説明

角質層の密着を促進するケア用剤としての8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸の使用

【課題】角化外膜の優れた構成及び設置を促進及び/または回復することができ、皮膚及び唇の表面の角質層の均一性及び密着を保証する製品を提供する。
【解決手段】組成物中におけるまたは組成物の調製のための、角質層の密着及び/または構成の促進剤としての8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用として、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を組成物全重量に対して8重量%以下の利用可能量で提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特に角質層の外観及び密着、並びに皮膚及び唇のケア及び/またはメイクアップの分野におけるその応用に関する。
【0002】
本発明は特に、組成物中におけるまたは組成物の調製のための、角質層の優れた構成及び密着を促進するため、とりわけ顔色の均一性及び/または透明感の増進のため、皮膚又は唇上でのメイクアップ組成物の均一性及び/または保持力の向上のため、化粧品又は皮膚科用活性剤によって誘発される角質層の障害の回避のため、あるいは再構築表皮及び/または再構築皮膚の調製における角質層の強度及び密着の増進のための作用剤としての、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用に関する。
【0003】
好ましくは、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は0.00001重量%乃至8重量%の範囲の量で前記組成物中に存在し、これらの応用のためには、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、全重量に対して0.005重量%未満の濃度であるといっそう有効である。
【0004】
本発明はまた、少なくとも8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を含み、特定の形態によって特徴づけられるメイクアップ組成物に関し、なおかつ(a)少なくとも8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と(b)乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸とを、0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で含む化粧品または皮膚科用組成物に関する。
【0005】
本発明はまた、前記組成物を使用する皮膚または唇の表面外観及び/または快適性、あるいは皮膚の色合いの改善を目指す美容方法に関する。
【背景技術】
【0006】
ヒトの皮膚は、2つの区画、すなわち深部区画である真皮及び表面区画である表皮からなる。
【0007】
真皮は、表皮に確固とした支持を与える。これはまた、表皮生育要素である。これは主に繊維芽細胞及び細胞外基質からなり、前記細胞外基質自体が主にコラーゲン、エラスチン、及び基質として知られる物質を含むが、これらは繊維芽細胞から合成される。白血球、肥満細胞、及びマクロファージ組織もまたここに見いだされる。真皮は、血管及び神経線維を更に含む。
【0008】
自然なヒトの表皮は、主に3つのタイプの細胞:大多数を占める角化細胞、メラニン細胞、及びランゲルハンス細胞を含む。これら細胞タイプのそれぞれが、その本来的機能によって、皮膚によって担われる身体における本質的な役割に貢献する。
【0009】
表皮は、従来より、表皮の胚芽層を構成する角化細胞の基底層、有棘層として既知であり、胚芽層状に並ぶ多面細胞の幾つかの層からなる層、顆粒層として既知であり、別個の細胞質封入体、ケラトヒアリン顆粒を含む平坦細胞からなる層、及び最後に角質層(stratum corneum)として既知であり、角化細胞から誘導される無核の乾燥した細胞構造である角質細胞からなる上部層に分けられる。
【0010】
角質細胞は、サイトケラチンを含む繊維基質を主として含み、角形もしくは角化外膜として既知の15nm厚さの非常に強い構造によって囲まれている。これら角質細胞の積層が角質層を構成し、これは最外層であり、バリア機能及び表皮の外観の原因である。
【0011】
角質層の優れた密着及び構成は、角化外膜の発達と部分的に関連しており、これは特に一連の「前駆体」タンパク質を基質として用いるトランスグルタミナーゼ族の酵素によって特に制御されることが知られている。角質層の弾性及び固体性は、とりわけ角化外膜、コルネオデスモソーム、及び中間細胞ケラチンフィラメントの間のネットワークを通じて確立されている。
【0012】
しかしながら、皮膚または唇の角質層のこうした優れた構成は、刺激もしくは汚染因子(洗剤、汚染、煙草の煙等)、機械的ストレス(摩擦、擦過、またはシェービング)、熱的または気候的不均衡(低温、乾燥、または光線)、生体異物不均衡(微生物またはアレルゲン)、化粧品もしくは皮膚科的化学処理(スクラブまたは抗ざ瘡処理等)、または生理学的因子による処置(加齢、ストレス等)によって損なわれるかまたは変性されうる。
【0013】
角質層のこうした障害、または皮膚もしくは唇の表面の連続性の断裂は、その表面の均一性、とりわけ皮膚の色合いの均一性及び/または透明感に悪影響を及ぼし得る。角質層の密着及び/または構成におけるこうした変化はまた、角質の微起伏または物理化学特性を変化させ、よって皮膚または唇に適用されるケア組成物及び/またはメイクアップの保持力を損ない、ひいては見苦しいシミを生じうるメイクアップの不均一な分布をもたらす恐れがある。
【0014】
さらにまた、角質層の密着及び/または構成におけるこれらの変化は、下記のような病理障害の発生に寄与しうる。
・角質増殖症、肥厚した角質層及び異常な落屑によって特徴づけられる(例えば乾皮症、魚鱗癬、反応性角質増殖症等);
・白色角化症、マルピーギもしくは非マルピーギの、しかし通常は角化されていない粘膜における分化転換または異形成から起こる角化によって特徴づけられる(例えば脱出の際の子宮頚部の白色角化症、口腔白色角化症、マルピーギ粘膜の角化良性腫瘍病巣等);
・皮膚の栄養障害、逆に、皮膚被膜の過剰な脆弱性に反映される、表皮、特に角質層の菲薄化により特徴づけられる(例えば拡張蛇行静脈もしくは動脈症等の血管病理を有する患者の場合の下肢の栄養障害;疼痛ジストロフィー症候群に関連する皮膚の栄養障害;異常瘢痕化後の栄養障害等)。
【0015】
角質層の三次元構成及び密着は、再構築表皮及び/再構築皮膚の調製方法において重要な工程であり、しばしばこれらの優れた成熟及び品質が示されることが既知である。
【特許文献1】特許出願DE10305965
【特許文献2】WO2005/089707
【非特許文献1】Marchall D et al., PNAS, 2001, Vol. 98, No. 23, 13031-13036
【非特許文献2】J. W. Wiechers et al.によるCosmetics & Toiletries, Vol. 117, No. 7, p.55-68 (July 2002)
【非特許文献3】SOFW Journal, 128, pp.2-8 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、前述の内容から、角化外膜の優れた構成及び設置を促進及び/または回復することができ、皮膚及び唇の表面の角質層の均一性及び密着を保証する製品が求められていることが理解される。
【0017】
角質層の密着を促進するために、その設置の最終工程を特に促進して良い。「角質層の設置工程」なる語は、角化細胞により生成されるタンパク質前駆体が、とりわけトランスグルタミナーゼの作用によって架橋し、不溶化される過程を意味する。これらのタンパク質はまた、所定のセラミド類と結合して疎水性構造を形成することによって不溶化されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
ここに、出願人は、予期せぬことに、皮膚に刺激性でない低濃度の8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、この必要を満たすことを見いだした。詳しくは、ここに、低濃度の8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、角質層の密着に関与するタンパク質(LEP16)または角質細胞間の密着に関与するタンパク質(コルネオデスモシン)の発現を誘発することが示された。
【0019】
出願人はまた、アスコルビン酸、乳酸、及びグリコール酸を用いて同様または相補的な結果を得ている。しかしながら、特にこれらの化合物を用いたこの場合は、同等の活性を得るためには、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の場合よりも10倍高い濃度が必要である。
【0020】
LEP16は、角化外膜の形成の後期に現れるLEP(後期外膜タンパク質)族の構成員の1つである(Marchall D et al., PNAS, 2001, Vol. 98, No. 23, 13031-13036);これらのタンパク質は、角化外膜及び鱗の適切な形成の間に基質-外膜相互作用における役割を担う。
【0021】
LEP類は、近年、新規なトランスグルタミナーゼ基質として開示されているが、互いに及び多数のタンパク質と架橋することによって角化外膜の形成に関与することが知られており、その主なものは、インボルクリン、ロリクリン、エラフィン、シスタチン、パンコーヌリン(pancornulins)(またはSPR:Small Proline Rich)、サイトケラチン、デスモプラキンI及びII、デスモグレイン、及びコルネオデスモシンである。
【0022】
従って、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用は、角質層の密着の促進及び/または回復のための、然るに皮膚及び唇の表面の優れた均一性の確保のためのケア剤として有利であり、これはメイクアップ組成物のより優れた美的効果をもたらす(均一性及び保持力)。この酸の使用は、異常に低い角質層の角化に関連する皮膚病理の治療のための製薬組成物の調製のためにも有利である。
【0023】
これはまた、再構築表皮及び/または再構築皮膚の調製方法において、あるいは存続中の毛のうの優れた分化及び成熟のために有利である。
【0024】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸または9-オクタデセン二酸は、主としてシス形で見いだされ、Candida種の突然変異酵母の存在下においてオレイン酸のバイオ発酵により得られる化合物である。これはとりわけ、J. W. Wiechers et al.によるCosmetics & Toiletries, Vol. 117, No. 7, p.55-68 (July 2002)及びSOFW Journal, 128, pp.2-8 (2002)に記載のように脱色、脱臭、ふけ防止、及び抗ざ瘡製品中でのその使用を想定可能にする、漂白及び抗微生物特性を有する。
【0025】
これはまた、特許出願DE10305965に、0.005乃至20重量%の濃度において皮膚の若返りまたは活性化のための化粧品組成物中における酸化防止剤として使用することが提唱されている。
【0026】
この化合物はまた、少なくとも10%の濃度での化学的スクラブ剤として開示されている(WO2005/089707)。
【0027】
しかしながら、出願人の知る限り、角質層の密着を促進及び/または回復し、よって顔色の均一性の増進、皮膚又は唇上でのメイクアップ組成物の均一性及び/または保持力の向上、化粧品又は皮膚科用活性剤、例えば角質溶解もしくは抗ざ瘡剤によって誘発される角質層の障害の回避、あるいは再構築表皮及び/または再構築皮膚の調製における角質層の優れた密着及び構成の増進するためのケア剤としての8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用は、これまで開示も示唆も一切されていない。
【0028】
とりわけ、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は該組成物中に低濃度、すなわち所望の効果、すなわち角質層の密着及び優れた構成の促進及び/または回復を企図するケア効果を得るために十分な濃度で存在する。8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の濃度は、当業者により、好ましくは、厳密に0.005%未満である遊離酸の濃度を得るように調整される。然るに、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が部分的に塩化またはエステル化されている場合には、該組成物中のその全濃度はより高くなってよい。これは、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が徐放性形態で、例えばナノカプセルなどのベクター中に、またはパッチ中に提供され、作用部位に徐々に有効量を与える場合も同様である。
【0029】
然るに、本発明は、角質層の密着及び優れた構成を促進するための作用剤としての、組成物中におけるまたはその調製のための、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
これらの応用のためには、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、組成物全重量に対して0.00001乃至8重量%、または5×10-3重量%未満の濃度で存在して良い。
【0031】
より好ましくは、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、該組成物中に、全重量に対して0.00001乃至0.0005重量%の範囲の量で存在する。
【0032】
本発明により使用される8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、シス形で、トランス形で、またはこれら2つの形態の混合物として存在しても良い。これは特に、Uniqema社よりArlatone Dioic DCAの商品名で購入可能である。
【0033】
該組成物中に存在する8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、特に、
・顔色の均一性及び/または透明感の増進;
・皮膚又は唇上でのメイクアップ組成物の均一性及び/または保持力の向上;
・皮膚及び/または唇の再上皮化及び/または再生の促進;(とりわけ外部攻撃(低温、機械的摩擦等)、火傷、UVへの暴露、またはスクラビング処理により損なわれた皮膚及び/または唇の場合);
・表皮と毛幹との間の漏斗接合部により優れた密着を確保することによる毛根の再上皮化及び/または再生の促進;
を企図する。
【0034】
然るに、該組成物または8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、任意に別の活性剤との組み合わせにおいて、髪の再生及び品質を増進させ、且つ/または髪の喪失を軽減しうる。これらはまた、睫の成長促進のため;
・特にキューティクルでの再上皮化及び/または再生の促進のため(爪の角化を促進することにより、特に脆性の爪という現象の治療または予防が目標とされる);
・低温、UV光線、及び機械的摩擦(例えばシェービング、脱毛等)から選択される少なくとも1つの条件により損なわれた皮膚、頭皮、または唇の快適性及び強度の改善のため;
スクラビングの作用または日光への暴露に対する皮膚の準備のため;
に使用して良い。
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸はまた、本発明によって日焼けの色の一様化のために有利に使用される。
【0035】
これら全ての応用のために、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、0.00001重量%からの低濃度で活性であるが、より高濃度で使用しても良く、この量は例えば組成物全重量に対して0.0000乃至8もしくは5重量%で変化して良く、好ましくは0.0001重量%以上である。本発明の使用に適した量は、とりわけ、組成物全重量に対して0.0001乃至0.005重量%、または0.0001乃至0.0005重量%である。
【0036】
有利には、この量は組成物全重量に対して8重量%を超えることはなく、好ましくは組成物全重量に対して5重量%を超えない。
【0037】
本発明はまた、組成物中に存在する化粧品または皮膚科用の活性剤の作用により誘発される角質層の障害を回避するため及び/またはその回復を促進するための作用剤としての、前記組成物中における8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用にも関する。
【0038】
本発明による組成物は、化粧品または皮膚科用組成物として有効であり、角質層の強度及び密着に有害となりうる副作用を有する少なくとも1つの活性剤を含んでも良い。これは例えば、角質溶解性もしくは落屑性剤、抗脂漏性及び/または抗ざ瘡性剤、及びコメド溶解性剤、並びにこれらの混合物から選択される化粧品または皮膚科用活性剤であってよい。
【0039】
特に挙げて良い角質溶解剤の例には、α-ヒドロキシ酸類、例えばグリコール酸、乳酸、二価酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、及びマンデル酸、あるいはこれらの誘導体;β-ヒドロキシ酸類、例えばサリチル酸及びこれらの誘導体;α-ケト酸類、例えばアスコルビン酸もしくはビタミンC及びこれらの誘導体;β-ケト酸類;レチノイド類、例えばレチノール及びそのエステル類、レチナール、レチノイン酸、及びこれらの誘導体、並びにFR-A-2570377、EP-A-199636、EP-A-325540、及びEP-A-402072に開示されているものが含まれる。
【0040】
「落屑剤」なる語は、
・剥脱を促進することにより直接的に落屑に作用しうるあらゆる化合物、例えばβ-ヒドロキシ酸類、特にサリチル酸及びその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸を含む);α-ヒドロキシ酸類、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、またはマンデル酸;尿素及びその所定の誘導体;ゲンチシン酸;オリゴフコース類;経皮酸;Saphora japonicaの抽出物;レスベラトロール;洗浄剤、及び所定のジャスモン酸誘導体;並びに/または
・コルネオデスモソームの変性に関与する酵素の活性に作用しうるあらゆる化合物、例えば角質層キモトリプシン酵素(SCCE)、あるいは他のプロテアーゼ類(トリプシン様、キモトリプシン様、カテプシンD)及び更に別のカテゴリーの加水分解酵素(例えばグリコシダーゼ、セラミダーゼ);
を意味する。特に、無機塩キレート化剤:EDTA;N-アシル-N,N’,N’-エチレン-ジアミン三酢酸;アミノスルホン化合物類、特に(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;グリシンタイプのα-アミノ酸類の誘導体(EP-0852949に記載のものであり、BASF社によりTrilon Mの商品名で市販のナトリウムメチルグリシンジアセテート);蜂蜜;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトース及びN-アセチルグルコサミン;尿素またはその所定の誘導体を挙げて良い。
【0041】
特に挙げて良い抗脂漏性及び/または抗ざ瘡剤には、
・レチノイド類、特にレチノール;
・硫黄及び硫黄誘導体;
・亜鉛塩、例えば乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドール酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、及び/またはシステイン酸亜鉛;
・塩化セレン;
・ビタミンB6もしくはピリドキシン;
・カプリロイルグリシン、サルコシン、及び特にSEPPIC社によりSpicontrol A5(登録商標)の商品名で市販のCinnamomum zeylanicumの抽出物の混合物;
・SECMA社によりPhlorogine(登録商標)の商品名で市販のLaminaria saccharinaの抽出物;
・Silab社によりSebonormine(登録商標)の商品名で市販のSpiraea ulmariaの抽出物;
・いずれもMaruzen社により市販のArnica montana種、Cinchona succirubra種、Eugenia caryophyllata種、Humulus lupulus種、Hypericum perforatum種、Mentha piperita種、Rosmarinus officinalis種、Salvia oficinalis種、及びThymus vulgaris種からの植物抽出物;
・特にEuromed社により市販のSerenoa repensの抽出物;
・Silybum属の植物抽出物;及び
・オイゲノール及びオイゲニルグルコシドを含むEugenia caryophyllataの抽出物;
EP0728474(ロレアル社)に開示されるものなどのスルホン酸;
が含まれる。
【0042】
特に挙げて良いコメド溶解性剤の例には、サリチル酸及びHEPESが含まれる。
【0043】
本発明による化粧品または皮膚科用組成物中に、低濃度で8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が存在することにより、前記組成物中に存在する化粧品または皮膚科用活性剤による角質層の密着及び構成に対するおそらくは有害な副作用を回避及び/または軽減することが可能になる。
【0044】
本発明はまた、角質層の異常な形成に関連する皮膚病訴、特に角質増殖症、錯角化症、白色角化症、及び皮膚の栄養障害の治療のための皮膚科用組成物の調製のための、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用にも関する。
【0045】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、前記組成物中における所望の効果、すなわち角質層の成熟及び/または密着の増進及び/または回復を得るために必要とされる量で存在する。
【0046】
これまでに示されるように、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の濃度は、これが存在する組成物中の形態の関数として、有効量を得るように当業者によって調整される。この量は、組成物全重量に対して0.00001乃至5重量%、または0.00001乃至8重量%の範囲であって良く、本発明の使用に適した量は特に該組成物に対して0.0001乃至0.005重量%または0.0001乃至0.0005重量%である。
【0047】
有利には、この量は、該組成物全重量に対して8重量%を超えることはないが、好ましくは該組成物全重量に対して5重量%を超えることはない。
【0048】
有利には、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、本発明の組成物中において、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸と組み合わせられる。前記別の酸については、出願人は、角質層の成熟、角質細胞間密着、及び/または再上皮化に対する付加的または相補的な効果を示すことに成功している。
【0049】
然るに、本発明の主題はまた、乳酸及びグリコール酸から選択される少なくとも1つの化合物の、角質層の成熟及び/または密着を促進する剤としての使用である。
【0050】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸及び別の作用剤を組み合わせて使用する場合には、これにより該組成物中に存在する各活性剤の有効量を低減することも可能になる。
【0051】
本発明による組成物はまた、さらに尿素を含んでも良く、これは最終的な角質層改善活性を増進する。8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸及び少なくとも1つの別の酸、及び/または尿素は、0.01乃至10重量%の量で、同時に、別個に、長期に亘り交互にもしくは相次いで使用して良い。
【0052】
特に、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸(これらの酸それぞれが該組成物中に0.01乃至10重量%の量で存在しうる)、並びにこれらの混合物から選択される別の酸とは、該組成物中に0.005:1乃至0.05:1の量比で、好ましくは0.01:1の比で存在する。
【0053】
本発明の主題はまた、日光への暴露の前又は後の8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の皮膚への適用を含む、日焼けの色の一様化のための美容方法にも関する。
【0054】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の量は、組成物全重量に対して0.00001重量%乃至5重量%または0.00001乃至8重量%の範囲であって良く、本発明の使用に適当な量は、とりわけ該組成物全重量に対して0.0001乃至0.005重量%または0.0001乃至0.0005重量%である。
【0055】
本発明による組成物は、化粧品又は皮膚科用の使用向けのものであって良い。皮膚科用組成物である場合には、これは特にスクラブ組成物または抗ざ瘡組成物である。
【0056】
好ましくは、本発明の組成物は、皮膚又は唇の表面均一性、特に顔色の均一性の改善のための美容的使用向けのものである。これは特に、皮膚または唇のケア及び/またはメイクアップのための組成物であり、これは特にスキンケアベース、ケアクリーム(日中用クリーム、夜用クリーム、または皺防止クリーム)、メイクアップベース、または着色ケアクリームの形態、あるいは半固体もしくは固体のコンシステンシーを有する流動ファンデーションの形態であってよい。
【0057】
これは、化粧品及び皮膚科において通常使用され、経口または局所経路、好ましくは局所経路に適した、あらゆる製薬形態であってよい。
【0058】
経口投与、特に「経口化粧品」投与のためには、これは特に水カプセル、ゲルカプセル、糖衣錠剤、顆粒、チューイングガム、ゲル、飲用シロップ、または錠剤の形態、あるいは当業者に既知の別のあらゆる形態であってよい。
【0059】
皮膚、頭皮、または唇に対する局所適用のために、該組成物は、任意にゲル化された水性、水−アルコール性、または油性の溶液、水性相中の脂肪相の分散(O/W)またはその逆(W/O)によって得られる乳剤タイプの液体もしくは半液体のコンシステンシーのエマルション、三相エマルション(W/O/WまたはO/W/O)、クリームもしくはゲルタイプの柔らかな半固体もしくは固体コンシステンシーの懸濁物またはエマルション、液体、ペースト状もしくは固体の無水生成物、あるいはまたミクロエマルション、ミクロカプセル、ミクロ粒子、またはイオン性タイプ(リポソームまたはオレオソーム)及び/または非イオン性タイプ(ニオソーム)の小胞分散物、並びに/またはナノスフェアの分散物の形態であって良い。
【0060】
ムース形態またはスプレーもしくはエアロゾル形態の組成物(この場合は加圧推進剤を含む)もまた想定される。
【0061】
然るに該組成物は、ローション、セラム、乳剤、O/WもしくはW/Oクリーム、ゲル、軟膏、ポマード、粉末、バーム、パッチ、含浸パッチ、石けん、バー、またはムースの形態であってよい。これはまた、リップスティック、リップペースト、またはリップグロス、パウダー、固体もしくは半固体のファンデーション、または髪及び/または睫に適用されるマスカラの形態であってもよい。これはとりわけ、適用部位での作用または皮膚区画への活性剤の拡散による間接的作用を企図したパッチまたは経皮デリバリー装置の形態であってよい。
【0062】
該組成物がエマルションである場合は、懸かる組成物の脂肪相の割合は、該組成物全重量に対して、例えば5乃至50重量%、とりわけ5乃至50重量%の範囲であって良い。
【0063】
前記水性相は、本質的に水からなるか、または水と水混和性の有機溶媒(水中での混和性が25℃にて50重量%より大)、例えば1乃至5の炭素原子を含む低級モノアルコール類、例えばエタノールまたはイソプロパノール、2乃至8の炭素原子を含むグリコール類、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、または時プロピレングリコール、C3-C4ケトン類及びC2-C4アルデヒド類との混合物を含んで良い。
【0064】
この水性相(水及び任意に水混和性有機溶媒)は、ベース組成物中に、該ベース組成物全重量に対して1乃至95重量%、とりわけ3乃至80重量%、特に5乃至60重量%の範囲の含量で存在して良い。
【0065】
該組成物の脂肪相はまた、脂肪もしくは油性化合物、及び任意にシリコーンもしくは非シリコーンワックス、ゴム、及び、植物、動物、鉱物、もしくは鉱物由来のペースト状脂肪物質を含んで良い。
【0066】
挙げて良い油の例には、
・動物由来の炭化水素ベースの油、例えばペルヒドロスクアレン;
・植物由来の炭化水素ベースの油、例えば4乃至10の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド、及びシアバターの液体フラクション;
・合成エステル及び合成エーテル、特に脂肪酸の、例えば式R1COOR2及びR1OR2(式中、R1は8乃至29の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、R2は3乃至30の炭素原子を含む分枝状または非分枝状の炭化水素ベースの鎖を表す)の油、例えばパーセリンオイル、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルヒドロキシステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート、及び脂肪アルキルヘプタノエート、オクタノエート、及びデカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、及びジエチレングリコールジイソノナノエート;及びペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリスチチルテトライソステアレート;
・鉱物または合成由来の直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば揮発性又は不揮発性の流動パラフィン及びこれらの誘導体、ワセリン、ポリデセン、及び水添ポリイソブテン、例えばパーリームオイル;
・8乃至26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール、またはリノレイルアルコール;
・部分的に炭化水素ベースの及び/またはシリコーンベースのフッ化油、例えばJP-A-2295912に記載のもの;
・シリコーン油、例えば揮発性または不揮発性の、直鎖状または環状のシリコーン鎖を含むポリメチルシロキサン(PDMS類)(これは室温で液体またはペースト状である)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、例えばシクロヘキサシロキサン;ペンダント状であるかまたはシリコーン鎖の末端にあり、2乃至24の炭素原子を含むアルキル、アルコキシ、またはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及びポリメチルフェニルシロキサン;並びに、
・これらの混合物;
が含まれる。
【0067】
前記ワックスは、炭化水素ベースのワックス、シリコーンワックス、及び/またはフルオロワックスであってよく、任意にエステルまたはヒドロキシル官能基を含む。これらは特に天然由来のものである。
【0068】
前記ワックスは、組成物全重量に対して0.01乃至10重量%、特に0.1乃至5重量%を占めてよい。
【0069】
本発明の組成物中に使用して良いワックスとしては、ミツロウ、カルナウバワックス、カンデリラワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス、セレシン、またはオゾケライト;合成ワックス、例えばポリエチレンワックスまたはフィッシャー・トロプシュワックス、並びにシリコーンワックス、例えば16乃至45の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシジメチコーンを挙げて良い。
【0070】
本発明による組成物中に使用して良いペースト状化合物の中では、ラノリン及びラノリン誘導体、例えばアセチル化ラノリン、オキシプロピレン化ラノリン、またはイソプロピルラノレート、及びこれらの混合物を挙げて良い。脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル、特に20乃至65の炭素原子を含むもの、例えばトリイソステアリルまたはセチルシトレート;アラキジルプロピロネート;ポリビニルラウレート;コレステロールエステル、例えば水添植物油等の植物由来のトリグリセリド、粘性ポリエステル及びこれらの混合物もまた使用して良い。使用して良い植物由来のトリグリセリドには、水添ひまし油誘導体、例えばRheox社製のThixinr(登録商標)が含まれる。
【0071】
カルボン酸のエステル化から生じるポリエステル及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルもまた挙げて良い。例えば、日本企業である高級アルコール工業により市販のRisocast(登録商標)DA-L(2:1の割合の水添ひまし油とジリノール酸とから生じるエステル)及びRisocast(登録商標)DA-H(4:3の割合の水添ひまし油とイソステアリン酸とから生じるエステル)が挙げられる。
【0072】
ペースト状シリコーン化合物、例えば高分子量ポリジメチルシロキサン(PDMS類)、特に8乃至24の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシタイプのペンダント鎖を含み、20-55℃の融点を有するもの、例えばステアリルジメチコーン、とりわけDow Corning社によりDC2503(登録商標)及びDC25514(登録商標)の商品名で市販のもの、及びこれらの混合物もまた挙げて良い。
【0073】
該組成物はまた、化粧品において一般的なアジュバント、例えばフィラー、染料、親水性または親油性の化粧品活性剤、増粘剤、乳化剤、親水性または親油性ゲル化剤、界面活性剤、モイスチャライザー、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、中和剤、保存料、酸化防止剤、UVスクリーン剤、殺菌剤、微量元素、臭気吸収剤、及びpH調整剤、及びこれらの混合物を含んで良い。
【0074】
これらの様々なアジュバントの量は、懸かる分野で従来採用されているものであり、例えば組成物全重量に対して0.01乃至20重量%である。その性質により、これらアジュバントは脂肪相中または水性相中に導入して良い。
【0075】
如何なる場合においても、これらのアジュバント、及びその割合は、本発明による望ましい特性を損なうことのないように選択される。
【0076】
使用して良い乳化剤及び共乳化剤としては、例えばO/W乳化剤、例えばポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、特にPEG-100ステアレート、及びグリセロールの脂肪酸エステル、例えばグリセリルステアレート、並びにW/O乳化剤、例えばDegussa Goldschmidt社からAbil WE09、Abil EM90、及びAbil EM97の商品名で入手可能なもの、またはGuardian社よりUnitwixの商品名で市販のアセチルエチレングリコールステアレートとグリセリルトリステアレートとの混合物を挙げて良い。
【0077】
使用して良い親水性ゲル化剤としては、特にカルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリルコーポリマー、例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリサッカライド、天然ゴム及び粘土があり、また挙げて良い親水性ゲル化剤には改質粘土、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、疎水性シリカ、及びポリエチレンが含まれる。
【0078】
「フィラー」なる語は、該組成物が製造される温度とは無関係に該組成物の媒質中には不溶性の、無色または白色の、あらゆる形状の無機または合成の粒子を意味すると解される。
【0079】
前記フィラーは、特にあらゆる形状、小片形状、球状、または長円形の、無機及び有機のフィラーから、結晶形状とは無関係に(例えばラメラ、立方晶、六方晶、斜方晶等)選択されてよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、National Starch社によりDry Flo Plus(28-1160)の名称で市販の、オクテニル無水コハク酸で架橋した澱粉;ポリアミド粒子、ろくにAtochem社によりOrgasolの名称で市販のもの;アクリルコポリマーに基づくミクロスフェア、例えばDow Corning社によりPolytrapの名で市販のエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー製のもの;膨張粉末、例えば中空ミクロスフェア、特にKemanord Plast社によりExpancelの名で市販の、またはMatsumoto社によりMicropearl F 80 EDの名で市販のミクロスフェア;ポリメタクリレートタイプの粉末(PMMA)、シリコーンエラストマー及びSunsphereタイプのシリカ粉末、シリコーン樹脂ミクロビーズ、例えばToshiba Silicone社によりTospearlの名で市販のもの;及びこれらの混合物を挙げて良い。
【0080】
これらのフィラーは、ベース組成物の全重量に対して、0.01乃至20重量%、好ましくは1乃至10重量%の範囲の量で存在して良い。
【0081】
特に挙げてよい染料には、単色顔料、真珠光沢顔料、色を発するまたは発しない反射顔料、干渉顔料、油溶性染料、及び水溶性染料、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0082】
油溶性染料は、例えば、スーダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCヴァイオレット2、DCオレンジ5、及びキノリンイエローである。
【0083】
前記顔料は、白色または有色の、無機及び/または有機の、被覆または未被覆のものであってよい。挙げて良い無機顔料の中には、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化セリウム、並びに酸化鉄または酸化クロム、マンガンヴァイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、及びフェリックブルーがある。挙げて良い有機顔料の中には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコキニールカルミン、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、もしくはアルミニウムに基づくレーキがある。
【0084】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタンもしくはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ等、有色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタニウムマイカ、特にフェリックブルーもしくは酸化クロムで被覆されたチタニウムマイカ、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタニウムマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択して良い。
前記顔料は、表面処理を経ていて良い。
【0085】
本発明の組成物中における使用に適当な親水性または親油性化粧品活性剤としては、皮膚、頭皮、または唇の表面外観及び/または快適性、あるいは皮膚の色合いの改善を企図する化粧品活性剤が特に使用される。
【0086】
この活性剤は、特に、真皮または表皮の巨大分子の合成を刺激する、且つ/またはその変性を予防する作用剤、繊維芽細胞またはケラチノサイトの増殖及び/またはケラチノサイトの分化を刺激する作用剤、モイスチャライザー、脱色剤、皮膚の着色を促進する作用剤、抗汚染剤、またはフリーラジカルスカベンジャー、皮膚弛緩剤、及び緊張剤、並びにこれらの混合物から選択して良い。
【0087】
(真皮または表皮の巨大分子の合成を刺激する、且つ/またはその変性を予防する作用剤)
真皮、とりわけ繊維芽細胞の細胞は、コラーゲン、エラスチン、及び糖タンパク質分子を製造する。加齢の作用により、またはUV光線の作用の下では、これらの分子が著しく減少し、コラーゲン及びエラスチンの繊維の変性がコラゲナーゼまたはエラスターゼの作用下で起きる。
【0088】
真皮巨大分子の刺激またはその変性の予防のための活性剤の中には、
・コラーゲン合成に作用するもの、例えばCentella asiaticaの抽出物;アシアチコシド及びその誘導体;アスコルビン酸もしくはビタミンC及びその誘導体、例えばその塩又はエステル、特に5,6-ジ-o-ジメチルシリスアスコルベート(Exsymol社により、品番PRO-AAとして市販)、ジ-a-トコフェリル-ジ-アスコルビルホスフェートのカリウム塩(Senju Pharmaceutical社により品番Sepivital EPCとして市販)、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート(Roche社により品番Stay-C 50として市販)、及びアスコルビルグルコシド(Hayashibara社により市販);合成ペプチド、例えばイアミン、Sederma社により市販のパルミトイルオリゴペプチドまたはバイオペプチドCL;植物から抽出されたペプチド、例えばColetica社によりPhytokine(登録商標)の商品名で市販の大豆水解物;植物ホルモン、例えばオーキシン及びリグナン;特にSederma社により「Matrixyl」の名で市販の、ペンタペプチド、リシン-トレオニン-トレオニン-リシン-セリンのパルミトイル;ジメチルアミノエタノール;Bupleurum chinensis rhizomeの抽出物、例えばSederma社により「Pleurimincyl」及び「Lipocare」の名で市販の製品;特にパルミトイル基でアシル化された小麦タンパク質水解物、例えばSEPPIC社により「Lipacid PVB」の名で市販の製品;クレアチン;補酵素Q10;または
・エラスチン合成に作用するもの、例えばLSN社によりCytovitin(登録商標)の商品名で市販のSaccharomyces cerevisiaeの抽出物;及びSECMA社によりKelpadelie(登録商標)の名で市販の海草Macrocystis pyriferaの抽出物;メリビオース;大豆タンパク質;または
・グリコサミノグリカン合成に作用するもの、例えば、Brooks社によりBiomin yogourth(登録商標)の商品名で市販の、Lactobacillus vulgarisを用いる乳の発酵の生成物;Alban Muller社によりHSP3(登録商標)の商品名で市販の褐藻Padina pavonicaの抽出物;及び特にSilab社によりFirmalift(登録商標)の商品名で市販の、またはLSN社によりCytovitin(登録商標)の商品名で市販のSaccharomyces cerevisiaeの抽出物;または
・フィブロネクチン合成に作用するもの、例えば、Seporga社によりGP4G(登録商標)の商品名で市販の動物プランクトンSalinaの抽出物;特にAlban Muller社よりDrieline(登録商標)の商品名で市販の酵母抽出物;及びSederma社よりMatrixil(登録商標)の商品名で市販のパルミトイルペンタペプチド;または
・メタロプロテアーゼ(マトリックスメタロプロテアーゼまたはMMP類)の抑制に作用するもの、例えば、とりわけMMP1,2、3、または9。挙げて良いものは、レチノイド及び誘導体、オリゴペプチド、及びリポペプチド、リポアミノ酸、Coletica社によりCollalift(登録商標)の商品名で市販の麦芽抽出物;ブルーベリーまたはローズマリーの抽出物;リコペン;イソフラボン、その誘導体またはこれを含む植物抽出物、特に大豆の抽出物(Ichimaru Pharcos社によりFlavosterone SB(登録商標)の商品名で市販)、レッドクローバーの抽出物、亜麻の抽出物、葛根の抽出物、またはセージの抽出物;または
・セリンプロテアーゼの抑制に作用するもの、例えば白血球エラスターゼまたはカテプシンGを挙げて良い。挙げて良いものとしては、LSN社よりParelastyl(登録商標)の商品名で市販の豆科種子(Pisum sativum)のペプチド抽出物;及びヘパリノイド及びシュードジペプチド、例えば{2-[アセチル(3-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチル-ブチリルアミノ}酢酸がある。
【0089】
フィラグリン及びケラチンを刺激する活性剤の中では、特にSilab社によりStructurine(登録商標)の商品名で市販されているルピナスの抽出物;Gattefosse社によりGatuline(登録商標)の商品名で市販のブナ、Fagus sylavativaの蕾の抽出物;及びSeporga社によりGP4G(登録商標)の商品名で市販の動物プランクトンSalinaの抽出物を挙げて良い。
【0090】
好ましくは、真皮または表皮の巨大分子の合成を刺激する、且つ/またはその変性を予防する作用剤は、Centella asiaticaの抽出物、アスコルビン酸及びその誘導体、植物から抽出されたペプチド、例えばColetica社によりPhytokine(登録商標)の商品名で市販の大豆水解物、LSN社によりCytovitin(登録商標)の商品名で市販のSaccharomyces cerevisiaeの抽出物;Alban Muller社によりHSP3(登録商標)の商品名で市販の褐藻Padina pavonicaの抽出物;レチノイド及び誘導体;ローズマリーの抽出物;LSN社よりParelastyl(登録商標)の商品名で市販の豆科種子(Pisum sativum)のペプチド抽出物;{2-[アセチル(3-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチル-ブチリルアミノ}酢酸;ルピナスの抽出物;並びにこれらの混合物から選択される。
【0091】
使用して良い、バリア機能の強化及び/または回復のための化合物の好ましい例には、セラミド、前駆体または誘導体、セラミド合成刺激剤、セラミダーゼ抑制剤、スフィンゴミエリナーゼ、スフィンゴミエリナーゼ刺激剤、AGE類、ガンマ-リノレン酸、オメガ-3もしくはオメガ-6不飽和脂肪酸、非鹸化性物質(シアバター、アボカドオイル、コーン油等)、ガラクト脂質、リン脂質、スクアラン、及びスクアレンが含まれる。
【0092】
(繊維芽細胞もしくはケラチノサイトの増殖及び/またはケラチノサイトの分化の刺激剤)
本発明による組成物中において使用して良い繊維芽細胞増殖の刺激剤は、例えば、特に大豆から抽出される植物タンパク質またはポリペプチド(例えばLSN社によりEleseryl SH-VEG 8(登録商標)の名称で、またはSilab社によりRaffermine(登録商標)の商品名で市販の大豆の抽出物);及び植物ホルモン、例えばジベレリン及びサイトカイニンから選択して良い。
【0093】
本発明による組成物中に使用して良いケラチノサイト増殖の刺激剤は、特にレチノイド、例えばレチノール及びレチニルパルミテートを含むそのエステル;アデノシン;フロログルシノール;Gattefosse社により市販のウォルナッツケーキの抽出物;及びSederma社より市販のSolanum tuberosumの抽出物を含む。
【0094】
ケラチノサイト分化の刺激剤は、例えば、カルシウム等の鉱物;ルピナスのペプチド抽出物、例えばSilab社によりStructurine(登録商標)の商品名で市販の製品;ナトリウムβ-シトステリルスルフェート、例えばSeporga社によりPhytocohesine(登録商標)の商品名で市販の製品;及びトウモロコシの水溶性抽出物、例えばSolabia社によりPhytovityl(登録商標)の商品名で市販の製品;Voandzeia substerraneaのペプチド抽出物、例えばLaboratoires Serobiologigues社によりFilladyn LS 9397(登録商標)の商品名で市販の商品;及びリグナン、例えばセコイソラリシレシノールを含む。
【0095】
ケラチノサイトの増殖を促進する化合物の好ましい例としては、カプリロイルサリチル酸、Stimoderm(登録商標)、ヘリクリサム、サムファイア、リコペン、トマト抽出物、Lanablue(登録商標)、Vitoptine(登録商標)、ママク(mamaku)の抽出物、Structurine(登録商標)、Nutelline(登録商標)、及びカオブロミンを挙げて良い。
【0096】
(モイスチャライザー)
「モイスチャライザー」なる語は、以下のいずれかを意味する。
・バリア機能に作用して、特に角質を保湿する化合物、または閉塞化合物を意味する。セラミド、スフィンゴイドベースの化合物、レシチン、グリコスフィンゴ脂質、リン脂質、コレステロール及びその誘導体、フィトステロール(スティグマステロール、β-シトステロール、またはカンペステロール)、必須脂肪酸、1,2-ジアシルグリセロール、4-クロマノン、五員環トリテルペン、例えばウルソル酸、ワセリン、及びラノリンを挙げて良い。
・角質の水分含量を直接増大させる化合物、例えばレアローズ及びその誘導体、ヒアルロン酸及びその誘導体、グリセロール、ペンタンジオール、ナトリウムピドレート、セリン、キシリトール、ナトリウムラクテート、ポリグリセリルアクリレート、エクトイン及びその誘導体、キトサン、オリゴ糖、及び多糖、例えばPentavitinの品番で市販の製品、蜂蜜、アルギネート(特にGrindstedにより市販の製品Sobalg PH 154)、環状カーボネート、N-ラウロイルピロリドンカルボン酸またはその塩、特にNalidoneの品番で市販のナトリウム塩、及びN-α-ベンゾイル-L-アルギニン;
・皮脂腺を活性化する化合物、例えばステロイド誘導体(DHEA、その7-オキシド及び/もしくは17-アルキル誘導体、及びサポゲニンを含む)、メチルジヒドロジャスモネート、及びビタミンD及びその誘導体。
【0097】
これらの化合物は、本発明による組成物の全重量の0.001乃至30%、好ましくは0.01乃至20%を占めて良い。
【0098】
(脱色剤)
本発明による組成物に導入して良い脱色剤または着色防止剤は、以下の化合物:コウジ酸;エラグ酸;アルブチン及びその誘導体、例えば特許出願EP-895779及びEP-524109に記載のもの;ヒドロキノン;アミノフェノール誘導体、例えば特許出願WO99/10318及びWO99/32077に記載のもの。特にN-コレステリルオキシカルボニル-パラ-アミノフェノール及びN-エチルオキシカルボニル-パラ-アミノフェノール;イミノフェノール誘導体、特に特許出願WO99/22707に記載のもの;L-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸またはプロシステイン、並びにその塩及びエステル;カルシウムD-パンテテインスルホネート;アスコルビン酸及びその誘導体、特にアスコルビルグルコシド;及び植物抽出物、特に甘草、マルベリー、タツナミソウ、及びBacopa monieriの抽出物を含むが、このリストは限定的なものではない。
【0099】
(皮膚着色剤)
この作用剤は特に、メラニン生成を促進する作用剤及び人工皮膚着色剤、及びこれらの混合物から選択して良い。
【0100】
本発明によれば、「メラニン生成を促進する作用剤」なる語は特に、
・メラニン生合成基質;
・メラニン生合成刺激剤、または、
−メラニン合成を刺激することにより;且つ/または
−チロシナーゼの活性または発現を刺激することにより、任意に細胞間cAMPのレベルを増大させることにより、またはプロテインキナーゼCを活性化させることにより、且つ/または
−メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの移動を刺激することにより、例えばPAR-2レセプターを刺激することにより、
作用しうるメラニン生成の生物学的活性化剤;
を意味する。
【0101】
メラニン生成の増進のためのこれら作用剤は、組成物中に、該組成物全重量に対して0.1乃至15重量%、好ましくは0.5乃至5重量%の量で存在して良い。
【0102】
挙げて良い「メラニン生合成基質」の例には、
・L-ドーパ(例えばVicia fabaまたはMusa sativa等の植物の抽出物によって提供される);
L-チロシン及びその誘導体、またはL-ジヒドロフェニルアラニン;
が含まれる。
【0103】
本発明による「メラニン生合成を刺激する化合物」としては、特にJ. Invest. Dermatol., 1998, 110, 4, 428に記載のような脂肪族または環状のジオール(例えば5-ノルボルネン-2,2-ジメタノールまたは3,3-ジ-メチル-1,2-ブタンジオール);WO99/37279に記載のような6乃至11の等電点を有するペプチド(例えばペプチドAsp-Gln-Pro-Leu-Leu-Thr-Pであって、式中Pは疎水性アミノ酸、例えばトリプトファンTrpである);WO98/12212に記載のようなヌクレオペプチド複合体(例えばプリン酸(puric acid)-アラニン-ヒスチジン-ジブロモフェニルアラニン-NH2により形成される複合体);アデノシン-レセプターアンタゴニスト(例えば1,3-ジメチル-8-シクロペンチルキサンチンまたは1,3-ジイソプロピル-8-シクロペンチルキサンチン)またはアデノシン-2レセプターアゴニスト(例えば2-[(シクロヘキシルエチル)アミノ]アデノシン)、WO98/15276に記載;特許US5698184に記載のような、金属イオン、例えば銅と、ペプトン、例えば大豆、コラーゲン、またはカゼインから誘導されるタンパク質水解物との複合体を挙げて良い。これらの文献は全て参照のために取り込むこととする。
【0104】
本発明によるチロシナーゼの活性または発現を刺激する化合物の中では、特許出願WO98/00100に記載のようにプロスタグランジン;NO活性化剤/cGMP/プロテインキナーゼC、例えばイソソルバイドジニトレート/cGMP/プロテインキナーゼC(WO98/11882);あるいはまた、Caesapinia sappan(EP820761)、Parameria laevigata、Piper cubeba、Sonchus arvensis、Pluchea indica L.、Massoia aromatica、Alstonia scholaris、Alycia reindwartii B1.、Cinnamomum sintoc、Arctostaphylos、Chenopodium、Poterium、及びGautheria(EP914816)を挙げて良い。これらの文献は全て参照のために取り込むこととする。
【0105】
細胞間cAMPのレベルを増大させることによるチロシナーゼ発現を刺激する化合物の中では、特に、プロオピオメラノコルチペプチド;α-MSH類またはα-MSH類似体(例えばAc-[D]Phe-α-MSH1-13-NH2);またはMC1Rレセプターアゴニスト(US5683981またはWO98/25584)、Biochem. Biophys. Res.Comm., 1987, 145, 719に記載のようなcAMP類似体、ホルスコリン(J. Int. Med. Res., 1990, 18, 8C-17C)、及びキサンチンベース(例えばカフェインまたはテオフィリン)を挙げて良い。
【0106】
プロテインキナーゼCの活性化によりチロシナーゼ発現を刺激する化合物としては、J. Invest. Dermatol., 1995, 105, 5, 687に記載のようなジアシルグリセロール、またはPhotodermatol. Photoimmunol. Photomed., 1997, 13, 9に記載のものなどのプソラレンを挙げて良い。これらの文献は全て参照のために取り込むこととする。
【0107】
最後に、PAR-2レセプターの刺激またはPAR-2アゴニストの刺激によってメラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの移動を刺激する化合物(例えばSer-Leu-Ile-Gly-Art-Leuの組成のペプチド)は、特許出願WO99/04752に記載されており、これは参照のためにここに取り込むこととする。
【0108】
ロレアル社の特許出願WO04/080380に記載されるカテキンポリフェノールも挙げて良い。特に、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、及びエピガロカテキン、これらの塩及びエステルであって、モノマーまたはオリゴマーの形態のもの、さらにこれらを含む植物抽出物(例えば緑茶の抽出物)を挙げて良い。
【0109】
挙げて良い「人工皮膚着色剤」の例には、
・自己日焼け剤、すなわち皮膚、特に顔に適用すると、日光への(自然な日焼け)またはUV灯の下での長期間の暴露から生じうる外観と多少によらず類似した日焼け効果を生む作用剤;
・付加的着色剤、すなわち皮膚に対する特段の親和性を有して、皮膚に持続性の非被覆性の(すなわち皮膚を隠蔽する傾向を有しない)着色を与えることができ、水でも溶媒を用いても除去されず、且つ界面活性剤を含む溶液を用いる摩擦と洗浄とのいずれにも耐えるあらゆる化合物(然るに、こうした持続性着色は、例えばメイクアップ顔料によって与えられる表面的且つ短期的な着色とは区別される);及び
・これらの混合物
が含まれる。
【0110】
特に挙げて良い自己日焼け剤の例には、
・ジヒドロキシアセトン(DHA)、
・エリトルロース、及び
・マンガン及び/または亜鉛の酸化物塩と、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の炭酸水素塩とからなる触媒系の混合物、
が含まれる。
【0111】
自己日焼け剤は、一般的に、モノカルボニルもしくはポリカルボニル化合物、例えばイサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸無水物、グルタルアルデヒド、エリトルロース、ピラゾリン-4,5-ジオンの誘導体(特許出願FR2466492及びWO97/35842に記載のもの)、ジヒドロキシアセトン(DHA)、及び4,4-ジヒドロキシピラゾリン-5-オン誘導体(特許出願EP903342に記載のもの)から選択される。DHAが好ましく使用される。
【0112】
DHAは、遊離及び/またはカプセル化形態で、例えばリポソームなどの脂質小胞中にカプセル化した形態で、特に特許出願WO97/25970に記載のように使用して良い。
【0113】
一般的に、自己日焼け剤は、組成物全重量に対して0.01乃至20重量%の量で、好ましくは0.1乃至10重量%の量で存在する。
【0114】
挙げて良い付加的着色剤の例には、植物抽出物、例えばモロコシ属の全植物もしくは茎、種子、または葉から得られるモロコシ抽出物が含まれる。好ましいモロコシ種は、Sorghum bicolor、Sorghum caudatum、Sorghum nervosum、Sorghum durra、Sorghum vulgare、及びSorghum種のColletotrichum graminicolaとの組み合わせ、例えば特許出願FR02/00251に記載のものから選択される。
【0115】
自己日焼け剤によって生み出される色に変化をもたらす、別の染料を使用して良い。
これらの染料は、合成または天然の直接染料から選択して良い。
【0116】
これらの染料はまた、例えばフルオランタイプの赤または橙色の染料、例えば特許出願FR2840806に記載のものから選択して良い。例えば、以下の染料を挙げて良い。
・テトラブロモフルオレセインまたはエオシン(CTFA名:CI45380またはレッド21として既知);
・フロキシンB(CTFA名:CI45410またはレッド27として既知);
・ジヨードフルオレセイン(CTFA名:CI45425またはオレンジ10として既知);
・ジブロモフルオレセイン(CTFA名:CI45370またはオレンジ5として既知);
・テトラブロモフルオレセインのナトリウム塩(CTFA名:CI45380(Na塩)またはレッド22として既知);
・フロキシンBのナトリウム塩(CTFA名:CI45410(Na塩)またはレッド28として既知);
・ジヨードフルオレセインのナトリウム塩(CTFA名:CI45425(Na塩)またはオレンジ11として既知);
・エリトロシン(CTFA名:CI45430またはアシッドレッド51として既知);
・フロキシン(CTFA名:CI45405またはアシッドレッド98として既知)。
【0117】
これらの染料はまた、アントラキノン、カラメル、カルミン、カーボンブラック、アズレンブルー、メトキサレン、トリオキサレン、グアイアズレン(guajazulene)、チャムズレン(chamuzulene)、ベンガルローズ、cosin 10B、シアノシン、及びダフィニン(daphinin)から選択して良い。
【0118】
これらの染料はまた、インドール誘導体、例えば特許FR2651126に記載のモノヒドロキシインドール(すなわち、4-、5-、6-、または7-ヒドロキシ-インドール)または特許EP-B-0425324に記載のジヒドロキシインドール(すなわち5,6-ジヒドロキシインドール、2-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、3-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、または2,3-ジメチル-5,6-ジヒドロキシインドール)から選択して良い。
【0119】
(抗汚染剤またはフリーラジカルスカベンジャー)
「抗汚染剤」なる語は、オゾン、単環式もしくは多環式の芳香化合物、例えばベンゾピレン及び/または重金属、例えばコバルト、水銀、カドミウム、及び/またはニッケルを捕捉することができるあらゆる化合物を意味する。「フリーラジカルスカベンジャー」なる語は、フリーラジカルを捕捉することのできるあらゆる化合物を意味する。
【0120】
本発明による組成物において使用して良いオゾン捕捉剤としては、特にビタミンC及びアスコルビルグルコシドを含むその誘導体;フェノール及びポリフェノール、特にタンニン、エラグ酸、及びタンニン酸;エピガロカテキン及びこれを含む天然抽出物;オリーブの葉の抽出物;お茶、特に緑茶の抽出物;アントシアニン;ローズマリーの抽出物;フェノール酸、特にクロロゲン酸(chorogenic acid);スチルベン、特にレスベラトロール;硫黄含有アミノ酸誘導体、特にS-カルボキシメチルシステイン;エルゴチオネイン;N-アセチルシステイン;キレート剤、例えばN,N’-ビス(3,4,5-トリ-メトキシベンジル)エチレンジアミンまたはその塩の1つ、金属錯体またはエステル;カロテノイド、例えばクロセチン;並びに様々な出発物質、例えばLaboratoires SerobiologiguesによりCPP LS 2633-12F(登録商標)の商品名で市販の、アルギニン、リボ核酸ヒスチジン、マンニトール、アデノシン三リン酸、ピリドキシン、フェニルアラニン、チロシン、及び加水分解RNAの混合物、Solabia社によりPhytovityl(登録商標)の商品名で市販のトウモロコシの水溶性フラクション、Induchem社によりUnicotrozon C-49(登録商標)の名で市販のレモンの抽出物とカラクサケマンの抽出物との混合物、並びにProvital社によりPronalen Bioprotect(登録商標)の商品名で市販のヤクヨウニンジン、リンゴ、桃、小麦、及び大麦の抽出物の混合物を挙げて良い。
【0121】
本発明による組成物中に使用して良い単環式または多環式の芳香族化合物を捕捉する作用剤としては、特にタンニン、例えばエラグ酸;インドール誘導体、特に3-インドールカルビノール;お茶、特に緑茶の抽出物、ホテイアオイもしくはEichornia crassipesの抽出物;及びSolabia社により商品名Phytovityl(登録商標)により市販のトウモロコシの水溶性フラクションを挙げて良い。
【0122】
最後に、本発明による組成物中に使用して良い重金属捕捉剤としては、特にキレート剤、例えばEDTA、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸の五ナトリウム塩、及びN,N’-ビス(3,4,5-トリ-メトキシベンジル)エチレンジアミンまたは塩の1つ、金属錯体またはそのエステル;フィチン酸;キトサン誘導体;お茶、特に緑茶の抽出物;タンニン、例えばエラグ酸;硫黄含有アミノ酸、例えばシステイン;ホテイアオイ(Eichornia crassipes)の抽出物;及びSolabia社により商品名Phytovityl(登録商標)により市販のトウモロコシの水溶性フラクションを挙げて良い。
【0123】
本発明による組成物中に使用して良いフリーラジカルスカベンジャーは、上述の所定の抗汚染剤の他に、ビタミンE及びその誘導体、例えばトコフェリルアセテート;ビオフラボノイド;補酵素Q10、またはユビキノン;所定の酵素、例えばカタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ及びこれを含む小麦の抽出物、ラクトペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、及びキノンレダクターゼ;グルタチオン;ベンジリデンカンファ;ベンジルシクラノン;置換ナフタレノン;ピドレート;フィタントリオール;ガンマ-オキザノール;グアノシン;リグナン;及びメラトニンを含む。
【0124】
これらのフリーラジカルスカベンジャーの中では、マローまたはメロンから抽出された、あるいは合成された、スーパーオキシドジスムターゼ模倣剤、及び例えばVitreoscilla filiformisのサーマルプランクトン抽出物またはその精製LPSなどの化合物であって、内発性皮膚MnSOD類を誘発することのできるものが挙げられる。
【0125】
(皮膚弛緩剤)
本発明による組成物中に使用して良い皮膚脱緊張または皮膚弛緩剤は、アルベリン及びその塩、マンガングルコネート、ジアゼパン、Lipotec社により市販のヘキサペプチドであるArgireline R、所定のカルボニル第二級及び第三級アミン、アデノシン、及びサポゲニン及び天然抽出物、特にこれを含むWild Yamの抽出物、並びにBoswellia serrataの抽出物を含む。
【0126】
(緊張剤)
「緊張剤」なる語は、皮膚に張力を付与することができ、その効果が一時的に皮膚表面の不規則性、例えば皺及び小じわを消失させる化合物を意味する。
【0127】
本発明による組成物中に使用して良い緊張剤の中では、特に以下のものを挙げて良い。
(1)合成ポリマー、例えばポリウレタンラテックスまたはアクリルシリコーンラテックス、特に特許出願EP-1038519に記載のもの、例えばプロピルチオ(ポリメチルアクリレート)、プロピルチオ(ポリメチルメタクリレート)及びプロピルチオ(ポリメタクリル酸)グラフト化ポリジメチルシロキサン、あるいはまたプロピロチオ(ポリイソブチルメタクリレート)及びプロピルチオ(ポリメタクリル酸)グラフト化ポリジメチルシロキサン。こうしたグラフト化シリコーンポリマーは、特に3M社によりVS 80、VS 70、またはLO21の商品名で市販されている。
(2)天然由来のポリマー、特に(a)ポリホロシド、例えば(i)特に米、トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、エンドウ豆、Triticum aestivum小麦、オート麦等から誘導される澱粉の形態のもの、または(ii)カラギーナン、アルギネート、アガー、ゲラン、セルロースベースのポリマー、及びペクチンの形態のもの、有利にはゲルミクロ粒子の水性分散物として、(b)シェラック樹脂、サンダラックゴム、ダマー樹脂、エレミ樹脂、コーパル樹脂、及びセルロースベースの誘導体、並びにこれらの混合物からなるラテックス、
(3)植物タンパク質及びタンパク質水解物、特にトウモロコシ、ライ麦、Triticum aestivum小麦、蕎麦、ゴマ、スペルト小麦、エンドウ豆、豆、レンティル、大豆、及びルピナス由来のもの、
(4)混合シリケート、特にフィロシリケート、特にラポナイト、
(5)ワックス微粒子、例えばカルナウバワックス、カンデリラワックス、及びアルファルファワックスから選択されるもの、
(6)数平均径0.1乃至100nm、好ましくは3乃至30nmを有する無機フィラーのコロイド粒子、例えばシリカ、シリカ-アルミナ複合物、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、及び二酸化チタンから選択されるもの。
【0128】
(細胞外基質の合成を刺激する作用剤)
特に、WO02/051828に記載されるように、下式(I):
【化1】

[式中、
・ Sは、ピラノース及び/又はフラノース型、及びL及び/又はD系の単糖類又は上限20糖単位の多糖類を表し、該単糖類又は多糖類が必然的に遊離である少なくとも一のヒドロキシル官能基及び/又は任意に保護された1つ以上のアミン官能基を有し、
・ S-CHX結合は、アノマー-C性の結合を表し、
・ Xは:-CO-、-CH(OH)-、-CH(NR)-、-CHR’-、-C(=CHR’)-から選択される基を表し、
・ Rは、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のアルキル、ペルフルオロアルキル又はヒドロフルオロアルキル鎖、シクロアルキル、シクロペルフルオロアルキル又はシクロヒドロフルオロアルキル環で1〜18の炭素原子を有するもの、フェニル又はベンジル基であって、前記鎖、前記環又は前記基は酸素、硫黄、窒素、及びケイ素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子が介在していて良く、任意に-OR’、-SR”、-NR””R’、-COOR”、-CONHR””、-CN、ハロゲン、ペルフルオロアルキル、及びヒドロフルオロアルキルから選択される少なくとも1つの基及び/または少なくとも1つの任意に置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環基を表し、
・ R’、R及びRは同一でも異なっていてもよく、Rに付与されたものと同じ定義を有し、また水素及びヒドロキシル基を表してもよく、
・ R’、R’、R”、R”、R””、R””は同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のアルキル、ヒドロキシル、ペルフルオロアルキル及び/又はヒドロフルオロアルキル基で1〜30の炭素原子を有するものから選択される基を表す]
に相当するC-グリコシドである。
【0129】
光保護剤あるいはUV-A及び/またはUV-Bスクリーン剤は、有機又は無機の化合物の形態であって、後者は任意に被覆によって疎水性とされる。
【0130】
UV-A-活性及び/またはUV-B-活性の光保護剤の例としては、ここにINCI名によって示される以下のものを挙げて良い。
・パラ-アミノ安息香酸誘導体誘導体であって、以下を含むもの:PABA、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、特にISPにより「Escalol 507」の名で市販のエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、BASF社により「Uvinul P25」の名で市販のPEG-25 PABA;
・サリチル酸誘導体であって、以下を含むもの:特にHarrmann and Reimerにより「Heliopan OS」の名で市販のホモサレート、特にScherにより「Dipsal」の名で市販のジプロピレングリコールサリチレート、特にHaarman and Reimerにより「Neo Helipan TS」の名で市販のTEAサリチレート;
・ジベンゾイルメタン誘導体であって、以下を含むもの:特にHoffmann LaRocheにより「Parsol 1789」の商品名で市販のブチルメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタン;
・経皮酸誘導体であって、以下を含むもの:特にHoffmann LaRocheにより「Parsol MCX」の商品名で市販のエチルヘキシルメトキシシンナメート、イソプロピルメトキシシンナメート、Haarman and Reimerにより「Neo Helipan E 1000」の商品名で市販のイソアミルメトキシシンナメート、シノキセート、DEAメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート;
・β,β’-ジフェニルアクリレート誘導体であって、以下を含むもの:特にBASFにより「Uvinul N539」の商品名で市販のオクトクリレン、特にBASFにより「Uvinul N35」の商品名で市販のエトクリレン;
・ベンゾフェノン誘導体であって、以下を含むもの:特にBASFにより「Uvinul 400」の商品名で市販のベンゾフェノン-1、特にBASFにより「Uvinul D50」の商品名で市販のベンゾフェノン-2、特にBASFにより「Uvinul M40」の商品名で市販のベンゾフェノン-3、特にBASFにより「Uvinul MS40」の商品名で市販のベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、特にNorquayにより「Helisorb 11」の商品名で市販のベンゾフェノン-6、特にAmerican Cyanamidにより「Spectra-Sorb UV-24」の商品名で市販のベンゾフェノン-8、特にBASFにより「Uvinul DS-49」の商品名で市販のベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル=2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート;
・ベンジリデンカンファ誘導体であって、以下を含むもの:3-ベンジリデンカンファ、特にMerckにより「Eusolex 6300」の名で市販の4-メチルベンジリデンカンファ、ベンジリデンカンファスルホン酸、カンファベンズアルコニウムメトスルフェート、テレフタリリデンジカンファスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファ;
・ベンズイミダゾール誘導体であって、以下を含むもの:特にMerckにより「Eusolex 232」の商品名で市販のフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、特にHaarman and Reimerにより「Neo Helipan AP」の商品名で市販の二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート;
・トリアジン誘導体であって、以下を含むもの:特にCiba Specialty Chemicalsにより「Tinosorb S」の商品名で市販のアニソトリアジン、特にBASFにより「Uvinul T150」の商品名で市販のエチルヘキシルトリアゾン、特にSigma 3Vにより「Uvasorb HEB」の商品名で市販のジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、及び2,4,6-トリス(ジイソブチル=4’-アミノベンズアルマロネート)-s-トリアジン;
・ベンゾトリアゾール誘導体であって、以下を含むもの:Rhodia Chimieにより「Silatrizole」の名で市販のドロメトリゾールトリシロキサン、特にFairmount Chemicalにより「MIXXIM BB/100」の商品名で市販のメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、またはCiba Specialty Chemicalsによる商品名「Tinosorb M」の水性分散物としての微粉化形態;
・アントラニル酸誘導体であって、Haarman and Reimerにより「Neo Helipan MA」の商品名で市販のメンチルアントラニレートを含むもの;
・イミダゾリン誘導体であって、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネートを含むもの;
・ベンザルマロネート誘導体であって、Hoffmann LaRocheにより「Parsol SLX」の商品名で市販の、ベンザルマロネート官能基を有するポリオルガノシロキサンを含むもの;
4,4-ジアリールブタジエン誘導体であって、1,1-ジ-カルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエンを含むもの;並びに
・これらの混合物。
【0131】
とりわけ好ましい有機光保護剤は、以下の化合物:エチルヘキシルサリチレート、エチルヘキシルメトキシシンナメート、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾール-スルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、4-メチルベンジリデンカンファ、テレフタリリデンジカンファスルホン酸、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、2,4,6-トリス(ジイソブチル=4’-アミノベンズアルマロネート)-s-トリアジン、アニソトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、及びこれらの混合物から選択される。
【0132】
無機光保護剤は、顔料、さらにはナノ顔料(主要粒子の平均径:一般的に5nm乃至100nm、好ましくは10nm乃至50nm)である、被覆または未被覆の金属酸化物、例えば酸化チタン(アモルファス、またはルチル及び/またはアナターゼ形の結晶)の、酸化鉄の、酸化亜鉛の、酸化ジルコニウムの、酸化セリウムのナノ顔料から選択され、これらは全てそれ自体よく知られたUV光保護剤である。さらに、標準的被覆剤は、アルミナ及び/またはアルミニウムステアレートである。こうした被覆または未被覆の金属酸化物ナノ顔料は、特に特許出願EP518772及びEP518773に開示されている。
【0133】
光保護剤は、一般的に本発明による組成物中に、該組成物全重量に対して0.1乃至20重量%、好ましくは該組成物全重量に対して0.2乃至15重量%の割合で存在する。
【0134】
本発明による皮膚または唇のケア及び/またはメイクアップ用組成物中にはまた、皮膚または唇の外観、並びに/または皮膚の色合いを増進する視覚的効果を有するメイクアップ剤を使用することができる。
【0135】
8-ヘキサデケン-1,16-ジカルボン酸の量は、組成物全重量に対して0.00001乃至5重量%の範囲であってよく、本発明の使用に適した量は、特に該組成物全重量に対して0.0001乃至0.005重量%、または0.0001乃至0.0005重量%である。
【0136】
特に、皮膚の外観及び/または顔色を増進する視覚効果を有するこうしたメイクアップ剤は、ソフトフォーカスフィラー類、蛍光剤、及び光学増白剤、並びにこれらの混合物から選択される。
【0137】
「ソフトフォーカス」フィラーなる語は、顔色に透明感及びぼかし効果をさらに与えるフィラーを意味し、該ソフトフォーカスフィラーは、15ミクロン以下の平均粒径を有する。これらの粒子は、特に球形または非球形のあらゆる形状であってよい。これらのフィラーはより好ましくは非球形である。
【0138】
前記ソフトフォーカスフィラーは、シリカ及びシリカ粉末、特にアルミナ粉末、ポリメチルメタクリレート(PMMA)タイプの粉末、タルク、シリカ/TiO2またはシリカ/酸化亜鉛複合物、ポリエチレン粉末、澱粉粉末、ポリアミン粉末、スチレン/アクリルコポリマー粉末、及びシリコーンエラストマー、並びにこれらの混合物から選択してよい。
【0139】
特に、3ミクロン以下の数平均径を有するタルク、例えば1.8ミクロンの数平均径を有するタルク、特にNippon Talc社によりTalc P3(登録商標)の商品名で市販の製品、Nylon(登録商標) 12粉末、特にAtochem社によりOrgasol 2002 Extra D Nat Cos(登録商標)の名で市販の商品、鉱物ワックス(INCI名:水和シリカ(及び)パラフィン)で1乃至2%表面処理したシリカ粒子、例えばDegussa社により市販の製品、アモルファスシリカミクロスフェア、例えばSunsphereの名で市販の製品、例えばAsahi Glass社製の品番H-53、並びにシリカマイクロビーズ、例えばMiyoshi社によりSB-700(登録商標)の名で市販のものまたはSB-150(登録商標)の名で市販のものを挙げてよいが、このリストは限定的なものではない。
【0140】
ソフトフォーカスフィラーは、ソフトフォーカス効果を有する前記化粧品組成物中に、該組成物全重量に対して0.1乃至20重量%の範囲、特に1乃至12重量%の範囲、特に5乃至10重量%、例えば約8重量%の含量で存在してよい。
【0141】
「蛍光剤」なる語は、紫外線及び/または可視光線の作用下で、その自然に反射する色と同色の下で吸収した部分の光を可視領域で再放出する物質を意味する。かくして自然に反射される色が、再放出された色によって増幅され、この上なく鮮明に見える。
【0142】
挙げてよい例には、有色アミノトリアジン/ホルムアルデヒド/スルホンアミド共凝縮物及び/または金属化ポリエステルフレーク及び/またはこれらの混合物由来の、有色ポリアミド及び/またはホルムアルデヒド/ベンゾグアナミン及び/またはメラニン/ホルムアルデヒド/スルホンアミド樹脂が含まれる。これらの蛍光顔料はまた、蛍光顔料の水性分散物の形態で存在してもよい。
【0143】
Swada社より「Fiesta Astral Pink FEX-1」の商品名で市販の3-4ミクロンの平均径を有するピンク色の蛍光アミノトリアジン/ホルムアルデヒド/スルホンアミド共凝縮物、及び「Fiesta Comet Blue FTX-60」の商品名で市販の3-4.5ミクロンの平均径を有する青色の蛍光アミノトリジン/ホルムアルデヒド/スルホンアミド共凝集物、あるいはまたUK Seung Chemical社により「FB-205 Yellow」の商品名で市販のホルムアルデヒド/尿素樹脂で被覆された黄色ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂及び「FB-400 Orange Red」の商品名で市販のホルムアルデヒド/尿素樹脂で被覆された赤色ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂、並びにSterling Industrial Colors社により「Flare 911 Orange 4」の商品名で市販の橙色ポリアミド樹脂もまた挙げてよい。
【0144】
前記蛍光物質は、好ましくは組成物全重量に対して0.1乃至20重量%、好ましくは0.1乃至15重量%、さらに好ましくは0.5乃至3重量%の範囲の含量で存在する。
【0145】
有機蛍光物質が白色である場合には、これらは光学増白剤としても知られる。
【0146】
光学増白剤は、これを含む化粧品組成物を皮膚に適用した際の輝きを特定し、且つ陰影を回復させる効果を有する。
【0147】
挙げてよい光学増白剤の中には、特にスチルベン誘導体、とりわけポリスチレンスチルベン及びトリアジンスチルベン、クマリン誘導体、とりわけヒドロキシクマリン及びアミノクマリン、オキサゾール、ベンゾキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、及びピラゾリン誘導体、ピレン誘導体、及びポルフィリン誘導体、及び/またはこれらの混合物がある。
【0148】
こうした化合物は、例えばCiba Geigy社より「Tinopal SOP(登録商標)」及び「Uvitex OB(登録商標)」の商品名で市販されている。
【0149】
好ましく使用される光学増白剤は、ナトリウム=4,4’-ビス[(4,6-ジアニリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]-スチルベン-2,2’-ジスルホネート、2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)及び二ナトリウム=4,4’-ジスチリルビフェニルスルホネート、並びにこれらの混合物である。
【0150】
本発明の別の主題は、再構築表皮及び/または再構築皮膚、あるいは存続中の毛のうまたは角化表皮のモデルの調製方法における、前記再構築表皮及び/または再構築皮膚の角質層の密着、適切な形成、及び強度を増進させる剤としての、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用である。角質層の形成の工程は、表皮再構築方法における複雑な工程である。したがって、こうした方法において角質層の優れた形成及び密着を増進することのできる化合物を使用することは有利である。
【0151】
これらの再構築表皮及び/または再構築皮膚は、化粧品または皮膚科用活性剤のスクリーニング及び/または評価するためのモデルとして使用しても、または損傷した皮膚を持つ個人(重度の火傷;皮膚切除;皮膚を冒す遺伝病、例えば球頭皮膚剥離(bulbous epidermolysis)、色素性乾皮症、ラメラ魚燐癬、及びX染色体に関連する魚燐癬を患う患者)の治療を企図してもよい。
【0152】
再構築皮膚及び/または再構築皮膚の調製方法は、通常、
a)支持体または真皮等価物を準備する工程;及び
b)前記支持体にヒトのケラチノサイトの集団を接種する工程;
を含む。
【0153】
前記工程の一方及び/または他方において、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を前記細胞の培地に加えてもよい。培地中に存在する8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の量は、0.001乃至20μg/ml、好ましくは0.01乃至5μg/ml、さらにいっそう好ましくは0.1乃至1μg/mlの範囲であってよい。
【0154】
特に、前記支持体または真皮等価物は、コラーゲン/繊維芽細胞格子、予め脱表皮処理した真皮、及び人口膜から選択される。真皮等価物の調製の例としては、特許出願(EP-A-285471、EP-A-285474、EP-A-789074、EP-A-502172、EP-A-418035、WO-A-91/16010、EP-A-197090、EP-A-20753、FR-A-2665175、FR-A-2689904)に開示されるプロトコルまたは、好ましくはAsselineau et al., 1987(Models in dermato., vol. III, Ed. Lowe & Maibach, 1-7)に開示されるプロトコルを挙げてよい。
【0155】
挙げてよい表皮及び/または皮膚等価物を調製するためのプロトコルの例は、EP285471、EP285474、EP418035、WO-A-90/02796、WO-A-91/16010、EP197090、EP20753、FR2665175、及びFR2689904の特許または特許出願に開示のものである。
【0156】
非常に一般的な表現においては、再構築皮膚のモデルは、通常は真皮等価物である支持体上に付着させたヒトのケラチノサイトであって、これが分化のプログラムを開始して表皮等価物の生成をもたらすような条件下で培養したものからなる。
【0157】
ランゲルハンス細胞(EP0789074)またはメラノサイト等の別の細胞タイプもまた、天然の組織に類似した表皮及び/または皮膚を再構築するために導入してよい。
【0158】
本発明はまた、本発明はまた、皮膚または唇用メイクアップ組成物であって、生理学的に許容される媒質中に、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を該組成物の全重量に対して0.00001重量%以上3重量%未満の範囲の量で含み、着色クリーム、ファンデーション、リップスティック、リップグロス、またはリップペンシルであることを特徴とする組成物にも関する。
【0159】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の量は、好ましくは0.0001重量%以上であり、本発明の使用に適した量は特に、該組成物全重量に対して0.0001乃至0.005重量%または0.0001乃至0.0005重量%である。
【0160】
本発明はまた、生理学的に許容される媒質中に、(a)少なくとも1つの8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と(b)少なくとも一つの皮膚着色剤を含む化粧品組成物に関する。
【0161】
とりわけ、皮膚着色剤は、DHA及びポリフェノール類から選択される。
【0162】
本発明はまた、生理学的に許容される媒質中に、(a)少なくとも1つの8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と(b)角質層の均一性を増進する別の一作用剤、例えば尿素を含む組成物に関する。
【0163】
該組成物は、任意にゲル化した水性、水−アルコール性、または油性の溶液、水性相中の脂肪相の分散(O/W)またはその逆(W/O)によって得られる乳剤タイプの液体もしくは半液体のコンシステンシーのエマルション、三相エマルション(W/O/WまたはO/W/O)、クリームもしくはゲルタイプの柔らかな半固体もしくは固体コンシステンシーの懸濁物またはエマルション、液体、ペースト状もしくは固体の無水生成物、あるいはまたミクロエマルション、ミクロカプセル、ミクロ粒子、またはイオン性タイプ(リポソームまたはオレオソーム)及び/または非イオン性タイプ(ニオソーム)の小胞分散物、並びに/またはナノスフェアの分散物の形態であって良い。
【0164】
ムース形態またはスプレーもしくはエアロゾル形態の組成物(この場合は加圧推進剤を含む)もまた想定される。
【0165】
然るに該組成物は、ローション、セラム、乳剤、O/WもしくはW/Oクリーム、ゲル、軟膏、ポマード、粉末、バーム、パッチ、含浸パッチ、石けん、バー、またはムースの形態であってよい。これはまた、リップスティック、リップペースト、またはリップグロス、パウダー、固体もしくは半固体のファンデーションの形態であってもよい。
【0166】
有利には、こうした皮膚または唇用メイクアップ組成物はまた、フィラー、染料、親水性または親油性の化粧品活性剤、増粘剤、乳化剤、親水性または親油性ゲル化剤、界面活性剤、モイスチャライザー、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、中和剤、保存料、酸化防止剤、UVスクリーン剤、殺菌剤、微量元素、臭気吸収剤、及びpH調整剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一つの化粧品アジュバントを含んで良い。
【0167】
とりわけ、前記化粧品活性剤は、特に真皮または表皮の巨大分子の合成を刺激する、且つ/またはその変性を予防する作用剤、繊維芽細胞またはケラチノサイトの増殖及び/またはケラチノサイトの分化を刺激する作用剤、モイスチャライザー、脱色剤、皮膚着色剤、抗汚染剤、またはフリーラジカルスカベンジャー、皮膚弛緩剤、及び緊張剤、並びにこれらの混合物から選択して良い。こうした化合物の例は、前述の通りである。
【0168】
これはまた皮膚及び/または唇を引き立てる視覚的効果、とりわけ顔色増進視覚効果を有する少なくとも一つのメイクアップ剤を含んでよい。
【0169】
特に、皮膚の外観及び/または色合いを増進する視覚効果を有するこのメイクアップ剤は、ソフトフォーカスフィラー類、蛍光剤、及び光学増白剤、並びにこれらの混合物から選択される。こうした化合物の例は、前述の通りである。
【0170】
本発明の別の主題は、生理学的に許容される媒質中に、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸から選択される少なくとも1つの別の酸とを、0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で含むことを特徴とする化粧品または皮膚科用組成物である。
【0171】
特に、該組成物は、グリコール酸、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸、及びアスコルビン酸を、1:0.01:1の比で含む。
【0172】
好ましくは、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸は、前記組成物中に該組成物全重量に対して0.0001乃至0.1重量%の範囲の量で存在する。
【0173】
この組成物は特に、角質層の形成の障害に対する予防効果、または修復効果(逐次的または同時的なスクラブ及び修復の二重効果)を有するスクラブ方法において使用してよい。
【0174】
特段の変形においては、本発明は少なくとも1つのスクラブ剤を含む第一組成物と、第二組成物として、少なくともこの第二組成物の全重量に対して0.00001重量%乃至0.005重量%の範囲の量で8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を含む第二組成物とを含むキットに関する。
【0175】
特に、前記スクラブ剤は、角質溶解剤または落屑剤から選択され、前記角質溶解剤はα-ヒドロキシ酸類;β-ヒドロキシ酸類;α-ケト酸類;β-ケト酸類;レチノイド類から選択され、且つ落屑剤はβ-ヒドロキシ酸類;α-ヒドロキシ酸類;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース類;経皮酸;Saphora japonicaの抽出物;レスベラトロール;及び所定のジャスモン酸誘導体;無機塩キレート剤類:EDTA;N-アシル-N,N’,N’-エチレン-ジアミン三酢酸;アミノスルホン化合物類、特に(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;グリシンタイプのα-アミノ酸類の誘導体(EP-0852949に記載のものであり、BASF社によりTrilon Mの商品名で市販のナトリウムメチルグリシンジアセテート);蜂蜜;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトース及びN-アセチルグルコサミンから選択される。
【0176】
前記第二組成物は、グリコール酸、乳酸、及びアスコルビン酸から選択される化合物を更に含み、とりわけ8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される別の酸とが、組成物中に0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で存在するようなものである。
【0177】
最後に、この第二組成物は尿素を更に含んでよく、その濃度は0.1乃至10重量%であってよい。
【0178】
本発明の方法においては、
(i)少なくとも一つの落屑剤を、スクラブ及び/または落屑作用を誘発する濃度及び時間で適用する工程、
(ii)少なくとも8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸あるいはこれを前述の通り角質層の密着及び/または形成を改善するために有効な濃度で含む組成物を適用する工程、
を行うことができる。
【0179】
工程(i)及び(ii)は同時または時差を設けて行ってよく、この二番目の場合には順序を逆にする、且つ/または経時的に反復してもよい。
【0180】
工程(i)の落屑剤は、以上に定義される通りである。これはとりわけ、サリチル酸及びその誘導体、例えばWO04/073605に記載の5-n-オクタノイルサリチル酸、スルホン酸、カルシウム−キレート剤、α-ヒドロキシ酸類、例えばグリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、またはマンデル酸;アスコルビン酸及びその誘導体、例えばアスコルビルグルコシド及びマグネシウムアスコルビルホスフェート;ニコチン酸及びニコチンアミド;尿素;及び(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES)、β-ヒドロキシ酸類、例えばサリチル酸及びその誘導体、レチノイド類、例えばレチノール及びそのエステル、レチナール、レチノイン酸及びその誘導体であってFR-A-2570377、EP-A-199636、EP-A-325540、及びEP-A-402072に開示のもの、栗の抽出物、バーバリイチジクの抽出物、特にSilabにより市販のもの;システインまたはシステイン前駆体などの減衰化合物から選択してよい。
【0181】
本発明はまた、以上に定義されるケアまたはメイクアップ用組成物を皮膚、頭皮、または唇に適用する工程を含む、皮膚、頭皮、または唇の表面外観及び/または快適性の改善のための美容方法に関する。
【0182】
とりわけ、本発明による美容方法は、顔色の均一性の改善及び/または皮膚または唇上での組成物の保持力の増進を企図する。
【0183】
本発明による組成物は、均一な色合いを得るために唇または顔全体に毎日適用してよい。
【0184】
本発明は、以下の非限定的な実施例により詳説される。
【実施例】
【0185】
(実施例1:角質層の形成に対する効果)
a)濃度の選択
各試験製品を媒質中の正常なヒトの表皮ケラチノサイト(NHEK)K015に様々な濃度で適用し、前記細胞にとっての非刺激性及び非細胞毒性の最高用量を評定する。この評定は、細胞カーペットと、細胞生存率を表す(Mosman T, Immunol. Methods, 1983, 65: 55-63)MMT[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]の減少との目視により行う。
非細胞毒性有効用量は、かくして得られる。
【0186】
その後これらの活性剤を、角質層の適正な形成を増進するその能力について、こうして定義された非刺激性及び非細胞毒性用量で試験した。
【0187】
b)ミニチップによる分化発現の分析
角質層の形成に対する製品の活性を研究するために、角質細胞への転換の際にケラチノサイト中で制御されることが既知である遺伝子の発現に対する該製品の効果を分析する。
【0188】
該分析は、当業者にはその再表皮形成及び/または角質層の密着との関係が既知であるcDNA膜配列、とりわけLEPタンパク質(後期表皮タンパク質)、コルネオデスモシン、及び表皮成長因子HBEGF(ヒトのヘパリン結合DGF様成長因子)等からなる専用ミニチップを使用して行われる。
【0189】
使用される細胞モデルは、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を含む。ケラチノサイトは、37℃及び5%CO2で25μg/mlの下垂体抽出物及び0.25ng/mlのEGFを含むSFM媒質中で培養される。前記ケラチノサイトを25cm2のディッシュ中で接種し、全SFM媒質中で予備培養し、その後はEGFを含まず且つ下垂体抽出物を含まない、SFM媒質中におく。
【0190】
試験製品は、a)に定義される非刺激性及び非細胞毒性の濃度で適用される。
コントロールは前記製品を含まない、同様の条件に該当する。
【0191】
その後前記細胞をPBSですすぎ、溶解させ、メッセンジャーRNAを抽出し、Chemagenにより市販のキット、Chemagic mRNA Direct kitを使用して精製する。
【0192】
各培地のRNAは、膜上に固定したcDNA類(プローブ)及び33P-標識デオキシヌクレオチド三燐酸塩に該当するプライマーのプールを用いて、その後逆転写させる。
【0193】
各培地について、マルチcDNA「ターゲット」標識配列をこうして準備した。これらのターゲットを最適な条件下にて過剰の「プローブ」cDNAを膜に固定してハイブリダイズした。洗浄の後、標識したターゲットの相対量をオートラジオグラフィーにより、またPhosphormagerでの直接計数により明らかにした。ImageQuant TLソフトウェア(Image Analysis, Amersham Biosciences)を使用して膜分析を行い、記録したデータをその後Excelで処理した。処理後の様々な遺伝子の分化発現を、対応するコントロールと比較してこのように測定する。
【0194】
以下の表に示される結果は、角質層の形成に関与することが既知である遺伝子の発現に対する試験製品の刺激活性を示す倍数因子によって表される。
【0195】
【表1】

【0196】
結果は、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が低濃度(1μg/ml)にて、LEP16、コルネオデスモシン、及びHBEGFに対する遺伝子の発現を刺激可能であることを示す。
【0197】
これらの効果は、100μg/mlの低濃度での乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸についても得られる。
【0198】
これらの転写結果は、定量的RT-PCRによって確認された。
【0199】
c)定量的RT-PCR
この研究に使用されたプライマー(マーカー)の対により、以下の特定フラグメントの増幅がなされる:
・ LEP16(No. GenBank NM 032563の下で);
・ HBEGF(ヒトのヘパリン結合EGF様成長因子)(No. Genbank M60278の下で);
・ CDSN(コルネオデスモシン前駆体)(No. GenBank L20815の下で);
・ アクチン(ヒトのβアクチン)(No. GenBank X00351の下で、コントロールとして使用)。
【0200】
b)に記載したcDNA配列研究由来の、残った全RNAを用いる。潜在的汚染物質DNAトレースをDNAse処理及びDNAseの不活化によって除去する。次に逆転写反応を行ない、次いで合成されたcDNAの蛍光による定量化を行う。
【0201】
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)反応を、「Light Cycler」システム(Roche Molecular Systems Inc.)を用いる定量的PCRにより、製造者により推奨される操作にしたがって行った。Q-PCRの第一列をβ-アクチンマーカー(コントロール)に行い、比較しようとする調製物の均一性を確認する。次いで、β-アクチン配列に対して、及び研究しようとするマーカーに対して特異的なプライマーの対を使用し、3重にQ-PCRを行う。増幅DNAにおける蛍光分析を、PCRサイクルの間に連続して計測する。相対発現(RE)の平均値は、次式(1/2サイクル数)×106に従う二つの独立のPCRサイクルの値から算出される任意の単位(AU)で表される。
【0202】
3つのマーカー、LEP16、HBEGF、及びCdsnの分化発現についての結果を、β-アクチンについてのものと比較する。
【0203】
b)に記載のcDNA配列法により明視化されたLEP16、HBEGF、及びCdsnマーカーの相対発現における増大は、試験製品についてのRT-PCRによって確認される。
【0204】
これらの結果は全体として、低濃度での8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が角質層の形成及び密着を増進及び/または回復可能であることを示す。
【0205】
皮膚または唇のケア及び/またはメイクアップ用組成物中において、整髪用組成物中において、及び角質層の異常形成に関連する皮膚病理の治療のための皮膚科用組成物の調製のために、前記化合物を使用することが有利である。
【0206】
さらにまた、これを、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸と組み合わせて所望の効果(角質層の成熟または再角質形成)を最適化及び/または相補することはいっそう有利である。
【0207】
(実施例2:処方)
(再生ケアクリーム)
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.001%
グリコール酸 0.01%
アスコルビン酸 0.1%
メチルパラベン 0.1%
プロピルパラベン 0.1%
ラノリン 5%
流動ワセリン 4%
ごま油 4%
セチルアルコール 5%
グリセリルモノステアレート 2%
トリエタノールアミン 1%
プロピレングリコール 5%
カーボマー940 0.1%
水 100%とする残量
【0208】
(ファンデーション)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.001%
・ミクロクリスタリンワックス 3%
・イソステアリルネオペンタノエート 15%
・イソノニルイソノナノエート 10%
・カルナウバワックス 2%
・ポリジメチルシロキサン(粘度10cSt) 25%
・酸化亜鉛 2%
・酸化チタン 12.5%
・鉄黄 3.5%
・鉄黒 0.5%
・保存料 0.2%
・カオリン 3%
・シリカミクロスフェア 8.11%
・セリサイト(Whittaker製のBC281) 10%
・ナノチタン 2%
【0209】
こうした組成物は、注型無水コンパクトの形態である。
【0210】
(紅斑ケアクリーム)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.004%
・ グリセリルステアレート 2.00%
・ ポリソルベート60 1.00%
・ ステアリン酸 1.40%
・ グリシルレチン酸 2.00%
・ トリエタノールアミン 0.70%
・ カーボマー 0.40%
・ Aloe veraの抽出物 2.00%
・ サンフラワー油 10.00%
・ 酸化防止剤 0.05%
・ 香料 0.50%
・ 保存料 0.30%
・ 水 100%とする残量
【0211】
(二重の効果:スクラブ効果及びスクラブ後の修復効果を有する組成物)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.01%
・ グリコール酸 1%
・ マンデル酸 1%
・ 水 20%
・ ポリエチレングリコール 100%とする残量
【0212】
(リップスティック)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.003%
・ ポリエチレンワックス(MW500) 12.00%
・ 流動ラノリン 15.00%
・ フェニルトリメチコーン(Dow Corning製のDC556) 63.34%
・ 顔料 8.66%
【0213】
(ツヤ及び髪の固定、毛根接合部での頭皮の外観の改善のためのヘアローション)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.1%
・ 2,4-DPO 1.5%
・ バリン 0.01%
・ アルギニン 0.01%
・ エタノール 40%
・ プロピレングリコール 5%
・ 水 100%とする残量
【0214】
(髪の成長及び毛根接合部での頭皮の外観の増進のためのヘアローション)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.01%
・ トリペプチドKPV 0.005%
・ アルギニン 0.01%
・ タウリン 0.01%
・ エタノール 40%
・ プロピレングリコール 6%
・ 水 100%とする残量
【0215】
(爪の周辺の外観を改善するためのローション)
・8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸 0.5%
・ アルギニン 0.01%
・ セラミド-R 0.001%
・ システインB6 0.0001%
・ タウリン 0.001%
・ プロピレングリコール 10%
・ エタノール 20%
・ 水 100%とする残量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中におけるまたは組成物の調製のための、角質層の密着及び/または構成の促進剤としての8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用であって、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の利用可能な量が、組成物全重量に対して8重量%以下であることを特徴とする使用。
【請求項2】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、組成物全重量に対して0.00001重量%以上0.005重量%未満の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、顔色の均一性及び/または透明感を増進するためのものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、皮膚または唇に適用されたメイクアップ組成物の均一性及び/または保持力を向上させるためのものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、皮膚もしくは唇の及び毛根もしくは爪の周辺の、再上皮化及び/または再生の促進のためのものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
前記8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、低温、UV光線、及び機械的摩擦から選択される少なくとも1つの条件によって損なわれる、皮膚、頭皮、爪、または唇の快適性の改善のためのものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項7】
日焼けの色の一様化のための組成物中における、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用。
【請求項8】
組成物中に存在する化粧品または皮膚科用の活性剤の作用により誘発される角質層の密着の障害を回避するため及び/またはその回復を促進するための作用剤としての、前記組成物中における8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の非治療的使用。
【請求項9】
前記化粧品または皮膚科用の活性剤が、角質溶解性もしくは落屑性剤、抗脂漏性及び/または抗ざ瘡性剤、及びコメド溶解性剤、並びにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
角質層の異常成熟を伴う皮膚病、例えば角質増殖症、錯角化症、白色角化症、及び皮膚の栄養障害の治療のための皮膚科用組成物の調製のための、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用。
【請求項11】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、組成物全重量に対して0.00001重量%以上0.005重量%未満の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、組成物中において、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸と組み合わせられることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸とが、組成物中に0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で存在することを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記組成物が、尿素を更に含むことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用。
【請求項15】
前記組成物が、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸、アスコルビン酸、及び尿素の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
日光への暴露の前または後の8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の皮膚への適用を含む、日焼けの色の一様化のための美容方法。
【請求項17】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の量が、0.00001%重量%以上0.005重量%未満の範囲であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのスクラブ剤を含む第一組成物と、第二組成物として、少なくともこの第二組成物の全重量に対して0.00001重量%乃至0.005重量%の範囲の量で8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を含む第二組成物とを含むキット。
【請求項19】
前記スクラブ剤が、角質溶解性剤及び落屑剤から選択されることを特徴とする、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記角質溶解剤がα-ヒドロキシ酸類;β-ヒドロキシ酸類;α-ケト酸類;β-ケト酸類;レチノイド類から選択され、且つ落屑剤がβ-ヒドロキシ酸類;α-ヒドロキシ酸類;尿素;ゲンチシン酸;オリゴフコース類;経皮酸;Saphora japonicaの抽出物;レスベラトロール;及び所定のジャスモン酸誘導体;無機塩キレート剤類:EDTA;N-アシル-N,N’,N’-エチレン-ジアミン三酢酸;アミノスルホン化合物類、特に(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタン)スルホン酸(HEPES);2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)誘導体;グリシンタイプのα-アミノ酸類の誘導体(EP-0852949に記載のものであり、BASF社によりTrilon Mの商品名で市販のナトリウムメチルグリシンジアセテート);蜂蜜;糖誘導体、例えばO-オクタノイル-6-D-マルトース及びN-アセチルグルコサミンから選択されることを特徴とする、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記第二組成物が、グリコール酸、乳酸、及びアスコルビン酸から選択される化合物を更に含むことを特徴とする、請求項18または19に記載のキット。
【請求項22】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と、乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される別の酸とが、組成物中において0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で存在することを特徴とする、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
前記第二組成物が、尿素を更に含むことを特徴とする、請求項18乃至21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
スクラビング操作の後に8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の皮膚への適用を含む、角質層の密着の再生及び改善のための美容方法。
【請求項25】
皮膚または唇用メイクアップ組成物であって、生理学的に許容される媒質中に、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸を該組成物の全重量に対して0.00001重量%以上3重量%未満の範囲の量で含み、着色クリーム、ファンデーション、リップスティック、リップグロス、またはリップペンシルであることを特徴とする組成物。
【請求項26】
ソフトフォーカスフィラー類、蛍光剤、及び光学増白剤、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つのメイクアップ剤を更に含むことを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
生理学的に許容される媒質中に、(a)少なくとも1つの8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸と(b)乳酸、グリコール酸、及びアスコルビン酸、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの別の酸とを、同時のまたは別個の使用のため、あるいは長期に亘り交互に使用するために、0.005:1乃至0.05:1、好ましくは0.01:1の量比で含むことを特徴とする化粧品または皮膚科用組成物。
【請求項28】
グリコール酸、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸、及びアスコルビン酸を、1:0.01:1の比で含むことを特徴とする、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸が、組成物全重量に対して0.00001重量%以上0.005重量%未満の量で存在することを特徴とする、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
生理学的媒質中に、(a)少なくとも1つの8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸及び(b)少なくとも1つの皮膚着色剤を含む、化粧品組成物。
【請求項31】
前記皮膚着色剤が、DHA及びポリフェノール類から選択されることを特徴とする、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
生理学的に許容される媒質中に、(a)少なくとも1つの8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸及び(b)角質層の密着を促進するための1つの別の作用剤を含む組成物。
【請求項33】
前記作用剤が尿素であることを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
皮膚、頭皮、または唇の表面外観及び/または快適性の改善のための美容方法であって、請求項25乃至29または32乃至33のいずれか一項に記載の組成物が皮膚、頭皮、または唇に適用されることを特徴とする方法。
【請求項35】
顔色の均一性の改善及び/または皮膚または唇上での組成物の保持力の増進のための美容方法であって、請求項25乃至33のいずれか一項に記載の組成物が、皮膚、頭皮、または唇に適用されることを特徴とする方法。
【請求項36】
再構築表皮及び/または再構築皮膚及び/または存続中の毛のうの調製方法における、前記再構築表皮及び/または再構築皮膚及び/または存続中の毛のうの角質層の密着及び成熟の増進剤としての、8-ヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸の使用。

【公開番号】特開2007−51145(P2007−51145A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−222026(P2006−222026)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】