説明

識別情報供給装置及び安否情報提供システム

【課題】 使用者の複雑な操作を要せず、誰でも簡単に、安否情報を送信することができる識別情報供給装置を提供する。
【解決手段】 安否情報を提供する情報提供装置10と通信する通信部を有する携帯電話機2の拡張端子2aに接続されるインターフェース部21と、固有の識別情報が記憶されている記憶部23と、インターフェース部21を介して拡張端子2aに接続されたことを検出し、記憶部23に記憶されている識別情報を情報提供装置10に送信する制御を行う制御部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を介して安否情報となる識別情報を供給する識別情報供給装置と、この識別情報を管理し所定のアドレスに安否情報を提供する安否情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地震、水害、火災等の災害が発生したとき、家族、友人等の安否とその所在地等の安否情報を、迅速に、かつ確実に入手したいという要望が強い。
【0003】
このような安否情報は、関係者相互の電話連絡に頼るところが大きかった。また、こうした災害発生時に、インターネット技術を利用して、被害者の安否を確認するシステムがある。大学機関等では、こうした研究が進んでおり、例えば、安否確認センタを設置し、災害発生時に、インターネットへのアクセスが可能な携帯電話機やブラウザ搭載のパソコンを利用して、この安否確認センタに自己の安否情報を登録したり、被災者の家族、友人等がこの安否確認センタにアクセスして被災者の安否を確認することができるシステムが発表されている。
【0004】
また、放送機関においても、消防機関に集められた安否情報を放送している場合もある。
【0005】
【特許文献1】特開平9−198401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうした災害発生時には、急増する電話回線の使用によって各電話会社のシステムは、故障したり、故障を防ぐためにアクセスを制限するために通話ができない問題が発生していた。つまり、多くの災害発生時には、被災地域での音声による通話は困難となっていた。
【0007】
また、上述のようなインターネットへのアクセスが可能な携帯電話機やブラウザ搭載のパソコンを利用して安否情報を登録する場合、携帯電話機等の操作に慣れた人しか行えなかった。
【0008】
また、放送機関による安否情報の放送は、必要とする安否情報がその他多数の情報と混在しており、必要とする安否情報を確認するのに、時間と労力を要していた。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑み、災害発生時等において、使用者の複雑な操作を要せず、誰でも簡単に、安否情報を送信することができる識別情報供給装置及び安否情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような問題を解決するために、本発明に係る識別情報供給装置は、安否情報を提供する情報提供装置と通信する通信部を有する携帯電話機の拡張端子に接続されるインターフェース部と、固有の識別情報が記憶されている記憶部と、上記インターフェース部を介して上記拡張端子に接続されたことを検出し、上記記憶部に記憶されている上記識別情報を上記通信部を介して上記情報提供装置に送信する制御を行う制御部とを備える。
【0011】
また、本発明に係る安否情報提供システムは、安否情報を提供する情報提供装置と通信する通信部を有する携帯電話機の拡張端子に接続されるインターフェース部を介して上記拡張端子に接続されたことを検出し、固有の識別情報が記憶されている記憶部の上記識別情報を上記通信部を介して上記情報提供装置に送信する、少なくとも1つの識別情報供給装置と、上記少なくとも1つの上記識別情報供給装置から受信される上記識別情報に基づいて安否情報を、予め上記識別情報に対応して登録された少なくとも1つのアドレスに送信する情報提供装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記アドレスのうち少なくとも1つとして、全ての上記識別情報供給装置に共通のアドレスを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る識別情報供給装置は、インターフェース部を介して携帯電話機の拡張端子に接続されたことを検出し、記憶部に記憶されている識別情報を情報提供装置に送信するので、インターフェース部を介して携帯電話機の拡張端子に接続するだけで、複雑な操作手順を必要とせず誰でも、識別情報を送信することができ、安否を知らせることができる。
【0014】
また、本発明に係る安否情報提供システムは、識別情報供給装置からの識別情報を受信すると、予め登録されている所定のアドレスに安否情報を送信することができ、簡単な操作で、特定の人に安否を知らせることができる。
【0015】
さらに、本発明に係る安否情報提供システムは、アドレスを複数個登録することができ、少なくともその1つが、全ての識別情報供給装置に共通のアドレスが登録されているので、安否を知らせた人数等の集計を容易に行なうことができ、災害による人的被害の状況を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る安否情報提供システムについて図面を参照して詳細に説明する。図1は、この安否情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、安否情報提供システム100は、安否情報を提供する安否情報提供装置10と通信する通信部を有する携帯電話機2の拡張端子2aに接続されるインターフェース部21を介して拡張端子2aに接続されたことを検出し、固有の識別情報が記憶されている記憶部23の識別情報を安否情報提供装置10に送信する識別情報供給装置20と、識別情報供給装置20から受信される識別情報に基づいて安否情報を、予め識別情報に対応して登録されたアドレスに送信する安否情報提供装置10とを備える。
【0018】
安否情報提供装置10は、例えば消防等の公共団体により管理運営され、識別情報供給装置20からの情報を受信することにより、予め登録されたアドレスに安否情報を含む電子メールを提供するシステムである。識別情報供給装置20は、インターネット1と接続することができる携帯電話機2に装着することができ、内部に記録されている識別情報を安否情報提供装置10に送信する。安否情報提供装置10は、識別情報供給装置20から送信された安否情報を、予め登録された安否情報送信先に提供する。
【0019】
安否情報提供装置10は、コンピュータ同士の電子的なネットワークであるインターネット1に接続されており、インターネット1を介して他のコンピュータに対して電子的に情報を提供したり、他のコンピュータ又は識別情報供給装置20からの情報を受信したり、電子メールの送信及び受信を行う。具体的には、安否情報提供装置10は、無線電話ネットワーク3を介してインターネット1に接続可能な携帯電話機4−1〜4−3、インターネット1と直接接続されたコンピュータ4−4等(以下、これらをまとめて情報端末4と称する。)に対して、識別情報供給装置20からの情報の提供等をする。
【0020】
なお、安否情報提供システム100を利用できる者は、識別情報供給装置20を使用している者、その識別情報供給装置20の使用者が安否情報の送信先として指定した者、安否情報を得たいと所望する者等、なんらかの関係を有する全ての者が利用することができる。また、識別情報供給装置20が装着される携帯電話機2は、情報を送信するのみならず、情報を受信場合などには情報端末4となることもある。
【0021】
安否情報提供装置10は、インターネット1を介して識別情報供給装置20の使用者からの識別情報を受信しその識別情報を記憶するデータベース11と、その識別情報から作成される安否情報を電子メール等により予めデータベース11に登録された安否情報送信先のアドレスに配信する情報配信部12とを備えている。
【0022】
データベース11は、識別情報供給装置20から送信される識別情報と、識別情報供給装置20からの識別情報に対応して記憶された安否情報送信先のアドレスとが記憶されている。このデータベース11は、情報配信部12による情報配信処理、送信される安否情報の集計等に利用される。
【0023】
具体的に、データベース11に記憶されるデータは、所定の登録作業を行うことにより登録され、識別情報供給装置20から送信された使用者の氏名、その送信日時、及び、安否情報を送信する安否情報送信先のアドレス等のデータである。
【0024】
なお、データベース11に記憶されるデータは、上述に限らず、例えば、識別情報供給装置20の使用者の氏名、年齢、生年月日、性別、住所等のあらゆる個人情報を含むものであってもよい。
【0025】
また、データベース11に記憶されるデータの安否情報を送信する安否情報送信先のアドレスは、複数箇所登録することができるようにしてもよい。さらに、全ての識別情報供給装置20に共通の安否情報送信先のアドレスを登録するようにしてもよく、例えば共通のアドレスとして、消防機関を登録すると、消防機関において安否の確認できた人の把握が容易になる。
【0026】
情報配信部12は、識別情報供給装置20から送信された安否情報を電子メール等によりインターネット1を介して、予め登録された安否情報送信先のアドレスに送信するものである。
【0027】
続いて、安否情報提供システム100で使用される識別情報供給装置20について説明する。識別情報供給装置20は、携帯電話機2にアダプタ装置として装着されるもので、図2に示すように、携帯電話機2の拡張端子2aに接続されるインターフェース部21を備え、このインターフェース部21に接続された制御部22、制御部22に接続された記憶部23、内部電源24とからなる。
【0028】
インターフェース部21は、各社から販売されている各種携帯電話機の拡張端子に対応する構造となっている。
【0029】
記憶部23は、この識別情報供給装置20固有の識別情報、例えばシリアル番号が記憶されており、この識別情報は、データベース11に記憶された情報と一義的に対応している。
【0030】
制御部22は、インターフェース部21を介して携帯電話機2の拡張端子2aに接続されたことを検出すると、記憶部23に記憶された識別情報を読み出し、携帯電話機2を介して、安否情報提供装置10に自動送信する制御を行う。
【0031】
識別情報供給装置20は、内部電源24としてボタン型電池を内蔵しており、内部電源24により動作するが、内部電源24を持たず、インターフェース部21を介して携帯電話機2の拡張端子2aから供給される電源により動作するようにする構造とすることもできる。
【0032】
このような構成の識別情報供給装置20は、インターフェース部21を介して携帯電話機2の拡張端子2aに接続されたことを検出して、記憶部23に記憶されている識別情報を情報提供装置10に送信するので、複雑な操作手順を必要とせず誰でも、インターフェース部21を介して携帯電話機2の拡張端子2aに接続するだけで、識別情報を送信することができ、安否を知らせることができる。
【0033】
また、安否情報提供装置10は、識別情報供給装置20からの識別情報を受信すると、予め登録されている所定のアドレスに安否情報を送信することができ、簡単な操作で、特定の人に安否を知らせることができる。
【0034】
また、安否情報提供装置10は、所定のアドレスを複数個登録することができ、少なくともその1つが、全ての識別情報供給装置20に共通のアドレスであるので、安否を知らせた人数等の集計を容易に行なうことができ、災害による人的被害の状況を把握することができる。
【0035】
なお、安否情報提供装置10のデータベース11に記憶された情報は、予め所定の登録作業を行うことにより登録され記憶されることについて述べたが、コンピュータなどにより安否情報提供装置10に直接アクセスし、使用者の個人情報の変更、修正等を行えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る安否情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図2】識別情報供給装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1 インターネット、2 携帯電話機、2a 拡張端子、3 無線電話ネットワーク、4 情報端末、10 安否情報提供装置、11 データベース、12 情報配信部、20 識別情報供給装置、21 インターフェース部、22 制御部、23 記憶部、24 内部電源、100 安否情報提供システム、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
安否情報を提供する情報提供装置と通信する通信部を有する携帯電話機の拡張端子に接続されるインターフェース部と、
固有の識別情報が記憶されている記憶部と、
上記インターフェース部を介して上記拡張端子に接続されたことを検出し、上記記憶部に記憶されている上記識別情報を上記通信部を介して上記情報提供装置に送信する制御を行う制御部とを備えることを特徴とする識別情報供給装置。
【請求項2】
安否情報を提供する情報提供装置と通信する通信部を有する携帯電話機の拡張端子に接続されるインターフェース部を介して上記拡張端子に接続されたことを検出し、固有の識別情報が記憶されている記憶部の上記識別情報を上記通信部を介して上記情報提供装置に送信する、少なくとも1つの識別情報供給装置と、
上記少なくとも1つの上記識別情報供給装置から受信される上記識別情報に基づいて安否情報を、予め上記識別情報に対応して登録された少なくとも1つのアドレスに送信する情報提供装置とを備えることを特徴とする安否情報提供システム。
【請求項3】
上記アドレスのうち少なくとも1つとして、全ての上記識別情報供給装置に共通のアドレスを含むことを特徴とする請求項2記載の安否情報提供システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−148476(P2006−148476A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334806(P2004−334806)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(595162507)株式会社妻鳥通信工業 (4)
【Fターム(参考)】