説明

車両の下部車体構造

【課題】
左右一対のリヤフレームの前端部相互間を車幅方向に接続するところのクロスメンバをフロアパネルの下方に配設し、車室内の拡大、居住性の向上を図り、このクロスメンバを単にフロアパネル下方に配設すると車両補機のサービス性に問題が生ずるので、該クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設することにより、車室内の拡大を図りつつ、車体剛性の確保と、車両補機のサービス性確保との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】
フロアパネル2と、フロアパネル2後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレーム12を備え、一対のリヤフレーム12,12間に車両補機19が配設された車両の下部車体構造であって、一対のリヤフレーム12,12の前端部12a,12a間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するクロスメンバ14を設け、クロスメンバ14をフロアパネル2の下方に着脱可能に配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルの後方に左右一対で車幅方向に所定間隔を隔てて車両の前後方向に延びるリヤフレームを備え、左右一対のリヤフレーム間に排気管のような車両補機が配設された車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の下部車体構造としては図16に示す構造が一般的であった。
すなわち、フロアパネル100には、後方が上方に段上げされたキックアップ部101を介してリヤフロア102を連接し、キックアップ部101の上部背面と、リヤフロア102の前側下部との位置に車幅方向に延びるリヤクロスメンバ103を設け、このリヤクロスメンバ103の後方に燃料タンク104を配設する一方、リヤフロア102の上方にはリヤシート105を配設したものである。
【0003】
ここで、上述のリヤクロスメンバ103は車体剛性を確保すると共に、側突に対抗して燃料タンク104を保護するという作用を奏する車体剛性部材である。一方リヤオーバハングを一定に保った条件下において、リヤシート105に着座した後席乗員の居住性を向上させるには、キックアップ部101を後方に後退設定し、車室内を拡大するとよいが、キックアップ部101を後退させると、リヤクロスメンバ103と燃料タンク104とが干渉するので、図16の従来構造においては、車室内の拡大、居住性の向上を図ることが困難であった。
【0004】
ところで、特許文献1には、キックアップ部の上部とリヤフロアの前部とのコーナ部下面にリヤクロスメンバを設け、このリヤクロスメンバの後方に燃料タンクを配設したものが開示されているが、実質的に図16で示した従来構造と同様であるから、車室内の拡大、居住性の向上を図ることが困難な問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、キックアップ部に燃料タンクが配設された構造が開示されているが、この燃料タンクの上部はリヤフロアと略面一状で、しかもキックアップ部に対して車両前方に位置しているので、仮にキックアップ部を後退設定しても、燃料タンクが車室内側に膨出するように位置するので、車室内の拡大、居住性の向上を図ることが困難な問題点があった。
【0006】
さらに、特許文献3には、キックアップ部の背面形状に沿うように燃料タンクを成形加工し、この燃料タンクをキックアップ部背面に沿設すると共に、燃料タンクの前部とキックアップ部の背面との間に位置するようにリヤクロスメンバを配置したものが開示されている。
【0007】
この特許文献3に記載の構造においても図16の従来構造と同様にして、キックアップ部を後方に後退設定すると、リヤクロスメンバが燃料タンクに干渉するので、車室内の拡大、居住性の向上を図ることが困難な問題点があった。
【特許文献1】特開平5−50952号公報
【特許文献2】実開平5−71083号公報
【特許文献3】特開平5−155258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、左右一対のリヤフレームの前端部相互間を車幅方向に接続するところのクロスメンバをフロアパネルの下方に配設し、車室内の拡大、居住性の向上を図り、このクロスメンバを単にフロアパネル下方に配設すると車両補機のサービス性に問題が生ずるので、該クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設することにより、車室内の拡大を図りつつ、車体剛性の確保と、車両補機のサービス性確保との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による車両の下部車体構造は、フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームを備え、一対のリヤフレーム間に車両補機が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設したものである。
【0010】
上述の車両補機は、車両の前後方向に延びる排気管に設定してもよく、クロスメンバの配設部位はキックアップ部の直前部におけるフロアパネル下部が望ましい。
【0011】
上記構成によれば、フロアパネルの下方に上記クロスメンバを配設したので、キックアップ部の上部背面にクロスメンバを設ける従来構造に対して、キックアップ部を後退設定することができ、これにより車室内の拡大と居住性の向上とを図ることができ、しかも車両補機のサービス性を考慮して上記クロスメンバを着脱構造と成したので、補機サービス性を確保することができる。
【0012】
要するに、車室内の拡大を図りつつ、車体剛性の確保と、補機サービス性の確保との両立を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバとフロアパネルとの間には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、上記車両補機を該排気管に設定したものである。
【0013】
上記構成によれば、クロスメンバの着脱構造により、特にサービス性の要求が高い排気管を確実にサービスすることができる。
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネルにはクロスメンバの配設部位から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、該キックアップの下方に燃料タンクが配設されたものである。
【0014】
上記構成によれば、クロスメンバはフロアパネルの下方に配設されており、従来のようにクロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在しないので、燃料タンクの容量拡大を図ることができ、また上記クロスメンバにより車体の剛性を確保することができる。つまり、車体の剛性の確保と燃料タンクの容量アップとの両立を図ることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には、車両の前後方向に延びる上記排気管が配設され、該排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設したものである。
【0016】
上記構成によれば、排気管のレイアウトを確保しつつ、上述の燃料タンクの一部延長構造により、該燃料タンクの容量をさらに拡大することができる。
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバは上記リヤフレームの前端部にボルトアップ締結されたものである。
上記構成によれば、クロスメンバを車体剛性部材としてのリヤフレームに締結したので、両者(クロスメンバおよびリヤフレーム)の剛性向上を図ることができるうえ、クロスメンバの着脱構造により補機のサービス性を確保することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバはフロアパネルにボルトアップ締結されたものである。
上記構成によれば、クロスメンバをフロアパネルに締結したので、両者(クロスメンバおよびフロアパネル)の剛性向上を図ることができるうえ、クロスメンバの着脱構造により補機のサービス性を確保することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバはフロアパネルのトンネル部にボルトアップ締結されたものである。
上記構成によれば、クロスメンバをトンネル部に締結したので、両者(クロスメンバおよびトンネル部)の剛性向上を図ることができるうえ、クロスメンバの着脱構造により補機のサービス性を確保することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバは、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームにボルトアップ締結されたものである。
【0020】
上記構成によれば、クロスメンバを車体剛性部材としてのフロアフレームに締結したので、両者(クロスメンバおよびフロアフレーム)の剛性向上を図ることができるうえ、クロスメンバの着脱構造により補機のサービス性を確保することができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバには車両補機の配設部に対応して凹部が形成されたものである。
上記構成によれば、車体剛性の確保と、補機サービス性の確保との両立を図ることに加えて、上記凹部の形成により補機レイアウトの容易化を達成することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、左右一対のリヤフレームの前端部相互間を車幅方向に接続するところのクロスメンバをフロアパネルの下方に配設し、車室内の拡大、居住性の向上を図り、このクロスメンバを単にフロアパネル下方に配設すると車両補機のサービス性に問題が生ずるので、該クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設することで、車室内の拡大を図りつつ、車体剛性の確保と、車両補機のサービス性確保との両立を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
車室内の拡大を図りつつ、車体剛性の確保と、車両補機のサービス性確保との両立を図るという目的を、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設するという構成にて実現した。
【実施例】
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の下部車体構造を示し、図1は下部車体構造を示す斜視図、図2はその平面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は要部の拡大側面図、図5は底面図であって、図1〜図5において、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル(ダッシュパネル)1を設け、このダッシュロアパネル1の下部後端には、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル2を連設している。このフロアパネル2は車室下面を形成するもので、該フロアパネル2の中央部には車室内方へ突出し、かつ車両の前後方向に延びるトンネル部3を一体または一体的に形成している。
【0025】
また上述のフロアパネル2の左右両側部には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル4,4(図2、図5参照)を接合固定している。このサイドシル4はサイドシルインナと、サイドシルアウタとサイドシルレインフォースメントとを接合して構成され、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えたものである。
【0026】
さらに、上述のフロアパネル2には、その後方が上方に段上げされたキックアップ部5を形成し、このキックアップ部5の上端部には、該上端部から後方に向けて延びるリヤフロア6(フロアパネル2の一部)が連設され、このリヤフロア6の後部中間には下方に段下げ形成されたスペアタイヤパンク7を設けている。
【0027】
ここで、上述のキックアップ部5の形成により、後席乗員の足元スペースをかせぐように形成している。
ところで、フロアパネル2の上部には図1〜図3に示すように、トンネル部3を跨いで左右のサイドシル4,4まで車幅方向に延びる車体剛性部材としてのクロスメンバ(いわゆるNo.2クロスメンバ)8を設けると共に、このクロスメンバ8に対して車両後方に離間した位置には、トンネル部3と直交して該トンネル部3とサイドシル4との間を車幅方向に連結する左右一対のクロスメンバ9,9(いわゆるNo.2.5クロスメンバで、車体剛性部材)を設け、フロアパネル2と各クロスメンバ8,9との間には車幅方向に延びる閉断面8a,9aを形成し、これらの各クロスメンバ8,9により車体剛性の向上を図っている。
【0028】
一方、図1、図5に示すようにフロアパネル2の下部において、側部のサイドシル4と中央部のトンネル部3との中間には、フロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びる車体剛性部材としての左右一対のフロアフレーム10,10を設けている。このフロアフレーム10はフロアパネル2の下面に接合固定されたもので、フロアパネル2とフロアフレーム10との間には車両の前後方向に延びる閉断面10aが形成されている。このフロアフレーム10の後端はキックアップ部5の近傍まで延設されている。また、このフロアフレーム10の前端部には車体剛性部材としてのフロントサイドフレーム11(フロントフレーム)が連続して設けられている。
【0029】
また上述のリヤフロア6には、図5に示すように左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム12,12(リヤフレーム)が設けられている。このリヤサイドフレーム12はリヤフロア6の両サイド部下面に接合固定されたもので、リヤフロア6とリヤサイドフレーム12との間には車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0030】
そして、図4に示すように、キックアップ部5の背面側下方(後方)とリヤフロア6の前部下方とに位置し、かつ左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に位置するように燃料タンク13が配設されている。
【0031】
図6に要部を拡大平面図にて示すように、フロアパネル2の下面に接合され、かつフロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びる閉断面構造のフロアフレーム10の後端部10aと、リヤフロア6の下面に接合され、かつ所定間隔を保って車両の前後方向に延びる閉断面構造のリヤサイドフレーム12の前端部12aとは、車幅方向にオフセットされると共に、車両の前後方向にオーバラップするように構成されている。
【0032】
上述の左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部12a,12a相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続する車体剛性部材としてのリヤクロスメンバ14(No.3クロスメンバ)を設け、図4、図5に示すように、このリヤクロスメンバ14を上述の燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設している。詳しくは、該リヤクロスメンバ14は図4に示すようにキックアップ部5の直前部においてフロアパネル2の下方に配設されたものであり、このリヤクロスメンバ14とフロアパネル2との間には閉断面14hが形成されている。
【0033】
このリヤクロスメンバ14は、燃料タンク13への走行風xを整流し、キックアップ部5の知リヤ側の複雑形状部分に走行風が流れ込んで、走行風の乱れによる渦流の発生に起因して、空気抵抗に悪影響を及ぼすのを防止するエアデフレクタと、燃料タンク13を保護する燃料タンクガード部とを兼ねるものである。ここで図4に示すように燃料タンク13の下面部13cはフロアパネル2の最下面高さよりも距離L1だけで低位置に延出されている。エアデフレクタおよび燃料タンクガード部を兼ねるリヤクロスメンバ14は、燃料タンク13の下面部13cよりもさらに距離L2だけ低い位置に延びるように設けられていて、この構造により、燃料タンク13の容量拡大と、燃料タンク13の保護と、燃料タンク13周りの空力性能の向上とを達成するように構成している。
【0034】
図7はリヤクロスメンバ14の斜視図、図8は図7のB-B線に沿う矢視断面図であって、図6〜図8に示すように、このリヤクロスメンバ14は該クロスメンバ14それ自体の剛性向上を図る目的で車幅方向に連続する凹凸形状を有するように形成されると共に、トンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14a,14b,14c,14dと、フロアフレーム10の後端部10a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14e・・・と、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14f・・・とを備え、これらの各取付座14a〜14fにはそれぞれ対応数の取付け孔15,16,17が形成されている。
【0035】
図7、図8に示すようにトンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する左右一対の取付け座14a,14b間、14c,14d間には、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して下方に窪む凹部18が形成され、この凹部18に対応して排気管19が配設されている。
【0036】
つまり、リヤクロスメンバ14における車両補機としての排気管19の配設部に対応して上述の凹部18が形成されたものである。
またフロアフレーム10の後端部10a下面に対する上述の取付け座14eは、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して凹設された低位置に形成されると共に、左右の取付け座14e,14e間におけるリヤクロスメンバ14のボトムデッキは凹凸を有さない略フラットな形状に構成されている。
【0037】
さらに、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する取付け座14fは、リヤクロスメンバ14の主体部に対して若干後方に後退した位置に形成されている。
図9は図6のC-C線に相当す部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の複数の取付け孔15,15に対応して、トンネル部3側部のフロアパネル2上面には予め複数のナット20,20が溶接固定され、このナット20に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト21を用いて、取付け座14a,14b,14c,14dがフロアパネル2に着脱可能にボルトアップ締結されている。
【0038】
図10は図6のD−D線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の複数の取付け孔16,16に対応して、フロアフレーム10の後端部10aには予め複数のナット22,22が溶接固定され、このナット22に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト23を用いて、取付け座14eがフロアフレーム10の後端部10aに着脱可能にボルトアップ締結されている。
【0039】
図11は図6のE−E線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の複数の取付け孔17,17に対応して、リヤサイドフレーム12の前端部12aには予め複数のナット24,24が溶接固定され、このナット24に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト25を用いて、取付け座14fがリヤサイドフレーム12の前端部12aに着脱可能にボルトアップ締結されている。
【0040】
このようにして上述のリヤクロスメンバ14は、図12にも示すように、メンテナンス性を考慮して、トンネル部3側部のフロアパネル2と、フロアフレーム10の後端部10aと、リヤサイドフレーム12の前端部12aとに複数のボルト21,23,25(この実施例では合計12本のボルト)を用いて着脱可能ボルトアップ締結されたものである。
【0041】
しかも、上述のリヤクロスメンバ14は図9に断面図で示すように、その前面部はフロアパネル2の下面から後方に向けて斜め下方に延びる前高後低状の整流部14gを有するように整流形状に成形されていて、このリヤクロスメンバ14で燃料タンク13への走行風xを整流するところのエアデフレクタを兼ねると共に、該リヤクロスメンバ14は燃料タンク13を保護する燃料タンクガード部をも兼ねるように構成されている。
【0042】
ところで、図5、図13に示すように、前述の燃料タンク13の側方のリヤフロア6の下方には、車両の前後方向に延びる上述の排気管19が配設され、この排気管19とリヤフロア6との間には燃料タンク13の一部を延長して配設している。つまり、図13、図14に示すように、燃料タンク13には、略L字状に屈曲して配設される排気管19の上部と、リヤフロア6の下部との間に位置するように延長部13aが一体形成され、この延長部13aの形成により、燃料タンク13の容量をさらにの拡大するように構成している。
【0043】
ここで、上述の排気管19の下流側は図5、図13に示すように、サイレンサ26を介してテールパイプ27に接続される一方、排気管19の上流側は図1、図3、図5に示すようにトンネル部3の車外側に位置するキャタリスト28,29を介して、エンジンのエキゾーストマニボルトに接続されている。
【0044】
なお、図4において燃料タンク13の上部には凹部13bが形成され、これに対応してリヤフロア6にも凹部6bが形成されているが、図15に示すように、これらの各凹部13b,6bを省略して、この分、燃料タンク13の容量拡大を図るように構成してもよい。
【0045】
また、図5においてクロスメンバ8(いわゆるNo.2クロスメンバ)と対応する部位のトンネル部3の開放下端部には下部トンネルメンバ30が設けられている。さらに、キックアップ部5に近接するリヤフロア6上方にはリヤシート31が設けられている。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0046】
このように、上記実施例の車両の下部車体構造は、フロアパネル2と、該フロアパネル2の後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12,12を備え、一対のリヤサイドフレーム12,12間に車両補機(排気管19参照)が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部12a,12a間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するリヤクロスメンバ14を設け、上記リヤクロスメンバ14をフロアパネル2の下方に着脱可能に配設したものである。
【0047】
この構成によれば、フロアパネル2の下方に上記リヤクロスメンバ14を配設したので、キックアップ部5の上部背面にリヤクロスメンバを設ける従来構造に対して、キックアップ部5を後退設定することができ、これにより車室内の拡大と居住性の向上とを図ることができ、しかも車両補機(排気管19参照)のサービス性を考慮して上記リヤクロスメンバ14を着脱構造と成したので、補機サービス性を確保することができる。
【0048】
要するに、車室内の拡大および居住性向上を図りつつ、車体剛性の確保と、補機サービス性の確保との両立を図ることができる。
また、上記リヤクロスメンバ14とフロアパネル2との間には車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、上記車両補機を該排気管19に設定したものである。
【0049】
この構成によれば、リヤクロスメンバ14の着脱可能により、特にサービスの要求が高い排気管19を確実にサービスすることができる。
さらに、上記フロアパネル2にはリヤクロスメンバ14の配設部位から後方が上方に段上げされたキックアップ部5が形成され、該キックアップ5の下方に燃料タンク13が配設されたものである。
【0050】
この構成によれば、リヤクロスメンバ14はフロアパネル2の下方(詳しくはキックアップ部5直前部位におけるフロアパネル2の下方)に配設されており、従来のようにリヤクロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在しないので、燃料タンク13の容量拡大を図ることができ、また上記リヤクロスメンバ14により車体の剛性を確保することができる。つまり、車体の剛性の確保と、燃料タンク13の容量アップとの両立を図ることができる。
【0051】
加えて、上記燃料タンク13の側方のフロアパネル(リヤフロア6参照)の下方には、車両の前後方向に延びる上記排気管19が配設され、該排気管19とフロアパネル(リヤフロア6参照)との間には上記燃料タンク13の一部を延長(延長部13a参照)して配設したものである。
【0052】
この構成によれば、排気管19のレイアウトを確保しつつ、上述の燃料タンク13の一部延長構造により、該燃料タンク13の容量をさらに拡大することができる。なお、実施例で示したように、燃料タンク13の下面部13cをフロアパネル2の最下面高さよりも距離L1だけ低位置に延出すると、燃料タンク13の容量をより一層拡大することができる。
【0053】
また、上記リヤクロスメンバ14は上記リヤサイドフレーム12の前端部12aにボルトアップ締結されたものである。
この構成によれば、リヤクロスメンバ14を車体剛性部材としての閉断面構造のリヤサイドフレーム12に締結したので、両者(リヤクロスメンバ14およびリヤサイドフレーム12)の剛性向上を図ることができ、リヤクロスメンバ14の支持剛性(結合強度)を確保することができるうえ、リヤクロスメンバ14の着脱構造により補機(排気管19参照)のサービス性を確保することができる。
【0054】
さらに、上記リヤクロスメンバ14はフロアパネル2にボルトアップ締結されたものである。
【0055】
この構成によれば、リヤクロスメンバ14をフロアパネル2に締結したので、両者(リヤクロスメンバ14およびフロアパネル2)の剛性向上を図り、リヤクロスメンバ14の支持剛性向上を図ることができるうえ、リヤクロスメンバ14の着脱構造により補機(排気管19参照)のサービス性を確保することができる。
【0056】
加えて、上記リヤクロスメンバ14はフロアパネル2のトンネル部3にボルトアップ締結されたものである。
この構成によれば、リヤクロスメンバ14をフロアパネル2の中で強度が高いトンネル部3に締結したので、両者(リヤクロスメンバ14およびトンネル部3)の剛性向上を図ってリヤクロスメンバ14の支持剛性(結合強度)をさらに向上させることができるうえ、リヤクロスメンバ14の着脱構造により補機(排気管19参照)のサービス性を確保することができる。
【0057】
しかも、上記リヤクロスメンバ14は、フロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム10にボルトアップ締結されたものである。
この構成によれば、リヤクロスメンバ14を車体剛性部材としての閉断面構造のフロアフレーム10に締結したので、両者(リヤクロスメンバ14およびフロアフレーム10)の剛性向上を図り、リヤクロスメンバ14の支持剛性をより一層向上させることができるうえ、リヤクロスメンバ14の着脱構造により補機(排気管19参照)のサービス性を確保することができる。
【0058】
また、上記リヤクロスメンバ14には車両補機(排気管19参照)の配設部に対応して凹部18が形成されたものである。
【0059】
この構成によれば、車体剛性の確保と、補機(排気管19参照)のサービス性の確保との両立を図ることに加えて、上記凹部18の形成により補機(排気管19参照)のレイアウトの容易化を達成することができる。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤフレームは、実施例のリヤサイドフレーム12に対応し、
以下同様に、
車両補機は、排気管19に対応し、
クロスメンバは、リヤクロスメンバ14(いわゆるNo.3クロスメンバ)に対応し、
燃料タンクの側方のフロアパネルは、リヤフロア6に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の車両の下部車体構造を示す斜視図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1のA−A線矢視断面図。
【図4】図3の要部拡大側面図。
【図5】車両の下部車体構造を示す底面図。
【図6】リヤクロスメンバの平面図。
【図7】リヤクロスメンバの斜視図。
【図8】図7のB−B線矢視断面図。
【図9】図6のC−C線に相当する部位の断面図。
【図10】図6のD−D線に相当する部位の断面図。
【図11】図6のE−E線に相当する部位の断面図。
【図12】リヤクロスメンバの拡大側面図。
【図13】排気管および燃料タンクの斜視図。
【図14】燃料タンクの正面図。
【図15】車両の下部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図16】従来の車両の下部車体構造を示す側面図。
【符号の説明】
【0062】
2…フロアパネル
3…トンネル部
5…キックアップ部
6…リヤフロア
10…フロアフレーム
12…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
13…燃料タンク
14…リヤクロスメンバ(クロスメンバ)
18…凹部
19…排気管(車両補機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームを備え、
一対のリヤフレーム間に車両補機が配設された車両の下部車体構造であって、
上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、
上記クロスメンバをフロアパネルの下方に着脱可能に配設した
車両の下部車体構造。
【請求項2】
上記クロスメンバとフロアパネルとの間には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、
上記車両補機を該排気管に設定した
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
上記フロアパネルにはクロスメンバの配設部位から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、
該キックアップの下方に燃料タンクが配設された
請求項1または2記載の車両の下部車体構造。
【請求項4】
上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には、車両の前後方向に延びる上記排気管が配設され、
該排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設した
請求項3記載の車両の下部車体構造。
【請求項5】
上記クロスメンバは上記リヤフレームの前端部にボルトアップ締結された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の下部車体構造。
【請求項6】
上記クロスメンバはフロアパネルにボルトアップ締結された
請求項1〜5の何れか1に記載の車両の下部車体構造。
【請求項7】
上記クロスメンバはフロアパネルのトンネル部にボルトアップ締結された
請求項6記載の車両の下部車体構造。
【請求項8】
上記クロスメンバは、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームにボルトアップ締結された
請求項1〜7の何れか1に記載の車両の下部車体構造。
【請求項9】
上記クロスメンバには車両補機の配設部に対応して凹部が形成された
請求項1〜9の何れか1に記載の車両の下部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−21636(P2006−21636A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201296(P2004−201296)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】