説明

試験装置

【課題】温度制御性の高い試験装置を提供する。
【解決手段】試料載置ステージ13に対向して配置されるプローブカード17と、プローブカード17の開口部17hの下側に配置される複数のプローブ針18と、複数のプローブ針18の間の領域に配置される熱電対31と、プローブカード17の開口部17hの下に熱電対31の先端に接触して取り付けられる温度測定物32と、プローブカード17の開口部17hの上方に配置されるランプ42を有する発光器40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置に関し、特に、試験対象にプローブを当てて各種の試験を行う試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体ウエーハに繰り返して複数形成され、その後にチップ状に分割され、さらにモールド等のパッケージに覆われて使用される。ところで、半導体装置のコンタクト試験、リーク試験等の各種の試験は、分割前のウエーハ状態でも行われる。
【0003】
ウエーハ状態にある半導体装置を構成する半導体素子、半導体集積回路は、例えば、プローブカードを備えた半導体装置用の試験装置により試験される。プローブカードは、半導体装置表面の複数の電極パッドに先端を接続するプローブ針と、プローブ針を支持するプローブ針支持部と、プローブ針に接続される配線を有する基台等から構成されている。プローブ針は、テスターヘッド等を介してテスターに電気的に接続される。
【0004】
半導体装置にプローブ針を当てて試験する場合に、ウエーハステージ内の加熱器により半導体装置を加熱して試験を行うことがある。しかし、ウエーハステージ内の加熱器による加熱では熱伝導率が低く、半導体装置が所定温度に達するまでに時間がかかる。
また、プローブカードの温度を制御するために、プローブカードにヒータと冷却回路を取り付けた装置が知られている。しかし、プローブカードの熱伝導率が低いので、ヒータ又は冷却回路からの熱がプローブカード全体に伝達する時間が長くなる。
【0005】
さらに、光ファイバから集光レンズを介して半導体装置に向けて斜めから光を照射し、これにより半導体装置を昇温することが知られている。この場合、半導体装置に当てているプローブ針の先端部に光が照射される。
一方、プローブ針の先端に付着した不純物を除去するために、プローブ針の先端にレーザを照射することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−241454号公報
【特許文献2】特開平5−157632号公報
【特許文献3】特開平11−326461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体装置の試験装置には、半導体ウエーハに形成された複数の半導体装置を一つずつ試験する単測型と、複数の半導体装置を同時に測定する同測型とがある。単測型のプローブカードは、半導体ウエーハにおける1つの半導体装置の電極パッドに接続されるプローブ針を有している。また、同測型のプローブカードは、半導体ウエーハにおける複数の半導体装置のそれぞれの電極パッドに同時に接続される複数のプローブ針を有している。
【0008】
同測型のプローブカードでは、半導体ウエーハの半導体装置の配置の関係でプローブ針が半導体ウエーハからはみ出すことがある。はみ出したプローブ針は、測定対象となる半導体装置を変更する際に、再び半導体ウエーハ上の電極パッドに当てられることがある。
しかし、はみ出したプローブ針は冷めているために、半導体装置のみを加熱対象とする
測定装置では、プローブ針の温度が上昇するまでに時間がかかり、作業効率が悪くなる。
【0009】
また、上記のように光ファイバから半導体装置に向けて斜めに光を照射して半導体装置を加熱する場合には、プローブ針の大部分に光が照射されないので、半導体装置の熱がプローブ針により吸収され、半導体装置の温度調整が難しくなる。
【0010】
本発明の目的は、温度制御性の高い試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点によれば、試料載置ステージに対向して配置されるプローブカードと、前記プローブカードの開口部の下側に配置される複数のプローブ針と、前記複数のプローブ針の間の領域に配置される熱電対と、前記プローブカードの前記開口部の下に前記熱電対の先端に接触して取り付けられる温度測定物と、前記プローブカードの前記開口部の上方に配置されるランプを有する発光器と、を有することを特徴とする測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローブカードの開口部を通してその直下の試験対象物、例えば半導体装置を光照射により加熱するようにしたので、試験対象物、例えば半導体装置よりも上の位置にあるプローブ針を広い領域で同時に加熱することが可能になる。
これにより、プローブ針により試験対象物の温度が吸収されにくくなり、試験対象物の温度制御が容易になる。
さらに、プローブカードの開口部の直下の温度を熱電対と温度測定物により測定するようにしたので、発光器により加熱される試験対象物の温度制御が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る測定装置の側面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る測定装置に装着されるプローブカードと発光器の一例を示す側面図、図2(b)は、本発明の実施形態に係る測定装置に装着されるプローブカードのプローブ針及びその周辺を示す底面図、図2(c)は、本発明の実施形態に係る測定装置に装着されるプローブカードに取り付けられる熱電対と温度測定物を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る測定装置により測定される半導体装置が複数形成された半導体ウエーハを示す平面図、図3(b)は、半導体装置を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る測定装置に取り付けられる発光器の反射面に使用される金メッキ鏡とアルミニウム鏡の反射特性と、ハロゲンランプの放射特性を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る測定装置に取り付けられる発光器を示す側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る測定装置に取り付けられるハロゲンランプの立ち上がり時間と温度の関係を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る測定装置に取り付けられるハロゲンランプの波長と光照射対象物の光吸収率との関係を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る測定装置に取り付けられる発光器の他の例を示す側面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の実施形態に係る試験装置に使用されるプローブカードのプローブ針の別の例を示す底面図、図9(b)は、本発明の実施形態に係る試験装置に使用されるプローブカードのプローブ針のさらに別の例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の試験方法を実行する試験装置の概要を示す側面図、図2(a)は、図1に示す試験装置に使用されるプローブカードと加熱器を示す側面図、図2(b)は、プローブ針の配置を示す底面図である。
図1に示す半導体装置の試験装置は、図3(a)に示す半導体ウエーハ1、例えばシリコンウエーハに形成された複数の半導体装置2を順に測定する装置であって、制御部10とウエーハプローバ11を有している。半導体装置2には、トランジスタ、配線等が形成されている。
【0016】
ウエーハプローバ11の筐体12内にはウエーハステージ13が配置され、ウエーハステージ13上にはウエーハチャック14が取り付けられている。ウエーハステージ13は、ウエーハチャック14を上下方向、前後方向、左右方向のそれぞれに移動し、さらに、水平方向に回動することができる構造を有している。
なお、ウエーハステージ13内には、半導体ウエーハ1を加熱する加熱器を内蔵してもよい、
【0017】
筐体12の上部にはウエーハチャック14の上面を露出する開口部12aが設けられ、その開口部12aにはヘッドプレート15が開閉可能に取り付けられている。また、ヘッドプレート15の中央に形成された開口部15aにはフロックリング16が嵌め込まれている。
ヘッドプレート15の下面には、フロックリング16下方でカードフォルダー19の外周のフランジを支持するクランプ20が取り付けられている。
【0018】
カードフォルダー19には、半導体ウエーハ1に形成された複数の半導体装置2を同時に試験できる同測型のプローブカード17が取り付けられている。また、プローブカード17には、カードフォルダー19の中央の開口部19aからウエーハチャック14に向けて突出させる複数のプローブ針18が取り付けられている。プローブ針18は、例えばタングステンから形成される。
【0019】
プローブカード17は、図2(a)に示すように、複数の配線(不図示)が形成されたプリント基板17aと、プリント基板17aの下面に取り付けられたセラミックリング17bと、セラミックリング17bの下面に形成された樹脂、例えばエポキシレジン製のプローブ支持部17cとを有している。
【0020】
プローブ支持部17cは、図2(b)に例示するように環状に形成され、複数のプローブ針18を支持し、それらを中央の孔内に突出させる。プローブ針18は、先端を図3(b)に示す半導体装置2の電極パッド2aに接触できる位置に配置した状態でプローブ支持部17cにより支持される。
【0021】
プローブ針18は、例えば略L字状に屈曲された形状を有し、その後端はプリント基板17aの下面に形成された配線に接続され、さらにプリント基板17aに形成された配線、ビア等を介してその上面の電極パッド17eに電気的に接続されている。
なお、プリント基板17aの機械的強度を高めるために上面中央領域には、補強板17
fが取り付けられている。
セラミックリング17bの中央には、プリント基板17a、補強板17fを貫通する開口部17hが形成されている。開口部17hを通して、プローブ針18の中央から先端までの領域が露出される。
【0022】
プローブ支持部17cのうちプローブ針18の間の領域には熱電対31が取り付けられている。熱電対31は、測定点となる先端がセラミックリング17bの開口部17hの直下に位置する状態に支持される。
また、熱電対31の先端には、温度測定物として例えば図2(c)に示すようなシリコン片32が接触して取り付けられている。シリコン片32は、プローブ針18に重ならずにプリント基板17aの下面に実質的に平行な状態で配置され、さらに、プローブ針18の先端よりも上のセラミックリング17b寄りに配置される。シリコン片32は、例えば、約625μmの厚さを有し、その面は約60μm×60μmの略四角形に形成されている。
熱電対31の後端の一対の端子は、プリント基板17aに形成された配線、ビア等を介してその上面の電極パッド17eに電気的に接続されている。
【0023】
プローブカード17は、図1に示すように、カードフォルダー19を介してクランプ20に取り付けられる。さらに、プローブカード17の電極パッド17eは、フロッグリング16の下面から突出した導電ピン16aに接続される。
筐体12には、フロッグリング16の導電ピン16aに電気的に接続されるパフォーマンスボード21を有するテスターヘッド23が取り付けられる。テスターヘッド23は、図示しないが、その内部に複数のドライバ、コンパレータ、コンタクトピン等を有し、そのコンタクトピンはパフォーマンスボード21のコンタクトピンに電気的に接続されている。
【0024】
テスターヘッド23は、信号線を有するケーブル24を介して制御部10に接続されている。これにより、制御部10は、テスターヘッド23、パフォーマンスボード21、フロッグリング16及びプローブカード17、プローブ針18を介して半導体装置2の電極パッド2aに試験電圧、試験信号などを送信する一方、測定信号を受信する。測定結果は、制御部10内の記憶装置に記録される。
また、制御部10は、テスターヘッド23、パフォーマンスボード21、フロッグリング16及びプローブカード17を介して熱電対31の端子に接続され、熱電対31の先端に接続されたシリコン片32の温度を測定する。
【0025】
フロッグリング16のうち、プローブカード17の中央の開口部17hの直上には、図2(a)に示すように、反射笠41とハロゲンランプ42を有する発光器40が取り付けられている。
反射笠41の反射面41aとして、例えばアルミニウム鏡又は金メッキ鏡の凹面鏡が形成され、開口部17hに向けて配置されている。反射面41aの形状は、ハロゲンランプ42から出射された光をプローブカード17の開口部17hに向けて反射する形状、例えば半楕円形状を有している。
【0026】
ハロゲンランプ42は、例えば図4の実線に示すように放射特性を有し、約1000nmにピークを有している。また、反射面41aがアルミニウム鏡である場合には、図4の一点鎖線に示すように約600nm以上の光をほぼ反射する。また、反射面41aが金メッキ鏡である場合には、図4の破線に示すように少なくとも300nm以上の光をほぼ反射する。
【0027】
ハロゲンランプ42は、図2(b)に示すような同測型のプローブカード17に対応す
るために、図5に示すように横長に置かれることが好ましい。ハロゲンランプ42の大きさは、例えば110V、500Wの場合に、直径約14mm、全長95mm程度である。
ハロゲンランプ42の口金42aは、ソケット43に嵌め込まれる。また、ソケット43は配線44に電気的に接続される。さらに配線44は、フロックリング26、パフォーマンスボード21及びテスターヘッド23、ケーブル24内の配線等を通して制御部10に電気的に接続される。これにより、ハロゲンランプ42は、半導体装置2を試験する際に制御部10により発光量が制御される。
【0028】
制御部10は、CPU、記憶装置、操作部等を備え、一連の試験用処理を組み込んだプログラムにより動作するコンピュータを有しており、電気的特性試験に利用される信号の生成、解析に関係するテストシステムが構築されている。
即ち、試験システムとして電気的特性試験に関する各種の試験項目が記述されたプログラムに従って、信号伝達系を介し半導体装置2に対して電気的特性試験が実行される。
【0029】
また、制御部10は、熱電対31を介してプローブ針18に囲まれた領域の温度を測定し、さらに、測定データに基づいて発光器40を制御して半導体装置2とプローブ針18を所定温度に加熱、制御する。
所定温度、例えば約100℃に加熱された半導体装置2の電極パッド2aからの信号はプローブ針18等を介して制御部10が受信する。そして、制御部10は、規格値、期待値等と比較するなどして機能の良、不良を判定し、さらに入出力信号、電源部分の電圧、電流などのアナログ値等の測定、解析を行う。
図1、図2に示す試験装置を使用して半導体装置2を試験する際には、まず、図1に示したカードフォルダー19、クランプ20を介してプローブカード17をヘッドプレート15に取り付ける。さらに、半導体ウエーハ1をウエーハチャック14上に載せる。
【0030】
また、フロックリング16の導電ピン16aをプローブカード17の電極パッド17eに接続する。
これにより、プローブカード17に接続されたプローブ針18と熱電対31は、それぞれフロックリング16、パフォーマンスボード21、テスターヘッド23、ケーブル24を介して制御部10に電気的に接続される。
【0031】
続いて、制御部10からの信号に基づいてウエーハステージ13の位置を調整する。そして、半導体ウエーハ1のうち最初に同時に測定しようとする複数の半導体装置2の電極パッド2aにプローブ針18を当てる。これにより、半導体装置2と制御部10の間で信号等を送受信できる状態にする。
この状態では、熱電対31の先端に取り付けられたシリコン片32は、プローブカード17の開口部17hの直下であって電極パッド2aに重ならない領域に位置する。
【0032】
続いて、制御部10は、発光器40のハロゲンランプ41を発光することにより、プローブカード17の開口部17hを通して、プローブ針18が当てられた半導体装置2の上面と、プローブ針18のうち開口部17hの直下の部分に光を照射する。これにより、プローブ針18と半導体装置2が所定温度に上昇する。その温度は、シリコン片30を介して熱電対31により測定され、測定結果に基づいて制御部10によりハロゲンランプ31から発光量が制御され、例えば100℃に設定される。
【0033】
半導体装置2は、例えば、シリコン基板を有し、シリコン基板の上には配線、絶縁膜等を含む積層構造膜が約15μmの厚さに形成されている。発光器40による温度設定は、例えばシリコン基板のうち約2μmの深さまでが対象となる。
【0034】
半導体装置2の試験は、積層構造膜の上面からシリコン基板の深さ約2μmまでの領域
が所定温度、例えば100℃に達した状態で測定が開始される。半導体装置2のその加熱領域の設定温度は、熱電対31の先端に取り付けられたシリコン片32の表面温度を測定することにより、推定される。
【0035】
シリコン片32の測定温度とランプ加熱時間は、例えば図6に示す関係にあり、500Wのハロゲンランプ42により半導体装置2が100℃に達する時間は約5秒であり、250Wのハロゲンランプ42により半導体装置2が100℃に達する時間は約40秒である。温度調整は、熱電対31を用いて検出した値に基づいて制御部10がハロゲンランプ42の発光時間、電流量等を調整することにより行われる。
【0036】
ハロゲンランプ42からの光は、測定時において、プローブ針18の先端だけでなく、プローブカード17の開口部17hから露出した部分の全体に照射される。
これにより、同測型の試験装置において、プローブカード17のプローブ針18の一部が半導体ウエーハ1から外れた状態にあっても、全てのプローブ針18は加熱状態となる。従って、次のステップでウエーハステージ13を移動して測定対象とする半導体装置2を変更する場合でも、プローブ針18は既に加熱された状態にあるため、半導体装置2の加熱だけが必要となり、加熱時間が短くなる。しかも、プローブ針18は先端のみならず、半導体装置2から上方に離れた領域も加熱されるので、プローブ針18により半導体装置2の温度が吸収されることが防止される。
【0037】
ところで、半導体装置2とプローブ針18のそれぞれの熱吸収率は、光の波長により異なる。例えば図7に示すように、シリコン基板、セラミック、プラスチック等は遠赤外領域で吸収率が高いのに対し、タングステン等の金属は1μm以下の波長領域の光の吸収率が高い。
【0038】
そこで、図8に示すように、発光波長の異なる第1、第2のハロゲンランプ45、46を発光器40内に取り付ける。これにより、半導体装置2とプローブ針18のそれぞれの加熱を第1、第2のハロゲンランプ45、46により制御してもよい。例えば、発光波長が遠赤外線領域、例えば約5μmの第1のハロゲンランプ45と発光波長が可視領域、例えば1μmの第2のハロゲンランプ46を発光器40に取り付ける。第1、第2のハロゲンランプ45、46はそれぞれ間隔を置いて反射笠41の内側に平行に横向きに配置される。
【0039】
これにより、第1のハロゲンランプ45により半導体装置2を加熱制御する一方、第2のハロゲンランプ46によりプローブ針18を加熱制御する。
第1のハロゲンランプ45による波長領域では半導体装置2の熱吸収率は図8に示すように約90%と高いが、金属製のプローブ針18の熱吸収率は約8%と極めて低い。これに対し、図8に示すように、第2のハロゲンランプ46によれば、金属製のプローブ針18の熱吸収率は約35%と高い。
【0040】
ウエーハステージ13を移動して測定対象とする半導体装置2を変更する場合には、プローブ針18は既に加熱された状態にある。しかし、新たにプローブ針18が当てられた半導体装置2は非加熱状態にあるために、初期状態から昇温する必要があるが、半導体装置2は第1のハロゲンランプ45により加熱効率が高いので所定の温度に到達する時間が短くなる。
【0041】
これにより、半導体ウエーハ1に形成された複数の半導体装置2の試験開始から試験終了までの時間を従来よりも短縮することができる。
【0042】
第1のハロゲンランプ45のフィラメントは例えばタングステンから形成され、その発
光波長は約1μmである。また、第2のハロゲンランプ45では、透明なガラス管の内部に例えば極めて薄い炭化珪素、砂等のコーティング物質が塗布され、これにより出射される光の波長は3〜5μmとなる。なお、コーティング物質としてシリカを用いることにより、発光波長を8〜14μmまで長くすることができ、これにより半導体装置2の熱吸収率をさらに高めることができる。
【0043】
上記の試験装置に取り付けられるプローブカード17は、同測型であり、図2(b)に示す例では2つの半導体装置2に対応した測定領域17g、17iが横方向に2つ並んでいる。しかし、同測のプローブカード17は、測定領域を横に2つ並べた構造に限られるものではない。
【0044】
例えば、図9(a)に示すように、斜め方向に配置した2つの測定領域17dを囲むようにプローブ針18の先端を配置した斜め2個同測型がある。或いは、図9(b)に示すように、斜め方向に配置した4つの測定領域17dを囲む位置に複数のプローブ針18の先端を配置した斜め4個同測型などがある。
また、上記の試験装置は、同測型について説明したが、単測型、即ちプローブカード17に1つの半導体装置だけを試験対象とするプローブ針を有するものであってもよく、単測型のプローブカードの開口部の上に上記の加熱器を取り付けてもよい。
【0045】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【0046】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1)
試料載置ステージに対向して配置されるプローブカードと、
前記プローブカードの開口部の下側に配置される複数のプローブ針と、
前記複数のプローブ針の間の領域に配置される熱電対と、
前記プローブカードの前記開口部の下で前記熱電対の先端に接触して取り付けられる温度測定物と、
前記プローブカードの前記開口部の上方に配置されるランプを有する発光器と、
を有することを特徴とする測定装置。
(付記2)
前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする付記1に記載の測定装置。
(付記3)
前記ランプは、発光波長の異なる複数のハロゲンランプであることを特徴とする付記1に記載の測定装置。
(付記4)
前記複数のハロゲンランプは、発光波長が遠赤外線帯域の第1のハロゲンランプと、発光波長が1μm以下の第2のハロゲンランプであることを特徴とする付記3に記載の測定装置。
(付記5)
前記加熱器内には、前記ランプの上に反射笠が配置されていることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の測定装置。
(付記6)
前記ハロゲンランプの測面は、前記プローブカードの上に対向する位置に配置されることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の測定装置。
(付記7)
前記温度測定対象物は、シリコン片であることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の測定装置。
(付記8)
前記複数のプローブ針は、複数の領域を囲む位置に配置されることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれか1つに記載の測定装置。
(付記9)
前記領域は、半導体装置を配置する領域であることを特徴とする付記8に記載の測定装置。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体ウエーハ
2 半導体装置
2a 電極パッド
10 制御部
11 ウエーハプローバ
13 ウエーハステージ
14 ウエーハチャック
16 フロックリング
17 プローブカード
18 プローブ針
21 パフォーマンスボード
23 テスターヘッド
24 ケーブル
31 熱電対
32 シリコン片
40 発光器
41 反射笠
42、45、46 ハロゲンランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料載置ステージに対向して配置されるプローブカードと、
前記プローブカードの開口部の下側に配置される複数のプローブ針と、
前記複数のプローブ針の間の領域に配置される熱電対と、
前記プローブカードの前記開口部の下で前記熱電対の先端に接触して取り付けられる温度測定物と、
前記プローブカードの前記開口部の上方に配置されるランプを有する発光器と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記ランプは、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記ランプは、発光波長の異なる複数のハロゲンランプであることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記複数のプローブ針は、複数の領域を囲む位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7671(P2011−7671A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152256(P2009−152256)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】