説明

誘導飛翔体装置

【課題】誘導飛翔体において、複数の赤外線センサーにより、目標に向け誘導するセンサーシステムを提供する。
【解決手段】誘導飛翔体装置の側面に複数の分散させたウインドウ1を配置して、そのウインドウ1を開口として視野の一部を重なるように複数のセンサ部2を配置し、視野の重なる領域で別々のセンサ部2が探知した目標が同一か否かを判定する同定処理部9を有することで、異なるセンサ部2の視野の間で移動する同一の目標を追尾することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサ部により探知した目標に向けて誘導される、誘導飛翔体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導飛翔体のセンサ部には、赤外線センサや電波センサが用いられている。従来の赤外線センサ(赤外線追尾装置)を備えた誘導飛翔体装置(以下、赤外線誘導飛翔体装置と称する)は、その先端に赤外線を透過するための開口窓を有した半球状の赤外線透過ドームが設けられるため、空気抵抗を受けやすい構造となっていた。また、飛しょう時の空力加熱が赤外線透過ドームを過熱するため、赤外線透過ドーム自体からの赤外線放射量を増加させ、目標からの赤外線を探知しにくくし、探知距離を低減する問題があった。これらの問題を解決するため、赤外線誘導飛翔体装置の先端に針状の構造を設け、空気抵抗を低減することで、赤外線透過ドームの過熱の低減を図る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−38400号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の赤外線誘導飛翔体装置においては、針状の部分とそれを支える部分の構造が赤外線透過ドームの開口窓を狭めるため、赤外線センサの視野を狭めると共に、入射する目標の赤外線量を少なくして目標の探知距離を低減させていた。
【0005】
この発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、センサ部の視野を狭めないように、センサ部へ透過光を入射させるウインドウを配置した誘導飛翔体装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による誘導飛翔体装置は、機体の先端側面に分散配置した複数のウインドウと、前記複数のウインドウをそれぞれ開口として、その視野の一部を重なるように配置した複数のセンサ部と、前記複数のセンサ部がそれぞれ出力する画像情報から目標を探知し、探知情報を出力する探知処理部と、前記探知情報と速度姿勢計測部が出力する速度姿勢情報を用いて目標を追尾し、追尾情報を出力する追尾処理部と、前記追尾情報から、視野の重なる領域で別々の前記センサ部が探知した目標の特徴量を求め、当該目標の特徴量に基いて同一目標を同定し、当該同定した同一目標に対応する追尾情報を1つの追尾情報に同一化して、前記追尾情報から目標情報を生成する同定処理部と、前記目標情報から目標に誘導するための誘導情報を生成し、操舵翼を制御するシステム制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、センサ部の視野を妨げることなく、誘導飛翔体装置の先端を尖った形状とすることができるので、誘導飛翔体装置の先端が空気抵抗を受けにくくなり、また側面に配置したウインドウが、誘導飛翔体装置の先端で特に大きい空力加熱の影響を受けにくいため、センサ部にて目標からの赤外線を探知しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる構成及び動作を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる赤外線誘導飛翔体装置の視野を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係わる構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係わる構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる赤外線誘導飛翔体装置の構成と信号の流れを示す図である。図2は、赤外線誘導飛翔体装置の視野を示す図である。図において、実施の形態1による赤外線誘導飛翔体装置は、先端に半球状で空気抵抗を受けやすい赤外線ドームを用いずに、一般の電波シーカを備えた誘導飛翔体装置と同様の先端の尖ったレドーム20を備えている。
【0010】
また、赤外線誘導飛翔体装置の側面に複数の分散させたウインドウ1(1a〜1d)を配置して、そのウインドウ1を開口として視野の一部を重なるように複数のセンサ部2(2a〜2d)を配置した構造を持ち、複数のセンサ部2が全体として広い視野を有している。すなわち、複数のウインドウ1(1a〜1d)は赤外線誘導飛翔体装置の表面に分散配置され、複数のセンサ部2(2a〜2d)は複数のウインドウ1をそれぞれ開口として、その視野の一部を重なるように配置される。また、赤外線誘導飛翔体装置は、複数のセンサ部2の視野の重なる領域で別々のセンサ部2が探知した目標が同一か否かを判定する同定処理部9を有している。
【0011】
さらに、赤外線誘導飛翔体装置は、信号処理部18と、システム制御部15と、速度姿勢計測部10と、点火装置13と、操舵装置17と、操舵翼16と、ノズル18と、推進装置19とを備えている。信号処理部18は、探知処理部5、追尾処理部7、同定処理部9、システム制御部15から構成される。
【0012】
図1に示すように、赤外線誘導飛翔体装置の先端を半球状から尖った形状にすることによって、赤外線誘導飛翔体装置は空気抵抗を受けにくくなり、高速の飛しょうに有利になる。また、センサ部2の開口として半球状の赤外線ドームを用いずに、赤外線誘導飛翔体装置の側面に配置したウインドウ1を用いることとしたため、主に空気の圧縮、空気との摩擦によって、赤外線ドームに比べ赤外線誘導飛翔体装置の先端で特に大きい空力加熱の影響を受けにくくなり、目標からの赤外線を探知しやすく、探知距離を延伸させることができるようになった。また、視野の重なる領域で別々のセンサ部が探知した目標が同一か否かを判定する同定処理部9を有することで、異なるセンサ部2の視野の間で移動する目標を追尾することができる。
【0013】
探知処理部5は、複数のセンサ部2がそれぞれ出力する画像情報3(3a〜3d)から目標を探知し、探知情報4を出力する。追尾処理部7は、探知情報4と速度姿勢計測部10が出力する赤外線誘導飛翔体装置の速度姿勢情報11を用いて目標を追尾し、追尾情報6を出力する。同定処理部9は、追尾情報6に基づき視野の重なる領域で別々のセンサ部2が探知した目標の特徴が近ければ同一目標と同定し、追尾情報6に同定した同一目標の情報を付加して目標情報8として出力する。このとき、同定処理部9は、視野の重なる領域で別々の前記センサ部2が探知した目標の特徴量を追尾情報6から求め、求めた目標の特徴量に基いて同一目標を同定した後、同定した同一目標に対応する追尾情報を1つの追尾情報に同一化することで、追尾情報から目標情報8を生成する。
【0014】
システム制御部15は、母機情報21と目標情報8から赤外線誘導飛翔体装置を目標に誘導する誘導情報12を出力すると共に、点火装置13に点火指令14を出力する。操舵装置17は、誘導情報12に従い操舵翼16を制御する。推進装置19は、点火装置13によって点火され、ノズル18から燃焼ガスを噴出する。
【0015】
赤外線誘導飛翔体装置は以上のように構成され、次のように動作する。
ウインドウ1は、センサ部2の光学的な開口となり、赤外線誘導飛翔体装置の側面の表面に分散配置され、空気抵抗が小さい形状で赤外線誘導飛翔体装置表面に取り付けられる。また、センサ部2の主要な検出波長帯域に対して透過率が高く、高速でぶつかる水滴などに対しても傷付きにくい材料から成る。また、必要に応じてウインドウ1の表面に低反射コートを施す。
【0016】
センサ部2は、その視野内のものを赤外線画像として撮像し、画像情報3として探知処理部5に出力する。画像情報3は、オフセット補正、ゲイン補正、欠陥画素補正、などが既に施され、複数カメラ間で同じ輝度の目標を撮像した際には、同レベルの信号が出力されるよう調整されている。
【0017】
探知処理部5は、画像情報3の中から輝度、または信号対ノイズ比が、予め設定した探知しきい値べて大きい連続した画素のかたまりを目標として探知し、探知した順番にシリアル番号を付与し、その目標の探知時間、角度、サイズ、形状、輝度、放射する光の波長などをまとめ、探知情報4として追尾処理部7に出力する。
速度姿勢計測部10とは例えば、赤外線誘導飛翔体装置の姿勢を検出する姿勢検出計や、速度計、加速度計、高度計、GPSなどから構成され、例えば、赤外線誘導飛翔体装置の姿勢や、速度や、加速度や、高度や、緯度経度などを、速度姿勢情報11として追尾処理部7に出力する。
【0018】
追尾処理部7は、探知情報4と速度姿勢情報11を用いて、赤外線誘導飛翔体装置または地球を原点とする慣性空間における目標の角度、角速度、角加速度の観測値の時間変化から、目標の将来角度、角速度、角加速度を予測して、その予測値を探知情報4と速度姿勢情報11に付加して追尾情報6として同定処理部9に出力する。
同定処理部9は、追尾情報6に基づき、視野の重なる領域で別々のセンサ部2が探知した、異なるシリアル番号の目標の特徴を比較して、予め設定したしきい値よりも特徴が近ければ同一目標として同定し、その情報を追尾情報6に付加して目標情報8としてシステム制御部15に出力する。同定処理に用いる目標の特徴とは、例えば目標の角度、角速度、角加速度、サイズ、形状、輝度、放射する光の波長、などが挙げられる。
【0019】
システム制御部15は、赤外線誘導飛翔体装置の発射時に母機から出力される母機情報21に基づき、点火指令14を点火装置に出力すると共に、母機情報21と目標情報8に基づいて目標との会合点を予測し、会合点に対する赤外線誘導飛翔体装置の飛しょう方向(以下経路という)のずれを補正するような誘導情報12を操舵装置17に出力する。
システム制御部15は、赤外線誘導飛翔体装置が発射して母機から切り離された後も、刻々と更新される母機情報21及び目標情報8を用いて、目標との新たな会合点を予測し、会合点に対する経路のずれを補正する誘導情報12を操舵装置17に出力する。
【0020】
赤外線誘導飛翔体装置が発射して母機から切り離された後に、母機情報21が取得できない場合には、追尾情報6により新たな会合点を予測する。
母機情報21は、例えば母機の位置情報、速度情報、加速度情報、目標の位置情報、速度情報、加速度情報、発射情報、各情報の取得時間などから成る。
操舵装置17は、誘導情報12に基づき操舵翼16を制御する。操舵翼16を制御することにより操舵翼16が発生する空気力が変化し、引き続き赤外線誘導飛翔体装置の重心まわりの回転モーメントが変化して、赤外線誘導飛翔体装置の空力的姿勢が変化する。この空力的姿勢の変化が経路の変化をもたらす。
点火装置13は、点火指令14に基づき推進装置19内の推進薬に点火する。推進装置19内の燃焼ガスはノズル18から、赤外線誘導飛翔体装置後方に噴出し、赤外線誘導飛翔体装置に推進力を与える。
【0021】
図2は、赤外線誘導飛翔体装置の視野を示す図である。赤外線誘導飛翔体装置の表面に分散配置した複数のウインドウ1(1a〜1f)に対応した視野22a〜22fは、それぞれの視野の一部を重ねるように配置している。このように複数の視野をもつことで、広い視野を確保できる。
外線誘導飛翔体装置の後方は高温の燃焼ガスが存在するため、推進装置19の燃焼中は後方の視界は得ることができない。
視野の重なった領域は、複数のセンサ部2が重複して探知処理を行うため、無秩序に発生するホワイトノイズによる誤警報を低減することができる。
前記ホワイトノイズは、電子回路のノイズ、検知器の読出ノイズ、検知器のショットノイズなどから成り、赤外線の輝度が一様な物体を撮像しても、センサ部2の各画素の出力が無秩序にばらつき、時間の経過によっても変化する。このばらつき、またはばらつきの度合いをホワイトノイズと呼ぶ。
【0022】
まれではあるが、ホワイトノイズにより、ある画素の出力が、探知処理部5の探知しきい値を超えて探知される場合がある。これがホワイトノイズによる誤警報となる。ホワイトノイズは無秩序に発生するため、視野の重なった領域で、複数のセンサ部2が重複して探知処理を行っている場合、その複数のセンサ部2が同時に、同じ角度でホワイトノイズによる誤警報が発生する確率は低い。
このため、複数のセンサ部2の視野が重なった領域で、その領域に視野をもつ1つのセンサ部2が探知し、その領域に視野をもつ他のセンサ部2が探知しない目標は、誤警報として扱い、その誤警報の情報はシステム制御部15に目標情報8として送らないとすれば、ホワイトノイズによる誤警報を低減することができる。
【0023】
以上説明した通り、実施の形態1による赤外線誘導飛翔体装置は、側面に複数の分散させたウインドウ1を配置して、そのウインドウ1を開口として視野の一部を重なるように複数のセンサ部2を配置した構造を持つことで、センサ部2の視野を妨げることなく先端を尖った形状とすることができるので、空気抵抗を受けにくくなり、高速の飛しょうに有利になり、側面に配置したウインドウ1が、赤外線誘導飛翔体装置の先端で特に大きい空力加熱の影響を受けにくいため、目標からの赤外線を探知しやすくなる。
また、ウインドウ1およびセンサ部2を分散配置しているため、広い視野をもつことができる。
また、視野の重なる領域で別々のセンサ部2が探知した目標が同一か否かを判定する同定処理部9を有することで、異なるセンサ部2の視野の間で移動する目標を追尾することができる。
【0024】
さらに、赤外線誘導飛翔体装置は、視野を広くすることができるので、ターゲット機が自機の機首方向より大きくずれた位置にあっても、ターゲット機を赤外線誘導飛翔体装置の視野の中に収めた状態で追尾することができる。また、赤外線誘導飛翔体装置の探知距離を向上させることができるので、ターゲットの電波反射面積が低くても電波による探知距離の低下を補うことができる。
【0025】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る赤外線誘導飛翔体装置は、実施の形態1の同定処理部9が行う同定処理を、各種の特徴量の誤差と重み付け量を用いて判定するものである。これによって、各種特徴量を誤差で規格化し、1つの数式で同定処理の判定を行うことができると共に、運用環境に応じて重み付け量を調整することで、様々な環境においてもより正確な判定を実現する。
センサ部2aとセンサ部2bが、それぞれの視野の重なる領域で探知した目標を40aと40bとする。赤外線誘導飛翔体装置から見た目標40a、目標40bの角度をそれぞれ、(AZa,ELa)、(AZb,ELb)とする。同様に角加速度を(AZVa,ELVa)、(AZVb,ELVb)とする。同様に角加速度を(AZAa,LAa)、(AZAb,ELAb)とする。赤外線画像中の目標40a、40bのサイズをSa、Sbとする。同様に形状情報を(AZFa,ELFa)、(AZFb,ELFb)とする。同様に輝度をRa、Rbとする。同様に放射する光の波長情報をDa、Dbとする。
【0026】
ここで目標の角度とは、赤外線誘導飛翔体装置を原点としたNED(X軸:North、Y軸:East、Z軸:Down)座標系において、Z軸時計周りをAZとし、Y軸時計周りをELとした時に、赤外線誘導飛翔体装置から目標を見たAZ、ELの角度とする。
ここで目標の角速度とは、上記NED座標系のAZ、ELにおける目標の角速度とする。
ここで目標の角加速度とは、上記NED座標系のAZ、ELにおける目標の角加速度とする。
ここで目標のサイズとは、探知処理にて探知した、連続した画素のかたまりの画素数をとする。
ここで目標の形状情報とは、探知処理にて探知した、連続した画素のかたまりのうち最も明るい画素の中心から、前記連続した画素のかたまりの重心位置に引いたベクトルを、NED座標系のAZ、ELで表したものとする。
ここで目標の輝度とは、探知処理にて探知した、連続した画素のかたまりのうち最も明るい画素の輝度とする。
ここで目標が放射する波長情報とは、センサ部2の検出波長帯を短波長側と長波長側に分割し、短波長側の輝度Rsと、長波長側の輝度Rlの比 Rs/Rl をもとめ、それを、目標が放射する波長情報Dとする。
【0027】
また、目標の角度、角速度、角加速度、サイズ、形状情報、輝度、放射する光の波長情報の想定される誤差をそれぞれθe、θVe、θAe、Se、θFe、Re、Deとし、赤外線誘導飛翔体装置の同定処理における角度、角速度、角加速度、サイズ、形状情報、輝度、放射する光の波長情報の重み付け量をそれぞれ、θw、θVw、θAw、Sw、θFw、Rw、Dwとし、赤外線誘導飛翔体装置の同定処理部が、視野の重なる領域で探知した目標40aと目標40bを同一目標と判定するしきい値をTHeqを[式1]とする。
【0028】
ここで、重み付け量とは、各特徴量のうち、目標の同定処理に関連の深い項目について数値を大きくし、関連の浅い項目については数値を小さくして、[式1]における各特徴量の影響を調整する。また、運用環境に応じて重み付け量を調整して、様々な環境において正確な判定を実現する。
なお、目標の角度、角速度、角加速度、サイズ、形状情報、輝度、放射する光の波長情報のうち、データが得られない特徴量については、[式1]より、その特徴量に関する項を削除する。
【0029】
【数1】

【0030】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3に係る赤外線誘導飛翔体装置の構成と信号の流れを示す図である。装置の構成は、実施の形態1と同等である。動作の異なる部位は、電波シーカ部24である。
【0031】
この実施の形態3の赤外線誘導飛翔体装置では、電波シーカ部24を赤外線誘導飛翔体装置の機体前方中央軸部分に設置し、電波シーカ部24が出力する電波の送受信により電波目標情報25を追尾処理部7に入力するよう構成する。
電波シーカ部24は、送信ビームを目標に照射し、目標からの反射波を受信する。受信した反射波から、赤外線誘導飛翔体装置に対する目標の角度、角速度、角加速度、距離、速度、加速度を求め、電波目標情報25として追尾処理部に出力する。
【0032】
電波シーカ部は送信ビーム及び受信軸を走査させるため、赤外線誘導飛翔体装置の前方中央軸部分に設置することが好ましい。この実施の形態3の赤外線誘導飛翔体装置では、赤外線誘導飛翔体装置の側面にウインドウ1とセンサ部2を分散配置しているため、赤外線誘導飛翔体装置の前方中央軸部分に電波シーカ部24を設置するスペースを確保することができる。
【0033】
実施の形態4.
図4は、この発明の実施の形態4に係わる赤外線誘導飛翔体装置の構成を示す図である。図において、一体型探知処理部28(28a〜28d)は、センサ部2(2a〜2d)とそれぞれ一体化されている。一体型探知処理部28は、センサ部2が出力する画像情報から目標を探知し、その結果を個別探知情報29(29a〜29d)として追尾処理部7に出力する。
実施の形態1では、赤外線誘導飛翔体装置の側面に分散配置した各センサ部2は、それぞれ画像情報3を探知処理部5に出力していた。しかし、画像情報3のデータ量は個別探知情報29に比べて大きく、データの送信に時間がかかる他、複数の画像情報を一度に処理するため探知処理部5負荷が大きくなり探知処理に時間がかかる場合があった。
この実施の形態4では、一体型探知処理部28をセンサ部2に一体化して分割して配置することで、画像情報の伝送にかかる時間を短縮すると共に、探知処理にかかる時間を短縮する。これによって、システム全体の処理時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ウインドウ、 2 センサ部、 3 画像情報、 4 探知情報、 5 探知処理部、 6 追尾情報、 7 追尾処理部、 8 目標情報、 9 同定処理部、 10 速度姿勢計測部、 11 速度姿勢情報、 12 誘導情報、 13 点火装置、 14点火指令、 15 システム制御部、 16 操舵翼、 17 操舵装置、 18 ノズル、 19 推進装置、 20 レドーム、 21 母機情報、 22 視野、 23 胴体、 24 電波シーカ、 25 電波目標情報、 28 一体型探知処理部、 29 個別探知情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の側面に分散配置した複数のウインドウと、
前記複数のウインドウをそれぞれ開口として、その視野の一部を重なるように配置した複数のセンサ部と、
前記複数のセンサ部がそれぞれ出力する画像情報から目標を探知し、探知情報を出力する探知処理部と、
前記探知情報と速度姿勢計測部が出力する速度姿勢情報を用いて目標を追尾し、追尾情報を出力する追尾処理部と、
前記追尾情報から、視野の重なる領域で別々の前記センサ部が探知した目標の特徴量を求め、当該目標の特徴量に基いて同一目標を同定し、当該同定した同一目標に対応する追尾情報を1つの追尾情報に同一化して、前記追尾情報から目標情報を生成する同定処理部と、
前記目標情報から目標に誘導するための誘導情報を生成し、操舵翼を制御するシステム制御部と、
を備えた誘導飛翔体装置。
【請求項2】
前記同定処理部は、別々の前記センサ部が探知した目標の特徴量の誤差と、当該目標の特徴量毎に付与されるに重み付け量に基いて、同一目標の同定を行うことを特徴とする請求項1記載の誘導飛翔体装置。
【請求項3】
機体の前方中央軸部分に設置され、前記追尾処理部に電波の送受信によって目標情報を取得する電波シーカ部を備えたことを特徴とする請求項1記載の誘導飛翔体装置。
【請求項4】
前記探知処理部は、それぞれのセンサ部とそれぞれ一体化されたことを特徴とする請求項1記載の誘導飛翔体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−163589(P2011−163589A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24193(P2010−24193)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】