説明

車両停止判定装置、車両停止判定方法、及び車両停止判定プログラム

【課題】GPS装置より得られる測定情報だけを用いて簡単な処理によって車両の停止状態を判定することのできるナビゲーションを実現することが可能な仕組みを提供する。
【解決手段】本装置10では、GPS情報受信部11が、GPS装置より角度情報と速度情報をそれぞれ取得する。また、角度変化量算出部12が、取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める。そして、車両停止判定部13が、求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する。そして、停止状態判定情報出力部14が、判定した停止状態判定情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の停止状態を判定する車両停止判定技術に係り、詳しくは、GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して測位情報を出力するGPS装置より得られる各情報を総合的に判定し、車両の停止状態を判定する車両停止判定装置、車両停止判定方法、及び車両停止判定用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の停止状態を判定する手段として、物体の状態の差異を検知する各種センサを用いる技術が知られている。たとえば車両の状態(ポジショニング)を確認し、地図上にその位置を視覚的に表示する機能を備えるカーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)においては、通常、車軸の回転速度を検出する車速センサの出力に基づいて車両の位置を表示することが行われている。
【0003】
すなわち、車速センサでは、走行に応じて車両より得る車速パルス信号を検知するので、車両より出力される車速パルス信号が検出できなければ単純に移動体は停止しているものと判定することができる。
したがって、カーナビにおいては、車速センサからのパルス信号を検知できないとき、車両は停止状態にあるものと判定し、地図上での車両位置を動かさず、地図をスクロール等せずに表示する。
【0004】
ところが、車両にカーナビを後付けする場合には、車速パルス信号を取り出すための配線工事が必要であり、その作業が煩わしく、負担が掛かるものである。
【0005】
また、カーナビの中には、現在設置している車両から取り外して他の車両に設置可能としたり、盗難防止のために駐車中の車両から取り外し可能としたりするものもある。このように車両に対する設置を自由にした装置の場合、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して測位情報を出力するGPS装置を用い、このGPS装置より得られる位置情報を用いて車両の状態を確認することとしている。
したがって、車速パルス信号を取り出すために配線工事等の手間も必要とせず、車速パルスが取れない環境下でも車両の停止状態を判定することが可能となる。
【0006】
ところが、GPS測位による位置情報にはバラツキ(緯度・経度の誤差)があり、位置情報だけを用いて車両の停止状態を判定することは難しい。すなわち、GPS装置から得られる位置情報は誤差を含むため、実際の位置が動いていない場合でも、あたかも動いているように地図上に表示されてしまう。
【0007】
そこで、GPS装置より得られる位置情報の誤差を解消して車両の停止状態を判定するようにした手段として、たとえばGPS衛星の配置状態に基づいて、車両の停止判定を行なう際の上限速度を設定する手段を設け、車両の速度が前記設定された上限速度以下の場合には、車両が停止しているものと判定するようにした手段を備えるナビゲーション装置が提案されている(特許文献1を参照)。
また、GPS信号に基づいて算出した移動体の速度から、移動体が停止していると認識した際に、移動体に生じる加速度の分散値に基づいて第1の閾値を設定し、GPS信号が入力されない場合、この第1の閾値に基づいて、加速度の分散値から移動体が停止しているか否かを判定するようにした手段を備えるナビゲーション装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平11−258324号公報
【特許文献2】特開2008−58273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、GPS衛星の配置状態に基づく受信衛星配置データより、各衛星を頂点とした三角形の最長辺を底辺とした高さの値と、その傾きの方向を算出して、車両の停止判定を行なう際の上限速度を設定しなければならず、複雑で煩わし処理が必要であった。
また、上記特許文献2に記載された技術は、GPS装置より得られる測定情報以外に、加速度センサを用いて加速度信号を取得しなければならず、全体的な構造が複雑なものとなると共に、簡単な処理によって車両の停止状態を判定することができないものであった。
このように、GPS装置より得られる測定情報だけを用いて簡単な処理によって車両の停止状態を判定する手段は、現在のところ提案されていない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、GPS装置より得られる測定情報だけを用いて簡単な処理によって車両の停止状態を判定することのできるナビゲーションを実現することが可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両停止判定装置は、車両の停止状態を判定する車両停止判定装置であって、GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得するGPS情報受信手段と、前記GPS情報受信手段で取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める角度変化量算出手段と、前記角度変化量算出手段で求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、前記GPS情報受信手段で取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する車両停止判定手段と、前記車両停止判定手段で判定した停止状態判定情報を出力する停止状態判定情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両停止判定装置は、前記車両停止判定手段が、前記角度変化量算出手段で求めた変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、前記GPS情報受信手段で取得した速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定するものとしても良い。
【0012】
また、本発明の車両停止判定方法は、車両の停止状態を判定する車両停止判定方法であって、GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得する第1ステップと、前記車両停止判定装置において、前記第1ステップで取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める第2ステップと、前記車両停止判定装置において、前記第2ステップで求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、前記第1ステップで取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する第3ステップと、前記第3ステップで判定した停止状態判定情報を前記車両停止判定装置より出力する第4ステップと、を含んだことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車両停止判定方法は、前記第3ステップは、前記第2で求めた変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、前記第1ステップで取得した速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定するものとしても良い。
【0014】
また、本発明のコンピュータプログラムは、車両の停止状態を判定することを実行させるためにコンピュータを、GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得する手段、取得した前記角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める手段、求めた前記変化量が一定の数値以上であり、かつ、取得した前記速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する手段、判定した前記停止状態判定情報を出力する手段、として機能させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、求めた前記変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、取得した前記速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定するとしてさらに機能させるものとしても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両停止判定装置は、GPS装置より角度情報と速度情報をそれぞれ取得する手段と、取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める手段と、求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する手段と、を備える。ゆえに、変化量が小さい場合は走行中の可能性があり、大きい場合は停止中の可能性があると判断できる角度情報と、値が小さい場合は停止中の可能性があると判断できる速度情報の双方を加味することで、精度良く車両の停止状態を判定することができる。
したがって、GPS装置より得られる測定情報だけを用いて簡単な処理によって車両の停止状態を判定することが可能となり、地図上での車両位置を動かさずに表示するナビゲーションを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る車両停止判定装置、車両停止判定方法、車両停止判定用のコンピュータプログラムの一例について説明する。
本発明に係る車両停止判定装置(以下、「本装置」という)10は、車両の停止状態を判定し、その情報を出力するようにした装置である。
【0018】
図1は、本装置10を用いた車両停止判定システム(以下、「本システム」という)の一例を示す概略図であり、図2は、本装置10を本システムに用いることにより実現される地図情報出力装置を示す概略図である。
本システムは、図1に示すように、本装置10と、GPS装置20と、地図情報出力装置30と、によって構成することができる。
【0019】
GPS装置20は、GPS衛星から送られてくるGPS信号をGPS受信機で受信し、このGPS信号に基づいて移動方向を示す角度を求めると共に、移動速さを示す速度を求める装置である。したがって、車両の停止状態を判定する場合、GPS装置20は車両に搭載されており、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)と、受信したGPS信号のデコード等の処理を行い、本装置10へ出力する信号処理部とを備える。
【0020】
地図情報出力装置30は、GPS装置20より取得した現在の位置情報に基づき、地図情報を参照して当該周辺を表示するのに必要な道路地図情報を特定し、出力する装置であり、たとえばカーナビを挙げることができる。この地図情報出力装置30では、位置情報と、道路地図情報と、を互いに関連付けて記憶する道路地図情報記憶部を備える。ここで、道路地図情報は、予め地図情報出力装置30の記憶部に記憶される外、たとえば所謂SDメモリカードと称されるリムーバブルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介してダウンロードするものとしても構わない。なお、地図情報の出力処理については公知の技術を用いればよいので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0021】
また、地図情報出力装置30は、出力した道路地図情報を表示する表示部40を備える。この表示部40は、モニタ又はディスプレイ等と称される装置である。したがって、本装置10より出力された停止状態判定情報に基づいて、表示部40に表示された道路地図上に車両位置を示すマークが表示されることになる。
図2において、地図情報出力装置30が備える表示部40に、現在の位置情報に基づく周辺道路地図が表示されると共に、車両の現在位置を特定する自車位置マークMが示されている。
【0022】
次に、本装置10の構成について説明する。
本装置10は、図1に示すように、GPS情報受信部11と、角度変化量算出部12と、車両停止判定部13と、停止状態判定情報出力部14と、制御部15と、を有している。なお、図中の符号16は、本装置10において制御信号、データ等を伝送するバスである。
【0023】
本装置10は、情報処理装置であればよく、たとえば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータをはじめ、PND(Portable Navigation Device)や、専用デバイスなどで実現される。また、本装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、キーボタン等の入力装置、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。
CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する手段である。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、本装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶している手段である。
【0024】
GPS情報受信部11は、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して、車両の移動方向を示す角度及び車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置20より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得する処理を行う。ここで、角度情報は、北の方位を0°として時計回りに順次数値が増え359°までの数値により示される。また、速度情報は、1秒間にどれだけ移動したかを求めた数値により示される。
このGPS情報受信部11で取得した角度情報は、角度変化量算出部12へ送信され、速度情報は、車両停止判定部13へ送信される。
【0025】
角度変化量算出部12は、GPS情報受信部11で取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める処理を行う。すなわち、角度情報は移動方位をベクトルで表すものであるので、車両が走行(移動)状態であれば、その走行方位に応じたベクトルが主となって位置情報のバラツキが余り影響の無いものとすることができ、一方、車両が停止状態であれば、位置情報のバラツキが顕著なベクトルとなる。したがって、この角度情報における変化量を見ることで、走行状態であるのか、停止状態であるのかが大まかにわかる。
この角度変化量算出部12で求めた変化量情報は、車両停止判定部13へ送信される。
【0026】
車両停止判定部13は、角度変化量算出部12で求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、GPS情報受信部11で取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する処理を行う。すなわち、角度情報における変化量が大きいときは、位置情報のバラツキが顕著なベクトルであるので、停止状態もしくはそれに近い状態であると判定できる。また、速度情報が小さいときは、当然に停止状態もしくはそれに近い状態であると判定できる。したがって、角度情報における変化量から得られる判定結果と、速度情報から得られる判定結果とが何れも、停止状態もしくはそれに近い状態であると判定できるときは、停止状態にある確立が高いので、車両が停止状態であると判定する。
この車両停止判定部13で判定した停止状態判定情報は、停止状態判定情報出力部14へ送信される。
【0027】
停止状態判定情報出力部14は、車両停止判定部13で判定した停止状態判定情報を出力する処理を行う。
この停止状態判定情報出力部14より出力された停止状態判定情報は、地図情報出力装置30へ送信される。
【0028】
制御部15は、CPU、ROM、RAM等を具備し、プログラム記憶部に記憶されたプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する。
【0029】
<第1の実施の形態>
次に、上述した車両停止判定方法を実施する本装置10の動作の一例を、図4を参照しながら説明する。図4は、本装置10での車両停止判定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、GPS情報受信部11が、GPS装置20より角度情報と速度情報をそれぞれ取得する(S10)。
次いで、角度変化量算出部12が、GPS情報受信部11で取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める(S20)。
引き続き、車両停止判定部13が、角度変化量算出部12で求めた変化量が一定の数値以上であるか否か判定する(S30)。
【0030】
その結果、車両停止判定部13が、変化量が一定の数値以上であると判定した場合(Y)、引き続き、車両停止判定部13が、GPS情報受信部11で取得した速度情報が一定の数値以下であるか否か判定する(S40)。
一方、車両停止判定部13が、変化量が一定の数値以上でない、すなわち一定の数値以下であると判定した場合(N)、車両停止判定部13は、車両は停止状態に近いが未だ走行状態であると判定し、そのまま本装置10での一連の動作を終了する。
【0031】
また、車両停止判定部13が、速度情報が一定の数値以下であると判定した場合(Y)、車両停止判定部13は車両が停止状態であると判定する(S50)。
一方、車両停止判定部13が、速度情報が一定の数値以下でない、すなわち一定の数値以上であると判定した場合(N)、車両停止判定部13は、車両は停止状態に近いが未だ走行状態であると判定し、そのまま本装置10での一連の動作を終了する。
そして、停止状態判定情報出力部14が、この停止状態判定情報を地図情報出力装置30へ出力する(S60)。
これにより、本装置10での一連の動作が終了する。
【0032】
以上のように本実施の形態では、GPS装置による測位によって求めた角度情報と速度情報の双方に基づいて車両の停止状態を判定し、その情報を出力するものであるので、GPS装置による測位によって求めた位置情報のバラツキ(緯度・経度の誤差)に基づく停止か否かの判定の不明確さを解消し、車両の停止状態を判定することが可能となる。
したがって、GPS装置により得られる測定情報だけを用いて簡単な処理によって車両の停止状態を判定することが可能となり、本装置を備える地図情報出力装置において地図上での車両位置を動かさないようにすることで、ユーザに違和感のない地図情報の表示を提供することが可能となる。しかも、本装置を備える地図情報出力装置の取り付けにおいて、車速パルス信号を用いる車速センサのように車両に対して煩雑な物理的接続作業を要することがないので、車速パルスが取れない環境下でも車両の停止状態を判定することが可能となる。
【0033】
<第2の実施の形態>
また、本発明では、車両の停止状態の判定をより精度良く行なうようにすることもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、角度情報の変化量と速度情報とを一定時間蓄積し、その軌跡から総合的に判定する機能を有する点で異なる。ここで一定時間とは、たとえば角度情報と速度情報を1秒ごとに取得しているのであれば5秒間程度とすることができ、1秒ごとに過去5秒間の軌跡の平均値から車両の停止状態を判定する。また、角度情報と速度情報を1秒間に複数取得しているのであれば、5秒以下の数秒間とすることができ、角度情報と速度情報の取得ごとに過去複数の軌跡から車両の停止状態を判定する。
なお、以下に述べる他の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0034】
以下、その処理についての一例を図5に基づき説明する。
図5は、本装置10での地図表示処理の他の一例を示すフローチャートである。
まず、GPS情報受信部11が、GPS装置20より角度情報と速度情報をそれぞれ取得する(S110)。
次いで、角度変化量算出部12が、GPS情報受信部11で取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める(S120)。
ここまでの処理は、上述した第1の実施の形態の場合と同様である。
【0035】
次いで、車両停止判定部13が、角度情報の変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値を求める(S130)。なお、車両停止判定部13では、GPS情報受信部11で取得した速度情報も一定時間蓄積している。
引き続き、車両停止判定部13が、角度変化量算出部12で求めた変化量の平均値が一定の数値以上であるか否か判定する(S140)。
その結果、車両停止判定部13が、変化量の平均値が一定の数値以上であると判定した場合(Y)、引き続き、車両停止判定部13が、蓄積する一定時間の速度情報が何れも一定の数値以下であるか否か判定する(S150)。
一方、車両停止判定部13が、変化量の平均値が一定の数値以上でない、すなわち一定の数値以下であると判定した場合(N)、車両停止判定部13は、車両は停止状態に近いが未だ走行状態であると判定し、そのまま本装置10での一連の動作を終了する。
【0036】
また、車両停止判定部13が、速度情報が何れも一定の数値以下であると判定した場合(Y)、車両停止判定部13は車両が停止状態であると判定する(S160)。
一方、車両停止判定部13が、速度情報が何れも一定の数値以下でない、すなわち一定の数値以上であると判定した場合(N)、車両停止判定部13は、車両は停止状態に近いが未だ走行状態であると判定し、そのまま本装置10での一連の動作を終了する。
そして、停止状態判定情報出力部14が、この停止状態判定情報を地図情報出力装置30へ出力する(S170)。
これにより、本装置10での一連の動作が終了する。
【0037】
以上のように本実施の形態では、角度情報の変化量と速度情報を一定時間蓄積し、角度情報の変化量の平均値と、速度情報から総合的に判定するので、車両の停止状態の判定をより精度良く行なうことができる。なお、本実施の形態では、一定時間蓄積した速度情報が何れも一定の数値以下であると判定した場合に、変化量の平均値と併せて車両の停止状態を判定するものとしたが、一定時間蓄積した速度情報の平均値が一定の数値以下であると判定した場合に、変化量の平均値と併せて車両の停止状態を判定するものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両の停止状態を判定するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、車両の移動に伴って現在位置を電子地図上に表示可能なカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る車両停止判定装置を用いた車両停止判定システムの概要を示す構成図である。
【図2】本発明に係る車両停止判定装置を車両停止判定システムに用いることにより実現される地図情報出力装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係る車両停止判定装置の実施形態の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本発明に係る車両停止判定装置での車両停止判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る車両停止判定装置での車両停止判定処理の他の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
10 車両停止判定装置(本装置)、11 GPS情報受信部、12 角度変化量算出部、13 車両停止判定部、14 停止状態判定情報出力部、15 制御部、20 GPS装置、30 地図情報出力装置、40 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停止状態を判定する車両停止判定装置であって、
GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得するGPS情報受信手段と、
前記GPS情報受信手段で取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める角度変化量算出手段と、
前記角度変化量算出手段で求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、前記GPS情報受信手段で取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する車両停止判定手段と、
前記車両停止判定手段で判定した停止状態判定情報を出力する停止状態判定情報出力手段と、
を備えることを特徴とする車両停止判定装置。
【請求項2】
前記車両停止判定手段は、前記角度変化量算出手段で求めた変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、前記GPS情報受信手段で取得した速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両停止判定装置。
【請求項3】
車両の停止状態を判定する車両停止判定方法であって、
GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得する第1ステップと、
前記車両停止判定装置において、前記第1ステップで取得した角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める第2ステップと、
前記車両停止判定装置において、前記第2ステップで求めた変化量が一定の数値以上であり、かつ、前記第1ステップで取得した速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する第3ステップと、
前記第3ステップで判定した停止状態判定情報を前記車両停止判定装置より出力する第4ステップと、
を含んだことを特徴とする車両停止判定方法。
【請求項4】
前記第3ステップは、前記第2ステップで求めた変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、前記第1ステップで取得した速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両停止判定方法。
【請求項5】
車両の停止状態を判定することを実行させるためにコンピュータを、
GPS(Global Positioning System )衛星から送られてくるGPS信号を受信して、前記車両の移動方向を示す角度及び前記車両の移動速さを示す速度を求めるGPS装置より、角度情報と速度情報をそれぞれ取得する手段、
取得した前記角度情報を蓄積し、時間的に前後する二つの角度情報の差を示す変化量を求める手段、
求めた前記変化量が一定の数値以上であり、かつ、取得した前記速度情報が一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する手段、
判定した前記停止状態判定情報を出力する手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
求めた前記変化量を一定時間蓄積し、この蓄積した変化量の平均値が一定の数値以上であり、かつ、取得した前記速度情報を一定時間蓄積し、この速度情報が何れも一定の数値以下であるとき、車両が停止状態であると判定する、
としてさらに機能させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−264853(P2009−264853A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113248(P2008−113248)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】