説明

論理回路の故障箇所推定システムと故障箇所推定方法及び故障箇所推定プログラム

【課題】論理回路内部のスキャン・チェイン上の単一固定故障に対して、スキャン・チェインに特化した故障辞書を用いて、テスト結果と照合することで、処理時間を短縮して推定する。
【解決手段】論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、故障スキャン・チェイン特定手段22と、スキャン・チェイン故障辞書を作成しスキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成手段25と、故障スキャンFF絞り込み手段23と、フェイル出力情報を階層毎に比較照合して一致する故障候補箇所のパスビットも含めた一致率を算出し、スキャン・チェイン名(番号)とスキャンFF名とスキャン・ビット番号と信号線と信号線分岐と故障種別と一致率とレイアウト情報と近接信号線情報を、故障推定結果として出力するスキャン・チェイン故障辞書照合手段26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、論理回路における故障箇所推定システム、方法、プログラムに関し、特に、スキャン設計された論理回路においてスキャン・チェイン上に存在する故障箇所を推定する故障箇所推定システムと方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャン(scan)設計回路におけるスキャン・チェイン(scan chain)上の故障を推定する故障箇所推定システムとしては、非特許文献1、2等が参照される。
【0003】
非特許文献1の記載のシステムは、スキャン・チェイン動作検証テストにおいて、フェイル(fail)した論理回路の内、単一スキャン・チェイン故障と確認されたものを対象として、特定のテストパタンで不良品をテストし、得られたテスト結果から、故障スキャン・フリップフロップ(scan Flip−Flop)(「スキャンFF」(scan FF)と略記される)の故障範囲を絞り込み、その後、故障シミュレーションにより、詳細に故障箇所を特定する故障箇所推定システムである。
【0004】
以下、最初の絞り込みで求めた候補を「1次候補」と呼び、最終的に故障シミュレーションで求めた候補を「2次候補」と呼ぶ。
【0005】
まず、スキャン設計回路に関する用語、及びスキャン・テスト方法、スキャン・テスト動作について、図10を用いて説明する。
【0006】
図10は、1本のスキャン・チェインが存在するスキャン設計回路を表している。外側の実線は回路全体を表し、回路内の点線がスキャン・チェインを表す。
【0007】
スキャン・チェインは、スキャンFF、及び、信号線、セルからなる。
【0008】
図10の点線上の小さい四角(■)がスキャンFFを表し、点線で囲まれた矩形部分(user回路)は、スキャン・チェインで区切られた組み合わせ回路(テスト対象回路)となる。
【0009】
通常のスキャン・テスト動作は、スキャン入力(Scan in:Sin)側のスキャンFF端子から、LSIテスタの出力(Tester out)から設定値(データ)が印加(shift in)され、各スキャンFFに値が設定される(ロード(load)動作)。
【0010】
その後、システム・クロック(キャプチャ・クロック)を印加して組み合わせ回路(User回路)の出力データをスキャンFFに取り込む(キャプチャ動作)。
【0011】
最後にスキャン出力(Scan out:Sout)側のスキャンFFからスキャンFF内に取り込まれた状態値を出力(shift out)し(アンロード動作)、LSIテスタに入力することで(Tester in)、組み合わせ回路(User回路)内の内部情報を得ることができる。この一連のスキャン・テスト動作を「スキャン・テスト」と呼ぶ。
【0012】
スキャン・チェインが正常であり、テスト対象の組み合わせ回路(User回路)内に故障が存在する場合、ロード(load)動作によってスキャン・チェインに正しい状態値を設定し、キャプチャ(capture)動作によって、テスト対象の組み合わせ回路(User回路)内の故障から生じた誤り状態を伝搬させて、スキャンFF(図10ではF1、F2、F3、F4)に取り込み、アンロード(unload)動作によって、SoutからLSIテスタに取り込むことによって、故障によって生じた誤りの振る舞いをスキャン・テスト結果として、得ることができる。
【0013】
スキャン設計回路に対する通常の故障診断(ロジック故障診断)では、
上記のスキャン・テスト結果と、
スキャン設計回路の構成情報や、
信号線の期待値
等を利用して、故障シミュレーション手法や故障の伝搬経路を遡る手法によって、故障箇所を推定する。
【0014】
つまり、ロジック故障診断を行うためには、ロード動作時にスキャンFFに正しく状態値を設定し、アンロード動作時には、スキャンFFに取り込まれた状態値が故障の影響を受けることなく出力される必要がある。
【0015】
スキャン・チェイン上に故障が存在すると、スキャン・シフト中に故障箇所を通過した論理値は、その故障の影響を受ける。
【0016】
(A)ロード動作時には、故障箇所の下流側に位置するスキャンFFに対してSinから値を設定するためには、当該故障箇所を通過する必要があることから、正しい値を設定することはできない。
【0017】
(B)また、アンロード時には、故障箇所の上流側に位置するスキャンFFの論理値は、故障箇所を通過してスキャン・アウトされるため、故障箇所の上流側に位置するスキャンFFの保持していた論理値はそのまま出力されることはない。
【0018】
上記(A)、(B)の場合、スキャン・チェインが正常動作をすることを前提としているロジック故障診断は適用できない。
【0019】
しかしながら、実際の故障では、スキャン・チェインに故障が存在することもある。そのような場合には、後述される本発明のようなスキャン・チェイン上の故障箇所の絞り込み手法が必要となる。
【0020】
スキャン・チェイン上に故障が生じたときの現象と用語の定義について、図11を用いて説明する。図11に示す例は、10個のスキャンFFからなるスキャン・チェイン(scan chain)を表している。スキャンFFは、スキャン・アウト(Sout)端子側から順番にインデックス(Index)番号が付けられる。図11の例では、Soutから順にインデックス番号0、1、・・・、9が付けられている。あるスキャンFFに注目すると、そのスキャンFFに対してスキャン・イン(Sin)側を上流(upstream)、スキャン・アウト(Sout)側を下流(downstream)と呼ぶ。
【0021】
例えば図11のスキャンFF5の上流には、スキャンFF6、7、8、9が存在し、下流には、スキャンFF4、3、2、1、0が存在する。注目しているスキャンFF自身を下流に含めることもある。
【0022】
ロード動作では、前述のように、Sin端子から各スキャンFFにシフトしながら値を入力する(状態値を印加する)。アンロード動作では、スキャンFFの値をSout端子から出力する。なお、ロードのことを「Scan−in」、「Shift−in」、アンロードのことを「Scan−out」、「Shift−out」ということもある。
【0023】
ロード/アンロード動作時には、スキャン・チェイン上の状態値は、スキャン入力(Sin)端子からスキャン出力(Sout)端子に向かってスキャン・シフトする。
【0024】
ロード動作、アンロード動作のデータ(設定値)の表記方法としては、Sin端子に近いスキャンFFから論理値が列挙される。例えば、{00110011}という表記があった場合、左端の0がSin端子側のスキャンFF9のデータ、右端の1がSout端子側のスキャンFF0のデータを表している。
【0025】
スキャン・チェインが正常動作していることを確認する方法は、スキャン・チェイン動作検証テスト(フラッシュ・テスト(Flush test)、あるいはスキャン・チェック(Scan Check)ともいう)を利用する。スキャン・チェイン動作検証テストは、ロード動作時に、{000000}(all−0)、{111111}(all−1)、{00110011}等の特別なテストベクタを印加し、キャプチャ動作は行わず、そのままアンロード動作で状態値を出力する。
【0026】
スキャン・チェイン動作検証テストにおいて、スキャン・チェインが正常動作している場合は、キャプチャ動作を行わないため、Sin端子へのスキャン・インデータがそのまま、Sout端子からスキャン・アウトされる。
【0027】
一方、スキャン・チェイン上に故障がある場合には、Sin端子からの入力データパターンとSout端子からの出力データパターンの値が異なるため、故障スキャン・チェインを特定できる。
【0028】
ここで、スキャン・チェインの不良動作を、固定故障と不定故障の2つに分けて考える。
【0029】
スキャン・チェインの固定故障は、スキャン・チェイン動作検証テストでどんなテストベクタを印加しても得られるテスト結果の出力値がすべて‘0’または‘1’で固定されている状態である。
【0030】
出力値が‘0’固定されている場合、故障種別を、スキャン・チェイン上の「stuck−at 0故障」と呼ぶ。
【0031】
出力値が‘1’固定されている場合は、故障種別をスキャン・チェイン上の「stuck−at 1故障」と呼ぶ。
【0032】
スキャン・チェインの不定故障は、スキャン・チェイン動作検証テストでテスト結果の出力値が‘0’でも‘1’でもフェイル信号を検出する状態とする。
【0033】
以上を踏まえて、関連技術の構成について図12、図13、図14、図15、図16、図17を参照して詳細に説明する。
【0034】
図12は、故障箇所推定システムの典型的な構成の一例を示す図である(本願発明者が作成)。図12を参照すると、この関連技術のシステムは、キーボード、または外部とのインターフェース部がある入力装置1と、プログラム制御により動作するデータ処理装置2と、ハードディスクやメモリ等の情報を記憶する記憶装置3と、外部とのインターフェース部であるディスプレイ装置や印刷装置等の出力装置4とから構成されている。
【0035】
記憶装置3は、論理回路テスト結果情報記憶部31と、故障スキャン・チェイン記憶部32と、故障スキャンFF記憶部33とを備えている。
【0036】
論理回路テスト結果情報記憶部31は、
スキャン・テスト時の入出力信号であるスキャン・テストパタン、
回路が正常動作しているときの各信号線の論理状態(期待値)、
テストでフェイル検出したスキャンFFとその論理状態、すなわち、フェイル(fail)観測スキャンFF情報等
を記憶している。また、論理回路テスト結果情報記憶部31は、
論理回路の構成、すなわち、
ゲートの種類、
ゲート同士の接続関係、
ゲートと信号線の接続関係、
信号線同士の接続関係、
レイアウト情報
等を記憶している。
【0037】
故障スキャン・チェイン記憶部32は、故障スキャン・チェイン特定手段22の結果である、
故障スキャン・チェイン、及び、
故障スキャン・チェインの故障種別
を記憶している。
【0038】
故障スキャンFF記憶部33は、故障スキャンFF絞り込み手段23の結果である故障スキャンFF候補の範囲を記憶している。
【0039】
データ処理装置2は、初期設定手段21と、故障スキャン・チェイン特定手段22と、故障スキャンFF絞り込み手段23と、故障シミュレーション比較手段24と、を備えている。
【0040】
初期設定手段21は、論理回路テスト結果情報記憶部31を参照して、論理回路の種類、入出力端子の論理状態を設定し、信号線の論理状態を初期化する。
【0041】
故障スキャン・チェイン特定手段22は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記録された、
論理回路の構成情報と、
テストパタンと、
スキャン・チェイン動作検証テスト結果と、
を参照して、
故障スキャン・チェインと、
その故障種別
を求め、故障スキャン・チェイン情報として、故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶する。
【0042】
故障スキャンFF絞り込み手段23は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された、
論理回路の構成情報、
各信号線の期待値、
テスト結果、及び、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェインと、
故障種別と
を参照し、
「スキャン・チェイン上の固定故障が存在するときに、スキャン・アウトした出力が故障の影響を受けて故障値が連続する」ことを利用して、故障の可能性の高いスキャンFFの範囲を絞り込み、故障スキャンFF候補として、故障スキャンFF記憶部33に記憶する。
【0043】
故障シミュレーション比較手段24は、論理回路テスト結果情報記憶部31と、故障スキャン・チェイン記憶部32と、故障スキャンFF記憶部33を参照して、各故障スキャンFF候補に故障種別を設定して故障シミュレーションを行い、
故障シミュレーション結果とスキャン・テスト結果の一致率が最も高いスキャンFFと、
故障種別と、
を出力装置4に出力する。
【0044】
図13は、図12の関連技術のスキャン・チェイン故障の故障箇所推定システムの動作例を説明する流れ図である。図12及び図13を参照して、関連技術の動作について詳細に説明する。
【0045】
まず、初期設定手段21において、論理回路テスト結果情報記憶部31を参照して、論理回路の種類、入出力端子の論理状態を設定し、信号線の論理状態を初期化する(図13のステップA1)。
【0046】
次に、故障スキャン・チェイン特定手段22において、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
信号線の期待値と、
スキャン・チェイン動作検証テスト結果と、
を参照して、スキャン・チェインの動作判定を行い、
フェイル観測スキャンFFが存在するスキャン・チェインを特定し、
各スキャン・チェインのフェイル観測スキャンFFの状態値を集計して故障スキャン・チェインの故障種別を、固定故障と不定故障のいずれであるか判別し、故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶する。
【0047】
故障スキャン・チェインの数が2本以上である場合(1本であるかの判定におけるNo分岐)や、
故障スキャン・チェインの故障種別が不定の場合(固定故障であるかの判定におけるNo分岐)、診断処理を終了する(図13のステップA2)。
【0048】
故障スキャンFF絞り込み手段23において、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
スキャン設計回路の構成、
信号線の期待値、
スキャン・テスト結果、及び、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェイン情報と、
故障種別情報と
を参照して、スキャン・アウトされた出力データにおいて、故障スキャン・チェインの最も上流(Sin側)のスキャンFFから連続して故障値となっている出力値をカウントし、故障の影響を受けたと推定されるデータに対応するスキャンFFの範囲を、故障スキャンFF候補の範囲(1次候補)として、故障スキャンFF記憶部33に記憶する(図13のステップA3)。
【0049】
ここで、図14を用いて、故障スキャンFF絞り込み手段23の故障スキャンFFの絞り込みについて、固定故障(stuck−at 1故障)を例として説明する(本願発明者により作成)。
【0050】
stuck−at 1故障は、アンロード動作時に、故障スキャンFFを通過した値が‘1’に固定される故障であるため、出力期待値が‘0’の時に、出力値が‘1’となる。図14の例では、スキャンFF5、6、7、9の出力期待値が‘0’、出力値が‘1’であることから、stuck−at 1故障の影響を受けている可能性がある。その中で、最もSout側のスキャンFF5に故障があると、アンロード動作時に、スキャンFF5、6、7、9のすべてに影響があるため、最も有力な故障候補となる。
【0051】
しかし、実際には、ロード動作時にも、故障の影響を受け、キャプチャ動作によってスキャン・チェインの故障状態が拡散するので、スキャンFF5からスキャンFF9までは、すべて故障スキャンFF候補となる。
【0052】
さらに、スキャンFF2、FF3、FF4は出力期待値が‘1’であり、出力値が‘1’であることから、故障の影響の有無を判別できない。このため、故障スキャンFF候補となる。つまり、スキャンFF2からスキャンFF9までが故障スキャンFF候補の範囲となる。
【0053】
最後に、故障シミュレーション比較手段24において、論理回路テスト結果情報記憶部31を参照して、信号線の論理値等を設定し、故障スキャン・チェイン記憶部32と、故障スキャンFF記憶部33を参照して、故障スキャンFF候補の範囲に在る各スキャンFFに対して故障を設定し、故障シミュレーションを行う。
【0054】
故障シミュレーション比較手段24は、故障シミュレーション結果と、スキャンFFのテスト結果との一致率が最も高い(scoreが高い)スキャンFFを、故障候補(2次候補)として、出力装置4に出力する(図13のステップA4)。
【0055】
故障シミュレーション結果とスキャン・チェインの動作判定テスト結果の一致率(score)の導出手法の一例について、図15を用いて説明する。
【0056】
故障シミュレーション結果とテスト結果(スキャン・チェインの動作判定テスト結果)の一致率の導出は、図15に示すように、
TFSF:スキャン・チェインの動作判定テストを行うテスタ(tester)でフェイル、故障シミュレーション(sim)でフェイルするスキャンFFの数;
TFSP:テスタでフェイル、故障シミュレーションでパスするスキャンFFの数;
TPSF:テスタでパス、故障シミュレーションでフェイルするスキャンFFの数;
TPSP:テスタでパス、故障シミュレーションでフェイルするスキャンFFの数;
という4つの要素を用いて、次式で求められる。
【0057】


・・・(1)
【0058】
この計算式は、最も一般的な計算式である。故障シミュレーションの結果と、テスタでの観測値が完全に一致した場合には、TFSP=TPSF=0となり、計算式(1)のscoreは100となる。
【0059】
<関連技術の課題の分析>
以下に、関連技術の課題の分析を与える(以下は本願発明者による分析結果である)。
【0060】
関連技術では、故障スキャンFFを中心に下流側へ故障値と同じ論理が連続して観測された場合、絞り込み範囲が広くなる傾向にあり、絞り込み範囲の故障スキャンFF候補に対して、故障シミュレーションの回数が多くなり、実用的な時間では、故障診断が終了しない。
【0061】
また、スキャン・チェイン上の各スキャンFFの故障シミュレーション結果とスキャン・テスト結果との一致率(score)は、必ずしも、実際の故障に近いほど高いとは限らない。図16は、スキャンFF単位の故障シミュレーション結果とスキャン・テスト結果の一致率に一定の傾向がないことを示す図である(本願発明者により作成)。スキャンFF3の一致率は100%であり、スキャンFF3の下流側で隣接するスキャンFF4の一致率は97%、スキャンFF3に上流側で隣接するスキャンFF2(一致率=98%)の上流に配置されるスキャンFF1の一致率は99%である。
【0062】
このため、関連技術では、実際の故障を見つけるためには、全ての故障スキャンFF候補に対して、故障シミュレーションを行い、最も一致度が高いスキャンFFを候補とする必要がある。
【0063】
また、関連技術では、スキャンFF毎に故障(故障モデル)を仮定して、故障スキャンFF候補を求めている。しかしながら、関連技術では、スキャンFF間の信号線の分岐を考慮していないため、信号線の分岐に、実際の故障がある場合には、対応できない。
【0064】
図17は、関連技術で得られるスキャン・チェイン故障診断結果の具体的な一例を説明する図である(本願発明者により作成)。関連技術では、スキャンFFに故障を仮定して、故障シミュレーションを行うため、出力内容は、図17(a)に示したように、
スキャン・チェイン名、
スキャンFF番号、
故障種別、
一致率(score:上式(1)で求める)
が得られる。
【0065】
しかし、この出力結果の各故障候補は、図17(b)の点線部分で示されるように、故障候補スキャンFFを間に挟む2つの信号線に跨っており(例えばNo1が示す範囲は、FF10の入力側と出力側の信号線に及ぶ)、さらに、同一信号線においても、分岐によるフェイルの伝播経路の変化を考慮していない。このため、関連技術では、人手によって、故障箇所の可能性が高い箇所を検証する作業が必要になり、さらに時間が掛かる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0066】
【非特許文献1】“A Technique for Fault Diagnosis of Defects in Scan Chains”, R. Guo et al., ITC 2001, pp268-277
【非特許文献2】“High-Accuracy Flush-and-Scan Software Diagnostic”, Kevin Stanley, IEEE Design & Test of Computers, Vol.18, No.6, pp1176-1179, 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0067】
上記した分析による関連技術の問題点をまとめると以下の通りである。
【0068】
第1の問題点は、関連技術では、故障の絞り込みが効果的に行えず、1次候補数が数多くなる場合がある。そのような場合には、2次候補を求めるための故障シミュレーションの処理時間が増大する。
【0069】
その理由は、関連技術では、全体の処理時間が故障シミュレーションの処理速度に依存しており、1次候補数が増大すると、故障シミュレーションの処理時間も比例して増大するためである。例えば、5Mega−gate(約5百万ゲート)、スキャン・チェイン数が32本、チェイン長(スキャン・チェイン上のスキャンFFの個数に対応)が4000ビットの回路の場合、故障の1次候補が1000ビット程度あると、コンピュータの性能等にもよるが、診断時間は例えば8時間以上必要となる。
【0070】
第2の問題点は、関連技術では、故障診断の精度をさらに向上させることが難しい、ということである。
【0071】
その理由は、新しい故障モデルを使用して、故障診断の精度を向上する場合、stuck−at故障のような単純な1次候補の絞り込みが難しくなるため、スキャン・チェイン上の全信号線が1次候補となり、故障シミュレーションの回数及び処理時間が増大する。
【0072】
第3の問題点は、関連技術では、1つの故障候補が指し示す故障範囲の中に、複数の信号線が含まれ、実解析するためには、人手による故障箇所のさらなる絞り込みを要する、ということである。
【0073】
その理由は、関連技術において、スキャン・チェインの故障診断を行う場合、2次候補を求める故障シミュレーションでは、スキャンFF毎に故障を仮定する。つまり、スキャンFF間に複数の信号線が存在し、信号線に分岐があっても、それらの信号線及び分岐は単一の故障候補として扱われ、故障シミュレーションが適用されるからである。
【0074】
したがって、本発明の目的は、スキャン・チェイン上の故障箇所を高速に絞り込むスキャン・チェイン故障箇所推定システム、方法、プログラムを提供することにある。
【0075】
本発明の他の目的は、上記目的を達成し、スキャン・チェイン上の故障箇所を精度良く絞り込むスキャン・チェイン故障箇所推定システム、方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0076】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを解決するため、特にこれらに制限されるものでないことは勿論であるが、概略以下のようなものとされる。
【0077】
本発明によれば、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定システムであって、
論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果に基づき、故障スキャン・チェインと故障の種別とを導出し、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定手段と、
前記論理回路の構成情報と、前記スキャン・テストパタン、前記論理回路のレイアウト情報に基づき、前記スキャン・チェイン上の信号線の分岐毎に故障シミュレーションした結果を用いて、前記スキャン・チェイン、前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップ、前記信号線、前記信号線の分岐の階層別に、フェイル出力情報を分類し、
前記信号線の分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成しスキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成手段と、
前記論理回路の構成情報と、前記信号線の期待値と、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン情報に基づき、故障スキャン・フリップフロップの範囲を導出し、故障スキャン・フリップフロップ候補範囲として、故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み手段と、
前記テスト結果と、故障スキャン・フリップフロップ候補の範囲情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、故障スキャン・フリップフロップの候補の範囲内に対して、前記テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書のフェイル出力情報を、階層毎に比較照合し、スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、信号線情報と、信号線分岐情報と、故障種別と、テスト結果との一致率と、信号分岐毎のレイアウト情報及び近接信号線情報の少なくとも一つを含む故障推定結果を出力するスキャン・チェイン故障辞書照合手段と、を備えた故障箇所推定システムが提供される。
【0078】
本発明の別の側面によれば、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定システムであって、
論理回路テスト結果情報記憶部、故障スキャン・チェイン記憶部、故障スキャン・フリップフロップ記憶部、スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定手段と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、
前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成手段と、
前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録した前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み手段と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合するスキャン・チェイン故障辞書照合手段と、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する手段と、
を備えた故障箇所推定システムが提供される。
【0079】
本発明においては、前記スキャン・チェイン故障辞書が、前記論理回路内のスキャン・チェインの構造に対応したスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の4つの階層を持ち、前記信号線分岐に対して行った故障シミュレーションのフェイル出力情報において、
前記信号線分岐が属するチェイン階層の全信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記チェイン階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属するスキャン・フリップフロップ階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属する信号線階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記信号線階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記各信号線分岐に対応するレイアウト情報を保持する。
【0080】
本発明においては、前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段が、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報を参照して、
前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップを抽出し、
抽出したスキャン・フリップフロップ間をつなぐ信号線を抽出し、
抽出した各信号線の分岐構造を解析して信号線の分岐情報を抽出するスキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段と
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段から受け渡された信号線の分岐情報と、を用いて、各信号線分岐に対して所定の故障モデルを仮定して、故障シミュレーションを実行し、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果を導出する故障シミュレーション手段と
前記故障シミュレーション手段から受け渡されたスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の接続情報と、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果において、各スキャン・チェイン階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、前記スキャン・チェイン階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各スキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記信号線階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線分岐のフェイル出力を、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録する階層別フェイル出力分類手段と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたレイアウト情報を参照して、前記階層別フェイル出力分類手段から受け渡されたスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報に、前記信号線分岐のレイアウト情報と、前記信号線分岐の近接信号線情報を付加し、スキャン・チェイン故障辞書として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶する分岐毎レイアウト情報付加手段と、を備えている。
【0081】
本発明においては、前記スキャン・チェイン故障辞書照合手段が、
前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶された故障スキャン・フリップフロップ候補情報を用いて、
故障推定対象のスキャン・フリップフロップを1つずつ選択し、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・フリップフロップの共通フェイル出力情報を照合し、フェイル出力の一致率を導出するスキャン・フリップフロップ共通フェイル照合手段と、
故障推定対象の信号線を選択し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された被対象信号線の共通フェイル出力情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、を照合し、フェイル出力の一致率を導出する信号線共通フェイル照合手段と、
故障推定対象の信号線分岐を選択し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報が一致した場合、
前記信号線分岐に関係する各階層のフェイル出力情報と、前記テスト結果を参照して、一致率を導出し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、スキャン・ビット番号と、信号線と、信号線分岐と、故障種別と、テスト結果との一致率と、レイアウト情報と、近接信号線情報を出力する分岐共通フェイル照合手段と、を備えている。
【0082】
本発明によれば、論理回路テスト結果情報記憶部、故障スキャン・チェイン記憶部、故障スキャン・フリップフロップ記憶部、スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを備えたデータ処理システムが、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む故障箇所推定方法であって、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定工程と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、
前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成工程と、
を有し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
さらに、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み工程と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合するスキャン・チェイン故障辞書照合工程と、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する工程と、
を含む故障箇所推定方法が提供される。本発明によれば、上記データ処理装置で故障箇所推定方法を実行するための故障箇所推定プログラムが提供される。また、本発明によれば、故障箇所推定プログラムを記録したコンピュータで読み出し可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0083】
本発明によれば、スキャン・チェイン上の故障箇所を高速に絞り込むことができる。また本発明によれば、スキャン・チェイン上の故障箇所を精度良く絞り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す流れ図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるスキャン・チェイン故障辞書作成手段の構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるスキャン・チェイン故障辞書作成手段の動作を示す流れ図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるスキャン・チェイン故障辞書照合手段の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるスキャン・チェイン故障辞書照合手段の動作を示す流れ図である。
【図7】本発明の一実施形態において、階層毎に共通したフェイル出力情報を保持したスキャン・チェイン故障辞書を模式的に示す図である。
【図8】本発明の一実施形態において、スキャン・チェイン故障診断結果の出力例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態において、レイアウト情報を追加した診断結果例と故障範囲を模式的に示す図である。
【図10】スキャン・チェインを説明するための図である。
【図11】スキャン設計回路を模式的に示す図である。
【図12】故障推定システムの典型的な構成の一例(関連技術)を示す図である。
【図13】関連技術の動作を示す流れ図である。
【図14】関連技術の故障スキャンFF絞り込み手法を説明する図である。
【図15】関連技術においてスコアを導出するための計算式を示す図である。
【図16】スキャンFF単位の故障シミュレーション結果とスキャン・テスト結果の一致率に一定の傾向がないことを示す図である。
【図17】関連技術を実施して得られるスキャン・チェイン故障診断結果の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本発明の態様の一つによれば、故障箇所推定システムは、スキャン・チェイン動作検証テストの結果を用いて故障スキャン・チェインと故障種別を特定し、故障スキャンFF候補の絞り込むものであり、故障スキャンFF候補の範囲を限定し、予め作成しておいた階層別のスキャン・チェイン故障辞書を用いて、故障スキャンFF範囲内に対してテスト結果と比較照合し、照合結果を出力する。
【0086】
より具体的には、故障推定システムは、故障スキャン・チェイン特定手段(図1の22)と、スキャン・チェイン故障辞書作成手段(図1の25)と、故障スキャンFF絞り込み手段(図1の23)と、スキャン・チェイン故障辞書照合手段(図1の26)を備えている。これらの手段(ユニット、セクション)は、概略以下のような機能、動作を行う。
【0087】
故障スキャン・チェイン特定手段(図1の22)は、論理回路内に1つのスキャン・チェイン上に単一故障が存在する場合に、
論理回路の構成情報と、
テストパタンと、
テスト結果(スキャン・チェインの動作判定テスト結果)
を参照して、
故障スキャン・チェインと、
その故障種別と、
を導出し、これらを、故障スキャン・チェイン情報として、故障スキャン・チェイン記憶部(図1の32)に記憶する。
【0088】
故障スキャンFF絞り込み手段(図1の23)は、
論理回路の構成情報と、
スキャンFFと信号線の期待値と、
テスト結果(スキャン・チェインの動作判定テスト結果)と、
故障スキャン・チェイン情報と
を参照して、故障スキャンFFの範囲を導出し、故障スキャンFF候補範囲として、故障スキャンFF記憶部(図1の33)に記憶する。
【0089】
スキャン・チェイン故障辞書作成手段(図1の25)は、
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタン(スキャン・チェインの動作判定テスト用のテストパタン)と、
レイアウト情報と、
を参照して、
スキャン・チェイン上の信号線分岐毎に故障シミュレーションした結果を用いて、スキャン・チェインの階層別にフェイル出力情報を分類し、
信号線分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部(図1の34)に記憶する。
【0090】
スキャン・チェイン故障辞書記憶部(図1の34)は、
スキャン・チェイン、
スキャンFF、
信号線、
信号線分岐
の階層別のスキャン・チェイン故障辞書を記憶し、信号線分岐では、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を記録する。
【0091】
スキャン・チェイン故障辞書照合手段(図1の26)は、
論理回路テスト結果情報記憶部(図1の31)に記憶されるテスト結果と、
故障スキャンFF記憶部(図1の33)に記憶される故障スキャンFF範囲情報と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部(図1の34)に記憶される階層別スキャン・チェイン故障辞書と、
を参照して、前記故障スキャンFF範囲内に対して、
テスト結果と、
階層別スキャン・チェイン故障辞書のフェイル出力情報(シミュレーション結果)と、
を階層毎に比較照合して、一致率を導出し、
スキャン・チェイン名(番号)と、
スキャンFF名と、
スキャン・ビット番号と、
信号線と、
信号線分岐と、
故障種別と、
テスト結果との一致率(score)と、
レイアウト情報と、
近接信号線情報と、
を故障診断結果(故障推定結果)として出力する。
【0092】
スキャン・チェイン故障辞書照合手段(図1の26)は、故障スキャン・チェイン上の故障の可能性が高い範囲に対して、
テスト結果と、
階層別スキャン・チェイン故障辞書と、
を照合し、照合結果を出力するよう動作する。
【0093】
このような構成を採用し、論理回路内のスキャン・チェイン上の単一固定故障を、信号線の分岐単位で推定することにより、上記課題を解決することができる。さらに以下のような作用効果を奏する。
【0094】
(I)本発明によれば、スキャン・チェイン上の故障箇所を推定する処理において、高速な処理を実現可能としている。
【0095】
その理由は、本発明によれば、スキャン・チェイン上の故障の推定処理において、スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の階層構造をもち、各階層で共通フェイル情報を有する故障辞書を作成することにより、故障シミュレーションによる辞書作成回数を、最初の1回に抑えるとともに、2次候補を求める際の照合処理において、階層的な照合を行うためである。
【0096】
例えば、関連技術では、例えば8時間を越える処理時間を必要とする故障箇所診断処理であった場合、本発明を適用することにより、関連技術で、最も時間を要していた故障シミュレーション処理の代わりに、辞書の照合処理によって故障箇所を推定できるため、5倍以上の高速化が可能となる。
【0097】
(II)本発明によれば、故障辞書サイズを、通常の故障辞書よりも小さくすることができる点である。
【0098】
その理由は、スキャン・チェイン上の故障診断に特化した辞書を作成することにより、回路全体の故障辞書に比べて、辞書サイズを小さくすることができるためである。
【0099】
例えば、5Mゲート規模、スキャン・チェイン数が32本、スキャン・チェイン長が4000ビットの回路の場合、回路全体であれば、500万ゲートであるが、スキャン・チェイン上のスキャンFF数は12万個であり、40分の1程度である。
【0100】
故障辞書には、信号線やゲートの端子等もノードとして含まれるが、スキャン・チェイン上に限定することで、辞書サイズを大きく抑えられる。
【0101】
(III)本発明によれば、スキャン・チェイン上の故障箇所を推定する処理において、故障モデルの拡張を行うことにより、故障箇所の推定精度を向上させることができる。
【0102】
その理由は、スキャン・チェイン上の故障に対する新しい故障モデルを作成することにより、故障辞書を拡張することが容易であり、様々な故障に対応することができるためである。
【0103】
関連技術でも、故障モデルを用いて、故障シミュレーションすることは可能ではあるが、1次候補の絞り込みは固定故障のみに対応するため、固定故障以外の故障モデルでは、故障チェインに含まれる全スキャンFFに対して、故障シミュレーションを行う必要があった。
【0104】
本発明においては、階層的な故障辞書を利用して、故障チェインの全スキャンFFに対する辞書を作成することにより、固定故障以外の故障モデルに対しても実用的な時間で診断が可能となる。
【0105】
(IV)本発明によれば、故障候補を信号線分岐単位で絞り込むことが可能となり、故障箇所の推定精度を向上させることができる。
【0106】
その理由は、本発明によれば、信号線分岐単位の故障辞書を保持することにより、信号線分岐単位の故障箇所推定が可能となるためである。
【0107】
(V)本発明によれば、診断結果が示す故障の範囲が、関連技術等よりも明確に範囲を特定できるため、実解析を効率的に行うことができる。
【0108】
その理由は、スキャンFF間の各信号線分岐レベルで故障箇所を特定することができ、さらに、そのレイアウト情報を参照することにより、LSIの故障箇所の情報を故障解析技術者に提供することが可能であるためである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0109】
<実施形態1>
図1は、本発明の第一の実施の形態の構成を示す図である。図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態に係る論理回路の故障推定システムは、
キーボードまたは外部とのインターフェース部がある入力装置1と、
プログラム制御により動作するデータ処理装置2と、
ハードディスクやメモリ等の情報を記憶する記憶装置3と、
外部とのインターフェース部であるディスプレイ装置や印刷装置等の出力装置4と、
を備えている。
【0110】
記憶装置3は、
論理回路テスト結果情報記憶部31と、
故障スキャン・チェイン(scan chain)記憶部32と、
故障スキャンFF(scan FF)記憶部33と、
スキャン・チェイン(scan chain)故障辞書記憶部34と、
を備えている。
【0111】
論理回路テスト結果情報記憶部31は、
スキャン・テスト時の入出力信号であるスキャン・テストパタン、
回路が正常動作しているときの各信号線の論理状態(期待値)、
テストでフェイルが検出されたスキャンFFとその論理状態、すなわち、フェイルが観測されたスキャンFFの情報
を記憶している。さらに、論理回路テスト結果情報記憶部31は、
論理回路の構成、すなわち、
ゲートの種類、
ゲート同士の接続関係、
ゲートと信号線の接続関係、
信号線同士の接続関係、
レイアウト情報
等を記憶している。
【0112】
故障スキャン・チェイン記憶部32は、
故障スキャン・チェイン特定手段22の結果である故障スキャン・チェインと、
該故障スキャン・チェインの故障種別と、
を記憶している。
【0113】
故障スキャンFF記憶部33は、
故障スキャンFF絞り込み手段23の結果である故障スキャンFF候補の範囲
を記憶している。
【0114】
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34は、各信号線分岐に故障を仮定して実行した故障シミュレーションのスキャンFF、あるいは、出力端子における論理値情報、すなわち、フェイル出力情報が、スキャン・チェインの構造に応じて、
スキャン・チェイン毎、
スキャンFF毎、
信号線毎、
信号線分岐毎、
に階層化され、各階層の構成要素の故障種別毎に共通のフェイル出力情報を記憶し、
信号線分岐毎に、
レイアウト情報と、
近接信号線情報
を記憶している。
【0115】
データ処理装置2は、
初期設定手段21と、
故障スキャン・チェイン特定手段22と、
故障スキャンFF絞り込み手段23、
スキャン・チェイン故障辞書作成手段25と、
スキャン・チェイン故障辞書照合手段26と、
を備えている。
【0116】
初期設定手段21は、論理回路テスト結果情報記憶部31を参照して、
論理回路の種類、
入出力端子の論理状態
を設定し、信号線の論理状態を初期化する。
【0117】
スキャン・チェイン故障辞書作成手段25は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタン、
レイアウト情報
を参照して、スキャン・チェイン上の信号線の分岐毎に、故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、各信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、
スキャンFF、
信号線、
信号線分岐
等のスキャン・チェインの構造に基づく複数の階層にフェイル出力情報を分類し、
信号線分岐毎に、
そのレイアウト情報と、
近接信号線情報
を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する。
【0118】
図3は、図1におけるスキャン・チェイン故障辞書作成手段25の詳細な構成を示す図である。図3を用いてスキャン・チェイン故障辞書照合手段25の構成を詳細に説明する。
【0119】
図3を参照すると、スキャン・チェイン故障辞書作成手段25は、
スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251と、
故障シミュレーション手段252と、
階層別フェイル出力分類手段253と、
分岐レイアウト情報付加手段254と、
を備えている。
【0120】
スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251は、論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された論理回路の構成情報を参照して、
各スキャン・チェインと、
スキャンFFと、
信号線と、
信号線分岐と
の接続情報を、故障シミュレーション手段252に渡す。
【0121】
故障シミュレーション手段252は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタンと、
スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251から引き継いだ
信号線の分岐情報
を用いて、故障シミュレーションを実行し、
スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果と、
を階層別フェイル出力分類手段253に渡す。
【0122】
階層別フェイル出力分類手段253は、故障シミュレーション手段252から引き継いだ
スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果
を用いて、
1)スキャン・チェインと、
2)スキャンFFと、
3)信号線と、
4)信号線分岐
を各階層の要素とし、各階層に属する複数の各要素に共通するフェイル出力情報を分類したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、分岐毎レイアウト情報付加手段254に渡す。
【0123】
分岐毎レイアウト情報付加手段254は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶されたレイアウト情報と、
階層別フェイル出力分類手段253から引き継いだスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報と、
を参照して、レイアウト情報を追加したスキャン・チェイン故障辞書を、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する。
【0124】
再び図1に戻り、故障スキャン・チェイン特定手段22は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記録された
論理回路の構成情報と、
テストパタンと、
スキャン・チェイン動作検証テスト結果
を参照して、
故障スキャン・チェインと、
その故障種別と、
を求め、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶する。
【0125】
故障スキャンFF絞り込み手段23は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された、
論理回路の構成情報、
各信号線の期待値、
テスト結果、及び、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された、
故障スキャン・チェインと、
故障種別と
を参照し、
スキャン・チェイン上の固定故障が存在するときに、スキャン・アウトした出力が故障の影響を受けて故障値が連続することを利用して、故障可能性の高いスキャンFFの範囲を絞り込み、故障スキャンFF候補として、故障スキャンFF記憶部33に記憶する。
【0126】
スキャン・チェイン故障辞書照合手段26は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェイン、及び
故障種別と、
故障スキャンFF記憶部33に記憶された
故障スキャンFF候補と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
階層別の共通フェイル出力情報と、
を参照して、
各故障スキャンFF候補に対応するスキャン・チェイン故障辞書のスキャンFF階層に属する全信号線分岐のフェイル出力情報と、
テスト結果と、
を照合して、
照合結果、及び
故障候補関連情報を、
照合結果情報として、出力装置4に出力する。
【0127】
図5は、図1におけるスキャン・チェイン故障辞書照合手段26の詳細な構成を示す図である。図5を用いてスキャン・チェイン故障辞書照合手段26を詳細に説明する。図5を参照すると、スキャン・チェイン故障辞書照合手段26は、
スキャンFF共通フェイル照合手段261と、
信号線共通フェイル照合手段262と、
分岐共通フェイル照合手段263と、
を備えている。
【0128】
スキャンFF共通フェイル照合手段261は、
論理回路テスト結果情報記憶部31と、
故障スキャンFF記憶部33と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34と
を参照し、故障推定対象スキャンFFを選択する。
【0129】
そして、スキャンFF共通フェイル照合手段261は、選択した故障推定対象スキャンFFに関して、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果(スキャン・チェイン動作判定テスト結果)と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報と
を照合し、
一致した場合は、信号線共通フェイル照合手段262に照合結果を渡し、
不一致の場合は、次の故障推定対象スキャンFFを選択する。
【0130】
このとき、全ての故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を信号線共通フェイル照合手段262に渡し、分岐共通フェイル照合手段263の出力時で全照合対象の一致率を導出してもよい。
【0131】
信号線共通フェイル照合手段262は、
論理回路テスト結果情報記憶部31と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34と
を参照し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された故障推定対象信号線を選択して、
故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報と、
テスト結果と
を照合し、
一致した場合は、分岐共通フェイル照合手段263に照合結果を渡し、
不一致の場合は、次の故障推定対象信号線を選択する。
【0132】
全ての故障推定対象信号線が不一致の場合、スキャンFF共通フェイル照合手段261に返る。
【0133】
このとき、すべて故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を分岐共通フェイル照合手段263に渡し、分岐共通フェイル照合手段263の出力時に全階層の一致率を導出してもよい。
【0134】
分岐共通フェイル照合手段263は、
論理回路テスト結果情報記憶部31と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34と、
を参照して、故障推定対象信号線分岐を選択して、
故障推定対象信号線分岐の共通フェイル出力情報と、
テスト結果と
を照合し、
テスト結果と全階層のフェイル出力の一致率をパスビット(pass bit)も含めて導出し、
スキャン・チェイン名(番号)と、
スキャンFF名と、
スキャン・ビット番号と、
信号線と、
信号線分岐と、
故障種別と、
テスト結果との一致率と、
レイアウト情報と、
近接信号線情報と、
を、照合結果情報として、出力する。
【0135】
このとき、両者が最も一致している割合が高い信号線分岐の示す箇所が故障候補と判定される。
【0136】
また、ある閾値を設け、一致/不一致の判定結果を出力することも可能であるし、一致する割合を故障可能性の度合いとして出力することも可能である。このとき、
診断結果と、
論理回路の設計情報と、
スキャン・チェイン故障辞書の診断結果に対応するレイアウト情報と、
近接信号線情報と
を照合して、
故障箇所のレイアウト、
故障箇所の座標情報、
故障の可能性が高いレイアウト階層名、
短絡(short)相手候補信号線名、
を出力してもよい。
【0137】
次に、故障スキャンFF記憶部33を参照して、選択されていない故障スキャンFF候補があれば、スキャンFF共通フェイル照合手段261の処理に戻る。
【0138】
図2、図4、図6は、本発明の第一の形態を実施するための動作を示す流れ図である。図1、図3、図5を参照して、本発明における第一の実施の形態の動作について詳細に説明する。まず、図2の各ステップの動作を詳細に説明する。
【0139】
初期設定手段21において、論理回路テスト結果情報記憶部31を参照して、
論理回路の種類、
入出力端子の論理状態
を設定し、信号線の論理状態を初期化する(図2のステップA1)。
【0140】
故障スキャン・チェイン特定手段22は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記録された、
論理回路の構成情報と、
テストパタンと、
スキャン・チェイン動作検証テスト結果
を参照して、
故障スキャン・チェインと、
その故障種別と、
を求め、故障スキャン・チェイン情報として、故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶する。(図2のステップA2)。
【0141】
ここで、スキャン・チェイン故障辞書作成手段25は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された、
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタン、
レイアウト情報
を参照して、スキャン・チェイン上の信号線分岐毎に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、各信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
1)スキャン・チェイン、
2)スキャンFF、
3)信号線、
4)信号線分岐
等のスキャン・チェインの構造に基づく4つの階層にフェイル出力情報を分類し、
信号線分岐毎に、
そのレイアウト情報と、
近接信号線情報
を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する(図2のステップA5)。
【0142】
図4は、図2におけるスキャン・チェイン故障辞書作成手段25(図2のステップA5)の詳細な流れ図である。図3(スキャン・チェイン故障辞書作成手段25の構成図)と、図4の流れ図とを用いて、スキャン・チェイン故障辞書作成手段25の動作について詳細に説明する。
【0143】
図4のB1において、スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
論理回路の構成情報
を参照して、
各スキャン・チェインと、スキャンFFと、信号線と、信号線分岐の接続情報を故障シミュレーション手段252に渡す。
【0144】
次に、図4のB2において、故障シミュレーション手段252は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された、
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタンと、
スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251から引き継いだ
信号線の分岐情報と、
を用いて、各信号線の分岐に対して、故障シミュレーションを実行し、
スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果と、
を階層別フェイル出力分類手段253に渡す。
【0145】
次に、図4のB3において、階層別フェイル出力分類手段253は、故障シミュレーション手段252から引き継いだ、
スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果と、
を用いて、
1)スキャン・チェインと、
2)スキャンFFと、
3)信号線と、
4)信号線分岐と
を各階層の要素とし、各階層に属する複数の各要素に共通するフェイル出力情報を分類したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、分岐毎レイアウト情報付加手段254に渡す。
【0146】
図4のB4において、分岐毎レイアウト情報付加手段254は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
レイアウト情報と、
階層別フェイル出力分類手段253から引き継いだ
スキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報と、
を参照して、レイアウト情報を追加したスキャン・チェイン故障辞書を、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する。
【0147】
図2に戻り、故障スキャンFF絞り込み手段23は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された、
論理回路の構成情報、
各信号線の期待値、
テスト結果であるフェイル観測スキャンFF情報、及び、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェインと、
故障種別と
を参照し、スキャン・チェイン上の固定故障が存在するときに、スキャン・アウトした出力が故障の影響を受けて、故障値が連続することを利用して、故障の可能性の高いスキャンFFの範囲を絞り込み、故障スキャンFF記憶部33に記憶する(図2のステップA3)。
【0148】
次に、スキャン・チェイン故障辞書照合手段26は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェイン、及び
故障種別と、
故障スキャンFF記憶部33に記憶された
故障スキャンFF候補と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
階層別の共通フェイル出力情報と、
を参照して、
各故障スキャンFF候補に対応するスキャン・チェイン故障辞書のスキャンFF階層に属する全信号線分岐の
フェイル出力情報と、
テスト結果と、
を照合し、
照合結果、及び
故障候補関連情報
を、照合結果情報として、出力装置4に出力する(図2のステップA6)。
【0149】
図6は、図2の流れ図のスキャン・チェイン故障辞書照合動作(図2のステップA6)の詳細な流れ図である。図5のスキャン・チェイン故障辞書照合手段26の構成と、図6の流れ図とを用いて、スキャン・チェイン故障辞書照合動作について詳細に説明する。
【0150】
図6のステップC1において、スキャンFF共通フェイル照合手段261は、故障スキャンFF記憶部33に記憶された故障スキャンFF候補情報を用いて、故障推定対象スキャンFFを選択して、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報と、
を照合し、
一致した場合、図6のステップB2に照合結果を渡し、
不一致の場合、次の故障推定対象スキャンFFを選択する。
【0151】
このとき、全ての故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を次ステップ(図6ステップC2)に渡し、最終ステップ(図6ステップC3)の出力時に全照合対象の一致率を導出してもよい。
【0152】
次に、図6のステップC2において、信号線共通フェイル照合手段262は、論理回路テスト結果情報記憶部31と、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34とを参照し、故障推定対象信号線を選択し、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報と、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と
を照合し、
一致した場合、図6のステップC3に照合結果を渡し、
不一致の場合、次の故障推定対象信号線を選択する。
【0153】
全ての故障推定対象信号線が不一致の場合は、図6のステップC1に返る。このとき、すべて故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を次ステップ(図6ステップC2)に渡し、最終ステップ(図6ステップC3)の出力時に全照合対象の一致率を導出してもよい。
【0154】
図6のステップC3において、分岐共通フェイル照合手段263は、論理回路テスト結果情報記憶部31と、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34を参照して、故障推定対象信号線分岐を選択し、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象信号線分岐の共通フェイル出力情報と、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と
を照合し、テスト結果と全階層のフェイル出力の一致率をパスビット(pass bit)も含めて導出し、
スキャン・チェイン名(番号)と、
スキャンFF名と、
スキャン・ビット番号と、
信号線と、
信号線分岐と、
故障種別と、
テスト結果との一致率(上式(1))と、
レイアウト情報と、
近接信号線情報と、
を照合結果情報として、出力する。このとき、両者が最も一致している割合が高い信号線分岐の示す箇所が故障候補と判定される。
【0155】
また、ある閾値を設けて、一致/不一致の判定結果を出力することも可能であるし、一致する割合を故障可能性の度合いとして出力することも可能である。このとき、
診断結果と、
論理回路の設計情報と、
スキャン・チェイン故障辞書の診断結果に対応する
レイアウト情報と
近接信号線情報と、
を照合して、
故障箇所のレイアウト、
故障箇所の座標情報、
故障の可能性が高いレイアウト階層名、
短絡(short)相手候補信号線名
を出力してもよい。
【0156】
次に、故障スキャンFF記憶部33の故障スキャンFF候補を参照して、選択されていない故障スキャンFF候補があれば、図6のステップC1の処理に戻る。
【実施例】
【0157】
次に、前記第一の実施の形態について、図1乃至図9を参照して詳細に具体的な実施例を説明する。
【0158】
図1の初期設定手段21により、入力装置1と論理回路テスト結果情報記憶部31とから、与えられた論理回路の種類、入出力端子の論理状態とを設定し、信号線の論理状態を初期化する(図2のステップA1)。
【0159】
このとき、図1のスキャン・チェイン故障辞書作成手段25は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタンと、
レイアウト情報と
を参照して、
スキャン・チェイン上の信号線を抽出し、信号線の分岐構造を解析して、チェイン上の信号線分岐毎に分類し、各分岐にstuck−at 0故障、及び、stuck−at 1故障を仮定シミュレーションを行い、その結果を用いて、
スキャン・チェイン別、
スキャンFF別、
信号線別、
信号線分岐別
に、階層的に共通のフェイル出力情報を分類し、
信号線の分岐毎に、
レイアウト情報と
近接信号線情報
を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成しスキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する。(図2のステップA5)。
【0160】
図1のスキャン・チェイン故障辞書作成手段25は、図2のステップA5を実行する。図3は、スキャン・チェイン故障辞書作成手段25の詳細な構成図であり、その詳細な動作が、図4の流れ図となる。図3を参照すると、スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251は、図4のB1において、論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された論理回路の構成情報を参照して、各スキャン・チェイン上のスキャンFFを抽出し、抽出したスキャンFF間をつなぐ信号線を抽出し、抽出した各信号線の分岐構造を解析して信号線の分岐情報を抽出して、スキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報を故障シミュレーション手段252に渡す。
【0161】
次に、故障シミュレーション手段252は、図4のB2において、論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
論理回路の構成情報と、
スキャン・テストパタンと、
スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段251から引き継いだ
信号線の分岐情報
を用いて、各分岐において、stuck−at 0故障とstuck−at 1故障の両方の故障モードそれぞれに対して、故障シミュレーションを実行し、
スキャン・チェイン、
スキャンFF、
信号線、
信号線分岐
の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果と、
を階層別フェイル出力分類手段253に渡す。
【0162】
次に、階層別フェイル出力分類手段253は、図4のB3において、
故障シミュレーション手段252から引き継いだスキャン・チェイン、スキャンFF、信号線、信号線分岐の接続情報と、
各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果と、
を用いて、スキャン・チェイン毎に故障シミュレーション結果をグループ化し、
各スキャン・チェインの全故障シミュレーション結果の中で共通なフェイル出力情報を抽出し、
スキャン・チェイン階層の共通フェイル出力としてスキャン・チェイン故障辞書に記録する。
【0163】
次に、階層別フェイル出力分類手段253は、各スキャン・チェインにおいて、残ったフェイル出力情報から全スキャンFFに共通するフェイル出力情報を抽出し、
スキャンFF階層の共通フェイル出力情報としてスキャン・チェイン故障辞書に記録し、
次に、各スキャンFFにおいて、残ったフェイル出力情報から全信号線に共通するフェイル出力情報を抽出し信号線階層の共通フェイル出力情報としてスキャン・チェイン故障辞書に記録し、
最後に、残った信号線分岐に固有なフェイル出力情報を信号線分岐階層のフェイル出力情報として記録したスキャン・チェイン故障辞書を、分岐レイアウト付加手段254に渡す。
【0164】
図4のB4において、分岐毎レイアウト情報付加手段254は、論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶されたレイアウト情報を参照して、
階層別フェイル出力分類手段253から引き継いだスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報に、
分岐のレイアウト情報と、
分岐の近接信号線情報
を付加し、スキャン・チェイン故障辞書として、スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶する。
【0165】
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された前記スキャン・チェイン故障辞書について詳細を説明する。
【0166】
図7は、階層毎に共通したフェイル出力情報を保持したスキャン・チェイン故障辞書の一例を示す図である。
【0167】
図7(a)は、スキャン・チェイン上のスキャンFF間の信号線や分岐の配線図の一例を示している。図7に示す例では、スキャン・チェイン名:no1は、スキャンFF1とスキャンFF2とスキャンFF3を持つ。スキャンFF1とスキャンFF2との間にはバッファが配設されている。
【0168】
スキャンFF1とバッファとの間を信号線1、
バッファとスキャンFF2との間の信号線2、
スキャンFF2とスキャンFF3との間の信号線3
とする。
【0169】
信号線1には分岐が存在し、スキャンFF1側から順に、
信号線1分岐1、
信号線1分岐2
とする。
【0170】
信号線2は分岐が無いため信号線2分岐1とする。
【0171】
信号線3は2つの分岐点が存在し、スキャンFF2側から順に、
信号線3分岐1、
信号線3分岐2、
信号線3分岐3
とする。
【0172】
図7(b)は、図7(a)の各信号線分岐に対する故障シミュレーションの結果をスキャン・チェイン故障辞書化したときのデータ構造の一例を表している。図7(b)によると、スキャン・チェイン故障辞書は、
論理回路内のスキャン・チェイン情報を、
1)チェイン(スキャン・チェイン)、
2)スキャンFF、
3)信号線、
4)信号線分岐
の4つの階層に分類し、各階層の構成要素毎に共通のフェイル出力情報を保持している。以下に各階層について詳細を説明する。
【0173】
スキャン・チェイン故障辞書のチェイン階層は、スキャン・チェインを構成要素として分類した階層であり、各スキャン・チェインの辞書データ内には、そのスキャン・チェイン上であれば、どこに故障が存在しても共通して出力されるフェイル出力情報を、例えば、stuck−at 0(st0)故障、及びstuck−at 1 (st1)故障、それぞれに対する共通フェイル情報を、そのチェイン階層の共通フェイル情報として保持する。
【0174】
スキャン・チェイン故障辞書のスキャンFF階層は、各スキャン・チェイン辞書データ内において、スキャンFFを構成要素として分類した階層であり、各スキャンFFの辞書データ内には、各スキャンFFのスキャン出力(SOT)端子から次段のスキャンFFのスキャン入力(SIN)端子に至る信号線、例えば、図7(a)のスキャンFF1であれば、FF1のSITからスキャンFF2のSINに至る信号線1と、信号線2に相当し、スキャンFF2であればFF2のSOTからスキャンFF3のSINに至る信号線3に相当するが、各スキャンFFに対応する信号線上のどこに故障が存在しても共通して出力されるフェイル出力情報を、例えば、stuck−at 0故障、及びstuck−at 1故障、それぞれに対する共通フェイル情報を、そのスキャンFF階層の共通フェイル情報として保持する。
【0175】
スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層は、各スキャンFF辞書データ内において、信号線を構成要素として分類した階層であり、各信号線の辞書データ内には、各信号線に対応する信号線分岐、例えば、図7(a)の
信号線1であれば、信号線1分岐1と信号線1分岐2に相当し、
信号線2であれば、信号線2分岐1に相当し、
信号線3ならば、信号線3分岐1、信号線3分岐2、信号線3分岐3
に相当するが、
各信号線に対応する信号線分岐のどこに、故障が存在しても、共通して出力されるフェイル出力情報、例えば、stuck−at 0故障、及びstuck−at 1故障、それぞれに対する共通フェイル情報を、その信号線分岐階層の共通フェイル情報として、保持する。
【0176】
スキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐階層は、各信号線辞書データ内において、信号線の分岐で区切られた範囲、すなわち、信号線分岐を構成要素として分類した階層であり、各信号線分岐の辞書データ内には、その信号線分岐に、故障が存在した場合に出力されるフェイル出力情報を、例えば、stuck−at 0故障、及びstuck−at 1故障に対して、それぞれ保持し、さらに、各信号線分岐に対するレイアウト情報及び近接信号線情報も合わせて保持する。
【0177】
スキャン・チェインは、距離的に近いスキャンFFを接続することで、効率的な配線が行われることが一般的である。同一チェイン上の信号線の故障は、共通フェイルを持つ傾向が大きい。
【0178】
そこで、本実施例では、この特性を利用して、
同一スキャンFF、
同一信号線、
同一信号線分岐
で階層化することにより、共通フェイルをキーにした効率的な検索が可能となる。
【0179】
このスキャン・チェイン故障辞書は、
スキャン・チェイン毎、
スキャンFF毎、
信号線毎、
信号線分岐毎
に階層化され、各階層の構成要素毎に関係したフェイル出力情報を保持することにより、
辞書とテスト結果とのフェイル出力の一致判定を処理するとき、上位階層のみでも一致/不一致を判定することができる。この結果、判定処理回数を少なくすることができる。
【0180】
また、本実施例によれば、このスキャン・チェイン故障辞書は、信号線の分岐毎まで細分化したスキャン・チェイン故障辞書で実行することで、信号線分岐の違いによる故障状態の差異を、フェイル出力情報として保持できる。この結果、関連技術等よりも、精度よく、故障箇所を限定することができる。
【0181】
単純にフェイル情報をテーブル化した場合、信号線分岐まで考慮すると、辞書サイズが巨大化し、実用的な性能を出すことは困難であるが、本実施例では、スキャン・チェインのフェイル出力の特性を利用して、辞書サイズを抑え、かつ、検索の効率化を図っている。
【0182】
以上、スキャン・チェイン故障辞書の説明を踏まえて、具体的な実施例の説明に戻る。
【0183】
図1の故障スキャン・チェイン特定手段22は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記録された
論理回路の構成情報と、
テストパタンと、
スキャン・チェイン動作検証テスト結果を参照して、
故障スキャン・チェインと、
その故障種別と、
を求め、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶する。(図2のステップA2)。
【0184】
次に、図1の故障スキャンFF絞り込み手段23は、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
スキャン設計回路の構成、
信号線の期待値、
スキャン・テスト結果
を参照し、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェイン名と
を参照し、
故障スキャン・チェイン記憶部32に記憶された
故障スキャン・チェイン情報と、
故障種別情報
を参照して、故障スキャン・チェインの最も上流(Sin側)のスキャンFFから下流(Sout側)へ故障種別と同値の出力値が連続するスキャンFFをカウントし、
故障種別と同値の出力値が連続したスキャンFFの範囲を、故障スキャンFF候補の範囲として、故障スキャンFF記憶部33に記憶する(図2のステップA3)。
【0185】
このとき、既知のスキャンFF単位で絞り込みを行う故障スキャンFF絞り込み機能を利用して、故障スキャンFF候補の範囲として導出してもよい。また、このとき、故障スキャンFF候補の範囲が絞り込めず、故障スキャン・チェインの全スキャンFFが候補範囲となってもよいし、故障スキャンFF候補の範囲が絞り込まず、故障スキャン・チェインの全スキャンFFが候補範囲となってもよい。
【0186】
図1のスキャン・チェイン故障辞書照合手段25は、故障スキャンFF記憶部33に記憶された故障スキャンFF候補から故障推定対象スキャンFFを選択して故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報と前記テスト結果とを照合する。
【0187】
照合の結果、一致していれば、スキャン・チェイン故障辞書照合手段25は、
次に、故障推定対象スキャンFFに関係する故障推定対象の信号線を1つ選択して、該故障推定対象の信号線の共通フェイル出力情報と前記テスト結果とを照合する。
【0188】
照合の結果、一致していれば、スキャン・チェイン故障辞書照合手段25は、次に、故障推定対象信号線に関係する故障推定対象の信号線分岐を選択し、
故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報と、
前記テスト結果と
を照合する。
【0189】
照合の結果、一致していれば、スキャン・チェイン故障辞書照合手段25は、パスビット(pass bit)も含めて、故障推定対象の信号線分岐に関係する全階層の共通フェイル出力情報と前記テスト結果との一致率を導出し、
スキャン・チェイン名(番号)と、
スキャンFF名と、
スキャン・ビット番号と、
信号線と、
信号線分岐と、
故障種別と、
テスト結果との一致率と、
レイアウト情報と、
近接信号線情報
を出力装置4に出力する(図2のステップA5)。
【0190】
ここで、図1のスキャン・チェイン故障辞書照合手段26は、図2のステップA6を実行する。
【0191】
スキャン・チェイン故障辞書照合手段26において、図6を参照すると、先ず、スキャンFF共通フェイル照合手段261は、図6のステップC1において、故障スキャンFF記憶部33に記憶された故障スキャンFF候補情報を用いて、故障推定対象スキャンFFを1つずつ選択して、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
テスト結果と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報と、
を照合し、
故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報が一致した場合には、図6のステップC2において、故障推定対象スキャンFF情報と、その照合結果を信号線共通フェイル照合手段262に渡し、
不一致の場合は、次の故障推定対象スキャンFFを選択する。このとき、ある閾値を設けて、閾値よりも一致数が多い場合、または、閾値よりも一致率が高い場合に、故障推定対象スキャンFF情報と、その照合結果を、次ステップに渡してもよい。また、このとき、全ての故障推定対象スキャンFFの共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を、次ステップに渡し、最終ステップの出力時に全照合対象の一致率を導出してもよい。
【0192】
信号線共通フェイル照合手段262は、図6のステップC2において、故障推定対象信号線を選択し、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報と、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
前記テスト結果と、
を照合し、
故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報が一致した場合には、図6のステップC3の分岐共通フェイル照合手段263に照合結果を渡し、
不一致の場合には、次の故障推定対象信号線を選択する。全ての故障推定対象信号線が不一致の場合、図4のステップB1に返る。
【0193】
このとき、ある閾値を設けて、閾値よりも一致数が多い場合、または、閾値よりも一致率が高い場合に、故障推定対象信号線情報と、その照合結果を次ステップに渡してもよい。このとき、すべて故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報が不一致であっても、照合結果を次ステップに渡し、最終ステップの出力時に全照合対象の一致率を導出してもよい。
【0194】
次に、分岐共通フェイル照合手段263は、図6のステップC3において、故障推定対象信号線分岐を選択し、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部34に記憶された
故障推定対象信号線分岐の共通フェイル出力情報と、
論理回路テスト結果情報記憶部31に記憶された
前記テスト結果と、
を照合し、
故障推定対象信号線分岐の共通フェイル出力情報が一致した場合には、
故障推定対象信号線分岐に関係する全階層の全フェイル出力情報と前記テスト結果をパスビット(pass bit)も含めて一致率を導出し、
スキャン・チェイン名(番号)と、
スキャンFF名と、
スキャン・ビット番号と、
信号線と、
信号線分岐と、
故障種別と、
テスト結果との一致率と、
レイアウト情報と、
近接信号線情報と、
を出力する。
【0195】
故障推定対象信号線分岐の共通フェイル出力情報が不一致した場合には、次の故障推定対象信号線分岐を選択する。全ての故障推定対象信号線分岐が不一致の場合には、図6のステップC1に戻る。このとき、ある閾値を設けて、閾値よりも一致数が多い場合、または、閾値よりも一致率が高い場合に、テスト結果と故障推定対象信号線分岐に関係する全階層のフェイル出力の一致率をパスビット(pass bit)も含めて導出してもよい。このとき、すべて故障推定対象信号線の共通フェイル出力情報が不一致であっても、テスト結果と故障推定対象信号線分岐に関係する全階層のフェイル出力の一致率を、パスビットも含めて導出してもよい。このとき、全階層において、パスビット(pass bit)も含めて、両者が最も一致している割合が高い信号線分岐の示す箇所が故障候補と判定される。
【0196】
また、ある閾値を設けて、一致/不一致の判定結果を出力することも可能であるし、一致する割合を故障可能性の度合いとして出力することも可能である。
【0197】
図6のステップC3において、選択されていない故障スキャンFF候補がある場合、図6のステップC1に戻り、全ての故障スキャンFFの候補が処理されるまで、ステップC1からステップC3を繰り返す。
【0198】
例えば、図7(a)において、故障スキャンFF候補スキャンFF1に繋がる信号線以外にも、故障スキャンFF候補スキャンFF2が存在するので、再選択して、上述の処理を繰り返す。
【0199】
以上のように、本実施形態によれば、
信号線の分岐まで細分化して階層化し、
各階層の構成要素毎に、共通のフェイル出力情報を保持したスキャン・チェイン故障辞書を利用して、
故障候補箇所のフェイル出力結果と、
テスト結果と
を照合することで、関連技術において逐次に故障シミュレーションを実行するより場合よりも、診断時間を短縮させ、かつ、関連技術のスキャンFF単位で診断結果よりも限定した範囲に故障候補を絞り込めるスキャン・チェイン故障診断が可能となる。
【0200】
さらに、階層別のスキャン・チェイン故障辞書は、信号線の分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を保持しているので、あいまいであった故障候補が示す故障箇所の区間を正確に指摘することが可能となり、関連技術よりもさらに精度の高いスキャン・チェイン故障診断が可能となる。
【0201】
関連技術は、故障スキャンFF自体に故障が仮定されるため、故障候補が指摘する信号線を含めた故障箇所の範囲があいまいなまま、故障スキャン・チェイン名と故障スキャンFF番号とが出力されるだけである。例えば、図17(b)を参照すると、矢印が示す実際の故障箇所は、スキャン・チェイン名:N10、スキャンFF名:FF11と、スキャン・チェイン名:N10、スキャンFF名:FF12との両方で指摘されているため、実解析で故障箇所を判断するには、熟練した経験が必要である。
【0202】
図8において、本発明に係るスキャン・チェイン故障箇所推定システムで診断した結果の実施例を示す。図8の(a)は、本発明に係るスキャン・チェイン故障箇所推定システムを用いて診断した結果の具体的な一例である。図8の(b)は、図8の(a)の診断結果が示す故障箇所の範囲を示している。故障候補No.1が示す範囲は、FF番号10(FF10)であり、故障種別はstuck−at 1、信号線(分岐位置)は、分岐前、分岐後でnet1、net2、レート=100/100、故障候補No.2が示す範囲は、FF番号11(FF10)であり、故障種別はstuck−at 1、信号線(分岐位置)は、分岐前、分岐後でnet2、net3、レート=99/100である。
【0203】
本発明によるスキャン・チェイン故障箇所推定システムの診断結果は、図8の(a)に示したように、スキャン・チェイン名、スキャンFF番号、故障種別、信号線名、信号線の分岐情報、一致率(レート)を出力する。診断結果は、信号線の分岐を考慮した故障位置に対して一致率による重み付けを行い、重みの高い故障箇所から順に出力されるため、実際の故障の範囲を限定し易く、実解析において解析箇所の選択を容易にする。
【0204】
また、このとき、本発明によるスキャン・チェイン故障辞書は、レイアウト情報と近接信号線情報を保持しているため、診断結果で得られた故障箇所から辞書情報を呼び出し、論理回路の設計情報を照合することで、図9(a)の出力例のように、故障箇所のレイアウト、故障箇所の座標情報、故障の可能性が高いレイアウト階層名、論理的にも物理的にもブリッジ(bridge)故障が生じている可能性が高い短絡(short)相手候補信号線名を、容易に導出することができ、診断精度の向上と解析の容易性がさらに高まる。
【0205】
図9(a)は、番号(No)、チェイン名、ビット番号、故障種別、信号線(分岐位置)、レート、座標、階層名、short相手候補信号線、座標、階層名が出力される。
番号1は、チェイン名=N1、ビット番号=10、故障種別=stuck at 1、信号線(分岐位置)=net1(B2)、レート=100/100、座標=(X1、Y1)、(X2、Y2)、(X3、Y3)、階層名=M2 M3 M4、short相手候補信号線=net2、座標=(X5、Y5)、(X6、Y6) 階層名=M3と信号線のレイアウトが出力される。図9(b)は、図9(a)の出力例が示し故障箇所の範囲を説明する図である。SIN側の故障候補FF2とSOUT側のFF1の間の経路net1が故障候補信号線の範囲、分岐を考慮した範囲はB1、B2、B3となり、故障候補No.1が示す範囲はB2とされ、short相手候補信号線net21とされる。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明によれば、論理回路情報とテスト結果から、スキャン・チェイン故障箇所を推定する故障推定装置や、故障推定装置をコンピュータに実現するためのプログラムといった用途に適用できる。
【0207】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0208】
1 キーボード等の入力装置
2 データ処理装置
3 情報を記憶する記憶装置
4 出力装置
21 初期設定手段
22 故障スキャン・チェイン特定手段
23 故障スキャンFF絞り込み手段
24 故障シミュレーション比較手段
25 スキャン・チェイン故障辞書作成手段
26 スキャン・チェイン故障辞書照合手段
31 論理回路テスト結果情報記憶部
32 故障スキャン・チェイン記憶部
33 故障スキャンFF記憶部
34 スキャン・チェイン故障辞書記憶部
251 スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段
252 故障シミュレーション手段
253 階層別フェイル出力分類手段
254 分岐毎レイアウト情報付加手段
261 スキャンFF共通フェイル照合手段
262 信号線共通フェイル照合手段
263 分岐共通フェイル照合手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定システムであって、
論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果に基づき、故障スキャン・チェインと故障の種別とを導出し、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定手段と、
前記論理回路の構成情報と、前記スキャン・テストパタンと、前記論理回路のレイアウト情報に基づき、前記スキャン・チェイン上の信号線の分岐毎に故障シミュレーションした結果を用いて、前記スキャン・チェイン、前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップ、前記信号線、前記信号線の分岐の階層別に、フェイル出力情報を分類し、
前記信号線の分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成しスキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成手段と、
前記論理回路の構成情報と、前記信号線の期待値と、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン情報に基づき、前記スキャン・チェイン上の故障スキャン・フリップフロップの範囲を導出し、故障スキャン・フリップフロップ候補範囲として、故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み手段と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補の範囲情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、故障スキャン・フリップフロップの候補の範囲内に対して、前記テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書のフェイル出力情報を、階層毎に比較照合し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、信号線情報と、信号線分岐情報と、故障種別と、テスト結果との一致率と、信号線分岐毎のレイアウト情報及び近接信号線情報の少なくとも一つを含む故障推定結果を出力するスキャン・チェイン故障辞書照合手段と、
を備えた故障箇所推定システム。
【請求項2】
論理回路テスト結果情報記憶部と、前記故障スキャン・チェイン記憶部と、前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、を備えた記憶装置を備え、
前記故障スキャン・チェイン特定手段は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層別に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
前記故障スキャン・フリップフロップ絞り込み手段は、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書照合手段は、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合し、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する、ことを特徴とする、請求項1記載の故障箇所推定システム。
【請求項3】
スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定システムであって、
論理回路テスト結果情報記憶部と、
故障スキャン・チェイン記憶部と、
故障スキャン・フリップフロップ記憶部と、
スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定手段と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層別に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成手段と、
を備え、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み手段と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合するスキャン・チェイン故障辞書照合手段と、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する出力手段と、
を備えた、ことを特徴とする故障箇所推定システム。
【請求項4】
前記スキャン・チェイン故障辞書が、
前記論理回路内のスキャン・チェインの構造に対応したスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の4つの階層を持ち、
前記信号線分岐に対して行った故障シミュレーションのフェイル出力情報において、
前記信号線分岐が属するチェイン階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記チェイン階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属するスキャン・フリップフロップ階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属する信号線階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記信号線階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記各信号線分岐に対応するレイアウト情報を保持する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の故障箇所推定システム。
【請求項5】
前記スキャン・チェイン故障辞書作成手段が、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報を参照して、
前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップを抽出し、
抽出したスキャン・フリップフロップ間をつなぐ信号線を抽出し、
抽出した各信号線の分岐構造を解析して信号線の分岐情報を抽出するスキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段と
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェイン上信号線分岐抽出手段から受け渡された信号線の分岐情報と、を用いて、各信号線分岐に対して所定の故障モデルを仮定して、故障シミュレーションを実行し、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果を導出する故障シミュレーション手段と
前記故障シミュレーション手段から受け渡されたスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の接続情報と、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果において、各スキャン・チェイン階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、前記スキャン・チェイン階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各スキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記信号線階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線分岐のフェイル出力を、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録する階層別フェイル出力分類手段と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたレイアウト情報を参照して、前記階層別フェイル出力分類手段から受け渡されたスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報に、前記信号線分岐のレイアウト情報と、前記信号線分岐の近接信号線情報を付加し、スキャン・チェイン故障辞書として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶する分岐毎レイアウト情報付加手段と、
を備えた、ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の故障箇所推定システム。
【請求項6】
前記スキャン・チェイン故障辞書照合手段が、
前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶された故障スキャン・フリップフロップ候補情報を用いて、
故障推定対象のスキャン・フリップフロップを1つずつ選択し、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・フリップフロップの共通フェイル出力情報を照合し、フェイル出力の一致率を導出するスキャン・フリップフロップ共通フェイル照合手段と、
故障推定対象の信号線を選択し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された被対象信号線の共通フェイル出力情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、を照合し、フェイル出力の一致率を導出する信号線共通フェイル照合手段と、
故障推定対象の信号線分岐を選択し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報が一致した場合、
前記信号線分岐に関係する各階層のフェイル出力情報と、前記テスト結果を参照して、一致率を導出し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、スキャン・ビット番号と、信号線と、信号線分岐と、故障種別と、テスト結果との一致率と、レイアウト情報と、近接信号線情報を出力する分岐共通フェイル照合手段と、
を備えた、ことを特徴とする請求項2の故障箇所推定システム。
【請求項7】
データ処理システムを用いて、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定方法であって、
論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果に基づき、故障スキャン・チェインと故障の種別とを導出し、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定工程と、
前記論理回路の構成情報と、前記スキャン・テストパタンと、前記論理回路のレイアウト情報に基づき、前記スキャン・チェイン上の信号線の分岐毎に故障シミュレーションした結果を用いて、前記スキャン・チェイン、前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップ、前記信号線、前記信号線の分岐の階層別に、フェイル出力情報を分類し、前記信号線の分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成工程と、
前記論理回路の構成情報と、前記信号線の期待値と、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン情報に基づき、故障スキャン・フリップフロップの範囲を導出し、故障スキャン・フリップフロップ候補範囲として、故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み工程と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補の範囲情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、故障スキャン・フリップフロップの候補の範囲内に対して、前記テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書のフェイル出力情報を、階層毎に比較照合し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、信号線情報と、信号線分岐情報と、故障種別と、テスト結果との一致率と、信号分岐毎のレイアウト情報及び近接信号線情報の少なくとも一つを含む故障推定結果を出力するスキャン・チェイン故障辞書照合工程と、
を含む、故障箇所推定方法。
【請求項8】
前記データ処理システムが、論理回路テスト結果情報記憶部と、前記故障スキャン・チェイン記憶部と、前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、を備えた記憶装置を備え、
前記故障スキャン・チェイン特定工程は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層別に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
前記故障スキャン・フリップフロップ絞り込み工程は、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書照合工程は、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合し、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する、ことを特徴とする、請求項7記載の故障箇所推定方法。
【請求項9】
論理回路テスト結果情報記憶部、故障スキャン・チェイン記憶部、故障スキャン・フリップフロップ記憶部、スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを備えたデータ処理システムが、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む故障箇所推定方法であって、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定工程と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、
前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成工程と、
を有し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
さらに、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み工程と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合するスキャン・チェイン故障辞書照合工程と、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する工程と、
を含む、ことを特徴とする、故障箇所推定方法。
【請求項10】
前記スキャン・チェイン故障辞書が、
前記論理回路内のスキャン・チェインの構造に対応したスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の4つの階層を持ち、
前記信号線分岐に対して行った故障シミュレーションのフェイル出力情報において、
前記信号線分岐が属するチェイン階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記チェイン階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属するスキャン・フリップフロップ階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属する信号線階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記信号線階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記各信号線分岐に対応するレイアウト情報を保持する、ことを特徴とする請求項8又は9記載の故障箇所推定方法。
【請求項11】
前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程が、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報を参照して、
前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップを抽出し、
抽出したスキャン・フリップフロップ間をつなぐ信号線を抽出し、
抽出した各信号線の分岐構造を解析して信号線の分岐情報を抽出するスキャン・チェイン上信号線分岐抽出工程と
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェイン上信号線分岐抽出工程から受け渡された信号線の分岐情報と、を用いて、各信号線分岐に対して所定の故障モデルを仮定して、故障シミュレーションを実行し、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果を導出する故障シミュレーション工程と
前記故障シミュレーション工程から受け渡されたスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の接続情報と、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果において、各スキャン・チェイン階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、前記スキャン・チェイン階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各スキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記信号線階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線分岐のフェイル出力を、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録する階層別フェイル出力分類工程と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたレイアウト情報を参照して、前記階層別フェイル出力分類工程から受け渡されたスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報に、前記信号線分岐のレイアウト情報と、前記信号線分岐の近接信号線情報を付加し、スキャン・チェイン故障辞書として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶する分岐毎レイアウト情報付加工程と、
を備えた、ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の故障箇所推定方法。
【請求項12】
前記スキャン・チェイン故障辞書照合工程が、
前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶された故障スキャン・フリップフロップ候補情報を用いて、
故障推定対象のスキャン・フリップフロップを1つずつ選択し、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・フリップフロップの共通フェイル出力情報を照合し、フェイル出力の一致率を導出するスキャン・フリップフロップ共通フェイル照合工程と、
故障推定対象の信号線を選択し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された被対象信号線の共通フェイル出力情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、を照合し、フェイル出力の一致率を導出する信号線共通フェイル照合工程と、
故障推定対象の信号線分岐を選択し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報が一致した場合、
前記信号線分岐に関係する各階層のフェイル出力情報と、前記テスト結果を参照して、一致率を導出し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、スキャン・ビット番号と、信号線と、信号線分岐と、故障種別と、テスト結果との一致率と、レイアウト情報と、近接信号線情報を出力する分岐共通フェイル照合工程と、
を備えた、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項記載の故障箇所推定方法。
【請求項13】
データ処理システムのデータ処理装置に、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む、論理回路の故障箇所推定処理を実行させるプログラムであって、
論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果に基づき、故障スキャン・チェインと故障の種別とを導出し、故障スキャン・チェイン情報として故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定処理と、
前記論理回路の構成情報と、前記スキャン・テストパタンと、前記論理回路のレイアウト情報に基づき、前記スキャン・チェイン上の信号線の分岐毎に故障シミュレーションした結果を用いて、前記スキャン・チェイン、前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップ、前記信号線、前記信号線の分岐の階層別に、フェイル出力情報を分類し、前記信号線の分岐毎に、レイアウト情報と近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成処理と、
前記論理回路の構成情報と、前記信号線の期待値と、前記スキャン・チェインの動作判定のテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン情報に基づき、故障スキャン・フリップフロップの範囲を導出し、故障スキャン・フリップフロップ候補範囲として、故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み処理と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補の範囲情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、故障スキャン・フリップフロップの候補の範囲内に対して、前記テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書のフェイル出力情報を、階層毎に比較照合し、スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、信号線情報と、信号線分岐情報と、故障種別と、テスト結果との一致率と、信号分岐毎のレイアウト情報及び近接信号線情報の少なくとも一つを含む故障推定結果を出力するスキャン・チェイン故障辞書照合処理と、
を含む故障箇所推定プログラム。
【請求項14】
前記データ処理システムが、論理回路テスト結果情報記憶部と、前記故障スキャン・チェイン記憶部と、前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、を備えた記憶装置を備え、
前記故障スキャン・チェイン特定処理は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書作成処理は、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層別に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成処理によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
前記故障スキャン・フリップフロップ絞り込み処理は、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶し、
前記スキャン・チェイン故障辞書照合処理は、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合し、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する、ことを特徴とする、請求項13記載の故障箇所推定プログラム。
【請求項15】
論理回路テスト結果情報記憶部、故障スキャン・チェイン記憶部、故障スキャン・フリップフロップ記憶部、スキャン・チェイン故障辞書記憶部と、を備えたデータ処理システムのデータ処理装置に、スキャン設計された論理回路のテスト結果に基づき、前記論理回路のスキャン・チェイン上の故障を絞り込む処理を実行させる論理回路の故障箇所推プログラムであって、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、信号線の期待値と、スキャン・チェイン動作検証テストのテスト結果と、を参照して、
故障スキャン・チェイン、及び、前記故障スキャン・チェインの故障種別と、
を特定し、
前記故障スキャン・チェインと、前記故障種別とを、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶する故障スキャン・チェイン特定処理と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された前記論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、レイアウト情報と、を参照して、
前記スキャン・チェイン上の各信号線分岐に故障を仮定して、故障シミュレーションを行い、前記信号線分岐のフェイル出力情報を求め、
スキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の各階層に、前記フェイル出力情報を分類し、
前記各信号線分岐に、レイアウト情報及び近接信号線情報を付加したスキャン・チェイン故障辞書を作成し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶するスキャン・チェイン故障辞書作成処理と、
を有し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部は、前記スキャン・チェイン故障辞書作成工程によって作成された階層構造を持つフェイル出力情報を記録し、
前記論理回路の構成情報、前記信号線の期待値、前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたテスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン、故障種別を参照し、故障しているスキャン・フリップフロップの範囲を絞り込み、故障スキャン・フリップフロップ候補として前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶する故障スキャン・フリップフロップ絞り込み処理と、
前記テスト結果と、前記故障スキャン・チェイン記憶部に記憶された故障スキャン・チェイン及び故障種別と、前記故障スキャン・フリップフロップ候補と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部とを参照して、前記故障スキャン・フリップフロップ候補から、照合対象とされるスキャン・フリップフロップを選択し、
選択した前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップの階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に前記照合対象のスキャン・フリップフロップに対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線を選択し、
選択した前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
次に、前記信号線に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書の信号線階層に属する信号線分岐を選択し、
選択した前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
前記信号線分岐のフェイル出力情報と、前記テスト結果との一致率を導出する、
ことを繰り返し、
前記故障スキャン・フリップフロップ候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する各信号線分岐階層のフェイル出力情報を、前記テスト結果と照合するスキャン・チェイン故障辞書照合処理と、
前記故障スキャン・チェイン候補と、前記故障スキャン・チェイン候補に対応する前記スキャン・チェイン故障辞書のスキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐の照合結果情報を出力する処理と、
を含む、ことを特徴とする故障箇所推定プログラム。
【請求項16】
前記スキャン・チェイン故障辞書が、
前記論理回路内のスキャン・チェインの構造に対応したスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の4つの階層を持ち、
前記信号線分岐に対して行った故障シミュレーションのフェイル出力情報において、
前記信号線分岐が属するチェイン階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記チェイン階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属するスキャン・フリップフロップ階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記信号線分岐が属する信号線階層の各信号線分岐に共通するフェイル出力情報を前記信号線階層の共通フェイル出力情報として保持し、
前記各信号線分岐に対応するレイアウト情報を保持する、ことを特徴とする請求項14又は15記載の故障箇所推定プログラム。
【請求項17】
前記スキャン・チェイン故障辞書作成処理が、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報を参照して、
前記スキャン・チェイン上のスキャン・フリップフロップを抽出し、
抽出したスキャン・フリップフロップ間をつなぐ信号線を抽出し、
抽出した各信号線の分岐構造を解析して信号線の分岐情報を抽出するスキャン・チェイン上信号線分岐抽出処理と
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶された論理回路の構成情報と、スキャン・テストパタンと、前記スキャン・チェイン上信号線分岐抽出処理から受け渡された信号線の分岐情報と、を用いて、各信号線分岐に対して所定の故障モデルを仮定して、故障シミュレーションを実行し、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果を導出する故障シミュレーション処理と
前記故障シミュレーション処理から受け渡されたスキャン・チェイン、スキャン・フリップフロップ、信号線、信号線分岐の接続情報と、各信号線分岐に対する故障シミュレーション結果において、各スキャン・チェイン階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、前記スキャン・チェイン階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各スキャン・フリップフロップ階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記スキャン・フリップフロップ階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線階層に属する信号線分岐に共通するフェイル出力を抽出し、
前記信号線階層の共通フェイル出力情報として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録し、
各信号線分岐のフェイル出力を、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記録する階層別フェイル出力分類処理と、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたレイアウト情報を参照して、前記階層別フェイル出力分類処理から受け渡されたスキャン・チェイン故障辞書の信号線分岐情報に、前記信号線分岐のレイアウト情報と、前記信号線分岐の近接信号線情報を付加し、スキャン・チェイン故障辞書として、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶する分岐毎レイアウト情報付加処理と、
を備えた、ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の故障箇所推定プログラム。
【請求項18】
前記スキャン・チェイン故障辞書照合処理が、
前記故障スキャン・フリップフロップ記憶部に記憶された故障スキャン・フリップフロップ候補情報を用いて、
故障推定対象のスキャン・フリップフロップを1つずつ選択し、
前記論理回路テスト結果情報記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・フリップフロップの共通フェイル出力情報を照合し、フェイル出力の一致率を導出するスキャン・フリップフロップ共通フェイル照合処理と、
故障推定対象の信号線を選択し、
前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された被対象信号線の共通フェイル出力情報と、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶されたスキャン・テスト結果と、を照合し、フェイル出力の一致率を導出する信号線共通フェイル照合処理と、
故障推定対象の信号線分岐を選択し、前記スキャン・チェイン故障辞書記憶部に記憶された故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報と、前記テスト結果とを照合し、
故障推定対象の信号線分岐の共通フェイル出力情報が一致した場合、
前記信号線分岐に関係する各階層のフェイル出力情報と、前記テスト結果を参照して、一致率を導出し、
スキャン・チェイン識別情報と、スキャン・フリップフロップ識別情報と、スキャン・ビット番号と、信号線と、信号線分岐と、故障種別と、テスト結果との一致率と、レイアウト情報と、近接信号線情報を出力する分岐共通フェイル照合処理と、
を備えた、ことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の故障箇所推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−18111(P2012−18111A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156418(P2010−156418)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】