説明

車両入庫システム及び車両入庫方法

【課題】ドライバーの入庫意思に基づいて、ガレージのドアを開放すること。
【解決手段】ガレージのドアの開放制御を行う車両入庫システムに、車両の動作を監視する車両監視手段と、車両により送信され、該車両により検出される車両検出情報に基づいて、該車両が入庫を要求しているか否かを判断する入庫要求判断手段と、入庫要求判断手段により入庫を要求していると判断された場合に、車両監視手段により検出された車両の動作を示す車両動作情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定する入庫意思推定手段と、入庫意思推定手段により入庫意思があると推定された場合に、ガレージのドアをオープン状態にすると判断するドアオープン判断手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫への入出路のシャッタ(ドア)などの開閉部を、自動で開閉する車両入庫システムに関し、特に、電動式ガレージ等を制御する車両入庫システム及び車両入庫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を収容するためのガレージとして、車内からワイヤレスリモコンで操作することにより開閉することができるガレージが知られている。しかし、このようなガレージでは、シャッタが開閉するタイミングにバラツキが生じる。このため、ガレージのシャッタが開閉するまで待機する煩わしさがある。例えば、入庫する場合では、リモコン操作のタイミングが遅かった場合又は該電動式ガレージへの駐車動作が速かった場合には、図1に示すように、ガレージシャッタが開ききる前に、該ガレージ前に車両が到達するため、このような待機が必要となる。
【0003】
また、ワイヤレスリモコンから送信される信号として電波が用いられるため、電波が届く範囲内にある他の電動式ガレージにも影響を与えて誤動作する場合がある。この問題を解決するために、リモコンにより操作することなく自動的に電動ガレージのドアを開閉することができると共に、誤作動を防ぐことができるナビゲーション装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このナビゲーション装置は、GPS受信機により算出した車両の位置及びジャイロセンサにより検出した方位と、予め設定した開放指示位置及び方位とが各々略一致し、かつ車速センサにより検出した車両の速度が所定値以下の場合に開放信号をワイヤレスガレージドアオープナ送信機へ送信するように構成される。
【特許文献1】特開2000−258169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した背景技術には以下の問題がある。
【0006】
上述した技術では、リモコン操作を必要とせずにガレージを開閉することができるとともにドライバーの意図に関係ない誤作動を防ぐことができる。しかし、ガレージへの進入速度や、ガレージへの侵入経路により、ガレージが開くまでのタイミングが異なる。従って、該タイミングによっては、ガレージが開くまで待機が必要になる場合がある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、ドライバーの入庫意思に基づいて、ガレージのドアを開放することができる車両入庫システム及び車両入庫方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、ガレージを適切なタイミングで開放することができる車両入庫システム及び車両入庫方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この車両入庫システムは、
ガレージのドアの開放制御を行う車両入庫システムであって、
車両の動作を監視する車両監視手段と、
車両により送信され、該車両により検出される車両検出情報に基づいて、入庫を要求しているか否かを判断する入庫要求判断手段と、
前記入庫要求判断手段により入庫を要求していると判断された場合に、前記車両監視手段により検出された車両の動作を示す車両動作情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定する入庫意思推定手段と、
前記入庫意思推定手段により入庫意思があると推定された場合に、ガレージのドアをオープン状態にすると判断するドアオープン判断手段と
を有することを要件とする。
【0010】
このように構成することにより、車両により検出される車両検出情報に加え、該車両の監視結果に基づいて、ドライバー(運転者)の入庫の意思を推定できる。車両検出情報には、例えば車両の運転操作信号が含まれる。
【0011】
また、別の構成では、
前記車両検出情報には、シフトポジションの情報、ストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報が含まれるように構成される。
【0012】
このように構成することにより、シフトポジションの情報、ストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報に基づいて、該車両が入庫を要求しているか否かを判断することができる。
【0013】
また、別の構成では、
入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報を格納するデータベース
を有し、
前記入庫意思推定手段は、前記車両動作情報と、前記データベースに格納された入庫車両動作情報との比較結果に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定するように構成される。
【0014】
このように構成することにより、データベースに予め格納された入庫車両動作情報と、車両動作情報とが一致するか否かに基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定することができる。データベースに予め格納された入庫車両動作情報と、車両動作情報とが一致する場合には入庫の意思があると推定され、一致しない場合には入庫の意思がないと推定される。
【0015】
また、別の構成では、
前記データベースに格納された入庫車両動作情報に基づいて、ガレージのドアの開放制御を行うドア開放制御手段
を有するように構成される。
【0016】
このように構成することにより、適切なタイミングでガレージのドアをオープン状態にする。
【0017】
さらに、別の構成では、
車両が入庫した場合における車両動作情報を前記データベースに追加する車両動作情報追加手段
を有するように構成される。
【0018】
このように構成することにより、車両動作情報を蓄積でき、該車両を操作する運転者の操作パターンを蓄積できるため、正確に入庫の意思を推定できる。
【0019】
また、別の構成では、
前記車両動作情報には、車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間情報、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報が含まれるように構成される。
【0020】
このように構成することにより、車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間情報、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定することができる。
【0021】
この車両入庫方法は、
ガレージのドアの開放制御を行う車両入庫システムにおける車両入庫方法であって、
車両の動作を監視する車両監視ステップと、
車両により送信され、該車両により検出される車両検出情報を受信する車両検出情報受信ステップと、
前記車両検出情報に基づいて、入庫を要求しているかを判断する入庫要求判断ステップと、
前記入庫要求判断ステップにより入庫を要求していると判断された場合に、前記車両監視ステップにより検出された車両の動作を示す車両動作情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定する入庫意思推定ステップと、
前記入庫意思推定ステップにより入庫意思があると推定された場合に、ガレージのドアをオープン状態にすると判断するドアオープン判断ステップと
を有することを要件とする。
【0022】
このようにすることにより、車両により検出される車両検出情報に加え、該車両の監視結果に基づいて、ドライバー(運転者)の入庫の意思を推定できる。車両検出情報には、例えば車両の運転操作信号が含まれる。
【発明の効果】
【0023】
開示の車両入庫システム及び車両入庫方法によれば、ドライバーの入庫意思に基づいて、ガレージのドアを開放することができる。
【0024】
また、開示の車両入庫システム及び車両入庫方法によれば、ガレージを適切なタイミングで開放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(第1の実施例)
本発明の実施例に係る車両入庫システムの構成について、図2を参照して説明する。
【0027】
本実施例に係る車両入庫システムは、車両から送信される電波により車両自体を格納するガレージのシャッタ(ドア)を遠隔的に開閉させる、例えばガレージドアオープナシステムにより構成される。
【0028】
本実施例に係る車両入庫システムは、ガレージドアオープナ制御装置100を有する。ガレージドアオープナ制御装置100は、入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報をデータベースに格納する。また、ガレージドアオープナ制御装置100は、入庫未実施時の車両の動作を示す入庫未実施車両動作情報をデータベースに格納するようにしてもよい。また、ガレージドアオープナ制御装置100は、該データベースに格納された入庫車両動作情報に基づいて、ドライバーの入庫の意思を推定する。また、ガレージドアオープナ制御装置100は、該データベースに格納された入庫未実施車両動作情報に基づいて、ドライバーの入庫の意思を推定するようにしてもよい。また、ガレージドアオープナ制御装置100は、ドライバーの入庫の意思の推定結果に基づいて、ガレージドアオープナの制御を行う。
【0029】
本実施例に係る車両入庫システムは、車両情報収集装置200を有する。車両情報収集装置200は、例えば車両に搭載される。車両情報収集装置200は、車両において検出される車両検出情報を収集し、該車両検出情報をガレージドアオープナ制御装置100に送信する。例えば、車両検出情報には、車両の操作により検出される情報が含まれる。また、車両検出情報に車両の操作情報が含まれるようにしてもよい。
【0030】
ガレージドアオープナ制御装置100と車両情報収集装置200とは無線により通信可能に構成される。
【0031】
本実施例に係るガレージドアオープナ制御装置100について説明する。
【0032】
ガレージドアオープナ制御装置100は、通信部102を有する。通信部102は、車両情報収集装置200と無線により通信を行う。通信部102は、車両情報収集装置200の通信部202との間で通信が可能である場合に、接続処理を行う。また、通信部102は、車両情報収集装置200により車両検出情報を受信する。また、通信部102は、ガレージドアオープナシステムにより、ガレージのドアの状態を示すドア状態情報を受信する。また、通信部102は、受信した車両検出情報及びドアの状態を示す情報を後述する制御部104に入力する。
【0033】
また、ガレージドアオープナ制御装置100は、車両監視部106を有する。車両監視部106は、車両の動作を監視する。例えば、車両監視部106は、各種センサ、例えば、ガレージカメラなどにより構成され、車両の動作を監視する。各種センサは一種類だけでなく複数のセンサにより構成されるようにしてもよい。車両監視部106は、検出した車両動作情報を制御部104に入力する。
【0034】
ガレージドアオープナ制御装置100は、入庫要求判断手段、ドアオープン判断手段、車両動作情報追加手段及びドア開放制御手段としての制御部104を有する。制御部104は、通信部102により入力された車両検出情報に基づいて、該車両が入庫を要求しているかを判断する。例えば、制御部104は、車両検出情報が入庫に必要とされる情報と一致する場合に、後述する入庫意思推定部110に、ドライバーの入庫の意思を推定するように命令する。例えば、車両検出情報にドアを開放状態にする命令が含まれる場合に、入庫意思推定部110に、ドライバーの入庫の意思を推定するように命令するようにしてもよい。また、制御部104は、車両監視部106により入力される車両動作情報を入庫意思推定部110に入力する。また、制御部104は、入庫意思推定部110により、入庫の意思があると推定された場合、ドア状態情報に基づいて、ガレージのドアがオープン状態でない場合に、通信部102を介して、ガレージドアオープナシステムにドアをオープンさせる命令を送信する。また、制御部104は、入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報をデータベースに格納する。また、制御部104は、入庫が行われなかった場合に、入庫未実施時の車両の動作を示す入庫未実施車両動作情報をデータベースに格納するようにしてもよい。
【0035】
ガレージドアオープナ制御装置100は、データベース108を有する。データベース108には入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報が格納される。また、データベース108には入庫未実施時の車両の動作を示す入庫未実施車両動作情報が格納されるようにしてもよい。
【0036】
ガレージドアオープナ制御装置100は、入庫意思推定部110を有する。入庫意思推定部110は、制御部104により入力された車両監視部106により入力された車両動作情報と、データベース108に格納された情報とに基づいて、車両のドライバーが入庫の意思があるか否かを推定し、その推定結果を制御部104に通知する。具体的には、入庫意思推定部110は、データベース108に格納された入庫車両動作情報に基づいて、入力された車両動作情報が、該入庫車両動作情報と一致するか否かに基づいて、一致する場合には入庫の意思があると判断し、一致しない場合には入庫の意思がないと判断する。また、入庫意思推定部110は、データベース108に入庫未実施車両動作情報が格納されている場合には、該入庫未実施車両動作情報に基づいて、入力された車両動作情報が、該入庫未実施車両動作情報と一致するか否かに基づいて、一致する場合には入庫の意思がないと判断し、一致しない場合には入庫の意思があると判断するようにしてもよい。
【0037】
次に、本実施例に係る車両入庫方法としてのガレージドアオープナ制御装置100の動作について、図3を参照して説明する。
【0038】
車両情報収集装置200は、車両において検出される車両検出情報を収集し、該車両検出情報をガレージドアオープナ制御装置100に送信する。また、ガレージドア付近に設置されたガレージドアオープナセンサは、車両情報収集装置200と通信可能となった場合に、ガレージドアオープナセンサをオンにする。その結果、ガレージドアオープナ制御装置100が起動する。
【0039】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両情報収集装置200から車両検出情報を受信する(ステップS302)。具体的には、通信部102は、車両情報収集装置200により送信された車両検出情報を受信する。
【0040】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両情報収集装置200により送信された車両検出情報が入庫を示す情報であるかを判断する(ステップS304)。具体的には、制御部104は、車両検出情報が入庫が行われる場合に検出される情報と一致するか否かに基づいて、一致する場合には入庫を示す情報であると判断し、一致しない場合には入庫を示す情報ではないと判断する。
【0041】
車両情報収集装置200により送信された車両検出情報が入庫を示す情報である場合(ステップS304:YES)、ガレージドアオープナ制御装置100は、車両動作情報を取得する(ステップS306)。具体的には、車両監視部106は、車両の動きを監視し、車両動作情報を制御部104に入力する。
【0042】
一方、車両情報収集装置200により送信された車両検出情報が入庫を示す情報でない場合(ステップS304:NO)、ステップS302に戻る。
【0043】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両動作情報と、データベース108に格納された情報とを比較する(ステップS308)。具体的には、制御部104は、入力された車両動作情報を入庫意思推定部110に入力する。入庫意思推定部110は、入力された車両動作情報とデータベース108に格納された情報とを比較する。
【0044】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両動作情報と、データベース108に格納された情報との比較結果に基づいて、車両のドライバーは入庫の意思があるか否かを判断する(ステップS310)。具体的には、入庫意思推定部110は、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報との比較結果に基づいて、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報とが一致する場合に入庫の意思があると判断する。また、入庫意思推定部110は、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報との比較結果に基づいて、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報とが一致しない場合に入庫の意思がないと判断する。また、入庫意思推定部110は、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報との比較結果に基づいて、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報における情報とが一致する場合に入庫の意思がないと判断するようにしてもよい。また、入庫意思推定部110は、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報との比較結果に基づいて、車両動作情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報における情報とが一致しない場合に入庫の意思があると判断するようにしてもよい。
【0045】
入庫の意思があると判断される場合(ステップS310:YES)、ガレージドアオープナ制御装置100は、ガレージドアオープナを駆動する(ステップS312)。具体的には、入庫意思推定部110により入庫の意思があると判断された場合には、制御部104は、ドア状態情報に基づいて、ガレージのドアがオープン状態でない場合に、ガレージのドアをオープン状態にする。この場合、制御部104は、データベース108に格納された入庫車両動作情報に基づいて、適切なタイミングでガレージのドアをオープン状態にする。
【0046】
制御部104は、車両動作情報を入庫車両動作情報としてデータベース108に格納する(ステップS314)。その後、ステップS302に戻り、上述した動作と同様の動作を行う。
【0047】
一方、入庫意思があると推定されない場合(ステップS310:NO)、制御部104は、車両動作情報を入庫未実施車両動作情報としてデータベース108に格納する(ステップS316)。その後、ステップS302に戻り、上述した動作と同様の動作を行う。
【0048】
本実施例によれば、車両検出情報に加えて、車両動作情報に基づいて入庫する意思を推定することにより、ドライバーの入庫意思に基づいて、ガレージのドアを開放することができ、誤ってガレージのドアが開閉されるのを低減できる。また、入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報に基づいて、適切なタイミングでガレージのドアをオープン状態にすることができる。従って、ガレージが開くまでの待機時間を短縮することができる。
【0049】
(第2の実施例)
本発明の実施例に係る車両入庫システムの構成について説明する。
【0050】
本実施例に係る車両入庫システムの構成は、図2を参照して説明した構成と同様である。
【0051】
本実施例に係る車両入庫システムは、上述した第1の実施例において、入庫が行われる場合の車両検出情報として、シフトポジションの情報、ストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報を適用したものである。本実施例において車両検出情報として適用するシフトポジションの情報、ストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報は一例であり、これらのうちから適宜選択可能である。また、この例以外を車両検出情報として適用するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施例に係る車両入庫システムは、上述した第1の実施例において、車両動作情報として、車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間情報、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報を適用したものである。本実施例において車両動作情報として適用する車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間情報、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報は一例であり、これらのうちから適宜選択可能である。また、この例以外を車両動作情報として適用するようにしてもよい。
【0053】
車両情報検出部204は、車両検出情報として、シフトポジション情報を収集する。また、車両情報検出部204は、車両検出情報として、ストップランプスイッチ情報、車速センサ情報を収集するようにしてもよい。
【0054】
制御部104は、車両情報収集装置200により送信された車両検出情報としてのシフトポジションの情報に基づいて、該車両が入庫を要求しているかを判断する。例えば、具体的には、制御部104は、シフトポジションの情報がR(リバース)である場合に、該車両が入庫を要求していると判断する。また、制御部104は、車両情報検出部204により送信された車両検出情報としてのストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報に基づいて、該車両検出情報が入庫に必要とされる情報であるかを判断するようにしてもよい。
【0055】
車両監視部106は、車両の動作を監視し、車両動作情報として、車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報、ガレージに到着するまでの速度情報を収集する。ここで、車両の進行方向とは、図4に示すように、ガレージに車両が進入する方向を示す。例えば、右方向又は左方向である。また、車両の方向は、図5に示すように、入庫する前の車両の向きを示す。言い換えれば走行軌跡を示す。例えば、ガレージカメラにより撮影された車両を画像処理することにより判断される。また、ガレージに到着するまでの時間とは、図6に示すように、後方運転開始からガレージドアオープナのセンサがオンになるまでの時間を示す。また、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報とは、例えば、ステアリングセンサにより検出され、図7に示すように、入庫されるまでのステアリングセンサの値の履歴を示す。また、ガレージに到着するまでの速度情報とは、図8に示すように、入庫終了までの後方運転速度の履歴を示す。
【0056】
次に、本実施例に係る車両入庫方法としてのガレージドアオープナ制御装置100の動作について、図9を参照して説明する。
【0057】
ガレージドアオープナ制御装置100と車両情報収集装置200との間で通信が可能であるか否かが判断される(ステップS902)。具体的には、通信部102と通信部202との間で通信可能か否かが判断される。
【0058】
通信が可能であると判断されない場合(ステップS902:NO)、ステップS902に戻る。一方、通信が可能であると判断される場合(ステップS902:YES)、制御部104は、ガレージドアオープナのセンサ情報がオンであるかを判断する(ステップS904)。
【0059】
ガレージドアオープナのセンサ情報がオンでない場合(ステップS904:NO)、制御部104は、車両検出情報に含まれるシフトポジションの情報に基づいて、該シフトポジションがリバースであるかを判断する(ステップS906)。シフトポジションがリバースでない場合(ステップS906:NO)、ステップS902に戻る。
【0060】
ガレージオープナセンサがオンとなった場合にガレージのドアをオープン状態にするようにした場合にはガレージのドアが開放されるのを待たなくてはならない煩わしさがあり、シフトポジションがリバースである場合にガレージのドアをオープン状態にするようにした場合には入庫に関係なくガレージオープナセンサが作動する場合がある。このように、ガレージオープナセンサ情報とシフトポジション情報とに基づいて、ドアの開放制御を行うことにより、ガレージのドアが開放されるのを待つ煩わしさを低減でき、またガレージオープナセンサの誤作動を低減できる。
【0061】
ステップS904において、ガレージドアオープナのセンサ情報がオンである場合(ステップS904:YES)及びステップS906において、シフトポジションがリバースである場合(ステップS906:YES)、ガレージドアオープナ制御装置100は、車両の進入方向を判断する処理を行う(ステップS908)。例えば、車両監視部106は、ガレージに対して車両が右方向から進入するのか左方向から進入するのかを判断する。この情報は、車両に搭載されたナビゲーション装置から取得するようにしてもよい。
【0062】
ガレージドアオープナ制御装置100は、入庫前の車両の方向を判断する処理を行う。(ステップS910)例えば、車両監視部106は、ガレージカメラなどにより入庫する前の車両の方向(向き)を判断する。例えば、車両監視部106は、ガレージに対する車両の角度を判断する。
【0063】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両がガレージに到着するまでの時間を判断する処理を行う。(ステップS912)例えば、車両監視部106は、後方運転開始からガレージドアオープナのセンサがオンになるまでの時間を判断する。
【0064】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両がガレージに到着するまでの舵角を判断する処理を行う。(ステップS914)例えば、車両監視部106は、後方運転が開始されてからガレージドアオープナのセンサがオンになるまでの舵角情報を記憶する。
【0065】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両がガレージに到着するまでの車速を判断する処理を行う。(ステップS916)例えば、車両監視部106は、後方運転が開始されてからガレージドアオープナのセンサがオンになるまでの後方運転の車速情報を記憶する。
【0066】
ガレージドアオープナ制御装置100は、車両の進行方向及び入庫前の車両の方向に基づいて、該車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベースに記憶されている入庫車両動作情報とを比較する(ステップS918)。例えば、制御部104は、車両監視部106により入力される車両の進行方向及び入庫前の車両の方向に基づいて、該車両が後方運転を開始したことを判断する。そして、制御部104は、後方運転の開始からガレージドアオープナセンサがオンになるまでに、車両監視部106により入力された舵角情報を入庫意思推定部110に入力する。入庫意思推定部110は、制御部104により入力された舵角情報と、データベース108に格納されている入庫車両動作情報に含まれる舵角情報とを比較する。
【0067】
車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベースに記憶されている入庫車両動作情報とが一致する場合(ステップS920:YES)、ガレージドアオープナ制御装置100は、ドライバーが入庫の意思があるか否かを推定する(ステップS922)。具体的には、入庫意思推定部110は、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報に含まれる舵角情報との比較結果に基づいて、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報に含まれる舵角情報とが一致する場合に入庫の意思があると判断する。また、入庫意思推定部110は、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報に含まれる舵角情報との比較結果に基づいて、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫車両動作情報に含まれる舵角情報とが一致しない場合に入庫の意思がないと判断する。また、入庫意思推定部110は、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報に含まれる舵角情報との比較結果に基づいて、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報に含まれる舵角情報における情報とが一致する場合に入庫の意思がないと判断するようにしてもよい。また、入庫意思推定部110は、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報に含まれる舵角情報との比較結果に基づいて、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベース108に格納された入庫未実施車両動作情報に含まれる舵角情報における情報とが一致しない場合に入庫の意思があると判断するようにしてもよい。一方、車両がガレージに到着するまでの舵角情報と、データベースに記憶されている入庫車両動作情報とが一致しない場合(ステップS920:NO)、ステップS902に戻る。
【0068】
入庫の意思があると判断される場合(ステップS922:YES)、ガレージドアオープナ制御装置100は、ガレージのドアをオープン状態にするタイミングを算出する(ステップS924)。具体的には、入庫意思推定部110により入庫の意思があると判断された場合には、制御部104は、ドア状態情報に基づいて、ガレージのドアがオープン状態でない場合に、ステップS908により判断された車両の進行方向と、ステップS910により判断された入庫車両の方向に基づいて、該車両がガレージに到着するまでの時間及び該車両がガレージに到着するまでの車速とデータベース108に格納されたガレージに到着するまでの時間情報及び該車両がガレージに到着するまでの車速情報とからガレージのドアをオープン状態する最適なタイミングを算出する。
【0069】
ガレージドアオープナ制御装置100は、ステップS924により算出されたタイミングに従って、ガレージのドアをオープン状態にする(ステップS926)。制御部104は、図10に示すように、算出したタイミングに従って、ガレージのドアをオープン状態にする。
【0070】
制御部104は、車両動作情報を入庫車両動作情報としてデータベース108に格納する(ステップS928)。その後、ステップS902に戻り、上述した動作と同様の動作を行う。
【0071】
一方、入庫意思があると推定されない場合(ステップS922:NO)、制御部104は、車両動作情報を入庫未実施車両動作情報としてデータベース108に格納する(ステップS930)。その後、ステップS902に戻り、上述した動作と同様の動作を行う。
【0072】
本実施例によれば、車両検出情報に加えて、車両動作情報に基づいて入庫する意思を推定することにより、ドライバーの入庫意思に基づいて、ガレージのドアを開放することができ、誤ってガレージのドアが開閉されるのを低減できる。また、入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報に基づいて、適切なタイミングでガレージのドアをオープン状態にすることができる。従って、ガレージが開くまでの待機時間を短縮することができる。
【0073】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0074】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ガレージドアオープナの課題を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る車両入庫システムを示す部分ブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係るガレージドアオープナ制御装置の動作を示すフロー図である。
【図4】車両の進行方向を示す説明図である。
【図5】入庫する前の車両の方向を示す説明図である。
【図6】後方運転開始からガレージドアオープナのセンサがオンになるまでに要する時間を示す説明図である。
【図7】入庫するまでの舵角履歴の一例を示す説明図である。
【図8】入庫するまでの後方運転速度履歴の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施例に係るガレージドアオープナ制御装置の動作を示すフロー図である。
【図10】ガレージドアオープナの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
100 ガレージドアオープナ制御装置
102 通信部
104 制御部
106 車両監視部
108 データベース
110 入庫意思推定部
200 車両情報収集装置
202 通信部
204 車両検出情報収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガレージのドアの開放制御を行う車両入庫システムであって、
車両の動作を監視する車両監視手段と、
車両により送信され、該車両により検出される車両検出情報に基づいて、入庫を要求しているか否かを判断する入庫要求判断手段と、
前記入庫要求判断手段により入庫を要求していると判断された場合に、前記車両監視手段により検出された車両の動作を示す車両動作情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定する入庫意思推定手段と、
前記入庫意思推定手段により入庫意思があると推定された場合に、ガレージのドアをオープン状態にすると判断するドアオープン判断手段と
を有することを特徴とする車両入庫システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両入庫システムにおいて、
前記車両検出情報には、シフトポジションの情報、ストップランプスイッチ情報及び車速センサ情報が含まれることを特徴とする車両入庫システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両入庫システムにおいて、
入庫時の車両の動作を示す入庫車両動作情報を格納するデータベース
を有し、
前記入庫意思推定手段は、前記車両動作情報と、前記データベースに格納された入庫車両動作情報との比較結果に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定することを特徴とする車両入庫システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両入庫システムにおいて、
前記データベースに格納された入庫車両動作情報に基づいて、ガレージのドアの開放制御を行うドア開放制御手段
を有することを特徴とする車両入庫システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両入庫システムにおいて、
車両が入庫した場合における車両動作情報を前記データベースに追加する車両動作情報追加手段
を有することを特徴とする車両入庫システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両入庫システムにおいて、
前記車両動作情報には、車両の進行方向、車両の方向、ガレージに到着するまでの時間情報、ガレージに到着するまでの舵角履歴情報が含まれることを特徴とする車両入庫システム。
【請求項7】
ガレージのドアの開放制御を行う車両入庫システムにおける車両入庫方法であって、
車両の動作を監視する車両監視ステップと、
車両により送信され、該車両により検出される車両検出情報を受信する車両検出情報受信ステップと、
前記車両検出情報に基づいて、入庫を要求しているかを判断する入庫要求判断ステップと、
前記入庫要求判断ステップにより入庫を要求していると判断された場合に、前記車両監視ステップにより検出された車両の動作を示す車両動作情報に基づいて、該車両のドライバーの入庫意思を推定する入庫意思推定ステップと、
前記入庫意思推定ステップにより入庫意思があると推定された場合に、ガレージのドアをオープン状態にすると判断するドアオープン判断ステップと
を有することを特徴とする車両入庫方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−180042(P2009−180042A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21707(P2008−21707)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】