説明

走行装置及びその制御方法

【課題】走行装置及びその制御方法において、倒立制御を安定的に行うこと。
【解決手段】走行装置1は、搭乗者の乗車を検出する乗車検出手段と、車輪31、32の駆動を制御して倒立制御を行う制御手段233と、搭乗者が乗車している状態での倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態での倒立制御を行う空車制御モードと、を選択するためのモード選択手段41aと、乗車検出手段による検出結果と、モード選択手段41aによる選択結果と、が一致するか否かを判定する判定手段232と、を備えている。制御手段233は、判定手段232による判定結果に基づいて、倒立制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の駆動を制御して、倒立制御を行う走行装置及びその制御方法に関し、より詳細には、搭乗者が乗車している状態で倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態で倒立制御を行う空車制御モードと、を有する走行装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、走行装置の倒立制御を安定的に行うために、搭乗者等の重い物体が走行装置に搭載されている場合と、搭載されていない場合とで、最適な倒立制御方法(制御ゲイン等)に夫々変更する必要が生じる。これは、物体上部の荷重やモーメントの大きさが、その倒立制御に大きな影響を及ぼすためである。特に、搭乗者による荷重やモーメントは、走行装置自身によるものと比較して相対的に大きくなるため、倒立制御に対する影響も相対的に大きくなる。したがって、走行装置の倒立制御において、搭乗者が乗車する乗車制御モードと、搭乗者が乗車しない空車制御モードと、に切り替える必要が生じている。一方で、乗車制御モードと空車制御モードとを有し、センサにより搭乗者の乗車を検出すると、乗車制御モードで倒立制御を行う走行装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4155311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示す走行装置において、例えば、走行装置に荷物等を搭載したにもかかわらず、搭乗者が乗車したと誤検出される虞がある。この誤検出により、間違って乗車制御モードで倒立制御が行われ、その倒立制御が不安定となる虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、倒立制御を安定的に行うことができる走行装置及びその制御方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、搭乗者の乗車を検出する乗車検出手段と、車輪の駆動を制御して倒立制御を行う制御手段と、を備える走行装置であって、搭乗者が乗車している状態での前記倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態での前記倒立制御を行う空車制御モードと、を選択するためのモード選択手段と、前記乗車検出手段による検出結果と、前記モード選択手段による選択結果とが一致するか否かを判定する判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記倒立制御を行う、ことを特徴とする走行装置である。この一態様によれば、倒立制御を安定的に行うことができる。
【0007】
この一態様において、前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定されたとき、前記制御手段は前記倒立制御を実行してもよい。また、この一態様において、前記乗車検出手段により前記乗車が検出され、かつ、前記モード選択手段により前記乗車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定してもよい。さらに、この一態様において、前記判定手段は、前記乗車検出手段により前記乗車が検出されず、かつ、前記モード選択手段により前記空車制御モードが選択されたとき、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定してもよい。またさらに、この一態様において、前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御手段は前記倒立制御を停止してもよい。またさらに、この一態様において、前記乗車検出手段により前記乗車が検出され、かつ、前記モード選択手段により前記空車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定してもよい。またさらに、この一態様において、前記乗車検出手段により前記乗車が検出されず、かつ、前記モード選択手段により前記乗車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定してもよい。
【0008】
なお、この一態様において、前記倒立制御の停止を報知するための報知手段を更に備えていてもよい。また、この一態様において、路面に対して接触又は非接触となる補助輪を更に備え、前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御手段は、前記補助輪を路面に対して接触させてもよい。さらに、この一態様において、前記乗車検出手段は、例えば、搭乗者の乗車による荷重を検出するための荷重センサを含んでいてもよい。またさらに、この一態様において、前記モード選択手段は、例えば、前記乗車制御モード及び前記空車制御モードのうちいずれか一方を選択できるスイッチであってもよい。
【0009】
他方、上記目的を達成するための本発明の一態様は、搭乗者の乗車を検出する乗車検出工程と、車輪の駆動を制御して倒立制御を行う制御工程と、を含む走行装置の制御方法であって、搭乗者が乗車している状態での前記倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態での前記倒立制御を行う空車制御モードと、を選択するためのモード選択工程と、前記乗車検出工程の検出結果と、前記モード選択工程の選択結果とが一致するか否かを判定する判定工程と、を含み、前記制御工程において、前記判定工程による判定結果に基づいて、前記倒立制御を行う、ことを特徴とする走行装置であってもよい。
【0010】
また、この一態様において、前記判定工程で前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定されたとき、前記制御工程において前記倒立制御を実行してもよい。さらに、この一態様において、前記判定工程で前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御工程において前記倒立制御を停止してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走行装置及びその制御方法において、倒立制御を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る走行装置を概略的に示す側面図であり、空車制御モードの走行装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る走行装置を概略的に示す側面図であり、補助輪を接地させた状態の走行装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る走行装置の制御ユニットの概略的な構成を示す図であり、制御ユニットを上方から見た図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る走行装置を概略的に示す側面図であり、乗車制御モードの走行装置を示す図である。
【図5】制御ユニットの制御部のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら一実施形態を挙げて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る走行装置を概略的に示す側面図であり、空車制御モードの走行装置を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る走行装置を概略的に示す側面図であり、補助輪を接地させた状態の走行装置を示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る走行装置の制御ユニットにおける概略の構成を示す図であり、制御ユニットを上方から見た図である。
【0014】
本実施形態に係る走行装置1は、移動領域である路面P上を、搭乗者が乗車している状態若しくは搭乗者が乗車していない状態で、その搭乗者による運転操作に応じて、倒立状態を維持しつつ、任意の方向へ移動することができる。このような走行装置1は、例えば、4輪型移動体に比べてホイールベースが短いため、方向転換に要するスペースを小さくできるメリットを有している。
【0015】
本実施形態に係る走行装置1は、搭乗者が乗車するための乗車部10と、乗車部10に回転可能に設けられ、対向する左右一対の駆動輪31、32と、乗車部10に設けられ、各駆動輪31、32の回転駆動を制御する制御ユニット20と、を備えている。
【0016】
乗車部10は、複数のフレーム等で構成され、搭乗者を載置する搭乗台11と、搭乗台11と制御ユニット20とを接続する接続部材18と、を有している。また、搭乗台11は、搭乗者が着座する座席部12と、搭乗者の背面を支持する背当て部13と、脚支持部14と、フットステップ部15と、左右一対の手すり部19と、を有している。
【0017】
座席部12は、略平面板状に形成されており、搭乗者の着座する上面には弾性のシート部材が敷設されている。背当て部13は、座席部12の端辺に立設されている。背当て部13は、着座した搭乗者が後方に向かって重心をかけた際に背中全体と接触し、搭乗者の体重を最適に支持することができる。脚支持部14は、斜め下方向へ延在しており、その一端辺が座席部12の端辺に接続されている。また、脚支持部14の他端辺には、略水平方向へ延在するフットステップ部15が接続されている。これにより、脚支持部14は、着座した搭乗者の脚部に適切に接触し、その重量を部分的に支持することができる。
【0018】
フットステップ部15は、着座した搭乗者の脚部の膝部分が略垂直に曲がった状態で、搭乗者の足平底面がこのフットステップ部15の上面に面接触するように構成されている。一対の手すり部19は、背当て部13の両側方かつ略中央付近に夫々接続され、略水平方向へ延在しており、搭乗者の腕を保持することができる。このように、搭乗者を、複数の部材12、13、14、15、19で分散して保持することで、搭乗者に掛かる負担を効果的に低減することができる。
【0019】
フットステップ部15の端部及び座席部12の端部には、夫々、下方に延在するバー16a、16bが設けられている。また、各バー16a、16bの先端には、夫々、補助輪17a、17bが回転可能に設けられている。
【0020】
接続部材18の一端は、制御ユニット20に、前後方向(走行装置1の進行方向)へ回動可能に連結され、その他端は、搭乗台11の座席部12に連結されている。また、制御ユニット20には、接続部材18を回動させるモータ27等の駆動部が設けられている。制御ユニット20は、このモータ27を制御して、接続部材18を回動させる際の、そのタイミングや回動量を制御することができる。
【0021】
例えば、制御ユニット20は、モータ27を制御して、図1に示すように、接続部材18を前後方向へ回動させ略鉛直状態に制御する。これにより、補助輪17a、17bが路面Pから離れた状態になり、走行装置1は、例えば、後述の倒立制御を開始する。一方、制御ユニット20は、モータ27を制御して、図2に示すように、接続部材18を前後方向に回動させ傾斜状態に制御する。これにより、補助輪17a、17bが路面Pに接地した状態になり、走行装置1の倒立制御は停止状態となる。
【0022】
ところで、搭乗者による荷重やモーメントは、走行装置1自身による荷重やモーメントと比較して、相対的に大きくなり、倒立制御に大きく影響する傾向にある。そこで、制御ユニット20は、搭乗者が搭乗台11の座席部12に着座し乗車した状態(乗車状態)で倒立制御を行う乗車制御モード(図4)と、搭乗者が乗車しない状態(非乗車状態又は空車状態)で倒立制御を行う空車制御モード(図1)と、を有している。
【0023】
そして、乗車制御モードにおいては、乗車状態で最適な倒立制御方法(ゲイン値G等)により、倒立制御が行われる。また、空車制御モードにおいては、空車状態で最適な倒立制御方法により、倒立制御が行われる。これにより、乗車状態及び空車状態において、夫々最適な倒立制御を行うことができるため、倒立制御をより安定的に行うことができる。
【0024】
接続部材18には、鉛直方向(図1の直線Lの方向)に対する乗車部10及び接続部材18の傾斜角度θおよび傾斜角速度を計測するためのジャイロセンサ18a等の姿勢センサが設けられている。ジャイロセンサ18aは、検出した傾斜角度θ及び傾斜角速度に応じた傾斜角度信号及び傾斜角速度信号を、フィルター(不図示)を介してノイズ等を除去した後、制御ユニット20の制御部23に対して出力する。また、制御ユニット20の制御部23は、ジャイロセンサ18aによって微小時間毎に検出される、乗車部10及び接続部材18の傾斜角度θを微分することで、乗車部10の傾斜角速度を算出してもよい。
【0025】
搭乗台11の一方(例えば、右側)の手すり部19には、制御ユニット20の制御部23に対して、操作信号を送信するためのジョイスティック等の操作レバーを有する操作部41が設けられている。操作部41は、搭乗者による操作レバーの操作(操作方向、操作量等)に応じた操作信号を、制御ユニット20の制御部23に対して出力する。搭乗台11に搭乗する搭乗者は、この操作部41を操作することで、例えば、走行装置1の移動方向や移動速度を操作することができる。
【0026】
また、操作部41には、制御ユニット20の制御部23における乗車制御モードと空車制御モードとを、搭乗者が任意に選択できるモード選択スイッチ(モード選択手段)41aが設けられている。モード選択スイッチ41aには、例えば、乗車制御モードと空車制御モードとに切替え可能な切替え式スイッチが用いられている。
【0027】
例えば、搭乗者により、モード選択スイッチ41aが乗車制御モードに切替えられると、モード選択スイッチ41aは、乗車制御信号を制御ユニット20の制御部23に対して出力する。一方、搭乗者により、モード選択スイッチ41aが空車制御モードに切替えられると、モード選択スイッチ41aは、空車制御信号を制御ユニット20の制御部23に対して出力する。制御ユニット20の制御部23は、モード選択スイッチ41aから出力された乗車制御信号又は空車制御信号(モード選択信号)に基づいて、倒立制御を行う。
【0028】
乗車部10のフットステップ部15には、搭乗者が乗車していることを検出するための荷重センサ(乗車検出手段)15aが設けられている。荷重センサ15aは、搭乗者が乗車したときの、その足平底面からフットステップ部15上に掛る荷重を検出する。荷重センサ15aは、検出した荷重値を荷重信号として、制御ユニット20の制御部23に対して出力する。
【0029】
操作部41には、搭乗者に対して、各種の情報を表示できる表示部43が設けられている。この表示部43は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等が用いられており、制御ユニット20の制御部23からの制御信号に応じて、例えば、文字、図形、画像等を表示することができる。
【0030】
制御ユニット20は、図3に示すように、駆動部としての一対のモータ21、22と、各モータ21、22の回転駆動を、駆動回路42を介して制御する制御部23と、各駆動輪31、32の回転速度を検出するための一対の回転センサ24、24と、各モータ21、22に対して電力を供給するバッテリー25と、移動する路面Pの形状や障害物等を光学的に認識するための一対の検出センサ26、26と、を備えている。なお、回転センサ24としては、例えば、ロータリエンコーダが用いられている。また、各駆動輪31、32は、車軸C1、C2を介して、各モータ21、22に夫々連結されている。
【0031】
各モータ21、22は、各駆動輪31、32を夫々独立して駆動することができる。また、各モータ21、22は、制御部23からの制御信号に応じて、各駆動輪31、32に対して付加する回転トルクを、夫々変化させる。これにより、走行装置1の移動(加速、減速、停止、前進、後進、右旋回、左旋回等)を任意に変化させることができる。なお、各モータ21、22には、各モータ21、22の過熱状態を検出するための温度センサ(不図示)が設けられていてもよい。この温度センサは、例えば、モータ21、22の過熱状態を検出すると、制御部23に対して検出信号を出力する。そして、制御部23は、温度センサからの検出信号を受信すると、モータ21、22の駆動を停止又は抑制する。
【0032】
各回転センサ24は、車軸C1、C2に夫々取付けられ、各駆動輪31、32の回転速度(又は回転角速度)Vを夫々検出することができる。各回転センサ24は、検出した駆動輪31、32の回転速度Vを、回転速度信号として、制御部23に対して出力する。なお、制御部23は、例えば、回転センサ24からの回転速度Vに基づいて、駆動輪31、32の回転角度および回転加速度を算出することができる。
【0033】
バッテリー25は、制御ユニット20の表面から突出して設けられた被充電用端子(不図示)に対して電気的に接続されている。そして、バッテリー25の被充電用端子と、充電ステーションに設けられた充電用端子と、を接触させることで、バッテリー25に対して電力を供給し、バッテリー25を充電することができる。
【0034】
一対の検出センサ26、26は、制御ユニット20の下方前面に左右対称に配置されている。各検出センサ26は、例えば、赤外線レーザ等を路面Pに対して揺動させて照射しつつ、その反射光を受光する。これにより、各検出センサ26は、制御ユニット20の下方前面近傍の路面形状、障害物等を検出することができる。制御部23は、検出センサ26により検出された路面形状に関する情報によって、路面P上に存在する段差部や障害物等の存在を検知し、これらの障害物等を回避した走行経路の作成等を行うことができる。なお、検出センサ26は、光学的に障害物等を検出しているが、これに限らず、例えば、磁気的、電気的又はこれらを組み合わせて検出してもよい。
【0035】
図5は、制御ユニットの制御部のシステム構成の一例を示すブロック図である。制御部23は、乗車検出部231と、判定部232と、倒立制御部233と、を有している。なお、制御部23は、例えば、制御処理、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)23a、CPU23aによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)23b、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)23c等からなるマイクロコンピュータを中心にして、ハードウェア構成されている。なお、これらCPU23a、ROM23b、およびRAM23cは、バス等によって相互に接続されている。また、乗車検出部231と、判定部232と、倒立制御部233とは、例えば、ROM23bに記憶され、CPU23aによって実行されるプログラムによって実現することができる。
【0036】
乗車検出部(乗車検出手段)231は、荷重センサ15aから出力された荷重値に基づいて、搭乗者による走行装置1への乗車を検出する。乗車検出部231は、荷重センサ15aから出力された荷重値が所定値以上となる場合に、搭乗者の乗車を検出する。ここで、上記所定値は、例えば、搭乗者が乗車した際にフットステップ部15に掛る荷重値が予め求められ、その中から最適値(平均値等)がRAM23cに設定される。乗車検出部231は、搭乗者の乗車を検出すると、その検出信号を判定部232に対して出力する。
【0037】
判定部(判定手段)232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致するか否かを判定する。例えば、判定部232は、乗車検出部231から検出信号を受信し、かつ、モード選択スイッチ41aから乗車制御信号を受信したとき、上記検出結果と選択結果とが一致すると判定する。また、判定部232は、乗車検出部231から検出信号を受信することなく、かつ、モード選択スイッチ41aから空車制御信号を受信したとき、上記検出結果と選択結果とが一致すると判定する。そして、判定部232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致すると判定したとき、一致信号を倒立制御部233に対して出力する。
【0038】
一方、判定部232は、乗車検出部231から検出信号を受信することなく、かつ、モード選択スイッチ41aから乗車制御信号を受信したとき、上記検出結果と選択結果とが不一致であると判定する。また、判定部232は、乗車検出部231から検出信号を受信し、かつ、モード選択スイッチ41aから空車制御信号を受信したとき、上記検出結果と選択結果とが不一致であると判定する。そして、判定部232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が不一致であると判定したとき、不一致信号を倒立制御部233に対して出力する。
【0039】
このように、判定部232は、荷重センサ15aを用いて搭乗者の乗車を検出する検出結果と、搭乗者自身がモード選択スイッチ41aにより選択した選択結果と、の一致又は不一致を判定している。この判定により、荷重センサ15aによる誤検出、および、モード選択スイッチ41aにおける誤選択を確実に防止することができる。
【0040】
倒立制御部(制御手段)233は、走行装置1の倒立状態を維持するための倒立制御を行う。倒立制御部233は、例えば、走行装置1の駆動輪31、32が路面Pに対して接地する接地点から鉛直方向に伸び、車軸C1、C2を通る直線Lと、走行装置1の重心位置と車軸C1、C2とを結ぶ直線と、が成す傾斜角度θ1が、目標傾斜角度θ0(例えばθ0=0度)となるように、各駆動輪31、32の回転駆動を制御する。
【0041】
より具体的には、倒立制御部233は、まず、ジャイロセンサ18aにより検出された乗車部10の傾斜角度θに、予め設定されたゲイン値Gを乗算して、回転トルクT(T=θ×G)を算出する。そして、倒立制御部233は、算出した回転トルクTが各駆動輪31、32に生じるように、各モータ21、22を、駆動回路42を介して夫々制御する。これにより、倒立制御部233は、乗車部10が傾斜している方向へ、駆動輪31、32を回動させ、走行装置1の重心位置を、駆動輪31、32の車軸C1、C2を通る直線L上へ戻すような倒立制御を行うことができる。
【0042】
また、倒立制御部233は、各駆動輪31、32に対して適切な回転トルクを夫々付加することで、直線Lに対して成す傾斜角度θ1がある一定値を超えないような倒立状態を維持しつつ、さらに、操作部41からの操作信号に応じて、前進、後進、停止、減速、加速、右折、左折、左旋回、右旋回等の走行装置1の移動制御を行うことができる。なお、倒立制御部233は、上述の駆動輪31、32に対する回転トルク制御を、例えば、状態フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御方法を用いて行ってもよい。
【0043】
さらに、倒立制御部233は、乗車状態で倒立制御を行う乗車制御モードと、空車状態で倒立制御を行う空車制御モードと、を有している。また、倒立制御部233は、モード選択スイッチ41aから乗車制御信号を受信すると、乗車制御モードになる。そして、倒立制御部233は、この乗車制御モードにおいて、予め設定された制御マップに従って、乗車状態における倒立制御に対して最適なゲイン値Gを算出して、上記倒立制御を行う。
【0044】
一方、倒立制御部233は、モード選択スイッチ41aから空車制御信号を受信すると、空車制御モードになる。そして、倒立制御部233は、この空車制御モードにおいて、予め設定された制御マップに従って、空車状態における倒立制御に対して最適なゲイン値Gを算出して、上記倒立制御を行う。ここで、上記制御マップには、例えば、乗車制御モード及び空車制御モードに対するゲイン値Gが予め設定され、RAM23cに記憶されている。
【0045】
また、上記制御マップにおいて、乗車制御モードに対するゲイン値Gは、例えば、空車制御モードに対するゲイン値Gよりも大きく設定されている。この理由として、乗車時は空車時と比較して、走行装置1自体によるモーメントだけでなく、搭乗者によるモーメントが作用する。このため、この搭乗者によるモーメントを打ち消すために、より大きなゲイン値Gを設定し、より大きな回転トルクTを発生させる必要があるからである。
【0046】
さらに、倒立制御部233は、判定部232による判定結果である一致信号及び不一致信号に基づいて、上記倒立制御を行う。より具体的には、倒立制御部233は、判定部232から一致信号を受信すると、倒立制御を実行する。この場合、例えば、倒立制御部233は、駆動回路42を介してモータ27を制御して接続部材18を回動させ、補助輪17a、17bを路面Pから離れた状態にして、倒立制御を開始する(図1)。
【0047】
一方、倒立制御部233は、判定部232から不一致信号を受信すると、倒立制御を停止する。この場合、例えば、倒立制御部233は、駆動回路42を介してモータ27を制御して接続部材18を傾斜させて、補助輪17a、17bを路面Pに接地させ、倒立制御を停止する(図2)。さらに、倒立制御部233は、例えば、表示部43を制御して、倒立制御が停止している旨(エラー表示等)を表示させる。
【0048】
上述の如く、倒立制御部233は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致するときだけ、倒立制御を実行する。すなわち、倒立制御部233は、搭乗者自らが選択した乗車制御モード又は空車制御モードと、荷重センサ15aにより検出した搭乗者の乗車又は空車と、が一致したときだけ、倒立制御を実行する。これにより、モード選択スイッチ41aにおける誤選択(例えば、搭乗者が乗車しているにも拘らず空車制御モードを誤選択、又は空車であるにも拘らず乗車制御モードを誤選択)、および、荷重センサ15aによる搭乗者の乗車の誤検出(例えば、荷物の搭載を搭乗者の乗車として誤検出等)、を防止することができる。したがって、最適な倒立制御方法(最適なゲイン値Gの設定等)がより確実に設定され、倒立制御をより安定的に行うことができる。
【0049】
なお、倒立制御部233は、RAM23cに記憶した移動領域のマップ情報などに基づいて、走行装置1の移動経路を自律的に作成することができる。このマップ情報は、例えば、移動する路面Pの全体形状に、略一定間隔に配置された格子点を結ぶグリッド線を仮想的に描写することで得られるグリッドマップから構成されている。倒立制御部233は、このグリッド線で囲まれたグリッド単位を用いて、走行装置1の自己位置、目標地点である移動終了点、および、移動終了点における走行装置1の移動方向、を特定することができる。
【0050】
また、グリッドマップにおける格子点間隔は、走行装置1の移動可能な曲率や絶対位置を認識する精度などの条件に応じて、適宜変更可能である。倒立制御部233は、このグリッドマップ上において特定された移動始点から目的地である移動終点までの移動経路を作成する。また、倒立制御部233は、各回転センサ24からの各駆動輪31、32の回転速度V等に基づいて、走行装置1の移動速度や移動距離を算出することができる。そして、倒立制御部233は、これら移動速度や移動距離に基づいて、リアルタイムに自己位置を算出し、走行装置1を作成された移動経路に沿って自律的に移動させる制御を行う。
【0051】
次に、本発明の一実施形態に係る走行装置1の制御処理フローについて、詳細に説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0052】
制御ユニット20の制御部23の乗車検出部231は、荷重センサ15aから出力された荷重値に基づいて、搭乗者の乗車を検出する(乗車検出工程)(ステップS101)。この乗車検出工程では、走行装置1の荷重センサ15aを用いて搭乗者の乗車を自動的に検出する。乗車検出部231は搭乗者の乗車を検出すると、その検出信号を判定部232に対して出力する。また、モード選択スイッチ41aにおいて、乗車制御モード及び空車制御モードのうちいずれか一方が選択される(モード選択工程)(ステップS102)。このモード選択工程では、搭乗者自身の意思によるモード選択結果に基づいて、乗車又は空車を検出する。
【0053】
モード選択スイッチ41aにおいて、乗車制御モードが選択されると、モード選択スイッチ41aは、乗車制御信号を倒立制御部233及び判定部232に対して出力する。倒立制御部233は、この乗車制御信号に応じて、乗車制御モードになる(ステップS103)。一方、モード選択スイッチ41aにおいて、空車制御モードが選択されると、モード選択スイッチ41aは、空車制御信号を倒立制御部233及び判定部232に対して出力する。倒立制御部233は、この空車制御信号に応じて、空車制御モードになる(ステップS104)。
【0054】
次に、判定部232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致するか否かを判定する(判定工程)(ステップS105)。この判定工程において、走行装置1の荷重センサ15aによる搭乗者の乗車の検出結果と、搭乗者自身の意思によるモード選択結果とが一致するか否かが判定される。
【0055】
判定部232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致すると判定したとき(ステップS105のYES)、倒立制御部233に対して一致信号を出力する。倒立制御部233は、この一致信号に応じて、図1に示すように、上記倒立制御の実行を開始する(制御工程)(ステップS106)。このように、倒立制御部233は、荷重センサ15aによる検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、の一致を確認して、倒立制御の実行を開始する。これにより、最適な倒立制御方法(ゲイン値G等)がより確実に設定され、倒立制御をより安定的に行うことができる。
【0056】
一方、判定部232は、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致しないと判定したとき(ステップS105のNO)、倒立制御部233に対して不一致信号を出力する。倒立制御部233は、この不一致信号に応じて、図2に示すように、駆動回路42を介してモータ27を制御して接続部材18を傾斜させ、補助輪17a、17bを路面Pに接地させ、倒立制御を停止する(ステップS107)。これにより、不安定になる可能性がある倒立制御を強制的に停止させることができる。さらに、倒立制御部233は、例えば、倒立制御が停止している旨を、表示部43に表示させる(ステップS108)。これにより、搭乗者に対して、倒立制御のエラー等を確実に報知することができる。
【0057】
以上、本実施形態に係る走行装置1において、判定部232により、乗車検出部231による検出結果と、モード選択スイッチ41aによる選択結果と、が一致すると判定されたときだけ、倒立制御部233は、上記倒立制御を実行する。これにより、搭乗者自らがモード選択スイッチ41aにより選択した乗車制御モード又は空車制御モードと、荷重センサ15aにより検出された搭乗者の乗車又は空車と、が一致したときだけ、倒立制御が実行される。したがって、モード選択スイッチ41aにおける誤選択、および、荷重センサ15aによる搭乗者の乗車の誤検出を防止することができる。すなわち、最適な倒立制御方法がより確実に設定され、倒立制御をより安定的に行うことができる。
【0058】
なお、本発明を実施するための最良の形態について上記一実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした上記一実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0059】
例えば、上記一実施形態において、荷重センサ15aはフットステップ部15に設けられているが、これに限らず、例えば、座席部12、背当て部13、脚支持部14、又は手すり部19、に設けられていてもよく、搭乗者の乗車が適切に検出できれば任意の位置に設けてもよい。また、荷重センサ15aを用いて、搭乗者の乗車を検出しているが、これに限らず、例えば、感圧センサ、近接センサ、接触センサ、又は、駆動部にかかるトルクを検出するトルクセンサ、を用いてもよく、搭乗者の乗車が検出できれば任意のセンサを用いることができる。
【0060】
上記一実施形態において、モード選択スイッチ41aにより、乗車制御モードと空車制御モードとを選択しているが、これに限らず、例えば、リモートコントロール装置(遠隔操作装置)、HMI(Human Machine Interface)装置、タッチパネル装置等の任意の入力装置を用いることができる。また、モード選択スイッチ41aは操作部41に設けられているが、これに限らず、搭乗者が操作可能な任意の位置に設けることが可能である。
【0061】
上記一実施形態において、車椅子型の走行装置1に適用されているが、これに限らず、倒立制御を行う任意の移動体に適用可能である。
【0062】
上記一実施形態において、倒立制御部233は、倒立制御が停止している旨を表示部43に表示させているが、これに限らず、例えば、音声(警告音)を出力するスピーカ装置、搭乗台11(座席部12、背当て部13、脚支持部14、フットステップ部15、及び/又は手すり部19)を振動させる振動発生装置、ライト(警告灯)を発光させるライト装置、又は、これら装置を任意に組み合わせて報知を行ってもよく、報知を適切に行うことができれば任意の報知装置を用いることができる。また、表示部43は、操作部41に設けられているが、これに限らず、搭乗者が視認可能な任意の位置に設けることができる。
【0063】
上記一実施形態において、倒立制御部233は、倒立制御を停止させた後、表示部43による表示を行っているが、これに限らず、例えば、表示部43による表示を行った後、倒立制御を停止させてもよく、これらを同時に行ってもよい。
【0064】
上記一実施形態において、制御ユニット20の制御部23は、ジャイロセンサ18aを用いて、鉛直方向に対する乗車部10の傾斜角度θおよび傾斜角速度を検出しているが、これに限らず、例えば加速度センサを用いて傾斜角度θ及び傾斜角速度を検出してもよい。加速度センサを用いた場合は、乗車部10に加わる加速度に基づいて、乗車部10の鉛直方向に対する傾斜角度θ及び傾斜角速度を求めることができる。さらに、ジャイロセンサ18a及び加速度センサを組み合わせて、より高精度に傾斜角度θ及び傾斜角速度を検出してもよい。またさらに、ジャイロセンサ18aは、接続部材18に設けられているが、これに限らず、例えば、乗車部10に設けられていてもよい。
【0065】
上記一実施形態において、倒立制御部233は乗車状態で倒立制御を行う乗車制御モードと、空車状態で倒立制御を行う空車制御モードと、を有する構成であるが、これに限らず、所定センサ(障害物検出用の超音波センサ等)を使用して倒立制御を行う第1制御モードと、所定センサを使用しないで倒立制御を行う第2制御モードと、を有する構成であってもよい。
【0066】
この場合、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ所定センサが正常であると判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ所定センサが異常であると判定したとき、一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この一致信号に応じて倒立制御を開始する。一方、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ所定センサが異常であると判定したとき、不一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この不一致信号に応じて倒立制御を停止する。
【0067】
また、倒立制御部233は、空気タイヤの駆動輪31、32を使用して倒立制御を行う第1制御モードと、ゴムタイヤの駆動輪31、32を使用して倒立制御を行う第2制御モードと、を有する構成であってもよい。
【0068】
この場合、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ駆動輪31、32が空気タイヤであると判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ駆動輪31、32がゴムタイヤであると判定したとき、一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この一致信号に応じて倒立制御を開始する。一方、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ駆動輪31、32がゴムタイヤであると判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ駆動輪31、32が空気タイヤであると判定したとき、不一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この不一致信号に応じて倒立制御を停止する。
【0069】
さらに、倒立制御部233は、軽い搭乗者が乗車して倒立制御を行う第1制御モードと、重い搭乗者が乗車して倒立制御を行う第2制御モードと、を有する構成(搭乗者の体重に応じた制御モードを有する構成)であってもよい。
【0070】
この場合、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ搭乗者の体重が軽い(所定値未満である)と判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ搭乗者の体重が重い(所定値以上である)と判定したとき、一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この一致信号に応じて倒立制御を開始する。一方、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ搭乗者の体重が重いと判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ搭乗者の体重が軽いと判定したとき、不一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この不一致信号に応じて倒立制御を停止する。
【0071】
またさらに、倒立制御部233は、低年齢の搭乗者が乗車して倒立制御を行う第1制御モードと、高年齢の搭乗者が乗車して倒立制御を行う第2制御モードと、を有する構成(搭乗者の年齢に応じた制御モードを有する構成)であってもよい。
【0072】
この場合、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ搭乗者の年齢が低い(所定値未満である)と判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ搭乗者の年齢が高い(所定値以上である)と判定したとき、一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この一致信号に応じて倒立制御を開始する。一方、判定部232は、倒立制御部233が第1制御モードであり、かつ搭乗者の年齢が高いと判定したとき、若しくは、倒立制御部233が第2制御モードであり、かつ搭乗者の年齢が低いと判定したとき、不一致信号を倒立制御部233に対して出力する。倒立制御部233は、この不一致信号に応じて倒立制御を停止する。
【0073】
またさらに、倒立制御部233は、搭乗者を載置する搭乗台11の形状に応じた制御モードを有する構成であってもよく、操作部41の形態に応じた制御モードを有する構成であってもよく、任意の制御モードの構成が適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 走行装置
15a 荷重センサ
17a、17b 補助輪
18a ジャイロセンサ
20 制御ユニット
23 制御部
24 回転センサ
31、32 駆動輪
41a モード選択スイッチ
43 表示部
231 乗車検出部
232 判定部
233 倒立制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者の乗車を検出する乗車検出手段と、
車輪の駆動を制御して倒立制御を行う制御手段と、を備える走行装置であって、
搭乗者が乗車している状態での前記倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態での前記倒立制御を行う空車制御モードと、を選択するためのモード選択手段と、
前記乗車検出手段による検出結果と、前記モード選択手段による選択結果とが一致するか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記倒立制御を行う、ことを特徴とする走行装置。
【請求項2】
請求項1記載の走行装置であって、
前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定されたとき、前記制御手段は前記倒立制御を実行する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項3】
請求項2記載の走行装置であって、
前記乗車検出手段により前記乗車が検出され、かつ、前記モード選択手段により前記乗車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の走行装置であって、
前記判定手段は、前記乗車検出手段により前記乗車が検出されず、かつ、前記モード選択手段により前記空車制御モードが選択されたとき、前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の走行装置であって、
前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御手段は前記倒立制御を停止する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項6】
請求項5記載の走行装置であって、
前記乗車検出手段により前記乗車が検出され、かつ、前記モード選択手段により前記空車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の走行装置であって、
前記乗車検出手段により前記乗車が検出されず、かつ、前記モード選択手段により前記乗車制御モードが選択されたとき、前記判定手段は、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のちいずれか1項記載の走行装置であって、
前記倒立制御の停止を報知するための報知手段を更に備える、ことを特徴とする走行装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のちいずれか1項記載の走行装置であって、
路面に対して接触又は非接触となる補助輪を更に備え、
前記判定手段により、前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御手段は、前記補助輪を路面に対して接触させる、ことを特徴とする走行装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちずれか1項記載の走行装置であって、
前記乗車検出手段は、搭乗者の乗車による荷重を検出するための荷重センサを含む、ことを特徴とする走行装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちいずれか1項記載の走行装置であって、
前記モード選択手段は、前記乗車制御モード及び前記空車制御モードのうちいずれか一方を選択できるスイッチである、ことを特徴とする走行装置。
【請求項12】
搭乗者の乗車を検出する乗車検出工程と、
車輪の駆動を制御して倒立制御を行う制御工程と、を含む走行装置の制御方法であって、
搭乗者が乗車している状態での前記倒立制御を行う乗車制御モードと、搭乗者が乗車していない状態での前記倒立制御を行う空車制御モードと、を選択するためのモード選択工程と、
前記乗車検出工程の検出結果と、前記モード選択工程の選択結果とが一致するか否かを判定する判定工程と、を含み、
前記制御工程において、前記判定工程による判定結果に基づいて、前記倒立制御を行う、ことを特徴とする走行装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12記載の走行装置の制御方法であって、
前記判定工程で前記検出結果と前記選択結果とが一致すると判定されたとき、前記制御工程において前記倒立制御を実行する、ことを特徴とする走行装置の制御方法。
【請求項14】
請求項12又は13記載の走行装置の制御方法であって、
前記判定工程で前記検出結果と前記選択結果とが一致しないと判定されたとき、前記制御工程において前記倒立制御を停止する、ことを特徴とする走行装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−167807(P2010−167807A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9706(P2009−9706)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】