車両の後部車体構造
【課題】後突事故の発生時等に、後席シートに着座した乗員を効果的に保護できるようにする。
【解決手段】車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置するフロアパネル4上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シート6が配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6を駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段31が、上記フロアパネル4の後端部と後席シート6との間に設けられた。
【解決手段】車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置するフロアパネル4上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シート6が配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6を駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段31が、上記フロアパネル4の後端部と後席シート6との間に設けられた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室前部に設けられたインストルメントパネルの後方側に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両の後部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃料消費量を低減する等の要求から、車体を軽量でコンパクトに形成することが求められているが、このような車両では、コンパクトな構成でありながら車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保するための工夫が必要となる。例えば、下記特許文献1では、車室内の車幅方向中央部に運転席シートからなる前席シートを配設するとともに、その後方側に複数の後席シートを配設することにより、車体をコンパクト化しつつ車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保することが行われている。
【特許文献1】特開平7−156807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているように、運転席シートからなる単一の前席シートが車室内に配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両では、この後席シートの前方部に広い空間が形成されているので、後席シートに着座した乗員の前方視界が良好に確保されるとともに、優れた居住環境が得られるという利点がある。また、上記前席シートの側方部を物品の載置部として利用することにより車体後部の荷室を省略することが可能であり、この場合には、車体の前後寸法を効果的に短縮して車体をよりコンパクトに形成できるという利点がある。
【0004】
しかし、上記のように車体後部の荷室を省略することにより、車体をコンパクトするように構成した場合には、後席シートの後方部に充分なクラッシュスペースを確保することができず、自車両の後部に他車両が衝突する後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形すると、その影響が後席シートの設置部に及び易く、上記衝撃荷重から乗員を効果的に保持できるようにすることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、後突事故の発生時等に、後席シートに着座した乗員を効果的に保護することができる車両の後部車体構造を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置する車室のフロアパネル上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段が、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けられたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両の後部車体構造において、上記後席駆動手段により、車体後部に設けられたリヤバンパに入力された衝撃荷重に応じて後席シートを車体の前方側に移動させるように構成されたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両の後部車体構造において、上記後席駆動手段に、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する緩衝部材が設けられたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造において、上記後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを備え、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーが、上記後席駆動手段に設けられたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の後部車体構造において、フロアパネル上の車幅方向中心部に運転席シートからなる前列シートが配設されるとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シートが配設され、上記後席シート駆動手段により、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に左右の後席シートをそれぞれ駆動して車体の前方側に移動させるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、自車両の後端部に他車両が衝突する等の後突事故が発生して車体後部に大きな衝撃荷重が作用した場合に、この衝撃荷重を利用して後席シートを車体の前方側に移動させるように構成したため、上記フロアパネル等の変形に応じて衝撃荷重が吸収されつつ、上記後突事故の影響が後席シートに及ぶのを効果的に防止することができる。したがって、車体の前後寸法を短縮して車体をコンパクトに形成するために、車体後部の荷室を省略して上記前席シートの側方部を物品の載置部として利用するように構成された車両においても、後突事故の発生時等に車体後部が変形することによる影響が後席シートに着座した乗員に及ぶのを防止して後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、後席駆動手段の後端部を上記リヤバンパの設置部に接続する等により、このリヤバンパに入力された衝撃荷重の一部を効率よく後席シートの設置部に伝達してこの後席シートを確実に車体の前方側に移動させることができるため、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シートの乗員に及ぶのを防止して後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0013】
請求項3に係る発明では、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する圧縮ばね等からなる緩衝部材を上記後席駆動手段に設けたため、上記衝撃荷重が後席シートに対して急激に伝達されるのを効果的に防止し、後席シートに着座した乗員が違和感を受けるのを抑制することができるとともに、上記緩衝部材により衝撃荷重を吸収しつつ、後席シートを適正時期に車体の前方側へ移動させて後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0014】
請求項4に係る発明では、後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを設けることにより、使用者が後席シートの前後位置を調節可能に構成するとともに、後席シートを所定の位置で拘束し得るように構成された車両において、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーを上記後席駆動手段に設けたため、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に、後席シートの拘束状態を自動的に解除して後席シートを車体の前方側へ移動させることにより、後席シートに着座した乗員をそれぞれ効果的に保護することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、車室内の車幅方向中心部に配設された運転席シートからなる前席シートの左右両側方部に広い空間をそれぞれ形成することにより、優れた居住環境が得られるとともに、この空間部を荷物等の収納スペースとして利用できるように構成された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートをそれぞれ車体の前方側に移動させるように駆動する左右一対の後席駆動手段を、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けることにより、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シートの乗員に及ぶのを防止して、この後席シートに着座した乗員をそれぞれ効果的に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3は、本発明に係る車両の後部車体構造を備えた車両を示し、この車両の側面部にはサイドドア1,1により開閉される乗降用開口部が形成されるとともに、車室内の前方部にはインストルメントパネル2が車幅方向に延びるように設置されている。上記インストルメントパネル2の車幅方向中央部には、ステアリングホイール3が設置されるとともに、その後方側に位置する車室のフロアパネル4上に運転席シートからなる前席シート5が配設されている。この前席シート5の斜め後方側には、左右一対の後席シート6,6が配設されることにより、前席シート5よりも大きな車幅方向寸法を有する後席シート6,6の設置部が形成されている。
【0017】
上記前席シート5は、乗員の着座部となるシートクッション7と、その後端部に立設されたシートバック8と、上記シートクッション7の下方に配設された左右一対のスライダー9,9とを有し、上記フロアパネル4の前部中央に設置された左右一対のシートレール10,10に沿って上記スライダー9,9がスライド変位することにより、前席シート5の前後位置が調節可能に構成されている。
【0018】
また、上記後席シート6,6は、シートクッション11とその後端部に立設されたシートバック12と、上記シートクッション11の下方に配設された左右一対のスライダー13,13とを有し、フロアパネル4の後方部に形成されたキックアップ部14上に設置された左右一対のシートレール15,15に沿ってそれぞれ上記スライダー13,13がスライド変位することにより、後席シート6,6の前後位置が調節可能に構成されている。
【0019】
上記インストルメントパネル2の内部には、図3に示すように、パイプ材等からなるインパネメンバ16が車幅方向に延びるように設置され、このインパネメンバ16にステアリング機構17が図外の支持部材を介して支持されている。また、上記インパネメンバ16の上方には、エアバッグ装置18が取付ブラケット19を介して取り付けられている。このエアバッグ装置18は、上面部が開口した収容ケース20内に配設されたインフレータ21と、その上方に折り畳まれた状態で配設されたエアバッグ22とを有し、図外の衝突センサにおいて車両の衝突が検出された時点で上記インフレータ21を作動させ、発生した膨張用ガスを上記エアバッグ22に供給することにより、このエアバッグ22を展開させるように構成されている。
【0020】
上記収容ケース20の前壁部20aおよび後壁部20bは、それぞれ上端部が車体の後方側に位置するように傾斜した状態で設置されることにより、後述する展開時にエアバッグ22を上部後方側に向けて案内する案内面を構成している。また、上記インストルメントパネル2の上壁部には、エアバッグ22の設置部に対応する閉止蓋23が設置され、この閉止蓋23は、上記エアバッグ22の展開時に前辺部を支点として揺動変位することにより開放状態となるように構成されている(図3の仮想線参照)。
【0021】
図4および図5に示すように、上記エアバッグ22は、車両の衝突時に前席シート5の前面部を覆うように展開する前席用エアバッグ部24と、後席シート6,6の前面部を覆うように展開する左右一対の後席用エアバッグ部25,25とを有し、これらの前席用エアバッグ部24および後席用エアバッグ部25,25が一体的に形成されることにより、平面から見てU字型に展開した状態となるように構成されている。
【0022】
上記前席用エアバッグ部24は、インストルメントパネル2の上壁部を覆うとともにステアリングホイール3の設置部を回避して車体の後方側に延びるように展開することにより、前席シート5の前面部を覆うように構成されている。すなわち、上記前席用エアバッグ部24は、その展開時における幅寸法が前席シート5の幅寸法と略同一に設定されるとともに、後端部が前席シート5のシートバック前方部に位置するようにその前後寸法が設定され、かつステアリングホイール3の設置部に対応した凹部26が下面に形成されることにより、ステアリングホイール3との干渉を回避した状態で、前席シート5に着座した乗員の前後移動を規制し得る位置まで展開するように構成されている。
【0023】
一方、上記後席用エアバッグ部25,25は、その展開時における幅寸法がそれぞれ後席シート6,6の幅寸法と略同一に設定されるとともに、後端部が後席シート6,6に着座した乗員の前方部に位置するようにその前後寸法が設定され、かつ車体の側壁部に沿って車体の後方側に展開することにより、前席シート5の乗員に干渉するのを回避した状態で、後席シート6,6に着座した乗員の前後移動を規制し得る位置まで展開するように構成されている。
【0024】
また、図6に示すように、上記車体の後面部には、車幅方向略中央部にリヤピラー28が配設されるとともに、このリヤピラー28と上記サイドドア1,1との間を連続して覆うようにリヤウインド29が配設され、これにより上記リヤピラー28に邪魔されることなく、車両の左右両側における後方視界が確保されるようになっている。また、上記車体の後端部、つまりフロアパネル4の後端部には、リヤエンドパネル46が後席シート6の設置部と所定距離を置いて配設されるとともに(図7参照)、上記リヤエンドパネル46の下部後面側には、リヤバンパ30が車幅方向に延びるように設置されている。
【0025】
そして、図7〜図10に示すように、上記リヤエンドパネル46と後席シート6,6との間には、車両の後突時等にリヤバンパ30に入力された荷重に応じ、左右の後席シート6,6を駆動してシートレール15に沿ってそれぞれ車体の前方側に移動させる左右一対の後席駆動手段31が設けられている。この後席駆動手段31は、後端部が上記リヤバンパ30の設置部に接続された丸パイプ材等からなる左右一対の筒状体32と、この筒状体32内に配設されてその前端部から所定距離だけ後方側に位置する部位に固定された区画壁33と、その前方側に配設された圧縮ばね等からなる緩衝部材34と、その前方側に配設されたプッシャー35とを有し、後述する車両の後突時等に、このプッシャー35が後席シート6のロックレバー36に当接することにより、これを車体に前方側に押動するように構成されている。
【0026】
上記ロックレバー36は、車幅方向に延びる棒状体からなる駆動部37と、この駆動部37の中央部前面に固着された把持部38と、上記駆動部37の左右両端部に設けられて後端部が後席シート6のスライダー13,13に枢支された枢支部39と、この枢支部39の下面に突設されたたロック部40と、このロック部40を下記のロック位置に付勢して後席シート6を拘束状態に保持するための図示を者略したばね部材等からなる付勢手段とを有している。
【0027】
上記付勢手段の付勢力に応じ、シートレール15の上壁部に形成された複数の係止孔41の一つに、上記ロック部40が係合されることにより、上記スライダー13,13のスライド変位が規制されて後席シート6の前後移動が拘束されるようになっている。また、上記ロックレバー36の把持部38を後席シート6に着座した乗員が把持し、上記付勢手段の付勢力に抗してロック部40を上記係止孔41から離間させる方向にロックレバー36を揺動変位させることにより、上記後席シート6の前後移動を拘束するロックレバー36の規制状態が解除され、上記シートレール15,15に沿ってスライダー13,13をスライド変位させること、つまり上記乗員がその好みに応じ、後席シート6の前後位置を調節することが許容されるように構成されている。
【0028】
上記後席駆動手段31のプッシャー35は、上記筒状体32の前端部に嵌入されてスライド可能に支持された軸部42と、上記ロックレバー36の駆動部37の下面に沿ってその前方側に延びる受け部43と、上記駆動部37の上面に対向してその上方に位置する押え部44とを有するフォーク状に形成され、上記受け部43の上面には、後上がりに傾斜する傾斜面45が形成されている。
【0029】
通常時には、上記プッシャー35の押え部44等がロックレバー36の駆動部37に対して所定距離だけ後方側に位置するように配設されることにより、ロックレバー36と後席駆動手段31とが互いに離間した状態となっている。そして、車両の後突時等には、上記プッシャー35が車体の前方側に変位してその基端部がロックレバー36の駆動部37に当接することによりこの駆動部37が前部上方に押動され、上記ロックレバー36のロック部40が係止孔41から離脱して後席シート6の拘束状態が解除されるとともに、上記後席駆動手段31を介して後席シート6が車体の前方側に押動されるように構成されている。
【0030】
すなわち、図11に示すように、上記車両の後端部に他車両Aが衝突する後突事故等が発生して上記リヤバンパ30を車体に前方側に移動させようとする大きな衝撃荷重Bが作用すると、この衝撃荷重Bに応じ、上記フロアパネル4の後方部等が圧縮されて変形しつつ、上記後席駆動手段31の筒状体32が上記リヤバンパ30およびリヤエンドパネル46により押されて前方側に移動するとともに、上記受け部44および押え部44の基端部が上記ロックレバー36の駆動部38に当接する。上記後突事故等の発生時における衝撃荷重Bが大きいと、上記後席駆動手段31の緩衝部材34が圧縮変形することにより衝撃荷重Bが吸収されつつ、プッシャー35の軸部42が筒状体32内に押し込まれた後、上記ロックレバー36の駆動部37がプッシャー35の傾斜面45により上部前方側に押圧される。
【0031】
上記プッシャー35の押上力に応じて図12および図13に示すように、係止孔41を有するシートレール15の上壁部からロック部40が離間する方向にロックレバー36が揺動変位し、このロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態が解除されるとともに、後席シート6,6のスライダー13を上部前方側に付勢する付勢力が上記ロックレバー36を介して入力される。これにより上記シートレール15内に配設された転動ローラ等からなるスライダー13の下方部13aがシートレール15の上壁部下面に当接しつつ、図11に示すように、後席シート6がスライダー13とともに車体の前方側に押動されて前方へ移動する。この結果、上記車両の後端部に他車両Aが衝突した際等の衝撃荷重Bに応じて車体の後端部が変形することによる影響が、後席シート6に着座した乗員に及ぶのを効果的に防止できる。
【0032】
また、上記車両の衝突時には、インストルメントパネル2に配設されたエアバッグ装置18のインフレータ21が作動して上記エアバッグ22にインフレータ21の膨張用ガスが供給されることにより、上記閉止蓋23が開放状態となるとともに、上記収容ケース20の前壁部20aおよび後壁部20bに沿ってエアバッグ22が展開する。そして、このエアバッグ22を構成する前席用エアバッグ部24および左右一対の後席用エアバッグ部25,25が略同時に展開し、前席用エアバッグ部24により前席シート5の前面部が覆われるとともに、後席用エアバッグ部25,25により左右の後席シート6,6の前面部が覆われるため、前席シート5および後席シート6,6に着座した乗員が上記エアバッグ22により保護されることになる。
【0033】
上記のように車室内の前方部にインストルメントパネル2が車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネル2の後方側に位置する車室のフロアパネル4上に前席シート5が配設されるとともに、この前席シート5の後方側に複数の乗員が着座可能な後席シート6,6が配設されることにより、この後席シート6の前方部に広い空間が形成され、後席シート6,6に着座した乗員の前方視界が良好に確保されるとともに、優れた居住環境が得られるように構成された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6を駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と後席シート6との間に設けたため、後突事故の発生時等に、後席シート6,6に着座した乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0034】
すなわち、自車両の後端部に他車両Aが衝突する等の後突事故が発生して車体後部に大きな衝撃荷重Bが作用した場合には、この衝撃荷重Bに応じて上記フロアパネル4の後方部等が圧縮されて変形することにより、他車両Aが後席シート6,6の設置部に接近する虞があるが、上記後席駆動手段31に入力された衝撃荷重Bを利用して後席シート6,6を車体の前方側に移動させるように構成されているため、上記フロアパネル4等の変形に応じて衝撃荷重を吸収しつつ、上記後突事故の影響が後席シート6,6に及ぶのを効果的に防止することができる。したがって、車体の前後寸法を短縮して車体をコンパクトに形成するために、車体後部の荷室を省略して上記前席シート5の側方部を物品の載置部として利用するように構成された車両においても、後突事故の発生時等に車体後部が変形することによる影響が後席シート6,6に着座した乗員に及ぶという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0035】
特に、上記実施形態では、後席駆動手段31の後端部を上記リヤバンパ30の設置部に接続することにより、このリヤバンパ30に入力された衝撃荷重Bの一部を効率よく後席シート6の設置部に伝達してこの後席シート6,6を確実に車体の前方側に移動させることができる。したがって、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重Bに応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを効果的に防止して、後席シート6,6の乗員を確実に保護することができる。
【0036】
また、上記実施形態に示すように、車体後部に入力された衝撃荷重Bを緩和して後席シート6の設置部に伝達する圧縮ばね等からなる緩衝部材34を上記後席駆動手段31に設けた場合には、上記衝撃荷重Bが後席シート6,6に対して急激に伝達されるのを効果的に防止し、後席シート6,6に着座した乗員が違和感を受けるのを抑制することができるとともに、上記緩衝部材34により衝撃荷重Bを吸収しつつ、後席シート6,6を適正時期に車体の前方側へ移動させて後席シート6,6の乗員を保護できるという利点がある。なお、圧縮ばね等に代え、あるいはこの圧縮ばねとともに、衝撃の吸収作用を有するゴム材またはオイルダンパー等を上記後席駆動手段31に設けた構造としてもよい。
【0037】
上記実施形態では、後席シート6,6を車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレール15と、このシートレール15に沿って後席シート6が前後移動するのを拘束するロックレバー36とを設けることにより、使用者がその好みに応じて後席シート6,6の前後位置を調節可能なように構成するとともに、後席シート6,6を所定の位置で拘束し得るように構成された車両において、車体後部に入力された衝撃荷重Bに応じて上記ロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態を解除するとともに後席シート6,6を車体の前方側に押動するプッシャー35を上記後席駆動手段31に設けたため、車体後部に対する衝撃荷重Bの入力時に、後席シート6の拘束状態を自動的に解除して後席シート6,6を車体の前方側へ移動させることにより後席シート6,6の乗員を効果的に保護することができる。
【0038】
特に、上記実施形態に示すように、衝撃荷重Bに応じてロックレバー36の駆動部37をプッシャー35の傾斜面45に沿って上部前方側に押圧する等により、後席シート6,6の拘束状態を解除するとともに、上記シートレール15内に配設された転動ローラ等からなるスライダー13の下方部13aをシートレール15の上壁部下面に圧接させるように構成した場合には、上記ロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態が解除された時点で後席シート6,6が車体の前方側に急激に移動するのを防止して上記衝撃荷重Bを吸収しつつ、後席シート6,6を車体の前方側へ移動させて後席シート6,6の乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0039】
なお、シートレール15に沿って後席シート6,6を前後移動可能に支持してなる上記実施形態に代え、フロアパネル4の後方部に形成されたキックアップ部14上等に固定ブラケットにより固定的に設置し、この固定ブラケットを上記後席駆動手段31により車体押動することにより、車体後部に対する衝撃荷重Bの入力時に上記後席シート6,6を車体の前方側に移動させるように構成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、車室内の車幅方向中心部に運転席シートからなる前席シート5を設置するとともに、この前席シート5の斜め後方側に左右一対の後席シート6,6を配設した例について説明したが、これに限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、車室内の右側または左側にオフセットした位置に上記前席シートを配設するとともにその後方側および斜め後方側に後席シートを配設し、かつ車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを車体の前方側に移動させるように駆動する後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と後席シートとの間に設けた構造とすることも可能である。
【0041】
しかし、上記実施形態に示すように、車室内の車幅方向中心部に運転席シートからなる前席シート5を配設するとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シート6,6を配設した場合には、上記前席シート5の左右両側方部に広い空間をそれぞれ形成することにより、優れた居住環境が得られるとともに、この空間部を荷物等の収納スペースとして利用できるという利点がある。そして、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6,6をそれぞれ車体の前方側に移動させるように駆動する左右一対の後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と左右の後席シート6,6との間に設けることにより、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重Bに応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを防止して、この後席シート6,6に着座した乗員をそれぞれ効果的に保護できるという利点がある。
【0042】
また、上記実施形態に示すように、上記インストルメントパネル2に、車両の衝突時に展開して後席シート6,6に着座した乗員を保護するエアバッグ22を備えたエアバッグ装置18を設け、車両の後突時等に、後席シート6,6に着座した乗員の前方移動を上記エアバッグ22により規制するように構成した場合には、上記後席駆動手段31を介して後席シート6,6を車体の前方側に移動させることにより、車体後部が変形することによる影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを防止しつつ、この乗員を上記エアバッグ22によってさらに効果的に保護できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る車両の後部車体構造を備えた車両の平面図である。
【図2】上記車両の車室内の構造を示す側面図である。
【図3】上記車両に配設されたエアバッグの具体的構成を示す斜視図である。
【図4】エアバッグの展開状態を示す平面図である。
【図5】エアバッグの展開状態を示す側面図である。
【図6】上記車両の外観構成を示す平面図である。
【図7】後席駆動手段の具体的構成を示す側面断面図である。
【図8】後席駆動手段の具体的構成を示す平面図である。
【図9】後席シートの拘束状態を示す側面断面図である。
【図10】後席シートの拘束状態を示す正面断面図である。
【図11】後席シートを前方側に移動させた状態を示す側面断面図である。
【図12】後席シートの拘束解除状態を示す側面断面図である。
【図13】後席シートの拘束解除状態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 インストルメントパネル
3 ステアリングホイール
4 フロアパネル(車室フロア)
5 前席シート
6 後席シート
15 シートレール
22 エアバッグ
30 リヤバンパ
31 後席駆動手段
35 プッシャー
36 ロックレバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室前部に設けられたインストルメントパネルの後方側に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両の後部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃料消費量を低減する等の要求から、車体を軽量でコンパクトに形成することが求められているが、このような車両では、コンパクトな構成でありながら車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保するための工夫が必要となる。例えば、下記特許文献1では、車室内の車幅方向中央部に運転席シートからなる前席シートを配設するとともに、その後方側に複数の後席シートを配設することにより、車体をコンパクト化しつつ車室内に複数の乗員が着座可能なスペースを確保することが行われている。
【特許文献1】特開平7−156807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているように、運転席シートからなる単一の前席シートが車室内に配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両では、この後席シートの前方部に広い空間が形成されているので、後席シートに着座した乗員の前方視界が良好に確保されるとともに、優れた居住環境が得られるという利点がある。また、上記前席シートの側方部を物品の載置部として利用することにより車体後部の荷室を省略することが可能であり、この場合には、車体の前後寸法を効果的に短縮して車体をよりコンパクトに形成できるという利点がある。
【0004】
しかし、上記のように車体後部の荷室を省略することにより、車体をコンパクトするように構成した場合には、後席シートの後方部に充分なクラッシュスペースを確保することができず、自車両の後部に他車両が衝突する後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形すると、その影響が後席シートの設置部に及び易く、上記衝撃荷重から乗員を効果的に保持できるようにすることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、後突事故の発生時等に、後席シートに着座した乗員を効果的に保護することができる車両の後部車体構造を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置する車室のフロアパネル上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段が、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けられたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両の後部車体構造において、上記後席駆動手段により、車体後部に設けられたリヤバンパに入力された衝撃荷重に応じて後席シートを車体の前方側に移動させるように構成されたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両の後部車体構造において、上記後席駆動手段に、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する緩衝部材が設けられたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造において、上記後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを備え、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーが、上記後席駆動手段に設けられたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の後部車体構造において、フロアパネル上の車幅方向中心部に運転席シートからなる前列シートが配設されるとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シートが配設され、上記後席シート駆動手段により、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に左右の後席シートをそれぞれ駆動して車体の前方側に移動させるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、自車両の後端部に他車両が衝突する等の後突事故が発生して車体後部に大きな衝撃荷重が作用した場合に、この衝撃荷重を利用して後席シートを車体の前方側に移動させるように構成したため、上記フロアパネル等の変形に応じて衝撃荷重が吸収されつつ、上記後突事故の影響が後席シートに及ぶのを効果的に防止することができる。したがって、車体の前後寸法を短縮して車体をコンパクトに形成するために、車体後部の荷室を省略して上記前席シートの側方部を物品の載置部として利用するように構成された車両においても、後突事故の発生時等に車体後部が変形することによる影響が後席シートに着座した乗員に及ぶのを防止して後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、後席駆動手段の後端部を上記リヤバンパの設置部に接続する等により、このリヤバンパに入力された衝撃荷重の一部を効率よく後席シートの設置部に伝達してこの後席シートを確実に車体の前方側に移動させることができるため、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シートの乗員に及ぶのを防止して後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0013】
請求項3に係る発明では、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する圧縮ばね等からなる緩衝部材を上記後席駆動手段に設けたため、上記衝撃荷重が後席シートに対して急激に伝達されるのを効果的に防止し、後席シートに着座した乗員が違和感を受けるのを抑制することができるとともに、上記緩衝部材により衝撃荷重を吸収しつつ、後席シートを適正時期に車体の前方側へ移動させて後席シートの乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0014】
請求項4に係る発明では、後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを設けることにより、使用者が後席シートの前後位置を調節可能に構成するとともに、後席シートを所定の位置で拘束し得るように構成された車両において、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーを上記後席駆動手段に設けたため、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に、後席シートの拘束状態を自動的に解除して後席シートを車体の前方側へ移動させることにより、後席シートに着座した乗員をそれぞれ効果的に保護することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、車室内の車幅方向中心部に配設された運転席シートからなる前席シートの左右両側方部に広い空間をそれぞれ形成することにより、優れた居住環境が得られるとともに、この空間部を荷物等の収納スペースとして利用できるように構成された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートをそれぞれ車体の前方側に移動させるように駆動する左右一対の後席駆動手段を、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けることにより、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重に応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シートの乗員に及ぶのを防止して、この後席シートに着座した乗員をそれぞれ効果的に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3は、本発明に係る車両の後部車体構造を備えた車両を示し、この車両の側面部にはサイドドア1,1により開閉される乗降用開口部が形成されるとともに、車室内の前方部にはインストルメントパネル2が車幅方向に延びるように設置されている。上記インストルメントパネル2の車幅方向中央部には、ステアリングホイール3が設置されるとともに、その後方側に位置する車室のフロアパネル4上に運転席シートからなる前席シート5が配設されている。この前席シート5の斜め後方側には、左右一対の後席シート6,6が配設されることにより、前席シート5よりも大きな車幅方向寸法を有する後席シート6,6の設置部が形成されている。
【0017】
上記前席シート5は、乗員の着座部となるシートクッション7と、その後端部に立設されたシートバック8と、上記シートクッション7の下方に配設された左右一対のスライダー9,9とを有し、上記フロアパネル4の前部中央に設置された左右一対のシートレール10,10に沿って上記スライダー9,9がスライド変位することにより、前席シート5の前後位置が調節可能に構成されている。
【0018】
また、上記後席シート6,6は、シートクッション11とその後端部に立設されたシートバック12と、上記シートクッション11の下方に配設された左右一対のスライダー13,13とを有し、フロアパネル4の後方部に形成されたキックアップ部14上に設置された左右一対のシートレール15,15に沿ってそれぞれ上記スライダー13,13がスライド変位することにより、後席シート6,6の前後位置が調節可能に構成されている。
【0019】
上記インストルメントパネル2の内部には、図3に示すように、パイプ材等からなるインパネメンバ16が車幅方向に延びるように設置され、このインパネメンバ16にステアリング機構17が図外の支持部材を介して支持されている。また、上記インパネメンバ16の上方には、エアバッグ装置18が取付ブラケット19を介して取り付けられている。このエアバッグ装置18は、上面部が開口した収容ケース20内に配設されたインフレータ21と、その上方に折り畳まれた状態で配設されたエアバッグ22とを有し、図外の衝突センサにおいて車両の衝突が検出された時点で上記インフレータ21を作動させ、発生した膨張用ガスを上記エアバッグ22に供給することにより、このエアバッグ22を展開させるように構成されている。
【0020】
上記収容ケース20の前壁部20aおよび後壁部20bは、それぞれ上端部が車体の後方側に位置するように傾斜した状態で設置されることにより、後述する展開時にエアバッグ22を上部後方側に向けて案内する案内面を構成している。また、上記インストルメントパネル2の上壁部には、エアバッグ22の設置部に対応する閉止蓋23が設置され、この閉止蓋23は、上記エアバッグ22の展開時に前辺部を支点として揺動変位することにより開放状態となるように構成されている(図3の仮想線参照)。
【0021】
図4および図5に示すように、上記エアバッグ22は、車両の衝突時に前席シート5の前面部を覆うように展開する前席用エアバッグ部24と、後席シート6,6の前面部を覆うように展開する左右一対の後席用エアバッグ部25,25とを有し、これらの前席用エアバッグ部24および後席用エアバッグ部25,25が一体的に形成されることにより、平面から見てU字型に展開した状態となるように構成されている。
【0022】
上記前席用エアバッグ部24は、インストルメントパネル2の上壁部を覆うとともにステアリングホイール3の設置部を回避して車体の後方側に延びるように展開することにより、前席シート5の前面部を覆うように構成されている。すなわち、上記前席用エアバッグ部24は、その展開時における幅寸法が前席シート5の幅寸法と略同一に設定されるとともに、後端部が前席シート5のシートバック前方部に位置するようにその前後寸法が設定され、かつステアリングホイール3の設置部に対応した凹部26が下面に形成されることにより、ステアリングホイール3との干渉を回避した状態で、前席シート5に着座した乗員の前後移動を規制し得る位置まで展開するように構成されている。
【0023】
一方、上記後席用エアバッグ部25,25は、その展開時における幅寸法がそれぞれ後席シート6,6の幅寸法と略同一に設定されるとともに、後端部が後席シート6,6に着座した乗員の前方部に位置するようにその前後寸法が設定され、かつ車体の側壁部に沿って車体の後方側に展開することにより、前席シート5の乗員に干渉するのを回避した状態で、後席シート6,6に着座した乗員の前後移動を規制し得る位置まで展開するように構成されている。
【0024】
また、図6に示すように、上記車体の後面部には、車幅方向略中央部にリヤピラー28が配設されるとともに、このリヤピラー28と上記サイドドア1,1との間を連続して覆うようにリヤウインド29が配設され、これにより上記リヤピラー28に邪魔されることなく、車両の左右両側における後方視界が確保されるようになっている。また、上記車体の後端部、つまりフロアパネル4の後端部には、リヤエンドパネル46が後席シート6の設置部と所定距離を置いて配設されるとともに(図7参照)、上記リヤエンドパネル46の下部後面側には、リヤバンパ30が車幅方向に延びるように設置されている。
【0025】
そして、図7〜図10に示すように、上記リヤエンドパネル46と後席シート6,6との間には、車両の後突時等にリヤバンパ30に入力された荷重に応じ、左右の後席シート6,6を駆動してシートレール15に沿ってそれぞれ車体の前方側に移動させる左右一対の後席駆動手段31が設けられている。この後席駆動手段31は、後端部が上記リヤバンパ30の設置部に接続された丸パイプ材等からなる左右一対の筒状体32と、この筒状体32内に配設されてその前端部から所定距離だけ後方側に位置する部位に固定された区画壁33と、その前方側に配設された圧縮ばね等からなる緩衝部材34と、その前方側に配設されたプッシャー35とを有し、後述する車両の後突時等に、このプッシャー35が後席シート6のロックレバー36に当接することにより、これを車体に前方側に押動するように構成されている。
【0026】
上記ロックレバー36は、車幅方向に延びる棒状体からなる駆動部37と、この駆動部37の中央部前面に固着された把持部38と、上記駆動部37の左右両端部に設けられて後端部が後席シート6のスライダー13,13に枢支された枢支部39と、この枢支部39の下面に突設されたたロック部40と、このロック部40を下記のロック位置に付勢して後席シート6を拘束状態に保持するための図示を者略したばね部材等からなる付勢手段とを有している。
【0027】
上記付勢手段の付勢力に応じ、シートレール15の上壁部に形成された複数の係止孔41の一つに、上記ロック部40が係合されることにより、上記スライダー13,13のスライド変位が規制されて後席シート6の前後移動が拘束されるようになっている。また、上記ロックレバー36の把持部38を後席シート6に着座した乗員が把持し、上記付勢手段の付勢力に抗してロック部40を上記係止孔41から離間させる方向にロックレバー36を揺動変位させることにより、上記後席シート6の前後移動を拘束するロックレバー36の規制状態が解除され、上記シートレール15,15に沿ってスライダー13,13をスライド変位させること、つまり上記乗員がその好みに応じ、後席シート6の前後位置を調節することが許容されるように構成されている。
【0028】
上記後席駆動手段31のプッシャー35は、上記筒状体32の前端部に嵌入されてスライド可能に支持された軸部42と、上記ロックレバー36の駆動部37の下面に沿ってその前方側に延びる受け部43と、上記駆動部37の上面に対向してその上方に位置する押え部44とを有するフォーク状に形成され、上記受け部43の上面には、後上がりに傾斜する傾斜面45が形成されている。
【0029】
通常時には、上記プッシャー35の押え部44等がロックレバー36の駆動部37に対して所定距離だけ後方側に位置するように配設されることにより、ロックレバー36と後席駆動手段31とが互いに離間した状態となっている。そして、車両の後突時等には、上記プッシャー35が車体の前方側に変位してその基端部がロックレバー36の駆動部37に当接することによりこの駆動部37が前部上方に押動され、上記ロックレバー36のロック部40が係止孔41から離脱して後席シート6の拘束状態が解除されるとともに、上記後席駆動手段31を介して後席シート6が車体の前方側に押動されるように構成されている。
【0030】
すなわち、図11に示すように、上記車両の後端部に他車両Aが衝突する後突事故等が発生して上記リヤバンパ30を車体に前方側に移動させようとする大きな衝撃荷重Bが作用すると、この衝撃荷重Bに応じ、上記フロアパネル4の後方部等が圧縮されて変形しつつ、上記後席駆動手段31の筒状体32が上記リヤバンパ30およびリヤエンドパネル46により押されて前方側に移動するとともに、上記受け部44および押え部44の基端部が上記ロックレバー36の駆動部38に当接する。上記後突事故等の発生時における衝撃荷重Bが大きいと、上記後席駆動手段31の緩衝部材34が圧縮変形することにより衝撃荷重Bが吸収されつつ、プッシャー35の軸部42が筒状体32内に押し込まれた後、上記ロックレバー36の駆動部37がプッシャー35の傾斜面45により上部前方側に押圧される。
【0031】
上記プッシャー35の押上力に応じて図12および図13に示すように、係止孔41を有するシートレール15の上壁部からロック部40が離間する方向にロックレバー36が揺動変位し、このロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態が解除されるとともに、後席シート6,6のスライダー13を上部前方側に付勢する付勢力が上記ロックレバー36を介して入力される。これにより上記シートレール15内に配設された転動ローラ等からなるスライダー13の下方部13aがシートレール15の上壁部下面に当接しつつ、図11に示すように、後席シート6がスライダー13とともに車体の前方側に押動されて前方へ移動する。この結果、上記車両の後端部に他車両Aが衝突した際等の衝撃荷重Bに応じて車体の後端部が変形することによる影響が、後席シート6に着座した乗員に及ぶのを効果的に防止できる。
【0032】
また、上記車両の衝突時には、インストルメントパネル2に配設されたエアバッグ装置18のインフレータ21が作動して上記エアバッグ22にインフレータ21の膨張用ガスが供給されることにより、上記閉止蓋23が開放状態となるとともに、上記収容ケース20の前壁部20aおよび後壁部20bに沿ってエアバッグ22が展開する。そして、このエアバッグ22を構成する前席用エアバッグ部24および左右一対の後席用エアバッグ部25,25が略同時に展開し、前席用エアバッグ部24により前席シート5の前面部が覆われるとともに、後席用エアバッグ部25,25により左右の後席シート6,6の前面部が覆われるため、前席シート5および後席シート6,6に着座した乗員が上記エアバッグ22により保護されることになる。
【0033】
上記のように車室内の前方部にインストルメントパネル2が車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネル2の後方側に位置する車室のフロアパネル4上に前席シート5が配設されるとともに、この前席シート5の後方側に複数の乗員が着座可能な後席シート6,6が配設されることにより、この後席シート6の前方部に広い空間が形成され、後席シート6,6に着座した乗員の前方視界が良好に確保されるとともに、優れた居住環境が得られるように構成された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6を駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と後席シート6との間に設けたため、後突事故の発生時等に、後席シート6,6に着座した乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0034】
すなわち、自車両の後端部に他車両Aが衝突する等の後突事故が発生して車体後部に大きな衝撃荷重Bが作用した場合には、この衝撃荷重Bに応じて上記フロアパネル4の後方部等が圧縮されて変形することにより、他車両Aが後席シート6,6の設置部に接近する虞があるが、上記後席駆動手段31に入力された衝撃荷重Bを利用して後席シート6,6を車体の前方側に移動させるように構成されているため、上記フロアパネル4等の変形に応じて衝撃荷重を吸収しつつ、上記後突事故の影響が後席シート6,6に及ぶのを効果的に防止することができる。したがって、車体の前後寸法を短縮して車体をコンパクトに形成するために、車体後部の荷室を省略して上記前席シート5の側方部を物品の載置部として利用するように構成された車両においても、後突事故の発生時等に車体後部が変形することによる影響が後席シート6,6に着座した乗員に及ぶという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0035】
特に、上記実施形態では、後席駆動手段31の後端部を上記リヤバンパ30の設置部に接続することにより、このリヤバンパ30に入力された衝撃荷重Bの一部を効率よく後席シート6の設置部に伝達してこの後席シート6,6を確実に車体の前方側に移動させることができる。したがって、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重Bに応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを効果的に防止して、後席シート6,6の乗員を確実に保護することができる。
【0036】
また、上記実施形態に示すように、車体後部に入力された衝撃荷重Bを緩和して後席シート6の設置部に伝達する圧縮ばね等からなる緩衝部材34を上記後席駆動手段31に設けた場合には、上記衝撃荷重Bが後席シート6,6に対して急激に伝達されるのを効果的に防止し、後席シート6,6に着座した乗員が違和感を受けるのを抑制することができるとともに、上記緩衝部材34により衝撃荷重Bを吸収しつつ、後席シート6,6を適正時期に車体の前方側へ移動させて後席シート6,6の乗員を保護できるという利点がある。なお、圧縮ばね等に代え、あるいはこの圧縮ばねとともに、衝撃の吸収作用を有するゴム材またはオイルダンパー等を上記後席駆動手段31に設けた構造としてもよい。
【0037】
上記実施形態では、後席シート6,6を車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレール15と、このシートレール15に沿って後席シート6が前後移動するのを拘束するロックレバー36とを設けることにより、使用者がその好みに応じて後席シート6,6の前後位置を調節可能なように構成するとともに、後席シート6,6を所定の位置で拘束し得るように構成された車両において、車体後部に入力された衝撃荷重Bに応じて上記ロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態を解除するとともに後席シート6,6を車体の前方側に押動するプッシャー35を上記後席駆動手段31に設けたため、車体後部に対する衝撃荷重Bの入力時に、後席シート6の拘束状態を自動的に解除して後席シート6,6を車体の前方側へ移動させることにより後席シート6,6の乗員を効果的に保護することができる。
【0038】
特に、上記実施形態に示すように、衝撃荷重Bに応じてロックレバー36の駆動部37をプッシャー35の傾斜面45に沿って上部前方側に押圧する等により、後席シート6,6の拘束状態を解除するとともに、上記シートレール15内に配設された転動ローラ等からなるスライダー13の下方部13aをシートレール15の上壁部下面に圧接させるように構成した場合には、上記ロックレバー36による後席シート6,6の拘束状態が解除された時点で後席シート6,6が車体の前方側に急激に移動するのを防止して上記衝撃荷重Bを吸収しつつ、後席シート6,6を車体の前方側へ移動させて後席シート6,6の乗員を効果的に保護できるという利点がある。
【0039】
なお、シートレール15に沿って後席シート6,6を前後移動可能に支持してなる上記実施形態に代え、フロアパネル4の後方部に形成されたキックアップ部14上等に固定ブラケットにより固定的に設置し、この固定ブラケットを上記後席駆動手段31により車体押動することにより、車体後部に対する衝撃荷重Bの入力時に上記後席シート6,6を車体の前方側に移動させるように構成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、車室内の車幅方向中心部に運転席シートからなる前席シート5を設置するとともに、この前席シート5の斜め後方側に左右一対の後席シート6,6を配設した例について説明したが、これに限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、車室内の右側または左側にオフセットした位置に上記前席シートを配設するとともにその後方側および斜め後方側に後席シートを配設し、かつ車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを車体の前方側に移動させるように駆動する後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と後席シートとの間に設けた構造とすることも可能である。
【0041】
しかし、上記実施形態に示すように、車室内の車幅方向中心部に運転席シートからなる前席シート5を配設するとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シート6,6を配設した場合には、上記前席シート5の左右両側方部に広い空間をそれぞれ形成することにより、優れた居住環境が得られるとともに、この空間部を荷物等の収納スペースとして利用できるという利点がある。そして、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シート6,6をそれぞれ車体の前方側に移動させるように駆動する左右一対の後席駆動手段31を、上記フロアパネル4の後端部と左右の後席シート6,6との間に設けることにより、後突事故の発生時等に作用する衝撃荷重Bに応じて車体後部が変形した場合においても、その影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを防止して、この後席シート6,6に着座した乗員をそれぞれ効果的に保護できるという利点がある。
【0042】
また、上記実施形態に示すように、上記インストルメントパネル2に、車両の衝突時に展開して後席シート6,6に着座した乗員を保護するエアバッグ22を備えたエアバッグ装置18を設け、車両の後突時等に、後席シート6,6に着座した乗員の前方移動を上記エアバッグ22により規制するように構成した場合には、上記後席駆動手段31を介して後席シート6,6を車体の前方側に移動させることにより、車体後部が変形することによる影響が後席シート6,6の乗員に及ぶのを防止しつつ、この乗員を上記エアバッグ22によってさらに効果的に保護できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る車両の後部車体構造を備えた車両の平面図である。
【図2】上記車両の車室内の構造を示す側面図である。
【図3】上記車両に配設されたエアバッグの具体的構成を示す斜視図である。
【図4】エアバッグの展開状態を示す平面図である。
【図5】エアバッグの展開状態を示す側面図である。
【図6】上記車両の外観構成を示す平面図である。
【図7】後席駆動手段の具体的構成を示す側面断面図である。
【図8】後席駆動手段の具体的構成を示す平面図である。
【図9】後席シートの拘束状態を示す側面断面図である。
【図10】後席シートの拘束状態を示す正面断面図である。
【図11】後席シートを前方側に移動させた状態を示す側面断面図である。
【図12】後席シートの拘束解除状態を示す側面断面図である。
【図13】後席シートの拘束解除状態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 インストルメントパネル
3 ステアリングホイール
4 フロアパネル(車室フロア)
5 前席シート
6 後席シート
15 シートレール
22 エアバッグ
30 リヤバンパ
31 後席駆動手段
35 プッシャー
36 ロックレバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置する車室のフロアパネル上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段が、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けられたことを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記後席駆動手段は、車体後部に設けられたリヤバンパに入力された衝撃荷重に応じて後席シートを車体の前方側に移動させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記後席駆動手段は、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する緩衝部材を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
上記後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを備え、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーが、上記後席駆動手段に設けられたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項5】
フロアパネル上の車幅方向中心部に運転席シートからなる前列シートが配設されるとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シートが配設され、上記後席シート駆動手段により、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に左右の後席シートをそれぞれ駆動して車体の前方側に移動させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項1】
車室内の前方部にインストルメントパネルが車幅方向に延びるように設置され、このインストルメントパネルの後方側に位置する車室のフロアパネル上に前席シートが配設されるとともに、この前席シートの後方側に複数の乗員が着座可能な後席シートが配設された車両において、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に上記後席シートを駆動して車体の前方側に移動させる後席駆動手段が、上記フロアパネルの後端部と後席シートとの間に設けられたことを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項2】
上記後席駆動手段は、車体後部に設けられたリヤバンパに入力された衝撃荷重に応じて後席シートを車体の前方側に移動させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の後部車体構造。
【請求項3】
上記後席駆動手段は、車体後部に入力された衝撃荷重を緩和して後席シートの設置部に伝達する緩衝部材を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の後部車体構造。
【請求項4】
上記後席シートを車体の前後方向にスライド可能に支持するシートレールと、このシートレールに沿って後席シートが前後移動するのを拘束するロックレバーとを備え、車体後部に入力された衝撃荷重に応じて上記ロックレバーによる後席シートの拘束状態を解除するとともに後席シートを車体の前方側に押動するプッシャーが、上記後席駆動手段に設けられたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の後部車体構造。
【請求項5】
フロアパネル上の車幅方向中心部に運転席シートからなる前列シートが配設されるとともに、その斜め後方側に左右一対の後席シートが配設され、上記後席シート駆動手段により、車体後部に対する衝撃荷重の入力時に左右の後席シートをそれぞれ駆動して車体の前方側に移動させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の後部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−265668(P2008−265668A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114419(P2007−114419)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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