説明

車両の変速制御装置

【課題】 手動変速モード付き自動変速機とターボチャージャを有するエンジンを備えた車両において、手動変速モードでの走行時に、十分な加速性能を得ることができる車両の変速制御装置を提供する。
【解決手段】 ターボチャージャ6を有するエンジン1および自動変速モードと手動変速モードとに切り替え可能な自動変速機2を備え備える車両の変速制御装置において、自動変速モードから手動変速モードへの切り替えを検知する切り替え検知手段と、切り替え検知手段により自動変速モードから手動変速モードへの切り替えが検知されたとき、自動変速モードに比べ高い手動変速モードでの下限エンジン回転数NEmin(M)を設定する設定手段と、手動変速モードでの走行時に、エンジン回転数が、設定手段で設定された手動変速モードでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上に維持されるように変速制御する手段と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャを有するエンジンおよび自動変速モードと手動変速モードとに切り替え可能な自動変速機を備える車両の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンに連結される変速機としては自動変速機が知られており、近年、この自動変速機において自動変速モードばかりでなく、手動操作によっても変速されることを可能にする手動変速モード付き自動変速機が普及してきている。かかる手動変速モード付き自動変速機を備えた車両では、自動変速モードにあってはドライバの意思に関わらず自動的に変速してエンジンの性能に基づく燃費の優れた走行を可能にすることが図られ、一方、手動変速モードにあっては変速段を手動操作によって切り替えることで加速性能や制動性能などの点で、ドライバの意思を反映した走行感に満ちたドライビングの実現を可能にすることが図られている。
【0003】
このような、走行感に満ちたドライビングの重視を図る技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が提案されている。これは、自動変速機として無段変速機を採用した車両において、人為的な操作に基づいて入力回転数の目標値を制約することが可能な無段変速機の制御装置において、その人為的な操作に基づいてエンジンの回転数あるいは無段変速機への入力回転数の目標値の下限値を設定すると共に、車速もしくは車速に関連する値に応じてそれを変化させることにより、車両の加速応答性を向上させ、手動変速機に近い走行感覚をドライバに与えようとするものである。
【0004】
また、過給機であるターボチャージャを用いて吸気の充填量を増大させ、エンジンのトルクを高めるようにしたターボチャージャ付きエンジンが一般に用いられ、ターボチャージャの過給による車両の加速性能の向上が図られている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−227636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ターボチャージャを備えたエンジンにおいては、エンジン回転数が低く排気ガス量が少ないときには、ターボチャージャによる十分な過給が行われず所望のトルクが得られないことが知られており、ターボチャージャを用いて吸気を十分に過給するためには、所定の回転数以上に、エンジン回転数が維持されなければならない。しかしながら、自動変速モードでの走行中において、急速な加速を期待して手動変速モードに切り替えてアップシフトすること等を全てドライバの意思に任せると、十分に回転数が上がっていないにもかかわらずアップシフトされる場合もあり、そのような場合にはターボチャージャにより十分に過給できない回転数にまで、エンジン回転数が低下する。その結果、エンジンのトルクが低下し、ドライバは、期待通りの加速感を得ることができないという問題がある。
【0007】
一方、上記した特許文献1に開示の技術は、車速等に応じてエンジンの目標回転数あるいは無段変速機への入力回転数の目標値の下限値を変化させて、手動変速機に近い走行感覚をドライバに与えようとしているが、ターボチャージャを備えたエンジンにおけるトルクの低下については何ら考慮されていない。すなわち、かかる特許文献1に開示された技術を手動変速モード付き自動変速機にターボチャージャを備えた車両に適用したとしても、手動変速モードに切り替えられた場合の加速感を向上させることはできない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解消し、手動変速モード付き自動変速機とターボチャージャを有するエンジンを備えた車両において、手動変速モードでの走行時に、十分な加速性能を得ることができる車両の変速制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係る車両の変速制御装置は、ターボチャージャを有するエンジンおよび自動変速モードと手動変速モードとに切り替え可能な自動変速機を備える車両の変速制御装置において、自動変速モードから手動変速モードへの切り替えを検知する切り替え検知手段と、切り替え検知手段により自動変速モードから手動変速モードへの切り替えが検知されたとき、自動変速モードに比べ高い手動変速モードでの下限エンジン回転数を設定する設定手段と、手動変速モードでの走行時に、エンジン回転数が、設定手段で設定された手動変速モードでの下限エンジン回転数以上に維持されるように変速制御する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一形態によれば、自動変速機が自動変速モードから手動変速モードへ切り替えられたときには、エンジン回転数の下限値が自動変速モードでの下限エンジン回転数よりも高い手動変速モードでの下限エンジン回転数に設定が切り替えられ、エンジン回転数がそれ以上の回転数に保たれるように変速制御されるので、ターボチャージャのタービンがエンジンの排気ガスにより十分に回転されて、ターボチャージャによる過給が十分に行われる。従って、所望のトルクが得られ、期待通りの加速感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。先ず、図1に、本発明に係る車両の変速制御装置の実施形態の概略構成図を示す。
【0012】
図1において、エンジン1は自動変速機2に連結され、その自動変速機2の出力軸3が、ディファレンシャル4を介して左右の駆動輪5、5に連結されている。エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。自動変速機2は、流体伝動機構であるトルクコンバータ2aと、変速機構2bを含んで構成されており、変速機構2bは、例えば複数組の遊星歯車機構から構成された有段の変速機構や、ベルト式やトロイダル式の無段の変速機構とすることも可能である。尚、以下の説明において、変速機構2bとして、有段の変速機構を備えた自動変速機2を単にAT、無段の変速機構を備えた自動変速機2を単にCVTと称することもある。また、エンジン1にはターボチャージャ6が設けられていて、排気管1bに介装されたタービン6bに流入する排気ガスにより吸気管1aに介装されたコンプレッサ6aが回転駆動され、エンジン1の吸気が加圧過給される。さらに、吸気管1aには、電子制御が可能なスロットルバルブ1cが備えられている。
【0013】
また、ドライバによる自動変速モードおよび手動変速モードの選択、すなわち切り替えを可能にするシフトレバー7aを有するシフト機構7が備えられている。シフト機構7は、例えば、前後に向けて配列された「P、R、N、D」の4ポジションと、「D」から横方向に通ずる「+、M、−」の3ポジションとを有している。「D」の自動変速モード(以下、Dレンジという。)から横方向にシフトレバー7aをシフトした状態(図中のポジション)が手動変速モード(以下、Mレンジという。)であり「M」で表されている。そして、「M」のポジションで、前方向(+方向)にシフトレバー7aの操作をすると自動変速機をアップシフトし、後方向(−方向)にシフトレバー7aの操作をするとダウンシフトすることができるように構成されている。尚、シフト機構7は上記形態に限定されず、例えば変速モードの切り替えと連動した「up」および「down」のボタンからなるスイッチとしても良い。
【0014】
さらに、エンジン1および自動変速機2の制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)8を本発明に係る車両の変速制御装置は備えている。ECU8は、CPUと、種々のプログラムやデータを記憶するメモリと、入力インタフェース回路と、出力インタフェース回路とを備える、例えばマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェース回路には、自動変速機2の出力軸回転数NOないしは車速を検出する車速センサ8a、エンジン1への過給圧を検出する過給圧センサ8b、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ8c等の各種センサが接続され、それらからの出力信号が入力される。さらに、入力インタフェース回路には、シフト機構7が電気配線を介して接続されていてシフトレバー7aの位置により選択レンジや変速モードの切り替えの出力信号、およびオン・オフスイッチ等よりアップシフト又はダウンシフトの出力信号が入力される。そして、各種アクチュエータ類に対する制御量は演算され、ECU8の出力インタフェース回路からは、エンジン1および自動変速機2を制御する信号が出力される。
【0015】
まず、上記構成において自動変速機2がATである場合の、本発明に係る車両の変速制御装置の第一の実施形態における変速制御の一例について、図2のフローチャートを用いて説明する。尚、図2の変速制御ルーチンは、所定時間毎に実行されるルーチンである。
【0016】
まず、制御が開始されると、ステップS101において、自動変速モードから手動変速モード、すなわちDレンジからMレンジへ切り替えられたか否かが判別される。具体的には、シフト機構7の操作に応じて、入力インタフェース回路に入力される電気信号に基づいて判別される。この判別の結果、Mレンジへ切り替えられた場合には、ステップS102へ進み、後段における制御の切り分けのためにMレンジフラグがONにされる。ここで、「Mレンジフラグ」とは、DレンジからMレンジへ切り替えられた状態を示すためのものであり、これがONということはMレンジへ切り替えられた状態にあることを意味する。
【0017】
次に、ステップS103へ進み、ガード変更フラグがOFFであるか否かが判別される。この「ガード変更フラグ」とは、エンジン1の回転数の下限ガードであるDレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)から、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)への設定の切り替え状態を示すためのものであり、これがONということは手動変速モードでの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定された状態にあることを意味する。尚、これらのDレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)およびMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)はエンジン1とターボチャージャ6との特性に合わせて求められ、メモリに予め記憶されている。すなわち、このMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)は、エンジン1の排気ガスによるエネルギーにより回転されるターボチャージャ6によってエンジン1への過給圧が所定圧以上に維持されて、十分な加速性能を得ることができる回転数とされている。また、Dレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)は、例えばエンジン1のアイドリング回転数であり、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)より低い回転数である。
【0018】
そこで、上記ステップS103で、ガード変更フラグがOFF、すなわち設定が完了していないと判別されると、これは今までDレンジで走行していた状態からMレンジへ切り替えられた直後の判別であり、ステップS104へ進む。そして、現在のエンジン回転数NEが、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上であるか否かが判別される。ここで、この現在のエンジン回転数NEは、車速センサ8aにより検出された自動変速機2の出力軸回転数NOに基づいて、次式(1)により求められる。
【0019】
【数1】

【0020】
ここで、NEは現在のエンジン回転数、NOは自動変速機2の出力軸回転数、GEAR(n)は現在の変速段(n)のギヤ比、およびeはトルクコンバータ2aのトルクコンバータ速度比である。判別の結果、現在のエンジン回転数NEがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上のときにはステップS105へ進み、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定される。具体的には、図3(a)に示されているDレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)に代えて、図3(b)に示すようにMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)がエンジン1の回転数の下限ガードとして設定される。そして、ステップS106で上述のガード変更フラグがONにされてステップS107へ進み、現在の変速段(n)よりも上の変速段(n+1)へアップシフトされることが禁止される。これは、アップシフトされると、現在の変速段(n)における現在のエンジン回転数NEが、シフト後において、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以下となるときがあり、そのような場合にアップシフトされてエンジン回転数NEがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)よりも低下することを防止するためである。
【0021】
一方、前述のステップS103でガード変更フラグがOFFではない、すなわちMレンジへ切り替えられていることによりONと判別されると、前述とは異なりステップS108へ進む。ステップS108では、上記式(1)により求められる現在のエンジン回転数NEが、下限エンジン回転数NEmin(M)を下回らないようにするため、それがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以下か否かが判別される。そして、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)より高いときにはステップS109へ進む。ここでは、アップシフトが可能か否かを調べるために、現在のエンジン回転数NEで、現在の変速段(n)よりも一段上の変速段(n+1)へアップシフトされたならば移行すると考えられるエンジン回転数NETが、下限エンジン回転数NEmin(M)以上か否かが判別される。このエンジン回転数NETは、次式(2)により求められる。
【0022】
【数2】

【0023】
ここで、NETはアップシフトされたならば移行すると考えられるエンジン回転数、NOは自動変速機2の出力軸回転数、GEAR(n+1)は現在の変速段(n)よりも一段上の変速段(n+1)のギヤ比、eはトルクコンバータ2aのトルクコンバータ速度比である。判別の結果、移行すると考えられるエンジン回転数NETがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上のときにはステップS110へ進み、現在の変速段(n)よりも一段上の変速段(n+1)へのアップシフトが可能にされる。つまり、上記ステップS107で禁止されていた現在の変速段(n)よりも上の変速段(n+1)へのアップシフトが、許可される。但し、ここでのアップシフトは強制的に行われずに、この状態でドライバからアップシフトが要求されなければ、アップシフトされない。このように、予想されるエンジン回転数NETがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上のときにのみアップシフトが可能にされるので、アップシフトによりエンジン1の回転数が低下しても、下限エンジン回転数NEmin(M)より低くなることはない。つまり、下限エンジン回転数NEmin(M)以上にエンジン回転数は保たれ、エンジン1へターボチャージャ6を用いて十分に過給し続けることが可能になる。尚、ステップS109で、予想されるエンジン回転数NETがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)より低いときにはステップS107へ進み、アップシフトの変速が禁止された状態が保たれる。
【0024】
ところで、ガード変更フラグがONにされているMレンジでの走行中に、ブレーキが踏まれた等により車速が減速してくると、エンジン回転数NEも低下してくる。このようなときには、まず、ステップS103でガード変更フラグがONにされていると判別されて、ステップS108へ進み、上記式(1)に基づいて求められる現在のエンジン回転数NEが、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以下と判別されると、前述とは異なりステップS111へ進む。そして、現在の変速段(n)よりも一段下の変速段へコーストダウン、具体的にはダウンシフトが行われ、エンジン回転数NEが下限エンジン回転数NEmin(M)よりも高くなるようにされる。
【0025】
尚、Mレンジでの走行中にDレンジへ切り替えが行われると、ステップS101からステップS112へ進み、MレンジフラグがONであるか否かが判別される。ここで、ONであると判別されると、ステップS113でMレンジフラグがOFFにされて、ステップS114へ進む。そして、ガード変更フラグがONか否かが判別され、ONであるときにはステップS115へ進み、設定されているMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が解除される。そして、次のステップS116でガード変更フラグがOFFにされる。これにより、Dレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)がエンジン1の回転数の下限ガードとして規定されるようになる。そして、ステップS117において、前述のステップS107で禁じられていたアップシフトが解除、すなわちアップシフト禁止が解除されて、Dレンジでの走行状態になる。尚、Dレンジでの走行状態においてのルーチンでは、ステップS101からステップS112へ進みMレンジフラグがONにされていないので、そのままルーチンが終了される。
【0026】
ここで、上述の第一の実施形態において、どのような変速制御がされるのかを、さらに具体的に説明する。まず、上記した下限エンジン回転数NEmin(M)が設定されるまでを、図4の「A」で表される走行状態において、DレンジからMレンジへ切り替えられたときを想定して説明する。DレンジからMレンジへ切り替えられたことが検知されると、MレンジフラグがONにされて、ガード変更フラグがOFFであるか否かが判別される(ステップS103)。そこで、ガード変更フラグは、直前までDレンジであったため、OFFであるので、上記式(1)に基づき状態「A」でのエンジン回転数NE(A)が演算され、これがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上か否かが判別されること上述の通りである(ステップS104)。ここで、図4からも明らかに、状態「A」におけるエンジン回転数NE(A)はMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)よりも低いので、下限ガードはDレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)のままでこのルーチンは終了される。しかし、その後、例えば加速されて、図4中の「B」で表される走行状態になると、同様に、MレンジフラグがONにされていて且つガード変更フラグがOFFであるので、状態「B」における現在のエンジン回転数NE(B)が演算される。そして、このエンジン回転数NE(B)は、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上と判別され(ステップS104)、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定されることになる(ステップS105)。このようにして、第一の実施形態では、Mレンジに切り替えられた後、現在のエンジン回転数NEがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上になると、初めてこの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定される。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)より現在のエンジン回転数NEが低くても、Mレンジに切り替えられたときに、すぐにMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を設定することにしても良い。
【0027】
さらに、前述のアップシフトが可能にされるまでを、図5の「C」で表される走行状態を想定して説明する。MレンジフラグがONにされていて、ガード変更フラグがONにされている「C」の走行状態においての、現在のエンジン回転数NE(C)がMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)より大きいので(ステップS108)、アップシフト可能か否かが判別される。そして「C」の走行状態からアップシフトされたときに移行するエンジン回転数NET(C)が求められてMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)と対比されること前述の通りである(ステップS109)。しかし、この予想されるエンジン回転数NET(C)は図5から明らかなようにMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)よりも低いと判別されるので、アップシフトは可能にされないのである。その後、例えば加速されて図5の「E」の走行状態になると、図5に示すようにアップシフト後に予想されるエンジン回転数NET(E)がMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上と判別されるようになるので、現在の変速段(n)よりも一段上の変速段(n+1)へのアップシフトが可能にされる(ステップS110)。このように、アップシフト後に予想されるエンジン回転数NETがMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上になってからアップシフトが可能にされるので、シフト後であってもエンジン回転数はMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)よりも低下することはないのである。
【0028】
以上、上記した本発明に係る第一の実施形態によれば、DレンジからMレンジへ切り替えられると、エンジン1の回転数の下限ガードとして、Dレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)よりも回転数の高いMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定される。そして、減速又は加速に伴ってアップシフト又はダウンシフトされても、エンジン1の回転数がこの下限エンジン回転数NEmin(M)以上に維持されるように変速制御がされる。それ故、ターボチャージャ6のタービン6bがエンジン1の排気ガスにより十分に回転されて、ターボチャージャ6による過給により、過給圧は一定以上に維持され得る。従って、所望のトルクが得られ、期待通りの加速感を継続して得ることができる。
【0029】
次に、本発明の第二の実施形態について図6のフローチャートを用いて説明する。この第二の実施形態が上記第一の実施形態と異なる点は、上記第一の実施形態ではMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を固定値としたのに対して、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を過給圧に応じて変えるべく補正するようにした点である。そのために、第二の実施形態の変速制御ルーチンでは、上記第一の実施形態における変速制御ルーチンのステップS102とステップS103との間に、新たにステップS203およびステップS204が加わった制御が行われる。すなわち、図6のフローチャートにおけるステップS201およびステップS202と、ステップS205ないしステップS219は、上記第一の実施形態の図2のフローチャートにおけるステップS101およびステップS102と、ステップS103ないしステップS117とそれぞれ対応するので、その繰り返しの説明を避け、ステップS203およびステップS204についてのみ説明することにする。尚、図6の変速制御ルーチンも、所定時間毎に実行されるルーチンである。
【0030】
そこで、上述のようにDレンジからMレンジへ切り替えられ、ステップS202においてMレンジフラグがONにされると、ステップS203では、下限エンジン回転数補正量NEhが、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を補正するために用いられるべく求められる。これは、過給圧センサ8bにより検出された吸気管1aの過給圧を、予め実験等により求められてメモリに記憶されているマップに照合することにより行われる。ここで、このマップは、ECU8のメモリに予め記憶されている例えば図7の右上に示されるマップ1であり、過給圧(kPa)の大きさに対応してその補正量が小さくなるように下限エンジン回転数補正量NEhが設定されている。尚、図6のフローチャートでは、過給圧をKAKYUとして、マップ1に照合することをMAP(KAKYU)として表している。
【0031】
次に、ステップS204において、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が、次式(3)に基づき求められる。
【0032】
【数3】

【0033】
ここで、NEmin(M)はMレンジでの下限エンジン回転数、NEmin(D)はDレンジでの下限エンジン回転数、NEhは上述の下限エンジン回転数補正量である。これは、第二の実施形態におけるMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)は、Dレンジでの下限エンジン回転数NEmin(D)よりも高く、その時々の過給圧に応じて変わる回転数であることを意味している。
【0034】
そして、ステップS204でMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が求められた後は、それ以降のステップで、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)の設定や、この下限エンジン回転数NEmin(M)以上にエンジン回転数を維持する変速制御が行われることは上述の通りである。
【0035】
尚、図7の右上に示されているマップ1では、下限エンジン回転数補正量NEhと過給圧との関係が、過給圧が高くなるに従って下限エンジン回転数補正量NEhが小さくなる比例関係になっている。このマップ1の関係を用いてMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を補正するのは、例えばターボチャージャ6のタービン6bが小型の場合が好適である。これは、小型タービンは排気ガスからエネルギーを受け回転エネルギーに変換させる応答性がよく、過給圧が上がり易いためである。
【0036】
一方、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を補正するのに、図8に示すマップ2を用いることも可能である。このマップ2では下限エンジン回転数補正量NEhと過給圧との関係は、過給圧の低中領域では下限エンジン回転数補正量NEhはほぼ一定であるが、高領域では下限エンジン回転数補正量NEhの低下が大きくなる関係になっている。このマップ2の関係を用いてMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を補正するのは、例えばターボチャージャ6のタービン6bが大型の場合が好適である。これは、大型タービンは排気ガスからエネルギーを受け回転エネルギーに変換させる応答性が良好とは言えず、過給圧が上がり難いためである。しかし、本発明は、マップ1又はマップ2以外のマップを用いて、Mレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)を補正することを排除するものではなく、例えば、使用されるターボチャージャに応じてそれらの中間の補正量をもつマップを用いても良い。
【0037】
次に本発明に係る車両の変速制御装置の第三の実施形態について図9のフローチャートを用いて説明するが、これは上記第一および上記第二の実施形態と、自動変速機2としてCVTを用いている点が異なる。なお、変速機構2bは、図示しないが、溝幅を変更できるプライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトを巻きかけ、これらのプーリの溝幅を互いに反対方向に変化させることにより、ベルトの巻きかけ半径を連続的に変化させて、無断変速を行うように構成されている。ここで、CVTの制御は、Dレンジにおいては、アクセル開度などの要求駆動量に基づいて、エンジン1と共に制御される。具体的には、まず、車速センサ8aより検出される車速およびアクセル開度センサ8cより検出されるアクセル開度に基づいてエンジン1の目標出力が求められ、その目標出力に基づいて変速機構2bの入力軸の回転数の目標値(以下、目標入力軸回転数という。)NINTが求められる。そして、エンジン1をこの目標出力になるように制御すると共に、実際の変速機構2bの入力軸の回転数(以下、入力軸回転数という。)が、この目標入力軸回転数NINTになるように変速比が制御されて、この結果入力軸回転数に対応するエンジン回転数も目標入力軸回転数に対応する所定の回転数に制御される。
【0038】
一方、Mレンジにおいて、ドライバによりシフトレバー7aが操作されたときには予め定められている値に変速比をステップ的に変化させると共に、そのような操作がされないときには選択されている変速比が維持されるように変速制御されるので、一の変速比での走行状態からアップシフトがされると、車速やアクセル開度の変化がない場合には、目標入力軸回転数が大きく減少する。このような場合において、入力軸回転数すなわちエンジン回転数が所定の回転数より低くなるが、第三の実施形態でもこれを防いで、ターボチャージャにより十分な過給を行うべく変速制御を行っている。但し、上述のように自動変速機2としてCVTを用いている制御の観点から、変速機構2bの入力軸回転数に着目してエンジン回転数を所定の回転数以上に維持する制御について説明する。ここで、第三の実施形態における図9のフローチャートのステップS301およびステップS302、ステップS309ないしステップS313は、上記第一の実施形態の図2のフローチャートにおけるステップS101およびステップS102、ステップS112ないしステップS116と同様であるので、重複説明を避ける。尚、図9の変速制御ルーチンも、所定時間毎に実行されるルーチンである。
【0039】
そこで、DレンジからMレンジへ切り替えられ、MレンジフラグがONにされた後の、ステップS303でガード変更フラグがONではない、すなわちOFFであると判別されるとステップS304へ進み、前述の如く求められる目標入力軸回転数NINTが、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上か否かが、入力軸回転数の下限ガードを切り替えるために判別される。
【0040】
そして、上記ステップS304で、目標入力軸回転数NINTが、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上であると判別されるとステップS305へ進み、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が設定され、ステップS306でガード変更フラグがONにされる。なお、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)とMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)とは対応していて、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が設定されることは、トルクコンバータのスリップを無視すれば、同時にMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)が設定されることを意味している。従って、以下では、トルクコンバータのスリップを無視して説明する。
【0041】
一方、前述のステップS303でガード変更フラグがONであると判別されると、前述とは異なりステップS307へ進む。ステップS307では、入力軸回転数を下限入力軸回転数NINmin(M)以上に維持することができるのかを調べるために、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)よりも低いか否か、判別される。そして、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)より低いと判別されるとステップS308へ進み、目標入力軸回転数NINTが、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)に一致させられる。これにより、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)より低くても、入力軸回転数をそれ以上に維持するように変速制御がされて、エンジン回転数も下限エンジン回転数以上に維持することが可能になる。尚、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上とステップS307で判別されると、このルーチンは終了される。
【0042】
ここで、上述の第三の実施形態において、どのような変速制御がされるのかを、さらに図10を参照して、具体的に説明する。まず、上記したMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が設定されるまでを、図10の「F」で表される走行状態において、DレンジからMレンジへ切り替えられたときを想定して説明する。尚、図10では、6つの変速比が予め定められていて、大きい方からγ1ないしγ6として示されている。DレンジからMレンジへ切り替えられたことが検知されると、MレンジフラグがONにされて、ガード変更フラグがONであるか否かが判別されること上述の通りである(ステップS303)。そこで、この切り替えられた直後は、直前までDレンジであったために、ガード変更フラグがOFFであるので、状態「F」での目標入力軸回転数NINT(F)が求められ、これがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上か否かが判別されることも上述の通りである(ステップS304)。ここで、状態「F」における目標入力軸回転数NINT(F)は、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)よりも低く、下限ガードはDレンジでの下限入力軸回転数NINmin(D)のままでこのルーチンは終了される。一方、例えば車速やアクセル開度がかわらないままで、ドライバによりダウンシフトがされると、図10中の目標入力軸回転数NINT(G)が求められて、入力軸回転数がこの目標値になるように変速制御されて状態「G」になる。そして、この目標入力軸回転数NINT(G)は、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上と判別されて(ステップS304)、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が設定されることになる(ステップS305)。このようにして、第三の実施形態でも、Mレンジへ切り替えられた後、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)以上になると、この下限入力軸回転数NINmin(M)が設定される。
【0043】
さらに、前述の目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)に一致させられるまでを、図11の変速比γ3の「H」で表される走行状態で、ドライバにより変速比γ4へのアップシフトの操作がなされたとき、を想定して説明する。尚、図11でも、図10と同様に、6つの変速比が予め定められていて、大きい方からγ1ないしγ6として示されている。MレンジフラグがONにされていて、ガード変更フラグがONにされている「H」での走行状態において、変速比γ3からγ4へのアップシフトによる目標入力軸回転数NINT(H)がMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)より低いか否かが、判別されること前述の通りである(ステップS307)。この目標入力軸回転数NINT(H)は図11から明らかなように、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)よりも低いと判別されるので、前述の通り、目標入力軸回転数NINTがMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)に一致させられる(ステップS308)。
【0044】
ここで、車速s(H)且つ目標入力軸回転数NINTが下限入力軸回転数NINmin(M)であるのは、図11によれば、予め定められていた変速比とは異なる変速比γ3.5の状態の「h1」のときである。そのため、上述のようにアップシフト操作がされると、入力軸回転数が下限入力軸回転数NINmin(M)である状態「h1」になるように変速比γ3.5で変速制御が行われる。一方で、このように入力軸回転数を下限入力軸回転数NINmin(M)に保つ、すなわち対応するエンジン回転数を下限エンジン回転数NEmin(M)に保つために、エンジン1の出力を制御すべく必要に応じてスロットルバルブ1cの開度を補正する制御がアクチュエータ8dに対して行われる。
【0045】
そして、このように予め定められていた変速比とは異なる変速比に変速制御がされた後は、アクセル開度や車速に現れるドライバからの加速又は減速要求に基づいて、アップシフトにより変化するはずであった予め定められている変速比γ4になるように変速制御がされる。具体的には、図11において、変速比γ3.5の状態「h1」から変速比γ4の状態へ変速されるときには、変化する車速に応じて、入力軸回転数を下限入力軸回転数NINmin(M)に維持する変速制御が上述したように行われながら、状態「h1」から状態「h2」へ移行される。一方、状態「h1」において減速がされると変速比γ4へは変速制御しないで、状態「h1」から目標入力軸回転数NINTを下限入力軸回転数NINmin(M)に保ちつつ変速比γ3への変速制御が行われ、状態「h1」から状態「h3」へ移行される。
【0046】
以上、第三の実施形態によれば、一の変速比での走行状態において例えばドライバによりアップシフトされても、予め定められていた他の変速比ではない変速比に変速制御がされて、その結果、上記第一の実施形態や上記第二の実施形態と同様に、エンジン回転数がMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上に維持されることになる。
【0047】
次に、本発明に係る車両の変速制御装置の第四の実施形態における変速制御の一例について、図12のフローチャートを用いて説明する。この第四の実施形態の変速制御が上記第三の実施形態の変速制御と異なる点は、上記第二の実施形態が上記第一の実施形態と異なる点と同様に、Mレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)を過給圧に応じて補正する点である。そのために、第四の実施形態の変速制御ルーチンでは、上記第三の実施形態における変速制御ルーチンのステップS302とステップS303との間に、新たにステップS403およびステップS404が加わった制御が行われる。すなわち、図12のフローチャートにおけるステップS401およびステップS402と、ステップS405ないしステップS415は、図9のフローチャートにおけるステップS301およびステップS302と、ステップS303ないしステップS313とそれぞれ対応するので、その繰り返しの説明を避け、ステップS403およびステップS404についてのみ説明することにする。尚、図12の変速制御ルーチンも、所定時間毎に実行されるルーチンである。
【0048】
まず、Mレンジへ切り替えられ、MレンジフラグがONにされると、ステップS403で、下限入力軸回転数補正量NINhが、現在の過給圧に基づいて、図7の右上のマップ1と同様の過給圧と下限入力軸回転数補正量NINhとの関係を表し、予めメモリに記憶されている不図示のマップ3に照合して、求められる。そして、ステップS404では、上記式(3)と同様の演算を行い、すなわち下限入力軸回転数補正量NINhが、Dレンジでの下限入力軸回転数NINmin(D)に加算されて、補正されたMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が求められる。つまり、上記第二の実施形態と同様にMレンジでの下限入力軸回転数NINmin(M)が求められる。
【0049】
そしてその後のステップにより、上記第三の実施形態と同様に、予め定められていたのとは異なる変速比に変速制御される等して、Mレンジでの走行状態におけるエンジン回転数がMレンジでの下限エンジン回転数NEmin(M)以上に維持されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る車両の変速制御装置の実施形態の概略構成図である。
【図2】第一の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御のフローチャートである。
【図3】第一の実施形態における車速とエンジン回転数、および下限エンジン回転数との関係を表したグラフであり、(a)はDレンジでの関係を、(b)はMレンジでの関係を表している図である。
【図4】第一の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御を説明するための説明図である。
【図5】第一の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御を説明するための説明図である。
【図6】第二の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御のフローチャートである。
【図7】第二の実施形態において過給圧に応じて補正されるMレンジでの下限エンジン回転数を説明するための説明図である。
【図8】第二の実施形態におけるMレンジでの下限エンジン回転数を過給圧に応じて補正するマップの一例を示す図である。
【図9】第三の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御のフローチャートである。
【図10】第三の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御を説明するための説明図である。
【図11】第三の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御を説明するための説明図である。
【図12】第四の実施形態における車両の変速制御装置に対する変速制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 エンジン
2 自動変速機
6 ターボチャージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャを有するエンジンおよび自動変速モードと手動変速モードとに切り替え可能な自動変速機を備える車両の変速制御装置において、
自動変速モードから手動変速モードへの切り替えを検知する切り替え検知手段と、
該切り替え検知手段により自動変速モードから手動変速モードへの切り替えが検知されたとき、自動変速モードに比べ高い手動変速モードでの下限エンジン回転数を設定する設定手段と、
手動変速モードでの走行時に、エンジン回転数が、該設定手段で設定された該手動変速モードでの下限エンジン回転数以上に維持されるように変速制御する手段と、
を備えることを特徴とする車両の変速制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−9972(P2006−9972A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188930(P2004−188930)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】