン先端」とは、冷却風の風上側に対向した側のフィンの端部を意味する。放熱フィン群間空隙8の位置、すなわち第1フィン4aの長さと第2フィン5aの長さの割合は、特に限定されず適宜選択できるが、風下側の冷却能力を向上させる点から、下記のように、フィン表面の温度分布に基づいて決定するのが好ましい。
【0037】
図5に示すように、従来例である一枚板のフィン44aの表面温度は、冷却風の風上側から風下側へと移るにつれて上昇していく。そして、放熱フィン群間空隙8は、フィン44a表面の最小温度と最大温度の中間の温度を示す位置に設ける。すなわち、フィン44a表面の温度差ΔTを等分に分割できる温度差ΔT/2の位置にてフィン44aが分割されて第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5が形成されるように、放熱フィン群間空隙8を位置づける。このように、中間温度を示す位置に放熱フィン群間空隙8を設けると、フィンの表面温度が近い領域ごとに2つの放熱フィン群を形成できる。従って、十分な冷却能力を有する第1放熱フィン群4のフィンピッチを放熱フィン群44よりも大きくできることで、第2放熱フィン群5中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができる。また、第1フィン4aの枚数を減らせることで、第1放熱フィン群4における冷却風の温度上昇を低減でき、より温度の低い冷却風を第2放熱フィン群5に供給できる。さらに、第1フィン4aの枚数を減らせるので、冷却装置1の重量を抑制できる。
【0038】
また、図5の線グラフに示すように、フィン44a表面の温度分布は風上側に近いほど急激に低下しており、温度分布とフィン先端からの距離との関係は直線状ではない。従って、フィン44a表面の温度差ΔTを等分に分割できる温度差ΔT/2の位置に放熱フィン群間空隙8を設けると、第2放熱フィン群5の第2フィン5aの長さは、第1放熱フィン群4の第1フィン4aの長さよりも長くなる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1には2つの放熱フィン群が設けられていたが、これに代えて、図6に示すように、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置21は、3つの放熱フィン群が設けられている。第3実施形態例に係る冷却装置21は、平板状の受熱ブロック22と、受熱ブロック22の表面に鉛直方向に取り付けられた側面視U字状のヒートパイプ23と、ヒートパイプ23に取り付けられた第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25及び第3放熱フィン群26とを備えている。第1放熱フィン群24は、複数枚(図6では9枚)の第1フィン24aからなる。第2放熱フィン群25は、複数枚(図6では17枚)の第2フィン25aからなる。第3放熱フィン群26は、複数枚(図6では33枚)の第3フィン26aからなる。すなわち、冷却装置21の第2フィン25aの枚数は、冷却装置1の第1フィン4aの枚数と同じであり、冷却装置21の第3フィン26aの枚数は、冷却装置1の第2フィン5aの枚数と同じである。第1フィン24a、第2フィン25a、第3フィン26aは、いずれも矩形の薄板である。そして、第1放熱フィン群24と第2放熱フィン群25の間に放熱フィン群間空隙28−1が、第2放熱フィン群25と第3放熱フィン群26の間に放熱フィン群間空隙28−2が形成されている。
【0040】
また、ヒートパイプ23が取り付けられていない側の受熱ブロック22裏面に、被冷却体である発熱素子が、風上側から順に250−1、250−2、250−3と熱的に接続されている。
【0041】
第1フィン24a、第2フィン25a及び第3フィン26aの配置関係は、第1フィン24a間の空隙24bが第2フィン25a間の空隙25bよりも大きく、第2フィン25a間の空隙25bが第3フィン26a間の空隙26bよりも大きい態様であれば特に限定されない。前記態様であれば、第1放熱フィン群24による圧力損失を低減できるので第2放熱フィン群25を通り抜ける冷却風の風量・風速の低下を抑えることができ、また第1フィン24aの枚数が減って第1放熱フィン群24を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるとともに、さらに、第2放熱フィン群4による圧力損失を低減できるので第3放熱フィン群26を通り抜ける冷却風の風量・風速の低下を抑えることができ、また第2フィン25aの枚数が減って第2放熱フィン群25を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。図6に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置21では、第1放熱フィン群24と第2放熱フィン群25のフィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群25と第3放熱フィン群26のフィンピッチが整数倍の関係(図6では、第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25、第3放熱フィン群26のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。また、第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25及び第3放熱フィン群26のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン24aの同一平面上には第2放熱フィン群25の第2フィン25a及び第3放熱フィン26群の第3フィン26aが配置され、さらに第1フィン24a間の空隙24b幅を2等分する部位に第2フィン25aが、第1フィン24a間の空隙24b幅を4等分する部位に第3フィン26aが配置されている。
【0042】
このように、冷却装置1と同様のフィン配置とすることで、第2フィン25a、第3フィン26aが、冷却風の流れの障壁となるのを防止し、冷却風の風量及び風速が第2フィン25a、第3フィン26aの圧力を受けて損失するのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群24中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群24の風下側に配置された第2放熱フィン群25中及び第2放熱フィン群25の風下側に配置された第3放熱フィン群26中に、円滑に流れて風下側の冷却能力がより向上する構成となっている。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1は、受熱ブロックに対し鉛直方向に立設されたヒートパイプへ受熱ブロックと平行状に取り付けられたフィンが、2つの放熱フィン群を形成していたが、これに代えて、図7、図8に示すように、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置31は、受熱ブロックに対して鉛直方向に立設された複数のフィンが、3つの放熱フィン群を形成しているヒートシンクである。第2実施形態例に係る冷却装置31は、平板状の受熱ブロック32と、受熱ブロック32表面に取り付けられた第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36とを備えている。
【0044】
図8(a)に示すように、第1放熱フィン群34は、複数枚(図8(a)では6枚)の第1フィン34aが平板状の底面部34cに立設された構造となっている。いずれの第1フィン34aも底面部34cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第1フィン34a表面が平行となるよう設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。図8(b)に示すように、第2放熱フィン群35は、複数枚(図8(b)では11枚)の第2フィン35aが平板状の底面部35cに立設された構造となっている。いずれの第2フィン35aも底面部35cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第2フィン35a表面が平行となるように設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。図8(c)に示すように、第3放熱フィン群36は、複数枚(図8(c)では21枚)の第3フィン36aが平板状の底面部36cに立設された構造となっている。いずれの第3フィン36aも底面部36cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第3フィン36a表面が平行となるように設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。底面部34c、35c、36cが受熱ブロック32と熱的に接続されることで、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36は受熱ブロック32と熱的に接続される。
【0045】
第2実施形態例に係る冷却装置31では、フィンが設けられていない受熱ブロック32裏面に、被冷却体である発熱素子が、冷却風の風上側から順に350−1、350−2、350−3と熱的に接続されている。
【0046】
第1フィン34a、第2フィン35a及び第3フィン36aの配置関係は、第1フィン34a間の空隙34bが第2フィン35a間の空隙35bよりも大きく、第2フィン35a間の空隙35bが第3フィン36a間の空隙36bよりも大きい態様であれば特に限定されない。前記態様であれば、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができ、また第1フィン34a及び第2フィン35aの枚数が減って第1放熱フィン群34及び第2放熱フィン群35を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。図8に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置31は、第3実施形態例の冷却装置21と同様に、第1放熱フィン群34と第2放熱フィン群35のフィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群35と第3放熱フィン群36のフィンピッチが整数倍の関係(図8では、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。また、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン34aの同一平面上には第2放熱フィン群35の第2フィン35a及び第3放熱フィン36群の第3フィン36aが配置され、さらに第1フィン34a間の空隙34b幅を2等分する部位に第2フィン35aが、第1フィン34a間の空隙34b幅を4等分する部位に第3フィン36aが配置されている。
【0047】
このように、冷却装置21と同様のフィン配置とすることで、第1放熱フィン群34中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群34の風下側に配置された第2放熱フィン群35中及び第2放熱フィン群35の風下側に配置された第3放熱フィン群36中に、円滑に流れる構成となっている。
【0048】
上記第2実施形態例に係る冷却装置31は、冷却風の風量・風速の低下と冷却風の流れの乱れを防止するために、第1放熱フィン群34と第2放熱フィン群35とが接することで放熱フィン群境界部38−1が形成され、第2放熱フィン群35と第3放熱フィン群36とが接することで放熱フィン群境界部38−2が形成されている。放熱フィン群境界部38−1、38−2は、必要に応じて、第3実施形態例の冷却装置21のように、適宜隣接する放熱フィン群を離して放熱フィン群間空隙としてもよい。
【0049】
次に、図9を用いて、第3実施形態例に係る冷却装置21の受熱ブロック温度と従来例の冷却装置41の受熱ブロック温度について説明する。なお、受熱ブロック温度は、図4と同様の条件にて、数値解析で求めたものである。すなわち、数値解析に用いる第3実施形態例に係る冷却装置21の構成は、上記した構成と同様である。従来例の冷却装置41の構成は、フィン44aの長さは、第1フィン24aの長さ、第2フィン25aの長さ、第3フィン26aの長さ及び放熱フィン群間空隙28−1、28−2の幅をそれぞれ合算したものとし、放熱フィン群44のフィンピッチは第3放熱フィン群26と同一とした以外は、数値解析に用いる冷却装置21と同じ構成とした。各発熱素子250−1、250−2、250−3、450−1、450−2、450−3からは均等に発熱して合計11000Wの熱量が受熱ブロック22、42にそれぞれ入熱し、また、第1放熱フィン群24、放熱フィン群44の前面に当る冷却風は20℃、風速5.8m/sとした条件にて数値解析をおこなった。なお、図9には、比較のため図4で示した冷却装置1のデータも併せて表示した。
【0050】
図9に示すように、冷却装置21の受熱ブロック風上部の温度については、従来例の冷却装置41よりも上昇するものの、受熱ブロック中央部の温度は従来例とほぼ同等であり、受熱ブロック風下部の温度は従来例よりも低下している。また、第3実施形態例の冷却装置21は、第1実施形態例の冷却装置1と比較して受熱ブロック風下部の温度がより低下している。このため、第3実施形態例の冷却装置21は、相互にフィンピッチの相違する放熱フィン群を3つに増やすことで、冷却装置1よりも風下側の冷却能力が一層向上してより冷却能力の均一化を図ることができ、総重量もさらに低減させることができる。
【0051】
次に、図10を用いて、第3実施形態例に係る冷却装置21の放熱フィン群間空隙28−1、28−2の位置決め法及び、第2実施形態例に係る冷却装置31の放熱フィン群境界部38−1、38−2の位置決め法について説明する。なお、図10の線グラフは、従来例の冷却装置41の放熱フィン群44から適宜選択したフィン44a表面の温度分布であり、図10中、「フィン先端」とは、冷却風の風上側に対向した側のフィンの端部を意味する。
【0052】
放熱フィン群間空隙28−1、28−2の位置及び放熱フィン群境界部38−1、38−2の位置は、特に限定されず適宜選択できるが、風下側の冷却能力を向上させる点から、第1実施形態例の冷却装置1と同様に、フィン表面の温度分布に基づいて決定するのが好ましい。すなわち、従来例に係る一枚板のフィン44a表面の温度差ΔTを3等分に分割できる温度差ΔT/3の位置でフィン44aが分割されて第1放熱フィン群24、34、第2放熱フィン群25、35、第3放熱フィン群26、36が形成されるように、放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を位置づける。このように、温度差ΔT/3を示す位置に放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を設けると、フィンの表面温度が近い領域ごとに3つの放熱フィン群を形成できる。従って、十分な冷却能力を有する第1放熱フィン群24、34、第2放熱フィン群25、35のフィンピッチを放熱フィン群44のフィンピッチよりも大きくでき、加えて第1放熱フィン群24、34のフィンピッチを冷却装置1の第1放熱フィン群4のフィンピッチよりも大きくできることで、第3放熱フィン群26、36中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下をより一層抑えることができる。また、第1放熱フィン群24、34中を通り抜ける冷却風の風速が大きいので、第1放熱フィン群24、34における冷却風の温度上昇をより低減でき、冷却装置1よりも温度の低い冷却風を第2放熱フィン群25、35及び第3放熱フィン群26、36に供給できる。さらに、第1フィン24a、34aの枚数を減らせるので冷却装置21、31の重量をさらに抑制できる。
【0053】
このとき、第1実施形態例の冷却装置1と同様の理由から、フィン44a表面の温度差ΔTを3等分に分割できる温度差ΔT/3の位置に放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を設けると、第2放熱フィン群25、35の第2フィン25a、35aの長さは、第1放熱フィン群24、34の第1フィン24a、34aの長さよりも長くなり、第3放熱フィン群26、36の第3フィン26a、36aの長さは、第2放熱フィン群25、35の第2フィン25a、35aの長さよりも長くなる。
【0054】
次に、本発明の冷却装置の使用方法を説明する。ここでは、本発明の上記実施形態例に係る冷却装置1、21、31が、移動体(例えば鉄道車両)に搭載した電気部品(例えば電力変換装置)を冷却する使用方法を例にとって説明する。鉄道車両の床下面には外部と遮断された電力制御用の筐体が固定され、筐体内には電力変換装置等、電力を制御するための各種電気部品が格納されている。これら電気部品は稼動時に発熱し、そのまま発熱を放置すると昇温して正常な作動ができなくなるばかりか、最悪の場合には素子が熱により破壊される可能性がある。そこで、これら電気部品を冷却する必要がある。
【0055】
冷却装置1、21、31の受熱ブロック2、22、32裏面側に前記電気部品(以下、発熱素子という)を当接させて受熱ブロック2、22、32と熱的に接続する。発熱素子が格納された筐体内には、冷却装置1、21、31に冷却風を供給するためのファンが設置されている。フィンピッチの大きい第1放熱フィン群4、24、34を冷却風の風上側に向け、ファンからの冷却風が、第1放熱フィン群4、24、34中から、フィンピッチの小さい第2放熱フィン群5、25、35中へ、冷却装置21、31の場合、さらに最もフィンピッチの小さい第3放熱フィン群26、36中へと順次通り抜けるように冷却装置1、21、31を設置する。すなわち、ファンから送風された冷却風の流れ方向は、受熱ブロック2、22、32表面に対して平行状となっている。
【0056】
冷却装置1、21の場合、発熱素子から放出される熱は、まず、発熱素子と熱的に接続された受熱ブロック2、22に広がっていき、受熱ブロック2、22に広がった熱は、受熱ブロック2、22に埋め込まれたヒートパイプ3、23の底部、すなわち加熱部に伝達される。すると、ヒートパイプ3、23の熱輸送系が作動し、加熱部に吸収された熱は、加熱部から延びているヒートパイプ3、23の冷却部を介して、ファンから送風された冷却風の流れを受けている放熱フィン群へと伝達され、放熱フィン群から外部環境へと放出される。一方、ヒートパイプを備えていない冷却装置31の場合、発熱素子から放出される熱は、発熱素子と熱的に接続された受熱ブロック32に広がっていき、受熱ブロック32に広がった熱は、ファンから送風された冷却風の流れを受けている放熱フィン群へと伝達され、放熱フィン群から外部環境へと放出される。
【0057】
このように、放熱フィン群のフィンピッチは、冷却風の風上側から風下側へと順次小さくなっているので、風上側放熱フィン群中の通風量及び風速の低下を抑えることで風下側の冷却能力が向上する。このため、例えば鉄道車両の電力変換装置を冷却するために冷却装置を大きくしても、風上側から遠い発熱部も確実に冷却できる。なお、上記使用方法例では、冷却風はファンから供給されていたが、冷却装置1、21、31を筐体外に置く場合には、ファンを設置せずに走行風を冷却風に用いてもよい。
【0058】
次に、本発明の冷却装置の製造方法例を説明する。第1実施形態例の冷却装置1及び第3実施形態例の冷却装置21では、まず、受熱ブロック2、22表面に、側面視U字状のヒートパイプ3、23の底部を埋め込むことで受熱ブロック2、22に複数のヒートパイプ3、23を配置、固定する。フィン4a、5a、24a、25a、26aには、ヒートパイプ3、23のパイプの断面形状に対応した形状の孔部(図示せず)が、ヒートパイプ3、23の配置に対応した位置に設けられているので、次に、受熱ブロック2、22に固定されたヒートパイプ3、23のうち風上側に位置する所定のヒートパイプ3、23に、第1フィン4a、24aの孔部を嵌めて所定枚数の第1フィン4a、24aを備える第1放熱フィン群4、24を作製する。そして、その風下側に位置する所定のヒートパイプ3、23に、第2フィン5a、25aの孔部を嵌めて所定枚数の第2フィン5a、25aを備える第2放熱フィン群5、25を作製する。冷却装置21の場合には、さらに風下側に位置する所定のヒートパイプ23に、第3フィン26aの孔部を嵌めて所定枚数の第3フィン26aを備える第3放熱フィン群26を作製する。このように、受熱ブロック2、22へ固定されたヒートパイプ3、23にフィン4a、5a、24a、25a、26aを取り付けることで本発明の冷却装置を製造する。
【0059】
第2実施形態例の冷却装置31は、図8(a)に示す第1放熱フィン群34、同図(b)に示す第2放熱フィン群35及び同図(c)に示す第3放熱フィン群36を、金型を用いた押出成形にてそれぞれ作製する。そして、受熱ブロック32表面に、冷却風の風上側から第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36の順に、各放熱フィン群を固定する。固定手段は慣用手段でよく、例えば、底面部34c、35c、36cを受熱ブロック32表面にビス留めする手段等がある。
【0060】
次に、本発明のその他の実施態様例について説明する。上記各実施形態例では、放熱フィン群が2〜3つ設置されていたが、冷却条件等に応じて、4つ以上設置してもよい。上記各実施形態例では、放熱フィン群中のフィンは等間隔に配置されていたが、フィンの間隔に適宜変化を設けてもよい。風上側放熱フィン群のフィン間の空隙が風下側放熱フィン群のフィン間の空隙よりも広い態様であれば、フィンの間隔が等間隔でなくとも風下側の冷却能力を向上させる作用を奏する。上記各実施形態例では、側面視U字状のヒートパイプを用いたが、これに代えて、側面視L字状などを用いてもよい。
【0061】
また、上記第1、第3実施形態例ではヒートパイプは受熱ブロック表面に対して鉛直方向に立設されていたが、これに代えて、ヒートパイプを受熱ブロック表面に対して適宜傾斜をつけて立設してもよい。例えば、特許文献1のように、受熱ブロックを垂直に設置する場合、ヒートパイプの冷却部が加熱部よりも高い位置となるように、受熱ブロック表面の鉛直方向に対して所定角度(例えば5〜10°)の傾斜をつけてヒートパイプを設置してもよい。このように、ヒートパイプに所定の傾斜をつけることで、ヒートパイプの熱輸送量の低下を防止できる。
【0062】
また、上記第1、第3実施形態例では、受熱ブロックにヒートパイプを立設したが、これに代えて、図11(a)(b)に示すように、受熱ブロックに伝熱ブロックを立設した冷却装置11としてもよい。すなわち、冷却装置11では、受熱ブロック12に、熱伝導性に優れた金属材料(例えば、アルミニウム)からなる柱状(例えば円柱状)の伝熱ブロック13が、受熱ブロック12表面に対して鉛直方向に複数立設されている。所定位置の伝熱ブロック13に、第1フィン14aが、受熱ブロック12表面に対して平行方向に複数取り付けられて第1放熱フィン群14が形成される。また、所定位置の伝熱ブロック13に、第2フィン15aが、受熱ブロック12表面に対して平行方向に複数取り付けられて第2放熱フィン群15が形成される。この態様では、発熱素子150−1、150−2、150−3から放出され受熱ブロック12へ吸収された熱は、伝熱ブロック13を介して第1フィン14aと第2フィン15aへ伝達され、第1フィン14aと第2フィン15aから外部環境へ放出される。このように、ヒートパイプに代えて熱伝導性に優れた柱状の金属材料を用いても冷却能力が向上する。
【0063】
また、上記第1、第3実施形態例では、受熱ブロック表面に鉛直方向にヒートパイプを立設したが、これに代えて、図12(a)(b)に示すように、受熱ブロック側面にヒートパイプを取り付けてもよい。すなわち、冷却装置1´では、受熱ブロック2´の側面に、該側面から外側へ延出した曲部と、該曲部から受熱ブロック2´の表面上側方向へ受熱ブロック2´表面に対し平行方向に延びた直線部とを有する正面視J字状のヒートパイプ3´が複数設けられている。所定位置のヒートパイプ3´に、第1フィン4a´が、受熱ブロック2´表面に対して鉛直方向に複数取り付けられて第1放熱フィン群4´が形成される。また、所定位置のヒートパイプ3´に、第2フィン5a´が、受熱ブロック2´表面に対して鉛直方向に複数取り付けられて第2放熱フィン群5´が形成される。この態様では、発熱素子50´−1、50´−2、50´−3から放出され受熱ブロック2´へ吸収された熱は、ヒートパイプ3´を介して第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達され、第1フィン4a´と第2フィン5a´から外部環境へ放出される。また、上記冷却装置1´では、図12(a)に示すように、第1フィン4a´と第2フィン5a´は、いずれも受熱ブロック2´の表面に接触していない態様であるが、これに代えて、第1フィン4a´と第2フィン5a´の全てまたは一部が受熱ブロック2´の表面に接触した態様としてもよい。第1フィン4a´と第2フィン5a´を受熱ブロック2´の表面に接触させることにより、熱は、ヒートパイプ3´を介して第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達されるのに加えて、受熱ブロック2´から直接第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達される。
【0064】
また、第2実施形態例では、各放熱フィン群は、複数枚のフィンを平板状の底面部に立設した構造であり、この底面部が受熱ブロックと直接接触していたが、これに代えて、図13に示すように、フィンを受熱ブロック表面に直接立設させることでフィンと受熱ブロックを熱的に接続した冷却装置31´としてもよい。すなわち、冷却装置31´では、第1放熱フィン群34´の第1フィン34a´、第2放熱フィン群35´の第2フィン35a´は、受熱ブロック32´表面に直接設けられている。第1フィン34a´及び第2フィン35a´の受熱ブロック32´への固定方法は、特に限定されない。例えば、受熱ブロック32´表面に第1フィン34a´及び第2フィン35a´嵌め込み用の溝を形成し、この溝に第1フィン34a´及び第2フィン35a´を嵌め込み、各フィン両側の受熱ブロック32´表面を押圧治具で押圧し、かしめて固定する方法が挙げられる。この態様では、発熱素子350´−1、350´−2、350´−3から放出され受熱ブロック32´へ吸収された熱は、受熱ブロック32´と直接接触した第1フィン34a´及び第2フィン35a´へ伝達され、第1フィン34a´と第2フィン35a´から外部環境へ放出される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
風上側放熱フィン群による冷却風の圧力損失が抑えられて風下側の冷却能力が向上することで、受熱ブロック全域について冷却能力の均一化を図ることができるので、大型の冷却装置、例えば、鉄道車両に搭載した電力変換装置等の発熱体を強制空冷で冷却する冷却装置などの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0066】
1、11、21、31 冷却装置
1´、31´ 冷却装置
2、12、22、32 受熱ブロック
2´、32´ 受熱ブロック
3、23 ヒートパイプ
3´ ヒートパイプ
4、14、24、34 第1放熱フィン群
4´、34´ 第1放熱フィン群
4a、14a、24a、34a 第1フィン
4a´、34a´ 第1フィン
5、15、25、35 第2放熱フィン群
5´、35´ 第2放熱フィン群
5a、25a、35a 第2フィン
5a´、35a´ 第2フィン
26、36 第3放熱フィン群
26a、36a 第3フィン
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子を強制空冷で冷却する冷却装置に関し、より具体的には、鉄道車両、航空機、船舶等の移動体に搭載された電力変換装置等の電気部品を、強制空冷で冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置として、図14に示す筐体内の電気部品冷却装置(以下、従来例という)がある。この従来例は、平板状の受熱ブロック42と、受熱ブロック42の表面に複数立設された側面視U字形状のヒートパイプ43と、ヒートパイプ43へ受熱ブロック42と平行な方向に取り付けられた複数のフィン44aを有する放熱フィン群44とからなり、各フィン44a間のフィンピッチが、いずれの部分も均一となるように形成されたものである(特許文献1)。
【0003】
前記従来例の冷却装置41では、フィン44aの寸法が冷却風の流れ方向に長い場合、フィン44a間を流れる冷却風は、風下側へと進むにつれて流速が著しく低下してしまう。従って、従来例の冷却装置41は、風下側と風上側とで冷却能力が大きく相違する。例えば、受熱ブロック42に複数(図14では、3個)の発熱素子450−1、450−2、450−3を熱的に接続し、冷却風を図11の紙面の左から右の方向であって受熱ブロック42表面に対して平行状に流した場合、最も風下側に配置された発熱素子450−3は、最も風上側に配置された発熱素子450−1と比較して、冷却されにくく温度の低下が抑えられてしまうという問題がある。
【0004】
風下側の冷却能力を高めるためには、フィン44aの設置枚数を増加させたり、冷却風の風量を増やしたりする必要がある。しかし、フィン44aの枚数を増やすと冷却装置の寸法が大きくなり、重量も増してしまうという問題、さらには製造コストがかかってしまうという問題がある。また、冷却風の風量を増やすには、強力なファンを設ければよいが、このようなファンは大型なので設置場所の確保が難しく、さらにファンを駆動させるための消費電力も大きいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−119785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、放熱フィンの設置枚数や冷却風の風量を増やさずに、風下側の冷却能力が向上した冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。本発明の第2の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0008】
本発明の第3の態様は、発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設された複数のヒートパイプと、前記ヒートパイプへ前記受熱ブロックと平行な方向に取り付けられたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0009】
上記した各態様では、複数の放熱フィン群が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に並べられ、さらに前記放熱フィン群を構成する各フィンの表面も冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている。これにより、フィン間を冷却風が円滑に流れる構成となっている。同じ放熱フィン群を構成する各フィンのフィンピッチは同じまたはほぼ同じであるが、放熱フィン群ごとについてはフィンピッチが相違、つまり、放熱フィン群が異なれば隣接するフィン間のフィンピッチも異なる構成となっている。そして、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチは、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きくなっている。
【0010】
このように、風上側の放熱フィン群のフィンピッチを風下側の放熱フィン群のフィンピッチより大きくすることで、同一のファンを用いた場合には風上側放熱フィン群中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を防止でき、また冷却風の温度上昇も抑制できる。また、風上側での冷却風の温度上昇を抑えることができるので、より温度の低い冷却風を風下側放熱フィン群に供給できる。明細書中、「放熱フィン群」とは、各フィンを冷却風の流れ方向に対して垂直方向に複数並べたフィンの一群を意味する。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチの整数倍であることを特徴とする冷却装置である。隣接する放熱フィン群のフィンピッチを整数倍に設定することで、放熱フィン群間のフィンピッチの位相を揃えることが可能となり、放熱フィン群に沿って流れる冷却風のフィンによる圧力損失が抑えられる。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンの長さが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンの長さよりも短いことを特徴とする冷却装置である。
【0013】
本発明の第6の態様は、前記ヒートパイプが、側面視U字状またはL字状であることを特徴とする冷却装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1、第2、第3の態様によれば、風上側放熱フィン群による冷却風の圧力損失が抑えられて、風下側の放熱フィン群を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑制できるので、風下側の冷却能力が向上し、風上側から風下側に至るまで冷却能力の均一化を図ることができる。このように、冷却能力の均一化を図ることができるので、フィンの長さが長い大型の冷却装置であっても風上側から風下側に至るまで確実に冷却能力を発揮できる。また、風上側放熱フィン群のフィン枚数が減ることで風上側における冷却風の温度上昇を抑えることができ、より温度の低い冷却風を風下側放熱フィン群に供給できる点からも、風下側の冷却能力を向上させることができる。風上側放熱フィン群はフィンピッチが大きい、すなわち、フィンの設置枚数を従来例より減らすことができるので、冷却装置の小型化、軽量化ができ、製造コストも低減できる。さらに、風下側の冷却能力向上のために、強力なファンを設置しなくてもよいので、設置場所を省スペース化でき、またファンを駆動させるための消費電力を低減させて環境負荷を抑えることができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、ヒートパイプを設けるので、上記各効果に加えて、風上側放熱フィン群から風下側放熱フィン群までを通じて冷却能力がさらに向上する。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、フィンによる冷却風の圧力損失を抑え、さらにそれぞれの放熱フィン群について、フィン間を流れる冷却風を均一化できるので、それぞれの放熱フィン群に冷却風を効率よく流すことができる。また、放熱フィン群に冷却風を効率よく流せるので、風下側放熱フィン群の冷却能力をより向上させることができ、車両の筐体内といった限られた空間でも確実に発熱素子を冷却できる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、風上側放熱フィン群のフィンの長さが、風下側放熱フィン群のフィンの長さよりも短いので、冷却能力の高い風上側放熱フィン群を小型化、軽量化しつつ、風下側放熱フィン群の冷却能力を向上できる。また、風上側放熱フィン群及び風下側放熱フィン群のフィンの長さを適宜調整することで、冷却装置全体の冷却能力をより均一に近づけることができる。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、ヒートパイプの形状が側面視U字状またはL字状なので、フィンの取り付けが容易であり、またフィンの設置枚数及びフィンピッチを、冷却装置の運転条件に応じて適宜調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の冷却風の流れを示す説明図である。
【図3】冷却装置の冷却風の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の発熱素子上昇温度と従来例の冷却装置の発熱素子上昇温度との対比を示すグラフである。
【図5】放熱フィン群を2つ配置した場合の放熱フィン群間空隙の位置決め法を説明するグラフである。
【図6】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図8】(a)図は図7の第1放熱フィン群部についての断面の説明図、(b)図は図7の第2放熱フィン群部についての断面の説明図、(c)図は図7の第3放熱フィン群部についての断面の説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の発熱素子上昇温度と従来例の冷却装置の発熱素子上昇温度との対比を示すグラフである。
【図10】放熱フィン群を3つ配置した場合の放熱フィン群間空隙の位置決め法を説明するグラフである。
【図11】(a)図は伝熱ブロックを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の正面図、(b)図は伝熱ブロックを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図12】(a)図は他の実施形態例に係るヒートパイプを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の正面図、(b)図は他の実施形態例に係るヒートパイプを用いた冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図13】本発明の他の実施形態例に係る冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図14】従来例の冷却装置であって発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について図面を用いながら説明する。図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、ヒートパイプ式冷却装置であって、平板状の受熱ブロック2と、受熱ブロック2の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字状ヒートパイプ3と、ヒートパイプ3に取り付けられた第1放熱フィン群4及び第2放熱フィン群5とを備えている。第1放熱フィン群4は、複数枚(図1では17枚)の第1フィン4aからなり、この第1フィン4aは矩形の薄板である。第2放熱フィン群5は、複数枚(図1では33枚)の第2フィン5aからなり、この第2フィン5aは矩形の薄板である。
【0021】
また、ヒートパイプ3が取り付けられていない側である受熱ブロック2裏面には、図1の左から右に、被冷却体である発熱素子50−1、50−2、50−3が熱的に接続されている。
【0022】
図1に示すように、第1放熱フィン群4は、17枚の第1フィン4aがそれぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの第1フィン4aも受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されている。従って、第1放熱フィン群4では、第1フィン4a間に、一定幅の16個の空隙4bが受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。そして、第1放熱フィン群4中の空隙4bは、いずれも同一の幅となっている。
【0023】
また、第2放熱フィン群5は、33枚の第2フィン5aがそれぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの第2フィン5aも受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されている。従って、第2放熱フィン群5では、第2フィン5a間に、空隙4bよりも狭い一定幅の32個の空隙5bが受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。そして、第2放熱フィン群5中の空隙5bは、いずれも同一の幅となっている。
【0024】
そして、受熱ブロック2に対して最も遠い位置に設けられた第1フィン4aと受熱ブロック2に対して最も遠い位置に設けられた第2フィン5aは、相互に同一平面上に配置されている。同様に、受熱ブロック2に対して最も近い位置に設けられた第1フィン4aと受熱ブロック2に対して最も近い位置に設けられた第2フィン5aは、相互に同一平面上に配置されている。第1放熱フィン群4の構成要素である各第1フィン4aの形状・寸法は相互に同一であり、第1放熱フィン群4の側面部は、第1フィン4aの縁部が揃った状態となっている。また、第2放熱フィン群5の構成要素である第2フィン5aの形状・寸法は相互に同一であり、第2放熱フィン群5の側面部は、第2フィン5aの縁部が揃った状態となっている。
【0025】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、冷却風が図1の左から右の方向に供給される。さらに、冷却風が、受熱ブロック2表面に対して平行または略平行に流れるように、すなわち、各第1フィン4a及び各第2フィン5aの表面に対して平行または略平行に流れるように、冷却装置1は設置される。これにより、冷却風は、まず第1放熱フィン群4中を各第1フィン4aに沿って通り抜け、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風は、次に、第2放熱フィン群5中に入り、第2放熱フィン群5中を各第2フィン5aに沿って通り抜けるので、第1放熱フィン群4及び第2放熱フィン群5が冷却風の障壁となるのを防止できる。また、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5との間には、放熱フィン群間空隙8が形成されている。この放熱フィン群間空隙8により、フィンは従来例のような一枚板のフィン44aではなく、第1フィン4aと第2フィン5aに分割された状態となって、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5とが形成されている。
【0026】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1フィン4aの寸法は、幅480mm、長さ300mm、厚さ0.5mmであり、第1フィン4aの空隙4bは6.5mmである。一方で、第2フィン5aの幅は第1フィン4aと同じ480mm、厚さも第1フィン4aと同じ0.5mmであるが、後述する理由から第2フィン5aの長さは、第1フィン4aよりも長い495mmである。第2フィンの空隙5bは3mmである。また、受熱ブロック2の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、側面視U字状ヒートパイプ3の寸法は、パイプ径15.88mm、高さ200mm、横幅115.88mmである。側面視U字状ヒートパイプ3のパイプの断面形状は円形である。放熱フィン群間空隙8の幅は、冷却能力に影響を生じさせない点から、できるだけ狭いものが好ましく、第1フィン4a端面と該第1フィン4a端面に対向する第2フィン5a端面とが当接してもよい。第1実施形態例に係る冷却装置1では、放熱フィン群間空隙8の幅は5mmである。
【0027】
上記第1フィン4a及び受熱ブロック2は、いずれも熱伝導性のよい金属材料の平板であり、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。ヒートパイプ3も、第1フィン4a及び受熱ブロック2と同様の金属材料で製造され、作動液には、コンテナ材料との適合性に合せた作動液が減圧状態で封入される。例えば、コンテナが銅である場合には、作動液は純水を用いている。
【0028】
第1フィン4a及び第2フィン5aの固定方法は特に限定されないが、冷却装置1では、第1フィン4a及び第2フィン5aのそれぞれの所定位置に孔部(図示せず)が設けられており、この孔部にヒートパイプ3が嵌め差し込まれるように挿入されることで、第1フィン4a及び第2フィン5aがヒートパイプ3を介して冷却装置1に固定されている。
【0029】
次に、図2、図3を用いながら、第1実施形態例に係る冷却装置1について、第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係を説明する。
【0030】
第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係は、第1フィン4a間の空隙4bが第2フィン5a間の空隙5bよりも大きい態様であれば、特に限定されない。前記態様であれば、第1放熱フィン群4による圧力損失を低減できるので第2放熱フィン群5を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができ、また、第1放熱フィン群4の第1フィン4aの枚数を減らせることで第1放熱フィン群4を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。
【0031】
図2に示すように、第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチが整数倍の関係(図2では、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチは2:1)に配置されている。さらに、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン4aの同一平面上には第2放熱フィン群5の第2フィン5aが配置されており、さらに第1フィン4a間の空隙4b幅の中間に相当する部位に、さらに1枚の第2フィン5aが配置されている。このようなフィン配置とすることで、第2フィン5aが、第1放熱フィン群4中を図面左から右に通り抜けた冷却風7の障壁となるのを防止し、冷却風7の風量及び風速が第2フィン5aの圧力を受けて損失するのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風7は、風下側に設けられた第2放熱フィン群5中に円滑に流れる構成となっている。
【0032】
また、例えば、図3に示すように、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチを整数倍ではない関係(図3では第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチは3:2)にしても、第2放熱フィン群5を抜ける冷却風7の風量及び風速の低下を抑えることができる。この態様は、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチの位相は揃っていない。つまり、第1フィン4aの同一平面上に第2フィン5aが配置されている構成と第1フィン4aの同一平面上に第2フィン5aが配置されていない構成が、交互に並んでいる。従って、図3のフィン配置の場合、第2放熱フィン群中に、冷却風7が円滑に流れる箇所と、第2フィンが障害となって冷却風7が流れにくい箇所とが生じる。
【0033】
上記した第1フィン4aと第2フィン5aの配置関係のうち、第1放熱フィン群4中を通り抜けた冷却風7が第2フィン5aによる圧力を受けて、第2放熱フィン群5中において風量及び風速が損失するのを防止する点で、第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5のフィンピッチが整数倍の関係でフィンピッチの位相が揃っている図2の配置が好ましい。
【0034】
次に、図4を用いて、第1実施形態例に係る冷却装置1の受熱ブロック温度と従来例の冷却装置41の受熱ブロック温度について説明する。なお、受熱ブロック温度は数値解析で求めたものである。数値解析に用いる第1実施形態例に係る冷却装置1の構成は、上記した構成と同じである。一方、従来例の冷却装置41の構成は、フィン44aの長さは第1フィン4aの長さと第2フィン5aの長さと放熱フィン群間空隙8の幅を足したものとし、放熱フィン群44のフィンピッチは第2放熱フィン群5のフィンピッチと同一とした以外は、数値解析に用いる冷却装置1と同じ構成である。各発熱素子50−1、50−2、50−3、450−1、450−2、450−3からは均等に発熱して合計11000Wの熱量が受熱ブロック2、42にそれぞれ入熱し、また、第1放熱フィン群4及び放熱フィン群44の前面に当る冷却風はいずれも20℃、風速5.8m/sとした条件にて数値解析をおこなった。
【0035】
図4に示すように、冷却装置1の受熱ブロック風上部の温度については従来例の冷却装置41よりも若干上昇するものの、受熱ブロック中央部の温度は従来例と同等であり、受熱ブロック風下部の温度は従来例よりも低下している。このため、第1実施形態例の冷却装置1は、総重量を低減させつつ、風下側の冷却能力が向上して冷却能力の均一化を図ることができる。
【0036】
次に、図5を用いて、第1実施形態例に係る冷却装置1の放熱フィン群間空隙8の位置決め法について説明する。なお、図5の線グラフは、従来例の冷却装置41の放熱フィン群44から適宜選択したフィン44a表面の温度分布であり、図5中、「フィン先端」とは、冷却風の風上側に対向した側のフィンの端部を意味する。放熱フィン群間空隙8の位置、すなわち第1フィン4aの長さと第2フィン5aの長さの割合は、特に限定されず適宜選択できるが、風下側の冷却能力を向上させる点から、下記のように、フィン表面の温度分布に基づいて決定するのが好ましい。
【0037】
図5に示すように、従来例である一枚板のフィン44aの表面温度は、冷却風の風上側から風下側へと移るにつれて上昇していく。そして、放熱フィン群間空隙8は、フィン44a表面の最小温度と最大温度の中間の温度を示す位置に設ける。すなわち、フィン44a表面の温度差ΔTを等分に分割できる温度差ΔT/2の位置にてフィン44aが分割されて第1放熱フィン群4と第2放熱フィン群5が形成されるように、放熱フィン群間空隙8を位置づける。このように、中間温度を示す位置に放熱フィン群間空隙8を設けると、フィンの表面温度が近い領域ごとに2つの放熱フィン群を形成できる。従って、十分な冷却能力を有する第1放熱フィン群4のフィンピッチを放熱フィン群44よりも大きくできることで、第2放熱フィン群5中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができる。また、第1フィン4aの枚数を減らせることで、第1放熱フィン群4における冷却風の温度上昇を低減でき、より温度の低い冷却風を第2放熱フィン群5に供給できる。さらに、第1フィン4aの枚数を減らせるので、冷却装置1の重量を抑制できる。
【0038】
また、図5の線グラフに示すように、フィン44a表面の温度分布は風上側に近いほど急激に低下しており、温度分布とフィン先端からの距離との関係は直線状ではない。従って、フィン44a表面の温度差ΔTを等分に分割できる温度差ΔT/2の位置に放熱フィン群間空隙8を設けると、第2放熱フィン群5の第2フィン5aの長さは、第1放熱フィン群4の第1フィン4aの長さよりも長くなる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1には2つの放熱フィン群が設けられていたが、これに代えて、図6に示すように、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置21は、3つの放熱フィン群が設けられている。第3実施形態例に係る冷却装置21は、平板状の受熱ブロック22と、受熱ブロック22の表面に鉛直方向に取り付けられた側面視U字状のヒートパイプ23と、ヒートパイプ23に取り付けられた第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25及び第3放熱フィン群26とを備えている。第1放熱フィン群24は、複数枚(図6では9枚)の第1フィン24aからなる。第2放熱フィン群25は、複数枚(図6では17枚)の第2フィン25aからなる。第3放熱フィン群26は、複数枚(図6では33枚)の第3フィン26aからなる。すなわち、冷却装置21の第2フィン25aの枚数は、冷却装置1の第1フィン4aの枚数と同じであり、冷却装置21の第3フィン26aの枚数は、冷却装置1の第2フィン5aの枚数と同じである。第1フィン24a、第2フィン25a、第3フィン26aは、いずれも矩形の薄板である。そして、第1放熱フィン群24と第2放熱フィン群25の間に放熱フィン群間空隙28−1が、第2放熱フィン群25と第3放熱フィン群26の間に放熱フィン群間空隙28−2が形成されている。
【0040】
また、ヒートパイプ23が取り付けられていない側の受熱ブロック22裏面に、被冷却体である発熱素子が、風上側から順に250−1、250−2、250−3と熱的に接続されている。
【0041】
第1フィン24a、第2フィン25a及び第3フィン26aの配置関係は、第1フィン24a間の空隙24bが第2フィン25a間の空隙25bよりも大きく、第2フィン25a間の空隙25bが第3フィン26a間の空隙26bよりも大きい態様であれば特に限定されない。前記態様であれば、第1放熱フィン群24による圧力損失を低減できるので第2放熱フィン群25を通り抜ける冷却風の風量・風速の低下を抑えることができ、また第1フィン24aの枚数が減って第1放熱フィン群24を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるとともに、さらに、第2放熱フィン群4による圧力損失を低減できるので第3放熱フィン群26を通り抜ける冷却風の風量・風速の低下を抑えることができ、また第2フィン25aの枚数が減って第2放熱フィン群25を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。図6に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置21では、第1放熱フィン群24と第2放熱フィン群25のフィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群25と第3放熱フィン群26のフィンピッチが整数倍の関係(図6では、第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25、第3放熱フィン群26のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。また、第1放熱フィン群24、第2放熱フィン群25及び第3放熱フィン群26のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン24aの同一平面上には第2放熱フィン群25の第2フィン25a及び第3放熱フィン26群の第3フィン26aが配置され、さらに第1フィン24a間の空隙24b幅を2等分する部位に第2フィン25aが、第1フィン24a間の空隙24b幅を4等分する部位に第3フィン26aが配置されている。
【0042】
このように、冷却装置1と同様のフィン配置とすることで、第2フィン25a、第3フィン26aが、冷却風の流れの障壁となるのを防止し、冷却風の風量及び風速が第2フィン25a、第3フィン26aの圧力を受けて損失するのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群24中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群24の風下側に配置された第2放熱フィン群25中及び第2放熱フィン群25の風下側に配置された第3放熱フィン群26中に、円滑に流れて風下側の冷却能力がより向上する構成となっている。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1は、受熱ブロックに対し鉛直方向に立設されたヒートパイプへ受熱ブロックと平行状に取り付けられたフィンが、2つの放熱フィン群を形成していたが、これに代えて、図7、図8に示すように、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置31は、受熱ブロックに対して鉛直方向に立設された複数のフィンが、3つの放熱フィン群を形成しているヒートシンクである。第2実施形態例に係る冷却装置31は、平板状の受熱ブロック32と、受熱ブロック32表面に取り付けられた第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36とを備えている。
【0044】
図8(a)に示すように、第1放熱フィン群34は、複数枚(図8(a)では6枚)の第1フィン34aが平板状の底面部34cに立設された構造となっている。いずれの第1フィン34aも底面部34cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第1フィン34a表面が平行となるよう設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。図8(b)に示すように、第2放熱フィン群35は、複数枚(図8(b)では11枚)の第2フィン35aが平板状の底面部35cに立設された構造となっている。いずれの第2フィン35aも底面部35cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第2フィン35a表面が平行となるように設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。図8(c)に示すように、第3放熱フィン群36は、複数枚(図8(c)では21枚)の第3フィン36aが平板状の底面部36cに立設された構造となっている。いずれの第3フィン36aも底面部36cに対して鉛直方向であって冷却風の流れ方向に対して第3フィン36a表面が平行となるように設けられ、そのフィンピッチは等間隔である。底面部34c、35c、36cが受熱ブロック32と熱的に接続されることで、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36は受熱ブロック32と熱的に接続される。
【0045】
第2実施形態例に係る冷却装置31では、フィンが設けられていない受熱ブロック32裏面に、被冷却体である発熱素子が、冷却風の風上側から順に350−1、350−2、350−3と熱的に接続されている。
【0046】
第1フィン34a、第2フィン35a及び第3フィン36aの配置関係は、第1フィン34a間の空隙34bが第2フィン35a間の空隙35bよりも大きく、第2フィン35a間の空隙35bが第3フィン36a間の空隙36bよりも大きい態様であれば特に限定されない。前記態様であれば、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下を抑えることができ、また第1フィン34a及び第2フィン35aの枚数が減って第1放熱フィン群34及び第2放熱フィン群35を通り抜けた冷却風の温度上昇を抑制できるためである。図8に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置31は、第3実施形態例の冷却装置21と同様に、第1放熱フィン群34と第2放熱フィン群35のフィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群35と第3放熱フィン群36のフィンピッチが整数倍の関係(図8では、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。また、第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35及び第3放熱フィン群36のフィンピッチの位相が揃っている。つまり、それぞれの第1フィン34aの同一平面上には第2放熱フィン群35の第2フィン35a及び第3放熱フィン36群の第3フィン36aが配置され、さらに第1フィン34a間の空隙34b幅を2等分する部位に第2フィン35aが、第1フィン34a間の空隙34b幅を4等分する部位に第3フィン36aが配置されている。
【0047】
このように、冷却装置21と同様のフィン配置とすることで、第1放熱フィン群34中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群34の風下側に配置された第2放熱フィン群35中及び第2放熱フィン群35の風下側に配置された第3放熱フィン群36中に、円滑に流れる構成となっている。
【0048】
上記第2実施形態例に係る冷却装置31は、冷却風の風量・風速の低下と冷却風の流れの乱れを防止するために、第1放熱フィン群34と第2放熱フィン群35とが接することで放熱フィン群境界部38−1が形成され、第2放熱フィン群35と第3放熱フィン群36とが接することで放熱フィン群境界部38−2が形成されている。放熱フィン群境界部38−1、38−2は、必要に応じて、第3実施形態例の冷却装置21のように、適宜隣接する放熱フィン群を離して放熱フィン群間空隙としてもよい。
【0049】
次に、図9を用いて、第3実施形態例に係る冷却装置21の受熱ブロック温度と従来例の冷却装置41の受熱ブロック温度について説明する。なお、受熱ブロック温度は、図4と同様の条件にて、数値解析で求めたものである。すなわち、数値解析に用いる第3実施形態例に係る冷却装置21の構成は、上記した構成と同様である。従来例の冷却装置41の構成は、フィン44aの長さは、第1フィン24aの長さ、第2フィン25aの長さ、第3フィン26aの長さ及び放熱フィン群間空隙28−1、28−2の幅をそれぞれ合算したものとし、放熱フィン群44のフィンピッチは第3放熱フィン群26と同一とした以外は、数値解析に用いる冷却装置21と同じ構成とした。各発熱素子250−1、250−2、250−3、450−1、450−2、450−3からは均等に発熱して合計11000Wの熱量が受熱ブロック22、42にそれぞれ入熱し、また、第1放熱フィン群24、放熱フィン群44の前面に当る冷却風は20℃、風速5.8m/sとした条件にて数値解析をおこなった。なお、図9には、比較のため図4で示した冷却装置1のデータも併せて表示した。
【0050】
図9に示すように、冷却装置21の受熱ブロック風上部の温度については、従来例の冷却装置41よりも上昇するものの、受熱ブロック中央部の温度は従来例とほぼ同等であり、受熱ブロック風下部の温度は従来例よりも低下している。また、第3実施形態例の冷却装置21は、第1実施形態例の冷却装置1と比較して受熱ブロック風下部の温度がより低下している。このため、第3実施形態例の冷却装置21は、相互にフィンピッチの相違する放熱フィン群を3つに増やすことで、冷却装置1よりも風下側の冷却能力が一層向上してより冷却能力の均一化を図ることができ、総重量もさらに低減させることができる。
【0051】
次に、図10を用いて、第3実施形態例に係る冷却装置21の放熱フィン群間空隙28−1、28−2の位置決め法及び、第2実施形態例に係る冷却装置31の放熱フィン群境界部38−1、38−2の位置決め法について説明する。なお、図10の線グラフは、従来例の冷却装置41の放熱フィン群44から適宜選択したフィン44a表面の温度分布であり、図10中、「フィン先端」とは、冷却風の風上側に対向した側のフィンの端部を意味する。
【0052】
放熱フィン群間空隙28−1、28−2の位置及び放熱フィン群境界部38−1、38−2の位置は、特に限定されず適宜選択できるが、風下側の冷却能力を向上させる点から、第1実施形態例の冷却装置1と同様に、フィン表面の温度分布に基づいて決定するのが好ましい。すなわち、従来例に係る一枚板のフィン44a表面の温度差ΔTを3等分に分割できる温度差ΔT/3の位置でフィン44aが分割されて第1放熱フィン群24、34、第2放熱フィン群25、35、第3放熱フィン群26、36が形成されるように、放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を位置づける。このように、温度差ΔT/3を示す位置に放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を設けると、フィンの表面温度が近い領域ごとに3つの放熱フィン群を形成できる。従って、十分な冷却能力を有する第1放熱フィン群24、34、第2放熱フィン群25、35のフィンピッチを放熱フィン群44のフィンピッチよりも大きくでき、加えて第1放熱フィン群24、34のフィンピッチを冷却装置1の第1放熱フィン群4のフィンピッチよりも大きくできることで、第3放熱フィン群26、36中を通り抜ける冷却風の風量及び風速の低下をより一層抑えることができる。また、第1放熱フィン群24、34中を通り抜ける冷却風の風速が大きいので、第1放熱フィン群24、34における冷却風の温度上昇をより低減でき、冷却装置1よりも温度の低い冷却風を第2放熱フィン群25、35及び第3放熱フィン群26、36に供給できる。さらに、第1フィン24a、34aの枚数を減らせるので冷却装置21、31の重量をさらに抑制できる。
【0053】
このとき、第1実施形態例の冷却装置1と同様の理由から、フィン44a表面の温度差ΔTを3等分に分割できる温度差ΔT/3の位置に放熱フィン群間空隙28−1、28−2または放熱フィン群境界部38−1、38−2を設けると、第2放熱フィン群25、35の第2フィン25a、35aの長さは、第1放熱フィン群24、34の第1フィン24a、34aの長さよりも長くなり、第3放熱フィン群26、36の第3フィン26a、36aの長さは、第2放熱フィン群25、35の第2フィン25a、35aの長さよりも長くなる。
【0054】
次に、本発明の冷却装置の使用方法を説明する。ここでは、本発明の上記実施形態例に係る冷却装置1、21、31が、移動体(例えば鉄道車両)に搭載した電気部品(例えば電力変換装置)を冷却する使用方法を例にとって説明する。鉄道車両の床下面には外部と遮断された電力制御用の筐体が固定され、筐体内には電力変換装置等、電力を制御するための各種電気部品が格納されている。これら電気部品は稼動時に発熱し、そのまま発熱を放置すると昇温して正常な作動ができなくなるばかりか、最悪の場合には素子が熱により破壊される可能性がある。そこで、これら電気部品を冷却する必要がある。
【0055】
冷却装置1、21、31の受熱ブロック2、22、32裏面側に前記電気部品(以下、発熱素子という)を当接させて受熱ブロック2、22、32と熱的に接続する。発熱素子が格納された筐体内には、冷却装置1、21、31に冷却風を供給するためのファンが設置されている。フィンピッチの大きい第1放熱フィン群4、24、34を冷却風の風上側に向け、ファンからの冷却風が、第1放熱フィン群4、24、34中から、フィンピッチの小さい第2放熱フィン群5、25、35中へ、冷却装置21、31の場合、さらに最もフィンピッチの小さい第3放熱フィン群26、36中へと順次通り抜けるように冷却装置1、21、31を設置する。すなわち、ファンから送風された冷却風の流れ方向は、受熱ブロック2、22、32表面に対して平行状となっている。
【0056】
冷却装置1、21の場合、発熱素子から放出される熱は、まず、発熱素子と熱的に接続された受熱ブロック2、22に広がっていき、受熱ブロック2、22に広がった熱は、受熱ブロック2、22に埋め込まれたヒートパイプ3、23の底部、すなわち加熱部に伝達される。すると、ヒートパイプ3、23の熱輸送系が作動し、加熱部に吸収された熱は、加熱部から延びているヒートパイプ3、23の冷却部を介して、ファンから送風された冷却風の流れを受けている放熱フィン群へと伝達され、放熱フィン群から外部環境へと放出される。一方、ヒートパイプを備えていない冷却装置31の場合、発熱素子から放出される熱は、発熱素子と熱的に接続された受熱ブロック32に広がっていき、受熱ブロック32に広がった熱は、ファンから送風された冷却風の流れを受けている放熱フィン群へと伝達され、放熱フィン群から外部環境へと放出される。
【0057】
このように、放熱フィン群のフィンピッチは、冷却風の風上側から風下側へと順次小さくなっているので、風上側放熱フィン群中の通風量及び風速の低下を抑えることで風下側の冷却能力が向上する。このため、例えば鉄道車両の電力変換装置を冷却するために冷却装置を大きくしても、風上側から遠い発熱部も確実に冷却できる。なお、上記使用方法例では、冷却風はファンから供給されていたが、冷却装置1、21、31を筐体外に置く場合には、ファンを設置せずに走行風を冷却風に用いてもよい。
【0058】
次に、本発明の冷却装置の製造方法例を説明する。第1実施形態例の冷却装置1及び第3実施形態例の冷却装置21では、まず、受熱ブロック2、22表面に、側面視U字状のヒートパイプ3、23の底部を埋め込むことで受熱ブロック2、22に複数のヒートパイプ3、23を配置、固定する。フィン4a、5a、24a、25a、26aには、ヒートパイプ3、23のパイプの断面形状に対応した形状の孔部(図示せず)が、ヒートパイプ3、23の配置に対応した位置に設けられているので、次に、受熱ブロック2、22に固定されたヒートパイプ3、23のうち風上側に位置する所定のヒートパイプ3、23に、第1フィン4a、24aの孔部を嵌めて所定枚数の第1フィン4a、24aを備える第1放熱フィン群4、24を作製する。そして、その風下側に位置する所定のヒートパイプ3、23に、第2フィン5a、25aの孔部を嵌めて所定枚数の第2フィン5a、25aを備える第2放熱フィン群5、25を作製する。冷却装置21の場合には、さらに風下側に位置する所定のヒートパイプ23に、第3フィン26aの孔部を嵌めて所定枚数の第3フィン26aを備える第3放熱フィン群26を作製する。このように、受熱ブロック2、22へ固定されたヒートパイプ3、23にフィン4a、5a、24a、25a、26aを取り付けることで本発明の冷却装置を製造する。
【0059】
第2実施形態例の冷却装置31は、図8(a)に示す第1放熱フィン群34、同図(b)に示す第2放熱フィン群35及び同図(c)に示す第3放熱フィン群36を、金型を用いた押出成形にてそれぞれ作製する。そして、受熱ブロック32表面に、冷却風の風上側から第1放熱フィン群34、第2放熱フィン群35、第3放熱フィン群36の順に、各放熱フィン群を固定する。固定手段は慣用手段でよく、例えば、底面部34c、35c、36cを受熱ブロック32表面にビス留めする手段等がある。
【0060】
次に、本発明のその他の実施態様例について説明する。上記各実施形態例では、放熱フィン群が2〜3つ設置されていたが、冷却条件等に応じて、4つ以上設置してもよい。上記各実施形態例では、放熱フィン群中のフィンは等間隔に配置されていたが、フィンの間隔に適宜変化を設けてもよい。風上側放熱フィン群のフィン間の空隙が風下側放熱フィン群のフィン間の空隙よりも広い態様であれば、フィンの間隔が等間隔でなくとも風下側の冷却能力を向上させる作用を奏する。上記各実施形態例では、側面視U字状のヒートパイプを用いたが、これに代えて、側面視L字状などを用いてもよい。
【0061】
また、上記第1、第3実施形態例ではヒートパイプは受熱ブロック表面に対して鉛直方向に立設されていたが、これに代えて、ヒートパイプを受熱ブロック表面に対して適宜傾斜をつけて立設してもよい。例えば、特許文献1のように、受熱ブロックを垂直に設置する場合、ヒートパイプの冷却部が加熱部よりも高い位置となるように、受熱ブロック表面の鉛直方向に対して所定角度(例えば5〜10°)の傾斜をつけてヒートパイプを設置してもよい。このように、ヒートパイプに所定の傾斜をつけることで、ヒートパイプの熱輸送量の低下を防止できる。
【0062】
また、上記第1、第3実施形態例では、受熱ブロックにヒートパイプを立設したが、これに代えて、図11(a)(b)に示すように、受熱ブロックに伝熱ブロックを立設した冷却装置11としてもよい。すなわち、冷却装置11では、受熱ブロック12に、熱伝導性に優れた金属材料(例えば、アルミニウム)からなる柱状(例えば円柱状)の伝熱ブロック13が、受熱ブロック12表面に対して鉛直方向に複数立設されている。所定位置の伝熱ブロック13に、第1フィン14aが、受熱ブロック12表面に対して平行方向に複数取り付けられて第1放熱フィン群14が形成される。また、所定位置の伝熱ブロック13に、第2フィン15aが、受熱ブロック12表面に対して平行方向に複数取り付けられて第2放熱フィン群15が形成される。この態様では、発熱素子150−1、150−2、150−3から放出され受熱ブロック12へ吸収された熱は、伝熱ブロック13を介して第1フィン14aと第2フィン15aへ伝達され、第1フィン14aと第2フィン15aから外部環境へ放出される。このように、ヒートパイプに代えて熱伝導性に優れた柱状の金属材料を用いても冷却能力が向上する。
【0063】
また、上記第1、第3実施形態例では、受熱ブロック表面に鉛直方向にヒートパイプを立設したが、これに代えて、図12(a)(b)に示すように、受熱ブロック側面にヒートパイプを取り付けてもよい。すなわち、冷却装置1´では、受熱ブロック2´の側面に、該側面から外側へ延出した曲部と、該曲部から受熱ブロック2´の表面上側方向へ受熱ブロック2´表面に対し平行方向に延びた直線部とを有する正面視J字状のヒートパイプ3´が複数設けられている。所定位置のヒートパイプ3´に、第1フィン4a´が、受熱ブロック2´表面に対して鉛直方向に複数取り付けられて第1放熱フィン群4´が形成される。また、所定位置のヒートパイプ3´に、第2フィン5a´が、受熱ブロック2´表面に対して鉛直方向に複数取り付けられて第2放熱フィン群5´が形成される。この態様では、発熱素子50´−1、50´−2、50´−3から放出され受熱ブロック2´へ吸収された熱は、ヒートパイプ3´を介して第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達され、第1フィン4a´と第2フィン5a´から外部環境へ放出される。また、上記冷却装置1´では、図12(a)に示すように、第1フィン4a´と第2フィン5a´は、いずれも受熱ブロック2´の表面に接触していない態様であるが、これに代えて、第1フィン4a´と第2フィン5a´の全てまたは一部が受熱ブロック2´の表面に接触した態様としてもよい。第1フィン4a´と第2フィン5a´を受熱ブロック2´の表面に接触させることにより、熱は、ヒートパイプ3´を介して第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達されるのに加えて、受熱ブロック2´から直接第1フィン4a´と第2フィン5a´へ伝達される。
【0064】
また、第2実施形態例では、各放熱フィン群は、複数枚のフィンを平板状の底面部に立設した構造であり、この底面部が受熱ブロックと直接接触していたが、これに代えて、図13に示すように、フィンを受熱ブロック表面に直接立設させることでフィンと受熱ブロックを熱的に接続した冷却装置31´としてもよい。すなわち、冷却装置31´では、第1放熱フィン群34´の第1フィン34a´、第2放熱フィン群35´の第2フィン35a´は、受熱ブロック32´表面に直接設けられている。第1フィン34a´及び第2フィン35a´の受熱ブロック32´への固定方法は、特に限定されない。例えば、受熱ブロック32´表面に第1フィン34a´及び第2フィン35a´嵌め込み用の溝を形成し、この溝に第1フィン34a´及び第2フィン35a´を嵌め込み、各フィン両側の受熱ブロック32´表面を押圧治具で押圧し、かしめて固定する方法が挙げられる。この態様では、発熱素子350´−1、350´−2、350´−3から放出され受熱ブロック32´へ吸収された熱は、受熱ブロック32´と直接接触した第1フィン34a´及び第2フィン35a´へ伝達され、第1フィン34a´と第2フィン35a´から外部環境へ放出される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
風上側放熱フィン群による冷却風の圧力損失が抑えられて風下側の冷却能力が向上することで、受熱ブロック全域について冷却能力の均一化を図ることができるので、大型の冷却装置、例えば、鉄道車両に搭載した電力変換装置等の発熱体を強制空冷で冷却する冷却装置などの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0066】
1、11、21、31 冷却装置
1´、31´ 冷却装置
2、12、22、32 受熱ブロック
2´、32´ 受熱ブロック
3、23 ヒートパイプ
3´ ヒートパイプ
4、14、24、34 第1放熱フィン群
4´、34´ 第1放熱フィン群
4a、14a、24a、34a 第1フィン
4a´、34a´ 第1フィン
5、15、25、35 第2放熱フィン群
5´、35´ 第2放熱フィン群
5a、25a、35a 第2フィン
5a´、35a´ 第2フィン
26、36 第3放熱フィン群
26a、36a 第3フィン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設された複数のヒートパイプと、前記ヒートパイプへ取り付けられたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチの整数倍であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンの長さが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンの長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ヒートパイプが、側面視U字状またはL字状であることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【請求項1】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設されたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
発熱素子に熱的に接続された受熱ブロックと、前記受熱ブロックの表面に立設された複数のヒートパイプと、前記ヒートパイプへ取り付けられたフィンを複数有する放熱フィン群とを備え、前記受熱ブロックと平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、
前記放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンピッチの整数倍であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記風上側に配置された放熱フィン群のフィンの長さが、前記風下側に配置された放熱フィン群のフィンの長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ヒートパイプが、側面視U字状またはL字状であることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−181882(P2011−181882A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114357(P2010−114357)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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