距離計測方法および装置
【課題】 本発明は,複数の周波数を発振する光源からの光を光変調器を用いて光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることを目的とする。
【解決手段】 本発明は複数の異なる周波数の光を発振する光源と、前記光源からの光と、測定対象に照射されてから反射された前記光源からの光との周波数を変調する光変調器と、前記光変調器に電圧信号を入力する発振器と、前記光変調器により変調された光信号を検出する検出器と、前記検出器により検出された光信号の位相から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置を提供する。
【解決手段】 本発明は複数の異なる周波数の光を発振する光源と、前記光源からの光と、測定対象に照射されてから反射された前記光源からの光との周波数を変調する光変調器と、前記光変調器に電圧信号を入力する発振器と、前記光変調器により変調された光信号を検出する検出器と、前記検出器により検出された光信号の位相から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中・大物製品(タービン,鉄道車両,エスカレータ,自動車,飛行機等)の形状を高精度に測定するための距離計測方法および距離計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の距離計測装置は,フェムト秒モード同期パルスレーザ装置を用いている。
【0003】
特許文献2の距離計測装置は,連続光に対して変調用光変調器により,周波数変調を加え,対象物に照射し,反射光を復調用光変調器により復調し,検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-184181号公報
【特許文献2】特許第3089376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の距離計測装置は,数十μmの精度で距離計測を行うためには最も周期の短い物差しとして,数mm程度を用いる必要があり(位相測定精度2π/100程度の場合),周波数として数十GHz程度を取り扱う必要がある。数十GHz帯の高周波対応製品は高価であり,装置コストがかかってしまう。
【0006】
特許文献2の距離計測装置は,光変調器によって発生する高次の周波数成分は強度を強くすることが困難であり,対象物が粗面や傾斜面のように反射光強度が弱い場合,光変調器によって変調,復調された高次の周波数成分の信号検出することが難しい。また変調用の発振器および復調用の発振器を用いており,電気的なクロストークが発生し,測定結果にサイクリックエラーが生じてしまう。
【0007】
本発明は,上記問題点鑑み,複数の周波数を発振する光源からの光を光変調器を用いて光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は複数の異なる周波数の光を発振する光源と、前記光源からの光と、測定対象に照射されてから反射された前記光源からの光との周波数を変調する光変調器と、前記光変調器に電気信号を入力する発振器と、前記光変調器により変調された光信号を検出する検出器と、前記検出器により検出された光信号の位相から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置を提供する。
【0009】
また、他の観点における本発明は、光源から複数の異なる周波数の光を発振して測定対象に照射し,前記光源からの光と測定対象から反射された光との周波数を変調し,変調された光を検出器によって検出し,検出された前記測定対象から反射された光と発振された光との光信号の位相から距離を算出することを特徴とする距離計測方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,複数の周波数を発振する光源からの光を光変調器を用いて光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1(a)】第1の実施例における光コムを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図1(b)】第1の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図2(a)】第2の実施例における2本のLDを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図2(b)】第2の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図3(a)】第3の実施例における電界吸収型変調器の構造を説明する図である。
【図3(b)】第3の実施例において電界吸収型強度変調器を通過した後の周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図4(a)】第3の実施例における光コムを光源として,電界吸収型変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図4(b)】第3の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図5(a)】第4の実施例における2本のLDを光源として,電界吸収型変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図5(b)】第4の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図6(a)】第5の実施例における光コムを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンし,複数種類のバンドパスフィルタによって周波数の異なるビート成分を抽出する装置構成図である。
【図6(b)】第5の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図7(a)】第6の実施例における複数の周波数の異なるLDを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンし,複数種類のバンドパスフィルタによって周波数の異なるビート成分を抽出する装置構成図である。
【図7(b)】第6の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図8】第7の実施例におけるタイムオブフライト法と第5,第6の実施例を組み合わせた装置構成図である。
【図9】第8の実施例における実施例1から7で述べた距離計測光学系機構を搭載した3次元距離計測装置構成図である。
【図10(a)】第9の実施例におけるLD2本の差周波数を一定に保つための装置構成図である。
【図10(b)】第9の実施例における電界吸収型変調器を用いた装置構成図である。
【図10(c)】第9の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図11】光コムの原理図である。
【図12(a)】多波長による絶対距離計測の説明図である。
【図12(b)】長距離を高精度に測定する原理を示す図である。
【図13】光コムを用いた距離計測装置構成図である。
【図14(a)】マッハツェンダ型光導波路強度変調器の説明図である。
【図14(b)】光変調器を通過した後の光スペクトルを示すグラフである。
【図15】光変調器を用いた距離計測装置構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【0013】
図11にフェムト秒モード同期パルスレーザの特性について示す。フェムト秒モード同期パルスレーザは時間領域において非常にパルス間隔が安定した超短パルス列である。この超短パルス列をフーリエ変換すると多数の安定な光周波数モード列が一定な周波数の間隔で並ぶ。この光周波数モード列が櫛の歯のように離散スペクトル構造を示すため,光(周波数)コムと呼ばれている。また櫛の歯同士間の周波数間隔を繰返し周波数(frep)と呼んでいる。frepは超短パルス列のパルス間隔の逆数である。光周波数コムを検出器にて検出するとfrepの整数倍の周波数(frep、2frep、3frep・・・の周波数)が検出される。これを光電変換(逆フーリエ変換)すると,モード間のビート信号が検出される。このビート信号を距離計測の物差しとして用いる。
【0014】
図12(a)に光コムを用いた高精度距離計測装置を示す。光コムを光源1201として用いる。ビームの一部は,ビームスプリッタ1202で分けられ,受光器1203によって検出されて参照信号として用いられる。ビームの主要な部分は測定対象1205に照射され,反射光が再び本体に戻り,受光器1204によって光検出されてプローブ信号となる。プローブ信号に含まれる多数の周波数成分の中から,距離計測に用いる周波数成分をバンドパスフィルタによって選別し,参照信号との位相差を位相計119によって測定し,距離情報120を得る。
【0015】
図12(b)に長距離を高精度に測定する原理を示す。まず測定範囲が一周期以内となる周期の長い物差し1を用いて,低精度にて距離計測を行う。次に物差し1で求めた精度が一周期以内となる周期の物差し2を用いて,距離計測精度を高める。最終的に目標となる精度が得られる周期の物差し3にて高精度に距離計測を行う。
【0016】
図13に光コムを用いた距離計測装置の構成図を示す。本構成の場合,40GHzのビート信号を検出するために40GHz対応の検出器1301,ミキサ1302,発振器103,パワーデバイダ106が必要となる。この場合,取り扱う周波数として40GHz(物差し長さ3.75mm)を想定している。図13に示す距離計測装置は,数十μmの精度で距離計測を行うためには最も周期の短い物差しとして,数mm程度を用いる必要があり(位相測定精度2π/100程度の場合),周波数として数十GHz程度を取り扱う必要がある。数十GHz帯の高周波対応製品は高価であり,装置コストがかかるという問題点がある。
【0017】
図14に光変調器の一例であるマッハツェンダ型光導波路強度変調器を示す。図14(a)に示すように入力ポートから入射した光は2分岐され,一方の導波路に入射した光はそのまま通過し,もう一方の導波路に入射した光に対しては,素子に電圧を加えることにより光路中の屈折率変化を与えることによって,位相変調がかけられる。両導波路を通過した光が合流すると,位相差によって強めあったり弱めあったりするため,光強度に変調を加えることができる。図14(b)に光変調器を通過した後の光スペクトルを示す。光変調器に加える電圧の変調周波数をdωとすると,入射する連続光の周波数ωに対して,ω±dωの±1次の成分,ω±2dωの±2次の成分,ω±3dωの±3次の成分と連続光の周波数に対してサイドバンドが生じる。各次数のサイドバンド強度は光変調器に加えるバイアス電圧を変えることによって調整可能である。
【0018】
図15に光変調器を用いた高精度距離計測装置の構成図を示す。光源1501からは連続光が照射され変調用の光変調器1502に入射される。発振器1505から周波数fの電圧変調を光変調器1502にかけることによって,入射した光に対して,周波数f のn倍の周波数変調nfを与えることができる。光変調器1502を通過した光はファイバコリメータ107により,空間中に伝播し,偏光ビームスプリッタ108,λ/4板109を通過し,対象物110に照射される。反射光は再度λ/4板109,偏光ビームスプリッタ108を通過し,復調用の光変調器1503に入射される。発振器1506から復調用の光変調器に加える電圧の変調周波数をf+dfとすると,n倍の周波数変調nf+ndfを光に与えることができ,変調用の光変調器で加えた変調周波数との差周波数であるndfの変調周波数成分が射出される。よって,dfとして十分小さい値(数MHz〜数kHz)を選べば,周波数応答の遅い検出器1504によって,高精度な距離計測が可能となる。また加える電圧の変調周波数のn倍の変調信号を使うので,発振器の周波数のn倍の精度で距離計測が可能となる。
【0019】
一方、図15に示す距離計測装置は,光源1501からの連続光が光変調器(1502、1503)を2度通ることになり、特に高次の周波数成分は減衰されやすい。従って、高次の周波数成分は強度を強くすることが困難であり,対象物が粗面や傾斜面のように反射光強度が弱い場合,光変調器によって変調,復調された高次の周波数成分の信号検出することが難しい。また変調用の発振器および復調用の発振器を用いており,電気的なクロストークが発生し,測定結果にサイクリックエラーが生じてしまうという問題点がある。
【実施例1】
【0020】
上記図11、図15に示す距離計測装置の問題点に鑑み、開発された実施例1における,光コムおよび光導波路強度変調器を用いて高精度に距離計測を行う方法について図1(a)、図1(b)を用いて説明する。
【0021】
図1(a)は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。本実施例では、光源として、図11で説明した離散した複数の光周波数の光を発振する光コムを用いる。光コム発生器101から照射された光コムはファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,光導波路強度変調器112に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて光導波路強度変調器116に入射する。発振器103は周波数fの電気信号を発生させ,パワーデバイダ106により2分岐して,それぞれ光導波路強度変調器112,116に入力される。発振器103で発生する電気信号の周波数によって、光導波路強度変調器112,116で変調させる周波数が決まる。光導波路強度変調器112を通過した光は受光器113によって電気信号に変換され,フィルタ114によって距離計測に用いる周波数成分のみを抽出し,位相計119の参照信号として入力される。光導波路強度変調器116を通過した光も同様に受光器117によって電気信号に変換され,フィルタ118によって距離計測に用いる周波数成分のみを抽出し,位相計119の測定信号として入力される。位相計119によって位相を算出し,距離演算回路120によって距離を演算する。
【0022】
図1(b)に光導波路強度変調器を用いて光コムを光ビートダウンする原理を示す。例えば、光コムの繰返し周波数(frep)を10.0001MHzとすると周波数上で10.0001MHz間隔にスペクトルが存在する。あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔は100.001GHzとなる。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,基準信号発生器104により駆動される発振器103から光導波路強度変調器112、116に周波数変調を加え,1次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。発振器103の発振周波数として100GHzを与えると,あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして受光器113で検出することが可能となる。また2次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として50GHzを与え,同様にしてあるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。同様にしてn次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器の発振周波数として100/n GHzを与え,同様にしてあるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。即ち、光導波路強度変調器112,116は、発振器103から入力された周波数のn倍の周波数の光変調(光ビートダウン)を行うことができる。また、高次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。さらに、光コム101から照射された光は、光導波路強度変調器112または光導波路強度変調器116を一度しか通過しないため、高次の周波数成分の減衰を最小限に抑えることができ、高次の周波数成分を高精度で検出することができる。
【0023】
光コム101の発振周波数と発振器103の発振周波数には周波数揺らぎが含まれるため,光ビートダウンした信号の周波数が揺らぎ,位相測定精度に悪影響を与える可能性がある。本実施例では、光ビートダウン信号の周波数を一定に保つために発振器102を備える。光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。このとき基準信号発生器104からの信号をパワーデバイダ105により2分岐し,それぞれ発振器103と102の外部リファレンス信号とすることにより2つの発振器間で位相同期を取る必要がある。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0024】
本実施例によれば、光源として光コム101を用い,光導波路強度変調器112、116を用いて光コム101の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度を高めることができる。
【実施例2】
【0025】
本発明の実施例2について図2(a)、図2(b)を用いて説明する。
【0026】
本実施例では,光源として光コムを用いるのではなく,LD2本を用いる装置の例を説明する。図2(a)は、実施例2におけるLD2本を用いる装置を示す構成図の例である。図2(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0027】
光源として発振周波数のわずかに異なるLD201とLD202を用いる。カップラ203によって同一光路となり,ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,光導波路強度変調器112に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて光導波路強度変調器116に入射する。
【0028】
図2(b)に光導波路強度変調器を用いてLD2本間のビート成分を光ビートダウンする原理を示す。例えば、LD間の周波数差を100.001GHzとする。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,発振器103から光導波路強度変調器に周波数変調を加え,1次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。実施例1と同様にn次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。高次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0029】
LD2本間のビート周波数と発振器103の発振周波数には周波数揺らぎが含まれるため,光ビートダウンした信号の周波数が揺らぎ,位相測定精度に悪影響を与える可能性がある。光ビートダウン信号の周波数を一定に保つために発振器102を備える。光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号をLD201の発振周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LD201の発振周波数の制御を行う。このとき基準信号発生器104からの信号をパワーデバイダ105により2分岐し,それぞれ発振器103と102の外部リファレンス信号とすることにより2つの発振器間で位相同期を取る必要がある。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0030】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,光導波路強度変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0031】
また光コムを光源とした場合,距離計測に用いないビート信号も多数発生するが,LDの場合は距離計測に用いるビート信号のみ発生するため,フィルタによるビート信号の抽出が容易となる。
【実施例3】
【0032】
本発明の実施例3について図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)を用いて説明する。
【0033】
本実施例では,光変調器として光導波路強度変調器を用いるのではなく,電界吸収型強度変調器を用いる装置の例を説明する。図3(a)に電界吸収型強度変調器の原理について説明する。図3(a)に示すように連続光301を入射し,半導体素子306に照射する。半導体素子は加える電界によって,入射された波長に対して吸収率を変化させることが可能である。よって加える電界に変調をかけることによって,変調光302を得ることが可能となる。図3(b)に電界吸収型強度変調器を通過した後の光スペクトルを示す。光変調器に加える電圧の変調周波数をdωとすると,入射する連続光の周波数ωに対して,ω±dωのサイドバンドが生じる。図13に示した光導波路強度変調器では,位相変調を加えているため,変調周波数の±1次,±2次,±3次といったスペクトル成分が存在したが,電界吸収型強度変調器の場合は,吸収による強度変調のため,±1次のスペクトル成分しか存在しない。
【0034】
図4(a)に電界吸収型強度変調器を用いた装置構成を示す。図4(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。光ビートダウンを行うために電界吸収型変調器401,402を用いる。また発振器103から加える周波数fのn倍の周波数で光ビートダウンを行うことを目的に電界吸収型変調器から射出した光を再度電界吸収型変調器に401,402入射させるファイバループを備える。またファイバループ中には光の減衰を抑えるために光アンプ404を導入する。
【0035】
光コム発生器101から照射された光コムはファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,電界吸収型変調器401に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて電界吸収型変調器402に入射する。
【0036】
図4(b)に電界吸収型強度変調器を用いて光コムを光ビートダウンする原理を示す。例えば、光コムの繰返し周波数を10.0001MHzとすると周波数上で10.0001MHz間隔にスペクトルが存在する。あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔は100.001GHzとなる。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,電界吸収型強度変調器401,402を1回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。発振器103の発振周波数として100GHzを与え1MHzまでビートダウンして受光器113で検出することが可能となる。また電界吸収型強度変調器を2回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として50GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。同様にして電界吸収型強度変調器をn回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。電界吸収型強度変調器を複数回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0037】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0038】
本実施例によれば、光源として光コムを用いて,電界吸収型変調器を用いて光コムの高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。またファイバループ内に電界吸収型変調器を備えることにより,光導波路強度変調器を用いた場合同様に,変調周波数の高次成分による光ビートダウンが可能となる。
【実施例4】
【0039】
本発明の実施例4について図5(a)、図5(b)を用いて説明する。
【0040】
本実施例では,光変調器として電界吸収型強度変調器を用い,光源として,LD2本を用いる装置の例を説明する。図5(a)は,実施例4における装置構成図の例である。図5(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0041】
光源として発振周波数のわずかに異なるLD201とLD202を用いる。カップラ203によって同一光路となり,ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,電界吸収型強度変調器401に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて電界吸収型強度変調器402に入射する。
【0042】
図5(b)に電界吸収型強度変調器を用いてLD2本間のビート成分を光ビートダウンする原理を示す。例えば、LD間の周波数差を100.001GHzとする。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。実施例3と同様にして電界吸収型強度変調器をn回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。電界吸収型強度変調器を複数回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0043】
本実施例では、実施例2と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LD201のLD202との差周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0044】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,電界吸収型変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0045】
また光コムを光源とした場合,距離計測に用いないビート信号も多数発生するが,LDの場合は距離計測に用いるビート信号のみ発生するため,フィルタによるビート信号の抽出が容易となる。またファイバループ内に電界吸収型変調器を備えることにより,光導波路強度変調器を用いた場合同様に,変調周波数の高次成分による光ビートダウンが可能となる。
【実施例5】
【0046】
本発明の実施例5について図6(a)、図6(b)を用いて説明する。
【0047】
本実施例では,複数の周波数の位相を測定し,長距離を高精度に測定する装置の例を説明する。図6(a)は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。図6(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。受光器113で検出されるビート成分には光コムの繰返し周波数の整数倍のビート成分および,光導波路強度変調器によって光ビートダウンしたビート成分が含まれる。例えば、,図6(b)に示すように光コムの繰返し周波数を10.0001MHz,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする周波数を100GHzとすると,10.0001MHz間隔でビートが存在し,また10000本離れたスペクトル(周波数間隔100.001GHz)が光ビートダウンされた1MHzのビート成分も存在する。これらのビート成分を含む信号に対して,パワーデバイダ601によって3分岐し,それぞれバンドパスフィルタ603,605,607によって測定したい周波数成分を抽出する。例えば、バンドパスフィルタ603の通過中心周波数を1MHz,バンドパスフィルタ605の通過中心周波数を10MHz,バンドパスフィルタ603の通過中心周波数を1GHzとする。同様にして,受光器117の信号に対してパワーデバイダ602によって3分岐し,それぞれバンドパスフィルタ604,606,608によって測定したい周波数成分を抽出する。バンドパスフィルタ604,606,608の通過中心周波数はそれぞれ,1MHz,10MHz,1GHzとする。位相計609によって1MHzの位相測定を行い,位相計610によって10MHzの位相測定を行い,位相計611によって1GHzの位相測定を行う。3つの位相情報から距離演算回路120によって距離計測を行う。各位相測定精度が2π/150以下とすると,周波数10MHzのビート成分は距離計測周期15mであり,距離計測精度は100mm(15mの1/150)となる。また周波数1GHzのビート成分は距離計測周期150mmであり,位相測定精度は1mm(150mmの1/150)となる。また周波数1MHzのビート成分(100.001GHzを光ビートダウンした成分)は距離計測周期1.5mmであり,位相測定精度は10um(1.5mmの1/150)となる。よって,15mの距離を精度10umにて距離計測が可能となる。
【0048】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0049】
本実施例によれば、光源として光コムを用いて,光導波路強度変調器を用いて光コムの高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。また複数の周波数成分を用いることにより,長距離を高精度に測定することが可能となる。
【実施例6】
【0050】
本発明の実施例6について図7(a)、図7(b)を用いて説明する。
【0051】
本実施例では,複数の周波数の位相を測定し,長距離を高精度に測定する装置の例であり,光源としてLDを複数本用いる例を説明する。図7(a)の装置のうち、既に説明した図2,図6に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。図2ではLDを2本用いて差周波数のビートを距離計測に用いていたが,本実施例ではLDを複数本用いることによって,複数のビートを生じさせることが可能となる。例えば、LDを4本用いて,3種類のビートを生じさせる場合について説明する。図7(b)に示すように,基準とするLD202に対して,差周波数が10MHz,1GHz,100.001GHzとなるようにLD701,LD702,LD201を設定する。LD201のビート周波数は光導波路強度変調器によって1MHzまで光ビートダウンされる。受光器113,受光器117で検出されるビート周波数は1MHz,10MHz,1GHzとなる。これらのビート信号に対して,実施例5で説明したように,パワーデバイダ,バンドパスフィルタ,位相計,距離演算回路を用いることによって,15mの距離を精度10μmにて距離計測が可能となる。
【0052】
LD201とLD202との差周波を光ビートダウンした信号の周波数を一定に保つために発振器102を備えている。光ビートダウンした信号をパワーデバイダ612によって抽出し,発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号をLDの発振周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LDの発振周波数の制御を行う。同様にして,LD202とLD701の差周波数を一定に保つために発振器705を備え,パワーデバイダ613によって抽出した信号と,発振器705との位相比較を行い,エラー信号をLD701の発振周波数制御機構に入力することにより,LD202とLD701の差周波数を一定に保つ。同様にして,LD202とLD702の差周波数を一定に保つために発振器706を備え,パワーデバイダ614によって抽出した信号と,発振器706との位相比較を行い,エラー信号をLD701の発振周波数制御機構に入力することにより,LD202とLD702の差周波数を一定に保つ。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0053】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,電界吸収型変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0054】
また光コムと異なり,距離計測に用いないビート信号が発生しないため,フィルタによる抽出が容易となる。また複数の周波数成分を用いることにより,長距離を高精度に測定することが可能となる。
【実施例7】
【0055】
本発明の実施例7について図8を用いて説明する。
【0056】
本実施例では,タイムオブフライト法と実施例5あるいは実施例6とを組み合わせて長距離を高精度に測定する装置の例を説明する。タイムオブフライト法とはパルス光を照射し,対象物に当たり,反射した光が受光器に検出される時間から対象物までの距離を測定する方法である。距離計測範囲に制約はなく(検出光強度に依存),距離計測精度は数mm程度である。実施例5あるいは6では長距離を距離計測する場合,距離計測用の物差しを多数用意する必要があるため,構成が大規模になってしまう。そこでタイムオブフライト法と組み合わせることによって,タイムオブフライト法にて長距離を数mm程度の精度で距離計測し,実施例5あるいは実施例6により,数mmを数十μmの精度で距離計測することが可能となる。図8は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。タイムオブフライト用光源801をカップラ203によって,光コムあるいはLDと同一光路にする。ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射し,λ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ビームスプリッタ803によって,タイムオブフライト用受光器802に入射する。タイムオブフライト用光源801から照射されるパルスの時間とタイムオブフライト用受光器802によって受光されるパルスの時間を距離演算回路804に入力する。照射パルスと受光パルスの時間差から距離をd=cΔt/2により算出する。ここでd:測定距離,c:光速,Δt:伝播時間(往復)となる。
【0057】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0058】
本実施例によれば、長距離を高精度に測距する場合において,複数物差しを備える必要がないため,装置の構成規模を小さく抑えることが可能となる。
【実施例8】
【0059】
本発明の実施例8について図9を用いて説明する。
【0060】
本実施例では,実施例1から7で述べた距離計測光学系機構を搭載した3次元距離計測装置の例を説明する。図9は本実施例の装置構成図の例である。距離計測部903から照射される光はフォーカスレンズ902によって,対象物110にフォーカシングされる。これは対象物が粗面の場合,散乱により,距離計測部に戻る光が微弱となるため,フォーカシングすることによって検出するに十分な光量を得るためである。またガルバノスキャナ901によって3次元的にビーム走査可能となり,3次元形状計測が可能となる。ガルバノスキャナ,フォーカスレンズ,距離計測部を駆動するための電源ユニット904を備え,装置の制御および,距離計測結果を表示するために,GUIユニット905を備える。
【0061】
本実施例によれば、フォーカシングにより,粗面に対しても十分な強度を得ることが可能となる。またガルバノスキャナによって3次元形状計測が可能となる。
【実施例9】
【0062】
本発明の実施例9について図10(a)、図10(b)、図10(c)を用いて説明する。
【0063】
本実施例では,実施例2で述べたLD2本の差周波数を一定に保つための他の実施形態の例を説明する。図10は本実施例の装置構成図の例である。図10(a)は光導波路強度変調器1001を用いた一実施例である。LD201から照射される光を光導波路強度変調器1001に入射すると発振器1002の発振周波数fのn倍の変調周波数nf(n次サイドバンド)が生じる。サイドバンドのある周波数成分を光学的なフィルタで抽出し,LD202に入射することによって, LD202からは入射されたサイドバンド成分が増幅されて出力される(図10(c)参照)。これはインジェクションロックと呼ばれる方法で, LD間の周波数差を発振器の安定度で一定に保つことが可能となる。図10(b)は電界吸収型変調器を用いた一実施例である。LD201から照射される光を電界吸収型変調器に入射する。ファイバループによって電界吸収型変調器をn回通過した成分は発振周波数fのn倍の変調周波数nf(n次サイドバンド)が生じる。サイドバンドのある周波数成分を光学的なフィルタで抽出し,LD202に入射することによって,LD202からは入射されたサイドバンド成分が増幅されて出力される。
【0064】
本実施例によれば、LD間の周波数差をエラー信号として制御するのではなく,LD間の周波数差を発振器の周波数安定性で一定に保つことが可能となるため,優れた安定を得ることができる。
【0065】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。また、実施例1乃至9を組み合わせることにより本発明を実施してもよい。
【符号の説明】
【0066】
101…光コム,
102…発振器,
103…発振器,
104…基準信号,
105,106,122…パワーデバイダ,
107,111,115…ファイバコリメータ,
108…偏光ビームスプリッタ,
109…λ/4板,
110…測定対象物,
112,116…光導波路強度変調器,
113,117…受光器,
114,118…フィルタ,
119…位相計,
120…距離演算回路,
121…ミキサ,
201,202…LD,
203…カップラ,
301…連続光,
302…変調光,
303,304…レンズ,
305…抵抗,
306…半導体素子,
307…マイクロストリップライン,
308…高周波コネクタ,
401,402…電界吸収型変調器,
403,404…光アンプ,
601,602,612…パワーデバイダ,
603,604,605,606,607,608…バンドパスフィルタ,
609,610,611…位相計,
701,702…LD,
703,704…ミキサ,
705,706…発振器,
707,708,709…パワーデバイダ,
801…タイムフライト用光源,
802…タイムフライト用受光器,
803…ビームスプリッタ,
804…距離演算回路,
901…ガルバノスキャナ,
902…フォーカスレンズ,
903…距離計測部,
904…電源,
905…GUIユニット,
1001…光導波路強度変調器,
1002…発振器,
1003…電界吸収型変調器,
1004…光アンプ,
1201…光源,
1202…ビームスプリッタ,
1203,1204…受光器,
1205…測定対象物,
1301,1303…検出器,
1302,1304…ミキサ,
1501…光源,
1502,1503…光導波路強度変調器,
1504…検出器,
1505,1506…発振器,
1507,1508…パワーデバイダ,
1509…ミキサ,
1510…逓倍器
【技術分野】
【0001】
本発明は、中・大物製品(タービン,鉄道車両,エスカレータ,自動車,飛行機等)の形状を高精度に測定するための距離計測方法および距離計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の距離計測装置は,フェムト秒モード同期パルスレーザ装置を用いている。
【0003】
特許文献2の距離計測装置は,連続光に対して変調用光変調器により,周波数変調を加え,対象物に照射し,反射光を復調用光変調器により復調し,検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-184181号公報
【特許文献2】特許第3089376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の距離計測装置は,数十μmの精度で距離計測を行うためには最も周期の短い物差しとして,数mm程度を用いる必要があり(位相測定精度2π/100程度の場合),周波数として数十GHz程度を取り扱う必要がある。数十GHz帯の高周波対応製品は高価であり,装置コストがかかってしまう。
【0006】
特許文献2の距離計測装置は,光変調器によって発生する高次の周波数成分は強度を強くすることが困難であり,対象物が粗面や傾斜面のように反射光強度が弱い場合,光変調器によって変調,復調された高次の周波数成分の信号検出することが難しい。また変調用の発振器および復調用の発振器を用いており,電気的なクロストークが発生し,測定結果にサイクリックエラーが生じてしまう。
【0007】
本発明は,上記問題点鑑み,複数の周波数を発振する光源からの光を光変調器を用いて光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は複数の異なる周波数の光を発振する光源と、前記光源からの光と、測定対象に照射されてから反射された前記光源からの光との周波数を変調する光変調器と、前記光変調器に電気信号を入力する発振器と、前記光変調器により変調された光信号を検出する検出器と、前記検出器により検出された光信号の位相から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置を提供する。
【0009】
また、他の観点における本発明は、光源から複数の異なる周波数の光を発振して測定対象に照射し,前記光源からの光と測定対象から反射された光との周波数を変調し,変調された光を検出器によって検出し,検出された前記測定対象から反射された光と発振された光との光信号の位相から距離を算出することを特徴とする距離計測方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,複数の周波数を発振する光源からの光を光変調器を用いて光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1(a)】第1の実施例における光コムを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図1(b)】第1の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図2(a)】第2の実施例における2本のLDを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図2(b)】第2の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図3(a)】第3の実施例における電界吸収型変調器の構造を説明する図である。
【図3(b)】第3の実施例において電界吸収型強度変調器を通過した後の周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図4(a)】第3の実施例における光コムを光源として,電界吸収型変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図4(b)】第3の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図5(a)】第4の実施例における2本のLDを光源として,電界吸収型変調器にて光ビートダウンする装置構成図である。
【図5(b)】第4の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図6(a)】第5の実施例における光コムを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンし,複数種類のバンドパスフィルタによって周波数の異なるビート成分を抽出する装置構成図である。
【図6(b)】第5の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図7(a)】第6の実施例における複数の周波数の異なるLDを光源として,光導波路強度変調器にて光ビートダウンし,複数種類のバンドパスフィルタによって周波数の異なるビート成分を抽出する装置構成図である。
【図7(b)】第6の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図8】第7の実施例におけるタイムオブフライト法と第5,第6の実施例を組み合わせた装置構成図である。
【図9】第8の実施例における実施例1から7で述べた距離計測光学系機構を搭載した3次元距離計測装置構成図である。
【図10(a)】第9の実施例におけるLD2本の差周波数を一定に保つための装置構成図である。
【図10(b)】第9の実施例における電界吸収型変調器を用いた装置構成図である。
【図10(c)】第9の実施例において検出される周波数のスペクトルを示すグラフである。
【図11】光コムの原理図である。
【図12(a)】多波長による絶対距離計測の説明図である。
【図12(b)】長距離を高精度に測定する原理を示す図である。
【図13】光コムを用いた距離計測装置構成図である。
【図14(a)】マッハツェンダ型光導波路強度変調器の説明図である。
【図14(b)】光変調器を通過した後の光スペクトルを示すグラフである。
【図15】光変調器を用いた距離計測装置構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【0013】
図11にフェムト秒モード同期パルスレーザの特性について示す。フェムト秒モード同期パルスレーザは時間領域において非常にパルス間隔が安定した超短パルス列である。この超短パルス列をフーリエ変換すると多数の安定な光周波数モード列が一定な周波数の間隔で並ぶ。この光周波数モード列が櫛の歯のように離散スペクトル構造を示すため,光(周波数)コムと呼ばれている。また櫛の歯同士間の周波数間隔を繰返し周波数(frep)と呼んでいる。frepは超短パルス列のパルス間隔の逆数である。光周波数コムを検出器にて検出するとfrepの整数倍の周波数(frep、2frep、3frep・・・の周波数)が検出される。これを光電変換(逆フーリエ変換)すると,モード間のビート信号が検出される。このビート信号を距離計測の物差しとして用いる。
【0014】
図12(a)に光コムを用いた高精度距離計測装置を示す。光コムを光源1201として用いる。ビームの一部は,ビームスプリッタ1202で分けられ,受光器1203によって検出されて参照信号として用いられる。ビームの主要な部分は測定対象1205に照射され,反射光が再び本体に戻り,受光器1204によって光検出されてプローブ信号となる。プローブ信号に含まれる多数の周波数成分の中から,距離計測に用いる周波数成分をバンドパスフィルタによって選別し,参照信号との位相差を位相計119によって測定し,距離情報120を得る。
【0015】
図12(b)に長距離を高精度に測定する原理を示す。まず測定範囲が一周期以内となる周期の長い物差し1を用いて,低精度にて距離計測を行う。次に物差し1で求めた精度が一周期以内となる周期の物差し2を用いて,距離計測精度を高める。最終的に目標となる精度が得られる周期の物差し3にて高精度に距離計測を行う。
【0016】
図13に光コムを用いた距離計測装置の構成図を示す。本構成の場合,40GHzのビート信号を検出するために40GHz対応の検出器1301,ミキサ1302,発振器103,パワーデバイダ106が必要となる。この場合,取り扱う周波数として40GHz(物差し長さ3.75mm)を想定している。図13に示す距離計測装置は,数十μmの精度で距離計測を行うためには最も周期の短い物差しとして,数mm程度を用いる必要があり(位相測定精度2π/100程度の場合),周波数として数十GHz程度を取り扱う必要がある。数十GHz帯の高周波対応製品は高価であり,装置コストがかかるという問題点がある。
【0017】
図14に光変調器の一例であるマッハツェンダ型光導波路強度変調器を示す。図14(a)に示すように入力ポートから入射した光は2分岐され,一方の導波路に入射した光はそのまま通過し,もう一方の導波路に入射した光に対しては,素子に電圧を加えることにより光路中の屈折率変化を与えることによって,位相変調がかけられる。両導波路を通過した光が合流すると,位相差によって強めあったり弱めあったりするため,光強度に変調を加えることができる。図14(b)に光変調器を通過した後の光スペクトルを示す。光変調器に加える電圧の変調周波数をdωとすると,入射する連続光の周波数ωに対して,ω±dωの±1次の成分,ω±2dωの±2次の成分,ω±3dωの±3次の成分と連続光の周波数に対してサイドバンドが生じる。各次数のサイドバンド強度は光変調器に加えるバイアス電圧を変えることによって調整可能である。
【0018】
図15に光変調器を用いた高精度距離計測装置の構成図を示す。光源1501からは連続光が照射され変調用の光変調器1502に入射される。発振器1505から周波数fの電圧変調を光変調器1502にかけることによって,入射した光に対して,周波数f のn倍の周波数変調nfを与えることができる。光変調器1502を通過した光はファイバコリメータ107により,空間中に伝播し,偏光ビームスプリッタ108,λ/4板109を通過し,対象物110に照射される。反射光は再度λ/4板109,偏光ビームスプリッタ108を通過し,復調用の光変調器1503に入射される。発振器1506から復調用の光変調器に加える電圧の変調周波数をf+dfとすると,n倍の周波数変調nf+ndfを光に与えることができ,変調用の光変調器で加えた変調周波数との差周波数であるndfの変調周波数成分が射出される。よって,dfとして十分小さい値(数MHz〜数kHz)を選べば,周波数応答の遅い検出器1504によって,高精度な距離計測が可能となる。また加える電圧の変調周波数のn倍の変調信号を使うので,発振器の周波数のn倍の精度で距離計測が可能となる。
【0019】
一方、図15に示す距離計測装置は,光源1501からの連続光が光変調器(1502、1503)を2度通ることになり、特に高次の周波数成分は減衰されやすい。従って、高次の周波数成分は強度を強くすることが困難であり,対象物が粗面や傾斜面のように反射光強度が弱い場合,光変調器によって変調,復調された高次の周波数成分の信号検出することが難しい。また変調用の発振器および復調用の発振器を用いており,電気的なクロストークが発生し,測定結果にサイクリックエラーが生じてしまうという問題点がある。
【実施例1】
【0020】
上記図11、図15に示す距離計測装置の問題点に鑑み、開発された実施例1における,光コムおよび光導波路強度変調器を用いて高精度に距離計測を行う方法について図1(a)、図1(b)を用いて説明する。
【0021】
図1(a)は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。本実施例では、光源として、図11で説明した離散した複数の光周波数の光を発振する光コムを用いる。光コム発生器101から照射された光コムはファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,光導波路強度変調器112に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて光導波路強度変調器116に入射する。発振器103は周波数fの電気信号を発生させ,パワーデバイダ106により2分岐して,それぞれ光導波路強度変調器112,116に入力される。発振器103で発生する電気信号の周波数によって、光導波路強度変調器112,116で変調させる周波数が決まる。光導波路強度変調器112を通過した光は受光器113によって電気信号に変換され,フィルタ114によって距離計測に用いる周波数成分のみを抽出し,位相計119の参照信号として入力される。光導波路強度変調器116を通過した光も同様に受光器117によって電気信号に変換され,フィルタ118によって距離計測に用いる周波数成分のみを抽出し,位相計119の測定信号として入力される。位相計119によって位相を算出し,距離演算回路120によって距離を演算する。
【0022】
図1(b)に光導波路強度変調器を用いて光コムを光ビートダウンする原理を示す。例えば、光コムの繰返し周波数(frep)を10.0001MHzとすると周波数上で10.0001MHz間隔にスペクトルが存在する。あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔は100.001GHzとなる。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,基準信号発生器104により駆動される発振器103から光導波路強度変調器112、116に周波数変調を加え,1次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。発振器103の発振周波数として100GHzを与えると,あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして受光器113で検出することが可能となる。また2次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として50GHzを与え,同様にしてあるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。同様にしてn次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器の発振周波数として100/n GHzを与え,同様にしてあるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔を100.001GHzから1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。即ち、光導波路強度変調器112,116は、発振器103から入力された周波数のn倍の周波数の光変調(光ビートダウン)を行うことができる。また、高次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。さらに、光コム101から照射された光は、光導波路強度変調器112または光導波路強度変調器116を一度しか通過しないため、高次の周波数成分の減衰を最小限に抑えることができ、高次の周波数成分を高精度で検出することができる。
【0023】
光コム101の発振周波数と発振器103の発振周波数には周波数揺らぎが含まれるため,光ビートダウンした信号の周波数が揺らぎ,位相測定精度に悪影響を与える可能性がある。本実施例では、光ビートダウン信号の周波数を一定に保つために発振器102を備える。光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。このとき基準信号発生器104からの信号をパワーデバイダ105により2分岐し,それぞれ発振器103と102の外部リファレンス信号とすることにより2つの発振器間で位相同期を取る必要がある。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0024】
本実施例によれば、光源として光コム101を用い,光導波路強度変調器112、116を用いて光コム101の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度を高めることができる。
【実施例2】
【0025】
本発明の実施例2について図2(a)、図2(b)を用いて説明する。
【0026】
本実施例では,光源として光コムを用いるのではなく,LD2本を用いる装置の例を説明する。図2(a)は、実施例2におけるLD2本を用いる装置を示す構成図の例である。図2(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0027】
光源として発振周波数のわずかに異なるLD201とLD202を用いる。カップラ203によって同一光路となり,ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,光導波路強度変調器112に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて光導波路強度変調器116に入射する。
【0028】
図2(b)に光導波路強度変調器を用いてLD2本間のビート成分を光ビートダウンする原理を示す。例えば、LD間の周波数差を100.001GHzとする。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,発振器103から光導波路強度変調器に周波数変調を加え,1次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。実施例1と同様にn次の成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。高次のサイドバンド成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0029】
LD2本間のビート周波数と発振器103の発振周波数には周波数揺らぎが含まれるため,光ビートダウンした信号の周波数が揺らぎ,位相測定精度に悪影響を与える可能性がある。光ビートダウン信号の周波数を一定に保つために発振器102を備える。光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号をLD201の発振周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LD201の発振周波数の制御を行う。このとき基準信号発生器104からの信号をパワーデバイダ105により2分岐し,それぞれ発振器103と102の外部リファレンス信号とすることにより2つの発振器間で位相同期を取る必要がある。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0030】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,光導波路強度変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0031】
また光コムを光源とした場合,距離計測に用いないビート信号も多数発生するが,LDの場合は距離計測に用いるビート信号のみ発生するため,フィルタによるビート信号の抽出が容易となる。
【実施例3】
【0032】
本発明の実施例3について図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)を用いて説明する。
【0033】
本実施例では,光変調器として光導波路強度変調器を用いるのではなく,電界吸収型強度変調器を用いる装置の例を説明する。図3(a)に電界吸収型強度変調器の原理について説明する。図3(a)に示すように連続光301を入射し,半導体素子306に照射する。半導体素子は加える電界によって,入射された波長に対して吸収率を変化させることが可能である。よって加える電界に変調をかけることによって,変調光302を得ることが可能となる。図3(b)に電界吸収型強度変調器を通過した後の光スペクトルを示す。光変調器に加える電圧の変調周波数をdωとすると,入射する連続光の周波数ωに対して,ω±dωのサイドバンドが生じる。図13に示した光導波路強度変調器では,位相変調を加えているため,変調周波数の±1次,±2次,±3次といったスペクトル成分が存在したが,電界吸収型強度変調器の場合は,吸収による強度変調のため,±1次のスペクトル成分しか存在しない。
【0034】
図4(a)に電界吸収型強度変調器を用いた装置構成を示す。図4(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。光ビートダウンを行うために電界吸収型変調器401,402を用いる。また発振器103から加える周波数fのn倍の周波数で光ビートダウンを行うことを目的に電界吸収型変調器から射出した光を再度電界吸収型変調器に401,402入射させるファイバループを備える。またファイバループ中には光の減衰を抑えるために光アンプ404を導入する。
【0035】
光コム発生器101から照射された光コムはファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,電界吸収型変調器401に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて電界吸収型変調器402に入射する。
【0036】
図4(b)に電界吸収型強度変調器を用いて光コムを光ビートダウンする原理を示す。例えば、光コムの繰返し周波数を10.0001MHzとすると周波数上で10.0001MHz間隔にスペクトルが存在する。あるスペクトルから10000本離れたスペクトルの周波数間隔は100.001GHzとなる。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。例えば,電界吸収型強度変調器401,402を1回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンする場合を考える。発振器103の発振周波数として100GHzを与え1MHzまでビートダウンして受光器113で検出することが可能となる。また電界吸収型強度変調器を2回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として50GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。同様にして電界吸収型強度変調器をn回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器103の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。電界吸収型強度変調器を複数回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0037】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0038】
本実施例によれば、光源として光コムを用いて,電界吸収型変調器を用いて光コムの高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。またファイバループ内に電界吸収型変調器を備えることにより,光導波路強度変調器を用いた場合同様に,変調周波数の高次成分による光ビートダウンが可能となる。
【実施例4】
【0039】
本発明の実施例4について図5(a)、図5(b)を用いて説明する。
【0040】
本実施例では,光変調器として電界吸収型強度変調器を用い,光源として,LD2本を用いる装置の例を説明する。図5(a)は,実施例4における装置構成図の例である。図5(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0041】
光源として発振周波数のわずかに異なるLD201とLD202を用いる。カップラ203によって同一光路となり,ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射する。一部はファイバコリメータ111で集光され,電界吸収型強度変調器401に入射し,主要な部分はλ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ファイバコリメータ115で集光されて電界吸収型強度変調器402に入射する。
【0042】
図5(b)に電界吸収型強度変調器を用いてLD2本間のビート成分を光ビートダウンする原理を示す。例えば、LD間の周波数差を100.001GHzとする。このビート信号を距離計測に用いる場合を考える。実施例3と同様にして電界吸収型強度変調器をn回通過した成分を用いて光ビートダウンする場合を考えると,発振器の発振周波数として100/n GHzを与え,1MHzまでビートダウンして検出することが可能となる。電界吸収型強度変調器を複数回通過した周波数成分を用いて光ビートダウンできれば,発振器の発振周波数を低周波に抑えることが可能となる。
【0043】
本実施例では、実施例2と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LD201のLD202との差周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0044】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,電界吸収型変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0045】
また光コムを光源とした場合,距離計測に用いないビート信号も多数発生するが,LDの場合は距離計測に用いるビート信号のみ発生するため,フィルタによるビート信号の抽出が容易となる。またファイバループ内に電界吸収型変調器を備えることにより,光導波路強度変調器を用いた場合同様に,変調周波数の高次成分による光ビートダウンが可能となる。
【実施例5】
【0046】
本発明の実施例5について図6(a)、図6(b)を用いて説明する。
【0047】
本実施例では,複数の周波数の位相を測定し,長距離を高精度に測定する装置の例を説明する。図6(a)は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。図6(a)の装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。受光器113で検出されるビート成分には光コムの繰返し周波数の整数倍のビート成分および,光導波路強度変調器によって光ビートダウンしたビート成分が含まれる。例えば、,図6(b)に示すように光コムの繰返し周波数を10.0001MHz,光導波路強度変調器にて光ビートダウンする周波数を100GHzとすると,10.0001MHz間隔でビートが存在し,また10000本離れたスペクトル(周波数間隔100.001GHz)が光ビートダウンされた1MHzのビート成分も存在する。これらのビート成分を含む信号に対して,パワーデバイダ601によって3分岐し,それぞれバンドパスフィルタ603,605,607によって測定したい周波数成分を抽出する。例えば、バンドパスフィルタ603の通過中心周波数を1MHz,バンドパスフィルタ605の通過中心周波数を10MHz,バンドパスフィルタ603の通過中心周波数を1GHzとする。同様にして,受光器117の信号に対してパワーデバイダ602によって3分岐し,それぞれバンドパスフィルタ604,606,608によって測定したい周波数成分を抽出する。バンドパスフィルタ604,606,608の通過中心周波数はそれぞれ,1MHz,10MHz,1GHzとする。位相計609によって1MHzの位相測定を行い,位相計610によって10MHzの位相測定を行い,位相計611によって1GHzの位相測定を行う。3つの位相情報から距離演算回路120によって距離計測を行う。各位相測定精度が2π/150以下とすると,周波数10MHzのビート成分は距離計測周期15mであり,距離計測精度は100mm(15mの1/150)となる。また周波数1GHzのビート成分は距離計測周期150mmであり,位相測定精度は1mm(150mmの1/150)となる。また周波数1MHzのビート成分(100.001GHzを光ビートダウンした成分)は距離計測周期1.5mmであり,位相測定精度は10um(1.5mmの1/150)となる。よって,15mの距離を精度10umにて距離計測が可能となる。
【0048】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0049】
本実施例によれば、光源として光コムを用いて,光導波路強度変調器を用いて光コムの高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。また複数の周波数成分を用いることにより,長距離を高精度に測定することが可能となる。
【実施例6】
【0050】
本発明の実施例6について図7(a)、図7(b)を用いて説明する。
【0051】
本実施例では,複数の周波数の位相を測定し,長距離を高精度に測定する装置の例であり,光源としてLDを複数本用いる例を説明する。図7(a)の装置のうち、既に説明した図2,図6に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。図2ではLDを2本用いて差周波数のビートを距離計測に用いていたが,本実施例ではLDを複数本用いることによって,複数のビートを生じさせることが可能となる。例えば、LDを4本用いて,3種類のビートを生じさせる場合について説明する。図7(b)に示すように,基準とするLD202に対して,差周波数が10MHz,1GHz,100.001GHzとなるようにLD701,LD702,LD201を設定する。LD201のビート周波数は光導波路強度変調器によって1MHzまで光ビートダウンされる。受光器113,受光器117で検出されるビート周波数は1MHz,10MHz,1GHzとなる。これらのビート信号に対して,実施例5で説明したように,パワーデバイダ,バンドパスフィルタ,位相計,距離演算回路を用いることによって,15mの距離を精度10μmにて距離計測が可能となる。
【0052】
LD201とLD202との差周波を光ビートダウンした信号の周波数を一定に保つために発振器102を備えている。光ビートダウンした信号をパワーデバイダ612によって抽出し,発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号をLDの発振周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,LDの発振周波数の制御を行う。同様にして,LD202とLD701の差周波数を一定に保つために発振器705を備え,パワーデバイダ613によって抽出した信号と,発振器705との位相比較を行い,エラー信号をLD701の発振周波数制御機構に入力することにより,LD202とLD701の差周波数を一定に保つ。同様にして,LD202とLD702の差周波数を一定に保つために発振器706を備え,パワーデバイダ614によって抽出した信号と,発振器706との位相比較を行い,エラー信号をLD701の発振周波数制御機構に入力することにより,LD202とLD702の差周波数を一定に保つ。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0053】
本実施例によれば、光源として複数のLDを用いて,電界吸収型変調器を用いて複数のLD間の高周波ビート成分を光ビートダウンして,低周波にて位相検出することにより、装置コストを上げずに測定精度高めることができる。
【0054】
また光コムと異なり,距離計測に用いないビート信号が発生しないため,フィルタによる抽出が容易となる。また複数の周波数成分を用いることにより,長距離を高精度に測定することが可能となる。
【実施例7】
【0055】
本発明の実施例7について図8を用いて説明する。
【0056】
本実施例では,タイムオブフライト法と実施例5あるいは実施例6とを組み合わせて長距離を高精度に測定する装置の例を説明する。タイムオブフライト法とはパルス光を照射し,対象物に当たり,反射した光が受光器に検出される時間から対象物までの距離を測定する方法である。距離計測範囲に制約はなく(検出光強度に依存),距離計測精度は数mm程度である。実施例5あるいは6では長距離を距離計測する場合,距離計測用の物差しを多数用意する必要があるため,構成が大規模になってしまう。そこでタイムオブフライト法と組み合わせることによって,タイムオブフライト法にて長距離を数mm程度の精度で距離計測し,実施例5あるいは実施例6により,数mmを数十μmの精度で距離計測することが可能となる。図8は,本実施例の距離計測装置の構成図の例である。タイムオブフライト用光源801をカップラ203によって,光コムあるいはLDと同一光路にする。ファイバコリメータ107により空間中に照射され,偏光ビームスプリッタ108に入射し,λ/4板109を通過し,対象物110に照射される。対象物からの反射光は再び,λ/4板109を通過し,偏光ビームスプリッタ108により反射され,ビームスプリッタ803によって,タイムオブフライト用受光器802に入射する。タイムオブフライト用光源801から照射されるパルスの時間とタイムオブフライト用受光器802によって受光されるパルスの時間を距離演算回路804に入力する。照射パルスと受光パルスの時間差から距離をd=cΔt/2により算出する。ここでd:測定距離,c:光速,Δt:伝播時間(往復)となる。
【0057】
本実施例では、実施例1と同様に光ビートダウンした信号と発振器102との位相比較を行い(例えばミキサ121によって位相比較が可能),エラー信号を光コム101の繰返し周波数制御機構に入力することにより,光ビートダウン信号の周波数が一定となるよう,光コムの繰返し周波数の制御を行う。これにより、光ビートダウンした信号の周波数の揺らぎを防止し、位相測定精度の低下を抑制することができる。
【0058】
本実施例によれば、長距離を高精度に測距する場合において,複数物差しを備える必要がないため,装置の構成規模を小さく抑えることが可能となる。
【実施例8】
【0059】
本発明の実施例8について図9を用いて説明する。
【0060】
本実施例では,実施例1から7で述べた距離計測光学系機構を搭載した3次元距離計測装置の例を説明する。図9は本実施例の装置構成図の例である。距離計測部903から照射される光はフォーカスレンズ902によって,対象物110にフォーカシングされる。これは対象物が粗面の場合,散乱により,距離計測部に戻る光が微弱となるため,フォーカシングすることによって検出するに十分な光量を得るためである。またガルバノスキャナ901によって3次元的にビーム走査可能となり,3次元形状計測が可能となる。ガルバノスキャナ,フォーカスレンズ,距離計測部を駆動するための電源ユニット904を備え,装置の制御および,距離計測結果を表示するために,GUIユニット905を備える。
【0061】
本実施例によれば、フォーカシングにより,粗面に対しても十分な強度を得ることが可能となる。またガルバノスキャナによって3次元形状計測が可能となる。
【実施例9】
【0062】
本発明の実施例9について図10(a)、図10(b)、図10(c)を用いて説明する。
【0063】
本実施例では,実施例2で述べたLD2本の差周波数を一定に保つための他の実施形態の例を説明する。図10は本実施例の装置構成図の例である。図10(a)は光導波路強度変調器1001を用いた一実施例である。LD201から照射される光を光導波路強度変調器1001に入射すると発振器1002の発振周波数fのn倍の変調周波数nf(n次サイドバンド)が生じる。サイドバンドのある周波数成分を光学的なフィルタで抽出し,LD202に入射することによって, LD202からは入射されたサイドバンド成分が増幅されて出力される(図10(c)参照)。これはインジェクションロックと呼ばれる方法で, LD間の周波数差を発振器の安定度で一定に保つことが可能となる。図10(b)は電界吸収型変調器を用いた一実施例である。LD201から照射される光を電界吸収型変調器に入射する。ファイバループによって電界吸収型変調器をn回通過した成分は発振周波数fのn倍の変調周波数nf(n次サイドバンド)が生じる。サイドバンドのある周波数成分を光学的なフィルタで抽出し,LD202に入射することによって,LD202からは入射されたサイドバンド成分が増幅されて出力される。
【0064】
本実施例によれば、LD間の周波数差をエラー信号として制御するのではなく,LD間の周波数差を発振器の周波数安定性で一定に保つことが可能となるため,優れた安定を得ることができる。
【0065】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。また、実施例1乃至9を組み合わせることにより本発明を実施してもよい。
【符号の説明】
【0066】
101…光コム,
102…発振器,
103…発振器,
104…基準信号,
105,106,122…パワーデバイダ,
107,111,115…ファイバコリメータ,
108…偏光ビームスプリッタ,
109…λ/4板,
110…測定対象物,
112,116…光導波路強度変調器,
113,117…受光器,
114,118…フィルタ,
119…位相計,
120…距離演算回路,
121…ミキサ,
201,202…LD,
203…カップラ,
301…連続光,
302…変調光,
303,304…レンズ,
305…抵抗,
306…半導体素子,
307…マイクロストリップライン,
308…高周波コネクタ,
401,402…電界吸収型変調器,
403,404…光アンプ,
601,602,612…パワーデバイダ,
603,604,605,606,607,608…バンドパスフィルタ,
609,610,611…位相計,
701,702…LD,
703,704…ミキサ,
705,706…発振器,
707,708,709…パワーデバイダ,
801…タイムフライト用光源,
802…タイムフライト用受光器,
803…ビームスプリッタ,
804…距離演算回路,
901…ガルバノスキャナ,
902…フォーカスレンズ,
903…距離計測部,
904…電源,
905…GUIユニット,
1001…光導波路強度変調器,
1002…発振器,
1003…電界吸収型変調器,
1004…光アンプ,
1201…光源,
1202…ビームスプリッタ,
1203,1204…受光器,
1205…測定対象物,
1301,1303…検出器,
1302,1304…ミキサ,
1501…光源,
1502,1503…光導波路強度変調器,
1504…検出器,
1505,1506…発振器,
1507,1508…パワーデバイダ,
1509…ミキサ,
1510…逓倍器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる周波数の光を発振する光源と、
前記光源から発振された光の周波数を変調する光変調器と、
基準信号発生器により駆動され、前記光変調器に電気信号を入力する発振器と、
前記光変調器により変調された光信号を電気信号に変換する受光器と、
前記受光器から出力された電気信号から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置。
【請求項2】
前記光源は所定の間隔で並んだ複数の周波数の光を有する光コムであることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項3】
前記光源は異なる周波数の光を発振する複数のLDであることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項4】
前記発振器とは異なり、前記基準信号発生器により駆動される他の発振器と、
前記光変調器で変調され、前記受光器で変換された電気信号と、前記他の発振器からの電気信号との位相比較を行うミキサと、
前記ミキサからの信号を入力し、前記光源の周波数を制御する周波数制御機構とを備える請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項5】
前記光変調器は、前記発振器から入力される周波数のn倍の周波数の光変調を加える光導波路強度変調器であることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項6】
前記光変調器は、入力された光を複数回通過させることにより前記発振器から入力される周波数のn倍の周波数の光変調を加える電界吸収型強度変調器であることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項7】
前記検出器によって検出された信号に含まれる周波数成分から所定の周波数成分を抽出する複数のバンドパスフィルタ備えることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項8】
測定対象にフォーカスするフォーカスレンズと,測定対象を走査可能なガルバノスキャナと、装置制御および測定結果を表示するGUI画面とを備えることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項9】
前記複数のLDの間に配置される他の変調器と、
前記他の変調器に電圧信号を入力する他の発信機とを備える請求項3に記載の距離計測装置。
【請求項10】
光源から複数の異なる周波数の光を発振して測定対象に照射し,
前記光源からの光と測定対象から反射された光との周波数を発振器によって駆動される変調器により変調し,
変調された光信号を電気信号に変換し,
前記測定対象から反射された光から変換された電気信号と発振された光から変換されたの電気信号の位相から距離を算出することを特徴とする距離計測方法。
【請求項11】
前記光源は、所定の間隔で並んだ複数の周波数の光を有する光コムであることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項12】
前記光源は異なる周波数の光を発振する複数のLDであることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項13】
前記変調器によって変調された光信号を電気信号に変換した際における周波数と、前記発振器とは異なる他の発振器からの電気信号との位相同期を取り、前記光源の発振周波数を制御することを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項14】
前記測定対象から反射された光と発振された光の周波数のn倍の周波数の光変調を加えることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項15】
前記測定対象から反射された光と発振された光の周波数を電界吸収型変調器内を複数回通過させることにより、変調させることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項16】
検出された信号に含まれる周波数成分から所定の複数の周波数成分を抽出することを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項17】
前記複数のLDのうち、一方のLDから発振された光に光変調を加えてから他方のLDに入射し、LD間の周波数差を制御することを特徴とする請求項12に記載の距離計測方法。
【請求項1】
複数の異なる周波数の光を発振する光源と、
前記光源から発振された光の周波数を変調する光変調器と、
基準信号発生器により駆動され、前記光変調器に電気信号を入力する発振器と、
前記光変調器により変調された光信号を電気信号に変換する受光器と、
前記受光器から出力された電気信号から距離を算出する距離演算回路とを備えることを特徴とする距離計測装置。
【請求項2】
前記光源は所定の間隔で並んだ複数の周波数の光を有する光コムであることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項3】
前記光源は異なる周波数の光を発振する複数のLDであることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項4】
前記発振器とは異なり、前記基準信号発生器により駆動される他の発振器と、
前記光変調器で変調され、前記受光器で変換された電気信号と、前記他の発振器からの電気信号との位相比較を行うミキサと、
前記ミキサからの信号を入力し、前記光源の周波数を制御する周波数制御機構とを備える請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項5】
前記光変調器は、前記発振器から入力される周波数のn倍の周波数の光変調を加える光導波路強度変調器であることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項6】
前記光変調器は、入力された光を複数回通過させることにより前記発振器から入力される周波数のn倍の周波数の光変調を加える電界吸収型強度変調器であることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項7】
前記検出器によって検出された信号に含まれる周波数成分から所定の周波数成分を抽出する複数のバンドパスフィルタ備えることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項8】
測定対象にフォーカスするフォーカスレンズと,測定対象を走査可能なガルバノスキャナと、装置制御および測定結果を表示するGUI画面とを備えることを特徴とする請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項9】
前記複数のLDの間に配置される他の変調器と、
前記他の変調器に電圧信号を入力する他の発信機とを備える請求項3に記載の距離計測装置。
【請求項10】
光源から複数の異なる周波数の光を発振して測定対象に照射し,
前記光源からの光と測定対象から反射された光との周波数を発振器によって駆動される変調器により変調し,
変調された光信号を電気信号に変換し,
前記測定対象から反射された光から変換された電気信号と発振された光から変換されたの電気信号の位相から距離を算出することを特徴とする距離計測方法。
【請求項11】
前記光源は、所定の間隔で並んだ複数の周波数の光を有する光コムであることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項12】
前記光源は異なる周波数の光を発振する複数のLDであることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項13】
前記変調器によって変調された光信号を電気信号に変換した際における周波数と、前記発振器とは異なる他の発振器からの電気信号との位相同期を取り、前記光源の発振周波数を制御することを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項14】
前記測定対象から反射された光と発振された光の周波数のn倍の周波数の光変調を加えることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項15】
前記測定対象から反射された光と発振された光の周波数を電界吸収型変調器内を複数回通過させることにより、変調させることを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項16】
検出された信号に含まれる周波数成分から所定の複数の周波数成分を抽出することを特徴とする請求項10に記載の距離計測方法。
【請求項17】
前記複数のLDのうち、一方のLDから発振された光に光変調を加えてから他方のLDに入射し、LD間の周波数差を制御することを特徴とする請求項12に記載の距離計測方法。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15】
【図1(b)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図15】
【公開番号】特開2013−7591(P2013−7591A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139056(P2011−139056)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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