説明

走行情報収集装置および走行情報の学習方法

【課題】交通流の特性に応じて、精度良く収集した走行情報を管理できるようにする。
【解決手段】情報センタ3のデータベースに格納された道路区画毎の交通流を示す交通流情報の特性に応じて複数の時間帯に分類する分類処理を実施し(S200)、この分類処理により分類された時間帯別に学習データベースを構築し(S300)、自車両の走行に伴って収集した道路区画における走行情報を学習データベースの分類に従って学習させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の走行中の道路区画を特定し、自車両の走行に伴って収集した道路区画毎の走行情報を記憶媒体に記憶させる走行情報収集装置および走行情報の学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された各種センサを用いて走行時に収集した道路情報をデータベースに記憶しておき、このデータベースに記憶した道路情報に基づいて車両の車載制御システムの最適な制御目標値を設定し、運転性、経済性、安全性の高い走行を達成する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3022115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の装置は、高度、勾配、屈曲率等の普遍的な道路形状情報を収集して車載制御システムの制御目標値の設定に利用する構成となっているため車載制御システムの制御を精度良く行うことが可能であるが、例えば、車速、電力消費量、燃料消費量等の車両情報を収集し、この車両情報を利用して車載制御システムの制御目標値に設定する構成としようとした場合、このような車両情報は交通流の影響を受けやすいため、車載制御システムの制御を精度良く行うことができないといった状況が生じてしまうといった問題がある。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みたもので、より精度良く収集した走行情報を管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、自車両の現在位置および走行中の道路区画を特定する位置特定手段と、自車両の走行に伴って収集した道路区画毎の走行情報を記憶媒体に記憶させる記憶制御手段を備えた走行情報収集装置であって、道路区画毎の交通流を表す交通流情報を格納するデータベースを有する情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築する学習データベース構築手段を備え、記憶制御手段は、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させることである。
【0006】
このような構成では、情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させるので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。なお、交通流情報としては、平均車速、リンク旅行時間などがある。
【0007】
また、本発明の第2の特徴は、走行情報には、車速、電力消費量、燃料消費量、シフトレバー位置情報、アクセル開度情報、エンジン回転数、ブレーキ操作回数、道路勾配、道路屈曲率の少なくとも1つが含まれることである。
【0008】
このように、走行情報として、車速、電力消費量、燃料消費量、シフトレバー位置情報、アクセル開度情報、エンジン回転数、ブレーキ操作回数といった車両情報や、道路勾配、道路屈曲率といった道路情報を収集して管理することができる。
【0009】
また、本発明の第3の特徴は、学習データベース構築手段は、更に、学習データベースを曜日および祝祭日別に分類することである。
【0010】
このように、時間帯別に走行情報を分類するだけではなく、曜日および祝祭日別に走行情報を分類ことにより、より精度良く走行情報を管理することができる。
【0011】
また、本発明の第4の特徴は、情報センタが、複数のプローブ車の走行に伴って収集された交通流を示す交通流情報を受信すると、受信した交通流情報を統計処理してデータベースに格納することである。
【0012】
このような構成では、情報センタのデータベースに、複数のプローブ車の走行に伴って収集された交通流を示す交通流情報が統計処理されて格納されるので、実際の交通流の特性に合わせて走行情報を分類して管理することが可能である。
【0013】
また、本発明の第5の特徴は、情報センタが、データベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した分類情報を生成し、学習データベース構築手段が、情報センタから分類情報を取得し、この分類情報に従って学習データベースを構築することである。
【0014】
走行情報収集装置側で、情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類する処理を実施する場合、情報センタからデータベースに格納された大量の交通流情報を走行情報収集装置へ送信する必要が生じるが、情報センタが、データベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した分類情報を生成し、学習データベース構築手段が、情報センタから分類情報を取得し、この分類情報に従って学習データベースを構築するので、情報センタから走行情報収集装置へ送信するデータ量が少なくて済む。
【0015】
また、本発明の第6の特徴は、記憶制御手段が、走行情報の学習回数を記憶媒体に記憶するとともに、収集された走行情報と記憶媒体に記憶された過去の走行情報とから、学習回数に応じた走行情報の平均値を求め、その平均値を新たな走行情報として学習データベースの分類に従って学習させることである。
【0016】
このように、収集された走行情報と記憶媒体に記憶された過去の走行情報とから、学習回数に応じた走行情報の平均値を求め、その平均値を新たな走行情報として学習データベースの分類に従って学習させることもできる。このように、過去の走行情報を用いることで、より精度良く走行情報を管理することができる。
【0017】
また、本発明の第7の特徴は、予め定められた基準値と収集された前記走行情報の乖離に応じて、収集された前記走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度を特定し、収集された前記走行情報に前記統計自信度を関連付けて記憶媒体に記憶させる統計自信度記憶手段を備えたことである。
【0018】
このような構成では、収集された走行情報が、収集された走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度と関連付けて記憶媒体に記憶されるので、例えば、記憶媒体に記憶された走行情報を利用して各種制御を行う車載制御装置は、この統計自信度によって走行情報のばらつきの度合いを識別することが可能である。
【0019】
また、本発明の第8の特徴は、統計自信度記憶手段は、収集された前記走行情報の統計自信度と前記記憶媒体に記憶された過去の走行情報の統計自信度とから、前記学習回数に応じた統計自信度の平均値を求め、その平均値を新たな統計自信度として前記記憶媒体に記憶させることである。
【0020】
このように、収集された走行情報の統計自信度と記憶媒体に記憶された過去の走行情報の統計自信度とから、学習回数に応じた統計自信度の平均値を求め、その平均値を新たな統計自信度として記憶媒体に記憶させることもできる。
【0021】
また、本発明の第9の特徴は、自車両の現在位置の精度を表す位置自信度を特定し、収集された前記走行情報に前記位置自信度を関連付けて前記記憶媒体に記憶させる位置自信度記憶手段を備えたことである。
【0022】
このような構成では、収集された走行情報が、自車両の現在位置の精度を表す位置自信度と関連付けて記憶媒体に記憶されるので、例えば、記憶媒体に記憶された走行情報を利用して各種制御を行う車載制御装置は、この位置自信度によって走行情報が収集された位置の精度を識別することが可能である。
【0023】
また、本発明の第10の特徴は、位置自信度記憶手段は、収集された前記走行情報の位置自信度と前記記憶媒体に記憶された過去の走行情報の位置自信度とから、前記学習回数に応じた位置自信度の平均値を求め、その平均値を新たな位置自信度として前記記憶媒体に記憶させることである。
【0024】
このように、収集された走行情報の位置自信度と記憶媒体に記憶された過去の走行情報の位置自信度とから、学習回数に応じた位置自信度の平均値を求め、その平均値を新たな位置自信度として記憶媒体に記憶することもできる。
【0025】
また、本発明の第11の特徴は、自車両の現在位置および走行中の道路区画を特定し、自車両の走行に伴って収集した道路区画毎の走行情報を記憶媒体に記憶させる走行情報の学習方法であって、道路区画毎の交通流を示す交通流情報を格納するデータベースを有する情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させることである。
【0026】
このような構成では、情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させるので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係る走行情報収集装置の構成を図1に示す。本走行情報収集装置1は、車両に搭載されるナビゲーション装置として構成されている。なお、本車両はハイブリッド車両であり、ハイブリッド車両の充電およびアシスト制御を行うハイブリット(HV)制御部21、車速や走行先の道路形状に応じて前照灯の向きを変化させるライト制御部20、走行先の道路形状に応じて車速を制御する車速制御部22が搭載されている。
【0028】
本走行情報収集装置1は、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図データ取得部14および制御部15を備えている。
【0029】
GPSセンサ11は、GPS衛星から信号を受信して自車の現在位置を特定するための情報を制御部15へ送出する。この情報には、GPS衛星の分布状態を原因とした水平方向の精度の低下を表すHDOP(Horizonal Dilution Precision)と呼ばれる精度情報が含まれる。
【0030】
方位センサ12は、自車の方位変化量を示す信号を制御部15へ送出する。
【0031】
車速センサ13は、自車の車速に応じた車速信号を制御部15へ送出する。
【0032】
地図データ取得部14は、道路地図情報を含む日本全土の地図データを格納した地図データベースから地図データを取得する。図2(a)に示すように、道路地図情報には、交差点間を接続するリンクを表すリンク情報が含まれている。なお、交差点の中央がリンクの開始点、リンクの終了点となる。また、リンク情報には、道路識別情報(リンクID)および高速道路、一般道路、細街路等の道路種別情報等が含まれる。また、図2(b)に示すように、道路地図情報には、リンク内の道路形状を示す補完形状点が含まれており、これらの補完形状点の最小単位はセグメントと呼ばれる。
【0033】
制御部15は、位置標定部15a、学習制御部15b、記憶媒体15c、目的地設定部15d、走行支援部15eおよび通信制御部15fを備えている。
【0034】
位置標定部15aは、方位センサ12および車速センサ13から入力される信号に基づいて自車の相対位置を求めるとともに、GPSセンサ11から入力される情報に基づいて演算した自車の絶対位置を求め、自車の相対位置と自車の絶対位置を併用して自車位置を特定する。更に、マップマッチング技術により、自車の走行中の道路区画の道路識別情報(リンクID)や道路種別を特定するとともにその道路上の地点に自車位置を補正して、自車の現在位置を確定する。
【0035】
また、位置標定部15aは、GPSセンサ11から入力される情報に含まれる精度情報(例えば、HDOP)から自車の現在位置の精度を表す位置自信度を特定する。なお、本実施形態における位置自信度は、現在位置の精度が高いほど大きく、現在位置の精度が低いほど小さくなる。
【0036】
学習制御部15bは、自車に搭載された各センサを用いて収集した走行中の道路区画における走行情報を、位置標定部15aより送出される走行中の道路区画を示す道路識別情報(リンクID)と関連付けて記憶媒体15cに記憶させる。また、記憶媒体に過去の走行情報が記憶されている場合には、収集された走行情報と記憶媒体に記憶された過去の走行情報とから、学習回数に応じた走行情報の平均値を求め、その平均値を新たな走行情報として記憶媒体に学習させる。なお、走行情報には、車速、電力消費量、燃料消費量、シフトレバー位置情報、アクセル開度情報、エンジン回転数、ブレーキ操作回数等の車両情報と、道路勾配、道路屈曲率等の道路情報とがある。なお、本実施形態では、車速センサ13から送出される車速信号に基づいて車速を算出し、この車速を走行情報として記憶媒体15cに記憶させる。
【0037】
記憶媒体15cは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成されている。
【0038】
目的地設定部15dは、ユーザの操作に応じて出発地から目的地までの経路を特定するとともに出発地から目的地に至る経路情報を走行支援部15eへ通知する。
【0039】
走行支援部15eは、車載制御装置としてのライト制御部20、ハイブリット(HV)制御部21、車速制御部22からの要求に応じて記憶媒体15cに記憶された車両情報や目的地設定部15dから通知された出発地から目的地に至る経路情報を送出する。
【0040】
制御部15は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。なお、上記位置標定部15a、学習制御部15b、目的地設定部15dおよび走行支援部15eは、制御部15のCPUの処理として実現される。
【0041】
通信制御部15fは、外部と無線通信するための装置であり、情報センタ3と双方向通信を行うことが可能となっている。
【0042】
情報センタ3は、多数のプローブ車の走行に伴って収集された道路区画毎の交通流を表す交通流情報を格納するデータベースを有するサーバとして構成されている。
【0043】
情報センタ3は、図3に示すように、多数のプローブ車4の走行に伴って収集された走行情報を受信すると統計処理を行い(S100)、データベースに格納する。なお、プローブ車4によって収集される走行情報には、交通流を示す交通流情報としてリンク毎の平均車速が含まれている。情報センタ3は、図4に示すように、多数のプローブ車4から平均車速を受信するとリンク毎に一定時間(例えば、10分)毎の平均車速を算出してデータベースに格納する。
【0044】
次に、情報センタ3は、データベースに格納された交通流情報に対して分類処理を行う(S200)。情報センタ3は、データベースに格納されたリンク毎の交通流情報の特性に従って走行情報を時間帯別、曜日、祝祭日別に複数のグループに分類した分類情報を生成し、データベースの別領域に格納する。
【0045】
図5に、分類情報の構成例を示す。例えば、道路1(リンク1)の7時〜9時までの平均車速が時速20キロメートル未満、それ以外(9時〜7時)の平均車速が時速20キロメートル以上となっている場合、図中の道路1に示すように、7時〜9時のグループとそれ以外(9時〜7時)のグループの2つに分類される。同様に、各道路(リンクN)に対して平均車速の特性に従って複数のグループに分類される。更に、平日と祝日といったように、曜日および祝祭日別に分類される。
【0046】
本実施形態における制御部15は、本走行情報収集装置1が初めて起動されたとき、または、予め設定されたメンテナンス時期になると、図3に示したように、情報センタ3から分類情報を取得し、この分類情報に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築する学習データベース構築処理を行う(S300)。
【0047】
図6に、学習データベースの構成を示す。学習データベースは、道路種別毎に設定された基準値Bを格納するための格納部、この基準値Bからの乖離の度合いに応じて複数に分割された走行回数Aを格納するための格納部、後述する統計自信度Cを格納するための格納部、自車の走行によって収集された走行情報(平均車速)Dを格納するための格納部、位置評定部15aから送出される位置自信度Eを格納する格納部が設けられている。なお、走行回数Aを格納するための格納部は、基準値Bを基準として5キロメートル毎に分割されている。
【0048】
これらの各格納部は、情報センタ3により生成された分類情報の分類に従って、時間帯別、曜日、祝祭日別に分類されている。
【0049】
本実施形態では、車両の走行に伴って収集した道路区画毎の走行情報を学習データベースの分類に従って学習する。
【0050】
次に、図7に従って、本走行情報収集装置1の制御部15の処理について説明する。制御部15は、自車が対象リンクの始点または終点に到達する度に、図7に示す処理を実施する。
【0051】
まず、自車に搭載された各センサを用いて走行情報を収集するとともに、学習データベースに対象リンクの道路種別に応じた暫定基準値を記憶させる(S400)。具体的には、図8(a)に示すように、対象リンクの道路種別に応じて予め設定された基準値B(例えば、時速40キロメートル)を学習データベースに記憶させる。
【0052】
次に、対象リンクの道路識別情報(リンクID)と位置自信度を特定する(S402)。なお、位置自信度は位置標定部15aにより特定される。
【0053】
次に、現在時刻を特定し、収集した走行情報の保存先を決定する(S404)。例えば、月曜日の7時30分の場合、学習データベースの保存先を平日の7時〜9時に決定する。
【0054】
次に、学習データベースの保存先に走行情報が既に記憶されているか否かに基づいて学習情報があるか否かを判定する(S406)。
【0055】
学習データベースの保存先に走行情報が記憶されていない場合、S406の判定はNOとなり、次に、S404にて決定された保存先に収集された走行情報を記憶する(S408)。例えば、対象リンクが道路1で、走行情報として時速42キロメートルの平均車速が収集された場合、図8(a)に示すように、S404にて決定された保存先に走行情報として平均車速(時速42キロメートル)を記憶する。
【0056】
次に、統計自信度を記憶する(S410)。具体的には、予め定められた基準値と収集された走行情報の乖離に応じて、収集された走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度を特定し、走行情報と関連付けて学習データベースの統計自信度の格納部に記憶させる。統計自信度は基準値からの乖離ではなく、最も頻度の高い走行情報とそれ以外の走行情報のばらつきで設定してもよい。具体的には、基準値+5の走行情報が最も多ければこの部分が基準となり、ばらつきを設定することになる。
本実施形態における統計自信度は0〜100で表され、この数値が小さいほど走行情報のばらつきが大きいことを意味する。例えば、統計自信度を100として特定した場合、学習データベースの統計自信度の格納部に100を記憶する。
【0057】
次に、位置自信度を記憶する(S412)。例えば、位置標定部15aにより位置自信度80が特定された場合、収集した走行情報と関連付けて学習データベースの位置自信度の格納部に80を記憶する。
【0058】
次に、走行回数を記憶する(S414)。例えば、走行情報として時速42キロメートルの平均車速が収集された場合、平均車速40キロメートル+5キロメートルの格納部に走行回数1を記憶し、本処理を終了する。
【0059】
このように、自車が対象リンクの始点または終点に到達する度に、上記処理を実施し、走行情報が学習データベースに記憶される。
【0060】
そして、自車が再度、学習データベースに走行情報を記憶したリンクを走行した場合、S406の判定はYESとなり、次に、S404にて決定された保存先に、収集された走行情報と過去の走行情報を平均化して記憶する処理を行う(S416)。具体的には、収集された走行情報と、既に記憶されている走行情報とから、走行回数に応じた走行情報の平均値を求め、その平均値を新たな走行情報としてS404にて決定された保存先に記憶させる。このようにして、図8(b)の走行情報の格納部に平均車速(時速44キロメートル)が格納される。
【0061】
次に、統計自信度を特定するとともに、この特定した統計自信度と過去の統計自信度を平均化して記憶する処理を行う(S418)。この統計自信度についても、特定した統計自信度と、既に記憶されている統計自信度とから、走行回数に応じた統計自信度の平均値を求め、その平均値を新たな統計自信度としてS404にて決定された保存先に記憶させる。このようにして、図8(b)の統計自信度の格納部に75が格納される。
【0062】
次に、位置自信度を記憶する(S420)。具体的には、位置標定部15aにより特定された位置自信度と、既に記憶されている位置自信度とを逐次平均して求めた値を新たな位置自信度として位置自信度格納部に格納する。このようにして、図8(b)の位置自信度の格納部に77が格納される。
【0063】
次に、走行回数を記憶する(S422)。例えば、走行情報として時速48キロメートルの平均車速が収集された場合、平均車速40キロメートル+10キロメートルの格納部に走行回数1を記憶し、本処理を終了する。
【0064】
このように、情報センタ3のデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習するようになっている。
【0065】
ハイブリット制御部21、ライト制御部20および車速制御部22は、それぞれ走行情報収集装置1に車両情報の送出要求を送信し、この送出要求に応じて走行情報収集装置1から送出される走行情報を制御目標値の設定に利用して各種制御を行う。
【0066】
例えば、ハイブリット制御部21は、目的地までの経路における車速や道路勾配を走行情報収集装置1から取得し、これらの情報に基づいて燃料消費量の少ない充電計画を作成し、この充電計画に従ってハイブリッド車両の充電およびアシスト制御を行う。
【0067】
また、ライト制御部20は、前方道路の道路勾配、道路屈曲率を走行情報収集装置1から取得し、車両前方の道路形状に合わせて前照灯の向きを変化させる。
【0068】
また、車速制御部22は、前方道路の道路勾配、道路屈曲率を走行情報収集装置1から取得し、車両前方の道路形状に合わせて車速制御を行う。
【0069】
また、学習データベースには、走行情報に統計自信度と位置自信度とが関連付けて記憶されているため、車載制御装置20〜22は、統計自信度、位置自信度に基づいて確度の高い走行情報を選択的に利用することが可能となり、車両各部の制御の精度を向上することが可能である。
【0070】
上記した構成によれば、情報センタのデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させるので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。
【0071】
すなわち、例えば、収集した走行情報を1時間毎に分類して記憶媒体に記憶する場合、前半の30分は交通流が悪く後半の30分は交通流が良好な場合であっても同じグループに分類されてしまうため、収集した走行情報を交通流の傾向に合わせて精度良く管理するのは難しいが、交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類して収集した走行情報を記憶媒体に記憶するので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。なお、記憶媒体に記憶される走行情報は、運転者の運転特性が反映されたものとなる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0073】
例えば、上記実施形態では、リンクを道路区画としてリンク毎に走行情報を収集して記憶媒体に記憶する例を示したが、リンクに限定されることばく、例えば、セグメント単位で走行情報を収集して記憶媒体に記憶するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、時間帯別だけでなく、曜日および祝祭日別に分類した学習データベースを構築し、この学習データベースの分類に従って収集した走行情報を学習する例を示したが、曜日および祝祭日と関係なく、時間帯別に分類した学習データベースを構築するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、リンク通過時の平均車速を交通流情報として走行情報に含むように構成し、この平均車速の特性に応じて複数の時間帯に分類した分類情報を生成する例を示したが、例えば、リンクを通過するのに要した時間を表すリンク旅行時間等を交通流情報として走行情報に含むように構成し、このリンク旅行時間の特性に応じて複数の時間帯に分類した分類情報を生成するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、図5に示したように、7時〜9時のグループと9時〜7時の2つのグループといったように1時間区切りで分類された例を示したが、このような時間区切りに制限されるものではなく、例えば、7時10分〜8時50分のグループと8時50分〜7時10分のグループといったように、より短い時間単位で分類してもよい。このように、より短い時間単位で分類することで、より精度よく走行情報を管理することができる。
【0077】
また、上記実施形態では、平均車速が時速20キロメートル未満のグループと、時速20キロメートル以上のグループといったように、走行情報を2段階に分類する例を示したが、例えば、平均車速が時速20キロメートル未満のグループと、時速20キロメートル以上、40キロメートル未満のグループと、時速40キロメートル以上のグループといったように、走行情報をより多段階に分類するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、多数のプローブ車の走行に伴って収集された交通流情報を情報センタ3が受信してデータベースに格納する例を示したが、情報センタ3のデータベースに格納される交通流情報は、必ずしもプローブ車の走行に伴って収集されたものでなくてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、GPSセンサ11から入力される情報に含まれる精度情報(例えば、HDOP)から自車の現在位置の精度を表す位置自信度を特定する例を示したが、例えば、地図データベースの道路地図情報に各地域の地図精度情報を含ませておき、この各地域の地図精度情報を加味して位置自信度を特定してもよい。
【0080】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、位置評定部15aが位置特定手段に相当し、図7のS400〜S422が記憶制御手段に相当し、S410、S418が統計自信度記憶手段に相当し、S412、S420が位置自信度記憶手段に相当し、S300が学習データベース構築手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態に係る走行情報収集装置の構成を示す図である。
【図2】(a)は、道路地図情報に含まれるリンクについて説明するための図、(b)は、道路地図情報に含まれる補完形状点について説明するための図である。
【図3】情報センタおよび走行情報収集装置の処理について説明するための図である。
【図4】情報センタの統計処理について説明するための図である。
【図5】分類情報の構成を示す図である。
【図6】学習データベースの構成を示す図である。
【図7】走行情報収集装置の制御部のフローチャートである。
【図8】学習データベースのデータ格納手順について説明するための図である。
【符号の説明】
【0082】
1…走行情報収集装置、3…情報センタ、4…プローブ車、11…GPSセンサ、
12…方位センサ、13…車速センサ、14…地図データ取得部、15…制御部、
15a…位置標定部、15b…学習制御部、15c…記憶媒体、
15d…目的地設定部、15e…走行支援部、15f…通信制御部、
20…ライト制御部、21…ハイブリッド制御部、22…車速制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置および走行中の道路区画を特定する位置特定手段と、前記自車両の走行に伴って収集した前記道路区画毎の走行情報を記憶媒体に記憶させる記憶制御手段を備えた走行情報収集装置であって、
前記道路区画毎の交通流を表す交通流情報を格納するデータベースを有する情報センタの前記データベースに格納された前記交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築する学習データベース構築手段を備え、
前記記憶制御手段は、収集した前記走行情報を前記学習データベースの分類に従って学習させることを特徴とする走行情報収集装置。
【請求項2】
前記走行情報には、車速、電力消費量、燃料消費量、シフトレバー位置情報、アクセル開度情報、エンジン回転数、ブレーキ操作回数、道路勾配、道路屈曲率の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1に記載の走行情報収集装置。
【請求項3】
前記学習データベース構築手段は、更に、前記学習データベースを曜日および祝祭日別に分類することを特徴とする請求項1または2に記載の走行情報収集装置。
【請求項4】
前記情報センタは、複数のプローブ車の走行に伴って収集された交通流を示す交通流情報を受信すると、受信した前記交通流情報を統計処理して前記データベースに格納することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の走行情報収集装置。
【請求項5】
前記情報センタは、前記データベースに格納された前記交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した分類情報を生成し、
前記学習データベース構築手段は、前記情報センタから前記分類情報を取得し、この分類情報に従って前記学習データベースを構築することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の走行情報収集装置。
【請求項6】
前記記憶制御手段は、前記走行情報の学習回数を前記記憶媒体に記憶するとともに、収集された前記走行情報と前記記憶媒体に記憶された過去の走行情報とから、前記学習回数に応じた前記走行情報の平均値を求め、その平均値を新たな走行情報として前記学習データベースの分類に従って学習させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の走行情報収集装置。
【請求項7】
予め定められた基準値と収集された前記走行情報の乖離に応じて、収集された前記走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度を特定し、収集された前記走行情報に前記統計自信度を関連付けて記憶媒体に記憶させる統計自信度記憶手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の走行情報収集装置。
【請求項8】
前記統計自信度記憶手段は、収集された前記走行情報の統計自信度と前記記憶媒体に記憶された過去の走行情報の統計自信度とから、前記学習回数に応じた統計自信度の平均値を求め、その平均値を新たな統計自信度として前記記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項7に記載の走行情報収集装置。
【請求項9】
前記自車両の現在位置の精度を表す位置自信度を特定し、収集された前記走行情報に前記位置自信度を関連付けて前記記憶媒体に記憶させる位置自信度記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の走行情報収集装置。
【請求項10】
前記位置自信度記憶手段は、収集された前記走行情報の位置自信度と前記記憶媒体に記憶された過去の走行情報の位置自信度とから、前記学習回数に応じた位置自信度の平均値を求め、その平均値を新たな位置自信度として前記記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項9に記載の走行情報収集装置。
【請求項11】
自車両の現在位置および走行中の道路区画を特定し、前記自車両の走行に伴って収集した前記道路区画毎の走行情報を記憶媒体に記憶させる走行情報の学習方法であって、
道路区画毎の交通流を示す交通流情報を格納するデータベースを有する情報センタの前記データベースに格納された前記交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した前記走行情報を前記学習データベースの分類に従って学習させることを特徴とする走行情報の学習方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−276286(P2008−276286A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115572(P2007−115572)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】