負荷駆動装置
【課題】パワー素子にクランプ回路を接続してパワー素子の駆動端子に印加される電圧を所定電圧にクランプするに際し、スイッチング素子を駆動するための定電流の消費電流を削減できる負荷駆動装置を提供する。
【解決手段】クランプ回路50は駆動端子41に接続されており、ドライバ回路30が駆動端子41に定電流を流すことにより駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする。また、ドライバ回路30は、パワー素子40の駆動端子41に定電流を流すことでパワー素子40をオン駆動する。さらに、ドライバ回路30は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子41に流す定電流の電流量を、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子41に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路32を備えている。
【解決手段】クランプ回路50は駆動端子41に接続されており、ドライバ回路30が駆動端子41に定電流を流すことにより駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする。また、ドライバ回路30は、パワー素子40の駆動端子41に定電流を流すことでパワー素子40をオン駆動する。さらに、ドライバ回路30は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子41に流す定電流の電流量を、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子41に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路32を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動する負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷としてIGBTやMOSFET等のパワー素子のゲートを定電流で駆動するゲート駆動回路が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、パワー素子のゲートに定電流パルスゲート駆動回路が接続されたゲート駆動回路が提案されている。
【0003】
このゲート駆動回路では、制御信号に従って定電流パルスゲート駆動回路が動作すると、定電流パルスゲート駆動回路からパワー素子のゲートに定電流が供給される。これにより、負荷であるパワー素子のゲートに電荷が供給されるので、ゲート電圧が上昇し、パワー素子がオンする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−11049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、パワー素子のゲートがフルオン状態に達した際にオーバーシュートが発生し、これがパワー素子の破壊の原因となり得る。そこで、パワー素子のゲートに当該ゲート電圧を一定電圧にクランプするクランプ回路を接続することにより、パワー素子のオーバーシュートの防止および保護を図ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、クランプ回路により設定された電圧にパワー素子のゲート電位が達した段階で、クランプ回路側に定電流が流れ込む経路ができるため、パワー素子に定電流を流し続ける限り、パワー素子のゲートに供給される定電流がクランプ回路にも流れ続けてしまう。このため、パワー素子を駆動するための定電流の消費電流が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、パワー素子にクランプ回路を接続してパワー素子の駆動端子に印加される電圧を所定電圧にクランプするに際し、パワー素子を駆動するための定電流の消費電流を削減できる負荷駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、負荷(10)に接続され、半導体スイッチング素子にて構成されたパワー素子(40)と、パワー素子(40)の駆動端子(41)に定電流を流すことでパワー素子(40)をオン駆動するドライバ回路(30)と、を備えている。
【0009】
さらに、駆動端子(41)に接続され、ドライバ回路(30)が駆動端子(41)に定電流を流すことにより駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするクランプ回路(50)を備えている。
【0010】
そして、ドライバ回路(30)は、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子(41)に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路(32)を備えていることを特徴とする。
【0011】
これによると、パワー素子(40)の駆動端子(41)の電圧が所定電圧に達した後はドライバ回路(30)の可変定電流回路(32)によって駆動端子(41)に流れる定電流の電流量を低減し、クランプ回路(50)に流れ込む電流を低減することができる。したがって、パワー素子(40)を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、可変定電流回路(32)は、一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、一端側が電源(20)に接続される第2抵抗(34)と、第1抵抗(33)の他端側とパワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、を備えている。
【0013】
また、第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにスイッチング素子(36)を駆動することで第1抵抗(33)に流れる電流を定電流としてパワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)を有している。
【0014】
さらに、第2抵抗(34)の他端側に接続されると共にスイッチ(38)を有し、スイッチ(38)がオンされると第1電流値の電流が流れ、スイッチ(38)がオフされると第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる可変の定電流源(37)と、を備えている。
【0015】
オペアンプ(35)が第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、スイッチング素子(36)を駆動することにより、第1抵抗(33)には第2抵抗(34)に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっている。
【0016】
そして、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ(38)がオンされることにより、第2抵抗(34)には第1電流値の電流が流れ、第1抵抗(33)には第1電流値に比例した電流が流れるようになっている。
【0017】
また、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ(38)がオフされると、第2抵抗(34)には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れ、第1抵抗(33)には第2電流値に比例した電流が流れることにより、スイッチ(38)がオンされた場合よりも第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0018】
このように、オペアンプ(35)の入力側の電流量を小さくすることにより、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、可変定電流回路(32)は、一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、一端側が電源(20)に接続されると共にスイッチ(38)を有し、スイッチ(38)がオンされると第1抵抗値となり、スイッチ(38)がオフされると第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値となる可変の第2抵抗部(34)と、を備えている。
【0020】
さらに、可変定電流回路(32)は、第2抵抗部(34)の他端側に接続され、第2抵抗部(34)に一定の電流を流す定電流源(37)と、第1抵抗(33)の他端側とパワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗部(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにスイッチング素子(36)を駆動することで第1抵抗(33)に流れる電流を定電流としてパワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、を備えている。
【0021】
オペアンプ(35)が第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、スイッチング素子(36)を駆動することにより、第1抵抗(33)には第2抵抗部(34)の抵抗値に比例した電流が流れるようになっている。
【0022】
そして、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ(38)がオフされることにより、第2抵抗部(34)は第2抵抗値とされ、第1抵抗(33)には第2抵抗値に比例した電流が流れるようになっている。
【0023】
また、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ(38)がオンされると、第2抵抗部(34)の抵抗値は第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に削減され、第1抵抗(33)には第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、スイッチ(38)がオフされた場合よりも第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0024】
このように、オペアンプ(35)の入力側の抵抗値を小さくすることにより、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明では、ドライバ回路(30)は外部から入力される切替信号に従ってパワー素子(40)のオン/オフ駆動を行うようになっており、クランプ回路(50)は外部から入力される制御信号に従って駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするようになっている。そして、切替信号および制御信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路(60)を備えていることを特徴とする。
【0026】
これによると、スイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を既存の切替信号および制御信号を用いて生成することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明では、電流量削減用信号生成回路(60)は、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するとスイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減し、クランプ回路(50)による所定電圧のクランプが解除された後、スイッチ(38)をオンする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を元に戻し、駆動端子(41)に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、再びスイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0028】
これによると、パワー素子(40)の駆動端子(41)に印加される電圧を増加させるタイミングでドライバ回路(30)に流す定電流を大きくすることができる。このため、駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧から電源電圧もしくは最大駆動電圧に短時間で上昇させることができるので、パワー素子(40)のスイッチング損失を低減することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、備えている。
【0030】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0031】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)から各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号の全てが入力されると、スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を第1電流値から第2電流値に低減することを特徴とする。
【0032】
このように、複数のパワー素子(40)がドライバ回路(30)によって駆動される場合においても、複数のパワー素子(40)の駆動端子(41)の全てが所定電圧に達した後はドライバ回路(30)の可変定電流回路(32)によって各駆動端子(41)に流れる定電流の電流量を低減する。これにより、クランプ回路(50)に流れ込む電流を低減することができ、複数のパワー素子(40)を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えている。
【0034】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、定電流源(37)は、スイッチ(38)を複数有し、複数のスイッチ(38)の全てがオンされると第1電流値の電流が流れ、複数のスイッチ(38)の全てがオフされると第2電流値の電流が流れ、複数のスイッチ(38)がオフされる数が多いほど第2電流値に近づくように第1電流値と第2電流値との間で電流が段階的に変化するようになっている。また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0035】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ(38)を一つずつオフする電流量削減用信号を出力することにより、各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を第1電流値から段階的に第2電流値に低減することを特徴とする。
【0036】
請求項8に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えている。
【0037】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、第2抵抗部(34)は、スイッチ(38)を複数有し、複数のスイッチ(38)の全てがオンされると第1抵抗値になり、複数のスイッチ(38)の全てがオフされると第2抵抗値になり、複数のスイッチ(38)がオンされる数が多いほど第1抵抗値に近づくように第1抵抗値と2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するようになっている、また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0038】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ(38)を一つずつオンする電流量削減用信号を出力することにより、第2抵抗部(34)の抵抗値を第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に段階的に低減し、これにより、各駆動端子(41)に流す定電流の電流量を段階的に低減することを特徴とする。
【0039】
請求項7または8に記載の発明では、パワー素子(40)が複数備えられた構成において、各駆動端子(41)に印加される電圧のうちいずれかが最初に所定電圧に達してから段階的に定電流が削減されるので、全ての駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまでに既に定電流が段階的に削減されている。したがって、各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を一括で低減する場合よりも定電流をさらに削減することができる。
【0040】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る負荷駆動装置を負荷に接続した負荷駆動装置の概念図である。
【図2】図1に示された負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図3】パワー素子のゲート波形、パワー素子を駆動するための切替信号、クランプ回路を動作させるための制御信号、および電流量削減用信号のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図6】第3実施形態における電流量削減用信号生成回路の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図8】第4実施形態における電流量削減用信号生成回路の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態に係る負荷駆動装置を負荷に接続した負荷駆動装置の概念図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る負荷駆動装置の概念図である。
【図11】図10に示された負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図12】図11に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】本発明の第7実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図14】本発明の第8実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図15】図14に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】本発明の第9実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図17】図16に示された定電流量制御回路の真理値表を示した図である。
【図18】図16に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される負荷駆動装置は、例えばモータ等の負荷を駆動するために用いられる装置である。
【0044】
図1は、本実施形態に係る負荷駆動装置を負荷10に接続した負荷駆動装置の概念図である。この図に示されるように、負荷駆動装置は、電源20に接続されたドライバ回路30と、ドライバ回路30に接続されたパワー素子40およびクランプ回路50とを備えている。
【0045】
パワー素子40は、負荷10を駆動するための半導体スイッチング素子である。本実施形態では、パワー素子40としてIGBTが採用されている。パワー素子40のゲート端子である駆動端子41はドライバ回路30に接続されている。また、本実施形態では、負荷10はパワー素子40のエミッタ側に接続されている。
【0046】
ドライバ回路30は外部から入力されるゲートON/OFF切替信号に従って第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bを駆動することでパワー素子40の駆動端子41に定電流を流すことによりパワー素子40をオン/オフ駆動するように構成されている。なお、以下ではゲートON/OFF切替信号を単に切替信号という。
【0047】
また、ドライバ回路30は外部から入力される電流量削減用信号に従ってパワー素子40の駆動端子41に流れる定電流の電流量を調整する可変定電流回路32を備えている。この可変定電流回路32は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子41に流す定電流の電流量を、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子41に流す定電流の電流量よりも低減する役割を果たす回路である。
【0048】
クランプ回路50は、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプすることにより、駆動端子41に印加される電圧の急激な変動を回避してパワー素子40のオーバーシュートやサージによる破壊を防止する役割を果たす回路である。このクランプ回路50は駆動端子41とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。上述のように、ドライバ回路30が駆動端子41に定電流を流すことにより駆動端子41に印加される電圧が上昇するので、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、クランプ回路50は駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする。なお、図1や図2以降の各図では基準電源ラインの一例としてグランドを示している。もちろん、基準電源ラインはグランドに限らず、グランド以外の電位を基準とした構成になっていても良い。
【0049】
クランプ回路50は外部から入力される制御信号に従って駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする動作を行う。なお、クランプ回路50の構成は例えばダイオード素子等を用いて構成されている。また、クランプ回路50はローレベルの制御信号で動作するように構成されているとする。
【0050】
上記の負荷駆動装置において、ドライバ回路30の具体的な構成について、図2を参照して説明する。上述のように、ドライバ回路30は、可変定電流回路32、第1切替スイッチ31a、および第2切替スイッチ31bを備えている。
【0051】
まず、可変定電流回路32について説明する。図2に示されるように、可変定電流回路32は、第1抵抗33(図2のR1)と、第2抵抗34(図2のR2)と、オペアンプ35と、スイッチング素子36と、定電流源37と、を備えている。
【0052】
この第1抵抗33は、パワー素子40の駆動端子41に流れる定電流に対応する電流が流れるセンシング用の抵抗である。第1抵抗33の一端側は電源20(図2のVB)に接続され、他端側はスイッチング素子36に接続されている。また、第2抵抗34は一端側が電源20に接続され、他端側が定電流源37に接続されている。
【0053】
オペアンプ35は、第2抵抗34の他端側の電圧に基づいて第1抵抗33に流れる電流をフィードバック制御することで、パワー素子40の駆動端子41に流す定電流の大きさを調整する役割を果たすものである。
【0054】
また、オペアンプ35の非反転入力端子(+)は第2抵抗34の他端側と定電流源37との接続点に接続されている。これにより、オペアンプ35の非反転入力端子には第2抵抗34の他端側に対応する第1電圧が印加される。すなわち、電源20の電圧をVBとし、第2抵抗34に流れる電流をIとし、第2抵抗34の抵抗値をR2とすると、第1電圧は電源20の電源電圧から基準電圧が差し引かれた電圧(VB−I×R2)に相当する。
【0055】
一方、オペアンプ35の反転入力端子(−)は第1抵抗33の他端側に接続されている。これにより、オペアンプ35の反転入力端子には第1抵抗33の他端側に対応する第2電圧が印加される。すなわち、第1抵抗33に流れる電流をIoutとし、第1抵抗33の抵抗値をR1とすると、第2電圧は電源20の電源電圧から第1抵抗33の電圧降下分が差し引かれた電圧(VB−Iout×R1)に相当する。
【0056】
スイッチング素子36は、オペアンプ35の出力によって駆動される半導体素子である。本実施形態では、スイッチング素子36としてPch型のMOSFETが用いられている。そして、スイッチング素子36のゲートはオペアンプ35の出力端子に接続され、ソースは第1抵抗33の他端側に接続されている。さらに、スイッチング素子36のドレインはパワー素子40の駆動端子41に接続されている。
【0057】
定電流源37は第2抵抗34に流れる電流(I)の電流量を可変できる電流源であり、第2抵抗34の他端側とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。この定電流源37は、スイッチ38と、第1定電流源37aと、第2定電流源37bと、を備えている。
【0058】
第1定電流源37aはスイッチ38を介して第2抵抗34の他端側に接続されている。また、第2定電流源37bは第2抵抗34の他端側に直接接続されている。スイッチ38は、電流量削減用信号のオン指令/オフ指令に従ってオン/オフされる。
【0059】
なお、第1定電流源37aの電流能力と第2定電流源37bの電流能力とは同じでも良いし、異なっていても良い。スイッチ38のオン/オフによって第2抵抗34に流す電流の大きさをどのように設計するかによって各定電流源37a、37bの電流能力を設定すれば良い。
【0060】
このような構成により、電流量削減用信号のオン指令によってスイッチ38がオンされると第2抵抗34には第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が流れる。一方、電流量削減用信号のオフ指令によってスイッチ38がオフされると第1定電流源37aに流れる電流は電源20とグランド等の基準電圧ラインとの間の経路から切り離されるので、第2抵抗34には第2定電流源37bに流れる電流のみが流れる。すなわち、第2定電流源37bに流れる電流の電流値を第2電流値とすると、スイッチ38がオフの場合、第2抵抗34には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる。以上が、可変定電流回路32の構成である。
【0061】
また、ドライバ回路30に備えられた第1切替スイッチ31aは電源20とオペアンプ35の出力端子との間に接続されている。本実施形態では、第1切替スイッチ31aとしてPch型のMOSFETが採用される。したがって、第1切替スイッチ31aのソースが電源20に接続され、ドレインがオペアンプ35の出力端子に接続されている。
【0062】
一方、第2切替スイッチ31bは駆動端子41とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。本実施形態では、第2切替スイッチ31bとしてNch型のMOSFETが採用される。したがって、第2切替スイッチ31bのソースがパワー素子40の駆動端子41に接続され、ドレインがグランド等の基準電圧ラインに接続されている。
【0063】
さらに、第1切替スイッチ31aのゲートにはインバータ31cが接続されている。したがって、第1切替スイッチ31aにはインバータ31cを介して切替信号が入力され、第2切替スイッチ31bには切替信号が直接入力される。これによると、各切替スイッチ31a、31bには一方に入力される信号に対して他方に入力される信号が反転する。
【0064】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路構成である。本実施形態では、切替信号や電流量削減用信号は、外部のECU等から入力される。
【0065】
次に、図2に示される負荷駆動装置の作動について、図3を参照して説明する。図3は、パワー素子40のゲート波形、パワー素子40をオン/オフ駆動するための切替信号、クランプ回路50を動作させるための制御信号、および電流量削減用信号のタイミングチャートである。
【0066】
ここで、切替信号がハイレベルの場合、第1切替スイッチ31aがオンされてスイッチング素子36のゲートに電源電圧が印加されるため、スイッチング素子36がオフする。また、第2切替スイッチ31bはオンされ、駆動端子41からグランド等の基準電圧ラインに電流が流れてパワー素子40がオフする。一方、切替信号がローレベルの場合、第1切替スイッチ31aはオフするため、スイッチング素子36はオペアンプ35の出力によって駆動される。また、第2切替スイッチ31bはオフするため、定電流は駆動端子41を介してクランプ回路50に流れる。このように、ドライバ回路30は、ハイレベルの切替信号に従ってパワー素子40をオフし、ローレベルの切替信号に従ってパワー素子40をオンする動作を行う。
【0067】
そして、図3に示されるオフ区間後の時点T10において、ドライバ回路30に入力される切替信号がハイレベルからローレベルに切り替わることにより、第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bがオフし、スイッチング素子36がオペアンプ35によって駆動される。また、クランプ回路50に制御信号が入力されることでクランプ回路50が動作する。これにより、電源20、第1抵抗33、スイッチング素子36、駆動端子41、クランプ回路50という経路が形成される。そして、パワー素子40の駆動端子41に定電流が流れる。
【0068】
さらに、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされ、第2抵抗34には定電流源37の第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が流れる。なお、本実施形態では、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされる場合を削減モードオフとし、電流量削減用信号によって可変定電流回路32のスイッチ38がオフされる場合を削減モードオンとする。つまり、時点T10では削減モードがオフされる。
【0069】
上記のようにして駆動端子41に定電流が流れると、この定電流の大きさに応じた傾きでパワー素子40のゲート電圧が上昇する。そして、ゲート電圧がパワー素子40の閾値電圧に達すると、パワー素子40がオンし、ゲート電圧はミラー電圧に達する。ミラー電圧は、パワー素子40であるIGBTの増幅率等の特性によって決まる電圧であり、時点T10から時点T11までのミラー区間で一定になる。
【0070】
ここで、可変定電流回路32は、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗34の他端側に対応する第2電圧とが等しくなるように第1抵抗33に流れる電流の大きさをフィードバック制御している。
【0071】
具体的には、可変定電流回路32のオペアンプ35の各入力端子の電位は同電位となるため、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧(VB−Iout×R1)と第2抵抗34の他端側に対応する第2電圧(VB−I×R2)とが等しくなるようにオペアンプ35がスイッチング素子36を制御する。したがって、第1抵抗33に流れる定電流IoutはIout=(I×R2)/R1となり、第1抵抗33に流れる電流が一定の定電流としてパワー素子40の駆動端子41に流れる。
【0072】
上記の式(Iout=(I×R2)/R1)に表されるように、第1抵抗33には第2抵抗34に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっている。そして、第2抵抗34には、第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が電流Iとして流れるので、第1抵抗33には当該第1電流値に比例した電流が流れる。
【0073】
ミラー区間が終わると、時点T11からゲート電圧が再び上昇する。そして、時点T12でゲート電圧すなわち駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオフされる。つまり、削減モードがオンされる。
【0074】
これにより、第2抵抗34には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流すなわち第2定電流源37bに流れる電流のみが電流Iとして流れる。そして、第1抵抗33には第2電流値に比例した電流が流れることになり、定電流源37のスイッチ38がオンされた場合よりも第1抵抗33に流れる電流が低減する。したがって、削減モードオフの前よりも駆動端子41に流れる定電流の電流量が低減するので、クランプ回路50に流れる定電流の消費電流が削減される。
【0075】
一方、クランプ回路50は時点T10から動作しており、ミラー区間が終了した時点T11から時点T13までのクランプ電圧保持区間において駆動端子41に印加される電圧を所定電圧に保持するように動作する。このクランプ電圧保持区間において駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に保持されるので、ゲート電圧のオーバーシュートを防止することができ、パワー素子40の保護を図ることができる。この後、時点T13で制御信号によってクランプ回路50がオフされる。
【0076】
続いて、時点T13で電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされる、つまり削減モードがオフされると、パワー素子40の駆動端子41に第1電流値に比例した電流が流れる。すなわち、パワー素子40の駆動端子41に流れる定電流の大きさが元に戻る。このため、パワー素子40のゲート電圧が上昇し、最大駆動電圧に達する。この最大駆動電圧は電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の電圧であり、パワー素子40であるIGBTをフルオンさせる電圧である。以下では、単に最大駆動電圧という。
【0077】
そして、駆動端子41に印加される電圧が最大駆動電圧に達した後、時点T14で再び電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオフされて削減モードがオンされる。これにより、駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。
【0078】
時点T13から時点T15までのフルオン区間の後、時点T15でドライバ回路30に入力される切替信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。つまり、パワー素子40をオフするオフ指令により、第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bがオンし、スイッチング素子36がオフされる。これにより、駆動端子41に蓄積された電荷が第2切替スイッチ31bを介してグランド等の基準電圧ラインに放出されるため、時点T15から時点T16までのミラー区間を経た後、時点T16で駆動端子41のゲート電圧が最低値まで下がるので、ゲート電圧がパワー素子40の閾値電圧を下回り、パワー素子40はオフされる。時点T16から時点T10まではオフ区間となる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、駆動端子41に印加される電圧を上昇させるタイミング(時点T10、T13)で削減モードをオフにしてドライバ回路30の電流能力を上げることが特徴となっている。これにより、パワー素子40の駆動端子41に流れ込む定電流の電流量が大きくなるので、ゲート電圧の立ち上がりに掛かる時間が短縮されてスイッチング損失を減らすことができる。
【0080】
また、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプするタイミング(時点T12、T14)で削減モードをオンにしてドライバ回路30の電流能力を下げることにより、定電流の電流量を絞ることが特徴となっている。このように、クランプ回路50に流れ込む電流を低減しているので、パワー素子40がオンしている期間(時点T10〜T15)においてパワー素子40を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0081】
そして、本実施形態では、ドライバ回路30に定電流の電流量を調整することができる可変の定電流源37を設けているので、定電流源37を電流量削減用信号で制御することによりドライバ回路30の電流能力を調整できる。
【0082】
また、本実施形態のように、ゲート電圧を所定電圧まで上昇させた後にさらに最大駆動電圧まで上昇させる場合には定電流の電流量を大きくすることでゲート電圧が所定電圧から最大駆動電圧に上昇するまでの時間を短縮することができる。これにより、パワー素子40のスイッチング損失を低減することができる。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。上記第1実施形態では、ドライバ回路30の定電流源37の電流能力を調整することでパワー素子40の駆動端子41に流す定電流の電流量を調整していたが、本実施形態では、第2抵抗34の抵抗値を調整することでパワー素子40の駆動端子41に流す定電流の電流量を調整することが特徴となっている。
【0084】
図4は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、可変定電流回路32に設けられた第2抵抗34は、抵抗34a(図4のR21)および抵抗34b(図4のR22)が直列に接続されて構成されている。抵抗34aの一端側は電源20に接続され、他端側は抵抗34bの一端側に接続されている。抵抗34bの他端側はオペアンプ35の非反転入力端子に接続されている。
【0085】
また、抵抗34aには電流量削減用信号によってオン/オフされるスイッチ38が並列に接続されている。これにより、スイッチ38がオンされると第2抵抗34の抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値となる。一方、スイッチ38がオフされると第2抵抗34の抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値となる。
【0086】
そして、スイッチ38がオンされたときの第2抵抗34の抵抗値を第1抵抗値とし、スイッチ38がオフされたときの第2抵抗34の抵抗値を第2抵抗値とする。第1抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値であり、第2抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値であるから、第2抵抗値は第1抵抗値よりも大きい抵抗値である。このように、第2抵抗34はスイッチ38によって抵抗値が可変になるように構成されている。
【0087】
本実施形態では、定電流源37は一定の電流を流すように構成されている。定電流源37は第2抵抗34を構成する抵抗34bの他端側およびオペアンプ35の非反転入力端子に接続されている。本実施形態では、定電流源37が流す電流値をIとする。
【0088】
なお、負荷駆動装置を構成するインバータ31c、第1切替スイッチ31a、第2切替スイッチ31b、オペアンプ35、スイッチング素子36、第1抵抗33、クランプ回路50、およびパワー素子40については第1実施形態で示されたものと同じである。
【0089】
上記の構成では、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗34の他端側すなわち抵抗34bの他端側に対応する第2電圧とがオペアンプ35に印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにオペアンプ35がスイッチング素子36を駆動する。
【0090】
そして、第2抵抗34の抵抗値をR2とし、第2抵抗34に流れる電流をIとすると、第1抵抗33に流れる電流Ioutは上述のようにIout=(I×R2)/R1として表され、第2抵抗34に流れる電流を一定電流とすると、第1抵抗33には第2抵抗34の抵抗値に比例した電流が流れる。本実施形態では、R2の抵抗値を調整することにより、第1抵抗33に流れる電流Ioutを増減させることでドライバ回路30の電流能力を調整する。
【0091】
具体的には、図3に示される時点T10から駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達する時点T12まで電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ38がオフされる。すなわち、時点T10から時点T12までの期間で削減モードがオフされる。これにより、第2抵抗34の抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値である第2抵抗値となる。したがって、第1抵抗33には第2抵抗値に比例した電流が流れる。なお、図3に示される時点T13から時点T14までの期間についても同様である。
【0092】
一方、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ38がオンされる。すなわち、図3に示される時点T12から時点T13までの期間で削減モードがオンされる。これにより、第2抵抗34の抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値である第1抵抗値となる。したがって、第1抵抗33には第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、スイッチ38がオフされた場合よりも第1抵抗33に流れる電流が低減するため、駆動端子41に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0093】
以上のように、第2抵抗34の抵抗値を下げることによってドライバ回路30の電流能力を下げることができる。このため、駆動端子41に流れる定電流の電流量を低減することができ、パワー素子40がオンしている期間(図3の時点T10〜T15)にクランプ回路50によって消費される電流を削減することができる。
【0094】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、抵抗34a、抵抗34b、およびスイッチ38によって構成される第2抵抗34が特許請求の範囲の「第2抵抗部」に対応する。
【0095】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。第1実施形態では、定電流源37のスイッチ38をオン/オフするための電流量削減用信号を外部から入力していたが、本実施形態では既存の切替信号および制御信号を用いて電流量削減用信号を生成することが特徴となっている。
【0096】
図5は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、クランプ回路50に制御信号が入力されるようになっている。制御信号がローレベルの場合にクランプ回路50がオンされ、制御信号がハイレベルの場合にクランプ回路50がオフされる。
【0097】
また、図2に示される構成に対して、切替信号および制御信号に基づいてスイッチ38を制御するための電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路60が備えられている。
【0098】
この電流量削減用信号生成回路60は、切替信号が入力されるディレイ回路61aと、インバータ62aによって反転された切替信号とディレイ回路61aの出力とが入力されるフリップフロップ63aと、を備えている。また、電流量削減用信号生成回路60は、制御信号が入力されるディレイ回路61bと、制御信号とインバータ62bによって反転されたディレイ回路61bの出力とが入力されるフリップフロップ63bと、を備えている。本実施形態では、ディレイ回路61aのディレイ時間をT1とし、ディレイ回路61bのディレイ時間をT2とする。
【0099】
さらに、電流量削減用信号生成回路60は各フリップフロップ63a、63bのNOR論理を出力するNOR回路64を備えている。このNOR回路64の出力が電流量削減用信号として定電流源37のスイッチ38に入力される。
【0100】
このような構成の電流量削減用信号生成回路60の作動について、図6を参照して説明する。図6は、切替信号および制御信号に対するインバータ62aの出力(図5のA)、ディレイ回路61aの出力(図5のB)、フリップフロップ63aの出力(図5のC)、ディレイ回路61bの出力(図5のD)、インバータ62bの出力(図5のE)、フリップフロップ63bの出力(図5のF)、および電流量削減用信号を示したタイミングチャートである。
【0101】
時点T20において切替信号および制御信号がハイレベルからローレベルに切り替わることにより、パワー素子40がオンすると共にクランプ回路50が動作する。ここで、切替信号は時点T20から時点T25までローレベルとなり、制御信号は時点T20から時点T23までローレベルとする。
【0102】
これにより、インバータ62aの出力(A)は切替信号の反転出力になるので時点T20から時点T25までハイレベルとなる。また、ディレイ回路61aの出力(B)は切替信号をディレイ時間T1だけ遅らせて出力するので、時点T22まではハイレベルを維持し(T1 DELAY)、時点T22から時点T26までローレベルとなる。そして、フリップフロップ63aの出力(C)は、インバータ62aの出力がローレベルからハイレベルに立ち上がるエッジを検出してフリップフロップ63aの入力端子に入力されているハイレベル電圧を取り込んで出力し、ディレイ回路61aの出力がローレベルとなりフリップフロップ63aの出力リセットによりローレベルとなるまでハイレベルを保持する。したがって、フリップフロップ63aは、時点T20から時点T22までの間、ハイレベル信号を出力する。
【0103】
一方、ディレイ回路61bの出力(D)は制御信号をディレイ時間T2だけ遅らせて出力するので、時点T21まではハイレベルを維持し(T2 DELAY)、時点T21から時点T24までローレベルとなる。また、インバータ62bの出力(E)はディレイ回路61bの反転出力になるので時点T21から時点T24までハイレベルとなる。そして、フリップフロップ63bの出力(F)は、制御信号とインバータ62bの出力がハイレベルのときにハイレベルの信号を出力するので、時点T23から時点T24までの間、ハイレベルの信号を出力する。
【0104】
したがって、NOR回路64の出力はフリップフロップ63aの出力(C)の反転出力およびフリップフロップ63bの出力(F)の反転出力となるので、フリップフロップ63aの出力がハイレベルとなる時点T20から時点T22までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。また、フリップフロップ63bの出力がハイレベルとなる時点T23から時点T24までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。
【0105】
このようにして生成された電流量削減用信号は、第1実施形態で示された図3の電流量削減用信号と同じ波形となる。なお、本実施形態に係る時点T20が第1実施形態に係る時点T10に対応する。同様に、本実施形態に係る時点T22が第1実施形態に係る時点T12に対応し、本実施形態に係る時点T23が第1実施形態に係る時点T13に対応し、本実施形態に係る時点T24が第1実施形態に係る時点T14に対応する。すなわち、電流量削減用信号生成回路60は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するとスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。この後、クランプ回路50による所定電圧のクランプが解除された後、電流量削減用信号生成回路60は、スイッチ38をオンする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を元に戻す。そして、駆動端子41に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、電流量削減用信号生成回路60は、再びスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。
【0106】
以上のように、既存の切替信号および制御信号を用いてスイッチ38を制御するための電流量削減用信号を生成することができる。このような電流量削減用信号生成回路60は論理回路にて構成可能であるので、消費電流の増加がほとんど無いという利点もある。
【0107】
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、電流量削減用信号生成回路60は、駆動端子41に印加される電圧をモニタすることによって駆動端子41に印加される電圧を所定電圧から最大駆動電圧に上昇させるように電流量削減用信号を生成することが特徴となっている。
【0108】
図7は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、電流量削減用信号生成回路60は、2つのコンパレータ65a、65bと、インバータ66と、3つのAND回路67a、67b、67cと、NOR回路64と、を備えて構成されている。
【0109】
一方のコンパレータ65aは、駆動端子41に印加される電圧と閾値とを比較することにより、クランプ電圧(所定電圧)を検出するように構成されている。また、他方のコンパレータ65bは、駆動端子41に印加される電圧と閾値とを比較することにより、フルオン電圧(最大駆動電圧)を検出するように構成されている。各コンパレータ65a、65bは、駆動端子41に印加される電圧が閾値を超えるとローレベルの信号を出力するように、自己の出力によって閾値を切り替える構成となっている。
【0110】
インバータ66は、切替信号を反転させてAND回路67aに入力する。AND回路67aはインバータ66の出力とコンパレータ65aの出力とのAND論理を出力する。また、AND回路67bは、インバータ66の出力と制御信号とのAND論理を出力する。さらに、AND回路67cは、AND回路67bの出力とコンパレータ65bの出力とのAND論理を出力する。そして、NOR回路64は、AND回路67aの出力とAND回路67bの出力とのNOR論理を電流量削減用信号として出力する。
【0111】
このような構成の電流量削減用信号生成回路60の作動について、図8を参照して説明する。図8は、切替信号および制御信号に対するインバータ66の出力(図7のJ)、コンパレータ65aの出力(図7のK)、AND回路67aの出力(図7のL)、AND回路67bの出力(図7のM)、コンパレータ65bの出力(図7のN)、AND回路67bの出力(図7のO)、および電流量削減用信号を示したタイミングチャートである。
【0112】
本実施形態では、切替信号は時点T30から時点T34までローレベルとなり、制御信号は時点T30から時点T32までローレベルとする。
【0113】
これにより、インバータ66の出力(J)は、切替信号の反転出力になるので時点T30から時点T34までハイレベルとなる。また、コンパレータ65aの出力(K)は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでハイレベルとなり、駆動端子41に印加される電圧が時点T31で所定電圧に達するとローレベルとなる。AND回路67aの出力(L)はインバータ66の出力とコンパレータ65aの出力がハイレベルのときにハイレベルの信号を出力するので、時点T30から時点T31までの間、ハイレベルの信号を出力する。
【0114】
一方、AND回路67bの出力(M)は、インバータ66の出力と制御信号とがハイレベルの場合にハイレベルとなる。インバータ66の出力は時点T30から時点T34までハイレベルとなり、制御信号は時点T32以降がハイレベルとなるので、AND回路67bの出力は時点T32から時点T34までハイレベルとなる。そして、コンパレータ65bの出力(N)は駆動端子41に印加される電圧が最大駆動電圧に達する時点T33までハイレベルとなる。したがって、AND回路67cの出力(O)はAND回路67bの出力とコンパレータ65bの出力とがハイレベルとなる時点T32から時点T33までハイレベルとなる。
【0115】
したがって、NOR回路64の出力は、AND回路67aの出力(L)の反転出力およびAND回路67cの出力(O)の反転出力となるので、AND回路67aの出力がハイレベルとなる時点T30から時点T31までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。また、AND回路67cの出力がハイレベルとなる時点T32から時点T33までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。
【0116】
なお、本実施形態に係る時点T30が第1実施形態に係る時点T10に対応する。同様に、本実施形態に係る時点T31が第1実施形態に係る時点T12に対応し、本実施形態に係る時点T32が第1実施形態に係る時点T13に対応し、本実施形態に係る時点T33が第1実施形態に係る時点T14に対応する。
【0117】
以上のように、駆動端子41に印加される電圧をコンパレータ65a、65bによってモニタすることにより、電流削減のタイミングをクランプ電圧(所定電圧)およびフルオン電圧(最大駆動電圧)に応じて生成することができる。また、駆動端子41に印加される電圧すなわちゲート電圧をモニタしているので、電流削減タイミングの精度を向上させることができる。
【0118】
(第5実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、負荷10はパワー素子40のエミッタ側に接続された構成について説明したが、図9に示されるように、負荷10はパワー素子40のコレクタ側に接続されていても良い。
【0119】
(第6実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、ドライバ回路30は1つのパワー素子40を駆動していたが、本実施形態ではドライバ回路30は複数のパワー素子40をそれぞれ駆動するように構成されている。
【0120】
このように、N個のパワー素子40を駆動する場合では、各パワー素子40のゲート容量等のばらつきから複数のパワー素子40のうちのいずれかのゲート電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に達し、複数のパワー素子40のうちのいずれかのゲート電圧が最後に所定電圧に達すると考えられる。そして、所定電圧を監視してドライバ回路30の電流量を削減する電流量削減用信号を生成する場合、複数のパワー素子40のうちのいずれか1つのゲート電圧が所定電圧に達した時点でドライバ回路30の電流量を一気に削減すると、未だにゲート電圧が所定電圧に達していないパワー素子40についてはゲート(容量)にチャージするための電流量が減ったことによって所定電圧に到達するまでの時間が長くなってしまう。これは、パワー素子40のスイッチング損失の増大に繋がる等の悪影響を及ぼすことになる。
【0121】
そこで、本実施形態では、複数のパワー素子40をドライバ回路30で駆動する場合、全てのパワー素子40のゲートがクランプ電圧である所定電圧に達した後、ドライバ回路30の定電流量を削減する構成となっていることが特徴である。以下、本実施形態の負荷駆動装置について、図を参照して説明する。
【0122】
図10は、本実施形態に係る負荷駆動装置の概念図である。この図に示されるように、負荷駆動装置は、ドライバ回路30、ドライバ回路30に接続された複数のパワー素子40、クランプ回路50、ゲート電圧監視回路70、および定電流量制御回路80を備えている。
【0123】
複数のパワー素子40の各駆動端子41は、第1切替スイッチ31aにそれぞれ接続されている。なお、各パワー素子40の各駆動端子41はそれぞれ抵抗42を介して第1切替スイッチ31aに接続されている。また、図10では、複数のパワー素子40の数の一例として3つのパワー素子40が示されている。もちろん、「複数」とは2以上のN個を指しており、いくつのパワー素子40を負荷駆動装置に設けるかは適宜決められる。そして、負荷10は各パワー素子40のエミッタ側とコレクタ側のどちらかに接続される。
【0124】
ドライバ回路30は、切替信号(PR_IN)に従って複数のパワー素子40の各駆動端子41に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子40をそれぞれオン駆動する。
【0125】
クランプ回路50は、パワー素子40毎にスイッチ51とクランプ部52とを備えている。各スイッチ51は各駆動端子41にそれぞれ接続され、各クランプ部52は各スイッチ51とグランド等の基準電圧ラインとの間にそれぞれ接続されている。各スイッチ51は、例えばローレベル(Lo)の制御信号(CLP_IN)でオンするように構成されている。すなわち、ドライバ回路30が各パワー素子40の各駆動端子41にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、制御信号に従ってクランプ回路50は各駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプする。これにより、ドライバ回路30から抵抗42およびスイッチ51を経由してクランプ部52に定電流(I_OUT)が流れる。なお、図10ではクランプ部52をツェナーダイオードで示しているが、クランプ部52の具体的な構成については後で図11を参照して説明する。
【0126】
ゲート電圧監視回路70は、クランプ回路50のスイッチ51を介してパワー素子40の駆動端子41に接続された回路である。このゲート電圧監視回路70は、パワー素子40の駆動端子41に印加されるゲート電圧がクランプ電圧である所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力する。そして、上述のようにパワー素子40は複数設けられているので、ゲート電圧監視回路70はパワー素子40毎に駆動端子41の電圧を監視すると共に各パワー素子40に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するように構成されている。このようなゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎にゲート電圧を監視するためのコンパレータ71を備えている。
【0127】
定電流量制御回路80は、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいて可変定電流回路32のスイッチ38を制御するための電流量削減用信号(I_IN)を生成する回路である。このため、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70から各駆動端子41に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ入力する。そして、定電流量制御回路80は、入力した全てのゲート電圧監視信号が駆動端子41の電圧が所定電圧に達したことを示す場合、可変定電流回路32のスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力する。これにより、各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量を低減する。
【0128】
次に、上記の負荷駆動装置の具体的な回路構成について、図11を参照して説明する。なお、ドライバ回路30の構成は、例えば図2に示された上述の構成と同じである。
【0129】
図11に示されるように、クランプ回路50のクランプ部52は、Nch型のスイッチング素子53とオペアンプ54とにより構成されている。スイッチング素子53はスイッチ51とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。そして、オペアンプ54の非反転入力端子(+)にはスイッチ51とスイッチング素子53との間の接続点が接続されている。つまり、オペアンプ54の非反転入力端子(+)にはパワー素子40の駆動端子41の電圧が印加される。一方、オペアンプ54の反転入力端子(−)には基準電源90が接続され、基準電圧が印加される。なお、基準電源90は負荷駆動装置に設けられている。さらに、オペアンプ54の出力端子がスイッチング素子53のゲートに接続されている。
【0130】
このようなクランプ回路50の構成では、スイッチ51がオンされた状態で駆動端子41の電圧が増加すると、オペアンプ54の出力が増加していく。すなわち、オペアンプ54は2つの入力が等しくなるように出力を行うので、駆動端子41の電圧の増加に伴ってオペアンプ54の出力が増加し、ひいてはスイッチング素子53がオンする。これにより、駆動端子41がクランプ電圧である所定電圧に保持される。
【0131】
ゲート電圧監視回路70は、上述のように、パワー素子40毎にコンパレータ71を有している。各コンパレータ71の非反転入力端子(+)にはクランプ回路50のスイッチ51を介して対応する駆動端子41の電圧が印加される。一方、各コンパレータ71の反転入力端子(−)には基準電源90の基準電圧が印加される。したがって、各コンパレータ71は、駆動端子41の電圧が上昇すると共に基準電圧を超えて所定電圧にクランプされるとローレベルの信号をそれぞれ出力する。この各コンパレータ71の出力がゲート電圧監視信号である。このローレベルの信号は駆動端子41の電圧が所定電圧に達したことを示している。このように、ゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎に駆動端子41の電圧を監視すると共に各パワー素子40に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力する。
【0132】
定電流量制御回路80は、第1NOR回路81と第2NOR回路82とを備えている。第1NOR回路81はゲート電圧監視回路70の各コンパレータ71の出力(ゲート電圧監視信号)をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。すなわち、第1NOR回路81は、各駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した場合にハイレベルの信号を出力する。
【0133】
また、第2NOR回路82は切替信号と第1NOR回路81との各信号をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。この第2NOR回路82の出力(I_IN)が電流量削減用信号となる。したがって、第2NOR回路82は電流量削減用信号としてハイレベルの信号を出力した場合(各駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した場合)、定電流源37のスイッチ38がオンする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給する電流量が増加する。一方、第2NOR回路82は電流量削減用信号としてローレベルの信号を出力した場合、定電流源37のスイッチ38がオフする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給する電流量が低減する。
【0134】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図11に示される負荷駆動装置の作動について、図12のタイミングチャートを参照して説明する。
【0135】
まず、時点T40において、ドライバ回路30に入力される切替信号およびクランプ回路50に入力される制御信号がハイレベル(Hi)からローレベル(Lo)に切り替わる。これにより、クランプ回路50では各スイッチ51がオンするので、ゲート電圧監視回路70の各コンパレータ71に各駆動端子41の電圧が印加される。この段階では、各駆動端子41の電圧は低いので、各コンパレータ71の出力は全てハイレベルとなる。したがって、定電流量制御回路80の第2NOR回路82の出力はローレベルの電流量削減用信号となるので、定電流源37のスイッチ38がオンする。このため、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)が増加する。これにより、各パワー素子40の各駆動端子41の電圧が増加し、それぞれミラー電圧に到達する。また、駆動端子41の電圧の上昇に伴ってクランプ回路50のオペアンプ54の出力も増加していく。
【0136】
この後、時点T41では、複数のパワー素子40のうちのいずれかの駆動端子41の電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達する。すなわち、クランプ回路50においてこのパワー素子40に対応するオペアンプ54は2つの入力が等しくなるようにスイッチング素子53をオンするため、オペアンプ54の非反転入力端子に電気的に接続された駆動端子41の電圧が所定電圧に保持される。なお、このパワー素子40をIGBT_ch1とする。また、このパワー素子40の駆動端子41の電圧をIGBT_G1とする。また、駆動端子41の電圧が最後に所定電圧に到達するパワー素子40をIGBT_chNとし、このパワー素子40の駆動端子41の電圧をIGBT_GNとする。
【0137】
ここで、従来では、このT41の時点で定電流量制御回路80から定電流源37のスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力し、ドライバ回路30から全てのパワー素子40の駆動端子41に供給する電流量を低減させていた。このため、図12のIGBT_GNにおいて破線で示されるように、駆動端子41の電圧が最後に所定電圧に到達するパワー素子40についてはゲートに電荷をチャージする時間が長くなるので、パワー素子40の損失に繋がる。また、クランプ回路50の各スイッチング素子53に電流が流れる時間が長くなるので、電流損失にも繋がる。
【0138】
これに対し、本実施形態では、1つのパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達したとしても、このパワー素子40に対応するコンパレータ71の出力がローレベルとなるだけである。したがって、コンパレータ71の出力の全てがローレベルになっていないため、定電流量制御回路80の第1NOR回路81の出力はローレベルが維持される。したがって、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)は第2電流値よりも大きい第1電流値が維持される。
【0139】
そして、時点T42で複数のパワー素子40のうちの最後のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_GN)が所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のコンパレータ71の出力の全てがローレベルになる。このため、定電流量制御回路80の第1NOR回路81の出力はハイレベルとなる。したがって、定電流量制御回路80の第2NOR回路82の出力はローレベルの電流量削減用信号となるので、定電流源37のスイッチ38がオフする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)が第1電流値から第2電流値にΔIだけ低減される。
【0140】
この後、時点T43まで全てのパワー素子40の各駆動端子41の電圧がクランプ電圧である所定電圧に維持される。そして、時点T43でクランプ回路50がオフすなわち制御信号によってスイッチ51がオフされると、各駆動端子41の電圧は最大駆動電圧に達する(フルオン区間)。
【0141】
以上説明したように、本実施形態ではドライバ回路30によって複数のパワー素子40を駆動する場合に、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後にドライバ回路30の可変定電流回路32によって各駆動端子41に供給する定電流の電流量を低減することが特徴となっている。これにより、パワー素子40のスイッチング損失の増加を抑制しつつ、クランプ回路50に流れ込む電流を低減することができる。
【0142】
(第7実施形態)
本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について説明する。図13は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、ゲート電圧監視回路70の構成が第6実施形態と異なる。
【0143】
具体的には、ゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎に抵抗72およびNch型のスイッチング素子73を備えている。抵抗72は負荷駆動装置内の内部電源に接続されている。また、スイッチング素子73は抵抗72とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。さらに、スイッチング素子73のゲートがクランプ回路50の出力端子に接続されている。そして、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧がゲート電圧監視信号として定電流量制御回路80に出力される。なお、内部電源の電圧はどんな電源電圧でも構わないが、内部電源の電圧は低い方がMOSFETであるスイッチング素子73の耐圧を小さくできるためにスイッチング素子73のサイズを小さくできるというメリットがある。
【0144】
このような構成では、パワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達する前は、クランプ回路50のオペアンプ54の出力がローレベルであるので、ゲート電圧監視回路70のスイッチング素子73がオフする。これにより、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧は内部電源の電圧となり、その結果、ゲート電圧監視信号としてハイレベルの信号が出力される。一方、パワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達し、クランプ回路50のオペアンプ54の出力がハイレベルになると、ゲート電圧監視回路70のスイッチング素子73がオンする。これにより、スイッチング素子73に電流が流れるため、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧が下がり、その結果、ゲート電圧監視信号としてローレベルの信号が出力される。
【0145】
以上のように、ゲート電圧監視回路70はコンパレータ71を用いた構成ではなく、抵抗72やスイッチング素子73を用いて構成することもできる。
【0146】
(第8実施形態)
本実施形態では、第6、第7実施形態と異なる部分について説明する。上記の第6、第7実施形態では、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後にドライバ回路30の可変定電流回路32によって各駆動端子41に供給する定電流の電流量を一回で低減していた。これに対し、本実施形態では、ドライバ回路30の電流量を一回で低減するのではなく、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後に段階的にドライバ回路30の定電流の電流量を削減することが特徴となっている。なお、本実施形態では、パワー素子40が3個の場合について説明する。
【0147】
図14は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、ドライバ回路30の定電流源37は、スイッチ38を複数有すると共に、各スイッチ38に対応する複数の第1定電流源37aを備えている。なお、各第1定電流源37aの電流量はそれぞれ同じである。これらスイッチ38と第1定電流源37aの組は、パワー素子40毎に設けられている。したがって、複数のスイッチ38の全てがオンされると定電流源37には第1電流値の電流が流れ、複数のスイッチ38の全てがオフされると定電流源37には第2電流値の電流が流れる。そして、複数のスイッチ38がオフされる数が多いほど定電流源37に流れる電流は小さくなり、第2電流値に近づくように第1電流値と第2電流値との間で電流が段階的に変化する。
【0148】
これらのスイッチ38を段階的にオンさせるため、定電流量制御回路80は、パワー素子40毎にインバータ83とNOR回路84とを備えている。インバータ83はゲート電圧監視回路70の抵抗72とスイッチング素子73との接続点に接続され、この接続点の電圧(ゲート電圧監視信号)を反転させて出力する。また、NOR回路84は、切替信号とインバータ83の出力との各信号をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。このNOR回路84の出力(I_IN1、I_IN2、I_IN3)が電流量削減用信号となる。上記と同様に、本実施形態においてもローレベルの電流量削減用信号がスイッチ38をオフする。したがって、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ38を一つずつオフする電流量削減用信号を出力する。これにより、各スイッチ38がオフされる度に各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量が段階的に低減し、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流が一括で低減されることはない。
【0149】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図14に示される負荷駆動装置の作動について、図15のタイミングチャートを参照して説明する。
【0150】
まず、時点T50〜T51までの動作については、第6実施形態で説明された時点T40〜T41と同じである。
【0151】
そして、時点T51で複数のパワー素子40のうちのいずれかの駆動端子41の電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70から当該パワー素子40に対応した抵抗72およびスイッチング素子73の接続点からローレベルの信号が出力される。このパワー素子40をIGBT_ch1とする。これにより、定電流量制御回路80において当該パワー素子40に対応したNOR回路84からローレベルの電流量削減用信号(I_IN1)が出力される。したがって、ドライバ回路30の定電流源37において当該パワー素子40に対応したスイッチ38がオフされる。これにより、時点T51後にドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔI/3だけ減少する。
【0152】
この後、別のパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達すると、上記と同様にドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はさらにΔI/3だけ減少する。このように、定電流源37の各スイッチ38がオフされる数が増えていくと、定電流源37に流れる電流も段階的に減少するので、その結果、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流の電流量も段階的に減少していく。したがって、定電流波形は階段状になる。
【0153】
そして、時点T53で最後のパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達すると、定電流源37の全てのスイッチ38がオフされる。これにより、ドライバ回路30からは第2電流値の定電流が各駆動端子41に供給され、この後の各駆動端子41に供給される定電流が削減される。なお、時点T54以降の動作は、上述の時点T43以降と同じである。
【0154】
一方、上述のように、駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した後にドライバ回路30の定電流を削減する場合、図15の一点鎖線に示されるように、例えば時点T52で電流量を第1電流値から第2電流値に一括で削減する。これに対し、本実施形態のように、いずれかの駆動端子41の電圧が最初に所定電圧に達すると、定電流の電流量を一段階削減し、他の駆動端子41の電圧が所定電圧に達する度に定電流の電流量を段階的に削減している。このため、時点T51〜時点T53の定電流波形の面積を比較すると、一括で定電流を削減する場合よりも、段階的に定電流を削減する場合の定電流波形の面積が小さい。したがって、ドライバ回路30の定電流をさらに効果的に削減することができる。
【0155】
また、電流量を徐々に削減することで、ミラー区間からクランプ電圧レベルまでの遷移時間は増加してスイッチング損失は増加するが、クランプ電圧のオーバーシュート量が低減されるので、パワー素子40の短絡時の損失を低減することができる。
【0156】
以上説明したように、本実施形態では、各駆動端子41に印加される電圧のうちいずれかが最初に所定電圧に達してから段階的に定電流を削減している。このため、全ての駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに既に定電流を段階的に削減しているので、各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量を一括で低減する場合よりも定電流をさらに削減することができる。
【0157】
(第9実施形態)
本実施形態では、第8実施形態と異なる部分について説明する。上記第8実施形態では、ドライバ回路30の定電流源37の各第1定電流源37aの電流量はそれぞれ同じであったが、本実施形態では、各第1定電流源37aの電流量に差をつけている。
【0158】
図16は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、ドライバ回路30の定電流源37を構成する各第1定電流源37aおよび第2定電流源37bの各電流量はそれぞれ異なる。3つの第1定電流源37aについては、I1、I2、I3の電流がそれぞれ流れ、第2定電流源37bにはI4の電流が流れる。そして、電流量はI1>I2>I3>I4という関係になっている。したがって、全てのスイッチ38がオンされると、定電流源37には全ての電流値が足された第1電流値の電流が流れ、全てのスイッチ38がオフされると、定電流源37には第2定電流源37bから第2電流値の電流が流れる。
【0159】
また、定電流量制御回路80は、パワー素子40毎に上述のインバータ83とNOR回路84とを備えている他に、AND回路85、86a、86b、86cおよびOR回路87a、87bを備えている。なお、AND回路85、86a、86b、86cおよびOR回路87a、87bはパワー素子40毎に設けられているものではない。
【0160】
ここで、IGBT_G3に対応するゲート電圧監視信号をOUT1とし、IGBT_G2に対応するゲート電圧監視信号をOUT2とし、IGBT_G1に対応するゲート電圧監視信号をOUT3とする。
【0161】
そして、AND回路85の入力にはすべてインバータ83が接続され、AND回路85の出力(A)は電流量がI1のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0162】
AND回路86aの入力にはOUT1とOUT2に対応したインバータ83が接続され、AND回路86aの出力(B)はOR回路87aに入力される。
【0163】
AND回路86bの入力にはOUT1とOUT3に対応したインバータ83が接続され、AND回路86bの出力(C)はOR回路87aに入力される。
【0164】
AND回路86cの入力にはOUT2とOUT3に対応したインバータ83が接続され、AND回路86cの出力(C)はOR回路87aに入力される。
【0165】
OR回路87aの入力にはAND回路86a、86b、86cが接続され、OR回路87aの出力(E)は電流量がI2のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0166】
OR回路87bの入力にはすべてのインバータ83が接続され、OR回路87bの出力(F)は電流量がI3のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0167】
ローレベル(Lo)の電流量削減用信号により、定電流源37のスイッチ38がオフされて電流が削減されるため、ゲートON/OFF切替信号がオン、すなわちローレベルのとき、上記の定電流量制御回路80の構成では、
(1)I_IN1=Lo条件:OUT1〜3が全てLoの場合
(2)I_IN2=Lo条件:OUT1〜3のうち二つ以上がLoの場合
(3)I_IN3=Lo条件:OUT1〜3のうち一つ以上がLoの場合
となる。これを真理値表で表すと、図17のようになる。
【0168】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図16に示される負荷駆動装置の作動について、図18のタイミングチャートを参照して説明する。
【0169】
まず、時点T60〜T61までは上述の時点T50〜T51と同じである。そして、時点T61でIGBT_ch1のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G1)が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT3のみがローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN3)のみがローレベルとなる。これにより、I3に対応したスイッチ38のみがオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔI3だけ減少する。
【0170】
続いて、IGBT_ch2のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G2)が所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT2およびOUT3がローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN2およびI_IN3)がローレベルとなる。これにより、I2およびI3に対応したスイッチ38がそれぞれオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔ(I2+I3)だけ減少する。
【0171】
この後、時点T63でIGBT_ch3のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G1)が最後に所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT1〜3の全てがローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN1〜3)の全てがローレベルとなる。これにより、I1〜I3に対応したスイッチ38の全てがオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔ(I1+I2+I3)だけ減少した第2電流値の電流が流れる。なお、時点T64以降の動作は、上述の時点T43以降と同じである。
【0172】
そして、上述の時点T52に対応する時点T62のように電流量を第1電流値から第2電流値に一括で削減した場合に対して時点T61〜時点T63の定電流波形の面積を比較すると、本実施形態においても段階的に定電流を削減する場合のほうが一括で定電流を削減する場合よりも定電流波形の面積が小さい。したがって、ドライバ回路30の定電流をさらに効果的に削減することができる。
【0173】
また、各第1定電流源37aの電流量をそれぞれ最適化することでスイッチング損失を一括で電流量を削減する場合と同等程度にし、かつ、負荷駆動装置の消費電流の低減を狙うことができる。
【0174】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された負荷駆動装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構成とすることもできる。例えば、第1実施形態で示された定電流源37の構成や第2実施形態で示された第2抵抗34の構成は一例であり、他の構成でも良い。また、第2実施形態で示された抵抗値を調整することによって定電流を削減する構成に、図5や図7で示された電流量削減用信号生成回路60を採用しても良い。もちろん、図5や図7で示された電流量削減用信号生成回路60も一例であり、他の構成でも良い。さらに、電流量削減用信号生成回路60はドライバ回路30に含められていても良い。
【0175】
上記各実施形態では、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後に最大駆動電圧まで上昇させているが、これはパワー素子40の駆動例であり、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後はパワー素子40を所定電圧で駆動しても良い。
【0176】
第6実施形態では、クランプ部52としてスイッチング素子53とオペアンプ54の構成について説明したが、これは構成の一例であり、駆動端子41を所定電圧に保持できる他の構成を採用しても良い。
【0177】
上記の第6〜9実施形態等では、基準電源90をクランプ回路50とゲート電圧監視回路70とで共通化させていたが、これは一例であり、各回路専用の基準電源90を設けることもできる。これにより、きめ細かい基準電圧の設定を行うことができる。
【0178】
上記の第6〜9実施形態等では、定電流源37の電流量を削減する手段として、定電流源37の電流量を変化させる構成について説明したが、第2実施形態のように抵抗値を変化させることでドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流の電流量を変化させることもできる。また、抵抗値を変化させる構成において、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給する電流量を段階的に減少させるためには、第2抵抗部34に複数のスイッチ38を設け、複数のスイッチ38の全てがオンされると合成抵抗値が最も小さい第1抵抗値になり、複数のスイッチ38の全てがオフされると合成抵抗値が最も大きい第2抵抗値(>第1抵抗値)になるように第2抵抗部34を構成すれば良い。この場合、複数のスイッチ38がオンされる数が多いほど第1抵抗値(<第2抵抗値)に近づくように第1抵抗値と2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するように第2抵抗部34を構成する。そして、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ38を一つずつオンする電流量削減用信号を出力する。これにより、第2抵抗部34の抵抗値が第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に段階的に低減するので、駆動端子41に流す定電流の電流量が段階的に低減することとなる。
【符号の説明】
【0179】
10 負荷
20 電源
30 ドライバ回路
32 可変定電流回路
33 第1抵抗
34 第2抵抗
35 オペアンプ
36 スイッチング素子
37 定電流源
38 スイッチ
40 パワー素子
41 駆動端子
50 クランプ回路
60 電流量削減用信号生成回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を駆動する負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷としてIGBTやMOSFET等のパワー素子のゲートを定電流で駆動するゲート駆動回路が、例えば特許文献1で提案されている。この特許文献1では、パワー素子のゲートに定電流パルスゲート駆動回路が接続されたゲート駆動回路が提案されている。
【0003】
このゲート駆動回路では、制御信号に従って定電流パルスゲート駆動回路が動作すると、定電流パルスゲート駆動回路からパワー素子のゲートに定電流が供給される。これにより、負荷であるパワー素子のゲートに電荷が供給されるので、ゲート電圧が上昇し、パワー素子がオンする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−11049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、パワー素子のゲートがフルオン状態に達した際にオーバーシュートが発生し、これがパワー素子の破壊の原因となり得る。そこで、パワー素子のゲートに当該ゲート電圧を一定電圧にクランプするクランプ回路を接続することにより、パワー素子のオーバーシュートの防止および保護を図ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、クランプ回路により設定された電圧にパワー素子のゲート電位が達した段階で、クランプ回路側に定電流が流れ込む経路ができるため、パワー素子に定電流を流し続ける限り、パワー素子のゲートに供給される定電流がクランプ回路にも流れ続けてしまう。このため、パワー素子を駆動するための定電流の消費電流が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、パワー素子にクランプ回路を接続してパワー素子の駆動端子に印加される電圧を所定電圧にクランプするに際し、パワー素子を駆動するための定電流の消費電流を削減できる負荷駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、負荷(10)に接続され、半導体スイッチング素子にて構成されたパワー素子(40)と、パワー素子(40)の駆動端子(41)に定電流を流すことでパワー素子(40)をオン駆動するドライバ回路(30)と、を備えている。
【0009】
さらに、駆動端子(41)に接続され、ドライバ回路(30)が駆動端子(41)に定電流を流すことにより駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするクランプ回路(50)を備えている。
【0010】
そして、ドライバ回路(30)は、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子(41)に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路(32)を備えていることを特徴とする。
【0011】
これによると、パワー素子(40)の駆動端子(41)の電圧が所定電圧に達した後はドライバ回路(30)の可変定電流回路(32)によって駆動端子(41)に流れる定電流の電流量を低減し、クランプ回路(50)に流れ込む電流を低減することができる。したがって、パワー素子(40)を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、可変定電流回路(32)は、一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、一端側が電源(20)に接続される第2抵抗(34)と、第1抵抗(33)の他端側とパワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、を備えている。
【0013】
また、第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにスイッチング素子(36)を駆動することで第1抵抗(33)に流れる電流を定電流としてパワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)を有している。
【0014】
さらに、第2抵抗(34)の他端側に接続されると共にスイッチ(38)を有し、スイッチ(38)がオンされると第1電流値の電流が流れ、スイッチ(38)がオフされると第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる可変の定電流源(37)と、を備えている。
【0015】
オペアンプ(35)が第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、スイッチング素子(36)を駆動することにより、第1抵抗(33)には第2抵抗(34)に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっている。
【0016】
そして、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ(38)がオンされることにより、第2抵抗(34)には第1電流値の電流が流れ、第1抵抗(33)には第1電流値に比例した電流が流れるようになっている。
【0017】
また、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ(38)がオフされると、第2抵抗(34)には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れ、第1抵抗(33)には第2電流値に比例した電流が流れることにより、スイッチ(38)がオンされた場合よりも第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0018】
このように、オペアンプ(35)の入力側の電流量を小さくすることにより、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、可変定電流回路(32)は、一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、一端側が電源(20)に接続されると共にスイッチ(38)を有し、スイッチ(38)がオンされると第1抵抗値となり、スイッチ(38)がオフされると第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値となる可変の第2抵抗部(34)と、を備えている。
【0020】
さらに、可変定電流回路(32)は、第2抵抗部(34)の他端側に接続され、第2抵抗部(34)に一定の電流を流す定電流源(37)と、第1抵抗(33)の他端側とパワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗部(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにスイッチング素子(36)を駆動することで第1抵抗(33)に流れる電流を定電流としてパワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、を備えている。
【0021】
オペアンプ(35)が第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、スイッチング素子(36)を駆動することにより、第1抵抗(33)には第2抵抗部(34)の抵抗値に比例した電流が流れるようになっている。
【0022】
そして、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ(38)がオフされることにより、第2抵抗部(34)は第2抵抗値とされ、第1抵抗(33)には第2抵抗値に比例した電流が流れるようになっている。
【0023】
また、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ(38)がオンされると、第2抵抗部(34)の抵抗値は第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に削減され、第1抵抗(33)には第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、スイッチ(38)がオフされた場合よりも第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0024】
このように、オペアンプ(35)の入力側の抵抗値を小さくすることにより、駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明では、ドライバ回路(30)は外部から入力される切替信号に従ってパワー素子(40)のオン/オフ駆動を行うようになっており、クランプ回路(50)は外部から入力される制御信号に従って駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするようになっている。そして、切替信号および制御信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路(60)を備えていることを特徴とする。
【0026】
これによると、スイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を既存の切替信号および制御信号を用いて生成することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明では、電流量削減用信号生成回路(60)は、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するとスイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減し、クランプ回路(50)による所定電圧のクランプが解除された後、スイッチ(38)をオンする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を元に戻し、駆動端子(41)に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、再びスイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする。
【0028】
これによると、パワー素子(40)の駆動端子(41)に印加される電圧を増加させるタイミングでドライバ回路(30)に流す定電流を大きくすることができる。このため、駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧から電源電圧もしくは最大駆動電圧に短時間で上昇させることができるので、パワー素子(40)のスイッチング損失を低減することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、備えている。
【0030】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0031】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)から各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号の全てが入力されると、スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を第1電流値から第2電流値に低減することを特徴とする。
【0032】
このように、複数のパワー素子(40)がドライバ回路(30)によって駆動される場合においても、複数のパワー素子(40)の駆動端子(41)の全てが所定電圧に達した後はドライバ回路(30)の可変定電流回路(32)によって各駆動端子(41)に流れる定電流の電流量を低減する。これにより、クランプ回路(50)に流れ込む電流を低減することができ、複数のパワー素子(40)を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0033】
請求項7に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えている。
【0034】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、定電流源(37)は、スイッチ(38)を複数有し、複数のスイッチ(38)の全てがオンされると第1電流値の電流が流れ、複数のスイッチ(38)の全てがオフされると第2電流値の電流が流れ、複数のスイッチ(38)がオフされる数が多いほど第2電流値に近づくように第1電流値と第2電流値との間で電流が段階的に変化するようになっている。また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0035】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ(38)を一つずつオフする電流量削減用信号を出力することにより、各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を第1電流値から段階的に第2電流値に低減することを特徴とする。
【0036】
請求項8に記載の発明では、パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいてスイッチ(38)を制御するための電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えている。
【0037】
さらに、パワー素子(40)は、複数備えられている。また、ドライバ回路(30)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっている。また、第2抵抗部(34)は、スイッチ(38)を複数有し、複数のスイッチ(38)の全てがオンされると第1抵抗値になり、複数のスイッチ(38)の全てがオフされると第2抵抗値になり、複数のスイッチ(38)がオンされる数が多いほど第1抵抗値に近づくように第1抵抗値と2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するようになっている、また、クランプ回路(50)は、複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、ドライバ回路(30)が複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、各駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプするようになっている。また、ゲート電圧監視回路(70)は、各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっている。
【0038】
そして、定電流量制御回路(80)は、ゲート電圧監視回路(70)からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ(38)を一つずつオンする電流量削減用信号を出力することにより、第2抵抗部(34)の抵抗値を第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に段階的に低減し、これにより、各駆動端子(41)に流す定電流の電流量を段階的に低減することを特徴とする。
【0039】
請求項7または8に記載の発明では、パワー素子(40)が複数備えられた構成において、各駆動端子(41)に印加される電圧のうちいずれかが最初に所定電圧に達してから段階的に定電流が削減されるので、全ての駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達するまでに既に定電流が段階的に削減されている。したがって、各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を一括で低減する場合よりも定電流をさらに削減することができる。
【0040】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る負荷駆動装置を負荷に接続した負荷駆動装置の概念図である。
【図2】図1に示された負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図3】パワー素子のゲート波形、パワー素子を駆動するための切替信号、クランプ回路を動作させるための制御信号、および電流量削減用信号のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図6】第3実施形態における電流量削減用信号生成回路の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図8】第4実施形態における電流量削減用信号生成回路の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態に係る負荷駆動装置を負荷に接続した負荷駆動装置の概念図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る負荷駆動装置の概念図である。
【図11】図10に示された負荷駆動装置の具体的な回路図である。
【図12】図11に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】本発明の第7実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図14】本発明の第8実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図15】図14に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】本発明の第9実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。
【図17】図16に示された定電流量制御回路の真理値表を示した図である。
【図18】図16に示された負荷駆動装置の作動を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される負荷駆動装置は、例えばモータ等の負荷を駆動するために用いられる装置である。
【0044】
図1は、本実施形態に係る負荷駆動装置を負荷10に接続した負荷駆動装置の概念図である。この図に示されるように、負荷駆動装置は、電源20に接続されたドライバ回路30と、ドライバ回路30に接続されたパワー素子40およびクランプ回路50とを備えている。
【0045】
パワー素子40は、負荷10を駆動するための半導体スイッチング素子である。本実施形態では、パワー素子40としてIGBTが採用されている。パワー素子40のゲート端子である駆動端子41はドライバ回路30に接続されている。また、本実施形態では、負荷10はパワー素子40のエミッタ側に接続されている。
【0046】
ドライバ回路30は外部から入力されるゲートON/OFF切替信号に従って第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bを駆動することでパワー素子40の駆動端子41に定電流を流すことによりパワー素子40をオン/オフ駆動するように構成されている。なお、以下ではゲートON/OFF切替信号を単に切替信号という。
【0047】
また、ドライバ回路30は外部から入力される電流量削減用信号に従ってパワー素子40の駆動端子41に流れる定電流の電流量を調整する可変定電流回路32を備えている。この可変定電流回路32は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後、駆動端子41に流す定電流の電流量を、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに駆動端子41に流す定電流の電流量よりも低減する役割を果たす回路である。
【0048】
クランプ回路50は、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプすることにより、駆動端子41に印加される電圧の急激な変動を回避してパワー素子40のオーバーシュートやサージによる破壊を防止する役割を果たす回路である。このクランプ回路50は駆動端子41とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。上述のように、ドライバ回路30が駆動端子41に定電流を流すことにより駆動端子41に印加される電圧が上昇するので、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、クランプ回路50は駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする。なお、図1や図2以降の各図では基準電源ラインの一例としてグランドを示している。もちろん、基準電源ラインはグランドに限らず、グランド以外の電位を基準とした構成になっていても良い。
【0049】
クランプ回路50は外部から入力される制御信号に従って駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプする動作を行う。なお、クランプ回路50の構成は例えばダイオード素子等を用いて構成されている。また、クランプ回路50はローレベルの制御信号で動作するように構成されているとする。
【0050】
上記の負荷駆動装置において、ドライバ回路30の具体的な構成について、図2を参照して説明する。上述のように、ドライバ回路30は、可変定電流回路32、第1切替スイッチ31a、および第2切替スイッチ31bを備えている。
【0051】
まず、可変定電流回路32について説明する。図2に示されるように、可変定電流回路32は、第1抵抗33(図2のR1)と、第2抵抗34(図2のR2)と、オペアンプ35と、スイッチング素子36と、定電流源37と、を備えている。
【0052】
この第1抵抗33は、パワー素子40の駆動端子41に流れる定電流に対応する電流が流れるセンシング用の抵抗である。第1抵抗33の一端側は電源20(図2のVB)に接続され、他端側はスイッチング素子36に接続されている。また、第2抵抗34は一端側が電源20に接続され、他端側が定電流源37に接続されている。
【0053】
オペアンプ35は、第2抵抗34の他端側の電圧に基づいて第1抵抗33に流れる電流をフィードバック制御することで、パワー素子40の駆動端子41に流す定電流の大きさを調整する役割を果たすものである。
【0054】
また、オペアンプ35の非反転入力端子(+)は第2抵抗34の他端側と定電流源37との接続点に接続されている。これにより、オペアンプ35の非反転入力端子には第2抵抗34の他端側に対応する第1電圧が印加される。すなわち、電源20の電圧をVBとし、第2抵抗34に流れる電流をIとし、第2抵抗34の抵抗値をR2とすると、第1電圧は電源20の電源電圧から基準電圧が差し引かれた電圧(VB−I×R2)に相当する。
【0055】
一方、オペアンプ35の反転入力端子(−)は第1抵抗33の他端側に接続されている。これにより、オペアンプ35の反転入力端子には第1抵抗33の他端側に対応する第2電圧が印加される。すなわち、第1抵抗33に流れる電流をIoutとし、第1抵抗33の抵抗値をR1とすると、第2電圧は電源20の電源電圧から第1抵抗33の電圧降下分が差し引かれた電圧(VB−Iout×R1)に相当する。
【0056】
スイッチング素子36は、オペアンプ35の出力によって駆動される半導体素子である。本実施形態では、スイッチング素子36としてPch型のMOSFETが用いられている。そして、スイッチング素子36のゲートはオペアンプ35の出力端子に接続され、ソースは第1抵抗33の他端側に接続されている。さらに、スイッチング素子36のドレインはパワー素子40の駆動端子41に接続されている。
【0057】
定電流源37は第2抵抗34に流れる電流(I)の電流量を可変できる電流源であり、第2抵抗34の他端側とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。この定電流源37は、スイッチ38と、第1定電流源37aと、第2定電流源37bと、を備えている。
【0058】
第1定電流源37aはスイッチ38を介して第2抵抗34の他端側に接続されている。また、第2定電流源37bは第2抵抗34の他端側に直接接続されている。スイッチ38は、電流量削減用信号のオン指令/オフ指令に従ってオン/オフされる。
【0059】
なお、第1定電流源37aの電流能力と第2定電流源37bの電流能力とは同じでも良いし、異なっていても良い。スイッチ38のオン/オフによって第2抵抗34に流す電流の大きさをどのように設計するかによって各定電流源37a、37bの電流能力を設定すれば良い。
【0060】
このような構成により、電流量削減用信号のオン指令によってスイッチ38がオンされると第2抵抗34には第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が流れる。一方、電流量削減用信号のオフ指令によってスイッチ38がオフされると第1定電流源37aに流れる電流は電源20とグランド等の基準電圧ラインとの間の経路から切り離されるので、第2抵抗34には第2定電流源37bに流れる電流のみが流れる。すなわち、第2定電流源37bに流れる電流の電流値を第2電流値とすると、スイッチ38がオフの場合、第2抵抗34には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる。以上が、可変定電流回路32の構成である。
【0061】
また、ドライバ回路30に備えられた第1切替スイッチ31aは電源20とオペアンプ35の出力端子との間に接続されている。本実施形態では、第1切替スイッチ31aとしてPch型のMOSFETが採用される。したがって、第1切替スイッチ31aのソースが電源20に接続され、ドレインがオペアンプ35の出力端子に接続されている。
【0062】
一方、第2切替スイッチ31bは駆動端子41とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。本実施形態では、第2切替スイッチ31bとしてNch型のMOSFETが採用される。したがって、第2切替スイッチ31bのソースがパワー素子40の駆動端子41に接続され、ドレインがグランド等の基準電圧ラインに接続されている。
【0063】
さらに、第1切替スイッチ31aのゲートにはインバータ31cが接続されている。したがって、第1切替スイッチ31aにはインバータ31cを介して切替信号が入力され、第2切替スイッチ31bには切替信号が直接入力される。これによると、各切替スイッチ31a、31bには一方に入力される信号に対して他方に入力される信号が反転する。
【0064】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路構成である。本実施形態では、切替信号や電流量削減用信号は、外部のECU等から入力される。
【0065】
次に、図2に示される負荷駆動装置の作動について、図3を参照して説明する。図3は、パワー素子40のゲート波形、パワー素子40をオン/オフ駆動するための切替信号、クランプ回路50を動作させるための制御信号、および電流量削減用信号のタイミングチャートである。
【0066】
ここで、切替信号がハイレベルの場合、第1切替スイッチ31aがオンされてスイッチング素子36のゲートに電源電圧が印加されるため、スイッチング素子36がオフする。また、第2切替スイッチ31bはオンされ、駆動端子41からグランド等の基準電圧ラインに電流が流れてパワー素子40がオフする。一方、切替信号がローレベルの場合、第1切替スイッチ31aはオフするため、スイッチング素子36はオペアンプ35の出力によって駆動される。また、第2切替スイッチ31bはオフするため、定電流は駆動端子41を介してクランプ回路50に流れる。このように、ドライバ回路30は、ハイレベルの切替信号に従ってパワー素子40をオフし、ローレベルの切替信号に従ってパワー素子40をオンする動作を行う。
【0067】
そして、図3に示されるオフ区間後の時点T10において、ドライバ回路30に入力される切替信号がハイレベルからローレベルに切り替わることにより、第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bがオフし、スイッチング素子36がオペアンプ35によって駆動される。また、クランプ回路50に制御信号が入力されることでクランプ回路50が動作する。これにより、電源20、第1抵抗33、スイッチング素子36、駆動端子41、クランプ回路50という経路が形成される。そして、パワー素子40の駆動端子41に定電流が流れる。
【0068】
さらに、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされ、第2抵抗34には定電流源37の第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が流れる。なお、本実施形態では、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされる場合を削減モードオフとし、電流量削減用信号によって可変定電流回路32のスイッチ38がオフされる場合を削減モードオンとする。つまり、時点T10では削減モードがオフされる。
【0069】
上記のようにして駆動端子41に定電流が流れると、この定電流の大きさに応じた傾きでパワー素子40のゲート電圧が上昇する。そして、ゲート電圧がパワー素子40の閾値電圧に達すると、パワー素子40がオンし、ゲート電圧はミラー電圧に達する。ミラー電圧は、パワー素子40であるIGBTの増幅率等の特性によって決まる電圧であり、時点T10から時点T11までのミラー区間で一定になる。
【0070】
ここで、可変定電流回路32は、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗34の他端側に対応する第2電圧とが等しくなるように第1抵抗33に流れる電流の大きさをフィードバック制御している。
【0071】
具体的には、可変定電流回路32のオペアンプ35の各入力端子の電位は同電位となるため、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧(VB−Iout×R1)と第2抵抗34の他端側に対応する第2電圧(VB−I×R2)とが等しくなるようにオペアンプ35がスイッチング素子36を制御する。したがって、第1抵抗33に流れる定電流IoutはIout=(I×R2)/R1となり、第1抵抗33に流れる電流が一定の定電流としてパワー素子40の駆動端子41に流れる。
【0072】
上記の式(Iout=(I×R2)/R1)に表されるように、第1抵抗33には第2抵抗34に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっている。そして、第2抵抗34には、第1定電流源37aに流れる電流と第2定電流源37bに流れる電流とが足し合わされた第1電流値の電流が電流Iとして流れるので、第1抵抗33には当該第1電流値に比例した電流が流れる。
【0073】
ミラー区間が終わると、時点T11からゲート電圧が再び上昇する。そして、時点T12でゲート電圧すなわち駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオフされる。つまり、削減モードがオンされる。
【0074】
これにより、第2抵抗34には第1電流値よりも小さい第2電流値の電流すなわち第2定電流源37bに流れる電流のみが電流Iとして流れる。そして、第1抵抗33には第2電流値に比例した電流が流れることになり、定電流源37のスイッチ38がオンされた場合よりも第1抵抗33に流れる電流が低減する。したがって、削減モードオフの前よりも駆動端子41に流れる定電流の電流量が低減するので、クランプ回路50に流れる定電流の消費電流が削減される。
【0075】
一方、クランプ回路50は時点T10から動作しており、ミラー区間が終了した時点T11から時点T13までのクランプ電圧保持区間において駆動端子41に印加される電圧を所定電圧に保持するように動作する。このクランプ電圧保持区間において駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に保持されるので、ゲート電圧のオーバーシュートを防止することができ、パワー素子40の保護を図ることができる。この後、時点T13で制御信号によってクランプ回路50がオフされる。
【0076】
続いて、時点T13で電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオンされる、つまり削減モードがオフされると、パワー素子40の駆動端子41に第1電流値に比例した電流が流れる。すなわち、パワー素子40の駆動端子41に流れる定電流の大きさが元に戻る。このため、パワー素子40のゲート電圧が上昇し、最大駆動電圧に達する。この最大駆動電圧は電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の電圧であり、パワー素子40であるIGBTをフルオンさせる電圧である。以下では、単に最大駆動電圧という。
【0077】
そして、駆動端子41に印加される電圧が最大駆動電圧に達した後、時点T14で再び電流量削減用信号によって定電流源37のスイッチ38がオフされて削減モードがオンされる。これにより、駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。
【0078】
時点T13から時点T15までのフルオン区間の後、時点T15でドライバ回路30に入力される切替信号がローレベルからハイレベルに切り替わる。つまり、パワー素子40をオフするオフ指令により、第1切替スイッチ31aおよび第2切替スイッチ31bがオンし、スイッチング素子36がオフされる。これにより、駆動端子41に蓄積された電荷が第2切替スイッチ31bを介してグランド等の基準電圧ラインに放出されるため、時点T15から時点T16までのミラー区間を経た後、時点T16で駆動端子41のゲート電圧が最低値まで下がるので、ゲート電圧がパワー素子40の閾値電圧を下回り、パワー素子40はオフされる。時点T16から時点T10まではオフ区間となる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、駆動端子41に印加される電圧を上昇させるタイミング(時点T10、T13)で削減モードをオフにしてドライバ回路30の電流能力を上げることが特徴となっている。これにより、パワー素子40の駆動端子41に流れ込む定電流の電流量が大きくなるので、ゲート電圧の立ち上がりに掛かる時間が短縮されてスイッチング損失を減らすことができる。
【0080】
また、駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にクランプするタイミング(時点T12、T14)で削減モードをオンにしてドライバ回路30の電流能力を下げることにより、定電流の電流量を絞ることが特徴となっている。このように、クランプ回路50に流れ込む電流を低減しているので、パワー素子40がオンしている期間(時点T10〜T15)においてパワー素子40を駆動するための定電流の消費電流を削減することができる。
【0081】
そして、本実施形態では、ドライバ回路30に定電流の電流量を調整することができる可変の定電流源37を設けているので、定電流源37を電流量削減用信号で制御することによりドライバ回路30の電流能力を調整できる。
【0082】
また、本実施形態のように、ゲート電圧を所定電圧まで上昇させた後にさらに最大駆動電圧まで上昇させる場合には定電流の電流量を大きくすることでゲート電圧が所定電圧から最大駆動電圧に上昇するまでの時間を短縮することができる。これにより、パワー素子40のスイッチング損失を低減することができる。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。上記第1実施形態では、ドライバ回路30の定電流源37の電流能力を調整することでパワー素子40の駆動端子41に流す定電流の電流量を調整していたが、本実施形態では、第2抵抗34の抵抗値を調整することでパワー素子40の駆動端子41に流す定電流の電流量を調整することが特徴となっている。
【0084】
図4は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、可変定電流回路32に設けられた第2抵抗34は、抵抗34a(図4のR21)および抵抗34b(図4のR22)が直列に接続されて構成されている。抵抗34aの一端側は電源20に接続され、他端側は抵抗34bの一端側に接続されている。抵抗34bの他端側はオペアンプ35の非反転入力端子に接続されている。
【0085】
また、抵抗34aには電流量削減用信号によってオン/オフされるスイッチ38が並列に接続されている。これにより、スイッチ38がオンされると第2抵抗34の抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値となる。一方、スイッチ38がオフされると第2抵抗34の抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値となる。
【0086】
そして、スイッチ38がオンされたときの第2抵抗34の抵抗値を第1抵抗値とし、スイッチ38がオフされたときの第2抵抗34の抵抗値を第2抵抗値とする。第1抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値であり、第2抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値であるから、第2抵抗値は第1抵抗値よりも大きい抵抗値である。このように、第2抵抗34はスイッチ38によって抵抗値が可変になるように構成されている。
【0087】
本実施形態では、定電流源37は一定の電流を流すように構成されている。定電流源37は第2抵抗34を構成する抵抗34bの他端側およびオペアンプ35の非反転入力端子に接続されている。本実施形態では、定電流源37が流す電流値をIとする。
【0088】
なお、負荷駆動装置を構成するインバータ31c、第1切替スイッチ31a、第2切替スイッチ31b、オペアンプ35、スイッチング素子36、第1抵抗33、クランプ回路50、およびパワー素子40については第1実施形態で示されたものと同じである。
【0089】
上記の構成では、第1抵抗33の他端側に対応する第1電圧と第2抵抗34の他端側すなわち抵抗34bの他端側に対応する第2電圧とがオペアンプ35に印加されると共に、第1電圧と第2電圧とが等しくなるようにオペアンプ35がスイッチング素子36を駆動する。
【0090】
そして、第2抵抗34の抵抗値をR2とし、第2抵抗34に流れる電流をIとすると、第1抵抗33に流れる電流Ioutは上述のようにIout=(I×R2)/R1として表され、第2抵抗34に流れる電流を一定電流とすると、第1抵抗33には第2抵抗34の抵抗値に比例した電流が流れる。本実施形態では、R2の抵抗値を調整することにより、第1抵抗33に流れる電流Ioutを増減させることでドライバ回路30の電流能力を調整する。
【0091】
具体的には、図3に示される時点T10から駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達する時点T12まで電流量削減用信号のオフ指令に従ってスイッチ38がオフされる。すなわち、時点T10から時点T12までの期間で削減モードがオフされる。これにより、第2抵抗34の抵抗値は抵抗34aと抵抗34bの合成抵抗値である第2抵抗値となる。したがって、第1抵抗33には第2抵抗値に比例した電流が流れる。なお、図3に示される時点T13から時点T14までの期間についても同様である。
【0092】
一方、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従ってスイッチ38がオンされる。すなわち、図3に示される時点T12から時点T13までの期間で削減モードがオンされる。これにより、第2抵抗34の抵抗値は抵抗34bのみの抵抗値である第1抵抗値となる。したがって、第1抵抗33には第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、スイッチ38がオフされた場合よりも第1抵抗33に流れる電流が低減するため、駆動端子41に流す定電流の電流量を低減することができる。
【0093】
以上のように、第2抵抗34の抵抗値を下げることによってドライバ回路30の電流能力を下げることができる。このため、駆動端子41に流れる定電流の電流量を低減することができ、パワー素子40がオンしている期間(図3の時点T10〜T15)にクランプ回路50によって消費される電流を削減することができる。
【0094】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、抵抗34a、抵抗34b、およびスイッチ38によって構成される第2抵抗34が特許請求の範囲の「第2抵抗部」に対応する。
【0095】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。第1実施形態では、定電流源37のスイッチ38をオン/オフするための電流量削減用信号を外部から入力していたが、本実施形態では既存の切替信号および制御信号を用いて電流量削減用信号を生成することが特徴となっている。
【0096】
図5は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、クランプ回路50に制御信号が入力されるようになっている。制御信号がローレベルの場合にクランプ回路50がオンされ、制御信号がハイレベルの場合にクランプ回路50がオフされる。
【0097】
また、図2に示される構成に対して、切替信号および制御信号に基づいてスイッチ38を制御するための電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路60が備えられている。
【0098】
この電流量削減用信号生成回路60は、切替信号が入力されるディレイ回路61aと、インバータ62aによって反転された切替信号とディレイ回路61aの出力とが入力されるフリップフロップ63aと、を備えている。また、電流量削減用信号生成回路60は、制御信号が入力されるディレイ回路61bと、制御信号とインバータ62bによって反転されたディレイ回路61bの出力とが入力されるフリップフロップ63bと、を備えている。本実施形態では、ディレイ回路61aのディレイ時間をT1とし、ディレイ回路61bのディレイ時間をT2とする。
【0099】
さらに、電流量削減用信号生成回路60は各フリップフロップ63a、63bのNOR論理を出力するNOR回路64を備えている。このNOR回路64の出力が電流量削減用信号として定電流源37のスイッチ38に入力される。
【0100】
このような構成の電流量削減用信号生成回路60の作動について、図6を参照して説明する。図6は、切替信号および制御信号に対するインバータ62aの出力(図5のA)、ディレイ回路61aの出力(図5のB)、フリップフロップ63aの出力(図5のC)、ディレイ回路61bの出力(図5のD)、インバータ62bの出力(図5のE)、フリップフロップ63bの出力(図5のF)、および電流量削減用信号を示したタイミングチャートである。
【0101】
時点T20において切替信号および制御信号がハイレベルからローレベルに切り替わることにより、パワー素子40がオンすると共にクランプ回路50が動作する。ここで、切替信号は時点T20から時点T25までローレベルとなり、制御信号は時点T20から時点T23までローレベルとする。
【0102】
これにより、インバータ62aの出力(A)は切替信号の反転出力になるので時点T20から時点T25までハイレベルとなる。また、ディレイ回路61aの出力(B)は切替信号をディレイ時間T1だけ遅らせて出力するので、時点T22まではハイレベルを維持し(T1 DELAY)、時点T22から時点T26までローレベルとなる。そして、フリップフロップ63aの出力(C)は、インバータ62aの出力がローレベルからハイレベルに立ち上がるエッジを検出してフリップフロップ63aの入力端子に入力されているハイレベル電圧を取り込んで出力し、ディレイ回路61aの出力がローレベルとなりフリップフロップ63aの出力リセットによりローレベルとなるまでハイレベルを保持する。したがって、フリップフロップ63aは、時点T20から時点T22までの間、ハイレベル信号を出力する。
【0103】
一方、ディレイ回路61bの出力(D)は制御信号をディレイ時間T2だけ遅らせて出力するので、時点T21まではハイレベルを維持し(T2 DELAY)、時点T21から時点T24までローレベルとなる。また、インバータ62bの出力(E)はディレイ回路61bの反転出力になるので時点T21から時点T24までハイレベルとなる。そして、フリップフロップ63bの出力(F)は、制御信号とインバータ62bの出力がハイレベルのときにハイレベルの信号を出力するので、時点T23から時点T24までの間、ハイレベルの信号を出力する。
【0104】
したがって、NOR回路64の出力はフリップフロップ63aの出力(C)の反転出力およびフリップフロップ63bの出力(F)の反転出力となるので、フリップフロップ63aの出力がハイレベルとなる時点T20から時点T22までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。また、フリップフロップ63bの出力がハイレベルとなる時点T23から時点T24までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。
【0105】
このようにして生成された電流量削減用信号は、第1実施形態で示された図3の電流量削減用信号と同じ波形となる。なお、本実施形態に係る時点T20が第1実施形態に係る時点T10に対応する。同様に、本実施形態に係る時点T22が第1実施形態に係る時点T12に対応し、本実施形態に係る時点T23が第1実施形態に係る時点T13に対応し、本実施形態に係る時点T24が第1実施形態に係る時点T14に対応する。すなわち、電流量削減用信号生成回路60は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するとスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。この後、クランプ回路50による所定電圧のクランプが解除された後、電流量削減用信号生成回路60は、スイッチ38をオンする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を元に戻す。そして、駆動端子41に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、電流量削減用信号生成回路60は、再びスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力して駆動端子41に流す定電流の電流量を低減する。
【0106】
以上のように、既存の切替信号および制御信号を用いてスイッチ38を制御するための電流量削減用信号を生成することができる。このような電流量削減用信号生成回路60は論理回路にて構成可能であるので、消費電流の増加がほとんど無いという利点もある。
【0107】
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、電流量削減用信号生成回路60は、駆動端子41に印加される電圧をモニタすることによって駆動端子41に印加される電圧を所定電圧から最大駆動電圧に上昇させるように電流量削減用信号を生成することが特徴となっている。
【0108】
図7は、本実施形態に係る負荷駆動装置の具体的な回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、電流量削減用信号生成回路60は、2つのコンパレータ65a、65bと、インバータ66と、3つのAND回路67a、67b、67cと、NOR回路64と、を備えて構成されている。
【0109】
一方のコンパレータ65aは、駆動端子41に印加される電圧と閾値とを比較することにより、クランプ電圧(所定電圧)を検出するように構成されている。また、他方のコンパレータ65bは、駆動端子41に印加される電圧と閾値とを比較することにより、フルオン電圧(最大駆動電圧)を検出するように構成されている。各コンパレータ65a、65bは、駆動端子41に印加される電圧が閾値を超えるとローレベルの信号を出力するように、自己の出力によって閾値を切り替える構成となっている。
【0110】
インバータ66は、切替信号を反転させてAND回路67aに入力する。AND回路67aはインバータ66の出力とコンパレータ65aの出力とのAND論理を出力する。また、AND回路67bは、インバータ66の出力と制御信号とのAND論理を出力する。さらに、AND回路67cは、AND回路67bの出力とコンパレータ65bの出力とのAND論理を出力する。そして、NOR回路64は、AND回路67aの出力とAND回路67bの出力とのNOR論理を電流量削減用信号として出力する。
【0111】
このような構成の電流量削減用信号生成回路60の作動について、図8を参照して説明する。図8は、切替信号および制御信号に対するインバータ66の出力(図7のJ)、コンパレータ65aの出力(図7のK)、AND回路67aの出力(図7のL)、AND回路67bの出力(図7のM)、コンパレータ65bの出力(図7のN)、AND回路67bの出力(図7のO)、および電流量削減用信号を示したタイミングチャートである。
【0112】
本実施形態では、切替信号は時点T30から時点T34までローレベルとなり、制御信号は時点T30から時点T32までローレベルとする。
【0113】
これにより、インバータ66の出力(J)は、切替信号の反転出力になるので時点T30から時点T34までハイレベルとなる。また、コンパレータ65aの出力(K)は、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでハイレベルとなり、駆動端子41に印加される電圧が時点T31で所定電圧に達するとローレベルとなる。AND回路67aの出力(L)はインバータ66の出力とコンパレータ65aの出力がハイレベルのときにハイレベルの信号を出力するので、時点T30から時点T31までの間、ハイレベルの信号を出力する。
【0114】
一方、AND回路67bの出力(M)は、インバータ66の出力と制御信号とがハイレベルの場合にハイレベルとなる。インバータ66の出力は時点T30から時点T34までハイレベルとなり、制御信号は時点T32以降がハイレベルとなるので、AND回路67bの出力は時点T32から時点T34までハイレベルとなる。そして、コンパレータ65bの出力(N)は駆動端子41に印加される電圧が最大駆動電圧に達する時点T33までハイレベルとなる。したがって、AND回路67cの出力(O)はAND回路67bの出力とコンパレータ65bの出力とがハイレベルとなる時点T32から時点T33までハイレベルとなる。
【0115】
したがって、NOR回路64の出力は、AND回路67aの出力(L)の反転出力およびAND回路67cの出力(O)の反転出力となるので、AND回路67aの出力がハイレベルとなる時点T30から時点T31までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。また、AND回路67cの出力がハイレベルとなる時点T32から時点T33までの間の電流量削減用信号はローレベルの信号(削減モードオフ)となる。
【0116】
なお、本実施形態に係る時点T30が第1実施形態に係る時点T10に対応する。同様に、本実施形態に係る時点T31が第1実施形態に係る時点T12に対応し、本実施形態に係る時点T32が第1実施形態に係る時点T13に対応し、本実施形態に係る時点T33が第1実施形態に係る時点T14に対応する。
【0117】
以上のように、駆動端子41に印加される電圧をコンパレータ65a、65bによってモニタすることにより、電流削減のタイミングをクランプ電圧(所定電圧)およびフルオン電圧(最大駆動電圧)に応じて生成することができる。また、駆動端子41に印加される電圧すなわちゲート電圧をモニタしているので、電流削減タイミングの精度を向上させることができる。
【0118】
(第5実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、負荷10はパワー素子40のエミッタ側に接続された構成について説明したが、図9に示されるように、負荷10はパワー素子40のコレクタ側に接続されていても良い。
【0119】
(第6実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、ドライバ回路30は1つのパワー素子40を駆動していたが、本実施形態ではドライバ回路30は複数のパワー素子40をそれぞれ駆動するように構成されている。
【0120】
このように、N個のパワー素子40を駆動する場合では、各パワー素子40のゲート容量等のばらつきから複数のパワー素子40のうちのいずれかのゲート電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に達し、複数のパワー素子40のうちのいずれかのゲート電圧が最後に所定電圧に達すると考えられる。そして、所定電圧を監視してドライバ回路30の電流量を削減する電流量削減用信号を生成する場合、複数のパワー素子40のうちのいずれか1つのゲート電圧が所定電圧に達した時点でドライバ回路30の電流量を一気に削減すると、未だにゲート電圧が所定電圧に達していないパワー素子40についてはゲート(容量)にチャージするための電流量が減ったことによって所定電圧に到達するまでの時間が長くなってしまう。これは、パワー素子40のスイッチング損失の増大に繋がる等の悪影響を及ぼすことになる。
【0121】
そこで、本実施形態では、複数のパワー素子40をドライバ回路30で駆動する場合、全てのパワー素子40のゲートがクランプ電圧である所定電圧に達した後、ドライバ回路30の定電流量を削減する構成となっていることが特徴である。以下、本実施形態の負荷駆動装置について、図を参照して説明する。
【0122】
図10は、本実施形態に係る負荷駆動装置の概念図である。この図に示されるように、負荷駆動装置は、ドライバ回路30、ドライバ回路30に接続された複数のパワー素子40、クランプ回路50、ゲート電圧監視回路70、および定電流量制御回路80を備えている。
【0123】
複数のパワー素子40の各駆動端子41は、第1切替スイッチ31aにそれぞれ接続されている。なお、各パワー素子40の各駆動端子41はそれぞれ抵抗42を介して第1切替スイッチ31aに接続されている。また、図10では、複数のパワー素子40の数の一例として3つのパワー素子40が示されている。もちろん、「複数」とは2以上のN個を指しており、いくつのパワー素子40を負荷駆動装置に設けるかは適宜決められる。そして、負荷10は各パワー素子40のエミッタ側とコレクタ側のどちらかに接続される。
【0124】
ドライバ回路30は、切替信号(PR_IN)に従って複数のパワー素子40の各駆動端子41に定電流をそれぞれ流すことで複数のパワー素子40をそれぞれオン駆動する。
【0125】
クランプ回路50は、パワー素子40毎にスイッチ51とクランプ部52とを備えている。各スイッチ51は各駆動端子41にそれぞれ接続され、各クランプ部52は各スイッチ51とグランド等の基準電圧ラインとの間にそれぞれ接続されている。各スイッチ51は、例えばローレベル(Lo)の制御信号(CLP_IN)でオンするように構成されている。すなわち、ドライバ回路30が各パワー素子40の各駆動端子41にそれぞれ定電流を流すことにより各駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達すると、制御信号に従ってクランプ回路50は各駆動端子41に印加される電圧を所定電圧にそれぞれクランプする。これにより、ドライバ回路30から抵抗42およびスイッチ51を経由してクランプ部52に定電流(I_OUT)が流れる。なお、図10ではクランプ部52をツェナーダイオードで示しているが、クランプ部52の具体的な構成については後で図11を参照して説明する。
【0126】
ゲート電圧監視回路70は、クランプ回路50のスイッチ51を介してパワー素子40の駆動端子41に接続された回路である。このゲート電圧監視回路70は、パワー素子40の駆動端子41に印加されるゲート電圧がクランプ電圧である所定電圧に達したか否かを監視し、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力する。そして、上述のようにパワー素子40は複数設けられているので、ゲート電圧監視回路70はパワー素子40毎に駆動端子41の電圧を監視すると共に各パワー素子40に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するように構成されている。このようなゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎にゲート電圧を監視するためのコンパレータ71を備えている。
【0127】
定電流量制御回路80は、切替信号およびゲート電圧監視信号に基づいて可変定電流回路32のスイッチ38を制御するための電流量削減用信号(I_IN)を生成する回路である。このため、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70から各駆動端子41に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ入力する。そして、定電流量制御回路80は、入力した全てのゲート電圧監視信号が駆動端子41の電圧が所定電圧に達したことを示す場合、可変定電流回路32のスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力する。これにより、各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量を低減する。
【0128】
次に、上記の負荷駆動装置の具体的な回路構成について、図11を参照して説明する。なお、ドライバ回路30の構成は、例えば図2に示された上述の構成と同じである。
【0129】
図11に示されるように、クランプ回路50のクランプ部52は、Nch型のスイッチング素子53とオペアンプ54とにより構成されている。スイッチング素子53はスイッチ51とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。そして、オペアンプ54の非反転入力端子(+)にはスイッチ51とスイッチング素子53との間の接続点が接続されている。つまり、オペアンプ54の非反転入力端子(+)にはパワー素子40の駆動端子41の電圧が印加される。一方、オペアンプ54の反転入力端子(−)には基準電源90が接続され、基準電圧が印加される。なお、基準電源90は負荷駆動装置に設けられている。さらに、オペアンプ54の出力端子がスイッチング素子53のゲートに接続されている。
【0130】
このようなクランプ回路50の構成では、スイッチ51がオンされた状態で駆動端子41の電圧が増加すると、オペアンプ54の出力が増加していく。すなわち、オペアンプ54は2つの入力が等しくなるように出力を行うので、駆動端子41の電圧の増加に伴ってオペアンプ54の出力が増加し、ひいてはスイッチング素子53がオンする。これにより、駆動端子41がクランプ電圧である所定電圧に保持される。
【0131】
ゲート電圧監視回路70は、上述のように、パワー素子40毎にコンパレータ71を有している。各コンパレータ71の非反転入力端子(+)にはクランプ回路50のスイッチ51を介して対応する駆動端子41の電圧が印加される。一方、各コンパレータ71の反転入力端子(−)には基準電源90の基準電圧が印加される。したがって、各コンパレータ71は、駆動端子41の電圧が上昇すると共に基準電圧を超えて所定電圧にクランプされるとローレベルの信号をそれぞれ出力する。この各コンパレータ71の出力がゲート電圧監視信号である。このローレベルの信号は駆動端子41の電圧が所定電圧に達したことを示している。このように、ゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎に駆動端子41の電圧を監視すると共に各パワー素子40に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力する。
【0132】
定電流量制御回路80は、第1NOR回路81と第2NOR回路82とを備えている。第1NOR回路81はゲート電圧監視回路70の各コンパレータ71の出力(ゲート電圧監視信号)をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。すなわち、第1NOR回路81は、各駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した場合にハイレベルの信号を出力する。
【0133】
また、第2NOR回路82は切替信号と第1NOR回路81との各信号をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。この第2NOR回路82の出力(I_IN)が電流量削減用信号となる。したがって、第2NOR回路82は電流量削減用信号としてハイレベルの信号を出力した場合(各駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した場合)、定電流源37のスイッチ38がオンする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給する電流量が増加する。一方、第2NOR回路82は電流量削減用信号としてローレベルの信号を出力した場合、定電流源37のスイッチ38がオフする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給する電流量が低減する。
【0134】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図11に示される負荷駆動装置の作動について、図12のタイミングチャートを参照して説明する。
【0135】
まず、時点T40において、ドライバ回路30に入力される切替信号およびクランプ回路50に入力される制御信号がハイレベル(Hi)からローレベル(Lo)に切り替わる。これにより、クランプ回路50では各スイッチ51がオンするので、ゲート電圧監視回路70の各コンパレータ71に各駆動端子41の電圧が印加される。この段階では、各駆動端子41の電圧は低いので、各コンパレータ71の出力は全てハイレベルとなる。したがって、定電流量制御回路80の第2NOR回路82の出力はローレベルの電流量削減用信号となるので、定電流源37のスイッチ38がオンする。このため、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)が増加する。これにより、各パワー素子40の各駆動端子41の電圧が増加し、それぞれミラー電圧に到達する。また、駆動端子41の電圧の上昇に伴ってクランプ回路50のオペアンプ54の出力も増加していく。
【0136】
この後、時点T41では、複数のパワー素子40のうちのいずれかの駆動端子41の電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達する。すなわち、クランプ回路50においてこのパワー素子40に対応するオペアンプ54は2つの入力が等しくなるようにスイッチング素子53をオンするため、オペアンプ54の非反転入力端子に電気的に接続された駆動端子41の電圧が所定電圧に保持される。なお、このパワー素子40をIGBT_ch1とする。また、このパワー素子40の駆動端子41の電圧をIGBT_G1とする。また、駆動端子41の電圧が最後に所定電圧に到達するパワー素子40をIGBT_chNとし、このパワー素子40の駆動端子41の電圧をIGBT_GNとする。
【0137】
ここで、従来では、このT41の時点で定電流量制御回路80から定電流源37のスイッチ38をオフする電流量削減用信号を出力し、ドライバ回路30から全てのパワー素子40の駆動端子41に供給する電流量を低減させていた。このため、図12のIGBT_GNにおいて破線で示されるように、駆動端子41の電圧が最後に所定電圧に到達するパワー素子40についてはゲートに電荷をチャージする時間が長くなるので、パワー素子40の損失に繋がる。また、クランプ回路50の各スイッチング素子53に電流が流れる時間が長くなるので、電流損失にも繋がる。
【0138】
これに対し、本実施形態では、1つのパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達したとしても、このパワー素子40に対応するコンパレータ71の出力がローレベルとなるだけである。したがって、コンパレータ71の出力の全てがローレベルになっていないため、定電流量制御回路80の第1NOR回路81の出力はローレベルが維持される。したがって、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)は第2電流値よりも大きい第1電流値が維持される。
【0139】
そして、時点T42で複数のパワー素子40のうちの最後のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_GN)が所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のコンパレータ71の出力の全てがローレベルになる。このため、定電流量制御回路80の第1NOR回路81の出力はハイレベルとなる。したがって、定電流量制御回路80の第2NOR回路82の出力はローレベルの電流量削減用信号となるので、定電流源37のスイッチ38がオフする。これにより、ドライバ回路30から各パワー素子40の駆動端子41に供給される電流量(I_OUT)が第1電流値から第2電流値にΔIだけ低減される。
【0140】
この後、時点T43まで全てのパワー素子40の各駆動端子41の電圧がクランプ電圧である所定電圧に維持される。そして、時点T43でクランプ回路50がオフすなわち制御信号によってスイッチ51がオフされると、各駆動端子41の電圧は最大駆動電圧に達する(フルオン区間)。
【0141】
以上説明したように、本実施形態ではドライバ回路30によって複数のパワー素子40を駆動する場合に、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後にドライバ回路30の可変定電流回路32によって各駆動端子41に供給する定電流の電流量を低減することが特徴となっている。これにより、パワー素子40のスイッチング損失の増加を抑制しつつ、クランプ回路50に流れ込む電流を低減することができる。
【0142】
(第7実施形態)
本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について説明する。図13は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、ゲート電圧監視回路70の構成が第6実施形態と異なる。
【0143】
具体的には、ゲート電圧監視回路70は、パワー素子40毎に抵抗72およびNch型のスイッチング素子73を備えている。抵抗72は負荷駆動装置内の内部電源に接続されている。また、スイッチング素子73は抵抗72とグランド等の基準電圧ラインとの間に接続されている。さらに、スイッチング素子73のゲートがクランプ回路50の出力端子に接続されている。そして、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧がゲート電圧監視信号として定電流量制御回路80に出力される。なお、内部電源の電圧はどんな電源電圧でも構わないが、内部電源の電圧は低い方がMOSFETであるスイッチング素子73の耐圧を小さくできるためにスイッチング素子73のサイズを小さくできるというメリットがある。
【0144】
このような構成では、パワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達する前は、クランプ回路50のオペアンプ54の出力がローレベルであるので、ゲート電圧監視回路70のスイッチング素子73がオフする。これにより、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧は内部電源の電圧となり、その結果、ゲート電圧監視信号としてハイレベルの信号が出力される。一方、パワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達し、クランプ回路50のオペアンプ54の出力がハイレベルになると、ゲート電圧監視回路70のスイッチング素子73がオンする。これにより、スイッチング素子73に電流が流れるため、抵抗72とスイッチング素子73との接続点の電圧が下がり、その結果、ゲート電圧監視信号としてローレベルの信号が出力される。
【0145】
以上のように、ゲート電圧監視回路70はコンパレータ71を用いた構成ではなく、抵抗72やスイッチング素子73を用いて構成することもできる。
【0146】
(第8実施形態)
本実施形態では、第6、第7実施形態と異なる部分について説明する。上記の第6、第7実施形態では、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後にドライバ回路30の可変定電流回路32によって各駆動端子41に供給する定電流の電流量を一回で低減していた。これに対し、本実施形態では、ドライバ回路30の電流量を一回で低減するのではなく、各パワー素子40の各駆動端子41の全てが所定電圧に達した後に段階的にドライバ回路30の定電流の電流量を削減することが特徴となっている。なお、本実施形態では、パワー素子40が3個の場合について説明する。
【0147】
図14は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、ドライバ回路30の定電流源37は、スイッチ38を複数有すると共に、各スイッチ38に対応する複数の第1定電流源37aを備えている。なお、各第1定電流源37aの電流量はそれぞれ同じである。これらスイッチ38と第1定電流源37aの組は、パワー素子40毎に設けられている。したがって、複数のスイッチ38の全てがオンされると定電流源37には第1電流値の電流が流れ、複数のスイッチ38の全てがオフされると定電流源37には第2電流値の電流が流れる。そして、複数のスイッチ38がオフされる数が多いほど定電流源37に流れる電流は小さくなり、第2電流値に近づくように第1電流値と第2電流値との間で電流が段階的に変化する。
【0148】
これらのスイッチ38を段階的にオンさせるため、定電流量制御回路80は、パワー素子40毎にインバータ83とNOR回路84とを備えている。インバータ83はゲート電圧監視回路70の抵抗72とスイッチング素子73との接続点に接続され、この接続点の電圧(ゲート電圧監視信号)を反転させて出力する。また、NOR回路84は、切替信号とインバータ83の出力との各信号をそれぞれ入力し、全ての信号がローレベルの場合にハイレベルの信号を出力する。このNOR回路84の出力(I_IN1、I_IN2、I_IN3)が電流量削減用信号となる。上記と同様に、本実施形態においてもローレベルの電流量削減用信号がスイッチ38をオフする。したがって、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ38を一つずつオフする電流量削減用信号を出力する。これにより、各スイッチ38がオフされる度に各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量が段階的に低減し、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流が一括で低減されることはない。
【0149】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図14に示される負荷駆動装置の作動について、図15のタイミングチャートを参照して説明する。
【0150】
まず、時点T50〜T51までの動作については、第6実施形態で説明された時点T40〜T41と同じである。
【0151】
そして、時点T51で複数のパワー素子40のうちのいずれかの駆動端子41の電圧が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70から当該パワー素子40に対応した抵抗72およびスイッチング素子73の接続点からローレベルの信号が出力される。このパワー素子40をIGBT_ch1とする。これにより、定電流量制御回路80において当該パワー素子40に対応したNOR回路84からローレベルの電流量削減用信号(I_IN1)が出力される。したがって、ドライバ回路30の定電流源37において当該パワー素子40に対応したスイッチ38がオフされる。これにより、時点T51後にドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔI/3だけ減少する。
【0152】
この後、別のパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達すると、上記と同様にドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はさらにΔI/3だけ減少する。このように、定電流源37の各スイッチ38がオフされる数が増えていくと、定電流源37に流れる電流も段階的に減少するので、その結果、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流の電流量も段階的に減少していく。したがって、定電流波形は階段状になる。
【0153】
そして、時点T53で最後のパワー素子40の駆動端子41の電圧が所定電圧に到達すると、定電流源37の全てのスイッチ38がオフされる。これにより、ドライバ回路30からは第2電流値の定電流が各駆動端子41に供給され、この後の各駆動端子41に供給される定電流が削減される。なお、時点T54以降の動作は、上述の時点T43以降と同じである。
【0154】
一方、上述のように、駆動端子41の電圧が全て所定電圧に達した後にドライバ回路30の定電流を削減する場合、図15の一点鎖線に示されるように、例えば時点T52で電流量を第1電流値から第2電流値に一括で削減する。これに対し、本実施形態のように、いずれかの駆動端子41の電圧が最初に所定電圧に達すると、定電流の電流量を一段階削減し、他の駆動端子41の電圧が所定電圧に達する度に定電流の電流量を段階的に削減している。このため、時点T51〜時点T53の定電流波形の面積を比較すると、一括で定電流を削減する場合よりも、段階的に定電流を削減する場合の定電流波形の面積が小さい。したがって、ドライバ回路30の定電流をさらに効果的に削減することができる。
【0155】
また、電流量を徐々に削減することで、ミラー区間からクランプ電圧レベルまでの遷移時間は増加してスイッチング損失は増加するが、クランプ電圧のオーバーシュート量が低減されるので、パワー素子40の短絡時の損失を低減することができる。
【0156】
以上説明したように、本実施形態では、各駆動端子41に印加される電圧のうちいずれかが最初に所定電圧に達してから段階的に定電流を削減している。このため、全ての駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達するまでに既に定電流を段階的に削減しているので、各駆動端子41にそれぞれ流す定電流の電流量を一括で低減する場合よりも定電流をさらに削減することができる。
【0157】
(第9実施形態)
本実施形態では、第8実施形態と異なる部分について説明する。上記第8実施形態では、ドライバ回路30の定電流源37の各第1定電流源37aの電流量はそれぞれ同じであったが、本実施形態では、各第1定電流源37aの電流量に差をつけている。
【0158】
図16は、本実施形態に係る負荷駆動装置の回路図である。この図に示されるように、ドライバ回路30の定電流源37を構成する各第1定電流源37aおよび第2定電流源37bの各電流量はそれぞれ異なる。3つの第1定電流源37aについては、I1、I2、I3の電流がそれぞれ流れ、第2定電流源37bにはI4の電流が流れる。そして、電流量はI1>I2>I3>I4という関係になっている。したがって、全てのスイッチ38がオンされると、定電流源37には全ての電流値が足された第1電流値の電流が流れ、全てのスイッチ38がオフされると、定電流源37には第2定電流源37bから第2電流値の電流が流れる。
【0159】
また、定電流量制御回路80は、パワー素子40毎に上述のインバータ83とNOR回路84とを備えている他に、AND回路85、86a、86b、86cおよびOR回路87a、87bを備えている。なお、AND回路85、86a、86b、86cおよびOR回路87a、87bはパワー素子40毎に設けられているものではない。
【0160】
ここで、IGBT_G3に対応するゲート電圧監視信号をOUT1とし、IGBT_G2に対応するゲート電圧監視信号をOUT2とし、IGBT_G1に対応するゲート電圧監視信号をOUT3とする。
【0161】
そして、AND回路85の入力にはすべてインバータ83が接続され、AND回路85の出力(A)は電流量がI1のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0162】
AND回路86aの入力にはOUT1とOUT2に対応したインバータ83が接続され、AND回路86aの出力(B)はOR回路87aに入力される。
【0163】
AND回路86bの入力にはOUT1とOUT3に対応したインバータ83が接続され、AND回路86bの出力(C)はOR回路87aに入力される。
【0164】
AND回路86cの入力にはOUT2とOUT3に対応したインバータ83が接続され、AND回路86cの出力(C)はOR回路87aに入力される。
【0165】
OR回路87aの入力にはAND回路86a、86b、86cが接続され、OR回路87aの出力(E)は電流量がI2のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0166】
OR回路87bの入力にはすべてのインバータ83が接続され、OR回路87bの出力(F)は電流量がI3のスイッチ38に対応したNOR回路84に入力される。
【0167】
ローレベル(Lo)の電流量削減用信号により、定電流源37のスイッチ38がオフされて電流が削減されるため、ゲートON/OFF切替信号がオン、すなわちローレベルのとき、上記の定電流量制御回路80の構成では、
(1)I_IN1=Lo条件:OUT1〜3が全てLoの場合
(2)I_IN2=Lo条件:OUT1〜3のうち二つ以上がLoの場合
(3)I_IN3=Lo条件:OUT1〜3のうち一つ以上がLoの場合
となる。これを真理値表で表すと、図17のようになる。
【0168】
以上が、本実施形態に係る負荷駆動装置の全体構成である。次に、図16に示される負荷駆動装置の作動について、図18のタイミングチャートを参照して説明する。
【0169】
まず、時点T60〜T61までは上述の時点T50〜T51と同じである。そして、時点T61でIGBT_ch1のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G1)が最初にクランプ電圧である所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT3のみがローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN3)のみがローレベルとなる。これにより、I3に対応したスイッチ38のみがオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔI3だけ減少する。
【0170】
続いて、IGBT_ch2のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G2)が所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT2およびOUT3がローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN2およびI_IN3)がローレベルとなる。これにより、I2およびI3に対応したスイッチ38がそれぞれオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔ(I2+I3)だけ減少する。
【0171】
この後、時点T63でIGBT_ch3のパワー素子40の駆動端子41の電圧(IGBT_G1)が最後に所定電圧に到達すると、ゲート電圧監視回路70のOUT1〜3の全てがローレベルとなるので、図17の真理値表から定電流量制御回路80の電流量削減用信号(I_IN1〜3)の全てがローレベルとなる。これにより、I1〜I3に対応したスイッチ38の全てがオフされるので、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流はΔ(I1+I2+I3)だけ減少した第2電流値の電流が流れる。なお、時点T64以降の動作は、上述の時点T43以降と同じである。
【0172】
そして、上述の時点T52に対応する時点T62のように電流量を第1電流値から第2電流値に一括で削減した場合に対して時点T61〜時点T63の定電流波形の面積を比較すると、本実施形態においても段階的に定電流を削減する場合のほうが一括で定電流を削減する場合よりも定電流波形の面積が小さい。したがって、ドライバ回路30の定電流をさらに効果的に削減することができる。
【0173】
また、各第1定電流源37aの電流量をそれぞれ最適化することでスイッチング損失を一括で電流量を削減する場合と同等程度にし、かつ、負荷駆動装置の消費電流の低減を狙うことができる。
【0174】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された負荷駆動装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構成とすることもできる。例えば、第1実施形態で示された定電流源37の構成や第2実施形態で示された第2抵抗34の構成は一例であり、他の構成でも良い。また、第2実施形態で示された抵抗値を調整することによって定電流を削減する構成に、図5や図7で示された電流量削減用信号生成回路60を採用しても良い。もちろん、図5や図7で示された電流量削減用信号生成回路60も一例であり、他の構成でも良い。さらに、電流量削減用信号生成回路60はドライバ回路30に含められていても良い。
【0175】
上記各実施形態では、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後に最大駆動電圧まで上昇させているが、これはパワー素子40の駆動例であり、駆動端子41に印加される電圧が所定電圧に達した後はパワー素子40を所定電圧で駆動しても良い。
【0176】
第6実施形態では、クランプ部52としてスイッチング素子53とオペアンプ54の構成について説明したが、これは構成の一例であり、駆動端子41を所定電圧に保持できる他の構成を採用しても良い。
【0177】
上記の第6〜9実施形態等では、基準電源90をクランプ回路50とゲート電圧監視回路70とで共通化させていたが、これは一例であり、各回路専用の基準電源90を設けることもできる。これにより、きめ細かい基準電圧の設定を行うことができる。
【0178】
上記の第6〜9実施形態等では、定電流源37の電流量を削減する手段として、定電流源37の電流量を変化させる構成について説明したが、第2実施形態のように抵抗値を変化させることでドライバ回路30から各駆動端子41に供給される定電流の電流量を変化させることもできる。また、抵抗値を変化させる構成において、ドライバ回路30から各駆動端子41に供給する電流量を段階的に減少させるためには、第2抵抗部34に複数のスイッチ38を設け、複数のスイッチ38の全てがオンされると合成抵抗値が最も小さい第1抵抗値になり、複数のスイッチ38の全てがオフされると合成抵抗値が最も大きい第2抵抗値(>第1抵抗値)になるように第2抵抗部34を構成すれば良い。この場合、複数のスイッチ38がオンされる数が多いほど第1抵抗値(<第2抵抗値)に近づくように第1抵抗値と2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するように第2抵抗部34を構成する。そして、定電流量制御回路80は、ゲート電圧監視回路70からゲート電圧監視信号が入力される度に複数のスイッチ38を一つずつオンする電流量削減用信号を出力する。これにより、第2抵抗部34の抵抗値が第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい第1抵抗値に段階的に低減するので、駆動端子41に流す定電流の電流量が段階的に低減することとなる。
【符号の説明】
【0179】
10 負荷
20 電源
30 ドライバ回路
32 可変定電流回路
33 第1抵抗
34 第2抵抗
35 オペアンプ
36 スイッチング素子
37 定電流源
38 スイッチ
40 パワー素子
41 駆動端子
50 クランプ回路
60 電流量削減用信号生成回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷(10)に接続され、半導体スイッチング素子にて構成されたパワー素子(40)と、
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に定電流を流すことで前記パワー素子(40)をオン駆動するドライバ回路(30)と、
前記駆動端子(41)に接続され、前記ドライバ回路(30)が前記駆動端子(41)に定電流を流すことにより前記駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、前記駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にクランプするクランプ回路(50)と、を備え、
前記ドライバ回路(30)は、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後、前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまでに前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路(32)を備えていることを特徴とする負荷駆動装置。
【請求項2】
前記可変定電流回路(32)は、
一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、
一端側が前記電源(20)に接続される第2抵抗(34)と、
前記第1抵抗(33)の他端側と前記パワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、
前記第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と前記第2抵抗(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるように前記スイッチング素子(36)を駆動することで前記第1抵抗(33)に流れる電流を定電流として前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、
前記第2抵抗(34)の他端側に接続されると共にスイッチ(38)を有し、前記スイッチ(38)がオンされると第1電流値の電流が流れ、前記スイッチ(38)がオフされると前記第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる可変の定電流源(37)と、を備え、
前記オペアンプ(35)が前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、前記スイッチング素子(36)を駆動することにより、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗(34)に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオン指令に従って前記スイッチ(38)がオンされることにより、前記第2抵抗(34)には前記第1電流値の電流が流れ、前記第1抵抗(33)には前記第1電流値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオフ指令に従って前記スイッチ(38)がオフされると、前記第2抵抗(34)には前記第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れ、前記第1抵抗(33)には前記第2電流値に比例した電流が流れることにより、前記スイッチ(38)がオンされた場合よりも前記第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
前記可変定電流回路(32)は、
一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、
一端側が前記電源(20)に接続されると共にスイッチ(38)を有し、前記スイッチ(38)がオンされると第1抵抗値となり、前記スイッチ(38)がオフされると前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値となる可変の第2抵抗部(34)と、
前記第2抵抗部(34)の他端側に接続され、前記第2抵抗部(34)に一定の電流を流す定電流源(37)と、
前記第1抵抗(33)の他端側と前記パワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、
前記第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と前記第2抵抗部(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるように前記スイッチング素子(36)を駆動することで前記第1抵抗(33)に流れる電流を定電流として前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、を備え、
前記オペアンプ(35)が前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、前記スイッチング素子(36)を駆動することにより、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗部(34)の抵抗値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオフ指令に従って前記スイッチ(38)がオフされることにより、前記第2抵抗部(34)は第2抵抗値とされ、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従って前記スイッチ(38)がオンされると、前記第2抵抗部(34)の抵抗値は前記第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい前記第1抵抗値に削減され、前記第1抵抗(33)には前記第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、前記スイッチ(38)がオフされた場合よりも前記第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
前記ドライバ回路(30)は、外部から入力される切替信号に従って前記パワー素子(40)のオン/オフ駆動を行うようになっており、
前記クランプ回路(50)は、外部から入力される制御信号に従って前記駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするようになっており、
前記切替信号および前記制御信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路(60)を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
前記電流量削減用信号生成回路(60)は、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減し、前記クランプ回路(50)による前記所定電圧のクランプが解除された後、前記スイッチ(38)をオンする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を元に戻し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、再び前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項4に記載の負荷駆動装置。
【請求項6】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号の全てが入力されると、前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項2または3に記載の負荷駆動装置。
【請求項7】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記定電流源(37)は、前記スイッチ(38)を複数有し、前記複数のスイッチ(38)の全てがオンされると前記第1電流値の電流が流れ、前記複数のスイッチ(38)の全てがオフされると前記第2電流値の電流が流れ、前記複数のスイッチ(38)がオフされる数が多いほど前記第2電流値に近づくように前記第1電流値と前記第2電流値との間で電流が段階的に変化するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記ゲート電圧監視信号が入力される度に前記複数のスイッチ(38)を一つずつオフする電流量削減用信号を出力することにより、前記各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を前記第1電流値から段階的に前記第2電流値に低減することを特徴とする請求項2に記載の負荷駆動装置。
【請求項8】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記第2抵抗部(34)は、前記スイッチ(38)を複数有し、前記複数のスイッチ(38)の全てがオンされると前記第1抵抗値になり、前記複数のスイッチ(38)の全てがオフされると前記第2抵抗値になり、前記複数のスイッチ(38)がオンされる数が多いほど前記第1抵抗値に近づくように前記第1抵抗値と前記2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記ゲート電圧監視信号が入力される度に前記複数のスイッチ(38)を一つずつオンする電流量削減用信号を出力することにより、前記第2抵抗部(34)の抵抗値を前記第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい前記第1抵抗値に段階的に低減し、これにより、前記各駆動端子(41)に流す定電流の電流量を段階的に低減することを特徴とする請求項3に記載の負荷駆動装置。
【請求項1】
負荷(10)に接続され、半導体スイッチング素子にて構成されたパワー素子(40)と、
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に定電流を流すことで前記パワー素子(40)をオン駆動するドライバ回路(30)と、
前記駆動端子(41)に接続され、前記ドライバ回路(30)が前記駆動端子(41)に定電流を流すことにより前記駆動端子(41)に印加される電圧が所定電圧に達すると、前記駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にクランプするクランプ回路(50)と、を備え、
前記ドライバ回路(30)は、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後、前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまでに前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量よりも低減する可変定電流回路(32)を備えていることを特徴とする負荷駆動装置。
【請求項2】
前記可変定電流回路(32)は、
一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、
一端側が前記電源(20)に接続される第2抵抗(34)と、
前記第1抵抗(33)の他端側と前記パワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、
前記第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と前記第2抵抗(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるように前記スイッチング素子(36)を駆動することで前記第1抵抗(33)に流れる電流を定電流として前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、
前記第2抵抗(34)の他端側に接続されると共にスイッチ(38)を有し、前記スイッチ(38)がオンされると第1電流値の電流が流れ、前記スイッチ(38)がオフされると前記第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れる可変の定電流源(37)と、を備え、
前記オペアンプ(35)が前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、前記スイッチング素子(36)を駆動することにより、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗(34)に流れる電流の大きさに比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオン指令に従って前記スイッチ(38)がオンされることにより、前記第2抵抗(34)には前記第1電流値の電流が流れ、前記第1抵抗(33)には前記第1電流値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオフ指令に従って前記スイッチ(38)がオフされると、前記第2抵抗(34)には前記第1電流値よりも小さい第2電流値の電流が流れ、前記第1抵抗(33)には前記第2電流値に比例した電流が流れることにより、前記スイッチ(38)がオンされた場合よりも前記第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
前記可変定電流回路(32)は、
一端側が電源(20)に接続される第1抵抗(33)と、
一端側が前記電源(20)に接続されると共にスイッチ(38)を有し、前記スイッチ(38)がオンされると第1抵抗値となり、前記スイッチ(38)がオフされると前記第1抵抗値よりも大きい第2抵抗値となる可変の第2抵抗部(34)と、
前記第2抵抗部(34)の他端側に接続され、前記第2抵抗部(34)に一定の電流を流す定電流源(37)と、
前記第1抵抗(33)の他端側と前記パワー素子(40)との間に接続されるスイッチング素子(36)と、
前記第1抵抗(33)の他端側に対応する第1電圧と前記第2抵抗部(34)の他端側に対応する第2電圧とが印加されると共に、前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるように前記スイッチング素子(36)を駆動することで前記第1抵抗(33)に流れる電流を定電流として前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に流すオペアンプ(35)と、を備え、
前記オペアンプ(35)が前記第1電圧と前記第2電圧とが等しくなるようにフィードバック制御によって、前記スイッチング素子(36)を駆動することにより、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗部(34)の抵抗値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達するまで電流量削減用信号のオフ指令に従って前記スイッチ(38)がオフされることにより、前記第2抵抗部(34)は第2抵抗値とされ、前記第1抵抗(33)には前記第2抵抗値に比例した電流が流れるようになっており、
前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達した後に電流量削減用信号のオン指令に従って前記スイッチ(38)がオンされると、前記第2抵抗部(34)の抵抗値は前記第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい前記第1抵抗値に削減され、前記第1抵抗(33)には前記第1抵抗値に比例した電流が流れることにより、前記スイッチ(38)がオフされた場合よりも前記第1抵抗(33)に流れる電流が低減することにより前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
前記ドライバ回路(30)は、外部から入力される切替信号に従って前記パワー素子(40)のオン/オフ駆動を行うようになっており、
前記クランプ回路(50)は、外部から入力される制御信号に従って前記駆動端子(41)に印加される電圧を所定電圧にクランプするようになっており、
前記切替信号および前記制御信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する電流量削減用信号生成回路(60)を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
前記電流量削減用信号生成回路(60)は、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減し、前記クランプ回路(50)による前記所定電圧のクランプが解除された後、前記スイッチ(38)をオンする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を元に戻し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が電源電圧、もしくはそれとほぼ同電位の最大駆動電圧に達した後、再び前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記駆動端子(41)に流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項4に記載の負荷駆動装置。
【請求項6】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号の全てが入力されると、前記スイッチ(38)をオフする電流量削減用信号を出力して前記各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を低減することを特徴とする請求項2または3に記載の負荷駆動装置。
【請求項7】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記定電流源(37)は、前記スイッチ(38)を複数有し、前記複数のスイッチ(38)の全てがオンされると前記第1電流値の電流が流れ、前記複数のスイッチ(38)の全てがオフされると前記第2電流値の電流が流れ、前記複数のスイッチ(38)がオフされる数が多いほど前記第2電流値に近づくように前記第1電流値と前記第2電流値との間で電流が段階的に変化するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記ゲート電圧監視信号が入力される度に前記複数のスイッチ(38)を一つずつオフする電流量削減用信号を出力することにより、前記各駆動端子(41)にそれぞれ流す定電流の電流量を前記第1電流値から段階的に前記第2電流値に低減することを特徴とする請求項2に記載の負荷駆動装置。
【請求項8】
前記パワー素子(40)の駆動端子(41)に接続され、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したか否かを監視し、前記駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達したときにゲート電圧監視信号を出力するゲート電圧監視回路(70)と、
前記切替信号および前記ゲート電圧監視信号に基づいて前記スイッチ(38)を制御するための前記電流量削減用信号を生成する定電流量制御回路(80)と、を備えており、
さらに、
前記パワー素子(40)は、複数備えられており、
前記ドライバ回路(30)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)に定電流をそれぞれ流すことで前記複数のパワー素子(40)をそれぞれオン駆動するようになっており、
前記第2抵抗部(34)は、前記スイッチ(38)を複数有し、前記複数のスイッチ(38)の全てがオンされると前記第1抵抗値になり、前記複数のスイッチ(38)の全てがオフされると前記第2抵抗値になり、前記複数のスイッチ(38)がオンされる数が多いほど前記第1抵抗値に近づくように前記第1抵抗値と前記2抵抗値との間で抵抗値が段階的に変化するようになっており、
前記クランプ回路(50)は、前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ接続され、前記ドライバ回路(30)が前記複数のパワー素子(40)の各駆動端子(41)にそれぞれ定電流を流すことにより前記各駆動端子(41)に印加される電圧が前記所定電圧に達すると、前記各駆動端子(41)に印加される電圧を前記所定電圧にそれぞれクランプするようになっており、
前記ゲート電圧監視回路(70)は、前記各駆動端子(41)に対応したゲート電圧監視信号をそれぞれ出力するようになっており、
前記定電流量制御回路(80)は、前記ゲート電圧監視回路(70)から前記ゲート電圧監視信号が入力される度に前記複数のスイッチ(38)を一つずつオンする電流量削減用信号を出力することにより、前記第2抵抗部(34)の抵抗値を前記第2抵抗値からこの第2抵抗値よりも小さい前記第1抵抗値に段階的に低減し、これにより、前記各駆動端子(41)に流す定電流の電流量を段階的に低減することを特徴とする請求項3に記載の負荷駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−129973(P2012−129973A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91848(P2011−91848)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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