説明

走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置

【課題】 屈折率分布によるピント変動の影響を受けることなく簡易な成形でレンズを成形することができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を得ること。
【解決手段】 光源手段と、光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する走査光学装置において、第2の光学系は、副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚有しており、被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の肉厚をD、第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、被走査面に最も近い結像光学素子から前記被走査面までの光軸上の距離をLbとするとき、各条件式を満足すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。特に樹脂より成る光学素子を用いた、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
走査光学装置に用いられる結像光学系(走査光学系)の光学素子には、プラスチック材料が用いられている。そして、光学素子の材料技術、製造技術、そして設計技術の向上により走査光学系の光学性能は大きく改善されてきた。
【0003】
ガラス材料にとって代わるプラスチック材料は、低吸湿性、低複屈折性、低屈折率分布性等が求められている。プラスチック材料としては、例えば(株)日本ゼオン社製のポリオレフィン系樹脂のゼオネックス(登録商標)や(株)三井石油化学社製の商品名APELなどがある。
【0004】
レンズ形状(光学素子の形状)はこれらのプラスチック材料を前提とし、非球面形状で設計されている。光学素子は設計された型に樹脂を射出し、成形することにより形成される。光学設計の設計自由を確保することにより従来のガラス材料のみを用いたレンズ系では実現し得なかった光学系の小型化、高性能化が容易になっている。
【0005】
しかしながら、プラスチックレンズにはガラスレンズにはない課題として、屈折率分布や複屈折、屈折率の環境温度依存性、成形安定性がある。プラスチックレンズを用いるときは、これらを上手く設計回避することが求められている。
【0006】
例えば、これらの課題は被走査面上における光束のスポット径がばらつき、またスポット径が増大する原因となる。これは高画質化の要求に対するスポットの小径化やスポットの安定化を図るときの弊害となる。
【0007】
課題の1つである屈折率分布に対する対策は、従来から種々と提案されている(特許文献1〜4参照)。
【0008】
特許文献1には光学素子の副走査方向のレンズ高さを肉厚より高くする方法が開示されている。例えば結像光学系を構成する結像レンズを副走査断面内において、副走査方向のレンズ高さをh、光軸方向の厚さをtとするとき、h/t>2となるように設定して形成している。
【0009】
特許文献2には成形工程の後にアニール工程を行って光学素子を製造する方法が開示されている。
【0010】
特許文献3、4には光学素子を低い圧力で成型し、ヒケを光学面以外に積極的に誘導するヒケ成形技術が開示されている。
【0011】
他の課題である複屈折は材料依存性が大きいため性能改善には材料メーカの開発に負う部分が大きい。また環境変動に対する課題はピントずれを相殺する光学系の温度補償設計で対応可能である。また成形安定性(キャビティ間差、ショット間差)に対する課題は、製造技術の工程の改善で対応が可能な技術である。
【0012】
またプラスチックレンズを用いた走査光学装置および画像形成装置は従来から種々と提案されている(特許文献5参照)。
【0013】
特許文献5では結像光学系にプラスチックレンズを用いてカラー画像を形成するようにした走査光学装置およびカラー画像形成装置を開示している。
【特許文献1】特開平8−201717号公報
【特許文献2】特開平11−77842号公報
【特許文献3】特開2000−329908号公報
【特許文献4】特開2003−241083号公報
【特許文献5】特開2004−184657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来より屈折率分布の課題に対しては種々の対策がとられてきた。
【0015】
しかしながら、特許文献1において、レンズ形状を上述した如くh/t>2にする方法では、肉厚tに応じて所定のレンズ高さhが必要となり、レンズ有効部が小さくても不必要にレンズ高さhが高くなってくる傾向があった。
【0016】
また、特許文献2では、アニール工程を設けているため製造が複雑化になる傾向があった。
【0017】
特許文献3、4では、ひけ成形を行っているため、ひけ部を誘導する部分としてレンズ高さを余分に高くする必要があり、小型化が難しくなるという課題がある。また、特許文献2のアニール工程を設けると製造が複雑化になる傾向があった。
【0018】
また特許文献3、4に示されるひけ成形の場合は「不完全転写部」を誘導するレンズ部位が必要で、誘導部(凹部)は通常レンズの上面ないし下面に設けられる(特許文献3の図3、特許文献4の図1)。
【0019】
この誘導部は、該誘導部の歪みが有効部に及ばないようにレンズを通過する光束に対して十分離れるようレンズの高さが設定されるため、レンズの高さは通常成形(ひけ成形を行わない成形)の場合より高くなってしまう。
【0020】
射出成形により作られるプラスチックレンズの成形時間はレンズの光軸方向の厚さと高さのうち、小さい方の寸法で決まり、成形時間が長いと単位時間あたりの生産数が減る傾向があった。上記従来のレンズは光軸方向の厚さは高さより寸法が短く、成形時間はレンズの厚さで決まっていた。レンズの厚さは光学性能上必要な要件であるため、製造効率を上げるのが困難であった。
【0021】
レンズ高さは、型の鏡面の面積に比例し、成形機に要求する型締め力にも比例する。成形機の装置能力である型締め力の範囲内で多数個取りできるキャビティ数が制限される。この結果、キャビティの多数個取りが難しくなる傾向があった。
【0022】
また別の理由としてレンズ高さが高くなると、走査光学系の光路の取り回しが制限される。例えばカラー画像形成装置では、複数の感光ドラムへ導く光束を光偏向器や結像光学系の一部を共有する構成で、小型化するため、この光路の取り回しが制限されないのが良い。
【0023】
図9は特許文献5に開示されているカラー画像形成装置の要部概略図である。
【0024】
図9においては共通の光偏向器5の対向する面を用いて4本の走査用の光束を同時に偏向走査している。そしてステーションSK1(SK2)においては、第1、第2の結像レンズ63ab,64a(64b)・(63cd,64c(64d))及び反射ミラーを介してそれぞれの光束を異なる感光ドラム8a、8b(8c、8d)に導く構成を示している。
【0025】
第1の結像レンズ63ab(63cd)は2本の光束で共有し、第2の結像レンズ64a・64b(64c・64d)は光束毎に配置されている。光偏向器5の偏向面から感光ドラム8a〜8dまでの光路長は夫々同じだが、該感光ドラム8a〜8dの位置が異なるため光偏向器5に物理的に近い感光ドラム8b,8cに入射する光束は反射ミラーで2回折り返す必要が生じる。このとき、第2の結像レンズ64b,64cは図9に示すように光束で囲まれるように配置されるため、レンズ高さが高いとコンパクトに折り返すことができず、ミラー配置の自由度が少なくなる。さらに感光ドラム8b,8cに光学的に最も近い最終ミラー81b,81cの位置が光学箱91の下面91aを決めるため、該光学箱91が厚くなり、薄型化を図るのが困難となってくる。
【0026】
本発明は屈折率分布によるピント変動の影響を受けることなく、低コストかつ簡易な形状でレンズを成形することができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
請求項1の発明の走査光学装置は、
光源手段と、前記光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する走査光学装置において、
前記第2の光学系は、副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚有しており、前記被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、前記被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の肉厚をD、前記第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、前記被走査面に最も近い結像光学素子から前記被走査面までの光軸上の距離をLbとするとき、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.33
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439
なる条件を満足することを特徴としている。
【0028】
請求項2の発明の走査光学装置は、
光源手段と、前記光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する走査光学装置において、
前記第2の光学系は2枚以上の結像光学素子を有しており、
かつ、前記2枚以上の結像光学素子のうち副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚の有しており、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の光軸上の肉厚をD、該前記第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子から前記偏向手段の偏向面までの光軸上の距離をS1、前記第2の光学系の副走査方向の倍率をβとするとき、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439≦0.9
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439
なる条件を満足することを特徴としている。
【0029】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、
前記副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の材料は、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴としている。
【0030】
請求項4の発明は請求項1乃至3の何れか一項の発明において、
前記副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子は、加熱溶融された樹脂材料を特定の金型温度に設定された成形用金型に特定の圧力で射出充填し、特定の時間経過後に金型から取り出す工程を経て成形されることを特徴としている。
【0031】
請求項5の発明の画像形成装置は、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記走査光学装置で走査された光束によって前記感光体の上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴としている。
【0032】
請求項6の発明の画像形成装置は、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴としている。
【0033】
請求項7の発明のカラー画像形成装置は、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置の被走査面に配置され、互いに異なった色の画像を形成する複数の像担持体とを有することを特徴としている。
【0034】
請求項8の発明は請求項7の発明において、
外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換して各々の走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラを有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば屈折率分布によるピント変動の影響を受けることなく、低コストかつ簡易な形状でレンズを成形することができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の走査光学装置は、光源手段と、光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する。
【0037】
第2の光学系は、副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚有している。そして、被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の肉厚をDとする。さらに第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、被走査面に最も近い結像光学素子から被走査面までの光軸上の距離をLbとする。そのとき、少なくとも1つの光学素子は、以下の条件式を満たす扁平率(H/D)に設定している。
【0038】
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.33
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439
尚、本発明において、光学素子が副走査方向に屈折率分布を有するとは、成形により光学素子を成形するとき、光学素子の材料の屈折率が一様とならず、不均一となる場合をいう。
【0039】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0040】
(第1の実施例)
図1は本発明の実施例1の走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)、図2は図1の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。
【0041】
尚、以下の説明において、副走査方向(Z方向)とは、偏向手段の回転軸と平行な方向である。主走査断面とは、副走査方向(偏向手段の回転軸と平行な方向)を法線とする断面である。主走査方向(Y方向)とは、偏向手段で偏向走査される光束を主走査断面に投射した方向である。副走査断面とは、主走査方向を法線とする断面である。
【0042】
図中、1は光源手段であり、例えば半導体レーザーより成っている。2は集光レンズ(コリメータレンズ)であり、光源手段1から出射された発散光束を略平行光束(もしくは収束光束)に変換している。3は開口絞りであり、通過光束を制限してビーム形状を整形している。4はシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみパワーを有しており、開口絞り3を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器5の偏向面(反射面)5aに線像として結像させている。
【0043】
尚、コリメータレンズ2、開口絞り3、そしてシリンドリカルレンズ4等の各要素は第1の光学系としての入射光学系LAの一要素を構成している。
【0044】
5は偏向手段としての光偏向器であり、例えば4面構成のポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モータ等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0045】
6は集光機能とfθ特性とを有する第2の光学系としての結像光学系(fθ光学系)であり、プラスチック材料より成る結像光学素子としての第1、第2の結像レンズ(トーリックレンズ)61,62より成っている。
【0046】
尚、前記第2の光学系6は2枚以上の結像光学素子を有していても良い。
【0047】
本実施例における第1、第2の結像レンズ61,62は副走査方向に屈折率分布を有しており、ポリオレフィン系樹脂より成っている。
【0048】
第1の結像レンズ61は主に主走査方向の屈折力を有しており、光偏向器5に近接して配置することにより走査光学装置のコンパクト化に寄与している。第2の結像レンズ62は主に副走査方向の屈折力を有しており、光偏向器5から十分離して配置することによりレンズの製造敏感度を低減させている。
【0049】
またこれら第1、第2の結像レンズ61,62は共に主走査方向と副走査方向とに異なる屈折力を有しており、光偏向器5によって偏向走査された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光ドラム面8上に結像させている。かつ第1、第2の結像レンズ61,62は副走査断面内において光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面8との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能を有している。
【0050】
図2において、第2の結像レンズ62は副走査方向の高さH、光軸上の肉厚Dのレンズ形状より成っている。
【0051】
8は被走査面としての感光ドラム面である。
【0052】
また本実施例においては結像光学系6を2枚の結像レンズ61,62より構成したが、これに限らず、例えば図3に示すように結像光学系16を1枚の結像レンズ66より構成しても良い。
【0053】
本実施例において第1、第2の結像レンズ61,62は、加熱溶融された樹脂材料を特定の金型温度に設定された成形用金型に特定の圧力で射出充填し、特定の時間経過後に金型から取り出す工程を経てひけが生じないように成形している。
【0054】
この成形工程は一般に「ひけ」を生じないように金型温度、圧力、成形時間が決定されるので「ひけ成形」と区別して、以下「通常成形」と称す。
【0055】
冷却の進行はレンズの外側から内側へ、薄い部分から厚い部分に向かって冷却が進み、先に冷却した部分の屈折率が高く、後で冷却された部分の屈折率が低くなるためレンズ内部に屈折率分布が生じる。
【0056】
また、結像レンズは主走査方向に長尺形状のため屈折率分布は主に高さ方向である副走査方向の分布となる。副走査方向のこのような屈折率分布は凹レンズの効果を生じレンズの結像位置は遠くにずれてしまう。
【0057】
屈折率分布は成形過程における樹脂の密度分布であり、アニール工程を行っても低減することができるが、また経時変化でも徐々に密度分布の一様化が進行する。これは高温試験層に放置すると屈折率分布が小さくなることからも確認されている。
【0058】
結像レンズの屈折率分布の課題で重要なのは成形後の初期の屈折率分布の大きさではなく、経時的変化量である。初期の屈折率分布が安定して発生する成形条件では、レンズ形状を補正することで屈折率分布によるピントずれ成分を補正することができる。
【0059】
しかしながら経時変化は使用状態において徐々に結像レンズのピント位置がずれるので、スポットが肥大し画像劣化を引き起こす。
【0060】
本発明者は屈折率分布(以下、「GI」とも称す。)の経時変化量を検討し、結像光学系として使用する装置保障期間(約3〜5年)においては、その経時変化量がほぼ初期GIの30%であることを突き止めた。この期間においては初期GIの全てが開放されるわけではない。GIの環境変動で許されるピントずれ量を△Sとする。ここでピントずれ量△Sに対応するGIを△GIとすると、初期GIは3.3×△GIまで許容できることがわかった。
【0061】
図5は結像レンズの許容GI(ΔGI)を示したグラフである。ここで許容GIを被走査面上における副走査方向のピントずれ量△S(mm)以下となる△GIとしてパワー(1/mm)で定義する。
【0062】
結像光学系6を構成する1つ以上の結像レンズのうち、被走査面8側に最も近い第2の結像レンズ(以下、最終レンズとも称す。)62において、その最終レンズ62から被走査面8までの光軸上の距離(レンズバック)をLbとすると、第2の結像レンズの許容ΔGI(GI)は
△GI=△S/Lb (1)
で表わすことができる。
【0063】
ピントずれ量△Sの許容値は、走査光学装置の結像光学系(第2の光学系)の副走査方向の深度幅をLとすると、該深度幅Lの1/5以下である。またピントずれ量△Sの下限値は通常成形では0にならず、深度幅Lの3/100程度は存在する。よって、
3L/100≦△S≦L/5 (2)
で書き表せる。したがって(1),(2)式より、
3L/(100×Lb)≦△GI≦L/(5×Lb) (3)
となる。これはGIが環境で100%変化する場合である。
【0064】
実際には環境によるGI変動量は約30%であるから10/3倍まで許容できる。よって(3)式は、
1/10×(L/Lb)≦△GI≦2/3×(L/Lb) (4)
となる。これが初期GIとして許容できる量である。
【0065】
図4に許容△GIの許容値として△S=1mmの場合を示した。これはピントずれ量△Sに対応するGIが100%変化する場合、初期GI許容値が30%変化する場合の値である。
【0066】
一方、初期GI(ΔGI)は、図5に示すように結像レンズの光軸上の外形を含む副走査方向の高さHと結像レンズの光軸上の肉厚Dの比(図2参照)である扁平率(H/D)と次の関係が有る。
【0067】
(H/D)=0.0204(△GI)−0.4439 (5)
したがって、(4),(5)式より、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439 (6)
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439 (7)
となる。
【0068】
条件式(6)の上限値を超えると最終レンズの副走査方向の高さが必要以上に高くなり、光路配置の自由度が制限され、光学系の副走査方向の高さが高くなり、特に上限値は1.32を超えると問題になる。また条件式(7)の下限値を超えると屈折率分布の環境変動の影響で副走査方向のピントがずれ、所望のスポット径に絞ることができず画像品質を劣化させてしまう。
【0069】
扁平率(H/D)は上記の条件式(6),(7)を満たすように最終レンズ形状(最も被走査面側のレンズのレンズ形状)を定めれば、光学系としてGIによるピントずれを許容することができる。
【0070】
ここで前記図1、図2に示した2枚系の結像光学系より成る走査光学装置において、結像光学系のレンズバックLb及び結像光学系(第2の光学系)によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅Lは、
Lb=100.85mm
L=10mm
である。これを上記条件式(6),(7)に代入すると、
条件式(6)式の右辺は
0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439=1.23
条件式(7)の右辺は
0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439 =0.53
となる。
【0071】
また、図3に示した1枚系の結像光学系より成る走査光学装置において、結像光学系のレンズバックLb及び結像光学系(第2の光学系)の副走査方向の深度幅Lは、
Lb=110.5mm
L=10mm
である。これを上記条件式(6),(7)に代入すると、
条件式(6)式の右辺は
0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439=1.33
条件式(7)の右辺は
0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439 =0.57
となる。
【0072】
よって、図1の2枚系の実施例の場合は、
扁平率(H/D)は0.53〜1.23の範囲で最終レンズ形状を決めればGIによるピントずれを許容することができる。
【0073】
つまり上記条件式(6),(7)を次の如く設定するのが良い。
【0074】
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.23 (6a)
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439 ≧0.53 (7a)
図3の1枚系の実施例の場合は、
扁平率(H/D)は0.57〜1.33の範囲で最終レンズ形状を決めればGIによるピントずれを許容することができる。
【0075】
つまり上記条件式(6),(7)を次の如く設定するのが良い。
【0076】
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.33 (6a')
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439 ≧0.57 (7a')
従って、1枚系、2枚系、それ以上の光学系より成る結像光学系では、被走査面に最も近い光学素子は、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.33
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439
とするのが良い。
【0077】
従来は扁平率(H/D)を小さくするリスクを避けられてきたが本実施例によればレンズバックLb−と深度幅Lを適切に選択することにより特に偏平率(H/D)が1.33以下となるレンズ形状(H≦D)を選択することによりレンズ配置の自由度が可能となる。
【0078】
つまり本実施例では、条件式(6a')及び(7)、望ましくは条件式(6a')及び(7a)を満足するレンズ形状を選択することにより、GIによるピントずれを許容することができ、かつレンズ配置の自由度が可能となる。
【0079】
次に本実施例の結像光学系の数値実施例1を示す。
【0080】
本実施例における第1、第2の結像レンズ61,62の屈折面の面形状は以下の形状表現式により表されている。各レンズ面と光軸との交点を原点とし、光軸方向をx軸、主走査断面内において光軸と直交する軸をy軸、副走査断面内において光軸と直交する軸をz軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
【0081】
【数1】

【0082】
(但し、Rは曲率半径、k、B4、B6、B8、B10は非球面係数)
副走査方向(光軸を含み主走査方向に対して直交する方向)と対応する子線方向が、
【0083】
【数2】

【0084】
ここで r’=r0(1+D22+D44+D66+D88
(但し、r0は光軸上の子線曲率半径、D2、D4、D6、D8は係数)
尚、光軸外の子線曲率半径r’は各々の位置における母線の法線を含み主走査面と垂直な面内に定義されている。
【0085】
本実施例では面形状を上記数式で定義したが、本発明の権利の範囲はこれを制限するものではない。
【0086】
(数値実施例1)
表1に図1、2に示した本実施例における光学配置図および第1、第2の結像レンズ61、62の面形状を示す。本実施例では第1の結像レンズ(G1)61の高さを1.2mm、第2の結像レンズ(G2)62の高さを4.5mmとした。以下に本発明の条件式に関るパラメータを列記すると、
S1=16.50mm
G1のD=6mm
G1のH=1.2mm
G2のD=4mm
G2のH=4.5mm
L=10mm
Lb=100.85m
β=2.0
となり、結像光学素子としての第2の結像レンズ62はH/D=1.13であり、条件式(6a)、(7a)を満たす。
【0087】
条件式(7a)より第2の結像レンズ62のレンズ高さは2.1mmまで第1の結像レンズ61の観点から低くすることが可能であり、ここまで低いレンズを作れば本実施例の効果を最大限に活用することができることはいうまでもない。
【0088】
また、表2に図3に示した1枚系の結像光学系の実施例における光学配置図および結像レンズ66の面形状を示す。本実施例では結像レンズ(G1)66の高さを6.3mmとした。以下に本実施例の条件式に関るパラメータを列記すると、
G1のD=11mm
G1のH=6.3mm
L=10mm
Lb=110.5m
β=2.0
となり、結像レンズ66はH/D=0.57であり、条件式(6a’)、(7a’)を満たす。
【0089】
条件式(7a’)より結像レンズ66のレンズ高さは14.63mmまで高くすることが可能であり、レンズの高性能化の優先をめざせればここまで高いレンズを高くして結像レンズ66の影響を軽減することができる。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
このように本実施例では上述した如く屈折率分布を有する通常のプラスチックレンズにおいて、設計されたレンズ配置条件により屈折率分布の環境変動によりピントずれを起さないために必要な偏平率を設定することが可能となる。これにより必要以上に結像レンズの副走査方向の高さを高くしたり、アニール工程やひけ成形等の特殊な工程を必要とせず、低コストで簡易な成形で目的の結像レンズを得ることができる。
【0093】
尚、本実施例では結像光学系を1枚、もしくは2枚の結像レンズより構成したが、これに限らず、3枚以上で構成しても良い。
【0094】
また、コリメータレンズ2とシリンドリカルレンズ4を1つの光学素子(アナモフィックレンズ)より構成しても良い。
【実施例2】
【0095】
次に本発明の実施例2について説明する。
【0096】
本実施例における走査光学装置の光学系の主走査方向及び副走査方向の断面図は、前述した実施例1(図1及び図2)と同様である。
【0097】
本実施例において前述の実施例1と異なる点は、2枚系の結像光学系より成る走査光学装置おいて、光偏向器5側に最も近い第1の結像レンズ(結像光学素子)61におけるGI許容値の条件を規定したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0098】
つまり本実施例において、結像光学系6の光偏向器5に最も近い第1の結像レンズ61において、その第1の結像レンズ61の光偏向器側の主平面から偏向面5aまでの光軸上の距離をS1とする。結像光学系6の副走査方向の倍率(副走査倍率)をβとする。このとき、許容△GI(GI)は、
△GI=△S/(S1×β)2 (8)
と表すことができる。
【0099】
ピントずれ量△Sの許容値は、走査光学装置の結像光学系の副走査方向の深度幅Lの1/5以下である。またピントずれ量△Sの下限値は通常成形では0にならず、深度幅Lの3/100程度は存在する。よって、
3L/100≦△S≦L/5 (9)
で書き表せる。したがって(8),(9)式より、
3L/(100×(S1×β)2)≦△GI≦L/(5×(S1×β)2) (10)
となる。これはGIが環境で100%変化する場合である。
【0100】
実際には環境によるGI変動量は約30%であるから10/3倍まで許容できる。よって(10)式は、
1/10×(L/(S1×β)2)≦△GI≦2/3×(L/(S1×β)2) (11)
となる。これが初期GIとして許容できる量である。
【0101】
図6に許容△GIの許容値として△S=1mmの場合を示した。
【0102】
図6の表はピントずれ量△Sに対応するGIが100%変化する場合である。初期GI許容値が30%変化する値(図示せず)は、このグラフの縦軸を3.33倍した値になることは図4と同じである。
【0103】
一方、初期GI(ΔGI)は、図5に示すように結像レンズの光軸上の外形を含む副走査方向の高さHと結像レンズの光軸上の肉厚Dの比である扁平率(H/D)と次の関係が有る。
【0104】
(H/D)=0.0204(△GI)−0.4439 (12)
したがって、(11),(12)式より、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439 (13)
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439 (14)
となる。
【0105】
前記条件式(6)と同様に条件式(13)の上限値を越えるとレンズの副走査方向の高さが必要以上に高くなり、光路配置の自由度が制限され、光学系の副走査方向の高さが高くなり、特に上限値は0.9を超えると問題になる。また条件式(14)の下限値を超えると屈折率分布の環境変動の影響で副走査方向のピントがずれ、所望のスポット径に絞ることができず画像品質を劣化させてしまう。
【0106】
扁平率(H/D)は上記の条件式(13),(14)を満たすようにレンズ形状を定めれば、結像光学系としてGIによるピントずれを許容することができる。
【0107】
ここで図1の2枚系の結像光学系より成る走査光学装置において、第1の結像レンズ61の光偏向器側の主平面から偏向面5aまでの光軸上の距離S1及び走査光学装置の結像光学系(第2の光学系)によって被走査面上に結像される光束副走査方向の深度幅Lは、
S1=16.5mm
L=10mm
である。これを上記条件式(13),(14)に代入すると、
条件式(13)式の右辺は
0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439=0.45
条件式(14)の右辺は
0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439=0.20
となる。
【0108】
よって、扁平率(H/D)は0.20〜0.45の範囲でレンズ形状を決めればGIによるピントずれを許容することができる。
【0109】
本実施例において、光偏向器5に最も近い第1の結像レンズ61は、該結像レンズ61を通過する光束の副走査方向の光束幅が小さいため、もともと偏平化がしやすい。したがって本実施例によれば距離S1と深度幅Lを適切に選択することにより、特に偏平率(H/D)が0.9以下となるレンズ形状(H≦D)を選択することによりレンズ配置の自由度が可能となる。
【0110】
つまり上記条件式(13),(14)を次の如く設定するのが良い。
【0111】
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439≦0.45 (13a)
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439≧0.20 (14a)
数値実施例1より第1のレンズはH/D=0.2であり、条件式(13a)、(14a)を満たす。
【0112】
本実施例では条件式(13a)及び(14)、望ましくは条件式(13a)及び(14a)を満足するレンズ形状を選択することにより、GIによるピントずれを許容することができ、レンズ配置の自由度が可能となる。
【0113】
尚、本実施例では2枚の結像光学素子よりなる結像光学系より成る走査光学装置に本発明の条件式を適用したが、これに限らず、1枚の結像光学素子よりなる結像光学系もしくは3枚の結像光学素子よりなる結像光学系に適用しても良い。
【0114】
このときは偏向手段(光偏向器)に最も近い光学素子は、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439≦0.9
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439
とするのが良い。
【0115】
また、上述した実施例2の条件と前述した実施例1の条件とを組み合わせて構成しても良い。
【0116】
結像レンズの肉厚dは通常3〜20mmの範囲に収めるよう設計される。下限値はレンズの構造的強度から必要である。上限値は初期GIの絶対値および複屈折の絶対値を抑えるために考慮される。また、上限値を超えると通常光束径Φ4mm程度に対し偏平率0.5としても10mmの高さを必要とし、光学系の高さはを低くすることができない。
【0117】
[画像形成装置]
図7は、本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査方向の要部断面図である。図において、符号104は画像形成装置を示す。この画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換される。この画像データDiは、実施例1〜2のいずれかに示した構成を有する光走査ユニット100に入力される。そして、この光走査ユニット100からは、画像データDiに応じて変調された光ビーム103が出射され、この光ビーム103によって感光ドラム101の感光面が主走査方向に走査される。
【0118】
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光ビーム103に対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光ドラム101の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光ドラム101の表面に、前記光走査ユニット100によって走査される光ビーム103が照射されるようになっている。
【0119】
先に説明したように、光ビーム103は、画像データDiに基づいて変調されており、この光ビーム103を照射することによって感光ドラム101の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、上記光ビーム103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光ドラム101に当接するように配設された現像器107によってトナー像として現像される。
【0120】
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ108によって被転写材たる用紙112上に転写される。用紙112は感光ドラム101の前方(図7において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、用紙カセット109内の用紙112を搬送路へ送り込む。
【0121】
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙112はさらに感光ドラム101後方(図7において左側)の定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113とこの定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されている。そして転写部から搬送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙112上の未定着トナー像を定着せしめる。更に定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、定着された用紙112を画像形成装置の外に排出せしめる。
【0122】
図7においては図示していないが、プリントコントローラ111は、先に説明したデータの変換だけでなく、モータ115を始め画像形成装置内の各部や、後述する光走査ユニット内のポリゴンモータなどの制御を行う。
【0123】
本発明で使用される画像形成装置の記録密度は、特に限定されない。しかし、記録密度が高くなればなるほど、高画質が求められることを考えると、1200dpi以上の画像形成装置において本発明の実施例1〜2の構成はより効果を発揮する。
【0124】
[カラー画像形成装置]
図8は本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施例は、走査光学装置(光走査光学系)を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。図8において、60はカラー画像形成装置、11,12,13,14は各々実施例1〜2に示したいずれかの構成を有する走査光学装置、21,22,23,24は各々像担持体としての感光ドラム、31,32,33,34は各々現像器、51は搬送ベルトである。尚、図8においては現像器で現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器(不図示)と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)とを有している。
【0125】
図8において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ走査光学装置11,12,13,14に入力される。そして、これらの走査光学装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41,42,43,44が射出され、これらの光ビームによって感光ドラム21,22,23,24の感光面が主走査方向に走査される。
【0126】
本実施例におけるカラー画像形成装置は走査光学装置(11,12,13,14)を4個並べ、各々がC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応している。そして各々平行して感光ドラム21,22,23,24面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
【0127】
本実施例におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの走査光学装置11,12,13,14により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム21,22,23,24面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
【0128】
前記外部機器52としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の走査光学装置の主走査断面図
【図2】本発明の走査光学装置の副走査断面図
【図3】本発明の別の走査光学装置の主走査断面図
【図4】最終結像レンズの許容GIとレンズバックの関係を示す図
【図5】結像レンズの許容GIと扁平率の関係を示す図
【図6】第1結像レンズの許容GIとS1、βの関係を示す図
【図7】本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査断面図
【図8】本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図
【図9】従来のカラー画像形成装置の副走査断面図
【符号の説明】
【0130】
1 光源手段
2 コリメータレンズ
3 絞り
4 シリンドリカルレンズ
LA 第1の光学系(入射光学系)
5 偏向手段
6 第2の光学系結像光学系
61,62 光学素子(結像レンズ)
65 防塵ガラス
8 被走査面
11、12、13、14 走査光学装置
21、22、23、24 像担持体(感光ドラム)
31、32、33、34 現像器
41、42、43、44 光ビーム
51 搬送ベルト
52 外部機器
53 プリンタコントローラ
60 カラー画像形成装置
100 走査光学装置
101 感光ドラム
102 帯電ローラ
103 光ビーム
104 画像形成装置
107 現像装置
108 転写ローラ
109 用紙カセット
110 給紙ローラ
111 プリンタコントローラ
112 転写材(用紙)
113 定着ローラ
114 加圧ローラ
115 モータ
116 排紙ローラ
117 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源手段と、前記光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する走査光学装置において、
前記第2の光学系は、副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚有しており、前記被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、前記被走査面に最も近い結像光学素子の光軸上の肉厚をD、前記第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、前記被走査面に最も近い結像光学素子から前記被走査面までの光軸上の距離をLbとするとき、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/Lb)}−0.4439≦1.33
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/Lb)}−0.4439
なる条件を満足することを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
光源手段と、前記光源手段から出射した光束を偏向手段に導光する第1の光学系と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる第2の光学系と、を具備する走査光学装置において、
前記第2の光学系は2枚以上の結像光学素子を有しており、
かつ、前記2枚以上の結像光学素子のうち副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子を少なくとも1枚の有しており、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の光軸上の外形を含む副走査方向の高さをH、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の光軸上の肉厚をD、該前記第2の光学系によって被走査面上に結像される光束の副走査方向の深度幅をL、前記偏向手段に最も近い副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子から前記偏向手段の偏向面までの光軸上の距離をS1、前記第2の光学系の副走査方向の倍率をβとするとき、
(H/D)≦0.0204{1/10×(L/(S1×β)2)}−0.4439≦0.9
(H/D)≧0.0204{2/3×(L/(S1×β)2)}−0.4439
なる条件を満足することを特徴とする走査光学装置。
【請求項3】
前記副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子の材料は、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記副走査方向に屈折率分布を有する結像光学素子は、加熱溶融された樹脂材料を特定の金型温度に設定された成形用金型に特定の圧力で射出充填し、特定の時間経過後に金型から取り出す工程を経て成形されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の走査光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記走査光学装置で走査された光束によって前記感光体の上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置の被走査面に配置され、互いに異なった色の画像を形成する複数の像担持体とを有することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項8】
外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換して各々の走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラを有していることを特徴とする請求項7に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−271350(P2009−271350A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122207(P2008−122207)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】