説明

車両下部構造

【課題】燃料タンクの膨張に起因する車体フロアの変形を防止又は抑制することによって、当該車体フロアの共振周波数の変化を防止又は抑制することができる車両下部構造を得る。
【解決手段】車両走行中に排気熱等で燃料タンク20が膨張した場合、燃料タンク20によって第1板ゴム26を介してセンタフロアパネル12が押圧されるが、第2板ゴム28が第1板ゴム26に対してセンタフロアパネル12を介して対向する位置に配設されているので、押圧された部位が第2板ゴム28を介してバッテリ30によって支持され、センタフロアパネル12の変形が防止又は抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクが車体フロアの下面側に支持された車両下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両下部においては、床パネル(車体フロア)の下面側に樹脂製の燃料タンクが搭載された構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、車両走行中に排気熱等で燃料タンクが膨張することによって床パネルが押されて変形すると、床パネルの共振周波数が変化し、車内音(こもり音)が発生しやすくなる。
【特許文献1】特開平7−132852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記事実を考慮して、燃料タンクの膨張に起因する車体フロアの変形を防止又は抑制することによって、当該車体フロアの共振周波数の変化を防止又は抑制することができる車両下部構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載する本発明の車両下部構造は、車体フロアと、前記車体フロアの下面側に支持された燃料タンクと、前記車体フロアの下面と前記燃料タンクの上面との間に介在された第1クッション部材と、前記第1クッション部材に対して前記車体フロアを介して対向する位置に配設された第2クッション部材と、前記車体フロアの上面側に配設されて当該車体フロア側に固定されると共に、前記第2クッション部材を介した状態で前記車体フロアの上面側に支持されたバッテリと、を有することを特徴とする。
【0005】
請求項1に記載する本発明の車両下部構造によれば、燃料タンクが車体フロアの下面側に支持された状態で、車体フロアの下面と燃料タンクの上面との間に第1クッション部材が介在されているので、車両走行時における車体フロアの下面側及び燃料タンク側の摩耗が抑えられる。また、バッテリは、車体フロアの上面側に配設されて当該車体フロア側に固定されると共に、第2クッション部材を介した状態で車体フロアの上面側に支持されているので、車両走行時には、第2クッション部材によってバッテリの上下振動が抑えられ、バッテリの車体フロア側との固定部における疲労の蓄積が抑えられる。
【0006】
ここで、車両走行中に排気熱等で燃料タンクが膨張した場合、燃料タンクによって第1クッション部材を介して車体フロアが押圧されるが、第2クッション部材が第1クッション部材に対して車体フロアを介して対向する位置に配設されているので、押圧された部位は、第2クッション部材を介してバッテリによって支持され、車体フロアの変形が防止又は抑制される。
【0007】
請求項2に記載する本発明の車両下部構造は、請求項1記載の構成において、前記第2クッション部材は、車両側面視で前記バッテリにおける車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載する本発明の車両下部構造によれば、第2クッション部材は、車両側面視でバッテリにおける車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されているので、膨張した燃料タンクによって第1クッション部材を介して車体フロアが押圧された場合、この押圧荷重は、第2クッション部材を介してバッテリにおける車両前後方向の中央部で安定的に支持される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両下部構造によれば、燃料タンクの膨張に起因する車体フロアの変形を防止又は抑制することによって、当該車体フロアの共振周波数の変化を防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【0010】
請求項2に記載の車両下部構造によれば、燃料タンクが膨張した場合、車体フロアの変形を一層効果的に防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車両下部構造について図1〜図3を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
【0012】
図1には、図示しないリヤシートの車両下方側及びその周囲部における車両下部10の要部構成を車両側面視で見た場合の縦断面図が示されている。なお、図1は、図2の1−1線に沿う縦断面図であるが、バッテリ30及び燃料タンク20は一部のみを破断した状態の車両側面視で示し、タンクバンド22、24は破断しない状態の車両側面視で示す。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両下部構造が適用される車両は、車室内にバッテリ30が搭載されたハイブリット車(電気モータ及びエンジンを備える自動車)とされており、その車体は、モノコックボデー構造とされている。このような車両の車両下部10には、車体フロアとしてのセンタフロアパネル12が配設されている。センタフロアパネル12には、車両下方側へ凹んだ浅底の凹部14が形成されている。図2に示されるように、凹部14は、車両平面視で略矩形状とされており、凹部14の底部を構成する平板状の平板部14Aは、一般面を水平面で構成している。
【0014】
また、図1に示されるセンタフロアパネル12の平板部14Aは、パネルの共振によって車内音(こもり音)が発生するような周波数帯域(200Hz以下の低い周波数帯域)から外れる共振周波数となるように設定されている。図1では、前記共振周波数を設定する範囲(平板部14Aの範囲)を符号Aで示す。なお、本実施形態では、センタフロアパネル12の平板部14Aには、補強用のビードは形成されていない。
【0015】
図2に示されるセンタフロアパネル12の下面12B(図1参照)側における車両幅方向の両サイドには、図示しない左右一対のリヤサイドメンバが車両前後方向に延在しており、前記左右一対のリヤサイドメンバの前部間及び後部間には、車両幅方向を長手方向とするリヤクロスメンバ16、18がそれぞれ掛け渡されている。図1に示されるように、前側のリヤクロスメンバ16は、凹部14よりもやや車両前方側となる位置(図示しないリヤシートの前部下方側付近)に配設され、車両下方側が開放された断面ハット形状とされており、センタフロアパネル12の上面12A側に結合されて閉断面部を構成している。また、後側のリヤクロスメンバ18は、凹部14よりもやや車両後方側となる位置(図示しないリヤシートの後部下方側付近)に配設され、車両上方側が開放された断面逆ハット形状とされており、センタフロアパネル12の下面12B側に結合されて閉断面部を構成している。
【0016】
センタフロアパネル12の下面12B側には、燃料タンク20が配設されている。燃料タンク20は、外形が略直方体形状を成しており、樹脂成形(ブロー成形)で形成されている。この樹脂製の燃料タンク20の隣接位置には、図示しない排気管が車両前後方向に延在している。燃料タンク20の底部には、前後に長尺状のタンクバンド22、24が二本配索されており、燃料タンク20は、これら前後二本のタンクバンド22、24によって、前端側及び後端側が吊られた状態で支持されている。なお、タンクバンド22、24は、広義には支持部材として把握される要素である。前側のタンクバンド22の両端部(取付部)は、前側のリヤクロスメンバ16の車両下方側に位置してセンタフロアパネル12の下面12Bにボルト等の締結具によって締結(固定)されている。後側のタンクバンド24の両端部(取付部)は、センタフロアパネル12の下面12Bに固定された後側のリヤクロスメンバ18にボルト等の締結具によって締結(固定)されている。
【0017】
燃料タンク20の上面20Aには、燃料タンク20における車両前後方向の中央部にゴム製の第1クッション部材としての第1板ゴム26が予め固着(固定)されており、第1板ゴム26は、センタフロアパネル12(平板部14A)の下面12Bと接触している。すなわち、第1板ゴム26は、燃料タンク20を支持するために設けられて車両上下方向(厚さ方向)へ所定量弾性変形可能とされ、センタフロアパネル12(平板部14A)の下面12Bと燃料タンク20の上面20Aとの間に介在されている。
【0018】
また、本実施形態では、第1板ゴム26は、平面視で方形状(一例として、60mm×60mm)とされて所定の厚さ(一例として、10mm)を備えており、車両幅方向に沿って直線状に並ぶように(車両幅方向の両外側寄り及び車両幅方向中央部に)計三個配列されている(図2参照)。なお、図2において、第1板ゴム26の位置は、後述する第2板ゴム28の位置と重なる位置となっている(隠れ線による図示を省略する。)。
【0019】
図1に示されるように、センタフロアパネル12と燃料タンク20との間に第1板ゴム26が介在されて燃料タンク20がセンタフロアパネル12の下面12B側に押し当てられた状態で、二本のタンクバンド22、24がタンク下方側から装着されてかつボルト等の締結具によってセンタフロアパネル12やリヤクロスメンバ18に締結されることにより、燃料タンク20が締め付けられてセンタフロアパネル12の下面12B側に固定的に支持されている。
【0020】
センタフロアパネル12の上面12Aには、平板部14Aにおける車両前後方向の中央部に第2クッション部材としての第2板ゴム28が固着(固定)されている。第2板ゴム28は、第1板ゴム26に対してセンタフロアパネル12を介して対向する位置に配設されており、かつ、第2板ゴム28の配設位置は、車両側面視でバッテリ30(詳細後述)における車両前後方向の中央部(中央位置を含む部分)の車両下方側とされている。
【0021】
また、図2に示されるように、第2板ゴム28は、第1板ゴム26と同様に平面視で方形状(一例として、60mm×60mm)とされて所定の厚さ(一例として、10mm)を備えており、車両幅方向に沿って直線状に並ぶように(車両幅方向の両外側寄り及び車両幅方向中央部に)計三個配列されている。なお、第1板ゴム26及び第2板ゴム28の硬度は、比較的高く(一例として厚さ2mmとした場合に10kgf/cmで1mm撓む程度の硬度に)設定されている。
【0022】
図1に示されるように、センタフロアパネル12の上面12A側には、第2板ゴム28に支持されたバッテリ30が配設されている。バッテリ(バッテリパック)30は、メインバッテリ(HVバッテリ)のユニットであり、複数個のHVバッテリ本体30A(例えば、リチウム電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等の電池を直列に多数接続した大容量のHVバッテリ本体)と、該複数個のHVバッテリ本体30Aを包括的に上下から覆うバッテリカバー30B及びHVバッテリロワケース30Cと、を含んで構成されており、バッテリカバー30B及びHVバッテリロワケース30Cにおける平面視での外周部(フランジ部)同士が固定具等によって固定されてユニット化されている。バッテリカバー30B及びHVバッテリロワケース30Cは、外側からの荷重に対して剛性が高い高剛性部材で形成されている。
【0023】
バッテリ30における平面視での外周部(フランジ部30F)は、前側のリヤクロスメンバ16及びセンタフロアパネル12における凹部14の外周部に、すなわち、センタフロアパネル12側に、ボルト等の固定具32によって固定されており、バッテリ30は、第2板ゴム28を介した状態でセンタフロアパネル12の上面12A側に支持されている。なお、バッテリ30は、重量部品なので、操縦安定性を向上させるために、車両の重心に近い位置(中央に近い位置)に配置されている。
【0024】
以上により、車両下部10では、バッテリ30、第2板ゴム28、センタフロアパネル12、第1板ゴム26及び燃料タンク20が車両上下方向に直列に並ぶ構造、換言すれば、燃料タンク20の膨張時の荷重がバッテリ30によって支持される構造になっている(燃料タンク拘束構造)。
【0025】
(実施形態の作用及び効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0026】
図1に示されるように、燃料タンク20がセンタフロアパネル12の下面12B側に支持された状態で、センタフロアパネル12の下面12Bと燃料タンク20の上面20Aとの間に第1板ゴム26が介在されているので、車両走行時におけるセンタフロアパネル12の下面12B側及び燃料タンク20側の摩耗や異音の発生が抑えられる。
【0027】
また、バッテリ30は、センタフロアパネル12の上面12A側に配設されて当該センタフロアパネル12側に固定されると共に、第2板ゴム28を介した状態でセンタフロアパネル12の上面12A側に支持されているので、車両走行時には(例えば、悪路走行時でも)、重量部品であるバッテリ30の上下振動が第2板ゴム28によって抑えられ、バッテリ30のフランジ部30Fにおける疲労の蓄積が抑えられる。
【0028】
ここで、図3に示されるように、車両走行中に排気熱等で燃料タンク20が膨張した場合、燃料タンク20によって第1板ゴム26を介してセンタフロアパネル12(平板部14A)が押圧されるが、第2板ゴム28が第1板ゴム26に対してセンタフロアパネル12(平板部14A)を介して対向する位置に配設されているので、押圧された部位は、第2板ゴム28を介してバッテリ30によって直接的に支持され、センタフロアパネル12の変形が防止又は抑制される。すなわち、第1板ゴム26と第2板ゴム28との車両平面視での位置を合わせることにより、燃料タンク20側からの膨張時の荷重をバッテリ30に支持させ、かつ、バッテリ30の筐体(バッテリカバー30B及びHVバッテリロワケース30C)の剛性を利用してセンタフロアパネル12の膨張変形を防止又は抑制している。
【0029】
補足すると、例えば、燃料タンクによって第1板ゴム(第1クッション部材)を介してセンタフロアパネル(車体フロア)が押圧されて変形してしまう対比構造では、センタフロアパネル(車体フロア)の変形によって、センタフロアパネル(車体フロア)の平板部の共振周波数が変化し、車室(キャビン)内のセンタフロアパネル(車体フロア)の振動によって車室(キャビン)内の体積が変動すると、車内音(こもり音、すなわち、車室(キャビン)内の乗員の耳位置付近の圧力変動によって発生して乗員の耳を圧迫する音)が発生しやすくなる。これに対して、本実施形態では、センタフロアパネル12の変形が防止又は抑制されるので、センタフロアパネル12の平板部14Aの共振周波数が上がり、車内音(こもり音)の発生を防止又は抑制することができる(車内音悪化の抑制)。
【0030】
特に、第2板ゴム28は、車両側面視でバッテリ30における車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されているので、膨張した燃料タンク20によって第1板ゴム26を介してセンタフロアパネル12が押圧された場合、この押圧荷重は、第2板ゴム28を介してバッテリ30における車両前後方向の中央部で安定的に支持される。このため、燃料タンク20が膨張した場合、センタフロアパネル12の変形を一層効果的に防止又は抑制することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る車両下部構造によれば、燃料タンク20の膨張に起因するセンタフロアパネル12(平板部14A)の変形を防止又は抑制することによって、センタフロアパネル12(平板部14A)の共振周波数の変化を防止又は抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る車両下部構造によれば、車両走行時にバッテリ30の上下振動が第2板ゴム28を介してセンタフロアパネル12(平板部14A)に伝達されてセンタフロアパネル12(平板部14A)に振動荷重が作用しても、センタフロアパネル12(平板部14A)は、第1板ゴム26を介して燃料タンク20(の剛性)で支持されるので、センタフロアパネル12(平板部14A)の振動が低減される。よって、車内音(こもり音)の発生が効果的に防止又は抑制される。
【0033】
また、本実施形態の車両下部構造では、センタフロアパネル12の共振周波数は、ビード等のようなパネルの形状によって設定(チューニング)されるのではなく、第1板ゴム26及び第2板ゴム28の位置や大きさによって設定(チューニング)されるので、センタフロアパネル12の共振周波数の設定(チューニング)の自由度が増し、開発工数も低減できる。すなわち、センタフロアパネル12の支持剛性を上げる位置に第1板ゴム26及び第2板ゴム28を配置し、第1板ゴム26及び第2板ゴム28の大きさを大きくすることによって、共振周波数を容易に高く設定することができる。
【0034】
ここで、センタフロアパネル12は、当該センタフロアパネル12を上下方向から挟み込む第1板ゴム26及び第2板ゴム28で支持されるため、本実施形態の車両下部構造では、面剛性向上の効果が高い。このため、パネル共振の車内音への影響が小さい高周波数帯域にセンタフロアパネル12の共振周波数を設定しやすい。また、この場合、センタフロアパネル12への制振材の設定が不要となり易く、性能向上、質量低減及び低コスト化に効果がある。
【0035】
また、本実施形態の車両下部構造では、センタフロアパネル12にビードが形成されないため、その分、バッテリ30の位置を下げて車室を広くすること(居住性の向上)や、燃料タンク20のサイズ(容量)を大きくすることが可能になる。ここで、燃料タンク20の容量を大きくすれば、車両が新たに燃料を補給することなく走行を続けることができる距離を伸ばすこと(航続性能の向上)が可能になる。
【0036】
さらに、本実施形態の車両下部構造では、悪路走行時におけるバッテリ30の車両上下方向への慣性荷重が、センタフロアパネル12に加えて燃料タンク20でも支持されるため、バッテリ30の支持位置付近の強度面でも有利である。また、バッテリ30の支持用とされる第2板ゴム28については、従来に比べてその枚数と総面積を削減することも可能になるので、強度性能の向上と低コスト化との両立に効果がある。
【0037】
さらにまた、本実施形態の車両下部構造では、第2板ゴム28が車両側面視でバッテリ30における車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されているので、例えば、バッテリ(30)における車両前後方向の前後端部寄り(取付用のフランジ部(30F)寄り)の車両下方側に第2板ゴム(第2クッション部材)が配設されるような対比構造に比べて、バッテリ30の支持位置を分散させることができる。
【0038】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、第1クッション部材が第1板ゴム26、第2クッション部材が第2板ゴム28とされているが、第1クッション部材及び第2クッション部材は、ゴム以外のエラストマーで形成された他のクッション部材で構成されてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、第1板ゴム26は、燃料タンク20の上面20Aに予め固着されており、このような構成が好ましいが、例えば、第1クッション部材が車体フロアの下面に予め固着された構成としてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、第2板ゴム28は、センタフロアパネル12の上面12Aに固着されており、このような構成が好ましいが、例えば、第2クッション部材がバッテリの下面に予め固着された構成としてもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態では、第2板ゴム28は、車両側面視でバッテリ30における車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されているが、例えば、第2クッション部材は、車両側面視でバッテリにおける車両前後方向の中央部からややオフセットされた前後近接位置の車両下方側に配設される構成であってもよい。また、上記実施形態では、第2板ゴム28が計三個配設されているが、第2クッション部材の配設個数は、車両下部の構成によっては一個又は二個でもよく、また、四個以上であってもよい。
【0042】
さらにまた、上記実施形態では、一個の燃料タンク20がセンタフロアパネル12の下面側に支持されているが、複数個の燃料タンクが車体フロアの下面側に支持された構成としてもよい。また、上記実施形態では、バッテリ30は、センタフロアパネル12の上面12A側に一個配設されているが、バッテリが車体フロアの上面側に複数個配設された構成であってもよい。
【0043】
なお、上記実施形態では、バッテリ30がセンタフロアパネル12の上面側に配設された車両に車両下部構造が適用されているが、車両下部構造は、例えば、バッテリがリヤフロアパネル等のような車体フロアの他部位の上面側に配設された車両に適用されてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、燃料タンク20は、車両平面視で車両幅方向に長尺状とされた前後二本のタンクバンド22、24によって、前端側及び後端側が吊られた状態でセンタフロアパネル12の下面12B側に支持されているが、燃料タンクは、車両平面視で車両前後方向に長尺状とされた左右二本のタンクバンドによって、左端側及び右端側が吊られた状態で車体フロアの下面側に支持されてもよく、また、燃料タンクは、タンクバンドによって吊られずに車体フロア側に直締めされることによって、車体フロアの下面側に支持されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両下部構造が適用された車両下部の要部構成を車両側面視で示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両下部構造が適用された車両下部を模式的に示す平面図である(バッテリは二点鎖線で示す。)。
【図3】バッテリが膨張した状態を車両側面視で示す縦断面図である(図1と同様の破断面で示す。)。
【符号の説明】
【0046】
10 車両下部
12 センタフロアパネル(車体フロア)
12A センタフロアパネルの上面(車体フロアの上面)
12B センタフロアパネルの下面(車体フロアの下面)
20 燃料タンク
20A 燃料タンクの上面
26 第1板ゴム(第1クッション部材)
28 第2板ゴム(第2クッション部材)
30 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアと、
前記車体フロアの下面側に支持された燃料タンクと、
前記車体フロアの下面と前記燃料タンクの上面との間に介在された第1クッション部材と、
前記第1クッション部材に対して前記車体フロアを介して対向する位置に配設された第2クッション部材と、
前記車体フロアの上面側に配設されて当該車体フロア側に固定されると共に、前記第2クッション部材を介した状態で前記車体フロアの上面側に支持されたバッテリと、
を有することを特徴とする車両下部構造。
【請求項2】
前記第2クッション部材は、車両側面視で前記バッテリにおける車両前後方向の中央部の車両下方側に配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−90952(P2009−90952A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266392(P2007−266392)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】