誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法
本発明は、誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、第1物質の粉末と第2物質の粉末を含む誘電体製造用焼結前駆体粉末、第1物質からなるコアと第2物質からなるシェルの構造を持つコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末、およびこれらの製造方法に関する。前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法に係り、より詳しくは、第1物質の粉末と第2物質の粉末を含む誘電体製造用焼結前駆体粉末、第1物質からなるコア(core)と第2物質からなるシェル(shell)の構造を持つコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末、およびこれらの製造方法に関する。前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックキャパシタも高容量薄層化が行われている。これにより、高電界によるDC−バイアスおよび温度による容量変化の特性などの信頼性特性が問題となっている。
【0003】
高誘電率の誘電体材料は、ペロブスカイト構造を持つBaTiO3(簡単にBTとも表記する)粉末を多く使用している。BT誘電体材料は直流電圧の印加による比誘電率の減少が大きいという欠点がある。これを解決するために、BT結晶粒子を微小化させているが、誘電率の減少および温度による容量変化の特性に悪影響を及ぼす結果が生じている。また、BT誘電体材料は各温度における相転移による原子の揺動によって4000以上の大きい誘電率を有する。ところが、このような原子の揺動によってDCバイアスの印加による比誘電率が大きく変化する特性を持っている。
【0004】
BaTiO3のDCバイアス特性を向上させるために、BaTiO3のA位に一部のCaを固溶させた(Ba1−xCax)TiO3(簡単にBCTとも表記する)誘電体材料が開発された(特許文献1及び2)。
【0005】
ところが、BCTにおけるCa固溶量が増加するにつれて全体的な体積の減少による原子の揺動が減少して(量子力学、フォノン(phonon)の運動距離)比誘電率が低下するという欠点を持っている。また、BaTiO3にCaが固溶するにつれてチップ焼成におけるCaの物質移動が良いため非正常粒成長が発生して電気的特性が低下するという問題が発生する。よって、これを解決するために、焼成プロファイルおよび雰囲気を用いるが、このためには多くの設備投資が求められる。
【0006】
このように、BT誘電体材料は、誘電率が高いという利点はあるが、DC−バイアスが大きいという欠点がある。また、BCT誘電体材料は、DCのバイアス特性は改善されるが、比誘電率が大幅減少するという欠点がある。
【0007】
特許文献3は、BaTiO3結晶粒子と(Ba1−xCax)TiO3結晶粒子を主成分として組成される誘電体磁器組成物およびこれを用いた積層セラミックキャパシタを開示する。
【0008】
ところが、BaTiO3の場合、120℃付近で相転移を起こすため、温度依存性が非常に大きく、大きい結晶格子c軸とa軸の比であるc/a軸間の比率(tetragonality)を維持しなければならないため、Mg化合物またはBa化合物、Y化合物またはRE化合物(Re:希土類元素)、Mn化合物またはCr化合物またはV化合物、Si化合物などの様々な付加化合物が含まれなければならない。よって、特許文献3によるキャパシタを製造する工程が複雑である。したがって、より優れた特性を持つ誘電体材料に対する要求が依然として存在する。
【0009】
非特許文献1(Deschanvresら)では、ペロブスカイト(perovskite)構造および0.7393nmの格子定数を有するCaCu3Ti4O12の製造を報告している。
【0010】
非特許文献2(Bochuら)では、CaCu3Ti4O12および関連チタネートの合成および構造を開示し、格子定数が0.7391nmであると報告している。
【0011】
特許文献4(Yandrofskiら)は、同調可能な強誘電体を混入した、同調式マイクロ波およびミリメートル波素子を開示している。
【0012】
特許文献5は、誘電体CaCu3Ti4O12(CCTO)を混入した同調式素子を開示する。
【0013】
ところが、特許文献5によれば、CaCu3Ti4O12誘電体材料自体が周波数特性に影響されない同調式素子に有用であるとしたが、1KHz〜1MHzまで90,000以上の誘電定数値を有するCaCu3Ti4O12の場合には100KHz以上で誘電損失が大きいうえ、直流および交流電圧下における誘電特性が低下するという問題点がある。よって、特許文献5の技術は現在商用化されていない。
【0014】
このような先行技術の限界点を克服するために、常温の100Hzで105以上の相対誘電定数(εr>105)を有する高誘電物質としてのCaCu3Ti4O12に関する研究が盛んに行われている。前記CaCu3Ti4O12は一般な誘電体材料より著しく優れた誘電定数値を有する。前記CaCu3Ti4O12は高誘電物質が必要なMLCC(Multi Layered Ceramic Capacitor)などの分野で利用できる。
【0015】
ところが、従来のCaCu3Ti4O12誘電体材料は、周波数100KHz以上で誘電損失(Dielectric loss)が急激に増加するため、特定の周波数帯域では商用化されていない。そして、直流電圧(DC field)と交流電圧(AC field)の印加による比誘電率の減少(DC-bias)が大きいという欠点がある。
【0016】
かかる問題点を解決するために、CaCu3Ti4O12にMn、ZrO2、SiO2などの物質を添加することや、CaCu3Ti4O12におけるCuの組成を調節することなどの多様な試みがあった。最近では、固相焼結工程(solid-state sintering process)の他にも、マイクロ波合成法(Microwave synthesis)、ゾルゲル合成法(Sol-gel synthesis)などのように合成法を変えて誘電特性を改善しようとした。
【0017】
ところが、今まで、高誘電物質としてのCaCu3Ti4O12の高い誘電率を維持しながら広い周波数帯域で誘電損失を減らす誘電体材料を実現する結果を得ていない。
【0018】
本発明者は、前述した先行技術の問題点を克服するために、CaCu3Ti4O12、SrCu3Ti4O12、BaCu3Ti4O12、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOなどの粉末と、これらのコア物質より誘電率は低いが、高周波領域における誘電損失が少ないCaTiO3、SrTiO3、BaTiO3、MgTiO3などのペロプスカイト系(Perovskite-Type)物質またはAl2O3、TiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、HfO2などの単一金属酸化物(Single Metal Oxides)の混合物を含む誘電体製造用焼結前駆体粉末、およびその製造方法を完成した。
【0019】
また、本発明者は、CaCu3Ti4O12、SrCu3Ti4O12、BaCu3Ti4O12、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOなどの粉末がコアを構成し、このようなコア物質より誘電率は低いが、高周波領域における誘電損失が少ないCaTiO3、SrTiO3、BaTiO3、MgTiO3などのペロプスカイト系物質、またはAl2O3、TiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、HfO2などの単一金属酸化物がシェル層を構成するコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2003−277136号公報
【特許文献2】特開2004−079686号公報
【特許文献3】韓国特許出願第10−2005−0033009号明細書
【特許文献4】米国特許第5,472,935号明細書
【特許文献5】国際特許出願PCT/US2001/014297号明細書
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Bull. Soc. Chim. Fr. 4077(1967)
【非特許文献2】J. Solid State Chem.29, 291(1979)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の基本的な目的は、第1物質の物質と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、第1物質の粉末と第2粉末の粉末とを混合する段階を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、第1物質からなるコアと第2物質からなるシェルの構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなる、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記本発明の基本的目的は、第1物質の粉末と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにより達成できる。
【0027】
本発明の誘電体製造用焼結前駆体粉末に含まれる前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0028】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0029】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0030】
CCTOとBTOを粉末状に混合して焼結した焼結体は、CCTO粉末のみを用いて焼結した焼結体と比較して誘電損失特性が向上する。
【0031】
前述した本発明の別の目的は、第1物質の粉末と第2物質の粉末とを混合する段階を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい、誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにより達成できる。
【0032】
本発明の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法に使用される前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0033】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0034】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2またはLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0035】
前述した本発明の別の目的は、第1物質からなるコア(core)と第2物質からなるシェル(shell)の構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにより達成できる。
【0036】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末において、前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0037】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0038】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0039】
本発明の前駆体粉末から製造される誘電体物質は、従来の代表的な誘電体材料BaTiO3より3倍〜5倍以上の誘電率を示しながらも、105Hz以上の高周波帯域における誘電損失が非常に小さいため、従来の技術によるBaTiO3粉末より卓越した誘電体材料としての性能を示す。
【0040】
本発明に係るコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、前記第1物質の相対誘電定数より小さい相対誘電定数を有する第3物質からなるシェルを、前記第2物質からなるシェル上にさらに含んでもよい。すなわち、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、2つ以上のシェル層を持ってもよい。
【0041】
前述した本発明の別の目的は、i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなる、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにより達成できる。
【0042】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法に使用される前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0043】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法において、前記被覆組成物は、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2などのアセテート(acetate)またはMg(C5H7O2)2、Ca(C5H7O2)2、Sr(C5H7O2)2、Ba(C5H7O2)2などのアセチルアセトネート(acetylacetonate)から選ばれる一つまたは2つの前駆体とチタニウムイソプロポキシド(titanium isopropoxide)との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はA’TiO3であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0044】
より詳しくは、前記A’のための前駆体として金属ハロゲン化物(metal halide)、金属窒化物(metal nitride)、金属水酸化物(metal hydroxide)、金属ハロカルボン酸塩(metal halocarboxylate)などが使用でき、Tiのための前駆体として金属ハロゲン化物、金属カルボン酸塩(metal carboxylate)、金属ハロカルボン酸塩などが使用できる。
【0045】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法において、前記被覆組成物は、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2またはBa(CH3COO)2から選ばれる一つまたは二つ、チタニウムイソプロポキシド(titanium isopropoxide)、アセチルアセトンおよび酢酸の混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はA’TiO3であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0046】
また、シェルを構成する物質が単一金属酸化物の場合、前記被覆組成物に使用される前駆体は、Mg(CH3COO)2、HfCl4、Al(CH3COO)2およびSi(CH3COO)4から選ばれる一つと、エタノールなどの有機溶媒または蒸留水との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はMgO、HfO2、Al2O3またはSiO2である。この場合にも、前記A’TiO3被覆時の前駆体と同様に、金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属水酸化物、金属ハロカルボン酸塩または金属カルボン酸塩などが使用できる。
【0047】
また、前記被覆組成物は、チタニウムイソプロポキシドまたはチタニウムカルボキシレートと、エタノールなどの有機溶媒との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はTiO2である。
【0048】
本発明の方法において、前記ii)段階の乾燥段階は、前記i)段階の混合物を80℃〜100℃で加熱し、或いは噴霧乾燥することにより行われてもよい。
【0049】
本発明の方法によってコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を製造するために、前記iii)段階のか焼温度は1000℃〜1150℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0050】
前述したように、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、従来の誘電体材料の周波数による電気的特性、および直流電流および交流電流の印加の際に電気的特性が向上した。
【0051】
例えば、CaCu3Ti4O12とBaTiO3からコア−シェル構造を形成した場合、従来のCaCu3Ti4O12材料は1MHzの周波数における誘電損失値が1.0以上であるが、これに対し、コア−シェル構造の焼結体は誘電損失値が0.25以下に低くなることを確認することができる。直流電場の下で、既存のCaCu3Ti4O12コア材料の場合は誘電破壊(dielectric breakdown)を起こす電圧が1V付近であるが、これに対し、コア−シェル構造を形成する場合は100V以上まで誘電破壊現象が起こらず、一定の抵抗率値を維持する。そして、交流電場の下で、従来のCaCu3Ti4O12コア材料の場合は1V以上で誘電破壊現象が起こるが、これに対し、コア−シェル構造を形成する場合は10V以上まで誘電破壊現象が起こらない。
【0052】
また、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を用いて、現在まで使用されている誘電体材料のうち最も高誘電率材料であるBaTiO3に比べて優れた誘電率を有する誘電体用セラミック粉末を製造することができる。
【0053】
例えば、従来の純粋なBaTiO3材料の場合、1KHzの周波数で約2000程度の誘電率を有するが、これに対し、CaCu3Ti4O12とBaTiO3からコア−シェル構造を形成した場合、1KHzの周波数で約10000程度の誘電率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1はCaCu3Ti4O12粉末にBaTiO3粉末を様々な比率で添加した混合物とCaCu3Ti4O12粉末の焼結体に対する誘電特性を示す。
【図2】図2は図1の混合物およびCaCu3Ti4O12粉末に対する微細構造を示す。
【図3】図3はCaCu3Ti4O12粉末、BaTiO3粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図4】図4はCaCu3Ti4O12粉末、BaTiO3粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図5】図5はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の直流電圧による漏洩電流を比較したグラフである。
【図6】図6はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の直流電圧による抵抗率を比較したグラフである。
【図7】図7はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の交流電圧による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図8】図8はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の交流電圧による誘電損失を比較したグラフである。
【図9】図9はCaCu3Ti4O12粉末、本発明のCaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェル粉末およびCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図10】図10はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェル粉末およびCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図11】図11はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェル粉末、およびCaCu3Ti4O12−MgOコア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図12】図12はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェル粉末、およびCaCu3Ti4O12−MgOコア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図13】図13は本発明の実施例3で得たCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末を熱処理した後に得た写真である。
【図14】図14は本発明の実施例3で得たCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末を熱処理した後に得た写真である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明について下記の実施例を挙げてより具体的に説明する。ところが、下記の実施例に関する説明は、本発明の具体的な実施態様を特定して説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定または制限解釈するためのものではない。
【0056】
実施例1.CaCu3Ti4O12粉末およびその焼結体の製造
モル比1:3:4のCaCO3、CuO、TiO2粉末を、ジルコニアボール(Zirconia ball)入りのポリエチレン容器に添加し、無水エタノールを用いて混合した後、ボールミル(ball milling)を行った。こうして形成されたスラリー(slurry)から溶媒を揮発させた。乾燥した粉末に対して粉砕(grinding)と濾過(sieving)を経て空気雰囲気中で5℃/minの昇温速度で950℃の温度で24時間か焼(calcination)を行った。
【0057】
その後、セラミック製造のために、前記と同様のボールミル、乾燥、粉砕および濾過工程を再び経て準備された粉末をディスク状に一軸加圧成形(uniaxial pressure)した後、150MPaの圧力で冷間静水圧プレス(cold isostatic press)を行った。こうして製造された試片を熱処理炉に装入し、5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度で24時間焼結(sintering)を行った。
【0058】
実施例2.CaCu3Ti4O12粉末とBaTiO3粉末との混合物およびその焼結体の製造
CaCu3Ti4O12粉末にそれぞれ5mol%、10mol%、15mol%および20mol%のBaTiO3粉末をボールミルを用いて混合した。前記混合物とCaCu3Ti4O12粉末をそれぞれディスク状に一軸加圧成形した後、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスを行った。こうして製造された試片を熱処理炉に装入し、5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度で24時間焼結を行った。
【0059】
図1には前記焼結体の誘電特性を示し、図2には前記混合物とCaCu3Ti4O12粉末に対する微細構造を示した。
【0060】
実施例3.CaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。そして、0.175gの(C2H3O2)2Ba溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Ba溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理を施した。こうして得た熱処理済みの粉末に対するTEM写真を図13および図14に示す。
【0061】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールド(mold)に充填した後、一軸加圧成形(uniaxialpressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1120℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極(silver paste)を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼き付けた。
【0062】
前記焼結体に対して直流電圧による漏洩電流(図5)および抵抗率(図6)、交流電流による相対誘電定数(図7)および誘電損失(図8)、並びに周波数による相対誘電定数(図9)および誘電損失(図10)を測定した。
【0063】
実施例4.CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.212gの(C2H3O2)2Ca溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Ca溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム溶液に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0064】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0065】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0066】
実施例5.CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.140gの(C2H3O2)2Sr溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Sr溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム溶液に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0067】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0068】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0069】
実施例6.CaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.145gの(C2H3O2)2・2Mg・4H2O溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2・2Mg・4H2O溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0070】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0071】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0072】
実施例7.CaCu3Ti4O12−MgOコア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.145gの(C2H3O2)2Mgを添加した後、100mLの無水エタノールを加えて(C2H3O2)2Mgが完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0073】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0074】
前記焼結体に対して周波数による誘電特性(図11および図12)を測定した。
【0075】
実施例8.CaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.191gの(C2H3O2)2Alを添加した後、100mLの無水エタノールを加えて(C2H3O2)2Alが完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0076】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0077】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【0078】
実施例9.CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した後、100mLの無水エタノールを加えてTi[OCH(CH3)2]4溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0079】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0080】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【0081】
実施例10.CaCu3Ti4O12−HfO2コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.191gのHfCl4を添加した後、100mLの無水エタノールを加えてHfCl4が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80rpm〜約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0082】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は前記熱処理済みの粉末1.2gをディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0083】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法に係り、より詳しくは、第1物質の粉末と第2物質の粉末を含む誘電体製造用焼結前駆体粉末、第1物質からなるコア(core)と第2物質からなるシェル(shell)の構造を持つコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末、およびこれらの製造方法に関する。前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックキャパシタも高容量薄層化が行われている。これにより、高電界によるDC−バイアスおよび温度による容量変化の特性などの信頼性特性が問題となっている。
【0003】
高誘電率の誘電体材料は、ペロブスカイト構造を持つBaTiO3(簡単にBTとも表記する)粉末を多く使用している。BT誘電体材料は直流電圧の印加による比誘電率の減少が大きいという欠点がある。これを解決するために、BT結晶粒子を微小化させているが、誘電率の減少および温度による容量変化の特性に悪影響を及ぼす結果が生じている。また、BT誘電体材料は各温度における相転移による原子の揺動によって4000以上の大きい誘電率を有する。ところが、このような原子の揺動によってDCバイアスの印加による比誘電率が大きく変化する特性を持っている。
【0004】
BaTiO3のDCバイアス特性を向上させるために、BaTiO3のA位に一部のCaを固溶させた(Ba1−xCax)TiO3(簡単にBCTとも表記する)誘電体材料が開発された(特許文献1及び2)。
【0005】
ところが、BCTにおけるCa固溶量が増加するにつれて全体的な体積の減少による原子の揺動が減少して(量子力学、フォノン(phonon)の運動距離)比誘電率が低下するという欠点を持っている。また、BaTiO3にCaが固溶するにつれてチップ焼成におけるCaの物質移動が良いため非正常粒成長が発生して電気的特性が低下するという問題が発生する。よって、これを解決するために、焼成プロファイルおよび雰囲気を用いるが、このためには多くの設備投資が求められる。
【0006】
このように、BT誘電体材料は、誘電率が高いという利点はあるが、DC−バイアスが大きいという欠点がある。また、BCT誘電体材料は、DCのバイアス特性は改善されるが、比誘電率が大幅減少するという欠点がある。
【0007】
特許文献3は、BaTiO3結晶粒子と(Ba1−xCax)TiO3結晶粒子を主成分として組成される誘電体磁器組成物およびこれを用いた積層セラミックキャパシタを開示する。
【0008】
ところが、BaTiO3の場合、120℃付近で相転移を起こすため、温度依存性が非常に大きく、大きい結晶格子c軸とa軸の比であるc/a軸間の比率(tetragonality)を維持しなければならないため、Mg化合物またはBa化合物、Y化合物またはRE化合物(Re:希土類元素)、Mn化合物またはCr化合物またはV化合物、Si化合物などの様々な付加化合物が含まれなければならない。よって、特許文献3によるキャパシタを製造する工程が複雑である。したがって、より優れた特性を持つ誘電体材料に対する要求が依然として存在する。
【0009】
非特許文献1(Deschanvresら)では、ペロブスカイト(perovskite)構造および0.7393nmの格子定数を有するCaCu3Ti4O12の製造を報告している。
【0010】
非特許文献2(Bochuら)では、CaCu3Ti4O12および関連チタネートの合成および構造を開示し、格子定数が0.7391nmであると報告している。
【0011】
特許文献4(Yandrofskiら)は、同調可能な強誘電体を混入した、同調式マイクロ波およびミリメートル波素子を開示している。
【0012】
特許文献5は、誘電体CaCu3Ti4O12(CCTO)を混入した同調式素子を開示する。
【0013】
ところが、特許文献5によれば、CaCu3Ti4O12誘電体材料自体が周波数特性に影響されない同調式素子に有用であるとしたが、1KHz〜1MHzまで90,000以上の誘電定数値を有するCaCu3Ti4O12の場合には100KHz以上で誘電損失が大きいうえ、直流および交流電圧下における誘電特性が低下するという問題点がある。よって、特許文献5の技術は現在商用化されていない。
【0014】
このような先行技術の限界点を克服するために、常温の100Hzで105以上の相対誘電定数(εr>105)を有する高誘電物質としてのCaCu3Ti4O12に関する研究が盛んに行われている。前記CaCu3Ti4O12は一般な誘電体材料より著しく優れた誘電定数値を有する。前記CaCu3Ti4O12は高誘電物質が必要なMLCC(Multi Layered Ceramic Capacitor)などの分野で利用できる。
【0015】
ところが、従来のCaCu3Ti4O12誘電体材料は、周波数100KHz以上で誘電損失(Dielectric loss)が急激に増加するため、特定の周波数帯域では商用化されていない。そして、直流電圧(DC field)と交流電圧(AC field)の印加による比誘電率の減少(DC-bias)が大きいという欠点がある。
【0016】
かかる問題点を解決するために、CaCu3Ti4O12にMn、ZrO2、SiO2などの物質を添加することや、CaCu3Ti4O12におけるCuの組成を調節することなどの多様な試みがあった。最近では、固相焼結工程(solid-state sintering process)の他にも、マイクロ波合成法(Microwave synthesis)、ゾルゲル合成法(Sol-gel synthesis)などのように合成法を変えて誘電特性を改善しようとした。
【0017】
ところが、今まで、高誘電物質としてのCaCu3Ti4O12の高い誘電率を維持しながら広い周波数帯域で誘電損失を減らす誘電体材料を実現する結果を得ていない。
【0018】
本発明者は、前述した先行技術の問題点を克服するために、CaCu3Ti4O12、SrCu3Ti4O12、BaCu3Ti4O12、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOなどの粉末と、これらのコア物質より誘電率は低いが、高周波領域における誘電損失が少ないCaTiO3、SrTiO3、BaTiO3、MgTiO3などのペロプスカイト系(Perovskite-Type)物質またはAl2O3、TiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、HfO2などの単一金属酸化物(Single Metal Oxides)の混合物を含む誘電体製造用焼結前駆体粉末、およびその製造方法を完成した。
【0019】
また、本発明者は、CaCu3Ti4O12、SrCu3Ti4O12、BaCu3Ti4O12、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOなどの粉末がコアを構成し、このようなコア物質より誘電率は低いが、高周波領域における誘電損失が少ないCaTiO3、SrTiO3、BaTiO3、MgTiO3などのペロプスカイト系物質、またはAl2O3、TiO2、MgO、CaO、SrO、BaO、HfO2などの単一金属酸化物がシェル層を構成するコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末およびその製造方法を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2003−277136号公報
【特許文献2】特開2004−079686号公報
【特許文献3】韓国特許出願第10−2005−0033009号明細書
【特許文献4】米国特許第5,472,935号明細書
【特許文献5】国際特許出願PCT/US2001/014297号明細書
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Bull. Soc. Chim. Fr. 4077(1967)
【非特許文献2】J. Solid State Chem.29, 291(1979)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の基本的な目的は、第1物質の物質と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、第1物質の粉末と第2粉末の粉末とを混合する段階を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、第1物質からなるコアと第2物質からなるシェルの構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなる、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記本発明の基本的目的は、第1物質の粉末と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにより達成できる。
【0027】
本発明の誘電体製造用焼結前駆体粉末に含まれる前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0028】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0029】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0030】
CCTOとBTOを粉末状に混合して焼結した焼結体は、CCTO粉末のみを用いて焼結した焼結体と比較して誘電損失特性が向上する。
【0031】
前述した本発明の別の目的は、第1物質の粉末と第2物質の粉末とを混合する段階を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きい、誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにより達成できる。
【0032】
本発明の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法に使用される前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0033】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0034】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2またはLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0035】
前述した本発明の別の目的は、第1物質からなるコア(core)と第2物質からなるシェル(shell)の構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を提供することにより達成できる。
【0036】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末において、前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差は25℃で1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。
【0037】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0038】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0039】
本発明の前駆体粉末から製造される誘電体物質は、従来の代表的な誘電体材料BaTiO3より3倍〜5倍以上の誘電率を示しながらも、105Hz以上の高周波帯域における誘電損失が非常に小さいため、従来の技術によるBaTiO3粉末より卓越した誘電体材料としての性能を示す。
【0040】
本発明に係るコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、前記第1物質の相対誘電定数より小さい相対誘電定数を有する第3物質からなるシェルを、前記第2物質からなるシェル上にさらに含んでもよい。すなわち、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、2つ以上のシェル層を持ってもよい。
【0041】
前述した本発明の別の目的は、i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなる、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法を提供することにより達成できる。
【0042】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法に使用される前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択でき、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1である。
【0043】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法において、前記被覆組成物は、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2などのアセテート(acetate)またはMg(C5H7O2)2、Ca(C5H7O2)2、Sr(C5H7O2)2、Ba(C5H7O2)2などのアセチルアセトネート(acetylacetonate)から選ばれる一つまたは2つの前駆体とチタニウムイソプロポキシド(titanium isopropoxide)との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はA’TiO3であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0044】
より詳しくは、前記A’のための前駆体として金属ハロゲン化物(metal halide)、金属窒化物(metal nitride)、金属水酸化物(metal hydroxide)、金属ハロカルボン酸塩(metal halocarboxylate)などが使用でき、Tiのための前駆体として金属ハロゲン化物、金属カルボン酸塩(metal carboxylate)、金属ハロカルボン酸塩などが使用できる。
【0045】
本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法において、前記被覆組成物は、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2またはBa(CH3COO)2から選ばれる一つまたは二つ、チタニウムイソプロポキシド(titanium isopropoxide)、アセチルアセトンおよび酢酸の混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はA’TiO3であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1である。
【0046】
また、シェルを構成する物質が単一金属酸化物の場合、前記被覆組成物に使用される前駆体は、Mg(CH3COO)2、HfCl4、Al(CH3COO)2およびSi(CH3COO)4から選ばれる一つと、エタノールなどの有機溶媒または蒸留水との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はMgO、HfO2、Al2O3またはSiO2である。この場合にも、前記A’TiO3被覆時の前駆体と同様に、金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属水酸化物、金属ハロカルボン酸塩または金属カルボン酸塩などが使用できる。
【0047】
また、前記被覆組成物は、チタニウムイソプロポキシドまたはチタニウムカルボキシレートと、エタノールなどの有機溶媒との混合物であってもよい。この場合、シェルを構成する物質はTiO2である。
【0048】
本発明の方法において、前記ii)段階の乾燥段階は、前記i)段階の混合物を80℃〜100℃で加熱し、或いは噴霧乾燥することにより行われてもよい。
【0049】
本発明の方法によってコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を製造するために、前記iii)段階のか焼温度は1000℃〜1150℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0050】
前述したように、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末は、従来の誘電体材料の周波数による電気的特性、および直流電流および交流電流の印加の際に電気的特性が向上した。
【0051】
例えば、CaCu3Ti4O12とBaTiO3からコア−シェル構造を形成した場合、従来のCaCu3Ti4O12材料は1MHzの周波数における誘電損失値が1.0以上であるが、これに対し、コア−シェル構造の焼結体は誘電損失値が0.25以下に低くなることを確認することができる。直流電場の下で、既存のCaCu3Ti4O12コア材料の場合は誘電破壊(dielectric breakdown)を起こす電圧が1V付近であるが、これに対し、コア−シェル構造を形成する場合は100V以上まで誘電破壊現象が起こらず、一定の抵抗率値を維持する。そして、交流電場の下で、従来のCaCu3Ti4O12コア材料の場合は1V以上で誘電破壊現象が起こるが、これに対し、コア−シェル構造を形成する場合は10V以上まで誘電破壊現象が起こらない。
【0052】
また、本発明のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末を用いて、現在まで使用されている誘電体材料のうち最も高誘電率材料であるBaTiO3に比べて優れた誘電率を有する誘電体用セラミック粉末を製造することができる。
【0053】
例えば、従来の純粋なBaTiO3材料の場合、1KHzの周波数で約2000程度の誘電率を有するが、これに対し、CaCu3Ti4O12とBaTiO3からコア−シェル構造を形成した場合、1KHzの周波数で約10000程度の誘電率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1はCaCu3Ti4O12粉末にBaTiO3粉末を様々な比率で添加した混合物とCaCu3Ti4O12粉末の焼結体に対する誘電特性を示す。
【図2】図2は図1の混合物およびCaCu3Ti4O12粉末に対する微細構造を示す。
【図3】図3はCaCu3Ti4O12粉末、BaTiO3粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図4】図4はCaCu3Ti4O12粉末、BaTiO3粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図5】図5はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の直流電圧による漏洩電流を比較したグラフである。
【図6】図6はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の直流電圧による抵抗率を比較したグラフである。
【図7】図7はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の交流電圧による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図8】図8はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の交流電圧による誘電損失を比較したグラフである。
【図9】図9はCaCu3Ti4O12粉末、本発明のCaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェル粉末およびCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図10】図10はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェル粉末およびCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図11】図11はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェル粉末、およびCaCu3Ti4O12−MgOコア−シェル粉末の焼結体の周波数による相対誘電定数を比較したグラフである。
【図12】図12はCaCu3Ti4O12粉末および本発明のCaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェル粉末、CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェル粉末、およびCaCu3Ti4O12−MgOコア−シェル粉末の焼結体の周波数による誘電損失を比較したグラフである。
【図13】図13は本発明の実施例3で得たCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末を熱処理した後に得た写真である。
【図14】図14は本発明の実施例3で得たCaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェル粉末を熱処理した後に得た写真である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明について下記の実施例を挙げてより具体的に説明する。ところが、下記の実施例に関する説明は、本発明の具体的な実施態様を特定して説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定または制限解釈するためのものではない。
【0056】
実施例1.CaCu3Ti4O12粉末およびその焼結体の製造
モル比1:3:4のCaCO3、CuO、TiO2粉末を、ジルコニアボール(Zirconia ball)入りのポリエチレン容器に添加し、無水エタノールを用いて混合した後、ボールミル(ball milling)を行った。こうして形成されたスラリー(slurry)から溶媒を揮発させた。乾燥した粉末に対して粉砕(grinding)と濾過(sieving)を経て空気雰囲気中で5℃/minの昇温速度で950℃の温度で24時間か焼(calcination)を行った。
【0057】
その後、セラミック製造のために、前記と同様のボールミル、乾燥、粉砕および濾過工程を再び経て準備された粉末をディスク状に一軸加圧成形(uniaxial pressure)した後、150MPaの圧力で冷間静水圧プレス(cold isostatic press)を行った。こうして製造された試片を熱処理炉に装入し、5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度で24時間焼結(sintering)を行った。
【0058】
実施例2.CaCu3Ti4O12粉末とBaTiO3粉末との混合物およびその焼結体の製造
CaCu3Ti4O12粉末にそれぞれ5mol%、10mol%、15mol%および20mol%のBaTiO3粉末をボールミルを用いて混合した。前記混合物とCaCu3Ti4O12粉末をそれぞれディスク状に一軸加圧成形した後、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスを行った。こうして製造された試片を熱処理炉に装入し、5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度で24時間焼結を行った。
【0059】
図1には前記焼結体の誘電特性を示し、図2には前記混合物とCaCu3Ti4O12粉末に対する微細構造を示した。
【0060】
実施例3.CaCu3Ti4O12−BaTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。そして、0.175gの(C2H3O2)2Ba溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Ba溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理を施した。こうして得た熱処理済みの粉末に対するTEM写真を図13および図14に示す。
【0061】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールド(mold)に充填した後、一軸加圧成形(uniaxialpressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1120℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極(silver paste)を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼き付けた。
【0062】
前記焼結体に対して直流電圧による漏洩電流(図5)および抵抗率(図6)、交流電流による相対誘電定数(図7)および誘電損失(図8)、並びに周波数による相対誘電定数(図9)および誘電損失(図10)を測定した。
【0063】
実施例4.CaCu3Ti4O12−CaTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.212gの(C2H3O2)2Ca溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Ca溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム溶液に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0064】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0065】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0066】
実施例5.CaCu3Ti4O12−SrTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.140gの(C2H3O2)2Sr溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2Sr溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム溶液に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0067】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0068】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0069】
実施例6.CaCu3Ti4O12−MgTiO3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した。0.145gの(C2H3O2)2・2Mg・4H2O溶液を前記ビーカーに添加した後、100mLの酢酸を加えて(C2H3O2)2・2Mg・4H2O溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで酢酸が完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0070】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0071】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図9)と誘電損失(図10)を測定した。
【0072】
実施例7.CaCu3Ti4O12−MgOコア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.145gの(C2H3O2)2Mgを添加した後、100mLの無水エタノールを加えて(C2H3O2)2Mgが完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0073】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0074】
前記焼結体に対して周波数による誘電特性(図11および図12)を測定した。
【0075】
実施例8.CaCu3Ti4O12−Al2O3コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.191gの(C2H3O2)2Alを添加した後、100mLの無水エタノールを加えて(C2H3O2)2Alが完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0076】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0077】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【0078】
実施例9.CaCu3Ti4O12−TiO2コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.205mLのTi[OCH(CH3)2]4と0.22mLのアセチルアセトン(C5H8O2)を添加した後、100mLの無水エタノールを加えてTi[OCH(CH3)2]4溶液が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80℃で約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0079】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は1.2gの粉末をディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0080】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【0081】
実施例10.CaCu3Ti4O12−HfO2コア−シェルおよびその焼結体の製造
ビーカーに0.191gのHfCl4を添加した後、100mLの無水エタノールを加えてHfCl4が完全に溶けるまで攪拌した。次いで、10gのCaCu3Ti4O12粉末をビーカーに入れて1時間程度攪拌した。その後、混合された溶液を80rpm〜約200rpmで前記無水エタノールが完全に揮発するまで攪拌した。前記乾燥した粉末をアルミニウム容器に入れて電気炉で1.5℃/minの昇温速度で1100℃まで昇温させた後、前記温度で12時間熱処理した。
【0082】
前記熱処理済みの粉末を臼で粉砕し、篩に掛けた後、電気的特性を測定するために焼結過程を経た。焼結過程は前記熱処理済みの粉末1.2gをディスク状の15Φモールドに充填した後、一軸加圧成形(uniaxial pressure)し、しかる後に、150MPaの圧力で冷間静水圧プレスする過程で行った。前記成形体を電気炉で5℃/minの昇温速度で1060℃まで昇温させた後、前記温度を12時間維持して焼結した。焼結の後、前記焼結体の両面に銀電極を塗布した後、5℃/minにて600℃で焼付けした。
【0083】
前記焼結体に対して周波数による相対誘電定数(図11)と誘電損失(図12)を測定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物質の粉末と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項2】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項3】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項4】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項5】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト(perovskite)構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項6】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項7】
第1物質の粉末と第2物質の粉末とを混合する段階を含み、
前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項8】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項9】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項10】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項11】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項12】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項13】
第1物質からなるコアと第2物質からなるシェルの構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項14】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項15】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項16】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項17】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項18】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項19】
前記コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末が、前記第1物質の相対誘電定数より小さい相対誘電定数を有する第3物質からなるシェルを、前記第2物質からなるシェル上にさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項20】
前記第3物質は、前記第2物質とは異なる物質であり、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項19に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項21】
i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、
ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、
iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなることを特徴とする、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項22】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項23】
前記シェル層がA’TiO3の場合には、前記被覆組成物が、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2、Mg(C5H7O2)2、Ca(C5H7O2)2、Sr(C5H7O2)2およびBa(C5H7O2)2よりなる群から選ばれる一つまたは2つと、チタニウムイソプロポキシドとの混合物であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項24】
前記シェル層がTiO2を除いた単一金属酸化物の場合には、前記被覆組成物が、Mg(C2H3O2)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2、HfCl4およびAl(CH3COO)2よりなる群から選ばれる一つとエタノールとの混合物であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項25】
前記シェル層がTiO2の場合には、前記被覆組成物がチタニウムイソプロポキシドとエタノールとの混合物であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項26】
前記ii)段階の乾燥段階が、前記i)段階の混合物を80℃〜100℃に加熱することにより行われることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項27】
前記ii)段階の乾燥段階が噴霧乾燥によって行われることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項28】
前記iii)段階のか焼温度が1000℃〜1150℃であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項1】
第1物質の粉末と第2物質の粉末を含み、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項2】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項3】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項4】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項5】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト(perovskite)構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項6】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項7】
第1物質の粉末と第2物質の粉末とを混合する段階を含み、
前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項8】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項9】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項10】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項11】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項12】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項13】
第1物質からなるコアと第2物質からなるシェルの構造を有し、前記第1物質の相対誘電定数が前記第2物質の相対誘電定数より大きいことを特徴とする、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項14】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で1000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項15】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で3000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項16】
前記第1物質の相対誘電定数と前記第2物質の相対誘電定数との差が25℃で5000以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項17】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項18】
前記第2物質は、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項19】
前記コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末が、前記第1物質の相対誘電定数より小さい相対誘電定数を有する第3物質からなるシェルを、前記第2物質からなるシェル上にさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項20】
前記第3物質は、前記第2物質とは異なる物質であり、A’TiO3、Al2O3、HfO2、TiO2、MgO、SiO2およびLaLuO3よりなる群から選択され、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項19に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末。
【請求項21】
i)第1物質の粉末と被覆組成物とを混合して前記第1誘電体の粉末を被覆する段階と、
ii)前記i)段階の混合物を乾燥させる段階と、
iii)前記ii)段階の乾燥した混合物をか焼し、前記第1物質からなるコア上に、第2物質からなるシェル層を形成させる段階とを含んでなることを特徴とする、コア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項22】
前記第1物質は、LiとTiがドープされたNiO、LiとAlがドープされたNiO、CuOおよびペロブスカイト構造のACu3Ti4O12よりなる群から選択され、前記AはCa、Sr、Ca1−xSrx、Sr1−xBax、Ca1−xBax、Sc2/3、Y2/3、La2/3、Ce2/3、Pr2/3、Nd2/3、Pm2/3、Sm2/3、Eu2/3、Gd2/3、Tb2/3、Dy2/3、Ho2/3、Er2/3、Tm2/3、Yb2/3、Lu2/3、Na1/2La1/2、Na1/2Sm1/2、Na1/2Gd1/2、Na1/2Dy1/2、Na1/2Yb1/2、Na1/2Y1/2またはNa1/2Bi1/2であり、0<x<1であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項23】
前記シェル層がA’TiO3の場合には、前記被覆組成物が、Mg(CH3COO)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2、Mg(C5H7O2)2、Ca(C5H7O2)2、Sr(C5H7O2)2およびBa(C5H7O2)2よりなる群から選ばれる一つまたは2つと、チタニウムイソプロポキシドとの混合物であり、前記A’はMg、Ca、Sr、Ba、Mg1−xCax、Mg1−xSrx、Mg1−xBax、Ca1−xSrx、Sr1−xBaxまたはCa1−xBaxであり、0<x<1であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項24】
前記シェル層がTiO2を除いた単一金属酸化物の場合には、前記被覆組成物が、Mg(C2H3O2)2、Ca(CH3COO)2、Sr(CH3COO)2、Ba(CH3COO)2、HfCl4およびAl(CH3COO)2よりなる群から選ばれる一つとエタノールとの混合物であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項25】
前記シェル層がTiO2の場合には、前記被覆組成物がチタニウムイソプロポキシドとエタノールとの混合物であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項26】
前記ii)段階の乾燥段階が、前記i)段階の混合物を80℃〜100℃に加熱することにより行われることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項27】
前記ii)段階の乾燥段階が噴霧乾燥によって行われることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【請求項28】
前記iii)段階のか焼温度が1000℃〜1150℃であることを特徴とする、請求項21に記載のコア−シェル構造の誘電体製造用焼結前駆体粉末の製造方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図13】
【図14】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−517955(P2012−517955A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551004(P2011−551004)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000994
【国際公開番号】WO2010/095860
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511092011)
【氏名又は名称原語表記】SNU R&DB FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San 56−1, Sillim−dong, Gwanak−gu, Seoul 151−742 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000994
【国際公開番号】WO2010/095860
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511092011)
【氏名又は名称原語表記】SNU R&DB FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San 56−1, Sillim−dong, Gwanak−gu, Seoul 151−742 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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