説明

超高性能清澄化ジェランガム

本発明は、0.1%カードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cm、すなわち約117g/cm〜約400g/cmを有する高性能ジェランガム組成物に関する。該高性能ジェランガムはアシル含有量は低いが分子量は増加している。本発明の一態様は高清澄性を有する高性能ジェランガムの製造法にも関する。本発明はさらに、高性能ジェランガムを含む食品及び非食品の工業製品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、増大された分子量及び増大されたゲル強度を有する高性能低アシル及び部分脱アシル化ジェランガム組成物に関する。本発明はまた、従来のろ過法を使用せずに高清澄性を有する高性能低アシル及び部分脱アシル化ジェランガムを製造するための方法にも関する。本発明はさらに、高性能低アシル及び部分脱アシル化ジェランガムを含む食品及び非食品用の工業製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の記載
多糖類はガムとも言われ、主に水溶液を増粘又はゲル化するのに使用される。スフィンゴモナス属の微生物によって製造される多糖類はスフィンガンとも呼ばれる。ガムは二つのグループに分類されることが多い。すなわち増粘剤とゲル化剤である。典型的な増粘剤は、デンプン、グアガム、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、メチルセルロース、キサンタンガム、カラヤガム、及びトラガカントガムなどである。一般的なゲル化剤は、ジェランガム、ゼラチン、デンプン、アルギネート、ペクチン、カラギーナン、寒天、及びメチルセルロースなどである。
【0003】
ゲル化剤は食品工業で様々な用途に使用されている。例えば、ゼリー菓子、ジャム、デザートゲル、アイシング、乳製品、飲料などである。さらに、ゲル化剤は微生物培地の成分としても使用できる。ゲル化剤は、それらが使用されうる条件及びそれらが形成するゲルのテクスチャーに違いがある。ゲルのこうした特徴的性質のために特定のゲル化剤が特定の製品に広く使用されている(例えば、ゼリー菓子におけるデンプン;デザートゲルにおけるゼラチン;アイシングにおける寒天:及びピメント細片(pimento strips)におけるアルギネート)。
【0004】
一つの特別有用なゲル化剤はジェランガムで、これは細菌のスフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)(ATCC31461)、及びこの種から派生した菌株によって産生される莢膜多糖である。ジェランガムの構成糖は、モル比2:1:1のグルコース、グルクロン酸及びラムノースである。これらは一緒に連結し、線形の四糖類反復単位を含む一次構造を呈している(O’Neill M.A.ら,シュードモナス・エロデアによって産生される酸性細胞外ゲル化多糖類の構造(Structure of the acidic extracellular gelling polysaccharide produced by Pseudomonas elodea),Carbohydrate Res.,124(1):123−133(1983);Jansson,P.E.ら,シュードモナス・エロデアによって合成された細胞外多糖類、ジェランガムの構造研究(Structural studies of gellan gum, an extracellular polysaccharide elaborated by Pseudomonas elodea) ,Carbohydrate Res.,124(1):135−139(1983))。ネイティブ型又は高アシル(“HA”)型には2個のアシル置換基、アセテート及びグリセレートが存在する。両置換基とも同じグルコース残基上に位置し、平均して1反復単位あたり1個のグリセレート及び二反復単位ごとに1個のアセテートが存在する。低アシル(“LA”)型はほとんどのアシル基が除去され、そのような基を実質的に持たない線形反復単位となっている。X線回折分析で、ジェランガムは三重の左巻き平行二重らせんとして存在することが示されている(Chandraskaran,R.ら,ジェランの結晶構造(The crystal structure of gellan),Carbohydrate Res.,175(11):1−15(1988);Chandraskaran,R.ら,ジェランにおけるカチオン相互作用:カリウム塩のx線研究(Cation interactions in gellan: An x-ray study of the potassium salt),Carbohydrate Res.,181:23−40(1988))。
【0005】
LAジェランガムは、ゲル促進カチオン、好ましくはカルシウム及びマグネシウムのような二価カチオンの存在下で冷却するとゲルを形成する。形成されたゲルは堅くて脆い。HAジェランガムはゲルの形成にカチオンの存在を必要とせず、形成されたゲルは、アシル置換基によって著しく影響される構造的及びレオロジー的特徴を有している。従って、HAジェランガムの性質はLAジェランガムの性質とは著しく異なる。HAジェランガムゲルは典型的には軟質で柔軟性があり、熱ヒステリシスを欠く。
【0006】
商業的には、ジェランガムは好気条件下で発酵培地にスフィンゴモナス・エロデア菌を接種することによって形成される。発酵培地は、炭素源、ホスフェート、有機及び無機窒素源、そして適切な微量元素を含有する。発酵は無菌条件下で、エアレーション、撹拌、温度、及びpHを厳密に制御しながら実施される。発酵が完了したら、粘稠なブロスを殺菌(パスチャライズ)して生存細胞を殺した後、ガムを回収する。
【0007】
ジェランガムは、発酵ブロスからの回収法によって異なる特徴を示す。発酵ブロスから直接回収するとネイティブ又は高アシル型のジェランが得られる。これは、S.エロデアによる修飾で一つのグルコース残基上にアセチル及びグリセリル置換基を持つ。このネイティブ又は高アシル型のジェランを単離すると、軟質で柔軟性、弾性のあるゲルが得られる。ジェランを脱アシル化するとその低アシル型ジェランが得られる。この低アシル型ジェランを単離すると、硬質で堅く脆いゲルが得られる。ネイティブ及び低アシルジェランをブレンドすると、中間的なテクスチャーのゲルが得られる。
【0008】
現在、ジェランガムは、ジェランガムを含有する発酵ブロスを高温で強アルカリで処理することによって脱アシル化されている。この方法で、ジェランからアシル置換基を除去し、S.エロデア細胞を溶解する。次に固体及び細胞残屑を酸処理(発酵ブロスの中和/酸性化)とろ過によって除去し、高清澄性の低アシルジェランガムを得る。しかしながら、この方法は、脱アシル化のほか解重合のためにガムの分子量を天然微生物が産生したものより著しく低下させてしまう。ジェランガム回収のための現在の商業的方法は、最大0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度約290g/cm(0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度約113g/cmに相当)を有するゲルを製造する。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
本発明はジェランガムの製造法に関する。該方法は、スフィンゴモナス・エロデアを発酵ブロス中で発酵させ;所望により発酵ブロスを化学的/酵素的方法によって清澄化し;清澄化発酵ブロスを苛性剤で穏やかに脱アシル化し;そして発酵ブロスからジェランガムを沈殿させるステップを含む。該ジェランガムは0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cm又は0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有する。
【0010】
本発明の一態様において、S.エロデアはPHB欠損株である。本発明の別の態様において、清澄化ステップは、約30℃〜約70℃の範囲の温度に加熱し;一つ又は複数のキレート剤及び一つのリゾチーム酵素と組み合わせた一つ又は複数の抗酸化剤で処理し;一つ又は複数の界面活性剤で処理し;そしてプロテアーゼ酵素で処理するステップを含む。
【0011】
本発明は、上記方法によって製造されたジェランガムにも関する。さらに本発明は、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cm又は0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有するジェランガムに関する。本発明の一態様において、脱イオン水中で1%の濃度に再水和されたジェランガムは約60%より大きい光透過率を有する。本発明の別の態様において、ジェランガムはテクスチャープロファイル分析(“TPA”)硬度、少なくとも約9ポンド(lb)を有する。本発明のさらに別の態様において、ジェランガムは1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約25センチポアズ(cP)を有する。
【0012】
本発明はさらに、本明細書中に記載の新規ジェランガムを含む食品及び非食品の工業製品にも関する。さらに、本発明は、本明細書中に記載の方法によって製造されたジェランガムを含む食品又は非食品の工業製品にも関する。本発明の工業製品に使用される高性能ジェランガムの濃度は、使用されている現在入手可能な市販品(Kelcogel(登録商標))の濃度より約20%〜約85%低い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度試験と0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度試験との間の直線的相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、先行技術の低アシルジェランガムよりも大きいゲル強度を有する低アシルジェランガムの製造法及び部分脱アシル化ジェランガムの製造法に関する。本発明はまた、水溶液中に再水和した際、従来のフィルタープレスを使用しなくても高清澄性を有する低アシル及び部分脱アシル化ジェランガムにも関する。本発明はさらに、これらの高性能ジェランガムを含むデザートゲル、菓子、飲料、微生物及び組織用培地、液体クリーナーなどのような食品及び非食品の工業製品にも関する。
【0015】
米国特許第5,190,927号に記載されている高アシル(HA)ジェランガムは、グリセレート含有量11〜13%及びアセテート含有量4〜5%で、総アシル含有量15〜18%(w/w)を有する。本明細書中に記載の低アシルジェランガムは、ポリマー鎖上に<1.0%のグリセレート及び<1.0%のアセテート、又は総アシル含有量<2.0%を有すると考えられている。本明細書中に記載の部分脱アシル化ジェランガムは、中間レベルの1〜11%のグリセレート及び1〜4%のアセテート、総アシル含有量2〜15%を有する。
【0016】
スフィンゴモナス・エロデア、ATCC31461、この菌株由来の突然変異体、又はその他の適切な菌株を、当業者に公知の方法によって発酵ブロスとして知られている水溶液中で好気的に成長又は発酵させる。培地は、炭素、窒素、及び無機塩の供給源を含有する。一般に、炭水化物(例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、キシロース、マンニトールなど)が、栄養培地中の同化炭素源として単独又は組み合わせて使用できる。一般に、炭水化物の量は培地の約2〜4重量%の間で通常変動する。一般に、発酵プロセスでは多くのタンパク性物質が有機窒素源として使用されうる。適切な窒素源は、例えば、酵母加水分解物、大豆ミール、綿実粉、カゼインの加水分解物、トウモロコシ浸出液、アルコール蒸留廃液(distiller's solubles)などである。窒素源は、単独又は組み合わせて、水性培地の約0.05〜0.2重量%の範囲の量で使用される。培地に配合できる無機塩の中では、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及び類似のイオンを供給できる常用塩が挙げられる。第一鉄、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、及びモリブデンの塩などの微量元素も含まれる。
【0017】
スフィンガンは莢膜多糖として発酵ブロス中に分泌される。望ましい性質を有するS.エロデアの変異株が使用できる。本発明の一態様においては、米国特許出願第11/292,366号(2005年12月2日出願、引用によってその全文を本明細書に援用する)に記載されているような、ポリヒドロキシブチレート(“PHB”)の産生が欠乏したS.エロデアの変異株が使用される。PHB欠損株と本明細書中に記載の清澄化法を一緒に使用することで、高清澄性の再構成(reconstituted)ジェランガムを低アシルジェランガム又は部分脱アシル化ジェランガムのいずれかで達成することが可能となる。
【0018】
発酵の後、スフィンガンは典型的にはろ過法によって清澄化され、浮遊物(発酵ブロス環境の一部である微生物細胞及び細胞残屑を含む)から単離されて清澄化スフィンガンとなる。本明細書中に記載のように、清澄化法は代わりに化学的/酵素的方法であってもよい。単離されたスフィンガンを水性媒体に加えることによって得られた溶液及び部分精製スフィンガン溶液も本発明の方法を用いて清澄化できる。本発明の方法に有用な望ましくない発酵固体を含有するスフィンガンの水溶液は、溶液の総重量の約0.01〜約10重量%のスフィンガンを含有しうる。いずれかの公知スフィンガンを含有するいずれかの水溶液も本発明の実施に使用できる。
【0019】
本発明の高性能低アシルジェランガムは、先行技術の低アシルジェランガムより大きいゲル強度を有する。例えば、Kelcogel(登録商標)(CP Kelco,ジョージア州アトランタ)製品は、Neo Curdmeter(登録商標)(IIO Electric Co.,日本)による測定で、最大0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度約290g/cm(0.1%カードメーターゲル強度約113g/cmに相当)を有する。低アシルジェランガムのゲル強度は従来0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度試験を用いて記載されてきた。この試験法の上限は400g/cmであるが、本発明の新規ジェランガムはこれを超過する。従って、ゲル強度試験法は、0.1%ジェランガムを使用するように変更されている。
【0020】
本発明の高性能ジェランガムは、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cm、例えば少なくとも約320g/cmを有する。等価的には、本発明の高性能ジェランガムは、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cm、例えば少なくとも約125g/cm、少なくとも約150g/cm、少なくとも約175g/cm、少なくとも約200g/cm、少なくとも約225g/cm、少なくとも約250g/cm、少なくとも約275g/cm、少なくとも約300g/cm、及び少なくとも約325g/cmを有する。本発明の更なる態様は、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度約117g/cm〜約400g/cm、例えば約117g/cm〜約156g/cm及び約125g/cm〜約250g/cmを有しうる。
【0021】
本発明の高性能低アシルジェランガムは、市販されている低アシルジェランガムと比べて増大した分子量を有する。特定の理論には縛られないが、本発明の高性能低アシルジェランガムは、分子量が増加したために新規の高いゲル強度特性を有すると考えられる。
【0022】
さらに、本発明の高性能低アシル及び部分脱アシル化ジェランガムは、細胞及び細胞残屑を除去するためのろ過法を使用しなくても高清澄性を有しうる。本明細書中に記載の方法によって清澄化されたスフィンガンを水中に再水和及び溶解すると、実質的に透明なスフィンガン溶液が得られる。本発明による実質的に透明なスフィンガン溶液(1%w/w)は、約60%より大きい、好ましくは約70%より大きい、最も好ましくは約80%より大きい光透過率を有する。光透過率は、従来の技術及び装置(例えば市販の分光光度計)を用いて可視スペクトルの任意の波長で測定してよい。光透過率は、典型的には約480nm〜約680nmの波長で測定される。
【0023】
本発明の低アシルジェランガムは、TPA硬度、少なくとも約9ポンド(lb)、例えば少なくとも約15lb、少なくとも約20lb、及び少なくとも約25lbを有する。本発明の低アシルジェランガムは、1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約25cP、例えば少なくとも約75cP、少なくとも約175cP、及び少なくとも約300cPも有する。
酵素清澄化
本発明の一態様において、スフィンガンの水溶液は、段階的にスフィンガン溶液を処理することを含む化学的/酵素的方法によって清澄化される。発酵ブロスを、1)加熱し、2)一つ又は複数のキレート剤及び一つのリゾチーム酵素と組み合わせた一つ又は複数の抗酸化剤で処理し、3)一つ又は複数の界面活性剤で処理し、4)プロテアーゼ酵素で処理し、そして5)所望によりセルラーゼ酵素で処理する。
【0024】
第一のステップは、水性スフィンガン溶液を、ジャケット付きタンク中での温度制御、直接水蒸気注入などのような従来技術によって高めた温度に加熱することを含む。直接水蒸気注入が加熱時間を最小化するために好適である。清澄化温度範囲は約30℃〜約70℃、好ましくは約50℃〜約60℃の範囲である。スフィンガン溶液を所望温度に加熱するのに要する時間の長さは、処理されるスフィンガン溶液のサイズ及び体積に応じて著しく変動しうる。例えば、少量(例えば50ml)のスフィンガン溶液の温度を室温から約60℃に上げるのにはほんの数分しかかからないが、40,000リットルの溶液(例えば商業的加工で存在しうるような)の温度を同様に上げるには数時間かかるであろう。
【0025】
次のステップは、水性スフィンガン溶液を所望により少なくとも一つの抗酸化剤、所望により少なくとも一つのキレート剤、及び少なくとも一つのリゾチーム酵素で処理することを含む。好ましくは、水性スフィンガン溶液は、少なくとも一つの抗酸化剤、少なくとも一つのキレート剤、及び少なくとも一つのリゾチーム酵素で処理される。抗酸化剤は、典型的には約75ppm(百万分の一)〜約300ppm、例えば約150ppm〜約250ppmの範囲の濃度で添加される。典型的には、キレート剤は、スフィンガン溶液に約150ppm〜約1000ppm、例えば約200ppm〜約500ppmの範囲の濃度で添加される。典型的なリゾチーム濃度は、約25ppm〜約200ppm、例えば約50ppm〜約150ppmの範囲である。溶液は約1時間〜約5時間、例えば約1.5時間〜約2.5時間、及び約1.5時間〜約2時間混合される。
【0026】
抗酸化剤は、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、二酸化硫黄、ブチル化ヒドロキシアニソール、システイン、又は亜硫酸ナトリウムであろう。
【0027】
本発明の方法に使用するのに適切なキレート剤は、スフィンガン溶液中の多価金属イオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Fe2+、Mn2+、Cu2+など)を、金属イオンと多座複合体を形成することによって及び金属イオンと沈殿物を形成することによって又は金属イオンを吸着することによって封鎖することができる化合物又は組成物である。有用なキレート剤の例は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、陽イオン交換樹脂、エチレンジアミン二塩酸塩、エチレンジアミン二酢酸塩、エチレンジアミンリチウム塩、及びエチレンジアミン二ヨウ化水素酸塩などであるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の方法に使用されるキレート剤は、クエン酸、並びにエチレンジアミン四酢酸、クエン酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、炭酸、メタリン酸、及びエチレンジアミンの塩などである。さらに好ましくは、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム又はクエン酸がキレート剤として使用される。
【0028】
方法に使用するのに適切なリゾチームは、Multifect(登録商標)リゾチーム(Genencor International,Inc.,カリフォルニア州パロアルト)又は植物、動物、又は微生物由来源から得られる任意のリゾチームなどである。
【0029】
スフィンガン溶液を抗酸化剤(一つ又は複数)、キレート剤(一つ又は複数)、及びリゾチームで処理した後、次のステップは該溶液を少なくとも一つの界面活性剤で処理することである。界面活性剤(一つ又は複数)は、約50ppm〜約400ppm、例えば約150ppm〜約300ppmの濃度範囲で添加される。次に溶液を約0.5時間〜約2時間、例えば約1時間〜約1.5時間撹拌する。
【0030】
本発明の方法に使用するのに適切な界面活性剤は、親水性及び疎水性物質(固体又は液体)の存在下で水性エマルジョンを形成できる化合物又は組成物である。好ましくは、界面活性剤は水又は水−アルコール可溶性の化合物又は組成物である。有用な界面活性剤の例は、ドデシル硫酸ナトリウム(“SDS”)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 80、ICI Americas,Inc.,ニュージャージー州ブリッジウォーター)、レシチン、モノグリセリド類、モノグリセリド類の酒石酸エステル類、リン酸化モノグリセリド類(例えば一ナトリウム塩として)、ラクチル化モノグリセリド類、アセチル化モノグリセリド類、スクシニル化モノグリセリド類、エトキシル化モノグリセリド類、ソルビタンエステル類、ポリソルベート類、ポリグリセロールエステル類、スクロースエステル類、ステアロイル乳酸ナトリウム、プロピレングリコールエステル類などであるが、これらに限定されない。さらに好ましくは、SDSが界面活性剤として使用される。
【0031】
次に、溶液は少なくとも一つのプロテアーゼ酵素で処理される。プロテアーゼ酵素は、約100ppm〜約3000ppm、例えば約500ppm〜約2000ppmの濃度で添加され、溶液と約0.5時間〜約5時間、例えば約1時間〜約4時間混合される。
【0032】
本方法に使用するのに適切なプロテアーゼ酵素は、細菌、真菌、又は植物源由来の酸性、中性又はアルカリ性プロテアーゼである。本発明の方法に有用な酸性プロテアーゼ酵素の例は、アルペルギルス(Aspergillus)属の微生物、例えばA.ニガー(A.niger)によって産生されるプロテアーゼなどであるが、これに限定されない。本発明の方法に有用な中性プロテアーゼ酵素は、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)のような微生物によって産生されるプロテアーゼなどであるが、これに限定されない。本発明の方法に有用なアルカリ性プロテアーゼ酵素は、バシラス属の微生物、例えば、枯草菌(B.subtilis)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、及びB.プミルス(B.pumilus)によって産生されるアルカリプロテアーゼ;ストレプトミセス(Streptomyces)種、例えば、S.フラジアエ(S.fradiae)、S.グリセウス(S.griseus)及びS.レクタス(S.rectus)によって合成されるプロテアーゼ;及びズブチリシン、例えばズブチリシン・ノボ(Novo)及びズブチリシン・カールスベルグ(Carlsberg)から得られるプロテアーゼ(ズブチロペプチダーゼA及びズブチロペプチダーゼBのようなプロテアーゼも含む)などであるが、これらに限定されない。
【0033】
最後に、発酵培地がセルロース質の残渣を含有する場合、セルラーゼ酵素を加えてもよい。本発明の方法に使用するためのセルラーゼ酵素の例は、Celluclast(登録商標)BG(Novozymes A/S,デンマーク・Bagsvaerd)、Multifect(登録商標)CL(Genencor International,Inc.,カリフォルニア州パロアルト)、Multifect(登録商標)GC(Genencor International,Inc.,カリフォルニア州パロアルト)などであるが、これらに限定されない。
【0034】
酵素処理ステップで使用される酵素は、固体の細胞残屑を回収プロセスでより除去しやすい化合物に分解するので、スフィンガン生成物の純度が改良され、清澄化プロセスに役立つ。それにより、溶液にもどした場合のスフィンガン生成物の透過率が改良される。
【0035】
スフィンガン溶液をキレート剤(一つ又は複数)、抗酸化剤(一つ又は複数)、及び界面活性剤(一つ又は複数)で処理することによる影響を受ける清澄度は、その後の酵素処理を完了するための酵素濃度又は所要時間に影響を及ぼしうることに注意すべきである。例えば、本方法で使用されるキレート剤(一つ又は複数)、抗酸化剤(一つ又は複数)、及び界面活性剤(一つ又は複数)の量が増大すると、スフィンガン溶液の清澄性に影響を及ぼすために使用される酵素の量及び/又は所要時間は減少しうる。
脱アシル化
清澄化の前か後のいずれかで、ジェランガムは一つ又は複数の強又は弱苛性剤、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどで脱アシル化できる。水酸化カリウムが好適な苛性剤である。一態様において、脱アシル化は化学的/酵素的方法による清澄化の後に行われる。別の態様において、脱アシル化はろ過法による清澄化の前に行われる。
【0036】
発酵槽のpHを約9.5〜約12.5、例えば約9.7〜約11.7の範囲に上げるのに足る苛性剤を加える。次にブロスを約190°F(約88℃)〜約210°F(約99℃)の温度で熱処理する。加熱後、pHを、硫酸、塩酸、又はリン酸、好ましくは硫酸のような酸溶液で約3.5〜約9.0、例えば約4.0〜約7.0のpHに下げる。得られたジェラン生成物の脱アシル化度及び性質はアルカリ処理のレベルによって影響されることに注意すべきである。例えば、強アルカリ処理を使用した場合、ジェランガムはさらに脱アシル化されてより堅くて脆いゲルが生成し、分子量は現在市販されている製品のように低下する。他方、穏やかなアルカリ処理を使用した場合、分子量の低下は少なく、さらに穏やかなアルカリ処理レベルでは、ジェランガムのアシル含有量は高くなり(すなわち部分脱アシル化)、より柔軟なゲルが形成される。
【0037】
脱アシル化後、ジェランガムは当該技術分野で周知の方法、例えばイソプロピル又はエチルアルコールの使用によって沈殿させることができる。
食品及び非食品用工業製品
主題のジェランガムは、例えば、飲料、菓子、ジャム及びゼリー、加工食品、水性ゲル、パイの詰め物、デザートゲル、アイシング、乳製品、例えばヨーグルト、プディング、ホイップ、クリーマー、ゲル化ミルク、及びアイスクリームなどのような食品工業における増粘剤として有用である。さらに、主題のゲル化剤は、ゲル化ペットフード、微生物及び組織用培地、液体クリーナー、練り歯磨き、石鹸及びボディソープ、脱臭用ゲル、空気清浄用ゲル、軟質カプセル及び微生物ゲルのその他の公知の工業用途に使用することもできる。
【0038】
本明細書中に記載されたジェランガムの高性能な特性のために、該ジェランガムは標準的な市販の低アシルジェランガムより低い濃度でゲル化機能を提供することが可能になる。使用されるジェランガムの濃度は、使用されている現在市販の製品(Kelcogel(登録商標))の濃度より約15%〜約90%低い、例えば約20%〜約85%低い、約25%〜約75%低い、約30%〜約65%低い、及び約35%〜約55%低い。ジェランガムの量の削減は費用節減を提供し、また、これまで寒天のような低コストのゲル化剤しか使用できなかったその他の用途においても経済的にジェランガムを使用することを可能にする。
【0039】
本発明の高性能ジェランガムは熱安定性を付与するために使用することもできる。一態様において、高性能ジェランガムは多層デザートゲルに使用される。熱的に安定なジェランガムのネットワークが、独特のデザイン及びパターンを有するデザートゲルの形状を85℃での殺菌の間維持するのに役立つ。熱安定性の提供におけるジェランガムの有効性は目視観察又はレオロジー測定によって評価できる。
【0040】
別の態様において、本発明のジェランガムはグミ菓子のために熱安定性を提供する。グミ菓子における熱安定性は、グミ菓子は(熱で)変形し融解するので、グミ菓子の直径の増加を測定することによって評価できる。
【0041】
さらに別の態様において、高性能低アシルジェランガムは、飲用ゼリーの主要構造成分として特徴的な脆いゲルネットワークを提供するために使用される。
本発明の別の態様は、高性能ジェランガムを、望ましいゲルテクスチャーを提供するためにウォーターデザートゲル系に使用するなど、その他のゲル化ハイドロコロイドと共に使用することを提供する。ジェランガムと共に通常使用されるゲル化ハイドロコロイドは、カラギーナン、カラギーナン/ローカストビーンガム系、カラギーナン/コンニャク系、及びキサンタンガム/ローカストビーンガム系などであるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0042】
実施例
以下の実施例は本発明の説明のために提供するものであり、本発明の範囲を何らかの形で制限するものと誤解すべきでない。
【0043】
実施例1
酵素的清澄化、生成物回収、及び0.1%カードメーターゲル強度分析
S.エロデアのPHB欠損株の発酵による発酵槽ブロス(バッチ番号 GB05662)4500Lを50℃の温度に加熱し、機械的撹拌によって混合した。混合を続けながら、200ppmの亜硫酸ナトリウム、100ppmのリゾチーム、及び250ppmのEDTA二ナトリウムを発酵槽に加えた。試薬の混合を2時間続け、この間発酵槽の温度を高めた温度に維持されるよう制御した。次に250ppmのドデシル硫酸ナトリウムを発酵槽ブロスに加え、1時間撹拌した。その後、1000ppmのプロテアーゼ酵素を発酵ブロスに加え、発酵ブロスと3時間混合した。多糖類を脱アシル化するために水酸化カリウムを該ブロスに加え、11.34のpHを達成した。
【0044】
ブロスを、100℃に加熱し、pHを硫酸で調整して5.59に下げ、そして処理発酵ブロス1容量に対して3容量のイソプロパノール/水共沸混合物を用いて沈殿させて回収した。沈殿した繊維をトレイ乾燥機で乾燥させ、摩砕して微粉末にした。1グラムの乾燥粉末サンプルを周囲温度で950mlの純水でもどした。粉末を600rpmで約2分間混合することによって分散させた。サンプルを含有するビーカーを約100℃に維持された水浴に入れた。サンプルの混合をサンプルが90℃に達するまで続けた。次に撹拌をさらに10分間続けた。次に、61.6g/lの乳酸カルシウム10mlを熱サンプルに加え、さらに1分間撹拌した。次に、サンプルを総溶液重量が1000gになるまで熱純水を加えることによって調整した。サンプルをさらに1分間混合した後、ゼリーカップに注いで栓をした。次いでサンプルを8℃の水浴に約2時間入れて置いた。
【0045】
ゲル強度は、Neo Curdmeter(登録商標)Model ME−303で測定した。この測定では、Neo Curdmeter(登録商標)の操作マニュアルに記載されているように、100グラムのバネ、延長ロッド、5.6mmのプランジャー、及び100グラム荷重のセルウェイトを使用した。このサンプルの場合、0.1%のグラムカードメーターゲル強度は317g/cmであった。
【0046】
実施例2
酵素的清澄化、生成物回収、及びテクスチャープロファイル分析
S.エロデアのPHB欠損株の発酵による発酵槽ブロス(バッチ番号 GB05443)4500Lを50℃の温度に加熱し、機械的撹拌によって混合した。混合を続けながら、200ppmの亜硫酸ナトリウム、100ppmのリゾチーム、及び250ppmのEDTA二ナトリウムを発酵槽に加えた。試薬の混合を2時間続け、この間発酵槽の温度を高めた温度に維持されるよう制御した。次に250ppmのドデシル硫酸ナトリウムを発酵槽ブロスに加え、1時間撹拌した。その後、1000ppmのプロテアーゼ酵素を発酵ブロスに加え、発酵ブロスと3時間混合した。多糖類を脱アシル化するために水酸化カリウムを該ブロスに加え、11.13のpHを達成した。
【0047】
ブロスを、100℃に加熱し、pHを硫酸で調整して5.51に下げ、そして処理発酵ブロス1容量に対して3容量のイソプロパノール/水共沸混合物を用いて沈殿させることによって回収した。沈殿した繊維をトレイ乾燥機で乾燥させ、摩砕して微粉末にした。1.5グラムの乾燥粉末サンプルを305gの脱イオン水でもどし、周囲温度で800rpmで1分間撹拌しながら混合した。混合物を90℃に加熱後、熱源を止め、混合物を1分間撹拌した。次に、3mLの0.6M塩化カルシウムストック溶液を加え、さらに1分間撹拌した。混合物の重量を予熱した脱イオン水で301gに増やし、再度30秒間撹拌した。表面の気泡をスプーンで除去し、溶液をテクスチャープロファイル分析(“TPA”)リング(グリース塗布)に注ぎ入れた。これを一晩保持してゲル化した。
【0048】
次に該ゲルをTPAによって試験した(Sanderson,G.R.ら,ジェランガムゲルのテクスチャー(The Texture of Gellan Gum Gels),Gums and Stability for the Food Industry,4:219−227(1988))。これは自立ゲルの圧縮試験である。サンプルを元の高さの20%に2インチ/分の速度で2回圧縮した。モジュラス、硬度、脆性及び弾性を測定した。硬度の測定は、最初の圧縮サイクル時の最大力で、サンプルのゲル化性能(ゲル強度)を表す。TPA硬度25.7ポンド(lb)が測定された。
【0049】
実施例3
酵素的清澄化、生成物回収、及び熱粘度測定
S.エロデアのPHB欠損株の発酵による発酵槽ブロス(バッチ番号 GB05341)4500Lを50℃の温度に加熱し、機械的撹拌によって混合した。混合を続けながら、200ppmの亜硫酸ナトリウム、100ppmのリゾチーム、及び250ppmのEDTA二ナトリウムを発酵槽に加えた。試薬の混合を2時間続け、この間発酵槽の温度を高めた温度に維持されるよう制御した。次に250ppmのドデシル硫酸ナトリウムを発酵槽ブロスに加え、1時間撹拌した。その後、1000ppmのプロテアーゼ酵素を発酵ブロスに加え、発酵ブロスと3時間混合した。多糖類を脱アシル化するために水酸化カリウムを該ブロスに加え、11.48のpHを達成した。
【0050】
ブロスを、100℃に加熱し、pHを硫酸で調整して5.4に下げ、そして処理発酵ブロス1容量に対して3容量のイソプロパノール/水共沸混合物を用いて沈殿させることによって回収した。沈殿した繊維をトレイ乾燥機で乾燥させ、摩砕して微粉末にした。3.0グラムの乾燥粉末サンプルを、90℃の水浴中で、300mLの脱イオン水を含有するビーカーに撹拌しながら徐々にもどした。熱ビーカーを天秤で秤量し、溶液の内容量を脱イオン水で300グラムに増やし、20秒間撹拌した。10mLシリンジを用い、8mLの溶液を、熱水浴に接続されたウォータージャケット付きBrookfield LV 粘度計の小サンプルアダプタカップに注入した。水浴中で予熱されたスピンドル#18を用い、1%ジェランガムの90℃熱粘度を12rpmの粘度計速度で測定した(rpmは粘度の測定値が範囲内になるように調整された)。239cPという熱粘度が測定された。熱粘度は多糖類サンプルの分子量、ひいてはゲル化性能に関係すると考えられる。
【0051】
実施例4
Kelcogel(登録商標)と高性能ジェランガムの0.1%カードメーターゲル強度の比較
いくつかの4500リットルのS.エロデアの発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。ただし、水酸化カリウム添加後に達成された脱アシル化pHはバッチごとに異なっていた。処理された発酵ブロスを実施例1の手順に従って回収し乾燥粉末にした。0.1%カードメーターゲル強度を実施例1に記載のように測定した。発酵バッチ番号、脱アシル化pH、及び0.1%カードメーターゲル強度を、比較のために3種類の市販低アシルジェランガムバッチ(Kelcogel(登録商標))と共に表1に示す。データは、0.1%カードメーターゲル強度は実験バッチの方が著しく高いことを示している。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例5
Kelcogel(登録商標)と高性能ジェランガムのテクスチャープロファイル分析
いくつかの4500リットルのS.エロデアの発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。ただし、水酸化カリウム添加後に達成された脱アシル化pHはバッチごとに異なっていた。処理された発酵ブロスを実施例1の手順に従って回収し乾燥粉末にした。テクスチャープロファイル分析(“TPA”)を実施例2に記載のように測定した。発酵バッチ番号、脱アシル化pH、及びTPA硬度(lb)を、比較のために3種類の市販低アシルジェランガムバッチ(Kelcogel(登録商標))と共に表2に示す。データは、TPA硬度値は実験バッチの方が著しく高いことを示している。
【0054】
【表2】

【0055】
実施例6
Kelcogel(登録商標)と高性能ジェランガムの熱粘度測定値の比較
いくつかの4500リットルのS.エロデアの発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。ただし、水酸化カリウム添加後に達成された脱アシル化pHはバッチごとに異なっていた。処理された発酵ブロスを実施例1の手順に従って回収し乾燥粉末にした。熱粘度を実施例3に記載のように測定した。発酵バッチ番号、脱アシル化pH、及び熱粘度(センチポアズ)を、比較のために3種類の市販低アシルジェランガムバッチ(Kelcogel(登録商標))と共に表3に示す。データは、1%ジェランガムの90℃熱粘度値は実験バッチの方が著しく高いことを示している。
【0056】
【表3】

【0057】
実施例7
0.1%カードメーターゲル強度に及ぼす脱アシル化pHの影響
いくつかの4500リットルのS.エロデアの発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。ただし、脱アシル化pHは水酸化カリウムの添加量を変更することによってバッチの回収中様々に変更された。脱アシル化後、処理され脱アシル化された発酵ブロスを実施例1の手順に従って回収し乾燥粉末にした。0.1%カードメーターゲル強度を実施例1に記載のように測定した。発酵バッチ番号、脱アシル化pH、及び0.1%カードメーターゲル強度を表4に示す。データは、典型的には脱アシル化pHが低いほど高いカードメーターゲル強度が達成されていることを示している。
【0058】
【表4】

【0059】
実施例8
TPA硬度及び熱粘度に及ぼす脱アシル化pHの影響
いくつかの4500リットルのS.エロデアの発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。ただし脱アシル化pHは水酸化カリウムの添加量を変更することによってバッチの回収中様々に変更された。脱アシル化後、処理され脱アシル化された発酵ブロスを実施例1の手順に従って回収し乾燥粉末にした。TPA硬度及び熱粘度をそれぞれ実施例2及び3に記載のように測定した。発酵バッチ番号、脱アシル化pH、TPA硬度及び熱粘度を表5に示す。データは、典型的には脱アシル化pHが低いほど高いTPA硬度値及び1%ジェランガムの90℃熱粘度が達成されていることを示している。
【0060】
【表5】

【0061】
実施例9
ゲル透過クロマトグラフィー/多角度光散乱(“GPC/MALLS”)による相対分子量測定
市販のKelcogel(登録商標)と本発明の高性能ジェランガムの希ストック水溶液を、200mlの脱イオン水に0.01グラムのエチレンジアミン四酢酸(“EDTA”)と共に0.20グラムのジェランサンプルを溶解することによって調製した。該溶液を50℃に加熱し、冷却した後、予め0.2ミクロンのフィルタを通してろ過した25mMのテトラメチルアンモニウムクロリド中で選択濃度(0.033〜0.050%ジェラン)にまで希釈した。
【0062】
GPC/MALLSシステムは、Waters 600コントローラー、Waters 610 HPLCポンプ、Waters 717+自動サンプラー、一連の2個のGPCカラム(30cmのWaters Ultrahydrogel 2000カラムと30cmのWaters Ultrahydrogel Linearカラム)、DAWN DSPレーザー光度計(Wyatt Technology Corp.,カリフォルニア州サンタバーバラ)及びWaters 410示差屈折計(すべてのWaters製品はWaters Corp.,マサチューセッツ州ミルフォードより)で構成されていた。次に、0.10mLのサンプルを溶離液流に注入し(25mMテトラメチルアンモニウムクロリド、0.50ml/分)、サイズ排除クロマトグラフィーカラムによって分子サイズに基づいて分離した。カラムからのサンプルの溶離に従い、相対分子量と濃度のプロファイルが光散乱及び屈折率検出器によって決定された。屈折率増分(dn/dc)の指数0.145を用いてサンプルの濃度(及び相対分子量)を溶離体積の関数として決定した。文献報告値(Paolettiら、Carbohydrate Polymers,15:171(1991))及び何が水性塩溶液中の多糖類に典型的であるかということを基に、この値を選択した。
【0063】
相対的な重量平均(“Mw”)及び数平均(“Mn”)分子量を光散乱検出器#8〜16の直線外挿を用いて計算した。3個の市販Kelcogel(登録商標)ジェランガムサンプルの重量平均及び数平均分子量を平均して対照の相対分子量とし、これに1.0の値を与えた。これによって実験バッチを市販品と比較するための標準値が提供された。相対分子量の結果を表6に示す。結果は、この方法論によれば、市販のKelcogel(登録商標)サンプルは本発明の高性能低アシルジェランガムのサンプルより分子量が著しく低いことを示している。データは、高性能低アシルジェランガムサンプルの平均Mwは、対照の市販低アシルジェランガムサンプルの平均の1.83倍であったことを示している。
【0064】
【表6】

【0065】
実施例10
原子間力顕微鏡法(“AFM”)による相対分子量測定
0.1%ジェランガム溶液を、0.1gのジェランを100mLの脱イオン水中に水和し、50℃に加熱することによって調製した。これらのストック溶液をAFM測定のために脱イオン水でさらに希釈した。0.1%ジェラン溶液の一部を10μLピペットを用いて採取し、10mL又は20mLの脱イオン水で希釈した。これらの希釈ジェラン溶液25μL(0.5ppm及び1.0ppm)を劈開したばかりの雲母表面にスプレーし、約50℃の真空オーブン中で30分間乾燥させた。
【0066】
乾燥サンプルをNanoscope(登録商標)IIIa(Veeco Instruments Inc.,ニューヨーク州ウッドベリー)を用いて画像化した。タッピングモード用にエッチングされたシリカ(“TESP”)のチップによるタッピングモード(断続接触モード)において、200μLの「J」段階を使用した。一連の少なくとも10個の5μL×5μLのスキャン結果を各サンプルについて雲母表面全体の様々な位置で収集した。ジェラン鎖の径路長(contour length)を各サンプルについて少なくとも2個の代表的な5μL×5μLのスキャンイメージを用いて測定した。およそ200の分子の径路長を各サンプルについて測定し、相対分子量の平均と分布を得た。
【0067】
2個の市販Kelcogel(登録商標)サンプル(ロット番号5G3908A及び5G3928A)と1個の本発明の高性能ジェランガムのサンプル(バッチ番号GB05810−3)の分子量をAFMで分析した。2個の市販Kelcogel(登録商標)ジェランガムサンプルの径路長を平均して対照の相対分子量とし、これに1.0の値を与えた。これによって実験バッチを市販品と比較するための標準値が提供された。相対分子量の結果を表7に示す。カラム“n”は径路長を測定するのに使用した分子の数を表す。AFMの結果は、GPC/MALLSの結果を裏付ける第二の独立した分子量技術としての役割を果たしており、本発明の新規な高性能低アシルジェランガムが市販の低アシルジェランガムより著しく高い分子量を有していることを立証している。
【0068】
【表7】

【0069】
実施例11
高性能低アシルジェランガムの清澄度及びアシル含有量
S.エロデアのPHB欠損株のいくつかの4500リットル発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。実施例1の手順に従って発酵ブロスを水酸化カリウムで脱アシル化した後、回収して乾燥粉末にした。清澄度を測定するため、実施例3の手順に従って3gの乾燥粉末を脱イオン水で1%の濃度にもどした。もどした熱ゲルをチューブに注入し、パーセント透過率を波長490nmで分光光度計で測定した。パーセント透過率を表8に示す。
【0070】
アシル含有量を測定するために、1.5gの乾燥粉末を15gの60%イソプロピルアルコール(“IPA”)と15秒間渦撹拌した。渦撹拌後、液体を5000rpmで10分間遠心分離し、デカントすることによって除去した。これを60%IPAで5回繰り返して未結合有機酸塩を除去し、最後はサンプルの乾燥を容易にするために15gの99%IPAを用いた。最後のデカント後、サンプルを遠心分離管から回収し、50℃の真空オーブン中で一晩乾燥させた。次に、25mgの乾燥粉末を80℃の脱イオン水5mL中にもどした。次に該サンプルを0.5Mのトリフルオロ酢酸(“TFA”)中で一晩100℃で加水分解した。加水分解サンプルを希釈して25mLにし、0.45μLのナイロンディスク型シリンジフィルタを通してろ過した。ろ液中の有機酸をDionex Corporation(カリフォルニア州サニーベール)の、IonPac(登録商標)ICE−AS1イオン排除カラムと導電率検出器を備えたHPLCシステムを用いて定量した。アシル含有率を表8に示す。
【0071】
【表8】

【0072】
実施例12
高性能部分脱アシル化ジェランガムの清澄度及びアシル含有量
S.エロデア(低PHB産生変異株を使用)の二つの4500リットル発酵バッチを実施例1の化学的/酵素的処理法を用いて清澄化した。発酵ブロス実施例1の手順に従って水酸化カリウムで穏やかに脱アシル化し、回収して乾燥粉末にした(バッチ番号GB05341を二つの異なるpH条件で脱アシル化した)。乾燥粉末を実施例3の手順に従って脱イオン水で1%の濃度にもどした。もどした熱ジェランガム溶液をチューブに注入し、パーセント透過率を波長490nmで分光光度計で測定した。また、乾燥粉末のサンプルを脱イオン水でもどし、0.5MのTFA中100℃の温度で18時間加水分解し、加水分解ガムのグリセレート及びアセテート成分をHPLCで測定した。脱アシル化pH、パーセント透過率、及びアシル含有率を表9に示す。
【0073】
【表9】

【0074】
実施例13
殺菌時のデザートゲルの熱安定性を改良するための高性能低アシルジェランガムの使用
3個の高性能低アシルジェランガムサンプル(バッチ番号GB06612−8、GB06405−5、及びGB06622−6)と1個の市販Kelcogel(登録商標)サンプル(ロット番号5G3928A)の、デザートゲル系(表10の配合参照)に熱安定性を提供することにおける相対的有効性をBohlin CVOレオメーター(Malvern Instruments Ltd.,英国ウースターシャー)を用いて比較した。熱デザートゲル溶液の弾性率(“G’”)を、4cm 4°のコーン/プレートのジオメトリーのレオメーターを用いて0.15の歪み及び1Hzで、80℃から20℃に5℃/分で冷却しながら測定した。次にゲルのG’を20℃から90℃に5℃/分で再加熱しながら測定した。デザートゲル系が商業的殺菌プロセス(85℃、30分)の間その完全性を維持するためには、再加熱相中最低5PaのG’が必要であることがこれまでに分かっている。各ジェランガムサンプルを0.0125%〜0.025%の間の3つの異なる濃度で試験し、各サンプルの再加熱中の最小G’をジェラン濃度の関数としてプロットした。次にこのプロットを用いて、5PaのG’を達成するのに必要なジェラン濃度を内挿を用いて決定した。熱安定性の提供における相対的有効性は、5PaのG’を達成するのに必要な濃度として表され、試験した各サンプルの結果を表11に示す。結果は、3個の高性能ジェランガムは、デザートゲル系に同様の熱安定性を提供するのにKelcogel(登録商標)の量より平均して約24%少なくてすむことを示している。
【0075】
【表10】

【0076】
【表11】

【0077】
実施例14
飲用ゼリーにおける高性能低アシルジェランガムの使用
高性能ジェランガムサンプル(バッチ番号GB06623−7)を飲用ゼリーに0.06%〜0.1%の濃度で使用して、0.1%の市販Kelcogel(登録商標)サンプル(ロット番号5G3928A)で製造した対照と比較した。表12に示した配合物を、ジェランガムとクエン酸ナトリウムを混合し、該混合物を撹拌下でDI(脱イオン)水に加えることによって製造した。次に該混合物を90℃に加熱した。次いで残りの成分を加え、90℃で1分間混合した。その後、蒸発による混合物の水分損失を熱DI水で調整した。アルミニウム張りのプラスチック製飲用ゼリーバッグに熱溶液を充填し、ヒートシールした。最後にゼリーバッグを85℃の水浴中で30分間殺菌し、次いで冷水道水を流しながら室温に冷却した。
【0078】
【表12】

【0079】
飲用ゼリーを室温で1週間貯蔵後、シネレシス(ゲルから分離した水分%)及びゲルのテクスチャー(3人のメンバーで構成される味見者による)について評価した。表13に示したシネレシス及び官能評価の結果によれば、高性能ジェランガムの濃度が0.06%〜0.07%のサンプルは、0.1%Kelcogel(登録商標)で製造した対照と類似の飲用ゼリーを提供するようである。従って、現在入手可能なジェランガムと比べると、高性能ジェランガムの必要量はかなり少なくて済む。
【0080】
【表13】

【0081】
実施例15
ゼリー菓子における高性能低アシルジェランガムの使用
市販のKelcogel(登録商標)サンプル(ロット番号5G3901A)と本発明の高性能低アシルジェランガムサンプル(バッチ番号GB06405−5)を、表14に示した典型的なゼリー菓子配合物で比較した。配合物は、やかんでコーンシロップ、高果糖コーンシロップ(ブドウ糖果糖液糖)、及び水(A)を沸騰させることによって製造した。砂糖、ジェランガム、及びリン酸塩(B)を乾燥ブレンドし、次いで混合しながらやかんに分散させた。該混合物を混合しながら沸騰まで持って行き、その後2〜3分間沸騰させてガムの水和を確実にした。砂糖(C)をバッチが冷めないように徐々に加え、沸騰によって溶解した。次に、混合物を混合しながら屈折計可溶性固形分(糖度)79%にまで減じた。次に、酸及びクエン酸塩溶液(D)を混合しながら合わせた(所望であればフレーバー及び着色料を加えることもできる)。最後に、混合物を直ちに、用意されたスターチの型内に置き、屈折計可溶性固形分82〜83%が達成されるまで30℃〜35℃(86°F〜95°F)で2〜3日間保持した。
【0082】
【表14】

【0083】
4個のトライアルを実施した。0.8%Kelcogel(登録商標)の対照1個と0.8%、0.6%及び0.4%の濃度レベルの高性能ジェランガム3個である。サンプルを直径25mm、高さ10mmのディスク形にスターチモールドした。完成したサンプルを70%の圧縮でTPA硬度について試験した。報告値は、1個のトライアルにつき5個のサンプルの平均TPA硬度±標準偏差であり、表15に示す。
【0084】
【表15】

【0085】
対照濃度(0.8%)では、高性能ジェランガムはKelcogel(登録商標)ジェランガムより233%高い平均TPA硬度値を実現した。さらに、0.4%の濃度の高性能ジェランガムは対照濃度(0.8%)のKelcogel(登録商標)ジェランガムと等価のTPA硬度を達成している。このことは、ゼリー菓子ではKelcogel(登録商標)ジェランガムは約50%少ない高性能ジェランガムで置き換えられることを示している。
【0086】
実施例16
グミ菓子に熱安定性を提供するための高性能低アシルジェランガムの使用
市販のKelcogel(登録商標)サンプル(ロット番号6A5307A)と本発明の高性能ジェランガムサンプル(バッチ番号GB06622−8)を、表16に示したグミ菓子配合物で比較した。配合物は、まず水とゼラチン(A)のゼラチン前溶液を製造し、該溶液を60℃(140°F)に3〜4時間保持して溶解させた。その間、コーンシロップ、水、及びクエン酸ナトリウム溶液(B)をやかんに沸騰させた。次に、砂糖及びジェランガム(C)を乾燥ブレンドし、混合しながらやかんに分散させた。該混合物を混合しながら沸騰まで持って行き、2〜3分間沸騰させてガムの水和を確実にした。次に砂糖(D)をバッチが冷めないように徐々に加え、沸騰によって溶解した。次に、混合物を混合しながら屈折計可溶性固形分85〜86%にまで減じた。その後、ゼラチン前溶液(A)を加え、よく混合した。次に酸(E)をフレーバー及び着色料(所望により)と共に混合しながら加えた。混合物は屈折計可溶性固形分約77%であった。最後に、該混合物を用意されたスターチモールドに直ちにデポジットし、屈折計可溶性固形分81〜82%が達成されるまで25℃〜30℃(77°F〜86°F)で2〜3日間保持した。
【0087】
【表16】

【0088】
5個のトライアルを実施した。1個はジェランガムなし(“ゼラチン対照”)、2個はKelcogel(登録商標)(0.24%及び0.12%)、そして2個は高性能ジェランガム(0.12%及び0.06%)で実施した。サンプルを直径25mm、高さ10mmのディスク形にスターチモールドした。各完成サンプルを蒸気不透過性の延伸ポリプロピレンヒートシールバッグに包装し、45℃の実験室オーブンで熱安定性を試験した。サンプルはこの高めた温度で変形し融解するので、サンプルの直径は増加した。8時間後、サンプルの平均直径を測定し、サンプルの平均直径の増加を計算した。測定結果を表17に示す。
【0089】
【表17】

【0090】
ゼラチン対照と比べて、評価したいずれのタイプ及びいずれの濃度のジェランガムも、平均直径の増加量は著しく少なかった。しかしながら、観察を通じて、10%の平均直径増加率が、サンプルが容認できる熱安定性を有するとみなすための最大許容レベルであると判断された。0.24%のKelcogel(登録商標)サンプルは適切な熱安定性を達成した(すなわち平均直径増加率が≦10%であった)。これに対し、高性能ジェランガムはわずか0.06%の濃度で適切な熱安定性を達成していた。この熱安定性の測定によれば、Kelcogel(登録商標)はグミ菓子では約75%低い濃度の高性能ジェランガムで置き換えることができる。
【0091】
実施例17
ウォーターデザートゲルにおけるテクスチャー改質剤としての高性能低アシルジェランガムの使用
2個のデザートゲルを製造する。ゲルAはKelcogel(登録商標)を含み、ゲルBは高性能低アシルジェランガムを含み、どちらもさらにキサンタンガム及びローカストビーンガムを含む。デザートゲルの配合を表18に示す。ゲルAはゲルBより多量のジェランガムを有するが、ゲルA及びゲルBともに非常に類似したゲルテクスチャーと食感品質を有する。従って、Kelcogel(登録商標)ジェランガムと同じ効果を提供するのに高性能低アシルジェランガムは少量で済む。
【0092】
【表18】

【0093】
以上、本発明を現時点でその好適な態様と考えられることに関して記載してきたが、本発明は上記の態様に限定されないことは理解されるべきである。それどころか、本発明は添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる様々な変形及び等価のアレンジもカバーするものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェランガムの製造法であって、
a.スフィンゴモナス・エロデアを発酵ブロス中で発酵させるステップと;
b.発酵ブロスを化学的/酵素的方法によって清澄化するステップと;
c.清澄化発酵ブロスを苛性剤で脱アシル化するステップと;そして
d.発酵ブロスからジェランガムを沈殿させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
沈殿ジェランガムが、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
沈殿ジェランガムが、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約325g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約125g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約150g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約175g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約200g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約225g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約250g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約275g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約325g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約117g/cm〜約400g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約117g/cm〜約156g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
沈殿ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約125g/cm〜約250g/cmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
S・エロデアがPHB欠損株である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
清澄化ステップが、
a.約30℃〜約70℃の範囲の温度に加熱するステップと;
b.一つ又は複数のキレート剤及び一つのリゾチーム酵素と組み合わせた一つ又は複数の抗酸化剤で処理するステップと;
c.一つ又は複数の界面活性剤で処理するステップと;そして
d.プロテアーゼ酵素で処理するステップと
を含む、請求項1又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
抗酸化剤が亜硫酸ナトリウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、陽イオン交換樹脂、エチレンジアミン二塩酸塩、エチレンジアミン二酢酸塩、エチレンジアミンリチウム塩、及びエチレンジアミン二ヨウ化水素酸塩からなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
キレート剤がエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
キレート剤がクエン酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、レシチン、モノグリセリド類、モノグリセリド類の酒石酸エステル類、リン酸化モノグリセリド類、ラクチル化モノグリセリド類、アセチル化モノグリセリド類、スクシニル化モノグリセリド類、エトキシル化モノグリセリド類、ソルビタンエステル類、ポリソルベート類、ポリグリセロールエステル類、スクロースエステル類、ステアロイル乳酸ナトリウム、及びプロピレングリコールエステル類からなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
苛性剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムからなる群から選ばれる、請求項1又は請求項17に記載の方法。
【請求項26】
苛性剤が水酸化カリウムである、請求項1又は請求項17に記載の方法。
【請求項27】
請求項1又は請求項17に記載の方法によって製造されるジェランガム。
【請求項28】
ジェランガムが、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項29】
ジェランガムが、0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約325g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項30】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項31】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約125g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項32】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約150g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項33】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約175g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項34】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約200g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項35】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約225g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項36】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約250g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項37】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約275g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項38】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項39】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約325g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項40】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約117g/cm〜約400g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項41】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約117g/cm〜約156g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項42】
ジェランガムが、0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、約125g/cm〜約250g/cmを有する、請求項27に記載のジェランガム。
【請求項43】
ジェランガムが0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約300g/cmを有する、約2.0%未満の総アシル含有量を含むジェランガム。
【請求項44】
0.2%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約325g/cmである、請求項43に記載のジェランガム。
【請求項45】
ジェランガムが0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有する、約2.0%未満の総アシル含有量を含むジェランガム。
【請求項46】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約125g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項47】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約150g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項48】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約175g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項49】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約200g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項50】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約225g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項51】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約250g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項52】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約275g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項53】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約300g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項54】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が少なくとも約325g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項55】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が約117g/cm〜約400g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項56】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が約117g/cm〜約156g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項57】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が約125g/cm〜約250g/cmである、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項58】
再水和された水中1%のジェランガムが約60%より大きい光透過率を有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項59】
再水和された水中1%のジェランガムが約70%より大きい光透過率を有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項60】
再水和された水中1%のジェランガムが約80%より大きい光透過率を有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項61】
ジェランガムが、テクスチャープロファイル分析硬度、少なくとも約9ポンド(lb)を有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項62】
ジェランガムが、テクスチャープロファイル分析硬度、少なくとも約15lbを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項63】
ジェランガムが、テクスチャープロファイル分析硬度、少なくとも約20lbを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項64】
ジェランガムが、テクスチャープロファイル分析硬度、少なくとも約25lbを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項65】
ジェランガムが、1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約25cPを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項66】
ジェランガムが、1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約75cPを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項67】
ジェランガムが、1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約175cPを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項68】
ジェランガムが、1%ジェランガムの90℃熱粘度、少なくとも約300cPを有する、請求項45に記載のジェランガム。
【請求項69】
再水和された水中1%のジェランガムが少なくとも約60%の光透過率を有する、約2.0%〜約15%の総アシル含有量を含むジェランガム。
【請求項70】
光透過率が少なくとも約70%である、請求項69に記載のジェランガム。
【請求項71】
光透過率が少なくとも約80%である、請求項69に記載のジェランガム。
【請求項72】
請求項45又は請求項69に記載のジェランガムを含む工業製品。
【請求項73】
製品が、飲料、菓子、ジャム及びゼリー、加工食品、水性ゲル、パイの詰め物、デザートゲル、アイシング、ヨーグルト、プディング、ホイップ、クリーマー、ゲル化ミルク、及びアイスクリームからなる群から選ばれる、請求項72に記載の工業製品。
【請求項74】
製品が、ゲル化ペットフード、微生物及び組織用培地、液体クリーナー、練り歯磨き、石鹸及びボディソープ、脱臭用ゲル、空気清浄用ゲル、及び軟質カプセルからなる群から選ばれる、請求項72に記載の工業製品。
【請求項75】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約15%〜約90%低い濃度で使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項76】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約20%〜約85%低い濃度で使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項77】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約25%〜約75%低い濃度で使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項78】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約30%〜約65%低い濃度で使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項79】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約35%〜約55%低い濃度で使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項80】
ジェランガムが、カラギーナン、ローカストビーンガム、コンニャク、及びキサンタンガムからなる群から選ばれる少なくとも一つのゲル化ハイドロコロイドと共に使用される、請求項72に記載の工業製品。
【請求項81】
請求項27に記載のジェランガムを含む工業製品。
【請求項82】
製品が、飲料、菓子、ジャム及びゼリー、加工食品、水性ゲル、パイの詰め物、デザートゲル、アイシング、ヨーグルト、プディング、ホイップ、クリーマー、ゲル化ミルク、及びアイスクリームからなる群から選ばれる、請求項81に記載の工業製品。
【請求項83】
製品が、ゲル化ペットフード、微生物及び組織用培地、液体クリーナー、練り歯磨き、石鹸及びボディソープ、脱臭用ゲル、空気清浄用ゲル、及び軟質カプセルからなる群から選ばれる、請求項81に記載の工業製品。
【請求項84】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約15%〜約90%低い濃度で使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項85】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約20%〜約85%低い濃度で使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項86】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約25%〜約75%低い濃度で使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項87】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約30%〜約65%低い濃度で使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項88】
ジェランガムが、工業製品に使用される現在入手可能な市販の低アシルジェランガムの濃度より約35%〜約55%低い濃度で使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項89】
ジェランガムが、カラギーナン、ローカストビーンガム、コンニャク、及びキサンタンガムからなる群から選ばれる少なくとも一つのゲル化ハイドロコロイドと共に使用される、請求項81に記載の工業製品。
【請求項90】
ジェランガムが0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度、少なくとも約117g/cmを有するジェランガムの製造法であって、
a.スフィンゴモナス・エロデアを発酵ブロス中で発酵させるステップと;
b.清澄化発酵ブロスを苛性剤で脱アシル化するステップと;
c.発酵ブロスをろ過によって清澄化するステップと;そして
d.清澄化された発酵ブロスからジェランガムを沈殿させるステップと
を含む方法。
【請求項91】
0.1%ジェランガムのカードメーターゲル強度が約117g/cm〜約400g/cmである、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
S・エロデアがPHB欠損株である、請求項90に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−512750(P2010−512750A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541536(P2009−541536)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087111
【国際公開番号】WO2008/076719
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(506128352)シーピー・ケルコ・ユーエス・インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】